○辻原
委員 時間がありませんので、簡単にお伺いをいたします。それはいよいよ夏場も本格的になって参りまして、一面
学校では非常に楽しい暑中休暇が始まろうとしておりますが、また一面父兄のわれわれの側に立ちますと、これは
一つの心痛の種でもございます。おそらくそのことは
教育者全般の大きな悩みの種でもあろうかと私は
考えておりますので、この辺の問題について
大臣のお
考えと文部
当局の具体的諸準備について私は二、三簡潔にお伺いをいたしたいと思います。
思い起してみますと、あの痛ましい紫雲丸事件を契機にいたしまして、修学旅行の問題について世人が非常な関心を深めました。同時にわれわれもこの問題を契機にして、修学旅行のあり方についてあらゆる角度から検討を加えました。文部省においてもその後修学旅行協議会等のいろいろな会合、その他によりまして、一応の結論を出されたようでありますが、その後これについての経過についてはまだ承わる機会がありません。それは文書をもって配布するということでありますが、今もって私
どもの手元に参っておりませんので、それについて本日はお伺いすることができませんけれ
ども、私が申し上げるのは、その際に私は特に
注意を喚起しておきました。というのは、修学旅行の問題で
子供の事故が発生したから、すぐさまその問題にだけ取りかかって、角をためて牛を殺すようなたぐいをしては問題の本質を取り違えるものだ。事故は修学旅行のみではないのだ。いろいろな形において事故が発生しておる。そのあらゆる事故を総合して、それに対する方策を
考えてもらわなければ完璧を期するわけには参らないということを当時申し上げておきました。その際にも当時頻発しておりましたところの山における遭難あるいは海における児童の溺死、こういう問題についても申し上げておったのでありますが、きょうもおそらく本年最高の気温だろうと思いますけれ
ども、ことしの天気は異常であります。その異常な天気の中に、おそらく人間をして、多少特異的な性格を持つ人は、それを発揮させるにちょうど都合のよいような気象
環境になっているのじゃないかと思います。きのうあたりの新聞を見てみましても、八才の
子供がちょっとしかられたからというので鉄道の自殺をした。あるいは
子供ができないというのでお母さんが
子供の首を締めて心中しようとした。私は全く
考えによっては聞けば痛ましい話であるけれ
ども、何かここに異常なショックを受けるのでありまして、こういうものが気象とどういう
関係があるか私は知りませんけれ
ども、そういう一、二の例を
考えてみましても、ことしの夏というのは何かしら私はそういう不幸なできごとが続発してくるような気がしてならないわけであります。毎日の新聞を繰り広げても、まだ完全な夏場にならないのに、もうすでにほとんど連日
子供の溺死あるいは山における遭難、こういった問題が続発しておる。さらにこの間の新聞を見ますと、高等
学校の生徒を連れて行った先生がたまたまその管理上の
責任を問われて、いまだかつてそういうことの例を見ない過失致死罪でありますか、そういう罪名によって起訴されておる。こういう問題もあるのでありまして、ここに児童生徒の看護という問題と、またその中から起ってくるそういった事実が、果して犯罪に問われなければならない性格のものであるかどうかというようなことにも、われわれは
教育上多大の疑問と多大の問題をはらんでおる点に気づくのであります。この非常に暑い夏を控えて、
学校ではおそらく海浜
学校などを計画しておられるのであろうし、また都会地においては、夏をのがれるために、山にあるいはその他涼しい場所を求めて、ともに
子供も行くであろう。
学校が計画するその種の事業もあれば、あるいは父兄が連れて行く事業もあれば、また高等
学校あたりの生徒になれば、自分ら同士が誘い合ってキャンプ旅行とか海浜旅行を行う者も少くないと思います。こういったもろもろの問題をあわせて
考えたときに、何かしらこれに対するわれわれとしての親心、あるいは
教育的なそういう見地を深めた
一つの
対策を立ててやる必要があると思います。えらく前置きが長くなりましたが、私はこの前にもそういう御
注意を申し上げておきました。すでに夏休みも開始されようとする時期に、そういった児童生徒の夏場に起りやすい事故発生について防止
対策を、文部省としてはどういうふうに具体的に進められておるのか、これは抽象的にお伺いしたのでは今の時期としては当を得ませんので、はっきり相当広範に検討されて詳細な
対策案件を持っておられるならば、何らかの形で発表もしていただこうし、またその根本的な
考え方をお持ちなさっておられるならば、
大臣から積極的な度合をこの席でお示しいただけば非常に仕合せと
考えますので、その点まず最初に
大臣からそれらの点について
関係者に
注意を喚起せられたかどうか、またどのような
注意を喚起せられたか、具体的な
対策を進められたかどうか、この辺のところを承わり、
事務当局からその点についての具体案を聞いておきたいと思います。