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1955-06-17 第22回国会 衆議院 文教委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十七日(金曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 伊東 岩男君    理事 並木 芳雄君 理事 坂田 道太君    理事 竹尾  弌君 理事 辻原 弘市君       高村 坂彦君    藤本 捨助君       米田 吉盛君    永山 忠則君       河野  正君    島上善五郎君       野原  覺君    山崎 始男君       小牧 次生君    小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松村 謙三君  出席政府委員         法制局次長   高辻 正巳君         文部政務次官  寺本 広作君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君  委員外出席者         厚生事務官         (児童局母子福         祉課長)    吉見 静江君         農林事務官         (大臣官房総合         食糧消費政策室         長)      佐藤 清美君         農林事務官         (畜産局経済課         長)      岡崎 三郎君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部輸入計画課         長)      丹羽雅次郎君         専  門  員 石井  勗君     ――――――――――――― 六月十四日  委員永山忠則辞任につき、その補欠として加  藤鐐五郎君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員纐纈彌三君辞任につき、その補欠として北  村徳太郎君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員島上善五郎辞任につき、その補欠として  長谷川保君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員加藤鐐五郎君、小川豊明君及び長谷川保君  辞任につき、その補欠として永山忠則君、山崎  始男君及び島上善五郎君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員永山忠則辞任につき、その補欠として伊  藤郷一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月十四日  へき地教育振興法に基き分校並びに単級、複式  学校教育振興に関する請願辻原弘市君紹介)  (第二一七三号)  育英事業予算増額に関する請願保科善四郎君  紹介)(第二一七四号)  日の丸の日及び靖国の日制定に関する請願(眞  崎勝次紹介)(第二一七五号)  八幡小学校室川分校へき地教育振興法適用の  請願辻原弘市君紹介)(第二一九〇号)  八幡小学校へき地教育振興法適用請願外三  件(辻原弘市君紹介)(第二一九一号)  八幡小学校上湯川分校へき地教育振興法適用  の請願辻原弘市君紹介)(第二一九二号)  八幡小学校三田分校へき地教育振興法適用の  請願辻原弘市君紹介)(第二一九三号)  八幡小学校宮川分校へき地教育振興法適用の  請願辻原弘市君紹介)(第二一九四号)  八幡小学校遠井分校へき地教育振興法適用の  請願辻原弘市君紹介)(第二一九五号)  大熊小学校へき地教育振興法適用請願(辻  原弘市君紹介)(第二一九六号)  八幡小学校下湯川分校へき地教育振興法適用  の請願辻原弘市君紹介)(第二一九七号)  川上第一中学校上初湯川分校へき地教育振興  法適用請願辻原弘市君紹介)(第二一九八  号)  標川小学校へき地教育振興法適用請願(辻  原弘市君紹介)(第二一九九号)  上初湯川小学校へき地教育振興法適用請願  (辻原弘市君紹介)(第二二〇〇号)  高根小学校へき地教育振興法適用請願(辻  原弘市君紹介)(第二二〇一号)  敷屋小学校高山分校及び篠尾分校へき地教育  振興法適用請願辻原弘市君紹介)(第二二  〇二号)  小川中学校田川分校へき地教育振興法適用の  請願辻原弘市君紹介)(第二二〇三号)  衣奈小学校へき地教育振興法適用請願(辻  原弘市君紹介)(第二二〇四号)  殿原小学校へき地教育振興法適用請願(辻  原弘市君紹介)(第二二〇五号)  上山路中学校丹生ノ川分校へき地教育振興法  適用請願辻原弘市君紹介)(第二二〇六  号)  丹生ノ川小学校へき地教育振興法適用請願  (辻原弘市君紹介)(第二二〇七号)  北小学校へき地教育振興法適用請願辻原  弘市君紹介)(第二二〇八号)  五郷小学校三瀬川分校へき地教育振興法適用  の請願辻原弘市君紹介)(第二二〇九号)  龍神中学校大熊分校へき地教育振興法適用の  請願辻原弘市君紹介)(第二二一〇号)  北山第三小学校へき地教育振興法適用請願  (辻原弘市君紹介)(第二二一一号)  畝畑小学校へき地教育振興法適用請願(辻  原弘紹介)(第二二一二号)  笠松小学校及び猪谷分校へき地教育振興法適  用の請願辻原弘市君紹介)(第二二一三号)  小川小学校へき地教育振興法適用請願(辻  原弘市君紹介)(第二二一四号)  石垣小学校糸川分校へき地教育振興法適用の  請願辻原弘市君紹介)(第二二一五号)  産休補助教員設置制度化促進に関する請願  (床次徳二紹介)(第二二三〇号) 同月十五日  産休補助教員設置制度化促進に関する請願  (平田ヒデ紹介)(第二三一四号)  志楽小学校松尾分校へき地教育振興法適用の  請願柳田秀一紹介)(第二三三五号)  新舞鶴小学校多門院分校へき地教育振興法適  用の請願柳田秀一紹介)(第二三三六号)  田井小学校へき地教育振興法適用請願(柳  田秀一紹介)(第二三三七号)  丸山小学校及び大浦中学校丸山分校へき地教  育振興法適用請願柳田秀一紹介)(第二  三三八号)  中筋小学校真倉分校へき地教育振興法適用の  請願柳田秀一紹介)(第二三三九号)  大丹生小学校へき地教育振興法適用請願  (柳田秀一紹介)(第二三四〇号)  池内小学校岸谷分校へき地教育振興法適用の  請願柳田秀一紹介)(第二三四一号)  青井小学校へき地教育振興法適用請願(柳  田秀一紹介)(第二三四二号)  野原小学校へき地教育振興法適用請願(柳  田秀一紹介)(第二三四三号)  神代小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三四  四号)  日生小学校大多府分校へき地教育振興法適用  の請願山崎始男紹介)(第二三四五号)  下津井中学校松島分校へき地教育振興法適用  の請願山崎始男紹介)(第二三四六号)  全間小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三四七号)  神島外中学校飛島分校へき地教育振興法適用  の請願山崎始男紹介)(第二三四八号)  飛島小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三四九号)  加茂小中学校倉見分校へき地教育振興法適  用の請願山崎始男紹介)(第二三五〇号)  真鍋中学校六島分校へき地教育振興法適用の  請願山崎始男紹介)(第二三五一号)  三坂小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三五二号)  二川小学校杉成分校へき地教育振興法適用の  請願山崎始男紹介)(第二三五三号)  富山小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三五四号)  近衛小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三五五号)  羽出小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三五六号)  小泉小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三五七号)  見明戸小学校へき地教育振興法適用請願  (山崎始男紹介)(第二三五八号)  福南小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三五九号)  大内小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三六〇号)  中野小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三六一号)  保曽小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三六二号)  宇戸谷小学校へき地教育振興法適用請願  (山崎始男紹介)(第二三六三号)  宇頭小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三六四号)  下津井小中学校釜島分校へき地教育振興法  適用請願山崎始男紹介)(第二三六五  号)  宇垣小学校小田分校へき地教育振興法適用の  請願山崎始男紹介)(第二三六六号)  越畑小学校及び香北中学校越畑分校へき地教  育振興法適用請願山崎始男紹介)(第二  三六七号)  津川小学校八川分校へき地教育振興法適用の  請願山崎始男紹介)(第二三六八号)  北木小学校楠分校外二箇分校へき地教育振興  法適用請願山崎始男紹介)(第二三六九  号)  明治小学校片塚分校へき地教育振興法適用の  請願山崎始男紹介)(第二三七〇号)  美山小学校東水砂分校へき地教育振興法適用  の請願山崎始男紹介)(第二三七一号)  三国東小学校へき地教育振興法適用請願  (山崎始男紹介)(第二三七二号)  日生小学校鹿久居分校へき地教育振興法適用  の請願山崎始男紹介)(第二三七三号)  日生小学校鴻島分校へき地教育振興法適用の  請願山崎始男紹介)(第二三七四号)  伊部小学校久々井分校へき地教育振興法適用  の請願山崎始男紹介)(第二三七五号)  頭島小学校へき地教育振興法適用請願外一  件(山崎始男紹介)(第二三七六号)  鴨方西小学校阿部山分校へき地教育振興法適  用の請願山崎始男紹介)(第二三七七号)  有漢小学校精華分校へき地教育振興法適用の  請願山崎始男紹介)(第二三七八号)  阿口小学校及び皆部中学校阿口分校へき地教  育振興法適用請願山崎始男紹介)(第二  三七九号)  里仁小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三八〇号)  黒岩小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三八一号)  終南小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三八二号)  広戸小学校奥津川分校へき地教育振興法適用  の請願山崎始男紹介)(第二三八三号)  愛善小学校柳平分校へき地教育振興法適用の  請願山崎始男紹介)(第二三八四号)  堺小学校黒木分校へき地教育振興法適用の請  願(山崎始男紹介)(第二三八五号)  博日小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三八六号)  足見小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三八七号)  布賀小学校へき地教育振興法適用請願(山  崎始男紹介)(第二三八八号)  三国西小学校へき地教育振興法適用請願  (山崎始男紹介)(第二三八九号) の審査を本委員会に付託された。 同月十六日  高等学校定時制教育及び通信教育に関する予  算増額等に関する陳情書  (第二三五号)  産休補助教員設置制度化促進に関する陳情書  外五十八件  (第二五八号)  同外七件  (第二九三号)  地方教育委員会廃止に関する陳情書  (第二八六号)  義務教育施設整備促進に関する陳情書  (第二九四号)  積雪寒冷地帯における公立学校施設費国庫負担  等に関する陳情書  (第二九五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  博物館法の一部を改正する法律案内閣提出第  八八号)(参議院送付)  日本学校給食会法案内閣提出第九九号)  危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇一号)  公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案  (内閣提出第一〇八号)  昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じ  た旧財団法人私学恩給財団年金特別措置に  関する法律案内閣提出第一〇九号)  学校教育に関する件     ―――――――――――――
  2. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  博物館法の一部を改正する法律案日本学校給食会法案危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団年金特別措置に関する法律案の各案及び学校教育に関する件を一括して議題といたします。質疑を許します。並木芳雄君。
  3. 並木芳雄

    並木委員 私はたくさん質問がありますが、ほかの方があるそうですから、残余は一番あとでけっこうですが、最初にぜひ一つだけ緊急を要するので、松村文部大臣に要望的に質問をいたしたいと思います。  それは国際ペンクラブ日本における総会のことでございます。実は数日前オーストラリアの大野公使から電報がきまして、再来年の国際ペンクラブ総会日本で持ちたいという話が持ち出されておる、まことにけっこうであるけれども、これに日本として立候補するかどうか、至急態度をきめてもらいたいということでございました。そこで国際ペンクラブの方々は昨日集まりまして、この問題を論議したのでありますが、いずれも趣旨には問題なく大賛成でございます。ただ問題は費用の点で、費用は合計三千万円くらいかかるのだそうです。その点で一、二果して大丈夫か、引き受けておいてあとから取り消すようでも困るからという話は出たそうでありますけれども、結局初めてのことであるし、国際分化交流に資することは甚大であるから、再来年一つ日本でやってもらうように立候補しようということに決定したのであります。私は非常にけっこうなことだと思いますので、文教の最高責任者である松村文部大臣もこれに対して力を入れていただきたい。そうして費用の足りないような点は何とかして来年度の予算に盛って、そうしてりっぱな国際ペンクラブ総会日本で行われるように努力をしていただきたいと思います。このことを質問いたします。
  4. 松村謙三

    松村国務大臣 今お話の点は、まだ私詳細のことを、——今初めて承わったわけでございますが、趣旨といたしましてはお話通り非常にけっこうなことで、その実現ができますれば、東西文化交流のためには非常にけっこうなことだと考えます。予算その他のこともありますが、よくお話を承わった上にできるだけの尽力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  5. 佐藤觀次郎

