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1955-06-03 第22回国会 衆議院 文教委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月三日(金曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 伊東 岩男君 理事 並木 芳雄君    理事 坂田 道太君 理事 辻原 弘市君       赤城 宗徳君    纐纈 彌三君       高村 坂彦君    野依 秀市君       藤本 捨助君    山口 好一君       米田 吉盛君    八木 一郎君       野原  覺君    山崎 始男君       木下  哲君    小牧 次生君       平田 ヒデ君    小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松村 謙三君  出席政府委員         文部政務次官  寺本 広作君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君         文部事務官         (大学学術局         長)      稲田 清助君         文部事務官         (社会教育局         長)      寺中 作雄君         文部事務官         (調査局長)  内藤誉三郎君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君  委員外出席者         専  門  員 石井  勗君        専  門  員 横田重左衞門君     ――――――――――――― 六月一日  委員永山忠則辞任につき、その補欠として相  川勝六君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員相川勝六辞任につき、その補欠として伊  藤郷一君が議長指名委員に選任された。 同月三日  委員水谷長三郎君及び久野忠治辞任につき、  その補欠として三宅正一君及び仲川房次郎君が  議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月三十一日  写真師法制定に関する請願(上林山榮吉君紹  介)(第一三七四号)  同(池田清志紹介)(第一三七五号)  同(山口好一紹介)(第一三七六号)  京都国際学生寮建設費補助に関する請願(小川  半次君紹介)(第一三八〇号)  散田小学校所司原分校へき地教育振興法適用  の請願南好雄紹介)(第一四〇二号)  同(辻政信紹介)(第一四〇三号)  滝又小学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四〇四号)  同(辻政信紹介)(第一四〇五号)  鵠巣第一小学校久手川分校へき地教育振興法  適用請願南好雄紹介)(第一四〇六号)  同(辻政信紹介)(第一四〇七号)  北志雄小学校見砂分校へき地教育振興法適用  の請願南好雄紹介)(第一四〇八号)  同(辻政信紹介)(第一四〇九号)  荒谷小中学校へき地教育振興法適用請願  (南好雄紹介)(第一四一〇号)  同(辻政信紹介)(第一四一一号)  洲衛小学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四一二号)  同(辻政信紹介)(第一四一三号)  片谷小学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四一四号)  同(辻政信紹介)(第一四一五号)  浦上小学校中屋分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四一六号)  同(辻政信紹介)(第一四一七号)  浦上小学校池分校へき地教育振興法適用  の請願南好雄紹介)(第一四一八号)  同(辻政信紹介)(第一四一九号)  久保小学校奥池分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四二〇号)  同(辻政信紹介)(第一四二一号)  大内小学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四二二号)  同(辻政信紹介)(第一四二三号)  久保小学校金間分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四二四号)  同(辻政信紹介)(第一四二五号)  十一屋町小学校平栗分校へき地教育振興法適  用の請願南好雄紹介)(第一四二六号)  同(辻政信紹介)(第一四二七号)  深瀬小学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四二八号)  同(辻政信紹介)(第一四二九号)  中宮小学校温泉分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四三〇号)  同(辻政信紹介)(第一四三一号)  釶打小学校須久保分校へき地教育振興法適用  の請願)(南好雄紹介)(第一四三二号)  同(辻政信紹介)(第一四三三号)  北荘小学校野田分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四三四号)  同(辻政信紹介)(第一四三五号)  福島小学所へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四三六号)  同(辻政信紹介)(第一四三七号)  真脇小学校羽根分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四三八号)  同(辻政信紹介)(第一四三九号)  富樫小学校坪野分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四四〇号)  同(辻政信紹介)(第一四四一号)  東部中学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四四二号)  同(辻政信紹介)(第一四四三号)  野崎小学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四四四号)  同(辻政信紹介)(第一四四五号)  菅谷小学校風谷分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四四六号)  同(辻政信紹介)(第一四四七号)  我谷小学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四四八号)  同(辻政信紹介)(第一四四九号)  鰀目小学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四五〇号)  同(辻政信紹介)(第一四五一号)  北河内小学校へき地教育振興法適用請願(  南好雄紹介)(第一四五二号)  同(辻政信紹介)(第一四五三号)  北袋小校へき地教育振興法適用請願南好  雄君紹介)(第一四五四号)  同(辻政信紹介)(第一四五五号)  諸岡小学校深見分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四五六号)  同(辻政信紹介)(第一四五七号)  黒川小学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四五八号)  同(辻政信紹介)(第一四五九号)  犀川中学校見定分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四六〇号)  同(辻政信紹介)(第一四六一号)  瀬嵐小学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四六二号)  同(辻政信紹介)(第一四六三号)  上湯川小学校へき地教育振興法適用請願(  南好雄紹介)(第一四六四号)  同(辻政信紹介)(第一四六五号)  櫛比小学校猿橋分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四六六号)  同(辻政信紹介)(第一四六七号)  不動寺小学校国重分校へき地教育振興法適用  の請願南好雄紹介)(第一四六八号)  同(辻政信紹介)(第一四六九号)  秋吉小学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四七〇号)  同(辻政信紹介)(第一四七一号)  伊久留小中学校へき地教育振興法適用の請  願(南好雄紹介)(第一四七二号)  同(辻政信紹介)(第一四七三号)  中宮小中学校へき地教育振興法適用請願  (南好雄紹介)(第一四七四号)  同(辻政信紹介)(第一四七五号)  中宮小学校鈴原分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四七六号)  同(辻政信紹介)(第一四七七号)  馬渡小学校へき地教育振興法適用請願(南  好雄紹介)(第一四七八号)  同(辻政信紹介)(第一四七九号)  松波小学校駒渡分校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四八〇号)  同(辻政信紹介)(第一四八一号)  鵠巣第二小、中学校へき地教育振興法適用の  請願南好雄紹介)(第一四八二号)  同(辻政信紹介)(第一四八三号)  西部中学校へき地教育振興法適用請願(辻  政信紹介)(第一四八四号)  仁行小学校へき地教育振興法適用請願(辻  政信紹介)(第一四八五号)  へき地教育振興法に基き分校並びに単級複式  学校教育振興に関する請願牧野良三紹介)  (第一四八六号)  同外一件(赤城宗徳紹介)(第一四八七号)  同(廣瀬正雄紹介)(第一四八八号)  同(藤枝泉介紹介)(第一四八九号)  同(南好雄紹介)(第一四九〇号)  同(松澤雄藏紹介)(第一四九一号)  同(纐纈彌三君紹介)(第一四九二号) 六月一日  写真師法制定に関する請願徳田與吉郎君紹  介)(第一五〇五号)  同(粟山博紹介)(第一五〇六号)  同(荻野豊平紹介)(第一五〇七号)  同(八百板正紹介)(第一五〇八号)  同(芳賀貢紹介)(第一五〇九号)  同(三鍋義三紹介)(第一五一〇号)  福原小学校へき地教育振興法適用請願(淡  谷悠藏紹介)(第一五三一号)  砂ヶ森小学校へき地教育振興法適用請願(  淡谷悠藏紹介)(第一五三二号)  川除小学校小曲分校へき地教育振興法適用の  請願淡谷悠藏紹介)(第一五三三号)  武田小学校開拓地分校へき地教育振興法適用  の請願淡谷悠藏紹介)(第一五三四号)  奥戸小学校材木分校へき地教育振興法適用の  請願淡谷悠藏紹介)(第一五三五号)  中野沢小学校へき地教育振興法適用請願(  淡谷悠藏紹介)(第一五三六号)  岩坂小学校へき地教育振興法適用請願(淡  谷悠藏紹介)(第一五三七号)  大利小中学校へき地教育振興法適用請願  (淡谷悠藏紹介)(第一五三八号)  蓮川小学校へき地教育振興法適用請願(淡  谷悠藏紹介)(第一五三九号)  袰月小学校へき地教育振興法適用請願(淡  谷悠藏紹介)(第一五四〇号)  栄森小中学校へき地教育振興法適用請願  (永井勝次郎紹介)(第一五四一号)  大成小中学校へき地教育振興法適用請願  (永井勝次郎紹介)(第一五四二号)  神明小学校へき地教育振興法適用請願外一  件(永井勝次郎紹介)(第一五四三号)  芽登小学校旭丘分校へき地教育振興法適用の  請願永井勝次郎紹介)(第一五四四号)  平和小中学校へき地教育振興法適用請願  (永井勝次郎紹介)(第一五四五号)  猿払小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五四六号)  北山小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五四七号)  姫川小中学校へき地教育振興法適用請願  (永井勝次郎紹介)(第一五四八号)  元地小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五四九号)  兜沼小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五五〇号)  小倉山小中学校へき地教育振興法適用の請  願(永井勝次郎紹介)(第一五五一号)  幌似小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五五二号)  内路小中学校へき地教育振興法適用請願  (永井勝次郎紹介)(第一五五三号)  中当縁小中学校へき地教育振興法適用の請  願(永井勝次郎紹介)(第一五五四号)  愛知小中学校へき地教育振興法適用請願  (永井勝次郎紹介)(第一五五五号)  川合小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五五六号)  斜内小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五五七号)  富岡小中学校へき地教育振興法適用請願  (永井勝次郎紹介)(第一五五八号)  鶴城小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五五九号)  南線小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五六〇号)  花石小中学校へき地教育振興法適用請願  (永井勝次郎紹介)(第一五六一号)  南小学校へき地教育振興法適用請願永井  勝次郎紹介)(第一五六二号)  尺忍小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五六三号)  二俣小中学校へき地教育振興法適用請願  外一件(永井勝次郎紹介)(第一五六四号)  育良小学校上御料分校へき地教育振興法適用  の請願永井勝次郎紹介)(第一五六五号)  湖南小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五六六号)  桂沢小中学校へき地教育振興法適用請願  (永井勝次郎紹介)(第一五六七号)  福豊小中学校へき地教育振興法適用請願  外一件(永井勝次郎紹介)(第一五六八号)  緑丘小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五六九号)  聚富小学校へき地教育振興法適用請願(永  井勝次郎紹介)(第一五七〇号)  駒生小中学校へき地教育振興法適用請願(  永井勝次郎紹介)(第一五七一号)  当別中学校川下分校へき地教育振興法適用の  請願永井勝次郎紹介)(第一五七二号)  真室川小学校春木分校へき地教育振興法適用  の請願松澤雄藏紹介)(第一五七三号)  白岩小中学校畑分校へき地教育振興法適用  の請願松澤雄藏紹介)(第一五七四号)  真室川小学校栗谷沢分校へき地教育振興法適  用の請願松澤雄藏紹介)(第一五七五号)  金山小学校朴山分校へき地教育振興法適用の  請願松澤雄藏紹介)(第一五七六号)  金山小学校枝分校へき地教育振興法適用の  請願松澤雄藏紹介)(第一五七七号)  日新小学校柏木山分校及び休場分校へき地教  育振興法適用請願松澤雄藏紹介)(第一  五七八号)  漆川第四小学校へき地教育振興法適用請願  (松澤雄藏紹介)(第一五七九号)  漆川第四小学校南分校へき地教育振興法適  用の請願松澤雄藏紹介)(第一五八〇号)  富沢小学校堺田分校へき地教育振興法適用の  請願松澤雄藏紹介)(第一五八一号)  月山沢小学校へき地教育振興法適用請願(  松澤雄藏紹介)(第一五八二号)  田代小学校へき地教育振興法適用請願(松  澤雄藏紹介)(第一五八三号)  豊田小学校曲川分校へき地教育振興法適用の  請願松澤雄藏紹介)(第一五八四号)  真室川小学校滝分校へき地教育振興法適用  の請願松澤雄藏紹介)(第一五八五号)  白岩小中学校幸生銅山分校へき地教育振興  法適用請願松澤雄藏紹介)(第一五八六  号)  月山沢中学校へき地教育振興法適用請願(  松澤雄藏紹介)(第一五八七号)  岩根沢小学校へき地教育振興法適用請願外  一件(松澤雄藏紹介)(第一五八八号)  送橋小学校へき地教育振興法適用請願(松  澤雄藏紹介)(第一五八九号)  古口小学校蔵岡分校へき地教育振興法適用の  請願松澤雄藏紹介)(第一五九〇号)  沼田小学校泉丘分校へき地教育振興法適用の  請願松澤雄藏紹介)(第一五九一号)  新庄小学校飛田分校へき地教育振興法適用の  請願松澤雄藏紹介)(第一五九二号)  長沢小学校大半分校及び幅分校へき地教育振  興法適用請願松澤雄藏紹介)(第一五九  三号)  安楽城小学校差首鍋分校へき地教育振興法適  用の請願松澤雄藏紹介)(第一五九四号)  漆川第三小学校古寺分校へき地教育振興法適  用の請願松澤雄藏紹介)(第一五九五号)  大谷小学校大暮山分校外二箇分校へき地教育  振興法適用請願松澤雄藏紹介)(第一五  九六号)  大蔵小学校藤田沢分校へき地教育振興法適用  の請願松澤雄藏紹介)(第一五九七号)  上郷小学校杉山分校へき地教育振興法適用の  請願松澤雄藏紹介)(第一五九八号)  漆川第五小学校へき地教育振興法適用請願  (松澤雄藏紹介)(第一五九九号)  月山沢小学校志津分校へき地教育振興法適用  の請願松澤雄藏紹介)(第一六〇〇号)  升形小学校前波分校へき地教育振興法適用の  請願松澤雄藏紹介)(第一六〇一号)  西五百川小学校大舟木分校へき地教育振興法  適用請願松澤雄藏紹介)(第一六〇二  号)  川並小中学校へき地教育振興法適用請願  (纐纈彌三君紹介)(第一六〇三号)  三和小学校廿屋分校へき地教育振興法適用の  請願纐纈彌三君紹介)(第一六〇四号)  へき地教育振興法に基き分校並びに単級複式  学校教育振興に関する請願保科善四郎君紹  介)(第一六〇五号)  同(中村英男紹介)(第一六〇六号)  同(淡谷悠藏紹介)(第一六〇七号)  同(西村力弥紹介)(第一六〇八号)  同(永井勝次郎紹介)(第一六〇九号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一七号)  博物館法の一部を改正する法律案内閣提出第  八八号)(予)  日本学校給食会法案内閣提出第九九号)  危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇一号)  公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案(  内閣提出第一〇八号)  昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じ  た旧財団法人私学恩給財団の年金の特別措置に  関する法律案内閣提出第一〇九号)  学校教育に関する件  文化財に関する件学術研究に関する件     ―――――――――――――
  2. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 ただいまより会議を開きます。  国立学校設置法の一部を改正する法律案及び学校教育に関する件外二件を議題とし、前会に引き続き質疑を続けます。小牧次生君。
  3. 小牧次生

