運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-05-26 第22回国会 衆議院 補助金等の整理等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十六日(木曜日)     午前九時五十九分開議  出席委員    委員長 伊東 岩男君    理事 高見 三郎君 理事 床次 徳二君    理事 坊  秀男君 理事 吉田 重延君    理事 滝井 義高君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       纐纈 彌三君    高村 坂彦君       椎名  隆君    竹内 俊吉君       淺香 忠雄君    坂田 道太君       八田 貞義君    井手 以誠君       加賀田 進君    三鍋 義三君       大西 正道君    佐竹 新市君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      村上孝太郎君     ————————————— 五月二十六日  委員川野芳滿君辞任につき、その補欠として淺  香忠雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第五〇号)     —————————————
  2. 伊東岩男

    伊東委員長 これより会議を開きます。  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑に入ります。大蔵大臣が御出席になりましたが、大蔵大臣は九時半から一時間という大体約束をいたしたのでございます。大臣約束通り九時半に参りました。どうぞ質疑は、そういうふうなおつもりで、きょうのところは大蔵大臣に対する質疑を進めていただきたいと思います。質疑の通告がございます。順次これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 大臣の御多忙中のところをわざわざおいでいただいて恐縮でございますが、昨年この補助金等臨時特例等に関する法律国会提案をせられました当時においては、非常に憲法論論議をせられたのでございます。しかし、十九国会におけるこの補助金等に関する憲法論というものは、最終的な結論は出ていなかったようでございます。しかし、きょうは、私は、すでにこの法が一年間その実績を持ったのでございますから、その実績にかんがみて二、三質問をしてみたいと思うのです。  まず第一に、昨年、国会において、この法律政府は当分の間ということで出したにもかかわらず、国会はその意思において一カ年間の延期をしたのでございます。で、なぜ再びここにこの法案を三十一年の三月三十一日まで延期しなければならなかったかというその理由を、一つ大臣から明白にしていただきたいと思います。
  4. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 昨年一ヵ年の期限特例法が実施されたのでありますが、本年度におきましても、内外の情勢、特に国家財政規模圧縮健全化要請らいたしまして、昨年度とこの法案延長の必要は少しも事情を異にしませんばかりでなく、一そうその必要を増したと考えておりますので、御審議を仰いで一年間さらに延長いたしたい、かように考えておるわけであります。
  5. 滝井義高

    滝井委員 昨年と情勢が変らない、ますますその必要性を感じておるということで、一年また延ばしたということでございますが、聞くところによりますと、政府は今回この法案を一年延期すると同時に、予算委員会へ、内閣から提出された書類によりますと、やはり同じような補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案が五月の二十三日に出る予定になっておるわけです。そうすると、国会には大体いつごろ出るのか、しかも全くこの法律名前の同じ法律が出るならば、当然この延期される法律と同時に出て来て国会審議を受けるべきだと思うのだが、そういう関係はどうなっておるか、これを一つ説明願いたい。
  6. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 きょうあたり、政府関係を含めまして、すみやかに提出をいたしたいと考えております。なお、同時に出すという——これは別に他意があるわけではありません。主として手続上の関係でありまして、一方の方は従来のままで内容もみな同じであります。なるべく早く御審議を仰ぎたい、こういうわけでありまして、しいて言えば政府手続の上からということであります。
  7. 滝井義高

    滝井委員 政府手続の上からと申しますけれども、実は、この補助金の問題はあとで触れますが、地方財政等に及ぼす影響は非常に重大なものがあるのです。現在われわれが審議の対象としております、昨年かかった補助金等臨時特例等に関する法律案というものは、これはどうしても今月中には衆参両院を通過しなければならないものなんです。ところが、あとに出てくるものは必ずしもそうではないわけなんです。期限がびしっと暫定予算のときに五月三十一日までと区切ってありますが、今は区切っていないのです。ところが、この二つのものは、内閣から提出されている法律案名前を見ると、全く同じなんです。同じ名前法律案が、一方は早く通してもらわなければならぬ、一方はゆっくり審議してもいい、こういうことではおかしいのです。なぜならば、これは今申しますように地方財政にきわめて重大な影響を持っておる。当然二つ法案というものが合せて一体の補助金負担金等整理に関する法律なんでございます。従って、当然これは私たちとしては、出てきた一つ法律はゆっくりやるが、一つだけはすぐに通さなければならぬ、こういうことでは非常に困るのです。地方自治体自身も困ると思うのです。それで大臣はどういう工合にそれを調整していかれるつもりなのか。もし内閣でそういう方針を持っておられるならば、暫定予算審議するときに、もうすでにそういう方針を明白にして、そうしてその法律案を同時に出してくるべきであったのです。やがておそくとも来月の六日前後には、われわれは最終的な予算に対する態度決定しなければならぬ。そのときに当って、一方だけは早く通さなければならぬが、一方はゆっくりでいい、こういうことでは、われわれは法案審議態度において困るのです。その点も一つ大臣から明白な御答弁をいただきたいと思います。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 まことにごもっともなことでありまして、できるだけ早く一方の方も出すことが望ましい、また出すことを努めたのでありますが、手続の上でついおくれました。なお、その期間のことにつきましては、政府委員から詳しく御説明申し上げることにいたします。
  9. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 手続的な問題をちょっと私から御説明申し上げておきます。滝井先生よく御承知通りでありますが、昨年一度国会議決を経ましたもの、並びに先ほど御指摘のように四月、五月の暫定予算期間中特に延期を認めていただきました分ということで、この延長の分は特に早くいたしました。大臣も申されましたように、追加の分もできるだけ早くと考えたのでございますが、新しい事柄でございましただけに、関係各省間の調整等に多少の時間をとったことは事実でございます。しかしながら、これまた、先ほど大蔵大臣がお伝えになりましたように、おそくともきょうじゅうには部内決定をいたしまして、予算議決より先に至急に提案を申し上げて御審議をいただく運びになっております。
  10. 滝井義高