  6. 野原覺

    野原委員 大臣地方公務員である教職員夏期手当についてお尋ねいたします。大臣も御承知のように、すでに閣議で、今回の夏季手当については〇・七五に対して超過勤務手当ないしは日宿直料の繰り上げということで〇・〇五をプラスするというように決定したということでございますが、この閣議決定は当然地方公務員である教職員に対しても適用されなければならないと私どもは考えておるのでございますが、これに対して大臣はどのようなお考えでございますか、お尋ねいたします。
  7. 松村謙三

    松村国務大臣 今御質問の全体を、それが閣議決定であったというようなことはちょっと何がありますから、ただお話として承わっておきますが、それをぜひ実現いたしたいと思って努力をいたし、また今も努力をいたしておるわけでございます。大体受けるつもりでおりましたが、自治庁あたりともよく打ち合せをいたしてみますと、御承知通り地方財政が非常に窮迫いたしておりますので、それだけ実行できるかということについてはなお検討を要するものがありますので、自治庁と互いに相談をし合って最善の方法をとりたいと思って苦心をいたしておるところでございます。ただいまのところ申し上げ得ることはその程度と御了承をお願いいたします。
  8. 野原覺

    野原委員 そこで、昨年の年末のことで、松村大臣がまだ文部大臣ではございませんでしたから、緒方局長から御答弁下さってけっこうでございますが、昨年の年末は日宿直料の繰り上げということで大体一千円程度のものをプラスするということでございましたが、しかしながら地方財政赤字のために一千円プラス・アルファが出されておらない都道府県がかなりあったやに私は聞いておるのであります。一体何県くらい政府決定した通りの年末手当を昨年の暮れ出していないか、その点をお尋ねいたします。
  9. 緒方信一

    緒方政府委員 昨年暮れの措置といたしましては、教員につきましては、今お話ございました通り宿直日直手当の繰り上げ支給という形式を取ったわけでございます。そのために資金措置といたしまして、第四・四半期に交付いたしますはずの国庫負担金の一部を十二月に繰り上げまして地方に交付をいたしました。それが一つ資金手当であったのであります。当時は年間予算が成立したおりましたので、そういう措置がとれたわけであります。それから府県の一般的な資金手当といたしましては、自治庁の方で地方の方にあっせんをするということになった。さようなことをいたしまして地方実施のできるところは実施ができるという態勢はとったわけでございます。ただ、今お話がございました一律に一千円というようなことは正式に出ておったわけではございません。今申しましたような資金手当をいたした繰り上げ支給でありますので、普通十二月の日直宿直手当は一月に支払うのが従来のやり方でありますが、それを繰り上げてやったわけでございます。そこで今御指摘のございました、それでも地方財政状態あるいは資金状態等によりまして、実施のできなかった県が相当あります。現在私どもわかっております数といたしまして、大体十県くらいあると思います。これは御承知のように、ただいまの制度といたしまして、その給与の支払い、負担等につきまして都道府県に権限があり、責任があるわけでありまして、政府といたしましては先ほど申しましたような資金手当をいたしましたけれども、それでも資金状態財政状態でできなかった、かような状態が現出したわけであります。数といたしましてはただいま申し上げましたように十県ほどと承知いたしております。
  10. 野原覺

    野原委員 それでは大臣にお尋ねいたしますが、国家公務員に対しては超勤もしくは日宿直の繰り上げということで大体〇・〇五が保障される。ところが国家公務員である教職員、つまり国立大学教職員に対しては〇・〇五というものは確実に他の官公署職員並みに保障されるものであるかどうか。その辺はどのようになっておりますか、お尋ねいたします。
  11. 松村謙三

    松村国務大臣 できるだけそういうふうにいたしたいとは思いますけれども、予算を増してやることではございませんので、それができない部分があると思います。大学教授とか、文部省の中でもやはりはずれる人が若干あることは、どうもいろいろやってみますけれども、やむを得ないことと存じます。
  12. 野原覺

    野原委員 一般的に言って、大学教授の中で特定の者がはずれるということでなしに、大学教授一体〇・〇五についてはどういうことになるのかということをお伺いしておるのであります。〇・七五だけでございますか。
  13. 松村謙三

    松村国務大臣 〇・七五だけ、そういうことになると思います。助手とかなんとかはそういうような措置はとれますけれども、教授に至りましてはそれをやることはできないと思うております。
  14. 野原覺

    野原委員 そのことははなはだしく均衡を欠くと大臣はお考えになりませんか。そのことは、大学教官といえども国の役人に準ずべきものでございますが、夏季手当が他は〇・〇五出されて、それが教官には全く考えられないということは、はなはだしく教官諸君に対して均衡を欠くものであると大臣はお考えではないか、お尋ねいたします。
  15. 松村謙三

    松村国務大臣 それらの点は予算の操作によるようなことで、新たなる財源があるわけではございませんから、大学教授でありますとかあるいは文部省におきましても課長以上とかいうようなところへは、そのことが均霑することはできないことは、遺憾でありますけれども、どうもやむを得ないことと思います。
  16. 野原覺

    野原委員 予算のある省は十分の夏季手当が出されるけれども、予算のないところはまことにやむを得ないものだ、こういうことで簡単に片づけられることは私はいささか当を失したお考え方であり、やり方ではないかと思うのでございます。これは単に今回の夏季手当だけでなしに、今後政府が来るべき年末手当に対してもこのような措置がとられますと、予算がないからだめなんだ、こういうことで大臣が片づけられてしまうことは、私は、大学教官諸君にしてははなはだしい不満なものが起ってくるのではないかと思うのでございますが、これらの点については、今後とも予算がないからということだけで文部当局は放擲されるおつもりでございますか。
  17. 松村謙三

    松村国務大臣 これまでの先例から申しましても、大学教授等は、去年の暮れなどにもそれから漏れていたのでございます。これはどうも予算措置がなくしては何ともできませんので残念に思っておりますが、やむを得ません。そこで、このあとのことにつきましては、私の私見としましてお聞き取りを願いたいと思います。けれどもこういうふうにいつもその季節になって問題が繰り返されることはおもしろくないと思います。従って法律の改正、予算措置で一定の規格をきめて、その季節ごとにさらにどうする、こうするというような苦しい算段をしないことにいたしたいものと心得て、それに努力をいたすつもりでおります。
  18. 野原覺

    野原委員 そのような方向に大臣がなされるかどうかということは、今後の問題でございますから、私はとやかくは申し上げませんが、今回の措置に対して、明らかに大学教官には差等をつけられておるというこのことは、何とかして責任の省であります文部当局考えていただきたい。これは何としても考えていただきたい。今回の夏季手当に間に合うことができなければ、何らかの名目で、やはり他の官公署並みのことは国立大学教官諸君にも——これは文部大臣の方でお考え下さらなければ、だれも考えてあげる人はないのでございますから、これはぜひとも御善処方をお願いいたしたいのであります。  それから地方公務員である教職員の問題に戻るわけでございますが、〇・〇五は今のままではとても出せない。政府は、都道府県短期融資ということで〇・〇五を国から借りてでも出すという希望があるならば、十億円程度の金は用意しておるから貸そうじゃないか、こういうことを言っておるそうでございますが、今日赤字財政府県で、借金してまで〇・〇五を出そうという奇特な府県もないのではないか。そうなって参りますと、明らかに地方公務員は、中央官公吏よりもここでまた差等がつけられる。しかも地方公務員の中にたくさんの教職員がおるわけでございまして、この点は、大臣が非常に御努力下さっておられることとは思うのでございますけれども、けさの新聞を見ましても、熊本県においては〇・〇五は出せない、佐賀県においてもしかり、徳島県においては〇・五も困難だ、兵庫県も〇・五以上は絶対出さない、こういうことになって参りますと、これは中央との大へんな不均衡ということになって、私は問題が残されると思うのでございますが、教職員所轄庁でございます文部当局としては、これらの点について、自治庁なり大蔵省に対してどのような働きかけを今日ただいまなさっておられますのか。その辺をもう少し具体的にお示しいただきたいのであります。
  19. 松村謙三

    松村国務大臣 自治庁長官とも話し合いまして、ともども心配いたしておるような次第でございます。できるだけ一般のところまでやりたいと思っておりますが、今お話のような各府県状態でございますので、実は非常に心配いたしておるような次第でございます。
  20. 野原覺

    野原委員 それに対する見通しはどうでございますか。
  21. 松村謙三

    松村国務大臣 ただいまの折衝の見通しは、まだ何とかやれるというところまでいっておりません。これから続いて努力をいたしたいと考えております。
  22. 野原覺

    野原委員 この点は一つぜひとも大臣に御努力方をお願いいたしまして、私の夏季手当に対する質問を終ります。
  23. 佐藤觀次郎

  24. 高村坂彦

    ○高村委員 私は、大臣に教育の根本についてお尋ねいたしたいと思います。  先般三月二十九日の当委員会におきまして、佐藤委員長より文教行政に関する基本政策についての質問がございました。これに対しまして大臣は、大体三つのことを言っておられるのであります。第一は、大臣が変ることによって根本が変るのじゃ困るということを言っておられますが、これは一つは教育の中立性ということを意味しておるのだと思います。第二は、長い間の占領行政から離脱はしたけれども、まだ教育の根本が動揺いたしておるということを言っておられるのであります。それから、概念的には、方針としては、教育基本法の大本にのっとってやりたい、こういうことをおっしゃっておられると思うのでありますが、時間の関係もございますので、私の私見を申し上げまして大臣のお考えを拝聴いたしたいと存じます。  まず第一に、日本の教育の大本が動揺いたしておるということは、われわれもそう考えるのでございますが、一体今日の日本の教育の根本というものが依然として落ちついておらないのは、どこに原因があるであろうかということを考えますと、これにはいろいろな原因があろうかと思うのでありますが、すでにもう教育基本法ができまして八年以上に相なっております。これはいろいろございましょうが、まず第一には、教育基本法というものがどうも日本の国情なりあるいは国民性というものにぴったりしておらないのじゃないかということ、第二は、教育基本法というものがあまりに理想に走っておって現実と遊離をいたしておるのではないかということを考えるのであります。その他の教育制度も、これに基きまして全面的にそういう点があるような感じを受けるのでありますが、そのことは、ちょうど日本の憲法と同じように、やはり日本の自主性のない時代に作られたものであり、いわゆる占領下の制度あるいは法規であるというところにさような欠陥があるのであります。なるほど教育基本法は非常に理想的な内容を持っております。おそらく世界にも誇り得る内容だと思いますが、法律というものは、理想を高く掲げるがゆえに必ずしす尊いものでもないし、また値打のあるものでもないのであります。やはりその実行が保障されるというところに法律というものの値打があるのじゃないかと思うのであります。八年もたってなお動揺しておるということは、やはり今申しましたように、占領下の自由性のないときに向うから押しつけられたということについては少し議論があるかと思いますが、そういうところに根本の原因があって、どうも理想に走っておる、いわば占領政治の初期にこれはやったことでございますから、二十二年と申しますと、まだアメリカの日本に対する占領政策が変っておらない時代だと思います。従って、連合軍であるソ連の力も入っておる時代でございますから、そういうことで、私はやはり日本の弱体化と申しますか、占領政治の目的を達成する一種の軍事行動の一つの方針としてなされた制度である、そこに欠陥があるのではないかと思うのであります。  それから第二の、日本の国情、国民性に合わないという点も同様でございますが、明治維新に日本は非常な大改革をやりましたけれども、そのときにはやはり自主的にやり、また外国の文物を取り入れましたのも、大体明治維新では日本の国情あるいは国民性に合うような意味で欧州の大陸系のいろいろな制度なり立法例というものを取り入れた。海軍は別でございますけれども、大体憲法を初めとして、日本の伝統というものを考えながら日本の国情に合う大陸系のいろいろな制度を取り入れておりますが、今回の教育制度のごときはほとんどアメリカの制度を持ち込んでおるというふうなところにやはり日本の国情、国民性に合わないものがあるのではないか、こういう点が今日教育の基本というものが依然として動揺いたしておる根本の原因ではないか。端的に申し上げますと、占領政治の自主性のないときに作られた日本弱体化方針の当時のものであるから、非常に理想的であるけれども、日本の実力に合わないようなところがある。それからアメリカの制度を持ち込んだものでございますから、国情や国民性に必ずしも合わないものがある。そういうところから、この日本の教育の基本というものは、基本法ができて八年にもなっているけれども、依然として動揺しているというところがあるのではないかと思うのでございますが、この教育の基本が今日依然として動揺している原因は一体どこにあるのかこれをきわめることによって大本をはっきりしていく将来のしるべにもなるかと私は思うのでございまして、大臣はどういうふうに感じ、見ておられますか。まずこの点をお伺いいたしたいと存ずるのでございます。
  25. 松村謙三

