運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-05-28 第22回国会 衆議院 法務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十八日(土曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 世耕 弘一君    理事 古島 義英君 理事 山本 粂吉君    理事 三田村武夫君 理事 馬場 元治君    理事 福井 盛太君 理事 古屋 貞雄君    理事 田中幾三郎君       椎名  隆君    高木 松吉君       高橋 禎一君    生田 宏一君       横川 重次君    細迫 兼光君       細田 綱吉君  出席国務大臣         法 務 大 臣 花村 四郎君         国 務 大 臣 大麻 唯男君  出席政府委員         警察庁長官   斎藤  昇君         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         検     事         (民事局長)  村上 朝一君         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君         法務事務官         (人権擁護局         長)      戸田 正直君  委員外出席者         日本国有鉄道参         事         (総裁室法務課         長)      鵜沢 勝義君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  唐沢  勲君         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 五月二十五日  委員松岡松平辞任につき、その補欠として芦  田均君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月二十七日  委員芦田均君及び吉田賢一辞任につきその補  欠として松永東君及び岡良一君が議長指名で  委員に選任された。     ————————————— 五月二十七日  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第九五号)  (予) 同月二十四日  福島家庭裁判所庁舎建設促進に関する請願(鈴  木周次郎紹介)(第九六三号)  同(粟山博紹介)(第九六四号) 同月二十七日  鷹巣町に簡易裁判所設置請願石田博英君紹  介)(第一〇三六号)  戦争受刑者早期釈放に関する請願平田ヒデ  君紹介)(第一一二四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第九五号)  (予)  法務行政に関する件  検察行政に関する件  人権擁護に関する件     —————————————
  2. 世耕弘一

    ○世耕委員長 これより法務委員会を開会いたします。  まず本日は、当委員会に昨日予備付託となりました下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし、政府より本案提案理由説明を聴取いたします。花村法務大臣
  3. 花村四郎

    花村国務大臣 下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について、提案理由説明いたします。  この法律案は、最近における市町村廃置分合等に伴い、下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律に所要の改正を加えようとするものであります。以下簡単に今回の改正の要点を申し上げます。  第一は簡易裁判所名称変更であります。すなわち、簡易裁判所名称は、その大部分が所在地の市町村名称を冠しております関係上、市町村廃置分合またはその名称変更に伴い、簡易裁判所名称もまたこれを改める必要がありますので、神奈川津久井津久井町の設置に伴い、神奈川中野簡易裁判所名称津久井簡易裁判所と改めるのを初めといたしまして、合計三十三の簡易裁判所名称変更しようとするものであります。  第二は簡易裁判所管轄区域変更であります。すなわち、裁判所管轄区域は、行政区画またはこれに準ずべき区域を基準として定められております関係上、市町村廃置分合等に伴い、関係簡易裁判所管轄区域変更を加える必要がありますので、春日部市の設置に伴い、大宮簡易裁判所管轄に属する埼玉県南埼玉郡旧豊春村の区域越ヶ谷簡易裁判所管轄変更するのを初めといたしまして、合計百三の簡易裁判所管轄区域変更しようとするものであります。  第三は下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律別表整理であります。すなわち、市町村廃置分合名称変更等に伴い、同法の別表第四表及び第五表について当然必要とされる整理を行おうとするものであります。  なお、以上説明いたしました簡易裁判所名称及び管轄区域変更につきましては、いずれも、地元市町村関係官公署弁護士会等意見を十分しんしゃくし、最高裁判所とも協議の上決定したものであります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。御承知のように最近、町村合併促進法施行等に伴い町村合併等が全国的に行われております関係上、この法律案における改正個所もかなり多数に上っておりますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 世耕弘一

    ○世耕委員長 これにて提案理由説明は終りましたが、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  5. 世耕弘一

    ○世耕委員長 次に法務行政に関する件、人権擁護に関する件及び検察行政に関する件を一括して、調査を進めることにいたします。質疑の通告がありますので、順次これを許します。古屋貞雄君。
  6. 古屋貞雄

    古屋委員 私が質問を申し上げたいのは、選挙取締りに関する質問でございますが、大体公明選挙の行われることが、民主主義発達のために一番必要なことでございます。そこで選挙違反につきましては、特に買収とか戸別訪問とかいう方面の取締りは非常に厳重にされておるわけでありますが、一番大切な選挙民自由意思に基く公明表明、適正な選挙という基本的な立場において考えますときに、団体的な圧力と申しましょうか、あるいは地方自治体の中に行われておる一つの機関が不当に活動をして、住民自由意思に基く選挙表明ができない状態に置かれておる。こういうことについてまず直接お取締りを願っている斎藤長官にお尋ねしたいのですが、選挙といたします場合に隣組であるとか、あるいは何々団体であるとかいうものが決議をして、選挙民自由意思を束縛するような場合が多いのです。特に私がここで申し上げたいのは消防との関係なのです。選挙のときに消防自動車の発動を求めて、消防自動車消防目的を達するという名目のもとに選挙妨害をやっておる。こういう場合の取締りの基本的な方針を承わりたいのでありますが、実際は、地方団体選挙になりますと、たとえば県会議員選挙であるとか、あるいは町長の選挙であるとか、こういうような選挙になりますと、全町一致というような形の決議をいたしまして、そして公認を押し出す。これは地方には地方利害関係がありますから、地方代表を出そうという気持も非常に強いのですが、そういうようなことで候補者になったその候補者の当選を目的として消防自動車が発動いたしまして、消防に名をかりて村民の自由意思を圧迫する。自由な意思表明ができない状態に置かれておる。こういうことが現実の問題としてしばしば行われておるわけですが、警察庁においては下の方に指示する場合に、そのめどをどこに置いて選挙違反取締り方針をきめられるのか、こういう点をまずお尋ねしたいと思います。
  7. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 御意見のように選挙国民公明自由意思表明によって行われなければならぬことはもちろんでございます。従いまして、この根本原理に反するような事柄は極力取締りをしなければならぬことはもちろんでございます。ただ警察取締りに当ります場合には、法律に基かなければならないことは申すまでもないのでありまして、選挙妨害行為というものは法の規定によって取締りを厳にするように特に注意をいたしておるのでありますが、ただいま例におあげになりましたような消防が演習の名のもとに集まって、そして何らか部落民自由意思を圧迫するような感じを与えるという程度のものは、趣旨としましてはまことに私は望ましくない行為だと存じまするが、果してこれが公職選挙法の二百二十五条の「暴行若しくは威力を加え」て妨害をしたとかあるいは威迫を加えたことに当るかということに相なりますると非常にむずかしい点がありますので、程度がひどくなれば警察としてはどうしてもこれは検挙をしなければならない。そうでない場合、威迫を加えるおそれがあるという場合は、警告をもって臨むというのが適当ではないかというように指示をいたしておる、かような次第であります。
  8. 古屋貞雄

    古屋委員 この点は具体的事実をあげて御説明を申し上げないと御答弁も困難だと思うのですが、これは非常に弊害の多いのは消防を利用する場合が多いわけなんです。そこでこれは刑事局長にお尋ねするのですが今御説明のございました選挙法の二百二十五条の二号の「交通若しくは集会の便を妨げ又は演説妨害しその他偽計詐術等不正の方法をもって選挙の自由を妨害したとき。」こういう場合、これは山梨県におきます実例は、ある町の消防選挙のさなかに狩り出されて、高い火の見やぐらに上って、その町の推薦した候補者以外の候補者街頭演説をする、そういう場合にその自動車進行方向火の見やぐらの上から指図して連絡をして、そこに数台の消防自動車がその周辺を回り歩いておるという現実です。こういうような程度のものはこの中の「選挙の自由」を妨害することになると思うのですが、そういうような具体的な事実があった場合にこれは一体引っかかるでしょうかどうでしょうか、どういうぐあいに考えますか。
  9. 井本台吉

    井本政府委員 いま少し具体的な事案を検討いたしませんと、公職選挙法の二百二十五条の二号に当るか当らないか、今ここで明確な御答弁もできかねますが、当る場合もあると考えます。
  10. 古屋貞雄

    古屋委員 そこで長官に先ほどもお尋ねしたのですが、消防の監督は各自治体がやられておる。消防警察との横の連絡問題——同じように大体住民生命財産を守る。片方は施設を利用したり火災に対する災害を防止する。一方は生命財産保護をする、こういう関係で非常に密接な関係があって、従来消防警察というものは表裏一体のようになって協力をされたのですが、そんな関係上ただいま申し上げたような、特に特定候補者の家に行ってそこで弁当を食べさしてもらう。しかし自動車を運転するガソリンその他のものは自治体の費用を使っておる。そうしてただいま申し上げたように火の見やぐらに上って白昼、火災予防状態とは考えられないような事態でただいま申し上げたようなことが行われてきた。地方住民はこれに対して、警察に向って具体的にこれは選挙法違反である、選挙民自由意思威迫するということでしばしば警察に申し出たのですが、これに対して何らの取締りもせずにそのまま放任をされておった。こういうような現実の事実があったのですが、この消防警察との横の連絡についての何か特殊な関係でもございますか。それとも全然独立された二つの系統であるというように現実において指揮命令がなっていますか。そういう横の連絡はどうなんでございましょうか。
  11. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警察消防との関係は法制上と申しますか、組織上全く別のものに相なっております。ただただいまお述べになりましたように、生命、身体、財産保護という点につきましては、両方ともその職責を持っておりまするので、事案によりましてはお互いに協力し合うという規定が、消防法にも設けられておりますので、水火災あるいは天災地変というような場合には協力をいたしまして、そういう事態に当る仕組みに相なっております。しかしながらこういう選挙関係とか、そういうようなものにつきましては、消防協力を求めるというようなこともあり得ませんし、捜査等については、消防警察は全然別個の問題でありまして、ここに何らの連絡もないのでございます。
  12. 古屋貞雄