    滝井委員 きょうじゅうに出すのですか。
  11. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 きょうじゅうに部内決定をいたしまして、手続もいたしたいと思っておりますが、だいぶん印刷の都合等もございますが、実質的にはきょうじゅうに決定をすることは確実でございます。
  12. 滝井義高

    滝井委員 どうも私たち予算審議の立場に立って理論的に筋が通らないと思うのです。というのは、昨年においてもこの補助金整理というものは非常に問題になっておる。しかも国会は、これを一年限りである——政府の方は当分の間と出してきたものを、わざわざ一年限りであるとした。ところが、今度は、またさらにその一年限りとした法律に対して追い打ちをかけて、同じ名前の、同じような性質のものをまた出してくる。こういうことであるならば、この議論は、当然大蔵委員会で当時の暫定予算と同時に出たあの二カ月の延期のときにも論議をしなければならぬ問題だったと私は思うのですが、またあとから出てくるということになりますと、この法律をわれわれは押えておかなければ工合が悪いのです。この法律案は通しちゃった、あとからゆっくり今度同じものが出てくるということになれば、その関連性というものは、前を通してしまえば、またあとを通さなければならないことに追い込れまてしまう。これは、今正示さんは手続上の問題だと言ったけれども、法案を通す戦略、戦術の面からいえば、きわめて巧妙な出し方と言わざるを得ない。われわれは、実はこの法案は、正直に申しまして、大蔵委員会で二ヵ月の暫定的な延期を認めたために追い込まれておる。これは三月三十一日にはやむを得ず参議院を通るような状態にならざるを得ない。これは暫定予算で認められておるのだ。ところが、これを今度は追い込んでおって、あと法律案も、これは名前も同じなんですから、それと同じようにされるおそれが十分あるのです。だから、そういう点で、もう少し法律というものは誠実に実行してもらわなければ因る。しかも、これについては、二十三のうち多分十三くらい議員立法だったと思うのですが、その議員立法が大きなねらい撃ちをかけられておる、国会意思を全く無視してこういう補助金整理をやってくるのはけしからぬじゃないか、憲法違反じゃないかという論議が、昨年は繰り返し巻き返し行われた。今度は、憲法論がなくなると、こういう一つ法案を先に通して、同じものをまたあとから出してくる。しかも名前が同じだということは、どうも私は納得がいきかねる。この点も明白な答弁ができないようでございますので、そういうことで残しておきまして、大臣にお尋ねしますが、実は、昨年、この法案が出ましたときに、参議院において、福永官房長官が、今大臣も言われたように、財政事情が非常に悪いからこれを出しておる、財政事情がよくなるならばこれはもとに返します、こう言われておるのです。ところが、この前の提案理由説明も、それから数日前に村上さんからいただいた御説明でも、地方財政の自由な財源確保するため、それから国家財政健全化のためにこの法案は出すのだ、こういう基本的な提案理由の御説明があったのです。そうすると、こういう非常に高いねらい目的で出しておる法案であります。ところが、今の大臣の御説明でも、財政事情が昨年と同じように非常に悪い、だから出すのだ。ほんとうに政府が出したときの当分の理由だけを述べておる。ところが、今村上さんの御説明があったような非常に高いことをねらっておるのが、この補助金整理法案なんです。これは同時に二十四年にシャウプ使節団がやってきたときのシャウプ勧告に基いて出てきているものである。従って、ねらいは、政府は、この法案提出について、いわば議員の目をくらますために当分の間というような形をとっているけれども、むしろこれは立法としては恒久的な立法なんですよ。私はそういうねらいがあると思う。それは、シャウプ使節団勧告や、あるいは村上さんの国の財政健全化地方の自由な財源確保するという点から見れば、恒久的なものなんです。この食い違いというものはどうなんですか。これをもっとはっきり御説明していただかないと、どうもわからない。
  13. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この法律はあくまで臨時的なものでございまして、恒久的なものについては、さらにこれは検討を加えていかなければならぬと考えております。
  14. 滝井義高

    滝井委員 どうもこれは村上さんに尋ねて恐縮だが、そうすると、村上さんは地方財政の自由な財源確保する、国の財政健全化というような、こういう大上段にかまえた提案理由なんですが、これはちょっと大臣のとはそぐわないと思う。こういう補助金整理をやることになれば、当然必然的に大きな地方制度の問題に関連してくるのです。地方制度調査会でも、補助金整理の問題については、こういうこそく的なことではだめだから恒久的にやらなければいかぬということで、大蔵省もこういうふうにやってきていると思う。どうもあなたと大臣と食い違ったのだが、同じ省内の説明が、そういう工合に、大臣としかもこの法案を主として扱っておる人の食い違いでは困るのですが、もう少し大臣を教育していただかなければいかぬ。
  15. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 私の法案説明大臣の御説明と食い違っているというお話なので、一言弁解いたします。私の申しました地方財政の自主的な財源確保するとか、あるいは財政健全化と申しましたゆえんのものは、非常に高い理想と申しますか、この法案究極にはそこにかかるわけでありますけれども、この前も御説明申しましたように、地方に対する補助金は今や三千億になんなんとしているわけでありまして、それによって地方財政が非常に大きな負担を受けている。昨年地方行政委員会公聴会友末県知事が述べられましたように、この三千億にばっさりおのが入るような、そういう整理になりますれば、地方財政の実財源確保とかいうような理想も、羊頭を掲げて狗肉を売るというようなことなくして、妥当な説明ということになるかと思いますが、何分この法案で節約になりますものは二十億という程度のものでありまして、これは私の申しました究極理想には関連がございます。従って、そういう一面も持ちますけれども、他面から申しますと、直接的の目的としては、財政健全化と申しますか、財政規模圧縮と申しますか、一兆という昨年に変らない一つ予算編成要請のもとにおきまして、この法案の持つ重要性が非常にあるわけでありまして、私の申しました地方財政の云々という問題は、非常に実際的なこの法案目的をいわば理想化して申しますとそういうことになる、こういう意味でございまして、その点御了解を得たいと思います。
  16. 滝井義高

