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1955-05-27 第22回国会 衆議院 補助金等の整理等に関する特別委員会農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十七日(金曜日)     午後一時五十二分開議  出席委員  補助金等整理等に関する特別委員会    委員長 伊東 岩男君    理事 床次 徳二君 理事 坊  秀男君    理事 吉田 重延君 理事 滝井 義高君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       纐纈 彌三君    椎名  隆君       久野 忠治君    中馬 辰猪君       八田 貞義君    井手 以誠君       加賀田 進君    三鍋 義三君       中井徳次郎君  農林水産委員会    理事 井出一太郎君 理事 松浦 東介君    理事 大野 市郎君 理事 鈴木 善幸君       赤澤 正道君    安藤  覺君       五十嵐吉藏君    伊東 岩男君       石坂  繁君    大森 玉木君       楠美 省吾君    小枝 一雄君       笹山茂太郎君    原  捨思君       本名  武君    助川 良平君       中馬 辰猪君    淡谷 悠藏君       川俣 清音君    日野 吉夫君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      村上孝太郎君         農林事務官         (畜産局長)  原田  伝君         水産庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         農林水産委員会         専門員     藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した案件  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第五〇号)     —————————————
  2. 伊東岩男

    伊東委員長 これより補助金等整理等に関する特別委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  私が、法案付託委員会委員長でありまするので、慣例によりまして本連合審査会委員長の職務を行います。  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第五〇号)を議題にいたしまして審査を進めます。     —————————————
  3. 伊東岩男

    伊東委員長 なお、農林水産委員各位に申し上げまするが、法案趣旨はお手元にお配りいたしました提案理由説明をごらん願うこととし、直ちに質疑に入ることにいたします。通告順により発言を許します。鈴木善幸君。
  4. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 まず政府水産関係の第十一条、第十三条、第十四条の三点につきましてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  第十一条、第十三条の問題は、他の条文とほとんど軌を同じゅういたしました趣旨でこのような提案がなされておると思いますので、この問題につきましてはわが党におきまして全体についての態度をきめることになっておりますし、内容もまた明確になっておりますから、これは省略をいたしまして、主として第十四条の漁船損害補償法規定の読みかえの点につきましてお尋ねをいたしたいと存じます。  この読みかえの第十四条は、去る第二十国会であったと存じますが、十九国会における衆議院及び参議院本法案に対する付帯決議趣旨を尊重いたしまして、時の自由党内閣におきまして補正予算提出の際に問題はすでに解決をいたし、それに伴ってこのような読みかえの政令が出たものと承知をいたしておるわけでございます。そこで、実際に処理されておりまする行政上の運用は、現在衆議院院議趣旨の線に沿うて実態が動いていっておるわけでございますが、政府は、この実態に即応いたしまして、この特例に関する法律案からはずされて、そうして基本法でありますところの本法の方の漁船損害補償法の第百十二条第一項の中の指定漁船という、このカッコ内を適当に訂正することによりまして、このような補助金等特例法案に載せなくとも処理ができるのではないか、こう思うわけでありますが、これを特例法に載せて参りました政府の御見解を承わりた、いと思うわけであります。
  5. 原純夫

    原政府委員 本件につきましては、昨年当初の特例法の制定のときからいろいろ御心配をわずらわしまして、その後、おっしゃいます通り補正予算の際に、たしか鈴木委員もいろいろお世話をいただいたと思いますが、完全にこの方式について関係方面の一致を見まして、それを政令規定してやっておるわけでございます。これはわれわれ全然そのまま将来もやっていくつもりでおるわけでありますので、ただいまおっしゃいましたようなやり方もあるとは思いますが、別段ああいう経緯があったから一時的にしておこうというような意味でやっておるのではなくて、この法律期限延長を先般の暫定予算の際にとりあえず二月お願いする。今度は、二月が切れますから、本年度一ぱいという気持でお願いしておりますので、中身が完全に御了解がつき、それを続けて参るということについては、いささかも異論を持っておりませんので、まあ法形式は、おっしゃるような形式もあり、こういう形式もあると思いますが、その辺は、何と申しますか、御心配なくと申すと大へん失礼な言い分になるか知りませんが、そういうすらっとした気持でおりますので、御了承いただきたいと存じます。
  6. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 御答弁の通り法形式の問題も一つございますが、これはあくまで時限法形式で出て参っておりますので、大蔵当局は、この期限が切れました際には、本法損害補償法にそのまま戻るお考えで、やはり時限法にしておいた方がいいという御趣旨から、こういう工合に御提案になったのでありますかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  7. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 昨日も、この委員会で、この補助金等臨時特例に関する性格が問題になったわけでございますが、この補助金等臨時特例に関する法律理想と申しますのは、昨年十九国会特別委員会提案理由説明でも申し述べましたように、一方には、地方財政というものが、国からのひもつきという補助金によりまして、非常にその自由を拘束されておる。地方制度調査会等の答申の趣旨もありまして、なるたけ地方自治建前から地方財政の自主的な財源を確保する、他面、現在の補助金に関しまするいろいろな資金効率につきまして、会計検査院その他いろいろ取りざたされておりますので、こうした国家財政健全化とか地方財政負担調整という面から大きな理想を掲げたわけでございますが、何せこういう大事業はいろいろ利害関係調整もありますし、補助金を切りましたあとのいろいろな過渡的な措置もございますし、そういう意味から、政府は、最初の一年のときには、臨時特例あとに必ず補助金につきましての根本的な整理考えましょう、そのときにこの補助金等時限法はそれに吸収される、こういうわけであったわけであります、ことしもいろいろ補助金整理につきましてわれわれは努力したわけでございますが、依然としてこの法律の当初に掲げました理想にはほど遠いのでございます。そういう意味から、われわれも、今後も補助金整理につきましていろいろ努力を続けて参りまして、先ほど申し上げましたような理想に近い成案がなりましたときに、この時限法をそれに吸収しまして、その際には、今申しましたように、本法を一時停止するという形、あるいは一時改正するという形ではなくて、先ほどおっしゃいましたような本法を改正するごとき本来の形で法形式を整備した参りたい、こういうふうに考えておりますので、この臨時特例法を廃しますときに現在の本法に返りますか、あるいは今申し上げました補助金制度の根本的な改正の際にできるところの法律的措置に吸収されますか、その点はそのときになってみないとわからない、こういうふうに申し上げるほかはないと思います。
  8. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 こういう臨時特例のような法律は、大体話し合いのついたものは、その有数期限が切れました際に、話し合いのついた線で本来の姿に返してはずしていく、こういう特例の形でいつまでも引っぱるということは望ましくないと考えておったのであります。ところがそれを特例の形で出して参った。私どもはやはりこれはあくまで時限で行きたいのですが、できれば本法の方がいいんだというお考えで、話し合いがついているにかかわらず、あえて臨時特例の形を引き続きとっておられるかどうか、その点だけをお尋ねしたいのであります。
  9. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 私の先ほどの御説明が少し足りなかったかと思うのでございますが、この特例法には約十七本の補助規定に対する時限的な措置規定してございます。今申し上げました十四条は、なるほどおっしゃいましたようにその実体は本法に近い形で今運営されております。われわれの考えといたしましては、この十四条のみならず、ほかの十六本の法律につきましても、いずれ最終の形というものが先ほど申し上げました補助金制度の基本的な整理段階におきましてはでき上るわけでございまして、その際には、それぞれすべてを一緒に本法自体を直すなり、あるいは本法自体に返るなり、そういうふうな整理をいたしたい、こういうふうに思っております。
  10. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 水産庁長官お尋ねしたいのでありますが、この臨時特例条文運用本法に返った場合と政府負担がどの程度違うか、またこの特例法の十四条が適用されて参るために半額補助恩典がはずれるものがどの程度あるかということをお尋ねしたいと思います。
  11. 前谷重夫