    古屋委員 ただいま御答弁のありましたように、両者関係は非常に密接な関係であるので、多少選挙妨害に対する行き過ぎがあっても遠慮するというような傾向は、これは人情上あるわけです。この点につきまして私御質問申し上げておるのは、非常に弊害が多いのです。今回の山梨県における一地方選挙のごときは、ほとんど白昼公然と行われ、しかも町はずれの道路の要所々々に消防が立って、通行人を誰何しておる事実がある。従って私どもが応援に参りましても誰何されましたので、警察に向って誰何することは妨害じゃないか、通行するのは自由なんだということで相当もんだのですが、とうとうこれは手もつけずに終ったのですが、こういう誰何して、交通の自由に対する一つの圧迫を加えたような場合は、これはもうりっぱな選挙妨害だと思うのです。こういう現実現行犯に対する取締りを当時の警察がやらなかったのです。実は私がその問題を御質問申し上げるのは、一地方だけでなく、今度の選挙では全県下もうほとんど行われております。これは公明選挙の上からいって重大に考えなければならぬ。しかも非常に逃げ道があるわけです。今申し上げたように両者の間に非常に密接な関係があり、また問題の具体的事実の度合いの押え方——ども自分で行って、自分現行犯だと称して持ち出したから問題になったのですが、これとても取調べをせずに終ってしまったのです。この点について特に私お願いしたいことは、こういう問題を相当御研究下さいまして、警察選挙取締りに対する場合の適切な指示をしていただきたい。これは非常に警察に対する感情が高ぶりまして、おしまいには警察署の前で反対党候補者警察出てこい、目の前に現行犯が行われておるではないか、なぜ取り締らないかというようなことを現実にやった事実を私は見ておるのです。これは重大な問題です。警察の威信の問題です。選挙取締りの問題でもあるのですが、私ただいまお尋ね申し上げたのは、そういう過去の問題についてこうこうとは申しませんけれども、今後の問題について非常に重要視されて、一つ協議なさったりする場合に強い指示をしていただきたい。これを私要望申し上げます。以上でございます。  あとは富士山ろくにおきまする去る十三日に、これは長官の方にも報告があると思うのですが、デモ隊警察のごたごたの問題についての御質問でございますが、この点は私実は現場に参りまして、去る十二日に見たのですが、大室山のふもとでございまして、広い範囲なんです。従ってまず第一に、米軍立ち入り禁止の境界が不明確なんです。デモ隊諸君は山の高いところに陣取り、下の低い、三十メートルくらい先のところに砲座がすわって実弾射撃をしたわけなんです。そこでまず第一に問題になりますのは、私の方で調べました事実に基きますと、すでに実弾射撃は終ってしまって、跡片づけに入っておった。跡片づけと申しましても砲でありますから、砲の始末だけなんです。そしてその前方にありました組合の諸君の置いた旗を、米軍許可を得て代表者が取りに参りました。そして無事に持って帰った喜びと申しましょうか、気勢をあげる意味において多少感激的な状況に置かれたらしいのです。そこでごたごたされたんですが、問題は警棒の行使を指揮官が命じて、数人の者に暴行を加えたことなんでございます。私が質問いたします趣旨は、ともに興奮いたしておりましたので、ごたごたが起きたのでしょうけれども、それがそのまま放任されても、山の中の広い、高い峰の付近のことであると同時に、米軍射撃は終っておるから妨害にならない。そういう状況であったが、何かしら両者の間に、興奮されて感情的に対立したような空気があったらしい。私はこれを申し上げたいんです。デモ隊諸君は、デモをして警察官諸君を困らせる意思は毛頭ない。アメリカ軍に対して、日米合同委員会協議決定に違反してやっておるので、やめてもらいたいというわけでデモをやっている。従いまして、警察デモ隊諸君が衝突することは実に遺憾な話である。そのようなことがいつも大きな問題を引き起す原因になるわけなんです。五分か十分の時間の経過によって興奮状態はおさまってしまうものを、警棒を振り回した。しかも警察協力した者がなぐられておる事実がある。この点につきましては、長官の方の御報告はどうなっておるか知りませんけれども、二十数人けがをした者が出たという新聞記事もございます。従いまして、果してそのけがはどういうものであるかということを調査いたしましたところ、山の中で木がはえております関係で、木の根などのかすり傷相当ありましたが、意識的に危害を加えられた者は警察官には一人もない。しかしデモ隊の方には後頭部をなぐられておる者がある。しかも警察協力して興奮を押えようとしてかかった人が、頭を警察官になぐられている。こういう事実がございます。こういう点につきまして長官に対する御質問は、積極的に暴行を加えられる、こういう場合には反撃するために警棒を持っておりますけれども、無抵抗に、しかも警察協力してデも隊を押えよう、興奮状態を押し静めようという行動をとった者が暴行を受けておるという事実、そういう場合でも警棒を使っていいのかどうか。警棒を使います場合、一体どういう原則的な指示をしておるのか承わりたい。
  13. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警棒を用いますのは、たとえば群集がある一方の方へなだれて来ようとする、それを阻止しようというような場合等におきまして、警棒を用いた方が目的を達成するのによろしいという場合に用いるのであります。しかしこれは決して群集危害を加えるためという意味ではない、のみならず危害を加えてはいけないということを厳重に申し渡し、訓練をされておるのであります。従ってさような場合に警棒を用います場合は、多くは警棒を横にかまえまして両手で持つというのが通常の用い方であります。われわれ厳重に注意いたしておりますのは、警棒を肩の位置より高く振り上げてはならないということを強く指示をし、またいかなる場合にもそういうことのないように訓練をいたしておるのであります。先般の富士キャンプで傷害の起りましたことはきわめて遺憾でございましたが、あの際に私は警棒を正当な用法によって使うということは、これは当然であったと考えております。けがが果して警棒によってなぐられたものであるかどうかという点につきましては、私の方も疑問を持つのでありまして、写真その他によりましても警棒を振り上げてるという状況は見られませんし、また当時警察指揮者あるいはその他の警察官も振り上げてなぐっていたということを現認をした者がありませんので、何らかもみ合いのときに起った不測のけがではなかったであろうか、かように判断をいたしておるような次第でございます。あの際に結論から、五分、十分そのままほっておいても何も起らなかったかもしれません、だから古屋委員のおっしゃる通りに終結をいたしたかもしれませんが、当時の警察の見方といたしましては、相当興奮をした人たちがはち巻をして、しかも旗竿、竹等を斜めにかまえて、さっと中に殺到いたそうとしたというその状況からいたしますと、警察が、これはこのままほっておいては大へんなことになるというので阻止をするのに懸命になったということは、私は警察職責上当然ではなかったか、かように判断をいたしておるのであります。
  14. 古屋貞雄