    滝井委員 理想化したらその通りだと思います。そうしますと、理想に向ってやっていくのならば、そういう万全の措置をとらなければならぬ。ただ国補助金を切るだけではなしに、地方制度自体についても大蔵省は手を加えていかなければならぬと思うが、そういうことはやられていないわけです。大臣の今の答弁では納得ができかねるのですが、大臣は、大体こういう補助金整理をやり、またもう一つ追加をしてやる。今村上さんから御説明があったように、三千億になんなんとするものであるということですが、そういう増加原因は一体どこにあると大臣はお考えになりますか。地方歳入のほとんど三分の一を占める補助金増加原因はどこにあると大臣はお考えになりますか。
  17. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この原田は非常に多岐にわたるだろうと思うのてあります。一々それを今列挙しませんが、特に中央、地方行政関係の複雑さからも、また終戦後における経済の情勢というところからも来ているのではないかと考えているわけであります。どういうものに補助金が出ているか、一項目一項目拾い上げて考えてみれば、はっきりしてくるだろうと考えているわけであります。
  18. 滝井義高

    滝井委員 なかなか大臣答弁ができないほどいろいろと原因が多過ぎるらしいのですが、明白な答弁がいただけないので、いずれ事務当局から少し詳しく聞かせていただかなければならぬと思います。昨年この法律を出されて、とにかく一年の時限立法て通ったわけでありますが、大臣整理効果が現われたとお考えになりますか。どういう効果が具体的に現われましたか。それを一つ説明願いたい。
  19. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 昨年実施いたしましてからの経過については、まだ的確な資料をもって判断し、かつお答えすることができませんが、大体におきまして地方公共団体の自主的な行政運営を助長することに役立っていると考えております。特に今日の重大な問題は、御承知のように、地方財政が非常に困窮しておりますから、それの再建整備にありますので、政府としては、この国会に別途地方財政再建整備促進特別措置法案提案する予定であります。右法案とこの補助金整理措置と両々相待ちまして、地方団体健全で自主的な行政及び財政運営を一そう伸張させていきたい、かように考えておるわけであります。そういうところが今日の状況であります。
  20. 滝井義高

    滝井委員 正示さんも少し大臣に教えなければだめですよ。答弁にならぬですよ。今のは整理効果がどういうところに現われたかというのに、自主的な運営とか、再建整備とか、そういうものとは何も関係ないと思います。この法律効果がどういうところに現われたかということなんです。もう少し勉強していただかないと、質問のしがいがないですよ。大臣どうでしょうか。ことしの補助金総額予算面で幾らになりますか。昭和二十八年と二十九年と比べて補助金の比率というものがふえているのですよ。予算総額に対する割合は、昭和二十八年は二千八百八十三億円で二八・一%です。昭和二十九年度は二千九百十三億で二九・二%になっているのですよ。この法律を出したにもかかわらず、予算総額に対する割合はふえている。だから三十年度は大体どうなっているのですか。だから、その効果は、具体的な面からもう少し御説明願わないと、今のような抽象論では——再建整備なんかここに持ち出せば、それについて議論が出てくるのですよ。補助金総額は、二十八年より二十九年の方が多くなっている。三十年度は大体どうなんですか。
  21. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 補助金総額につきましては、今御指摘のように、一方で整理をしますが、他方で必要なものが出ておりますので、若干ふえておるわけであります。
  22. 滝井義高

    滝井委員 三十年度総額予算に対するパーセントはどうなりますか。
  23. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 滝井先生承知のように、補助金交付金委託費一切を入れまして、その総額はただいま大臣お答えになりましたように多少ふえておるのでありますが、これは、御承知のように、交付金の中には地方交付税、こういうものも一緒に入っておりまして、それだけで百三十何億かになっております。ただいま申されましたように、この法律案による整理、並びに今回二件追加いたしますが、その減少額はきわめてわずかでありまして、一方全体としてのいわゆる交付税的な財源あるいは義務教育費国庫負担金というようなものがふえております関係上、差引ふえておるのでありますが、その数字につきましては資料として提出いたしたいと思います。
  24. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、なかなかふえてきておるということでございます。こういう補助金を断片的にちょっちょっと切って出すということでは、もはや理想に向っての国の財政健全化地方自治の重要な財源確保もできないということを意味しておるのです。一方ではわずかなものを切っておるけれども、その実は形を変えた交付税交付金の中に入れなければならぬというこの現実は、ただ左のものを右にやったという形だけになってしまうのですよ。それほど地方自治体財政というものがきわめて窮迫しておる状態を示すものである。今年度地方財政計画においても、先般百四十一億の赤字があったはずです。それを旅費とか人件費とか物件費というものを節約して歳入歳出を合せた、こういうこそく方法をとられておるわけなんです。現在そういう形をとられれば、当然地方においては超過負担というものが起ってくる。これは、昨年茨城県の友末知事参議院で述べておる通り人件費が削られれば、削られたものは地方自治体負担しなければならない、あるいは学校の建設の坪数の単価を削れば、子供はふえておるから建物は建てなければならぬ、それは地方財政負担をしなければならぬ、こういう形が出てくることは明らかなんです。国の財政で二、三十億を削ることによって、二、三十億の限度としては健全化するでしょう。しかし、その二、三十億は、違った形において地方自治体はどこかに新しいその財源を求めてくる、こういう形が出てきている。ですから、あなた方がこの補助金等法律案を出されるならば、同時に地方財政健全化のための具体的な案を構想として持ってこなければならぬと思うのです。大臣は何かそういう構想でもお持ちなんですか。
  25. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この補助金について整理をいたしますとともに、他面地方財政再建整備の手を打たなければならぬので、その法案も出すことになっております。
  26. 滝井義高

