運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-07-08 第22回国会 衆議院 文教委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月八日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 伊東 岩男君    理事 並木 芳雄君 理事 坂田 道太君    理事 竹尾  弌君 理事 辻原 弘市君       藤本 捨助君    山口 好一君       永山 忠則君    河野  正君       島上善五郎君    野原  覺君       山崎 始男君    小牧 次生君       平田 ヒデ君    小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松村 謙三君  出席政府委員         文部政務次官  寺本 広作君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     北岡 健二君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (社会教育局         長)      寺中 作雄君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君  委員外出席者         議     員 纐纈 彌三君         議     員 高村 坂彦君         文部事務官         (管理局学校給         食課長)    岩倉 武嗣君         専  門  員 石井  勗君     ――――――――――――― 七月七日  委員高村坂彦君及び久野忠治君辞任につき、そ  の補欠として長井源君及び小澤佐重喜君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 七月七日  女子教育職員の産前産後の休暇中における学校  教育の正常な実施の確保に関する法律案高田  なほ子君外六名提出参法第一六号)(予) 同月五日  写真師法制定に関する請願辻原弘市君紹介)  (第三三七二号)  同(岡本隆一紹介)(第三三七三号)  上小鴨小学校広瀬分校へき地教育振興法適用  の請願古井喜實紹介)(第三四〇九号)  米沢小学校具田分校へき地教育振興法適用の  請願古井喜實紹介)(第三四一〇号)  黒坂小学校久住分校へき地教育振興法適用の  請願古井喜實紹介)(第三四一一号)  日野小学校小林分校へき地教育振興法適用の  請願古井喜實紹介)(第三四一二号)  大山小学校大山分校へき地教育振興法適用の  請願古井喜實紹介)(第三四一三号)  法勝寺小学校山田谷分校へき地教育振興法適  用の請願古井喜實紹介)(第三四一四号)  日野上小学校生山分校へき地教育振興法適用  の請願古井喜實紹介)(第三四一五号)  社小学校江波分校へき地教育振興法適用の請  願(古井喜實紹介)(第三四一六号)  日野上小学校宮内分校へき地教育振興法適用  の請願古井喜實紹介)(第三四一七号)  三億小学校成分校へき地教育振興法適用の請  願(古井喜實紹介)(第三四一八号)  小鹿小学校神倉分校へき地教育振興法適用の  請願古井喜實紹介)(第三四一九号)  神戸小学校岩坪分校へき地教育振興法適用の  請願古井喜實紹介)(第三四二〇号)  福部小学校福田分校へき地教育振興法適用の  請願古井喜實紹介)(第三四二一号)  名和小学校大山農場分校へき地教育振興法適  用の請願古井喜實紹介)(第三四二二号)  成器小学校上地分校へき地教育振興法適用の  請願古井喜實紹介)(第三四二三号)  福栄小学校豊栄分校へき地教育振興法適用の  請願古井喜實紹介)(第三四二四号)  東郷小学校高路分校へき地教育振興法適用の  請願古井喜實紹介)(第三四二五号)  黒滝第八小学校へき地教育振興法適用請願  (坂田道太紹介)(第三四二六号)  平野小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四二七号)  葛城西小学校へき地教育振興法適用請願(  坂田道太紹介)(第三四二八号)  立里小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四二九号)  檜股小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四三〇号)  辻堂小学校及び大塔中学校へき地教育振興法  適用請願坂田道太紹介)(第三四三一  号)  永盛小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四三二号)  西豊小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四三三号)  柳生第三小学校へき地教育振興法適用請願  (坂田道太紹介)(第三四三四号)  南阿太小、中学校へき地教育振興法適用の請  願(坂田道太紹介)(第三四三五号)  石打小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四三六号)  阪合部第三小学校へき地教育振興法適用の請  願(坂田道太紹介)(第三四三七号)  大滝小学校光岩分校へき地教育振興法適用の  請願阿左美廣治紹介)(第三四三八号)  大滝小学校峯分校へき地教育振興法適用の  請願阿左美廣治紹介)(第三四三九号)  大滝小学校中津川分校へき地教育振興法適用  の請願阿左美廣治紹介)(第三四四〇号)  大滝小学校中尾分校へき地教育振興法適用  の請願阿左美廣治紹介)(第三四四一号)  上吉田小学校石間分校へき地教育振興法適用  の請願阿左美廣治紹介)(第三四四二号)  大滝小学校双里分校へき地教育振興法適用  の請願阿左美廣治紹介)(第三四四三号)  浦山小学校川俣分校へき地教育振興法適用の  請願阿左美廣治紹介)(第三四四四号)  芦ケ久保小中学校及び入山分校へき地教育  振興法適用請願阿左美廣治紹介)(第三  四四五号)  両神小学校へき地教育振興法適用請願(阿  左美廣治紹介)(第三四四六号)  日野沢小学校立沢分校へき地教育振興法適用  の請願阿左美廣治紹介)(第三四四七号)  美保関小学校雲津分校へき地教育振興法適用  の請願坂田道太紹介)(第三四四八号)  下古和小学校へき地教育振興法適用請願(  坂田道太紹介)(第三四四九号)  美又小学校へき地教育振興法適用請願外一  件(坂田道太紹介)(第三四五〇号)  小川小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四五一号)  湯里小学校西田分校へき地教育振興法適用の  請願坂田道太紹介)(第三四五二号)  高田小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四五三号)  下道川小学校へき地教育振興法適用請願(  坂田道太紹介)(第三四五四号)  矢原小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四五五号)  鰐渕小学校猪目分校へき地教育振興法適用の  請願坂田道太紹介)(第三四五六号)  吉田小学校杉戸分校へき地教育振興法適用の  請願坂田道太紹介)(第三四五七号)  吉田小学校芦谷分校へき地教育振興法適用の  請願坂田道太紹介)(第三四五八号)  吉田小学校民谷分校へき地教育振興法適用の  請願坂田道太紹介)(第三四五九号)  塩田小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四六〇号)  四郷中学校外二箇小学校へき地教育振興法適  用の請願坂田道太紹介)(第三四六一号)  横道小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四六二号)  松笠小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四六三号)  今市小学校坂本分校へき地教育振興法適用の  請願坂田道太紹介)(第三四六四号)  長瀬小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四六五号)  知々井小学校へき地教育振興法適用請願(  坂田道太紹介)(第三四六六号)  木部谷小学校へき地教育振興法適用請願  (坂田道太紹介)(第三四六七号)  黒沢小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四六八号)  柳小学校へき地教育振興法適用請願坂田  道太紹介)(第三四六九号)  商人小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四七〇号)  芦谷小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四七一号)  春殖小学校畑鵯分校へき地教育振興法適用の  請願坂田道太紹介)(第三四七二号)  来島小学校川尻分校へき地教育振興法適用の  請願坂田道太紹介)(第三四七三号)  久佐小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三四七四号)  五箇小学校福浦分校へき地教育振興法適用の  請願坂田道太紹介)(第三四七五号) 同月六日  写真師法制定に関する請願大石武一紹介)  (第三五八三号)  同(高村坂彦君紹介)(第三五八四号)  学校給食施設費国庫補助に関する請願川野芳  滿君紹介)(第三五八五号)  義務教育給与費国庫負担金増額に関する請願(  川野芳滿紹介)(第三五八六号)  公立学校施設整備費国庫補助増額に関する請願  (川野芳滿紹介)(第三五八七号)  小学校教育充実振興に関する請願並木芳雄  君紹介)(第三五八八号)  公民館災害復旧費国庫補助に関する請願川野  芳滿紹介)(第三五八九号) の審査を本委員会に付託された。 同月七日  産休補助教員設置制度化促進に関する陳情書  外八件  (第三三一号)  学校給食振興に関する陳情書  (第三三二号)  義務教育施設整備促進に関する陳情書  (第三六七号)  地方教育委員会廃止に関する陳情書外一件  (第三  六八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本学校給食会法案内閣提出第九九号)  危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇一号)  公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案(  内閣提出第一〇八号)  博物館法の一部を改正する法律案内閣提出第  八八号)(参議院送付)  学校教育に関する件(大阪学芸大学及び教科書  問題)  社会教育に関する件     ―――――――――――――
  2. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  日本学校給食会法案危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案博物館法の一部を改正する法律案学校教育に関する件及び社会教育に関する件を一括して議題とし、前会に引き続き質疑を行います。小牧次生君。
  3. 小牧次生

