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1955-06-13 第22回国会 衆議院 文教委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十三日(月曜日)     午後一時二十四分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 伊東 岩男君    理事 並木 芳雄君 理事 坂田 道太君    理事 竹尾  弌君 理事 辻原 弘市君    理事 三宅 正一君       纐纈 彌三君    高村 坂彦君       杉浦 武雄君    野依 秀市君       山口 好一君    米田 吉盛君       永山 忠則君    島上善五郎君       野原  覺君    小牧 次生君       平田 ヒデ君    小林 信一君  出席政府委員         文部事務官   稲田 清助君         (大学学術局長)         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君  委員外出席者         参  考  人         (私学振興会常         務理事)    高木 三郎君         参  考  人         (二松学舎大学         理事長)    松浦 昇平君         参  考  人         (二松学舎大学         教組委員長)  三島  一君         専  門  員 石井つとむ君     ————————————— 六月十一日  委員山崎始男辞任につき、その補欠として小  川豊明君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員伊藤郷一君辞任につき、その補欠として永  山忠則君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 同月十日  博物館法の一部を改正する法律案内閣提出第  八八号)(参議院送付) 同日  へき地教育振興法に基き分校並びに単級、複式  学校教育振興に関する請願植木庚子郎君紹  介)(第二〇八五号)  同(小枝一雄紹介)(第二〇八六号)  同(藤本捨助君紹介)(第二一二二号)  産休補助教員設置制度化促進に関する請願(  北山愛郎紹介)(第二〇八七号)  高等学校定時制教育及び通信教育に関する予  算増額等に関する請願熊谷憲一紹介)(第  二一二〇号)  育英事業予算増額に関する請願愛知揆一君紹  介)(第二一二一号)  の審査を本委員に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  学校教育に関する件(二松学舎大学事件)     —————————————
  2. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  まず参考人指名をいたしたいと思います。私学振興会常務理事高木三郎君、二松学舎大学理事長松浦昇李君、二松学舎大学教組委員長三島一君、この三君を学校教育に関する件に関連する二松学舎大学事件参考人として指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。参考人を決定いたしました。  この際一言ごあいさつ申し上げます。参考人方々におかれましては御多忙中のところ当委員会にわざわざ御出席下さいましたことを厚くお礼申し上げます。委員会を代表して一言お礼を申し上げます。  これより学校教育に関する件を議題とし、本件に関連する二松学舎事件について参考人方々よりそれぞれの立場から事件の実情、御意見を聴取することにいたします。二松学舎大学理事長松浦昇平君。
  4. 松浦昇平

    松浦参考人 今度の争議によって歴史あるわが二松学舎教育の場が実力闘争の場と化したことにつきまして、学校法人理事者といたしましてまことに遺憾に存じております。一日もすみやかに平穏な話し合いによって円満解決を見るように願っておる次第でございます。すべての争いは誤解からと申しますが、誤解ならばわかるのでありますが、幾ら話してもわかろうとはせず、自説を固持しようとして、しいて事実の真相を曲げて解釈しようとするところにこの二松学舎紛争の原因があったのであります。平和裡に団交を好まず、暴行脅迫を伴う団体交渉によって相手方の意思の自由を奪った上で事を決しようとするところにこの争議特質性があるのであります。  実は四月、一教授独断学長職務代行を始めたことから、学長職務代行停止の仮処分をいたしまして東京地裁に係属したのであります。裁判所のあっせんによりまして理事者側教職員組合側もともにみずから反省をして、是正すべきは是正して、今後は経営教育という相異なった立場に立って、相手の事情を十分に理解し合って、相互の立場を尊重し合い、すべてを話し合いでいくように誓い合ったばかりでありますが、四月二十一日には突如として暴行脅迫の手段が繰り広げられまして、われわれは非常に遺憾に思っております。都の地方労働委員会あっせんによりまして、教組側の方からも地方労働委員会の方にあっせんをしてくれというお願いがありまして、われわれ理事者側の方もあっせんをお願いしたばかりでありますが、たまたまわれわれの要求を入れられなければ実力行使を行うというようになったのであります。一部の新聞紙上組合側主張として掲げられておりますことはことごとく事実と相違しております。第一に組合側のいわゆる不当解雇の問題にいたしましても、そのうち二名は本人みずから学校をやめたのでありまして、一部の組合員だけがこれを問題にしておるようであります。他の二名の解雇労働組合が結成される一年前からの問題でありまして、労働組合が結成以前のことであります。その解雇理由教育者としてあまりにも目に余る行為が重ねられたので解雇を見るに至ったもので、いずれの場合も理事者側理事会決議に基いてやったわけであります。そのとき学長の承認もあったのであります。理事長としては右の理事会決議を執行したのみで、理事長独断で行なったものではございません。  第二に申し上げたいのは、私学助成金のことでございます。助成金PTA補助金を不当に配分したなどと言っておりますが、これは何をさしてこのような重大なことを簡単に言ってのけるのか、驚くのほかありません。これらの金の配分方法は今もちゃんと公正な配分によって配分されておりますから、それを見れば明らかになっております。一点のやましいところもございません。きわめて適正適法配分されておるのであります。  第三番目は、理事長学校に金を貸したり、利子をとっているということを曲解しておるようですが、これはおそらく私が理事長に就任する前の理事長との契約のことを言うのであろうと思いますが、学校法人二松学舎が非常に財政上行き詰まってしまいまして、もはや廃校する寸前にありましたが、その再建のために私が若干金を融資いたしました。実はこの金も一部は他から調達した金でありまして、これもとうてい利息くらいしかもらっておりません。  第四番目に、学生生徒授業料滞納に対する処分問題でありますが、元来、組合が言うような学生に対する退学等の処分は、これは学長がなさることでありまして、理事長の関与するところではありません。事実、組合側の言うような例は一つもございません。要するに、いずれにいたしましても、私立学校理事者側といたしましては、教職員組合本来の主張であるべき労働条件の改善や、経済目的等を中心として団体交渉にすみやかに応じ、できるだけ希望に沿うようにやっていきたいのでありますが、虚構の事実を掲げて特定の個人攻撃目的としておるような現在の一部労働組合員のやり方は、このような無根の事実を信ぜしめられ、一部急進分子の指導に巻き込まれていく学生生徒を思うとき、学問の府が転じて赤色闘争実験場になりつつある現状のごとき、われわれは実に痛憤おくあたわざるものがあるのであります。以上であります。
  5. 佐藤觀次郎

  6. 三島一

    三島参考人 ただいま松浦理事長からお話がありましたが、この点についての反駁と申しますか、私の意見は、これから申し上げる中に含まれておりますから、さよう御承知を願いたいと思います。  いろい申し上げたいことが多々あるのでございますが、これをしぼりますと、会計上の不当、不正、それから学園組織不法、こういうふうに私どもは考えております。昭和二十六年に二松学舎法人に切りかえられました際に、文部省法人認可の指令の第一条件として、こういうことを明らかにしておるのでございます。理事長松浦昇平——原文通り大体読みますが、貴法人に対する債権については、すみやかに寄付その他適当なる方法でこれが負担を軽減すること、こういうことになっております。これは松浦氏が、先ほどおっしゃいましたように、法人提出されました百六十万円という金員をさしておることは明らかでございます。ところが松浦さんは、今申しました条件を受け入れまして、百六十万円をもって学園理事長としてお入りになったのでございますが、その後、久しからずして、過去一年の元利を合計して、二百六十万円の元本を設定され、公正証書を作られ、その上年利一割を取ることを決定されたわけであります。私どもの見解によりますと、松浦氏は文部省の設定されました条件を御無視なすったばかりか、これに違反なすっていらっしゃると認めるのであります。その上、簡単に申し上げますと、学生自治会費として徴収いたしましたものを、自治会を解散して学友会にしなければ使用させないとおっしゃったように思いますし、さらに教職員方たちには赤字経営であると言われており、また八十三の老齢の学長は、市川からおいでになり約一時間半ほどかかるのでございますが、混んだ電車で往復されるにもかかわらず、御自身学内で、あとで申しますように最高給をとっておいでになり、交際費として年間約四十数万円と記憶しておりますが、お使いになっている。また自家用車のガソリン代として昭和二十八年には二十三万円を取っていらっしゃる。それだけでなく、校務一切を、大へん恐縮でありますが御自身の御気分で左右しておられました。係職員の権限内でははがき一枚、ペン先一本買う金を動かすこともできなかったのであります。これを一々こまかに申し上げることはできないくらいであります。そのために、今すでにやめております一理事教務課長にこのことが反映いたしまして、いろいろな不正がありました。松浦理事長は、山田理事と暗黙の間に了解されまして、その人を二十八年の末に円満にやめさせるということがあったわけです。私たち教職員給料は全くお話にならないほどでございまして、昭和二十九年になりますと、学生もふえて着々好転して参りましたので、教授一万五千円、助教授一万円という当時としても非常に内輪な要求をしたのでありますが、大学専任教授一万三千円、助教授八千円に押えまして、給与規定もございませんし、給与体系もないし、いろいろの諸手当も一切つけないというような処遇であります。松浦さん御自身はだんだん給料を値上げされまして、年俸二十四万円と申します本学の最高給料を取られ、その上ガソリン代も御自身でお取りになり、さらに年利を取られるという状態であります。それについて教職員学生あるいはPTA、同窓会というようなものが立ち上らざるを得なくなったのでございます。そして間もなく不信任案教授会から提出された場合などにおいては、会計、庶務、教務等女子書記を突然左遷いたさせたのでありますが、第三者が会計の不合理を教授会に知らせたという理由その他をもって取り上げられたのであります。  以上ずっと見て参ったのでありますが、さらに学生の向上のための組織である自治会を二十九年においても先ほど申しましたように否認し続けられ、自治会の決定された六百円の会費を勝手に千二百円に値上げし、学友会にしなければ使用させないと言われまして、これをほかの目的に御使用になったような形跡が見えるのであります。  それからさらに昨年から奥様のヒデ子さんを、学長教授も反対したにかかわらず、理事会任免権があるわけでありますから、教務課長に無理におすえになって、教職員学生を圧迫された。授業料を未納したり、あるいは石炭代が未納であるということから受験票を発行されないというようなこともありました。また前に述べましたように、利子を四年分一度にお取りになったのがちょうどそのころのことでありました。なお使途が不明でありまして、私どもよくわかりませんのが五十数万円に達しております。まだまだ数え上げればたくさんございますが、先ほどお触れになりました私学振興会融資の問題でございます。これを条件に違反しまして不当に支出されておるというふうに思われるのであります。たとえば昨年末の四十五万円を御自身利子にお充てになっておる。それから都の助成金不正交付、それから教職員共済組合掛金の問題、こういうものがございます。簡単に申し上げますが、それから公益法人の合計を無視されているということ、それからほかの学校経費二松学舎の窓口で抱き合せて支払っておる。学園組織不法の問題につきましては、あとで御質問が出れば申し上げますが、文部省認可条件一つも履行されておらない。それから評議員会及び理事会の構成についても問題がございます。それから学校教育法並びに学則を無視されて、学校の各科あるいは寮これの指揮命令をすべて御自身で握っておられる。学長及び教授会有名無実になっております。憲法なり教育基本法なり労働法の保障をおふみにじりになり、教職員不当首切り、また学生不当除籍をやっておられるのであります。  非常に簡単でありましたが、以上をもって公述を終ります。
  7. 佐藤觀次郎

  8. 高木三郎

    高木参考人 本日は三松学舎に対する私立学校振興会融資に関連いたしまして、一応参考として申し上げるように、こういうことでありましたが、これに先だちまして、一応御参考までに私立学校振興会の従来の活動ないし内容等について申し上げておきたいと思います。  ただいまお手元に振興会に関する参考資料を差し上げてございます。私立学校振興会は、御承知通り昭和二十七年私立学校振興会法によりまして成立いたしました。昭和二十七年の三月に成立いたしまして以来ここに満三年余りになります。振興会全額政府出資であります。二十七年第一事業年度におきましては三億九千万円の現金出資戦災復興経費貸付等文部省がすでに貸し付けましたところの旧債権十七億五千万円ほどを、財源肩がわりをいたしまして出発をいたしましたが、第一年次におきましては資金量が非常に少く、三億九千万円の現金出資に対しまして申し込み総額が十五億にもなるというような状況でございましたが、長期資金貸付が困難であります関係上、一年以内の短期融資をいたしました。この表にございますように、三億八千七百七十一万円というものを第一事業年度において一年以内の短期融資をいたしましたが、第二年次昭和二十八年度におきましては、新規政府出資十五億円を加えましたので、前年度貸付金の回収を加えまして十八億九千万円という貸付財源を確保いたしました。これに対しましてこの年次におきましては、初めて五年以内の長期貸付をいたしました。これは十五億新規政府出資の際における条件といたしまして、私立学校は非常に財政上困難であるが、私立学校振興のために最も急を要する点は応急最低基準に達するまでの施設設備充足である、こういうことでありまして、二十七年度文部省指定統計によりますと、私立学校応急最低基準に達するまでの施設設備充足に大むね二百二十三億を要する。これを大体十年間に完成するものといたしましてこの二百二十三億のやや半ばに当ります百二十三億を私学側自己財源によってまかなう。政府は毎年十億ずつ五年間出資をいたしまして五年以内の年賦償還ということにいたしますれば、六年目には再び十億戻る。従って当初の計画通り十年の終りには大むね応急最低基準に達するまでの施設設備充足ができる、こういう立場からいたしまして、五年以内の年賦償還といたしました。これに対して当時施設費貸付希望といたしましては、五十一億四千万ほどございました。それから前年戻りました一年以内の短期融資、これは一年以内に戻りますので、この財源の三億九千万円をさらに再び一年以内の短期融資に貸し付ける、この結果といたしまして、長期融資すなわち五年以内の施設設備充足のために要する経費不足額に対しまして、十四億九千八百万円、約十五億円を貸し付けました。同時に施設以外の短期融資といたしまして、三億六千二百四十万円の貸付をいたしました。総額十八億六千百十六万円を二十八年度において融資をいたしました。二十九年度におきましては、御承知通り一兆の予算ワクに縛られまして、この年次における新しい支出は五億円、こういうことに限定されました。その結果前年度との開きが非常に多いのでありまして、二十九年度における貸付希望額が四十一億五千万円になっておりまして、五億円のワクをもってしてはとうてい不可能であるということからいたしまして、新しい政府出資五億円に、前年度に貸し付けましたものの五分の一、約三億円、さらに短期融資として一年以内に貸しましたものの一部をこれに加えまして約十億の貸付財源を獲得いたしました結果、昭和二十九年度におきましては、長期資金を九億四千百四万円、短期資金を二億七千七百八十八万円貸し付けました。  ただいま問題になっておりますところの二松学舎に対する昭和二十九年の貸付金はこの中から融資をいたしております。この貸付金のうち短期融資でありますところの四十五万円と、長期融資でありますところの二百万円が振興会の貸し付けました目的以外に使われている、こういうようなことを実はほかの方面から伺っております。私ども立場といたしましては、ただいまのところの全部書面審査をいたしております。これは全国の大学から幼稚園にわたります一千百法人からの対象でございまするので、その一々の申し込みにつきまして実地調査を行うことは非常に困難であり、また時を要します関係上、すべて書面をもって審査をいたしております。  まず第一の四十五万円につきましては、これはただいま御説明申し上げましたような一年以内の短期融資であります。これは先刻御承知のことと思うのですが、ただいまの私学現状は、財政的に非常に窮乏いたしております。ただいま三島先生からお話のありましたように、教職員給与にも非常に差しつかえるという学校が少からずあるのです。ことに多くの学校におきましては、学年の初めにおいては相当の収入が入るのです。これが大体十月以降になりますと、ほとんど収入がなくなってくる、枯渇してくる、それがために年末の慰労手当だとか、あるいはときによりますと給与支払いまでも差しつかえるような学校が相当数ありましたけれども、ただいま申し上げました短期融資は、主として一時的の経営費不足、これに対するつなぎ資金の意味において貸し出しをいたしております。二松学舎の場合におきましても、私どもの知る限りにおきましては、年末における給与不足を生じた二松学舎に対しては、それまで振興会としてはあまり融資をしておらなかったのです。これは率直に申し上げますと、二松学舎内におけるいろいろなトラブルがあるじゃないか、こういうような理事者間における紛争のありますような学校に対して、十分な貸付をするということは、いろいろな関係から困難だ、こういう立場からいたしまして、従来二松学舎に対してはほとんど貸付をしておらなかった。ところがおいおいに二松学舎も整備されまして、三島先生以来の伝統と歴史を持ち、二松学舎が逐次充実されてくる、こういう状態から考えまして、ある程度、これは振興会としても融資をしなければいかぬだろう、こういうことからいたしまして、理事会におきましても了承を得ました。昨年の年末に教職員俸給措置ということで支出をいたしました。この俸給不足につきましては、各人別の調書を提出していただきまして、それによって支払いが行われるものと一応私ども了承をいたしております。  次に二百万円の問題でありますが、先ほど申し上げましたところの昭和二十九年度長期資金といたしまして貸付要求がございました。これに対しましては、二松学舎は、御承知通り戦災にあいまして校舎が非常に不足しておる、その状況からいたしましてある程度校舎の増築は必要であろう、こういうことを考えまして、まず二松学舎支払い能力担保能力学生数その他を勘案いたしました結果、おおむね木造二階建モルタルかわらぶき一棟百五十坪の校舎を増築する計画が適当だろう、こういうことを考えました。この金額は総工費四百五十五万五千円となっております。私どもも内部のいろいろな規定がございまして、貸付金事業対象に要する事業費の七五%以内、また貸付をいたします場合に百万円以上のものに対しては担保を提供させて、この担保価額の七〇%以内、また不動産の資産の三〇%以内、こういうようないろいろなワクがございますので、工事総額の四百五十五万五千円に対しまして、二百万円の貸付内示をいたしたわけであります。先ほど申し上げましたように、私どもの方の貸付書面審査でございますから、すべての書類が整いましたときに契約を結ぶことにいたしております。二松学舎においても、私ども内示が出ましてからなかなか正式書類が出ない。この年度末に近づきましてなお書類提出がありませんので、数回これに督促をいたしました。もし年度内に借り入れの希望がないならば一応取り消すということを申したのでありますが、二月下旬でございましたか、三月の上旬でございましたか、理事者の方からこれはすでに内示も受けているものであるからぜひ早急に実行したいと思う、二十九年度分としての貸付に加えてくれという御希望がありました。そこで各般の書類を整えていただきまして、昭和三十年の三月二十四日に契約をいたしまして、現金を交付する。その貸付期間及び返済方法は、昭和三十年三月二十四日から同三十五年三月二十三日までの五年間において、年歩をもって毎年三月二十三日に四十万円ずつを償還する。利息は日歩一銭八厘で三カ月分ずつの前払いである。この利息につきましては滞っておりません。それから担保といたしましては、学校敷地三畝十六歩について第一順位の抵当権を設定いたしました。三十年の四月四日に登記済みであります。なお私どもの方の契約対象学校法人でありますので、二松学舎理事長であります松浦昇平氏並びに学長那智佐典氏の連帯で保証をいたしたこの工事請負契約によりますと、昭和三十年三月一日に大塚工務店が請負っております。私の方に提出いたしました大塚工務店との契約書によりますと、工事費総額は四百五十五万五千円で、工事費契約と同時に三割、着工と同時に三割、竣工と同時に残額を支払うという契約になっておりまして、五月末日までに完成するという契約になっております。なおこれにつきましては、昭和三十年三月十七日をもって建築許可書類提出しております。従いまして私の方に関する限りにおきましては、少しも書面上における欠陥はないと考えております。ただ三月の末日契約をいたしまして五月末日に完成するこの期間について、若干の無理があったように私どもも思いますが、その後聞くところによりますと、いまだに着工いたしておらない。この点についていろいろ学内事情もあることと思うのでありますが、私どもの方の取扱いといたしては、期日までに完成をしなかった場合においてはそれぞれの理由書提出させるし、また貸し付けました金額につきまして目的外に使用しているという場合においては返還の要求をいたしている。この点につきましては、先般松浦昇平氏が出頭されまして、工事の着手がおくれていることは学内事情に基くものであるからしばらく猶予をしてくれというお話でございました。私どもも貸し付けましたあとにつきましては、十分の監査をいたしております。また貸し付けました内容につきましては、検査も受けておりますので、この点は今後においても十分監査をいたしたいと考えております。簡単でございますけれども、私どもに関する限りはただいま申し上げた通りであります。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 ただいまの参考人の発言に対して質疑を許します。纐纈彌三君。
  10. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 私は最初文部当局の方に一応伺ってみたいのでありますが、二松学舎法人設立の際に、出資額を百六十七万円と査定され、そして法人設置の条件としてその査定額を寄付金に切りかえ、あるいは法人の負担軽減のために適当なる措置を講ずるという条件を付して法人を認可されたということを承わっておるのでありますが、事実でございましょうか。
  11. 小林行雄

