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1955-10-14 第22回国会 衆議院 文教委員協議会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十月十四日(金曜日)     午後二時二十四分開会     ————————————— 協議事項  新生活運動に関する事項  高等学校教科課程に関する事項  学校施設に関する事項     —————————————
  2. 佐藤觀次郎

    座長佐藤觀次郎君) これより文教委員協議会を開会いたします。  文教委員安藤正純君がけさなくなられましたので、つつしんで委員一同黙祷を捧げたいと思います。起立をお願いいたします。黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 佐藤觀次郎

    座長佐藤觀次郎君) 本日の協議事項は新生活運動に関する事項ほか諸君のお手元に御通知してある通りであります。それでは前会に引き続き松村文部大臣並びに文部当局に質疑を行います。竹尾弌君
  4. 竹尾弌

    竹尾弌君 それでは松村文部大臣お尋ねを申し上げます。  まず大学制度と申しましょうか、そうしたものに関するお尋ねでございますが、私大臣からそういうことを承わったような記憶があるかどうかこれもちょっとぼんやりしておりますけれども大臣大学の数をふやさない、そうして内容充実する、数はできるだけ——できるだけよりか絶対にふやさない、こういうような御方針のように承わっておりますが、その通りでございましょうか。
  5. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君) お話通りでございまして、原則としてはこの大学を増設する、間口を広げますより、内容充実努力すべきものだと考えておるのでございます。
  6. 竹尾弌

    竹尾弌君 今大臣のお言葉で、原則としてはふやさない、こういうお言葉のようでしたが、原則としてはふやさないけれども、必要やむを得ない場合にはふやすというようにとってよろしゅうございますか。
  7. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 原則と申しましたのは、お話通りやむを得ぬ場合か起らぬとも限りませんから、原則と申したのでございます。なぜそういう言葉を使うかと申しますと、大学設置審議会などにおいて、これから許す場合においては、できるだけ設置の標準を高めましてこれをきめたい、こういうふうに考えておるわけでございます。従いましてそういう意味において、原則という言葉を用いたわけであります。
  8. 竹尾弌

    竹尾弌君 設置基準を高められるということはこれはもちろん望ましいことだと思いますが、設置基準を高めてなおかつ必要やむを得ざる場合には、その設置基準に沿うようなものを作らないとも限らない。場合によったら原則を破って作ってもよろしい、こういうことに解釈されるのですが、その点もう一度……。
  9. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 それが、絶対に大学を許さないという言葉は極端でありますから、これはどういうものかと思いますが、私は現在のところでは政府といたしまして大学を増設することはとめたいと考えておるわけであります。
  10. 竹尾弌

    竹尾弌君 大学の中には、もちろん原則としてはそうした四年制度大学であるということに解釈できますけれども、それに付随して短期の大学もありますし、そうした大学の中の学部あるいは学科というようなものすらも許さない、こういう非常に厳重な意味に解釈すべきであるか、あるいはこれから単独の、いわゆる規格にはまった基準の高い大学は許さないけれども、現在ある大学学部をふやすとか、あるいは学科を増設するというようなこと、また二年課程のものを四年課程にするというようなことまでも絶対に相ならぬ、原則の中にはそういうことまで含まれておるのかどうか、その点もう一度お尋ねしたい。
  11. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 今の学科増設等も認めないかというお問いでありますが、これに対してもやはり同様、原則的には許さないつもりでおりますけれども、これには時によると、必要やむを得ぬものが出てきます。たとえば航空学科のごとき、あるいは原子力学科のごとき、こういうものは現在世界の進運から申しましても、どうしても設けねばならない、こういうものは設ける考えでございます。そういうふうに御了承を願います。  それからもう一つは、短期大学の問題でございますが、近来短期大学希望は各地に起って参っております。ところが御承知通り短期大学はまだ暫定的の法規のものでありまして、やはり根本的に、この制度はこれでいいのか、また改めた方がいいのか、それをきめることが先決の問題であろうと考えます。近来専門的の教育要望せらるる向きも多いようであります。従いまして一度教育審議会において一つ意見をきめましたけれども、そういう事情がまた加わって参りましたから、最近に中央教育審議会へもう一度それらの事情を具して諮問いたしまして、その結果を待って恒久の制度をきめ、そして措置すべき手配をきめておるわけでございます。
  12. 竹尾弌

    竹尾弌君 必要やむを得ざる学科と申されて、その具体的な例といたしまして、航空学科、その他というようなことでございましたが、そういたしますと大臣のお考えでは、そうした航空学科のようなものは許すので、ほかのものは許さない、こういうことでございましょうか。
  13. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 航空学科とか、原子力というような今日の時代にぜひ必要なものは許す、それからずっとどこにもありがちの学科のようなのは、この際内容充実全力を尽したい、こういうふうに考えております。
  14. 竹尾弌

    竹尾弌君 これは必要の限度であるとか、あるいは必要欠くべからざるものであるかということについては、各人所見を異にするのが当然であって、大臣はそうお考えでございましょうが、ほかにも必要欠くべからざるものは当然あるんじゃないか。たとえばこれは教育関係になりますが、宮城県の一例をあげますと——大臣は御承知かもしれませんが、あそこには学芸大学のようなものが一つもない。みんな東北大学教育学部に吸収されてしまって、あそこを出た卒業生というのは、宮城県下に就職する率が非常に少い。非常に困っている。これはどうしても必要欠くべからざる事例一つとして、絶対に設置さるべきものであると私は思っております。これはなお大学局長の御意見も聞きたいと思います。  それからこれは大臣とくと御承知の、大阪天王寺と旧池田師範のあの関係のごときもの、旧池田師範池田分校は今二年コースでありますが、あそこに四年のコースを置きたい、これは今までの旧天王寺池田師範関係からしても当然置くべきものである、こういうふうに私は考えております。  また名古屋の問題ですが、これも非常に紛糾をしているようですけれども、岡崎にある大学本部名古屋本部がいろいろの意味で対立をしておる。どうしても名古屋に四年コースを置きたいという非常に熾烈な要望が地元からあるにかかわらず、これはできないということになると、また何か方法を考えなければならぬというような事態も起ってくるわけであります。  さらに北海道のごときは、札幌に学芸大学本部があって、あと分校が四つか五つありますが、あれは大学局長御存じのように、二年コースだけれどももぐりで四年の学制をとっておる。これなどはそういうことをしなくても、だれももぐり——もぐりというとなんですが、そういう非常手段まで講じてやらざるを得ないということは、事態が必要欠くべからざる事態に到達しておるわけなんです。  それから最近問題になっております久留米分校のごときも、最近分校大学側で妥協と申しましょうか、話し合いがついたそうですが、これは将来久留米工業専修大学のごときものを作る場合には、その分校としての存置を認めて、研究所だけをあそこに置くというようなことだそうでありますけれども、このようなものを当然あそこに作るべきじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、そういう急迫した事態に対しても、これは絶対に許されないことになると非常に窮屈だと私ども考えます。  さらにこれは短期大学ですが、私の県の千葉県の千葉大学の工学部の夜間の短期大学木工科を作ってくれ、これは一学科ですが、これなども数年来——机やいすなどは航空機や原子爆弾と比べれば、あるいは必要度が低いかもしれませんが、これも地方の需要に応じてどうしても作ってほしいというようなことすらできない。  短期大学では松村文相一番御存じ文相選挙区から、富山短期大学を作ってほしい、こういう要望もあるので、これは大臣選挙区だからどうということではありませんが、作るべきものは当然作ってやらなければならぬ。これは大臣非常にお困りだろうと思うのですが、そういう事態もあるので、急迫した事態に処するためにはもう少し幅を広げて、不必要なものは作る必要はないし、また内容の悪いものは整備するのは当然でありますが、どうしても作らざるを得ないものは作るべきではないか、こういうふうに考えますが、この点どうでございましょうか。
  15. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 いろいろの御説は十分承わっておきますが、実際の問題としてこの上大学などを広げて、それで結果がどうなるかということを考えますと、責任者といたしましてそう簡単に措置することは事実できないのでございます。富山短期大学なんかの話も言ってきましたから、それは絶対に今できることじゃないといってよく話をいたして帰しましたが、実際今日大学実情を見、全国にある大学の数を見ますと、これはよほど文教の上において考慮を要し、その充実考えねばならぬ機会へきておりますから、他日それらのものが十分の充実ができまして、それからまた必要に応じてふやすような時期がくるものとは思いますけれども、今直ちにそういうことは、これは竹尾さん御承知通り非常な困難のありますことで、当然何とか線ほんとう考えませんとならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。御意見はよく承わっておきます。
  16. 竹尾弌

    竹尾弌君 何とかの線ということは、私どもも何とかの線を打ち出さなければ困るのであって、今文相大学など拡張してとこうおっしゃいますけれども、悪い大学を拡張してはそれはいかぬでしょうが、今私が申し上げたようなケースは、これは必要欠くべからざるものでありまして、原則的には増設しないけれども、必要欠くべからざる特殊の事情として、こういうものに対しては十分御考慮をお願いしたいと思うのですが、その点絶対に相ならぬと申されるのか、あるいは善処をして考慮をされるとおっしゃるのか、その辺もう一度一つ……。
  17. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 お話はよく考慮いたしますが、現在の実情といたしましては、先刻来申したように、まず充実を先にし、新設をあとへ回したい、こういうふうに考えております。
  18. 竹尾弌

    竹尾弌君 充実を先にされるということでありますが、そういたしますと、大学充実に関する何か具体的なもくろみでも今やっておられるのでございましょうか。
  19. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 この充実の点につきましては、いろいろの施設を要することはもちろんでございます。今度の予算においてもぜひ一つ具現いたしたいと思いますことは、講座費用のごとき、御承知通りほんとうに窮屈なものでございまして、あれではほんとうにやっていけないことは当然でございますから、こういうものは一つ何とかして多くの増額をいたして、学者の研究には差しつかえのないところまで予算を上げたいものだ、こういうような点について今度は努力をいたしたいと思うているのであります。たとえば科学振興費のようなものがきわめて零細に分割されるということも、こういうような事情に基くものでありまして、私ども講座費用などは相当に見たい。それから学者を養成する上におきましても、外国へ留学するなどといいまして、戦前よりも少い数、そして昔は最低二年、三年、四年と留学したものが、わずか一年くらいしか回れない、これだけ大学の数がふえて、そして留学に行く人の数が減っておる。こういうことでは世界学術の進歩のレベルに沿うことはできませんから、こういう学者養成等についても全力をあげたい。これは一、二の例でございますけれども、こういう意味合いから改むべきもの、充実すべきものは相当あるだろうと考えまして、こういうところに努力をいたしたいと考えるのでございます。
  20. 竹尾弌

    竹尾弌君 今大臣のおっしゃられたことはまことにけっこうなことでございまして、われわれはそれに対しても絶対に反対すべき理由は持っておりません。まことにけっこうであります。しかしこれは大学充実と申しても、給与の面にからんでくるのでありまして、給与並びに設備の充実もされるかもしれませんが、それはぜひやっていただきたいことですが、それだけで費用がないから、予算がないからできないとおっしゃられれば、これはいろいろな意見の相違になりましょうが、そうした大学について、当然充実すべきものは充実してけっこうでございますけれどもあと一番大事な、今申し上げましたようなものに対してはほとんど一顧だにされないというようなことになると、これは事すこぶる重大だと思う。今おっしゃられた講座を持っておる大学、そういうものは従来乏しきながらともかく整っておる。これはさらに整わせるということはけっこうですよ。しかしほかの教育関係の、今宮城の例をとってみても、ああいうものを放置しておくということは、これはどうかと思うのでありまして、そうした教育の面について当然やらなければならぬものがたくさんあると思うのですが、そういうものも放置されていかれるということになりましょうか。
  21. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 お話はよく承わっておきますが、大学制度全体の面から見まして、この上拡大の余地があるのか、それから大学の数がこれだけのものを必要とするのかというような根本の問題も私はあると考えるのでございます。それらの点につきましても、ほんとうにどうしていく方がよいかということは、非常に困難な問題だと思います。私ども今直ちにこれをどうするというわけではございませんけれども、少くともこの程度で一応とめまして、そうして先刻仰せらるるような、将来だんだんこれでやってみて、充実して、なお足りないところがありますれば、そのときに考えてもおそくはないのじゃないか。教授の力などというものを十分養成してレベルを上げて、そうしておいてそれからまた必要なところに置くというようなことになりますと、だんだん用意ができて、必要に応じてできるのでございますから、そういう方針をとった方がよろしいであろうと考えまして、私どもはその方針を堅持いたして今日まで参っておるわけでございます。どうかこれらの事情を御了承をお願いいたしたいと思います。
  22. 竹尾弌