    古屋委員 今、警棒暴行を加えることは禁ぜられておる、従って警棒でなぐったというようなことに対する認定はしないという御答弁がございましたが、実は警棒で、しかも後頭部をなぐられた。十三日の日の岳麓赤十字病院の伊藤という医師の診断書が、私のところに届いておるのであります。三名でございますが、これを見ますと、後頭部をなぐられた事実がはっきりして脳震蕩症に陥って倒れたわけです。これは三人ございますが、三人とも全部頭でございます。そうしてしかも相当大きな傷を受けまして赤十字病院に入院した。三人とも全部脳震蕩症を起した。しかも頭部裂傷を二人起しておる。こういう状況でございまして、私も現場に行ってみたんですけれども、山の高いところでもみ合いをいたしました現場というものは——もみ合いをすること自体がおかしいんです。私が見まして山の峰なんですが、ずっと下の方で射撃をしておる。その山のずっと先の方になわを張って、何千、何万坪の広い山の中です。ですから二百人や三百人の人たちががたがたいたしましても、これは何も武器を持って騒ぐわけじゃなく、町のまん中であるとかたくさんの人が住んでいるところだということになると、警察官も将来そのデモの流れがどんな間違いを起すかもしれぬということの予防的な考えからこれを阻止することも必要でありまするけれども、もうすでに射撃は終ってしまった。しかも跡始末も済んでしまった。しかもその射撃をやっておりまする中に、立ち入り許可を得て入った。そこで立ち入りを許されて、しかもその先にある旗をとりに行くことの許可を受けて、そうしてそれを持ってきた。その持ってきたものの歓迎をするためにごたごたしたというできごとなんです。従いましてどういう報告が来ておるか知りませんが、黒田隊長は開くところによりますると、あれはやり過ぎだったということで謝罪をしたというようなことを——私は本人から直接聞いてはおりませんけれども新聞で拝見をしたんですが、どういう御調査をされておるかわかりませんが、警棒によって三人が後頭部並びに頭部裂傷を負わされ、脳震蕩症を負わされたことは事実なんです。私はこの事実を明確にしていただくことと同時に、こういうことが現在のような失業者がふえて参りまして、富士山のような問題については国民相当強く反米的な感情を持っておる。目の前にそういうようないろいろな関係があるというような場合に、警察官とわれわれ国民との間にこういう問題を起すことが私はまことに残念しごくだと存ずる次第であります。従いましてこの責任をどうということじゃございませんが、一体警棒を振り回されてなぐられたというのは本人の申し出であると同時に、たくさんの現認者がおるわけです。従って警察の方に対して当時のデモ隊暴行を加えたという事実は、どういう御報告がございますか知りませんが、それによっての傷というものがありますればそれを承わりたいと思います。ほかの足場の関係上ごたごたして木の根などですったかすり傷などはございましょうが、デモ隊から暴行を加えられたという事実はないと思うんです。そうするとどうもこれは警察官方たち警棒を振り回していどみかかった。かつての早稲田の問題などはそういうことが問題になったんですが、こういう問題を明確に事実をお調べ願って、これに対する相当厳重な御警告を願わないと、私はこういうきっかけから相当大きな暴動が起き上る、かように考えておりますが、どういうような御報告になっておりますか、具体的に御報告がございますれば承わりたいと思います。
  15. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 お説のように警察官相当数けがをいたしましたが、これらのけが故意に他から加えられたけがとも判断できがたいというお説は、私も同様に感じております。もみ合いの間において自然に起ったけがであろうと考えております。ただいまの三人の方が医者の診断によりますると、後頭部をなぐられたようなけがだという診断書になっておったように見えております。従いましてこれには警察官があるいはなぐったんじゃないだろうかという疑いを持たせるような診断書の内容になっております。そこでさようなことが現実にあったのか、なかったのか厳重によく調べるようにということは、警察本部長には指示をいたしております。今後さような場合におきまして、警察官故意にまた無用にけがを与えるというようなことが全然ありませんように、今までも十分注意をされておりましたが、今後もまたさような疑いを受けることのないように一層注意をさせたい、かように存じておる次第であります。
  16. 古屋貞雄

    古屋委員 この点私御要望申し上げたいのですが、これを見ますと詳しく書いておりますが、この点はお話の通りなんですが、どうも毎日々々三日ぐらい両方の連中が対立したというようなことで、にらみ合いというような形であったが、これは警察に対する関係ではなかった、ことにあそこは当時は佐々木部長が指揮をしておりまして、労働組合の諸君と佐々木部長とは非常に懇意な理解し合ったよい仲であった、私おしまいの十二日の日に帰りましたが、帰りまする前に労働組合あるいはその他の住民にも、相手は米国で射撃をやめてもらうことなんだ、警察諸君もなかなか御苦労なんだ、従って努めて感情の対立がないようにということを、労働組合の幹部からも、村の幹部からも、私らの前であいさつをさしたのです。それで私佐々木部長にも相当自重してもらいたい、あなたはかつてしばしば山梨における労働争議の場合でも一番理解を持って今まで問題を起さなかったんだ、こういうことで笑って帰ってきたのですが、帰った翌日にこの問題が起きたのです。その状況を私自身が見ておりますと、私どもの行ったときでもなかなか若い警察官の方が興奮するわけなんです。しかも労働組合の諸君があそこは寒いしあるいは実弾射撃の行われていない合い間などは、つれづれに労働歌を歌ったりいろいろやっております。そういうような気勢をあげる気持が何となしに警察諸君の中には、自分たちをばか扱いをしているというような感じを持たれる警察官があるようでした。この点は今後警察官の教養問題だと思うのですけれども、どうか教習所における教養などの面におきてまして特段の御配慮を、いただき、そういう場合の群衆心理などについて特に御研究を願って、そういう場合にあまり興奮をなさらないように、指揮官は冷静であったようですけれども、若い人たちは労働歌などを歌いますと自分たちがばかにされておるような感じを持たれたように私どもちょっとあの場の空気でわかりましたが、そういう場合の警察官の教養上の問題について特段の御配慮を願って、ただいまの御答弁に加えて私は教習所あたりでやかましくやっていただきたい、かように要望申し上げておきます。
  17. 世耕弘一

    ○世耕委員長 細田綱吉君。
  18. 細田綱吉

    ○細田委員 大臣に御所見を伺いたいのですが、私が申し上げるまでもなく、被勾留者の弁護人の選任または面接は、憲法にも定められておるように基本的な人権で自由でなくてはならない、ところが少くとも私の知った範囲では、最近の関東各県の警察では警察署へ行くと弁護人の面接というものはほとんど取調べ官の前でさせる、これでは被告人に突っ込んで聞いても、係官の前だから悪いだろうというようなことで、弁護人も遠慮するし、またひどいところになると、特別の面接室がないということで、ことさらに、被拘禁者の逃亡を防ぐというような意味でございましょうが、わざわざいすを持ってきてその面接を聞いておるというようなことになっておりまするが、こういう点で特に国警では全国各警察指示をしているかどうか。なお伝えられるところによると、十分に設備の整っておるはずの警視庁ですら何か一つか二つしか、あれだけの調べ室があって弁護人の面接室がない。いわんや地方警察などにおいては、そういう点はめちゃくちゃだ。こういう点は新憲法下においては特に重大な問題であると思うのですが、この点に対して大麻大臣の御所見を伺いたいと思います。
  19. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 御説の通りだと思いますが、私詳しく存じませんので、斎藤長官からお答えいたします。
  20. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 御意見のように、また大臣も答えましたように、被疑者と面接をいたしまする際には立会人なしにやることになっております。これは憲法で保障しました人権擁護趣旨からみてもしかるべきだと考えております。われわれといたしましてはさように注意を加えておるのでございますが、設備といたしまして面接室をつくるということが最も望ましいのであります。警察制度が昨年改正される以前の国家地方警察の面におきましては、留置場を持っておりまするところにおいて面接所がないところが当初相当多くありましたので、計画を立てまして、面接所をつくるように、改造あるいは新築等の予算措置ということもいたして参ってきておるのであります。昨年の統合によりましてまだそれができていないところも相当あるのでございます。予算ともにらみ合せながらできるだけ早く全部の留置場に面接所ができますように措置をいたしたい、ただいま努力をいたしておる次第であります。
  21. 細田綱吉

    ○細田委員 これは新憲法並びに新刑事訴訟法の施行されました直後においては、全国の警察でも、この問題については弁護人との面接所は各警察でかなり慎重に取り扱われて、面接所をこしらえたのであります。ところがいつの間にやらぐずぐずとなって戦前の状態に返ってしまった、こういうことを国警長官は御存じかどうか。これは予算とにらみ合せるといっても、特に一軒建て増すというようなことでなくして、警察署の中の一室をあるいはまたその設備をするというだけですから、全国的には相当のもでしょうが、たくさんの予算はかかるわけじゃない。特に予算とにらみ合せてというようなきわめてのんきなことを言っておられるけれども、これは基本的な人権です。刑事訴訟法に厳命しておる条項です。従ってこれは警察署の方では義務としてやらなくちゃならぬ問題である。特に代監、代監と申しますか代用監獄とでも申しますか拘置所ともいいましょう。そういうような場合も依然として警察官取締り官の前に引っぱり出して会わせるというようなことが行われておる。実に刑事訴訟法の条文を知っているか知っていないか疑われるような状態である。特に先ほども申し上げたように、新刑事訴訟法施行直後は、各警察もかなりこの問題は厳重に励行されたが、その後また戦前の状態に返ったが、やれば即時にできる。あなたの方の厳重な指令一本でおそらく全国の警察署は改まると思う。この点についてさらに長官の御所見を伺いたい。
  22. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 まことに申しわけのない次第でございますが、弁護人が面接をいたします際に、警察が立ち会うというような形が戦前に復活したような感がするという御意見でございまして、私はこの点は初めて伺うわけでございます。終戦後だんだんよくなりつつあるものと私は考えておりましたが、ただいまお話を伺いましたので、さらに十分調査をいたしまするとともに、この点は一段と注意を喚起いたしたいと考えます。
  23. 細田綱吉

    ○細田委員 法務省の当局に伺いたいのですが、去る四月二十三日施行の県会議員選挙において、茨城県行方郡麻生町の水口賢明君が県会議員に立候補して当選された。不幸にして当選された。というのは、水口君はその前の選挙で、これは自分選挙ではないが、選挙違反をいたしまして、最高裁まで持ち出したがとうとう有罪になって罪が確定した。最高裁には自分で出るわけではないので、自分選挙権はあるかどうかということを東京高等検察庁に問い合せたところが、東京高等検察庁では、選挙権は停止されていないという回答をされた。従って自分も安心して立候補した。しかも六千七百有余票、六千八百票という票を獲得されて見事に当選された。ところが当選されたあとと申しましょうか、その投票日の午前一時ごろと私は聞いておりますが、一時か二時ころ、いや選挙権はないのだ、公民権は剥奪されているのだという高検からの回答で、従ってもうすでにその日は投票の日に入っておるので、選挙人はいずれも知らないで水口君に投票した。そして当選したところが、それは無効の投票であるというような断定を受けまして、次点者が繰り上げになったという事案がありますが、この点で、話に聞きますと、この水口賢明君は土浦の裁判所支部で第一審の判決を受けた。従って土浦検察庁が二十一日にこの問題を発見して、直ちに高等検察庁に水口賢明君は公民権剥奪のはずであるがということを問い合せた。ところがどういうのか知らぬが二十三日に入ってしまって、ようやく投票無効というところまで追い込まれてしまったということを聞いていますが、これに対して法務当局ではどういう御報告を受けておられますか。
  24. 井本台吉