    滝井委員 この再建整備法というものは、あなたがそう考えておられるほど地方財政打開法案ではないと私は思います。現に、すでにきょうの新聞でも大臣ごらんのように、いわゆる教育委員会予算提案権についてであるが、知事の案に対して対立の案を出すということを停止しようとしたが、すでにそれは、義務教育に対する重大な圧迫であるということで、文部省自身が強硬な反対をしておるじゃありませんか。あるいは、あなた方は、再建整備のために、政府の出す資金を五十億用意して、しかも百五十億のいわゆる公募公債でやろうとしておるが、しからば現在の公募公債はうまく消化ができておりますか。大臣公募公債消化状態はどうですか。
  27. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、今年は十分の指導を加えることによって消化ができると考えております。
  28. 滝井義高

    滝井委員 大臣は、補助金整理をやりながら、同時に地方財政再建のためには再建整備促進特別措置法案を出してやるのだということをおっしゃるが、その実は公募公債でやるので、その消化ができるかということを聞いておるのです。できなければ、その大臣構想はだめなんですよ。公募公債消化はできますか。公募公債は百五十億の再建整備のほかに二百三十億出すのですよ。ことしは三百八十億の公募公債が出るが、とてもこれでは消化ができないと思う。昨年においても消化ができておらなかった。
  29. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この百五十億につきましては、私の考えでは、すでに各銀行の借入金になっておると思います。各銀行から借りた金が固定した形になっております。これを今度は地方再建に振りかえる。これが百五十億であります。それから先ほどお示しのように二百三十億ばかりの公募がある。これは、先ほど申しましたように、今後の金融情勢から見て指導によってこの公募ができる、こういうふうにお答え申し上げたいと思います。
  30. 滝井義高

    滝井委員 それではもう一つ、正示さんでけっこうですが、昨年度公募公債消化状態がわかれば御説明願いたいと思います。消化はできていないはずです。
  31. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 昨年の公募公債は、御指摘のようにあまり十分な消化とは申せません。ただ、公募につきましては、ただいま大蔵大臣もおっしゃいましたように、昨年度財政金融との関係にも多少問題があったかと思うのであります。その点、今回は、だんだんと金融正常化が進むにつれまして事情も違ってくると考えておるのであります。なお、そのほかに、ただいま自治庁とも相談いたしまして、公募債消化につきましては、格段の行政措置を講ずるように、いろいろの方法について研究をいたしております。昨年と特に御指摘でございますが、従来公募債消化ということが比較的計画倒れになっておった傾向がございますので、今後は、その点につきましてただいま申し上げたような特段の措置を講じて参りたい。それから、滝井先生承知のように、一昨年までは平衡交付金制度でございまして、収支のつじつまを合せるということに非常に急でございましたので、公募債というような形に最後はなった傾向もございます。これらの点は、先ほど大蔵大臣からお答えになりましたように、新しい交付税制度の発足と関連をいたしまして、やはり、公募債というものは、相当計画におきましても実行におきましても従来とだいぶ変ってくるようにも思いますので、この点は、重々、従来の実績だけをもって本年度計画をお考えいただかないで、多少新しいいろいろの条件のもとにおきまして、再建整備債その他一般公募債計画しておるというふうに御了解賜わりたいと思います。
  32. 滝井義高

    滝井委員 どうも、実績を御説明いただかぬので、納得がいきかねるのです。現在地方銀行公募公債を引き受けるのをあまり好まないのです。というのは、今貸しておる金ならば何とかとれるのです。ところが、公債に切りかえて長期化すと、資金が焦げつくのです。だから、五大都市とかあるいは富裕県の公募公債らいいですが、再建整備を受けるような貧弱な府県のものあるいは都市のものは、焦げついてなかなか大へんなんで、地方銀行は引き受けない。これは何でも、聞くところによると、日銀自体が地方銀行に引き受けぬ方がいいぞという指令さえ出しているといううわさがあるくらいなんです。大臣は、日銀総裁だったから、そういう金融面は専門家で御存じだと思うのですが、こんな貧弱な府県の公募公債——再建整備をやらなければならぬような赤字がうんとたまっておるところは、貧弱なところなんですよ。そういうところのものは金融業者は引き受けません。なるほどオーバー・ローンなんか解消して銀行の経理内容はよくなっておりましょう。よくなっておっても、やはりこれは引き受けませんよ。そういうことから、今大臣は、補助金を切っても地方自治財政については健全化をはかっていく、そのためには再建整備法を作っておる、こうおっしゃいますけれども、これはなかなかその一貫した見通しを私たちは持つことができないのです。そういう点で、どうも今の大臣答弁では納得いきかねる。そうだとするならば、この補助金をほんとうに整理せられるとするならば、やはりもっと高い見地からやるという考え方を持って、地方制度ともにらみ合せて、そして国会にこういう法案を出してくるべきだと思うのです。わずか二十億やそこらの金を節減するために地方自治体をこんなに痛めつける。今度どんな法案が出るか知りませんが、出ればまたたくさん陳情が来ることはきまっている。しかも、切られるところは、保健所あるいは農業改良普及員とかいうような弱い面が切られたと同じような運命で切られてくる。おそらくそういう形をとることは明らかなんです。そうして、しかもその予算に占める補助金負担金等割合というものは依然として変らない。こういうことでは、あなた方の言われた高い理想をねらってのこの補助金整理というものは、さいぜん言われたように、現実には羊頭を掲げて狗肉を売る結果になっているのです。だから、この点は、やられる場合もっと大臣考えてやっていただかなければ、昨年この補助金というものであれだけ特別委員会を作って問題になったけれども、効果が現われていないと私は思う。いわゆる国、地方を通じての財政支出の圧迫を緩和するという点からは、これはちっとも役立っていないのです。だから、大臣は、これをやられるとするならば、もっと地方制度全般をにらみ合せてやられる御意思があるかどうか。いわゆる一時的なもので、大臣が今言われたように、いわばデフレの地固めのためにやっている、拡大均衡になれば補助金はまた元のように野放しだ、こういう考え方なら、もう私はやめてもらった方がいいと思うのです。しかし、根本的に大臣がやられるというならば、われわれもほんとうにふんどしを締め直して検討もします。御協力もやりたいと思うのです。しかし、かつて参議院における根本官房長官の御答弁やら、今の大臣のような御答弁なら、私はやらぬ方がいいと思う。大臣どうですか。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御意見は私も全く同じ考えで、さような考えが私はいいと思います。非常に拝聴いたしたのでありますが、ただ、一度に高い考え方をしても、実際としてまた廃止した後の影響と言いますか、そういうものの調整等考えていかなければなりませんので、なかなか一挙に行きかねる。それなら、大きく行かぬからやらぬでもいいかというと、やはり必要のなくなった補助金についてはこれは整備をしていかなければならぬ。他面、それだけでは地方財政健全化はむろん私は期待できないと思う。従いまして、地方財政の本質的な健全化については、お説のように将来大きく手を打っていかなければならぬ、かように考えております。
  34. 滝井義高

