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1955-05-30 第22回国会 衆議院 補助金等の整理等に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月三十日(月曜日)     午後零時四十五分開議  出席委員    委員長 伊東 岩男君    理事 床次 徳二君 理事 坊  秀男君    理事 大橋 武夫君 理事 松野 頼三君    理事 滝井 義高君       臼井 莊一君    唐澤 俊樹君       川崎五郎君    纐纈 彌三君       高村 坂彦君    櫻内 義雄君       椎名  隆君    高見 三郎君       竹内 俊吉君    山村新治郎君       久野 忠治君    坂田 道太君       中馬 辰猪君    八田 貞義君       井手 以誠君    川村 継義君       三鍋 義三君    大西 正道君       川俣 清音君    佐竹 新市君       中村 高一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         法 制 局 長 官林 修三君         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      村上孝太郎君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保栄君     ————————————— 五月三十日  委員纐纈彌三君、櫻内義雄君、横井太郎君、山  本正一君、淺香忠雄君、堀川恭平君、加賀田進  君及び川俣清音辞任につき、その補欠として  臼井莊一君高見三郎君、唐澤俊樹君、川崎末  五郎君、松野頼三君、久野忠治君、川村継義君  及び大西正道君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員高見三郎辞任につき、その補欠として山  村新治郎君が議長指名委員に選任された。 同日  理事吉田重延君及び淺香忠雄委員辞任につき、  その補欠として大橋武夫君及び松野頼三君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事互選補助金等臨時特例等に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第五〇号)  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改  正する法律案起草に関する件     —————————————
  2. 伊東岩男

    伊東委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑を続行いたします。  質疑の通告がございまするので、これを許します。松野頼三君。
  3. 松野頼三

    松野委員 この前お話をいたしましたように、この問題は予算と非常に関係がありますので、私どもはこれは予算の一部だと考えておるわけです。当然予算に関連のある法案を先に通すというならば、予算審議に対する事情もありますから、ことに今日自民の予算折衝も開かれておる際ですから、なお私たちは微妙に考えたわけなんです。大蔵大臣はぜひとも一年度分を通したいとおっしゃいますが、予算に見合うようにこの補助金の問題が出ているのですから、大蔵大臣は、あの予算が無修正で通るというお考えで、この法案もお出しになったんだろうと思う。もちろん、提案者でありますから、無修正で通るとお思いでございましょうが、客観的にいって、提案するときには無修正で通ると思ったけれども審議の途中でこれはむずかしいと考えられたこともあるだろうと思う。おそらく、私の考えからは、この予算提案されてからは全国非難ごうごうです。おそらく大蔵大臣のところにもすわり込みが来ただろうと思う。まず遺族会国民健康保険農業団体等、この予算を通してくれるなという陳情はわんさと来られたと思う。そうなれば、これはやはり、国民予算だから、国民のこういう反撃のある予算を無修正で通すということは国民のためにいい予算ではない、そういう考え審議中に私には生れてきている。この法案はおそらくあなたの御提出予算に合せたものだろうと思う。従って、大蔵大臣は、この予算が無修正で通る政治情勢か、あるいはこれが提案当時と審議の過程によってだいぶ変ってきたとお考えになっていらっしゃるのか、いらっしゃらないか。今でも、この予算は通るべきであり、通る方がいいんだというお考えか。これは政府原案ですが、この辺も少しお聞きしておかないと、この法案と表裏一体ですから、あらかじめ、私はこまかいことをとは申しません、概括だけでも御答弁願いたい。
  4. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。大蔵大臣といたしまして、提案いたしてあります本予算はそのまま国会を通過することにあらゆる努力を払うべきでありますし、またこれを期待いたしておりますことはもちろん当然の職責だと思っております。しかし、国会やいろいろな関係においていろいろな見解もありましょうし、そういうような場合においては、具体的なことについて大蔵大臣としても十分考慮する、こういうことになろうかと思います。
  5. 松野頼三

    松野委員 あなたはいまだにこの予算は絶対通すべきだという御信念のようです。もしもこの予算修正されたら、大蔵大臣修正されたままでのむお考えか、あるいは、自分としては信念修正の上に立つ財政はどうしても大蔵大臣として守れないとおっしゃるのか、この点はどうでございましょう
  6. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。かりにそういう修正がありますれば、そのときに大蔵大臣としてもやはり検討を加えるべきであろうと思います。
  7. 松野頼三

    松野委員 もう少し具体的に申しますれば、それでは軍人恩給は多年の懸案であるし、わが党もぜひともこれを増額したいと思う。もし軍人恩給の増額があって、これによって予算修正が行われましたら、あなたはもしこれだけならばおのみになるのかのまないのか、これも一つお聞きしておきたい。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。私の考えとしては、そういう事柄について前もってどうということは御答弁いたしかねます。
  9. 松野頼三

    松野委員 それでは、もう少し端的にいえば、修正されても大蔵大臣の職におとどまりになるのか。修正されたら、おれはいやだと言って、あなたは国会の前に屈服して大蔵大臣をやめられるのか。これは個人的なことです。議会は当然審議権があるのですから、その前には幾ら大蔵大臣でもこれはかなわない。これはわかっている。ただ、あなたの考えとして、修正されたら、おれはもうとても現職にとどまれないとおっしゃるのか。修正されても、議会意思は仕方がない、おれはのむとおっしゃるのか。これは個人のことで、議会はあなたとけんかをするというのではない。その辺はどうでございましようか。
  10. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、そのときに考えればよい、こういうふうに考えております。
  11. 松野頼三

    松野委員 そのときでいいとおっしゃるが、もっと前ならいいのですが、実は、露骨に申しますれば、つい先般、昨日ですか、公債発行論というのがわが党から出たわけです。あなたは非常にこれに反対されたのです。従ってこの問題については決心はいかがでございましょう。これは具体的に出た問題でしょう。
  12. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今のところ、私としては、公債発行については賛成いたしかねるということを申し上げるほかありません。
  13. 松野頼三

    松野委員 賛成いたされませんが、かりに予算修正が大きくその点に触れたならば、大蔵大臣は、賛成はしないが、やはり大蔵大臣としておとどまりになりますかどうでございましょうか。
  14. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点について、私は、自分責任ないし進退について、ここで御答弁する筋ではないかと思いますが、私は公債発行については今日賛成いたしかねるということは強く申し上げておきます。
  15. 松野頼三

    松野委員 それほど強く賛成いたしかねる案が通ってしまったら、あなたは個人的には賛成いたしかねる案が通ったのだから、そのときはどうでございましょうか。それをお聞きしたいのです。やはり賛成いたしかねるが、大臣いすがいいからおれは節を曲げて大臣いすにいるとおっしゃるのか。おれはこの意見が通らなければ信念としていやだとおっしゃるのか。これは現実に出て参った問題です。ことにあなたが発言されている問題ですから、もうぼつぼつ信念を固められる時期ではないかと思うのです。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま申し上げましたように、自分進退について今こうとかそうとか私は言うべき筋合いではないと思います。
  17. 松野頼三

    松野委員 もちろん進退大蔵大臣総理大臣におっしゃればいいのです。ただ私は、あなたがそういうふうに強い信念でおられるというならば、これは議会においてもある程度あなたの信念を通じて影響がある。しかし、やはり大して信念がないのだというと、やはり議会審議に対する影響はあるのです。私もやはり、一国の大蔵大臣ですから、大蔵大臣意見は非常に尊重する。おれは職を賭しても国のために公債発行すべきではないという御信念ならば、これはまた党派を越えて院内に影響するのです。しかし、その意思が、どもらかあからないというと、結局やはり大蔵大臣というものに対する国民の信頼が薄らぐのです。あれほど公債発行反対されておった大蔵大臣が、議会公債発行論がかりに通っても、やはりおるんだということになれば、今後あなたの発言というものは国民に対する影響が薄らぐのです。それを私は言っているわけです。だから、ほんとうにあなたが国のためを思い発言されたならば、それは信念を通していかなければならぬ。それほど反対をしておっても、やはり大臣いすにおられるといえば、この次あなたが意見を言われても、どうせあの大蔵大臣の言うことだからということになる。私はやはり一国の大蔵大臣として大事なことだと思う。私は悪意で言っているのではない。私どもも、今後、あす、あさってこの問題が具体化したときに、あなたの発言というものによってわれわれもいろいろ影響があるわけですから、その点をお聞きししているわけです。
  18. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えしますが、三十年度において公債発行せぬということは、これは予算編成大綱の基本的な点でもあります。これはやはり公約一つであります。(発言する者あり)この点については総理大臣もしばしば委員会において御答弁になっておるのであります。従いまして、今の松野さんのお考えにつきましては、私非常にありがたく傾聴いたします。
  19. 松野頼三

    松野委員 発言中は各委員静粛にお願いします。——私がなぜそう言うかというと、ちょうどその公約はここに出ているのです。補助金の中に義務教育教科書無償配布をお削りになっていらっしゃる。これは確かに民主党の前文部大臣安藤正純さんの公約だったのです。その公約はここではっきり削ることになっている。金額は別ですが、削るようになっている。こういうふうに公約選挙中の公約ともうすでに違ってきている。ある公約は守り、ある公約は等閑に付して補助金打ち切りの方に入れてあるということは、これはだれが見ても明瞭にあなたの方は公約を履行していない。それを責める意思ではないが、しかし、こっちの公約を破棄してこっちの公約を守るというのは、これは終始一貫しない。公約にそんなに上下があるはずはないと思う。みな同じレベルでの公約だろうと思う。一級公約、二級公約という札つきでは確かになかったはずだ。従って、私の言うのは、あえてそれを責める意思ではないが、そういう意味公債発行公約だけを守ろうというのは疑問がある。それほど党に忠実、内閣に忠実であるならば、もし公債発行ということになったならば、あなたはどうなさいますか。自分の、大蔵大臣公約を守りたい。各省大臣公約は打ち切る。これは無理です。ここで問題を掘り下げていくわけではありませんけれども大蔵大臣がそれほど信念を持ってこの法案を御提出になれば、私たちにも影響があります。しかし、今のように、議会が通ってからきめればいいのだ、その通ったときにおれがきめるのだという時期では今日はなかろうと思う。またこの法案もそうです。幾ら通ってから決心すると言われても、われわれも、大蔵大臣決心がつくまで、この法案は待とうと言ってもいいはずです。そういうふうにお互いに言いがかりをつければ幾らもありますが、私は、やはり、そういう問題、公債発行の線をあなたは守られるのか、あるいは通ったときでいいとおっしゃるのか、その点は、今後予算に大きな影響がありますから、ごめんどうですけれども、もう一ぺんおっしゃっていただいて、これ以上答弁がなければ別の問題に移ります。
  20. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えしますが、私は公債発行には同意ができませんことを申し上げておきます。
  21. 松野頼三

    松野委員 あまり予算のことまで触れるといけませんが、御賛成できないことはわかりますが、その公債発行が通ったときに、大臣はやはり大蔵大臣としておとどまりでございますか、どうでございますか。
  22. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は松野さんの先ほどの御意見は非常に拝聴いたしておるつもりでございます。
  23. 松野頼三

    松野委員 大蔵大臣に申し上げますが、大蔵大臣も正直に言ってほしいのです。おそらく各委員ともこの委員会では悪意で質問していないと思いますが、端的にフランクリーに私はやっているつもりです。だから、言いにくいことは言えないとおっしゃればそれでいい。包み隠さずにおっしゃればいいので、それが実は公債論に大きな影響をするのです。あなたのおっしゃるように、そのときになって考えればいいというのでは、そのときに時間がないで通ってしまってから、あなたを苦しめることになるかもしれない。私自身も、あなたの意見によって、今後党内においてこの問題の賛否をきめるときに、もう一ペん考え直す時期があるが、きょう答弁がなければ、私は私なりの勝手な議論で、今日の場合公債発行して大いに拡大均衡に進むのがいいのだという信念だから、このまま進んでしまうのです。もしあなたが、どうしてもこうだと、大蔵大臣として私にこの際言っておきたいことがあるならば、その理由を言われた方が、あなたの立場にもいいことだ。それも私は十分この際研究する余地がある。なければ、もう私の信念、あるいは足らないかもしれませんが、公債発行しても拡大均衡をやる方がいいのだ、世界じゅうの公債発行額を見れば日本は一番少いのだ、とういう考えをつい持ってしまう。これは議論になりますが、もしいいお知恵があって、いい御答弁があるならば、おそらくこれは政局にも影響するだろうと思って私はわざわざ聞くのです。従って、私の意見もあれですが、あなたの意見も端的に言われた方がこういうときはいいのです。別に責任を追及しやしません。あのときはこうだったが、今度はこうだと言うなら、それでいいのです。私もそんなにあげ足ばかりとっているわけではないのです。公債発行反対にくぎを打つようないい意見があるならば、私はこの際お聞かせを願いたい。こういうわけで公債発行してはいけない。党利党略にこだわらずに、いい話があったならばおっしゃった方がいい。あとで違ったから責任を問う、そんなことはありません。今日お見のがしになると、私の信念はそちらに向って参ります。公債発行絶対反対といういい論拠があるなら、お聞かせ願いたいと思います。
  24. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 公債発行反対する理由を言え、こういうことですか。
  25. 松野頼三

    松野委員 いい理由ですね。非常に端的にぴんと来るような理由です。たが自分の面子で反対されては困るということです。
  26. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 端的に申し上げますれば、今日公債発行の時期でないということであります。
  27. 松野頼三

    松野委員 時期でないだけでは、お互い時期の問題で、私が期待したようないい等弁もありませんし、この問題はこれだけにしましょう。  ただいま申しましたように、実はこの中に教育図書無償配付費というのが削られているのです。これは民主党公約なんです。この問題だけは、私は一項目だけだから書き抜いて答弁をお願いしたい。これも今日ここできまる問題だから、公約無視をされてもいいとおっしゃるのなら、この法案を私たちはあるいは通過させるかもしれない。しかし、これをお出しになったのは民主党内閣なんです。それが義務教育教科書無償配付費補助金を打ち切るというのですから、これは全国の学童、父兄には非常に影響がある。ことに、これは民主党公約だといって、前安藤文部大臣が一枚看板で選挙中に盛んに演説された。あなたも同じ閣僚だった。選挙で投票をとってしまって、堂々とこんなものをお出しになることは、私は相当大胆だと思う。この点だけはどうですか。
  28. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。今松野さんからお示しの点は、実は私も前の安藤文部大臣と非常に意見の交換をやりました。しかし、結局において文部大臣承知をして下さいましたので、私はそれでいいというふうに考えておるのであります。
  29. 松野頼三

    松野委員 あなたと交渉された月日を言えというのではありません。安藤文部大臣と懇談して、安藤さんも大蔵大臣の言う通りになったというのは、選挙の前なんですか、選挙あとなんですか。
  30. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 両方あったように思います。
  31. 松野頼三

    松野委員 両方断ったというのは、最後結論はどうなんです。二回会ったという意味は、選挙前に、これは大蔵省ではのめないぞという話はしたが、まあまあで結論は出なかった。選挙が終ってから、大蔵大臣の言う通り、この問題については文部省としては折れましょう、こういう段階になったというんじやないですか。あなたの答弁を聞いていれば、私はそういうふうに了承しているのです。
  32. 森永貞一郎

    森永政府委員 義務教育教科書無償配付の問題につきましては、選挙の前にも話合いをいたしまして、一応、私どもとしては、これは延ばすという前提で文部省もお考えいただいておったように——少くとも気分の上ではそれくらいの心境に達しておったわけであります。選挙が済んで後、四、五月の補助金についての法律案提出いたしますときにも、まだいろいろお話がございましたが、御承知通り、これは打ち切りを継続するということで、公式にも政府意見がきまりまして、この法案国会提出いたしました。四、五月分については国会の御承認を願っておるわけでございます。前文部大臣がどういうお話をなすっておりましたか、私もつまびらかにいたしませんが、予算折衡さようないきさつになっておりますから、御了承いただきたいと思います。
  33. 松野頼三

    松野委員 それでは国民を非常に欺瞞するにひとしい、安藤文部大臣はその責任でおやめになったのかもしれませんが、今日おいでにならないから、安藤さんをとっちめるわけにも行きません。国民は納得しない。ちょっとひど過ぎる。この際安藤文部大臣から全国民に謝罪をされるか、大蔵省あるいは文部省は、選挙中はああ言ったけれども情勢が変ったということを発表された方がいい。これは強く私が要求しておきます。文部省が来ていればけつこうだけれども、いらっしゃらなければ、この次にこの法案がかかるまでに、両省で打ち合せて、委員会を通じて発表していただきたい。  それから、公債問題で一萬田さんは鳩山総理大臣にお会いになったのですが、公債に対する反対意見をおっしゃつたのでしょう。
  34. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 別に反対意見を申したわけではありませんが、これは、予算編成大綱のときに、閣議でも皆さんが承知の上でそれでやる、こういうことになっております。
  35. 松野頼三

    松野委員 そうすると、総理大臣には別に反対は言わないが、閣議できまつたから、あの線を守ってくれ、こういう話をされたわけですね。
  36. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 別に具体的に特に公債がどうとか、そういうふうなことは私総理に話しておりません。
  37. 松野頼三