    竹尾弌君 大臣の今おっしゃられたことは主として大学院を持つ大学、いわゆる大学院大学ですね。こういうものに対する充実である、こういうふうにとれるのです。それはもう非常にけっこうな次第であって、大学院大学充実強化することに私はもうだれも反対する者はないと思う。それはそれでよろしゅうございますが、今一番子供の教育に重大な関係のある教育、それ自身大学強化充実をはからなければならぬのじゃないか、その事例として私は今具体的に大阪名古屋宮城北海道というような例を出したのですが、そういうものは今事態を静観してそれからでよろしいではないかという大臣のお言葉には私はちょっと承服できかねる。そこであるいは御存じないかもしれませんので、一度こういう大学大臣自身一つ実情をよく見ていただきまして、まことに切迫しておるんだという御認識に立たれていただきたい、こういう強い希望を私は持っております。それで今は大臣のお考えはほぼわかりましたから、これ以上私はこの点についてはお尋ねいたしませんが、いずれこれはどうしても私はやってもらわなくちゃならぬと思っておりますし、あるいは保守合同にからんで民主、自由から共同修正など当然あるのじゃないかと私期待しておりますので、その場合に私は非常に強く主張いたしますから、あらかじめ一つ了承を願いたいと思うのであります。大学問題は大学学術局長に聞きたいのだけれども局長をあまりいじめてもしようがないからこの点についてお尋ねいたしません。局長はなかなか答弁がうまくて逃げてばかりいてだめだから、あまりお尋ねしないことにします。  次に問題は、町村合併が今行われております。その結果、いろいろトラブルが起っているところもあるし、町村合併しない方がよかったといって嘆いているところもありますが、町村合併条件といたしまして、中学校一つ作ってくれというような条件のもとに合併を完成した町村日本全国に相当ある。そうしてこれが自治庁の方で、そういうことをよろしいといって大いに奨励した傾きもあるので、自治庁のやったことを文部省がしりぬぐいをするような結果になるのですが、これもまことにやむを得ないので、そうした場合に、中学校一つ作る場合には、これは六・三制の補助がとうに前になくなっておりますから、どうしても補助を与えないと作れないという事態に達しておる。こういう場合に、これは当然新しく中学校を作る場合には補助を与えるべきである、補助を与えてもらいたい。これは大蔵省あたりでも一応了承しておるらしいのですけれども、これを具体的に、そうした場合に補助を与えるということを私は法律でうたっていただきたいと思う。これは六・三制に関する法律をちょっと直せばいいのですから、そういうようにぜひ仕向けていただきたいと思いますが、この点につきまして大臣はどういうお考えを持っておられましょうか。
  23. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 この町村合併に伴う校舎の統合につきましては、このさきの議会でも竹尾さんからもお話を承わりましたし、また当然のことと心得まして、今度予算をとりますのに、お話のような趣旨でとろうとして今折衝中でございます。ぜひそういう御趣旨に沿いたいと思います。これを法制化するかどうかということにつきましては、今折衝中であり、また考慮中でございまして、まず予算の獲得を先にいたしたいものと思うて現在努力をいたしておる、こういうわけでありますから、さよう御了承を願いたいと思います。
  24. 竹尾弌

    竹尾弌君 大臣の御努力大いに感謝いたします。そこで百尺竿頭一歩を進めていただいて、これを一つぜひ法制化していただきたいということについても、十分御努力をお願いしたいと思います。この点についてはこれでやめます。  次に、これはやはり管理局関係ですが、最近義務教育学校児童生徒数全国的に非常にふえまして、特に大阪を初め五大都市に、東京もそうでございますが、非常にふえておる。しかも〇・九坪という勘定で計算をいたしましても、三十年度で二十二万坪ばかり不足をしており、建築費七十七億円ばかりを必要といたしております。三十年度児童生徒増加を一例を五大都市にあげてみましても、九万三千人増加しておる。これは最低の〇・七坪で押えても七万三千坪ばかりこれが必要で、その費用が二十六億ばかりかかる。政府は三十年度起債補助で十一億ばかり決定しておりますが、それでもなおかつ、二十六億円ですから差引十五億ばかり不足をするということになりますので、この点については適当な財源措置を講じていただかなくちゃならぬと思います。この点についてはできれば補助を与えるのが一番いいのですが、できなければ預金部から適当に引き出して、一つ起債補助を願いたい、こういうようなことを考えているのですが、この点についてはどういうあれですか。
  25. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 児童の異常な増加に伴う校舎不足関係は、今五大市の例をあげてお話がございましたが、必ずしも五大市だけに限らず、全国的にそういった傾向が相当ございます。ただ五大市につきましては、これは御承知のように、従来特に戦災等関係も非常に密接な関係がございますので、そういった戦災復旧補助金、あるいは本年度から法制化されました不正常授業の対象の補助金というようなもので、五大市には他の地域と違った重点がややかけられておる。そういった面で多少施設不足に対処しておったわけでございます。しかし、ただいま竹尾先生からお話がございましたように、五大市では社会増と申しますか、異常な児童増加が最近でも続いておりますので、これは昨年もあるいは一昨年も特別の起債のワクを自治庁の方で五大市分として出されたわけでございまして、ある程度これがこの児童増に対する方策として役立っておるというふうに考えるわけでございますが、明年度児童増につきましては、できれば文部省といたしましても、その単独起債の点につきまして所管庁である自治庁とも十分連絡をいたしまして努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  26. 竹尾弌

    竹尾弌君 ぜひそういう線で進んでいただきたいと思うのですが、ついでに三十一年度の対策も、もうおそいくらいなんで、これも考えていただかなくちゃならぬと思うのです。これも五大市の例をとりますけれども、三十一年度には六万三千人ばかりふえる。そして〇・七坪で押えても四万八千坪ばかり必要になって参りまして、十七億ばかりこれは要ります。そうすると、ことしの不足分の十五億に十七億を加えると三十二億になる。自治庁の方でもこれは相当わかっているし、大蔵省の方では、私も直接折衝した覚えもございますが、昨年も一昨年も相当めんどうを見てもらったわけなんで、これは人に——やはり政治行政も人ですからね。いい理財局長がいるとばたばたと片づくのです。今度の新しい理財局長は私どういうものだか当ってみませんが、前の阪田局長などは実によくわかっていて、私個人的に折衝した場合でも非常によかった。行政は人である。政治も人であります。だから、局長の方も自治庁を大いに督励して、そして大蔵省も大体これはわかっているのだから、もう少し局長自体ががんばってやってもらいたい。そうすればできるんですよ。特に政務次官はなかなか老練な政務次官であるし、大臣だって、大臣みずから昔のように乗り出して、そうして大蔵大臣折衝していただければ、こういう起債なんだから大したことはないんですよ。ぜひそういう工合にお願いしたいと思うので、最後に大臣大いに努力されるという一言をいただきたい。
  27. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 ただいまお尋ねに対して局長からお答えを申し上げました。私もできるだけその実現に努力いたしたいと思います。
  28. 佐藤觀次郎

  29. 小牧次生

    小牧次生君 この機会大臣にお伺いいたしたいのであります。それは、御承知通り先般台風二十二号その他台風がありまして、非常な被害をこうむったわけでありますが、とりあえず被害県関係選出国会議員が集まりましていろいろ緊急の打合せをいたしました結果、各党代表一名ずつ、各班に分れまして災害地をお見舞申し上げ、また同時に調査もしてくるということで、私もそれに参加いたしたのでありますが、今回の台風の特色は、御承知通り比較的雨は少かったのでありますが、風が非常に強くて、南九州の方では瞬間六十一メートルというような猛烈な台風であったために、農作物等、それ以外には建物が非常な損害をこうむっているのであります。住宅もございますが、われわれ文教関係といたしましては学校施設が相当災害をこうむっており、校舎が倒壊したところが相当あるようであります。まずその点につきまして、どの程度の状況であるのか、ただいままでわかっている点をお知らせ願いたいと思います。
  30. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 台風二十二号それから二十三号の被害につきましては、各被害県からそれぞれ随時報告が参っております。しかし確定的な数字はまだ参っておりません。現在までに文部省に集まっております数字によりますと、大体各府県総合いたしましたものが八億五千程度というふうに報告されているのでございます。これは公立の小中高等学校関係でございまして、それ以外に国立大学並びに高等学校について約一億足らずの被害があったというふうに報告が出て参っております。
  31. 小牧次生

    小牧次生君 ただいま被害の額につきまして報告がありましたが、教育施設損害というものは直ちに教育に支障を来たすわけでありまして、その災害復旧はできるだけ早くやっていただかなければならない、こういうことになるわけでありますが、八億あるいは一億というような数字で相当な額に上っているわけでありまして、財源措置等につきましてもいろいろ困難な点があろうかと思います。私どもが回りましていろいろ陳情を受けました点は、できる限りこれを単年度復旧してもらいたい。何年もかかってやってもらうのでは教育に非常に支障を来たすという一点であります。従来災害復旧についていろいろ文部省でやっていただいているわけでありますが、こういう点を改めまして、ぜひとも一つ年度でやってもらいたいという強い要望があるわけでありまして、先ほど竹尾委員の方からいろいろ予算獲得について要望があったわけでありますが、あわせましてこういう点についても特に御尽力願いまして、地元のそういった要望が達成されるようにお願い申し上げたいのであります。これについて御所見をお伺い申し上げたいと思います。
  32. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 災害復旧につきましては復旧の調査も必要でございます。文部省の方からも参りますし、大蔵省の方からも参って、立ち会いの上で被害実情数字を合せるというような作業があるわけでございますが、これは今月下旬からできればやりたいというふうに考えております。できるだけ手続を早く進めたいつもりでございます。  なお災害復旧の継続年度を単年度でというお尋ねでございますが、それも御質問の御趣旨に沿って、できるだけ短かい期間に復旧を完了するような計画で参りたいと考えております。
  33. 小牧次生

    小牧次生君 台風災害復旧につきましては以上で終りたいと思います。その次には屋内体操場の補助の問題であります。これも御承知通りいろいろ文部当局において御研究願い、またいろいろやっていただいているわけでありますが、まず現状についてお伺い申し上げたい。
  34. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 従来屋内体操場につきましては新しい教育制度一つの重要なポイントといたしまして、単に教育上必要であるということのみならず、また児童の保健の上から申しましても、ぜひ中学校、小学校にともども屋内運動場が必要であるということで予算を獲得して参ったのでございます。ただまず重要度から考えまして積雪寒冷湿潤地帯の方から手をつける、これを中心に中学校の屋内運動場を設置するということで、文部省の方から補助して参っておりまして、最近の状況から申しますと、かなり積寒地帯においては充実の度合いがよくなってきている。従ってこの年々の補助の申請はもちろん数倍あるのでありますが、それ以外の地域からも、自分たちの方に補助をぜひ広げてもらいたいという要望もだんだんあるような実情でございます。
  35. 小牧次生

    小牧次生君 一応あらましわかりましたが、私どもがいろいろな用務で地方を回りますと、非常に屋内運動場の補助の要求が強いのであります。どこへ行ってもまず第一にぜひとも一つ屋内運動場の補助の問題を広げてもらいたい、こういう強い要望を聞くのであります。今お話通り積雪寒冷地帯の方面に中心を置いてやっておられるということはよくわかるのでありまして、これもぜひとも前進するようにしていただきたいのでありますが、これに関連いたしまして他の地域におきましても、特に九州方面におきましては高温多湿でございまして、雨の期間も非常に長い。従ってその期間は全然体操はできない。さらにまた炎熱の候におきましては非常に暑いので、これまた思うように運動をさせられない。こういったことで児童生徒の保健上非常な支障があると考えているのであります。こういう地域につきましても何とか一つ屋内体操場の施設を促進することができるようにさらに一段と努力をしてもらわなければならない、こういう要望が非常に多いのでありまして、私どももいろいろ個々には折衝いたしておりますが、そういうところまで配分してもらうというわけに参らない。これには何といっても根本的な文部当局の施策を必要とすると考えるのであります。こういう点についての今後の御方針と申しますか、計画なりを一つお伺い申し上げたいのであります。
  36. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 先ほど申し上げましたように、従来積雪寒冷地帯を中心に中学校の屋内運動場の整備をやって参ったのでございますが、国会におかれましてもいろいろ御決議等もございまして、また実際に積雪寒冷地帯以外の各府県でも非常に御要望がございますので、来年度文部省でもできればその他の地域の屋内運動場についても予算を獲得したいと考えまして、大蔵省の方へその要求を出しておる実情でございます。ただ積雪寒冷地域につきましては、現在でもまだかなりの坪数が不足坪数として残っておりますので、これとにらみ合せまして予算数字——、ある程度年次計画とはいいながら、低めた数字ではございますが、いずれにいたしましてもできれば来年度予算にぜひその他の地域の屋内運動場の整備の補助金を盛り込みたい、こういうふうに考えております。
  37. 辻原弘市