    小牧委員 今回の予算を見ますと、産業教育振興法による内地留学費が全然出ておらないようであります。これは御承知の通り、従来政府補助によりまして、毎年一県たしか五人であったと思いますが、全国にわたりまして内地留学をさせまして、先生方の再教育あるいはまたその力の向上をはかるために行われて参りました。各県におきましては非常にこの方法を喜びまして、今日までその措置をとつて参りましたが、私は非常に効果があったものと考えるのであります。ところが金額はそう大して多くないのでありますが、今回予算にこれが計上されておらないということは、きわめて遺憾に存ずるのであります。これに対する文部省の方々のお考えをまずお伺い申し上げたいのであります。
  4. 緒方信一

    緒方政府委員 御説の通り産業教育内地留学生につきましては、従来各都道府県におきまして、昨年で申しますと大体一県五人ほど出しまして、一年間留学をしまして研究をするということで、相当成果を上げて参っております。本年度予算案におきましては、この内地留学のための旅費関係が――実はこれは産業教育補助金全般にわたりまして相当削減がございましたので、旅費関係が落ちたのでございます。ただしかし大学におきまする研究費といたしましては、百七十六万円ほどでございますが、計上いたされておるわけであります。従いまして私どもとしましては、各県の方にも十分連絡をとり、お願いをいたしまして、従来と同様に、各府県の旅費でもちましてこれを実施してもらうように連絡をいたしておるわけであります。このことはお説のように若干予算が減少いたしまして、私どもは残念に思っておりますが、財政全般関係からいたしまして、やむを得なかったと考えております。
  5. 小牧次生

    小牧委員 大学関係予算が多少あるというお話でございますが、やはり問題は旅費にあろうかと思うのであります。今日各地方公共団体は、非常に財政的に苦しいという立場から、従来政府補助がありましたので、まあ私ども考えでは、それぞれの内地留学実施されて参つた、かように考えるわけでありまして、もしもこういった旅費補助というものをなくするということになりますと、その趣旨ははなはだけつこうであるけれども、それぞれの地方公共団体におきましては、当面の財政的な関係から、やむを得ず従来まで行われておつた内地留学を、遺憾ながら取りやめるということになる県が相当多いのではないか。特にそういう県につきましては、先生方中央に送りまして、それぞれ研究をしてもらわなければならない、それによってその県内の産業教育その他の水準を高めて参るということが最も必要な地方において、内地留学をやめることが行われるのではなかろうかということを心配いたすのであります。もしもこういうことがきまりますと、おそらく大多数の県において内地留学生を送るということはなくなるのではないか、こういうふうに私は考えるのであります。何も政府補助がなければ、内地留学を取りやめるということがいいとは申しませんが、遺憾ながら今日の地方財政関係では、そういうことになりがちであろうと思うのであります。従いまして、若干でもそこに旅費補助というものがありますならば、これが誘い水となりまして、やはりそれぞれの県において、従来通り内地留学予算が計上される、こういうふうに私は考えるのであります。せつかく今までやつていただいておつたのでございますから、何とかしてこういう方法制度を、若干でも経費を計上して存続していただきたい、かように考えるわけでありますが、もう一度これに対しをお考えてお伺いしたいのであります。
  6. 緒方信一