    松野委員 そうすると、何を話されたのです。別に個人的にバラ見に行こうというような話を言えと言うのではない。しかし国会に関することについては発表された方がいい。国会審議上、特に今日の場合影響が多いと思う。あとになると、せっかく私たちも現内閣を助けていこうと思うのに、逆の方に行ってしまうかもしれない。そこで私は口をすっぱくして親切気で言うのです。もし鳩山さんに公債論をおっしゃらないなら、われわれは大した問題じゃないと思うし、おっしゃったならおっしゃったで、こちらも重要視してよく考える。ウェイトの問題で、ほんとうに国家のために公債発行してはいけないという信念なら、それでいい。その辺が問題なんです。大蔵大臣もお疲れのようで、最近少し神経衰弱ぎみじゃないかとわれわれ話しているのです。  最後に、結論に戻りますが、これは六月だけをお出しになる考えはございませんか。どうしても私は納得しかれる。ことに義務教育の問題などは選挙中の民主党の大公約だった。それにもかかわらず、打ち切り案がぽんと出るのは納得できない。しかしながら、もう六月暫定予算暫定予算で通したのですから、この問題はやはり暫定予算と歩調を合せてお出しになるならば、われわれもこれれは考えていい。しかしながら、あくまでも一年間にしなければいけないというようなことで、そういうことを一つ一つやってくると、民主党は悪くなる。国民を欺瞞したことになる。その点は大蔵大臣よくお考えの上で御答弁願いたい。
  38. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。松野委員の言われます通り、四、五月分暫定予算に伴いまして、五月まで延長法案出したのでありますから、六月分暫定予定に伴って六月まで延長法案を出すべきであります。しかし政府は年度末までの延長法案出しておりますので、期間が重複すると考え、その措置を講じなかった次第であります。従って六月分の延長法を出せという御意見同感でありますが、ただ政府としてあらためて法案を出すだけの時間上の余裕がありません。そこで、当委員会において、この間の事情を何とぞ御賢察下さいまして、しかるべき御措置をお講じ下さることを希望いたす次第であります。幸いにさようなお取扱いが願われましたならば、政府といたしましては、これに伴い必要なる措置をすみやかに講ずるようにいたしたいと存ずる次第であります。
  39. 井手以誠

    井手委員 ただいまの大臣の御答弁によりますると、六月分一カ月分の法案修正については同感であるという御答弁であります。同感であるから、もしそうなればしかるべきて措置を講ずる、こういう御答弁でございましたが、これはきわめて重大な内容を持った問題である。これは簡単に引き下れません。信念を持ってこの法律案出してあると思う。どうでもいい法律案ではないはずであります。同感であるとはどういうことでございますか。同感であるならなぜ撤回いたしませんか。この政府提案法律案によれば、必要があって一カ年延長したいという理由大臣は述べられました。国会意思を踏みにじってまでも、必要であるということで一カ年間延長法律案を出されました。その政府が、確固たる信念を持って出された法律案に対して、一カ月分でよろしい、それは同感でございます、そんな信念でよろしゅうございますか、大臣。しかるべき措置を講ずるとはどういうことでございますか。もし同感であるならば、すみやかに撤回なさることこそ私はしかるベきて措置ではないかと思うのであります。国会法はさようにきまっておる。一つ同感であるという趣旨を具体的にお示しなさい。同時にまた政府の確固たる信念を私はこの際承わりたいのであります。それによって私はまた質問をいたします。
  40. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 撤回をしてそうして出せ、こういう御意見一つある。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、時間的余裕がありませんので、特別にお計らいを願っておるのであります。もう一つ信念の問題がありましたが、これは法律的な解釈のあるところもありますが、この法案が時間的にも切迫しておるので、すみやかに成立をしなければならぬ、そうして松野さんの御意見がよろしい、こういうふうに私は考えたから申したのであります。
  41. 井手以誠

    井手委員 ますます驚き入った御答弁でございます。よく聞いておって下さいよ。私は何回も同じことを言いたくはないのですが、昨年の国会におきましては、当分の間、すなわち三カ年ばかりこの補助金を削減したいという趣旨で出された法律案に対して、国会は、いろいろ論議の末に、一カ年という時限法案にいたしたのであります。一カ年に限定してある。その国権の最高機関である国会意思を無視して、これをさらに延長していく。大臣の先般の答弁によりますと、その必要がさらに加わって参りましたので、もう一カ年間延長したいということをあなたはおっしゃいました。お忘れではないでしょう。その一カ年間どうしても延長しなくてはならないというあなたの答弁に対して、ただいま松野委員に対しては一カ月の延長同感であります。——もし同感であるならば、成規の手続に従って院議に諮ることが必要であると思う。撤回することを院議に諮ることが、私は、内閣としての任務であると思うし、手続でもあると存じます。時間的余裕とおっしゃいますが、あすの本会議も開けます。もし当局の考えておるように五月一ぱいに何らかの処置をしたいというならば、あす一日残っております。私は、けさからいろいろお話をやっておりましたから、そんなに当局が、松野委員がおっしゃるからといって、同感であるなどというお言葉は、おそらく出ないと思いました。かりに巧妙な質問がありましても、そういう答弁はないと思っておった。いやしくも一国の大蔵大臣同感でありますとは何ごとでありますか。同感であるならば、私はすみやかに撤回すべきであると思う。そういう手続をなさる用意があるかどうか、お尋ねいたします。あすまで日にちがありますよ。
  42. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 前の委員会でも御答弁申し上げましたように、この扱いについては、やはりこれはあるいは法律解釈問題もありましょうから、しろうとの私がかれこれ言うてもわからぬかもしれませんが、やはり二つの考え方はあり得るのではないかと思うのであります。しかし、今回この場合においては、私は松野さんの御趣旨に賛意を表する、こういうわけであるのであります。そうして時間的な関係があります。そういう点も御了察を特にお願いいたしたいと思います。
  43. 井手以誠

    井手委員 法律の解釈もあるでありましよう。法律もありましようが。もう一つの問題がある。憲法によって動いておる、法律によって運営されておるこの国会審議において、何よりも大事なことは憲法により法律によることであると私は考えております。場合によっては考え違いがあって、情勢の変化から、内閣提出法律案は撤回することもあり得るでありましょう。そういうことは国会法にも規定してある。大臣よくお聞き下さいよ。今度の与党の考えております考え方は、修正案ではございませんよ。法律案でございますよ。一部を改正する法律案考えられておる。修正案ならば、出されたものに対して国会意思も得られるでありましょう。しかし、あなたの方は、一カ年でやる、一カ年延長してもらいたいという希望である。一方は一カ月だけでいいという法律案、それに対して一カ月でよろしいということでありますならば、一カ年延長しようとする法律案は、内閣としていさぎよく撤回するのが建前であると思う。よく国会法を見て下さい。政治論とか日にちの問題ということよりも、まず法律によらなくてはなりませんよ。五月は三十一日までございますが、明日も本会議がございます。すみやかに院議に諮ることが正しい行き方ではございませんか。修正するということではございませんよ。私は繰り返して申します。内閣は一カ年を希望しているのに対して、片一方は一カ月という法律案を出そうとしておる。これに賛成だということはどういうことでございますか。全く反対ではございませんか。違ったことではございませんか。それに同感だというならば、私はもう少し割り切った納得のできる御答弁を承わりたい。私はきょうは簡単に引き下がりませんよ。
  44. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この特例法については一カ年延長するのはするのであります。そういうことをお願いするのでありますが、六月が暫定予算になりましたから、それで六月までまず延ばす、こういうことにいたしたいと思っておるわけでございます。
  45. 井手以誠

    井手委員 私はその点でたくさんの意見を持っておりますが、あなたのお考えと与党のお考えなさっていることとは違う。一カ年というものと一カ月ということは違うのです。一カ月というものに賛成でありますならば、一カ年を希望されたこの法律案は撤回するのが正しい行き方ではありませんか。  そこで私は内閣法制局長官にお尋ねをいたします。大臣もよくお聞きおきを願いたいと思います。補助金等の臨時特例に関するこの法律案については、昨年もあなたといろいろ論議したことでございます。公聴会も開いたことは御存じでございましょう。その際に、法律を誠実に執行する内閣としては、筋道としては、もし情勢によって法律を変えなくてはならぬ、予算の都合があるというならば、まず法律を改正し、改正したものに基いて予算を組むというのが建前である。これがほとんどの人の一致した意見であります。またあなたもさように申された。同時に並行して審議することは違法ではないけれども、やはり内閣としては法律の改正案を出して、それに基いて予算を組むことが正しい行き方であるという御答弁をなさった。あなたは内閣の法制を預かる最高責任者でございますので、こういうことが簡単にいろいろ動かされては困りますから、現内閣という立場を離れて、純理的な立場で一つ答弁を願いたいと思うのです。ただいま大臣がおっしゃいましたのは、予算暫定予算だから法律もこま切れにしていこう、こういうことが正しい行き方でございますか。七十三条でございますか、内閣法律を誠実に執行することが大事な任務になっております。現行の法律に基いて予算を組まなくちゃならぬことは申し上げるまでもございません。それをせずして、法律案予算案とを並行に審議せられておる。これは私は不当であると思う。その上になお、ただいまおっしゃいましたように、自分の方は一カ年の延長法律案として出しておる。それを、一方において、予算が一カ月の暫定予算だから、それに合うように法律案出したい。これは逆ではございませんか。まずその点からお尋ねをいたします。
  46. 林修三

    ○林(修)政府委員 今の予算案と法律案審議の順序と申しますか、いろいろなことにつきましては、昨年この補助金等臨時特例等に関する法律案がこの国会で御審議になりましたとき、井手先生からいろいろ御議論もございましたし、おっしゃる通り学者の意見もいろいろあったのであります。ただ、そのとき私どもとして申し上げましたことは、なるほどそれは、予算法律の交錯する面につきまして、まず法律の改正をやって、それから予算を出すということも確かに一つの方法であろう。しかし、従来からの慣例と申しますか、国会の会期の関係あるいは予算の成立の時期の関係、こういうところから申しまして、常に予算法律は並行審議をお願いいたしておる、これを必ずしも不当とは言えまいということをお答えしたように私は記憶いたしております。従いまして、昨年におきましてもそういう意味で御審議を願ったことだと存じております。本年におきましても、この予算とその予算に見合うところの法律案、これはやはり、国会の会期あるいは予算の決定の時期ともにらみ合せまして、実は並行して御審議を願っておるわけであります。この点必ずしも国会の運営上それが不当だとかあるいは違法だということにはなるまい。そこにいろいろ議論の余地はあろうと思いますけれども、そういうことだと、実は思っております。ただいま実は大蔵大臣からも御答弁がございましたが、この御趣旨は私こういうふうに伺ったのであります、実は、内閣といたしましては、この補助金の整理につきましては、本年度の予算もそういう意味で実は一年間延長するという予定で組んである。同時に、法律の方も、その手当をすベく、一年間この法律をさらに延ばすということで御審議を願う。国会の御意思によって法律予算とが矛盾しないようになることを御期待申し上げておるわけであります。ただいま御議論になりましたのは、政府としては本予算出しておるが、さらに六月は暫定になったから、その暫定部分との関係で、まだ本予算についての衆議院の意思もきまらないから、とりあえず六月分だけは延ばす、法律の方も六月分だけ延ばすということでどうだというお話で、それについては別に異議はございません、こういう意味大蔵大臣はお答えしたのじゃないかと思います。これは、予算法律と合わすという意味でこういう措置国会としてお取りになるのは、私どもとして別に反対すべき筋合いではないと思うのでございます。
  47. 井手以誠

    井手委員 次長のときのお言葉と少し変ったように思いましたが、あなたも御存じのように、これは、先刻申しますように、国会意思は一カ年だということで確立されておるはずであります。それをあえて延ばされるというものであるならば、予算案の前に審議し、当時いろいろ論議があったように、根本的に改正案を出すことが内閣としての行き方ではないかと思うのであります。いろいろ付帯決議もついておりまして、意見も述ベられております。無理をすれば、それは数で押せるかもしれませんけれども、一カ年に限定されたものを一カ年さらに延長する必要は、これは私はいかにひいき目に見ても国会意思を尊重したものとは言えないのであります。そこで、私が具体的にお尋ねしたいことは、政府は一カ年間延長する必要がある。これに対して国会修正する。それは修正には従わなければならぬ。ところが、今考えておりますものは、修正案ではなくして、別個の、政府意思とは違う一カ月の延長であります。そういたしますと、一カ月のものに賛成であるならば、一カ年の必要はないということになるわけです。これは修正ではありません。別個の法律案ですよ。そうであるならば、内閣がそれに対して一カ月でよろしいというならば、一カ年延長という法律案はこれは撤回するのが行き方ではございませんか。
  48. 林修三

    ○林(修)政府委員 今のお話でございますけれども政府といたしましては、一応本予算提出いたしまして、その本予算と合せるべく、また本予算法律の矛盾をなくする意味で、実は一年間の延長法案を御提案申し上げておるわけであります。従いまして本予算がまだ五月中には成立しない、そういうことで六月が暫定予算になるわけであります。そこで国会の方の御意思で、六月が暫定で、まだ本予算に対する衆議院の意思もきまらないから、従ってこの六月分だけ補助金法律を延ばそう、こういう御趣旨であると思う。そこで、実はやり方でございますが、今おっしゃいましたように、その場合のやり方としては、政府の一年間と出したものを修正して、たとえば六月三十日までとするやり方もございましょう。しかし、むしろ、今私どもが承わっておりますところでは、別の法案をお出しになりまして、五月三十一日を六月三十日に延ばそう。私どもとしてはこのやり方の方が事態に合っているのではなかろうかと思います。その意味は、実は政府として一年間延ばすというのは、予算を合せた法案出しておる。六月分の暫定予算につきまして、ただ一カ月だけ延ばすという法案国会で御立法になるというのは、六月分の暫定予算と合せるという意味において、これはごもっともだと思います。ところが、政府の方でこれを一年間延ばしたいという意味は、これは出しております予算もその通りでございますから、これをどうこうするということはないわけでございます。さように考えるわけであります。ただ、技術的に申せば、今この法律国会からお出しになる結果として、附則の規定が、たとえば昭和三十年五月三十一日という規定が六月三十日と変りますから、その点を政府案についても直さなければならぬという問題が起りますけれども、それだからといって、前に政府出し法案が、これは予算が出ている関係上直ちにむだになるものではなかろう、かように考えております。
  49. 滝井義高

    ○滝井委員 ちょっと……。さいぜんの大臣答弁に疑問の点が一、二ありますので、関連してお尋ねいたしたいのです。大臣は、六月暫定予算出したときに——政府としては、四月、五月の暫定予算出したときに二カ月の補助金延長法案出したから、従って当然六月にも一カ月延長法案を出すべきであった。しかるに、政府の方針としては、本予算出したので、従って残りの十カ月分を同時に出した。ところが、暫定予算を一カ月分出すということになると、重複するので、これが一つ工合が悪かったということと、それから時間的な余裕がなかった、こういう御答弁でありました。従って、国会の方でそういう意思があれば出して下さい、私の方は賛成でございます、こういうことなんです。そこで私お尋ねしたい。この法律案国会に出たのは十九日なんです。それから、大臣予算委員会暫定予算提案理由を説明されたのは十七日なんです。そうしますと、もし政府意思で六月の暫定予算出したときに一カ月のものを出すべきであったというのならば、これは時間的な余裕がないとか重複とかいう問題は起らなかったはずです。それを、今になって大臣が重復するとか時間的余裕がなかったと言うことは、これはどうも答弁にはならないのですよ。この点は大臣どう御答弁されますか。答弁にならないので、まず第一にこれをお尋ねしたい。大臣、それは信念を通さなければいかぬのです。
  50. 森永貞一郎

    森永政府委員 技術的な面にわたりますので、まず私からお答え申し上げたいと思います。政府といたしましては、四月に一カ年間補助金打ち切りを延期する内容を含んだ本予算提出いたしたわけでございまして、この予算に伴う法案を準備いたしておりまして、それを五月十九日に提出いたしましたことは、ただいま御指摘の通りでございます。その場合に、五月十七日でしたかに暫定予算外を提出するのだから、その際に、五月に成立するかしないかという問題を考え措置をすべきであったという御意見に拝聴いたしたのでありますが、私どもといたしましては、一年間延長という法案をすでに出しておりますし、その法案暫定予算の始まる前に成立を見るというような場合を実は期待しないでもなかったわけでございまして、これもまた一つの方法であるわけでございます。しかし現実にはそういうことは期待できなかったわけでございます。従いまして、この一年延長法案につきまして、本予算の成立前に急遽御審議を願うということは非常に無理な状態になって参りましたから、そこで、委員会の御意向として暫定予算外の一カ月分だけをとりあえず延ばすということにすベきではないかという御意見に私ども同感の意を表する、さような考え方になってきたわけでございます。この間の事情は、ただいま申し上げましたようなことで御了承願いたいと存じます。
  51. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、今の主計局長の御答弁は、六月暫定予算のときに出すべきであったということの答弁にはならない。あくまでもそれは後の情勢の変化のためにこうなったのであって、今までの提案理由その他から見て、政府が本予算を出すことをきめたので、従ってこれにタイアップしていわゆる十カ月の補助金の延期法を出してきた、一貫してこういう説明であった。ところが、きようになって、大蔵大臣が、突如信念を変更して、突然変異的に、六月の暫定予算を出すときに出すべきでありましたという答弁をすることはおかしいのです。しかも国会提出をされたのは暫定予算の出た後の十九日なんですから、ますますおかしくなってくる。森永主計局長答弁大蔵大臣答弁とはどうも違う。森永さんの答弁では、まあそういうことも考えたが、情勢の変化でこうやらざるを得なかった、こういうことになっているのです。大臣、そうなんでしょう。だから、そういうつもりはなくて、情勢の変化でやむを得ずこうなりましたと言うのがほんとうじゃないですか。そうならそうだと一つはっきり言ってもらいたいのです。
  52. 森永貞一郎

