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高木参考人 本日は
三松学舎に対する
私立学校振興会の
融資に関連いたしまして、一応
参考として申し上げるように、こういうことでありましたが、これに先だちまして、一応御
参考までに
私立学校振興会の従来の活動ないし
内容等について申し上げておきたいと思います。
ただいまお手元に
振興会に関する
参考資料を差し上げてございます。
私立学校振興会は、御
承知の
通り昭和二十七年
私立学校振興会法によりまして成立いたしました。
昭和二十七年の三月に成立いたしまして以来ここに満三年余りになります。
振興会は
全額政府出資であります。二十七年第一
事業年度におきましては三億九千万円の
現金出資、
戦災復興経費貸付等の
文部省がすでに貸し付けましたところの旧
債権十七億五千万円ほどを、
財源の
肩がわりをいたしまして出発をいたしましたが、第一
年次におきましては
資金量が非常に少く、三億九千万円の
現金出資に対しまして
申し込みの
総額が十五億にもなるというような
状況でございましたが、
長期の
資金の
貸付が困難であります
関係上、一年以内の
短期融資をいたしました。この表にございますように、三億八千七百七十一万円というものを第一
事業年度において一年以内の
短期融資をいたしましたが、第二
年次の
昭和二十八
年度におきましては、
新規政府出資十五億円を加えましたので、前
年度貸付金の回収を加えまして十八億九千万円という
貸付財源を確保いたしました。これに対しましてこの
年次におきましては、初めて五年以内の
長期貸付をいたしました。これは十五億
新規政府出資の際における
条件といたしまして、
私立学校は非常に
財政上困難であるが、
私立学校振興のために最も急を要する点は
応急最低基準に達するまでの
施設設備の
充足である、こういうことでありまして、二十七
年度の
文部省の
指定統計によりますと、
私立学校の
応急最低基準に達するまでの
施設設備の
充足に大
むね二百二十三億を要する。これを大体十年間に完成するものといたしましてこの二百二十三億のやや半ばに当ります百二十三億を
私学側の
自己財源によってまかなう。
政府は毎年十億ずつ五年間
出資をいたしまして五年以内の
年賦償還ということにいたしますれば、六年目には再び十億戻る。従って当初の
計画通り十年の終りには大
むね応急最低基準に達するまでの
施設設備の
充足ができる、こういう
立場からいたしまして、五年以内の
年賦償還といたしました。これに対して当時
施設費の
貸付希望といたしましては、五十一億四千万ほどございました。それから前年戻りました一年以内の
短期融資、これは一年以内に戻りますので、この
財源の三億九千万円をさらに再び一年以内の
短期融資に貸し付ける、この結果といたしまして、
長期融資すなわち五年以内の
施設設備の
充足のために要する
経費の
不足額に対しまして、十四億九千八百万円、約十五億円を貸し付けました。同時に
施設以外の
短期融資といたしまして、三億六千二百四十万円の
貸付をいたしました。
総額十八億六千百十六万円を二十八
年度において
融資をいたしました。二十九
年度におきましては、御
承知の
通り一兆の
予算の
ワクに縛られまして、この
年次における新しい
支出は五億円、こういうことに限定されました。その結果前
年度との開きが非常に多いのでありまして、二十九
年度における
貸付の
希望額が四十一億五千万円になっておりまして、五億円の
ワクをもってしてはとうてい不可能であるということからいたしまして、新しい
政府出資五億円に、前
年度に貸し付けましたものの五分の一、約三億円、さらに
短期融資として一年以内に貸しましたものの一部をこれに加えまして約十億の
貸付財源を獲得いたしました結果、
昭和二十九
年度におきましては、
長期資金を九億四千百四万円、
短期資金を二億七千七百八十八万円貸し付けました。
ただいま問題になっておりますところの
二松学舎に対する
昭和二十九年の
貸付金はこの中から
融資をいたしております。この
貸付金のうち
短期融資でありますところの四十五万円と、
長期融資でありますところの二百万円が
振興会の貸し付けました
目的以外に使われている、こういうようなことを実はほかの方面から伺っております。私
どもの
立場といたしましては、ただいまのところの全部
書面審査をいたしております。これは全国の
大学から幼稚園にわたります一千百
法人からの
対象でございまするので、その一々の
申し込みにつきまして
実地調査を行うことは非常に困難であり、また時を要します
関係上、すべて
書面をもって
審査をいたしております。
まず第一の四十五万円につきましては、これはただいま御説明申し上げましたような一年以内の
短期融資であります。これは先刻御
承知のことと思うのですが、ただいまの
私学の
現状は、
財政的に非常に窮乏いたしております。ただいま
三島先生から
お話のありましたように、
教職員の
給与にも非常に差しつかえるという
学校が少からずあるのです。ことに多くの
学校におきましては、学年の初めにおいては相当の
収入が入るのです。これが大体十月以降になりますと、ほとんど
収入がなくなってくる、枯渇してくる、それがために年末の
慰労手当だとか、あるいはときによりますと
給与の
支払いまでも差しつかえるような
学校が相当数ありましたけれ
ども、ただいま申し上げました
短期融資は、主として一時的の