    井本政府委員 水口賢明氏に関する選挙権存在の通知は、これは全般的に申し上げまして私どもの手落ちでまことに申しわけないということをまずおわび申し上げておきます。  かようなことになりました経過を申し上げますと、実は本年の四月二十二日に水戸の地方検察庁の首席検事から、どうも水口氏の選挙権の問題について、立候補しておられるが、あれは選挙権がないのに立候補しておられるのではないだろうかという疑問の点があるということの照会がありまして、それから私どもの方で直ちに高検の池田検事を土浦支部に派遣いたしますと同時に、この記録の調査をしたわけでございます。ところが私どもの方から潮来町の役場に対する既決犯罪通知の際に、これが選挙権ありという趣旨の通知が出ておるのでありまして、記録上はさような通知をすべきものでないにかかわらずかような通知が出ておるということを、二十三日になってようやく発見いたしまして、役場その他に連絡したということになるのでございます。  そこでこの刑事犯罪通知がどのようにしてなされているかという点を御説明申し上げませんと、御納得がいかないと思いますので、簡単に申し上げますが、水口氏の方から自分選挙権があるのかないのかという趣旨のお問い合せがあって、東京高等検察庁で水口氏に選挙権がありというようなことを調査してお答え申し上げたのではありませんので、実は明治十四年、非常に古い通牒でございますけれども、司法卿の達しというものがありまして、検察庁から本人の本籍地の市町村役場に既決犯罪通知というのを従来行なっております。この通知をいたしますのは、選挙法令に関しましては、結局選挙権の資格の調査の際に、さような選挙法で処分を受けたかどうかということの通知をいたしますと非常に簡明でございますので、かようなことが一つ目的となって通知が出ておるのでございます。元来選挙権の資格の有無というようなことは、選挙管理委員会が決定すべきものでございますが、一応さような通知が出ておりますると選挙権がありというような認定をされるのもごもっともであると考えるのでございます。この点につきましては、その後昭和十年にも一部改正があり、さらに終戦後にも通牒等の改正がありまして、現在でも判決が確定いたしますると、確定した地方検察庁から、その所轄の役場の方に選挙権の有無について通知をしておるのでございます。ところが水口氏の件につきましては、非常にふなれな雇がおりまして、公職選挙法の二百五十二条の趣旨を誤解いたしまして、選挙権がないという通知をすべきにかかわらず選挙権があるような趣旨の通知をいたしてそのままになっておりましたために、さような間違いが出たわけでございます。この関係を扱いました者は浅井馨という雇でありまして、もう数年前に東京高等検察庁をやめておるのでありますが、特にこの件に関しまして何か特殊の関係があってさような間違った通知をしたのではないかということで、われわれといたしましても厳重に取調べをいたしたのでありますが、本人が退職直前の多忙の際に法規を誤解して、過失によってさような通知をしたというような事情が判明したのでございます。いずれにいたしましても、かような間違った通知をいたしまして、選挙権のない方に選挙権があるというような誤解を起させて、選挙運動をさせて相当の票数も上げたというような結果になりましたことにつきましては、私どもといたしましても何とも申しわけないわけでありまして、その後かような間違いの通知が出ないように厳重に警告いたしますとともに、各検察庁におきましてもいま一度さような間違いがあるかないか、全般的に調査させておりますような次第であります。
  25. 細田綱吉

    ○細田委員 伺うところによると、茨城県下にすら、なお他にも選挙権の停止のあった人に対して選挙権の停止の通知がいっていないというような話を聞くのですが、現在あなたの方でおわかりのもので、浅井馨とかいう雇が扱って間違った通知を出しておるのは、何件くらいあるのですか。
  26. 井本台吉

    井本政府委員 私どもの調べでは、浅井が取り扱いまして間違いましたものがこのほかにもう一件あるように聞いております。
  27. 細田綱吉

    ○細田委員 これは官庁内の事務システムといいましょうか何というか知りませんが、選挙権のあるなしということはきわめて重大な問題で、数十万の金を使って当選、しかも無効というようなことであってはならないのですが、高等検察庁においては新米の雇くらいにこういう仕事をやらしておくのですか、その点をお伺いいたします。
  28. 井本台吉

    井本政府委員 その点につきましては、事務監督者の監督が非常に至らなかったのでありまして、従来あまりかような間違いがなかったので雇に全般的にやらせましてあまり注意しなかったというような点から、かような間違いが出たと考えるのでございます。
  29. 細田綱吉

    ○細田委員 選挙人名簿にはりっぱに選挙権があるといっておって、当該官庁からそういう通知を受けておる限りは、選挙管理委員会においてもこれまた一応は選挙権ありという認定のもとにこれは扱われざるを得ない。そうするとこれはりっぱに立候補して、六千七百有余票を獲得されて、しかもそれがないものはないのですから無効ともいえるのですが、大体選挙そのものは六千七百有余票というものを選挙民故意、過失なくして水口賢明君に投票させておる。この選挙は、私は選挙全体が無効になって、一応やり直させるべきではないか、そういう考えが起きるのですが、この点では法務当局ではどういうふうにお考えでありますか。
  30. 井本台吉

    井本政府委員 お尋ねの点につきましては、刑事関係法律問題ではございませんので、私の所管の外になりますから、事務当局としての御答弁は差し控えたいと思います。
  31. 細田綱吉

    ○細田委員 先ほども刑事局長の御答弁では、二十一日に水戸の次席検事からそういう通知を受けて、二十三日が選挙だということがわかっておるのですから、それから検事を土浦か水戸か知りませんが派遣してというようなことは、実に手ぬるいことであり、しかも現地の土浦検察庁に問い合せというか、命令を下せばすぐそういうことはわかるので、従って二十一日じゅうか、少くとも二十二日じゅうには、麻生の町役場でその水口賢明君の選挙権はないというだけの通知はされなくちゃならぬと思うのです。しかるにこの二十三日を前にして、二十一日に通知を受けながらべんべんとして、いかに官庁の仕事はマンマンデーであるといいながらも、二十三日の投票がわかっていながら、どうしてこんな重大な投票までさせるというような結果になるほどにおくれたのでしょうか。官庁の仕事としてはこれ以上早くできないものでしょうか。
  32. 井本台吉

    井本政府委員 とにかく水口に対しましては一応選挙権ありという通知が出されておりますので、水口自身がさようお考えになるのはもっともといたしましても、私どもといたしまして、選挙権がある者に対しまして、もしないというような間違った取り扱いをいたしますと、これは重大な結果になりますので、慎重にしかも急速にやらなければいかぬということで、記録を点検いたしますと同時に、その通知の状況を詳細に調べたわけでございます。そのために二十二日の夕刻まで調べにひまがかかりまして、選挙の朝ようやくさような通知ができたというような結果になりますので、時間について大事な時期にさようなひまがかかったという点についてのおしかりは、まことにごもっともでございますが、実情はさようなことで、私どもといたしましてはできるだけの努力はしたわけでございます。
  33. 細田綱吉

    ○細田委員 これは新聞記者を通じて話を聞いたことですから、どの程度までほんとうかうそかわかりませんが、これは実に私から言うと選挙民を愚弄しておると思うのです。これだけ重大な問題を一新米の雇に扱わしておる。しかもこのミスは今伺うと、前になされていながらさっぱり発見されていなかった。実に選挙民を愚弄したものだ。憲法に保障された非常に重大な自分たちの代表を出すということに対して、実に軽く法務当局は見ておるのではないかと思う。しかるに土浦の検察庁の支部長が、いやこれは高検のミスだというようなことを、あとできまってから新聞記者に話したところが、何か高検の方から推問書というものが来た。役人の間のことですからいらぬお世話かもしれませんけれども、こんなことは私は選挙民をきわめて愚弄しておると思う。ところがそれに対して、新聞記者にどういう気持で語ったというようなことの推問書が行って、今度は逆に新聞記者の方がしかられたというような話を聞くのですが、そういう推問書はどういう性格のものであるか、それから高検内においてこの責任は監督者はどういうふうに負っておられるか、その点を伺いたい。
  34. 井本台吉

    井本政府委員 新聞関係の点につきましては、私聞いておりませんのでお答いたしかねますが、本件は、先ほど申し上げましたように、この事務を取り扱っておりました東京高等検察庁の雇の浅井馨という者が間違ってなしたものであるということが、調べによってはっきりしております。従ってこの仕事の間違いは東京高等検察庁が責任を負うべきものと私どもは考えております。なお浅井のこの監督責任につきましては、私の方でもどの程度上司が責任を負うべきものかという点について、監督上の責任の検討をしておるという点を申し上げます。
  35. 細田綱吉