    小林(行)政府委員 お答え申し上げます。財団法人二松学舎学校法人組織変更いたしましたのは、二十六年三月でございます。その際に、法人組織変更の認可に当りまして、幾つかの認可条件を付しております。理事長松浦氏の法人に対する債権が相当ございまして、これは財団の健全な経営ということから将来負担を軽減してもらいたいという条件を付しております。その際、私どもの方で知り得た財団に対する松浦理事長出資額と申しますか、財団の方の松浦理事長に対する債務は、大体元金百八十七万、それから損害金七十八万というふうに認めております。
  12. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 負担を軽減するという条件を付せられたものに対しまして、学校側においてはこれに対する努力をされておりますか、おらないのでありますか。その辺のことについて文部当局としては調査をなさったことがございますか。
  13. 小林行雄

    小林(行)政府委員 財団設立のときに付しました条件は、将来学校経営財政的に心配なくやっていけるようにという親心からと申しますか、条件をつけたものでございます。ただしかし、実際上この条件の解消が、これは学内事情によることと思いますが、私どもの見るところでは、まだできていないものと思っております。これは私ども立場からすると、きわめて残念なことだと思っております。ただ将来こういう条件が成就されまして、学校経営上不安がなくなるように、できるだけ早くこれが実現されるように期待をしております。現在までのところは、そういう条件がどの程度具体的に解消してきておるかということについては、まだ調査をいたしておりません。
  14. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 私立学校の監督と申しますと、あるいは少し時代のずれがあるかもしれませんが、従来は、私立学校に対しては、文部省としても大して監督もしておらないで、野放し的のところがあったのでありますけれども、おそらくその惰性がありまして、私立大学の方に助成金を出したりするようなことがありましても、金はもらいたいのだが、監督はしてもらっては困るというような気持が非常に多いのだと思うのであります。せっかく私立大学振興のために助成金制度あるいは事務費の方の補助というものを創設されましても、それを私立大学振興協会の方にまかせ切っておって、文部省としてはほとんどこれに対して監督権を行うことができないというような状態になりましては、せっかくの親心がおかしくなりまして、どうも、私立学校の振興のために金はつぎ込んだが、これを悪用されるというような結果になってきはしないか。ことにまた、いわゆる学校屋というものがありまして、そういう方が経営に当りますると、えてしてそういうようなことで生徒を犠牲にし、あるいは職員を犠牲にして私腹を肥やすというようなことがかなりありはしないかということを私は憂えているのでありますが、それらに対しまして、文部省としてはどんな見方をされておりますか。
  15. 小林行雄

    小林(行)政府委員 御承知だと思いますが、終戦後、私立学校に対する教育上の行政の態度は非常に変化をいたしました。終戦前までは非常に強い監督権を政府なりあるいは府県知事が持っておったのでございますが、これが廃除せられまして、終戦後は、私立学校の自主性を尊重して、一応私学のことは私立学校経営者の自主性に信頼するということで、国のいわゆる監督権というものはきわめて小さくなっております。ただ、それだからといって、現在の私立学校行政と申しますか、私立学校法のもとにおきまして、一般的に申しまして、私立学校教育あるいは私立学校経営がうまくいかないということはおそらくないと思います。ただ、特殊の場合にこのたびのような事件を生じますので、従ってこういう特殊な場合に何か国が監督権を発動することができるようなことが必要じゃないかということは、世間にも意見がございますし、また文部省としては将来ある程度やはり研究をしなければならぬことだと思っております。ただ国が行政権をもちまして、一般的に私学経営なり教育に関与あるいは干渉していくということが制度上いいのであるかどうかということについては、文部省としてはやはりある程度慎重にならざるを得ないのでございます。しかしこういう事態ができることもございますので、将来十分研究はして参りたいと思います。
  16. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 大体、教育の自主性という意味合いにおきまして、教育内容に対してあまり監督を厳にするということは、今日の状態としては行き過ぎかもしれませんが、経営の問題その他につきまして、いわゆる学校屋というような者が学校を食いものにするということ、そういう点に監督を相当厳重にしていかなければ、おそらくそう人がだんだんふえてきまして、今後教育の正しきあり方に非常な支障を来たすのじゃないかということを私は憂えているものであります。しかも私立大学というものが大きくなって参りまして、それを正しいあり方へ持っていくことは日本の教育のために非常に重大なことであります。これを大いに奨励していかなければなりませんが、もちろん少数の者にそういう悪い者があるかもしれません。少数であると思いますが、その少数の者を悪いと考えたならば、相当これに監督権を加えて、不正なやり方をしておる者に対してはどしどし監督をいたして、ほんとうに私立学校が正しく発展していくようにありたい、私は一応その希望を述べておきます。  次に、高木さんに伺ってみたいと思いますが、先ほどの御説明のうちに、短期の融資に対しまして、それがどういう形になっておるか、ちょっとはっきりいたしませんでしたが、それはどういうことになっておりますか。
  17. 高木三郎

    高木参考人 先ほど御説明申し上げましたように、短期融資は、大体一時的の経常費の不足つなぎ資金と申しますか、それに融資することになっております。たとえば学校で校具、教具等を買いたい、机、いす等を買いたいが、この年度においては若干の不足を生ずる、あるいは職員の給料が足らなくなった、年度末かあるいは学年初めになれば相当収入があるので、それまでのつなぎ資金を借りたい、こういうような目的の場合に短期融資をいたしております。二松学舎の場合におきましても、これはいろいろの関係でありましようが、職員の給与が年末に不足した、それに対して人名を全部掲げまして、給与額を書きまして、これだけのものが不足しているということを出して参りました。それに対して一年以内の短期融資をいたしました。
  18. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 それに対して期限がまだ参っておりませんか。
  19. 高木三郎

    高木参考人 一年以内でございますから、期限はまだ参っておりません。利息は前払いでございますから、滞りはございません。
  20. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 さきに文部当局に伺ったと同じような意味合いにおいて、この制度は最近に行われてきたわけなのでありますが、最初の間に正しき制度の運用をいたさないと、この問題に対して非常な不正の行われるおそれがあると思うのであります。従いまして制度を、最初にできた時代に正しく相当厳格に、不正の行われる余地のないように、一つ文部省私学振興会の方と協力されまして、十分その点に手落ちのないように進めていただきたいということを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  21. 高村坂彦

    ○高村委員 ただいまの高木理事から御説明がありました点に関連して一つお尋ねいたします。二百万円の融資について、いろいろ具体的な計画がございまして、その計画に基いてお貸しになっておられるようですが、その建築が五月の末には完成するという予定であった。ところがまだ建築にかかっておられぬというのでありますが、それはどういう理由でございましょうか。
  22. 高木三郎

    高木参考人 私どもの方で貸し出しをいたします際には、一応工事契約なら契約、その契約書の成立を認めまして貸付をいたしております。ところが実際の問題といたしましては、その金額だけで建たない場合がある。これは先ほど申しましたように、原則として事業費の七五%以内ということになっておりますので、相当額の自己財源を要するわけであります。従いまして自己財源の調達のためにおくれておるというような場合もあり得るわけでありまして、私ども立場からいたしますれば、校舎不足というようなことは学生に非常に迷惑をかけるものですから、むしろ期限を厳守させるという立場よりも、できればなるべく事業を完成させたい、従いまして事情をよく聴取いたしまして、やむを得ない場合においては期限の延長も認めております。またときによりますと事業対象の変更をも認めております。
  23. 高村坂彦

    ○高村委員 先ほどの御説明によりますと、何工務店というのですか、ちゃんと建築契約もできておるという。そういたしますと、その請負契約というものは架空なものであったのですか、あるいは実際建築契約ができておって、それが後に何かの事情でおくれておったのか、その点はどうなのですか。
  24. 高木三郎

    高木参考人 大塚工務店学校法人二松学舎理事長松浦昇平の連名によります工事契約書の写しをつけてきたのであります。
  25. 高村坂彦

    ○高村委員 それでは写しがあったのでしょうか、それは真相であるのでしょうか、その辺ちょっと……。二カ月もおくれておってまだ工事に着手しておられないということになると、ちょっとお疑いをお持ちになりませんでしょうか。
  26. 高木三郎

    高木参考人 契約書は正しい契約書だと私どもは思います。ただ三月末日から着手するという立場になっておりまして、その前後から学内紛争が起っておるように私どもは聞いております。従いましてその間において工事の実施ができなかったのではないか、こういうように私どもは観測しております。
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 野原貴君。
  28. 野原覺

    ○野原委員 私はただいま陳述されました三名の参考人の方並びに文部当局に対して若干質問をいたしたいと思うのでございますが、その前に、当委員会としても、二松学舎がかって一代の漢学者として名の高かった三島中州先生の創立にかかるものであり、ことに明治以降の現代日本教育史の中で二松学舎くらいの大きな特異性を持ったページを占めるものはない、このように私は思っておるのであります。その二松学舎で、ここ数カ月前から学内にあのような事件が勃発いたして、まことに寒心にたえないものがございますので、本日は当委員会がわざわざここに参考人に来ていただきました以上は、私どもは遠慮のない御質問を申し上げて事の真相を究明しなければならぬ立場にあるわけでございますから、御三名とも私の御質問はあるいはぶしつけかもしれませんけれども一つ簡明卒直に教学の振興のために御答弁をお願いいたしたいのであります。  そこでまず最初にお尋ねをいたしたいのは松浦理事長に対してでございますが、松浦さんが理事長に御就任なさいましたいきさつ、その辺を御説明いただきたいと思います。
  29. 松浦昇平

    松浦参考人 私が二松学舎を引き受けたのは昭和二十四年の十二月でありました。当時私ども経営しておる学校に、東大の教授で守随憲治という文学博士の方が教鞭をとっておりました。ある日私の席に来まして、実は二松学舎のことについてあなたにぜひお願いしたいことがあります、ということを私に言って参りました。それはどういうわけですかというと、実は二松学舎は戦災を受けてまる焼けになってしまい、机も腰かけも何もない、何とかこれを立ち上らせたいと思うけれども、金は一文もないんだ、その上に給料の遅配が約一カ年分あるんです、一年間給料を払ってないんだそうです。そこでこの十二月に職員の家族がもち米の配給がきても配給がとれない、正月のおとその配給がきてもとれないような始末で、その当時は現在文学博士であります塩田良平氏が学長理事長をいたしておりましたが、もちろん学者でありますから、経営の才は非常に不手ぎわであったと聞いております。そこでできるだけ借金をして、まる焼けになった学校を生かそうと苦心しておりました。その当時やはり紛争が起きておりまして、塩田良平氏は告訴されておりました。建築屋から告訴されておりましたし、材木屋からも告訴されておりました。やはり校舎を建て始めておりましたのですが、不幸にしてキティ台風が吹いて参りまして、もともと借金をして校舎を建てておったものが、一晩のうちに全部崩壊してしまったために、にっちもさっちもいかなくなってしまったのです。そこで建築屋をだましたとか、手形の先づけであるとか、いろいろな問題が次から次と起って参りまして、塩田良平氏は非常に困難をしておりました。そこで私も伝統のある二松学舎が困っておる、昔は非常に道義の観念に強かった学校である、今のように道義のすたれた時代にはこういう学園を再興しなければならないという、ふうに私は考えておりまして、十二月の二十八日でしたか、何がしかの小切手を書いてあげました。二十八日、二十九日、三十日、三十一日と四たび私の家を理事長教務課長がたずねて参りまして、何の証文もなしに、ただ前理事長の口頭のもとに、こういう事情で困っておるから助けてくれといっただけで、私は公正証書もすることなく、借用証書もすることなく、手形証書もとることなく小切手を切って差し上げたのです。そのときに私の家内がそばにおりまして——私は反対したのです。まだはっきりきまっておらないのに、そんなものを出せないと言ったら、しかし教員が給料をもらっていないし、米の配給もとれない、もち米の配給もとれないというのだから、金額の多少にかかわらず少し応援してあげたらどうですかという切なる家内の何がありましたので、よろしい、それなら私はやろうというので、そのときに小切手を書いてあげたのです。その金額は五十八万であったか、六十八万であったか記憶しておりませんが、詳細は記録が残っております。  先ほどから学校屋であるとか、学校を食いものにしておるというようなお話がありましたが、今日の私立学校学校が食いものになるような学校経営者はおりません。それから学校屋だと申しますが、私は三つ学校を引き受けておりますが、一つ学校は東京第一高等学校と申しまして、東京主計高等学校とも申しますが、前国務大臣の大久保留次郎さんが理事長兼校長をいたしておりまして、そのときにやはり追放にかかりまして、生徒が減ってもうこの三月で学校をやめるんだ、六十年も続いた学校だから何とか生かしてくれないかといって、当時学長が私のところへ尋ねてきまして、それも私は断わったのでありますが、再三再四そういう願いがありまして、事教育に関することでありますから、私はやってみよう、われわれの力でできることならば、国のためになるんじゃないか、大いにやってみようというので引き受けたので、何も学校経営するのが学校屋でなくて、ほんとうに教育のためにやっておるのでありまして、食いものになった事実はございません。また今の私立学校は食いものになる対象じゃございません。終戦直後学制の改革、新制中学の充実等によって私立学校は実に血の出るような経営状態であります。それは良識のある教育関係する方々はよくおわかりになると存じております。  以上でございます。
  30. 野原覺

    ○野原委員 ただいまの御答弁をお伺いいたしておりますと、松浦理事長としては、教育に対して非常な理想を持たれ、それから教育のためには献身的に努力しなければならない、こういうことのようでございます。そういうお考えを持っていらっしゃるのに、一体どういうわけで今回のような問題が起ってきたのか、私はますます混迷をいたしてきておりますので、なお遠慮のない御質問を二、三いたしたいと思うのでございます。  第一は、まず学校運営の根幹になりますところの「学校法人二松学舎寄付行為」についてであります。この「寄付行為」を私今ざっと拝見をいたしてみたのでございますが、この「寄付行為」によりますと、第十二条に学校運営の責任機関であります理事規定があるのであります。その第一項は、東京文科大学長及び付属高等学校長、第二項は、評議員の互選によって定められた者三人以内、それから第三項は、この法人関係ある学識、経験、徳望のある者、このように書かれておるのであります。これをもっと簡単に申しますと、つまり二松学舎はこの歴史的な沿革という点からながめてみましても、まず第一には学校出身者を理事にする、第二には、教職員の代表者、学長あるいは校長というものを入れなければならない、第三には、学校の沿革から来るところの学校の縁故関係者と申しますか、あるいは功労者と申しますか、そういうような者で理事会が構成されなければならない、理事が選ばれなければならないということだと私は第十二条を解釈するのでございますが、今日理事は何名出されておるのか、それから間違いのない氏名、まずそれをお聞かせいただきたい。
  31. 松浦昇平

