○辻原弘市君 先ほどの教科
課程の問題でもう一、二点伺ってみたいのであります。だんだん
お話を聞きますと、これは
文部当局の御意向のいかんにかかわらず、現実にこれから実施をしなければならない、それぞれの
高等学校並びにその地域にはこれに対する反対が相当量強いわけであります。これは否定できないと思いますが、その把握が、いろいろ聞いても、どうも私たちの把握とあなた方の把握とに食い違いがあるように思います。少くとも教科
課程の改正という問題は、何といったってスムーズに
教育内容の中に、現実のそれぞれの学校で織り込んでいっていただかなければならぬものです。そうするとその中に非常に強烈な反対があり、しかもその準備には、いろいろ答弁もありましたけれ
ども不足な点は、これはやはり否定をしましてもおおうべからざる問題です。教科書の問題、指導要領の問題、あるいは学区制に対する問題あるいは学時制とそれから新しくこの
コースで行こうとする全日制の問題、あるいは男女共学の問題、こういう問題がそれに関連していろいろと生まれてくるわけです。そういう点について十分了解のいくような指導
方針を立てられないまま、半年あるとおっしゃるのですけれ
ども、半年なんというのはこれは見ている間です。そういう点から
考えてわれわれとしてはもう少し準備の期間を置く必要がある。決定的にこの
コースに対してわれわれが検討を加えないというのではありません。さらに十分検討を加えたい点が多々あるわけであります。よりよいものとして、そうしてこれに対して
高等学校が十分協力してもらえるような態勢の中に新しい欠陥を克服した教科
課程を課するという行き方がより望ましいのではないか。それを何をか押して来年四月ということを固執せられるのか、私は純粋な
教育問題だけにどうも合点がいかないわけなんです。聞くところによれば、あなた方のお
考えの中に、
高等学校、しかもその運営の衝に当る
高等学校長等は賛成をしておられる、
高等学校長協会も賛成をしておられる、こうおっしゃるわけですが、私はそれについても個々に当ってみました。ところが賛成をしておる
高等学校長もたくさんおります。しかしそれらの人々はどちらかというと、従来の旧制中学当時においても相当優秀な学校であったように私は把握できる。いい学校であれば、
コース制をとってもらった方が、いわゆる学区制も自然にこわれてくる、そこに集中されて新しい、かつて持っておったようないわゆるいい中等学校、今で言うといい
高等学校という観念に基くそういう伝統が生まれてくるから、これは個人的な気持に立っても望ましい、こういう
考え方を持つのは当然だと思います。ところがそうではない。いわゆる
機会均等という建前で何とか
高等学校のいわゆる地域的なアンバランス、
内容的なアンバランスを是正しようとして努めてきたその他の学校、並びに
機会均等の建前からそういうふうに充足していかなければならぬと
考えた、そういった
教育委員会の指導というものは、そこに比較的
考慮されないという結果が生まれてくるわけです。くどいことは申しませんけれ
ども、そういった問題を含んでおるのですから、いま少し私はこの問題については猶予をもって、そうして誤解があればその誤解を
関係者に解いて与えて、少くとも発足した瞬間においてはその教科
課程でもってスムーズにやらないとなんというような
教育委員会、あるいはまたやれないという学校、こういうものの
内容を準備されるのが至当なやり方だと私は思うのです。だから私たちの申しておることは決して無理ではないので、現実の反対をどうするのだ。指導助言という立前でかじをとれば、それは泣きの目でもついてくるということになりますけれ
ども、そういうことで果していいのかどうか、この点について多大の疑問があるわけです。どうかそういった点を
考慮されて、いま一度何らかこの点についてせいせいとして教科
課程の欠陥を克服するという、そういう態勢に持っていく御意思が緒方
局長のどこかにないか、
大臣の深いお
考えの中にお持ちになっていないか、最後に私はこの点を確かめておきたいと思います。