    小牧委員 私は大臣に対しまして、教科書の問題につきまして、若干御質問を申し上げたいと存じます。  御承知通り教科書学生児童の全く必需品でございまして、従って全国の教育関係者はもとより父兄学生児童、こういう人々にとってはきわめて重大なる関心を持っておる問題でございます。御承知通りただいま行政監察特別委員会におきまして、この教科書制度の問題が取り上げられまして、数回にわたりいろいろ審議検討されておるわけでございまして、本日も引き続きこの問題が取り上げられると承わっておるのであります。こういった問題を行政監察特別委員会においていろいろ取り上げられまして、あるいは近く結論が出るのではなかろうかということを考えるわけでございますが、われわれ文教委員会におきましても文部当局と従来いろいろこの問題を論議いたして参ったのであります。行政監察委員会は御承知通り行政上の警察的な役割を担当いたしておる。こういうところで結論が出る、こういった場合にはわれわれ文教委員会といたしましても重大なる関心を持たざるを得ないのでありまして、この機会にこういう立場から文部大臣に御所見をお伺いいたしたいと思うのであります。大臣は本特別国会の初めの文教委員会において、同僚委員質問に対しましていろいろ答弁をされておるのである。その中にはこの教科書の問題をいろいろ検討したい、十分検討を続けていきたいということを答弁しておられますが、その後どのような検討をなされたのか、まずこれからお伺いを申し上げたいのであります。
  4. 松村謙三

    松村国務大臣 ただいまのお尋ねに対しましては、行政監察の方で近く結論を得るということでございますけれども、これはあの委員会の範囲内においての結論であって、教科書制度の機構に関することではなかろう、こういうふうに考えております。そこで教科書制度につきましては、先般もこの委員会で申し上げたのでございますが、私はこれを検討して、そして改むべきものは改めなくちゃならぬという決意をいたしたのでございます。しかしその内容等についてはこれから研究をいたしますので、ただそのワクをこの間申し述べたようなわけでございます。そのワクと申しますのは、大体父兄の点から見まして、いろいろの現行の制度につきまして不便であり、また教科書の値段も高いというような点もありますし、ことにまたこの教科書について運動が行われるという形が、児童の心理に及ぼす影響は大きいと考えます。そういうような意味から、一つこれを再検討する必要があろうと思うのであります。ただそれにつきましては、国定教科書というような形はとりたくない。検定制度を直して完全を期したい、こういうふうなワクだけは大体さきにも申しました通りでございまして、その内容をなすものはこれから検討をいたし、議会にかくべきものは次の通常国会にかけまして改革をいたしたい、こういうふうに考えております。
  5. 小牧次生

    小牧委員 なるほど大臣のおっしゃる通り、ただいま行政監察特別委員会で取り上げております方向と、私ども文教委員会における審議方向とはおのずから性格を異にいたしておることは当然であります。しかしながら行政監察特別委員会においていろいろ取り上げられておる問題をお聞きいたしますと、何と申しましてもこれは広い意味教科書制度そのものに触れておる問題であります。従いまして、ああいったような審議の過程におけるいろいろな問題を私どもが聞くに及びまして、はなはだ遺憾にたえないのであります。こういったような問題がなぜいろいろ起ってくるかということを私ども考えますときに、やはりこれは教科書制度そのものをあらためてお互いに検討して、そうしてそういった問題が起らないように合理的な制度を打ち立てることに努力しなければならないということに相なってくるわけでございます。こういった行政監察特別委員会において取り上げられておるいろいろの問題は、今に始まった問題ではないのであって、数年前からいろいろいわれておりまして、ほとんど常識的な問題となっておるわけであります。こういうことを今日までずっと放任いたしておる。手を打たない。これは文部当局におかれまして行政上の措置あるいは規制によって相当程度防ぎ得る問題である、こういうことを考えますときに、これはあくまでも文部当局の怠慢であると断ぜざるを得ないのであります。何も私は、今ここで教科書制度に関する根本的な制度直ちに確立せよ、またそういった方向への私のはっきりした意見は持っておりませんので、そういうことを強く要求はできませんが、しかしながら現在いろいろ教科書に関する法律は非常にたくさんございませす、また政令もたくさんございます。こういうものがばらばらに行われておるところにまず第一に大きな欠陥があるのではなかろうかということを、私は痛感いたしておる一人であります。従いましてこういう点にまず私どもは観点を置いて、これを何らかの方法で統一して参る、統一した法的な形態を作り上げなければならないということを考えるものでありますが、これに対する大臣の御所見をお伺い申し上げたいのであります。
  6. 松村謙三

    松村国務大臣 こういうことはやはり機会が熟さないとなかなか改革ども困難なものでございます。あながち従来の文部当局が怠慢であったとは私は思うておりませんが、この制度をやってみまして、今日になってみますと、やはり改むべきものが多いと思うのでございます。従いまして御研究の結果御意見がございますならば、私どもはそれを取り入れて考慮いたしますことには決してやぶさかではございません。そうして適当な成案を私の方で作りまして御審議を願いたい、こういうふうに考えております。
  7. 小牧次生

    小牧委員 怠慢であったとは思わないとおっしゃいますが、しかしながら教育行政上の面において、ただいま行監で取り上げられている問題が全部が全部果して事実であるかどうかは存じませんが、いろいろな問題を起しておるということは、明らかにこれは行政上の責任でなければならぬ。ああいったものを規制する政令とかあるいは法律があるのでありまして、これを執行するのが行政当局でなければならない、こういう点から考えますと、やはり起ったものは結果的にはそういったものに責任があるということを私どもは痛感せざるを得ないのであります。従いまして先ほど申し上げたようなことを申したのでありますが、しからば現在のいろいろ行われております教科書制度に関する法律あるいは政令について若干大臣の御所見をお伺い申し上げたいのでありますが、まず現在の検定制度の基本をなすものは、御承知通り教科書の発行に関する臨時措置法という法律でございますが、この法に基く検定制度について大臣は今いかなるお考えを持っておられますか、お伺い申し上げたいのであります。
  8. 松村謙三

    松村国務大臣 やはり暫定法規暫定法規でありまして、それを今日までこう本筋のものに直す機会がおくれて参ったと思っております。従いましてそれをほんとうのものに変えたいと考えております。そうして検定制度そのものは、これを動かす考えはただいまのところは持っておりませんが、現在の検定制度そのものについては、よほど研究を要するものがあると考えております。しからば、どこを改めるという内容につきましては、ただいまのところは全く白紙で研究をいたすつもりでおりますから、まだ申し上げておりません。ただどこかで申し上げた言葉は、検定委員が秘密であるということがいいかどうか、むしろこれを公開して検定責任を持たした方がいいのじゃなかろうかということをこの委員会かどこかで申し上げたことはございますけれども内容にわたることでありますので、これは私の意見として申し上げたのでございます。
  9. 小牧次生

    小牧委員 もとよりこれは非常に大事な問題でございますので、今にわかに大臣のお考えがきまるということは御無理かと考えておりますが、まず検定制度の根本をなす国定検定かという問題について、本特別国会の初めのころの文教委員会において、たしか松村文部大臣同僚議員質問に答えて、現在の教科書制度についてはいろいろ改正すべき点があると思う、しかしながらこれを改正するに当っては国編あるいは国営にするというような傾向は厳にこれを戒めなければならない、これ以外にいい方法はないかどうか、これを検討してみたいということをはっきりと答弁をいたしておられることは速記録にある通りであります。しかしながらこの検定制度検討に当りまして、なるほど今私が申し上げた通り、厳にこれを戒めなければならないということを文部大臣は仰せられましたが、検定に当っては、事実上そういう国定化方向へ持っていかれるような節がちらちら見受けられるような気もするのでありますが、この機会にもう一度あらためてお伺い申し上げたいのは、先ほど申し上げました通り国編あるいは国営にするというような傾向は厳にこれを戒めなければならないというお考えは今も変っておらないかどうか、お伺い申し上げたいのであります。
  10. 松村謙三

    松村国務大臣 それは繰り返して申しますが、その点についてはかねて申しております通りに、別にいつか申し上げたことに何ら変った考えを持っておらないのでございます。
  11. 小牧次生