    松村国務大臣 これは教育の大本に関する御質問でございますから、私の考えておりすことを申し上げまして御批判を得たいと思います。  私もいろいろ考えてみましたが、大体何だか近ごろの教育はたよりないと感ぜられるその原因はどこにあるかといいますと、教育の根本に対する指針を失った。以前は教育勅語というものがあって、教育の大本を示したのであるが、それがくずれて、それにかわるものがないのだ。従って今日は学校の先生方の思い思いによって教育をしておる、こういう点にあるのだろうと思うのでございます。これにつきまして、大体私は国民の教養というものを法律できめるということそれ自体に私は疑惑があるわけでございます。大体教育勅語と申しまして、あれがどうしてあの当時あそこまで国民の間に普及をしてきましたかというと、それは当時の権力にもよりましょうかなれども、やはり明治天皇という個人の人格と申しますか、個人の力というものがああいう国民の間へ浸透したと見るのが当然でござりまして、教育の感化というものは、これはやはりその人による。やはりキリストとか孔子とか釈迦とかいうような個人の教化というものが何千年後の今日の人類の思想を規律しておる、そこを考えてみなくちゃならないと思うのでございます。明治になりましてからも、たとえば福沢諭吉先生とか新島襄先生とかいうような人が出て、そうして今日の教育の内容を作ってきておるわけでございまして、すなわちその感化は人によるところが多い。そこで、さらに考えてみますと、日本の過去の歴史から見ましても、新しく世の中が変るときには、必ずそこに大きなあつれきがあり、摩擦があって、そうしてそれを日本国民の一種の天才というか、それを融和吸収して日本の文化を作ってきておることは、仏教が日本へ入ったとき、儒教が日本へ入ったとき、キリスト教が徳川以来日本へ入ったとき、みな同様でございまして、今日いろいろの点においていろいろの動揺のありますのも、日本国民が世界の流れを吸収してそれを日本式に純化する一つの道程であろうと考えるのでございます。たとえて申しますと、明治維新後に、あの武士かたぎの強い世の中に福沢さんがああいう拝金宗と言わるるまで前だれがけの教育を教えた。これは今日でも見られない非常にひどい変化であったことは明らかでございますが、それがやがて日本の流れとなりますと、日本の国の興隆した大きな原動力になっておるというようなことを考えてみますならば、この日本の激動期に当っていろいろの事態の起りますことも、これは一つの過程としてやむを得ない、その流れの過程を誤らないように導いていくのが今日文教に携わるものの大切な務めでなかろうか、こういうふうに考えまして、教育のやり方をできるだけ常識化する。今これを文書にして書いてみましても、この教育基本法の書き方についてもいろいろありましょうかなれども、またこれを書きかえるとしてもこれはなかなかむずかしい。そこで私どもは、国民の間に教育に関する一つの常識を涵養してもらって、それでやっていくよりしようがないのでありまして、これを成文化することはよほどの偉い人でなければいかない。それに大きな感化力を伴わなければいかぬと思いまして、それで基本法なども私よく読んでみまして、これと変った書き表わし方はありましょうけれども、今直ちにこれを変えるよりも、むしろこのうちのいいところを取り、そしてそれを国民の常識化することが大切な取るべき道でなかろうか、まずこういうふうに考えているわけであります。もしも誤まりかありますならば改めますけれども、私の考え方だけを申し上げまして御批判を願うわけであります。
  26. 高村坂彦

    ○高村委員 大臣のお考えはわかりましたが、私は占領下の日本の教育制度というものは非常に違ったものだと思うのです。たとえばただいまもお話がございましたように、外国文化を大化の改新でも大いに取り入れましたし、ことに明治維新では泰西の文化を取り入れましたが、これは何としても日本民族が自主的に取り入れたもので、従って伝統というものを重んじております。これを一つの織物にたとえれば、日本の伝統が強い縦糸であれば、外国から入ってきた文化は横糸の役割を演じて、そこに縦と横との織りなす新しい文化というものができているわけであります。ところが占領下に占領軍によって行われたものは、伝統というものをほとんど無視しております。今日の教育基本法を見ましても全く無味乾燥であって蒸溜水のようなものである、なるほど蒸溜水でありますから非常にきれいであるかもしれません。あるいはこれは化学の実験には役立つかもしらぬけれども、飲料水にはならない。味もない、これを用いれば下痢を起す、こういうふうなものではないか、そういうことで今日の基本法その他のいろいろな制度は、日本民族が自主的にやったものでないというところに非常な欠陥があるのであります。ただいまお話のように個人の感化ということもございましょう。しかし大改革の行われた後には民族としても国家としても非常な気魄が出てくる、たとえば中共におきまして今日見られる姿は御承知通りでございます。ところが日本はこれだけの大手術を受け、大改革が行われたにかかわらず、今日の状態は御承知通りでございます。かような状態一体日本が再建できるかどうか、私は非常な憂いを持っておりますが、今申しましたような、まず自主的にやられたものでないということ、それがだらだらだらだらけじめをつけないできているというところに、非常に大きな原因があるのではないか、従って大臣の今のお話でございますが、こうした制度あるいは法規というものに対して、日本は独立いたしたのでございますから、自主的な立場で全面的に再検討する必要があるのではないか、私はかように考えるのでございますが、そういう再検討ということについての大臣のお考えはいかがでございましょう。ただいま伺いますと、そういうことをしなくても自然にそういったものは是正されていくというふうなお考えかと思いますが、この点一つ大臣にもう一度伺いたいと思います。
  27. 松村謙三

    松村国務大臣 私は今のお話に出ましたお考え方、またいろいろの考え方が自然に動、反動となっている間に、国民の良識によってそれが適正なところに落ちつくだろうということを申し上げたのでございますが、これらの法規、教育の、アメリカが残していった制度全般については、ある適当な機会が来たらば再検討をすることはあり得ることとは思うのでありまして、全般がこれでよろしいということは私は毛頭考えておりません。教育の制度そのものについては、これは全面的に検討を要することは当然でありますけれども、この教育基本法だけをとって考えるべきものではなくて、全面的に考え、まして、中庸と申しますか、中正を得たところで、国民がだれも日本の教育はこの程度でというて安心をするところでやっていくべきだ、こういうふうに考えているわけでございます。
  28. 高村坂彦

    ○高村委員 私も教育基本法だけを申し上げているわけではないのでございます。  そこで次の問題に移ります。教育の中立性ということが言われているのでございますが、先般参議院の文教委員会大臣がお答えになっておられますところを拝見いたしますと、やはり中正の立場に教育を置きたいということを言っておられるのでございます。この中立ということは、教育基本法第八条第二項に書いてありますことを言っておられるのでございましょうか、あるいはそういった法規の問題ではなしに、中立ということを言っておられるのでありましょうか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  29. 松村謙三

    松村国務大臣 教育の中正と申しますことは、もちろんこの第八条の事柄も含んでおります。一方の政党に偏するごとき教育をやってはいけないことは申すまでもございません。同時にまた政治は教えるが一方へ片寄ってはいかぬことはもちろんのことでありますと同時に、思想の上におきましても中正のところをやっていかなくてはならぬということもその間に含まれておりまして、教育の中正化と申しますのは、広い意味に私どもは解しているわけでございます。
  30. 高村坂彦

    ○高村委員 今世界は二つになっているということをよく言われているのでございますが、この中立性というのは共産主義教育をやってはいかぬということでありましょうか。あるいはそういうことを含んでいるかどうか、あるいはフアッショ政治はいかぬ、フアッショ的な全体主義的な教育をやってはいかぬ、あるいは共産主義的な教育をやってはいかぬ、こういうことが具体的に入っているのでありましょうか。
  31. 松村謙三

    松村国務大臣 もちろんそういう意味、一方へ偏したことはいかぬという意味が入っていることと私どもは考えております。しかし思想は自由でございますので何ですが、教育としてはそれをとることはできないと考えており、学問はあくまで独立主義の考えでやったらよろしいが、そこに中庸性を失ってはいかぬ、こういうふうに考えております。
  32. 高村坂彦

    ○高村委員 そこで共産主義あるいはフアッショ的な全体主義、そういう思想を持っていることは差しつかえないが、そういう教育をしてはいかぬという御趣旨だと存じますが、教育の中立性ということは、何らよるべきところがなしに、ばく然と国家の教育というものがあってよかろうはずはないと思うのであります。少くとも国民教育には、一つの国是なら国是というものがあって、その国是に基いて政治が行われることはもちろんのこと、教育も、一つの国是というものがあれは、それに基いて行われなければならぬのではないかと思うのであります。国是ということは、国の根本方針、たとえば日本は文化国家、平和国家でいくというような、これが一つの国是であります。中共なんかでは共産主義が一つの国是になっている。大本になっておりますから、これに基いて教育が行われておる。そういうことで二つの世界のどちらということは、教育としては相当幅を持って自由に選択をして、国民が伸びなくちゃならぬからということで、たとえば自由主義国家の考え方を国民教育としてやることはいかぬということでございましょうか。その点はどうでございましょうか。
  33. 松村謙三

    松村国務大臣 国是に従ってやるということは、当然でございましょう。ところが国是とは何ぞやということになろて参りますならば、憲法のきまるところ、これに準拠することが国是だと考えているわけでございます。そこで共産主義をもって教育をするとか、あるいはファッショの考えをもって教育するとかいうようなことは、断じて禁圧しなくちゃならぬと考えておるものでございます。
  34. 山崎始男

    山崎(始)委員 ただいま教育の中立性の問題が出ましたので、これに関連いたしまして大臣に一言お尋ね申し上げたいのでありますが、聞くところによりますと、過日自由党と民主党とのいわゆる四者会談において、御承知の昨年の十九国会において未曽有の反動立法として騒がれました教育二法案に対して、自由党の方から、行政罰を刑事罰に変更するという申し入れを民主党にやった、民主党もそれを了承したというふうに聞いておるのでありまして、どうも何だか教育二法案の刑事罰が、保守結集と申しますか保守合同と申しますか、そういう政治的なものに取引されておるような印象を世間は持つのでありますが、こういう事実があったのかなかったのか、その間の消息をお話願いたいと思います。
  35. 松村謙三

    松村国務大臣 今のようなお話は、私は党の責任者からは承わっておりません。全く存じません。
  36. 山崎始男

    山崎(始)委員 火のないところに煙は立たぬという俗な言葉がありますが、少くとも四者会談にそういうものが出たということは間違いないだろうと思えるのでありますが、もし今後そういう問題が発展した場合に、文教の府の最高責任者として、文部大臣自身は、刑事罰にするということについてどういうふうな御見解を持っていらっしゃるか。一つこの際はっきりしていただきたいと思うのであります。
  37. 松村謙三

    松村国務大臣 まだ聞きもしない仮定のことに対しまして、決定的のお返事は申しかねる次第でございますが、ただそういう話は座談として出たかどうか知りませんけれども、その程度のことでないかと想像をいたしております。
  38. 山崎始男

    山崎(始)委員 どうぞ一つ思い切って御意思を表明していただきたいのです。ただいまも教育の中正の問題で、教育基本法八条の問題が取り上げられておりますが、今の大臣の御答弁は私は非常に遺憾なのであります。まだ出しもしないものを今から云々と言われますが、それならば一歩譲りまして、出る出ないはあと回しにいたしまして、新しい問題として行政罰を刑事罰にするということに対しては、どういう御見解をお持ちになっていらっしゃるか。
  39. 松村謙三

