○三田村
委員 その点はその通りです。局長の言われることはわかるんですが、ある
意味において強制力を用いて連れ戻し得るのは
少年院の
職員と
警察官です。だからその前の局長の言われるやわらかい行為でなし得る場合は、
裁判官のあらかじめ発する連戻状は要らないのです。ですから
裁判官があらかじめ発する連戻状を必要とするのは、実際は
警察官の職務行為の場合、あるいは
少年院の
職員のなす連れ戻しに強制力を用いる場合でしょう。そうすればここで、
警察官が逃亡した者を連れ戻しに着手する場合は、
裁判官のあらかじめ発する連戻状によらなければならない、こう書けばいいのではないかという気がする。それでこういう
書き方をしてしまいますと、司法保護司とかそういうような人がやる場合でも、これはそう悪質ではないにしても、ちゃんと
法律に書いてあるから、連戻状を持っているか、こういうことも言い得る。これは逮捕状も何も要らないものを、そこへ行って連れてこいという場合に、強制力は用いなくともいいけれ
ども、お前さん帰らなければいかぬということは、司法保護司とかそういう人でも、相当強いことを言わなければ帰ってこない者もいる。そういう場合でも「あらかじめ
裁判官が発する連戻状」という言葉が出てくる。
裁判官が発する連戻状がなければいかぬということは、連れ戻し行為をなし得る者は
警察官と
少年院の
職員ということに限られてしまう。こういう形になりますと、局長御存じの通り、実際は事実行為としてそれ以外の場合が非常に多くあるんです。それならば事実問題に即して、その点ははずした方がよくはないかということです。つまり
警察官が連れ戻しに着手する場合は、
裁判官の発する連戻状によらなければならない、こう書けば、局長の言われるような、事実行為として
少年院の
職員が連れてくる、あるいは保護司に頼んで連れてくる、こういう場合はこれからはずれてくる。私はこれで
一つも不便はないと思う。ところが実際はそれと別のケースで、相当狂暴な、あるいはあすこにおるけれ
ども、ほっておいたらいけない、呼びに行っても来はせぬという場合には、仕方がないから、
警察官がその職務行為として連戻状によって連れてくる。そのときに狂暴性のある者は
手錠もはめる。こういうかっこうになってくるのではありませんか。