    松浦参考人 「寄付行為」の定めるところにより理事会で推薦される理事七名、それから同窓会、教職員から選ばれた評議員会から選出される者三名、その上に学長、付属高等学校長は理事として入るようになっております。以上であります。
  32. 野原覺

    ○野原委員 そういたしますと、理事は十名でありますか。
  33. 松浦昇平

    松浦参考人 五名以上十名であります。
  34. 野原覺

    ○野原委員 そこで今日現実に理事は十名をもって構成されておりますか。
  35. 松浦昇平

    松浦参考人 退職した理事がおりまして、ここにいらっしゃる三島一さん、それは去年の九月理事を辞職されました。それから粕谷誠という理事は、これも退職いたしました。それで欠員になっております。以上であります。
  36. 野原覺

    ○野原委員 そういたしますと十名のうちの七名の理事というのは、旧理事が選び出す、そうして残りの三名が評議員から選ばれるということになりますと、前の理事会学校経営についていかがわしい問題が起っておると実ははっきりいたしておりましても、その旧理事会というものは、自分の罪をカバーするために、おのれに都合のよい理事を七名も出せるのでございますから、過半数以上——これははなはだどうも私立学校の寄付行為というものから考えた場合に、私はいかがなものかと思うのでございますが、その辺に対する文部省の見解を承わりたい。
  37. 小林行雄

    小林(行)政府委員 私立学校法によりますれば役員の選任について、ことに理事の選考につきましてはそれぞれ資格を限定して、条文上根拠がはっきりしておりますが、しかしその中でも寄付行為で適宜ある程度定められることになっておりますので、その寄付行為に基いて選任されたものでありますれば、それは一応有効と認められることになる。
  38. 野原覺

    ○野原委員 寄付行為については、文部当局は私立学校がこの寄付行為を定めてきた場合に、寄付行為を当然審査をして認可をされるものと私は思うのでございますが、いかがですか、法的にはどうなっておりますか。
  39. 小林行雄

    小林(行)政府委員 寄付行為を定める場合には当事者から文部省の方に申請して参りますので、それを一応検討して認可をいたしております。
  40. 野原覺

    ○野原委員 その場合に、この二松学舎の寄付行為を検討いたしまして、まことにもってこれは不都合ではない、きわめて妥当な寄付行為だ、ただいま私はこの理事の選任だけ問題にしておるのでございますが、そういうように文部省当局は考えられて認可をされたのかどうか。
  41. 小林行雄

    小林(行)政府委員 一応妥当であると思って認可をいたしております。
  42. 野原覺

    ○野原委員 それではなおお尋ねをいたしますが、理事は現実に十名おる。そのうちの七名は前の理事が選び出す。三名だけが評議員の中から互選されて出てくる。その中に校長もあるのかないのかはともかくとして、いずれにしてもこの旧理事が過半数以上も勝手に選び出すというような寄付行為は、これは旧理事学校経営を問題にする場合に間違った点を指摘することもできない。一回誤まった運営を理事会がやりますと、これは何年経っても、その間違いであるということを問題にすることすら新しい理事会は不可能であるということが許されてよいのかどうか、これは管理局長の的確なる御答弁を願いたい。重大です、これは。そういうことが寄付行為の精神からも許されてよいのかどうか。
  43. 小林行雄

    小林(行)政府委員 理事の選任に当りましては、何人選ぶかということは一応寄付行為で定めることになっておりますので、この学校法人二松学舎の寄付行為では理事の過半数ということになっておるわけでございます。これは条項の用い方になるわけでありますが、こういった条項があった場合に、すべて非常なるトラブルが起って参るものとは考えられないのでありまして、それぞれの学校内部の事情等で、場合によってはそういうようなことが起り得ると思うのでありますが、他にもそういった事例はございまして、こういった寄付行為上の規定があることは、それ自体誤まりであるというふうには、それほど強くは私は考えておりません。
  44. 野原覺

    ○野原委員 「寄付行為」を見ますと、理事は五人以上十一人以内とある。だからこの「寄付行為」によって十名ということに現実はいたしておる。そのうち七名は旧理事が選び出すということになれば、この旧理事は、おのれの間違いを、実ははっきり言うとごまかすためにも、これは露骨に言えば、あるいはこれをいいかげんにして、いろいろ問題にされないためにも、自己の都合のよい者を七名ちゃんと選び出してきめてしまう、新しい理事に引き継ぐ場合に。七名がきまれば、幾ら学校を革新しようとか、あるいは前に問題があるという点を考えておった理事がおりましても、そのことを実は追究することもできない。こういうことでいいのですか。文部省当局はそういう寄付行為の運営でよいのかどうか。これは重大ですよ。そういうような方針であなた方は寄付行為を認可して来られておるのかどうか、重ねて承わりたい。
  45. 小林行雄

    小林(行)政府委員 寄付行為の認可に当っては、私どもは一般的な事例、一般的な原則ということを中心に考えておるわけでございまして、従って他の学校等で、こうした事例でうまくいっておる場合も非常に多いわけでありまして、こういったケース、こういった寄付行為があるからこれでは絶対にうまくいかぬだろうというような特殊なことを考えて、これを不認可にするというようなことは従来いたしておらないのでございます。
  46. 野原覺

    ○野原委員 一体理事会というものは、私立学校法人においては、一般的にいってどういう役目を持っておるのか局長に承わりたい。
  47. 小林行雄

    小林(行)政府委員 御承知のように、学校法人理事会学校経営者でございます。理事のうちから寄付行為の定めるところによって理事長という者ができて、これは学校経営的な立場を代表することになりますが、その理事会そのものでいろいろ審議され、決定されたことは、経営者の意見が決定されたというふうに理解をいたしております。
  48. 野原覺

    ○野原委員 現実にその学校経営に間違いがあるということがわかっておっても、理事会は過半数の議決をもって間違いであるかどうかということも決定し、問題にするかどうかということもきめるわけなのです。その場合に、前年度理事会が七名だけちゃんと選び出してきめてしまう。十一名の理事の中から、現実には十名だそうでございますが、十一名以内の過半数というものは、前の理事会の間違いを何とかしてカバーしていこうというような諸君でございますが、そういうような規定は、学校経営をする理事会の職務権限であると、このように判断してよいものかどうか、これはもう一度承わっておきたい。
  49. 小林行雄

    小林(行)政府委員 理事は、法律上は五人以上ということになっており、実際二松学舎の例で見ますと十一人ということになっておりますが、いずれにいたしましても複数以上でございまして、この理事会で多数決制によって大体きめる。実際の現状は、普通の場合は全員一致できめておられるようでありますが、いろいろ意見の異なります場合には、大体多数決制できめるということになります。従って、これがきわめてうまくいきます場合には、民主的に運営されるということになるわけでございます。多数決ということが場合によっては誤まりを肯定するというようなことも、もちろん絶対ないとは申しませんけれども、一応私立学校経営を、この学校理事会というものを通じて民主的に行わせるという現在の私立学校行政、あるいは私立学校運営上の建前からいたしますと、その多数の賛成したところには誤まりが一応ないものとして運営していく以外に方法はないのではなかろうかと考えております。
  50. 野原覺

    ○野原委員 私は多数決に誤まりがあるのかないのかということを聞いておるのじゃないのです。私が尋ねておるのは、旧理事が旧理事の間違いというものを指摘することもできないような理事会の構成であっていいのかどうかということを聞いておるのです。わかりませんか。過半数以上は旧理事が出す。現実に二松学舎は七名出しておるそうだ。その理事会が間違ったことをやったということが現実にわかっておっても、次に構成された理事会というものは、旧理事が七名、過半数以上出しておるのですから、これは旧理事会を常にカバーしていくような発言をし、あるいは採決にもそう臨むかもわからない。そういうおそれがあるでしょう。ない場合もあるかもわからぬけれども、どちらかというとそういう可能性が強いと僕は思う。そういうようなことであってよいのかどうか。
  51. 小林行雄

    小林(行)政府委員 御承知のように、学校法人の役員には、理事のほかに監事というようなものもございます。監事が学校法人の業務執行上の状況をいろいろ監査するというようなこともございまして、いずれにいたしましても、学校法人の運営につきましては、学校法人内部の自主的な運営方法に一応まかせられておる。この元の理事と申しますか、旧理事の誤まりを否定して、国の方で、あるいは所轄庁でそれを是正するというような方法は、現在認められておらないのでございます。
  52. 野原覺

    ○野原委員 旧理事が過半数以上選び出すということは望ましいことであるのか、望ましくないのか、所轄庁としての文部当局はどう考えますか、望ましいですか。
  53. 小林行雄

    小林(行)政府委員 これは場合によるわけでございまして、普通の場合には、一般的に申しますれば、旧理事が過半数を選んでも支障なく行われている場合が多いのでございます。ただこういう事態に立ち至りました場合に、いろいろ意見が対立いたしまして、元の、いわゆる旧理事側が絶対誤まりであるといったような場合には、これは必ずしも望ましくないことになるかも存じませんけれども、旧理事側とその他の側との正誤と申しますか、どちらが正しくてどちらが誤まりであるというようなことがなかなか判断できないような場合には、過半数を旧理事で占めるというようなことになっておっても、それは絶対いけないことだというふうには、簡単には言い切れないと思います。
  54. 野原覺

    ○野原委員 私は、絶対いけないかどうかを聞いたのではない。一体望ましいか望ましくないかということを聞いたのです。あなたの答弁によれば、望ましいとも望ましくないとも言わないのですが、やはり認可をするには、文部当局ははっきりした見解というものを立てておかなければならぬと思うのです。望ましくないとすれば認可すべきではない。認可するに当って望ましくないことが出てきた場合には、なお一そう検討を加えて、一体この学校では都合がいいのかどうか、現実にやはり慎重な考慮を要することではないかと私は思うのです。どうですか、こういう「寄付行為」は望ましいですか、望ましくないですか。
  55. 小林行雄

    小林(行)政府委員 学校内部の紛争というようなことが起りまして、両方に意見があって対立しているというような場合には、理事一つの片寄った派によって独占されると申しますか、占められるというような状態になることはもちろん望ましくないと思います。しかしそれは大体学校内部の運営の問題になってくると思います。
  56. 野原覺

    ○野原委員 私はこのような寄付行為がすべての私立大学に許されているとすれば、これは重大な問題であると思う。不幸にして私はたくさんの私立学校法人の寄付行為を目にしてありませんから、今断定はできませんけれども、これは大きな問題があると私は実は見ているのであります。  そこで次に理事長に重ねてお尋ねをいたしますが、この首切りですが、四名と理事長は申されたのでございますが、この馘首は理事長がなさったのでございますか、いかがですか。
  57. 松浦昇平

    松浦参考人 お答えいたします。学校法人には理事会がございまして、理事会決議によってなされたのであります。今度の紛争事件についておわかりにならないかもしれませんが、実は学校理事になりたいという野心家がおりまして、理事会に三度、理事にしてくれという願いが出たのであります。そこで理事会はこの人間は好ましくないというので否決されたのであります。そこでその理事になりたいという者は執拗にいろいろな方法によって、あるいは生徒の自治会に働きかけ、あるいは同窓会に働きかけ、他の方法によって、理事長の非行と称するものを掲げて——ただ追い出すわけにいきません、理事長学校が困っているときに入ってきて、今日教育ができるようになったにもかかわらず、その理事長をそのままほうり出すことはできないから、何かエラーがあるように放送宣伝し、会計に不正があるかのごとく虚構の事実を報道機関その他を通じて宣伝いたしたのであります。理事になりたいという野望のある者は、現在の理事長がおったのでは仕方がないからほうり出してしまえということでやる。それから、名前は申し上げませんが、もう一名、理事長になりたいという野望家がおるのでありまして、それがまた、目的は違うけれども理事長をほうり出す作戦には一役演じて同じ方向に進んで参りまして、学生を扇動し、その他の団体に応援を求めて、さもほんとうらしく伝えたのであります。そこでこの問題ができ上ったのであります。また今の学長那智佐典理事の石川梅次郎君というのは二松学舎出身者でありまして、松浦理事長は金を出して入ってきた者で、二松学舎関係ない者である、今日はもうぼつぼつわれわれの手でも経営できるのではないか、理事の任期は満四年間でありまして、理事の改選期でありますから、この際一つその運動に乗り出しておっぽり出してしまえというのがこの騒ぎであります。今度のケースは、学長理事のメンバーの一員でありますから、理事側の者でなければならないのでありますが、学長はみずから労組側に加わって学生を扇動指揮しておるというような状況で、まことに変ったケースであります。そこで先ほど私に御質問なさいました学校法人理事が七名選出されるということでありますが、私立学校というのは公立学校と違いまして、経営の一切は、学校法人理事会が執行機関でございますから、理事会決議するので、その責任を負うのであります。そこで七名が不都合じゃないかとおっしゃるけれども私立学校の一貫性というものから見て、教育のために専念する者が四年ごとにぐるっとひっくりかわって、責任者がその責任を負わなければ私立学校というものは発展するものでありません。先ほどのように建設費二百万円を私立振興会から資金貸付をいただいた、ただの二百万円だけでは学校は建つものじゃありません。百五十坪建てましても四百五十万円の金がかかる。二百五十万円は経常費で負担するか、または経常費に剰余がなければ借入金、その他の金融機関から利息を払って借りなければなりません。われわれの学校は百五十坪の建物でありますが、大きな大学になりますと一億何千万円、校舎の建築は一億五千万円ぐらい、法政大学にいたしましても明治大学にいたしましてもその他の著明な大学はかかるのであります。そのように、それほど私立学校発展のために骨を折っても、いつだれが理事長になって経営するのかわからないような状態では、なかなか私立学校の発展は望めないし、また責任を持つ方はいないと思います。私はそう考えております。  そこで理事の定数につきましても、学校におきましては定款は憲法のようなものでありまして……。
  58. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 松浦君、ちょっと御注意します。今あなたに尋ねられておるのは学校理事の人数を尋ねられておるので、あなたが四人の人を馘首したかということを聞かれておるのでありますから、そのことだけについてお答え願います。
  59. 松浦昇平

    松浦参考人 それをお答えいたします。それはことごとく現理事団に向ってそういう虚構な事実を宣伝し、そういうふうなことを言うので、好ましからざる教員だ、本学には不適当な教師であるというので、学校のためにはならない、ともに天をいただかざる者だということが理事会決議されたのであります。理事長はその決議によって執行しただけであります。
  60. 野原覺

    ○野原委員 そうなりますと首を切ったのは理事長である、こういうことになろうかと思うのです。あなたは理事会がこれを決定したから理事長はこれを執行したと言われるのですから、四名の馘首をしたのは理事長が切った、こう言ってもいいんじゃないか。まあ理事長で都合が悪ければ理事会がこれを整理した、こう受け取ってもいいのではないかと思うのです。そこでこの馘首をするに当って学長意見をお聞きにはなりませんでしたか。
  61. 松浦昇平

    松浦参考人 学長理事会のメンバーの一員でありますから、学長も署名しております。
  62. 野原覺

    ○野原委員 この点がまたきわめて微妙な問題ではないかと思うのです。今ここに配付していただきました二松学舎大学の学則の第四十八条を読んでみますと、「学長は本大学を代表して校務をつかさどり、所属職員及び教員を統督し、」云々とあるわけなんです。だから教員の統督それから校務をつかさどる責任というものは学長にあるわけなんです。ところが今理事長の考え方を承わりますと、学長理事会を構成しておるから、理事会が多数決できめたんだから学長も承認しておるんだ。あなたはこういう見解をとられますけれども、なるほど学長理事会を構成しておるかもしれない。しかし理事会の多数決で学長が敗れたような場合においては、学長としての職務権限というものがあるはずだと思います。そのために私は第四十八条の学則というものができたものであると思う。もしあなたが言うように、理事会を構成しておるから学長は文句がないだろうというならば、この学則の第四十八条というものは不要になってこなければならない。この辺に対して、文部当局は一体どういう見解をとるか。私は少くとも教員を整理するに当っては、いかに理事会といえども学長というものがある限り学長意見を徴しないで教員の整理をするということは許すことのできない学則干犯であると思うのでございますが、文部当局の見解を承わりたい。
  63. 稲田清助

    ○稲田政府委員 ただいまの御質問に対しましては、もとより教員の進退その他は学長が所掌をするところであります。理事及び理事会に人事の意見がございました場合には、学長にその意見を聞くべきであろう、学長はまた学長の判断において教授会に諮る等の措置が望ましいと思います。
  64. 野原覺

    ○野原委員 この点は、理事長ないしは二松学舎理事会学長権限無視の行為であるということは明らかであります。この点が実は非常に教授会を刺激いたしまして、こういうようなやり方でわれわれがいつでも理事長のお気に沿わない、理事会のおめがねにかなわないということで整理されるということであれば、安んじて歴史ある二松学舎の教壇に立つことはできないじゃないかということで、教授会は三十何名でございますか、つい最近教員組合を結成いたしまして、こういう間違った理事会なり理事長のやり方を是正するために組合が作られて、今日問題を提起してきているものと判断をするのでございますが、この点について教員組合委員長の御意見を承わりたい。
  65. 三島一