    滝井委員 では、これでやめます。大臣にもう一、二回この委員会に来ていただかなければならぬと思いますが、大臣は、もっと基本的な見解をお持ちになって、委員会に臨んでいただきたいと思うのです。今年は、この地方財政計画を見ても、六十八億以上の節約をしいているわけです。しかも、昭和二十八年の決算を基礎にしたために、ことし地方自治体が出す人件費大蔵省で見ている人件費との開きというものは三百七、八十億あるのです。こういう形を見て、今度はまた補助金を削られてくる。そうすると、すでに地方ではその分はもう予定してあるわけです。もう事業をやっている。だから、削られる分だけは、地方自身の単独財源からそれをカバーしていかなければならぬ面が出てくる。こういう点は、やはり、もっと補助金というものと地方財政とのにらみ合せをやっていただかなければ、ただその場をごまかしていけば済むというようなものではないと思うのです。そういう圧力はおそらく弱い面にかかってくる。厚生関係、教育関係にかかってくる。ということは、この法案で一番数が多く出ているのが文部省や厚生省なんです。これはもうはっきりしている。こういう点から見ても、必ず弱いところから切ってくる。しかも、その弱いところのこういう財源というものは、地方自治体は、切られたからといってほうっておくわけにいかない。どんどん学童がふえてくる。学童をお宮やお寺で教育するわけにはいかない。やはり最小限度の校舎を建てていかなければならぬ。あるいは、厚生省の予算にしても、性病の予防、精神病の予防というようなものについては最小限度の予算は必要です。また現実に精神病者が出れば、ほうっておくわけにいかないのです。そういうものは、どうしてもそれを取り扱う人件費なり事務費というものが必要になってくる。そういうふうに中央で切ったからといって、それだけでほうっておくわけにいかないのが地方自治体の実情なんです。ところが、これを見ると、文部省、厚生省が切られてしまっている。こういう一番末端の親切にお世話をしなければならない地方自治体財源が切られて、それらのものが交付税の形あるいは平衡交付金の形というものに一緒くたで入れられていくならば、地方自治体において今後財政の節減などをやる場合には、一番弱い教育予算や母子家庭などの貧困層を救う予算が当然取れないことになってくる。こういう点は、もっとあたたかい血のある政治をやられるとするならば、同時にそういう制度もあわせて地方自治体を補強する方策をやりながら、補助金を切っていただきたいと思う。  大臣にもう少しいろいろお尋ねしたいのですけれども、大臣答弁があいまいもことして、はなはだ不得要領で工合が悪いのです。そういう根本的な点を一つ大臣によくお考えになっていただきたいと思います。  これで一応私は終ります。
  35. 伊東岩男

    伊東委員長 井手君。
  36. 井手以誠

    ○井手委員 大臣に二、三お尋ねいたしたいのであります。  私はここにあらためて憲法論議を蒸し返そうとは考えておりませんが、大臣に特にお尋ねいたしたいことは、国会意思を踏みにじった内閣態度についてであります。昨年この法律案が出ましたときに、「当分の間」とありますのを、ただいま滝井委員からも申しましたように、これは一ヵ年の時限立法にいたしたのであります。御承知でもありましょうが、大臣に念のため当時の結論を申し上げておきたいと思います。当時与党であった自由党の代表からは、「この法律案審議いたしてみますと、補助金の相互間においていろいろ彼此権衡上審議を要すべき点もありますので、この法律案はぜひとも一箇年の時限立法といたしまして、政府はこの補助金について根本的な検討を加えていただきたい、」こういう討論があったのであります。次いで、今鳩山内閣の与党になっているところの当時の改進党の代表吉川委員は、「今後十分政府においてお考えいただきませんと、国会軽視の、すなわち民主主義憲法の精神にもとる重大な内容を持っておることを、私はこの際特に強調しておかなければならないのでございます。」こういうことを申されておるのであります。すなわち、自由党、民主党での修正が当時通ったのでありますが、各党一致して、この法律案は一年としなくてはならない、こういうことが強く要望され、またこれが通ったのであります。もちろん昭和三十年度、三十一年度という将来についてもいろいろ検討されたのでございまするが、再軍備を進めておりまする政党である以上は、将来財政が豊かになるという見通しが見込まれないことも当然含んでのことであります。一年で翌年直ちに財政がよくなるなどとは、だれも考えていなかったのであります。そういうことを考えての上で、この法律は一カ年限りであるということを、国権の最高機関である国会がきめておる。国会は一カ年ですぞということを内閣に命じております。この明確なる国会意思に対して、申すまでもなく憲法の七十三条に規定しておる、内閣法律を誠実に執行しなくてはならないという、この内閣の大事な義務を怠って、一ヵ年ですぞというこの国会意思を無視して、同じような法律案を、さらに延長しようとする法律案をなぜ出されたか。はっきりしておるこの国会意思に対して、「当分の間」ならともかくも、「当分の間」というのを「一ヵ年限って」というこの国会意思に反してなぜ出されたか。私はこの点について大臣に明確なる御答弁を要求するものであります。
  37. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 もう一年延長をお願いした理由につきましては先ほど申し上げたのであります。なお、憲法との関係について御質疑がありましたが、この法律案予算案も、ともに素材として国会審議に提供してありまして、この予案算と法律案が相並行いたしまして御審議を願うというわけでありましたので、両者の議決が調整されれば憲法の趣旨に反するというようには考えてない、かように昨年の答弁があったように承知いたしております。さように私も説明を申し上げたいと思います。
  38. 井手以誠