    小牧委員 そうなりますと、おのずから方向は明らかであろうと考えるのであります。と申しますのは、現在の教科書制度の問題について大別して考えてみますと、まず第一には検定制度の問題であります。次には検定内容、さらに採択、その次には教科書販売あるいは配給の組織、大別して現在の教科書行政と申しますか、この問題はこういうものに分類できるのではなかろうかというふうに私は考えておるのであります。従いましてもし大別してそうであるとするならば、こういった項目に従いまして、現在のばらばらになっておる法律あるいは政令を何らかの形において統一して、その基準を明らかにいたしまして、いろいろな不祥事件の起ることを防止し、あるいはまた現在ほとんど商品化されつつある教科書、これをほんとうに子供のための教科書ということに重点を置いて出版編成のできる方向へ、私どもは大いに努力して参らなければならない、さように考えるのでありますが、今申し上げた分類に従って、近い将来に、先ほど大臣答弁なされたような考え方の上に立って、ばらばらの法や政令を統一されるお考えはないかどうか、お伺い申し上げます。
  12. 松村謙三

    松村国務大臣 大体今お話のような点を大ワクとして考慮研究すべきことは当然であろうと考えます。いろいろの意見がございますが、私最も重大な点でありまた困難な点であると思いますことは、現在のままでありましても、あの展示会をごらんになりましても、やはり資本の豊かな会社はそれだけいい印刷の機械も求め、紙質から体裁までもずっとよく見える、そこでそういうようなことや販売技術等から、日本教科書が今のような形で出版会社によって格段の差が出てくるといたしましたならば、そのときには、民主主義とはいいながら、その会社の作る教科書児童教育を支配する、それが普通の商売でやるだけならまだいいですけれども、多少何かの考えを入れるとしたならばおそるべきことでございまして、これはよほど考慮すべき重点であろうと考えます。それなら検定を厳重にしてそういうことのないようにすればいいじゃないかといいますけれども検定の標準というものはその大体のワクをきめるだけで、その検定内容を厳重にするとまたここにいろいろ問題が出てくるというようなわけでありまして、そこに非常に困難な問題がある。日本義務教育の学童を教育する教科書がそういう資本の力でだんだん作られていくということを考えますと、こういうところを何とかうまく、数を少くすると同時にそういうことのないようなことを根本的に考えなくちゃならぬのじゃなかろうかというような点が重点でないかと思いますので、これらのことも単なる思いつきでございますから、詳しく調査をし、いろいろの方々の研究をわずらわしまして、最適のものを得たいと考えます。
  13. 小牧次生

    小牧委員 重ねてただいまの検定の問題について若干お伺い申し上げたいのであります。先般の行政監察特別委員会において、この問題について緒方証人に対していろいろ質問があったのでありますが、緒方証人は一応事務当局としてその限界においての答弁をしておられますので、この機会大臣にお伺い申し上げたいのは、まず教科書問題について最も先決要件となるものは、ただいまも触れになりました検定の問題であります。まず検定に合格しなければ、販売も何もどうにもならない。何といってもこれが先決条件である、従って私どもはやはりこの検定の問題に大きな関心を持たざるを従ないのであります。現在御承知通り千、四、五百名の検定調査員がおって、そしていろいろ検定をやり、しかもその名前は匿名になっておる。非公開である。公開か、非公開かこれも行監においていろいろ論ぜられたようでありますが、それぞれ欠陥もあり、特徴もあろうかと考えます。しかしながら私がいろいろ考えますのに、現在の匿名よりも、欠点はあってもまだ公開の方がよろしいのではないか。堂々と氏名を公開した方が、順次欠陥をなくする方向へ進むのではなかろうかということを考えるのでありますが、これに対する大臣の御見解を承わりたいのであります。
  14. 松村謙三

    松村国務大臣 その点になりますと内容にわたると思いますので、先刻も私見は申し上げましたが、内容につきましては一つよく研究をさせていただきたいと申し上げるよりほかないと考えます。
  15. 小牧次生

    小牧委員 それ以上御答弁できなければ仕方がありませんが、しからば現在公開非公開ということについて検討しておられますかどうか、お伺いを申し上げます。
  16. 松村謙三

    松村国務大臣 現在も研究しておりますし、事務の方へも命じて研究をいたさせてもおります。これからだんだん進んで、これらの具体的の調査に着手し、そうして成案を得ましたらば、まず委員会にかけて決定をいたすつもりであります。
  17. 小牧次生

    小牧委員 これに関連してお伺いを申し上げたいのは、今回の行監のいろいろな審議の過程において、こういった検定調査員あるいはそれに関連のある仕事をしておる方々が、初め教科書会社におった方が文部省にいきまた文部省におった方が教科書会社の方へ就職される、こういった実情が明らかにされたのであります。この実情について大臣はどのようなお考えを持っておられますか。この機会に御所見をお伺いしたいのであります。
  18. 松村謙三

    松村国務大臣 なるほどそういう出入りはございました。しかしながら、現在は教科書を取扱う責任の位置にはおりませんけれども、世間の疑惑もそういうふうにありますならば、私といたしましては、そういう疑惑を解くのに決してやぶさかではないつもりでございます。
  19. 小牧次生

    小牧委員 ただいま大臣のお考え聞をいて一応わかったのでありますが、いやしくも事教育に関する問題でございますので、いろいろな問題に関連して疑惑を持たれるような点は、責任を持って疑惑を一掃していただきたいということを、この機会に強く要望申し上げたいのであります。さらにこの検定に関連して若干方向は違いますが、この機会にはっきりとお伺い申し上げたいのは、いろいろ検定調査員が原稿を調査する場合に、採点をするわけでございますが、委員において、これはもうあと一息というところが足りないということを指示する、修正させる。これはなるほど善意に解釈すると非常にけっこうなことであろうと考えるのであります。ところが承わるところによりますと、こういう際に幹事が——何と申しますか、はっきりしたことは存じませんので、申し上げにくいのでありますが、関係をする。こういったことからいろいろ修正の方向に指示を与え、強い影響を与えて参る。たとえば具体的に申し上げますならば、その内容を取りかえさせる。こういったことが間々あるように聞いておるのであります。はなはだしいものに至りましては、たとえば徳川時代のころに百姓一揆が起ったとか、こういったことを書いてはいけないとか、あるいはまた憲法第九条の解釈に関連いたしまして、いろいろ方向を指示する、指示を与える。この問題については昨日、一昨々日も本会議においていろいろな論議が巻き起された問題でありまして、私どもは重大なる関心を持たざるを得ないのであります。こういう点について明らかに一つの方向に向って影響のある指示を与えるということは、教育の本質にかんがみまして、断じて許すことのできない問題であると思うのでございます。その他こういった問題に関連するようないろいろな指示が、そういった修正の際に行われておるということを聞くのであります。果して事実であるかどうか、私は十分に確かめたわけではございませんので、これをはっきりと申し上げることはできないのでありますけれども、こういったことがよく私どもの考に入るのであります。こういう点について大臣のお考えをお伺い申し上げたいのであります。
  20. 松村謙三

    松村国務大臣 私は文部省から検定委員に対してそのような内面指導はいたしておりませんことを申し上げ得ると思います。たとえばあの百姓一揆などのことは、ずいぶん教科書に書いてあります。とめない証拠だと思います。むしろあり過ぎるほど、何のためにああいうことを書くのかと思うほどであります。それから憲法のことなどにつきましては、かえってその逆が行われていやせぬかとさえ考えらはれるのでございます。教育基本法には、政治は教えなくちゃならないが、政治の偏向は厳に戒めなくちゃならぬと、こう書いてあります。従って政治をありのままに教えることは、これは大切でございますけれども、それが憲法九条がこうだとか何だとかいう偏向の傾向を帯びれば、これは検定官としてとめるのは当りまえでありまして、そういうことについて文部省の幹事がそれを内面指導するというようなことはないと思うのでございます。
  21. 小牧次生

