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1955-06-24 第22回国会 衆議院 文教委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十四日(金曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 並木 芳雄君    理事 坂田 道太君 理事 竹尾  弌君    理事 辻原 弘市君       杉浦 武雄君    野依 秀市君       藤本 捨助君    米田 吉盛君       島上善五郎君    野原  覺君       山崎 始男君    小牧 次生君       平田 ヒデ君    小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松村 謙三君  出席政府委員         文部政務次官  寺本 広作君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (社会教育局         長)      寺中 作雄君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君  委員外出席者         専  門  員 石井  勗君     ————————————— 六月二十三日  委員高村坂彦君辞任につき、その補欠として松  浦周太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員木下哲君及び伊藤郷一君辞任につき、その  補欠として大西正道君及び加藤鐐五郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  博物館法の一部を改正する法律案内閣提出第  八八号)(参議院送付)  日本学校給食会法案内閣提出第九九号)  危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇一号)  公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案(  内閣提出第一〇八号)  昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じ  た旧財団法人私学恩給財団年金特別措置に  関する法律案内閣提出第一〇九号)  学校教育に関する件  社会教育に関する件     —————————————
  2. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 これより会議を開きます。  博物館法の一部を改正する法律案日本学校給食会法案危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団年金特別措置に関する法律案学校教育に関する件、社会教育に関する件を一括議題といたし、前会に引き続き松村文部大臣及び政府委員に質疑を行います。並木芳雄君。
  3. 並木芳雄

    並木委員 給食についての質問でありますが、このたびアメリカから千二百万ドル相当額粉ミルク綿花贈与を受けることになりました。衆議院は先般この条約に承認を与えたのであります。近くこれは実施を見ることになると思いますが、この粉ミルク配給方法それから綿花の用途について着々当局計画を進められておると思いますが、この際具体的にその内容を明らかにしていただきたいと思います。
  4. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先般当院で協定に御承認をいただきましたこの余剰農産物基本協定によりますと、通常輸入の分に合わせまして、農産物現物贈与ということがございます。これは学校児童福祉計画を期待するというためのものでございます。大体千二百万ドルの小麦及び脱脂粉乳、それから三百万ドルの綿花、こういうことに協定がなっておりますので、この千二百万ドルの小麦及び脱脂粉乳の内訳につきましては、文部省といたしましてもいろいろ計画を立ててみたのでございますが、まだ確定的な数量というところまでは行っておりません。しかし学校給食給食計画の上からいたしまして、大体小麦については一万トン程度、それから脱脂粉乳につきましては七千トン程度のものを入れたい。そして小麦につきましては通常輸入の分と合せましてプール計算をするという考えでおります。従って値段通常輸入される分とこの贈与の分と平均的な値段配給されることになろうかと思います。ただ贈与と申しましても御承知通りアメリカ岸渡し無償ということでございまして、従ってアメリカから日本に持って参ります輸送費、それから積みおろしあるいは倉庫の保管その他の経費は、日本側でこれを負担しなければならないことになるわけでありまして、いわゆる学童の口まで全然無償配給されるということではないのでございます。それからミルクの方につきましては、大体年間一万九千トン程度ミルクを、ことしの学校給食計画では予想をいたしております。今回入りますものが大体七千トン程度でありますので、さらに一万二千トンは贈与以外のもので調達しなければならぬということになるわけでございます。従来アメリカから有償で輸入しておりましたのが大体一万トン程度でございまして、この余剰農産物協定の基本的な条件といたしまして、従来の輸入分は減らさないということが一つ条件になっておりますので、従来輸入しておりました一万トン程度のものはこれを継続する、あと残りの二千トン程度脱脂粉乳はできれば国内産脱脂粉乳をこの際学校給食の線に乗せたいというふうに考えておるわけでございます。  それから綿花の方につきましては、贈与される三百万ドルの綿花、これは大体一万五千俵程度だと考えておりますが、これを一部分加工費に回すために処理いたしまして、これで服をこしらえるわけでございます。そうしてそのでき上りました服を文部省が受け取りまして、それを府県教育委員会を通じて学童配給したい、大体かように考えておるのであります。
  5. 並木芳雄

    並木委員 このたび約七千トンに相当する脱脂粉乳輸入されると、内地酪農を圧迫するのではないかという声がありますけれども、従来輸入しておりました一万トンに対して七千トン新たにふえるのか、それとも今までの一万トンの輸入のほかに内地ミルクを七千トンに相当する分をつけ足して児童配給しておったものかどうか。つまりこの七千トンが来ることによって今まで内地から買い上げておったものが減るということであれば、これは多少影響を及ぼしますけれども、その点はいかかでございましょうか。
  6. 小林行雄

    小林(行)政府委員 大体従来は学校給食には国内産脱脂粉乳を全然使用しておらなかったのでございます。これは御承知かと思いますが、国内産脱脂粉乳輸入脱脂粉乳に比べまして、実は値段がかなり高いのでありまして、学校給食父兄負担がこれで非常に高まるということになりますと、学校給食の普及ということから非常に問題になって参りますので、実は学校給食国内産脱脂粉乳を使っておらなかったのでございます。ただ先般この輸入分がとぎれたことがございまして、その際約五百トンの国内産脱脂粉乳を使用いたしたのでございます。先般給食関係脱脂粉乳によって中毒事件を起しましたのが、実はその五百トンなのでございます。今回七千トンを輸入することになりましても、国内産脱脂粉乳の製造あるいは消費等を圧迫するようなことは実はなかろうかと思っております。と申しますのは、大体国内産脱脂粉乳生産量は、年間現在五千五百トンないし六千トンと見込まれておるわけでございまして、このままでありますと、かなり剰余を生ずる計算になるかと思いますが、そのうち二千トンを学校給食の線に乗せていくことになりますれば、学校給食を通じて国内産脱脂粉乳生産には相当寄与し得ると、実は私ども考えておるわけでございます。
  7. 並木芳雄

    並木委員 その点はっきりいたしました。それならば私は学童脱脂粉乳を使わせることによってだんだん食生活の改善に役立っていって牛乳に対する需要がふえてくると思いますから、むしろ内地酪農を奨励することになる端緒をつかんだものということができるでしょう。そこでお伺いしますが、大体どのくらいの数量が一人当り児童年間を通じて渡る予定ですか。そしてその値段はどのくらいに予定しておりますか。
  8. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先ほど申しましたように、脱脂粉乳につきましては一万九千トン程度年間で消費するという計画でございます。大体現在の学校給食基準によりますと、一回が大体一合ということに予定されておりますが、これは給食をやっております学校によりまして給食の態様がいろいろ違っております。週に一回やるところ、四日やるところ、あるいは三日やるところ、それから必ずしも基準に合っていない私的な給食をやっているところ等も非常にございますので、平均大体どれだけというようなことは、ちょっと申し上げられないのでございますが、文部省基準では一ポンド大体二十回で給食するという計算を一応立てております。
  9. 並木芳雄

    並木委員 ごくざっくばらんに知りたいのは、児童一人当り年間を通じて平均幾ら数量が渡る勘定になるか、その場合にその値段幾らくらいですか。平均でそういう計算は出ませんか。具体的にどういう学校に、どういうふうに配給するかということは検討を要する問題と思いますけれども……。
  10. 小林行雄

    小林(行)政府委員 値段の問題は通常輸入分、それから贈与分、それと先ほど申しました国内産脱脂粉乳プール的に計算いたしますので、従って七千トンの贈与分だけの値段が低くなりましても、輸入分あるいは国内産脱脂粉乳を乗せるということから、それほど実は安くはならないと考えられるわけです。大体一ポンド当り十八円程度になるのではなかろうかと思います。
  11. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、一ポンド当りが十八円として、二十回ですから、一回が一円足らずということですね。一年を通じて一人当りがどのくらいになるのですか。
  12. 小林行雄

    小林(行)政府委員 大体一年間に九十円ないし百円ということです。
  13. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、一回が一円、ごく大ざっぱですが、三日に一回くらいの割合で配給になるのですね。なぜ私がそれをお伺いするかというと、国内の酪農振興策と相待って、内地でできる牛乳学童に飲ませるようにしむけていったらどうだろうという声が、このごろ大きく出てきております。ですから、今どのくらいに当るのだろう、十分回るものであるならば、内地牛乳を飲ませる余地がないじゃないか、しかし今くらいの程度だったなら、内地酪農振興一環として、処理した衛生牛乳をなまのままを飲ませることも考えられますが、文部省としてもその点何らか考えておられますかどうか、お伺いしておきたい。
  14. 小林行雄

    小林(行)政府委員 栄養的の面から申しますと、脱脂粉乳よりは生乳の方が栄養価も高いわけでございます。従って給食の線に生乳が乗ってくるということは、文部省としても歓迎すべきことだと実は考えております。従来も、この生乳が比較的手軽に入手できるところでは、できるだけ生乳を使うようにという指導も実はいたして参っておりますが、比較的手軽に入手し得る、こういう地帯酪農地帯に実は限られますものですから、なかなか一般にこれが普及するということにはいっていないのでございます。しかし先ほど申しましたような栄養的な面も考えられますので、これは値段とのいろいろな問題になってくると思いますけれども文部省としては、そういう生乳等も将来学校給食の線にできるだけ取り入れていきたいということで、農林省ともいろいろ連絡をしまして、そういう方向に進めたいというふうに考えております。
  15. 並木芳雄

    並木委員 生乳に対しては従来補助金は出されておりませんでしたか。何らかの形での学校給食に対しての値段を安くする政府補助というものについて、この際実績を明らかにしておいていただきたい。
  16. 小林行雄

    小林(行)政府委員 なほ牛乳につきましては、国としては従来補助という制度はございません。本年から国内産脱脂粉乳学校給食の線に乗せるために、農林省の予算にある程度補助金が計上されておるのでございます。
  17. 並木芳雄

    並木委員 給食に従事する作業員でございますけれども、これは各学校とも円滑にかつ公平に行われておりますでしょうか。作業員給料というものは、これはやはり国または都道府県で持つべきものと思いますけれども、この負担はどういうふうになっておりますでしょう。学校によっては三人あるいは四人ぐらい必要なところもあると思います。その点いかがでしょうか。
  18. 小林行雄

    小林(行)政府委員 学校給食関係作業員につきましては、これは学校給食法によりまして、設置者が一応負担するという建前になっております。しかしいろいろ町村等財政状況等もございまして、十分な人数が確保されないというようなことも実際にあろうかと思っております。いろいろ学校等によりましては、一部分PTAの人がお手伝いをしておる、あるいはPTA経費でもって作業員給与をある程度応援しておるというようなこともあるやに聞いております。
  19. 並木芳雄