    ○辻原弘市君 関連して……。今の屋内体操場の問題ですが、今明年度についての方針お話しなさったのですが、それは中学校のみ取り上げておるのだろうと思いますが、小学校についてはどうされるつもりか。それと、中学校については、今のお話によると、積雪寒冷地帯でまだ充足していない、確かにこれはそうでございましょうが、これは相対的な問題でございますから、いつ完全に充足されるか、事務当局の方でもおわかりになるまいと思います。だからそういう点から言うと、政策の問題でどういうふうにやるかという点だろうと思うのです。充足していないからそのワクを広げられないという論では、来年同じ論を蒸し返しても同じだと思う。結局今学校施設についてどういう点について重点を置くかという問題からこの問題は解決していかぬと、いつまでも同じ答弁をわれわれは聞かなくちゃならぬ、こう考えますので、ほんとうに来年は踏み切って、まだもちろん積雪寒冷地帯には残っておる分があるが、同時にそれはそれとして先ほど小牧君からも言われましたように、いわゆる高温多湿地帯についても必要があると認められておやりになるなら、私は今がちょうどタイムリーな時期ではないか、こういうふうにも考えますので、その点予算折衝をおやりなさっておられると思うのですが、どの程度のものを考えられているのか、これを一つ具体的に承わりたいと思います。さきの小学校をどうするのか、それから今言ったように、どの程度のものを来年度予算の中で実現されていこうとするのか、これが第一。次に次善の手としてこういうことを考えていないか、承わるところによりますと、現在もちろん積雪寒冷地帯のみならず、多雨地帯も入って降雨日数によって高温多湿地帯については一応該当地域を設定しているようでありますが、その場合年間百八十日、私はこれは法律でも見たことはありませんし、おそらく何らかの形の大蔵省との約束ではないかと思う。百八十日が適当であるのか九十日が適当であるのか、ないしは五十日が現実に即するのか、こういうことは私は主観の問題に基くと思う。従ってここらにも解決さるべき一つの問題点がある。それを端的に申せば、百八十日の降雨日数、私は現地に当って測候所その他の意見も聞いてみましたが、現実にあなた方がおとりになっておる資料もそう厳密なものではなさそうです。そこでこれを引き下げられるお気持がないか。そうすると私は相当現在の仕組みにおいても広範囲に拾っていける道が出てくるのではないか、そういうふうにも考えられますので、いつまでも百八十日でおやりなさるということでは、どうもわれわれとして政策的に広げていこうとする努力あとが実際的に見受けられないのです。だから次善の手としてそういうことは考えないかどうか、この点を三番目に伺いたいと思います。  立ったついででありますので恐縮ですが、さきの大臣からお話のありました災害の問題で一つお伺いをしたいと思うのですが、その前に、あるいは御答弁があったかもわかりませんが、事務当局の方で、この間からの二十二、二十三ないし二十五、こういった台風について概数どの程度の国庫補助が必要と見込まれておるのか、これが一つ。それからもう一つは、この災害に対して充当される準備金は一体いかほどあるのか、これが第二点。その二点を事務当局から承わりまして、災害の問題についてちょっと大臣に御見解を聞いておきたい点がございますが、これはお答えをいただいてから後にいたします。
  38. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 屋内運動場を小学校に広げるかどうかというようなお尋ねだと思います。いわゆる屋内運動場は年限延長に伴う六・三制の整備ということで始まったものでございまして、小学校は従来から屋体を持っておったという関係で、中学校の分だけを従来補助の対象として考えておるわけでございまして、現状ではこの中学校の屋内運動場の整備もまだまだ不十分でございますので、これをさしあたり小学校にまで拡張するということは現在のところ考えておらないのでございます。  次に積寒地帯以外の地域の大体の予算額についてのお尋ねであったと思いますが、これは文部省の現在の調査によりますと、大体その他の地域についての不足坪数として約六千万坪以上、六十五、六万坪の不足坪数があるのでございまして、これを早急に解決するということになりますと、非常に大きな数字が要るのでございまして、文部省としてはこのその他の地域についても積雪寒冷地帯と相並んでこの予算を取りたいと考えておるのでありまして、副次的にその他の地域をやろうという考えではございませんが、予算の額については文部省からそう厖大なものを出しても、という考えもございまして、ある程度数字は圧縮しておるのでございます。
  39. 辻原弘市

    ○辻原弘市君 どの程度ですか。
  40. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 大体三億五千程度のものを要求しようということに現在ではいたしております。  それから第三番目に、積雪寒冷地帯であるというが、その積寒地帯決定の条件はどうか、次善策として条件を緩和することはできないかという趣旨お尋ねであったと思いますが、その点については、私どもは、その他の地域の予算獲得に重点を置きたい、従って従来積雪寒冷地域の決定の条件については、現状ではしばらく現在のままでいくことにしたいというふうに考えております。  最後に災害復旧についての予算を出す場合の財源についてでございますが、これは大蔵省の方でしかるべく考えてくれるものと思っておりまして、文部省の方でこれを財源にというところまでは現在まだ考えておりません。
  41. 辻原弘市

    ○辻原弘市君 一点抜かれましたが、調査の結果を待たなければわからないと思いますが、おおよそどれくらいの……。
  42. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 先ほどちょっとお答え申し上げましたが、現在の二十二号、二十三号台風被害額でございますが、公立学校については府県から来た数字が大体八億五千万程度でございます。ただこれはまだラウンド数字が非常に多いのでございまして、従って実際具体的に一々詳細に調査をすると、かなり変ってくるんじゃないかと思っております。なお国立学校につきましては大体一億弱の被害報告一が現在までに参っております。
  43. 辻原弘市

    ○辻原弘市君 締めて報告が十億に上っておるようでございますが、実際国が、支出しなければならぬ補助金の額は相当下ってくると思います。そこで今管理局長お話によると、大蔵省がしかるべく考えてくれるということですが、しかるべく考えてくれるのであればそれでけっこうなんですけれども、なかなか例年の例は必ずしもそうではないと思います。これは私の推測なんですが、現在文部省では三、四千万円程度災害に充当する金が留保されておる。そのほかにある程度の一般施設関係の経費の節減分が災害用となるかどうかは知りませんが、ともかく留保されておるわけであります。その額を全部ひっくるめて災害対策費、いわゆる既定の文部省予算の中でまかなえる、あるいはまかなおうというような考え方はないのか。今管理局長の言われたように、災害に対しては災害予備金等がありますので、大蔵省がしかるべく考えてくれるならばまことにけっこうでありますが、どういうふうな態度をおとりなさっていらっしゃるのか。時間がございませんので結論を大臣に申し上げて御見解を伺いたいのであります。管理局長が言われたように、これは災害ですから地域が限定されて、しかも奥深いものであります。従ってこういう場合にこそ国の補助金というものが活用されるべきである。それによって災害対策に万全を期する、こういう方針を政策的にも確立していかなければならぬと私は思います。それを文部省の既定の一般予算の中ではじき出したもので災害に対する充当経費とするというような考え方、またそれを文部省が承認されるということになれば、これは政策はごっちゃであります。われわれが国会において文部省施設関係予算はこれこれだというふうに承認したのは、それを国会が認めたのは、たとえば六・三建築なら六・三建築費として、老朽危険校舎なら老朽危険校舎、戦災復興なら戦災復興として、いわゆる施設関係予算というものを認めている。それが災害に使えるということをわれわれは認めているわけではありません。ただその中の何がしかは災害用として、先ほど申しましたように当っておるかどうかはわかりませんが、三千万ないし四千万の金は明らかにあるのじゃないか。それは災害用に充当していくのが当然であります。その他の経費の中で残があるとすれば、あるいはそういうものがプールされておるとするならば、それを災害に充当すべきものではなくて、それはやはり現在どの施設関係を見ましても不足を告げておるのでありますから、老朽危険校舎一つ見ましても、本年度十七万坪、緊急に四十四万坪の充足を必要とするのに、それをさらに削っていくということは、これは地方財政に非常な圧迫を加えておる非常に大きな原因でもありますから、この点は大臣の御方針として強力に大蔵省にその正しい政策の基本を示してもらわなければならぬと思います。そういうような点で強くお臨みになっていただけるかどうか。これを大臣から御見解を承わっておきたいと思います。  もう一回結論を申せば、災害は予備金において充当すべし、災害充当費にプラス予備金をもって災害対策の完璧を期すべし、そうして一般財源災害に頭を削って持っていくようなやり方はやるべきではない。このことを私は大臣に強く要望申し上げまして、大臣の所信をお伺いすると同時に、ぜひともこれは御努力を願わなければならぬ。
  44. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 今のお話を承わりましたが、大体そういう方針折衝をいたしたいと思います。大蔵大臣へもその趣旨お話し申したいと考えております。
  45. 辻原弘市

    ○辻原弘市君 これはさっきの話を伺って、端折って失礼でありますが、方針はわかりました。まさか文部省が別の方針で行かれるとは考えておりません。方針は大よそわかっておるし、お伺いしましただけで、問題はその線で強力に実現をはかる約束をせよとは申しませんけれども、相当量——これは松村大臣にこう言っては失礼でありますが、閣内、党内におけるお力から拝見して、その方針をおとりになる限り実現性あるものと私は考えまするので、私のそういう把握が間違いであるか、私がそういう希望を抱いておってもその希望が空に帰することはないか、ここらあたりの御意思をもう一回確かめておきたいと思います。
  46. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 なかなか大蔵省折衝は困難とは存じますけれども、御趣旨のように十分努力をいたしたいと思います。
  47. 小牧次生

    小牧次生君 ただいま辻原議員から災害に関して質問がございましたが、私も先ほど若干質問いたしましたが、もう一つこの点についてお伺いいたしたいのは、実は二十二特別国会において危険校舎改築促進に関する法案が成立いたしました際に付帯決議をいたしております。それからもう一つ町村合併に伴う問題につきましても付帯決議をいたしたのでありますが、それは建築する際に、予算措置に当っては現在の鉄筋の比率を大幅に引き上げるべきである。二つとも同じような趣旨でございますが、この点に関連いたしまして、今回の災害復旧改良につきましては、ぜひとも今申し上げた鉄筋鉄骨の建築ということを主眼にして推進していただきたい。特に台風の強い、また毎年台風に襲われる九州、特にまた南九州、先ほど申し上げました通り風速六十メートルの非常に強いところにおきましては、せっかく作りましてもまたこれがこわれるというようなことでは、国家財政の見地から見ましても非常にむだがあるのでございますので、ぜひともこういう方面については優先的に鉄筋鉄骨の建築の措置を促進していただきたい。これをお願いを申し上げておきます。それから先ほどの屋内体操場の問題でありますが、九州地方におきましてこれが実施されておるところがあるかどうか、お伺いいたします。
  48. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 災害関係でございますが、ただいまお話しのございましたように、今回の二十二号、二十三号で被害を生じた地方は、いわゆる災害の多発地帯といいますか、台風の常襲的な地帯でございますので、この災害復旧については、やはりできるだけ耐禍構造といいますか、鉄筋構造にするように努めたいと思っております。結局長い期間からいえば、その方が国費の経済にもなることでありますので、今回の災害復旧に当っては、鉄筋の構造比率をできるだけ予算上も高めたいというふうに考えております。なお屋体についてのお尋ねでございますが、私現在資料を持ちませんのではっきりしたことはわかっておりませんが、九州でも雨の多い地帯、いわゆる湿潤地帯には中学校の屋体で補助金を受けたものがあったように記憶いたしております。
  49. 小牧次生

    小牧次生君 もう一つそれに関連いたしまして。先ほど辻原議員の質問にも御答弁がございましたが、現在予算を増額する、広げるという努力をしていただいておるわけでございますが、それによって自動的にその地方にも適用できるようになっておるのかどうか、その基準についてお伺い申し上げたいのであります。
  50. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 従来は先ほどお答え申しましたように、精雪寒冷地帯に対する屋体の整備ということで、積雪寒冷地帯の条件をはっきり明定しておったのでありますが、もしただいま要求しておりますような、その他の地域の屋内運動場の予算がとれますれば、これは積寒地帯のようなむずかしい条件がなくなるわけでございます。従って、こまかい条件はそれにつかないということになろうと思っております。
  51. 小牧次生