    松村国務大臣 私はただいまのところ、そういうことを考えたことはございません。
  40. 辻原弘市

    辻原委員 そこから先の問題ですが、今お話のような、かりに保守合同の取引の具にこの種の問題が取り上げられて、例をあげてはなはだ恐縮ですが、大蔵大臣のごとく、一兆のワクをこえることは断じて不可であるとは言いながら、これがしかし保守合同、結集の捨石になろうというので、二百十五億をのんでしまったというような一つの事実が最近あるわけでして、今大臣はこの問題については何らそういうような形に変える意思は持っていないとおっしゃったのでありますが、もし今後そういう問題が提起せられてきて、大臣としてはその際に今御答弁なさった意思を、これを変えるということは万々あるまいと私は考えるのでありますが、その点を大臣に所見として一つ承わっておきたいと思います。この問題は先の問題だとおっしゃいますけれども、これは大臣一つの御見解があってしかるべき問題です。先になってこれがいいとか悪いとかいう問題ではないと思う。従ってこれは今日といえども、将来といえども、少くとも大臣の信念については、いささかもこの種の問題については変ってくることはあり得ない問題だと思いますから、確かめておきたいと思うのであります。そういうような一つの不合理な形において、あるいは他からの強制によって、大臣の信念を曲げるというようなことは私は断じてあるまいと考えておりますが、そういうふうに今後も考えておって間違いないかどうか、この点大臣の信念、所信として承わっておきたい。
  41. 松村謙三

    松村国務大臣 この上のことは皆様の御批判におまかせするよりほかはございませんが、ただいまお答えを申した通りのただいまの心境でございます。
  42. 山崎始男

    山崎(始)委員 もう一点。どうも日ごろの大臣にしては御答弁があいまいなんですが、あなた個人の見解でもけっこうですが、非常にこの点は大切だと思うのですけれども、何か非常に御遠慮深いような御発言ですが、いま少し明白に、個人としての御見解でもけっこうですからお漏らし願えないでしょうか。世間ではこの点についてかなり誤解を持っておる。また聞くところによると、ある政党の筋の方からは、京都の旭ヶ丘中学の教員がもう一度復活する、こう事例があるのだから、ますますもっと厳重にしなきゃいかぬじゃないか、こういうような、これは一つの風評かもしれませんが、かなりあちらこちらでこの問題に対して非常な疑惑を持っておるのであります。この際大臣として刑事罰と行政罰との関係を明白にしていただく必要があると同時に、大臣とされても義務じゃないかと思うのであります。あまりにしつこいようでありますが、どうぞ一つ思い切って御返答願いたいと思います。
  43. 松村謙三

    松村国務大臣 私のただいまのところにおいてのお答えのできる範囲は、先刻来申し上げた通りでありまして、先刻来のお答えで大体おわかり下さることと私は考えます。
  44. 辻原弘市

    辻原委員 どうも大臣はただいまという言葉に非常にとらわれておるのですが、という意味は、現在においてはその程度が適当であろう、あるいは情勢の変化によってそういうことは変り得ることもあるということなのですか、一体それはどうなのでしょうか。
  45. 松村謙三

    松村国務大臣 私が明確にお答えできないことは、その場でどんな話が——そういう話がどうして出たのか、そしてそれがどういうことであるのか、実は何も私聞いておりません。そこでそういうことを離れてお前だけの考えを言えとおっしゃいましても、やはりそれに関連のあることでございますので、私からあまり先走ったことができない立場にあることを御了承をお願いいたしたいと思うのであります。
  46. 高村坂彦

    ○高村委員 私が教育の中立性を申し上げたのは、ちょっと関連質問でそれましたが、率直に考えまして、中立性ということは偏してはいけないということになれば、中心になるものは何かということに相なると思うのであります。その中心になるものは、先ほど国是でと言っておったようだが、これは抽象的な言葉でありまして、それは憲法に大体の日本の行くべき道は明らかになっておる。しかしこの憲法も、先ほど申しましたように教育憲法である教育基本法と同じように、これは占領下に占領目的を達成するための向うの一つの手段として押しつけた法律である。でありますからこれも検討しなければならぬ段階にきておると思います。  そこで先ほどの大臣お話にもありましたように、やはり日本がいろいろの点において落ちついておらぬということは、日本の行くべき道がまだはっきりしない、国家がこういうふうに行くのだということがはっきりしないことに占領下に日本の行き方が向うによってきめられたのでございますが、教臣基本法を見ましても、人類に共通した至上理念といいますか、普遍的な理念は、明らかになっておる。それから一飛びに飛んで個人のことが書いてある。しかし愛国ということは全然ないわけです。そういう点が、やはり今日の世界の文化の段階からいいましても、まだ世界国家ができているわけでもございませんし、われわれの幸福とか不幸ということはやはり国家の面できまるべき面が多いのでございますから、もう少し国家観念といいますか、そういうものが教育の中心にある程度なければならぬのじゃないか、こういうことを私は考えるのでございますが、大臣はこれについてどういうふうなお考えを持っておられますか、お聞きいたしたいと存じます。
  47. 松村謙三

    松村国務大臣 大体教育基本法の中に盛られております教育の考え方は、一つは世界に通ずる人格の完成ということ、それから常識の涵養ということが一つ、もう一つは才能を身につけること、大体これが三つの重点でないかと考えるのでございます。それには教育の中正化ということもありますけれども、教育を授ける考え方はその三つだと思います。そこで国なり民族なりに関することはこの中にないのです。そこに今お話のような疑点があるのだと思いますが、これはいやしくも国をなしておる以上は当然のことでございまして、愛国などという言葉は多分に以前の軍国的の響きを持ちますから、これはなにしませんでも、少くとも民族愛、祖国愛というもの、これはどうしたってなければならないことだと思います。家庭を愛せないならば、その家庭は破滅するよりほかに仕方がない、民族を愛せないから民族は滅びるよりしようがないのでありますから、これは当然のことでございまして、私どもはこの教育法の中の人格の完成という中に、これは当然多分に含まれておることと思うて、そう解釈いたしまして、そういう方針で教育をやっていきたい、これは明確に申し上ぐべきことと私は考えておるのでございます。
  48. 高村坂彦

    ○高村委員 大臣のお考えは了承いたしましたが、実は実際第一線で教育に当っておる人たちが、かつては非常な軍国主義的な、国家主義的な教育をいたし、これが愛国だと思って一生懸命やった、ところが戦争に負けまして今度は文化国家、平和国家といって、いかにも国家としてそれを誇りとし、あるいはそういうことが非常に間違いであるというような考え方を教えられてそれをやった、ところが三転してまた自衛のためには武器を持つのだということになって、どこに一体中心を置くべきかということで迷っておるのが、私は実情だと思うです。そういう点で今申し上げたことをお尋ねいたしたいのでございますが、大臣のお考えを了承いたしました。  そこで私は民主主義ということが、先ほど申し上げたように教育の一つの柱になっておるかとも思います。ところが民主主義ということは非常に幅が広いのであります。共産主義者も自分たちを民主主義者だと言っておりますし、また自由主義者も民主主義者と言っておる、また社会主義も民主主義と言っておるのでございます。そこで私は社会党の左派の綱領を拝見いたしますと、社会党の綱領の中には、社会党が政権をとりました場合には社会主義の原則に従って憲法を改正し、基本的な産業の国有化また公有化を確立し、行政、司法の諸機関や教育、新聞、出版、放送などの諸機構を社会主義の方向に適応させるということが書いてある。こういうことになりますと、やはり社会主義政権というものが確立すれば、その際には教育も社会主義の一つ考え方によってその線に沿わすということに相なるのではないかと思うのでありますが、われわれは自由民主主義を考えておりまして、社会主義というふうな主義は必ずしもとっておらない。しかし社会主義政策を断行するについてはわれわれ必ずしも反対いたしませんが、こういう点になりますと、一体今日の中立というものは、その辺のことをやることもまだ中立の分野に入るのだろうかどうか、この点に対して私は若干の疑問を持っておるのでありますが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  49. 松村謙三

    松村国務大臣 これはその政党の綱領でございまして、私どもはそういうことには賛成をいたさないのでございます。従いまして党派別にお互いに抗して争っておる。私どもは、教育というものは中正化で行くべきものだと考えております。それを守るがためにお互いに努力をいたしておるわけでございます。
  50. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 高村君、なるべく簡単にお願いします。
  51. 高村坂彦

    ○高村委員 最後に一つお尋ねいたしたいのでございますが、占領下に教育追放というものが行われました。これは日本が独立いたしまして追放制度というものがなくなりましたから、そういうことは消滅いたしたかと思うのであります。政治家は政治追放になりました人も今日カムバックされて大いに活躍されておる。これは国民の審判によって出てきておりますが、教育追放になった方々は一体どのくらいあって、そういう方々が今日大学——国立関係、公立関係あるいは私立関係等でどういうふうになっておられますか、そういった資料がございましたら一つお聞きをしたいと思うのでございます。
  52. 松村謙三

    松村国務大臣 局長から詳しく答弁いたさせます。
  53. 緒方信一

    緒方政府委員 ただいまのお話大学関係を主としてお話しのようでございますが、ちょっとただいまここに資料もございませんので、よく検討いたしまして提出いたしたいと思います。
  54. 高村坂彦

    ○高村委員 なおこれに関連いたしましてもう一つお尋ねいたしたいのでございますが、たしか昭和二十四、五年でありましたか、いわゆる教育界のレッド・パージということがあったように記憶いたしておるのでございます。当時読売新聞社の報道いたしておったところによりますと、大体教育基本法の第八条第二項で偏向教育をなした者として問題になっておる者が約四千人、そのうちで四百人くらい大体辞職を勧告されているということでございました。また共産党員がその当時労働組合等からもレッド・パージになったように承知いたしておりますが、これがその後どういうふうになったかおわかりになっておられますれば承わりたいのが一つと、私どもは、先ほど大臣お話にもございましたように、共産党員というものは、教育の中立性の立場からいっても教育界におられることは適当ではないのではないかと思うのであります。というのは、何ぼ共産党員であってもそういう教育をしなければいいじゃないかということは、一応理屈上は成り立つのでございますが、共産党の性格からいって党員であれば必ずそういうことをせなければならぬ義務を負っております。これはひとり日本だけではなく、アメリカあたりでもそういうことが問題になって、アメリカの大学総長なんかもこれを肯定をいたしておるのでございまして、私どももそういった考え方は賛成なのでございますが、たとえばワシントン大学の総長が、その共産党員の教授を免職するように州の教育委員会に勧告するに当りまして、こういうことをいっております。「共産党員たる教授は学者及び教育者としての客観的な真理追求の義務を捨てたものと認めざるを得ない。大学の使命は民主主義のもとにおける公民とはいかなるものかを教えることであるが、かかる教育をアメリカの今度転覆を唱道する団体に属する者の手中に置くことは許されない。」と述べられておるのでございます。また「アメリカの民主主義はその学問が民主主義の継続発展に必要欠くべからざる社会態度や方法、責任感と信念、忠誠心というものを教えることを期待しているのである。従って教職につくことは無制限の権限ではなく、教えることは公けの権能であり責任であって、必要な資格要件を持つものだけが、教鞭をとるべきである。学問的な価値を尊重すると同時に自由な社会の社会的価値を尊重するという道徳的な要件が、教育者として最も重要な資格である」とも言っておるのでございますが、私はこういう考え方は、これはアメリカの考え方でございますけれども、日本におきましてもこれは尊重さるべきことであると考えるのであります。ことに最近の世相を考えてみまして、日ソの外交等がだんだん進展をいたして参りますと、世相が相当そういうことの影響を受けてくる面もあり得るんじゃないかということを心配をいたしておるのでございまして、どうか政府当局におかれましては、こういう点も一つ十分にお考えをいただきまして遺憾なきを期していただきたいと存ずるのでございます。教育界におけるレッド・パージの問題を先ほど申し上げましたが、その後どういうふうになっておりますか、おわかりでございましたらお聞きいたしたいと存じます。
  55. 緒方信一