    並木委員 なかなか苦しい財政のもとで、その負担を全部国で持つべしということも困難な事情があるでしょう。従って私は今度のこの脱脂粉乳配給あるいは綿花からできるところの繊維製品配給等を通じて、それが公平に配給をされるならば安くて一律の値段でもよいのですけれども、地理的の関係その他で必ずしも平均配給ができないかもしれません。そこに配給の分量に差等が出るようなことが起るのではないか、片一方は食べ物でもありますし、そういう場合に一定基準を設けておいて、その基準を越えて配給を受けたところは、一種の恩恵を受けたものとみなして、その分に対する配給値段というものは一割とか二割とか上げてもよいと私は思うのです。そうしないと、その一定基準に達しない配給学校では児童が不平を抱くわけです。それを一種プール計算のような形で配給に二重価格を設けて、これは確かに特典であるというようなところには高い方の値段を適用をして、その金を積み立てておいて、作業員に対する給料補助その他学校給食の円満なる運営に使うための基金としたらどうだろうという一案を持っておりますが、こういう点についてはいかがでしょうか。
  20. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先ほど来御説明申し上げましたように、贈与を受けましてもそれ以外の輸入分、それから学校給食計画としましては、国内産脱脂粉乳等の三つのものをプール計算いたしまして、それを大体全国一律の値段配給するという計画でございます。従って、ある地方には贈与分が非常に多く行き、ある地方にはほとんど行かないというようなことは、私どもは実は想像はしておらないのであります。値段は一率の値段でございまして、二重価格というようなことは現在考えておりませんので、学校給食のための基金ということも一つのお考えかと思いますが、私どもとしては現在そういうことは考えておりません。
  21. 並木芳雄

    並木委員 それでは私の希望になりますが、要するに学校によって、PTAの方まで勤労奉仕をしなければならないというところと、また地方財政の豊かなとえろでは、その地方自治体の費用をもって作業員を雇ってできるというようなことがあると、やはりこれは不公平になりますから、将来の問題として、国としても何とかして作業員は公平にかつ潤沢に——これも教育一環でありますから、りっぱな作業員が配置されるように心がけていただきたいと思うのであります。この点について政務次官から御答弁願いたい。
  22. 寺本廣作

    寺本政府委員 学校給食を強力に推進するために、炊事を担当される人々の人件費について、非常に思いやりのある御質問でございました。この点につきましては、財源措置も必要なことでございますので、これからの問題として十分研究させていただきたい、かように考えております。
  23. 野原覺

    野原委員 関連して……。ただいま並木委員の御質問になりました学校給食に関する作業員でございますが、私聞き漏らした点があればまことに恐縮ですけれども、重ねて御答弁いただきたいと思いますのは、学校給食に関する作業員は、身分は一体どこにあるのか、これは設置義務者にあるのかどうか。そしてそれは法的に一体どのように規定されておるのか。学校給食作業員は今日の法制ではどのように規定されておるのか。その点についてお尋ねいたします。
  24. 小林行雄

    小林(行)政府委員 正規市町村経費で持たれておりますところの学校職員一部分でございます。学校で、たとえば用人と申しますが、小使さんというようなものもいろいろございますが、そういう職員と同様の扱いを受けることになっております。
  25. 野原覺

    野原委員 法的に規定されておるところの学校職員一部分である、こういうことになりますと、給与責任者は当然市町村立学校設置者にある、このように考えて差しつかえございませんか。
  26. 小林行雄

    小林(行)政府委員 お尋ね通り設置者でございます。
  27. 野原覺

    野原委員 そうなりますと、はなはだ問題があるのであります。現実に各学校給食作業員を雇っておりますけれども、その給与設置者から出ていない。設置者から出されないて、PTAがその給与を、三千円、四千円というきわめて少額のものを出しておるのでございますが、この点について一体どのような見解文部当局はお持ちになられますか、お尋ねいたします。
  28. 小林行雄

    小林(行)政府委員 ただいま御指摘のように、市町村財政によってはなかなか十分な人数作業員というものが置かれないというのが実情でございます。文部省としては、給食重要性から考えまして、できれば必要最小限度作業員だけは、それぞれ市町村で置いてもらいたい気持もあるわけでございますが、地方財政等からいたしまして、どうしてもできないものはやむを得ないことではあると思っております。ただ理想としては、やはりできるだけ市町村正規の線で設置してもらいたいというふうに考えておる次第であります。
  29. 野原覺

    野原委員 そうしますと、文部当局としては、給食作業員が、設置義務者から出されていないということを今日までお認めになってこられたのでございますか、お尋ねします。
  30. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先ほど私が申しましたように、中にはPTA等作業員給与一部分負担しておるというようなものもあるやに承わっております。そういうことは、現実あることと私どもも想像いたしております。
  31. 野原覺

    野原委員 私はその点はなはだ不満であります。管理局長の答弁にはなはだ不満です。法的には学校職員と規定されておる者が、PTA等一部分負担されておるやに思うというように、そういうふうにあなたがお思いであるならば、なぜこれを調査してこれに対する救済の措置をすみやかにとらないのか。また、今日給食作業員は、御承知かと思いますが、朝の出勤はほとんど教職員と同じ時刻に出勤をするのであります。そうして二千名から三千名という非常に大きな小学校におきましても、十人程度作業員でそれだけの給食を一切まかなっており、その労務の負担は実に深刻なものがあるのであります。しかしながら食っていけないものでございまするから、PTAから雇われて、二千円、三千円というような非常に低い給与で、健康保険の施設も何も受けない。そういう状態に置かれて今日の学校給食運営されているということは、はなはだ不満にたえない。そこでお尋ねをいたしますが、文部省は今日まで、市町村に対して、学校給食作業員について、何らか考えてやれという御通牒を出されたことが、かつてあったかなかったか、お尋ねいたします。
  32. 小林行雄

    小林(行)政府委員 これは御承知通り、実は従来は、学校給食に従事する職員につきましては、実施学校ごとに非常にばらばらであったのでございますが、昨年学校給食法ができまして、初めて法的な基礎もできて、その後次第にだんだん作業員については充実してきているのが実情だと思います。文部省といたしましては、この学校給食法ができました以後、各府県学校給食主管課長会議等でも、学校給食作業員については、できるだけ充実してもらいたいということを機会あるごとにいろいろと指示をいたしております。
  33. 野原覺

    野原委員 その指示は文書で出されておりますか。
  34. 小林行雄

    小林(行)政府委員 口頭指示でございます。口頭会議のときに指示をいたしておるのであります。
  35. 野原覺

    野原委員 口頭指示では私は了解できないのであります。口頭指示ではその周知徹底ははなはだいかがなものかと私は考えます。今日法的に給食作業員学校職員の一部であるし、学校給食というものが、教育的に見ても、子供健康管理の上から見ても非常に重要であり、しかも莫大な金を国は学校給食に出しておる。こういう重要な面を今日担当して参るときにおいて、学校給食作業員法通り身分給与についても保障してやる措置をとるべきであると思いまするが、この点について政務次官より、文部当局を代表した責任者としての御見解を私は承わりたいのであります。
  36. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先ほどの御説明を補足して申し上げますが、これは、学校給食主管課長会議等のあるごとに実は指示もいたしておりますし、昨年の九月には、学校給食実施に関する基本的な通牒を出したことがございますが、その中にも、学校給食運営のための組織をできるだけ確立してもらいたい、この作業員については、在学の児童数に適応するような員数の調理等従事職員をできるだけ置くように努力してもらいたいということを、はっきりと書面でも通牒を出しております。
  37. 寺本廣作

    寺本政府委員 学校給食に必要な従事員費用負担の問題でございますが、先ほど来局長が申し上げております通り市町村負担にするように、会議の都度指示をいたしておるということでございます。ただ学校給食法ができましてまだ一年でございます。また沿革的に申しましても、学校給食従事員につきましてはPTAの者が勤労奉仕をするとか、PTAが一部の費用負担する、町村が全部を出しているような例もあるし、また私に、失業対策事業市町村が雇っている人を学校給食炊事婦に向けているというような実例もあるように聞いております。かように沿革的に見まして、いろいろの方法でとにかく学校給食が進められているのが、今の実情だろうと考えます。それでこれを将来制度化していくというような考え方から、この職員費用市町村負担とするということが法律できめられたようなわけでございますので、この法律趣旨を生かすようにこれから工夫し、努力して参りたい、かように考えております。
  38. 野原覺

    野原委員 はなはだ大事ですから、私がもう一度具体的に承わっておきたいと思いますことは、単に給与だけの問題ではないのです。たとえば健康保険の問題でもあると思うのです。それから退職後のいわゆる退職金の問題もあると思うのです。法的に学校職員ということであり、しかもその任務が非常に重要な面を占めている。単に失業対策として雇われたような者では、私はたくさんの子供の命を預かるこの重要な給食作業というものはできないと思う。そういう点についても、たとえば採用するについても、その資質、水準というものを相当高く見て採用をするということになってこなければ、これはうそでございますから、そうなればなるほど、そういう点があるから学校職員ということにしたと私ども考えますので、身分給与健康保険退職金一切の面についてすみやかに法的な保障ができ得る措置を、文部当局としてとっていただきたい、このことを私は要望いたしておきます。この点について重ねて政務次官の御所信を承わっておきたいと思うのであります。
  39. 寺本廣作

    寺本政府委員 ごもっともな御意見でございます。十分御趣旨に沿うような具体的な方法を見出すように努力いたします。
  40. 並木芳雄

    並木委員 私質問しようと思ったことをたまたま今野原委員が言ってくれたので非常に心強く思いました。従ってその点は省略いたします。確かに給食に従事する作業員身分というものを考えませんと、これは将来事故が起ったときに、だれが責任を持つか、なかなか大へんな問題が起ると思うのです。たとえば食中毒を起した場合、そのときの責任のあり方なんということも、この際明らかにしておく必要があると思います。先般私の方の近くでワクチンの注射で事故が起りまして高熱を出した場合でも、厚生省と東京都でどっちに責任があるかということでずいぶんもめました。まだあれは解決がつかないのだそうです。こういうことは決していいことではありませんから、予測したくないのでありますけれども、万一今後給食の過程において、児童が集団中毒を起したような場合に、終局の責任をどこでとるか。具体的にだれが悪かったとか、どこに欠陥があったとかいうことはすぐわかりますけれども、どこに責任があるかわからないという水かけ論で終る場合のまま起りやすいと思いますので、その場合最終に責任をとるところはどこか、これをきめておいていただきたいと思います。被害を受けた方では、給食があったからこういう中毒をこうむったのだ、給食がなければこういう中毒はこうむらなかったのだ、どこでもかまわないからこの損害を賠償してくれ、こういう気持が起るのはもっともだと思うのです。そのときに、いつでも手っとり早く何らかの見舞をし、被害の賠償をする制度を作っておかないと、これは全国に及ぼす影響が大きいと思うのです。ですからその対策の一つとして児童災害保険というようなものも考えられるのじゃないか。これは野原委員や辻原委員も前から強く要望しておる一つでございますが、あらゆる災害に備えて児童災害保険というようなものも考えられるのじゃないかと思いますが、最終の責任はどこにあるかということと、その対策はどうするかということを、この際明示していただきたいと思います。
  41. 小林行雄