    小牧委員 要するに先ほど大臣が申された通り、現在の検定制度考えながら、よりよき方法はないかどうかということを中心に、今後事務当局に対して検討を命じたい、検討させたいということを申されましたので、おそらく間違いなくそういう方向に努力されるものと考えるわけでございますが、しかしながら現在行政監察特別委員会においていろいろと教科書制度の問題、教科書販売の問題、あるいは採択の問題等について、広範にわたっていろいろな審議が展開されておる。そこで事務当局検討させたいというふうな答弁をされるのでありますが、私どもはこのような状態をいつまでも続けることは許されないと思うのであって、一日も早くそういった成案を得て、私どもにこれを明示していただいて、お互いにこれをよりよい合理的なものへ早く持っていく、そうしてほんとうに子供のための教科書、できるだけ安い教科書、そうしてまたいろいろなスキャンダルの起ることのないような制度、こういうものを確立して参らなければならない、こういうふうに考えるわけでございまして、どうか一つそういう点について大臣文部当局の善処方を強くこの機会に御要望申し上げまして、私の質問を終る次第であります。ついでは文教委員長にお伺いいたします。こういった問題について現在行監において取り上げられ、本日もいろいろ審議が続行されるわけでありまするが、本来の教科書制度そのものは、われわれ文教委員会が取り上げて根本的にこれを検討し、論じなければならない問題であることはもとよりであります。従いましてこの文教委員会の中においても教科書制度に関する小委員会というようなものを設けて、そうしてこれと取り組んでいくように一つお取りはからいをお願い申し上げまして質問を終ります。
  22. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 小牧君に申し上げますが、教科書問題は非常に重要な問題でございまして、委員会においてもたびたび問題があったわけでありますが、今の行政監察で行われる教科書問題は、これは本来の教科書をどうするとかこうするとかいようような問題ではなく、今までの弊害のことを討論しているわけでございます。実は理事会においても教科書問題の将来は重要な問題でございますから、ぞひ一つこの問題を取り上げて諮って近くやろうと思っておりますが、できるだけ小牧君の御意見に沿うように努力したいと思います。御了承願います。  次に野原覺君。
  23. 野原覺

    ○野原委員 私は二、三の問題についてお尋ねいたしたい。まず第一の問題は、不正常授業解消促進臨時措置法であります。第二の問題は、同僚小牧君が質問いたしました教科書の問題、第三はその他、これらの点についてお尋ねをいたします。  まず最初に不正常授業の解消促進につきましては、かねてから国会においてこれの立法措置文部当局に要望しておったのでございまするが、このたびこの立法がなされたということに対して、私はまことは同感の意を禁じ得ないのであります。そこで大臣にお尋ねをいたしますが、過日大臣から御説明になりました不正常授業解消促進法の御提案の説明によりますと、このように言われております。それは三ページに「戦災復旧等により解消できるものを除いて、現在約三千教室を整備しなければなりません。」このように申されておるのでございますが、この三千教室という数は、これは不正常授業を行なっておる学級数という意味であるのか、それとも不正常授業のための不足教室の意味でございますか、どちらでございますか。
  24. 松村謙三

    松村国務大臣 事務の方からお答えをさしていただきます。
  25. 北岡健二

    ○北岡政府委員 この三千教室と申しますのは、現在行われておりまする不正常授業を解消するために必要な総数でございます。不正常授業をやつております学級の数は、二十九年の五月一日現在の調査で二部授業が五千九百、廊下、昇降口等の使用が七百四十程度、講堂や屋体の使用が八百くらい、仮校舎の使用が一千教室程度、圧縮学級等が約二万程度ありまして、これをそのまま通算いたしますと三万というような数字になるわけでございます。そういう状態で、これは二十九年五月の調査であります。そうして三万の不正常の学級でありますが、これを建築いてした解消いたそうといたしますれば、一万一千程度の教室の新築でもって解消ができる。と申しますのは、二部授業と圧縮授業とが重なっておるのが統計の上では別々に出ておりますから、そういうような関係があるわけでございます。
  26. 野原覺

    ○野原委員 そうなりますと、これは現在不正常授業解消のために整備しなければならない教室は一万一千であって、三千ではない。どういうわけで三千教室という提案説明をなさったのでございますか。
  27. 北岡健二

    ○北岡政府委員 一万一千でございますが、この解消の対象といたしましては、学校の規模が〇・九坪というあの暫定基準以上のものは一応除きますと、一万幾らが九千五百と相なります。それが二十九年の初めの調査でございますから、二十九年度中に解消されるもの、こういうものが約三千五百ございます。戦災復旧とか転用小学校とかいう補助金の予算で解消できるものがあるわけでございます。それから同じく二十九年度中に起債や東京都の特別の二部授業解消の仕事、こういうような事業によって解消されるものが約三千、十万坪ぐらいあります。そういうものを差し引きますと三十年度の当初に必要になりますものが大体三千、こういう勘定に相なるわけでございます。
  28. 野原覺

    ○野原委員 私は別に提案説明についてとやかく申し上げるものではございまんけれども、いやしくも文部大臣が刷り物にしてわれわれに提案説明を渡す場合には、誤解のないところのものを出していただきたいのであります。これは一つお読みいただけばわかるのでございますが、参考のために読んでみたいと思いますことは、「現在行われている小学校の不正常授業を解消するためには、戦災復旧等により解消できるものを除いて、現在約三千教室を整備しなければなりません。」こう書いてある。そうなりますと、これをそのまま私ども受け取る場合に、不正常授業の問題は戦災教室を除いてあと三千教室あれば一切解消できるのではないか、こういう受け取り方をするわけでございますが、この点はいかがですか。これはどうも御説明が明確でございませんので重ねてお尋ねします。
  29. 北岡健二

    ○北岡政府委員 誤解を招くようなことになりまして申しわけございませんが、先ほど申し上げましたような趣旨で三千教室というものを出しております。さように御了承願います。
  30. 野原覺

    ○野原委員 そうなりますと、この三千教室を整備しなければならぬというここのところは、一万一千教室と直すべきであると思う。なおまたそうでなければ、「戦災復旧により解消できるものを除いて、」とございますから、戦災復旧の校舎が三千五百であるとするならば、一万一千から三千五百を引いた七千六百教室を整備しなければなりませんとやはり説明すべきである。この点について大臣はどのようにお考えになりますか。
  31. 松村謙三

    松村国務大臣 もう一度事務の方からお答えをいたさせます。
  32. 北岡健二

    ○北岡政府委員 舌足らずの点はございますが、初の方から申し上げますと、前のページから小学校の不正常授業を解消するため単独起債を認めるとともに、所要の国庫補助金を計上して小学校校舎の整備に努力をいたして参りまして、現在行われておる小学校の不正常授業を解消するためには、戦災復旧等により解消できるものを除いてという意味でございまして、たとえば転用小学校等もこの戦災復旧等というものに含ましておるつもりでございます。なお単独起債等の分は前の方に書きましたのに含めておるつもりで書いたのでございます。
  33. 野原覺

    ○野原委員 三千教室というのは単に国庫補助金だけの数である、こういうように御主張のようでございますけれども、私どもはこれはどう考えてもそうとれないのです。あなたは単に舌足らずと申しますけれども、これは明らかに間違いなんです。文章解釈のできる方ならどなたもおわかりいただけると思う。現在整備しなければならない教室は、国庫の補助金によると単独起債によるとを問わず、ことごとくが現在整備しなければならない教室ということになるわけでしょう。そうなりますと、三千教室という数字は明らかに間違いではございませんか。一つ率直に、こういうような間違った説明は間違いでございました、この数は訂正いたしますと申されたらいかがでございます。
  34. 北岡健二

    ○北岡政府委員 お言葉を返して恐縮でありますが、先ほども申し上げましたように、二十九年の五月一日の調査で一万一千でございます。二十九年度中に解消される見込みのものが、単独起債なり、それから東京都の作業なり、それから二十九年度中の補助金なり、そういうもので引きまして約六千五百でございます。それから先ほど申し上げました一万一千の中から〇・九坪以上の分を除きますと、九千五百でございます。それで三十年度当初である現在の段階で整備を要するもの三千、こう申しておる次第でございます。
  35. 野原覺

    ○野原委員 この点についてはなおどのような数字的根拠によってどういう調査をされたかという点が不明でございますから、これらの点もなお私自身も再度調べてお尋ねをいたしたいと思います。  そこで大臣にお伺いいたしますが、不正常授業の解消については、私ども文部当局に対して、年次的な計画を立ててこれらの問題は処理すべきである、このように申し上げて参っておるのでございますが、本年度の予算を見てみますと、三億二千万円ばかり計上しておるようでございます。この三億二千万円という数字は、不正常授業解消のための年次計画に立った予算でございますか、それとも年次計画というものは立てられていないのでございますか、その辺はどうなっておりますか。
  36. 松村謙三

    松村国務大臣 これにつきましては、大よそ三カ年計画でやろうという考え方でございまして、これはその初年度の計画であります。
  37. 野原覺

    ○野原委員 三カ年計画といたしますと、不正常授業を完全に解消するために要する総額はどれだけだと見ておられますか。
  38. 北岡健二

    ○北岡政府委員 昭和三十年度以降の全体の計画で、九万三千坪でございます。本年度その三分の一の三万二千坪ということであります。
  39. 野原覺

    ○野原委員 そうなりますと、実は戦災復旧校舎はこれははっきり読み取ることができるわけでありますが、児童の急激なる増加は昭和三十三年度を頂点としてまた下降のグラフを描くようなことになるのではないかと私どもは見ておるのです。つまり昭和三十三年度には、全国の教育委員会の統計を総計いたしてみますと、約二百二十万人ばかり児童が増加をする、こういうことになっておるのでございますが、九億円何がしで果して不正常授業が完全に解消できるものかどうか、私どもはその御説明ではちょっと納得できないものがあるのですが、もう一度重ねて詳しく説明していただきたい。
  40. 北岡健二