    前谷政府委員 この十四条の関係におきましては、従業員が常時三百人以上のものであって、使用船舶合計総トン数が千トン以上のものを除いておるわけでございまして、今ちょっと私も具体的な隻数、トン数については資料を手元に持っておりませんので、調べまして御報告申し上げますが、そう大きな数量にはならないのじゃないかと思います。ただ、鈴木委員も御承知のように、補償法建前から考えてみますと、これを除くということは適当な措置じゃなかろう、かように考えております。
  12. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 この第十四条の適用によって二分の一の補助恩典からはずれるものは、私の調査によりますと、三社と申しますか、これも大洋漁業であるとか日本水産でありますとかいうような大会社でございませんで、地方的な小さな会社と申しますか、その程度のものが揚繰網のようにたくさんの人を使います性質の漁業を営んでおりますために、この三百人、一千トンの除外政令に突き当るという程度でありまして、この補助金等臨時特例のこの条文も、漁船損害補償法に戻った場合でも、実態的にはあまり変らないという結論が実際問題としてはなっておる。これは、筋を通す意味合いから、私ども原次長といろいろお話合いをしてやったのでありますが、しかし、実態的には地方の小さな会社が二つか三つひっかかる程度というようなことになっておるようであります。そういう実態をつかまえられて、政府の方でも、やはり時限法にして、一定の期間が来たらばずした方がよい、こういう御趣旨で本年もまたこういう形で出してきたのじゃないか。こうも推察いたしておったのでありますが、その辺はいかがですか。
  13. 原純夫

    原政府委員 実はそこまで実情を私勉強しておりませんので、ただいま鈴木委員お話を伺って私若干意外に感ずるのであります。御承知通り、この法律で国に負担してもらうということは、保険料一般国民に払ってもらうことであるから、これはいわば相当弱い、ほうっておいてはひとり立ちできないという程度のものにとどめたいという趣旨で、おっしゃる通り傍観して——実は当時、率直に申しますれば、三百人、一千トンというのは相当大きいなというつもりで私感じておりましたが、それがそういう程度にしか適用がない。大きな日水その他が入ってこないのはどういうわけでありますか、私も漁業のその辺の事情をよく存じないのでありますが、いずれにいたしましても、そういう趣旨で区分をいたしたいという考えでありますので、しかも、先にも申しました通り、千トン、三百人というのは非常に小さ過ぎるかなあというつもりでは実はなかったのであります。そういう意味から、これは、時限法であって、一年たったら本法に戻って無差別にやろうという点は、十分研究しないとにわかには申し上げられないと考えております。
  14. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 原さんにちょっと誤解があるようでありますから、はっきりあらためて御認識を願いたいと思うのでありますが、この臨時特例がございませんでも、大洋とか、日本水産とか、ああいうものは漁船損害補償法本法の方で適用外になっておる。これは恩典に浴さないことにすでになっておるのであります。だから、おっしゃる通り、大部分の大きな会社は、本法の際にも恩典に浴さないようになっておる。そこで、この臨時特例法の十四条の規定によって除外されるのは、小さい中からさらにふるいにかけて、わずか地方的な小さい会社が四つばかりひっかかる程度規定だ、こういうことを申し上げておるのでありますから、その点を、日水大洋のような大きな会社恩典に浴していながらこれらは浴さなくなるのだ、こういう趣旨ではございませんわけですから、その点をはっきり御認識をいただいて、要するに、この十四条の規定がありましても、本法補償法とあまり実際の面ではかわりなない。地方的な小さい会社をふるいにかけた結果、すくい上げられるものはその程度のものしかひっかかってこないという実態にある。従って、そういう趣旨から、これはやはり時限法にしておいた方がいいという御趣旨提案してこられたのであるが、私の考えとしては、もうすでにこの問題は解決済みなんだから、いつまでも解決済みのものをこういう臨時特例に載せておく必要はないじゃないか、こう考えておったのを、あえて政府がこう載せてくるのを見ると、そういう実態をお調べの結果、こんな地方の小さい会社を三つぐらいはずすなら意味がないということで、こうやってこられたのではないかと推察いたしましたので、その辺の真意をお伺いしたい、こういうことなんです。
  15. 原純夫

    原政府委員 非常に御勉強になっての重要な御質問を、非常に簡単にお答えして申しわけないのでありますが、申し上げた通り、これは実は完全に一致したのだから、今回の特例法からはずして、本法を大部分永久法にするということが一つやり方だったと思います。実は、こういうふうにお願いしたのは、一年たったら本法に戻るというまでの気持があってやったのではないのであります。今伺いました点はなお実情を調べて研究はいたしてみますが、建前といたしましては、やはり、かりに適用になるものが少いからと言いましても、そこは、負担の公平、先にも申し上げましたような見地から引いた線でありますから、額が少いということで左右するということは、なお十分考えてみないといかぬのじゃないかというふうに思っております。
  16. 伊東岩男

  17. 川俣清音

    川俣委員 第一にお尋ねしなければならぬのは、なるほど自由党内閣のときに補助金整理法案が審議されたときと政治上の責任者は異なっておりますが、事務当局としましては、依然として原さんがおり、前の委員会決議などは十分了承されておるはずだと思うのです。ことに、衆参という国会構成から見ますと、衆議院は解散せられて新しい形をとっておりますが、参議院はこの前の国会で審議いたしました構成と今何も変っておりません。そこで、時限立法衆議院で二年に修正し、参議院がまたこれを一年に修正いたしましたゆえんのものは、将来こういうことを出しては好ましくないという院議が少くとも参議院においては生きていると思いますが、こういう点お認めでございますか。
  18. 原純夫

    原政府委員 私この決議の文章を持っておりませんが、昨年いろいろな経過で御論議が出た。その御論議の中には、一年限りではっきりあと本法に帰れというような御論議もあったかと思いますが、同時に、全然けしからぬものならばつぶされてしまったはずでもあるというような意味で、補助金整理財政において相当大きく取り上げなければならぬ一つの題目でありますので、とりあえず一年、あとはなお研究するというような意味も総体としてはおありになったのではなかろうかというふうにわれわれ考え、そして今回は、そのあとのような考え方から、根本的な補助金整理の体制を早く結論に持っていきたいのでありますが、まだこないというような意味で、もう一年延ばしていただきたいということをお願いし、そのうち二月分については御承認を願っているわけであります。そういうような考え方でいる次第であります。
  19. 川俣清音