    小林(行)政府委員 御承知のように学校給食と申しまして、パンあるいはミルク、それからそれ以外の副食というようなものがまざり合ったものであるわけでございまして、従ってそのいずれかで中毒が起るといったような場合に、その責任がどこにあるかということは、実は学校給食実施の主体がどこにあるかということに法的にはなって参ると思います。材料を使いますものは、副食等は、実はそれぞれの学校が自主的にきめておりますし、それから給食そのものが学校教育教育計画一環として行われておりまして、学校設置者の目的に大体合せてやっていくということになって参りますので、法的に申しますれば、学校給食の最終的な実施主体ということになりますと、学校給食実施主体は学校設置者ではなかろうというふうに一応考えております。もちろん文部省としましては、ただいま申しましたようなことによって全然責任がないのだというふうには申し上げるつもりではないのでございまして、できるだけそういった中毒等の起らないように、栄養的な面、衛生的な面につきましても、できるだけこまかい指導はしていくつもりでございます。なお将来児童災害補償制度というようなものが考えられる際には、そういった学校給食による児童の災害補償というような面についても十分研究して参りたい、かように考えております。
  42. 並木芳雄

    並木委員 次官にお尋ねしておきますが、今のような意味において児童災害保険というものをすみかに立案していただきたいと思いますが、その御意思ありやいなや明らかにしていただきたいと思います。
  43. 寺本廣作

    寺本政府委員 学校給食から事故が起った場合の責任を明確にし、あわせてそれの補償方法を講じておくようにという御質問でございまして、その責任の所在については、ただいま管理局長から一応お答え申し上げたところでございます。ただ学校給食から事故が起った場合の責任といってもいろいろあると思います。行政上の責任もあり、民事上の賠償責任もございますし、いろいろの責任があるだろうと思います。行政上の責任事故が起った場合の原因いかんによる——パンが醗酵して腐敗しておったというような場合とか、ミルクに先日の国内産の粉乳を配給した場合のような事故が起ったというような場合、それから副食物に原因して事故が起ったような場合、ないしは炊事婦の健康上の問題から事故が起った、保菌者であったというような場合とか、いろいろなことが考えられます。その場合に行政上の責任がどこにあるかということは、やはりその発生した原因のいかんによって変ってくるだろうと思います。お尋ね趣旨の半分は、民事上の補償賠償をどうするかという点であろうと思いますが、学校給食から起った事故が故意、過失によるような原因から起ったものであれば、当然それぞれの場合に応じて賠償すべきものだと考えます。この問題は、先日紫雲丸事件が起りましたときの補償について、国家補償の方法考えろということでございましたので、私どもも何らかの方法はないものかと思って目下鋭意研究中でございます。いろいろの方法考えられるのでございます。設置者学校の管理をし、学校給食の管理をしておるので、一応設置者の民事上の責任が、黙っておれば当然問われる場合が多いと思いますが、かような場合に設置者が相互保険のような格好で、一つの組合を作って掛金をかけて保険をするというようなことも考えられますし、また設置者のそうした相互保険に対して国から何らかの援助をするというような方法、それから修学旅行のようなものになりますと、これは学校費用の積み立てと合せて、学童自体の相互保険のような方法考えられるのではないか、いろいろの方法考えられますが、まだ学校の管理権の問題やら、責任の所在の問題、他の社会保障との関連、そういうものを研究中でございまして、結論に達しておりません。何らかの方法はないかということで鋭意努力中でございます。
  44. 並木芳雄

    並木委員 よろしゅうございます。それじゃそれは検討を急いで、結論を早く出していただきたいと思います。  それからもう一点だけこの給食についての質問でございますが、牛乳類は味はつけて配給する予定ですか。つまり甘くしてやるのかどうか。これは小さい問題ですけれども、もし砂糖を使うとなると、なかなかその費用はばかになりません。どういうふうにして配給するのか。もし甘くして配給するのだったらその砂糖の代はどうなるか。こまかいようで案外大きい問題ですから確かめておきたいと思います。
  45. 小林行雄

    小林(行)政府委員 従来も脱脂粉乳配給につきましては、脱脂粉乳そのままを配給しております。砂糖を加えて配給するというようなことはいたしておりません。学校によりましてはこの脱脂粉乳に味をよくするために砂糖を加えてやっておるというようなところもございますけれども、栄養の専門家等に言わせますと、あまり砂糖を加えるというようなことは必ずしもよくないというような結論になっておるようでございます。いずれにいたしましても配給脱脂粉乳そのままでやっていくということになっております。
  46. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、それに味をつける場合には各学校当事者の方が任意に実行するということですか。費用もそこで負担するという建前ですか。
  47. 小林行雄

    小林(行)政府委員 この脱脂粉乳はなまのままで配給しておりますので、調理と申しますか、それは大体学校で自主的にやるということになっております。従って砂糖を加えるというようなことがもしありますれば、それは学校給食費の中でやることになります。
  48. 並木芳雄

    並木委員 それだけはっきりしても、また将来不都合が起ったときには別途に要望いたします。  それでは小林委員から今関連質問があるということですけれども、それが綿花のことであるといいますから、私綿花のことについて一つだけ質問して、あと小林委員に譲りたいと思います。  実は、先ほど局長から綿花を加工して困っておる児童配給をしたいというお話がございましたが、これは私非常に慎重にやる必要があると思います。製品にして、着る物にして配給をいたして、ことにそれが貧困の児童だけにしか行き渡らない数量であるとすると問題です。全部に渡るならいいと思います。学童全部の一種の制服のようになって、着たい人は着るし、着たくなければ着ないというのならばいいのですけれども、着ている人が貧困家庭の児童だけだということになると、着ている者によってそこに差別がつくわけです。ちょっと今机上で御想像になってもわかると思うのです。あああれはうちが困っておるところの子供なんだということが——これはおとなの間にはそんな偏見はございませんけれども、もし児童同士の間で劣等感を与えるようなことがありますならば、これは教育上私は大問題になると思う。その心配はないかどうか。もしありとするならば、私は、対策として加工品にして配給せずに、綿花の切符とかなんとかにして、そうしてその切符を持っていけば、どこの洋品店でも自由に好きなものが買えるというような配給切符、クーポン制度のようなものはいかがでしょうか。こういう一つの腹案を持っておるのでございますが、お尋ねをしてみたいと思います。
  49. 小林行雄

    小林(行)政府委員 現在のところ、大体先ほども御説明申し上げましたように、アメリカ贈与による原綿は製品にして、これは非常に衣料に困窮しておる比較的生活程度の貧しい者から配っていきたいというふうに考えておりますが、もちろん中にはそういったものを希望しない者も出られるというようなことになりますれば、そういうものがいわゆる貧困家庭以外の者にも回っていく計算になると思います。しかしいずれにいたしましても、やはり一番学童の衣料ということに困難をしておるという面は無規できないと思いますので、順位をつけますならば、まず比較的衣料に困難しておる貧困家庭の方に優先順位をつけまして配給したい。もしこのところで必ずしも予想したほどの数量だけの希望がないといたしますならば、それ以外の一般児童にも行き渡ることが考えられると思います。ただ御指摘のように、そういった場合に、これは貧乏人の子供なんだということで、それを着ることによって劣等感を持つということがうかがわれますが、もちろん別に色が変ったものとか、あるいは形の変ったものとか、あるいはこれは贈与でございますといったようなマークのついたものになるわけではございませんで、一般の児童と同じような衣料になる予想でございますので、それをすぐ見て、これは要するに贈与の原綿によって作った服だということがわからないようにできるだけいたしたい。それから一面またこれを与えます場合に、学校で他の児童を前において直ちにそれを与えるというようなことでなしに、できるだけ市町村の役場等に、たとえば父兄を呼んで渡すということで、児童にはできるだけそういったことから起る劣等感というものを与えないような方法を講じたいというふうに考えております。
  50. 並木芳雄

    並木委員 大体何人分を想定しておりますか。
  51. 小林行雄

    小林(行)政府委員 現在私ども計画しておりますのは、これはまだ最終的に話し合いがついたわけではございませんけれども、百十万着程度のものができるのではなかろうかと思います。
  52. 並木芳雄

    並木委員 今なるべく目立たないように、差がつかないようにという配慮でございましたが、ぜひその点は気をつけていただきたいと思います。ですから、私は下着ならかまわないと思うのですが、上へ出てくるものですと、どうしてもこれは目立たないと思っても同じ規格に入ったものが出てくるのですから目立つ。できれば冬の寒いときに毛のものは下へ着られるようにというそういう親心をもって、しかも目立たないように、現品で配給するならば特に御注意をいただきたいと思います。  これは次官にお伺いしますが、昨日ですか松村文部大臣が、今度のアメリカからの無償贈与を受ける児童の福祉の増強のための小麦脱脂粉乳及び綿花は、場合によっては本年限りのものかもしれないという答弁をされておりましたが、私は必ずしもそうじゃないと思うのです。あの農産物協定を審議する過程においては、たしかあれは三年ぐらいいけるのだろうと思ったのですけれども、その点ちょっと誤解を招くといけませんからお尋ねいたしますが、たとい続いても文部当局としては来年度は断わるつもりなのか、続いてやる意思があるのかどうかはっきりしておいていただきたい。
  53. 寺本廣作

    寺本政府委員 昨日文部大臣が参議院の文部委員会でこの問題についてお答えになりましたのは、アメリカの側で大統領が余剰農産物の処分をする権限を与えられている法律は三カ年でございますが、ただいま国会で御審議いただいております農産物に関する日本並びにアメリカ間の協定は一年限りのものでございますので、来年は来年で食糧に関する国内の情勢、国際情勢、そこいらとにらみ合せた上で、受け入れる方が有利だということになれば受け入れるという建前から、ただいま御審議いただいておりますのは一年限りでございますので、そういうつもりでお答えになったものと考えます。
  54. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、文部省としては積極的に来年も再来年も、少くとも三年間は希望するという意思はないのですか、受身の形で、もし将来そういうことになれば受けて立つという形ですか、もっとこれは積極的にでいいからぜひ一つ続いてもう二年、三年間をフルに活用したいという希望はあるのですか、ないのですか。
  55. 寺本廣作