    森永政府委員 一年間延長法案出しまして、これが五月の末に成立をいたしますれば、それも一つの方法であるわけでございます。しかるに、その後の情勢の推移によりまして、これはとうてい不可能でございます。そうなりますと、やはり六月暫定予算に伴いまして、六月一月分だけ延期をしなくちゃならぬということに情勢が変って来たわけでございまして、先ほど大臣がおっしゃいましたのも、現下のこういう事態に即して六月まで延長法案を出すべきである、そういう意味におきまして同感の意を表された、さように私は了解しているわけでございまして、大臣答弁と私の申し上げましたこととの間には何ら矛盾がないと存じます。
  53. 滝井義高

    ○滝井委員 いま一つ大臣にお尋ねしたいのですが、少くともこれを十カ月延長することは閣議の了承を得て来ているはずだと思うのです。ところが、こういう大事な法案について、大臣は、閣議の了承も何も得ずに、この委員会で、一カ月延長に全く同感でございますと、きわめて独断的に賛意を表されたのです。これは私重大だと思うのです。少くとも、法案出してくるからには、閣議決定をして出してきているはずなんです。その大事なものに対して、これは一カ月の法案で、自由党ではあとの九カ月ということについてはまだ何ら意思表示をしていない。一カ月についてだけ賛成であって、残りの九カ月のものについてはまだノー・コメントです。従って、今あなたの賛成に松野さんの方から同意をすると言われたのは、一カ月の法案について同意したのであって、残りについてはまだ同意していないのです。そうしますと、これは全く政府出したものとは違った意思として国会に出す形になるのです。だから、残りの九カ月についてはまだ不確定のものなんです。われわれはそう考えますが、大臣はそうお考えになりませんか。
  54. 森永貞一郎

    森永政府委員 政府といたしましては、予算の内容にマッチいたしました補助金打ち切り一カ年延期をお願いすることは当然でございまして、その意味において、政府出しました法案につきましてはぜひとも御賛成をお願いする立場におるわけであります。ただし、国会審議関係上、今直ちにこの一年間延長法案についての御審議が完結をいたさないわけでございまして、その間法律上支障のある事態がいろいろ生じてくるわけであります。その意味で、この一年間延長ということの一部分と申しますか、とりあえず一カ月だけ暫定予算に合わして延ばすということでございますから、これには私どもといたしましてももちろん同感であるわけでありまして、一年間延長法案につきましてはまたあらためて御審議を願える、さように承知いたしまして、とりあえず一月延ばすことに同感の意を表しておるわけであります。
  55. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、今のような御答弁になりますと、あなた方の方の方針としては、ぜひ一年間のものを通してもらいたい、しかしまあそれが工合が悪いので一カ月に賛意を表した、こうなりますと、法律案が二つかかることになって、あなたの方から出ておるものとわれわれの一カ月の——議員提出で出すかもしれませんが、そういうものとが重複するところが六月については出てくる。それはどうするのですか。
  56. 井手以誠

    井手委員 議事進行について。私は委員長にお願いしたいのですが、これは非常に重要な段階に参っておりますので、法案審議内容に至りましてはこれは大臣一々知るわけではありませんので、政府委員あるいは説明員からでもけっこうでございますが、事国会内閣の問題になりますれば、やはり国務大臣答弁が必要であると感じておりますので、以後委員長は、この根本問題については大臣から答弁なさるように一つお進め願いたいと思います。
  57. 伊東岩男

    伊東委員長 了承いたしました。
  58. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣、今森永主計局長の御答弁もあったように、政府としては、本予算出しておるので、その方針に従って当然十カ月の、来年三月三十一日までのものをやってもらいたい。ところが、聞くところによると、大臣もさいぜん一カ月のものに賛成された。そうすると重複する面が出てくるのです。これはどうなるかというのです。
  59. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答え申しますが、重複してはならぬでしょうから、重複をするところは修正をすると思いますが、これは私よりも法制局長官に一つ答弁をさせます。
  60. 林修三

    ○林(修)政府委員 その点は、実は私先ほどもお答えしたつもりでございましたけれども、初め政府案が出ております。これは御承知のように来年の三月三十一日までこの法律の施行期間を延ばすという法案でございます。今ここに別の法案が出まして、とりあえず暫定予算の期間と合せて法律を六月三十日まで延ばす、こういうことになると、その六月一日から三十日までの分が重複するではないかというお話でございます。これはもちろんそういうことに相なります。従いまして、政府案について御審議を願っておりますが、これを御議決願います場合には、今国会の方で御提出になろうとする法律案が成立しました暁におきましては、これはそのままではいけないわけでありまして、その附則の第十項でございますか、その中の、政府案は昭和三十年五月三十一日ということを前提として出しておりますが、それが六月三十日に変るわけでございますから、六月三十日というふうにもとの法案を直さなければなりません。これはやり方はいろいろあると存じます。国会で御審議の過程で委員会で御修正になるやり方もございましようし、あるいは別の国会からお出しになりました法律案が成立した後におきまして、政府がその点だけ修正の手続をとる、そういう手続もあろう、かように存じておるわけであります。
  61. 井手以誠

    井手委員 そういう御答弁では納得できません。ただまい法制局長官の御答弁大臣はお聞き及びでございましょうが、内容が違ってくる。政府提出のものと内容が違ってくれば、修正その他の方法を講じなければならぬということを長官はおっしゃったのであります。そうしますると、この際一カ月に御同感でありますならば、いさぎよく撤回する御意思はありませんか。その方がすっきりしていると思う。その方がいいのですよ。私はいろいろ質問いたしますが、まずその点を伺いたい。
  62. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 本予算出しております。この一年のものを撤回する考えはありません。
  63. 井手以誠

    井手委員 それは、見解の相違もありましょう、解釈の相違もありましょう。しかし、いま少し大臣答弁は、反対なら反対、賛成なら賛成とみんなにわかるように御答弁願いたい。こういうこともありますよ。政府は一カ年の延長案を出した、国会においては、あるいは多数になるでありましょうけれども、一方で一カ月の法律案を出す。そうしますと同じ案件が二つになる。この点は御存じであろうと思いますが、一カ月のものが議決されれば一カ年のものは議決を要しないことになります。あなたの力は一カ年、国会は一カ月、こういう二つの法律案審議された場合に、審議だけはけっこうでしょう。同時審議はかまいませんけれども、一カ月のものが議決された場合に、それと異なる一年のものは廃案になるはずでございます。そういう事態、それはいろいろ理屈、へ理屈もつけられるかもしれませんけれども、それじゃ通りませんよ。それよりも、むしろ、あなたが松野委員意見に対して同感でありまするならば、この際明日も国会はあるわけでございますから、いさぎよく撤回なさることが内閣としての行き方であろうと考えるのであります。
  64. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は撤回する考えはありませんが、法律問題ですからこれは法制局長官からよく説明をさせます。
  65. 井手以誠

    井手委員 もう一つ大臣に伺いますが、六月の暫定予算に合うように一カ月の法律改正案についても同感であるとおっしゃっておる。そうなりますると、あなた方当局の考え方は、予算が主であって法律が従という立場になることを、私は非常に心配するのであります。憲法の第七十三条の第一号に、内閣法律を誠実に執行するということが書いてある。これはいつも言われることである。法律ということは、これはもう三月三十一日で済むぞということの法律であります。あるいはすでに延ばされたのであるから五月三十一日までだということの法律でございます。これによってあなた方が予算を組んでいかれる。日にちがないならばあるいは同時審議ということもあり得るかもしれません。ところが、何よりもほんとうの筋道は、法律案を改正し、法律になったものに基いて予算を組んでいくことが正しい行き方である。これはいかにおっしゃろうとも、法制局の建前だと思う。今まであなた方のおっしゃることを聞いておりますと、予算が第一である。予算に合うように法律を作っていく。それじゃ予算——まだ一カ年延長とかいうのは法律ではごございません。法律案ですよ。しかるに、政府は、予算がどうだからとか、予算が六月まで暫定予算だからこれに合うように法律案を出す。それは逆でございますよ。それでは法律を誠実に執行するという内閣の責務にもとります。一つその点をもう一度御答弁願いたい。
  66. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 法律予算を食い違いのないようにするために御審議をお願いしておるということにあると思うのですが、これは先ほどから法制局長官がいろいろと説明しておりますが、さらに法制局長官からお答えいたさせます。
  67. 林修三

    ○林(修)政府委員 実は今井手先生のおっしゃいました法律予算関係でございますが、井手先生のおっしゃいますように、昨年のこの委員会においても、どちらを先にすべきかという点についていろいろ御議論がございました。もちろん、普通の考え方からいえば、まず法律があって、それに基いて予算を組むというのが建前であろうと存じます。ただしこれは、従来の慣行から申しましても、やはり予算の編成の時期、あるいは予算提出の時期、あるいは予算が成立をする時期、あるいは国会の今期ということから考えまして、実は予算とこれに関係する法律案ほすでに同時に御審議を願っておるわけです。そしてこれもまた一つのやむを得ない方法だと実は思うわけです。従いまして、要は国会の御意思予算法律が矛盾しないようにしていただくということにあると思うのです。予算の成立の過程におきまして法律案も提出して、同時に御審議を願って、でき上った法律予算が矛盾しないようになる、こういうことが政治の要諦であると思います。その過程においてどちらを先にするかということは、いろいろ御議論があることだと実は思うわけでございます。しかし、今の国会の会期とか、予算編成の時期とか、そういうことからやむを得ないことじゃなかろうか、最後の締めくくりにおいてそれが矛盾しないようになることが最も必要なことだ、そういうふうに思っておるわけでございます。これは従来からの慣行がそうでございますし、今度も、そういう意味で、実は並行して御審議をお願いいたしておるわけでございます。  これは蛇足かもわかりませんが、先ほど主計局長も申し上げましたけれども、本予算に伴いまして実忙法案出しました。結局やはり法案がまず先に成立するということも当然予測し得た。そういう意味で実は一カ年の法案を同時に出した。ところが、審議の過程において、それがどうもむずかしいということで、今暫定予算に合せるものを成立させよう、こういう方針でございます。それには賛成だということを申し上げたもの、だと思うわけでございます。繰り返しになりますけれども、御説明申し上げます。
  68. 井手以誠

    井手委員 ただいま長官の話によりますと、並行審議をすることはやむを得ない。これは私もわかるのですよ。賛成じゃありませんけれども、話はわかります。それならば、同時に審議をしておる予算案と法律案を、ずっとこのままで審議をしていいはずのものです。本予算を今審議中でございますよ。だからあなたの方も今法律案を一緒に並行審議をさせることは不法ではない。これはわかるのです。ところが、あなたの方は一カ年間の延長案を出された。その信念で出されたのなら、そのまま審議していくことがほんとうの行き方だろうと思うのです。予算が一カ月特定になったから法律案もそうするというなら、逆じゃございませんか。予算が主になるわけじゃございませんよ。あなたもおっしゃいますように、建前は、法律ができて、それに基いて予算が組まれていくことが正しい行き方だ。しかし、今までの慣例であるとかあるいは会期の都合で、やむを得ず予算案を並行して審議させることがある。それはわかるのです。だからその後ずっと審議しているじゃございませんか。ところが、片一方においては六月の暫定予知を組まなければならない。予算に合うように法律案も改正しなければならない。それに私は同感でありますけれども、それはいいことですか。
  69. 林修三

    ○林(修)政府委員 本予算政府出しました法案を並行して御審議を願うことは今おっしゃった通りでございます。ただ、御承知のように、この本予算は五月に成立しませんで、六月は暫定予算で行かざるを得ない状況であります。従いまして、六月に入りますと、今度おそらく成立いたします予定の六月の暫定予算ということになります。法律の方は、それで参りますと、五月までにこの法案が成立しておりませんと、暫定予算法律関係が矛盾いたして参ることに相なる。従って、政府出しました法律案がそのまま成立がお願いできるとすれば、それに越したことはないのでございますが、しかしながら、まだ本予算に対する意思もきまらないうちに、一年間延ばす法律案について直ちに意思を決定するわけに行かないという御趣旨で、六月分の暫定予算をここに成立するのと同じような趣旨で、ただこれに合せるべく法律案提出になる。これは政府としても何ら反対すべき筋はないわけでございます。つまり、予算法律案は、どちらがどちらと矛盾してもいけないと思うわけでございます。同時に御審議を願って、同時に六月暫定予算が執行できるように、法律の状態もそれと同じように矛盾しない状態になる、こういうことが必要であると思います。そういう意味で、ただ六月じゆうだけこれを延ばすというのを暫定予算に合せて御提出になる。これは政府として何ら反対すべき筋もないと思います。
  70. 井手以誠

    井手委員 国会のきめることに対して内閣がどうということはないでしょう。建前としては、あなたもおっしゃるように、法律案が先に成立することが望ましい。こういう建前でありますが、その建前の通りですよ。一カ年の延長審議してもらうことが当局としての希望であると私は思う。一カ月の延長で賛成だとあなたのおっしゃることは、少し矛盾しゃせぬかと思う。一カ年間延長したいという内閣意思に対して、それをずっと審議している。少しおかしいところがありますけれども、やむを得ないものとして並行審議をしておるならば、一カ年延長審議をしてはどうですか。あなたの方は一カ年、一部の与党その他は一カ月だという。法律が先にできることが望ましいものでありますならば、まず一カ年延長法律ができることに努力すべきが必要ではないか。一カ月のものでよいということなら逆であります。これは修正案ではありません。ここに出そうとするのは法律案でありますから、その点を間違いないように願いたいと思います。
  71. 林修三

    ○林(修)政府委員 今井手先生のおっしゃいます通りに、本予算はなお衆議院で審議中でありますから、この法律案を継続して御審議を願うという建前であろうと思います。ただしかし、六月の暫定予算外が一方でやむを得ないものとしてできるわけであります。従いまして、六月じゅうの処置につきまして、それに合せるべく、法案とは別に国会で御審議をいただく。これはあるいは政府提案する方法もございます。しかし、今大蔵大臣答弁いたしましたように、そのいとまがないから、国会が御提案になることについては異議がなくて同意を申し上げるということでありまして、何らそこは矛盾しないと思うわけであります。
  72. 川俣清音

    川俣委員 関連してちょっと法制局にお尋ねいたします。今議員が提出しようとする法律案とこの出ている政府案とは同一の案件と見ますか、違う案件と見ますか、はっきり返事をして下さい。
  73. 林修三

    ○林(修)政府委員 これは私違うと思います。
  74. 川俣清音

    川俣委員 そうしますと、この委員会に付託されているのはこの法案だけで、違う法案審議はこの委員会に付託されておりませんから、その点御承知願えるでしょうね。
  75. 滝井義高

    ○滝井委員 関連して大蔵大臣にちょっとお尋ねします。大蔵大臣は六月一カ月の案については御賛成ですね。従って、それに賛成することによって、政府出している来年三月三十一日までの延長については、現実には反対の立場をとっておられる。そうでしょう。現実には十カ月については反対の立場をとっておられるのでしょう。そこをはっきりして下さい。
  76. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 反対ではありません。
  77. 滝井義高

    ○滝井委員 現在六月の暫定予算に見合う補助金の特例法の一カ月の延期については異議ありません、こういうことなんでしょう。しかもあなた方は十カ月でなければならぬ、こう言ってきた。ところが今は一カ月でよろしゅうございます、こう言っておるのですから、十カ月でなくてもよいということです。反対という言葉はちょっと強過ぎます。あくまでも十カ月でなくてはならぬということにしておるならば、一カ月には反対でなければならぬ。だから現在の情勢では十カ月でなくてもよいということなんでしょう。
  78. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はそう思いませんで、来年三月末までの延長、そのうちの六月分というふうに考えております。
  79. 滝井義高