    川俣委員 事務当局としては非常に怠慢だと私は思うのです。補助金整理に対する熱意がありますならば、これは一体どういうふうに整理すべきかということを十分検討されて、その法案の持つ特徴あるいはその法案の持っ重要度をあんばいしてこれを提出されるのが、補助金整理に対する本来の姿でなければならぬと思う。前国会におきまして問題になりましたのは、補助金整理するということ自体が悪いのではなくて、みそもそもそも一括してやってくることがいけないのではないかということが強い主張だったと思うのです。一体どこをどれくらい整理すべきか。整理すべきものもあろうし、ないものもあろう。それを一くるめにして二分の一以上の補助はやらないというそのやり方便宜主義ではないかということが、強く非難されたところだった。そこでこれは一年にしておいて、あらためておのおの法案を出直してくるべきであるということが、一年になった原因であると思いますが、私どもはそう理解しておる。少くとも国会できめられた意思を十分あなた方は尊重しながら、大蔵財務当局が一致してどのように整理するかということを真剣に当ってこなければならぬはずだ。その怠慢をこういう法律の最も悪い形式で出されるところについて反省なされる余地があるのではないか。その点どうですか。
  20. 原純夫

    原政府委員 補助金整理原則と申しますか、あるいは各法律についての考え方お互い関連のとれた形において総合的な視野十分勉強せいというお話は、まことにごもっともであります。われわれも毎年々々それに努力しておりますが、非常に仕事に追われておりまして、その研究が十分透徹しない。ある段階で透徹したと思って各省と御折衝いたしましても、それがいろいろな形であと戻りするというようなことになって、なかなか意にまかせぬところが多いのでありますが、その方面については、おっしゃる通り十分努力せんければならぬ。また及ばずながら努力をやっておるつもりでございます。なお、この法律を出し直す場合は、ばらした格好で各委員会にかけろという趣旨だというお話であります。私そこまではっきりと記憶いたしておらないのでございますが、考えようによっては、一括してごらんいただくということの方が、今申した総合的なお互い関連をとった視野からの御観察ができる、同時にまた、本日おやりになっておりますように、連合委員会あるいは共同で審議されるというようなことも十分できるわけでありますので、その辺はその考え方で行くことも考えていいのではないかというふうに思う次第であります。
  21. 川俣清音

    川俣委員 これはとんでもない間違いです。どの常任委員会にかけようとかけまいと問題でない。おのおのその法案の持つ特質を検討されることが必要だ、これも二分の一だからあれも二分の一というふうなやり方がいけない、こういうことなんです。あるいは三分の一であってもいいでしょう。同じ補助金の中にあっても、三分の一でいい場合もある、二分の一でなければならぬ場合もある、全額負担しなければならぬ場合もある。それを何でも二分の一以下にすればいいという便宜主義ではいけないのじゃないか。法律の持っておる特質を単なる一片の便宜主義から侵すようなことがあってはならないのじゃないかということなんです。そういう意味なんですが、そのための勉強が足りないのじゃないか。あとで具体的に申し上げますが、どうなんですか。
  22. 原純夫

    原政府委員 われわれも、おっしゃる通り、単純に補助はすべて二分の一以下でなくちゃならぬというようなことは考えておらないつもりでございます。それは個々補助についておっしゃる通り極力勉強してやっておるつもりでありまして、そういう単に補助率で二分の一をこえちゃならぬということは立てておりません。もちろんいろいろな共通の原則というものは立てますが、二分の一をこえちゃならぬという原則は持っておりません。
  23. 川俣清音

    川俣委員 それじゃ法律があるから法律を改正いたすところの法案を出されておるのですが、現に法律に基かない補助金がたくさん出ております。しかも二分の一以上出ておるのがたくさんあります。なぜこういうのに手をつけないか。法律にあるものは、あるものに従ってやらなければならない。ないものは、行政的にすでに整理できろべきものである。これをやらないでおいて立法化されたものに手をつけようというのはどういうわけか。逆じゃないですか。そっちの方は法律がないから見落しだということかもしれぬが、現にあなた方は出しておるじゃないですか。
  24. 原純夫

    原政府委員 法律のない予算補助につきましてもいろいろと整理いたしております。本年度においても相当数整理いたすことにいたしております。法律のないものの二分の一の問題につきましても、ただいま申しましたように、二分の一をこえる補助はいかぬという原則はございません。
  25. 川俣清音

    川俣委員 大体今度出されたのは二分の一に切るということが原則なんでありましょう。そうじゃないですか。
  26. 原純夫

    原政府委員 はっきり申しますれば、補助金はすべて二分の一をこえてはならぬという原則はございません。たまたまこの法律にお願いしてありますのは二分の一持つ分が多いといたしましても、それは、ただいまおっしゃいましたような意味で、個々補助について権衡をとり、具体的に負担関係考えました結果そうなりましただけでありまして、そういうふうに見えるからそういう原則があるだろうと言われますと、大へん私ども戸惑いいたすわけであります。
  27. 川俣清音

    川俣委員 原則はないにしても、実際はそうなんでしょう。じゃこれは改正してよろしいですか。修正してよろしいですか。原則がないなら修正してよろしいということである。みな画一的にやっておられますからね。それならそれで別です。  それからもう一つは、なおお尋ねしておきますが、法律に基かないで三分の二の補助をしておるのがあります。これは見落しされたのですか。それとも大蔵省にうまくごまかされたという表現を使っては悪いかもしれませんが、どうなんですか。
  28. 原純夫

    原政府委員 繰り返して申しますように、二分の一をこえる補助があってはならぬという原則はございません。もちろん、あまり高率な補助にいたしますと、検査院報告で実に部厚き批難が出ますように、かえって高率な補助が被補助者である地方公共団体等責任観念を薄からしめて、自分が金を出さないものだから非常に粗末にするというようなことになりますので、あまり高率補助はいかぬということは一般論として申せますけれども、二分の一をこえてはいかぬという固定した原則はございません。よく補助は二分の一がとまりだなというようなことを言われることがありますけれども、それは絶対不変の原則としてそうしているのではございません。この法律にありますものが二分の一以下でありましても、そうした固定した考え方で全部二分の一をこえるものを切るというようなことはいたさないつもりであります。すぐ思いつきますものでも災害補助があります。これは、事態としては非常に気の毒な事態でありますが、同時に、言っては失礼ななんでありますが、検査院報告のうちの一番批難の多い事項であります。これなども、御承知通り原則として三分の二、さらに場合によって四分の三、一〇〇%というようなものがございます。今おっしゃいますような原則があれば、これなどはまっ先に措置されなければならぬということになりますが、こういうような大きな例外あたりは別途いろいろ規制する。やはりそれは負担力関係でございますから、われわれも、あえて、そういう単純な補助について、よく言われる半分限度だというようなところで画一にやるつもりはないということは、この点はっきりおくみ取りいただけるのじゃないかと思います。
  29. 川俣清音