    寺本政府委員 ただいま国会に提出されております余剰農産物に関する協定でごらんの通り学童用に贈与されております余剰農産物は、こちらで有償で買い取りますのと一体の協定になっております。従いまして来年余剰農産物を買わないときめた場合に、学童用の贈与の方だけが来るかどうかという問題もございますので、やはり余剰農産物の購入分とあわせて考慮されるべき問題ではなかろうかと考えます。私どもといたしましては、本年実施いたしました実績によりまして、よければ来年も受け入れたいというように希望いたしております。     —————————————
  56. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 この際お諮りいたします。ただいま農林委員会より当委員会において審査中の日本学校給食会法案について連合審査会開会の申し出がありました。お諮りいたします。衆議院規則第六十条により農林委員会と連合審査会を開くことに決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。なお日時は理事と協議の上決したいと存じますので、委員長に御一任願います。     —————————————
  58. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 関連して小林信一君。
  59. 小林信一

    小林(信)委員 今大体並木委員から質問されたので、私の質問一つは終っているようでございますが、なおこまかいことをお尋ねいたします。一万五千俵の綿花をもらって、加工費はその中から出してまかなうというようなお話があったのでありますが、そういう場合の会計面等については給食会以外のものが監査するというようなことになっているのですか。
  60. 小林行雄

    小林(行)政府委員 原綿をアメリカからもらいまして、これを糸につむいで布に織り、さらに学童服にしていくという面は、文部省としてはいわばなれない仕事でございますので、大体通産省の方に連絡いたしまして、通産省の方の世話で学童服にしていくということを考えております。通産省の方でいろいろそういった方の計算もいたしましたし、通産省の方の業者の団体等ともいろいろ連絡して扱い機関も通産省の方で作る計画になっておりますので、文部省としては検査されて、でき上ったものを各都道府県教育委員会を通じて配給する仕事を引き受けるつもりでおります。
  61. 小林信一

    小林(信)委員 この前の給食問題等では、大豆問題等で非常なスキャンダルがあったわけですが、だからといってこれは文部省では扱いかねるから、農林省あるいは通産省にまかせるというような御答弁ですと非常におもしろくないわけで、やはりそれが文部省という一つの仕事から離れているような問題であっても、具体的に給食というようなものが農林省から出るということは私は不賛成なんです。文部省で貫して取り扱ったときに初めていろいろな目的が達せられると思う。給食法の第二条の第四号に単に食生活の改善ということばかりではなくて、生産と配分並びに消費というふうな食糧問題についても理解を与えるということがあるのですから、それが文部省自体においてなされることに私は意味があると思うのですが、それはそれとしまして、この綿花の問題にしましても、脱脂粉乳の問題にしましても、先ほどのお話を聞いておりますと、日本の業者に何ら圧迫はない、影響はないという御答弁なのです。私はこの洋服は最近の綿製品の低落する状態あるいは中小企業のこれに従事する人たちが倒産するというような事情を考えたときに、必ず圧迫がないとは言われないと思うのです。だから単に洋服として着せてやったら、これをくれる側に非常に敬意を表することになるだろうというような考えばかりでなくて、私は業者に影響のないように持っていかなければならぬと思うのです。それから牛乳等の問題についても、なま牛乳の問題が出ましたが、これも私は今さら申し上げるまでもなく、地方町村等におきましても、酪農家というものが大きな牛乳会社に圧迫されて、せっかくわれわれが作るところの牛乳あるいはヤギの乳というふうなものが、もし学童に使われるならば多少安くてもがまんするということさえ言っているわけなんです。だから日本の在来の業者に圧迫がないというふうな考えでなくて、先ほど申しましたような第二条の第四号に沿った生産と配分あるいは消費というふうな、食糧問題についての理解を高めるというような観点からすれば、もっと今のそういういろいろな事情を勘案して、そうして日本の実態に沿って圧迫のないようにすべきだと思うのです。今並木委員が言われましたが、洋服等も、百十万着と申しますけれども、私は実に厖大なものだと思うのです。これをもらった子供は——そこら辺のことについても私はまだ質問しなければならぬ点もありますが、少くとも三年間は着れると思うのです。今の次官のおっしゃるように今後三年間大体こういうことが、継続するとするならば、学童服というものは——大臣の方はことし一年と言明されたようでありますが、とにかくその点が継続するというようなことがあるとするならば、これは非常に業者に影響するところなんです。だから簡単に洋服というようなことに早く結論をつけていいものかどうか、私はこの点もっと研究して文部省の方でもお答え願いたいと思うのですが、さしあたって私が申したいことは、今局長が色が違うわけでないし、マークがついているわけではないから差しつかえないというような形で御答弁なさったのですが、これは文部省の主義、政策からは非常に逸脱されているわけです。というのは、私たちが今までこの委員会でもって、たとえば教科書の問題で、生活困窮者に対しては教科書等を直接配分すべしというふうなことを申しますと、文部省の方ではあの子供は家庭が貧しいから教科書をもらったというふうなことがほかの子供に知られたり、あるいはその子供自体がそういう考えを持つことは非常にまずいから、生活保護費の方にそういう分の金を回して、そうして生活保護という形から教科書問題を解決するようにはかっておるのだということが、今までの文部省の主義方針なんです。そうすると今の洋服問題というのは非常に違ってくるわけなんですが、その点がどういうふうに文部省では態度をお変えになったのかお伺いいたします。
  62. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 簡単に願います。
  63. 小林行雄

    小林(行)政府委員 いろいろお尋ねの点がございましたが、国内の酪農に非常に大きな影響があるのじゃなかろうかという点でございますが……。
  64. 小林信一

    小林(信)委員 そういうことはあとにして今の問題だけでいいです。委員長がお急ぎですから……。
  65. 小林行雄

    小林(行)政府委員 文部省としましては学童用の綿花、これは実はそう長期にわたるものとは考えておりませんので、たとえば教科書の無償配給というようなことは、ある程度違ったものとして取り扱って差しつかえないのではないかというふうに考えておるのでございます。
  66. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 ちょっとお願いいたしますが、実は大臣が十二時二十分までに参議院へ行かなければならないので、その関係上大臣の質疑を許しますけれども、簡単にお願いいたします。平田ヒデ君。
  67. 平田ヒデ

    ○平田委員 この間二十二日の毎日新聞でございますが、これに新生活運動費のことについて書いてございました。これは二十一日の閣議の決定事項として蚊とハエの撲滅運動のことでございますけれども、この予算八十一億一千万円が計上されたと報じておりまして、そのうち八十一億につきましては、これはもう御承知でいらっしゃいましょうけれども、伝染病予防法によります都道府県衛生費の二十億、汚物清掃費の三十三億、下水清掃費と浚渫費合せて十五億、それから労働省の失対費が十三億、合せて八十一億になっております。そのほかに新生活運動費の中から一千万円加えられて八十一億一千万円という報道でありました。私は新生活運動費の一千万円を加えないでも、汚物清掃費、下水清掃費、浚渫費、失対費、伝染病予防法による都道府県衛生費を合せた八十一億でできるのではないかと思うのでございますけれども、この一千万円をその中に加えられたということについて——この前文部大臣がこの新生活運動費というのは下からの盛り上る力でもって処理していくのだ、私は白紙になってその声を聞いてやるのだということを言っておられたのですけれども、そうするとこの一千万円というのはちょっと私わからないので伺いたいと思います。
  68. 松村謙三

    松村国務大臣 あれは何かの間違いではないかと思います。全然そういう話を厚生大臣からも聞いておりません。ただ閣議のあとか何かに厚生大臣から蚊とハエの退治の大計画をやりたいというような話は承わりましたけれども、その予算等について現実に私の方の管理しております新生活運動費から出そうということは毛頭話もございませず、考えてもおりません。
  69. 平田ヒデ

    ○平田委員 そうするとまだそれは白紙であるということはわかりましたけれども、この新生活運動推進本部というのはまだ設けていらっしゃらないのでございますか。
  70. 松村謙三

    松村国務大臣 設けておりません。予算が通りましたらただちに各党との間の連絡、御相談もいたし、それから着手いたしたいと考えております。
  71. 平田ヒデ

    ○平田委員 それでは安心いたしました。どうかこの前の公約を実行されるように切にお願い申し上げます。
  72. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 大臣が隣の部屋で五分ばかり話があるそうですからお願いします。それでは先ほどの関連質問で、小林信一さん続けてお願いいたします。
  73. 小林信一

    小林(信)委員 当局はお忙しいようですから、簡単に御質問申し上げます。今局長は非常に簡単に御答弁なさったのですが、生活困窮者に対して与えたいものは学校給食なり何なり、たくさんあるわけです。私たちもそれは生活保護費等なんかでなくて、直接学校で支給するようにすればいいと思う。私が申し上げるまでもなく、生活困窮者に与える保護費の中に、この中には教科書の分もあるのだ、洋服の分もあるのだ、あるいは学校のいろいろな教材費の分もあるのだと言ったって、困窮者というものはそれを意識して使うということは絶対にないわけなんです。必ず食う方に回ってしまうわけです。だからそういうふうなものははっきり予算の中から分割して、教科書なら教科書を支給する分として出していきたい、こういう考えを言われておったのですが、制度の上からその方がいいし、また子供たちに劣等感を与えることがあってはいけないというような形で、今まで文部省ではこの問題は直接物は与えないようにしてあるわけです。しかしそれが今回もし支給されるとするならば、われわれの意向のようになるわけですが、今後あらゆる面についてそういう方途がとれるかどうか、もう一度お伺いいたします。
  74. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先ほどお答え申しましたように、これは臨時的な余剰農産物の受け入れということに随伴して起ったものでございます。従って従来の教科書、教材費、あるいは給食費等の生活保護の対象になっておりますそういった面の間接支給というものをこれで改めるということではございません。あくまで臨時的な措置でございますので、今回は直接これを支給してもよいのではないか、ことにただ直接支給します場合に、そういった卑屈感を起させない配慮だけは、先ほど御説明申しましたようないろいろなことで十分とって参りたい、こういうふうに考えております。
  75. 小林信一

    小林(信)委員 それは無償ですか、それとも多少有償ですか。
  76. 小林行雄

    小林(行)政府委員 これは現在まだはっきり確定しておるわけではございませんけれども、一応百十万のものについては無償ということに計画しております。
  77. 小林信一

    小林(信)委員 その次に向うから来るものは、向うの岸壁を離れたあとは一切こちらの方の経費だということですが、これには関税はつきますかつきませんか。
  78. 小林行雄