    緒方政府委員 いわゆるレッド・パージの問題でございますが、当時行われました退職の関係はお話のありましたように、教育基本法八条二項の関係と、それからそのほか一般的に申しまして、教師の勤務成績その他の関係を総合いたしまして、教師として適格を欠く者に対しまして行われたように私ども承知いたしております。これは当時人事権が県の教育委員会——市町村教育委員会ができる前でございますが、県の教育委員会としてそれぞれそういう判定をして勧告をした。かような実情であったように承知いたしております。その後の実情でございますが、これは実は明確に私どもわかりません。その人たちが再び教壇に返っておる人があるかどうかという点につきましても、おそらくそういうことはあまりないのではないかというふうに考えておりますが、具体的には私ども一一当っておりません。そのときのいわゆる追放の理由等にもよることと思います。今申しましたように、いろいろな関係を総合して、勤務成績等も総合いたしましてそういう処置をとった、こういうことでございます。
  56. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 小牧君。
  57. 小牧次生

    ○小牧委員 先般教職員の退職金、恩給制度の改正の問題についてお伺いいたしたのでありまするが、そのときに自治庁小林行政部長並びに緒方初等中等局長の御答弁があったのでありまするが、これについては、現在自治庁の方で改正の用意がある、また文部省においても大体自治庁と同じような御見解をここで緒方局長の方から発表されたと記憶いたしておるのであります。私その際におきまして、さらに自治庁あるは文部当局のお考えよりも進んで、市町村立の全日制高等学校、こういったところに奉職しておる人々にも範囲を広げて、この際改正をすべきではないかというような意見を述べたのでありまするが、その後この問題がどういうふうになっておりますか、まずこれから先にお伺い申し上げたいのであります。
  58. 緒方信一

    緒方政府委員 教職員の恩給あるいは退職年金の年限の通算問題について、この前お答え申し上げましたときには、まだ政府間の意見も十分調整できない段階でございましたが、自治法の改正といたしましてこの調整ができまして、先般国会に提案いたしたのであります。その中に教職員につきましても、恩給年限の通算ということを規定いたしておるわけでございます。ただいまお話しの市町村立の全日制高等学校教員につきましては、この前にいろいろ申し上げましたけれども、このたびの改正といたしましてはそこまで参っておりません。これは実態といたしましていろいろそこに考慮すべき問題があることは、私ども承知いたしておりますけれども、一挙にそこまで解決することはなかなか困難でございまして、今度の改正案の内容は大ざっぱに申し上げまして、府県間の通算、あるいは国と府県との間の通算、それにもちろんこれは市町村立学校の職員、つまり小・中学校の先生の問題も含まれておりますので、これは解決したわけでありますが、ただいまのお話しになりました市町村立の高等学校の先生につきましては、これはまだ解決を見ていないのでございます。かような状況であります。
  59. 小牧次生

    ○小牧委員 大体現在の実情はわかりましたが、実は私はまだその詳しい内容を見ておりませんので、これ以上詳しくお伺いできないのでありますが、ただこの問題の取扱い方が自治法の一部改正というものの中に含まれて出ておる、こういうふうに聞いておるのでありますが、まずその点をお伺いいたしたいのであります。
  60. 緒方信一

    緒方政府委員 その通りであります。
  61. 小牧次生

    ○小牧委員 私先ほど申し上げました通り、この退職金、恩給制度の通算の問題についてお伺いいたしたときには、緒方局長なり小林行政部長からいろいろ御答弁がありまして、そういう答弁の中から、こういった退職金、恩給通算の問題についてはその基礎になる期間の通算の問題ということで単独に切り離されて提出される、かようにそのときには考えておったのであります。ところが今お伺いいたしますと、地方自治法の一部改正というものと一緒にこれが提案されておるというお話しでございますが、その根拠についてお伺い申し上げたいのであります。
  62. 緒方信一

    緒方政府委員 実はこれは地方自治法の改正でありますので、この主管といたしましては自治庁であります。従いまして、私の方からその根拠を申し上げることはいかがかと存じますけれども、これは申し上げるまでもなく教職員の関係だけじゃございません。一般の地方の公務員も当然これに含まれておる、そういう関係からおそらく自治庁としましては自治法の改正の中に入れたのだろうと考えております。この前申し上げましたときにも、これは単独法ということは申し上げなかったのでありまして、この地方自治法の改正の機会にこういうことを実現をするように努力をした、こういうことであろうと私は考えます。
  63. 小牧次生

    ○小牧委員 その内容を詳しく存じませんので詳しくお尋ねできないのでありますが、こういう問題については、特に先般来私が御質問申し上げたのは、この文教委員会においては教職員のいろいろな身分あるいは、給与の問題、こういう点を専門に研究いたす委員会であります。従いまして地方公務員の中の教育公務員、こういった教職員の問題を専門にお聞きしなければならない、こういうことに相なるだろうと思うのであります。また文部省とされましても、教育公務員については特にその主管省として専門にこの問題を検討しておられる。従ってこういった教職員の退職金あるいは恩給の通算の問題についていろいろ法の改正ということを担当していただいておるわけでありますが、こういう問題を進めていきます場合に、なるほど公務員全体としてはこれは自治庁が所管して参るわけでございますけれども、今申し上げました通り、専門に教職員の問題を取り扱っておる文部省としてこういう点を自治庁と折衝をして、そうして責任を持ってこれを推進して参らなければならない、こういう建前であろうと私は思うのであります。従ってこういう問題について、ただいま局長から御答弁がありましたが、文部省としては自治庁と全然折衝されなかったかどうか、お伺いいたします。
  64. 緒方信一

    緒方政府委員 もちろんこの内容につきましては自治庁と折衝いたしまして、私どもの意見も十分取り入れてもらったわけであります。しかしながら私先ほど申し上げましたのは、お尋ねは提案の形式についてお話しでございましたので、それについては自治庁が主管として自治法改正として提案をいたしておるわけであります。そのことについて先ほど申し上げたわけであります。内容についてはもちろん私ども文部省としましても責任を持って自治庁と交渉し、この自治法の改正の機会に教職員についても年限の通算につきまして実現をいたしたいと考えておるような次第であります。
  65. 小牧次生

    ○小牧委員 最初自治庁の方で本国会においていろいろ改正したい法案の準備をいたしておりました過程において、その内容をお聞きいたしたのでありますが、先ほど申し上げました通り、この問題は当初明らかに切り離された題目のもとに私どもは知らされておったのであります。ところが先ほども話がありました通り地方自治法の一部改正と一緒にこれが提出された、こういうことについて私どもは非常な疑問を覚えておるのであります。と申しますのは、地方自治法の一部改正については御承知通り非常な世論を巻き起しておるのであります。従って私どももこれについては十分慎重なる態度をもって臨んでおるのでございますが、先ほど御質問申しました地方公務員、またそのうちの教職員の恩給、退職金の通算制の問題については、自治庁文部省も意見が一致いたしまして、何とかしてこれを改正しなければならない、そうして国と県、あるいは県と県間の人事の交流、あるいは恩給の通算、こういうことを大きく前進させて参らなければならないということでこれは提案された、こういうように考えるのでありますが、しかしながら地方自治法改正全体の中にはこれ以外に大きな根本的な問題が含まれておる。こういうものと一緒に出されるということについて、私どもは非常な疑問を持ち不満を持っておるのでございますが、これについてもう一度御意見をお伺いしたいのであります。
  66. 緒方信一

    緒方政府委員 地方自治法の一部改正法律の中に含めて提案いたしたということについての御意見でございますが、私ども初めから地方自治法の改正と切り離していたということは申し上げていなかったつもりでございます。私ども自治庁と話をしますときにも、すでに自治法の一部改正のことは十分自治庁として考えておったわけでございまして、国と都道府県間あるいは府県間の人事交流の円滑をはかるということは、これは自治法の自治制度の円滑を期する上からも大事なことでございますので、自治庁としましても、初めからこの自治法の中で一部改正をやれば、その中で取り上げるというふうに考えておったように私は考えておるのでございます。私どもとしましても、これはそういう中でやることは一向差しつかえない、かように考えまして、初めからそのつもりで話を進めてきた、かような実情でございます。自治法に対します御意見はこれはまた別にあるかと存じますけれども、この関係につきましてはさうな経緯でございますので、そのことは御了承いただきたいと思います。
  67. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 ちょっと小牧君、大臣に対して質問する方が三人ばかり残っているのですが、大臣質問ありませんか。
  68. 小牧次生

    ○小牧委員 ただいまの問題につきましては、自治庁の方がお見えになっておりませんので、いずれまた機会をあらためて自治庁の方にもお伺い申し上げたいと思っております。それからこの機会に、同じく恩給の問題でございますが、大臣にお伺い申し上げたいのであります。御承知通り、学校に養護教諭が置かれておるわけでございます。児童の保健その他非常に広い範囲にわたる仕事を担当していただいておる。先ほど来申し上げます通り教職員の恩給、退職金の通算制の問題については、いろいろ大臣の方でも御承知通りでございます。この問題について先般お伺いいたしましたときに、時間がございませんでしたので、養護教諭の恩給の問題は割愛いたした問題でありますが、この養護教諭の身分につきましても、御承知通り恩給の問題で非常に不合理な点が多いようであります。全国多数にわたる養護教諭の方々から切実なる訴えが毎日のように私どものところに参るのであります。昭和十七年でございますか、それ以前の身分とそれ以後にける養護教諭の身分と違いまして、簡単に申し上げますと、これが通算されておらない。従いまして、前から児童の保健の仕事に従事しておる養護教諭の大多数の方々も次第に年もとってこられますし、老後の安定と申しますか、安んじて児童の保健に従事してもらうというような制度をこの際どうしても確立しなければならない、私はかように考えるのでございますが、この点について大臣のお考えをお伺い申し上げたいのであります。
  69. 松村謙三

    松村国務大臣 私詳しいことを存じませんので、はなはだなんですけれども、事務の方から一応お答えを申し上げさせたいと思うのであります。
  70. 小牧次生

    ○小牧委員 大臣はこういうことを全然御存じありませんか。
  71. 松村謙三

    松村国務大臣 全然存ぜぬとは申しませんけれども、自分でこれならばという所信を申し上げるだけのところまで至っておりませんから、それで事務の方で一応申し上げまして、そうしてできるだけ努力いたしたいとは思うております。
  72. 緒方信一

    緒方政府委員 ただいま御質問の問題は、現在養護教諭でおる人で恩給法に載ってない、恩給法の公務員として従来適用を受けていない、あるいは準用を受けていない人の問題だろうと考えますが、これは恩給制度自体の問題でございまして、非常にむずかしい問題だと考えます。これは教育制度と申しますよりも恩給制度の問題でございますので、これはその方の責任者から十分申し上げないと非常に困難なことであると考えるわけであります。もともと恩給法に載っておらぬものを今になって載せようということでございますので、いろいろと困難な問題が多いように存じております。
  73. 小牧次生

    ○小牧委員 その困難な問題が多いようであるというのはどういう意味ですか。
  74. 緒方信一

    緒方政府委員 恩給制度としてそういうことを改正いたしますことが非常に困難であろうということを申し上げた次第でございます。
  75. 辻原弘市

    辻原委員 関連して。そのいろいろ困難なという困難な理由を御説明願いたい。そしてこれは恩給の制度の問題だから恩給法に載せないとできないというような話ですか、ほんとうにそうですか。
  76. 緒方信一