    ○北岡政府委員 御指摘の通り三十三年をピークとしまして児童数が増加いたして参ります。その増加の分は、先ほど申し上げました三千教室というものとは一応関係なしに——これは三千教室は二十九年の五月一日調査の現在における不正常授業のうち三十年度において解消すべきものとした数であります。先ほど三年間で九万二千坪の建設計画と申し上げましたのは、この数字は三十年度以降において御指摘のような人口増がありまして、それによって建築が追っつかなければ二部授業の起る可能性があるから、それを推定したものがそこに含まれてくるわけでございます。それについては五月一日現在で三十年度の不正常授業の数というものを今調べておりまして、集計中でございます。それでこれができ上りましたら、三十年度が前年度から引き継いだもの以外にどれだけの不正常授業が増加してくるか。そこでそれ以後の分につきましてはそういうような、本年これから行いますものとにらみ合せて、ある程度の推計をいたすほかはないかと思います。もちろん九万何千坪という計算をいたしております中には、そうやって増加いたします不正常授業等の解消に対しては、この法律による補助金以外に、他の転用小学校なり、戦災復旧なり、あるいは単独起債なりによる解消の分も大体同じような程度に見込んでおるわけでございます。
  41. 野原覺

    ○野原委員 その場合に児童、生徒の一人当りの基準坪数というのは〇・七坪、こういう算定の上に立たれておるわけですね。
  42. 北岡健二

    ○北岡政府委員 一応〇・七坪の分にしまして、これに補正をつけて計算はこういうやり方をやっております。
  43. 野原覺

    ○野原委員 その〇・七の点でございますが、これは御承知のように危険校舎改築促進臨時措置法、これは十六国会でございましたか、あるいはまた公立学校施設費国庫負担法、これらの施行令によりますと、児童一人当りの適格坪数は〇・九と出されておるわけであります。この点については実はこれらの法律を私ども審議いたします場合に、文部当局との間に相当熾烈な激論をやって、政令実施の場合には〇・七ではいけない。単に教室と廊下、便所、これらの問題だけが解決できるのであって、その以外は救済できないではないかということで〇・九になっておるのでございますが、不正常授業の解消は〇・七にされておる。明らかに差等をつけていらっしゃるのでございます。一体どういうわけでこのような差別をおつけになられたのか、御説明を願いたい。
  44. 北岡健二

    ○北岡政府委員 ただいまの御指摘の点はもっともな御指摘であると思います。一応考えておりますのは、不正常授業の場合には、全然新たに何にもないところへ建てるという形でなくて、現在とにかく学校として成り立っておるものがあって、それが教室不足から不正常授業が行われておる。従いまして法律の厳格な考え方でいきまして、最低限に不正常授業の解消のために必要なのは、学校自体として成立するための基本的な基礎坪数というよりも、基本的な学校の体形は一応成り立っておる上にその不正常授業を解消すべき必要坪数というふうに考えられるのではないか、こういうふうな観点から、できればという考えはもちろんあったのでございますが、右のような事情から補正付〇・七坪で一応目的は達し得るのではないか、かように考えておる次第でございます。
  45. 野原覺

    ○野原委員 なるほどそういう説明でも説明できないこともないようではございますが、実は生徒がふえれば、特別教室、あるいは宿直室、保健室、校長室というようなものも考えてやるのが妥当ではないか。すでにそういうものはあるのだから、教室だけ、あるいは便所だけのことを考えたらよいのだというのでなしに、これは御承知のように児童一人が〇・七であったとすれば、それに児童数をかけて、そうして現在の保有坪数を差し引いた残りが国の補助の対象になる坪数、こういうことになるといたしますならば、これは当然生徒がふえたら一切のものに、とにかく何百分の一か何千分の一かの施設がすべての施設に増加されるべきが妥当ではないかと思う。私はただいまの説明でも一応わかるようではございますけれども、やはり不合理なものがあると思うのです。しかしながらこの点はわれわれ各党相談をいたしまして、なおまた文部当局の見解も重ねてお伺いすることによって、私は第五条の児童一人当りの坪数の〇・七というのを少くとも従来通り〇・九と是正すべきだ、このように考えておるのでございますが、文部大臣としては一人当りの基準坪数が差別を設けられておる点について再考の余地はございませんかどうか。〇・九という従来通りの坪数にすべきではないかと思うのでございますが、どのようにお考えでございますか。
  46. 松村謙三

    松村国務大臣 今の御質問に対しましては、予算等の関係もございますので、きっぱりとこれを変改する余地ありと申し上げるわけには参りません。よく研究をいたします。
  47. 野原覺

    ○野原委員 私は他にも質問がございますので、この不正常授業の問題はまた後日に譲りたいと思いますが、もう一点必要な関連がありますから、補助率についてお尋ねいたします。国が補助金を出す場合の補助率は政令で規定するというようにあるわけでございますが、この条文を見てみますと、予算の範囲内で三分の一以内となっておる。今日まで幾ら補助金を出されてきておるのか、本年度の予算は三分の一ということになっておるのかどうか、お尋ねします。
  48. 北岡健二

    ○北岡政府委員 従来予算の積算の方は補助率三分の一でございます。それで政令においても補助率は三分の一ときめる考えでございます。法律ではこういう場合にいつも三分の一以内と書いてございますが、政令では三分の一ときめる考えでございます。
  49. 野原覺

    ○野原委員 戦災復旧の補助率は二分の一になっておりますね。そうなりますと、戦災復旧をも含めて不正常授業の解消ということが考えられる建前から見ても、この戦災復旧同様に引き上げてはどうかと思うのですが、その辺に対する御所見を伺いたい。
  50. 北岡健二

    ○北岡政府委員 お答えいたします。戦災復旧はなるほど二分の一でございます。ただこの不正常授業の解消につきまして三分の一の補助率といたしましたのは、戦災復旧の場合における国の補助をすべき根拠と申しますか、これと不正常授業の場合における国の補助をすべき根拠とに、多少ニュアンスの差があるのではないかというところから考えまして、もちろんその不正常授業が生じましたについては、危険校舎の場合なんかと同じように、戦時中において資材統制であるとか、あるいは戦後の物資関係であるとか、そういうようなものがあるわけでございます。そういうような点から考えて、この補助に対する国の態度、地方公共団体が本来建物を建ててやっていくのに対して、それを促進するための国の補助を、そういうような国の不正常授業を生じた原因に対する一つの関係から考えていきますと、戦災の場合と不正常の場合とでは差ができるということに考えまして、それで三分の一というふうにいたしたわけでございます。
  51. 野原覺

    ○野原委員 その不正常授業という言葉の定義になりますが、これは第二条に不正常授業とは「公立の小学校における校舎の不足による二部授業その他の不正常な授業で、政令で定めるものをいう。」もちろん詳しいことは政令でおきめになるのでございましょうが、国の予算の面を見ても、戦災復旧という予算はないのですね。これは不正常授業という項目の中に戦災復旧も、それから児童の急増によるものも両方とも包括されておるのじゃないか、この辺はどうなっておりますか。これは戦災復旧と全然別の建前ですか。
  52. 北岡健二

    ○北岡政府委員 小中学校の校舎の整備の目がございまして、その目の中に、ただいまの戦災小学校も不正常授業も並列して入ってくるわけでございます。従いまして仰せになりますような戦災の方も不正常の中でというふうな関係にはならないわけでございます。
  53. 野原覺

    ○野原委員 どうもその辺がこの条文の解釈において混乱を来たすのです。私は校舎が不足するために正常でない授業が不正常授業だと考えますならば、戦災のために校舎が焼けてないというのは、これは明らかに校舎不足じゃないか。だからわれわれは不正常授業という場合には、戦災復旧の場合も包含しておる。児童の急激なる増加、戦災復旧、この二つが不正常授業の大きな内容になってこなければならぬ、こういうように思うんですが、戦災復旧と不正常授業とは全然別である、こういうことに解釈をいたしますと、不正常授業とは人口の自然増加あるいは社会増加というような児童の急激なる増加に伴うものだけが不正常授業というような解釈をされておるのかどうか。どうなんですか。
  54. 北岡健二