    小牧次生君 こまかい条件というのは、一体どういう意味でおっしゃったのですか。
  52. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 気候あるいは湿度、その他の関係のこまかい条件は全部なくなるものと考えております。
  53. 小牧次生

    小牧次生君 そうなりますと、予算が増額されるということになると、その地方にもそういう施設がなされる、こういうのでございますか。
  54. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 先ほどお答え申しまたように、従来は積雪寒冷湿潤地帯だけにこの屋体を整備するということでやったのでございますが、もし現在要求しておりますような、それ以外の地域に対する補助金もあわせてとれるということになりますれば、その分の配分についてはただいま申しましたように、積寒地帯のようなきびしい条件というものは全部なくなるというわけでございます。
  55. 佐藤觀次郎

    座長佐藤觀次郎君) 平田ヒデ君。
  56. 平田ヒデ

    ○平田ヒデ君 文部大臣お尋ねいたします。要保護家庭の児童に対しまして、教科書を無償配付なさる御意思はございませんでしょうか。
  57. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 これはまだ確かには申しかねますけれども、ぜひことしからあの小学年の生徒へ贈る教科書の無料配付の制度を復活いたしたいと思うておりますが、それを以前のような形にいたしますよりも、ほんとうに困っている人たちに分けますと、ほとんど全学年の困窮者へ分けることが、同じ予算でできるように考えますので、そういう形であの無料配付の制度を復活いたしたいと考えまして、今大蔵省へ交渉中でございます。なかなか困難な折衝でございますけれども、そういうふうにいたしたいものと努力をいたしておるわけでございます。
  58. 平田ヒデ

    ○平田ヒデ君 ありがとうございました。私もそういうお答えをいただきまして大へんうれしく存じます。ただいま私要保護家庭のと特に申し上げましたのは、被保護家庭とそれから要保護家庭との区別、御存じでいらっしゃいましょうか。大へん失礼な質問をいたしまして相済みませんが、私要保護とただいま申し上げたのでありますが、被保護家庭と要保護家庭の区別があるのでございます。これは厚生省関係でございますが……。
  59. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 その点は局長からさらに詳しく申し上げます。
  60. 緒方信一

    ○初等中等教育局長緒方信一君 はなはだおそれ入りますが、今お話の要保護と被保護でございますが、私準保護という意味でないかと思いますが、要保護と申しますのは生活保護法の適用を受ける家庭の子供であり、準要保護と申しますのはその上のそれに準ずるところを押えて措置をいたしたい、かようなことでありまして、大臣のお答えはその準要保護の家庭についてのお答えでございます。
  61. 平田ヒデ

    ○平田ヒデ君 先ごろ福島県にこういう貧困児童を取り扱っている方のお集まりがございまして、三百余名お集まりになったのでございますけれども、そのときに被保護者の家庭は生活保護を受けて教育扶助をいただいておりますが、いわゆる要保護家庭の方はほとんどそれぞれ民生委員の方が見ていらっしゃるようでございます。私非常に驚きましたことは、一人で一年間にずっと——靴がない、服がない、帽子がない、教科書はもちろんノートというようなところまでめんどうを見て、四万円の支出をしたという方がいらっしゃったことでございます。これは私大へんな負担であると思いました。この人たちはほんとうに精神的な苦労を十分になさっていらっしゃる。その上にこういう経済的な面にまで負担をかけるということは、私は今福祉国家として立ち上っている日本の現状としては、この予算を計上しなければならないということを痛切に感じて参ったわけなのでございますが、ただいまのお答えぜひとも実現して下さいますようにお願いいたしたいと思います。  それからもう一つは先ほど緒方局長さんの耳にもちょっと入れたのでございますが、学校教育職員養成機関において児童福祉行政を必須科目とせられたいということ。これはいわゆる問題の児童を取り扱っておられる方々の非常に熱心な要求でございます。児童福祉法ができましてからもう八年になりまするけれども、まだまだこれが徹底いたしておりません。厚生省関係の方は幾らかわかってきたようでございますけれども、特に児童の問題と関連をいたしまして、学校の子供に関しての児童福祉というものがあるということを、学校の先生方があまり了解していらっしゃらないものですから、非常に精神的な苦労をしながら協力と理解とを得られないということを嘆いていらっしゃるのでございまして、必須科目にしていただきたいというようなことがここまで発展してきたということについては、やはり文部当局の方が反省されなければならない点ではないかと思うのでございます。  昭和二十九年の五月に仙台市で開催された全国児童福祉大会の第一部会で、これを必須科目にして、教職に当られる方は児童福祉行政機関というものはこんなふうに動いているのだという横の連絡をぜひとっていただかなければならないという決議をされて、これは厚生省と文部省とに要求されたということを私承わって参ったのでございます。これにつきましては必須科目というようなことでございますので、稻田局長さんにお答え願いたいと思います。
  62. 稻田清助

    大学学術局長稻田清助君 お話の点、教員養成教育としては留意すべき問題だと思っております。教育と社会事業は表裏一体、密接な関係を持っておりますから、現在教員養成大学における教員養成、あるいは社会教育というような科目の中にお話のような点を重視いたしまするように、教育大学の当局、あるいは教育大学協会等ともよく協議をいたしたいと思います。
  63. 辻原弘市

    ○辻原弘市君 関連して。教員養成の中で、今の児童福祉の問題、社会教育等について重視されるようにお話をされるということですが、それについて参考に承わっておきたいのですが、教員養成の学校で社会教育ないし児童福祉という点について専門教科、講座等にはどういう種類のものがあるか、また重視しているのかどうか、その点を参考に承わっておきたい。
  64. 稻田清助

    大学学術局長稻田清助君 御承知のように教員養成教育の教養課程には教育行政がございます。それからまた社会教育という科目がございます。これらの問題は、直接には教育それ自身でありまするけれども教育と密接な関係にありまするところの社会事業というようなものは教育行政においても触れ、あるいは社会教育においても触れ得ると思います。私現在重視していると申し上げたのではないのでございますが、お言葉はごもっともでございまするから、大学当局なり、また現在教育大学協会において教育課程のあり方を研究しておられますから、ぜひそういう方面に連絡をいたしたいと思っております。
  65. 辻原弘市

    ○辻原弘市君 私がこういうことを申し上げましたのは、今の御説明をそのまま聞けば、社会教育について、それから児童福祉の問題について専門教科を設定して、相当突っ込んだ取扱い方をなさっていらっしゃるように受け取られるのですが、誤解があってはいかぬと思いますから申し上げるのですが、私の見るところでは、他の一般教育課程その他に比べて必ずしもその点については講座その他はもちろん整っていないし、また専門教科の内容も、そう大きな声でやっているとは言えないような現状ではないかというふうに思いますので、その点は特に今平田さんからもお話がありましたように、この際これは社会教育等をも含めて、今局長からも御答弁がありましたが、ほんとうに再検討なさる必要があると思いますので、これは特にこの機会通り一ぺんの御答弁でなくして承わっておきたい。
  66. 稻田清助

    大学学術局長稻田清助君 お話の点十分留意いたしたいと思います。
  67. 野原覺

    ○野原覺君 ただいま平田委員から質問いたしました準要保護児童生徒の問題ですが、これは小学校だけでございますか。中学校もひっくるめて教科書についてはそんな子供にも何がしかの補助金を出す、こういう点についてもう少し詳しく御説明願いたいのであります。
  68. 緒方信一

    ○初等中等教育局長緒方信一君 ただいま私ども計画をいたし大蔵省折衝いたしておりますのは、小中学校を含めまして全教科にわたりましてさような取扱いをいたしたい、かように考えて、今折衝いたしておる次第であります。
  69. 野原覺

    ○野原覺君 そうなりますと、学校給食につきましても、これは中学校はなんですが、小学校ではやっておりますけれども、学校給食についてもその点はお考えいただけることになっておりますか。
  70. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 現在給食法の建前から申しますと、給食法で対象にしておりますのは、小学校だけでございますが、来年度はできればこの中学にも学校給食を拡張して、それも対象にしたいと実は考えております。そういったことが実現できますれば、もちろんこの準要保護児童関係を給食を行う中学生徒にも一応拡充されて対象にすることができるようになるわけでございます。文部省としては一応そういった計算で予算の要求をしておるのでございます。
  71. 野原覺

    ○野原覺君 その場合には学校給食費の全額を補助していただけることになりますか。
  72. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 御承知のように、いわゆる生活保護法の適用を受けておる者は、これは全額生活保護の学校給食費の方でまかなわれるわけでございます。準要保護児童のうちの半分は、文部省の今の計画といたしましては、全額を国で持つ、残りの半分については半額だけを持つというような構想で現在予算を要求することにいたしております。
  73. 野原覺

    ○野原覺君 そういたしますと、準要保護児童を一体何人くらいと踏まれるかということが問題になるわけです。文部省が今日予算を見積られる場合に、小学校ではこのくらい、中学校はこの程度だというその概算の人数について、要保護は別ですが、準要保護児童生徒をどの程度に押えていかれるお考えか、お聞かせいただきたいのであります。
  74. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 現在まで文部省で調べました調査によりますと、各府県全体の一応のパーセンテージがございます。しかしこれは実は相当まちまちな標準で各府県やられておりますので、一応文部省としては、学校給食の場合には、学校給食の対象児童の大体四%程度であろうというふうに考えております。ただ来年につきましては、学校給食の対象児童数もかなり増加して参る見込みでありますので、人数としては相当ふえて参ることになるわけでありますが、パーセンテージといたしましては全国平均大体四%程度であろうというふうに考えております。
  75. 野原覺

    ○野原覺君 これは初中局長から御答弁いただきたいのですが、教科書の場合も大体四%に押えられますか。
  76. 緒方信一

    ○初等中等教育局長緒方信一君 大体さように考えます。
  77. 野原覺

    ○野原覺君 そうなると、準要保護児童のいる学校といない学校が出てくるわけでございますが、一学級子供五十人として、大体平均して二人いると私ども考えてよろしいんですか。四%ですから、二人程度は全額の教科書、全額の学校給食費を見てやろうというのが予算内容であるのか、その辺を御説明願いたい。
  78. 緒方信一

    ○初等中等教育局長緒方信一君 これは具体的にいかようにこれを配分し、実施していくかということは今後いろいろ研究に待たなければならぬと思いますけれども、全体の数といたしまして大体四%を押えれば、準要保護児童を押え得るのではないか、かようなことで今予算折衝をいたしている次第でございます。
  79. 野原覺

    ○野原覺君 そういたしますと、準要保護児童をどのようにして私どもが判定するということは実は非常にむずかしい問題であります。その点文部省はどういうお考えであるか。
  80. 緒方信一

    ○初等中等教育局長緒方信一君 これはお説の通り、どこに限界を引くかということは非常にむずかしい問題でございます。ただ私どもさような調査をいたしましたのは、現在東京都あたりでもいろいろと実施している例もございますし、大蔵省当局との話し合いもいたしまして、大体その辺で押えるという見通しをつけまして、予算折衝を今やっているわけであります。
  81. 野原覺

    ○野原覺君 準要保護児童については意見もありますが、きょうは質問で終りたいと思います。  次に先ほど竹尾委員から御質問、御要望がございました五大市校舎問題でございますが、私どもの手元にも本日五大市教育委員会から陳情書が参っております。これを見ますと、昭和三十年度の状況は不足坪数が二十二万坪、これに要する建築費は七十七億円、それから昭和三十年度児童生徒増加のみだけでも九万三千名で、必要坪数が七万三千坪、これに要する建築費は二十六億円で、補助金起債等を十一億円と見積っても、十五億円足りません。昭和三十一年度については三十年度にぜひ確立しなければならぬ。来年度も六万三千名ふえて、必要坪数が四万八千坪、十七億円お金が足りません。非常に財政が逼迫しておりますからどうにもならぬというのが訴えなんです。これは昨年度五大市からこういう陳情がきて、毎年々々こうしてやってくるわけでございます。  そこで第一にお尋ねしたいことは、こういう調査については文部省の管理局としてはお認めになられておるのか、ほんとうに二十二万坪足らぬのですか、七十七億お金がかかるんですか。こういうものの御判断を文部省はどうなさっておられますか。
  82. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 お尋ね数字につきましては、文部省としてはまだ検討の余地が実はあろうかと考えております。と申しますのは、先ほど竹尾委員にもお答え申しましたが、二十八年度末、二十九年度末にそれぞれ児童増に対する特別の起債が認められたことがございます。その際に特に五大市分として二十八年度末には六億六千万円、二十九年度末には六億五千万円の起債が認められておりまして、この二十九年度末の六億五千万円は三十年度児童生徒増加分を見るという建前であったように記憶いたしております。ただいまお話のございましたような十五億円の不足ということは、必ずしもその数字通りではないのではなかろうかというふうに一応現在考えておりますが、しかし全般的な現実的な事柄といたしましては、五大市校舎不足が相当深刻な程度にあるということが考えられますので、先ほど大臣からもお答えがありましたように、所管庁である自治庁等とも十分連絡して、できる限りこの起債の獲得については努力をいたしたいと考えております。
  83. 野原覺