    緒方政府委員 これは恩給法自体の問題です。でありますから私どもの方からちょっと申し上げかねるわけであります。
  77. 辻原弘市

    辻原委員 私はそうは考えない。これはもちろん法的にいえば恩給法の問題かもしれませんが、制度の問題です。結局その通算が切れるということは制度の変改によって起った問題だ、それについてどう処置していくかということでありますから、恩給法自体の問題じゃないじゃありませんか。
  78. 緒方信一

    緒方政府委員 その通算が切れたとおっしゃる点はどういうことでございましょうか。もともと恩給法の適用を受けていなかった人に今度恩給法の適用を受けさせたい、こういうお話だろうと思ってお答えしていたのですが、それは恩給法の問題で、私のところでは申し上げかねると思います。
  79. 辻原弘市

    辻原委員 恩給法の問題で申し上げかねるということですが、しかしこれはあなたの所管されておる養護教員の問題です。それが困難だということは、これは恩給法の関係だから困難だといわれるのか、そうした通算について文部省考えること自体が困難だといわれるのか。まずその点を明らかにしてもらわぬと話がわからぬ。
  80. 緒方信一

    緒方政府委員 これは恩給制度の問題として文部省としては困難だということを申し上げたのです。これは文部省だけの問題じゃなくて、ほかにも同じような問題がたくさんあります。
  81. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 委員長から申し上げますが、今文部省としてどう考えておるかということをはっきり返答を要求さされていますから、よそのことはいいから、文部省としてはどうかということを御答弁下さい。
  82. 辻原弘市

    辻原委員 今委員長が言われたように、それは恩給の所管のことは恩給局から話を聞きますよ。だから文部省としてこの問題に対して一体どうなのかということです。
  83. 緒方信一

    緒方政府委員 これはお言葉を返すようでありますが、恩給法全体として検討すべき問題だと思いますが、私どもとしましては今後十分研究をいたします。
  84. 辻原弘市

    辻原委員 それはおそいですよ。ともかくこの問題は相当長い間問題になっていた問題で、少くとも文部省が知らないというようなことはあり得ない。もう一つ緒方さんに聞きますが、今他にもいろいろ同様なケースがあって恩給法上むずかしいというが、他にもいろいろあるというその例を一つあげてもらいたい。
  85. 緒方信一

    緒方政府委員 つまり恩給法に上ってこない職員というのはたくさんございます。雇いその他あります。それと同じような立場で、今その当時の、たとえば学校看護婦とか、そういう人たちが同じような立場で恩給法に載っていないわけなんでありますから、これだけの問題じゃないということを申し上げておるわけです。
  86. 辻原弘市

    辻原委員 そういうような考え方だから問題は運はないのですよ。あなたはその問題を同じ問題だと言われたが、同じ問題じゃありません。少くとも他に問題がいろいろあるという限り、相当に研究をなされて答弁をしてもらわなければ困ります。今言ったような、たとえば雇とかなんとかいう問題は、これは本来その制度が別にあって、雇の上に正式に雇われるいわゆる公務員がおって、そうしてそれは恩給が適用されるが、雇はその公務員たるの資格がないから雇になっておる。ところが今取り上げられている問題は違うでしょう。そのときに、たとえば学校にいる学校看護婦、その上にいわゆる恩給を受けるべき学校看護婦というものはなかったでしょう、そうでしょう、ただ考えてみれば、現在は養護教員昭和十六年には国民学校令によって養護訓導というものが初めて創設された、さらにさかのぼってみれば、昭和四年に文部訓令を出して同じような制度をつくっておる。ところが名称その他は区々であって、学校看護婦とか保健婦とかいろいろあるが、仕事、その内害実質は養護教員である、何ら変らない、しかしその当時の制度としては、いわゆる学校看護婦なり保健婦なりを、現在の言葉をもってすれば格づけする何らの根拠もなかった、なかったから恩給が切れておる。あなたがさっきあげられた雇なんというものとは性格が違うのです。雇というと、これは当時の職階の形からいうと、いわば職階の階梯のすそです。その人は自分の努力あるいは自分の持っておる学歴とか、いろいろな資格によって、上級の公務員たる仕事に登用してもらうことも、当時においても現在においてもできるわけです。ところが学校看護婦とか保健婦とかいうものは、特に勉強しようが資格を持っておろうが、いわゆる学校看護婦それ一つしかない。だから問題なんだということを言っておる。そのときに学校看護婦補とかいろいろな形があればあなたの言われるような雇と同じだということは理屈が立つ。そういうものがないでしょう、ただ制度が変ってきた、最近になって制度がつくられて、昭和十六年以降からは恩給が適用される、それ以前はそういう制度がなかったから恩給が適用されていない、これは文部省自体の責任ですよ。
  87. 松村謙三

    松村国務大臣 よく調べましてできるだけ御趣旨に沿うように努力をいたします。
  88. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 緒方君にちょっと注文しますが、私の方に非常にたくさんの投書がきているのですが、今まで相当問題になったことだと思うのですが、全然文部省は御存じないのでしょうか。責任ある答弁を願います。
  89. 緒方信一

    緒方政府委員 それは十分存じております。存じておりますが、繰り返すことになりますが、それは恩給制度として十分な研究をいたしたいということであります。
  90. 辻原弘市

    辻原委員 今のような考え方で取り上げられたのであれば、これは確かにあなたが言われるように、他にいろいろな類例もあるからというので、むずかしいという結論を出すにきまっている。私が申し上げた点で制度の変遷について若干おわかりになったかどうか。今私が説明したようなそういうケースの他にあなたのお気づきになる類例がおありになれば——私はいろいろ考えてみたのだが、今のところないのです。卒直に言って、かりに助教諭なら助教諭の問題、昔の助教ですね。これも同じようなものの範疇に入れられておるかもしれないが、私は助教も違うと思う。助教もその上に正式に任用される訓導というものがあって、そういう資格にはいつでも上れる階梯にあった。これは上れる階梯にない特殊なものだ、こういうことである。これは当然救うべきものであるとわれわれは判断するのです。それについて文部省はどう考えるか、やり方についていろいろあろうけれども、その問題がおわかりになれば一応の判断はできると思う。大臣がおっしゃったようにこれから研究するでは、私は怠慢しごくといわざるを得ないのです。もう一回緒方さんに聞きます。
  91. 緒方信一

    緒方政府委員 大臣からお答えもございましたように、十分研究をいたしまして御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  92. 小牧次生

    ○小牧委員 私どもの質問の間に辻原委員の方に質問が移りましたので中断されましたが、その間いろいろ応答がありましたので、現在の文部省のお考えも一応わかったわけであります。ただ遺憾ながら、こういった問題についてまだ十分研究はされないということを残念に考える一人であります。要するに現在の養護教諭は、御承知通り名称がいろいろ変りまして、その変遷の歴史を持っております。たとえば先ほど話がありました通り、学校看護婦とか養護訓導とか、あるいはまた現在の養護教諭とか、さらにまた昭和二十四年の教育公務員特別法によってまたこれが中断されるとか、現在の養護教諭については、過去から現在に至るまで、その身分について取扱い上非常に不合理な点が多いのであります。しかしながら、その名称がどういうふうに変りましても、同じく長い間学校において私どもの児童の保健のために重要な仕事を担当して今日まで参っておるのであります。この養護教諭の方々の退職あるいは恩給の問題につきまして、他の方々に比べて非常に不利な、不合理な点がたくさんございまして、そうしてその退職後における身分の不安定、こういうものから安んじて児童の保健の仕事に従事できないという不安を、私どもはぜひとも取り除いてあげなけはばならないということを痛切に感ずるのでございまして、今後文部省におかれましてこういう問題を十分御研究願いまして、これが強く推進されるように今後御善処方をお願い申し上げまして質問を打ち切ります。
  93. 佐藤觀次郎

  94. 永山忠則

    永山委員 日本学校給食会法案に関しまして質問をいたしたいと思うのでございますが、その前に、大臣にちょっとお尋ねいたします。合併市町村の関係で、中小学校の改築に対して優先的に取り扱うということが合併市町村の精神になっておるのでございますが、文部省の方においては、合併市町村に対しては中小学校の設備改築に対して優先的な処置をとられつつあるのでございますか、この点をお聞きいたします。
  95. 小林行雄

    小林(行)政府委員 町村合併が国の大きな施策として行われております関係で、ことに義務制の学校の建築に関しましては、従来いろいろ競争のありますような場合においては、その他の条件が大体同じような場合には、特に町村合併で新たに建てるものについては、これを優先順位に置くというような措置を講じております。ただ特別なこれについての手厚い補助をするというようなことは、現在のところまだ行なっておりません。
  96. 永山忠則

    永山委員 優先順位においてこれを取り扱うというその精神を特にお願いをいたしたいのでございますが、さらに合併市町村で大きな問題としては、学区統合、すなわち学校の統合等の関係をもくろみまして町村財政の堅実化をはかるということで合併をいたしておるのがございまして、その学区統合の関係におきまして、特に申請をいたしたようなものに対しては、さらに優先順位においてお願いができるかどうか、またこれまでの取扱い等はどうであるかをお伺いしたい。
  97. 小林行雄

    小林(行)政府委員 御承知のように、公立学校の補助金の問題につきましては、従来一定の基準がございまして、その基準に不足するようなものに対して援助をするというようなことになっております。ところが統合の場合におきまして、それぞれ統合される学校においては、十分基準に達しておるというような場合には、従来では統合に際して金が出ないというようなことになっておりました。これでは町村合併を促進するという意味からは、私ども不十分であると考えますので、将来の問題として十分この問題を研究して、何らか方策を考えたい、こういうふうに現在思っておる次第でございます。
  98. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 永山君に申し上げますが、ただいま法制局次長高辻正巳君、農林省畜産局経済課長岡崎三郎君、厚生省母子福祉課長吉見静江君、食糧庁輸入計画課丹羽雅次郎君、農林省大臣官房政策室長佐藤清美君の五君が来ておられますので、それに関連いたします質問をお願いします。
  99. 永山忠則

    永山委員 すぐにそれに入りますが、ただいま御答弁いただきましたように、町村合併に一番大きな経済的な関係は、学区の統合等の問題でございますから、これを中心にして、学校改築等をやりますときには特に優先的にやる方途について、大臣一段とお考えをいただきませんと、市町村合併の中心の経済をよくするということを、学区の統合ということが重大問題でございますので、この点に対して一段の御考慮を願うことにいたしまして、ただいま委員長からお話があった学校給食関係について質問をいたしたいと思うのでございます。  この給食関係とアメリカの余剰農産物の輸入関係との関連性について質問をいたしたいのでございますが、アメリカの余剰農産物輸入の中に、この給食関係用の、たとえば脱脂粉乳のようなものがどういうような計数において出ておりますか。この関連性について御説明を願いたいのであります。
  100. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先般五月末に日米両国間で協定されました余剰農産物関係の協定の第三条に学校の児童に対する福祉計画を拡大するために、農産物の贈与を行うことを約束してございます。この農産物の贈与は大体千五百万ドルということになっておりまして、そのうち千二百万ドルが小麦及び脱脂粉乳、三百万ドルが綿花ということになっておるわけであります。ただこの農産物の贈与につきましては、わが国及びアメリカとの間に、細目の取りきめをいたしまして、その取りきめの条件に従ってこれを実行するということになっておりまして、現在のところまだこの条件については交渉中でございます。このこまかい数字、たとえば小麦及び脱脂粉乳が幾ら入ってくるかというようなことについては、まだはっきり確定したわけではありません。
  101. 永山忠則

    永山委員 脱脂粉乳がどれだけ輸入をされることによって、学校給食関係の目的を達し得るという文部当局の御計算になっておるのでありますか。
  102. 小林行雄

    小林(行)政府委員 学校給食に使う脱脂紛乳についての計画的な数量ということのように承わったのでございますが、御承知のように、この余剰農産物の受け入れにつきましては、従来アメリカから輸入しておった数量は、これは減らさないということが余剰農産物受け入れについての前提条件になっております。大体年間一万トン程度の脱脂粉乳をアメリカから輸入しておりますので、これは将来も輸入しなければならぬということになると思っております。なおそれ以外の数量については、先ほど申しましたように、今後日米両国間で相互に相談をして取りきめを行うということになっておりますが、私どもの一応の計画では、将来はできるだけ国産の脱脂粉乳も、この学校給食の線に乗せていきたいということを考えておりますので、これらとのにらみ合せもございますので、まだはっきりした数量は出ておりませんが、両者を併用して——贈与分とそれから国産の脱脂粉乳、それに従来輸入しておりました一万トンの輸入分というものを合せて、学校給食の線に乗せていくということになると思います。
  103. 永山忠則