    川俣委員 今の答弁を聞くと、まことにもっともらしいのです。画一的じゃない、おのおの重要度に応じてきめているところを見ても画一的じゃないじゃないか。それはそうは言えますけれども、逆に、あらゆるものを検討して、どうしてむだな国費が使われないようにするかというこの原則からははずれているのじゃないですか。総体から見てどこから予算を削減してくるのか。あなたの方から言えば削減してくる、あるいは節約してくるということになるのだが、あなたの今の説明では、国費をどうして有効に使っていくかというこの原則からははずれているのじゃないですか。あなたが最も中心になっていかなければならぬこの原則をはずしてあなたは考えておられるが、私の答弁に忠実なるためには、この原則をはずしたらあなたの職務は勤まらぬでしょう。
  30. 原純夫

    原政府委員 恐縮でございますが、おっしゃる趣旨がよくわかりませんので、もう一度おっしゃっていただきたいと思います。
  31. 川俣清音

    川俣委員 私の申し上げるのは、ずいぶんむだなところがあるというか、国費の使用においてどうかと思われるところもある、こういうわけです。私らもないとは見ておりません。それからして補助金整理という問題も起ってきているわけです。そういう立場から全体を見て、この法律はここを直そうじゃないかということを具体的に検討されて出されたならば、あえてその形式は私は論じないと言うわけです。これは、一本調子で二分の一、こう画一的に持ってこられているこのやり方について非難をし抗議をしておるわけです。本来であれば、大蔵省が、全体の国の予算の面から、どこが補助は一番有効に使われていないかという検討が先に出て、それから補助整理が行われてこなければならないのじゃないか。第一、一見して二分の一以上のところはみな見てこようというやり方について、あなたの方の意見を問うている。しかも法律にないものがあるのですよ。一つ出しましょうか。この前の委員会でも私は申し上げましたけれども、食糧庁関係の検定協会に対して、国民が六分、民間が四分出しておる。これは三分の二の補助でしょう。これなどは、私らが指摘してもまだやっておる。どうなんです。こういう法律に基かないようなことをやめたらどうだという非難を受けておることすら認めておって、これが整理の方針だと言えますかというのです。
  32. 原純夫

    原政府委員 御趣旨は、この法律で見ると、何か二分の一をこえるものを切ったように見える、ところが、聞くと、その他の災害とかなんとかでいろいろ国費が実質的にむだになっているというようなことを言いながら、そっちの方はどうしてあるのだ、また、今食管の話が出ましたが、そういう問題が他にもいろいろあるのではないかというお話でございます。これはもう全然ごもっともな御質問であり御意見であり、われわれも決してこの補助金整理はお願いしておりますこの法律のワクだけの問題としては考えておりません。はるかに大きな、予算全体をカバーする問題として、おっしゃる通り考えております。率直に申しますれば、これで浮きまする金の額というものは、大きな財政のワクから言いますれば、かなり小さい。が、われわれ財政の衝に当る者として、小さくともあらゆる合理化をはかる。飜って、大きな補助のうちで特に問題があるとされる災害の補助あるいは公共事業の補助にいたしましても、いつも申し上げますように、総花的に行なっておりますために、国費つまり国民の税金が非常に効率が少く出ておるというような点は、これは、大きく申しますれば、それらを十分に規制いたしまするなら、経済的効果はおそらく何割、きざな言葉で申しますれば、五割くらいは経済的な実体的な効果がよけいになるのじゃないかというふうにすら私ども感じております。それらにつきましては、御承知通り、公共事業については二十九年度以来新規事業を組まないということにして今やっております。計画を極力経済的な速度に近づける。これは実は非常に難事なんであります。難事なんでありますが、お話し申しますと、関係の方々もみなわかっていただいて、ずっとやってきております。これらはとても一年や二年では済まない。そうしてちょっと見ると非常に憎まれっ子のようなやり方でありますが、お話しするとみなわかっていただく。そうして待っていただいて、だんだんあとで新規がとれるようになりますれば、とれた新規は早く行く、早く行けば効率も今までよりはるかによくなるというような線がすでに大きく確立されて、それが着々と進んでおります。  また、災害の補助にいたしましても、災害補助をどうしたらああいうふうな非難のないようにきちんとできるかという意味におきましては、私ども、昨年の六月でありましたか、七月でありましたか、その時分以来、関係各省から専門の方々にお集まりをいただいて、会を重ねること実に何十回という勉強をいたしております。そうして、どうしたらば水増し申請が行われないか、また金を最も有効に使い得るかということについて、運用上の問題として、また立法上の問題として、あらゆる研究をいたし、かつ行政の実際においても現に相当大幅にそうした視野を取り入れてやっております。これらは、先ほど申しましたように、負担率としては、やはり災害の際であり、地方財政多端の際であるから、あの負担率を、二分の一をこえるからということで単純に下げるということに行くのはいかがか。ただ、これに伴う諸般のそうした弊害を、行政的にあるいはまた立法的にどう排除するかというような線で、これは、正真正銘申し上げますが、非常な努力を払っているつもりであります。そういう面についてお聞きいただいたのは大へんありがたいことでありますし、私ども、そういう意味で、この法律案のワクの外に、むしろ額としては非常に大きな問題があることはおっしゃる通り考えており、これは今後ともよく御鞭撻をいただき、御指摘をいただきたいと思っておる次第であります。目下として、われわれ、できるだけと申しますか、全力を尽してやっているということを御了承いただきたいと思います。
  33. 川俣清音

    川俣委員 私が問題を指摘したのは、むしろこのワク以外のところに大きな節約の要素があるのじゃないか、それを勉強してだいぶ検討しておられると言いながら、その方にもっと力を入れなければならぬのに、一番やさしい、子供の手をねじるようなものに一生懸命力を入れられることは順序が逆じゃないか、こう指摘しておったのです。今の検定協会の問題は四億から五億になりますよ。大きいですよ。これは特別会計の中の操作とはいいながら大きい。結局、特別会計の赤字は一般会計で負担して、最後は結末を結ばなければならない。こんなものに三分の二を補助しなければならないという理由がどうしてもわからない。そういうところに、最も重要な、しかも欠くべからざる問題があるにかかわらず、金額も大したことでないものになぜつめを立てていかなければならないかということについて疑問がありましたので、御質問したのですが、続いて具体的にお尋ねいたします。  農林省関係の家畜伝染病についてでございますが、この家畜伝染病についての補助はいろいろあります。六十条だけで、家畜防疫員の旅費の金額あるいは雇い入れ獣医師の手当の二分の一、それから第五号で薬剤の購入費または製造費の二分の一というふうに、二分の一もあれば全額もあります。こういうように全額と二分の一とあるのは、本来やはり性質を異にするためにこれだけの差をつけているわけですが、これを一ぺんに同じようにするという考え方が出ておりますのはどういう理由でしょうか。法律の本来は全額国庫負担しなければならぬものと二分の一と分けておりますが、この二分の一は四分の一にして、全額は二分の一にするというお考えですか、そうでなくて、全部二分の一以下にするという考えですか。
  34. 原純夫