    三島参考人 ただいま野原委員が申せられた通りでございまして、私ども古い学校でありまして、しかも組合運動にはほとんど縁のない連中ばかりであります。その連中が三月の末になりまして、どうしても組合を作って学校の当局に交渉しなければならないという決意を固めたのでありまして、ただいま仰せられた学長の権限確立ということをうたったところの教職員組合というのは全国にも少いのではないか、あるいはほとんどないのではないかと思うのでありますが、そういうことでございます。  なおつけ加えますと、教職員教育に対するところの権利確立の問題——教育権も生活権とあわせまして教職員の基本的な権利だと私どもは存ずる。その上に立って私たちは安んじて子弟を教育し、また研究をすることができると思うのであります。その意味におきまして、学校の設備というものは全く顧みられていない。それから身分保障の問題は先ほどあげられました首切りの問題でありまして、これはおよそ労働組合にとりまして最も重要な問題ではないか、それから待遇改善、この四つを考えまして三月の末に結成し、四月から交渉して参ったわけでありますが、それがうまくいかないのであります。
  66. 野原覺

    ○野原委員 次にお尋ねいたしたいことは、委員長の陳述の中にあったのかどうかわかりませんが、私、聞き漏らしたのかわかりませんが、誤解している点があれば是正してもらいたいのですが、教務課長の問題です。この教務課長任免権というものはこれはだれにあるのか、それから統督権はだれにあるのか、つまり任免権というものは理事会といいますか、理事長といいますか、それにあるのか、それとも教務課長が職務を遂行していく上についての指導監督権というものは、これは学長にあるのか、理事長にあるのか承わりたいのであります。
  67. 三島一

    三島参考人 申し上げます。私どもは、教務課長任免権理事会もしくはその代表である理事長にあると思います。しかしながらただいまおっしゃいました指揮監督権につきましては、二松学舎大学の学則の八の「職員及び教員組織」の中の第五十一条に「教務課長は、学長の命を受けて教務全般に関する企画を立て、事務を処理する、」と書いてあります。
  68. 野原覺

    ○野原委員 その教務課長学長の命に従わないで理事長の意思で動いておったということを二松学舎においては聞くのであります。とすればこれまた学則というものが理事長みずからによってじゅうりんされておることになるのではないか。まことに遺憾なことでございますが、その辺の実情というものはどのようになっておるか承わりたいのであります。
  69. 三島一

    三島参考人 ただいま御指摘になった通り遺憾なことでありますが、あるのであります。ただいまの教務課長松浦理事長の奥さんでいらっしゃいまして、学長の命に従来従わない。時間割の点につきましても、証明書の点につきましても、その他教務一般のことを学長名をもってやっておられたのであります。
  70. 野原覺

    ○野原委員 ただいまの委員長の御答弁を理事長としてはどのようにお考えですか、お尋ねいたします。
  71. 松浦昇平

    松浦参考人 お答えします。私の家内のことが出ておりますが、常任理事でありまして、現在常任理事学生課長を務めておる者もおります。理事学校のことに努力するのは当然でありますから、理事会では私の家内はいやがるのを無理に——今二松学舎は前教務課長が非常に乱脈ぶりを発揮しておりましたから、非常に乱脈になっておる。それから学長は八十三才の高齢でありまして、実にお気の毒な現在のような状況にありまして、八十三才にもなりますと、今の二松学舎のような急進分子のおる教授の中ではなかなか困難ではないか。また学生の指導についてもほんとうに勇退すべき年であります。そういう年がいった学長であればあるほど、教務部長だとか学生部長は学長を補佐して職務を遂行しなければならないと思います。先ほど学長の命令を守らないようなことを言っておりましたが、学長の命令を守らないような事項は一つもありません。特にこの紛争が起きてからは必ず書類の決裁ごとに学長のサインをとるようにいたしております。事実一件も学長の許可しないものを反対の方向に持っていった事実はございません。以上であります。
  72. 野原覺

    ○野原委員 これは頭から答弁が食い違っておると思います。これは理事長が事を曲げておるのか、あるいは委員長が事を私どもに正しく御答弁しないのか、教務課長学長の命にそむいたことは一度もない、こう申されますことに対して、重ねて三島先生の御見解を承わりたいのであります。
  73. 三島一

    三島参考人 私は重ねて申し上げますが、先ほど松浦教務課長は従来学長の命令に従っておられなかったと申し上げたのでありまして、実は先般教授会におきまして、飯塚友一郎教授教授会議長になっておられるので、教授会議長として学長の事務の一部を学長の諮問に答えながら事をしていくということを取りきめましたところが、松浦理事長の方でしさいに取り消しの仮処分申請をなされ、そのときに三宅判事の立ち会いの上で仮処分を受けてこれをやりましたときに、学長の命令によってすべてやっていくということが確認されたのでありますけれども、しかしそれは表面的なことでありまして、形式的にはなるほど決裁を受けられるということでありましょうけれども、この一月近く松浦教務課長学校に御登校にならないのでありまして、従ってこの学長命が完全に行われているとは私ども認めがたいのであります。
  74. 野原覺

    ○野原委員 そのことは、実は私ども立ち入って学内のいろいろな問題について調査しなければ、今ここでにわかに断定はできませんけれども、いずれにしても教務課長学長の命を受けなかったことがもしあったとすれば、これはやはり問題がある。学則違反であります。しかも学長が御老体であるためにいろいろささいなことについてまで命令することが不可能だというならば、学則の第四十九条を見ますと、「学長はその諮問機関として教授会組織する」ということもあるのであります。従っていろいろな問題については当然教授会に諮られなければならない。ところが任命は理事長がなさる、それから教務課長のすべてのお仕事についても理事長が統督をされるということになると、何のための課長であり、何のための教授会であるか、つまり学長学校経営の実態、本質、内容というものと、学校法人の運営というものをせつ然と分けた学則なり、寄付行為の精神というものはそこなわれると思う。この点について管理局長は責任者としてどう考えておるのか。
  75. 小林行雄

    小林(行)政府委員 理事者と申しますか、理事者を代表する理事長と教員を代表する学長との間の関係が法規上はっきりしないということでいろいろトラブルが起っておる事例があるのであります。ただこの二松学舎の場合について申しますと、学則の中に教務課長学長の命を受けて教務全般に関しいろいろな仕事を処理するのだというふうにはっきり書いてございますので、教務課長といたしましては、当然学長の身分上の監督を受けなければならぬと思います。ただ教務課長をやっておられる方は現在同時に常任理事をやっておられるそうでありまして、従って常任理事としての立場教務課長としての立場を使い分けるような場合に、果してその辺の使い分けがはっきりしておって、これは教務課長として、あるいはこれは常任理事としてというようなことがはっきり出ておるのかどうか、その辺のことは私ども現在まだはっきりつかまえておりませんが、いやしくも教員としての教務課長として仕事をされる場合には、当然学長の指揮を仰がなければならぬものと考えております。
  76. 野原覺

    ○野原委員 そこで次にお尋ねをいたしたいことは会計上の問題であります。先ほどから高木務理事からいろいろ御説明がありました私学振興会からの二百万円の問題でございますが、この点について高木さんに二、三お尋ねをしたいのであります。あなたは書面審査によってこれを貸し付けたのだと申されますけれども、この二百万円の金を貸し付けるには貸し付ける条件があったと私は思う。これはあなたの御説明を承わりましても、つまり起工についての条件、竣工についての条件、何月何日に起工して何月何日にこの建物は完成いたしますというような条件書面審査をされてお貸し付けになられたと思うのでございますが、重ねて私確認をしたいのであります。起工は三月の末で、竣工は五月の末という条件であったのでございますか。
  77. 高木三郎

    高木参考人 御説の通りでございます。
  78. 野原覺

    ○野原委員 ところが本日は六月十三日で、まだ竣工しないどころか起工もしていない。このことを常務理事は責任者として一体どうお考えであるか。振興会の運営の責任者としてのあなたは、書面による契約の五月末を過ぎておるのに、現実に竣工どころか起工もしていない、これを一体どうお考えですか。
  79. 高木三郎

    高木参考人 お答えいたします。先ほど来申し上げましたように、私学振興会貸付の手続といたしましては、書面審査によって行いますので、一々その内容審査いたしておりません。そこで竣工いたしましたならば事業完了届を出させることにいたしております。もし事業完了届を出しません場合には督促をいたしまして、いつできるのかということを確めております。
  80. 野原覺

    ○野原委員 どうも書面審査だから、これは書類の報告があるまではタッチできないんだと申されますけれども、五月末が竣工なんですね、そうするとあなたの方では報告についての督促をなさいましたか。
  81. 高木三郎

    高木参考人 督促いたしまして、理事長に出頭をしてもらいまして説明を聞きました。
  82. 野原覺

    ○野原委員 そこで理事長の説明では学校がややこしい問題があってできなかったんだと、こう申されるのですけれども、三月末の起工が、いかにややこしい問題が起ったにしても、私は二百万円というものが——これは金額はわずかかしれませんが、私学振興会にとっては大切な金なんです。それが二カ月なり、三カ月なり寝ておったのか、働いておったのか知りません。金というものは一分、一時間でも働くのですからね、それが現実に貸付契約条件を何ら満たさないで三カ月、四カ月の間眠らしておって何ら仕事をやっていない、こういうことで、あなたが書面審査だからといってほうっておかれる、書面審査であるから目の前にある建物の敷地はわかっておっても、書面審査でございますから、その形式が来なければというので、私学振興会というものは動かないものであるのかどうか承わりたい。
  83. 高木三郎

    高木参考人 先ほど来申し上げましたように私立学校振興会の毎年の貸付は五百件以上に上り全国にわたっております。従いましてその一々について完了しておるかどうかということを調査することはただいまの陣容では不可能です。従いましてただいままでの状況から申しますと、各学校において良心的に施行される、こういうことを前提にしまして完了届を待っております。従いまして、もしその完了がしてない場合においては、催告もいたしますし、いよいよ実施しないという場合には返還も命ずることにいたしております。しかし私どもの聞いております範囲においては、二百万円は別途預金をしてあって、従いまして何どきでも着手し得る状況であるということでございますから、私どもといたしましては、そのこと自体を責めるよりも、むしろ事業の完成ということに重きを置くべきであろうと考えます。
  84. 野原覺

    ○野原委員 その点がどうも私はわからぬので、事業の完成ということに重きを置くという言葉の上の趣旨はわかるのですが、契約条件に明らかに違反しているのですよ、よろしいですか。三月末に起工いたします、五月末に竣工いたしますと言っておきながら、起工も何もしないのですよ。そこであなたの方は理事長に出頭願って説明を聞いたと言いますけれども、黙ってほうっておかれているんだ、これは一体大月末に起工するのか、八月末に起工するのか、それでも事業の完成でございますからというので、あなたは大切な国の補助金によって作られておる私学振興会の金というものを、学校経営者にこういうような実情でまかしているとすれば、これは重大ですよ、どうなっているのですか、この点について重ねて伺います。
  85. 高木三郎

    高木参考人 ただいま申しましたように、一々について審査をするということは不可能なんです。従いまして完了届を待つ以外に方法はありませんし、また条項に違反していた場合においては返還を命じますが、返還を命じた場合にどうなるかということを考えました場合に、学校側といたしましては、学生が非常に必要であると考えておる校舎の完成がおくれることになる、もしこの学校紛争というものがなかったとすれば、おそらくただいままでに竣工しておるべきはずです。
  86. 野原覺

    ○野原委員 一々について審査は不可能だと申しますが、不可能でしょうか。審査はできないものですか、あなた方は書面の上だけでやっておられるのですか、これは重大ですから聞きますが、審査はできないものでしょうか。東京都内の私学振興会というものは、現実にいって、理事長だけの出頭によって、口頭陳述によって、あるいは現地に行って見る点もありましょう。あるいは長崎県にしたって、私学についての所轄庁は都道府県知事、大学については文部省の所轄庁もあるんですよ、幾らでもその出先機関はある。一体あなたは何回もその一々についての審査は不可能でございますと、こう断定されること自体が私はわからない。審査はできないのかどうか、そうしてあなた方は大事な金を何百万円と学校にやって不可能でございますからといってほうっておかれるつもりですか、いかがですか。
  87. 高木三郎

    高木参考人 府県の場合におきましては府県知事を通してきます。従いましてそういう場合においては府県知事が内容を調査するようにいたしております。東京都の場合においては知事の復申がないのでございます。ただいまの振興会の機構の上から考えまして、都内にだけでも大体年額一億一千万円以上の貸付をいたしておりますが、これが大学から幼稚園までにわたっておりますので、その内容を一々審査するということが不可能であるということを申し上げたのでございます。従いましてもし実行しておらないという事情がありますればむろん審査をいたしまして、実施しなければそれに返還を命じる、こういうことになると思います。
  88. 野原覺

    ○野原委員 竣工の期限がきたのにいまだ工事に着手してもいない、そういうような学校法人に金を貸し与えたということについて、常務理事はどういう御所見を持っておるか。当然であると思っていらっしゃるのか。あなたはこういうような金の運営でいささかも差しつかえないものだ。書面審査でございますから一々審査はできないから差しつかえないものだとお考えであるのかどうか。一つあなたの御所見を承わりたい。
  89. 高木三郎

    高木参考人 この点につきましては、私の方は貸付審査その他について業務方法書という一つの内規がございまして、これは文部大臣の認可をとっております。これによりまして書面によって審査しろ、こういうことになっております。従いましてその書面がたとえばただいまの場合において大塚工務店二松学舎との間に建設の契約ができた。すべての建築許可証もある。すべての書類が完備しておる場合には、一応その内容は正確なものなりと考えて査定する以外に方法はないわけです。
  90. 野原覺

    ○野原委員 どうも解しがたい御答弁であります。文部当局に質問をいたしますが、書面審査であるからといってほうっておかれて数カ月の間、うっかりすると半年以上に延びておるかもわからないんですが、こういうような振興会の金の支出というものは一体妥当なのかどうか。文部当局はどうお考えですか。
  91. 小林行雄

    小林(行)政府委員 振興会貸付金でございますが、貸し付けた条件が成就されないで、貸し付けたまま預金になっておるというようなことは、振興会貸付の金はもともとこれは政府出資の金でございますし ひいては国民の税金であるというようなことから考えまして、好ましくないことだと思っております。文部省といたしましても、この二松学舎に対しては振興会からの貸付金が問題になっておるというようなことを聞きましたので、現在調査をしてもらっておるところでございますが、この貸付条件が成就されないというようなことは、文部省としましてもこれは必ずしもいいことでない。使途が適正であるかどうかということについても一つ調査をしてもらいたいと思っておる次第でございます。
  92. 野原覺

    ○野原委員 短期融資の四十五万円について高木さんにお尋ねいたします。あなたの御説明を聞きますと、職員の給与年度末に不足をしておったということで短期融資をなされた、こういうことでございますが、委員長の先ほどの陳述を承わりますと、理事長はこの四十五万円を二松学舎法人に貸し付けたその利子に充当をしておる。これは非常に問題だと私は思う。この点について、高木さん、あなたは振興会から金を貸した以上、調査をされたに違いないと思うのでございますが、理事長は職員の給与にお充てになられておりますか、それとも理事長公正証書による二百六十万円の理事長法人に対する出資額の利子に充てておるのでございますか、その辺は振興会としてはどういうように受け取っておられますか。
  93. 高木三郎

    高木参考人 振興会といたしましては、職員の給与として支払った、こういう事実を提示しておりますので、内部的の会計関係については、私の方では関与いたしておりません。
  94. 野原覺

    ○野原委員 三島委員長にお尋ねしますが、この利子に充当したということは、あなたの方では何か根拠があるのでございますか。
  95. 三島一

    三島参考人 確証を握っております。なお会計上のいろいろの問題につきましては、幹事の宮内四郎君がしさいに調査中でございますので、その点も詳細は、どうか宮内四郎幹事を参考人にしてお呼び下されば、私より一層正確にわかると存じます。
  96. 野原覺

    ○野原委員 当委員会としては、二松学舎教育内容その他について容啄することは、私個人としても行き過ぎであると思いますので、つっ込んでは実は遠慮して質問いたしておるのでございますが、しかし私学振興会から出される二百万円なり四十五万円、あるいは東京都から助成金が毎年出されておるはずです。こういうような金の使途については、当文部委員会はやはり徹底的に究明しなければならない責任が国民に対してあるわけでございます。従って、これは委員長にお願いしますが、いずれ後刻、本日の質問が終った上で理事会等を開いて、必要があればぜひとも幹事を参考人として当委員会に呼んで究明すべき点ははっきりさせなければならぬかと私は思うのであります。  そこで最後に私お尋ねいたします。教員の待遇が非常に悪い、こういうことを承わるのでありますが、一体どういうような状況でございますか。まず三島委員長にお尋ねしたい。
  97. 三島一

    三島参考人 お答えいたします。私たち教職員給与は、学長が月額二万円でございます。それから専任教授が一万三千円、助教授が八千円でありまして、高等学校の先生方は大体六、七千円と記憶しております。なお一例で申し上げますと、勤続十三年、扶養家族五名、超過講座週四時間の助教授で一万二千円でございます。それから先ほど申し上げましたのをもっと詳しく申し上げますと、学長は本年八十三才で、勤続六十年でありますが、交通費なしの年俸二十四万円ということになっております。お答えいたします。
  98. 野原覺

    ○野原委員 まことに驚き入った待遇状態であります。しかしながらこのことは、今日の私立学校財政的な基礎が非常に薄弱で容易ならないところからであろうかと思いますから、私どもとしても私立学校に対してはやはり格段の配慮をして、教育の公共性の立場からも私学の充実をはからなければならぬ、このように私は考えておるのであります。  そこで理事長にお尋ねいたします。あなたから先ほど教員組合とだけ対決をしておるように受け取れる説明があったのでございますが、あなたの学園PTAはどういう態度を取っておるのか。それから生徒は今日ストライキをやっておって、理事長にまっこうから反対をしておる。まずPTAの態度を理事長としてはどういうように受け取っておられますか、お尋ねいたします。
  99. 松浦昇平