    緒方政府委員 お説の点私もごもっともと存ずる点が多いのでございますが、何といたしましても、このたびの予算全体の問題といたしまして、産業教育に関しまする補助金が、総額におきましても相当昨年度から見まして削減を見ましたので、その一環といたしまして、内地留学実施につきましても、ただいま申しましたような点で削減を見たわけであります。この点は予算全体の編成の上から、やむを得なかったものだと考えております。ただ御趣旨のように、この制度は非常に私どもも有効なものであると考えておりますので、次年度以降におきましては、さらにまた予算の点で努力をいたしたいと存じます。三十年度政府予算案といたしましては、これは削減を見ておりますので、ただいま申しましたように各都道府県の方に連絡をいたしたしまして、都道府県の方からぜひ重点的に取り上げてやつてもらうように、連絡をしているような状態であります。私、今各都道府県がどういうふうに対処されるかということを、具体的にはちょっと申し上げるまでには至っておりませんが、できるだけ協力を願つて予算都道府県の方でつけてもらうようにさらに交渉いたしたい、かように思っております。
  7. 小牧次生

    小牧委員 中央産業教育審議会というものがございますが、まず審議会の方ではどういうお考えであるか。それから予算の額でございますが、これは三、四百円の額で、きわめて少額であろうと思うわけであります。非常に多くの教育予算の中で、このくらいの額の操作はできないことはなかろうと私は考えるのでありまするが。もう一度その点お伺いいたしたいと思うのであります。
  8. 緒方信一

    緒方政府委員 産業教育審議会におきましては、前々から内地留学につきましては熱心に研究をしておりまして、この実施につきましては強い要望もあるわけであります。ただ繰り返して申し上げまするならば、予算全体の編成関係で半分落ちた、かような格好になっておるわけであります。ほかの高等学校設備施設補助につきましても、これは全体につきましていろいろとさらに努力をしなければならなぬと思うのでありまして、産業教育振興のための全体の割り振りからいたしまして、旅費の点だけはやむを得なかった、かように考えておる次第でございます。今後は私どももさらに努力をいたしていきたいと存じております。
  9. 小牧次生

    小牧委員 先ほどのお話では、今回の文部省の措置に対して、各都道府県に対していろいろ了解を求めて、できるならばそれぞれの県でやつてもらいたい、こういうような御趣旨だろうと思うのであります。ところが先ほども申し上げました通り、何と申しましても大多数の府県が非常に財政の運営に因つておりますので、まず第一に政府補助がなくなるという問題から先に、こういったものに手をつけて参るということになるのではないかということを先ほども申し上げたのでありますが、そういったことからして、今年は内地留学はほとんどの府県がこれをやらないということに相なつた場合に、文部省としてはどういうことをお考えになりますか。
  10. 緒方信一

    緒方政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいま各府県の方とよく連絡をいたしておる段階でありまして、まだ私どれくらいの実施の状況になるかはっきりしたものをつかんでおりませんので、ちょっと申しかねますけれども、これは各府県とも相当有効であり、意義のあることだと考えておりますので、全部やめてしまうというような事態には立ち至らないのじゃないかと考えております。繰り返して申し上げますように、今後におきましては――今後と申しますのは、次年度以降におきまして、さらに私ども努力をいたしたいと存じますけれども、本年度といたしましては、どうもやむを得なかったということを申し上げまして、各都道府県の方にさらに折衝を進めまして、都道府県の方の経費で出してもらうようにさらにお願いをいたして参りたい、かように考えております。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 ただいま松村文部大臣が来られましたので、質疑はあとにして、博物館法の一部を改正する法律案日本学校給食会法案危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団の年金の特別措置に関する法律案の各案を一括して議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。松村文部大臣。
  12. 松村謙三