    永山委員 大体輸入分というのは、どのくらいな目標のもとで御交渉になっているのですか。
  104. 小林行雄

    小林(行)政府委員 従来大体一万トン程度を輸入しておりますので、これは来年も一万トン程度は輸入しなければならぬものと考えております。
  105. 永山忠則

    永山委員 贈与分は……。
  106. 小林行雄

    小林(行)政府委員 贈与分は、これは日米両国の間で相談するということになっておりまして、まだ最後的な線は出ておりません。私どもは、数量として大体七千トン程度のものが期待できればいいのではなかろうかというような気持を持っておりますが、これがそういう数字になるかどうかということは、まだはっきりいたしません。
  107. 永山忠則

    永山委員 この輸入分の、従来の分は縮めることはできないということになっておりますと、それに贈与分を受け入れるわけでございますし、国産関係もルートへ乗せたいということでございますが、国産関係の方は大体どの程度本年度はルートへ乗せるというような考えでおりますか。
  108. 小林行雄

    小林(行)政府委員 これは年間の学校給食計画を、どういうふうに計画するかということにもよるのでございますが、一応現状で進行すると、たとえば昨年度すでに学校給食を行う学校あるいは児童が相当ふえておりますので、そういった増加分も考えまして、大体一万九千トン程度のものは必要になるのではなかろうかという大ざっぱな計画をいたしております。従って輸入分が一万トンといたしまして、先ほど申しましたように、もし七千トンが贈与分で期待できるということになりますれば、その差引二千トン程度のものは、国産品をこの学校給食に乗せていくことができるのではなかろうか、こういうふうに一応大づかみな計画をいたしております。
  109. 永山忠則

    永山委員 贈与分を受け入れるという関係におきまして、乳価に影響するというような点は、農林省の畜産局ではどういうようにお考えになっているのでございますか。今日非常に乳価が下っておりまして、乳牛の十カ年計画というものに対して非常に支障を来たしているというのでございますが、これらにはどういうような関連を持っておられるのでございますか。
  110. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 お答え申し上げます。先ほど御答弁がありましたように、従来学校給食用の脱脂粉乳は、大体において輸入に待っておったわけでございますが、昨年以来の酪農界の不況にかんがみまして、特に不況と申し上げますと一時的な需給の不均衡が生じて参りまして、いささか供給の方が需要よりも上回っているというような現実の状態でございましたので、先ほどお話ございましたように、二千トンだけことしは国産物も使っていただくということでございます。さてこれが乳価に対してどういう影響を及ぼすかということでございますが、まず第一に、私ども農林省の考え方といたしましては、先ほど局長からも御説明ありましたように、できたら国産品でもって学校給食を全部まかないたいという意向なのでございます。しかしながら、これが量的にも供給が不可能でございますし、また値段の点でも、アメリカからグラントで安く入ってくるもの、あるいは通常輸入で非常に安く入ってくるもの、これの関係で、学校給食として受け入れる方の側からいいまして、値段は非常に安くありたいという希望がございますので、その点で、必ずしも現在国産品を全部使っていただくというわけにも参らないかと存じまして、ことしは一万七千トンと二千トンというようなことでございます。そこで、乳価の問題でございまするが、一万トンがそのまま手放しで国内市場に入ってくるということになりますれば、これはもちろん現在そうでなくてさえ不況の酪農界には非常に悪影響を与えるということになるのでございますが、ただ学校給食という特殊な目的に制限せられまして、そのために特に厳格に使われるということでございますならば——先ほど申し上げました通り、国産品でもって足りないところを学校給食用として使っていただきたいのですが、その足りないところを輸入分を入れていただくということになりまするので、従って、その点につきましては十分注意して、文部省の方と農林省の方と打ち合せてやりたいと思いまするので、悪影響がないように極力注意してやって参りたいというふうに考えております。
  111. 永山忠則

    永山委員 文部大臣にちょっとお尋ねいたしたいのでありますが、日本学校給食会は、ここに「学校給食用物資を適正円滑に供給し、あわせて学校給食の普及充実とその健全な発達を図る」と書いてございますのですが、この給食関係は、農村経済ことに乳価に非常なる影響を持つものでございます。ことに今日の農村関係はいわゆる有畜農業推進をやっておるような関係でございますので、単に学校給食という目的のもとに計画がここに進められるということになりますと、乳価に影響するところ非常に大でございます。ただいまの御説のように、文部当局は一万トンの輸入というのに縛られておるから輸入しなければならぬ、さらに七千トンの計画を持っておるのだということでございますが、そういうようになったのでは、学校給食だけに目的されておるからではあるが、手放しでおると非常に乳価に影響するという畜産局の経済課長のお話もありますので、これらを総合的に調整していくということに対して、どういうようなお考えを持っておられますか。
  112. 松村謙三

    松村国務大臣 お答えを申し上げますが、ただいまの程度では酪農には直接の影響は私はないと考えております。なぜかなら、もしも安い粉乳を取らないで高い生乳を使いますならば、これは大へん影響があると思いますけれども、そういうわけでなくして、安いグラントで供給することができるような状態でございますから、直接には影響はないと考えておりますけれども、先般もこちらでいろいろ議論のありました通りに、酪農と給食とを結びつけますと、非常に酪農の奨励にもなり普及にもなり、そして価格を適正に置くことができるというようないい結果を見ることができると思いまして、それでぜひそういうような給食の機構を作り上げたいと存じまして、先般もこの委員会理事の方々と御相談を願ったこともありますし、これからさらに御協議を経ましてそういう意味の給食改善の委員会を作り、これにはもちろん文部省ばかりではありませんで、農林省も厚生省の方々も皆加わっていただいて、最善の方途を講じたい、こういうように考えております。
  113. 永山忠則

    永山委員 学校給食法が今提案されておりますので、それらの委員会はこの給食法が通過するまでに、早急に本委員会がこれを了承いたしませば、お進めをいただきたいと思うのであります。ということは、大体この法案を見ましても、現在そのおもなるものは脱脂粉乳だということが第一に書いてあるのでございますけれども、われわれはどうしても酪農ということとコンビいたしまして、生乳をできるだけ飲ますということヘ力を入れべきであると考えておるのでありまして、今日酪農の十カ年計画とあわせまして、この学校給食というものは総合的な計画をとっていかなければならぬと思います。たとえて申しますと、一合に対して、贈与分があるとすれば一円になるかもしれませんけれども、実際上の現在の状態は一円五十銭くらいではないかと思うのであります。そうすると牛乳関係一円五十銭ほど補助するということになってきませば、脱脂粉乳よりは地方の牛乳を消化いたして、そして酪農の奨励ということになってくるのでございまして、それだけまた児童の体位向上にもなるのでございます。現在地方におきましては、牛乳が安くなりませば、学童へできるだけ生乳を飲ますということを希望をいたしておるのでございますから、ただ単に贈与分があるからということにおいてこれに目をつけるという考え方でなしに、国策的立場に立って、日本の自主経済の確立という観点において、総合的な計画をお立てを願いたいと思うのでございます。ということは、この計画を見ましても、熱処理に対して、すなわち高温殺菌でございますが、これに対しまして各地方に助成金を出すとかいったような予算的処置も計画もないのでございますが、これらの熱処理関係に対する助成の問題、あるいはパンを製造するところのパン加工の助成の問題というようなものが総合されまして、ここに学校給食というものが地方農家経済あるいは酪農関係、あらゆるものと総合的に計画を進められるという、この非常に理想的な方途がこの給食法では見られていないのであります。従ってただいま大臣の言われましたような委員会を早急に一つお作りをいただきたいと考えておるのでございますが、これに対して大臣はどういうようにお考えになりますか。
  114. 松村謙三

    松村国務大臣 できるだけ速急に進めたいと考えます。ただしこの法案とからみ合って、この法案の内容へそれを盛り込むというようなわけには技術的にできないかもしれませんから、この法案の内容をなすものとして御研究願うことはけっこうですけれども、この法案の御審議中にその結果を得るということはあるいは困難であるかとも考えます。どうぞ御了承願います。
  115. 永山忠則

    永山委員 一つできるだけ早急に御研究を願いたいということは、先ほど申しましたように法案自体の立て方がきわめて近視眼的な要素を持っておりますので、まあ法はこれでよろしゅうございますが、次に予算措置や内容の問題について、これをうんと実のあるものに持っていきたいという考え方において、特に関連が深いので、これが具体案について早急にお願いをいたしたいと思うのでございます。なおこれに関連いたしまして、将来はこの脱脂粉乳は輸入しない、また贈与分なんかいただかない。そして日本の生乳もしくは日本の脱脂粉乳で、国内産によってこれをやっていくんだという民主党のいわゆる六カ年計画というようなものとの関連においての抱負なり御計画を持っておられるかどうか、お聞きしたいのであります。
  116. 松村謙三

    松村国務大臣 理想といたしましてはそこまでもちろん行きたいと思っております。それには一面酪農の発達、乳価の問題等を解決しなくちゃなりませんが、それの発達に伴って漸次輸入を減少するということはもちろん主眼として考えていきたい、こういうふうに考えます。
  117. 永山忠則

    永山委員 元来終戦後におきまして、ガリオア物資等を恵まれましたアメリカの処置に非常に安易な気持でなれてきておる傾向もあるのではないかと考えますので、目標はやはり外国の脱脂粉乳に依存するという態勢を将来逸脱してやるということが、今度の総合計画の中に深く出てくることをさらに期待いたすものでございます。続いて新生活運動にこの食生活の改善、給食関係というものをどういうように取り入れてお考えになっておるかという点の、大臣の抱負を聞きたいと思うのであります。
  118. 松村謙三

    松村国務大臣 先般来申し上げました通りに、新生活運動は民間運動として出発いたすのでございますから、ここでそれをどうするということはわれわれが申すことではございませんけれども、必ず食生活の改善ということがそのうちの一つの大きな眼目となることは当然のことであろうと考えます。それにつきまして学校給食というものも、パン食の徹底というか、麦を主食に加えるということの普及には非常に役立つことと思うのでございまして、それとの関連性を学校給食の事業が持ちたい、こういうふうに考えております。
  119. 永山忠則

    永山委員 新生活運動の中に見出される食生活の改喜と体位向上並びに自給食糧の確立という線が太く打ち出されまして、初めて学校給食が非常に強く浸透をいたしておるのでございますので、本法案の目的を見ましても、この学校給食を普遍的にどこまでも推し進めたいという目的に合致するものであると考えますので、一段と構想を練られまして、予算措置におきましても、アメリカ上り輸入した物の支払い延期になる資金は、必ずしも愛知用水でなくても、これらの資金をこうした給食関係の必要なる諸施設にでも回す、あるいは食管特別会計の方でも特別な考慮を願うといったような、予算措置を伴う新生活運動を、学校給食の伸張ということに対して一段の構想を願いたいのでございますが、大臣はこの予算措置に対して、余剰農産物受け入れから出る日本の支払い延期の資金をこういう方面に持ってくるというようなお考えはありませんか。
  120. 松村謙三

    松村国務大臣 その点につきましては酪農との関係その他のことがありますので、事実その委員会などの決定で練った方策を実行するのには、予算の裏づけを必要とすることは当然だと思いますが、今度の予算の中へそれを盛り込むことはできないことでございますから、それで次の年度を考えるよりほかに道がないと考えます。ただし今度アメリカから学童に対する食糧を送ってくるのにつきましては、この間も向うの責任者にも会いましたが、その使用についての案は農林省にまかせて立てることに大体了解が得られることと思いますので、従ってそれらもあわせて考慮することができるだろう、こういうふうに考えます。もちろんそれから得たものも、学童の福祉以外のところへ使うことはできませんけれども、そういうことでありますならばアメリカとの折衡も大体できるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  121. 永山忠則