    ○細田委員 国民というか、人民というかに対しては、まあ今後は慎重にされるでしょうが、きわめて簡単に扱われてきた。ところが法廷なんかで、私自身は経験しませんが、よく見るところによると、検事が証人に対して、自分自身に供述した点と裁判所の法廷ににおいて供述した点とが違う、しかも検事に対して不利に供述したというような場合には、おい、ちょっとこっちへ来いといって、そのまま検事のところへ連れて行って偽証罪の調べをするというようなことを間々われわれは見る。こういうようなことはきわめて重大な問題であって、自由な立場に立って自由な供述をするということを宣誓の趣旨によって命ぜられ、しかも厳粛な宣誓をされておる。従ってまた供述者の方から言えば、自由な立場で拘束を受けない供述の方が信を置かれるのか、身柄を拘束されたまま検事の前で供述したのが信を置かれるのか、きわめて私は明瞭だと思う。明瞭でないにしても、直ちに検事に対する供述と違うから偽証の疑いがあるということは、権力によって証人を威嚇するものであって、従ってそれは公正な裁判を妨げる態度ではないかということを考えるのでございますが、法務当局は過去においてこういう問題に対して調査されたことがあるか、現在どういうふうにお考えになっておるか、伺いたいと思います。
  36. 井本台吉

    井本政府委員 抽象的な問題といたしましては、証人などは法廷で宣誓をして供述をいたしますから、その法廷の証言は十分尊重しなければならぬということは、私どもは考えます。ただケース、ケースによりまして、法廷で偽証をなす者もないとは言えませんので、さような場合に検察官といたしまして偽証罪として検挙、取締りをいたしますのは、これは検察官の職責でございますから、ある程度調べをするということもないとは言えません。しかしながら大体におきまして、法廷におきましては宣誓の上自由な立場で供述をするのでございますから、さような証言を尊重しなければならぬということは、抽象的に私も御趣旨の通り考えます。
  37. 細田綱吉

    ○細田委員 これは個々のケースと言われるのですが、かりに五人の証人が呼ばれておって、最初の人がちょっと来いというようなことで検事のそばへ呼びつけられて、そこへすわらされておりますと、その状況を法廷内で見たあとの証人は、間違っておっても断じて検事に対する供述は変えない。要は自由な心証を裁判所にまかしてしかるべきではないか。よほどのことがあっても法廷でこういうことをやるということは、法廷の尊厳をむしろ妨げるだけではなくして、裁判の公正をも検事自身が妨げることになると思う。かりにそういう偽証の罪が歴然としておるなら、あらためて法廷外で喚問して調ぶべきではないか、こう考えるのでございますが、法務当局はどういうふうにお考えになっておりますか。
  38. 井本台吉

    井本政府委員 どうも具体的にどういうことになっておりますか、そのときの事情々々によってきめなければならぬと思いますが、先ほども申し上げましたように、抽象的には法廷における証人の供述というものは自由にこれを尊重しなければならぬと私ども考えます。もしさような点について、非常に不都合な事例でもございますれば、具体的に承わりまして、私の方でも善処いたしたいと思います。
  39. 世耕弘一

    ○世耕委員長 高橋禎一君。
  40. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 近ごろ交通事故が頻発いたしまして、人命の被害の多いことはまことに遺憾であります。特に国鉄の事故はその規模も大きく、洞爺丸の沈没事故とか、あるいはまた先般の紫雲丸と第三宇高丸衝突事件のごときは、一瞬にして実に百、千の人命を失うという、悲惨きわまりない結果を引き起したのであります。私はかかる事故の発生を防止するということはきわめて重要な問題である。私どもはこの問題と真剣に取り組まなければならないと考えるのであります。そこで事故発生を防止するという方法については、いろいろの方法があると思いますが、その根本においてはやはり責任を明確にしてその責任を負わせる。すなわち行政上の責任あるいは刑事上の責任、民事上の賠償責任というものを明確にして、その責任をどこまでもとらしていくということによって、従業者のいわゆる綱紀を粛正して、そうして事故を防止することが必要である、こういうふうに考えておるのでありまして、本日は紫雲丸と第三宇高丸の衝突事件における民事上の慰謝料の支払いなり、あるいはその他の損害賠償請求に対する事項を中心として、当局にお尋ねいたしたいと思うのであります。そこでこれに関連いたしますので、第一に刑事局長にお尋ねをいたしますが、この紫雲丸の衝突事件については、刑事上の責任者を被疑者として捜査を遂行しておられるわけでありますが、現在の段階において、その捜査はどの程度まで進んでいっておるか。その責任がすでに明確になっておるかどうか、これをまず第一にお伺いいたしたいのであります。
  41. 井本台吉

    井本政府委員 お答えいたします。紫雲丸の沈没事件に関しましては、五月十三日の第三宇高丸の船長三宅実、同船の首席航海士松崎敏、紫雲丸の二等航海士立岩正義、この三人を逮捕いたしまして、引き続き五月十五日から勾留を続けて現在なお取調べ中でございます。電報では大体調べも終結に近づいたので、近く現地から高松高等検察庁の検事長と主任の検察官が東京に上京いたしまして、事件の報告かたがた御指揮を受けるという通知が参っておりますので、ある程度結論が出ると考える次第でございます。
  42. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 この事件の刑事責任を明確にするということは、きわめて重要なことであることは申すまでもございません。そこで検事総長はこの事件の捜査に当って指揮をしておられるのであるかどうか、その点を第一にお伺いいたします。  次に私ども新聞記事等を見まして非常に遺憾に思い、痛恨の情さえわくわけでございますが、紫雲丸の乗組員のうち船員、職員ですが、六十名のうち五十八名が生存しておられる。これは生存されたということについてはまことに喜ばしいことであります。すなわち船長と運転士でありましたか航海士というのですか、この二名の方が死亡されましたのは非常に気の毒にたえませんが、あと五十八名は生存しておられる。ところがその紫雲丸には修学旅行中の小学校その他の学童が乗船しておりまして、それがために小学校の教師が自分の身を犠牲にして児童を救おうとして、確か数名の方がついにこの学童を助けようとして死亡されるに至ったという気の毒な結果がある。これを見ますときに、私は五十八名の生存された船員の方に対して一体刑事責任を明らかにするために捜査をしておられるのかどうか、この点をぜひともはっきりさせなければならぬという気持がわいて参るわけでございます。汽車にいたしましても、またああいう連絡船等にいたしましても、乗客といたしましては、いわゆるその職務に従事しておられるすなわち職員の方々の誠実な職務の遂行によって、事故は起らないであろうという信頼の上に立っていますし、また不幸にして事故が起ったというような場合においては、それは最善を尽して自分たちの生命身体は保護されるであろうという信頼の上に立っているわけであります。また法律の制度全体から見ましても、やはりそういう考えで私はできていると思うのであります。すなわち船員法の百二十八条の規定によりますと、まさに事故発生のときにおける船員の対処すべきことを義務づけておるのであります。すなわち船舶が事故のために危急の場合においては人命救助を船員の人たちはしなければならない。もしそれをしない場合においては刑罰をもってこれを処置するとまで規定をいたしておるのであります。またこの船舶から、船長の許可を得ないで離船することも許さない、こういうことも規定しておる、もっとものことだと思うのです。乗客を顧みないで、ただ自分生命の安全をはかるということは、遭難いたしまして事故を起した船舶においては許せないというのが、法律規定だと思うのでありますが、検察当局においては、この五十八名の生存しておられるところの船員の方々が、一体船長の許可を得て離船したものであるかどうかという点、あるいはまた人命の救助に対して最善の努力をされたものであるかどうかという点、もしそれが法律に違反しておるとすれば、これはその責任を明確にしなければならぬと思いますが、その点について捜査がされておるのであるかどうか、また捜査されようとしておるのであるか、あるいはこれを不問に付し去ろうとするのであるか、その点を一つお伺いいたします。
  43. 井本台吉