    松浦参考人 先ほどから、理事の乗っ取り連動を展開いたしまして、PTA会長はやはりそれらのメンバーから常に口説かれまして、ある少数の者はやはりこの運動に参加しておるように思います。ところが心ある者は非常にあざ笑っております。大体、学校の教師の紛争PTAが入るなんということは間違っておる。PTA本来の姿は——教員は教員組合俸給が安ければ組合運動として理事者側に向って団体交渉すればいいので、PTAがそれに介入するなんということは間違っておる。同窓会においてもまたしかりであります。心ある同窓会の会員は、やはり笑っておるのであります。  それから先ほど、待遇は、十三年勤めて家族何人というのがありましたが、おそらく佐々木鐘三郎君のことを言っておるのだと思いますが、この男は三回にわたって前理事長から不都合のかどにより馘首されております。そこで私が理事長になって、初めて私のうちにしげしげと来るようになったから、あなたはどういうわけで前にやめたのですかといって聞きましたら、これこれだというので、私が初めて採用したような始末でありまして、だいぶ食い違っておるようであります。教員の待遇に関しましても、私の方は三単位六時間受け持って一万三千円であり、これは基本給であります。それ以上は一時間について幾らと定められておりますが、これは大きな大学で——大学の名前を言うのはちょっとどうかと思いますが、日大あたりでは五単位十時間持って一万五千円であります。それから見れば私どもの小さな学園で、一万三千円というのは非常に高いベースになっております。生徒数から比例いたしましても、そういうふうになっております。また専任、専任と言って専任を振りかざしておりますが、実際は一週間二回しか出てこない。他はほかの私立学校で盛んに授業のかけ持ちをやっているわけで、専任としての職務が果せておるかどうかはきわめて疑問であります。ですから、私ども学園といたしましては、去年の予算が、予算面では千二百万円と計上してありましたが、実際は約一千万円ちょっとです。それで先ほどのように、暮れになりまして俸給が支払えないような状況に立ち至ることもあり、私が引き受けて理事長をいたす前は俸給が支払われないということがたびたびあったようであります。しかし今日の支払い状況でありますと、俸給といたしましても、まあ少いながらも六〇%近く払っております。それから戦災を受けました学校といたしましても、逐次学校の発展に乗っておるように私は考えております。マッカーサー司令部から漢文は廃止をすると言われて、それ以来漢文の志望著は非常に減っております。そういうようなわけでして、私立学校はなかなか容易なことじゃございません。さきに私学振興会から借りた金がほかに使われておるというような間違った宣伝を平気で……。
  100. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 ちょっと松浦君に注意いたしますが、なるべく質問以外のことは言わないで。
  101. 野原覺

    ○野原委員 委員長に尋ねます。三島先生にお尋ねしますが、あなたの方と、それから教授会と生徒だけが理事長に対決しておるのですか。それとも、同窓会なりPTAというものは、これに対してどういう態度をとっておるのか。これは反対じゃないという理事長の御答弁ですが、どういうことでございますか。
  102. 三島一

    三島参考人 では申し上げます。PTAの件から申し上げます。正直に申しまして、PTAのすべてではありません。しかしながら、PTAの幹部の方たち約二十数人は、少くともこの点を確認しておられます。すなわち、理事長に対して反対しておられます。漸次それが拡大されつつあるのであります。なお詳細に申しますことをお許し下されば、先般、五日の日曜日に全学の決起大会をいたしました。その際に、その会の始まる前に、PTAのおもだった方たち二十名お集まりになりまして、私どもしさいに昨今の状況お話しいたしました。お父様方やお母様方は、事実を御存じないために、私どもに対して最初はいろいろ誤解をされておったようでありますが、ついにはその方たちは非常に憤激されまして、いろいろ法律的におかしい点が確かにある、いかなる手段をもっても、一日も早く学園を民主化して、自分たちの子供たちを安心して教育できるような環境にしてほしい、実は、教員組合といたしましては、理事長の不信任の決議はしておらないのでありますが、不信任を強く主張されたのであります。また卒業生諸君に対しましては、松苓会と申します組織がございますが、長年にわたりまして学校当局が十分に卒業生を愛護しなかった点もありまして、その組織が十分でございませんけれども、すでに専門学校の第一回、第二回以来、人数の多少はございますけれども、ほとんど各界に進出しており、東京に、あるいは東京の付近に時時集まり、または書面によっていろいろ連絡をとりながら次第に固まってきています。この方たちもいろいろ組合運動について御批判はありまして、私どもも、十分にその御批判を受け入れて健全な発達をさせていきたいと存ずるのでございますけれども、この方たちの御意見を伺いますと、とにかく非常に強硬でございまして、組合で今考えておりますよりもはるかに強硬な主張をされて、私どもも鞭撻されているというような状態でございます。
  103. 野原覺

    ○野原委員 文部当局にお尋ねをいたしますが、二松学舎の問題について、今日までどのような対策を講じてこられたか、お尋ねします。
  104. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先々週来二松学舎がストと申しますか、事実上授業を行わないというような状態に立ち至りましたので、文部省といたしましても、これは重大であると考えまして、理事長側並びに教職員側からそれぞれ文部省に来てもらいまして、何とか両方とも穏やかに話し合いを始めてもらいたいということで、実はそれぞれ両者の言い分を聞いたのでございます。しかし当時まだ両者の言い分が相当開いておりまして、従って実際の事件の概要と申しますか、事実上問題がどうであるかということがまだはっきりつかめておりません。文部省といたしましても、特に権限があってこれをどうするということではございませんので、事件取り調べるというような態度でこれに臨むことはできなかったのであります。何となしに、これはなまぬるいことのようでございますけれども私学の内部の問題でありますので、できればこの両者の間でお互いに話し合いをして、少くとも、教育と申しますか、授業を放棄するというような事態には立ち至ってもらいたくないと考えております。今後もこれは両者でお話し合いになって、うまくいきませんで、両者そろって文部省にこれを何とかしてもらいたいというようなことになりますれば、文部省としてもその間の何と申しますか、権限的に介入することではございませんけれども、穏やかに解決する方法があれば、そういうことも十分考えたいと思っております。
  105. 野原覺

    ○野原委員 御承知のように、教育というものは公共的な性格を持っているのであります。いかに私立学校だからといって、所轄庁として文部省があるだけに、指導なり助言ということだけでなしに、ある程度の監督は今日の法令のもとにおいても許されていると私は思うのであります。たとえば、私立学校法の第六条を見ましても、「所轄庁は、私立学校に対して、教育の調査、統計その他に関し必要な報告書の提出を求めることができる。」ということも書いてある。これは、ストライキが起ったから、そのストライキが起ったという非常事態になったから、あわててあなた方の方の文部省が両当事者を呼び出して話を聞いておるということだけでなしに、その前から二松学舎というものはくすぶっておったのです。私どもいろいろ経過の説明を読んでみても、前からくすぶっておる。現に私どの質問応答の中でも明らかなように、教員の首切りということが実はやはりストライキの一つの原因になっております。それから生徒は、授業料を一回滞納しただけでも、教務課長は成績証明書も書かなければ、通学定期の証明書も発行してくれない。今日アルバイトをやっている生徒というものは金がないときもある。だから、何日間待って下さいというようなことも聞いてやれないというようなことになれば、生徒としても非常に不満を感じてくるのじゃないか。いろいろ理事会理事の構成にしても、あるいは私学振興会貸付条件等にしても、これは常務理事からもいろいろ御答弁がございましたけれども、まことにもって奇怪しごくな振興会の金の運営ということになっているが、実は私は今初めて知って驚いておるのであります。こういうようなことが全国一千幾らの法人に行われているとすれば、これは重大である。一体この指導監督の責任者というものは文部大臣でございましょう。あなたの方に指導監督の責任がある。それをストライキが起るまでほうっておったというようなことは、私どもとしては何としても了解ができぬのであります。従って私は委員長にも希望をいたしておきまするが、この真相については、当然所轄庁としての責任のある文部省は調査をされて、当委員会に文部当局の見解を付して出して下さるように、委員長にそのお取り計らいを要望いたしまして、私の質問を終ります。
  106. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 今の野原覺君の申し述べのように、ぜひ参考書類を出してもらいたいと思います。  次に、島上善五郎君。
  107. 島上善五郎

    ○島上委員 私はまず最初に松浦理事長にお伺いしたいと思うのですが、私どもがこの問題を取り上げていろいろ御質問しておりますゆえんのものは、もし今までの学校経営あるいは運営の面において大きな間違いがあるならば、それを是正し、長い伝統と歴史を持っている二松学舎を今後りっぱな学校として復興再建さして、正常な軌道の上に乗せるようにしたい、そうしてそれには今起っている紛争を円満にすみやかに解決するようにしたいものである、そのために私どもがもし幾らかでもお役に立つならば幸いである、こう存じて質問するわけですが、理事長が今冒頭に申されました言葉の中に、学問の府が赤色闘争の実験の府と化してしまったという言葉があった。私は何もあげ足を取るわけではありませんが、これはきわめて重大なる言葉だと思うのです。もし今起っている教職員組合との間の紛争、それにPTA及び学生の諸君が加わっておる紛争が、ほんとうに理事長が言われるように赤色闘争の実験のために行なっておる、こういうことになるならば、これは解決のしようがないと思うのです。私はそうではないと思うのです。今までの公述を聞いておりましても、それは純粋な、単純な組合運動とばかりは言えないものもありますけれども、やはり教職員の諸君が立ち上った動機なり原因なり、あるいはその後の闘争の経過等から判断しまして、不当な解雇が感情的に理事者側からぽんぽん行われるということに対する教職員の不安、自分たちの人権を守ろうとする問題、それから給与が非常に悪い、この生活権を守ろうとする問題、さらに私学経営を浄化し、民主的な教育と学問を確立しようという動機なり理由なりから立ち上ったものだと私どもは考えておる。組合が最近できたばかりで、組合の行き方においてふなれである。あるいは理事長の側から見て御不満な点もあるいはあるかもしれませんけれども、しかし私は、この問題は一部の者が赤色闘争の実験のためにやっているとはどうしても考えられない。もしあくまでも理事長がそういう考えでこの問題に対処しようとするならば、私はいかにしても解決のしようがないと思う。今文部省の当局においても事態の円満な解決を望んでおるということですが、私どもも事態の円満な解決を望みまするがゆえに、先ほど公述されたばかりですが、今なお理事長は、この紛争は一部の者が赤色闘争の実験のためにやっておると、あくまでお考えになっておるかどうか、その心境をまずお伺いしたい。
  108. 松浦昇平

    松浦参考人 最近京都大学事件もございまして御承知のことと思いますが、学生の中にも、教師の中にも、やはりそういう者がいると思います。ただわれわれはまじめに待遇改善の問題を理事者側と話し合うことをするならば、そういうことはお互いに団体交渉を持っていけば話がわかるのじゃないかと思います。理解し合って解決の線に一致するのじゃないかと思いますが、思想の違う者が現われて盛んに応援をし、赤旗を振り、あるいは学生の中にも善良な学生もおりますが、学生服を着た善良な学生学生服を着た暴力団にひとしいような学生もいないとは言えないと思います。現にわれわれはカン詰にあいまして、うちの家内などはけ飛ばされる、なぐられる、実に婦人の身として非常に哀れな状態を呈したのであります。これは当時の新聞記者並びに当時そこに立ち会われた所轄署の警察官が目撃しておる事実であります。まことに遺憾だと思います。
  109. 島上善五郎

    ○島上委員 かりにそういうことがあったとしましても、今日赤旗を立ててストライキをやるというような状態は、これはもちろん正常な状態ではないのです。これは非常に異常な状態で、私どもも、おそらく組合としてもそうだろうと思うのですが、すみやかな解決を希望しているに違いないと思うのです。しかしそういうような状態になったからといって、それを一部の人が煽動して赤色闘争の実験のためにやっているのだというふうに解釈されることは、遠慮なしに言うと、これはものの一部しか見ない、きわめて反動的な見方といわざるを得ない。教授の全部あるいは大多数か知りませんが、教職員の全部それから学生の多数、PTAの多数の諸君がこの運動に合流しておるという事実は、そこにこういうふうに立ち上らざるを得ない理由があったからのことであって、私はその立ち上らざるを得ない理由、原因については、むしろ理事長の側において深い反省をすべきものであると思うのです。今までの公述を承わっておりますと、理事長の側においては自分の側に多少の責任があるというような反省の色が少しも認めることができずに、この紛争を今申しましたように、赤色闘争の実験のためにやっているのだ、こうきめつけておる。私は、こういうきめつけ方をして、こういう態度をもって今後も対処しようとするならば、この解決は遺憾ながら至難だと言わざるを得ない。しかし私は今までの組合長の御意見も承わって私なりに下した結論は、決してそういうものではない。あるいはそれは大勢の中ですから、思想的にはまちまちでありまして、共産主義の思想を持っておる人もおりましょうし、そうでない人もおりましょう。それは多くの場合にあり得ることですが、だからといって、この紛争に対して、今申しましたような理事長の考え方で対処するということは、大きな間違いであり、事態をますます紛糾させることになるのじゃないか。私はやはりこの問題に対しては、感情的でなしに、もう少し冷静になって、自分の今までのやり方に間違いがあったのではないか、手落ちがあったのではないかということを謙虚に反省する、そういう態度でもって臨まなければ、事態の円満なる解決というものはなかなか困難だと思います。私の質問した焦点に対して重ねて心境を伺います。
  110. 松浦昇平

    松浦参考人 申し上げます。理事者側の方でも、また理事長といたしましても、やはり人間でありますから、非常に反省すべきところもあると思います。また反省すべきところは反省することにやぶさかではないのであります。たが私が遺憾に思うのは、やたらに理事長追放あるいは理事長をおっぽり出せという理事長追放の決議をし、そういう運動を盛んにしておいて、その理事長給与を値上げしてくれ、身分の保障をしてくれというようなことは、矛盾しているのじゃないかと思います。それほど追放する理事長なれば追放すればいいので、その追放する理事長に身分を保障してもらって一体何になるかと私は言いたいのであります。私たちの至らないところは今後も反省をしていきたいと思いますが、組合運動のあり方についても、きわめて適切でないように思います。学生の取締りについては、学長に権限があるのでありますが、今回起った問題については、学長が向う側についておるのでありますから、学生を処分することができない。幾らあばれてもあばれ次第である。教授たちは、君たちの単位はわれわれが持っているのだ、君たちを卒業させることは教授の方の力である、理事長ではできない、学生の退学処分も理事長でもできないので、大いにあばれて実力行使をやれと煽動しておるのであります。かるがゆえに学内はいつまでたってもおさまらない。ただ学長理事会が任命するのでありますから、学長の職務怠慢となれば、学長は罷免することができます。二人の教師を罷免しただけでも、これだけ騒いでいるのですから、その上に学長を罷免したとなれば、また八十三才の老学長理事長の専断によって罷免したということでますます労組に対してデータを与えることになりますから、そういうことは一時——理事会はまことに遺憾であります、あるいは罷免するかもしれません。事態が解決しなければ、まだ二、三の、私立学校としてふさわしくない教師は、どしどし首を切るかもしれません。これは私立学校の運営上やむを得ないことであります。以上であります。
  111. 島上善五郎

    ○島上委員 大へん強硬な態度でございますが、私は勤続六十年の老学長教職員組合の側あるいは学生の側に味方をするとかあるいは好意を示すということは、よくよくのことだと思うのです。その点理事長は静かに胸に手を当てて反省することがなければならぬじゃないか。今短時間皆さんから事情を承わっただけで、私どもはまだわからぬ点もたくさんありますから、そう簡単にきめつけるわけにはいきませんけれども、この勤続六十余年の老学長があなたの方につくべきとあなたはお考えでしょうけれども、それが反対側についておるということはよくよくだと思うのです。私はその点を理事長はもっと反省してほしいと思う。しかるに理事会を開いてどんどんやるかもしれぬ、こういう威嚇的な公述をされるに至っては、私はもう何をか言わんやであります。  そこで文部省に承わりたいのですが、先ほど同僚野原君の質問に対して、教授の任免等に関しては学長の所掌するところである、こういうふうに、私の聞き間違いかどうかしりませんが、そういう御答弁があったと思いますが、もしそうであるとするならば、今の理事長のお答え、今後も学長並びに教授で不適当な者があれば理事会においてどんどんやっつけてしまう、こういうようなことはあなたは適当な措置とお考えになるかどうか、文部省にお伺いします。
  112. 稲田清助

    ○稲田政府委員 先ほど申し上げましたのは、任免権者はこれは理事側にあるわけであります。ただ教授その他の教職員学長が統率するのでありますから、理事長なり理事会がその任免権を発動する場合には学長意見を聞くべきであろうと申したのです。学長としてはまた教授会と相談することが望ましい、こう申し上げたのです。
  113. 島上善五郎

    ○島上委員 学校教育法の中には「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」こういうことになっておりますが、私ども教授の首を切るというような問題は、かりに理事会において任免権があるとしましても、重要事項の一つだと思うのです。これは当然学長を通じて教授会に諮問すると申しますか、御相談なさるのが適当な措置ではないか、しかるに今まではそういう措置を全然されていないようでありますが、その点に対する文部省の御見解をお尋ねいたします。
  114. 稲田清助