    ○野原覺君 これは全国的に校舎が足りませんし、地方財政は逼迫しておりますから、何も五大市に限ったことではございませんけれども五大市の特殊性から見て、非常に急激な社会的人口増加と申しますか、児童生徒がふえておるわけです。そこで毎年々々こうして陳情がやって参りますので、私もいろいろ考えるのでございますが、一体いつになればこういう陳情が来なくなるのでございましょうか、大臣のお考えを確かめておきたい。
  84. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 五大市関係は、御承知のように京都を除いて非常に手ひどく戦災を受けたところでございます。またそういった戦災の影響の関係と同時に、いわゆる社会増——人口の大都市集中という関係から、現在のような校舎不足の逼迫した状態になってきておるわけでありまして、文部省といたしましてはこうした戦災復旧補助金、不正常授業補助金、それから中学校整備の補助金といったものに極力重点を置いて予算を獲得し、五大市の方にも重点を置いて配付して参りたいと考えております。なお御承知のように、小学校については全国の趨勢から考えて三十三年が一応児童増の頂上になっております。中学校につきましては来年度児童増の一応のピークになっております。それからは少し減って参りますので、そういった観点からも、しばらくの間にはこの深刻な不足の状態というものが一応緩和されてくるのじゃなかろうかと考えております。
  85. 佐藤觀次郎

    座長佐藤觀次郎君) 委員長からお伺いしたいのですが、実はこの間名古屋の学校に行ってきたのですが、三千人もいるような学校ですが校舎がひどく、非常に悲惨な状態なのでびっくりしたのです。文部省はああいうものを見ないのか。いなかは別として、五大市ぐらいは調査とか何かされたかどうか。課長などああいうところに行ったことがあるのですか。そういう点をちょっとお聞かせ願いたい。
  86. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 文部省施設整備の補助金全国的にいっておりますので、各府県にそれを配分する場合には、事前にも事後にも一応実際工事をやっておるかどうかということなどで一年に一回ないし二回は出ておるわけでございますが、しかし仕事の関係等からせいぜい一、二回が限度でございます。課長が全国の府県漏れなく歩くというようなことはとうていできません。五大市につきましても、五大市全部ではございませんが、そのうちの二つくらいの市については課長みずから出かけております。
  87. 佐藤觀次郎

    座長佐藤觀次郎君) 見てみて学校が足りなすぎてびっくりしたのですが、いろいろペーパー・プランではあまりふえぬ、来年度が頂点だろうという話だけれども、実際は五大市——東京もそうですが、急激に増加する可能性が多いのです。こういう点について文部省は計画を立てて、これは市の教育委員会に聞けばわかるのだけれども、実際にそういうことをおやりになって、今野原君の言われるように大体何年ごろには解決するという見通しなのですかお尋ねしたい。
  88. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 私どもの方で現在までに調べた資料によりますと、最近の状況は——もちろん五大市児童増加がありますが、その他の地域と比較いたしますと実はあまり差のない数字になっております。戦後しばらくの間は五大市集中の傾向のパーセンテージは、その他の地域に比べましてかなり高かったのでございますが、最近ではそれほどの開きはなくなってきております。しかし全国的に児童増というものは、戦後の異常な児童増でございますのであります。文部省は、五大市はもちろんのことでありますが、単に五大市ばかりではなく、児童増加に対しては極力、不正常授業にいたしましても、戦災復旧にいたしましても、自治庁関係起債の面で努力をしてやっていきたい。しかし社会増関係は、必ずしも予測されたような数字で集中してくるというように参りませんので、一応の机上の計画は立てますけれども、なかなかその通りに実施がいっていないというのが実情でございます。
  89. 佐藤觀次郎

    座長佐藤觀次郎君) 三十一年度予算の要求で、それとなお起債補助金のことについて、今度は前年度より相当莫大な費用をお出しになるような予定があるのですか。それはどのくらいになっておりますか。
  90. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 起債関係についてはまだ来年度起債の計画をどうするというところまで現在話がいっておりません。予算関係につきましては、不正常の関係は、今年の配分にいたしましても実は非常に各府県からの御要望が多かったので、来年は特にこれに重点を置いて参りたいというふうに考えております。
  91. 野原覺

    ○野原覺君 ただいまの質問ではっきりしてきたわけでざいますが、それはこういうような陳情が文部省に参りますと、すぐ文部省は、これは教育委員会のはったりだ、水増しがあるのだ、こういう御判断で対処される。よいならわしか悪いならわしか知りませんが、そういうお気持があるのではないかと思う。今局長委員長に対する御答弁を聞いておっても、あなたの方は全国にわたる校舎の調査は人手不足でできるわけはない。一応教育委員会の調査を信頼せざるを得ない。ところが予算を組む上についてはいろいろな面で、ここはちょっとごまかしじゃなかろうか、どうだろうかということがおありであろうかと思いますから、私の局長に対する要望は、ぜひすみやかに、こういう切実な訴えをしてきておる教育委員会側と話し合いを持っていただいて、そうして来年度一体どれだけの予算を御計上になられるおつもりであるのか、私どもとしてはできるだけたくさん組めということを要望したいのでございますが、来年三十二億を要求しておるとかいうことを聞いておりますけれども局長としては大体どの程度のものを今考えられておるか、これは最終ではないでしょうから、一応お聞かせ願いたい。
  92. 小林行雄

    管理局長小林行雄君 私の言葉が足りなかったせいかも存じませんが、教育委員会の数字にはったりがあるということで疑いの目をもって数字を検討しておるというのではございません。従来の関係等も考えまして、文部省としては御承知のように全国的に施設の実態調査を例年九月一日現在でやっておりまして、それぞれの学校について詳細な数字が出ておるのでございます。それに基いて台帳もできておりますので、そういったこまかい資料から数字を洗いまして、文部省として納得できる数字自治庁等と折衝したいというふうに考えております。ただ三十二億を要求するか幾らを要求するかというところまではきておりませんが、実は昨日も五大市関係の方が陳情に見えまして、ともども数字をいろいろ御相談したこともございます。きょうもまた五大市関係教育長さんがおそろいでお見えになった次第でありまして、努力は十分しております。
  93. 野原覺

    ○野原覺君 そこで次の問題をお尋ねいたします。これは一つ大臣からも御答弁をいただきたいのですが、高等学校の教科課程の問題です。高等学校の教科課程の改訂を来年四月からやりたいという非常に強硬な御決意を文部当局としてはされておるようでございますが、私がお尋ねをしたいのは、教育委員会が教科課程を来年四月から改訂して実施することはいろいろな問題で困る、そういうような意見教育委員会からあがって参りましても強行されるおつもりであるかどうか、教育委員会の反対を押し切ってでも、何としても来年四月からこの高校の教科課程の問題は改訂していく、こういうことであるのかどうかお伺いいたします。
  94. 緒方信一

    ○初等中等教育局長緒方信一君 地方の教育委員会の意向といたしまして、私どもが現在把握いたしておりますところは、大体準備を進めてもらっておるように考えておるわけであります。そこで今どうしてもできないという場合にはどうであるかというお尋ねでありますけれども、私どもなお近くまた教育委員会の担当の部課長会議を開きまして、その後の実施の準備状況等につきましても十分打ち合せをいたしたい、かように考えております。そこで冒頭申しましたように、現在におきまして私どもは各県とも実施の方向で着々と準備を進めておるように思いますので、そのつもりで私どもおる次第でございます。
  95. 野原覺

    ○野原覺君 ただいまの御答弁は、失礼ですけれども、私の質問に対する答弁になっていない。あなたの方は改訂したいのだから努力は大いにされておると思う。また努力するべきでしょう、文部省は改訂したいのだから。これは議論はありますよ、しかし私はきょうは一つ議論はしないでお尋ねだけして帰りたいのですが、あなたの方は、幾ら努力しても実は困るのだ、どうしても間に合わないのだ、なお自分の県は考えてみたいのだ、こういうようなことになってきた場合に強行されるかどうか、その点を一つはっきり。そんなに反対があってもやりますと、これはあっさりそういうことになるのかならぬのか、そこを明確に御答弁を願いたい。
  96. 緒方信一

    ○初等中等教育局長緒方信一君 この教育課程を改訂するというこの事柄の問題でありますが、これはこの前も私申し上げましたように、高等学校の教科の内容につきましては文部大臣が定める、かようになっております。その規定に基きまして教育課程内容をこれは定め、改訂をする、かようなことであります。それを実施するということでございますので、その実施は来年の新学期から、かような方針で進んでおるわけでございます。でございますので、私は今申しましたようにお答えするほかはないわけでありまして、この方針を十分誤解のないように地方に徹底いたしまして、その実施が円滑にいきますように努力をいたしますと、かように申し上げるよりほかにはございません。
  97. 野原覺

    ○野原覺君 そういう方針で進んでおりますけれども、どうしてもできないというぎりぎりの結着にきた場合に、あなたの方はその実施を要求されるか、教育委員会に強要するのかどうかということです。これはそういう方針でしょう。それはこの前から私ども聞いてよくわかるのですが、どうしても教育委員会ができぬのだ、こういってもその反対を押し切って何か指示、命令と申しますか、強行されますか、いかがですか。
  98. 緒方信一

    ○初等中等教育局長緒方信一君 どういう御趣旨か御趣旨をちょっとはっきりとりかねるのでありますが、来年の四月から改訂をする、こういう決定を文部大臣がいたして、これはすでに通達してあるわけでございます。それでその実施が十分円滑にいくように準備をする、かようなことであろうと思います。今のお話の、教育委員会が、どうしても間に合わぬ、やらぬということになったらどうするかということかもしれませんが、それは別に制裁規定はございません。しかし学校教育法の定めるところによって文部大臣教育課程をきめてそれを全国的に実施する、かような方針をきめてそれを地方に示すわけでありますから、それは当然都道府県の教育委員会といたしましては守って、実施さるべきものだと考えます。
  99. 野原覺