    ○井手委員 今のは答弁じゃなかったように思います。予算案と法律案と同時に審議するということについて、あらためてまた私はお聞きしたいと思います。この点についても非常に疑義があります。しかし、私がお尋ねをしておるのは、法律案予算を同時になぜ審議しておるかということではないのであります。くどく申しますようですが、国権の最高機関である国会が、この法律は一ヵ年ですよということをはっきり内閣に命じております。内閣としては、当分の間——当時の小笠原大蔵大臣は大体三年くらい考えておりますということでございました。内閣は、財政の都合から、直ちに国家財政が豊かになるとは見込まれないので、三年ばかりこの補助金を削減していきたい、こういう希望を申されておったのであります。その内閣として三年を希望されておったものを、国会では、この法律は憲法上にもあるいは法律の内容についてもいろいろと疑義があって、内閣としては三年を希望しておるかもしれないけれども、国会としてはこれを一年ですぞということをはっきりきめておる。しかもそれは各党一致してきめたこの修正された法律が通っている。国会はこれは一年でございますよと内閣に命じたものを、法律を誠実に執行しなくてはならない内閣が、なぜそういう国会意思を無視して再び提案をされたか、これを私はお尋ねしておるのであります。国会を無視しておるこの態度——普通の見解の相違とかなんとかいうのじゃございません。明確な国会意思をあなた方が踏みにじっておるその根拠を私はお尋ねいたしたいのであります。
  39. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。先ほど簡単に申し上げましたが、昨年この法案通り、これを必要とした事情が三十年度においても変らないばかりでない。一そうこの法律を必要とするという要請があります。それであらためてさらに御審議をお願いする、こういうように私は考えております。
  40. 井手以誠

    ○井手委員 今あなたが答弁されたように、国家財政の苦しいのは一年ばかりではない。やはり三年くらい補助金を削減しなければ内閣としては困る。そこで当分の間、すなわち三年ばかり、せっかく作られた法律ではあるけれども、その中に含まれておる補助金をこのように削減したい、こういうふうな意味で提案された。すなわち、三年ばかりというものであるのを、国会としては、いろいろ疑義がありましたので、各党一致して一ヵ年というようにきめております。一ヵ年ということをきめておる。そこをよく聞いて下さい。一カ年という国会意思を踏みにじって、また同じものを出される。それが根本的な補助金整理、今滝井君も申しましたような全面的な補助金に対する整理態度を示されるならともかくも、同じものを引き続きもう一ヵ年やりたい。これは大臣答弁とは違うのであります。国会がこうせよと命じたのを、それに反してなぜさようなものを出されたか、それを私はお尋ねしておるのであります。答弁が食い違うと困るので重ねて申しますが、国会が一年ときめたものと同じものをなぜ出されたか、それをお尋ねしておるのであります。
  41. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 決して国会の御意思を無視しておるわけではないのでありまして、当時の事情と変っていないばかりでなく、この特例を必要とする情勢は一そう強くなっております。これは、私はあまりかれこれ言うべきではありませんが、やはりこういうような臨時措置の特例でありますから、なるべく先の見通しということもあるわけでありますが、当時としてはなるべく短かくしておくということで、その後の情勢によってはお考えを願える、またそういうふうな含みも私はあることだと考えるわけであります。そして情勢が今日に至って一そうこの特例を必要とするから、あらためて一年延長の御審議を願う、かように考えるわけであります。
  42. 井手以誠

    ○井手委員 だいぶ質問の趣旨に沿うような御答弁になって参りました。それで、今引き続き法案提出しなくてはならない情勢である、さらに必要性を増してきた、こう御答弁になりました。昨年審議するときにおいても、国家財政が急に好転するとは思われない、今後も引き続く、こういう状態にあるということは、当局も各委員もこれを承知しておったのであります。従って、内閣では、当分の間三ヵ年、その間には全面的な改正案を出そう、情勢によっては根本的に補助金削減の各個の法律についての改正案を出そう、あるいはそれをやめよう、そういう根本的態度を三カ年の間にきめようという趣旨で提案されたのである。しかし、国会としては、この政府提案の仕方なり見解なりに対して、これは憲法違反の疑いがある、理論的にも実際問題としても無理があるということで、事情は今後も、昭和二十九年度ばかりでなくして、三十年度も三十一年度も続くであろうけれども、これは一ヵ年限りであるという修正案を私どもは出して、それを通したのであります。そうしてこの法律の執行を内閣に命じた。その命ぜられた線を執行しなくてはならない内閣が、なぜ、一ヵ年という国会意思に反して、また再びお出しになるのかということをお尋ねしておる。情勢が変ったのではなくして、それはもう当時から予想されていたことである。同じような情勢になっている。これは大臣も御承知でありましょう。軍備を進めていけば片一方が苦しくなるのは当然であります。それが、賛成であるか反対であるかは別として、もう昨年から見込まれておったことである。にもかかわらず、これが非常に困難であるということで一ヵ年に限っておった。そうした国会意思をなぜ踏みにじってまで出されたか。情勢が同じだからとか、さらに必要性を増してきたとか言われるが、必要性を増してきたならば、なぜ根本的に法律案の改正を出さないのか。十幾つかの法律案一つ一つができるのにも、各方面から多数の人々が長い間熱望され、審議した結果、それぞれの法律案が必要に応じて出て参っておるのであります。従って、時世が変ったから、この補助金を三分の二のものを二分の一にするとかいうことをすれば、当然各個の法律について改正案を出すべきであります。それもせずに、十ぱ一からげに打ち切ってしまうような態度はけしからぬ、こういうので昨年も論議されたわけである。だから、もしあなたのおっしゃるように必要性を増してきたならば、なぜ各個の法律について改正案を出されなかったのか。まあ大臣は一々記録をお読みになるひまはないでありましょうが、しかし、それについては、あれだけ膨大な大蔵省の機構もあることだし、同時にスタッフの方もおられるのだから、多分いろいろとお聞きになっていると思うのであります。これでは政府のやり方は私は筋道が立たないと思う。この会議録にも、各派代表から要求されて、そうした改正案を出し直してこいということが書いてある。あなたの方の与党の今農林政務次官になっておる人が、「当分の間」を一年の有効期間にいたしました点はまことにけっこうでございますけれども、この期限にかかわらず、政府は、この内容の重要性にかんがみて、できるだけ早く、この法律の改正なり、もしくは何らかの措置をとられたいということを要求されておる。私はもう同じことを何回も申し上げたくないのですが、これほどはっきりしておる筋道に対して、同じものをもう一ぺんお願いしたい。これは一年限りだぞと言ったものを、また同じものを出されておる。変ったものならともかくも、同じものをなぜ出されたか。これは国会を軽視することにはならないかということをお尋ねいたします。
  43. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 国会を軽視するということは絶対にありません。ただ、先ほども理由については申し上げましたが、なおつけ加えて申し上げますれば、ただいま御意見がありましたからお答えしますれば、根本的な改革をして御審議を願う準備が間に合わないので、とりあえず一年延長を御審議願う、さように御了承を得たいと思います。
  44. 井手以誠