    ○稲田政府委員 今申したことを繰り、返すわけでございますが、理事者側としては学長に御相談せられるべきであり、学長としては教授会意見を聞くことが望ましいと考えます。
  115. 島上善五郎

    ○島上委員 これは組合側の出した文書でございますから、もし事実と相違しておったら相違するとはっきりしていただきたいのですが、最初にこの問題については三島組合長にお伺いし、そのことに関連して、同時にまた理事長にもお伺いしたいと思います。それは、その前に解雇された二名のほかに口頭で根本書記及び高桑講師を含めて四名の解雇をしたわけですが、それを二十一日に至って撤回をする、こういう約束をしておるようであります。もちろん撤回をするからには、その前の馘首が適当でなかったということになるのではないかと思いますが、しかるにその後またもう一ぺん心境の変化を来たして、それを取り消しておるようであります。馘首を一ぺん撤回してさらにそれを取り消しておるようであります。こういうような事実があったかどうかということを組合長にお伺いし、もしそういう事実があったとしましたならば、撤回するには撤回する理由がありましょうし、またさらにそれをもう一ぺん取り消してもとに返す、つまり首にしてしまうというにはそれ相応の理由があろうと思いますが、その理由について理事長からお伺いしたい。
  116. 三島一

    三島参考人 申し上げます。四月二十一日の朝の団交、ちょうど二十日から続きました二十一日の団交で、組合といたしましては理事会側と確約書を取りかわしました。そのうちの一つは首切りの撤回でございます。従ってそれから以後一カ月の間はそれらの方々学校に勤務されたのであります。ところが五月の二十六日——お断わりしておきますが、二十七日か月給日でございますが、二十六日になりましてこの確約を取り消されたのであります。確約書は組合としてもはなはだ不手ぎわでございましたが、お名前をあげてありませんが、議事録を添えまして両者が捺印をいたしましたので、そこには出ておるはずであります。二十六日に取り消されました。そこでその翌日の二十七日に、かねて理事長側からの御要求通り都労委のあっせんのもとにおいて団交をやりました際に、組合としては、四月二十一日の線を再び確認してほしいということを申し上げました。そしてもしもこれが取り消されなければ——不当解雇撤回の取り消しの取り消しでありますが、われわれは遺憾ながら実力行使に移らざるを得ない。なおそれに付随いたしまして待遇問題をつけ加えまして、理事長の方に団交の結果申し上げたのであります。しかるに、五月三十日の昼ころでありますか、答えがありまして、四月二十一日の確約の不当解雇撤回の線は今のところ取り消すことができないということになりまして、はなはだ遺憾ながら実力行使に入ったのでありますが、学長教授会を開きまして、教授会といたしましては、この学内のいろいろの紛争について事態収拾のために六月四日まで休業をするということを決定されたわけであります。
  117. 松浦昇平

    松浦参考人 四月二十日に第一回の団体交渉がありまして、八時から十時までという当事者の確約を破り、理事者五名をカン詰にいたしまして、われわれは脅迫のもとに翌日の午前五時半まで団交を続けさせられたのであります。そのときに都労委にお願いしておきましたわれわれは八時から十時まで二時間という団交の時間でありましたので、八時から十時までは団交する義務があると思いますが、中に弁護士の方もおりまして、団交の時間は二時間だ、二時間を経過すればわれわれはもう代表権がないのだ、すぐ立って帰ろうじゃないかというように言ったのでありますが、はしごを持って参りまして、そしてそこに急進分子学生を配置いたしまして、約百五十名から二百名ばかりを動員いたしまして、われわれをカン詰めにしたのでありまして、便所にも行けなかった。松浦理事のごときは、暴力によって全身打撲傷を負い、三島委員長からわび状をとっております。そのときに警察に通知すればよかったのでありますが、これは学内のことでありますから、わび状をとって、それでかんべんしたらいいだろうということになったが、全く京都大学のもっと上前をやったと考えております。ゆえにわれわれは、脅迫に基いてなされた団交であるからこれを取り消す、そういうふうに理事側では意見が一致したのであります。またかりにも不当解雇せられたと称するなれば、労働基準局に提訴するなり、また解雇無効の民事訴訟を起して、判決を待って、いずれが正しいかということを決すればいいので、理事者側がこれを脅迫であると主張いたしたのだから、脅迫でないという理由をあげて団交をお続けになればいいのじゃないかと思います。以上であります。
  118. 島上善五郎

    ○島上委員 私の考え方によれば、教職員解雇するということは、これは非常に重大な問題であって、決して一時の感情や何かによってなさるべきものではないと思います。こころがどうもこの解雇に対しては、教職員として不適当であるという抽象的な理由しかあげられていないように思う。そこで私はこの解雇に対して、どうしても解雇しなければならぬというはっきりとした理由がありましたらお示しを願いたい。そしてこれに対する三島組合長の御見解も同時に承わっておきたい。
  119. 松浦昇平

    松浦参考人 解雇したそもそもの理由は、名前を申し上げますが、鑓田亀次という教師は、三回にわたって口頭または文書でもって自分を理事に推薦してくれと要求して参りましたが、理事会では、同氏の日ごろの言動や、近き将来に——現在文部省の役人でありますが、これが停年になりますので、文部省をやめたら二松学舎を自分の地盤として確保したい、こういう野望がありますので、理事になっておれば身分は確保されるというので、再三自薦、他薦で理事要求をいたしてきたのであります。それが理事会で否決されたものだから、現在の理事長のもとではどうしても望みを達することはできないというので、理事長排撃にかかったわけです。これは前に士官学校におった当時、非常に策士家で、自分は表面に出ないで影で運動する男だったから、こういう男に学校理事になられてはたまらないというので、理事会では理事になさなかったのであります。そもそもの発端はそこから発しまして、それに同調したのが萩谷君であります。萩谷君は前の塩田良平学長から不都合により首になっております。前の学長から首になったのだから、腹が立って学長室の窓ガラスをぶちこわした。たまたまそこにMPが通りかかって萩谷君を拉致していった。そういう関係で萩谷君は首になっておったものであります。たまたま私が塩田良平からそれを引き継いだので、その後しげしげ私のうちへ出入りするようになりまして、自分はもと二松学舎におったが、あなたが今度理事長をやるそうですが、私も入れて下さい、教師として採用して下さいということを申し出たのであります。私も気の毒に思って、それじゃ一つ協力してほしい、あなたも出なさいというので、当時助教授であったものですから、やはり萩谷君は助教授で採用いたしました。そのときに、あなたはどうもけんかっ早くて困る。この前のようにけんかしてはいけませんよ。けんかするのだったらすぐやめてもらうというふうに笑いながら話したのでありますが、大いに協力するということで入ったのでありますが、はからずも今度の鑓田君の運動に際しておどり出たのが萩谷君であります。萩谷君は教室の中もかまわずに、学生理事長の非行を発表し、名誉棄損になるようなことまでも学生に発表し、教師としてあるまじき行為である、こういうことで理事会で不適当であるということを断定されまして、それから学長理事会から話しましたところ、学長教授会でこれを諮ってくれというので、それぞれの手続をいたしまして、その翌日また学長の宅に理事団の者が参りまして、学長に命令したのであります。これはもう一年もかかっている問題であります。昨年じゅうかかって争っていることでありまして、昨年でも萩谷君その他の二人については、理事長にあやまり状を出させようということで、あやまることをするなれば、今回は許そうじゃないかという話もきまりまして、それは理事会決議にも載っております。それも反省することなく、相変らず理事長排撃の急先鋒を受け持って、学生を私宅に招き、あるいは自治委員会急進分子を相はかって宣伝に乗り出して、理事長排撃に授業を忘れて終始没頭しているような教師でありますから、本理事団としては、これはともに天をいただかざるものだということになりまして馘首したので、それぞれ確固たる理由のもとになされた行為でありまして、決して不当なことではありません。以上であります。
  120. 三島一

    三島参考人 ただいまの松浦理事長お話を伺っておりますと、まことに驚くべきことであります。私たちは学園の民主化、学問、教育の自由のために戦っているのでありまして、理事になるとかならないとかいうようなことのために戦っているのでは決してございません。  鑓田先生のことが出たのでありますが、私は失礼でございますが、創立者の孫として申したのでありますが、非常に困難な学校において理事になりたいということをおっしゃるとするならば、ある御経綸をおそらく持っていらっしゃるのじゃないか。かりに理事になりたいということを仰せられるならば、その動機はいろいろあるかもしれませんけれども、とにかく理事者の側としては、理事になるならないの問題ではなくて、虚心たんかいに学校に対する御経綸を聞くべきであると思うのであります。理事というような形の問題にとらわれないで、広く教職員意見を十分にお聞き下さり、またわれわれの間違っている点は、話し合いによって批判していただくならば、かくのごとき事態は起らなかったと私は信じて、はなはだ遺憾にたえないのであります。鑓田先生の士官学校時代のことにつきましては、私は存じませんけれども、数年来のおつき合いからして、先生はそういう御人格の方ではない。学界あるいは教育界のことについていろいろ御奔走になっているということは、友人の一致した見解でございます。  次に萩谷先生のことにつきましても、先ほどガラス云々のことがございましたが、これは徹頭徹尾無根でありまして、何かのお間違いじゃないかと思います。塩田君の時代のことは、いたずらに触れたくはないのでございますけれども、とにかく見解の相違というものは学園にしばしばありがちでありまして、その見解の相違をお互いに是正していく努力をすることが、子供を預っている身として非常に大切であると思のであります。萩谷先生の場合におきましても、教授会は慎重に審議いたしまして、このことがいわゆる非行と言われておりますが、このことだけでおやめ願うということの理由はないとして、学長を通じて理事長に申し上げた次第であります。以上であります。
  121. 島上善五郎

    ○島上委員 それから萩谷教授のほかに館田講師ですか、並びに高桑講師、さらに根本書記、この四名を解雇しておりますが、そういうふうに事実があまり食い違っているので、状況はここで承わってもしようがないと思いますが、私はこの解雇はどうも理事長の感情的なものが非常に含まれているのではないか、こういう感じがいたしてしかたがない。人をやめさすにはよほどの理由がなければ、私はそう簡単にやめさすべきではないと思う。先ほどは不当な脅迫的な団交のもとになされたとは言っておりましたけれども、一たびは撤回をする、こういうことを確約したのですから、私はこの解雇には相当の無理があったのではないか、こういうふうに思われてしかたがない。そこで他の三名の解雇については組合ではどのように考えておられるか、三島組合長にその点承わりたいと思います。
  122. 三島一

    三島参考人 今三名とおっしゃいましたけれどもあと二名でございます。一人は高等学校の教諭の高桑先生、もう一人は根本書記でございます。この二人とも解雇理由はないというふうにわれわれ思っております。高桑先生は今からだを痛めておられますけれども、先生といたしましてはとにもかくにも将来の問題はいざ知らず、一応解雇を撤回してほしいということを強く主張しておられます。根本書記の問題につきましては、私どもの聞いておりますところでは、ただいまの教務課長松浦理事長の奥様に非常にしかられた、このことをもう少し申し上げますと、学内において松浦夫人並びにその他の女性の間のトラブルがございまして、これがきっかけになりまして根本書記が非常にしかられた。掃除が悪い、もう出てこなくていいと言われたのであります。もっともそのときにもう一人言われた女性があるのですが、その方は母親とともに理事長にあくまでも強気に交渉されまして、そのままになりましたが、根本書記の場合は、もう出てきていけないと言われたので国に帰られた、それを職場放棄とされまして解雇されたということが事実でございます。
  123. 島上善五郎

    ○島上委員 それでは理事長に伺いますが、根本書記に対してあしたから出てきてはいけないということを言ったときが正式の解雇言い渡しであるか、そう言われて国へ帰ってしばらく出てこない、その事実をもって職場放棄であるからといって解雇したのか、その解雇事情を承わりたい。
  124. 松浦昇平

    松浦参考人 お答えします。根本書記は私が教えた卒業生であります。そこで私は根本書記が出てこなかった理由をただしてみたら、根本書記をしかったのではなかったそうです。ただ根本書記は同調して学校に出てこなかった。これは一月の話です。そこで庶務課長が早く学校に出てこいということを通告いたしまして、郷里が茨城県でありまして、茨城県の方にはがきを出したそうであります。そこで根本はしかられたそうです。なぜ学校からこういう手紙が来るのに学校に行かないかとしかられて、早く学校に行きなさいと言われたと聞いております。その後学校出入りの写真屋に、自分はもう学校をやめたのだと称して就職を依頼している。また学内の三木教授に対しても就職を依頼している。自分みずからやめて他に就職運動を開始しているという事実がございますので、これは決して解雇したのではない。みずから職務を放擲して逃げ去ったのであります。学園に迷惑をかけたのであります。  もう一つの高桑という教師は、これは私の家内が公立学校に二十年ばかり教鞭をとっておりました関係上その合い持ちの教授の教え子でありまして、一橋大学学生であります。これは私の方の学校でちょうど塚田という教師が、あることで学校を休んでおりまして、これも不都合なことをして学校を休んで、そのまま消え去ってしまったのでありますが、とにかく監督が不行き届きであるのか、学長が老齢であるのか、そういう点で学内にありましてわれわれは非常に心配いたしているのでありますが、何かちょっと学内のことについて注意すると、理事長専横、理事長不都合というようなことを言われるので、やはりこれは学長先生がしっかりなさらなければ、学内の革新も組織立ったこともできないのではないかと私たちは考えております。この高桑という教師は一橋大学学生でありまして、実際は毎日学校に出てこられないのであります。自分が講義を聞かなければなりませんから、二松学舎のアルバイトで七千円もらうことよりも、自分の学校の授業を聞くことがより大切なのでありまして、約束をしても約束を果さず、最初は四日出てきてくれるという約束をしたのですが、四日は出られないということで、自分の授業時間だけしか出なかったわけであります。そこで私が理事長室に呼びまして、それでは困る、君も困るだろう、この約束は、三月三十一日までは放任の状態でやる、三月三十一日にはあなたはやめなさい、いや承知しました、そのかわりにアルバイトができる時間中で、授業のあるときだけ教えに行って、しかも自分のアルバイトになる収入を持てばいいのであるから、どっかほかへ世話してくれというので、私はよろしい、それではほかに時間だけ教える講師にお世話しようというので、この約束は成り立ったのであります。その後聞くところによると、自分はやめていないのだといって寝返りを打ったわけであります。自分は組合に入った、自分を勝手に首にしたというような宣伝をしているのであります。事実はアルバイトに来た学生でありまして、妻や子のある教師を首切ったのとは条件が違います。本人は承知したのであります。しかもこの高桑君を紹介した、現在学校長をしておりますが、その校長先生が高桑さんの父をたずね、高桑さんをたずねていったときの問答が記録されております。それによると、君はそれでは三十一日にやめると言ったのか、言いました、他に職を世話してやると言いましたか、それも言いました、自分は学校の方も行きたい、アルバイトもやりたい、それでよく頼んでおきました、こういう発言をしております。
  125. 島上善五郎

    ○島上委員 ただいまの事実はその通りであるかどうか、三島さんにお尋ねいたします。
  126. 三島一

    三島参考人 根本さんの問題について申し上げますと、詳しい経緯は知りませんけれども、先ほど私が申し上げた通りです。  高桑君の問題につきましては、どういうお話し合いがあったか詳しいことは存じませんけれども、高桑先生は決して学校をやめない、少くとも当分の間はやめないということをはっきりおっしゃっております。
  127. 島上善五郎

    ○島上委員 だいぶ事実が食い違っておりますが、私はその事実の食い違っている点から見ましても、やはり解雇には相当の無理があるように思われる。しかしここで私は何も解雇を撤回しますことの言明を要求する考えはありませんが、今後事態を円満に解決するためには、こういう問題に対しても十分考慮していただきたいと思うわけです。  それで次の問題を一、二御質問したいと思いますが、先ほど理事長教職員給与は決して悪くない、こういうような御答弁のようでございましたが、組合の出した印刷物によりますと最高学長は二万円、さらにその下の専任教授五十才から七十才というような人が一万三千円、初任給六千円というような数字が出ておりますが、少くとも今日の物価水準あるいは他の公務員や労働者の賃金等に比較いたしまして、これは相当劣悪な給与条件であると言わざるを得ないわけであります。その上給与体系というものが全然ない、こういうふうに言われておりますが、これは理事長は、学校経営が赤字である、あるいは学校経営が非常に苦しいからこういう給与なのであって、経営が改善されればこれは引き上げるべきものである、もっと改善すべきものである、こういうお考えを持っておるのか。それとも学校経営いかんにかかわらず、この給与は今日適当と考えておるのか。給与体系がなくてもこれは当りまえだ、こういうお考えなのか。組合はこの改善を切に要求をしておるようでありますが、今後改善しようというお考えがあるかどうか。こういう状態になっておるのは学校経営が非常に赤字である、あるいは非常に苦しいということの理由のためにこういう給与にしておるのかどうか、こういう点をお伺いいたします。
  128. 松浦昇平