    小林(行)政府委員 現在のところつかないことになっております。
  79. 小林信一

    小林(信)委員 それが当然の建前だと思うのです。そこで前に戻るようですが、さっき砂糖の問題がちょっと出ておりましたが、この砂糖はミルクにはどうか私知りませんが、パンを作る場合には使ったはずなんです。それについてはかって砂糖が配給制度のときには優先的にこれには配給になり、業者はそれを獲得して全部を使わずにそれをほかの方に流用するということが、だいぶ問題になったことも給食を扱ってきた過去にはあったわけです。そういう点からしましても、砂糖は別に考えないということはないはずなんです。父兄の負担になるかあるいは特別な支出になるかということよりも、砂糖に対しては今後この給食問題を取り扱うのにどういうふうに扱っていかれるか。免税の問題もあるし、あるいはそれを中に入れていろいろな経費考える場合もあると思うのですが、その砂糖についてもう少し詳しく御説明願いたい。
  80. 小林行雄

    小林(行)政府委員 御指摘のようにパンを作ります場合に一部砂糖を加えておりますが、これは現在国の方でその経費を持っておるということではございませんので、それぞれ委託加工、パン製造の値段の中に含まれているのでございまして、国で責任を持ってやるのは、原麦を食糧事務所を通じて配給いたしまして、その府県小麦粉が行くまでのところでございまして、これをパンに委託加工するのは府県負担の方でやっておるわけであります。将来、パンを製造します場合に砂糖を国の方でやるかどうかということにつきましては、現在、今直ちにやるということは考えておりません。先ほど御指摘もございましたように、従来このパンの製造に必要な砂糖ということで、業者の人がそれを一部横流ししたといううわさもございましたが、現在はそれを直ちに国の方で配給するということは考えておらないのでございます。
  81. 小林信一

    小林(信)委員 税金の問題は……。
  82. 小林行雄

    小林(行)政府委員 学校給食用の砂糖につきましては、実はいろいろ問題がございまして、農林省あるいは大蔵省筆とも話し合ったこともございますが、まだこれが免税ということになっておるわけではございません。今後ともいろいろ研究していかなければならぬと思っております。
  83. 小林信一

    小林(信)委員 それから今度は向きをかえまして全般的な問題で、少し時間があるようですからお尋ねをいたします。今のところ給食を行っておるところと行っておらないところのパーセンテージがおわかりになりましたら、一つお知らせ願いたいと思います。
  84. 小林行雄

    小林(行)政府委員 本年の五月一日の調査でございますが、小学校の大体五七%が実施しておるという状況でございます。
  85. 小林信一

    小林(信)委員 その実施しておる五七%の分布状態ですが、都市に偏重しておって、貧弱な町村には実施されておらぬというような、そういう形は調査されておりますかどうか。調査されておりましたら、その点の御意向を承りたいと思います。
  86. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先般御要求もございましたので、一応資料をお配り申し上げておると思いますが、やはりこれは府県によっていろいろ違いますけれども、都市の方が非常に充実していまして、農村山村部、ことに僻地というようなところは、比較的給食の普及率というものは劣っております。
  87. 小林信一

    小林(信)委員 そういう点につきまして、何か考慮されておる点がありましたらお伺いしたいと思うのです。私たちもその点が給食実施の問題では非常に重視しなければならぬところだと思うのです。その多くは粗食をたくさんとって、それで食生活というものが大体慣習づけられておる。もっとカロリーの問題を考えて栄養をとらなければならぬ、これが一番大事なところだと思うのです。ところがそういうところが割合充実していないということは問題だと思うのですが、多くそういうところの父兄は、給食というわずかな金でも負担能力がない、あるいはまず第一に、施設をすることにまとまった金がかかるのでありますが、そういうことが不可能なためにできておらないところが多いと思うのですが、それに対する御見解と、さらに今後のそれについての文部省の対策等につきまして、できたらお伺いをいたします。
  88. 小林行雄

    小林(行)政府委員 学校給食が、いわゆる食生活の改善の面から重視されておるということから参りますと、この学校給食は、都市部ももちろん必要でございますけれども、米食地帯あるいは粗食地帯というような方面に、できるだけ普及されることが非常に望ましいわけでございます。文部省としましても、ことに農村の米食地帯等には、できるだけ学校給食の開設を要望して、府県等にいろいろお話しをしておるのでございます。指導方針としてはそういったところに重点を置いておりますが、父兄負担その他の関係からかまだ十分でない実情でございます。施設、設備等の開設につきましても、そういった農村あるいは山村の方に新しく開設することを望んでおりまして、府県等ともそういった連絡は十分行っておるのでございます。
  89. 小林信一

    小林(信)委員 設備をすることを要望するといっても、やっぱり設備に対して協力するというような予算措置がなされなければ意味がないのです。給食のことはすでに山間の一部父兄も御存じだと思うのです。それができないというのはやはり経費等の面でこれが挫折しておるわけなんです。四千万や五千万の設備費を計上して努力したところでこれは実現不可能だと思うのです。私たち今まで設備費にどれくらいかかっておったかを聞いたことがあるのですが、もうすでに二百億以上の設備費を父兄でもって負担してきたと思うのです。これは私の大づかみのものですから間違っておるかもしれませんが、とにかく相当な費用を父兄が率先して出してやっているのです。しかも理想的なものを考えれば経費がますます問題になってくるわけなんです。今のような予算措置は、そういう山間僻地の最も重視しなければならぬところに恩典が向いていかないじゃないか、こう思うわけですが、いずれもまたそういう詳しいことはいろいろ御検討を願いたいと思います。  そこでもう一つお伺いしたい。今までもよくあった例ですが、農村あたりで災害を受ける、病虫害が発生したとかあるいは水害等の影響を受けて、そのために欠食児童がたくさんできて、救急の給食措置を要望されることがあるのです。これに対しまして、こういう脱脂牛乳小麦がたくさん手に入るというときに、特別な予備をもってそういうふうなものに対処するというふうな方策を講ぜられておるかどうか。
  90. 小林行雄

    小林(行)政府委員 災害等の場合の欠食児童対策ということでございますが、学校給食は本来いわゆる欠食児童対策ということではございませんで、学校教育計画一環としてやる、あわせて食生活の改善ということを重視しておるのでございます。本質的に申せば、欠食児童の対策ということはやや違っておると思います。しかし、いろいろ災害等で欠食児童が生ずるということになりますと、これは非常に重大なことでございますし、あわせてそういった欠食児童に対する対策として、この給食ということが重視されることになりますれば、文部省としても当然考えなければならぬことでございます。実は昨年あたりから非常に問題になりました北九州の炭鉱地帯の欠食児童に対する対策あるいは北海道、青森等の冷害地帯に対する対策というようなことにつきましては、文部省でもいろいろ配慮をいたしまして、生活保護の適用をなるべく広く受けさせるというようなこと以外に、ミルク配給をこういった地帯の欠食児童に対しては本年の一月から行なっておるのでございます。それから学校給食の施設設備、これは学校給食をしていないところは、欠食児童の対策として給食を行うことはできませんので、そういった災害地帯の方にはできるだけ早く学校給食を開始することによりまして、そのために特別に施設設備の補助金を出すというようなことも、実は行なったのであります。
  91. 小林信一

    小林(信)委員 確かにそれは給食の問題とは違うかもしれませんけれども、やはり食生活の改善も何も問題じゃない。食っていかれないという場合に文部省に頼み込むわけです。しかも緊急を要する場合、何もほかに措置する道がなければ、結局文部省に泣きつくわけであります。しかし泣きつかれて、文部省はその場合相当今までいろいろ手を尽してくれたはずですが、しかしこれは給食がやってくれたわけです。その場合に施設がないから、現品を送っても、どうしようもないんだというようなこともあったけれども、あろうがなかろうが、小麦粉を地方へ持っていって薄焼きにしてでもやって食べさせてくれということもあったわけでありますが、私たちはその文部省の取り計いに対しては非常に感謝しております。しかしそれをこれは筋が違うというのではなくて、もっとすぐに応じ得られるような対策というものを、やはり筋が違うとかどうとかいうことでなくて、すべきだと思うのです。もし筋が違うのなら、それ以外の道を考えてやってほしいと思います。それから給食の設備というような問題は、やはりこれはそういうところに限って設備がないので、実施しておらないのです。だから文部省へ行っていろいろな話をする場合に、すぐこの問題が障害になるわけですが、これは一つもっと障害にならないように施策してほしいと思います。今の局長の御意見であれば、そういうところに給食実施させておいて、そしていざという場合に困らないようにするというお話でありますが、それがなかなかむずかしいのですが、そこを私たちはもっと適切な方途を講じていただきたいと思います。  それから最近栄養士という栄養を扱う専門家がたくさんに養成されつつあるわけなんですが、学校給食は先ほど次官もおっしゃったように、失業救済というようなものをかねたり、あるいは好意を持って父兄が協力して、炊事一切をやるというようなところが大体の形である。先生たちの過重労働によってできておるわけでありますが、もっと専門家を入れるということも必要だと思います。それを入れておるところももちろんありますが、もっとこれを合理化して、何か法的にこれを取り扱っていくというようなことは、今後考えられないのかどうか、それをお伺いいたします。
  92. 小林行雄

    小林(行)政府委員 御承知のように栄養士は資格から申しますと、大体厚生大臣が許可を与えるというような専門的なものでございまして、給食実施する学校に栄養士を置いていくということができれば、非常に理想的だと思いますが、いかにも現在の財政状況では、そういった面まで期待することは無理ではなかろうかと思っております。ただ大きい学校では、だんだん最近では栄養士を置いておるものもございます。現在では大体七百人程度のものが置かれておるような資料がございますが、文部省といたしましては、なるべく栄養士を理想的にはほしいのでありますけれども、できれば学校の先生の中で、そういった栄養的な方面の知識を相当持たれまして、栄養士のやるようなことも大体理解して実施できるような指導並びに養成をしたいというようなことで、栄養に関する講習会等も実施いたしておるのであります。
  93. 小林信一