    ○松村国務大臣 ただいま議題に供せられました各案の提案理由を説明いたします。  第一に博物館法の一部を改正する法律案でございますが、この博物館法はわが国の博物館の健全な発展をはかる目的で、去る昭和二十六年十二月に制定され、翌二十七年三月から施行されたものであります。この法律の制定を契機として、博物館の建設と内容の整備は著しく促進され、特に専門職員である学芸員の資格を定めたことによって、従来欠けていた博物館の教育活動は著しく充実されるとともに、博物館資料の活用によって国民の実生活の向上にも大きな役割を果してきたのであります。  しかしながらさらに各種の博物館の振興をはかり、学芸員の充実を期するためには、その後の状況にかんがみ、現行法の一部を次のように改める必要が生じたのであります。すなわち、この法律案の改正の骨子は、従来の学芸員の資格付与講習を文部大臣の認定制度に改めることであります。従来の講習は、学芸員の資格取得の道を開いたものでありますが、わが国の博物館の実情に応じ博物館職員の学芸員資格取得の便宜をはかり、学芸員の充実を一そう促進するため、文部大臣の認定制度に改めようとするものであります。  なお、この改正に関連して、現行法を整備する必要から、その他二、三の点について所要の改正を行うものでありますが、博物館の振興をはかり、わが国の社会教育活動を助長するため、何とぞ十分御審議の上御賛成下さるようお願い申し上げます。  次に、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団の年金の特別措置に関する法律案について、その提案の理由及び大要を御説明申し上げます。  私立学校教職員の福利厚生をはかるため、私立学校教職員共済組合法により、昭和二十九年一月一日に設立されました私立学校教職員共済組合は、旧財団法人私学恩給財団の権利義務を承継し、同財団の支給していた年金を支給すべき義務を負つているのであります。しかし同財団の年金のうち、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じたものの年金額は、加入期間十五年で一万二千円というきわめて低い額であります。これらの年金受給者は、わが国の学校教育の上において、多年にわたり大きな貢献をしてきた人々でありまして、この年金の願を増額することは、私立学校教職員共済組合法制定の際における「私立学校教職員共済組合は、私学恩給財団の既年金受給者に対して、本法案の施行後、なるべくすみやかにその受給額の増額措置を考慮すること。」という参議院の付帯決議の御趣旨に沿うものであり、かつこれら年金受給者の熱望にこたえるところでもありますので、政府はここに本法律案の立案上程いたした次第であります。  次に本法律案の大要を御説明申し上げます。  第一は、私立学校教職員共済組合が支給義務を負う旧財団法人私学恩給財団の年金のうち、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じたものについて、昭和三十年四月分以降、その年金額を一般の社会保険における年金額と均衡を失しないよう、二倍半に増額することにいたすものであります。  第二は、国家公務員共済組合法に基く共済組合の年金の若年停止の制度にならい、年令満五十歳に達するまでは、その増額分について支給を停止することにいたすものであります。  第三は、この年金額の改定により増加する費用は、私立学校教職員共済組合が負担するものとし、その費用は、私立学校振興会が助成するものといたします。なおその助成の方法等については文部大臣が定めることにいたしております。  以上がこの法律案を提案いたしました理由とその大要でございます。次に、日本学校給食会法案について、その提案理由および大要を御説明申し上げます。学校給食が、発育期における児童の心身の健全な発達に資する教育的効果は、まことに顕著なものがあり、かつまたわが国現下の食糧事情に関連して、国民の食生活の改善を促進する具体策といたしましても、適正な学校給食の実施は、今や等閑視できない国民的要望であると信ずるのであります。  このような重要な意義を有する学校給食の実施に関する基本法とも申すべき学校給食法が昨年制定され、わが国の学校給食制度が一応法的に確立し、その安定を見ましたことは、まことに御同慶にたえない次第であります。学校給食を適正確実に運営し、その効果を最も能率的にするためには、学校給食の用に供せられる莫大な量に上るところのいわゆる学校給食用物資を吟味選択し、さらにこれらの物資を現地の需要に応じて円滑迅速に供給して、学校給食の運営上支障なきを期さなければならないのであります。ここに政府は、学校給食用物資の公正な全国的供給機関を特殊法人として法制化することが焦眉の施策であると考え、この法案を上程いたした次第であります。  次に、この法案の大要を御説明いたします。  第一に、この法律により日本学校給食会を設立し、学校給食用物資の買い入れ、売り渡しその他供給及び学校給食の普及充実に関する業務等を行うことを目的とする特殊法人といたしました。なお財団法人日本学校給食会は、この特殊法人の成立の日に解散し、その権利義務は、特殊法人日本学校給食会が承継することにいたしております。  第二に、役員については、文部大臣が任命することにいたしておりますが、この役員には、給食会の目的を達成するために、必要な広い知識と経験を有する人を当てたいと考えております。  第三に、業務につきましては、前に述べましたように、給食会は、学校給食用物資の適正円滑な供給、学校給食の普及充実に関する業務等を行うものでありまして、給食会が学校給食用物資を供給する場合には、必ず文部大臣の指定する者に対して供給しなければならないことにいたしております。  なお、学校給食用物資の売り渡し価格については、その適正を期するため、文部大臣が認可いたすことにしております。  第四に、給食会に対する監督につきましては、文部大臣がこれを監督することとし、必要に応じて報告を求め、または事務所および学校給食用物資を保管する場所に立ち入り、必要な検査を行い、もってその適正な運営を期したいと思います。  また、学校給食用物資には、ミルク等農林省関係の物資も予想されますので、農林大臣も、給食会に対して随時報告を求め、または必要があるときは、文部大臣に監督上の命令を発することを求め、またこれらの物資の売り渡し価格の認可等については、農林大臣の同意を得ることにする等、農林大臣とも十分協力の上、給食会に対する監督をして参りたい所存であります。  第五に、この給食会に対しては、出資金の制度をとらず、事務費を補助することにいたしたいと考えております。  次に公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案につきまして、その提案の趣旨と内容の概要を御説明申し上げます。  戦後の異常な人口増加に基く小学校の児童数の増加は、全国的に見ますと、昭和二十九年度及び三十年度はそれぞれ前年度に比して約五十万人に上っております。さらにこのような自然増のほかに、人口の都市集中等に伴う児童の増加も著しく、そのため多くの小学校においては二部授業や廊下、昇降口使用等の不正常授業が行われております。これら小学校の不正常授業を解消するため、政府は従来から単独起債を認めるとともに、所要の国庫補助金を計上して小学校校舎の整備に努力して参りましたが、現在行われている小学校の不正常授業を解消するためには、戦災復旧等により解消できるものを除いて、現在約三千教室を整備しなければなりません。のみならず、小学校の児童数は増加の一途をたどり、また人口の都市集中化の傾向により、都市における校舎不足は今後相当長期間継続するものと思われる等の事情がありますので、これに伴う教室の整備もいたさなければなりません。もとより小学校の施設の建築に要する経費は、原則として設置者たる市町村が負担することになっておりますが、市町村の事業には中学校の整備や危険校舎の改築等の事業もあり、独力で不正常授業の解消をはかることは困難な実情にあります。以上の実情にかんがみ、従来の予算措置による小学校不正常授業解消の国庫補助をここに法制化して、不正常授業の定義、国庫補助の範囲等を規定し、もって適正に小学校不正常授業の解消を促進いたしたいと思います。これがこの法律案提出する理由であります。  次に法律案の大要を申し上げますと、第一に、この法律により国庫補助の対象となる不正常授業を定義して、二部授業その他校舎の不足による不正常な授業とし、詳細は、政令で規定することにいたしております。第二は、国庫補助率でありますが、予算の範囲内で三分の一以内ということにいたしております。第三は、国が補助を行うことができる建築の坪数を、政令で定める児童一人当りの基準坪数までの不足坪数といたしております。そのほかに、補助金交付の取り消し及び停止並びに指示、監督等所要の規定を設けております。  最後に危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の趣旨と内容の概要を御説明申し上げます。  公立学校の危険校舎のうち改築を要するものは、現在小、中学校及び高等学校を合せて百数十万坪に上っております。学校施設の建築に要する経費は、原則としてその設置者が負担することになっておりますが、今日の地方財政の現状では、これらの危険校舎を独力で改築することはきわめて困難な実情にあります。そのため、第十六回特別国会において危険校舎改築促進臨時措置法が制定せられ、義務制学校の危険校舎の改築については臨時に国が補助を行うことになつたのであります。  しかしながら、高等学校の危険校舎についても、その発生の原因は義務制学校の場合と同様の事情にあり、かつその主なる設置者である都道府県も財政が窮乏している実情でありますので、昭和三十年度から、公立の高等学校の危険校舎につきましても、その改築に要する三分の一以内を国庫より補助することとし、そのため今年度予算案には義務制学校と合せて総額二十億円が計上されております。よって危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正し、新たに補助対象として高等学校並びに盲学校及びろう学校の高等部を加えることといたしたのであります。これが法律案提出する理由であります。  なお、この法律案は、以上の理由に基き、現行法に所要の改正を加えることを内容とするものであります。以上各法律案の概要を申し述べましたが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決賜わらんことをお願い申し上げます。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 次に補足説明を聴取いたします。寺中社会教育局長。
  14. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 ただいま文部大臣から博物館法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げましたが、私から多少これを補足いたしまして改正要旨について御説明申し上げたいと存じます。  この改正案の最も重要な点は従来の学芸員資格附与講習の制度を文部大臣の認定の制度に改めようとすることであります。  現行法におきましては、学芸員の資格取得の方法は、大学において博物館に関する科目を修得する方法と文部大臣が大学に委嘱して行う講習を受講する方法との二つの方法がありますが、後者の講習は、法附則第六項の暫定資格者等に対する資格取得の道を用いた措置でありまして、昭和二十七年度から昭和二十九年度まで開催いたしました講習において暫定資格者四百七十四名のうち、二百八十二名が学芸員資格を取得した結果、一般の水準も向上し講習の目的も一応達成されたと認められ、かつ一時的な長期にわたる講習は、今後においては博物館の現状から考えまして適当な制度であるとは考えられないのであります。  一方、学芸員の養成の本拠である大学の実情を申し上げますと、現在、博物館に関する科目を設置している大学は、東京大学、京都大学、大阪市立大学、立教大学、早稲田大学及び同志社大学のわずか六大学でありまして、今日までに約三十四名の学芸員資格取得者を出しているにすぎず、大学のみに大きな期待をかけることもできない現状であります。  従って従来の講習にかわる制度といたしまして、資格取得の便宜をはかり、学芸員を一層充実するため、認定の制度に改める必要が生じたのであります。この認定制度の内容につきましては、目下研究中でありますが、その概要は、試験認定と無試験認定とについて規定する予定でおります。試験認定は従来の博物館科目の試験及び経験年数等を総合評価して行い、無試験認定の方は、博物館に関する十分な学識経験を有する者について行うことを考慮いたしております。  なお、今回の改正において従来の人文科学学芸員及び自然科学学芸員の別を廃止いたしましたが、これは学芸員の職名を細分化することが、地方博物館の総合的な性格からいたしまして、実情に適応しない点が多く、関係者の要望に応じて統一したものであります。  以上がこの改正案の主要な点でありますが、その他現行規定を整備する必要から二、三の所要の改正を行いたいと思います。すなわち、現行法に博物館の設置主体として「日本赤十字社」があげられておりますのを、日本赤十字社以外の特殊法人が設置主体となるべき場合を予想いたしまして政令で定める法人と改め、日本放送協会等が博物館を設置する場合等にこれを政令で明らかにしようと考えておりますこと、それから博物館の登録事項の変更届出の規定を簡易にいたしまして、博物館当事者の便宜をはかったこと、現行法で博物館に相当する施設に関することを附則に掲げておりましたのを本則に規定いたして、文部大臣が指定する博物館相当施設を法による博物館同様に助長いたしたいと考えておりますこと、経過規定を置いて法の改正により現在の博物館行政に支障がないように考えたことなどであります。  以上申し述べましたことが、この法律案の改正の要点であります。何とぞ十分御審議下さいまして、御賛成下さるようお願い申し上げます。
  15. 佐藤觀次郎