    ○井手委員 そういうことを早くおっしゃいますと、もう少し言い方も違っておったのでありますが、私はこの国会軽視についてはさらに追究するつもりであります。けしからぬことでございます。しかし、きょうはお急ぎのようですから、さらに一、二点お尋ねしておきたいと思います。  国会意思を踏みにじったことは申すまでもございませんが、さらに、先刻大臣自身がおっしゃいました法律案予算案を同時に並行して審議していけばいいというお考えについては、根本的に誤りではないかと思う。昨年公聴会を開いていろいろと聞いて参りましたが、もし補助率を変えようということでありますれば、まず、国会に対して、事情によって変えていきたいという提案をなさって——ここで私は提案権の有無は申しませんが、国会意思がきまった上で、あらためてそれに基く予算を組まれることが、私は正しい予算編成の行き方だと考えております。その点、昨年の公聴会での公述人の意見は、法律違反ではないけれども、きわめて不当であるという結論でありました。現在の与党、当時の改進党の吉川委員から、予算を伴う法律については、予算編成に先んじて、少くとも予算国会に上程する前に、法律の改正を見た上で、その上に立っての予算を出さなければならないと強調されております。先刻、大臣は、並行して御審議になればけっこうです、出しておりますからいいでしょう、こういうような口ぶりでございましたけれども、これはけしからぬことでございます。それについては疑義があったから、昨年結論的に、まず改正案を出して、それが法律になった上で予算を編成すべきである、こういうことにきまったのであります。それを、あなたは、同時に出しておるからよろしいではないかというお考えですが、それは間違いでございます。昨年もあれほど論議されたものを、また同じようになさっておる。内閣の任務としてそれでいいのですか。
  45. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御説のように、まず法律を変えて、そしてそれに基いて予算措置をする、これが一番正しい行き方だ、これはだれも異論のないところだと思います。しかしまた、予算案もあるいは法律案も、これを議題として国会において同時に御審議を願い、そうして調整ができて議決を経れば、これもやむを得ないだろう、こういう昨年度の御説明、これも、私、それがいいと申すわけではありませんで、明確に先ほど申しましたように、法律案がまずできて、それに基いてやるということがよろしいですが、そういうことも許されないことではない、これは法律の問題にもなりますから、その点について、昨年の国会説明を受けて、そういうように私は考えておるのですが、純法律問題としてはあるいは見解の相違があり得るかもしれない。これはいろいろの学者においても意見があることであります。
  46. 井手以誠