    ○野原覺君 その場合、実施さるべきものだと考えるけれども、しかしどうしてもやらぬ場合にはこれはやむを得ぬ、こういうことに現実の問題としてはなるのじゃないかと私は思う。あなたはこの前から私の質問に、教育委員会は大体文部省方針を体して、反対はおそらくない。来年四月の実施は可能だ、こういう見方をしておりますが、私の聞いた範囲では、全国教育委員会の協議会が実は最近会合を持っておりまして——日にちを申しますと九月十六、十七の両日東京で調査委員会を開いて、三十一年度四月から実施できるのかどうかという点について研究を始めております。その結果をいろいろ私ども個人的に教育委員の諸君から聞いてみますと、どうしても困難だ、最近、十月八日でございましたか、関東ブロックは、できないというような、それに近いような意見が出ておるやに聞いておるわけです。だから、文部省がそういうことも無視して、あくまでも強引に押し切っていかれるとすれば、これは私どもそうしなければならぬ理由、あるいはそうするところの法的根拠についても他日あらためて文部当局と議論もしてみたいと考えております。これは、こういった実情をあなたの方も十分御調査になって、この問題を善処されるように私としては要望をしておきたいと思います。  そこで、あと一点で終りますが、これは大学局長文部大臣に対する質問でございます、まず文部大臣お尋ねいたしますが、大学の問題で、特に勤労青少年の多い大都市——まあ私は大阪市でございますが、大阪市に例をとりますと、定時制高等学校がたくさんあるわけです。それでその定時制高等学校は、しかも夜学なんですね。夜学の高等学校を出た諸君が昼間の大学に行くことができない、高等学校すら晩に勉強するのでございますから、大学は昼行けるというわけのものではありません。ところが定時制高等学校をたくさん出る割合に比較して夜間の大学というのは僅かに私立の大学が二、三ある程度で、もちろん官公立も最近一、二できましたけれども、はなはだ貧弱でございます。従って定時制高等学校の諸君は全くといってもいいくらい今日進学の道がふさがれておる、こういう実情の上に立って、実は数年前から大阪市としては大阪市民の要望として——これは単に市民と父兄、生徒だけの要望にとどまらないで、大阪の財界、大阪の業界の要望として、将来大阪が貿易都市として発展する上からもこの大学に夜学の講座一つ開いてもらえないか、こういう陳情をやっているわけでございます。これは松村さんが大臣になる以前からやっておったわけですが、そこで稻田さんもその点非常に御心配になって、ことしの四月からはできるかのような情報を大阪市としてはとっておった、ところがあにはからんや予算の大削減にあって、これがまた飛んでしまった、こういうことであります。従ってこれらの問題について、大臣としては、勤労青少年の進学をふさいでおるというような点から、この夜間大学の点についてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、また定時制高等学校はそれでよろしい、こういうお考えであなたの大学に対する方針が立てられておるのかどうか。私どもいろいろ大臣大学に対する一般方針というようなものも仄聞いたしておりますので、この機会一つお聞かせ願いたいのであります。
  100. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 大学に対する考え方は、先刻竹尾さんにお答えを申した通りでございますが、大阪の実例につきましては、ああいう都市で商社などに勤めている人が、ことに語学などを修得する要望の多いことは私も認めております。従いましてこういうことに対する要望に報いることは、これは考えなくちゃならぬとは思っておりますが、それが直ちに夜間の短期大学ということにはことしはまだ参りかねると考えております。それは先刻申したように短期大学制度を今諮問いたそうとしておりますから、それができ上りますれば法を改めたいと思いますので、それはその後に考慮いたしたい、こういうふうに考えております。
  101. 野原覺

    ○野原覺君 御念頭に置いて下さって非常に慎重な御検討をいただいておりますことを私は感謝したいと思います。そこで夜間の短期大学ということは今返答できぬけれども何か考えておるんだ、こういうことでございますので、これは一つ局長からどういうようなことを考えておるのか——一般の卒業生じゃなく、定時制高等学校の卒業生ですから、文部当局は外大の夜学設置の要求に対してどういう点を考えておられまするか、お尋ねをいたします。
  102. 稻田清助

    大学学術局長稻田清助君 まだはっきり決定いたしたわけではないのでございますけれども考え一つといたしましては、御承知のように大阪外語大学に夜間別科というものがございます。ただこれは今施設も教授力も非常に乏しい状態でございますので、勤労青少年が現実に夜間において語学を勉強するために夜間別科を利用するという問題も相当あるようでございますから、この夜間別科について教授力なり設備なりを充実することも一つの問題解決の方法ではないかというような点で、目下研究いたしておるような次第でございます。
  103. 野原覺

    ○野原覺君 では終ります。
  104. 辻原弘市

    ○辻原弘市君 先ほどの教科課程の問題でもう一、二点伺ってみたいのであります。だんだんお話を聞きますと、これは文部当局の御意向のいかんにかかわらず、現実にこれから実施をしなければならない、それぞれの高等学校並びにその地域にはこれに対する反対が相当量強いわけであります。これは否定できないと思いますが、その把握が、いろいろ聞いても、どうも私たちの把握とあなた方の把握とに食い違いがあるように思います。少くとも教科課程の改正という問題は、何といったってスムーズに教育内容の中に、現実のそれぞれの学校で織り込んでいっていただかなければならぬものです。そうするとその中に非常に強烈な反対があり、しかもその準備には、いろいろ答弁もありましたけれども不足な点は、これはやはり否定をしましてもおおうべからざる問題です。教科書の問題、指導要領の問題、あるいは学区制に対する問題あるいは学時制とそれから新しくこのコースで行こうとする全日制の問題、あるいは男女共学の問題、こういう問題がそれに関連していろいろと生まれてくるわけです。そういう点について十分了解のいくような指導方針を立てられないまま、半年あるとおっしゃるのですけれども、半年なんというのはこれは見ている間です。そういう点から考えてわれわれとしてはもう少し準備の期間を置く必要がある。決定的にこのコースに対してわれわれが検討を加えないというのではありません。さらに十分検討を加えたい点が多々あるわけであります。よりよいものとして、そうしてこれに対して高等学校が十分協力してもらえるような態勢の中に新しい欠陥を克服した教科課程を課するという行き方がより望ましいのではないか。それを何をか押して来年四月ということを固執せられるのか、私は純粋な教育問題だけにどうも合点がいかないわけなんです。聞くところによれば、あなた方のお考えの中に、高等学校、しかもその運営の衝に当る高等学校長等は賛成をしておられる、高等学校長協会も賛成をしておられる、こうおっしゃるわけですが、私はそれについても個々に当ってみました。ところが賛成をしておる高等学校長もたくさんおります。しかしそれらの人々はどちらかというと、従来の旧制中学当時においても相当優秀な学校であったように私は把握できる。いい学校であれば、コース制をとってもらった方が、いわゆる学区制も自然にこわれてくる、そこに集中されて新しい、かつて持っておったようないわゆるいい中等学校、今で言うといい高等学校という観念に基くそういう伝統が生まれてくるから、これは個人的な気持に立っても望ましい、こういう考え方を持つのは当然だと思います。ところがそうではない。いわゆる機会均等という建前で何とか高等学校のいわゆる地域的なアンバランス、内容的なアンバランスを是正しようとして努めてきたその他の学校、並びに機会均等の建前からそういうふうに充足していかなければならぬと考えた、そういった教育委員会の指導というものは、そこに比較的考慮されないという結果が生まれてくるわけです。くどいことは申しませんけれども、そういった問題を含んでおるのですから、いま少し私はこの問題については猶予をもって、そうして誤解があればその誤解を関係者に解いて与えて、少くとも発足した瞬間においてはその教科課程でもってスムーズにやらないとなんというような教育委員会、あるいはまたやれないという学校、こういうものの内容を準備されるのが至当なやり方だと私は思うのです。だから私たちの申しておることは決して無理ではないので、現実の反対をどうするのだ。指導助言という立前でかじをとれば、それは泣きの目でもついてくるということになりますけれども、そういうことで果していいのかどうか、この点について多大の疑問があるわけです。どうかそういった点を考慮されて、いま一度何らかこの点についてせいせいとして教科課程の欠陥を克服するという、そういう態勢に持っていく御意思が緒方局長のどこかにないか、大臣の深いお考えの中にお持ちになっていないか、最後に私はこの点を確かめておきたいと思います。
  105. 緒方信一

    ○初等中等教育局長緒方信一君 御説の中にありましたように、これは教育の問題でありますので、しかも現実に動いておる教育の問題でありますので、この改訂がきわめてスムーズに教育の現場に向けられる、これはきわめて大事なことだと私ども考えております。ただお話のありましたように、現実の教育の現場における受入れ態勢、これに対する考え方、論議の問題、この情勢の把握につきましては、今お話の点は私と食い違うように思います。これはもうすでに辻原さん専門の方でありますから、くどく申し上げませんでも従来の経緯等も十分御承知のことと思いますけれども、昭和二十七年の暮れ以来、高等学校教育課程の問題は非常に重大な問題として私ども文部省として取り上げて参りました。そうしてこの教育課程審議会におきまして、これは御承知のように教育学者あるいは現場の先生あるいは教育委員会の代表、こういうふうな人たちが入りまして、長い間かかりまして、非常にむずかしい問題でありますので相当時日を要しましたけれども、非常な苦心の末作り上げた案であります。それを文部省は取り上げました。ただその際に、これは昨年の十月にその答申がありましたので、これを発表いたしました。そうしてこれに対しましていろいろな反響もございましたので、その反響も聞きまして、その答申案を文部省として一部訂正した部分もございます。たとえば、社会科の新科目を必修にする。答申ではそれがなかった。しかし、これは各方面の意見がありましたので、それをとりまして、これを必修にするということに改めたわけであります。さようにいたしまして、昨年の十二月に、来年の四月から実施するという方針を都道府県の教育委員会に流しまして、それから鋭意準備をいたしておるわけであります。そこで、これは非常に技術的な問題であります。非常にむずかしい問題も包みます。従って、私ども教育委員会の事務局の担当の部課長等の会議を開きまして、今日まで準備を進めておるわけでございますけれども、一般の方々には若干御理解のむずかしいところも——そう申してはあれでございますが、教育の技術の問題でありますので、あるかと存じております。そこで、いろいろと疑問は今日になって起ってきたという点はあるのかもしれませんけれども、担当の者は十分理解をしてきた。最初はいろいろ疑問もあったようでございますけれども、そういういろいろな問題につきましても、文部省方針は、都道府県の教育委員会には明確に示しておるわけであります。そういうことで今日まで進めて参りました。また、今お話のうちの社会科の新科目につきましても、近日これは内容がきまりますので、また都道府県の担当者の会議を開きまして、さらに、疑問があれば疑問を解明して、私どもとしては十全を期したい、かように考えておる次第でございます。先ほど野原さんからもお話がございましたように、私どもはまだ先ほどのような事情は存じません。かような点につきましては、十分調査させてみたいと存じます。  ただ、先ほど辻原さんのお話の中にありました高等学校長協会等は、その当時から非常に研究をされております。そして教育課程審議会の研究の発表等と並行いたしまして、専門の部会も持って研究されまして、協会としましては、これはすみやかに実施してくれという、むしろ私どもは鞭撻を受けておるようなわけでありまして、一部反対意見のあることは、私ども承知いたしておりますけれども、私どもとしては、来年の四月から実施する方針を堅持していきたい、かように考えておる次第であります。
  106. 辻原弘市