    原政府委員 家畜伝染病予防法に基く負担特例としてお願いしておりますのは、全部を二分の一とするのじゃございませんで、寄生虫病の発生を予防するために要するものについての負担率を二分の一にやっていただきたいということ、それも六十条の一号、六号というものだけにつきましてお願いしておるわけでありますので、全部二分の一というのではございません。
  35. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、私ちょっと研究が足りなかった点がありますが、寄生虫の部分だけですか。
  36. 原純夫

    原政府委員 その通りでございます。
  37. 川俣清音

    川俣委員 そこでちょとお尋ねいたしますが、伝貧の本体がまだ明らかになっておりませんで、一つの寄生虫のような考え方もないわけでありませんが、この点はどうなんですか、これはむしろ原さんよりも畜産局長にお聞きしたい。
  38. 原田伝

    ○原田政府委員 馬の伝染性貧血症につきましては、これがいかなる病源に基くものであるかということにつきましては、まだその病源なるものを的確に突きとめられない状態であるわけでございます。でございますが、ただいまのお話の点に関連いたしまして申し上げますと、ただいまお話のありました寄生虫という部分には馬の伝貧は入っておりません。別建てにいたしております。
  39. 川俣清音

    川俣委員 そこで、問題を区別いたしまして、おもに伝貧を検査されます場合に、一定地域をわずかな日数の間において検査してこれを廃馬といたしますが、寄生虫が出まして馬が弱っておりますと、血清もやらずに、往々にして寄生虫と伝貧とを誤診するといいますか、判別しがたくしてやる場合が非常に多い。農家の重要な資産となっておりまする馬を廃馬にし、それ身屠殺するということは、農民にとっては耐えがたいものです。これは愛馬であると同時に大きな資産なんです。これを、簡単に、旅費の節約とかそういう便宜のために、十分研究しないで、あとになって血清はよかったなんということもある。異議を立てていろいろ検査してもらうと、あれは伝貧じゃなかった、寄生虫だったというようなことがある。これは重大なことなんですよ。わずかな旅費を節約するところから、画一的にやって、農家の持っておる大きな重要な資産に対して、しかも愛馬に対して、むぞうさに殺して、あとで病気が間違っておったというようなことは、何が原因するのです。私は技能が劣等なためだとは思わない。それほど獣医が知識が足りないのではないのです。短時間の間にある地域に集めて検査をするというところから起ってくる欠陥じゃないかと思うが、局長はどうなんです。
  40. 原田伝

    ○原田政府委員 ただいまお話のございましたように、旅費の不足等のために十分なる手配ができませんので、そのために誤診という問題を起す、かようなことがありましてはまことに大へんであると考えます。この旅費の問題につきましては、寄生虫の分につきまして国の補助金が減少しますことによりまして、非常に苦しいことでございますが、この寄生虫自体の手当の問題にいたしましても、地方におきましてこの仕事の重要性を十分に最近考えてくれておりますので、そのためにいろいろ支障を生ずるようなことはないように私ども考えております。
  41. 川俣清音

    川俣委員 それは、大蔵省が畜産局長のようなことを言われるなら、私はそれで承服しますよ。しかし、一体獣医が、きょうは伝貧の検査だ、きょうは寄生虫の検査だといってわかれて行くほど旅費が豊富じゃないじゃありませんか。行ったついでに全部やっているじゃありませんか。きょうは寄生虫の出張だ、あしたは伝貧の出張だというようなことを実際やっていますか。やっていないじゃありませんか。それだけ区別してやるほど予算の余裕がなしに切り詰めておるから、すべてをその地方に行ったときに一緒にやっているじゃないですか。別々に出ていますか。現に出ていないじゃないですか。伝貧でもらったのも、寄生虫でもらったのも、最後の末端に行けば同じことです。そうすると、いよいよ縮少してくると、そういう結果が起ってくるじゃないかということを指摘している。それはどうですか。
  42. 原田伝

    ○原田政府委員 旅費の詳細な使い方につきましては、私、まだ研究が足りませんで、詳細な点はわかっておりませんのですが、旅費の少いためにいろいろ手違いを生じてはならないと考えまして、できるだけ、旅費の効率的な使用によりまして、支障の起きないように指導督励をいたしたいと考えております。
  43. 川俣清音

    川俣委員 旅費の効率的な利用というのはどういうことですか。伝貧その他の伝染病と寄生虫とわけて出張することが効率的利用ですか。
  44. 原田伝

    ○原田政府委員 効率的利用という言葉を申しまして、内容がまことにはっきりしないことを申し上げましたことは恐縮でございます。旅費が非常に窮屈なために手違いが起きないように、しっかり仕事をさせるように指導いたしたい、かように考えております。
  45. 川俣清音

    川俣委員 こういう事務費、旅費等の一般的な節減の折であるから、獣医師だけに十分に旅費やなんかを出さなければならないと主張しているのじゃないのですよ。削減されれば、削減されるほど、巡回というような制度をとって、この巡回の数が減れば減るほどに、伝貧の調査もしなければならないし寄生虫の調査もするということになって、一体になってやらなければ、旅費の節約はできないのじゃないかと聞いておるのです。それをわけてやるということになるのじゃないですか。予算の区別がつかないじゃないですか。今の獣医の数と今の旅費の範囲におきましては、区別をつけてできますか。これは二分の一の補助の旅費だ、これは全額——削るかどうかわかりませんが、こういうものだ、そんな区別をつけて一体やれますか。やれないことをきめて一体どうなさるのです。やれないことをきめてやると、またそこに問題が起きてきますよ。金額は私は大したことはないと思うのです。金額を論じているのじゃないのですよ。区別できないのじゃないか。原さん、どうですか。こういうのは区別してやる方がいいのですか。
  46. 原純夫

    原政府委員 私はできないことはないと思います。
  47. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、伝貧の巡回でまかる場合に、今度の巡回は寄生虫、今度の巡回は伝貧というように実際は区別しておりませんよ。今後巡回数が非常に多くなると思うのです。結局そうすると旅費が多くといるようなことになりはしませんか。この点はどうですか。決して私は意地悪く聞いておるのじゃないのですよ。
  48. 原田伝

    ○原田政府委員 二分の一か国の補助金であるというもの、あるいは全額国の補助というようなもの、種類はいろいろございますが、県におきましては、二分の一の場合は半額を県費で負担いたしまして、それら全体をあわせまして家畜防疫のための旅費という使い方をいたすことはできるのでございまして、そういう方法によりまして現地において運用するという道がございます。
  49. 川俣清音