    永山委員 学童の体位を向上し、福祉を増進するという目的の中に、さらに農産物の自給の問題あるいは食生活の改善等強く含まれた給食でございますので、この点に対しては農林省も重大なる関心事であると考えます。特に文部大臣は前に農林大臣もおやりになり、農林問題の権威でもございますので、この給食関係とあわせて十分その使途に対して予算的な措置が裏づけられますように特に強く要望いたしておきます。  さらにこの給食関係におきまして、貧困なる児童に対する生活保護の立場におきまして、これの給食に対する諸費用は生活保護費の中から出るように方途がなっておるかどうかお聞きしたいのであります。
  122. 小林行雄

    小林(行)政府委員 御承知のように生活保護法の中に教育扶助という制度がございまして、その教育扶助の中で、学校給食に要する費用は生活保護の対象になるということで、いわゆる貧困児童に対しての給食費はその方から出ることに一応なっております。
  123. 永山忠則

    永山委員 この生活保護の教育扶助における学校給食関係の費用は、ただ単に脱脂粉乳の問題だけではございませんので、完全給食等をやっております関係等においてはある程度の金額を持つものでございます。これらに対しまして政府の方では非常に制約をいたしておる関係上、貧困児童が非常に肩身の狭い立場に置かれまして、かえって教育上において非常な弊害を及ぼす点を見出すと思いますので、教育扶助の中の学校給食費に対しまして、政府ことに文部当局は、完全給食の範疇までこれを引き上げまして、これが使途に対しまして予算的処置で縛り上げていかないように、格段の努力を願いたいと考えるものであります。そこで学校給食会を今度特別法人にいたすのでございますが、これは中央にだけ置きまして各地方においてはどういう下部組織を動員しようとする考えでございますか。
  124. 小林行雄

    小林(行)政府委員 今回の学校給食法案は、御承知のように従来財団法人日本学校給食会がやっておりました学校給食物資の供給が非常に莫大な数量を最近取扱う、従って金額としても相当大きな金を取扱う、いわば国の代行的な仕事をするものでございすので、これをさらに法規の制約のものに置く特殊の法人にしたいというのが本来の趣旨でございます。従ってこの際もしできれば中央のそういう機構の変革のみならず、地方にもはっきりした機構を作るということも一つ考えではございますが、現在各都道府県府県の学校給食会がそれぞれございまして、そこで学校給食用物資の受け入れ、供給というような仕事をやっておりますので、将来は別といたしまして、とりあえずの間はこの各府県の学校給食会を従来通り使用していく、さらに発足以後におきましていろいろ研究したあとで、各府県にそれぞれ中央機構の支部と申しますか、下部組織が必要だということになれば、そういった面についても将来考慮したい、こういうふうに考えております。
  125. 永山忠則

    永山委員 大臣はとても大きな給食関係を取扱うのでございまして、実際をいろいろ知ってもらいたいと思いますが、並木さんの質問大臣にあると言われますので、大臣に対する質問は一応これを留保して並木さんの方にお譲りして、給食会の根本問題については一つ後ほど質問を続けさしていただくことにしたいと存じます。
  126. 佐藤觀次郎

  127. 並木芳雄

    並木委員 大臣にお尋ねいたしますが、教育二法律の改正問題でございます。これは非常な問題を起した例の教育公務員特例法の一部改正、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法の二つでございます。最近自由党の石井幹事長が私の方の民主党の岸幹事長をたずねまして、保守合同の談合にからんでこの二法律を改正したい、行政処罰を刑事罰にまで持っていきたいというような申し入れがあったのであります。私どもはこれを聞いて、保守結集とか、いわんや保守合同の話し合いにからんで教育の問題を議するなどというのはもってのほかだと思っております。私自身もこの教育二法案のときには反対の立場にあったものだけに、黙っているわけには参りません。そこで党と党との話はごうあろうとも、松村文部大臣としてはこの法律は少くとも当分このままで存続するのだ、改正どころか改悪のことなどは思いもよらないということを私は言い切っていただきたいと思うのです。私自身としてはこの二法律そのものにも反対なくらいですから、そういう注文を持った質問が出てくるのは当りまえでございますが、この際一つはっきり言明していただきたいと思います。
  128. 松村謙三

    松村国務大臣 先刻も同様の御質問がありまして、お答えを申し上げておきましたが、あなたはそのときお留守であったかもしれません。
  129. 並木芳雄

    並木委員 ちょっと中座して、失礼いたしました。
  130. 松村謙三

    松村国務大臣 それは先刻も申しましたが、党と党との間にそのような交渉のありますことは私は少しも聞いておりません。責任者よりも、また責任者でない人からも、その話は聞いておりません。従いまして現実の問題としてお答えをすることは適当ではないと考えます。それならばお前の考えはどうかと先刻聞かれたのでございますが、それはただいまその二法律のうちを変える考えは持っておりません、こういうお答えを申したのであります。そうすると、それならば将来はどうだと、こういうお話までも詰められたわけでございますが、それは皆さんの御批判にまかせて、ただいまここでお答えいたしませんが、ただいまの考えはその通りでございますと、こういうふうにお答え申し上げたのでございます。まだそれについていろいろのお話もありましたけれども、ただいま私の立場においてお答えできることはその通りでございます。よろしく御了承を願います。
  131. 並木芳雄

    並木委員 けっこうです。私中座をしておったために、その点二重の質問をいたしたことはおわびをいたします。ただ立場が違いますから、立場の違う点で同じ質問ではございますが御了承いただきたいと思います。もう一つだけお尋ねいたしますが、もし前に出ておったとしたら、大臣簡単でけっこうです。実はこの前三本建を是正するという野原委員質問に対して大臣が、三本建を今直ちに廃止する考えはないけれども、中で同じ資格の者でこれは確かに気の毒であると思う者に対しては、高等学校の先生と同じような待遇をいたすことを考えているという、私どもにとっては非常に適切な答弁があったのでございます。この点についてその後どういうふうに検討が進められておりますか、ぜひ知りたいのでございます。どういう方向へ持っていかれるのか、要するに具体的にもう少し詳しく知りたい、こういう質問でございます。
  132. 松村謙三

    松村国務大臣 それはその通り考えております。たとえば以前といえども小学校の先生方に奏任待遇などという、特別の功労のあった人たちはこういう待遇もあったのでありますから、ぜひそういうふうにいたしたいと考えております。しかしながらそのことは予算その他法制の関係もございますので、今度の議会に直ちにというわけには参りませんが、次の議会までにはぜひそういう措置をとりたいものと考えております。
  133. 並木芳雄

    並木委員 非常にけっこうです。もしかりに通常国会の前に秋に臨時国会が開かれたといたしました場合には、当然それに間に合せていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  134. 松村謙三

    松村国務大臣 ただいまのは私だけの考えであります。まだ省議を経たわけではございませんが、私は次の予算の編成の際にそれをやりたいと考えておりますので、万一急に臨時議会が開かれたとしても、それに間に合うということはあるいは困難ではないかと考えております。
  135. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 なお委員長から先ほどの教育二法案の刑事罰のことにつきまして一言いたしたいのです。今まで委員会でいろいろ質問がございましたが、文部大臣からそういう問題については当分変えないというようなお話もずっとありました。われわれも大臣の御意思が今はっきりしまして安心しましたが、社会的な影響のある非常に重大な問題でありますので、慎重にお取扱い願いたいということを一言お願い申し上げておきます。
  136. 松村謙三

    松村国務大臣 今の委員長お話は十分考慮していきたいと思います。
  137. 永山忠則

    永山委員 先刻質疑応答がありましたが、輸入計画課長から、日本の食糧自給と生活の改善、農村経済の確立といったような総合的見地において、これの輸入計画を進められる御方途について御意見を聞きたいのでございます。
  138. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 お答え申し上げます。大へん大きな御質問でございますが、私どもといたしましては、食生活の改善によりまして小麦その他の需要の増加の趨勢が具体的に現われて参りますれば、そういう実態に応じまして輸入の計画を作成するわけでございます。現実に昨年度以来相当小麦の消費が増大して参っているわけでございまして、そういう国内の需要と、それから国内におきます小麦の出回り、この両者を勘案いたしまして、外国からの小麦の輸入量を考えたい、小麦の輸入量を算定いたします際には、学童の給食用の小麦の増大というファクターがございますれば、もちろんそういうものを織り込みましてその量を算定する、こういうような考え方でただいま取り進めております。
  139. 永山忠則

    永山委員 総合食糧消費政策室長の御意見を伺いたい。
  140. 佐藤清美

    佐藤説明員 ただいま食糧庁の輸入計画課長が申されましたように、今後の日本国の食糧行政がいかようになることが望ましいかということで、種々検討はいたしておりますが、先ほど来お話がありましたように、学校給食等によりまして、幼年層から栄養的にも望ましい形に変更されていくことを期待いたしているわけでございます。そのほかにも厚生省等とも連絡をいたしまして、今後食生活の改善には遺憾のないようにいたしたい、かように考えております。
  141. 永山忠則

    永山委員 アメリカから贈与を受けるというような点に眩惑されずに、国内の自主経済の立場、あるいは総合食糧政策として体位向上と食生活の改善等、あらゆるものを総合的に考えて、輸入計画なり諸種の対策をお立ていただくことを希望いたすものでございます。  この場合厚生省の児童母子福祉課長がお見えでございますので、脱脂粉乳等の配給は厚生省にも関係がございますので、これらは文部省とどういうような関連性において、あるいはまた給食関係の法案とどういうような関連性において進まれているかお聞きしたいのでございます。
  142. 吉見静江

    ○吉見説明員 私どもの保育所の給食につきましてお答え申し上げます。これは二十四年から発足しておりますが、二十八年度におきましては、輸入物資を学校給食会で扱っていただきました関係で、保育所もその同じ脱脂粉乳を使いますので、学校給食会にお願いをいたしまして一緒に扱っていただきました。ただいまはCACからの寄贈物資をもってこれに充てているのでございますので、学校給食会にはお願いをいたしておりませんけれども、これは文部省の方と種々連絡をとりまして、同じような歩調で、従来は——今日もでございますけれども進めて参りました。ただ私の方は数量が少い関係から、今まで輸入などの場合一本に扱うことが困難でございますから、御厄介をお願いして、文部省の方の学校給食会を使わしていただいておりました。法案につきましては、前に文部省の学校給食法が出ましたときに、これを一緒に載せていただきたいというふうな希望を持っておりましたけれども、建前が違うし、いろいろ文部省の方の御都合がございまして、これは別個にするようにということで、そのときは法には載せていただきませんでした。その後機会がありましたら別の単独の法をもってこれを進めるようにというような希望も持っておりましたけれども、今日のところではその運びにいたっておりません。
  143. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 永山君に御注意を申し上げます。今議長から委員会のストップ命令が来ましたから、まことに済みませんが、結論をお願いいたします。
  144. 永山忠則

    永山委員 厚生関係もやはり保育所その他を担当されておりますので、ただ所管が違うというだけである程度は同一目的の要素を持っておるのでございますので、文部省と一段と深い関連を持たれまして、またこの法案等に対しても何らか一つ協調をして進むような一段の構想をお願いいたしたいと存じておりますと同時に、これが輸送関係におきましても、厚生省単価と文部省単価の差異等も往々あり得ることでありまして、配給面に対しても一元的な取扱いということが望ましいと考えておりますので、この点また十分御研究おきを願いたいと考えておる次第であります。
  145. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 本日の質疑はこの程度にとどめ、残余の質疑は次会に行うことといたしまして、この辺で散会いたしたいと思います。次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後一時四十三分散会