    ○滝井委員 あなたの方は十カ月の中から一カ月取り出したものだ、こういうお話なんです。ところが、松野さんあたりの意見はそうではないのです。十カ月の中の六月の暫定予算が通っておるから、その一カ月だけについては政府は出すことを認めよう、もう予算が通ったから認めよう、しかし、あとの残りの九カ月については、まだ予算も通っていないし、われわれの態度も明白でないから、その後の問題についてはヘンディングの問題として残しておく、こういうことなんです。だから、大臣考え方と松野さんあたりの考え方とは違うのです。この点の認識をはっきりしておかないと困る。だから、あなた方は、あくまでも十カ月分だからこの撤回はしょうとしない。今のように、それは委員会修正してもらうか、あるいは適当な修正をやります、こういうお話なんです。ところが、われわれの方では、少くとも一カ月が出れば、これは撤回をして新しい法律になってこないと、十カ月じゃない。次に出てくる法律は、九カ月の、内容の違ったものになってくるのです。そうでしょう、大臣。この次あなた方が出すであろうものは、あるいは委員会修正してでも、それは九カ月のものになるのです。十カ月のものではない。これは違うのです。もし十カ月のものであるならば、これは一事不思議の原則に当てはまって、大へんなことになる。だから、内容が違ったものになってくるはずなんです。だから、大臣どうですか。現状においては、これはなかなかむずかしいところなんですが、一カ月については賛成するのだけれども、十カ月のものについては政府は今こだわらないのだ、こういうことだと思うのです。そうならざるを得ないはずなんです、あとの九カ月の意思については、われわれは、おそらくあとから出る法案については違った考えを持っておりますから。大臣、そうじやないですか。これはさいぜん松野さんといろいろやり合いましたが、私はそうだと思うのですが、大臣は、あくまでも、それは十カ月であって、一カ月というのは便宜のためにちょっと切り離しただけだ、こういうことなんですか。
  80. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そうではないと思いますが、なるほどむずかしい法律問題のように思いますので、法制局長官にやらせていただきたいと思います。
  81. 林修三

    ○林(修)政府委員 今滝井先生からのお話でございますが、そうは簡単にはならないのじゃないかと思っております。やはりこれは国会の御意思として六月の分だけまずきめてやろう。そのあとの分は実はまだきまっておらないのであります。従って、政府の方でも、それはどうでもよろしいという御趣旨ではないのでありまして、政府のきめた意思というものは直ちに変ったわけではございませんので、それはまたそれで御審議を願いたい、予算とご並行して御審議をお願いしたい、こういうことだと思います。たた、六月については直ちに暫定予算ができる、六月一日からこの法律がないと法律予算が矛盾して困る、そういうことで至急六月分についての処置をつけてやろう、こういう御趣旨だと思いますから、何ら矛盾はないと思います。  それから、先ほど川俣先生がおっしゃいましたが、この特別委員会補助金等の整理等に関する議案を審議するのでありまして、この点は矛盾はないと思います。
  82. 滝井義高

    ○滝井委員 そうなると、今政府意思は、十カ月のものをやってもらいたいのだが、とりあえず、予算暫定予算だけ成立したのだから、その一カ月だけは賛成でございますとなると、さいぜん言ったように、重複する分はどうなるのだということになるのであります。重複する分は、あなたの方が委員会なりその他成立のあと修正でもしたらよいだろうということです。そうなると、大体だれがやるのかということです。そうなると、政府は、そういう暫定予算について、一カ月分も御賛成なんだから、ここであっさり撤回をして、九カ月分のものを出してきたらいいのです。十カ月のものをあくまでも政府が固執するならば、重複したものをこの委員会はどうするのかということになる。そこが私はわからない。
  83. 林修三

    ○林(修)政府委員 今おっしゃいました点は、先ほど私がお答えしたと思いますが、これは実はいろいろ方法があろうと思います。これは、委員会におきまして、政府原案の御審議をお願いする過程におきまして、さらに御修正下さるという方法も二つの方法でございます。しかし、新しい法律ができて、それが成立した暁においては、政府の方で修正措置をとる、あるいはその際に撤回をして再提出するという方法もないことはございません。しかし、そういう措置をすることは普通はないのじゃないか、政府修正措置をとれば、それでよいのではないか、さように考えております。
  84. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、政府は今一カ月延ばすことに賛成されたわけですね。全く同感であるというから、賛成なんでしょう。そうすると、賛成の立場をとった人が、あなたのように、いろいろやり方があるとかなんとか研究する必要はないのであって、どうせそれは成立させなければならぬ法律だとするならば、いさぎよく撤回をされて、今度は九カ月のものを出しますと言明できないことはないでしょう。それを言明したならば、何か重大な支障を来たす面がありますか。
  85. 林修三

    ○林(修)政府委員 これは、いろいろ政策的にお考えをいただく点はあると思いますが、法律的に申せば、実は方法はどれでもいいわけでして、どうしなければならぬというものではないのであります。先ほど申しましたように、国会における御審議で御修正を願うということも一つの方法でございます。それから、政府案を修正する手続は、実は、この法律が成立しませんと、政府がやるのはおかしいのでありまして、まだ議案を提案しただけで直ちに撤回したり修正したりすることはおかしいと思います。この法律が成立した暁におきまして、政府が原案を修正するという手続をとればいいのではないか、かように考えるわけであります。
  86. 滝井義高

    ○滝井委員 大蔵大臣にお尋ねします。あなたは今一カ月御賛成下さいました。一カ月のものについては、暫定予算のものについては異議ありません、私も同感だとおっしゃいましたが、もしその一カ月が成立されたら、今度は政府みずからが御修正をして出されますか。
  87. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは十分研究した上で考えなければならぬと思います。特に法制局で十分研究さしてみたいと思います。
  88. 井手以誠

    井手委員 法制局長官に一点伺いたいのでありますが、御存じのように、この法律は時限立法でございます。時限立法であることは御承知通りであります。一年間は必要であるということで法律になっている。そこで、三月三十一日ですか、これが二カ月間延長された。今度また一カ月の延長に賛成なさろうとする。時限立法というものは、次々に延ばされるような性質のものではないと私は思う。暫定予算が、また七月にも暫定予算、八月にも暫定予算。それはないかもしれぬけれども、理論的に、この期間だけが必要であるといって、この時限立法を次々に延長していくということはおかしゅうございませんか。どうですか、長官。
  89. 林修三

    ○林(修)政府委員 昨年この法案が出ました際に、国会の御意思として、これは一年間だけにするという御意思でされたものであろうということは、御指摘の通りだと思います。しかし、それは、やはり昨年における情勢によって一年限りにしようという御意思だったのだと思うのであります。これは、本年は本年の事情によって、またさらに一年間延ばしていただきたいという政府提案趣旨でございます。そこで、今おっしゃいましたところの、時限立法というものをそうむやみに延ばすのはおかしいじゃないかという御趣旨でございますが、これは、いろいろその事情によって異なると思うのであります。法律趣旨からいえば、成立さしたときには、ほんとうに一年間しかやらないという趣旨のもので時限立法はできておると思いますが、その後の客観情勢の変化によってさらにこれを二年延ばし二年延ばすということは、これは実は、ざらと申しては何でございますが、幾らでもあるのでございます。御存じのように、国際的供給不足物資等の需給調整に関する法律、あるいはその前身の臨時物資需給調整法、あのときのものは、すでに毎年一年間ずつだけしか執行期間はきまっておりません。毎年、そのときになりまして、さらにそのときの情勢を勘案いたしまして、さらにもう一年延ばす必要があるということで、一年々々延ばして参っております。そのほかにも一年々々延ばして参っている法律は租税特別措置法にもいろいろございまして、毎年、そのときの情勢判断で、さらに延ばす必要があるかないかということを判断する余地を残す意味において、時限立法にされている、こういうものもたくさんあるのであります。そういう意味におきまして、やはり国会がこういうことを御制定になりましたときの御趣旨、その後の事情、特に本年度における客観情勢、こういうものを勘案して、総合的に判断すベきものであろう、一がいには申されない、こう思っております。
  90. 井手以誠

    井手委員 長官、それはおかしいですよ。私は何回も繰り返そうと思わないけれども、この前の小笠原大蔵大臣は、当分の間、これは大体三カ年でございます、こういう話でしたよ。その当時の審議の場合に、今後の国の財政が急に豊かになる見込みはない。これはみんな一致した見解でございました。軍備を進めていけば苦しくなるのは当りまえです。その事情承知しながらも、多くの補助金に関する法律は必要である、こういう建前から、政府がそういうならば、せっかくだから一カ年だけは認めよう、政府は三カ年と言うけれども、一カ年に限って認めてやろうじゃないかという多くの意見で、あれは通ったのです。ほかの法律のように、重油の輸入の法律のように、次々と延ばすものとは違う。政府意思は三年だったが、国権の最高機関である国会では一カ年に限定した。あなたよく知っておるはずですよ。だから、法律を忠実に制定施行する内閣責任としては、打ち切るのが当りまえです。情勢の変化はありません。苦しくなるのは当時から予想したところです。これについてはいろいろあなたもへ理屈があるでしょうから責めませんが、そういたしますと、私は大臣に一番この際伺いたいのは、内容の異なった法律案が今度出てくる。そして一方は議決されて、一方は議決を要しないことになる。廃案となります。廃案とされるよりも、政府は撤回された方がいいんじゃないかということを私は先刻来申し上げておる。一事不再議ということは御存じでございましょう。修正であるならばともかく、これは撤回された方がいいんじゃないか、これを申し上げて打ち切ります。
  91. 林修三

    ○林(修)政府委員 今の点は多少法律的な問題でございますから、私から御答弁いたします。今おっしゃいましたように、この法案は、題名は同じでありますけれども、内容は違っておると思います。その趣旨も違っておると思います。今一事不再議の原則をおっしゃいましたが、こういうものについては、今おっしゃいましたような二つの法案がかりに出ました場合に、それには一事不再議の原則は適用されないと私は考えております。それで、政府考えといたしましては、これは国会のお考えもあるとは思いますけれども、少くとも、法律的には、一事不再議の原則はこういうものに適用すべきものではないと思います。従いまして、政府法案は直ちに廃案になる、かようには考えておりません。
  92. 川俣清音

    川俣委員 私二問だけ簡単に質問いたしますが、大臣に質問する前に法制局長官にお尋ねしておきます。ただいまのに関連した質問ですが、期限の変った分だけでも別な法案であるというのです。私はこれは実際は修正だと思いますが、変った法案だ、こういう解釈ですね。
  93. 林修三

    ○林(修)政府委員 ちょっと御質問の御趣旨がはっきりしなかったんでございますが、形式的に申せば、別の法案だということは、おっしゃった通りであります。修正ではない。実質的にはあるいはそこにいろいろ議論があると思いますが、形式的にはそうであります。
  94. 川俣清音

    川俣委員 形式的に間違いないとしますれば、今度政府提案が期限のところを修正されることも別の法案だ、こう見てよろしゅうございますか。
  95. 林修三

    ○林(修)政府委員 これは、形式的に申せば、政府がもし修正の手続をとれば、政府提案した法案の一部修正国会法の規定によってやりますので、新しい法案ではございません。これは形式的に申し得るのであります。
  96. 川俣清音

    川俣委員 形式的にはやはり修正だということになるでしょう。本質的に違うというならば、やはり政府の一部修正も本質的には違わなければならぬ。あなたはあまりこれだけを通そうと思うから無理が出てきます。これからいろいろな政府提案が出た場合に、公布期日を変更するとか、附則を変更するものが出てきまして、国会審議には混乱します。よほど法制局は気をつけてやらないといけない。そういうことの混乱を起させないことが法制局の任務である。通す通さないということは法制局の任務じゃない。国会審議を混乱させるような法制局長官は十分考慮しなければならぬ。
  97. 林修三

    ○林(修)政府委員 別にそういうことを言っておるつもりはございませんので、先ほど御質問がありましたのは、政府法案とは別に一カ月だけ延ばす法案が出れば、別の法案かとおっしゃいましたので、形式的には別の法案だと申したわけであります。今度は、政府が法が通ったあとに一部を直すのは修正か、別の法案かとおっしゃいましたから、これは形式的には修正でございます、そういうことを申し上げたのであります。内容には触れませんで、実は形式的な面だけお尋ねだと思いまして、形式的な面を申し上げたのでありまして、御了承を願いたいと思います。
  98. 川俣清音

    川俣委員 了承しない。大体意見がまとまったら、国会審議あとさしつかえないように処理していくのが法制局の任務だと思う。それをこの法案を通すために取り計らうという考え方が間違っておる。もうよろしい。時間がないから次に移ります。今お開きの通り、この法案の取扱い方によりまして、将来いろいろな法案の問題に非常に影響するところが大きいから、大臣は、この問題について、もう一度将来に悪影響を来たさないように考虚になられますか、この点お伺いいたします。
  99. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはいろいろと考慮いたします。
  100. 川俣清音

    川俣委員 次に、農林関係補助金のところでお尋ねしたいと思います。農林大臣の指定する農薬があるのですが、大臣の指定というものは行政権だと思うのです。大臣いかがお考えですか。
  101. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 あるいは解釈が間違うかもしれませんが、農林大臣が指定されるなら行政権のように思います。
  102. 川俣清音

    川俣委員 そうすれば、行政的にやれるものまでも、あえて法律を今作り直さなければならないということはないでしょう。
  103. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私、農林大臣が指定するということだけ聞きまして、どういうことか内容がわかりませんでした。
  104. 川俣清音

    川俣委員 今度の法律の中に、農林大臣の指定する農薬に対しては今まで全額補助しておったのを、今度は二分の一にする、こういうわけなんです。別な言葉でいえば、農林大臣が指定しなければ補助しなくてもよろしいのです。指定したものだけが補助の対象になる。従って補助しないと思えば指定しなければいい。問題を起してまで一体法律に加えなければならないか、疑問なんです。行政的にできるものまであえて今法律を作らなければならないか。予算の節減だとしますならば、大臣が指定しなければいい。指定したものに対して補助する。指定しないものに補助はできない。指定させなければいいじゃないか。大臣どう思いますか。
  105. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。政府委員から一つ答弁させていただきます。
  106. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 家畜伝染病予防法の関係には、ただいま川俣先生のおっしゃるように、六十条に全額国の負担とすると書いてありまして、その中に、薬品につきましては「農林大臣の指定する薬品」、確かにこうなっております。もしこの指定する薬品の中に入りませんと、どういうことになりますかというと、われわれの趣旨は、全然負担をしないというのではありませんのでして、家畜伝染病の中で寄生虫だけにつきましては、受益者負担の関係もありまして、二分の一の負担をしようというわけでございますので、指定する対象としては指定いたしますけれども、その補助率を下げようというわけでありまして、指定の関係で調整できないわけです。
  107. 川俣清音

    川俣委員 委員会を少しなめています。現に指定しない薬品でも幾分補助しているのです。あなた方実際補助を出しているじゃないですか。ただ、指定すると全額になる。指定しない場合は大蔵省との協議による認定で補助をしておられるのです。一つもやっておられないわけじゃない。やっておるのです。ただ、指定するとあなた方は全額の義務を負わされる。ほかは行政的にやっておられるのです。できなくなるというようなことはありません。今三百幾つの補助金法律がなくたってやっているのです。指定しない場合は、補助率を二分の一、三分の一にしてやっておられるじゃないか。それは行政的にできないことじゃない。私はその点を聞いているのです。法律がなければ全然できないということじゃなく、やっておるじゃありませんか。
  108. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 ただいま川俣先生のおっしゃられましたように、非常にテクニックを要しますので、全部はずして、法律補助から予算補助に切りかえてやることができないわけではありません。現在予算だけで補助をしている制度はたくさんございます。ただ、家畜伝染病関係の薬品については全額補助しろという従来の法律を忠実に執行するためには、指定する薬品を指定しないでおいて、それを予算補助に切りかえるというような、いわば一種の便法でやるよりは、われわれは、法律趣旨をこういうふうに変えていただきたいということを堂々と国会審議していただいて、それによってやるのが正当であろう、こういうふうに考えております。
  109. 川俣清音

    川俣委員 それは非常にけっこうなことです。それならば、今まで農林大臣の指定するような薬品は大蔵省との折衝を一度も認めておられないじゃありませんか。現にありますか。ないんですよ。実行しておられないじゃないか。農林大臣の指定で全額を補助するような薬品については、あなた方いろいろ文句が出ておって指定できてないじゃないか。法律を誠実に執行するなら、なぜ今までやらなかったか。もう一点ある。六月までに指定しなければならないようなものが今起きてきておりません。六月暫定予算からその点だけはずしてよろしゅうございますか。
  110. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 薬品の大蔵省との折衝につきましては、私直接の担任ではございませんので、その点は詳しく申し上げられないのは残念でございますが、この法律を忠実に執行するために、おそらく、大蔵省が文句を言っておるのは、その薬品が果してこの法律の期待しておるところの薬品であるかどうかということを忠実に検討しておられるからであろうと思います。それから、六月中には薬品の指定がないとおっしゃいますが、法律の建前といたしましては、これは、現実にあるかないかというよりは、その可能性がございますれば、法律に反するような事態が起らぬようにいたしておく必要がございますので、その意味からこの六号につきましての一カ月の延長をお願いしたわけでございます。
  111. 川俣清音

    川俣委員 今まで現に法律があっても予算上の処置でなかなか承諾しておられないのです。それだけのものを今なぜ急に法律をもって変えなければならぬか。この法律は朝令暮改なんです。それほど法律に対して忠実に予算を執行しようというなら、今までに出しておられてもいいはずじゃないか。いろいろ新薬が入ってきて補助したいということで申請があるけれども一つとしてあなた方認めておられない。予算の節約の上から認められないことは必ずしも私は反対しません。法律を変えなければならぬほどこの法律を使っておられたならば、変えなければならぬが、使っておられないで変えなければならぬということはおかしいじゃないですか。これがあるために予算が膨大になったというならば、これは別問題です。補助金の整理であって法律の整理じゃないでしょう。大蔵省法律の整理のつもりで出したのですか。補助金の整理のつもりでしょう。今まで出しておられないんだから……。
  112. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 今まで出しておらないという御主張でございますが、少くとも、私どもといたしましては、この六号の薬品補助金につきてましては、全額を二分の一にいたしますと、約四百万円ばかりの節約になるという数字が出ております。これは大きな数字でないかもしれませんが、やはり法律予算とを一致させてやるという建前をとりますと、われわれにとっては非常に大事な処置なのでございます。
  113. 川俣清音