  16. 小林行雄

    小林政府委員 ただいま上程になりました日本学校給食会法案について、補足して、その大要を御説明申し上げます。  日本学校給食会は、第一条の目的に明らかでありますように、学校給食用物資を適正円滑に供給し、あわせて学校給食の普及充実とその健全な発達をはかり、もって学校教育の一環として実施される学校給食の目的の達成に寄与せんとする特殊法人でありまして、本法案は、この日本学校給食会の設立、組織、業務及びその運営、給食会に対する監督及び国の助成等に関して必要な事項を規定することを内容とするものであります。以下、本法案における主要事項について、御説明申し上げます。  第一に、給食会の供給する学校給食用物資とは、学校給食の用に供する食品等で、文部大臣の指定するものをいい、現在その主たるものは乾燥脱脂ミルクであります。給食会が取り扱うミルクの量は、年間を通じて莫大な数量に及んでおります。給食会は、これらの学校給食用物資を、政府の計画に従って買い入れ、営利の目的を介入することなく適正な売渡価格を定めて、全国的に公正円滑な供給業務を行うとともに、さらに政府の施策に協力して学校給食の普及充実に関する業務等も行うことになっております。これが特殊法人の主たる事業であります。  第二に、給食会は、第九条の規定により、役員として、理事長一人、理事三人以上五人以内及び監事二人を置くことといたしております。  これらの役員は、給食会の業務運営の責任を負う機関であります。  役員は、第十一条の規定により、給食会の目的を達成するために必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命することとなっておりまして、専任者を建前としておりますが、第十三条の規定により、役員としてその職務の執行に支障がないものと文部大臣が認めて許可した場合は、他の職業に従事することができます。また第十四条の規定により給食会の役員及び職員の地位は、特に、この法人の性質上刑法その他の罰則の適用について、法令により公務に従事する職員とみなすことにいたしております。  第三に、給食会の業務の適正な運営をはかるために諮問機関として、評議員会を設けております。評議員会は、第十五条及び第十六条の規定により明らかなように、十人以上十五人以内の評議員で組織され、定款及び業務方法書の変更、毎事業年度予算、重要な財産の処分または重大な義務の負担、訴訟または訴願の提起及び和解その他給食会の業務に関する重要事項で定款で定める事項について、理事長の諮問に応じ、または必要と認める事項について建議することを主たる任務とするものであります。  評議員は、第十七条の規定により給食会の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命することになっており、その任期は役員と同様に二年となっております。  第四に、給食会の供給する学校給食用物資の売渡先とその売渡価格の規制に関することであります。給食会が行う学校給食用物資の供給は、第十九条の規定により、文部大臣が指定する者以外の者に供給してはならないことになっており、かつその売渡価格についても第二十条の規定により文部大臣の認可を必要とすることといたしております。  これらは要するに学校給食用物資が適正かつ効果的に利用され、学校給食法第二条に規定する教育目標の実現を促進するとともに、児童の保護者が負担する給食費を極力軽減せしめようとする趣旨にほかならないのであります。  第五に、定款及び業務方法書の変更、予算及び決算については、文部大臣の認可又は承認を受けることを要するものといたしております。また給食会は、第六章の規定により、文部大臣が監督するものでありまして、文部大臣は給食会に対して監督上必要な命令をなし、報告を徴し、また所属職員をして立入検査をさせることができるのであります。しかしながら、学校給食用物資のうちには、農林省に関係のあるものも予想されますので、文部大臣と農林大臣が協議して定めるものに関しては、その売渡価格、業務方法書または事業計画の認可をする場合には農林大臣の同意を得てされなければならないことになっております。  なお、第三十一条においては、農林大臣は給食会に対して、随時その業務及び資産の状況に関し、報告を徴し、また文部大臣に対して第二十七条の規定に基く監督上の命令を発することを求きることができることも規定しているのであります。給食会の助成に関しては、第三十二条の規定により国は予算の範囲内において、給食会の事務に要する経費を補助することができることになっております。これらの監督及び助成に関する諸規定は給食会の業務の特殊性及び公益性に基くものであります。  第六に、給食会の設立に関する事務は、附則第二項以下に規定しておりますように、文部大臣が設立委員を任命してこれを処理させることにいたしております。設立委員は、それにふさわしい学識経験者のうちから任命されるわけであります。  第七に、財団法人日本学校給食会は、給食会成立の日に解散し、その権利義務は給食会がこれを承継することにいたしております。  最後に、この法律の施行期日は、準備のための期限も必要がありますので、昭和三十年十月一日といたしております。  次に公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案について補足説明をいたします。本法律案の目的は、第一条に規定する通り、公立の小学校における校舎の不足による不正常授業の現状にかんがみ、その不正常授業の解消を促進するため、公立の小学校舎の建築に要する経費について国が補助を行い、もって小学校における教育の円滑な実施を確保しようとするものであります。第二条は、この法律により国庫補助の対象となることができる不正常授業を定義し、「二部授業その他の不正常な授業で政令で定めるもの」といたしておりますが、政令において二部授業のほか廊下、昇降口や講堂等の間仕切り授業、教室に児童を詰め込むいわゆる圧縮授業あるいは仮校舎使用等について具体的に規定いたしたいと考えております。第三条及び第四条は、国の補助及び補助率を規定し、小学校の不正常授業の解消するため小学校の校舎を建築または買収しようとする地方公共団体に対して、国は予算の範囲内で、それに要する経費の三分の一以内を補助することができることといたしております。第五条は、政令で定める児童一人当りの基準坪数に建築を行う年度の五月一日現在のその学校の児童数を乗じた坪数からその学校の校舎の保有坪数を控除した坪数を国庫補助の対象とすることといたしておりますが、この児童一人当りの基準坪数は、政令において〇・七坪と規定する予定であります。ただし、保有坪数のうちに倉庫や廊下等学校教育上二次的な部分の坪数が多いため児童の教室に使用することができる部分がきわめて少い場合やその他特別の事由がある場合は、児童一人当りの基準坪数を〇・九坪として算定することができるようにいたしたいと考えております。第六条は補助金の交付の取消、停止等に関する規定でありますが、文部大臣が地方公共団体に対して補助金を交付する場合において、正当な理由がなくて補助にかかる建築の全部または一部を行わなかったとき、また補助金補助の目的以外に使用したとき等は、当該地方公共団体に対して、補助金の全部もしくは一部の交付を取り消し、または停止し、その補助金の全部もしくは一部を返還させることができることにいたしております。第七条は監督に関する規定でありますが、文部大臣は、国の補助金の交付を受ける地方公共団体に対して、当該建築を適正に実施させるために必要な限度において、実地検査を行い、報告を求め、または必要な指示をすることができることとするとともに、政令で定めるところにより、都道府県教育委員会をして文部大臣の権限を行わせることができることにいたしております。第八条は政令への委任でありまして、補助金の交付の手続等を政令へ譲つております。以上がこの法律案の内容の概要であります。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 引き続いて松村国務大臣及び政府当局に質疑を行います。小牧次生君。
  18. 小牧次生

    小牧委員 先ほど内地留学の問題につきまして、いろいろ御質問申し上げたのでありますが、時間がかかりますので、この辺でこの問題についての質問は打ち切りますけれども、来年度においてはぜひとも考慮したいというようなお話であったかと思います。できるならば先ほど申し上げました通り、ぜひとも今回これを実現してもらいたいと考えるわけでありまするが、どうか一つそういう点について今後とも御善処をお願い申し上げたいのであります。それから教育予算に関する交付税の問題につきまして、若干お伺い申し上げたいのであります。これは全般的に申し上げますと非常に大きな問題で、長くなりますので、簡単にお伺い申し上げたいのでありますが、まず第一点は高等学校の単位費用の問題であります。今回の教育予算編成されるに当りまして、その中の高等学校に関する交付税の単位費用、これをいかなる根拠において編成されたか、まず最初にこれをお伺い申し上げたいのであります。
  19. 緒方信一

    緒方政府委員 高等学校の単位費用につきましては自治庁と交渉を重ねたのでありますが、昨年度の単位費用等は変更になっておりません。実はその単位費の算定基礎になりまする教員の数におきまして、これをふやしますように交渉をだいぶ続けて参りました。その算定基礎になりまする教員の数につきましては、一名だけ増加を見たように思っておりますけれども、それは単位費用としましては一人当り九千五百円余でございまして、これは変つていないようであります。
  20. 小牧次生

    小牧委員 御承知の通り今日までの各都道府県の全国的な実績を調べてみますと、大よそ基準財政需要額とこれに対する基準財政の支出と申しますか、これを比較いたしますと、大体支出総額の七割あるいは少し上回るかもわかりませんが、それ以上の額しか交付されておらないということが、私は実績から見て言えると思うのであります。従いましてそれぞれの各都道府県におきましては、その足らざるところは、三割ないし二割七、八分、あるいは三割以上に上るところもあるのではないか、かように考えますが、このような大きな割合の人件費の持ち出しをやつておる。そしてこれによってようやく高等学校の運営をやり、まかなってきておるのが今日の実情であろうと思うのであります。従いまして各都道府県がそれぞれ教育予算編成いたします場合に、常にこういう点について他の方面からいろいろな圧迫が加えられまして、思うような予算編成ができない。こういうことからして今日の高等学校教育高等学校の運営は非常に困難な立場に立たされておる。これが現在の実情であろうと私は考えるのであります。今日高等学校育の振興が強く提唱されておりまする場合に、政府のこういった高等学校教育に対する予算措置がその必要額の七割ないしは七割に満たない単位費用の基礎をもって交付されておるということでは、とうてい今後の重要なる高等学校教育の振興推進はむずかしい、かように私は考えるのであります。また高等学校の算定の基礎の中には文部省で定められました乙号基準というのがございます。この乙号基準に基いて教職員の配置がなされておる県は、私はそう多くないのではないか、ほとんど大多数の県が乙号基準を下回つた内容をもって配置されておる、かように考えるのであります。文部省自身乙号基準を示して、そうして高等学校教育の基準というものを指示いたしております。今日、今申し上げましたような交付税の単位費用、この根本的な問題を解決していかない限り、この停滞せる高等学校教育の推進はむずかしい、私はかように結論をつけたいのであります。いろいろ国家財政の立場から、自治庁あるいは大蔵省との折衝の過程において困難な面が多々あったろうと考えるのでありますが、何と申しましても教育を主管する文部省の責任において、この問題を解決していかなければならない、かように私は考えるのであります。この点について御見解をお伺いいたしたい。
  21. 緒方信一

    緒方政府委員 高等学校の乙号基準の実施につきまして、私どもも従来努力を続けておるわけでありますが、なかなか一挙に参らない情勢でございまして、昨年度におきましても、実は先ほど申しました単位費用の算定基礎になりまする学校の教員数につきまして、一名だけふやしたのであります。本年度も一名だけ算定基礎におきましてはふえておりますが、これは内部操作でございますので、単位費用の面に現われておりません。さようにいたしまして一歩一歩近づける努力はいたしておるわけでございまするけれども、まだ十分に参っておらぬ点は今御指摘の通りでございます。なお今後とも努力をいたしたいと思っております。なお、地方財政計画並びに基準財政需要額、収入額、それにさらにその不足額の財源としまして、国から交付いたしまする交付税の仕組み、こういうものは自治庁の所管でありますので、私から申し上げることは誤りがあるといけませんので省略いたしますけれども、ただ建前が御承知の通りのことでございますので、交付税基準財政需要額で百パーセントこれをまかなうということには相なっておらぬわけであります。御承知のように基準財政収入額におきましては、税収の八〇%を見ておる。あとの二〇%は一般の自由財源として保留してあるわけであります。そこから純県費として持ち出されておる。これは制度の仕組みがそうなっておるわけでございます。その点は御案内の通りでありますが、つけ加えて申し上げておきます。さらに先ほど御指摘の高等学校の乙号基準に近ずけるための努力は、今後とも継続していきたいと思っております。
  22. 小牧次生