    松浦参考人 簡単に申し上げますと、やはり学校には学校の歴史がありまして、二松学舎が今日にまでなったわけであります。一時給料を払えなかったという時代がありまして、その払えなかった時代の資料を私持っておりますが、きょうは持参いたしませんでしたけれども、いかに二松学舎が苦しかったかという状況が二十四年、二十五年に示されておりますが、現在もまだ遅配の俸給でその当時のものが幾分か残っておるようなわけであります。負債につきましてもやはり歴史が古いだけそれだけ負債があるのであります。先ほど振興会高木務理事から御説明になりましたように、なぜ早く手続をしないかというふうに言われたのでありますが、そのときにも担保物件がよそに担保に入っておった、それを金を払って抜かなければ今度の担保に提供することができないような状態でありまして、現在もまだ寮その他の負債がたくさんあります。そういうもとにおきまして校舎が全焼した、その校舎も建てなければならない、大学といたしましての陣容もそろえなければならないというふうに、それやこれやでやはり現在のような状態になっておるわけでありますが、これは生徒数がふえれば——学校収入と申しますのは、授業料と入学金その他寄付金、それだけです。それによって学校を建築し、また維持、経営をしていかなければならぬ。あるいは負債に対する支払い、その他の施設をそれらによってやらなければならないのでありまして、昔から二松学舎はそんなに大きな規模の学校ではありません。やはり塾でございましたから、規模は非常に小さうございます。しかし給与その地の点についてもできるだけ改善をしていきたいという希望は持っております。
  129. 島上善五郎

    ○島上委員 ただいまのお話によりますと、負債もあり、だいぶ苦しい、こういうことのようでありますが、しかしその反面において私ども納得のいきませんのは、そういうふうに苦しいと言っておきながら、自分の出した金の百七十万円ですか、これを、どういう計算でそういうふうになったのか知りませんが、文書によると二百六十万円に水増しをし、さらに年間一割の利子を取ることをきめて、それを四年分一ぺんに取ってしまった。こういうようなことは、学校を金もうけの道具と考えておれば別ですが、ほんとうに教育に熱心であれば、四年分の利子を一ぺんに取るというようなことはあと回しにしても、教員の給与の問題とか、学校の設備を改善するとかいうことにもっと重点を置くべきものではないか、こう考えますが、その点は理事長はどういうふうにお考えになりますか。
  130. 松浦昇平

    松浦参考人 二百六十六万円に対するものは公正証書が作成してあります。これは水増ししたというように外側の宣伝には書いてありますが、決して水増ししたものではありません。前理事長理事会決議によってなされた公正証書でありまして、それも二十五年の利息、二十六年の利息、二十七年の利息、二十八年の利息をもらわなかったのです。本来ならば一年に一回年一割といいますと——今では法定利息は年三割六分まで取れるのだそうですが、私はある弁護士に実はこういう問題でやられておるのだ、この公正証書に年一割と書いてあるが、これは不当ではなかろうかということを申し上げましたら、公正証書に書いてある以上はやはりその通りにしなければならぬという話でした。これは二十五年にもらうべきものをもらわずに、二十六年にもらうべきものをもらわずに、二十七年にもらうべきものをもらわずに、二十八年にもらうべきものをもらわずに置いてあって、しかも私がその金を作るためには借金をしておるのであります。そこで差押え処分を受けまして、これは弱ったことになった、田辺先生も私と一緒に差押えのときに立ち合ったのですが、私はこういう金を作って学校のために出してあるのでありまして、四年間も元金も何もいただかないのみならず、利息すらも取らないで今日まで置いてあった、それでこれはやむにやまれないので、公正証書に記載した金額だけは一つ何とかしてくれというので何したのでありまして、決して金があり余って私は教育事業をしているわけでもないのであります。その金を学校で足りないのになぜ持っていったのかといえば、そういうことになりますが、たとえば学校が金を借りる場合、私学振興会が二百万円の金を貸してくれると、あと三百五十万円は学校理事長がどっかから借りなければなりません。その借りる場合に利息も払わず、元金も返さずに今日の社会でだれが金を貸してくれるか、もし当委員会の方でそういうお気持で貸して下さる方があれば、私はただちに明日にでもはせ参じてお借りいたしたいと思いますが、いかがですか。
  131. 島上善五郎

    ○島上委員 そういうよけなことを言わずに質問したことだけ答弁してもらいたい。それは年間三割まで取れる、これは高利貸しなら取れるでしょう。しかしあなたは、さっき同僚野原君の質問に対して、私は学校を食いものにしようとか、いわゆる学校屋というものでなったのではない。二松学舎を再建して、りっぱな教育をするためにやったのだ、ほんとうに教育に打ち込もうとする熱情があるならば、年一割の利子をかりに公正証書できめたにしましても、当然取れるもので、それを一ぺんに取ってしまうというようなやり方は、私どもにはどうも納得できません。しかしこれは考えの違いですからこの程度にしておきます。  もう一つお伺いしたいのは、私学振興会から三月に着工して五月末に完成するという契約によって、二百万円の融資を受けた。ところが六月も半ばになりましたのに、いまだに着工しない。一体これはいつ着工していつごろできるという計画をどういう理由でもって変更、延長されたのか。これは先ほどの私学振興会理事の方の言葉だったと思いますが、学内事情で延びておる、こういうことでしたが、その学内事情とは、今の紛争のために延びておるのか、私どもは、学校を建築することと紛争とはそれほど関係はないように思いますけれども学内事情とは一体何のために延びておるのか、一体いつ着工していつ竣工する計画をどのように変更されたのか、その点を承わりたい。
  132. 松浦昇平

    松浦参考人 紛争が起きておりますと、金を貸すところもなかなか金を貸しません。銀行に参りましても、あなたのところは何かごたごたやっておるそうですね。ごたごたが解決してからそういう話はして下さい。しかもあなたを追放するといって決議して追い出し運動をやっているらしいが、あなたが金を借りに来て追い出されたら私の方は困る。これは私はどこへ行ってもそう言うだろうと思います。それから現段階では、学生が暴力団のような行為をなす。建築中の校舎に火をつけるかもしれない。あるいはたき火をやって失火するかもしれない。それをわれわれが十分監督することができない状態にある。現在二松学舎の方にはちょっと入れないような状態になっておる。非常に危険です。理事長が来たら硫酸ぶっかけろ、あるいは袋だたきにして胴上げしろというふうに京都大学以上の尖鋭分子がおると思います。これは皆さん御体験がないようでおわかりにならぬようですが、私は事実二度そういう目にあいました。理事長の机をぱっとひっくり返してその上に学生が土足で上り、もう秩序も何もない。学長はそばでじっと見ておるだけである。教職員もそこで、なかなかおもしろくやられておるわいと、にやにや笑っている。そこにおった飯塚教授のごときは、実に巧みにやりおるわいというよううなことを言っており、非常に遺憾であります。私はそういうもとでありますから、請負業者に対しては、これはちょっと待ちなさい、非常に危険でありますから、しばらく待って、紛争の見通しがついたら始めましょうというふうな考えで、理事会とも相談してそういうふうにしてあるのでございます。決して故意にその金をほかに使ったりなどはしておりません。銀行にちゃんと預金ができています。正確な金額を御参考に申し上げますが、三月二十五日付で百九十六万六千八百円、そういう預金になっております。これはほかに流用してございません。一銭の不正もございません。建築のおくれることは、右のような事情で、非常に危険にさらされており、また他に融資の面とにらみ合せましてやっておるわけであります。
  133. 島上善五郎

    ○島上委員 私は、建築をしたら学生が火をつけるかもしれないだろうというような言葉はずいぶん不穏当だと思います。これは理事長のためにお取り消しになった方がよろしいと思います。  私はむしろ三島委員長に伺いますが、学生にしても教職員にいたしましても、学校の増築を延び延びにしておることに対しては、むしろ早く建ててほしいという希望を持っておるに違いないと思います。紛争中に学校の増築をしてはいけない、紛争を解決するまでは増築をしてはいかぬというようなことをあなたは考えておったのかどうか、そういうことを言ったことがあるかどうか。
  134. 三島一

    三島参考人 私どもは、先ほどから申し上げておりますように、大学の設備が、大学にしても高等学校にしても、とにかくAクラスの格づけの上に立っておる大学といたしましては、ほとんどなっていない。研究室もなければ、図書室はあるけれども書物も買っていないという状態でありますので、一日も早く教室が増築せられることを心から願っております。やはり教職員組合というものは、学校学生、生徒やPTAに対して責任を持っておると私どもは思うのであります。私が松浦理事長に非難を申し上げることはございませんけれども、先ほど仰せになりました、火をつけてしまうかもしれないというようなことは、私どもは断じて承服できない。学生の中にはいろいろの考えを持っておりますが、昨今ではそうしたいろいろな行き違いがあった。私は事々しく弁解は申しませんが、それは松浦先生の良心に伺いたいだけであります。学長の命令のもとに今週から授業が持たれまして、正直に申しますと、最初は学生が少し戸惑っておりましたが、だんだん正常の授業に返っておる。もしも松浦先生にして一片の良心があるならば、学生並びに私たちとゆっくり話し合っていただけば、お互いにわかる問題ではないかと思うのであります。大学の基準に照らしまして、本学の増築というものが一日も早く竣工いたしますように、そうしてそこがわれわれの教育の場となることのできるように、組合委員長としても考えておる次第でございます。
  135. 島上善五郎

    ○島上委員 ただいまの御答弁で明らかなように、すでに自主的に授業を再開し、増築も二日も早くされるように希望しておるという状態なのに、理事長は、今の問題を最終的に解決するまでは火をつけられるかもしれないから増築にかからないというお考えでしょうか。
  136. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 ちょっと参考人に申し上げますが、衆議院規則の定めるところによりまして、公述人と同様、参考人の発言は、その意見を聞こうとする範囲に限られており、またその発言がその範囲を越え、不穏当な言動があったときは、委員長は、発言を禁止し、退場を命ずることになっておりますので、御注意を願います。
  137. 松浦昇平

    松浦参考人 お答えします。紛争中に、たとえば現金が銀行に正しく保管されてあるのに、それが不正に使われたと宣伝するというような状況でありますから、正しくやられておることがなぜ正しく伝わらないのだろうかということは、それは紛争中だからであります。虚構の事柄を、事実無根のことを、しかもほんとうらしく宣伝することが実はおかしいのであります。これはただ単なる私立学校の問題でありますが、こういう私立学校紛争を国会で取り上げて熱心に御討議されることはわれわれまことに恐縮なのでありますが、こういうように事実を曲げて宣伝し、現金が銀行に保管されておるにもかかわらず、不正に私学振興会の金を使われたと宣伝するに至っては、これはまことに紛争中なるがゆえであります。紛争中でありますと金を借りにいっても不利益の場合が多いのです。理事者側といたしましてはまことに遺憾であると思います。一日も早くこういうような問題を解決して、そうして増築工事に邁進したいと思っております。
  138. 島上善五郎

    ○島上委員 そういうふうですと、紛争が早く解決すればけっこうですけれども、どうも先ほど来の理事長の言動からすると、ああいう態度でもって対処したならば、なかなか簡単に解決しそうに思われない。そうしますと、この増築工事もいつ着手するかわからぬ、こういうことになると思うのです。私学振興会の常務理事は、そういう状態でも金を返せという請求をなさらずにそのまま放任されておかれるお考えですか。
  139. 高木三郎

    高木参考人 私ははなはだこの状態が遺憾である。私ともの立場といたしますれば、やはり学校学生を本体とすべきである。従いまして、学生の利益のために、理事者もその他の者も働くべきだ、こう考えております。従いまして、本来でありますれば先ほど野原委員から御質問がありましたように、厳格に、契約を履行しなければ直ちに解除してこれを引き揚げるのがほんとうであると思うのです。しかし私どもはそこまでいたしませんで、一日も早くこの紛争が解決しまして、学生教職員もみんな希望しております学校の増築ということが完成されることを心から希望しております。もしただいまのような状態で今後紛争がなかなか解決しないということでありますれば、私どもといたしましては、やむを得ず契約取り消しまして、直ちに返還を請求いたしたいと思います。
  140. 島上善五郎

    ○島上委員 いろいろな食い違いもありますし、私どもこの問題はもっと調査したいと思いますので、本日の私の質問はこの程度にしておきますが、私は理事長に特に希望したいのは、どうも先ほど来の私の質問に対しましても非常に感情的な不穏当な言辞がしばしば見られるのです。学生の諸君もあるいは教職員の諸君も、激昂のあまり行き過ぎはあるいはあったかもしれませんけれども、やはりお互いに事態をほんとうに円満に解決しようとするならば、冷静になって、反省すべきところは反省して、事態に対処するという心がまえでなければ、解決は困難だと思うのです。そういう点において、私は組合の方にもこの点はお願いするのですが、特に理事長に、もっと冷静になって、謙虚な気持で、過去のあやまりはあやまりとして反省する、そうして事態の円満な解決に対処していただきたいと思う。調査については今後なお続行することを希望して私の質問を終ります。
  141. 並木芳雄

    ○並木委員 紛争の原因の一つに、理事になりたいという野心があるというようなことを理事長が申されました、その理事というのは何かそんなにうまみがあるのですか。なぜそんなになりたがるのですか。
  142. 松浦昇平

    松浦参考人 やはりその人の考え方でございまして、理事になっておれば自分の身分も保障できると思っておるのかもしれません。
  143. 並木芳雄

    ○並木委員 今幾らくらいもらっていますか。
  144. 松浦昇平

    松浦参考人 理事俸給を出しておりません。
  145. 並木芳雄

    ○並木委員 それなのに、先ほど文部省の役人が先生をしていて、理事にさせてくれという要求があったそうですけれども、私の聞き違いでしょうか。文部省の現職の役人ですか。
  146. 松浦昇平

    松浦参考人 国家公務員であります。その人が文部省をやめてからすわる地位であります。それは理事になっておれば非常に身分を保障されるという意味なんでございます。
  147. 並木芳雄

    ○並木委員 現職の職員ですか。
  148. 松浦昇平

    松浦参考人 現職の職員です。
  149. 並木芳雄

    ○並木委員 どなたで、どういう役の人で、そういう内職が許されているのかどうか。
  150. 松浦昇平

    松浦参考人 鑓田亀次と申します。
  151. 並木芳雄

    ○並木委員 職名は。
  152. 松浦昇平

    松浦参考人 職名は、文部省の——国家公務員です。
  153. 並木芳雄

    ○並木委員 その人がどういう職についていて、そういうことは許されるのですか。
  154. 小林行雄

    小林(行)政府委員 今お話に上っております鑓田亀次でございますが、大臣官房の総務課に勤務しております事務官でございます。これは私どもの調べました範囲内でわかりましたことは、もともと国文学科を専攻した者でございまして、終戦前やはり高等学校あるいは専門学校等で国文科の教授をしておった者のようでございます。その後文部省に入って参りまして、昭和二十五、六年ごろに、初めは二松学舎大学の中に国文科というものがございまして、この国文科を再建するために相談に乗ってくれ、知恵を貸してくれというようなことで、別に教壇に立つというようなことでなしに、初めは知恵を貸しておったようでありますが、昭和二十八年ごろからだんだん学校の方から頼まれまして、事実上講師をやっておったというような関係になっておったそうでございます。
  155. 並木芳雄

    ○並木委員 それは許されるのですか。かりに許された場合でも、果して文部省の現職の職員が私学の先生をするということが妥当であるかどうかということについて確かめておきたい。
  156. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先ほども申し上げましたように、当初はいわゆる教壇に立つということでなしに、相談にあずかるということであったので、事実上上司の承認を得てそれをやっておったようでございます。その後私どもが調べましたところ、必ずしも現在いわゆる正規の許可というようなものはとっていないようでありますけれども、そういういきさつと申しますか、経過でございますので、途中から事実上講師になった場合は、それは本来許可を受ける方が妥当であるとは思っておりますが、とにかく非常勤で、週何回かというきわめて短かいことでございますので、一応宥恕し得るものではないかと思います。
  157. 並木芳雄

    ○並木委員 先ほど来聞いておりますと、理事長は非常に金策で苦労してきたようでございます。これは私学共通の大きな問題で、結局経済力の基礎のない私学の苦しさというものが如実に露呈されておると思います。私は苦しい間に理事長が苦しい金をつくって、何とか露命をつないできたということに対して、やはり先生方の間でもこの点は感謝している人が一人や二人はいるのじゃないでしょうか。そういう声が全然出ないで今日になって、いやしくも秩序の上からは最高の責任者である理事長を非難されるということが、これまた教育者として果して円満な行き方であるかどうかということを疑問を持ちつつ承わったのです。それで三島さんにお伺いしますが、今は今として、苦しいときに理事長が金策をしてきて再建に努力をされたということに対しては感謝しているのですか。
  158. 三島一

    三島参考人 お答えいたします。私どもの見解といたしましては、理事長が終始一貫されて、もしも公益精神の意思でこの学校に投資されるならば、また従って現在も続いてその目的にかなった御行為をしていらっしゃるならば、それを認めるべきだと思います。しかしながら遺憾なことには理事長は私どもの見解によれば、この精神にかなって当初からおられなかったのではないかというふうに思っております。先ほど教授方のお話が出ましたけれども組合員は約三十二人でございまして、そのほかいろんな関係でお入りにならない方もございますけれども、おそらくこれは——まだ非組合員の方と十分にお話し合いもしておりません点もございますけれども、大体において大部分の先生方のお考えである。大体五十人くらいの教職員が、実動人員でございますがおられまして、その中の三十四名というものが——あとはいろんな事情で中立もしくは理事長を支持されていられる方がごく少数、一人二人あるかもしれないが、大体そうです。それともう一つ申し上げますと、組合に入っていらっしゃいますところの先生方は、二十台の方も高校の先生でごく少しおられますけれども大学の先生方は六十、七十の御高齢の方でありまして、そういう方々が非常に強く理事長を批判しておいでになるのであります。
  159. 並木芳雄