    小林(信)委員 ここが非常に問題のところで、大体先生は必ず引っぱり出されて、しかもカロリーの問題については責任を持たなければならぬし、衛生設備、そういう方面については、今のところは学校給食においては先生らも責任を持ってやっておるわけなんです。ところがそういうよけいな先生の定員を認められるかと申しますと、だんだん減員されるようなことで、なかなか先生たちは手が回らない。そこで専門家というものがどうしても必要になってきて、余裕のある町村では、PTA等費用によってまかなっておるようです。しかし栄養士自身からすれば、また学校教育という仕事に携わっておる。だから先生と同じような待遇をほしいということがぼつぼつ起きておるようです。もしそういうことができるのなら、栄養士も進んで学校給食のために出てくるのではないかと思いますが、いかがですか。
  94. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先ほど申し上げましたように、栄養士が給食実施校に非常に普及するということは、給食実施の上から申しますと非常にいいことで、理想的なことだと思いますが、なかなか現在の市町村財政状況では、そこまで行きかねるものと思います。文部省といたしましては、先ほど申しましたように、できるだけ栄養士あるいはそれにかわるものが置かれるように指導をしていきたいと思います。今後財政状況が許す町村に対しましては、できるだけ正規の資格のある栄養士を置くように指導をし、また援助をするようなことも考えたいと思っております。
  95. 平田ヒデ

    ○平田委員 関連して。ただいまの御質問に関連いたしまして、管理局長お尋ねいたしますが、砂糖の問題、先ほど並木委員の方からもお話がありましたけれども、私こんな実例を知っておりますのでちょっと申し上げてみます。数多い児童の中にはミルクを大へんきらいまして、飲むと吐いたり下痢をしたりする者が多いのでございます。これは全国的に見たらどれくらいの数になりますか、そこまでは調査はしておりませんけれども、あの子供たちの中には自分の机に配給されますと、それをお金をやるから飲んでくれ、お金を持っておる子供は、お金を机の下で握らせて飲んでもらって、先生の目をごまかしておるのがおります。それから欠食児童で、お金さえ払えないという子供もいるのに、こういう子供もおるわけであります。それから私がこれは場所は申しませんけれども、あるところに参りましたら、下水がまつ白になっておりました。同行の人にこれは一体何でしょうと聞きましたところが、これはアメリカミルクですよと言われた。これは飲みたくないから流したわけです。子供にちょっと聞いたことがあるのですが、あんなうまくないものはないと申しております。食生活の改善という意味がありますならば、ただこれは栄養になるから飲ませるんだとか上から押しつけるばかりでなくて、どうしたら子供たちにすなおに気持よく、おいしく飲ませることができるかということを、お考えにならなければいけないと思うのです。ただこれはカロリーを計算して体質の改造になると教えても気分の問題がずいぶん食物にはあるわけでありまして、ただカロリーの計算だけではだめでございます。親ががんがんと子供を叱りつけたあげくに、子供にごちそうをあげましても、これはいわゆる消化器系統の分泌がよくなくて、ただ素通りするようなことになります。やはり喜んで、感謝して、おいしいと思っていただくところに、ほんとうに食生活の改善があり、子供の体質の改造もできるわけでございまして、そういうお心やりをどうかその衝に当っておられる方は頭の中に入れて、そうしてこの給食の問題について御考慮願いたいと思います。とにかく子供にお金をやって、飲んでくれといって先生の目をごまかしたり、下水に流してしまったり、そういうことのないように、きらいなものはきらいだ、それならば、さっき並木委員も言っておられましたけれども、砂糖を入れて加工してやるとか、これも小林委員が申されました栄養士の頭の問題だと思うのです。ただ学問的に、これは何パーセントのカロリーがあって、これはこういうものがあっていいと、それだけではできないものがあるということを、もう少し私は栄養士さんを教育していただきたい、そんなふうに思います。おいしく飲ませるということについては、これは予算の面もございますでしょう。ないそでは振れませんので、何とかその点もお考え願わなければならないと思います。私はこれは質問ではなくて、意見でございますけれども、どうかそういう点をお含み願って、ただ、もらったミルクだからこれを飲ませるんだ、それで改造できるのだ、それだけなでくて、ほんとうにどうすればいいか、いわゆるお母さんのような気持になってやっていただきたいということでございます。
  96. 小林行雄

    小林(行)政府委員 これは学校給食に限りません。食事一般に通じて、ただ物的に、あるカロリーをとりさえすればいいというものではございませんので、どの食事でも喜んで楽しくおいしくいただくということは、きわめて重大なことだと思っております。学校給食の指導方針といたしまして、やはりそういった面をきわめて重視しておりまして、ただ単にカロリー計算から、これだけのものをとりさえすればいいのだというようなことでやっているわけではございません。今後もそういった面にはもちろんできるだけ重点を置いて、ただいま御指摘をいただきましたように、ほんとうにおいしくちょうだいできるというように、学校給食従事職員の方が工夫し研究もしてもらうように指導して参りたい。文部省で従来やっております栄養講習会におきましてもそういった面を非常に重視しているのでございます。ただ従来何年か前に配給されました脱脂粉乳の中には、あまり品質のよくないようなものもあったというようなことも聞いておりますけれども、最近はそういったことはなくなりまして、最近配給されますものは非常に良質なものが多いようでございます。ただ学童の中には、乳製品に対する嗜好があまりない、あるいは本人の体質等からも合わないということも聞きますけれども、しかし調理の仕方ではかなりそういった嗜好の面も漸次なれさせることもできるようでありますので、この調理方法あるいは食事の仕方ということについては、ただいま御指摘のありましたように、今後ももちろん十分努力をして参りたいと思っております。
  97. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 質問ありませんか。
  98. 並木芳雄

    並木委員長代理 大臣がお見えになりましたから大臣の質問を許します。野原君。
  99. 野原覺

    野原委員 私は大臣に御質問をいたしたいと思います。その前に、大臣もきわめて御多忙でございまして、いろいろな御用件がおありであることはよく知っておりますから、私は本日は決して無理な要望はいたしたくはございませんけれども、しかし文教委員会は、文部大臣が御出席にならなければ、文教について基本的な国策について私ども質疑をすることができないのであります。従ってこの点は十分おわかりいただけると思いますけれども、他の委員会その他の関係もおありでございましょうが、当委員会は一週間に二回しかございませんので、でき得るだけ私どもの質疑に対して御解明下さるように、私は先日も要望いたしておきましたが、重ねて要望いたしたいと思うのであります。  まずお尋ねいたしたい第一点は、教科書についの問題でございますが、本委員会はすでに数週間前に、私ども文部大臣に対して教科書制度について、あなたは再検討をなさる御意思がおありじゃないのか、あなたの政党の方々は、過般の二月の総選挙において、民編国管論というものを振りかざして、値段の安い書物ということを言って回っておった。なおかつあなたの所属される政務調査会は、それについて決定したようにお聞きいたしているのでございますが、大臣としてお考えではありませんかと尋ねたのであります。これに対して文部大臣は、私はまだ教科書についてのそういった具体的な構想は、今のところ持っていない。ただし国定本に返すというような方針は毛頭ない、こういうことであったのでございまして、私どもは大臣が教科書制度について再検討をするというような具体的な構想が、もしおありであるとするならば、幸い国会が開かれているのでございますから、当委員会に単刀直入に大臣の御所見が開陳されてしかるべきものではないかと思っておりましたところが、当委員会は一体どういうわけであと回しになったのでございましょうか。あなたは新聞記者会見において、当委員会を全く抜きにして具体的な構想を御発表なさっておるのであります。その辺についての経過なり御所見なりを、私はまず承わりたいので、あります。
  100. 松村謙三

    松村国務大臣 実は新聞の記事を見まして、私も少し意外に思う点もあるわけでございます。それは今お尋ねでございますから、私が新聞記者会員において皆さんに申しましたことを、そのまま申し上げてみたいと思いますのは、どうもこういう情勢においては教科書のあり方については再検討をしなくちゃなるまい、そういう時期に達したろう、こういうことを申したのでございます。それにつけ加えて申したことは、この間も主帰の会かなんかに出てみると、どうも教科書が非常に経費がかかる、兄弟連れにも二度使わせるわけにはいかない、値も高い、何とかできぬのかという話を聞いて、もっともだと考えた、こういうことであります。それからそれならやり方はどうかと聞かれましたから、それは全然白紙で、これから検討するのであるが、それには今申したような、教科書を安くして、そうして長く使えることもその検討の主眼とせねばなるまい、こういうことを申したのでございます。そうかといって、国定教科書になることは、これはもちろん避けなくちゃならないということは申しました。さらに話が出まして、この教科書に対しては暫定的の法律があり、法律が区々であるから、これは整理するのか、しないのか、こういう質問がございましたから、僕も自分で見ていないけれども、そういう雑多なものであるならば、そういう際に一本になるように検討すべきじゃないかなあというようなことを申しておりました。大体その程度の話をいたしていたのでございます。もう一つ何か申したかもしれません。(「都道府県単位で一つにしたらどうかということじゃないですか」と呼ぶ者あり)これは全くそういう話も聞くというただけで、都道府県単位でやるというような具体的のことは、決して私は申したのでござませんで、ワクを白紙で、今言ったような、できるだけ安くもした方がいい、こういう意味のお話を申したのでございます。それからいろいろ推理されまして、ああいう問題でありますので、大きく取り扱われたというわけでございます。従いまして、これを端的に申しますれば、先般——だいぶ前でしたが、ここで申し上げました白紙の上で検討する必要があろうと申しましたその範囲を逸脱していないのであることを御了承願いたいと思います。
  101. 野原覺

    野原委員 そういたしますと、朝日新聞それから毎日新聞、読売新聞は大臣との記者会見として報道をし、しかもその記者会見の報道に基いて、本日はことごとく社説を掲げておるのであります。しかもある面のごときは連日にわたって解説記事を掲げておるのでございますが、これらの大新聞が記者会見として報道しておりますあの事柄は、大臣としては事実無根とまでは言われなくても、確実性を欠いておるものである、そういう面があるとお読みになってお考えでございますかどうかお尋ねいたします。
  102. 松村謙三

    松村国務大臣 それはよくごらん下さいますと、記事はまちまちでございますけれども、どれも大体先刻私が申しましたその範囲内のことを推理して書いてありますので、あの話の範囲内であると私はざっと見ているのでございます。それが教科書ということのあり方については言論機関でも重視いたしておりますから、それでそれについてのあのような論説、解説が出たと思いますので、それ以上の具体的のことを私が申したのではございません。あの論説、解説も私一応目を通しましたが、大体そういうような意味から出ておることと考えておるわけでございます。
  103. 野原覺