    井本政府委員 最初の、佐藤検事総長がこの紫雲丸沈没事件につきまして捜査の指揮をしたかどうかというお尋ねにまずお答え申し上げます。この事故が起きますと、非常にこの事件が重大であるという点にかんがみまして、最高検察庁におきましては刑事部の佐藤欽一検事を五月十二日に現地に立たせまして、佐藤欽一検事を通じまして検事総長はこの事件の指揮をとっております。  それから第二点の、紫雲丸の生命の助かった五十八名の船員が、船員法違反をやっておるかどうかという点について捜査をしたか、その結論はどうかというお尋ねでございますが、その点につきまして現在われわれのところにはいまだ報告が何も参っておりません。しかしながらもしこの船員法所定の犯罪がありますれば、当然それも捜査の対象になるわけでありまして、現地の検察庁におきましてはその点についても十分検討を加えたであろうということを申し添えます。
  44. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 私ども新聞の記事なりあるいは船員法の規定を見ますと、一応犯罪の嫌疑がある、こういうふうに見られるのでありますが、刑事局長はすなおに考えて、そういうふうにごらんになるかどうか、そしてまたこれは指揮権発動をされるというところまでは参りませんでしょうが、将来こういう問題は明確にしておかなければならないと思いますから、それらの点について十分なる措置をとられることを私は要望するものであります。  次に今度は国鉄関係の方にお尋ねをいたしたいと思います。本日国鉄総裁の出席を求めましたところが、御病気とかで出席がございません。副総裁が国会においでになるということを聞いておりましたが、それも何か会議中とかでおいでにならない。私は国鉄関係の事故発生に伴う損害賠償という問題は、これは冒頭にも申し上げましたように、きわめて重要な問題だと思うのです。その意味におきまして本日総裁、副総裁の御意見を伺えないことを私ははなはだ遺憾に思うものであります。従いまして、この方々に対する質問については、あるいは必要に応じて後日明らかにしなければならないと思いますが、本日営業局長等がおいでになっておりますから、まず営業局長にお尋ねをいたします。国鉄では、交通事故の発生、あるいは洞爺丸事件、紫雲丸事件というような事故の発生いたしましたときに、被害者から、あるいはその他の慰謝料の請求なりあるいは損害賠償の請求者から請求を待って、その問題を解決されようというのが原則であるか、あるいはまた国鉄当局から進んで慰謝料の支払い、損害を賠償するということをなさる積極的能動的な態度をおとりになるのを原則としていらっしゃるのであるか、そこのところをまずお尋ねいたしたいと思うのであります。
  45. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 事故におきまして死傷の方が生じたような場合におきましては、とりあえずお見舞いとか香典を差し上げるのでございまして、さらに賠償とかいうような問題になりますと、その事故の責任の所在ということが問題になるのでございます。従いましてその責任が国鉄にあるということになりますれば、すぐこちらからその賠償の手続を進めてお支払いすることになります。なおこのたびの紫雲丸の事件につきましては、私どもは刑事上の問題、その他あるいは海難審判の方の調査を進めておりますが、それとは別個に私どもといたしましては、これはいずれにいたしましても国鉄側に責任があるという考えでございますので、目下その賠償等の手続、調査等を進めているような次第であります。
  46. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 紫雲丸と第三宇高丸との衝突事件については、これは民事的な関係において国鉄に責任がある。すなわち故意はないでしょうから過失があるんだということをお認めになって、そういう態度でこの問題を解決する、そういう御意思でございますか。それはただいまそういうふうに伺ったわけであります。すなわち海難審判所でいかなる結論が出ようとも、目下検察当局において捜査中の事件がかりにどのような結果になろうとも、民事責任のあることを認めて、そうしてこの問題を解決する、こういう御意見であるか、そこを明確にしていただきたい。
  47. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 ただいまお話しの通りでございます。民事上の責任ありと考えて、その方針で今手続をしております。
  48. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 これは私どもいろいろ調査研究してみまして、こういう事件の慰謝料の支払い、あるいは損害賠償をなさるということは、なかなか容易でないことを実はお察しするのです。そこでやはり法律上筋の通った明確な処置をとられなければならない。ところが法律的に考えてみると、いろいろ複雑な問題が起ってくるのであります。そこで紫雲丸事件については、国鉄当局においてはすでにその責任のあることを認めて、将来海難審判所の結果とか、あるいは裁判の結果等にとらわれることなく、民事責任を負う、これを果そう、こういうお考えであるわけです。それで先ほどお尋ねいたしましてお答えがなかったのですが、一体いわゆる権利者の方から請求があって、そうしてそれに対して支払いをするという、いわば受動的の態度であるか、むしろこちらから積極的に働きかけて解決をつけようという態度であるか、それをまずここでお伺いいたしたい。
  49. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 本件は、先ほど国鉄の営業局長からお話がございましたように、国鉄は民事上の責任をとらなければならない、またとるべきものだ、こういうことで進んでおります。そしてかかるような場合におきましては、被害者の御遺族の方から請求を待たないで、積極的にお払いする、こういう考えで今戸籍謄本、それから収入ある方につきましては、その御収入をいかほどおとりになっておるか、こういう点を調査しております。
  50. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 そこで、積極的にこちらから一つ解決しようということになりますと、その事故の発生によって、いわゆる慰謝料なり損害賠償の請求をなし得る権利者が、非常に多数ある場合があると思うのです。そういうことについて一々調査をされなければならぬと思うのですが、権利者というのは大体どういう権利者があるというふうにお考えになって調査をしておられるか。いま一つは、その損害賠償等の額は、一体どういう基本方針に従って決定をすべきであるという御意見であるか、そこを……。
  51. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 第一点に、権利者の範囲をいかようにきめるかというお尋ねがございましたが、これは相当むずかしいのでございますけれども、私ども法律上の支払いをする。従いまして、権利者の範囲も法律上、言いかえますれば、本件の国鉄が加えました損害は、民法上の損害で、民法七百九条、七面十一条の請求権をだれか行使するか、こういうことで、七百十一条の方は民法上はっきりしておるが、七百九条の方の権利者は、いわゆる遺産相続になりますので、民法の遺産相続の請求権のある方を戸籍上によって確定をすべく、今戸籍謄本を集めております。  それから第二段に、額はどういうのか。これは先ほど申し上げましたように、現在収入ある方につきましては、その収入を基礎として損害賠償なり慰謝料等を考えなければなりませんが、その収入も調査がまだまとまっておりませんので、いかほどの額になるかということを、ここで申し上げられないことをはなはだ申しわけないと思っております。ただ漫然日を延ばしておるのではなくして、運輸委員会等におきましても、大臣は少くとも一ヵ月以内に支払いが開始できるように努力する、こういう基本のことを御説明申し上げ、われわれもその趣旨に従いまして、何とか一ヵ月以内に調査を完了して、そうして額を計算いたしまして御遺族の方々に御交渉したい、こういう考えを持っております。
  52. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 請求権者といいますか、賠償を受ける権利者というのは、今の御説明では、まず本人という場合、これは死亡の場合もあります。傷害の場合もあります。それから死亡も傷害もしないけれども、何しろ海の中にはうり出されて救われるまでの間の、精神的な慰謝ということもあるでしょうから、その点について非常な複雑な問題があるわけです。そしてその間に、権利者ということを法律の上から引き出して参りますと、本人なり、それから先ほどおっしゃったように、被害者の死亡の場合には、父母なりあるいは配偶者なり子なりというものがあり、傷害それから傷害によらざるものということになると、これは本人ということになるのでしょうが、その死亡の場合においては、扶養の権利者といいますか、それが相当あるわけです。こういう者については、一体お考えになって調査していらっしゃるのでありますか、そこを……。
  53. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 扶養の権利者と申すのは、普通の場合におきましては、七百九条の権利者であるか、あるいは七百十一条の権利者と合致いたすのが原則でございます。ただ例外として、事実上の婚姻をなさったけれども、まだ正式に法律上の婚姻をなさっていないという方がかりにあったといたしますれば、私どもの方の調べでは、なかなかその調べが困難でございますけれども市町村、御近所等から、奥さんがおられるかどうか、奥さんは戸籍上の婚姻をされているかどうか、こういう点も 今調査しておりますけれども、具体的にまだ私どもの手元に上ってこないので、そういう方々があるかどうかという点については、お答えいたしかねます。
  54. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 この扶養を受ける権利を有する者というのは、今おっしゃったように範囲の狭いものでないというふうに私には思えるのです。それは七百十一条の場合でありますと、「被害者ノ父母、配偶者及ヒ子ニ対シテハ」こういうことになっておりまして……。
  55. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 それは精神上の慰謝料であります。その父母なり、配偶者、子供が、七百九条の権利者とほぼ合うのではなかろうか、大体原則としては一致している、こういう御説明を申し上げたのであります。
  56. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 一致しない場合が相当あると思うのです。さらに続けてお尋ねいたしますが、八百七十七条の扶養の権利者の場合でありましたら、直系血族全部でしょう。それに兄弟姉妹、こういう者もやはり権利者である。そのほかにも、民法の規定によれば扶養権利者というものがある。そういうことになると、七百九条によって相続をする人と、それから七百十一条によって精神的な慰謝料を請求し得る人よりは、扶養権利者というものは非常に範囲が広くなると思う。こういうことも十分調査して、そしてそれを処置しなければ、賠償責任を果したということにはならないと思う。これはしかし非常に複雑なことですから、よほど事務を促進されて調査をなさらぬと解決がつかないのじゃないかと思うから、そこをお伺いするわけです。あるいはそんなものはほうっておくのだ、ただ一応自分たちの方でこれはと思うものだけ解決つけておけばそれでいいのだというお考えであるかどうか、そこなんです。
  57. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 今お尋ねがございました、私どもの申しわけない事故によりまして現実に損害をこうむった人たちの場合において、民法上扶養の権利を持っておるという方に対して損害賠償をなすべきものかどうか、これは相当疑問であると思いますけれども、私どもの考えといたしましては、その方々が現実に扶養を受けておるということになりますれば、民法七百九条の、扶養権を私どもは侵害した、こういうことに相なりますが、そうでない場合におきまして、民法上扶養権利があるという方であって、しかも現実に扶養を受けてないという方に対しては、私どもの考えとしましては、損害賠償をお支払いする対象外の方だ、かように考えております。
  58. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 今の鵜沢さんの答弁に関連して民事局長にお尋ねいたしますが、七百九条によって損害賠償をなし得るのは、それを相続して請求をする人、これに支払いをする、それから七百十一条の被害者の父母、配偶者、子に対しても、これも支払いをする、ところが民法八百七十七条から八百八十一条の間に規定されておる扶養請求権者と申しますか、この人たちについては、現実に扶養しておる場合には支払いをすべきであるが、現実に扶養をしていないけれども、明日からでも扶養しなければならないというような立場にあるものに対しては、これは支払いをしないでいいんだという解釈でこの問題を解決しようとしておられるが、こういうことは、法律の立場から見ると私どもは承服できないのですが、局長はどういうふうにお考えになりますか、御説明願いたい。
  59. 村上朝一