    ○辻原弘市君 あなた方の把握が間違ってないかどうかについては、来年の四月がくればわかると思いますが、できれば混乱の起らないようにやることが望ましい。特にこの問題については、できるだけ内容について理解を与え、十分趣旨に沿ってやってもらわなければならぬわけです。ですから、混乱を避ける意味においても、そういう趣旨のことを再三申し上げておるわけですが、起らなければけっこう。しかし、下手をすれば起るんじゃないかという危惧があるのです。決してこれは私のおどし文句ではありません。そういう心配があるならば、それに対して——こう言っては失礼でありますが、単なる答弁に終始されることなく、われわれの申し上げた中で思い当られる点があるならば、手を打たれることが至当ではないかと私は考えます。しかし、これ以上のことは申し上げません。  立ったついでに、大臣に簡単にお聞きしておきたいと思います。実は今まで聞く機会がないし、お約束もいたしておったのでありますけれども、新生活運動について、新聞ではだいぶにぎにぎしくその後の状況を報道されておりましたが、時間がありませんので、詳しく聞けないのが残念ですが、協会の理事を委嘱されて発足されたようですが、一向文教委員会には、その後の新生活運動についての文部省考え方、指導の方途というものは、どういうふうにやっていきたいという心組み、あるいは補助金の使途、こういう点についてのお話がございません。この新生活運動はどういうふうに御質問をしていいのか、実は私は質問にも困っているわけです。お見受けすると、協会に一切がっさいまかしたということになっているようです。それも方法かもしれませんけれども、ともかくやってくれ、金は一億二千万円あったが、七千万円は新生活運動に入るか入らぬかわからぬけれども、これは別に使う。五千万円だけは純粋にそっちの方向に使うのだから、これでやってくれ、こういう形じゃないかと思うのです。その中には国民に新しいこういう方向にわれわれは努力するんだという何らの意欲、何らのそういう国民的な盛り上り、その片りんもうかがえないわけです。これは大臣のお考えとはあるいは志が違うかもわかりませんけれども、今答弁すれば、それは民主的にやるんだ、こういうふうにお答えになるかもしれませんけれども、しかしそれでは新生活運動と銘打って騒ぎ立てたことにぴったりこないわけです。何をやりますか。実はこの間公民館の方々ともいろいろな話をしたが、これも議論が続出しておりました。どうも一時社会教育の重要なものとして公民館に力を入れた。今年は公民館の予算を削って新生活運動の方に金を出す。そうしてキャンプだとか何だとか、そのほかにどう金が使われるか知りませんが、七千五百万円を使われる。社会教育のどこに力点を置いているのか。新生活運動を生活改善の運動としてとらえられているのか、教育運動としてとらえられているのか、これをどういう把握のもとに展開しようとするのか、さっぱりつかめない。私も同感であります。こういうことを申し上げると失礼にあたるかもわかりませんけれども、一体この新生活運動船というものはどこへたどりつくのであるか、どういうような動き方を示されるのか、ここらあたりについて御見解を承わっておきたい。
  107. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 お答えをいたします。かつても申し上げたことがあると思いますのは、政府といたしましては指導はいたさぬのでございます。これを具体的に指導いたしますならば、かつての翼賛体制の上意下達と同じことになる危険がありますので、私どもは国民の盛り上る運動を期待いたして、先般総理大臣が初めて各階層の方々をお招きして申しましたときも、その趣旨を明らかにいたしたわけであります。そこでこれらの人たちはいろいろの議論がありました。お話通りにむしろ政府が強い指導力を発揮してやった方がいいじゃないかという議論もありましたが、そうなるとやはり上意下達の形になって、政府笛を吹いても国民が踊らぬ、こういう形が出る危険も先例から申せばあるわけでありますから、あくまでこれらの人の団体の力でいきたい、こういうふうに考えており、またそこへ出ておられた方々も大体そういう点において一致せられまして、それから一カ月間ほどの間小委員会を聞いて、十分これらの意思の統合をはかり、そしてできた案を総会でさらに意見を尽して、ほんとうの議論の結果でき上ったようなわけでございまして、お話通り政府といたしましては、何らの指導をいたしておりません。けれども、こういう盛り上る形のもとにそういう中心ができ上りますと、現在地方においても、また団体においてもやっております各種の新生活運動に一定の総合的の規制を与えますれば、十分に効果が上り得るものと考えておるわけでございます。そこでこれはほんとうにじみな実践運動としてやる方が、かえって効果的であろうというわけで、すでに理事会の組織ができ、会長も前田多門君、それから事務局長も菅野君が当ることになりまして、今その発足を見る途中にあるわけでございまして、しばらくかすに時日をもってしていただきましたならば、私どもはその効果は必ず上る、そしてそれは国民的運動、民主的の運動として盛り上る、このように考えております。  この間あの総会のときに、公民館の代表者の意見も、私そこにおりまして、傍聴をいたしました。私どもは、公民館運動というものは、一面は社会の生活の問題に変りまするし、もう一つは、やはり一つの社会運動と解しておるわけでございまして、生活の問題以上のものもあそこに含まれておるのでありまして、公民館運動がすべて社会生活改善運動であるというわけではない。だから公民館運動と何もダブることはない。ともに協力していけることと考えておるわけでございます。  公民館運動について冷淡だというようなことを承わりますが、私どもは決してさようではございません。正しい公民館——公民館運動という名前はおかしいですけれども、これは一つの社会教育の面から見ましたならば、意義のあることであろうと思いまして、これを助長するのにはやぶさかではございません。しかしそれは新生活運動と立場を異にしておるものであることも御承知を願いたいと思うのでございまして、私どもは決して新生活運動に公民館運動を乗りかえたというような考えを持っておるものではないことを申し上げまして、今そういうふうに、きわめて徐々ではありますけれども、堅実な歩みをもって、前田君等が非常な熱意を持って現在やっておるわけでございますから、その経過をごらん願いたいと思います。
  108. 辻原弘市

    ○辻原弘市君 非常に懇切なお話を承わったのでありますが、いろいろ疑問もありますし、ここらあたりで少しく私の意見も申し上げて、大臣の見解を承わっておきたいと思います。  政府の指導を排除する、これはまことにけっこうだと私は思います。できるだけ民衆運動としてこれを取り上げていきたい、こうおっしゃる。そのために協会を作られる。しかしその協会なるものは、これは失礼に当るかもわかりませんけれども、中の委嘱された委員の方々を見ますと、やはりこれもまた例に漏れず、いわゆる有名人であります。お一人で二十種類、三十種類の委員を兼ねておられるような人も中にはいらっしゃる。そこで作られて、これは民主的だと言われます。これが一般の民間の中で盛り上った運動の母体になっておる。ところがこれを地方におろした場合どういうことになるか。私は休会中ずいぶん歩きまして、あちこち意見を聞きましたが、おそらく今待ち受けている新生活運動についての展開の仕方は、やはりそれぞれの県に行けば、県の当局がこれを取り上げてその指導に当る。町村に行けば市町村当局が母体となって、その運動に当る。そういう待ち受け方をしておるのです。それを私は言うわけです。そうじゃなしに、新生活運動というものは盛り上げなければならない。抽象的でありますけれども、その盛り上らせ方をどうするかということについては、まず出発の起点というものは、大臣は社会教育と新生活運動を区別されておるようでありますけれども、私はそうは考えない。それは何らかの地域におけるそういう教育活動と結びつけて、そういった教育活動を母体にして、そこに新生活運動というものに対する一つの意欲、住民の関心というものを沸き立たせて、その上に新生活運動というものを派生的にどういう形でも——青年団が取り上げる形のものもあれば、あるいは婦人会が取り上げる形のものがあってよろしい、公民館活動の中に生まれてくるのもよろしい、どういう労働組合が取り上げるのもよろしい。最近こういうようないろいろのケース、いろいろの派生的な運動に対する熱意というものが生まれ、それを集約して、国がそれに対して経済的な援助、たとえば足らなければそれに援助を与えていく、さらにそれを全国的に集約したものとしてそれらの素材を取り上げて、今作っておられるような協会であってもかまわぬと思う。そうして指導されていくというつながり方をしないと、今の場合は中央ができて地方に対してはやはり県が指導して何らかの同じような形のものを作られると思うが、指導の中心というものはやはりこれは行政当局ということに必ず堕していく、こういうふうに考えるわけです。そういう点の実際の展開の仕方というものをいま少し慎重に考えられて、今私は新生活運動を提唱されることも必要だと思いますけれども、その母体を作るということに何で力点を置かれないかという点の、いま一つ突っ込んだ考え方を持っていただきたいということが一つであります。  それからもう一つは、五千万円の金を今年は計上したが、一体これは突っ込んで考えれば何に使われるか、おそらく五千万円の金は、極端に申せば私は会合の茶菓子代に消えてしまうと思う。そう考える。なぜならば現在社会教育に投じられておるうちの幾ばくを取り上げ、それが直接地方に対する援助の金として渡っておるかをしさいに検討すれば、たとえば二千万円ないし三千万円程度ならば一県三十万円程度しかならぬ。五千万円としてその倍。それが中央においてそういう会合を計画され、地方においてもそういう会合を計画されるとするならば、おそらく私は会合費以外の何ものでもないと思う。そういう形に新生活運動というものを持っていかれ、いわゆる一間四方か五間四方かわからぬが、そのうちにおける新生活運動であればそれでよろしい。問題はほんとうに一般の人々が理解をもって何かを考えたいという沸き立たせるような運動が現実にその形では生まれてこないと思う。これは私ははっきり申し上げて差しつかえないのであります。だから私は何も公民館ということを申しません。地方においてそういう何かの民衆のよりどころがあったら、行政当局が指導して公約を誤まるという形のものではなしに、そういうようによりどころがあれば、そこに一つの手がかりを求めて、それを拡大していくという考え方が、私は今までやってみても、そういうつちかった素材の関連から見ても当然ではないかと思う。そういうふうな意味合いで新生活運動を取り上げるならば、われわれはそれに対して協力するのにやぶさかではございません。しかし今言ったような形のものであれば、これは単に目新らしいものを設定したということにとどまり、従来との関連、前者との関係においては何らの関係がない。その証拠には公民館その他の指導者が、そういうような一つの疑問を持っていること自体が、この運動に対するほんとうの協力的な立場をとっていない。これは重要ではありませんか。そういう点についてこれは非常にむずかしい問題です。むずかしい問題だからなおわれわれは衆知をしぼらなければならぬ。衆知をしぼって、指導の方針ではなくてその展開の仕方においてもっとわれわれは考えるべきだ、そのことは決して内容の指導の問題ではございません。そういう意味合いで何かもう少し地域に根を持ったそういう形のものを考えるお考えをこの際お取り上げになる必要がある。これは意見として申し上げます。
  109. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 ちょっと御意見でなくて、それは大体あなたの今お話になっているような方向で進んでいるわけでありまして、私の代弁をあなたにやっていただくようなことなんです。それはあの総会へお越しになってごらん下さったならばよくおわかり下さることと思いますが、あなたと同じような考え方の、青年協議会の代表者とかその他公民館の側からなんかもいろいろその通りの話がありました。公民館の代表者のごときは少し過ぎたことも言っておりましたよ。たとえばこんな費用はこんなものをこしらえないでおれの方へくれたらまだいいことをやる、こういうような極端な話もありましたけれども、これはまあ過ぎた話でありまして、みな非常に熱心な討議があった結果、小委員会できめたことを、今お話のような御趣旨に沿うて相当修正されまして、それをいれてやって参ることになったのであります。たとえば支部を置く問題も、今お話のようなこともあるからまあ当分もう少し何するまで置かぬことにしようといって、支部を削るとか、連盟という名前は何だから協議会にしようとかいうようないろいろの意見も青年協議会などからも出て、それもよかろうということで修正して、これならこれで一ついこうじゃないかときまって、その線に沿うて今発足をいたしておるわけでございまして、どうかこういう趣旨によって一つ最善の効果をあげてもらいたいものだ。五千万円の金は、これは分けますと御承知のように零細なものです。しかしながらあの中にみなぎっておる考え方は、こういうものは政府の助成もけっこうだが、政府の助成などを当てにしないで立ち上ってやるのがほんとうの国民から盛り上る運動だから、これはこれとして、助成は何だけれども、できるならば民間の金でこれを一つやろうじゃないかというような空気も現に盛り上っておるのでありまして、私どもは、そういう意味においてこの運動が展開したならば、ほんとうに今お話のような趣旨の効果をあげ得るのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  110. 辻原弘市

    ○辻原弘市君 時をかせとまた言われるので、だいぶ時をおかしいたしましたから、もうしばらくこれはわれわれは慎重に考えてもいいと思うのでありますが、御趣旨のようなお考えでいければけっこうでありますが、現実に当ると必ずしもそうじゃないのですね。私が非常に危惧する点は、地方へ持っていった場合、これは大地を打つつちがはずれても私の観測は誤まらないと思うが、実際新生活運動の中心は、熱心にやっている人は都道府県の知事さんですよ。そうして婦人会の会合でやはり新生活運動が何だかんだというが、端的に言えば知事の選挙運動に新生活運動が利用されている面がだいぶある。そういうような弊をなくするためにはどうしたらいいかということのためにも、いわゆるそういう地方の指導機関、行政当局がこれを左右できるような仕組みにこの根をはやしていくということはとんでもない問題だ。それを徹底的に断ち切らなければほんとうのものは生まれない。事実はそうなんです。だから婦人会の幹部の方々はこの問題について、知事さんみな来てくれる、まことにけっこうだ——非常に知事さんが熱心で、それは婦人会が冠婚葬祭の虚礼も廃さなければならぬとりっぱなことをおっしゃる。極端にいえば全くこれは選挙運動ですよ。そういうことを、これはやはり今の形のものでいけばますます助長していくということを、一つの例証として私は申し上げるわけでありますから、婦人会でも青年会でもよろしいが、現実に地域の何かの、これは私は最初は教育だと思う。だからそういう社会教育に結びついたようなもので展開を盛り上げて、その上に、その雰囲気の中から何かを持ち出させる、こういった形のもっを一つ考えをいただきたい。
  111. 竹尾弌