    小牧委員 高等学校の問題につきましては、今申し上げた通りでありまするが、もとより県立でございますとか、あるいは町村立の経営でございますので、経営者側におきましても、あるいは多少批判がないわけでもないと考えます。最近高等学校の数もふえて参りまして、その合理化、あるいはその他経営者自体の中においてもいろいろ批判検討が行われまして、自主的な合理化の態度が押し進められておるようであります。しかしながら先ほど来申します通り地方自治体の力だけをもってしては、この解決はなかなか困難な点が多々あろうと思うのであります。こういう点につきまして、もっと文部省におかれましては、その実体をつつ込んで調べていただきまして、そうして地方自治体の経営に欠陷があるならば、これを取り上げて是正し、また今申し上げました通り政府の方の乙号基準を基礎とする交付税の単位費用の引き上げの問題、こういう問題等につきまして、今後大いに努力していただきまして、両者相まちまして、今日の高等学校教育の振興に邁進していただきたいということを強く御要望申し上げたいのであります。  それからもう一つは、義務教育費の問題であります。御承知の通り、児童が七十七万人以上もふえるということがいわれておるのでありまするが、これに対しまして、文部省はこれに伴うところの教職員の増加の数、これをいかなる基礎において、どの数を把握されて編成されたか、まずこの点をお伺い申し上げたいのであります。
  23. 緒方信一

    緒方政府委員 義務教育の生徒、児童の増加に伴いまする教員増の算定でありますが、これは政令府県の方は、政令基準で定数がきまつておりますから省略いたします。一般府県につきましては、約七十七万人の生徒、児童の増に伴いまして学級数がどういうふうにふえるかという学級数の増の推定をいたしまして、その一学級当り小学校におきましては十二分の十三、中学校におきましては九分の十三、この係数を乗じました数を教員の増加数と見まして、予算編成いたしておるのであります。
  24. 小牧次生

    小牧委員 その基礎によって算定されてふえる教職員の数を幾らと把握されておりますか。
  25. 緒方信一

    緒方政府委員 合計いたしまして一万二千五百十名とみなしております。これは小、中学校の教員、ほかに五百一名の盲聾学校がございますが、それを加えた数でございます。
  26. 小牧次生

    小牧委員 そういった数字の中に、たとえば結核の教職員、養護教員あるいはまた事務職員、さらにまた今いろいろ問題にされておりまする産休の補助教員の問題など、こういった問題がその中にどの程度含まれて編成されたかお伺い申し上げたいのであります。
  27. 緒方信一

    緒方政府委員 結核休職あるいは産休補助職員につきましては、政令府県におきましては、定数の算定基準が御承知の方式できまつております。つまり学校数と学級数に対しまして、小学校中学校――これは一学級当りの定数は違いますけれども、学級数にその定数をかけまして、これを加えたものに対しまして、三%というものを結核休職あるいは産休補助教員といったものを見込みまして、三%を加えて教員の定数の算定をすることになっております。従いまして政令府県におきましては明確であります。それから政令該当でない一般府県につきましては、御案内の通り、これは実績負担で、都道府県が経費を負担いたしまして、それに対しまして国庫負担金は実績の二分の一を負担をしていくという建前であります。でありますので、一般府県に対しまする予算の組み方は、これは先ほど申しましたけれども、実績主義でありますので、三十年度予算としましては、二十九年度における実人員をまず押えまして、これに加えること、先ほど申しましたような推定で増加数を推計いたしまして、そうしてその合計を教員数とみて、三十年度の教員数というふうに推定いたしまして予算を組んでおるわけであります。従いまして算定の中に、はっきり政令府県のようなことには相なっておりません。しかし二十九年の実人員を押えておりますから、二十九年度で出ました結核休職あるいは産休の補助職員が地方で置かれておれば、これは十分見てやる。それに対しましては二分の一の国庫負担金は十分見られるようにいたしておるわけであります。従来もさような取扱いで参っております。ただ新しくふえます教員につきましては、すぐに結核休職とかそのほかのことは見ておらぬわけです。
  28. 小牧次生

    小牧委員 今いろいろ御答弁がございましたが、全体で七十七万人の児童がふえるということについて、昨年の五月一日現在でございますか、それを基礎にした実績をもって算定をされたということでございまするが、今申し上げましたような問題が多少含まれておつたり、または含まれていなかったり、いろいろその内容はあるわけでございまして、私ども考えるところでは、実質上その内容は切り上げられてくるのではないかということを非常に憂慮をいたすのであります。こういった問題は、それぞれの県によりまして、少しずつ事情が違うかと思いまするが、今回御承知の通り地方財政再建促進特別措置法案といったものが出されまして、かりにこういったものが実施されるということになりました場合には、再建団体におきましては、今申し上げました結核教職員あるいは養護教員あるいは産休補助の問題あるいはまた事務職員、こういった問題等にまずしわ寄せが行われて参りまして、さらにまたその実質上の切り下げが深刻に行われて参るのではないかということを、私は非常に心配をいたしておるのであります。と申しますのは、今日までの実績を見ますと、なるほど表面は昇給、昇格あるいは手当、いろいろなされるようになっておるのでありまするが、実際には昇給がストップされておるところもございます。また旅費や手当も削減されて、PTAや先生方自身が、自分の自腹を切つて出張をするというような県が多々あると私は聞いておるのであります。こういった実情から考えてみますと、今回の七十七万人に対する教職員の数の増加ということは低きに失するのではないか、少くともまだ四、五千名の教職員の増ということを考えなければ、とうてい今日の困難な教育行政は推進できないということを私は強く感ずるのであります。これに対して御見解を承わりたいのであります。
  29. 緒方信一

    緒方政府委員 地方財政が逼迫しておるのは御承知の通りでありまして、現在の建前が、先ほど申しましたように、義務教育の教職員の給与費が府県の負担になっておりまして、従いましてこれはどうしても地方財政の状況に影響されることは避け得ないことだろうと考えております。従いまして根本的な解決は、やはり地方財政の再建、健全化であろうと考えます。ただ国といたしましては、地方で負担をいたしました給与費の実額の二分の一は国庫で負担をしていくという制度でございますので、これに欠けることのないように万全の努力をしなければならぬと考えております。そこで本年度予算に計上しております教員増の一万二千五百十名で十分であるかどうかというお話でございますが、私どもは従来の実績から見まして、これで十分じゃないかと考えております。ただ政令府県におきましては、定数はピシッときまります。当該年度の五月一日の学級数がきまれば、それによって自動的に算式できまりますので、これについては問題がないと思います。私どもも、見積りは一応いたしておりますが、これは五月一日の統計がはっきり出てくれば、これに基いて実際の人員がきまつて参りますので、さほど問題はないだろうと思います。一般府県におきましては、これは見積りでありますから、あるいは増加をする、あるいはそこまではいかぬというようなことも起つてくるかと思いますけれども、実際に府県におきまして、かりに国で見ております人員よりも上回って教員が配置されるということになりました場合には、実績の二分の一負担の原則によりまして、あるいは翌年度の補正予算でこれを見るということに相なるかと思います。二十八年度には、当初予算が不足いたしましたので、二十九年度の補正予算で八億何がしかのものをつけまして、それで清算いたしたようなわけであります。ただ私どもの見通しといたしましては、三十年度今あげております一般府県の分は、約一万でありますけれども、現在府県の当初予算で組まれております予算にあげられております予算人員は、九千五百台でありまして、これで私は、去年の実情等から見まして、十分対拠していけるのではないか、かように考えておる次第であります。赤字団体におきまして、赤字を解消するためにその地方団体がこぞつて努力をすることはこれまた当然であり、そうなければならぬと思うわけでありまして、その際、おそらくこれは教育費だけにしわ寄せするということにはならぬじゃないかと思います。そういうことのために、地方財政再建促進の特別措置法案の折衝におきましても、いわゆる教育委員会の二重建予算制度というものは残つておりますから、これは教育委員会の毎年度予算編成につきましては、十分発言力があるものと考えております。
  30. 小牧次生