    ○村上(朝)政府委員 民法の規定によります扶養権者は、多くの場合多数あるわけであります。扶養義務者の方も多数あるというのが通例でありますが、その中のだれが扶養義務を現実にまず履行するかということは、八百七十八条によりましてまず扶養義務者の間で協議をしてきめる。協議がまとまらないときは、扶養義務者の資力その他をしんしゃくいたしまして、家庭裁判所がきめるわけであります。この協議なり家庭裁判所の審判によりまして扶養をなす者の順序がきまった場合に、たとえば親を扶養する者として、第一順位に長男が扶養義務者であるということがきまりました場合には、長男のみが扶養の任に当るわけでありまして、他の扶養義務者の扶養義務は現実的なものとなってこないわけであります。ただいま鵜沢法規課長の言われました、現実の扶養義務と言われたのも、その趣旨だろうと思うのであります。扶養を受ける権利を害せられたことによる損害賠償の請求をとれるかどうかという問題につきまして、ただいまの例で申しますと、長男が事故によって死亡した、しかし次男が資力があって、長男にかかっていかなくても、次男に扶養してもらえるという場合に、扶養を受けることは可能なのだから、損害賠償の請求権は発生しないという見解もあるのであります。一方、その場合にも損害賠償の請求権があるのであって、長男の死亡によって扶養を受ける権利を害せられたことを原因として損害の賠償を受け、それで足りないときは第二順位の扶養義務者に扶養してもらえるという両方あるわけであります。私どもは、第二順位の扶養義務者が扶養の資力があるかいなかを問わず、第一順位の扶養義務者とされた人が死亡した場合、従来扶養されておった被扶養者は、扶養を受ける権利の侵害による損害として賠償の請求をできるものと考えております。
  60. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 そうしますと、この問題は訴訟でも起して確定しなければならぬ問題だというふうに私どもは了解します。ところで国鉄当局にお尋ねするのですが、行方不明のものがありますが、行方不明のものに対してはどういう処置をおとりになりますか。
  61. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 行方不明は学童が一人、先生が一人、合計二名で、何とも申しわけないと思っております。この人たちに対しましては、私どもの方はもうおなくなりになったことは間違いないと思っておりますから、一般の死体がお上りになった方と同一の取扱いをしたいと思います。ただ遺族の方々の方で、そういう場合に死亡の手続をどうするのか、言いかえますれば戸籍の手続をどうするのだ、こういうようなお尋ねもございましたので、そういう方々に対しては戸籍法八十九条によりまして認定死亡の手続がありまして、この書類はこういうふうに書くのだということを一応御参考までに申し上げておるわけであります。私どもは戸籍抹消の有無にかかわらず、一般の死体の上った方と同一に取り扱いたい、かように考えております。
  62. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 今度は賠償の額の決定の方針の問題ですが、先ほどのお話では当時の収入なり、そういうものを調査してというお話でしたが、紫雲丸では学童なんか非常に数が多いようですが、学童等に対する賠償に関しては一体どういう基準でなさろうとするのですか。収入のある人についてはホフマン式の計算方法等で解決がつくと思うのですが、そうでない無職の人、また将来就職するであろうことは、常識上当然予見されている学童等についてはどういう態度をおとりになっておりますか。
  63. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 お尋ねございました御収入のない方がなくなりました場合にいかように賠償を支払うか、この方式ないろいろ方法がございまして、私ども裁判所で出ます判例なり判決例を絶えず勉強しております。それで、やり方といたしましては、七百九条の損害賠償を全然ゼロにいたしまして、おなくなりになった御遺族の精神上の苦痛を、一般の御収入のある方よりか相当よけい見てやる方法がございます。それから今先生が申されました、中学生でしたら、その中学生が卒業したならばどのくらいの賃金がもらえるだろう、こういう二年なり三年後の御卒業のときの収入を基礎としてホフマン式で計算する方法、それから最近の裁判所の判例を見ますと、毎月勤労統計の全国の勤労者の平均賃金を基礎といたしまして、その平均的の年齢が二十五歳になっておりますそれと、公務員の給与とを平均いたしまして、おなくなりになった方が二十五歳になったならば、全国平均の賃金と公務員の給与とを平均したものがもらえるだろう、これを仮定の収入としてやっている例もあります。私どもはそういう三つも四つものいろいろの例を参酌いたしまして、御遺族にできるだけいい方法をとってやりたい、かように考えております。
  64. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 この被害者側の方、すなわち請求権者の中にはいろいろな考えがおありになると思うのであります。すなわち国鉄の示されたその額に対して、それで満足される人もあり、それからそれでは承知しない、訴訟によってでも請求しよう、こういったような人もあるかもしれないと思うのですが、そういうことになると、結果が非常に不均衡なことになるわけですが、それらについてはどのようなお考えをお持ちなのですか。
  65. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 今回の紫雲丸についてはこれからの問題でございまして、過去私どもが取り扱いました桜木町事件、それから嬉野線、日暮里の事件、こういうものにつきまして一番早く私ども提案いたしました額で御納得を願いました方に対しましては、もしもあとで私ども交渉してこの人の額が上りました場合については、その上った額を按分して、決して最初に御納得願ったからといって私の方は不利益な取扱いはいたしません。こういう方法をやっております。それで桜木町、日暮里、嬉野線の自動車事故、その他私どもの全責の事故におきましては、はなはだ何でございますけれども、いまだかつて訴訟に上ったことはないのでございます。国鉄で訴訟に上りますのは、国鉄の責めに帰すべき事由とそれから被害者の方にも幾らか責任があるのではなかろうかという、一番いい例は踏み切り事故でありますが、これは割合に訴訟になっております。そうでない国鉄の全責で民事上全部お払いしなければならない、責任を全部かぶる事件につきましていまだ訴訟になった例がございませんので、ちょっと今回の事件で、訴訟になった場合としからざる場合との権衡をどうするか、こういう問題につきましてまだ考えておらないのですけれども、おっしゃったような不公平な結果が起れば考え直さなければならない、かように考えております。
  66. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 見舞金とかいう名義でさっそく出すとおっしゃった。また事実お出しになっておるようですが、これは洞爺丸事件その他、他の事故にもよくあることで私どもはその処置はまことにけっこうだと思うのでありますが、国鉄当局では、見舞金というのは、法律上の性質とでもいいますか、それについてはどういう御見解でいらっしゃるのですか。
  67. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 私の方でお見舞金なり花輪料、香料、香典というものは、これは法律上の性格で申しますれば単純贈与であります。あの洞爺丸の閣議決定で十八歳をこえる者五十万円、十八歳以下の者三十万円、六歳以下の者については国鉄でしかるべく勘案しろというこの五十、三十の額は、これは単純贈与ではございません。これははっきり閣議の了解事項に書いてありますように、将来洞爺丸等の事故が国鉄の有責になった場合については、この額はそのとき国鉄が支払うべき損害賠償の一部または全部になる、こういう閣議決定でございまして、私どもの方で、駐留軍人を抜かしましてほとんどの方にお払いを完了しておりますけれども、その方々にはそういう御趣旨の領収書と申しますか、それをいただいております。ですから洞爺丸の場合は別でございますけれども、そうじゃなくて、今回五万円の総裁の香典、地方局長から出しました一万円の香典、それから留守宅へのお見舞金、あるいは生存者に対するとりあえずのお見舞金、負傷者に対するとりあえずのお見舞金、こういうものは単純贈与でございます。
  68. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 先ほどちょっと申し上げましたが、この事故で死亡したれ、あるいはただ傷害にとどまった、あるいはまた傷害も受けなかった、精神上の苦痛があっただけだ、こういうふうにいろいろ段階があるわけですが、それを段階的に現に調査をなさって、そうしてその賠償、慰謝の方法を講じよう、そういうような対策をやっていらっしゃるのですか、どうですか。
  69. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 お尋ねございましたような方針で今調査しております。
  70. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 国鉄ではこの業務を監督する——民法でいいますと、第七百十五条の第二項ですが、使用者にかわって事業を監督する者もまた賠償の責任がある、こういうことになっておりますが、国鉄の総裁であるとか、あるいはまた局長であるとか、そういったような、法人たる日本国有鉄道にかわって全業務の執行について監督をする人たちの賠償に関する責任が一体あるかないか。これは将来国鉄が賠償したような場合にはいろいろ問題が起ると思うのですが、そういうことについて御調査になっておるのかどうか。
  71. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 七百十五条二項の場合の責任は、七百十五条一項におきまして使用者である国有鉄道——本件につきまして申し上げれば船長を雇っておる国有鉄道がもしも払わないような場合には、第二項においてそういう人たちが払わなければならない損害賠償でございますから、不法行為をした本人なり、あるいはそれを使っておる国有鉄道、あるいは船長を監督しておるような人たちは、いずれも払うべき義務がありますけれども、そのうちだれでもが一人払いますれば、そこで損害賠償請求権が消滅する、こういう考え方でございまして、国有鉄道といたしましては、国有鉄道が使用者の責任を感じましてお払いいたす方針でおります。またしなければならない、かように考えておりますので、七百十五条の二項の適用はないと考えております。
  72. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 それは現実には、損害を賠償されれば請求権は消滅するでしょうが、三項の求償権なんという規定があるでしょう。そういうことについて、事業の監督者というものはもう国鉄が払うのだからあとは知らぬ顔というところに、部内の綱紀の問題に関連していろいろ考えなければなら問題があると思うのです。すなわち監督者というのは、どうも民事上の責任も、あるいは刑事上の責任も、あるいは行政上の責任も何だかぼやっとして明確にならないで済んでしまうというようなことが、私はよくないと思うのですが、今お話のように、国鉄はほっておけばいいというお考えなんですか。
  73. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 ほっておけばいいという御趣旨がちょっとわからぬのですけれども、私どもの方では、本件の事故に対しまして海難審判所あるいは刑事事件等を勘案いたしますと同時に、これと並行して国有鉄道部内に査問委員会を設けまして、どういう原因で起ったのか、それに対して監督者は平素どういう監督をしておるか、こういう点を調べまして、もし監督責任に欠くるところがありますれば、国有鉄道法上の監督者としての責任はとらす考えでおります。
  74. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 これは民事局長にお尋ねするのですが、今の七百十五条の第三項に関連があると思うのですが、使用者にかわって事業を監督する者は、使用者が払えばそれでいいのだからもう問題にする必要はないのだ、しかし求償権の行使を妨げないというのだから、責任があるかないかくらいのところは、やはり今の場合でありましたら、国鉄当局ははっきりしておかなければならぬと思うがどうですか。
  75. 村上朝一