経営費の
不足、これに対する
つなぎ資金の意味において貸し出しをいたしております。
二松学舎の場合におきましても、私
どもの知る限りにおきましては、年末における
給与の
不足を生じた
二松学舎に対しては、それまで
振興会としてはあまり
融資をしておらなかったのです。これは率直に申し上げますと、
二松学舎内におけるいろいろなトラブルがあるじゃないか、こういうような
理事者間における
紛争のありますような
学校に対して、十分な
貸付をするということは、いろいろな
関係から困難だ、こういう
立場からいたしまして、従来
二松学舎に対してはほとんど
貸付をしておらなかった。ところがおいおいに
二松学舎も整備されまして、
三島先生以来の伝統と歴史を持ち、
二松学舎が逐次充実されてくる、こういう
状態から考えまして、ある程度、これは
振興会としても
融資をしなければいかぬだろう、こういうことからいたしまして、
理事会におきましても
了承を得ました。昨年の年末に
教職員の
俸給措置ということで
支出をいたしました。この
俸給の
不足につきましては、各人別の調書を
提出していただきまして、それによって
支払いが行われるものと一応私
どもは
了承をいたしております。
次に二百万円の問題でありますが、先ほど申し上げましたところの
昭和二十九
年度の
長期資金といたしまして
貸付の
要求がございました。これに対しましては、
二松学舎は、御
承知の
通り戦災にあいまして
校舎が非常に
不足しておる、その
状況からいたしましてある程度
校舎の増築は必要であろう、こういうことを考えまして、まず
二松学舎の
支払い能力、
担保能力、
学生数その他を勘案いたしました結果、おお
むね木造二階建モルタルかわらぶき一棟百五十坪の
校舎を増築する
計画が適当だろう、こういうことを考えました。この
金額は総工費四百五十五万五千円となっております。私
どもも内部のいろいろな
規定がございまして、
貸付金は
事業対象に要する
事業費の七五%以内、また
貸付をいたします場合に百万円以上のものに対しては
担保を提供させて、この
担保価額の七〇%以内、また不動産の資産の三〇%以内、こういうようないろいろな
ワクがございますので、
工事総額の四百五十五万五千円に対しまして、二百万円の
貸付の
内示をいたしたわけであります。先ほど申し上げましたように、私
どもの方の
貸付は
書面審査でございますから、すべての
書類が整いましたときに
契約を結ぶことにいたしております。
二松学舎においても、私
どもの
内示が出ましてからなかなか
正式書類が出ない。この
年度末に近づきましてなお
書類の
提出がありませんので、数回これに督促をいたしました。もし
年度内に借り入れの
希望がないならば一応
取り消すということを申したのでありますが、二月下旬でございましたか、三月の上旬でございましたか、
理事者の方からこれはすでに
内示も受けているものであるからぜひ早急に実行したいと思う、二十九
年度分としての
貸付に加えてくれという御
希望がありました。そこで各般の
書類を整えていただきまして、
昭和三十年の三月二十四日に
契約をいたしまして、
現金を交付する。その
貸付期間及び
返済方法は、
昭和三十年三月二十四日から同三十五年三月二十三日までの五年間において、
年歩をもって毎年三月二十三日に四十万円ずつを償還する。
利息は日歩一銭八厘で三カ月分ずつの前払いである。この
利息につきましては滞っておりません。それから
担保といたしましては、
学校敷地三畝十六歩について第一順位の
抵当権を設定いたしました。三十年の四月四日に
登記済みであります。なお私
どもの方の
契約対象は
学校法人でありますので、
二松学舎の
理事長であります
松浦昇平氏並びに
学長の
那智佐典氏の連帯で保証をいたしたこの
工事請負契約によりますと、
昭和三十年三月一日に
大塚工務店が請負っております。私の方に
提出いたしました
大塚工務店との
契約書によりますと、
工事費総額は四百五十五万五千円で、
工事費は
契約と同時に三割、着工と同時に三割、竣工と同時に残額を支払うという
契約になっておりまして、五月
末日までに完成するという
契約になっております。なおこれにつきましては、
昭和三十年三月十七日をもって
建築許可の
書類を
提出しております。従いまして私の方に関する限りにおきましては、少しも
書面上における欠陥はないと考えております。ただ三月の
末日に
契約をいたしまして五月
末日に完成するこの
期間について、若干の無理があったように私
どもも思いますが、その後聞くところによりますと、いまだに着工いたしておらない。この点についていろいろ
学内の
事情もあることと思うのでありますが、私
どもの方の取扱いといたしては、期日までに完成をしなかった場合においてはそれぞれの
理由書を
提出させるし、また貸し付けました
金額につきまして
目的外に使用しているという場合においては返還の
要求をいたしている。この点につきましては、先般
松浦昇平氏が出頭されまして、
工事の着手がおくれていることは
学内事情に基くものであるからしばらく猶予をしてくれという
お話でございました。私
どもも貸し付けました
あとにつきましては、十分の
監査をいたしております。また貸し付けました
内容につきましては、検査も受けておりますので、この点は今後においても
十分監査をいたしたいと考えております。簡単でございますけれ
ども、私
どもに関する限りはただいま申し上げた
通りであります。