    川俣委員 私がお聞きしたいのは、今度の整理の対象になりましたのは寄生虫の防疫委員の旅費だ、こういうことになっておるのです。そうすると、寄生虫という観念は、結局は大きな発生でもいたしますれば別といたしまして、普通は指定の獣医師の巡回診療です。農家でありますから、巡回の日がさまっていると、持ち出しいいように態勢が整えられておるので、これは割合に能率が上っているわけです。これが、普通の防疫と言いますか、法律上の観念から言うと、何か病気の発生したときにというふうに感じられておるようですが、そういう場合もありますけれども、おもにそういう原因を発見するのもみな巡回診療の結果起ってきている。病気が蔓延しておるとか、あるいは相当流行しておるということがわかる。流行しているということのデータというものは、往々にして巡回診療の結果出てくるわけです。往々でない。大半そうでしょう。また、そういう疑いがあるというので、臨時に巡回を願うということが起ってくる。個々の牛馬の病気などは、これは結局、そういう巡回よりも、地方の獣医師の診療を受けるという場合の方が多いのです。県の診療を受けるという場合はおもに巡回です。個々の自分の馬だけが病気になったような場合は、これに当てはまるようなものではございません。そこで一体どうして区別されるのか、こう聞いているのです。
  50. 原純夫

    原政府委員 御心配のような、一々の巡回出張に何。パーセントが寄生虫だったか、何。パーセントがその他だったかということを一々やるという行き方もないではありませんが、それは実際問題としてなかなか大へんだというので、実際の経理は、今畜産局長が言われましたのは、従来の実績等から見て、大体、県の巡回診療のうち、寄生虫に力をさくのは何パーセントだ。これは全体として一年を通じての判断というのがあるわけでございます。それに基いて今回の予算も組んである。そうすると、その比率によって、国は、たとえばその三割は寄生虫だということになりますと、その分は二分の一補助、他は全額出す。そうすると、三割の二分の一につきましては、その予算が県庁に参りますと、県庁は残りの二分の一を県予算で加えて、そして総体として百を計上する。ですから、この巡回診療の防疫員に対しては総体が参る。参った中に、いわばそういう何で、客観的なやり方でありますが、個々にこまかしくくるよりも、それで大体行くであろうというような形で経理されているということでございます。
  51. 川俣清音

    川俣委員 いよいよこれは自己満足ですよ。巡回している分だけ全額負担んで書いてありますけれども、実際は全額負担になっていません。大ていあなたの方で予算を見積ってやっておりますから、これは、巡回と言いましても、いつも、年を通じまして、予算の節約の上から、予定よりも回数が減って参るのです。そういうところを見ますと、全額国庫補助でなくして、現実には、総体的には三分の二であるとか、四分の三くらいな予算より行っていない。そうすると、現実から言うと、全額負担となって、片一方二分の、一減らすということになると、今まで四分の三であったのが三分の二になるというだけの違いじゃないか。それ以上もっと意義がありますか。結果的にいえば、四分の三であったのが三分の二になったのだ。どうもそれ以上の意味考えられませんが……。
  52. 原純夫

    原政府委員 私どもはそうは考えておりません。誠心誠意負担について考えまして——寄生虫は、人間の場合でも半分県費でやっていただいているというようなこともありますし、市町村の方ではさらにもっと低いような補助になっております。そういうようなこととの権衡も考えてやっております。  もう一つ提起されました補助単価が実際と違うという点は、他の補助についても聞くことでありまして、相当大きい問題でありますが、そのゆえにこれだけやっても仕方がないと言われますと、ちょっと私ども困るのでございます。
  53. 川俣清音

    川俣委員 ですから、こういう点に別に注意を怠っていいとは申しませんが、こういうみみっちいところに一生懸命時間を費してまでやらなければならないのか。結局今まで実態に対する四分の三であったのが総体的に三分の二になる。それだけなんです。そのくらいでありますならば、もう少し行政的に指導をして、予算全体の節約を——たとえば、この巡回にいたしましても、もっと指導の面においてそのくらいなことができないことはないであろうと思うのです。あえて法律を変えてまでしないでも、相当予算の厳重な執行をさせることによって、あるいは他の一般の公務員の旅費等の節約の事情からいって、もっと能率的にさせて効果を上げるというようなこともやれないことはないはずだ。こんなところを法律でせせこましく無理にやらなくても、そのくらいの指導ができない大蔵省でもないし、農林省でもないと思う。これが何十億というような非常に大きな額であれば別問題です。ごくわずかなものです。ちりも積れば山となるというのですから、これはよろしいのですが、そのくらいな指導監督ができない、あるいは教育ができないということであれば、あまりに情ないんじゃないかと思う。法律を改正してまで、しかも根本的な問題のあるような出し方をしてまで変えていかなければならぬほど重要でないんじゃないか。そのくらいであったら行政指導でやれるんじゃないかと思う。行政指導なんてめんどうくさいと思って、法律でやろうというところに間違いがあると思う、いかに法律を作っても、また行政指導をやらなければならないのですから。この点どうですか。
  54. 原純夫

    原政府委員 御趣旨の、行政指導で補助金全般の法律運用しなければならぬという点は、全然御同感でございます。そのために、各省予算執行に当りまして、経理担当職員の訓練、あるいは各種の規程、内規というようなものの制定、励行というようなことで非常に御苦労いただいておりますし、大蔵省といたしましても、全国の会計職員に毎年研修会というようなものをやったりいたしまして、できる限りの手は打っているわけでございます。ただ、それをやれば、こういうこまかしい何はやめておいてもというお話になりますと、何分非常に財政窮乏、貧乏なものでございますから、それもやる、これもやる、またあれもやるということで、あらゆる手を尽して節用に努め、また効率を上げていくことをあらゆる面でやらなければならぬということになっておりますので、その辺は一つ御了承願いたいと思います。
  55. 川俣清音

    川俣委員 これはなかなか了承できないんですよ。決してけちなことを言うんじゃない。行政指導でやった場合には、畜産農家がもっと能率を上げてやればいいじゃないかと責めます。これは、頭から旅費が削られていると、旅費がなかったから来られなかったという場合には、何ともできない。今度は、巡回が、だんだん一定の期間過ぎて末端の方にときには一日二日延びていく。しまいには打ち切られている場合かたくさんある。この次の巡回のときに優先的にやるからと言う。その場合に責めても、旅費が削られたから、こういう抗弁で逃げられてしまう。これは国民の監督も必要なんです。ですから、従来と同じだ、もっと能率を上げて大いにやれ、こういうようなことになりますと、獣医に対しましても、もっと能率が上るような方法を講じたらどうだと責め上げることができる。わずか旅費を削ったばかりで責任を果さないように逃げられてしまいますと、国費の効率利用にならないことになりはせぬか。私が心配しているのはその点なんです。責任のがれにこれを使われたのでは、国費の効率的利用にならない。あなた方はなると思っているけれども、実際的にはむしろ逆効果であるということをおそれての問題なんです。だから行政指導で行かなければならない。あるいは獣医の訓練で行くわけにはいかないか。そちらに重点を置いてもらわなければならぬのじゃないか、どうですか。
  56. 原純夫