    ○村上(朝)政府委員 七百十五条の三項の求償権は使用者が払った場合に行為者、本件の場合について申しますと船長に過失があったとしますと、船長に対する求償権、それから使用者にかわって監督する者が払った場合における監督者と不法行為者すなわち船長との間の求償関係であります。総裁なり副総裁が国鉄の業務を執行するに当りましては、もとより民法的な立場から見ましても、善良な管理者の注意義務をもって業務を執行しなければならぬわけであります。この注意義務を怠ったということになりますと、国鉄の理事者としては、国鉄に対して損害賠償の責任が別途にあるわけであります。
  76. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 時間がありませんからこの問題はこの程度にしておきまして、洞爺丸事件の結末、あれの損害賠償に関する結末というのは、どういうふうになっておるのか伺いたい。
  77. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 あれは昨年の九月二十六日に起りました事件で、当時政府におきまして、あの責任の明確になるのは相当の日子がかかる、それではおなくなりになった御遺族に申しわけない、こういうことで、先ほど申し上げました閣議了解もございまして、それで私どもはその線に従いまして、各御遺族に対して、海難審判の結果をまたないとあの事故が不可抗力であるか国有鉄道の責めに帰すべき事由によって生じたものかわからない、従いましてとりあえずはこういう金額でごかんべん願いたい、将来国有鉄道の責めに帰すべき事由によって生じたということが明確になりますれば、そのときにあらためて損害賠償をお払いいたします。こういうことになっておりまして、海難審判はまだ一審函館が係属中でございまして、この見通しが明確にいつごろきまるか、こういう点は私海難審判の方の専門でないので、いつごろだということは、明確にお答えができないのであります。
  78. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 海難審判の結果によって国鉄に責任があるということが明らかになればその際に賠償について具体的に考える、もし責任が明らかにならなければ、そうすると、今のままでほっておかれる、そういう御趣旨であるかどうかということ、それから刑事局長に対しては、洞爺丸事件は犯罪の嫌疑をもって捜査されていたと思うのですが、その結果はどうなっておるか、これをお尋ねいたします。
  79. 鵜沢勝義

    ○鵜沢説明員 洞爺丸事件が海難審判の結果国有鉄道の責めに帰すべき事由でないということが判明いたしますれば、五十万円以下のお見舞金を持っていくときに、はっきりそれで打ち切りだということは御了承願って、その趣旨の請書みたいなものをいただいておりますので、私どもはそういう考えでおります。
  80. 井本台吉

    井本政府委員 洞爺丸事件の取調べの状況でございますが、関係人の供述等は全部終了いたしましたので、現在の状況では船体の浮揚を待ちまして船体の検査をするということが残っておりますが、それと海難審判の結果を参考にいたしまして結論を出すという段階でありまして、なお捜査継続中ということでございます。
  81. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 今度は国鉄事故一般のことについてでありますが、先ほどもお話がありましたように、訴訟はあまり係属していないとおっしゃるのですが、それについて今調査しておられれば、すぐ、もし資料が手元になければ後日でもいいのですが、国鉄の事故に関連して損害賠償の請求をめぐっての係争事件というものが、一体今どのくらいあるのか、捜査事件がどの程度であるか。そしてその時期等、相当長いものがありますが、時期等についての資料を提出していただきたいと思います。委員長からも要求していただきたいと考えます。と申しますのは、国鉄の事故事件について捜査等になるまでは、被害者は実に気の毒な事情があるのです。と申しますのは、これは国鉄の損害賠償に関する根本的な態度に関連して、制度上も研究してみる必要があると私思うのですが、賠償に関係する職務をなさる方から受ける印象は、何か非常に責任をのがれようとするために一生懸命のように見受けるのです。と申しますのは、死んだ人は死人に口なし、取調べを受けるのはその事故を起したいわば加害者側の人の供述だけにより、しかもその人は専門家であるというようなことから、どうも被害者の方が割が悪い場合が非常に多いと思うのです。私は最近の交通事故の発生について、その被害を受けた人たちの気の毒な実情を見まして、特に学説等でも、もう高速度交通機関については無過失損害賠償をやるべきだ、こういうふうなことが強調されておる今日ですから、まあ被害防止のために責任を明らかにしなければならないという建前から、国鉄のごとき国の息のかかった事業は、やはり損害賠償等についても他の事業家の模範になるようなものでなけらねばならないと思うのです。そういたしませんと被害者は、そういう事故それ自体が悲劇ですけれども、さらにそれに関連していろいろの悲劇が生まれてくる。そして相手が国あるいは国の関係した事業ということになりますと、国に対する国民の観念というものが非常に傷つけられていくということを憂慮いたしておるわけであります。こういう問題の解決のために私はひとり国鉄の方々だけでなく、何かそこに公平な機関、中立的な機関によって——結局それは和解で解決をするための機関でありますけれども、公正なる標準をそこに出すところの委員会というようなものを設ける必要があるのじゃないか、そういうふうに考えておるわけでありますが、これについて営業局長の所見を承わっておきます。
  82. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 まことにこういう事故によっておなくなりになった方、その他の犠牲を受けられた方、御遺族の立場に立ってみますれば、直接の被害でなくて、将来にわたっても生活の設計なりその他がすっかりかわるというようなことになりまして、まことにお気の毒で、こういう方に対する賠償を一体どうするかということは、お話のように非常に大切な問題だと思います。何としましても、なくなった命は帰らないわけでございますから、これを何かの方法によって補わなければならないということになるわけでございます。しかも国あるいは国に準ずるところでやりました場合には、その方々に対してできるだけのことをしなければならぬということは当然でございます。ただいまのお話のような無過失賠償というような問題もございまするし、あるいは額等につきましても、国などでそれをきめてやることも一つの方法かと思います。ただいまのところわれわれとしましてはそういうようなことになっておりますが、洞爺丸のときには特別に閣議でああいう措置を講じられたのでございますが、一般の場合におきましてのそういった建前というものもできておりませんので、われわれとしましては従来の例その他を勘案し、また今回の特殊な事情等も勘案いたしましてできるだけのことをするということでいきたいというふうに考えております。  将来の問題としましては、お話のようないろいろな点について、今後もこういった不測の事故が起ることも考えられますので、同様なことを国としてもまた国鉄のような公益機関としても考えなければならないというふうに考えております。
  83. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 先ほど資料を要求いたしましたが、その中にいま一つこういうことを加えていただきたいのです。検察当局で捜査をして、すなわち鉄道職員に過失があるとして起訴をしている。ところがその損害の賠償を求めると、それについても責任がないといって争っておられるような事件があると聞いておりますが、そういう事件も一つ調査をやって御報告願いたいと思うのであります。そこで私はすべて国鉄関係の事故発生による損害の賠償については、迅速に適正にこの問題を解決されるように当局に要望いたしまして、質問を終ります。
  84. 世耕弘一

    ○世耕委員長 高橋委員から今当局に要求いたしました資料は、なるべくすみやかに当委員会へ御提出していただくよう重ねて要望いたします。  本日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後一時二十四分散会