    川俣委員 その四百万円というのは、おそらく補助金全部を入れられたと思うのです。全額国庫負担の分じゃないと思う。それはあなたの方で間違っておりますよ。間違っておったらどうします。この法律修正に同意しますか。
  114. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 補助金の全額だ、こういうお話でございますが、私は、この表につきてましては、表を作りました者を信用いたしております。しかし、川俣先生がもう一度確かめろという御意思であれば、私は確かめますが、確かめてみたところで、法律を改正するという問題とは全然別個だ、こういうふうに存じます。
  115. 川俣清音

    川俣委員 私が聞いておるのは、補助金整理のために出されたのでしょう。法案整理のためじゃないでしょう。こういう点です。従って、全額国庫負担のために四百万円も出たというならば、これは整理の対象になるでしょう。出されておらないものは対象にならないでしょう。こう言っておるのですよ。
  116. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 私が今申し上げたのは、少し言葉が足らなかったかと思うのでありますが、この家畜伝染病予防法関係の六号の薬品費補助、これは普通ならば全額でございますが、この中で寄生虫関係の経費だけは二分の一にする、他の伝染性疾患についての薬品は従来通りにするわけでございます。寄生虫だけは、予算関係で、積算しました資料によりますと、この特例法を出しませんければ通常七百五十八万二千円要る、こういうふうな計算を出しております。従って、この特例法によって二分の一にいたしますと、三百七十九万一千円が節約になる、こういうふうな計算に相なるわけであります。この七百五十八万二千円の根拠は非常にあやしいというふうに川俣先生がおっしゃるのだと思いますが、私が今申し上げました資料も分業で作っておりますので、予算係に確かめましてその数字を検討いたしますが、少くとも、委員会に差し上げる資料として出しておりますので、私としては正しいものと信用するほかない、こういうふうに申し上げておるのです。
  117. 川俣清音

    川俣委員 もう一点会計検査院にお尋ねいたしますが、きのうの答弁によりますと、防疫官が出張する場合にはいろいろのものを含めて出張する、なぜかというと、旅費節約の方針を政府がとっておりますから、この旅費節約のためにいろいろなものを含めて出張する。これは、あなた方会計検査院は、回って御存じでしょう。
  118. 小峰保栄

    ○小峰会計検査院説明員 ただいまの御質問でございますが、補助事業について会計検査院で全国を見ておりますが、実は手が回りかねる面が相当あるわけでございます。農林省関係だけで約二百五十種類くらい補助がございます。その中で、公共事業、たとえば土地改良とか災害復旧とか、こういうのが五十種類くらいございますが、これが金額にいたしまして約五百億くらいに上ります。従来は、大体これを中心にして、ほかのものはあまり見られなかったわけでありますが、昨年から残りの約二百種類、金額にいたしまして二百億円、一般補助と申しておりますが、この公共事業以外の補助にようやく検査の手がつけられるようになったわけであります。昨年は大体末端の農家に流れていく補助は約半分であります。二百億ぐらいのうち百二十億くらいがその種の補助であります。そういうものを大体重点に検査したわけであります。旅費とかこういうものは県庁なり何なりでお使いになればまず間違いはなかろう、こういうので、これははなはだ申しわけないのでありますが、実はよく見ておらぬというのが実情でありまして、御質問によくお答えできないのははなはだ残念であります。
  119. 川俣清音

    川俣委員 見ておられないというのですが、もしも、今大蔵省の説明するように、他の伝染病と区別して回らなければならないことになりますと、片方は二分の一、片方は全額民庫負担ですから、それで一緒に回った場合は会計法上どうなりますか。これは区別して支出されますね。そうすると、一方は二分一の補助の出張だ、こういうことで出張しなければならぬ、しかも行ってみたところが、伝貧であった。——これはたいへんな、むずかしいことが起るんですよ。会計検査院ではそういうようなむずかしい支出の仕方を承認されますか。そういうことは会計検査上どうも工合が悪いということになりはしないですか。調べないというのは、あなたの方の旅費なんかが少いから調べないのでしょう。だから、あなたの方だって、調べられる場合、ほんとうは何々が目的だけれども、それに関連していろいろなことをやっておられるのですよ。現に、主たる仕事はこういうものだが、ほかのこともついでにやっておられるでしょう。厳格に言うと、これはほんとうはできないわけです。会計検査院自体だって、ほんとうは、旅費が足りないために、ずいぶんやりくりしておられるじゃないですか。それをもっと明確にこの伝染病は全額あるのだが、寄生虫は別な補助だなんて、むずかしい取扱い方が会計検査院は実際上できますか。あなた方は実際地方をお歩きになって十分おわかりでしょう。そんなむずかしい区別ができますか。むしろ、会計検査の上から、そういう問題の起きるようなことは好ましくないということが出てこなければならぬと思うのですが、どうです。
  120. 小峰保栄

    ○小峰会計検査院説明員 今の家畜伝染病の旅費でございますが、これは全額国庫負担です。それから寄生虫の分は二分の一、昨年からこういうことになったわけであります。これは臨時になっておるわけでありますが、使う方の県庁では別な県の予算を組むわけであります。そして伝染病の分についてはまるまる国費がこれに出るわけであります。寄生虫につきましては、半分をプラスいたしまして、そして予算を立てるわけであります。使うのには別に区別しないわけでありまして、実際に防疫職員が行きますときには、旅費をその県の予算から支出する、こういうことになるわけであります。主たる仕事として伝染病のために出張いたしまして、たまたま寄生虫を見つければ、やはり寄生虫に対する手当もするわけであります。それから寄生虫の関係で出張いたしまして伝染病を見つければ、やはり伝染病の手当もする、こういうことになるのでありまして、それを一々旅費を区分するということは、実際問題としてはできないと思うのであります。御承知のように、農林省の予算にはいろいろな予算補助というのが非常に多いのでありますが、これなども、たしか過去三カ年間の実績を調べまして、それによって予算を組んでおるというふうに聞いております。それで、伝染病で出張したから寄生虫は見ない、実際問題としてはこういうわけにも行かないわけでありますから、その辺は主たる任務によって旅費の科目が違う、こういうことに扱っているわけであります。現に、昨年一カ年、片方は全額、片方は二分の一という国庫補助で、県では別に支障はなくやっていたわけであります。その辺で一つ御了承願います。
  121. 川俣清音

    川俣委員 その辺では大蔵省から頼まれて答弁しているだけですよ。あなた方は、そういう答弁で、実際地方へ行って会計検査ができますか。そういう会計検査はやっていないじゃないですか。ずいぶんやかましくやっているじゃないですか。実際その通り厳重にやられますると、結局は旅費の節約ですよ。あなた方だって旅費の節約をするものですから、会計検査院の規則通りやれないじゃないですか。やってますか。旅費が不足なために規定通りやれないじゃないですか。これが現実の姿じゃないですか。まあ旅費が少いんだから、こういう便法もやむを得ないといって見のがされていますか。どうです。十分な旅費ですか。旅費が節約されているために——これは会計検査院ばかりではない。ほかも節約されている。だから行政措置としてこれに応ずるのは私は当然だと思います。それだけにいろいろな便法か講じてやっておるじゃないですか。規則からいうとちょっとむずかしいようなことまであえておやりになって、それで旅費に協力されておるでしょう、そうじやないですか。会計検査院だけは旅費は十分ですか。
  122. 小峰保栄

    ○小峰会計検査院説明員 これは、どこの役所でも、決して使いたいだけの旅費の予算をもらっておるわけではございません。会計検査院といたしましても、旅費さえありましたら、もっともっと検査はできてる、こういう実情にあるわけであります。
  123. 川俣清音

    川俣委員 その通りだと思うんです。伝染病というのは、これは、きょう発生しても、旅費がないからやれないというようなものじゃない。応急処置をとらなければならぬ。そこで、片方は二分の一、片方は全額だというようなことになっているのは、総体の旅費の削減なんです。そんな区別はできてない。そんな区別ができてないから、総体では、片方は二分の一、片方は全額といいながら、法律をそのまま執行しないで、結局合せて一本にして旅費の節約をはかっているだけなんです。これが現実の姿なんです。支障なくなどということはありませんよ。現に国から行くところの旅費は、二分の一と全額で合せて総金額これだ、これに見合うところの出張ということになるのです。そうなりませんか。
  124. 小峰保栄

    ○小峰会計検査院説明員 おっしゃる通り、県では、これは経理が苦しいことだろうと思います。伝染病でありますと、旅費がないから出張はやめだというわけにも参りません。大体、農林省の予算は、先ほどちょっと申し上げましたように、過去三カ年の実績というもので平均して予算を組んでおるのであります。それから寄生虫の方は、伝染病に比べますと非常に金額は少いのでありますが、一割以下であります。具体的に申し上げますと、伝染病の方は三千九百万円余りの防疫の旅費があるのでありますが、寄生虫の方は二百万円くらいのものであります。非常に金額が小さいわけであります。二百万円に相当する同額を県がまた負担するわけであります。そうして一緒に経理するということになると思うのでありますが、これが十分ということはおそらくは言えないのじゃないだろうかと思いますが、これであながちどうしても絶対に不足だということもちょっと申し上げかねるわけであります。
  125. 川俣清音

    川俣委員 大蔵省にお尋ねしておきますが、要するに寄生虫などは開業医の世話になる方が多いんです、実際上は。だから、むしろ、寄生虫などについては、これは補助をやめてもいいんです。寄生虫などは、伝染病といったような性質のものに比べて、実際あいまいなんだから、伝貧であるかあるいは実際寄生虫によるものかどうか疑問なので、おそらくこれは寄生虫に対する補助があるんだと思う。そういうことから、二分の一にしようという考え方が私は全然わからぬわけじゃないのです。寄生虫などに補助するのはおかしいじゃないかという議論は確かにできる。ところが伝貧と区別がつかないというようなところがある。血液検査してみなければわからぬ、診察してみなければわからぬので、おそらく全額国庫補助の対衆の中に入れていると思うのです。そこで、行ってみたところが二分の一の補助しかとれない、寄生虫の蔓延であったということで、そのために旅費は半減される、こういう事態がおかしいじゃないですか。大きな金額であって、これが国家財政に大きな影響を与えるようなものだったら、これは私らも賛成します。もう一度修正する御意思はありませんか。大臣どうですか。
  126. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 十分考えてやっておるので、修正考えはありません。
  127. 川俣清音

    川俣委員 ほんとうに実情を知っている人は、寄生虫などの補助は要らないと言っているのです。本来であればこれは開業医で十分なんです。今の薬品は進歩しておって、補助などはほとんど要らないくらいです。事は他の伝染病に影響するためにやるのです。特に伝貧など起りますと、馬を屠殺するのです。殺しちゃうんですよ。何十万もする、農村にとっては唯一の財産であり、しかも愛馬であるものを殺すのですよ。それを旅費節約で簡単にやられたらたまるもんじゃない。もっとしっかり伝貧を検査してくれるなら、二百万円くらいだったら農民が出し合ってもいいのです。全国の農民が集まったら大したことはない。ただ、旅費が少いということで、十分検査することもしないで帰られて、あれは伝貧なんだといって屠殺場へ回されて、あとで調べたら伝貧じゃなかったということがたびたび起って、問題になってきている。馬の生命を制するようなものを、予算のワクで旅費を節約するというようなことは慎しまなければいけない。それを私は言っているのです。だから、二百万円の金を、もっと別な言葉で言うと、寄生虫については全部やめても、その二百万円をほんとうの伝染病の方に余裕を向けるというなら、それは私は賛成します。しかしそうじゃないんだ。大蔵省では何かしら削るものはないかというようなことでやっておられる。馬の生命に関するようなことは、そう軽率に取り扱ってもらいたくない。たとえば、あなたの家でネコや犬を飼ったって、これが死ぬなんということは耐えられないでしょう。それが愛馬です。農民にとって唯一の財産なんです。そうでしょう。馬が死んだために娘を売るというようなことが起ってくる。人間の生命と同じですよ。うそじゃない。ほんとうですよ。これを軽率に取り扱っては困るというのです。もう一ぺん考慮されるなら私はやめます。
  128. 森永貞一郎

    森永政府委員 いろいろ御高見を伺いましたのですが、将来の問題といたしましては、御高見の点も私ども十分検討してみたいと存じますが、さしあたり本年度は、こういう予算措置を前提といたしまして、本法案の御審議をお願い申し上げているわけでありまして、今これを修正するつもりは政府としてはない、そういう御答弁を先ほど大臣から申し上げたわけでありますから、その点御了承願いたいと思います。
  129. 川俣清音

    川俣委員 承知しません。たとえば食糧庁の検定協会あたりなんか四億出しておられるのです。四億ですよ。こういうのを指摘して、早くこれを何とかしたらどうだというのにやらないでおいて、わずか二百万円、馬の生命に関するようなことで、これはほんとうに矛盾もはなはだしいですよ。予算を節約するなら節約を堂々とやったらいいじゃないですか。こんな大きな財源があるのにやらないでおいて、一番簡単な便利だというようなやり方をしていてはいかぬですよ。
  130. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 ただいま川俣先生からの伝貧の問題でございますが、これは、過日、この席におきましても、伝貧の原因がどういうものであるかまだはっきりしないということが、畜産局長からいろいろ御回答があったようです。この旅費の問題でございますが、この寄生虫の旅費を節約するから、伝貧の関係でその防除が不十分であるとかいうようなお話でございますが、この旅費の出し方は、その後県で実際どうやっておるかということを農林省もいろいろ調べてくれたのです。農林省で調べたところによりますと、この寄生虫関係の旅費は、これだけですと二分の一でありますから、これにあとの二分の一を県が加えまして、その範囲内で県内に告示——きょうは肝蛭なら肝蛭の寄生虫の検査をするという告示を出しまして、そこに集まりましたものを寄生虫の見地から検査するけれども、その場合、伝貧があれば伝貧に対する措置もする、しかし、先ほど会計検査院から回答がありましたように、その場合主たる目的が寄生虫で告示をいたしましたときには寄生虫で出す、こういうことになるわけであります。従って、この金を惜しむから、別個のそういういろいろの伝染性疾患に対して出張することが、それによって妨げられるとか、あるいは事実上金をとられるとかいうようなことはないのであります。そういう意味におきまして、現在のところ完全には分れておりませんけれども、ある程度、寄生虫なら寄生虫の場合、告示を出すことによりまして別個に経費を出すシステムができておる、こういうことであります。
  131. 川俣清音

    川俣委員 あなたは一面だけを知って一面を知らない。寄生虫だけだったら旅費が少いから、無理して伝貧をやっておる。そんなばかなことをやつちゃいかぬというのです。旅費の補助を多くするために、寄生虫だけの補助で回ったんでは旅費が不足するから、少しくらい伝貧を作らなければいかぬというので、無理に伝貧を作っているじゃありませんか。そうまでして補助をとられてどうするのです。それを言うのです。ですから、寄生虫の補助は要らないと言っておるのはそこなんです。ほしいというのじゃない。そういう無理なことをされるような仕組みはよくないというのです。寄生虫くらいなら家庭でやれる、開業医でやれるというのです。それを、旅費節約のために、伝貧をわざわざ作るというばかなことがあるか。現にやられておるじゃありませんか。だから、そういうことをあなた方がやるなら、わしの方は競馬法を修正してちゃんととれるようにしますよ。二百万円くらい出すのは何でもないことです。
  132. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 私は、寄生虫の関係の旅費を二分の一にいたしますと、伝貧の方が減るかという御質問あるいは御懸念であるかと思ったのでありますが、逆に寄生虫の方の金を伝貧が食っておるような形なんで、それだったら、今先生のおっしゃいましたように、寄生虫につきましては、今後、補助金を交付する主管省であります農林省ともいろいろ協議いたしまして、その実情等も調査をしてみまして、しかる後にこの制度の根本的な改正がどこに落ちつくべきかという問題も考えねばならねと思っております。事実この臨時特例法には十七本の補助規定が入っておりますけれども、これらも、今いろいろな調査をいたしまして、根本的に改正いたしますときにその最後結論を下すわけでございまして、そうした基本的な検討なり改正ができますまでの間、一応とにかく受益者の面からこれでやりたい、こういうわけであります。     —————————————
  133. 伊東岩男