    小牧委員 地方財政の健全化の問題に触れて御答弁があったようでありまするが、こういった問題にも関連いたしまして、先ほど来申し上げます通り、私は、教育予算につきまして、非常に心配をいたしておるのであります。教育委員会の原案送付権の問題は、一応話し合いがついたように承わつたのでありますが、それはそれといたしまして、今日いわれる地方財政再建促進特別措置法案、この問題はたびたびこの委員会において、同僚議員の方から質問があり、また御答弁があったわけでありまするけれども、要するに、今日の地方財政における教育費の占める比重というものがありまして、地方財政の健全化と申しますか、合理化ということに名をかりまして、地方財政の中に大きな比重を占める教育費に向つてしわ寄せが行われて参ることは、必然であろうと考えるのであります。もとよりそれぞれの地方公共団体におきまして、全体の財政計画、総予算の中でこれはいろいろ考えなければならない問題でございますけれども、今日の教育費を見ますと、大部分がほとんど人件費であります。給与費であります。従いまして、もしも教育予算に対してしわ寄せが行われるということになりますと、勢いそういった大部分を占める給与費、その他いろいろな人件費に向つてしわ寄せが押し寄せて参る。ところが、今日のそういった給与費その他をながめて見ますと、他の公共団体の中の人件費に比べまして、決して現在の教育関係の給与費というものは、それに比べて高いものではない。逆にいろいろ年末資金の問題とか、あるいは昇給、昇格の場合なんかには、それぞれの地方団体の財政の窮乏化を建前として、これが常に押えられておる。そして常にこれがあとに残されまして、問題の解決が長引いておる。昨年の越年資金の場合でも、いまだに解決しておらないという県が数県あると私は聞いておるのであります。こういったことから教育問題の進展がはばまれるということを非常に心配をいたしておるわけでございまして、今回の地方財政再建促進特別措置法案の問題が、こういう弱い面に強いしわ寄せをしないように、私どもは、あくまでもこういったものが逆に強く推進されるように考えて参らなければならない、こういうことを根本的に考えておるわけであります。従いまして地方財政を今日いかにして健全化するかという問題の中に、教育財政がいかに大きな要素を占めておるか、ほとんどその中枢をなしておるのではないか、教育財政をいかに取り扱うかということが、今日の地方財政再建の根本的な課題ではないかというふうにさえ考えておるわけでございまして、この地方財政再建促進特別措置法案の内容に関しまして、文部省は、責任を持って教育行政の推進ができ、これがはばまれないように、今後とも御善処をお願い申し上げたいのであります。以上をもって質問を終ります。
  31. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 次に野原覺君。
  32. 野原覺

    ○野原委員 私は大臣に御質問いたしたいと思いますが、質問をいたします前に、大臣に要望があるのでございます。大臣も御承知のように、この文教委員会は週にわずか五時間ないし六時間しか今日持たれていないのであります。しかるに大臣の御出席がきわめてよくない。これは、はっきりこの結果に出ておるのでございます。従って本日は、承わるところによりますと、大へん御多忙で、また早々としてお出かけになるやに聞いておるのでありますけれども、どうかめつたに御出席することのできない委員会でもございますので、いましばらく一つ腰を落ちつけて御答弁を願いたいのであります。  第一にお尋ね申し上げたい点は、教員の定年制の実施をめぐる問題であります。私聞くところによりますと、教員に定年制を実施すべきであるかどうかという問題のために、今日ただいま政府の部内において、文部当局と自治庁が、その意見がまつこうから対立をしておる、こういうことが言われておるのでございますが、その真相は一体どういうことであるのか、まずこの点についてお伺いいたしたいと思います。
  33. 松村謙三

    ○松村国務大臣 私の出席率が悪いので恐縮いたします。時間の許す限り必ず今後も出席をいたしますし、きようもまず一時間くらいは……。  それから今のお話の定年制の問題でございますが、現在の情勢から見まして、定年制をしくということは、教育の特殊性からも考えて妥当でないと考えております。それでそのためにできるだけの努力をいたしておるのでございますが、事は閣議の際のことでございますから、閣議の内容をここで申し上げることはいかがかと存じますけれども、私といたしましては、最善の努力をいたして参り、今後もそういうふうにいたしたいというふうに考えておるのでございます。さよう御了承を願います。
  34. 野原覺

    ○野原委員 閣議に属することは申し上げにくいというお言葉ではありますけれども、しかし当文教委員会は、事教育の問題については、単に法律が出てから云々するというだけのロボット委員会ではないのであります。大臣御承知の通りであります。従って私はこの問題についてもう二、三お尋ねをいたしたいのでございますが、大臣の、定年制実施ということは当面行うべきではないという御見解はわかったのでありますけれども、一体それに関連して、地方公務員に対する権限を持っておるところの自治庁は、どういう見解を今日お持ちであるのか、この点について承わりたい。
  35. 松村謙三

    ○松村国務大臣 それはやはり教員も加えた定年制をしきたいと考えておられたことと存じます。しかし閣議の際では、大体教員を除外いたしたという了解のもとに話し合いが進んでいるわけでございますが、それをいかに法制的に具現するかについての、ただいま話し合いをいたしておる、こういうことでございます。
  36. 野原覺

    ○野原委員 そこでお尋ねをいたしますが、地方公務員の定年制実施という原案を、自治庁としてはこの国会に出したい、こういうような積極的な意図が示されておるのかどうか、お尋ねいたします。
  37. 松村謙三

    ○松村国務大臣 それは積極的に示されていることと思いますが、教員を除外した定年制というもので自治庁でおやりになるかならぬかは、ちょっと今のところ私わからないのでございますが……。
  38. 野原覺

    ○野原委員 どうもただいまの答弁では、はっきりしないのでございますが、私の知る限りでは、教員をも含めた地方公務員に定年制を実施したいというのが、自治庁の主張であつて、教員だけは除外してもらいたいというのが文部当局の見解である。そういうことで実は意見の対立を見ておるんだと聞いておるのであります。そこでお尋ねをいたしますが、自治庁は一体どういう形態の法律でもって、この地方公務員の定年制を実施しようという考えできておるのか。地方公務員法によるだろうとは思いますけれども、この点どうなっておりますか。
  39. 松村謙三

    ○松村国務大臣 教員を除外するという前提のもとで話が閣議で進んでおりますから、それを法的にどう現わすかは、私は詳しくは知らずに、それで解決するものと思っていたのであります。従いましてそれについての説明は事務の方から……。それでは緒方君の方から説明をいたします。
  40. 緒方信一

    緒方政府委員 大臣のお話のように、調整の段階でありますので、まだはっきりしたことは申し上げかねるところもありますが、地方公務員法の改正、こういうふうに考えております。
  41. 野原覺

    ○野原委員 大臣を決して信用しないわけではございませんが、大臣に重ねてお伺いします。教員の定年制はそれでは実施はされない。教員の定年制実施を除外した法案が出るのであつて、教員に関しては定年制は実施はされないんだ、このように私ども安心して受け取つて差しつかえございませんか。
  42. 松村謙三

    ○松村国務大臣 まだ確かにきまらないうちに、相手方の感情を刺激するような言葉は、責任者として避けたいと思いますが、私は、ぜひ教員を除外するように最善の努力をいたしたい、と申し上げることでお許しを願いたいと思います。
  43. 野原覺

    ○野原委員 私が、このようなことをくどく申し上げますのは、一応文部当局は筋を通していつでも反対するんです。よろしゅうございますか――私は過去のことをここではくどくは申しませんが、一応は反対をなさるけれども地方行政、地方財政に関する限り、いつでも自治庁から押しまくられておる。だから大臣としては、おれは反対なんだ、閣議で主張したけれどもだめになってしまつたのだ。こういうようなことでこの定年制の問題が持ち出されては、私どもは納得できない。そこでどうか一つがんばつていただいて、もし最悪の場合は教育公務員特例法の改正という手もあろうと思うのです。これは教育公務員の特例でいきますと何らかの措置がとれるはずでございまするから、自治庁のこういう全く教育を解しない横暴なやり方に対しては、どうか一つ御賢明な松村大臣が先頭に立って爆砕されるように私は要望をいたす次第であります。  そこでせつかくでありますから重大な問題についてもう一つお尋ねをしたいのでございますが、これは大臣も御承知のように、昭和二十九年の一月一日から実施されまして教育界に相当大きな反響を呼んだ教員の給与に関する法律があるのであります。これはいわゆる三本建と呼ばれておるのでございまするが、簡単に申し上げますると教員の給与について学歴、資格、経験年数が同一でありましても、高等学校に勤務する場合とそれから中学校小学校の義務制の学校に勤務する場合においては給与に差等を設けておるのであります。例を申し上げますと、東京大学の文学部を卒業され、中学校に十年奉職をしておる精励恪勤の方があります。ところが同じ東大の分学部を出た方が高等学校に十年奉職しておるという場合に、給与に差等を設けるような法律が昨年の正月一日から実施されておるのであります。このことが義務制の学校側といたしましても、あるいは高等学校の全く良心的な先生方の中においても、これは大きな問題だというので、特に全国の中学校会議、全国の小学校会議会議を開くたびに毎年毎年この問題について議論が沸騰いたしまして、満場一致で当委員会へも決議を持ち込み、最近も陳情に来ておるのであります。松村大臣としては、一体この三本建は妥当であるというお考えを持たれておるのであるか、不合理はないというお考えを持っていらつしやるのか、一つ率直に簡明なる御答弁がいただきたい。
  44. 松村謙三