    ○並木委員 当初から公正妥当を欠くものと認めておるならば、どうして当初から反対しなかっだのでしょうか。組合から出されたものの六章に、松浦理事長の経歴というところがありますが、それを見ますと、驚いたことに、松浦氏の履歴ははなはだもってあいまいをきわめておりますという書き出しです。こういう履歴もわからない者を、よく皆さんは理事長にいただいたものだと私は思う。こういう教育者がいるかと思って、実は私はびっくりした。最後のところに行きますと、パチンコ屋、キャバレーなどの経営にも参加しているとのことであるが、こんなことは、少し個人的に突き過ぎているのではないでしょうか。経歴なんというものは、隠そうたって隠せないし、文部省に聞けばわかるでしょう。はっきりしていると思うのですが、氏も素性もわからないという書きっぷりです。それを伝統を誇る、はえある二松学舎理事長としてあなた方は今日までいただいてきたわけなんです。この責任はどうおとりになりますか。
  160. 三島一

    三島参考人 私個人の問題を申し上げて恐縮でございますけれども、私昨年まで理事をしておりまして、理事会の内部で長年戦ってきておりましたが、学長、石川梅次郎理事と私とが少数派で、絶えず敗れておりました。やむを得ず昨年やめた。それからかつて塩田君が学長であった時分から松浦氏との間にいろいろ紛争がありまして、その間においていろいろいきさつがございましたが、ときに上り下りといいますか、変化があり、一時静かなことがありましたが、これは、かくのごとく大がかりになったことは初めてでございますけれども、当初以来しばしば続いておったところであります。それからなお先ほど経歴のことについて十分知らなかったと申されましたが、確かにその点は事実でございます。しかしながらこれは組合の者だけでなくて、松浦さんを推薦されましたわれわれの友人であるところの守随東大教授の方から大体のことを聞きまして、その程度でございますが、いろいろうわさというものが出ておりますけれども、これは確認されてないものもあると思います。
  161. 並木芳雄

    ○並木委員 守随先生とおっしゃるのは一高の先生をしていた……。
  162. 三島一

    三島参考人 守随憲次君です。
  163. 並木芳雄

    ○並木委員 あの方には私も教わったことがあるのですが、そういう方が推薦してきた人ならば、氏も素性もわからないものではないと思うのですが、この際理事長ははっきりしておいたらよいと思うのです。大体守随先生に聞いて、それで納得しておったものならば、今日それを取り立てて言うのは、私は証文の出しおくれのような感じがするのですが、理事長の経歴をおっしゃって下さい。
  164. 松浦昇平

    松浦参考人 私は日大を卒業し、中央大学の法学部を卒業いたしまして満蒙学校、目自学園、松陰学園などにそれぞれ奉職いたしまして、東京第一高等学校に勤めておりました。そのときに守随先生は私の方の学校の講師をいたしておりました。その講師のあとに、今の鑓田先生が当時追放中でございまして、守随先生は東京大学俸給をいただいておるが、鑓田君は今追放の身で百姓をしておるのだ、何とか助けてくれというので、守随先生のかわりに鑓田君を紹介を受けまして、五年間東京第一高等学校で使いました。以上であります。
  165. 並木芳雄

    ○並木委員 そういうふうにはっきりしておるにもかかわらず、あいまいであるというように言うのは、これは少くとも理事長の方から誇張しておるとか、誤まりであるというふうに言われる点も、ある程度やむを得ないと思いますが……。
  166. 三島一

    三島参考人 前にちょっと書いてございますが理事長先生のお書きになりました履歴書が学内にありませんので、今理事長先生の言われましたことは大体確認されておりますが、準備の不足もありますし、白書という性質のものでもございますので、いろいろな種類の資料も集めておりますが、履歴書が発見されませんので大体推測して書いたというようなことで、こういう表現をとっておるのであります。
  167. 並木芳雄

    ○並木委員 私時間がありませんので、はしょってお聞しますが、先ほど今後の成り行きによっては、二人または三人くらい馘首するかもしれないという理事長の発言でありましたが、理事長経営者として、どういう標準をもって二松学舎教授に言う資格があると思っておられるのか、これは主観の問題でもございますが、この際はっきりしておきたいと思います。
  168. 松浦昇平

    松浦参考人 なかなか首は切れるものではありません。ほんとうに大へんなんです。二人の教師——一助教授と一講師をやめさすのにも、去年一カ年間数回にわたって理事会を開いて、学長先生とも懇談をしたので、理事長としてはなかなかそういうことはできるものではないのです。やはり円満におさめていかなければならないと常に考えております。それを事実無根なことを大げさに宣伝して、まっ向から理事長に反対してくる者はやはり受けて立たなければ仕方がないのです。やはりよい者はよい者、悪い者は悪い者として処理しなければ、経営者としてやっていけないのであります。
  169. 並木芳雄

    ○並木委員 これは管理局長か、稲田局長か、どっちになるかわかりませんが、これはかなり大きな問題だと思うのであります。要するに経営と授業そのもの、それぞれの独立分離ということを考えていくか、何らか根本の策を考えませんと、一、二松学舎だけの問題ではないと思うのです。全くあうんの呼吸がぴったり合った、理事者教授とが一体になることが理想であるし、われわれは教育に携わる者は当然そうだと思っておったので、今日は実に意外なんですけれども、あるいはふたをあけてみると、かなりこういう確執というものがあるのではないかと私は思う。そこでお尋ねするのですけれども、つまり大学の実権を理事長あるいは理事会だけにまかせておいていいものかどうか。地方には地方教育委員会がありますが、国の場合にはない。それで官立の大学なんかも一種の自治独立したものであって、文部大臣なんかも多少そういうところは手ぬるい、歯がゆさを感じておるのだろうと思います。私学に対してもこれは全然フリーなものではないと思います。ましてや私学振興の資金なんかが融通される今日においては、公けの支配も入ってくると思うのです。ですから今後こういうトラブルを防ぐために、何らか文部省の中に委員会を設けるとか、あるいは文部大臣に届出をして先生方の任免をやるとか、そのくらいのところまでいかないと、いつまでたってもこれは収拾がつかないように思うのですが、そこの考え方をお聞きしたい。
  170. 稲田清助

    ○稲田政府委員 今日私立学校法第五条は学校教育法十四条の規定を排除しております。私立学校法があとから出まして、その御精神をくんで考えますときに、やはり私学全体をながめて見通しましたときには、先ほど管理局長も申しましたように、学園の自治ということを根幹として、それを守り育てるのが全体としてはいいんじゃないか。中にはこういう問題がございますけれども、こういう事象を追ってだんだん監督を増していくということは、かえって角をためて牛を殺すのじゃないかと考えられるのでございます。ほかにも理事者側教授側の紛争等もございまして、今日もその両方から円満に解決したからというようなあいさつを受けたようなわけでありまして、大体はうまくいっております。われわれとしては、全体の制度としては新しく立った制度でもございますし、もう少し長い目をもって見て参りたいと考えておる次第でございます。
  171. 並木芳雄

    ○並木委員 理事者、つまり借金までして歩かなければならぬ方から見ると、われわれの苦心がどうして先生方にわからないのだろう、こう思うだろう。また先生の方から見れば、われわれ優秀な教授をこんなに安く使っており、理事長は一人でぜいたくしているじゃないかというようなことで、意思の疎通を欠くわけであります。ですからそこに一種の第三者の調停、あるいは公平な結論を出すような機関が必要になってくるのじゃないかと思うのですが、将来これを考慮していただけますか。
  172. 稲田清助

    ○稲田政府委員 事実の問題といたしまして、両方当事者からお話を持ち込まれまして、相談にあずかっているような事例もございます。私どもが具体的な問題についていろいろと報告を伺ったりいたしておりますうちに、自然そこに解決をはかっていくというようなことを今いたしておりますが、お話のように根本的に制度を変えるかどうか、この問題を契機にして考えるというようなことには、まだ私ども積極的でないのであります。
  173. 並木芳雄

    ○並木委員 理事長にお伺いしますが、問題はなかなかむずかしいようですから、この際今の稲田局長の話もあるし、文部省にこの話を持っていって、いい線が出るように相談されたらいかがでしょうか。その御意思はありますか。
  174. 松浦昇平

    松浦参考人 ただいま東京地方労働委員会の方にあっせん方を依頼してあります。労組側の方でも地方労働委員会の方にあっせんをしてくれという申し入れをしております。そこで近く団体交渉が持たれるようになっておりますが、ただいま並木委員からそういう御親切なお話がありましたので、理事の方とお諮りいたしまして、ぜひそういうようにしたいと思っております。
  175. 並木芳雄

    ○並木委員 私はこの際労働委員会に持っていくというのは——私は少し封建主義なのかもしれませんけれども教育の上でこんなことがあるかと思うんです。しかも老学長が労組の中に入っているのでしょう。それを支持する方々はよくよくだというでしょう。私は支持するとか支持しないとかは全く白紙ですが、そんなふうにしなければ教育がやっていけないということは、これはよくよくだと思っているんです。ですから、そっちの方をしばらく取り下げても、この際三島さんもやっていかれることがいいんじゃないかと思うんです。
  176. 三島一

    三島参考人 私どもは法律的に申しますれば地労委に裁定を請うことができると思うのであります。松浦理事長先生の方でもその御意思がありますので——ただ団交にいろいろ条件がございましてむずかしいのでございますが、お互いに誠意をもって、何も団交でもっていたずらに争うことなく、妥協点を見出したいということは私どもも考えております。しかしながら同時に、先ほど並木委員の方からもおっしゃいましたように、文部省の方で私学の自主性というものを尊重されつつも、私どもの話を聞いていただきまして、解決の方向に御助力を願うならば、私どもとしてもまことに仕合せだと存じます。  ただ申し上げておきたいことは、日本に私学がございまして、非常に困難な経営を続けておられます、中には非常によくやっておいでになるところも多いのでございまして、私どもの問題のために、日本のまじめな私学経営者の方たちに累を及ぼすことがないように、心から願っている次第でございます。
  177. 並木芳雄

    ○並木委員 高木さん、どうですか。この問題を契機として、はしなくも私ども私学振興の助成金に対する決算方面の手落ちではありませんがなまぬるいことがわかったわけなんですけれども、当然今まで回収さるべき金で未回収のものはどのくらいになっておりましょうか。年度別におわかりだったら……。
  178. 高木三郎

    高木参考人 大体におきまして、私学に貸し出しましたものは比較的回収が良好でございます。これは年次が数年次にわたっておりまして、その年次ごとに変っておりますが、大体ただいま未回収になっておりますものは約二千万円。しかしこの二千万円も、時期をかけますれば大部分が回収でき得る状態でございます。
  179. 並木芳雄

    ○並木委員 さっきほかの委員から非常に厳重な条件をつけて、その条件通りに建築が運ばないならどうのこうのという発言がありましたけれども、私はそれは現在の私学には少し酷だと思うのです。この私学振興の問題の起ったときも、とにかくみんな息の根がとまってしまうんだから、何とかして呼び水をやらなければいかぬだろうという趣旨から出たのでありますから、それが不正な使い方をしておらない限り、多少の時期的のズレとかそういうものに対しては、私はあまりとがめようとは思いません。どうしてそういうことを言うかと言えば、結局それは返す金なんですから、完全に返してさえくれればその点は問題はないわけです。  そこでお伺いするのは、果して帳じりがどうなっておるか、これがうまくいっていなければ、私学振興会としては重大な責任を負うわけでありますし、国の会計検査院、そういうものにも取り上げられていく問題だと思うのでお尋ねしているわけです。大事な数字ですが、年度順におわかりでしょうか。
  180. 高木三郎

    高木参考人 手元にちょっと持っておりませんが、御存じの通り振興会では、会計年度の終りにおいて滞りました元本がありました場合は、剰余金をもって一応積み立てることになっております。その積み立てましたもの全部未回収になるのではございませんで、年度を越しましてから回収される分もあるわけであります。第一年次昭和二十七年度に貸し出したもので二十八年度の終りにおいて未回収になりましたものが約二百三十万円この、うちには文部省時代に貸し付けまして、未回収のままで引き継ぎを受けましたものが入っております。この年次における未回収はごく小額であったと覚えております。それから二十八年の終りにおきましては、これは前年度からの未回収を加えましたものが未回収として出ておりますが、二十八年度のみの未回収といたしましては、正確な数字は今ちょっと記憶がございませんが、約五百万程度だったと思います。それから二十九年度になりまして、年度末におきまして未回収でありますのが、ただいま申しました約二千万円程度でございます。そのうち大部分のものは、本年度内に回収できる見込みでございます。
  181. 並木芳雄

    ○並木委員 文部省ではこれをどこで管理しておりますか。
  182. 小林行雄

    小林(行)政府委員 私立学校に対する文部大臣の監督権あるいは監督命令というようなものは、一般的にこれは管理局の方で処理いたしております。
  183. 竹尾弌

    ○竹尾委員 ちょっと関連して一ただいま理事長さんが、収入でございますか、俸給でございましたか、その点については無給である、こういうような御答弁に聞いておりますが、その通りでございますか。
  184. 松浦昇平

    松浦参考人 理事が無給であります。理事長は二万円いただいております。
  185. 竹尾弌

    ○竹尾委員 理事長さんの方は学校経営それ自体をおあずかりになっているのでしょうから、毎月入る授業料であるとか、あるいはその他の収入がございましょうが、そういうものをあなたの手元で取りまとめて、そして各教授等々に対して給与を差し上げ、そうして御自分も二万円取っておられる。あとの残りはどんな工合にされておるのでございますか。これは学校によっていろいろ違いはあるでしょうが、お宅の大学の場合はどうなっておりますか。
  186. 松浦昇平

    松浦参考人 会計係がおりまして、会計係が毎日預金をしております。
  187. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そうしますと、預金をされて、残るか損するか、毎月計算すればわかるのですけれども、結局幾らか残るということになりますか。その残った場合は、理事は無報酬であるというようなお話でしたが、そういう残ったものは、理事長さんの裁量で適当に御処分されるとかなんとかいうようなことになるのでしょうか、その点はどうなんです。結局今預金されるというようなことになりますと、幾らか毎月の預金が残として残っておるという状態でございましょうか、あるいは赤字になって、残らないのか、その点を一つ……。
  188. 松浦昇平

    松浦参考人 幾らか残っております。
  189. 竹尾弌

    ○竹尾委員 幾らか残っているということになると、年末に相当残るのですね。そういう場合には、これをどういうふうに処分されておるのですか。
  190. 松浦昇平

    松浦参考人 今度のように私学振興会から二百万円お借りいたしまして、百五十坪の校舎を建てる場合に、大体四百五十万円建物だけでかかりますので、約二百五十万円は建物だけに不足いたします。二百五十万と言いますと、月に約二十万円でございます。建物が建ちましても、机、いすその他教具、教材といったものが要りまして、やはり相当かかりまして、そんなに余裕はないと思います。
  191. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そんなに余裕はないでしょうが、二松学舎などは、東京の私立の大学のうちではあまり経営のよろしくない方でも、とにかくそのくらいの預金が残り毎月残っておるということになると、今理事は何のために理事になるのだろうかというようなお話がありましたが、とにかく学校経営の興味というものがそんなところにあるんですね。そういう意味で、その残ったものを公平に処分をされて、そうして教授間のトラブルというのはやはりこんなところから起ってくるので、そういう点をうまく処理されれば、問題解決の糸口がつく、こういうことになると思いますが、三島先生、その点どういうことになりましょうか、そういう点が私ちょっと疑問に考えておるのですが……。
  192. 三島一

    三島参考人 先ほど皆様方に申し上げましたように、問題は二つございまして、人事の問題はなかなかむずかしいと思います。しかし私どもはお互いにできるだけ誠意を尽して話し合いをしていきたい。それから学校にもしも余裕がございまして——私どもの願いとするところは、経営をできるだけガラス張りにやっていただきたい。そうして残がありますならば、それを適正にお使い願いたい。もちろん先生方の待遇が非常に悪いということは皆様の御存じの通りでございます。しかしながら学校の経理が正しく運営されているということならば、そういうことの安心感が与えられるならば、私どもは無理なことは要求したくない。すなわち給与の問題については、願わしいことはそれは願わしいのでありますけれども、その点においてお互いに話し合って、がまんをするところはがまんをする。しかしながらその点が明確になっておりませんければ、われわれの不安はますます増大する。さっきおっしゃいましたように、もし残があれば、それをまず第一に先生方の給与に回していただきたいということを私は願っているのでありまして、大体私ども学校の今の経常予算の千二百万と申しますか、一千万と申しますか、そのうちの七五%くらいは給与として出していただければ一番いいんじゃないか。むろんパーセンテージにしいてこだわるわけでございません。ただいまは四〇か五〇%でございまして、それとの差をできるだけ縮めていく努力を理事者の方がなさっていただくならば、われわれの考え方もよほど違ってくるんじゃないか。決して無理なことを要求しているわけでなくて、もちろん無理な点があるということならば、ひざを突き合せてしばしば団交を持って話し合いをしていけば了解点に達するんじゃないか、こう思っております。
  193. 竹尾弌

    ○竹尾委員 われわれとしてもどうぞそういうことにしていただきたい。二松学舎は、御承知のように三島一先生のおじいさんの中州先生の立てられた、非常に独自性を持ったりっぱな大学で、この委員の中にも親が中洲先生に教わった方もおられ、非常に心配している。そこで今のような線で理事長さんも大いに協力して下されば、それで問題はだんだん解決するのであります。多少感情的にもこだわっているようですが、どうぞこういうりっぱな大学をその学内の争いのために世間にみっともないようなことをしないようにお願いをいたしまして、私の質問を終ります。
  194. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これで大体両者の御意見を伺いました。本件は御承知のように私立大学でありますけれども、伝統ある二松学舎の問題であり、しかも国家の私学振興費も使用されることでもあるのであります。この際ぜひ慎重な態度をとられたいと存じます。  なお本問題につきましては、あと理事会に諮って処理いたすことといたしまして、本日はこれにて散会し、次会は公報をもってお知らせいたします。    午後五時十八分散会