    原政府委員 また平行線のような御返事になっていけないかもしれませんが、行政指導はもちろん十分やらなければいけないし、やっております。ただ、この補助率を寄生虫の分に下げて補助金を減らすということは、防疫員の旅費額全体を減らす意味ではございません。これは、地方で二分の一負担するという建前で、それは地方財政から出すということでございます。そういう際に、国の補助が減ったから、県はもう知らぬというような気分が動きますと、非常にいかぬと思いますが、私ども、十分に練っていただいて、負担関係で二分の一でもやむを得ないということになりますれば、県は仕事をしないというのではなくて、負担の区分けを変えただけの話でありますから、県が出していただかなくちゃ困ると思います。出していただきますれば、この防疫員の旅費の総額は変らないわけでありますから、別段御指摘のようなことが——県に口実にしてサボられますといけませんが、県でありますから、そういうことは万あるまいと考えるわけであります。
  57. 川俣清音

    川俣委員 今、大蔵当局の御説明によりますと、県の負担を入れると、総額においては減らないという説明なんです。しかし、県に赤字が出ておりますので、大蔵当局も自治庁もできるだけ節約を強要せられております。金額は小さいものですけれども、節約したという口実に、こういう一番切りやすいものを切ってくる。これが寄生虫でありますれば大したことはございません。しかしながら、寄生虫がおりますために弱っておるところに、いわゆる伝貧のような伝染病が非常に多く出てくる。村によっては過半数の馬を屠殺しなければならないという大きな被害が起ってきている。これは国の資産からいって大きな損害ですよ。高い輸入食糧を食わせて飼育した。それを伝貧だということで屠殺しなければならない。この損害の方が大きいのです。農家の損害も大きいし、国の損害も大きい。これではいけないじゃないかというのです。ですから、防疫員と申しましても、結局問題は獣医なんですよ。臨時雇いみたいなものが県には一人か二人しかいません。あとは指定開業医を臨時防疫員として雇い入れてやるという格好です。常置できろだけの余裕は県は持っておりません。それだけに私は問題があると思う。開業医が県から防疫医に指定されることは名誉だと思ってはいけません。開業医が一日休んで防疫に回ることは、決して得なことではない。損なんです。実際は義務供出ですよ。その義務供出しているわずかなことを削らないでもいいじゃないか。それよりも何とか指導の工合で行かぬか。むしろ開業医の回数をふやして、一日は無料にしてくれというような指導もできないことはないと思う。一体防疫員の補助の節減額はどのくらいですか。
  58. 原純夫

    原政府委員 本年度の数字は、ちょっと持ち合せておりませんので、昨年度ので申し上げますが、昨年度で、現行法によりますと——現行法というのは旧法でございます。本法によりますと千四百七十三万円という補助が要るのが、改正後は七百三十六万五千円になります。
  59. 川俣清音

    川俣委員 それでは約半分ということです。これはおかしい。あらゆる伝染病の中で、寄生虫にだけ今まで半分経費を使っておったということはないでしょう。
  60. 原純夫

    原政府委員 今申し上げましたのは、寄生虫病関係部分の数字でございます。ほかのを入れますれば、おっしゃる通りはるかに多くなります。旅費補助は全体で四千六百五十三万七千円、この特例法によって四千四百三十七万円になります。うち、寄生虫分は、本法によりますと四百三十三万四千円、特例法によると二百十六万七千円になるということでございます。
  61. 川俣清音

    川俣委員 今の説明によりますと、約二百万円の違いです。二百万円の違いが、一体、こういうむずかしい委員会で有能な原次長を一日引っぱって、われわれががんばっていかなければならぬほど重要なんですか。私農林省関係補助金を今調べておりますが、こんな補助金は出しても出さなくてもと思うようなものが現にあります。何かの因縁情実でできているんじゃないかというにおいのするものがある。そういうものを半分に削るとかいうなら、あるいは一人か二人の人は痛切に感ずるかもしれませんけれども、一般の代議士全体からいえば、そんなものは削ったっていいというのはあります。ごく一部の人々が運動して、こういう予算をつけたのかもしれぬけれども、全体として見ては大したことのないのがあります。利別に馬を持っているわけではありませんが、農家の経済からいって、寄生虫なんかだったら、巡回なんかしてもらわなくたっていいんです。しかし、それにことづけられて、他の伝染病の巡回に支障を来たすようなことがあったらおそろしいのです。それだからこの二百万円のことをやかましく言っているんです。何か区別がつきそうだというけれども、学校の寄生虫予防などは別ですが、普通のわれわれの寄生虫予防などは、そんなに国の経費をかけてまでやらなければならぬような予防の仕方はやらないでもいい。家畜でも同様です。自分の愛馬、愛牛ですから、県の補助をもらってまで来てもらわなければならぬほどのものじゃないのです。蔓延するといったって、寄生虫の蔓延なんかそんなにおそろしくない。自宅で予防できるんです。このごろは売薬も進んできておりまして、牛馬に寄生虫であるという認定があった場合に、予防することは決して困難じゃない。自費でやっております。問題は、そういうことによって少しでもせっかくの防疫態勢がくずれ、大きな伝染病の予防態勢がくずれはしないかという点をおそれているんです。だから、机上論で行けば、寄生虫予防の補助なんてやめたらいいじゃないか。その通りです。決して異論はないですよ。しかも新しい寄生虫であって発見しがたいという場合は、これは別問題です。今までの売薬ではとうていその効果が現われないというものが発生した場合は別問題です。むしろそういう場合に防疫員というものが出てくるのだろうと思う。そういうことにこじつけられて、全体の防疫態勢がくずれる、アリの一穴になるおそれを私は指摘しているのです。これは畜産局長しっかりしなければだめですよ。局長の意見を聞きたい。
  62. 原田伝

    ○原田政府委員 御指摘のように、防疫関係補助費が窮屈なために、防疫態勢にひびが入るというようなことが起きましては、これはまことに一大事でございますので、そういう点につきましては、そういう事態が起きませんように万全の努力をいたしたいと考えております。それからこの家畜防疫関係の経費は補充使途になっておりますので、事態の変化のために必要を生じました場合は、予備費からその不足額を繰り回していただくという道も一応あるわけでございます。それから、補助の点は、この補助が二分の一になりましたために、地方におきまして、いわば士気に影響が生じては困るわけでございますので、昨年度におきまして、それういう点につきましても、とくと地方とも連絡をとりまして、国の補助が減ったために旅費なりこの事業につきまして影響が現われてこないように、特に地方認識を深めるように努力をいたして参った次第でございます。
  63. 川俣清音