    野原委員 そこではっきりいたしましたことは、大体において新聞が報道しておることは間違いじゃない、こういうことであろうかと思うのでございますが、私はあの大新聞の報道した事柄をまとめると、大体四つになるのではないかと考えております。  第一は、今日の教科書制度については、法規についての何らかの手心を加えなければならぬ、法規について改正する面があるように思うということが一つ。それから第二は、値段が非常に高いから、値段の高いということについて検討を加えてみる必要を感ずる。それから第三点は、都道府県ということについてはおっしゃられないようでございますけれども、すべての新聞が取り上げておりますことは、あまりにも教科書出版会社が多過ぎて、そうして一つの種類の教科書が何十種類にも上っておることは好ましくないから、種類を整理統一する必要があるのではないか。それから第四点としては、検定調査員の問題で、検定調査員というものがこのごろ公開されていない、このことは好ましくない、こういうふうなことになって参りますと、これは明らかに大臣としての教科書制度についての再検討の具体的構想であります。あなたが何とおっしゃりましょうとも、新聞記者が質問したからこういうことを言ったんだと言われておると思うのでありますが、本委員会は教科書の問題はきわめて重大である。私は今日わが国の政治における最も根本をなす問題は教科書の問題だと考える。国民の教育は教科書でやるわけでございますから、従って私どもは劈頭この委員会で大臣の具体的な構想見解を明らかにしてくれ、そうしてそういう大臣の考え方があるならば、各党とも、あるいは党に持ち帰り、あるいは本委員会で審議をして、十分意見を戦わして、間違いのない教科書を作る方向に持っていこうじゃないかとまで申しておるのに、大臣はそのときには全く口を結ばれておっしゃらなかった。新聞にはそういう点は、推理かあるいは誘導尋問か何か知りませんけれども、堂堂と出されておる。私はこれはきわめて遺憾に存ずるのであります。しかしながらこういうことを申し上げてもどうかと思いますから、この点については遺憾の意を表しまして、すでに大臣がこの委員会を無視しておるとは申しませんけれども、本委員会としては、私個人としてはきわめて不満なものを感じながら、ただいまのあなたの教科書制度の改正についての四点の具体的な考え方について、お尋ねをいたしたいのであります。  まず第一点は、今日の教科書が値段が高い、こう言われるのでございますが、この点についてさらに再検討を加えなければならぬ、こういうお考えのようでございますが、一体どういうわけで今日の教科書は値段が高いと大臣はお考えでありますか、一つ本日は突っ込んで見解をお聞かせいただきたい。
  104. 松村謙三

    松村国務大臣 お話でございますが、今お示しになっている四つの点はワクの問題でございまして、内容を申したのではございません。ただこのうちで内容に触れると申しますならば、検定の委員を、これはむしろ公表した方がいいじゃないかということをちょっと申したそれくらいが、内容に触れるものというわけでございまして、このことはそういうふうにかねがね思っておったものだから、ついそういうことを申したわけであります。そういう次第であることを御了承願いたい。  高いというのはどういうことか、こういう御質問でございますが、これはもちろん比較の問題であって、どこまでが高い安いということではございませんけれども、しかしこれは安くできるなら安くする方法考えられる。たとえばお互いに売り込みの競争などに無用の経費を使うよりも、それを節したならば非常に合理化するというような点もありましょうし、それから価格に関することじゃございません、それと同様の結果を来たしますことは、できるだけ教科書をしょっちゅう変えないで、兄の子に使ったものはすべてその次の子供にも使えるというようなことだと、非常な経済になる、そういうことができるものかできないものか、こういう検討を必要とするんだというようなつもりで申したことでございます。
  105. 野原覺

    野原委員 単なるワクを言っただけであって、内容については実はこれから研究するんだ、こういうお考えは、私はちと大臣としてはその御答弁はどうかと思います。またこの委員会でそういう御答弁をあなたがなさって何日かすると、新聞記者の質問にまた内容について御答弁があるのではないか。私はどうもそういう点がはっきり言ってはがゆい。もっと勇敢におっしゃっていただきたい。私どもは決して、大臣がこう答弁したからその言葉じりをとらえて、どうのこうのと申すという狭い量見は持っておりません。従って、値段が高いとあなたがお考えになるなれば、どういうわけで高いのだろうかということは、大臣としては当然お考えになったであろうと思う。なおまた事務局にはその道の責任者もおり、専門家もおるわけでございますから、私は少くとも教科書の問題が、ここ数年来国民の大きな教育上の問題として取り上げられている限り、大臣は値段について、一体どういうわけで高いのだろうかということを、そういう文部当局の事務関係責任者の方々に、これはお尋ねにならなかったとすれば私はどうかと思うのです。これはお考えになられていると思う。もう少しその辺について突っ込んだ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  106. 松村謙三

    松村国務大臣 ただ概念的に申し上げただけでございますが、責任者といたしまして、その内容をなすものは十分事務的にも研究をいたし、そして手続も踏まなくてはならない。しかしある程度の案を得ましたならば、これは世論に問う方が私はいいと考えておりまして、どこまでも決して発表しないでやるというような考えは持ちませんけれども、実際今私は内容として持っているものはございません。持っておりましても、それは私見にすぎませんで、それを申しますならば、かえって世間を迷わすかもしれません。従ってこれはある程度検討いたしまして、世間の批判を聞き、それから、もちろん議会がありますれば、議会の御批判も承わるということにいたしたいと考えているわけでございます。
  107. 野原覺

    野原委員 世論に問うということは、議会の意見を聞くということだけでなしに、どういうような方法で世論にお問いになるというお考えでございますか。
  108. 松村謙三

    松村国務大臣 これは、もちろん議会がございます際に大体話が進みますならば、この委員会などで構想を申し述べ、あわせて世間にも発表いたしたいと思います。議会がありませんときでも、この委員会に諮問いたし、同時に新聞などを通じて、社会に発表して批判を得たいと思います。
  109. 野原覺

    野原委員 そこで値段が高いという問題でございますが、今日の検定制度であるから値段が高いとお考えでございますか。それとも検定制度であっても、何らかの施策の打ち方いかんによっては、この値段は安くできるのではないかと、そういうお考えはお持ちになられたことはございませんか。
  110. 松村謙三

    松村国務大臣 私は検定制度であるがゆえに高いとは考えておりません。それとこれとは全く別個の問題でございます。高い安いというようなことにつきましては、これは今より安いほどいいわけでございまして、それについて努力をいたすことは当然のことであろうと考えます。
  111. 野原覺

    野原委員 検定制度であるから高いとは言えないということでありますと、どういうわけで値段が高いのでございましょうか。
  112. 松村謙三

    松村国務大臣 それは検定制度のために高いのではございませんで、たとえば、これは販売の関係経費、あるいは運賃、あるいは用紙、資金、利息等いろいろの面から高くなると思いますが、今高い原因として申したのは、ただ例に申しただけで、そうだとは申すのじゃございませんけれども、そういういろいろな原因が総合することと思いますから、それは一つ深く検討いたしませんと、どこからどうすればということは申されませんが、無条件でただいままでのようでいいんだということは言えませんので、これは一つ白紙の上に立って検討してもらいたい、こういうふうに考えております。
  113. 野原覺

    野原委員 つまり宣伝費が要るから高いんだ、これも一つ、それから運賃についてもこれは考えなければならぬのではないか、これも値段が高い原因の一つになるかもわからぬ、それから出版会社の融資の問題、出版会社は著作者が執筆いたしましてから検定をして、そうしてそれが展示会によって採択され、そうしてその採択に基いて子供が金を出して、金が出版会社の手元にあがるまでには何年間かかかるわけです。しかも莫大な資金、これが高い金利のものを借りておったのでは、これは当然その金利が定価の上に加算をされるわけでございまするから、これも一つ高い原因ではなかろうか、こういうようなことでありまするから、どういうわけで高いんだろうかというと、きわめて一部分ではございまするけれども、大臣としてはただいま私が確認をいたしましたような事柄を申されたと思うのであります。そこでお尋ねをいたしますが、ただいま展示会が開かれておるのであります。本日からだと私は思う。私どもはこの展示会については、常設展示会になぜしないかということをこの数年前から、当文部委員会としては文部当局に要求をしてきたのでございますが、また本年も一週間ないしは十日間だけ形式的な申しわけの展示会だけで終るのでございまするが、この展示会の費用については一体だれが負担をしておるのか、お尋ねいたします。
  114. 寺本廣作

    寺本政府委員 今主管局長、課長が行政監察委員会へ出ておりまして、この問題の証人として多分証言をしていると思いますから、後刻詳細取り調べましてお答えいたしたいと思います。
  115. 野原覺

    野原委員 私は決して、これは松村文部大臣責任であるというような立場でお尋ねをいたしておるのではございません。今日までの文部行政について不満であるから私は言っておるんです。私どもはこの展示会についても、ただいま申し上げましたように常設展示会というようなものを、都道府県あるいはその他中小都市以上のところぐらいには置いて、年がら年じゅう教員なりPTAなり教育関係者なりに、教科書についての比較検討の機会を与えることができるならば、悪い教科書というものは自然淘汰をされる。このことはもう教科書についての学識経験者がことごとく今日まで指摘してきておったのであります。それがされていない。しかも、答弁がございませんけれども、私の知る限りでは展示会についての費用は、出版会社が持っておるやに聞くのであります。そういたしますると、運賃についても考えてくれない、展示会の費用すら出版会社に持たせる、金利についても——これは国の重要な国策である教科書の金利、そういう資金の操作についても、政府は何らの便宜を今日まで与えてきていないというようなことになって、そうして値段は高いんだ、今でもこういうことを言って、値段が高いということとこれは別でございましょうけれども、検定ということと結んで、今日の新聞すらこれを取り上げておる。国民のすべてが検定本だから高いんじゃなかろうか、こう言っておるんです。これが常識なんです。  そこで私は次に聞きたいのは、検定を廃止して、国定に向えという素朴な国民の意見が出て参りまするので、その素朴な意見に迎合して、ある一部の候補者の諸君が、この前の選挙のときに実はじゃんじゃん宣伝しておられた、こういうことで検定か国定かということがやかましくなってきているのが真相であります。従って私は、政府として値段が高いという御判断がなされたならば、この値段の高いのは今日の政府当局によって何とかして安くできる道があるのではないかということを、文部当局は当然考えられなければならぬと思われまするが、その辺についていかがお考えでございますか。値段が高いのは今始まったことじゃございませんので、どうしたら一体値段が安くなるかということを、真剣にお考えになったことがあるのかないのか。ないとは思いません、あるでございましょうから、一体どういう方法をとるべきであるとお考えになっておられますか、お尋ねいたします。
  116. 松村謙三

    松村国務大臣 お話のような次第でございまして、私はただお尋ねでしたから例としてそれだけのことをあげてみたのでございます。従いましてお話のようなことについては、この機会に何ゆえに教科書が高くなるかという原因をすべて十分に検討いたして、そしてそれを除去するということに最善の努力をいたしたいと考えているのでございます。
  117. 野原覺