    伊東委員長 この際床次委員より発言を求められておりますので、これを許します。床次徳二君。
  134. 床次徳二

    ○床次委員 先ほど、松野委員の質問に対し、大蔵大臣から答弁があったのでありますが、その答弁によりますと、六月の暫定予算に見合うべき補助金の一カ月延長措置委員会でとられるならば、政府においてそれに基くしかるべき処置を講ずるということであったわけであります。従って、この際当委員会におきましてこの法律の効力を一カ月延長する法律案を起草、提出いたしたいと存じます。  お手元にただいま案文を配付してありまするが、簡単に法律案趣旨を御説明申し上げたいと思います。  まず朗読いたします。    補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案   補助金等臨時特例等に関する法律(昭和二十九年法律第百二十九号)の一部を次のように改正する。  附則第十項中「昭和三十年五月三十一日」を「昭和三十年六月三十日」に改め、「負担金」の下に「並びに昭和三十年四月一日から同年六月三十日までの期間における事務又は事業に対する補助金及び負担金」を加える。     附 則  1 この法律は、交付の日から執行する。  2 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。     第三十六条中「同年五月三十一日」を「同年六月三十日」に改める。     理 由  補助金などに関する昭和二十九年度及び昭和三十年四月一日から同年五月三十一日までの特例の措置を昭和三十年度の暫定予算の期間中においても引き続き講ずることとする必要がある。これが、この法律案提出する理由である。  以上によりまして大体御了解をいただけると思うのでありますが、簡単に説明を補足いたしますと、すでに本院におきましては六月暫定予算を議決いたしておるのでありまして、不日これが国会において確定せられると思うのでありまするが、これに伴いまして、補助金に対しまして措置をいたしたいと思うのであります。  この案文の『附則第十項中「昭和三十年五月三十一日」を「昭和三十年六月三十日」に改め』るというのは、すなわちこの暫定予算の成立に伴いまする一カ月間の期間の延長であります。なお、「負担金」以下に「並びに」云々と字句が入っておりますが、これは、補助金等の臨時特例に関する法律が六月三十日限り失効いたした場合におきましては、実体法が復活することになりますので、この場合すでに四月ないし六月中に補助指令を出しているが、まだ補助金の支出が行われておらず、七月以降において支出するというような事態があり得るわけでありまして、このような場合におきまして、すでに特例法が失効しておりますので、いかなる補助率によるかを明らかにすることが妥当であると考えたから、この字句を加えてあるのでございます。  なお、附則の第二は、地方財政法に関する改正でありまするが、これは母子手当に関する補助金の規定でありますが、この五月三十一日をやはり他のものと同様に六月三十日に改めようとするものであります。  何分、慎重御審議の上、本案の成立に対しまして御賛同あらんことをお願いする次第であります。
  135. 伊東岩男

    伊東委員長 この際井手委員より発言を求められておりますから、これを許します。井手以誠君。
  136. 井手以誠

    井手委員 ただいま法律案提案並びに提案理由の説明がございましたが、これはどういう手続で出されたのですか。提案者はおそらく床次委員であろうと思いますが、国会法、これを受けた衆議院規則第二十八条に手続が明示してあります。どういうふうに手続をされたのか、もちろん成規の手続をされたものだとは私は信じております。その内容について一つ発言を許された立場において、委員長から明確に御答弁がいただきたいのであります。第二十八条については委員長もよく御承知であろうと思いますから、これについて明確なる御答弁がいただきたい。
  137. 伊東岩男

    伊東委員長 これは委員会提出でございまするので、この問題がきまった上で適当なる手続をとりたいと考えております。
  138. 井手以誠

    井手委員 委員会提案だとおっしゃいますが、私は承知いたしておりません。修正案ならともかく、法律案ですよ。修正案じゃありませんよ。成規の手続が必要であります。これを受け付けることは私は違法だと思います。出直して下さい。
  139. 伊東岩男

    伊東委員長 お答えいたします。これは、さっきから申し上げるように、委員会提出といたしたいので、きまった上で適切なる方法をとりたい、こう考えております。
  140. 井手以誠

    井手委員 それでは承認できません。従来の慣例によりますと、各党一致したものであれば、いろいろ理事会の協議を経てそういうこともあるかもしれない。しかしこれは各党一致のものじゃございません。一致したものでなければ、やはり二十八条の手続によってやってもらいたい。第二十八条の規定によりますと、「議員が法律案その他の議案を発議するときは、その案を具え理由を附し、成規の賛成者と連署して、これを議長に提出しなければならない。」と書いてある。さらに、「この場合において、予算を伴う法律案については、その法律施行に関し必要とする経費を明らかにした文書を添えなければならない。」という明文があります。各派一致であれば了解とも言えるでございましょうけれども、それだけはっきりした明文がある以上は、そのまま付託するわけには参りません、りっぱな法律案でございますから。これはそんなに簡単に行きませんよ。
  141. 伊東岩男

    伊東委員長 お答えいたします。ただいま井手委員お話関係は議員提出の場合だと考えまするが、今回は委員会提出にいたしまするので、これは必ずしも満場一致の提案でなくても差しつかえないと解釈いたしております。
  142. 井手以誠

    井手委員 今も私は読み上げたのですが、第二十八条にはっきり書いてあるじゃありませんか。理屈をつけて自分の方に有利にしょうという解釈ではないはずですよ。議員が法律案その他の議案を提案しようとする場合にはこうしろとはっきり明示してある。それがしてないじゃありませんか。まず手続をして下さい。その上で私は審議いたします。
  143. 伊東岩男

    伊東委員長 重大な問題でございまするので、これから休憩に入ることにいたしまして、休憩の上で御協議申し上げます。     —————————————
  144. 伊東岩男

    伊東委員長 その前に理事補欠選任についてお諮りいたします。一昨日理事でありました吉田重延君が委員辞任せられ、また本日理事淺香忠雄君が委員辞任いたされましたので、その補欠選任を行いたいと存じまするが、理事補欠選任は、先例により、委員長において御指名いたすことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 伊東岩男

    伊東委員長 それでは、大橋武夫君及び松野頼三君を理事に御指名いたします。この際暫時休憩いたします。     午後二時五十九分休憩      ————◇—————     午後四時三十三分開議
  146. 伊東岩男

    伊東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  先ほど床次委員より御提案の案につき質疑の通告がございますから、これを許します。井手以誠君。
  147. 井手以誠

    井手委員 委員長はこれをどういうふうになさるのですか。これをこの委員会の議題にするのですか。
  148. 伊東岩男

    伊東委員長 議題にするわけです。
  149. 井手以誠

    井手委員 宣告しておりませんね。
  150. 伊東岩男

    伊東委員長 今床次君より御提案の案について質疑をいたします。井手以誠君。
  151. 井手以誠

    井手委員 提案者は議員でございますので、国会の権威については十分御理解があるかと思いますので、若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。午前中もいろいろと当局にお尋ねしたのでありますが、あなたの御提案は当局の提案とは異なった内容のものであります。政府は一カ年間延長しようというのに対して、あなたの御提案は一カ月だけであります。予算であるならば、一カ年のうちに一カ月あるいは二カ月区切って、いわゆる暫定予算提出することはあるかもしれませんが、法律案を区切って出すということはあり得ないと私ども考えるのであります。特に、この法律案は、御承知通り、その年間における事業の内容について、必要なものに必要な補助率をもって政府補助金を交付しようというものであります。従って、予算案とは異なって、法律は一本でなくてはならぬ。区切って出すべきものではないのであります。もしこれを一カ月延長して、あと政府考え通りにならないという事態になりますと、私はこれは非常に困った結果になると思うのです。提案者はそういったことについてどういうお考えを持っておられるものか、まずその点をお伺いいたしたいと存じます。
  152. 床次徳二

    ○床次委員 提案者といたしましては、暫定予算がすでに衆議院において可決になっておりますので、この暫定予算に合せますために、六月末までの本案を提案いたしたわけであります。法律予算とをこれによって合致させるという趣旨にほかならないのであります。
  153. 井手以誠

    井手委員 政府はあくまでも一カ年間の延長が必要であるというのに、あなたの方は一カ月だけだということであります。先刻も申しますように、私は次々に法律案は延期される性質のものではないと思います。そこで私は法制局長官にお尋ねいたしますが、もしこれが政府考えている——あと九カ月でございますか、一カ年延長が通らなかった場合、一カ年を通じての正式の補助をしようという補助金はどういうふうになるのか、漁船の建造とかそのほかについてどういうふうになるか、その点をお尋ねします。
  154. 林修三

    ○林(修)政府委員 これは仮定の問題と思いますが、昨年の当委員会でも御質問がございまして、法律予算と一致しないようなことになった場合にはどうするか。これにつきましては、結局、法律があってそれに伴う予算が一応ないということになれば、そういう事態がかりに免じたとすれば、法律がございますから、出さなければならない拘束を受ける場合が当然出て参ります。従って、その場合には、予備費で出す方法もありましょうし、予備費で足りない場合は予算を補正する、こういう方法もあろうかと思います。これは昨年もそういうふうにお答えいたしたはずでございます。
  155. 井手以誠

    井手委員 私この機会に長官にはっきりお伺いしておきたいことは、一事不再議の問題であります。時限立法に対して一方は一年、一方は一カ月、この二つの法律案が現に並行的に審議されているわけであります。一方が議決されますと、一方は当然廃案になるものと思います。異なった議決になると思います。暫定予算とははっきり違う。法律予算とは違うということは皆さん御承知通りであります。私は、当然一方は廃案になるもの、失効するものである、かように考えますが、いかがでございますか。
  156. 林修三

    ○林(修)政府委員 一事不再議の原則は、実は国会の議事運営の上の原則でございまして、私どもがかれこれ申し上げる筋ではあるいはないかもわかりません。しかし、お尋ねでございますから、一応私どもとしてはどう考えておるかということをお答えしたいと存じます。そもそも、一事不再議の原則がございますのは、これはやはりある議案について委員会なり本会議意思が決定した、これを同じことについてすぐまたひっくり返すというようなことは国会の運営が混乱するというようなことから、この一事不再議の原則が立てられておるものと存ずるわけであります。そこで、問題といたしましては、結局同じ議案かどうかという内容の審査になってくると思います。これは、御承知通り国会の期間が長ければ、その間に同じような内容について対象の事態が変ってくれば、当然同じような内容の議案が出ることもあり得るかと思います。そういう場合には、かりに形式的には全く同じ内容でも、これは一事不再議とは言えないと思います。そういう意味で、今度の法案も、一方は暫定予算法律との調整ということをもとにして御議論になっております。他方は本予算法律との調整ということをもとにして御議論になっております。これはおのずから審議の対象が違っておるのじゃないか、そういう意味でこれは一事不可議の原則には当てはまらないのじゃないか、さように私どもとしては考えておるわけであります。一応お答え申し上げます。
  157. 井手以誠

    井手委員 おっしゃる通りに、すでに議決になったと同一の問題について再び審議しないことは明らかであります。ただ、今おっしゃるように、長い期間の間に情勢の変化でという解釈はあるかもしれません。意見はあると思うのです。ところが今日は、情勢の変化どころか、同じ日に違った内容のものが出されておる。予算ならば、その中から引き抜いて、暫定予算ということもありましょう。しかし、法律案で、時限立法である一年のものと一カ月のものとの違いだけで、同一内容でございますから、私はあなたのおっしゃるのは当らないと思う。提案者の床次委員に対して、この点に対する御信念を承わりたいのであります。
  158. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま提案いたしました案におきましては、六月末までの暫定予算に付帯いたしましたところの取扱いをきめたのでありまして、七月以降に関しましては今後の問題として残されておる。これに関する調整につきてましては、先ほど政府当局からも弁明がありましたように、政府におきましては善処せられることになっております。御了承いただきたいと思います。
  159. 井手以誠

    井手委員 私は、補助金交付なるものの本質から考えますと、一カ月、一カ月延ばしていくような性質のものではないと思う。これはかねて大蔵省当局が主張されておるところであります。一カ年を通じて成績が上ったもの、奨励しなければならないものについて補助金をやる。これは床次提案者もよく御承知であると思う。もし七月以降のものが賛成を得られなかったということになれば、三カ月間の漁船建造あたりに対して補助金をどういうふうにされるのか。私は、そういうことを考えますならば、一カ月とか二カ月とかいう暫定予算に合うような本末転倒した補助金延長提案の仕方はないと思う。補助金を交付しようというならば、一カ年の見通しをもってやらねばならぬと思うのです。それは、おそらく七月の暫定予算ということはあり得ないかもしれませんが、しかし絶対ないとも言えません。そうすると、また七月の改正法律案を出さなければならぬということになるでありましょう。仮定の問題は答弁できないと言うかもしれませんが、そういうことになってくるのであります。奨励金とか補助金というものを一カ月ずつ区切って出す。出しようがないじゃございませんか。私はこの点について会計検査院のおいでになるのを待っております。私はそういうことは行政府としてなさるべきではないと思う。おそらく提案者の真意もそういう意思ではないと思うのです。しかし、このことは国会の原則を確立する上においてきわめて重要でありますので、そう長くは申しませんけれども、もう少し明確にさしておいていただきたいと思います。
  160. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの御質問でありまするが、すでに四月、五月に関しましては、御承知通り暫定予算に付帯いたしました同様の取扱いをいたしておるのであります。六月も遺憾ながら暫定予算になりましたので、同様の措置を講じようというわけでございます。この点は御議論趣旨とは私は違うと思います。
  161. 井手以誠

    井手委員 私、四月、五月の場合には審議に参加しておりませんでしたが、もちろんわが党は反対であったわけであります。しかし前にそうしておったからというわけには参らない、四月、五月がそうだったから六月もお願いしたいということでは、答弁にならないのであります。この際、法律という建前から、国民の福祉に関するその法律によって国民を規制していこうというのですから、この点はよく考えなければならぬと思う。その場限りの答弁ではいけませんよ、法制局長官も。国会内部の問題ではございません。国民の福祉を拘束、制限するものが法律であります。そういうものに次々とこういうように一カ月延ばしということはあり得ないと思う。補助金の本質からいったら、そういうことはあり得ないと思う。これは当局からでもかまいませんが、補助金の立て方はそういうものでございますか。一月々々そういうように延ばしていくものでございますか。大体一カ年を通じて成績の上ったものに対しては補助金をやろう、奨励金を出そう、こういうように長い間の実績を見ておやりになるのが、今までのやり方ではございませんでしたか。予算というものと法律というものとでは当然立て方の考え方は違うと思う。これは正示さんからでもかまいませんから……。
  162. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お許しを得まして私の方からお答えを申し上げます。補助金の一般原則といたしましては、毎年度年度の計画を立てましてやるのが建前であることは、井手先生のおっしゃる通りでございます。ただ、個々に見て参りますと、いろいろの態様があるわけでございまして、午前にも問題になりましたが、教科書の配付というように一定の時期に配付するというようなものもあるわけでございます。従いまして、いろいろの態様はございますが、一般的には申されることは私どももごもっともだと存じます。ただ、今回は、御承知のように、当初四月、五月だけの暫定予算で、あとは本予算の成立することを政府としては期待をいたしておったのでございますが、それが思うように参りませんで、六月もまた暫定予算ということに相なりました。かような情勢の推移にかんがみまして、けさほど来お話のようなことに相なったものと考えるのであります。すなわち、結論的に申し上げますと、今回の措置は、この情勢のもとにおきましてやむを得ずとられる措置というように、私どもとしては心得ておる次第でございます
  163. 滝井義高

    ○滝井委員 井手君は会計検査院の方が来るまで待っておるというから、その間に……。床次さんにお尋ねいたしますが、あなたの方はこの補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案というものを出してこられたわけでありますが、衆議院規則の第四十八条の三に、「委員会予算を伴う法律案提出するときは、その法律施行に関し必要とする経費を明らかにした文書を添えなければならない。」こういうことになっておるわけであります。そうしますと、予算を伴う法律案というものは、単に増額するものだけでありて、こういう減額をするものは予算を伴う法律案にならないかということです。実は減額するものも国民生活に非常に重大な影響を及ぼすわけです。さいぜんから農村問題で川俣委員からいろいろ議論がありましたが、これを削られたことは国民にとってはきわめて重大な関係がある。市町村、府県等の地方自治体にとっても重大な関係のある法律案なんです。そうすると、予算を伴うということは、単に増額だけであって、減額した場合は関係ないかどうかということ、この点、あなたの御見解を承わって、その次に法制局長官の御見解をただしたいと思います。
  164. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま滝井委員から御質問でありましたが、この法律案によりますと、現在きまっておりますところの暫定予算額そのままでありまして、増減が全然ないのであります。従って、四十八条の三によりますところの「予算を伴う法律案提出するときては」云々、これには該当しないという考え方を持っておるのでございます。
  165. 滝井義高

    ○滝井委員 実は暫定予算はばっと一ペんに出しているのであって、私たちとしては、この補助金の臨時特例に関する法律案で、どの項とどの項が具体的にその経費になるかということはわからぬのです。六月分暫定予算では全面的に出てきている。従って、必要とする経費を明らかにするということは、やはりこまかく経費を出してくることを意味するのです。ただ予算にぱっと出てきておる大ざっぱなものではないわけです。あの予算書を見ても、これは天才でなければ、眼光紙背に徹する人でも、あの予算書を見てはどれが経費であるかわからぬ。だから、当然、当委員会に出てくる経費というものは、積算の基礎とまでは行かなくても、ある程度明白に出てこなければならないと思うのです。問題は、増額を伴うものだけなのか、減額をしたものはこの予算を伴う法律に入らないのかどうかということなのです。これは法制局長官でけっこうですが、どうですか。
  166. 林修三