    川俣委員 私だけ時間をとってもあれですから、前に進みますが、日本中央競馬会法の第三十六条で、「馬の伝染性貧血症試験研究施設に要する経費その他畜産業の振興のために必要な経費」、こういうふうに競馬から上ってくる益金の使用を特に法律において定めております。大蔵省の直接のお世話にならないでも、このくらいのものが中央競馬会から出せないことはないはずである。そういう目的を持ってできておるはずであります。これをあなた方が行政費に使われるから、そういうことになってくるんじゃないですか。一般の行政費は国の負担として、そうして伝染病やそういうものの予防などについてこの中から出てこないはずはないです。わざわざ法律で、「政府は、第二十七条の規定による国庫納付金の額に相当する金額を、有畜農家創設特別措置法第四条〔国庫補助〕及び酪農振興法第八条第一項〔助成〕の国の補助のための経費、馬の伝染性貧血症の試験研究施設に要する経費その他畜産業の振興のために」ということで、ちゃんと予算の裏づけまでしてある。こういう予算の裏づけをしてあるのに、こっちで減らさなければならぬというのはどういうわけです。減らした分をこれから出したらどうです。できませんか。
  64. 原純夫

    原政府委員 特例法でお願いいたしますのは、たびたび申します通り負担の公平の見地からこういうふうにいたしたいということでございます。特定財源をもって特定の歳出が裏打ちされておると申しましても、やはり負担の公平関係はそういう場合においても確保するということが必要なんだろうと思っております。
  65. 川俣清音

    川俣委員 それは負担の公平ということは非常に重要なことなんです。全体が負担の公平通り行っておれば問題ありませんよ。先ほど指摘したように、法律にないものに対して三分の二の補助をしておるじゃないですか。これは見落しで誤まりだといえば別問題です。現にあなた方が承認されておるのです。今度の予算案で見ましてもちゃんと出ておる。負担の公平ということをやるならば、まずこっちの方から切り詰めたらどうです。四億あります。二百万と四億じゃ大へんな違いです。こういうふうに、家畜の伝染病予防ということは、家畜を持つ者にとって一番重要なことなんです。それであなた方は共済金に対する補助もしておられる。家畜共済についても莫大な経費を負担しておる。その予防をしようということに対して、二百万円削っておいて、それから起ってくる損害の方については国が大きく負担してもいいというのは——予防の方にちょっと力を入れてそういう災害が起らないようにして、そうして国の負担を軽からしめるというなら話はわかります。巡回診療などには節約しておいて、それで伝染病が発生し、あるいは馬が弱ったところに病気が発生するというような事態のために、農家の負担が大きくなり、国の負担が大きくなるというようなやり方をなさらないでもいいでしょう。その方が一体どのくらい国費の節約になるか。これはもう一度お考え直しになる必要がありませんか。なければ、ここで三十六条をもう一ぺん改正して、馬の伝染性の上にこれを入れなければなりません。どうしてもがんばられるならば、この国会におきましてはどうせ中央競馬会法の改正案が出そうですから、そのときに改正しなければならぬ。そのときにおあわてになっても、とても及びませんよ。どうしてもここで御考慮にならないならば、議院の立法権に基いてやるほかない。そうすると公平にやれると思います。どうですか。
  66. 原純夫

    原政府委員 先ほど来申しますように——この特例法で二分の一をこえるものがあまり見当らないから、二分の一というのはいけない、現にほかに検査関係の六割という補助があるじゃないかというお話でありますが、現にわれわれが問題にいたしております家畜伝染病予防については、すでに御承知でありましょうが、寄生虫以外は全額見るというのをそのまま入れてあるわけであります。決して、全額のものあるいは二分の一をこえるものを二分の一にしようというような、機械的なことでやっておるのではないのであります。寄生虫予防というものの実態から考え、人体につきましても、寄生虫の場合は国半分、府県半分、市町村段階ではさらに落しておるというようなことから考えて、負担論として半分にしてよろしいだろうという考えでございます。なお、半分にいたしますということは、巡回する防疫員の巡回の度数、活動、それに出す金を減らせというのではないのでございます。これは負担を国が半分、地方が半分持つようにしようということで、地方で半分出してもらうという考え方であります。地方財政の苦しいところでありますから、そういうことは恐縮なわけでありますけれども、やはり一方で補助金全体としての負担論ということは常にわれわれ考えておってよろしいじゃないかというふうに思いますので、まことに小さな額で恐縮でありますが、額が小さいからということで、事柄を、何と申しますか、省略するということもいかがか、率直に申しまして、非常に財政が苦しいところでありますから、われわれの作業は、かなりこまかい額でも節約できるものは節約する、そうして一方では、おっしゃる通り行政指導で効率を上げるということはやる、あらゆることを努力しなければいけないというつもりでやっておりますので、何とかこれでごかんべん願いたいというように思います。
  67. 川俣清音

    川俣委員 人間の寄生虫の予防についても二分の一、馬は、人間以下だから、それ以下にやることは負担の公平だ、こういうことですが、机上論的には確かにその通りです。人間でありますならば、病気、寄生虫と分けて手数をかけることも、人間の優越性からして当然起ることです。それは当りまえのことです。馬のように寄生虫も胸も一緒にということも地方においては行われます。医者の少ないところでは、とうてい開業医を何回も連れ出すわけに行きませんから、一ぺんにやりますが、都会でありますと、専門々々があって、それをおやりになる。しかし、医者というものは、開業医でありましても、あるいは学校の教授でありましても、それをもって研究資料とし、それを売文業として、また別の収入の道があります。しかし、いなかの農家の寄生虫を調べても、学位にもならなければ研究論文にもならないです。従って、片方の場合は奉仕的な面が加わっておりますよ。補助が二分の一あるから人間の寄生虫は見るし、補助が減ったから人間の寄生虫は見ないというものとは違います。  そこで、国費を節約して二分の一にされておる。その理由はわかりますよ。それは公平を期するため。しかしそんなことは負担の公平ではありません。現実の姿がそうじゃないですか。一体、地方において、家畜の寄生虫のために特別に出張したということが今までありましたか。私はここ数年の間そういう例は聞いたことはないです。実際ないのです。区別できないのです。ただ予算の面において減らしたばかりでなく、実際巡回回数を減らすとか(防疫回数を減らすということでおやりになるならば、それはわかりますよ。総体の巡回回数を減らすというならば、それはまだわかります。結果的には同じことなんです。現実においては何にも違ってきません。これは会計検査院の方から非常に指摘されるところです。会計検査院のやかましい方からいけば、財政法上寄生虫は寄生虫として見なければならぬ。こう区別されている以上は、これは寄生虫のための防疫旅費、これはその他伝貧のための旅費と区別しなければならぬでしょう。それでなければ会計検査院はパスしないから、おそらく書類はそうこしらえるでしょう。ごまかしをこしらえさせるのじゃないですか。それで満足できますか。現にないことをやったことにこしらえさせて、それで国費が有効に使われておりますなどと考えることが間違いですよ。できないことです。委員長、この次のときに会計検査院を呼んでいただきたい。こういうやり方でいいかどうか。私は必ず指摘事項になると思う。きようでもいいから、会計検査院を呼んでいただきます。お取り計らいを願いたい。
  68. 伊東岩男

    伊東委員長 それでは、その点だけは保留いたします。質疑を続行されますか。
  69. 川俣清音

    川俣委員 きょうはこれでよろしいです。
  70. 伊東岩男

    伊東委員長 他に質疑はございませんか。  質疑がなければ、本連合審査会は、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十七分散会