    ○北岡政府委員 予算の上の扱いにおきましては先ほど申し上げましたように区別をつけております。  それから今お話しになりましたように、不正常授業の状態をとらえまして、ここに規定しますように校舎の不足によって二部授業その他の不正常な授業が行われている場合に、それはまさに不正常授業でありますが、仰せのように二部授業等の原因が、戦災の場合と人口増の場合、あるいはどちらでもないが、建物が建ててなかった、あるいは途中で災害でこわれたというふうな場合に、幾つも考えられるわけでございます。それに対しまして、不正常授業であることには相違ないのでありますが、この法律で不正常授業として扱う場合にしましても、他の方法によってその不正常授業が解消できるのであれば、その方法によって解消して差しつかえないのではないか、この法律が不正常授業——ただいま申し上げました戦災復旧なり災害復旧なり、そういう方法によって解消しかねる事態がありまして、その解消しかねる事態に対してさらにそれを促進するために、別にその解消の方法として従来予算措置で不正常授業解消のための補助をつけておりましたのを法文化する、こういう考えでございます。
  55. 野原覺

    ○野原委員 次に私は文部大臣並びに大学局長にお尋ねをいたしたいと思います。御承知かと思いますが、大阪の学芸大学におきましては、とんでもない奇妙な事件が起っておるのであります。これはもう文部当局も御承知のように、大阪の学芸大学は本校が天王寺にございまして、分校が池田と平野にあります。かっての池田師範学校、大阪の女子師範学校というのが分校になっておるのでございますが、池田分校主事の任免問題をめぐって、学生側が休校反対だというのに、学校当局は突如本月の六日から四日間の休校指令を出しておるのであります。生徒の方は、先生勉強させて下さい、私どもは休むのは反対です、こう言うのに、学校では池田分校主事の問題が学長の不手ぎわか教授会の不手ぎわかどうかは存じませんが、強制的に学校を休む、こういう普通の常識から考えますと逆の状態を現出しておるのでありますが、一体どういうわけでこういうことが起ってきたのか、池田分校主事の問題とは一体どういう問題なのか、これは大学局長から簡単に一つその真相を御説明願いたいと思うわけであります。
  56. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいまのお話の点でございますが、去る六月二十六日付をもちまして大阪学芸大学の池田分校主事の更迭の人事発令があったわけであります。その内容といたしましては、従来の山本という分校主事がやめまして、そのかわりに駒田という分校主事を任命せられたわけであります。これにつきましては、それより以前から山本主事が更迭するという問題につきましては、大学の一部におきましていろいろ問題がありました。やめるという話まで実現したわけでありまするが、この発令の後におきまして池田分校を中心といたしまして、新しい分校主事を迎えたくないという動きがございました。それについて学長は教授会を開いて事態解決のため池田側の協力を求めたわけでありまするけれども、教授会においては話がまとまらないで散会いたしたわけであります。こういう問題の間におきまして、一部学生あるいはPTAあるいはその他校友等いろいろこの間意見を述べる方がありまして、大学側といたしましては休校の事由を明らかにいたしておりませんけれども、三、四日休校するという措置をとられた模様でありますが、この問題につきましては、その後発令になりました駒田主事が健康上の理由ということで辞任申し出をせられておるということも聞いておりますし、大学当局が責任を持って事態の収拾をはかっておられるようでありますから、文部省といたしましては事態の成り行きを注意しておる現状でございます。
  57. 野原覺

    ○野原委員 私は少くとも分校の主事を任命いたします場合には、分校におる教授あるいは助教授その他教師諸君等の分校側の意見を尊重しなければならないと思うのでございますが、私池田分校における学生大会の決議を聞いてみますと、全く分校側の意見というものが無視されている、こういうようなことでございますが、その辺はどのようになっておりますか。
  58. 松村謙三

    松村国務大臣 私本会議へ呼ばれておりますので長くおることはできませんのでお答えを申し上げますが、実はこの申請につきましてはよほど考慮をいたしたのであります。従来のいきさつも大学局の方ではわかっておりましたので、これを認可するかどうかということについてはよほど慎重に考えました。しかし大学の自治の上からいっても、これを全然とめておくというわけにも参りませんので、大丈夫かという念を学長に押し、責任を持ってこれで大丈夫やっていきますからということでありましたので、だいぶ手数を重ねてようやく先般承認をいたしました。これは当局としましてはできるだけ注意はいたしたつもりでありますけれども、自治を尊重するという意味からいって、これ以上のことはできませんで、学長に念を押して許したようなわけでございます。しかるにこのような事態が起きましたのは非常に遺憾に思います。できるだけ善後の措置をよくやるように学長等へも話すつもりでおりますから、さよう御了承をお願いいたしたいと思います。
  59. 竹尾弌

    ○竹尾委員 関連して。この問題につきましては大臣を初め御当局よく御承知だと思うんです。そこでこの駒田主事の問題はいずれ解決いたしましょう。しかしそのあとに尾を引くものが問題なのであって、これは大臣もうお耳に入っておると思いますが、例の池田分校の四年コースヘの引き上げの問題であります。これは池田分校だけでなく、九州の福岡にもありますし、それから北海道に四校ばかりあります。私の一番心配しているのは宮城県であります。宮城県には学芸大学がないのであります。東北学大に吸収されてしまいまして、ほとんど教員の供給源を断たれておる、こういう現状なんでして、大臣は大学を設置されるということには非常に御反対のようでございますが、学芸大学だけは何とかもう少しふやすか、四年コースを増すか、こういうことをしないとこれは収拾ができないと私は思うのですが、その点の御見解と、それから、近く大阪にいらっしゃるというふうなことも仄聞しておりますが、ぜひあちらにいらっしゃいましたら、その意味で池田分校の問題を解決していただきたいと思うのです。これが解決できないというと、駒田主事の問題もなかなか——あの事態が一応解決してもなかなか抜本的な解決というわけにはいかないと思いますので、お願いやらお尋ねやらをいたしまして、これで私は打ち切ります。
  60. 松村謙三

    松村国務大臣 今そういう御事情も承わります。ただ今日文教多端の折でありまして、にわかに全国のそういうことを一時に解決するということは非常に困難な事情がございますから、今日までこのままにいたしておりますが、よく研究をいたします。
  61. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 野原君の質問に対して稻田大学学術局長。
  62. 稻田清助

    ○稻田政府委員 御質問に対しましてはただいま大臣結論を申し述べられましたので、私さらにつけ加えることはないように考えます。
  63. 野原覺

    ○野原委員 私の質問したのは、分校主事をきめるという場合には分校側の意見を尊重しなければならない、この点について一体どう考えておられるかということを質問したのです。これは池田の学生大会の決議を見ますと、主事選考の規定を改正してもらいたい、こういうことで大阪学芸大学の北川学長は大会の決議に沿うようにいたしますという答弁をしたような新聞報道も読んだのであります。この点について、一体大阪の場合はどうなっておるのか、それから大学学術局長としてはどういう所見を持っておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  64. 稻田清助

    ○稻田政府委員 お尋ねの分校主事選考の内規でありまするが、大阪学芸大学の場合におきましては分校主事は学長が選考するということになっております。そうしてその選考については教授会に諮るという規定があるわけであります。ただいま御指摘になりましたように当該分校の意向を聞くという点がこの内規にございませんので、おそらく分校側としては将来こういう場合には当該分校の意見を聞くというふうにするか、あるいはその分校の教官のうちから選ぶとするか、何らかこれに対する改正に求めておるものと考えられるのでございますけれども、私としては今具体的にその要望の点をつかんでいないのであります。この分校主事選考内規としては、この程度でもあながち不当ではないと思うのでありますけれども、実際問題といたしまして分校の主事でございまするから、その人が任命せられて、分校の運営に支障のないということを十分予見して選考するのが、教授会としてもそのところであり、学長としても当然配慮すべき問題だと考えております。まあ運用のよろしきを得れば現在の分校主事選考内規でも、私としては別段支障はないように考えております。
  65. 野原覺