    野原委員 教科書問題で一番困っておりますものは、教科書を購入することのできない貧困な家庭のことであります。貧困な家庭は実は本を買うことができずに、学校に上げることが不可能な家庭がたくさんある。単に九州の炭鉱だけの問題じゃないのです。今日の日本民族の貧困性というものは、実にそれは根が深くて幅が広いわけです。そういう貧困な学童へ何とかして教科書の無償配給を——五億円あればできるそうでございますが、ああいう千編一律的な無償配給よりも、こういう教科書を購入することのできない気の毒な子供たちに、五億あるいはその二倍の十億程度の金があれば、国のあたたかい手によってその本を贈ることができるのじゃないか、こういう点についてお考えになったことはございませんか。
  118. 松村謙三

    松村国務大臣 ことしは財政の都合で、御承知通り特別な助成は一切やめましたから無償交付できませんが、これはぜひ近い機会に復活いたしたいと考えております。しかしながらこの復活をするときに、前と同じやり方をいたしますか、これにさらに検討を加えてやりますか、そこはよく考えてやらなくてはならない、このように考えておるわけでございます。すなわち今は一律に教科書の無償配付をやっております。これが全部の人に無償でやればいいけれども、そういうわけにもいかないとなれば、一年生だけの前からの制度がいいのか、それからまたほんとうに困る人だけに上級まで行き渡らしたのがいいのか、こういうことはよほど慎重に研究をいたして最善の方法をとりたいと考えております。
  119. 野原覺

    野原委員 そのことはぜひとも来年度の予算ではお考えいただきたいものだと思うのであります。  そこでこの値段の高い問題は、これは大臣もただいま申されましたように、運賃について、あるいは出版会社に対する低利の融資について、あるいはまた宣伝費の問題がありますが、これは行監でも取り上げているようでありますが、展示会の常設的なものを置くことによって、いかに出版会社が宣伝をしても、父兄なりその他良識のある教育者諸君が、十分に長い時間をかけて比較検討すればよい本が入る。これは自然淘汰ができるはずです。そういうことで私はこれは相当、二割あるいは三割、四割ぐらいの価格についての引き下げというものは可能ではないか、政治のやり方いかんによっては可能ではないかと考えておるのであります。  そこで第二の質問でございますが、御承知のように教科書制度についての法規は、昭和二十三年に出されました教科書発行に関する臨時措置法だけでございますが、この法規の改正を大臣は新聞記者諸君に言明をされたのでありますけれども、法規改正についてはいつお出しになる御予定でございますか、お尋ねいたします。
  120. 松村謙三

    松村国務大臣 それは教科書を再検討いたして同時にこの法規も検討をいたして、そうしてその全体の方策がきまったそのときに議会へ提案いたしたいと思うのでございます。でき得るならば次の通常議会までにその結論を得たいものだ、それを目標に努力いたしたいと考えます。
  121. 野原覺

    野原委員 次の通常国会に発行に関する制度についての法規の原案を出したい、こういう目途でございますると、これは私は相当責任のある諮問機関あるいは世論に問うといたしましても、教育者の団体あるいは国会その他いろいろな機関のそういう意見を、大臣は総合されなければならぬものと思うのでございますが、具体的な御方途でもありましたら承わりたいものだと思うのであります。
  122. 松村謙三

    松村国務大臣 それはまだ方法等は明確にきめて申し上げるまでには行っておりませんが、私といたしまして世間ではもういろいろの意見か出ておりますから、これらを十分事務的に検討いたして、そうして単に教科書をいかにすべきかという諮問でなくして、こういうふうにすればどうかというふうに諮問をいたしましたならば早く結論を得る、そういうようにいたしたいと自分としては考えておるわけでございます。
  123. 野原覺

    野原委員 大臣の新聞発表から受ける私の結論は、どうもあなたの政党の民編国管とそっくりであります。大臣は民編国管というものを御予定になっておるのでございますか、これはいかがですか。民編国管というように、つまり編さんは民間団体にやらせるけれども、国が管理をするのだ、こういう考えを具体的構想の四つの面から受けるのでございますが、そり辺はどうお考えでございますか。これは率直に一つお聞かせ願いたいのであります。
  124. 松村謙三

    松村国務大臣 絶対にそういうことを考えておりません。これは全く白紙の上に立ってこれから研究をいたそうというわけでございまして、今そういう目ざすところを予定して、そうしてそこへ持ち運ぼうというようなことは考えておりません。
  125. 野原覺

    野原委員 大臣の御所属でありまする民主党は、教科書の問題については、どのような政策をお立てになっておるのでございますか、お尋ねします。
  126. 松村謙三

    松村国務大臣 個々の意見は幾つもありましょうが、これをまとめて党議といたしたものは私まだないと心得ております。
  127. 野原覺

    野原委員 巷間政務調査会は中曽根君、田中久雄君等が原案を出して慎重に検討をした結果、民編国営をもって正しいとするという結論を得た、これはもうすべての新聞に報道されておりますが、間違いでございますか。
  128. 松村謙三

    松村国務大臣 それは私ども承知するところでは、まだ試案の域を脱しないのでないか、党としては決定いたした案ではまだないと心得ておるのでございます。
  129. 野原覺

    野原委員 そこで第三にお尋ねをいたしたいことは、あまりにも教科書の種類が多過ぎる、私もこの点は率直に言って感じておるのでありますが、一年生の国語の本だけでも実はどれだけあるか、これは私自身も知りません。ずいぶんあるようであります。この点いかにお考えですか。
  130. 松村謙三

    松村国務大臣 実はありていに申しますれば、あなたのおっしゃるところと同じことなんです。非常に多い。多いが、さてこれをどうすれば無理をしないで整理ができるか、そうして検定教科書としてどうすればそれらの整理ができるかということは、非常に困難な問題であるが、これはやらなければならない。そこにこれからの研究の重点が置かれなくちゃならぬと考えております。
  131. 野原覺

    野原委員 種類が多いからこれはどうしても整理をしなければならぬ。ただしその方途は考えないと、いろいろの問題があるから軽々には言えない、まことにごもっともだと思うのであります。ところが実はここに問題があるのです。私もこの問題はいろいろ考えてみたのでございますが、種類を整理統一するということになれば——たとえば国語の本が二種類に整理統一されたと仮定いたしますと、これはやはり二つの種類の国定教科書ができたということになるのではないか。大臣は国定教科書は、これは教育の統制であり、思想統一であり、しかも政党の教育支配というようなおそれもあって好ましくないと言われるが、私はまことに傾聴すべき御意見だと思っておるのでございます。この点は敬意を表しておるのでございますが、実は二種類に国が制定をすると、二種類の国定教科書ができた、国定教科書は何も一種類とは限りませんからそう思われるのでございますが、そういう非難に対して、大臣の国定教科書の範囲と一体どう調和してお考えになられるおつもりか、お尋ねをいたします。
  132. 松村謙三

    松村国務大臣 そこに非常にむずかしいところがありまして、この間も、これもしっかり自信を持って申した内容ではございませんが、新聞には出ておりましたが、その採用の範囲、区域を広くするというようなことが、これも一つの整理の方法でなかろうか。それをこの間私が府県単位というような言葉を使ったものと見えまして、新聞にはそう出ておりましたが、これは決して私が、それがいいといって申したわけではございません。これらの区域を広くするということも、教科書を少くする一つ方法で、自然の方法であるかのごとく考えますが、これはただ思いつきの範囲にすぎません。
  133. 野原覺

    野原委員 この問題は、これは今後値段を安くしようとして、じゃ種類が多過ぎるから、何とかこれは数を限定しようとして参ります場合に、大臣もその必要性をはっきり痛感しておると申されたのですが、あなたのその必要性を満たしていく場合に問題になる点です。二つの種類にすると、これは国定になる。三種類の国定ということもあるわけでございます。で、このことは一つの問題として私自身も考えたいと思うのでございますが、これは大臣としても十分お考えいただきたいものだと思うわけであります。実質的に国定教科書というものを御反対でございますならば、実はそういう懸念のあるような方向に参ることのない考慮をしなければならぬのではないか。むしろ私はここで積極的に意見を申さしてもらえるならば、この教科書の検定の基準を何とか一つ考えて、内容の充実した方向にこの検定を進めていく、そうなりますと何も二種類、三種類ではないのだ、これは自然に種類というものは限定されるでしょう。だから国が何種類にするというようなことをきめるのではなしに、国語なんかは十五種類になるかもしれませんが、内容というものを相当厳選を加えて参りますと、この問題は何らかの解決が見出されるのではないかとも思っておるのであります。  そこで検定調査員の問題ですが、これは御承知のように、大臣も申されておりますように秘密になっておる。これは何とかして公開しなければならぬということでございますが、どういうわけで調査員を今日まで公開しないで来たのか。そのことについてはどういう御所見をお持ちでございますか、あらためてお伺いいたす次第であります。
  134. 松村謙三

    松村国務大臣 これを従来秘密にいたしましたことについては、また相当の理由もあったと思います。たとえば秘密にやりますと運動、請託が行われない、公けにしておくとそれが行われやすいというような見方もできますので、公正を期する一つ方法として考えられたことと思います。しかしそれがいいか、公表をしてそして検定に責任を持たせるのがいいかは、これは研究を要することと思うのでございます。
  135. 野原覺

    野原委員 時間がございませんから、私の質問を終りたいと思いますが、いい本を安く、このモットーで教科書について私ども考えていかなければならぬと、率直に言って思っておるのであります。従って大臣は、私はこの問題についてはある特定の人が質問をしたから自分の本音を吐くのだ、こういうことではなしに大臣としては、もう委員会が開かれておるのでございますから、その都度文部委員会にこう思うがどうだろうか、これはもう私は仮定の上に立っていいだろうと思うのです。責任のある政党の委員諸君でありますから、私どもが解決できないものは党に帰って検討いたしますし、そうしてすべての政党が、今日国民の間で大きく問題にしておるところの教科書について、もっと積極的な意見が政党自体の中からわき起ってくるような方向に持っていくべきではないか。しかも国定本がいけないということはもう定評であります。これは教育の思想統制のおそれがございますから、検定制度を進めるとしても、そういうような積極的な御意図を持って今後お進みになるお考えでございますかどうか、御所信のほどが承わりたいのであります。
  136. 松村謙三

    松村国務大臣 きわめて熱心なお話を承わりましたが、これには各党の皆さんもぜひ一つ御協力を願いまして、最善の方法を取りたいものだと思うのでございます。それにつきましては、私責任者といたしまして虚心坦懐にいろいろの御意見も承わり、私ども考えも申し上げまして、そうして最善の結果を得たいと心得ておりますから、どうかよろしく皆さんの御協力をお願いする次第であります。
  137. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後一時二十六分散会