    ○林(修)政府委員 これはいわゆる予算を伴うものというわけでありますから、普通の意味ではやはり新しく使う予算、特に項の金額をふやす、あるいは項を新設しなければならぬというような意味に解釈するのが普通であろうと思います。また現に、これは、先般の国会法の改正の際に、衆議院の事務総長が議連で説明しておられる際にも、大体そういう意味であるという実は説明をしておられます。これは、予算を伴うものという言葉だけからいえば、減額の場合にも入らないことはないように見えますが、議連で事務総長が説明をされたときは、大体増額あるいは項の新設という意味だと説明しておられます。これはまさにそういう意味で出ているものじゃないかと思うわけであります。いずれにいたしましても、今度の法律案は、むしろ予算の額に合せるというわけでありまして、予算の額を増額するものでも減額するものでもない、そういう意味では、予算を伴うものということにはならないのではないか、かように考えております。
  167. 滝井義高

    ○滝井委員 これは、日にちを変えるということだけでなくて、新しく一カ月分を計上しなければならぬということなんですから、私はそうだと思うのです。政府として出し法律は十カ月分を出してきている。ところが、これはとにかくあとの九カ月については認めないのです。一カ月分だけについて認めよう、こういう意思なのですから、明らかに予算を伴う。減額をしておるにしても伴っているはずです。九カ月は認めないのですから、とりあえず一カ月だけは認めようということなのですから、私はこれは明らかに予算を伴っておると思うのです。
  168. 林修三

    ○林(修)政府委員 どうもそこは多少意見が違うかもわかりませんが、これはあくまで六月分暫定予算というものが成立する段階になっておるということを前提といたしまして、この予算法律を調整するために御提案になったものと私たちは実は心得ておるわけであります。そういう意味におきまして、七月以降の予算をどうするかということにつきましては触れておらないものと考えるわけであります。従いまして、その意味において、七月以降に必ずこの補助金なり負担金を出せという御趣旨法案ではない、かように考えております。従って新しい予算を伴うものというふうには解釈されていないのじゃないか、かように考えております。
  169. 滝井義高

    ○滝井委員 六月分暫定予算が通るものという前提だと言われたが、まだ通っていない。その点、通るものという前提では、いわゆる本予算も同じなのです。政府にとっては、おそらく新しく出さたれ本予算大蔵大臣は通るものとお考えになっておることでしょう。暫定予算だけは通るものとお考えになって、いわゆる七月以降の本予算というものはまだ通るか通らぬかわからぬわけですが、それも通るものとお考えになっているのでしょうか、その点大臣どうですか。
  170. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 三十年度の本予算案は、私たちとしては通ることを期待もいたしておりますし、ぜひ通してほしい、こう考えておるわけであります。
  171. 滝井義高

    ○滝井委員 そういたしますと、法制局長官、これは同じなのです。六月分暫定予算はまだ通っておりません。参議院は通っていない。まだ審議中です。本予算も衆議院において今審議中で通っておらない。だからこれは同じなのです。だから、通るものと思っておるというなら、何も一カ月分に賛成する必要はない。政府出し通りの十カ月分でもいい。来年の三月三十一日まででけっこうなんです。それをなぜ政府は賛成をされたか、政府はどうして一カ月に賛成されたかということです。通るものと思うならば、本予算暫定予算も同じなのです。おかしいじゃないですか。
  172. 林修三

    ○林(修)政府委員 私からお答えいたしますが、これはやはり現在における国会の御審議の状況からいえば非常に違うのじゃないかと思います。今月中に本予算案が通るということは実際上ほとんどあり得ないことでございますし、まだ衆議院としても実は本予算が通っていない状況でございます。従いまして、あさってからの六月分につきましては暫定予算でやっていけということで、これは予算がなければ一日も行政府の運営ということはできないわけであります。そういう意味で、暫定予算ができるということは、暫定予算は衆議院も通っているわけでありまして、これはある程度期待できることではなかろうか、さしあたりの六月の事態に応じてこれをおやりになるという趣旨でありますから、政府としてもそれは賛成だというわけでありまして、七月以降の分についてはまた別途さらに御審議を願う、こういうつもりでございますから、その点はだいぶ違うのではないかと考えております。
  173. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると、実は政府提案している法案の名前と今度床次議員等が出されようとしておる法律の名前とは同じものです。しかし内容は違う。こういう形で、本質的には法律の名前は同じだ、内容はただ日にちを変えるだけだ、こういう形で出てきておるわけです。そうすると、国会法の五十九条で「内閣が、各議院の会議又は委員会において議題となった議案を修正し、又は撤回するには、その院の承諾を要する。但し、一の議院で議決した後は、修正し、又は撤回することはできない。」こうなっておるわけです。そうすると、これは、法律の名前は同じですが、内容が異なる、こういう形で提案者が違う、だからこれはあと内閣修正しても撤回してもいい、こういうことに御答弁になるべきだと思いますが、いかがでしょう。
  174. 林修三

    ○林(修)政府委員 その点は、御議論通りでございまして、今までも幾らも例があるわけでございますが、同じ題名の法案を幾つも同時に国会で御審議願っておることは幾らもございます。それは結局内容によって、あるいは閣第何号と申しますか、あるいは衆第何号ということで、同一性を区別されております。そういう意味において違う議案だと思います。従いまして、ただいま床次議員から提案の議案が衆議院を通過して、あるいは参議院に参りまして、参議院を通過しても、その政府出した議案を撤回しあるいは修正すること、これは五十九条の手続でやれることだ、ただし書きの規定には該当しない、かように考えております。
  175. 滝井義高

    ○滝井委員 その場合に、床次さんの六月一カ月分と政府出しておる十カ月のうちの六月が重なる。この点はどうですか。重なったという点においては、やはりこれは同一のところがある。しかも名前は同じだ。この点で、おそらく、政府修正する場合には、その分はどけたり、あるいは全部撤回するかもしれないと思います。それはどうしてかというと、いま一つ新しく補助金法律案が出てきておる。この政府出した案と、床次さんの出した案と、いま一つ政府が国立公園や何かの補助金の方を出してきておる。みな同じ名前のものが出てきておるということです。しかも前の二つについては一カ月だけ重なってきておる。こういう事態が起ってきておりますが、こういう場合の関係はどうですか。
  176. 林修三

    ○林(修)政府委員 それは、先ほども御説明いたしましたが、今床次議員から御提案になりました法律案が成立した暁においては、今政府出しております法律案の内容に修正を要することは明らかでございます。この修正手続は、あるいは委員会における御審議の過程でやっていただく方法もございますし、政府の手で五十九条の規定によってそこを修正するというように、幾つかの方法もございます。いずれかの措置をとるべきものだ。政府において善処すべきものだ。また、先ほど大蔵大臣が申し上げましたが、政府が善処することになるだろうと思います。こういうふうに題名の同じ法案が幾つも出るのはまぎらわしいではないかという御意見だと思いますが、これはまことにごもっともなことでございまして、そういうことは、まぎらわしいという点から言えば、あまりいいことじゃございません。しかし、これはやはり立法技術の問題になりますが、国会におきますいろいろな御審議、あるいは政府提案、あるいは議員方の御提案の都合で、こういうような同じような法律を多少内容を異にして改正するということは、どうも間々出てくることでございまして、これはやはり、その内容の規模によって、あるいは議案の番号によって同一性を認識し、区別するより方法がないと存ずるわけであります。極端な例を申し上げますれば、だいぶ前でございますが、第二回国会でありましたか、地方自治法の一部を改正する法律案というものが四つも同一会期に成立しております。そういうこともございますので、これはある程度やむを得ないと考えております。
  177. 滝井義高

    ○滝井委員 それから床次さんにちょっとお伺いいたします。実は、暫定予算提案するときの理由に、「補助費につきましては、四、五月分の暫定予算には原則として計上せず、義務的なものであって、特に四、五月中に支出を必要とするものに限り計上することといたしましたが、今回は原則として、すでに計上いたしました額と合せ第一・四半期分の所要額となるように補助金を全般的に計上することといたしております。」こう書いてあるわけなんです。従って、この政府の提出しておる補助金の特例に関する法律の中で、この中には第一・四半期である六月までに計上しなくてもいい義務的な補助金があるはずだと思いますが、そういうものはどれとどれなんでしょうか、床次さんにわからなければ、政府でいいです。
  178. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 四—六月の間に計上しなくてもいい義務的な補助金があるかというお話でございますが、たとえば、極端なものについて申しますと、義務教育、新しく入学いたします児童に対する教科書の点でありますが、これは四、五月ごろに必要が起るのでございまして、六月にはもう必要がなくなっているわけであります。しかし、そのほかのものにつきましては、大体補助金なり負担金を与えられる対象となる事実が経常的にあると思います。その他のものは、その十七本の法律の中では約十本くらい義務的なものがございますが、それぞれ大体六月に原則として現われてくる、こういうふうに理解していいのじゃないかと思います。
  179. 滝井義高

    ○滝井委員 大体でなくて、正確にお教えを願いたいのです。と申しますのは、とにかく、自由党が賛成したというのは一カ月に限って賛成をされておるので、九カ月についてはまだ異議がある、こういうことなんです。そうしますと、一力月、六月までに出されるとするならば、当然六月までに出すものについて賛成したらいいのであって、この法律趣旨から言えば、第二・四半期に出すようなものは、これは取っておくべきなんです。まだ予算が通っていないから、六月の暫定予算の通っているものについてこの法律を出すのだ、あとに残って、おるものについてはそれは別だ、提案者もそういう考え方なんです。六月までの暫定予算が通ったから、それと並行してこれを出すのだ、こういうことなんです。ですから第二・四半期以後に与えるような補助金であるならば、ここに計上する必要はない。削除してよい。そういうものがあるかどうかということなんです。
  180. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 今の滝井先生の御質問に対しましては、こういうふうな御答弁をいたさねばならぬかと思うのでありますが、確かに、臨時特例法の十七本の補助規定のそれぞれを検討いたしますと、義務的なもりも、予算の範囲内でできるというものも、両方の範疇があることは先生御承知通りであります。その中でまず義務的なものを申し上げますと、今申し上げたように児童に対する教科書関係とか、その他厚生省関係では今まで四本全部負担するという義務的なものになっております。それから農林省関係で大体四本負担するという格好になっております。それからその次は建設省の公営住宅法関係、公営住宅に対する補助金、この十本が、法律の形から申しますと、負担するか補助しなければならない義務的なものになっております。しかし、先ほども申し上げましたように、六月の暫定予算につきましては、こうした補助的な義務的なもののみならず、予算の範囲内でできるというものにつきましても、この特例法の適用の結果減率あるいは適用停止になりましたものを、そのままの形で予算に組んでございます。そこで、われわれの方といたしましては、法の形式が義務的に表現しておるもののみならず、すベて六月分につきましては暫定予算法律とを一致させたい、こういうふうに考えたわけです。その点で御了解願います。
  181. 滝井義高

    ○滝井委員 それはわかるのですが、その中で、法律的に見て第一・四半期すなわち六月までにやらなければならないものは、どれとどれかというんです。第二・四半期に今までの慣例としてやっておったものがあるかないかということを聞いておるのです。
  182. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 お答え申し上げますが、ただいま申し上げたのは、この補助の根拠法の表現の違いから、義務的なものと、しからざるものとを申し上げたわけでありますが、すでに、各省とも、こういうふうな本予算の編成方針から、今度の臨時特例法の内容に従いまして、それぞれ補助金を交付するというような内容になっておりまして、そうして四、五月、さらに六月の暫定予算がきまりました現在におきましては、補助指令を出せば、その補助指令によって今度は国が負担づけられる、義務づけられるという格好になると思います。そうなりますと、ここに組んでありますそれぞれの補助金は、そういう意味においてぜひ必要なのであって、従ってこういう法的の措置がまた予算と合せるために必要になるのだ、こういうふうにお答え申し上げたらいいと思います。ちょっと御質問の意味がわかりませんでしたので……。
  183. 滝井義高

    ○滝井委員 たとえば、健康保険なら健康保険で二分の一の国庫負担をする、こう書けば、政府は二分の一を負担しなければならない。ところが、二分の一の補助金を交付することができるとやれば、これは、予算の範囲内だから、二分の一やらなくともよい。現在あなた方の方は二分の一やっていないわけで、議論が起こっておる。ところが、二分の一の負担をするというようにやると、二分の一負担をしなければならない。その会計年度でできなければ、次の年度に回ってでもやらなければならぬでしょう。そういう義務的のものを第一・四半期すなわち六月までに過去の慣例においてやっておったものはどれとどれかということです。第二・四半期以後においても今までやっておったものもあると思いますが、そういうものがあるかどうかということです。
  184. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 ただいまのは、補助金の法規の表現の仕方が国を義務づけておるものはどれかというような御質問のように存じますが、法の形から行けば、第一・四半期であろうが、第二・四半期であろうが、そういう表現になっておるわけでありますが、先ほども申しましたように、教科書関係、それから厚生省の四本、農林省の四本、それから公営住宅ということになるわけでありまして、具体的に何が義務づけられるのかということになりますと、先ほども申したように、今度暫定予算で組みますものについては、すべて、各主管省といたしましては、それぞれの予算に従いまして補助指令を出すわけであります。それを出せば、それによって、法の書き方が予算の範囲内でできるという書き方であっても、義務づけられる、こういうふうに考えております。
  185. 滝井義高

    ○滝井委員 わかりますが、その補助指令というのは、たとえば社会教育に関する補助金など、これが義務規定といたしますれば、大体過去の慣例として、その補助指令というものは第一・四半期ばかりに出しておったものなのか、それとも第二・四半期にも慣例として出しておったのかということを聞いているんですよ。だから、慣例として、補助指令を出せばそれは当然やらなければならないことになるでしょう。しかし、その補助指令を出すのに、二十三本だったですか、この全部についていつも六月までの第一・四半期に出しておったというわけではないのじゃないかということを尋ねておるのです。
  186. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 具体的な補助指令の運用の問題につきましては、私もそんなに深く知っているわけではございませんけれども、ただ、この補助金の対象になっておりますものは地方公共団体に対するものが多いわけでございまして、地方公共団体としましても、やはり年度の初めに計画を立てまして、それによって各補助金交付主管省と交渉いたしまして、それによって補助金交付の主管省は補助指令を出すわけになりますので、大体第一・四半期くらいに——実際の金の支出は必要ないかもしれませんけれども、補助指令としましてその年の補助計画は第一・四半期において立てるものであろう、こういうふうに思っております。
  187. 滝井義高

    ○滝井委員 わかりました。
  188. 伊東岩男

    伊東委員長 井手以誠君。
  189. 井手以誠

    井手委員 私はあまり同じことをくどくどと聞こうと思いません。みんな待ちかねておるようですから、適当に打ち切りたいと思いますが、ただ、その前に少し明確にしておきたいことが二、三点ございますので、特に法制局長官にお尋ねいたしますが、その前に会計検査院にお尋ねいたします。御存じかもしれませんが、ただいま政府提案の一カ年延長しようとする法律案に対して、にわかに一カ月を延長しようとする議員提案が出ております。六月末まで補助金を削減しようというわけですが、これは政府提案と全く違った内容であります。片方は一年、片方は一カ月でありますが、もし一カ月延長が通ってあとのものが通らない場合に、かねて補助金の交付についてはきわめて厳格におやりになっておる会計検査院として、四、五、六、三カ月間の補助金交付をお認めになるかどうか。ただいまも大蔵省に聞きますと、私ども意見と同じように、やはり一力年を通じての成績に対してやるのが建前である、こういうのであります。これはおそらく何人も異見はないだろうと思う。そうしますと、三カ月のものに対して、漁船が半分でき上ったから四分の一やろうということがあり得るのですか。その辺どういうふうに会計検査院としてお考えになっておるか。三カ月間たけは削減しようという法律が通る、ところが七月以降はもとの補助金に返ったということ、これはあり得ると思うのです。これは、仮定の問題じゃなくて、あり得ることですから、明確にお願いしたいと思うのですが、会計検査院はこういう場合にどういうふうにお考えになるのか。いろいろ補助金の種類はございます。伝染病予防あるいは公民館、漁船、いろいろありますが、一年分おやりになる御好意があるのですか、どういうふうにお考えになりますか。
  190. 小峰保栄

    ○小峰会計検査院説明員 今の法律お話でございますが、四月から六月までが、先ほどの家畜伝染病、寄生虫の場合には二分の一になっている、それから七月以後が全額になる、こういうケースが一番わかりやすいかと思うのですが、そういう場合には、やっぱり私どもとしては、法律通りに、三カ月分の事実に対しては二分の一、それから九カ月間の事実に対しては全額、こういう方針で検査していくほかはないのじゃないだろうかと思います。
  191. 井手以誠

    井手委員 わかりました。そこで法制局長官、もう長くは申しません。一事不再議の問題、それだけは一つ明確にしておきたい。先刻、滝井委員の質問に対して、同じ会期中に六つも七つも出た例がある。私も承知をいたしております。ところがそれは内容が違っておる。表題は同じであっても、目的は違っておる。この補助金等の整理に関する法律は期限を延長することが目的でございます。一方は一カ月、一方は一年、そうなりますと全く異なった議決になるわけであります。そうすれば、すでに衆議院を通って参議院に回れば、衆議院の院議は決定しておるわけであります。その後において修正とかなんとかいうことはあり得ないと考えるのであります。従って、そういう場合には、一カ年延長という異なった目的の法律案はこれは消滅してしまう、こういうふうに私は考えるのであります。この点は私はいつの内閣においても不動の解釈でなくてはならぬと思うのです。
  192. 林修三