    ○野原委員 これで終りますが、私どもは昨年の二十一国会でございましたか、その際にも申し上げたように、特に大阪学芸大学の問題、池田分校独立の問題は大阪学芸大学の本校においてすら全く同調いたしておりまするし、何らの問題もないから、池田分校の四年制昇格を要求して参ったのであります。これはこの国会に出されました国立学校設置法の一部を改正する法律案の場合にも大学学術局長に要望してきたのですが、どういうものか大学学術局長は努力をすることをかつて私どもに非公式ではございましたが、お約束いたしておりながら、設置法の一部改正になりますとがんとしてこれを受け付けられない。そういうことのためにとはあえて申し上げませんけれども、私が本委員会に満場一致要望しておったことがあの際実現されておったならば、今回のような学芸大学騒動というものは起らなかった、この点について局長としては一体どういう御所見を持っておられますか。あなたは学校の歴史、伝統及びその都道府県におけるところの事情等に問題がなければ、昇格すべきではないかという私どもの要望を、今日もなお御否定なさるお考えでございますかどうか。大臣所見は伺っておりますけれども、どうも頑強なる方は稻田局長であるやに漏れ聞いておりますので、一つ明確なる御答弁がいただきたいのであります。
  66. 稻田清助

    ○稻田政府委員 この点につきましては前回もお答え申し上げましたと思うのでありますけれども、もちろん旧文部委員会で御決定になりました御決議の趣旨は、その際当局からお答え申し上げましたように、私どもといたしましては尊重して研究して参りたい、この点につきましてはいささかも変りないわけでございます。ただその後いろいろな観点から研究いたしましたところ、やはり御決議に関連して現われて参りました具体的な問題が、ただいま竹尾委員からもお話がありましたように、北は北海道から、南は九州までかなり多くの案件が関連して出てきて参っておるわけであります。われわれ事務当局といたしましてはやはりその全貌を見通しまして、財政計画、設置計画を立てなければなりません。ところがこれを検討いたしましたところ、設備費、施設費あるいは計上費あるいは人員の増等相当巨額に達したわけであります。その点は今年の非常に引き締めました予算に計上しがたく考えましたし、またただいまのお言葉では解決し得るところからという御意見があったのでありますけれども、当時私ども考えましたのは、やはりあの決議の現われました状態等から見まして、一連の関係はそれ自体として考えなければならぬと考えたわけであります。そのうちには地元の対立、意見の相違等でなお見通しのつかない部分もございましたし、またこれは学校の人事配置等の問題がございますので、十分関係学校の当局と腹をあわせてやらなければならぬ、そういう点につきましてもなおまだ解決がつかぬ問題等がございまして、御審議願いました三十年度予算にもあるいは国立学校設置法にも計上し得なかったのでありまして、この辺につきましては一つ御了承いただきたいと存じております。
  67. 野原覺

    ○野原委員 最後にしようと思いましたが、大事な点が御答弁から抜けておりますのでもう一度お伺いします。解決し得る府県の解決し得る部分においては早急に文部当局として大臣の御答弁があったように再検討するということでございますから、当委員会に提案する用意があるのかどうか。これはまた一年も二年もほったらかしにされては私ども決議を上げた委員としてもはなはだ権威に関する問題でありますからお伺いいたしますが、あなたの方では早急に解決できる面については御提案の意思があるかどうか、この点を一つ明確にお聞かせいただきたい。
  68. 稻田清助

    ○稻田政府委員 私どもの了解いたしまするあるいはまた考えまするところは、あの御決議の御趣旨は、全国の同じような問題を同様に取り上げて解決しろという御趣旨のように承わっておりませんで、やはり全体の見通しを立てまして、個々部分的の問題を解決いたしますのがわれわれとしてなすべきことだと考えておるわけでございます。
  69. 坂田道太

    坂田委員 今大学学術局長のお話を聞いて、大学学術局長のお話はよくわかるのですけれども、先ほど竹尾君からお話申しましたように、今度の紛争の根本的な問題は、やはりこの四年コースにするというところにあるのではないかと私は思うのですが、それを局長が全体の見通しがつかなければやれないのだというような考え方を変えない限り、こういう問題は解決しないだろうと私は思うのです。だからやはり福岡であるとか、あるいは名古屋の問題であるとか、北海道とか、あるいは宮城県の問題であるとか、それぞれ個々の問題もありますし、またそれに共通した問題も全体としてあると思うのです。しかしやはり一つのところにおいてこれをやるならば事態が解決するというところから解決をしていくということが、大学問題をこういう紛争に巻き込ませない重要な点であると私は思いまするし、そういうような点について、やはり文部省なりあるいは大学局長が一歩踏み込まれるということが大切である。それをただ形の上において形式的に答弁されておったのでは、いつまでたってもこういう紛争があちこちに起きてくるのではないかと私は思うのでございます。どうでございますか局長、この際この問題をきっかけにいたしまして、今問題になっておる数カ所の中で、もし一つでも取り上げてやるというような考えがあるかどうかという点を一点、お話をお聞かせいただきたいと思います。
  70. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいまの坂田委員のお話、また先ほどの野原委員のお話、傾聴いたすわけでありまするが、もちろんただいま大臣がお答えになりましたように、御決議全般の問題についてはこの上とも検討いたしたいと大臣も言っておられますから、その検討のうちにおきまして、ただいまお話の問題等も十分研究いたしたいと考えます。
  71. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 永山忠則君。
  72. 永山忠則

    ○永山委員 博物館法の一部を改正する法律案に関して質問をいたしたいと存じます。  学芸員の講習制度を認定制度に改めることによりまして、学芸員の資格は低下しないかということでございます。
  73. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 このたびの博物館法の改正の要旨は、お話がありましたように学芸員の資格につきまして、従来講習によりまして資格を与えておりましたのをやめまして、認定制度にするわけでありますが、それによって学力が低下しないという実はある程度の自信を持ちましてこの改正をいたしたいと考えておる次第であります。それは、昭和二十六年に博物館法が出ました当時、学芸員の暫定資格者が四百七十四名ございまして、その後三年間の講習によりまして二百八十二名が講習を終えました。あと残っておりまする者は暫定資格者百九十二名、大体三分の一程度でございます。この二百八十二名の講習終了者はそれぞれの博物館に帰りまして、そして実際経験を積んで博物館の事業の上で非常に成果をあげております。それがいろいろの意味で他の博物館職員にもいい影響を与えてきておりますし、また地域において博物館のいわゆる研究集会を持って、相互に勉強をいたすというようなことが盛んでございますから、実際的に相当他の職員にいい影響をもたらしておる。また講習によりまして相当に講習録であるとかあるいはテキスト・ブックというようなものが普及をいたしておりまするから、それらのものの便宜によりまして、勉強をしようと思えば十分それだけの機会が与えられるというような事情にございます。認定制度にいたします場合には、もちろん試験検定をいたすわけでありまして、厳重な試験によりまして資格を与えるわけでありますから、勉強の機会は与えられており、また試験を受けた上で認定をとるということになりますれば、学力の低下を来たすというようなことは万ないものという確信を持っております。
  74. 永山忠則

    ○永山委員 大体講習制度から認定制度へ改めるようになった原因は何ですか。大蔵省の予算処置がうまくいかないからというような考え方でございますか、その他の根本理由がありますか。
  75. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 ただいま申しましたように暫定資格者の大部分というものがすでに講習を終えたのでありますが、その他の者は大体いろいろ交通的にも不便な場所にある博物館の職員でありますとか、あるいは博物館の職員も日々非常に忙しい仕事に専念をいたしておりますので、講習のために一カ月なり三カ月なり抜けますと実務上博物館の事業が停止をしてしまうというような事情で、この講習に出るということが非常に困難な者もあるわけであります。そういう意味暫定資格者の大部分、すなわち余裕を持って東京へ来て、あるいはその他のブロック都市へ行って講習を受けられる者はほとんど受けておる。いろいろ諸般の事情によりまして講習を受ける機会に恵まれない、あるいは受けようと思っても受けられないような者だけが一部残っておる関係になっておりますが、それらの者につきましてただいま申し上げましたような勉強の便宜を持っておるのでありまするから、あとは試験制度でもって認定をしても間違いがないというつもりであります。
  76. 永山忠則

    ○永山委員 講習制度的なものではなくても、試験を受ける前にその試験を容易ならしめるために、任意的にも日数を非常に狭めて講習はやるというお考えがございますか。いわゆる制度的でなくして、任意的に本人の希望に応じてやってやる、しかも日数は非常に狭めても試験を受けるための教養手段としてやるというような考えはありませんか。
  77. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 ただいまの御質問のようなことを実は考えておるのでありまして、いわゆる資格付与講習ということでなくして、つまり実務講習というような意味でもって、本年度の予算の中にも金額は十万七千円ぐらいのものでありますが、年に一、二回くらいの実務講習をやりまして、それによって実力を高めるための機会が与えられるようにいたしたいと考えております。
  78. 永山忠則