    竹尾弌君 関連して。ただいま辻原委員がるる御意見を述べられましたし、大臣も御熱心に御答弁なさったようですが、私もこの新生活運動は鳩山内閣の黒星中の黒星だと思う。これはどう御弁解なされても、かつての大政翼賛会の運動にもうほとんど堕してしまうというふうに考えております。ただいま盛り上る力とおっしゃいますが、果してそういう盛り上る力が具体的にどういう工合に盛り上っておるのかというようなことを考えておられたでございましょうが、もし、ただばく然と盛り上る力で大いにやるのだ、こうおっしゃられても、この間の委員の選定からして、これは文部省政府も何も干渉しないといっても、あれだけの時間をかけてあれだけの委員を集めたそのこと自体が、もうすでにある程度の指導、助言をしておられる。また指導、助言がなければこういうことはできません。それで全国の空気を見ましても、現実の姿が、もう国民自体が生活にあくせくしておるのですから、何か経済的に金でももうかることなら一生懸命になってやりますけれども、精神的なこんな運動に飛びついてくるはずはないですよ。でありますから、私はこういう金こそ何かもっと具体的な対象を持った、社会教育なら社会教育でよいです、生活改善なり、もっと具体的に今の冠婚葬祭を簡単にするとかあるいはその他いろいろ具体的な問題がありますが、そういうことをやるのかといえばそうでもないらしい。ただ空々漠々の抽象的な、何をやっておるかさっぱりわからない。こういうような印象を私は強く受けておるのでありまして、あの予算が出たときに、大臣どういうお考えであの一億二千万もあんなものにつぎ込んだのか、松村文相ともあろう者が、こういう問題にどうしてそんなに興味を持っておられるのか、こう不思議に思ったくらいでありまして、私は政府がどのような手を打ちましても、絶対に政府の期待されるような動きは国民の中から上ってこない、こういうことをはっきり申し上げたい。あれだけ終戦前にかね、太鼓をたたいたあの運動が、全く会議、会議、会議費ばかりに使ってしまって何にもならない。五千万円の金だってほんとうにお茶を一ぱい飲むだけでふっ飛んでしまいます。県とか郡とかありますけれども、相変らずもう人間がきまっておるのですから、こういう連中が新生活運動だといったところが、これは頭の切りかえをしなければ新生活運動なんかできっこありません。その意味におきまして、これは対象がない、抽象的なものですが、そういうものに飛びつくというような能力は、日本国民はそういう能力を持っておらない。かつて社会教育に対して私どもは非常に力を入れて五百万円しかなかった予算を一躍その十七倍も取って、当時の寺中局長なんか一生懸命になってやり出した。私は非常によい運動だと思っておりましたけれども、これも今は龍頭蛇尾で何もやっていないじゃありませんか。社会教育といって文部省がばく然たる対象を持っていた運動すらできない。いわんや何が何だか取りとめもない、つかみどころがないような運動に飛びついてくるはずなんか絶対にないと思う。それは青年協議会なりいろいろありましょうが、ああいうところに具体的に金を出して、こうするというならまだ考えがあるけれども、ただ、今見てごらんなさい、国民の力が盛り上ってきますとおっしゃられても、これは絶対に盛り上って参りませんと私は申し上げたい。こういう予算は私はこの次にどういう形でとられるかわかりませんが、私はこういう予算の計上には絶対に反対でございます。一つ別のお考えをお持ち下さらんことを、これは鳩山内閣のために私は申し上げたい。これはもうほんとうに困った運動です。そう私ははっきり申し上げたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  112. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 御意見は御意見として承わっておきますが、ただ私は、日本の国民に対してはそういうあきらめを持ちかわるのでございまして、政治の理想から申しますならば、占領行政が終った後に国民生活を変える、締め直すという運動は当然起ってくるべきことであり、それは民衆の間から起るべきものであり、日本国民の才能は必ずそういうことを自分の手でやり得る、それに呼びかけをするだけは政府の義務であろうと、こういうふうに考えまして、この理想は政治の上から捨てるべきものじゃない、こういう考えを持ってやっておりますので、御意見は御意見として承わるのであります。
  113. 竹尾弌

    竹尾弌君 私は大臣のその意見には決して反対するものではございません。そうした一つの精神的動きに対しまして何かの手を打たれるということについては私は決して反対いたしませんが、そういう運動であればそういう運動なりに、これは政府は指導しないなんておっしゃられますけれども、やはりある程度の助言や指導が必要になってくる。そこで問題は、五千万とか一億何千万とか——それだけ限りにおける運動であれば、これは精神的な一つの助言あるいは指導ということになるのですから、その程度でけっこうなんです。でありまするから、何も五千万も一億何千万もここに計上してやるだけのことでなし、またやってはいけません。これは新聞を通じて政府の態度をはっきり表明して、こういう盛り上った力があれば大いに盛り上げるということだけでいいのでありまして、中途半端の——五千万だって、五千万の金を全国にばらまいたら幾らでもないんで、これは会議費に消えることは、終戦前のあの運動と私は同じだと思う。でありますから、そうした戦後の一つの廃頽したと申しましょうか、そうした混乱した中に一つの精神的なくさびを打ち込むということについては私は双手をあげて賛成をいたします。そういう方向にもしやられるのでありましたならば、そういう方向に持っていっていただきたい。そのためには五千万とか一億何千万なんていう金は要りません。これは政府がそういう気持でやられるのであれば、いろいろな宣伝機関を通じてやればそれで十分なんでありまして、そいう方向にもしやられるのなら持っていっていただきたいのです。今のような委員でやれば、これはもうかつての翼賛運動と全く同じような結果になるということは、私は火を見るよりも明らかなことだと思う。その点一つ大いに松村文相におかれては御注意を喚起しまして、そういうふうに堕さないように十分お願いしたいと思います。
  114. 島上善五郎

    ○島上善五郎君 ちょっとせんだって出ました中野高等無線学校の問題をお伺いしたい。私も新聞に出て初めて承知したので今多少調査しておりますが、まだ的確なものを得ておりません。文部省においてお調べになって事情を御承知かと思いますので伺います。先般新聞で、中野高等無線学校において生徒、特にそのうちの給費生と書いでございましたが、理事長が書生扱いにして個人的な雑務に非常に多くの時間を使いまして、そのために学生はろくに勉強もできない、こういう状態にある。それで学生の間に非常に大きな不満がそれこそ盛り上ってきて問題になっておるということを聞いております。またもう一つ、その学校においては郵政省かどこかの官吏が昼間教師として教壇に立っておる。そういうことも問題になって、人事院か何かで調査をして、何かその後の措置をとられたということを聞いておりますが、こういう問題は往々にして私立の学校にありがちなことであろうと思いますけれども文部省としてはこれをお調べになったかどうか。お調べになりましたら、その事情を少しく詳しく御説明を願いたい、こう思います。
  115. 稻田清助

    大学学術局長稻田清助君 ただいま御指摘の学校は、東京都知事において認可いたしました各種学校と心得るわけでございます。従いまして文部省は直接の監督権限あるいは指導助言の権限責任を持っておりませんけれども、この点の問題につきましては知事等と連絡いたしまして、よく調査してみたいと思います。ただいま資料は持ち合せてないことをお許し願いたいと思います。
  116. 島上善五郎

    ○島上善五郎君 それでは、直接の監督権限がないにいたしましても、これは放任しておいてよろしい問題ではなかろうと思いますから、ぜひ東京都知事を通じてよくお調べになって、何らかの措置が必要であるということになりましたら措置していただきたいと思います。私も今調べておりますから、いずれまた的確な調べができましたら御質問をしたいと思っていますが、何か校長が大野伴睦さんで、理事長が自由党の高木章という前の衆議院議員である、こう聞いております。政治家がやっていると、どうもつい遠慮して——これは都知事がだろうと思いますけれども、遠慮して監督も何もしないというようなことになっているのじゃないかという疑いが多分に持たれるので、私も今申しましたように調べておりますが、ぜひ都知事を通じて事情をよくお調べ願って、この次の機会にお伺いしたいと思います。
  117. 竹尾弌

    竹尾弌君 大学学術局長に、これは最後ですが、さっき大阪外大の別科の話が出ましたが、別科は今やめていると思いますけれども、やめておりますか。
  118. 稻田清助

    大学学術局長稻田清助君 今やっております。
  119. 竹尾弌

    竹尾弌君 それではその別科の内容充実、教授人員の拡張というようなことになるでしょうが、そういうことは結局短期大学に持っていくのとほとんど変りはない。これは定員を一人か二人ふやせばいいのです。これは大臣の増置反対論といいますか、非常に頑強な御意見のようですけれども、それに触れるからやらないというようなことにも受け取れるのですが、こんなものをやるのはわけないことで、定員を一名か二名ふやせばいいのであって、そういうことは、ただその教授人員を強化するとおっしゃったのですから、実質においては短期大学基準を上げるということになるわけなんで、そういう点、もっと突っ込んでお考え願えないでしょうか。
  120. 稻田清助

    大学学術局長稻田清助君 要するに夜間において語学を実際において修得したいという青年の希望を満たすという点におきましては、別科を利用するのも一方法ではなかろうか。現在別科というものがあるわけでありますけれども、非常にまだ不十分な状態でありますので、教授力なり設備を増強し、学生経費を増加することによって別科そのものの内容充実する。あえて新しい施設考えないとしても、その方法によってある意味において勤労青年の勉学意欲を満たすことができはしないかということを研究いたしておるわけであります。
  121. 竹尾弌

    竹尾弌君 大学局長の御意見をかき出せば短期大学も同じなのでありまして、設備といってもべらべら口から口へ言うのだから何も設備などいらないわけであって、教授の人員をふやす、そのことが形を変えれば短期大学になる。そういうことを短期大学にしてなぜ悪いかということに私は非常な疑問があるのです。その点一つ文部大臣にお答え願いたい。
  122. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 それは短期大学ではございません。といいますのは、資格も何も短期大学のような条件を備えてもおりません。ただ語学の習得というだけの別科でありまして、これを直ちに短期大学とごらんになるのは非常に実際との相違かございます。そうしてそれはそういうものを置くのではございませんで、今現にやっておりますのが十分の収容力がないから幾分かはそういうものに収容力を与えるくらいのことでありまして、別に新たなるものを設けるなどというようなことではない。前からあるものをそういうふうに収容力をもう少し何するというだけのことでありまして、これは何も大きな大学を許す許さぬという問題とは違うのでございますから、先刻もそのような意味でお答えを申し上げたのであります。
  123. 竹尾弌

    竹尾弌君 これがたとえば工科とかあるいはその他設備や施設がたくさん要るところであれば短期大学設置するにも多少費用がかかりましょう。しかし現在昼の大学のあるところであれば、工学部関係でも簡単に大して費用もかけずにできるのが今までの例でございます。それを今大阪外大に別科があるとしますれば、これは語学の勉強でありますから、現在の別科でも——設備を大きくされると申されますが、設備を大きくするということは人をふやすことであって、教授人員を強化することです。これは大臣考え方がお間違いになっているのじゃないかと思いますが、大きな大学とおっしゃっても語学の大学ですから、これは人員を拡大して、生徒を入れれば、それで資格も与えられるし、りっぱな短期大学になると思うのですけれども、その点はいかがでございましょうか。
  124. 松村謙三

    文部大臣松村謙三君 それでは私からまずお答えを申し上げまして局長に敷衍してもらいますが、全くお考えのような短期大学意味するものでは毛頭ございませんことは、先ほど来お答えいたしたようなわけでございます。大阪の商店の人たちが語学を習得するというためにそういう別科が従来置いてある、それを拡充しようというだけでございまして、これは申さば現在あるものの内容充実という先刻のわれわれの方針と何も変ったことはないわけでありまして、新制大学という意味ではございませんことは御了承願いたい。詳しいことは局長から……。
  125. 稻田清助

    大学学術局長稻田清助君 修業年限も短期大学と違いまして一年であるのが現在の別科の制度でございます。この一年という短かい期間になるべく語学の内容を多分に習得したいという意欲が学生にあるわけでありますが、現在教授力が少いために毎週六時間ないし八時間くらいの授業しかできない。そこで先生等の定員を増しますればもっと短期に内容充実した教育ができる。しかし実力はつきますけれども、夜間三年の短期大学とは違うわけでありまして、別に資格等は得られないのでございますが、勤労青年の一部の意欲は満足し得るのじゃないか、こういうふうに考えております。
  126. 竹尾弌

    竹尾弌君 今大阪の地元でいろいろ熱望しているのは、一つのそういう商店の従業員とか何とかいうこともありましょうけれども、やはり高等学校を出た者を収容してそうして三年間勉強させたいということが地元の要望であって、それには費用がたくさんかかるのなら問題ですけれども、ほとんどかからないのだ、語学なんというものは。ですからそういう、非常に地元の熱望のあるところに、費用がかからないでできることであれば、それをさせていただきたいということがわれわれの願いなんですけれども、これも大臣の御持論によってだめだとおっしゃれば、これはまた予算の修正でいくより仕方がない。できるだけこういうものは、先ほど申し上げたいろいろな問題にぶつかりますが、一つこれは大臣頭を少し考え直していただくことの方がよろしいのだろうと私は思うのでございます。しかしここで大臣と争ってもしようがないから、何とかの機会に何とかの方法で予算一つ修正いたしまして実現を期したいと考えているので、よろしくこちらからお願いを申し上げたい。
  127. 佐藤觀次郎

    座長佐藤觀次郎君) 本日はこれで散会し、今後協議事項がありました場合は文書をもってお知らせいたしますので、御了承願います。     午後五時七分散会