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井本政府委員 水口賢明氏に関する
選挙権存在の通知は、これは全般的に申し上げまして私
どもの手落ちでまことに申しわけないということをまずおわび申し上げておきます。
かようなことになりました経過を申し上げますと、実は本年の四月二十二日に水戸の
地方検察庁の首席検事から、どうも水口氏の
選挙権の問題について、立候補しておられるが、あれは
選挙権がないのに立候補しておられるのではないだろうかという疑問の点があるということの照会がありまして、それから私
どもの方で直ちに高検の池田検事を土浦支部に派遣いたしますと同時に、この記録の
調査をしたわけでございます。ところが私
どもの方から潮来町の役場に対する既決犯罪通知の際に、これが
選挙権ありという
趣旨の通知が出ておるのでありまして、記録上はさような通知をすべきものでないにかかわらずかような通知が出ておるということを、二十三日になってようやく発見いたしまして、役場その他に
連絡したということになるのでございます。
そこでこの刑事犯罪通知がどのようにしてなされているかという点を御
説明申し上げませんと、御納得がいかないと思いますので、簡単に申し上げますが、水口氏の方から
自分に
選挙権があるのかないのかという
趣旨のお問い合せがあって、東京高等検察庁で水口氏に
選挙権がありというようなことを
調査してお答え申し上げたのではありませんので、実は明治十四年、非常に古い通牒でございますけれ
ども、司法卿の達しというものがありまして、検察庁から
本人の本籍地の
市町村役場に既決犯罪通知というのを従来行なっております。この通知をいたしますのは、
選挙法令に関しましては、結局
選挙権の資格の
調査の際に、さような
選挙法で処分を受けたかどうかということの通知をいたしますと非常に簡明でございますので、かようなことが
一つの
目的となって通知が出ておるのでございます。元来
選挙権の資格の有無というようなことは、
選挙管理
委員会が決定すべきものでございますが、一応さような通知が出ておりますると
選挙権がありというような認定をされるのもごもっともであると考えるのでございます。この点につきましては、その後昭和十年にも一部
改正があり、さらに終戦後にも通牒等の
改正がありまして、現在でも判決が確定いたしますると、確定した
地方検察庁から、その所轄の役場の方に
選挙権の有無について通知をしておるのでございます。ところが水口氏の件につきましては、非常にふなれな雇がおりまして、
公職選挙法の二百五十二条の
趣旨を誤解いたしまして、
選挙権がないという通知をすべきにかかわらず
選挙権があるような
趣旨の通知をいたしてそのままになっておりましたために、さような間違いが出たわけでございます。この
関係を扱いました者は浅井馨という雇でありまして、もう数年前に東京高等検察庁をやめておるのでありますが、特にこの件に関しまして何か特殊の
関係があってさような間違った通知をしたのではないかということで、われわれといたしましても厳重に取調べをいたしたのでありますが、
本人が退職直前の多忙の際に法規を誤解して、過失によってさような通知をしたというような事情が判明したのでございます。いずれにいたしましても、かような間違った通知をいたしまして、
選挙権のない方に
選挙権があるというような誤解を起させて、
選挙運動をさせて
相当の票数も上げたというような結果になりましたことにつきましては、私
どもといたしましても何とも申しわけないわけでありまして、その後かような間違いの通知が出ないように厳重に
警告いたしますとともに、各検察庁におきましてもいま一度さような間違いがあるかないか、全般的に
調査させておりますような次第であります。