    ○井手委員 どうも答弁が明確でございませんが、昨年もそういう問題がありましたならば、ことしは、そういうことを繰り返さないために、早目に提案なさるべきではなかったかということを私は強調しておるのであります。大臣にお尋ねしてもなかなからちがあきません。一つもう少し法律について十分御研究が願いたいのであります。  そこで、私は少し具体的にお尋ねいたしますが、先刻、滝井委員質問に対して、補助金整理した効果として自主的行政の助長に役に立った、地方財政再建整備に役に立った、こういう御答弁がありましたが、これは全く逆だと私は考えております。滝井君も指摘しておりましたように、各地方におきましては、急に補助金が減りましたために、それまで、各都道府県は、都道府県民に対して、法律はこういう補助金をやるようになっておるということをみな宣伝してある。啓蒙してある。今後こういうことをやれば補助金をやるぞということを宣伝して約束してある。それが急に補助金が削られた。従って各都道府県としては、公民館を建てるとか、あるいは衛生施設をやるとか、児童福祉事業をやるとかいうように計画を立ててある。また片方もそういう予算をもらう期待を持っておる。従って、中央では補助金を切られて経費の節減になったかもしれませんけれども、地方においては依然としてそういう事業が行われておる。その費用というのは、国の出す金は減ったかもしれませんけれども、今まで中央から三分の二来ておるものが二分の一になりますと、その差額は地方負担しなければなりません。都道府県、市町村が負担しなくてはなりません。それを市町村が財政の都合でやらないという場合には、都道府県、市町村住民の寄付金によってまかなわれております。これが実態でございます。そのような実態にあるにもかかわらず、どこに自治体の行政の助長に役に立ったのか、再建整備に役に立ったのか、それを私は承わりたいのであります。中央では切られたけれども、地方はそのために非常に迷惑をしておる。地方では負担が重くなっておる。住民の負担がさらに重くなっておる。お調べになればすぐわかります。地方に参りますと、どこの府県においても、中央が補助金を切ったために、その分だけは地方がかぶっておる。かぶらなければ寄付金を強制されておる。そうして公民館が建てられております。大臣、どこに再建整備に役に立っておりますか。そのために赤字がさらにふえておるじゃありませんか。事業はしないというわけには参りません。全部削ったならともかく、三分の二のものが二分の一、四分の三のものが二分の一になっておる。そうすると、やはり事業としては進められておるのですから、各地方財政負担が増大する。この事実に対して、どこに再建整備に役立っておるか。私は具体的に大臣の御答弁をいただきたいのであります。
  47. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えを申します。補助金整理いたしまして、その結果地方がさらに自分の負担をふやしてその仕事をやっていく、そういうことがずっと放置されておれば、これは御説のように地方財政は貞担を増す一方になるだろう、そこに問題があるじゃないかということが一つ、もう一つは、そういうふうな整理をしてもよいと思う補助金整理するが、一方交付税等をふやしまして地方財源を回すことによって、地方財政をできるだけ強化をしていく、かように考えておるわけであります。具体的にどういうふうになっておるかということは、政府委員の方から答弁をさせます。
  48. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの井手先生の御質問に対しまして、事務の立場から一言つけ加えさしていただきます。これは、御承知通り、一般的に財源全体を削りますと、地方財政にある意味で影響があるのでありまするが、御指摘の点は、ひもつきの補助金がある程度削られたような場合、そのひもつきの補助金をもって健全化を促進しよう、あるいは助長しようとする行政の面はある程度萎縮してしまうではないか、というふうな御趣旨のようにも拝承いたしたのでありますが、この点は、私どもは、地方自治の根本といたしまして、やはり一般財源を強化いたしまして、その一般財源のやりくりと申しますか、差し繰りによりまして、地方が自主的に最も重点を置くべき面に対しまして行政を強化していく、また財政健全化という要請にも相そむかないようなやり方をやっていく、こういう方向に持っていくべきではないか。しかしながら、それはむしろ根本的な対策の問題であって、この際の臨時特例というものは全体のバランスをよく考えていないではないかという点は、まことにその通りの点もございますので、これは、大臣からたびたび申し上げましたように、今後なお私どもとしても十分勉強して参らなければならぬ点でございますが、一つの方向といたしましては、御承知のように、交付税もことしは去年より約一割くらいふえて参ることになっております。そのほか、義務教育費はふえて参りますし、その他自主的な財源といたしましてもある程度ふえて参りますので、地方団体の一般財源はだんだんと充実していっておるはずでございますが、ひもつきの補助金は仰せの通り多少減っておる、しかし、全体としての方向は、自主性を強化し、健全化しておるというふうな趣旨で申し上げておるわけでございます。
  49. 井手以誠

    ○井手委員 大臣も今の主計局次長答弁をお聞きになったでございましょうか。ほとんど補助金はひもつきでございます。中央からひものついた補助金が少くなれば地方負担がふえていく、これは当然だと思う。従って、しなくてはならぬ仕事であれば、地方負担が増大していきます。そうすると、自主的地方行政の助長に役立ったとか、再建整備に役立ったというわけには参らぬと思いますが、やはり役立つのでございますか。それは将来の補助金を根本的に整理していこうというなら、これは別の問題がありまするけれども、この臨時措置によって再建整備に役立つということは間違いではございませんか。
  50. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私の言葉があるいは足りなかったのでございましょうか。要するに、私どもの申し上げておる趣旨は、地方の全体の財源を強化し充実していく、この点が問題でございまして、その点において欠くるならば、井手先生のおっしゃるような問題があろうかと思うのであります。いわゆるひもつき補助金を出さないからといって、地方が一方において財源全体が困っておれば、おっしゃる通りの問題があろうかと思うのでありますが、一般財源を充実しておるのでございますから、あとはその地方団体の自主的な判断によりまして行政運営され、また財政健全化が促進される、こういうふうに考えるのであります。
  51. 井手以誠

    ○井手委員 そういった答弁では簡単に私は納得いたしません。  それで、先刻大臣地方交付税を充実したとおっしゃった、ただいま主計局次長もさようなことをおっしゃったが、一方では、交付税をふやしてやったから、その方については大丈夫だという意味のことをおっしゃっておる。それでは、補助した分だけどこに交付税がふえておりますか。今度の三十年度の交付税だって、あなたは五百億の減税をなさるとおっしゃった。そして事実三百二十億の減税をなさっておる。ところがあの減税によって交付税の基礎が狂ってきた。三十年度においては二二%交付税をやることになっておる。ところが、その根本の所得税や法人税において三百二十億の減税になっておりますれば、二二%基礎が狂っておることになる。ほんとうなら二三%か二四%に引き上げなくてはならぬのです。私はこの点あらためて予算委員会その他で追究するつもりですが、減税のために所得税や法人税の基礎が狂っておる。そのために地方の交付税というものが減っておる。これは理屈としては成り立たないわけです。今までのいろいろな補助金の削減にしても、あれも交付税に入っておる、これも交付税に入っておるとおっしゃるだけの話であって、内容は入っておらない。現実に、三十年度の交付税の基礎についてお考えになれば、おわかりだろうと思う。減税の分について百億なら百億というものは、今まで通りの計算で行くと地方に対して減るわけです。その分は交付税を引き上げなければならぬ。これは当然の問題ですが、これはあらためて別の機会にお尋ねし追究もしますけれども、一方において地方財源が充実しておるから、片一方で減ったって大丈夫だという答弁では納得しません。そんなことでだまされるものではないのであります。今まで何回もこういうことを論議してきましたが、いつも、ああだ、こうだと言って逃げておられる。逃げている当局はそれでいいかもしれないが、迷惑するのは地方です。大臣も急いでおられますので、きょうはこれで打ち切りますが、民主党の方でも、それが野党であればどんなに強くおっしゃるかもしれない。今与党なので切歯扼腕しておられるかもしれないが、(笑声)野党であれば私のような口調ではありませんよ。それをがまんなすっておられるところを見なければいけません。  きょうはこれで打ち切ります。
  52. 伊東岩男

    伊東委員長 本日はこの程度にいたして、明日午前十時より理事会を開いて、十時三十分より委員会を開きたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時十四分散会