    ○林(修)政府委員 国会の議事の運営の一つの原則として、一事不再議の原則ということが非常に重要な原則であることは言うまでもないことであります。この一事不再議の原則はどういうふうに運用すべきかということにつきましては、これはもちろん国会における今までの慣例とか何かが非常に重きを置いて取り扱われるべきものだと思うのであります。私ども政府側からとやかくいうのは僭越かもわかりませんけれども、一応私ども考え方を申し上げますれば、結局、一事不再議の原則というのは、全く同じことについて委員会なり本会議の議決があちらに行ったりこちらに変ったりして確定しないというようなことが起らないようにということだと思うのであります。かりに議案の題名は同じでありましても、内容は多少違うというものにつきましては、そういう問題は起らない。また、内容が多少違って、その議決される状態、客観的状態が違うものを対象にして議決されたということにおきましては、別に、そういう議案の取り扱いが、一つの全く同じものについて院の意思が右に行ったり左に行ったりするという事態は起こらないだろうと思う。まさにもととなる事態が違っておるのでありまして、それについてさしあたり今の暫定予算に対応してどう延ばそうとか、本予算に対応してさらに九カ月延ばそうとか、これは全然違う対象を対象として議決になる。その点について一事不再議の原則は適用されることはないのじゃないか、適用すべきじゃないのじゃないか、かように私は考えるわけでございます。これは、過去におきましても、たとえばいろいろ国家行政組織法だったかとも存じますが、外局の設置の期限を、国会の議事の都合あるいは予算の都合で、一カ月ずつ延ばしていったこともございます。そういう場合とこれはまさに似ておるのじゃないかと思うのでございまして、全く同じ議案ではない。題名は同じでございますが、審議の対象は違っておるのじゃないか、さように考えております。これにただちに一事不再議の原則を適用さるべきではない、かように考えていいのではないかと私ども考えます。
  193. 井手以誠

    井手委員 私はそう長く申しませんが、これは一つ提案者にお尋ねしたい。表題は補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案、一方は一年、一方は一カ月、目的が期限延長でございます。それならば、一方を議決すれば一方は異なった議決になる、私はそうだと思うのです。そうなれば、片一方は自然に消滅して、あらためて提案さるべきものではないか。後日どういうふうに処置されるか知りませんが、片一方は私はなくなるものだ、政府提案のものはなくなるものだと考えるのであります。こういうことは今後あくまでも予想しなければならぬ。いい機会でございますので、この際、判例じゃないけれども一つ例をはっきりさせておきたいと思います。  もう一つ私が確かめておきたいのは、いろいろは申しませんけれども、この一事不再議の問題と予算法律との関係であります。これだけはやはり国会としてはっきりしておかなくては、権威に関すると思うのです。ほんとうならば公聴会でも開いて検討すべきだと思うのです。床次提案者から一つ考えを承わっておきたい。なお長官にもこの点はいま少し私は聞きたいと思うので、お許しいただきたい。
  194. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの御質問でありますが、私どもは、できるだけかかる疑いが生じないように取り扱いたいと苦心いたしたのであります。従って、今回の処置をいたしますについて二通りの方法があると思うのでありますが、一つは、政府提案になりましたこの案自体の字句の修正をいたしまして、そうしてこれを六月末まで延長するという行き方が一つあります。それから、ただいま私が提案いたしましたように、別の改正案を出しまして六月末まで延ばすという行き方と二つあるのでありますが、前者の方法をとりますると、政府のやりましたものに面接手を加えます。従って、今後七月から年末まで行いまする場合にもう一回議決をいたしますので、どうも一事不再議だというような誤解を生ずるのではないかということを私ども懸念いたしまして、できるだけ本委員会がすみやかに進行できまするように、できるだけ明白な形式をとって所期の目的を達したい、かように存じましたので、ただいま提案いたしましたごとき改正法律案によって行なったわけであります。これで見まするならば、この改正法律案暫定予算に対する特例だけをきめておるのでありまして、七月以後に関するものについては触れておりません。依然として政府提案のものが残っておりまして、この点は将来の問題として取り扱っていただける余地が残っておるわけであります。かような次第でありまして、一事不再議の問題は、今回の取扱いによりまするならば問題にはならずに済む、かように、疑念が生じないように、ことさらかように取り扱っておるということも御承知おきをいただきたいと思うのであります。
  195. 井手以誠

    井手委員 提案者の御趣旨はわかりました。一事不再議の論議の起きないようにという配慮があったことを承わりましたが、私はむしろ修正案で出された方がすっきりするのじゃないかと思う。予算外案でありますならば、先刻も申しますように、そのうちから抜き取って暫定予算外ということがありましょうけれども法律案にはそういうことはあり得ないと私は思うのです。理論上どう考えたってそれはできない。やはり一カ年は一カ年でなくちゃならぬ。その一カ年というものに対して一カ月という——法律予算は違うのですから、いわゆる期限の延長を目的とした、主題にした法律案であリますならば、一方が一カ月議決すれば、異なった一方は消滅しはせぬか。残っておるということはないと思うのです。また、万一それができたとしても、修正しなくちゃならぬ。修正するという場合には、すでに院議は決定して参議院の方に回っておる。私は法律案の取扱いはそういうことじゃいかぬと思うのです。目的、主題が期限の延長にある、それと異なった議決をすれば片方はなくなると思うのですが、私の考えは間違いですか。
  196. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま私の提案いたしましたものは、先ほど御説明申し上げましたように、暫定予算に付随いたしまして六月までの分を改めるという提案趣旨が明らかでありますので、その分に関する限りはこれによってはっきりすると思う。七月以降の問題に対しましては政府が善処されますから、これによって明らかに将来の方針が今後また本委員会の御審議によって決定されることになる。従って、題名は同じでありましても、内容におきましては、明らかに暫定予算外の分のみを今日触れておるのでありまして、七月から以後の問題に関しましては何ら限定しておらないということは、おわかりをいただけるんじゃないか。実は、その点におきまして、ただいま提案いたしましたものの方がやりやすいのではないか。別の方法ももちろんこれは違法ではないということも承知をいたしております。しかしながら、この方がわかりやすい、より明白であるという点において、あえてこちらの方を私どもはとった次第であります。
  197. 井手以誠

    井手委員 提案者趣旨はわかりました。これ以上には出ないだろうと思うのですが、この際法制局長官にもう少し聞いておきたいのです。そうすると、一事不再議でない根拠ですな。目的が同じであって、内容が違う。一年と一カ月と違う場合には、予算と違うのですから、異なった議決だと思うのですが、そうではないのですか。
  198. 林修三

    ○林(修)政府委員 今おっしゃいました点でございますが、全く同じテーマと申しますか、同じ主題に対して甲と乙の議決があるというものじゃないかという御疑問だろうと思うのですが、これはやはり、全く同じ主題かと申しますと、違うのではないかと思います。結局、暫定予算に対応いたしまして、さしあたりこの一月間延ばすということの提案理由趣旨から言いましても、今御提案法律案はそういう趣旨なのであります。政府の方は、これは本予算と関連いたしまして一年間延ばしたい、こういうものでありまして、提案趣旨から申しましても、全く同じテーマについて甲と乙の議決をするものというのではないのではないか、やはりテーマがちょっと違うのではないか、かように考えるものでありますから、一事不再議というものではないだろう、かように考えてよいのじゃないかと私ども考えております。
  199. 井手以誠

    井手委員 根本的に違いますから、これ以上申しません。テーマははっきり違うのですね。それでは、あなたが先刻来おっしゃっておりますが、予算案に沿うために法律案を変えるということ、それは正しい行き方ですか。午前中も何回も申しましたが、同時並行ならば私もやむを得ないと思いますが、予算に合わせるために法律案をこうするとおっしゃいます。大体私は、何回も申しますように、法律に基いて予算を出される。しかし、変えなくちゃならない事態が起きた場合、あるいは会期の都合、いろいろ事務の都合からやむを得ず同時並行審議ということもあり得る。ここまではわかる。しかし、今おっしゃることは、予算がこうだから法律案もこうだというのは逆じゃございませんか。そういう建前が建前なんですか。
  200. 林修三

    ○林(修)政府委員 これは、先ほども申し上げましたように、建前上は、あるいは法律というものがまずあって、予算法律に従って組むというのが一つの建前であろうと思います。しかし、これは、いろいろ国会の御審議の都合とか予算編成の時期の都合等で、同時に御審議を願うということが今までの慣例であり、またやむを得ないことであるということも御了解を願ったことと思うのであります。ただいまご審議法案は、結局、予算法案をあわすと申しますかそこの言い方になると思いますが、予算法律案についての国会の御意志が矛盾しないように法律をおきめになる。——必ずしもどちらが初めでどちらがどうだということではございませんで、予算法律を同時に御審議を願い、同時に同じような内容のものとしてできる、こういうことのために御提案になったものではないか、かように考えるものであります。
  201. 井手以誠

    井手委員 私は大体これで打ち切ります。何回申しましても大体同じようなことであります。しかし、なるほどその場の答弁には一応なるかもしれませんけれども、今まで従来大蔵省がとってきた補助金交付の建前から申しましても、これがかりに反対に増額というのだったら、大蔵省は聞きゃしません。ちゃんと腹の中はわかっておる。削減したい、削減したいという気持だから、少し理屈は悪くてもいいだろうというようなことのように私はとっております。しかし、これは、国会の権威から申しますならば、一カ年ときめたものは、次々に何かのように延ばすべきものではなかろうし、一旦政府信念をもつて一カ年の延長をしようという法律案出したものに対して、政治情勢があったか知りませんが、六月の一カ月延長同感いたすところでございますというのは、これは政府として信念のなさ過ぎる答弁だと思う。ただいまの一事不再議のことについても、私は同じテーマのいわゆる異なった議決だと信じております。しかし、これは幾ら申しましても同じことでございますから打ち切りますが、この際、でき得るならば、はっきりした手続を立てておきたいと思うのです。残念ながらできないかもしれぬけれども、これでは今後困ったことができはせぬかと私は思うのです。私は、はなはだ残念でございますけれども、これをもってきょうの質問を打ち切ります。
  202. 松野頼三

    松野委員 先ほどの問題に関連して、この法案の採決の前に大蔵大臣にお聞きしますが、やはり公債論には御賛成じゃございませんか。私の見解では、公債は絶対いやだとおっしゃるけれども、金融債ならいいのかという問題なんです。公債がいいところもあれば、金融債がいいところもある。これはあえて議論するんじゃありませんが、ただ、どうしてもあなたが公債論反対だと言われた場合のあなたの立場を心配する余り申したのですが、やっぱり公債には絶対反対ですか。なお、大蔵大臣総理大臣がお会いになったのですが、総理大臣もやっぱり絶対反対なんですか。これは総理大臣のお気持がわからなければわからないでいいんですが、あなたの助言なしに、公債というものは現在はだめだとおっしゃるのか。総理大臣大蔵大臣兼務でもありますまいし、先ほどから五時間くらいたちましたが、お考えはちっとも変っていないのでございますか。
  203. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、公債発行は今日その時期でない、かように考えております。
  204. 松野頼三

    松野委員 もう一点。ただいまのお話のように、これは予算を減額する案、だから大蔵省は賛成したが、もし予算を増額する案でも、いいものならばそれに御賛成になりますか。
  205. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はただいま御審議を願っておる、せひ御承認願いたいのでありますが、具体的なものならば、それは検討することを拒むこともないと思います。
  206. 松野頼三

    松野委員 軍人恩給を増額することは、具体的な案として御賛成でございますか、御賛成じゃございませんか。
  207. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 一兆円のワクというものはかたく守らなければならぬと思います。
  208. 松野頼三

    松野委員 予算委員会ではありませんから、あまりしつこくは言いませんが、私が非常に心配することは、たびたび言いますように、公債発行論が院内におきましては相変らず相当に強いんです。私は、それを加味して、あなたの一身に及ぶようなことがあっても大へんだと思って、こうやってもう一ペん申し上げるのですが、実は私も自民交渉委員に入っております。入っておればこそ、いい機会だからこういうことを露骨に申し上げるのですが、これが表面化してからだと間に合いません。本日は未定だから、かりにどうきまっても、仮空のことで責任もございませんけれども、悪い方にきまってしまうと、一萬田大蔵大臣が非常に御勉強になって、せっかくここまで天下に名をなされた財政をおやりになるのだから、心配の余り言うんです。悪意の質問じゃございませんから、一つ善意で御答弁願いたい。
  209. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御親切は身にしみてありがとうございます。
  210. 伊東岩男

    伊東委員長 他に御質疑がなければ、床次委員の御提案の案につき討論に入ります。討論の通告がございますから、これを許します。松野頼三君。
  211. 松野頼三

    松野委員 ただいま床次君提案法案に関しましては、元来これは政府が当然提案すべきものでございまして、その前例といたしまして、四月、五月の暫定予算に見合う補助金の一時打ち切り法案も、政府提案になりまして、すでに可決確定いたしました。これは六月分の暫定予算に見合うものでございますから、当然これは政府が重要な法案として提出する責任があるにもかかわらず、政府の怠慢、不勉強により提出する時間的余裕がなかったというわけで、ただいま床次君提案法案をどうしてもこの場に出さなければならなかった。その理由は、一言に申して政府の怠慢であります。われわれといたしましても、本予算審議の過程にありまして、本予算の一部である補助金法案予算と切り離して審議することは不可能でございます。従って、当然暫定予算に見合うものを提案すべきものを、政府自身はなはだ不誠意、不誠実でございまして、いたしておりません。しかしながら、今後の善処方を強く要望し、なおかつ法案関係いたしまして提案の個所の修正の点もございましょうが、本日は諸般の事情を十分勘案いたしまして、政府に再びかくのごときことがないように強く警告を発して、賛成いたします。
  212. 伊東岩男

    伊東委員長 滝井義高君。
  213. 滝井義高

    ○滝井委員 床次委員提案にかかる補助金等臨時特例等に関する法律案につきましては、日本社会党を代表して反対意思を表明するものであります。  元来、この補助金の整理ということは、昭和二十四年にシャウプ使節団が日本に参りまして、日本の中央、地方の財政の状態を見た結果、日本の地方自治体に中央から莫大な補助金が交付され、しかも地方自治体の政治が中央によって左右される形になっておることは、地方自治の自主性から考えてまことに不合理である、こういう考え方から、補助金整理の思想というものが出てきたのでございます。従って、内閣としては、そのような思想を受けて、補助金の整理をする目的として、地方自治体の自由な財源の確保と国の財政の健全化という二大スローガンを掲げて、補助金の整理を志したはずなんでございます。ところが、そのような高い理想、目的はいつの間にか消えうせて、地方自治体の財源として交付せられておったところの三十幾つかの片々たる補助金をここに抜き出して持ち来たり、そしてその削減をもって大目的をあたかも遂行するがごとき装いをこらしたのでございます。まことに羊頭を掲げて狗肉を売る法案というのはこの補助金等臨時特例等に関する法律なんでございます。しかも、昨年一カ年間の実績を見てみましても、何らその大目的を達成することがなかった。すなわち国と地方を通じての財政規模の圧縮が不成功に終っておることは、もう昨年一年の実績を見ても明らかでございます。  しかも、その実績のなかった法律を、さらに政府は四月、五月の暫定予算の当時においては三十年の五月三十一日まで二カ月延ばし、今度は、本予算提出とともに、昭和三十一年の三月三十一日まで十カ月延期して参ったのでございます。ところが、この法案が、自由党との間の予算折衝の過程において、むしろ現在の傾向としては一つの道具として使われておるニュアンスさえ見えてきておるということです。これははなはだ嘆かわしいことだと言わなければなりません。政府に真の政治信念があり、しかもその理論的な根拠が正しいとするならば、政府はあくまでも来年三月三十一日までのこの政府提案法律を通す熱意と信念と努力をなすべきであります。にもかかわらず、与党自らが自由党の要望に屈服をし、屈服をした上に政府までが節を曲げ信念を曲げて賛成をする態度は、実に見下げ果てた態度と申さなければなりません。かかる政府が日本の経済自立を達成し、そして補助金を削減して地方自治体の財政の健全化をはかり、あわせて国の財政の健全化をはかるなどということは、これは全く口頭禅にすぎないということです。こういう内閣では、私たちは安心していろいろの政策をまかせるわけには参りません。  こういう基本的な態度に立って、日本社会党といたしましては、床次委員提出補助金等臨時特例等に関する法律案の一部改正における、暫定予算に見合うだけの一カ月間の延期法については賛成をするわけには参りません。これが日本社会党の反対をする基本的な理由でございます。
  214. 伊東岩男

    伊東委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより床次委員提案の案につき採決いたします。床次委員より御提案の案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案とするに賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  215. 伊東岩男

    伊東委員長 起立多数。よってただいまの案を委員会提出法律案とすることに決しました。  なお、提出の手続に関しましては委員長に御一任をお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十一分散会