    ○永山委員 これと関連しまして資格を得ました者のやはり練成といいますか、修養といいますか、こういう人々に対して毎年中央において研修会なりあるいは講習会なり、短かい日数でもいいのですが、おやりになるというようなお考えはございませんか。
  79. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 ただいま申し上げました実務研修のほかに全国の博物館大会というものをやっておりますが、これにはおもな博物館の館長あるいは学芸員が参加をいたしまして、博物館に関する諸般の問題を研究いします。その他博物館関係者が個々にブロック等で寄り合って研究集会を持つということも相当に行われておるようでございます。
  80. 永山忠則

    ○永山委員 この研修会等に、一段の指導をされまして、資格認定を受けました者の自後の練成について一段の御指導ということを要望いたしたいのでございます。  次に、改正法案では第二条で「政令で定めるその他の法人」と規定して、現行規定の日本赤十字社を削除した理由は何であるかということを伺いたい。
  81. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 この改正法で日本赤十字社を削りまして「政令で定めるその他の法人」といたしましたのは、この博物館法制定当時は、日本赤十字社という特殊法人だけが実際上博物館を経営しておりまして、特殊法人としてはそれだけであったのでありますが、今日は実際問題といたしまして、日本放送協会等が放送博物館を設立するという計画も具体的に進んでおるようでございまして、特に赤十字社というものだけをあげておくということが不適当なような事情になってきております。その他、たとえば日本国有鉄道であるとか、あるいは日本専売公社であるとか、あるいは日本電信電話公社であるというようなところでも、具体的には必ずしも計画が進んでおるというわけではありませんが、構想的にそういう計画もあるように聞いておりますので、この機会に特に日本赤十字社ということに限定をいたさないで、政令でもって個々にそれらの特殊法人を特定いたしましてやっていくということが適当であるというふうに考えまして、さような改正を加えた次第であります。
  82. 永山忠則

    ○永山委員 ただいまのところでは、日本赤十字社以外の日本放送協会の特殊法人を考えられておるようでございまして、将来その他の特殊法人も必要に応じて追加するという意味で「政令に定めるその他の法人」になっておるというように拝承するのであります。そこで、その他の国有鉄道等、特殊法人に進んでこういうような博物館設置を指導される、あるいは要望されるというように行政的な処置をさらに希望いたすものでございます。  その次に、博物館に対して国はいかなる助成をいたしておるかという点を一応お尋ねしたい。
  83. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 博物館に対しましては、現在の文部省としての援助施策は、必ずしも非常に厚いとは言えないのでございますが、大体施設に対する補助と設備の補助とがあるのであります。設備に対する補助と申しますのは、つまり博物館に陳列する博物館資料、あるいはその資料を使うためのいろいろの器林、器具というようなものに対しまして、博物館法による規定の資格を持った博物館に対してある程度の補助をいたしておりますが、その金額は大体百八十二万円ばかりでございます。補助しております館数は三十一館くらいでありますから、一館当りの金額は非常に僅少でありますけれども、これによりまして博物館の設備を充実し、ますます機能を充実さしていくということに多小は役立っているというふうに考えております。施設の補助は、公民館、図書館、博物館を通じまして現在八百五十万円ばかりの非常に僅少な金額でありますが、これらの中から、博物館設立の具体的な計画で、当局において適当だと思われるものに対してそれぞれ適当な補助を出すというようにいたしております。
  84. 永山忠則

    ○永山委員 この施設補助の関係が、公民館なりあるいは図書館等を合せて八百五十万円というように承わったのでございますが、このうちで大体どのくらい博物館の方へお回しになるというお考えでございますか。
  85. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 これはその年によって違ってきておりますが、大体各府県において公民館、図書館、博物館のうちいずれか一館ということで府県から申請させまして、最も適切なものに補助するということにいたしております。昭和二十九年度はたしか博物館は一館だけで二十万円だったと思いますが、三十年度の計画としましては、百二十万円くらいをこの博物館の施設補助に考えております。
  86. 永山忠則

    ○永山委員 社会教育全般の問題に関しましては、大臣がお見えになりました際に質疑をいたしたいと存じておりますが、局長にお尋ねいたしておきたいことは、社会教育の予算が非常にしわ寄せを食いまして全く哀れな状態になっておるのでございますが、局長としては、こういった程度の予算で大体いいというようなお考えでございますか。それとも将来に対してはどういうお考えを、博物館を中心にしてでもよろしゅうございますが、お持ちになっておりますか。
  87. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 社会教育のやり方は、社会教育法にありますように、大体民間の事業として発達させるということを建前にいたしまして、必要な助成をするというようなことになっております関係上、全部国でもってすべての設備、施設を社会教育のために整備するというわけにはいかない、従って予算的な関係も他の面と比べまして非常に僅少でありまするが、しかしながら、現在の社会情勢にかんがみまして、社会教育の重要性というものは非常に重くなってきておりますので、松村大臣初め私どもも一生懸命その方面には力を入れまして、昭和三十年度の予算におきましては、昨年度の予算に比べてちょうど倍くらいの金額になってきておるのであります。すなわちその中で、新生活運動並びに青少年団体の活動の促進というような意味の経費を一億二千万円新たに増額をいたしました関係で、相当に昨年度に比べて金額上の躍進を示してきておるのでございますが、これらの経費を十分活用いたしまして、真に今日の時勢に則して最も効果の上る方法でこれを適切に施策の上に移したいと考えておる次第でございます。ただいまの御質問は、今日のこの予算措置でいいと思っておるかというようなお話のようでございましたが、決して現在の段階で満足をいたしておるわけではございません。青年学級の助成あるいは図書館、博物館、公民館等社会教育施設の助成、その他学校開放の事業、あるいは通信教育の事業、一般的に社会教育におきまして力を入れるべき点が非常に広いのでありまして、今後ますます努力を重ねまして、社会教育の成果が上りますように一段の努力をいたしたいと考えております。
  88. 永山忠則

    ○永山委員 大体社会教育は最も重要な地位にあって、ますます必要性を感じてきておるのでございます。新生活運動と社会教育の関係あるいは青少年、婦人等の社会教育問題、教育委員会と地方行政との競合問題等、種々御質問いたしたいことがあるのでございますが、その点は大臣が見えたときに質問をさしていただくことにいたしまして、博物館法に直接関する点だけで質問を終りたいと思います。  修学旅行等の者が東京に参りましたときに、大体漏れなく博物館を見学しておるようでございますが、どういうようになっておりますか。
  89. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 個々に調査をいたしたわけではありませんが、地方の学校等が東京に参りますときには、科学博物館等は必ず見学をして、そして学校教育の補助というような意味でも非常にいい教育機会をこれによって与えられておるように考えております。現在科学博物館はそういう意味社会教育学校教育との両面で相当の成果を上げておるように考えております。
  90. 永山忠則

    ○永山委員 そこでこの見学をやる場合における見学料といいますか、入場料というようなものの関係はどういうようになっておるのか、一般よりはどういうような割引をしておるのか伺いたい。
  91. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 科学博物館の入場料の問題でございますが、現在おとなは三十円、子供十五円でありますが、団体の場合は、中学校以下が十円、高等学校以上が十五円という割合で非常に割引きをして広く公開するというようにしております。
  92. 永山忠則

    ○永山委員 やはりこれは見学を指導するという点におきましても、できれば無料であることを希望するわけでございますが、こういう方面を無料にすれば大体どのくらい予算が要るわけでございますか。次に、今の割引歩合をもう少し下げていく、そうしてこれが見学を指導していくという構想はございませんか。
  93. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 現在博物館の入場料は、法によりましても原則として取らないということを建前にいたしておるのでありますが、実際上館の管理費というような意味で大体全体の五五%の館が入場料を取っておるという形になっております。それでその関係の年の経費でありますが、公立博物館六十九館のうち二十七館が入場料を取っておりまして、その入場料総額が二億九千九百万円、約三億円になっております。その他国立の博物館の入場料を合せますと三億二千六百万円くらいでございますが、もし無料にするということであれば、現在の経営で大体それくらいの金を助成すればこれができるということになるわけでございます。ただいまお話のように、現在の入場料額をさらに引き下げてさらに入りやすいことにするということについても、将来考えて参りたいとは思いますが、現在の団体割引入場料が必ずしも高いというふうにも考えられませんし、また全然無料にいたした場合には、かえって館の整理上おもしろくない現象が起るのじゃないかというような考え方もございますので、そういう点をにらみ合せまして十分将来研究いたしたいと考えております。
  94. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 本日はこれにて散会し、次会は公報をもってお知らせいたします。     午後零時二十七分散会