    ○松村国務大臣 あの問題はいろいろめんどうな問題でありますのは御承知の通りであります。そこで私は今あの三本建を直ちに元へ返すということは考えておりません。しかしながら今お話のような、大学を出てりつぱに高等学校の教授となるべき人が小学校にいてやつてくれている、こういう人であるなら、その資格なり能力なりについては十分認めていかなくてはならないだろうと思います。この間も中学校長の大会に私参りましてその話も承わりました。陳情のあり方も主として今お話のような点にあったようでございますから、これらのことはできるだけそういう形において不公正を除きたいというつもりでおるわけでございます。
  45. 野原覺

    ○野原委員 直ちに全面的に三本建を元に返すという意思は持たないけれども、しかし何らかの形で再検討をして義務制の教育に大きな影響を与えておるということが事実であるとするならば、これは当然再検討しなければならぬ問題でございます。だからそういう御意思が大臣におありである、このように受け取つてよろしゅうございますか。
  46. 松村謙三

    ○松村国務大臣 それは、そのうちで閲歴、勤務の状態等をしんしやくいたしまして、高等学校の教授と劣らぬ実績を持つ方にはさようにいたすのが順当であろうと考えて、そのために努力をいたしたいと思います。
  47. 野原覺

    ○野原委員 私はただいまの答弁にはなお不満を覚えます。一般職の職員の給与に関する法律というのが御承知のようにございます。その法律によれば、教員の給与の場合にも、たとえば職務が複雑か簡単か、困難であるかどうか、それから責任の度合いはどうか、勤労の程度はどうか、あるいは勤務時間その他各般の勤務条件を考慮して給与というものが規定されるということが法律の精神であります。そうなりますと、学歴は同じ、それから勤務年数も一緒である、こう考えたときに果して中学校高等学校よりもその職務が簡単なのかどうか。生徒は、義務制の学校でございまするから、各般のいろいろな子供が入っておりますので、教育上非常にむずかしい。高等学校はある程度選抜された子供であります。しかも義務教育の仕上げでございます。いろいろなことを考えた場合に、私どもはこの三本建というものには全面的に再検討を加えて、そして小中高の人事の交流で、どこに行っても安心して義務制の教育にも大学を出たりつぱな方々が精魂を打ち込めるような素地を早急に作るべきであるという見解を私は持っております。しかしながらこれは自由党と民主党の方々が昨年の国会において強引に会期を延長してまで通した法律でもありまするから、松村個人はいざ知らず、鳩山内閣の文部大臣としてこの簡単な答弁ができないというのはごもっともであるとは思いますけれども、しかし大臣が一歩進めて、なお成績の優秀な者については考慮してやろうという中学校長会の決議をお認めくださつたただいまの御答弁には、私はある意味で敬意を表したいと思うのであります。  もう一点質問いたしまして他の同僚議員もおられますから私は終ります。それは何回も蒸し返しますが、修学旅行の問題で私は一つ聞きたいことがある。この研究協議会が発足しておるのでございますが、何を一体研究協議していらつしやるのか、これを一つはっきりお示し願いたい。
  48. 松村謙三

    ○松村国務大臣 昨日からやつておりますが、これは緒方君の方からお答えを申し上げます。
  49. 緒方信一

    緒方政府委員 当委員会でもいろいろ御意見がありましたように、修学旅行につきまして根本的な再検討をするということは必要であろうと思うのであります。従いまして社会有識の各方面の方々に委嘱いたしまして、修学旅行協議会というものを作つたのでございます。そしてこの目的といたしましては、各方面の方々の大所高所からいたしまする意見を聞きまして、それに基きまして文部省としましては具体的に研究を進める、かように考えておる次第でございます。  そこでお話を聞きたいという事項は、まず根本的な問題としましては修学旅行のあり方、教育的意義をどう考えるかというようなことからいたしまして、さらにこれを適正にかつ安全に行う方途についてどういうふうにしたらいいか。あるいはまた各官庁関係方面との連絡、協力の態勢をどういうふうに作つたらいいか。かようなことにつきましてまず御意見を聞き、それに基きましてさらに具体的に進めていきたい、かように考えております。
  50. 野原覺

    ○野原委員 家庭貧困のために修学旅行に参加することのできない子供が現実にたくさんおるのであります。修学旅行は物見遊山ではない、これは学習活動の一環であるという大臣からの御答弁もあったわけで、私どもは敬意を表しておりまするが、その重要な学習活動の一環としての修学旅行に、家庭が貧困であるために参加することもできない、こういう子供が各学校にたくさんおります。一体こういう子供についての対策、措置というものもこの協議会はお取り上げになられるおつもりかどうか。いかがですか。
  51. 緒方信一

    緒方政府委員 ただいま申し上げましたように、この協議会に対しまして私どもが伺いたいのはまず各方面の御意見であります。従いましてあるいはそういう御意見も出てくるかと存じますけれども、今お話のような具体的な問題をこちらから取り上げて諮問をするという形にはいたしておりません。討議をされます過程におきましていろいろな問題が出てくるであろうとは考えられますけれども、先ほど申し上げましたように私どもが予定いたしておりますことは、修学旅行の教育的意義、あり方、実施方法というような点につきまして御意見を伺つておるわけであります。
  52. 野原覺

    ○野原委員 協議会が生まれたのは紫雲丸事件が動機であった。そしてその紫雲丸事件に火がついて、当委員会は極力文部当局に具体的ではなかったけれども要請をいたしまして、あなた方としても何とかしなければならぬということでできたはずなんです。そこで私は、委員の人々から雑然とそういう意見が出てきたならばというようなただいまの御答弁では承服いたしかねます。こういう問題は何も協議会の民主性を踏みにじるものでも何でもないのでございますから、大臣の諮問機関でありますから、大臣は具体的にいろいろ項目をあげて尋ねられたらいいと思うのです。私どもはこれは当然だと思う。だからこの協議会でもどういう意見が出るか、ぜひともこの問題を一つお取り上げ願いたいのであります。  そこでこれに関連してお尋ねいたしたいことは、今日修学旅行の運賃、これが高いのです。修学旅行の旅費につきましては、宿屋の支払いは遊興飲食税が免税になっておるのでございますが、交通税は免税になっていないのです。重要な学習活動の一環である修学旅行で交通税を依然として取つておる。このことを一体文部当局はどう考えておるか。大臣いかがでございますか。
  53. 松村謙三

    ○松村国務大臣 私もまだそこまで運輸大臣に話をいたしたことはございませんが、そういう運賃の費用が高くつくということにつきましては、一つよく話し合いをいたしてみたいと思います。
  54. 野原覺

    ○野原委員 どうも文部当局と国鉄との間がいろんな点でうまくいってないのです。たとえば教科書の値段が高いという場合にも、重要な子供の本代の中の運賃がエロ本よりも高い運賃をつけられている。これは御承知でしよう。エロ本は第三種なんです。教科書の場合はその運賃が高い。そういうことで事教育に関する問題は、同じ政府部内のことでもございまするから、ただいま大臣から率直にお話がございましたように、修学旅行の交通税等についても一つ早急に検討を加えていただきたいのであります。  そこで次に同じこの問題で伺いたいことは、大きな学校の単位、たとえば五百名、六百名という団体で旅行いたしますと、三百名以上は何か割引の率が相当高いようであります。ところが五十名とか百名というような小さな学校の単位になりますと、割引の率が非常に低い。こういうことで修学旅行を必要とする農山村の子供は実は高い料金を現実に払つておる。こういう問題を何とかして一つお取り上げいただきたいのであります。  そこでこの原因になりました紫雲丸についてでありますが、最近私が聞いたところによりますと、これは事実かどうか、責任のある文部省は御承知だろうと思いますからお尋ねをいたしますが、島根県の松江の子供、高知の子供、愛媛の生徒、あの生徒は団体客としての扱いを、今度の紫雲丸事件では受けていなかったという重大なことを私は昨日聞いたのでありますが、一体これは事実でございますか、いかがですか。
  55. 緒方信一

    緒方政府委員 一番最後のお尋ねの点でありますが、その点は私率直に申しまして存じておりません。当然団体の扱いを受けているものだと今まで考えておりました。調査いたしたいと思います。  それから、立ちました機会に、今お話のありました運輸当局あるいは国鉄との連絡態勢につきましては、このたび開きました修学旅行協議会を契機といたしまして、その連絡、協力の態勢を作り上げたいと考えております。  それからさらにお話が出ましたのでちょっと御参考までに申し上げておきたいのでありますが、教科書の運賃の問題でございますが、ただいまお話のような言い方でよく伝えられるわけでございますけれども、これは少しその内容を御説明いたしませんと一般の誤解を受けるかと思いますので、あえて申し上げるわけであります。教科書はこれは重要物でありますので一般に貨車扱いで送ります。貨車扱いの場合におきましては、これは特に小、中学校等義務教育の教科書は非常に安い取扱いを受けておりまして、もちろん雑誌等よりも数等安いのであります。等級から見まして二十一級扱いということになっております。雑誌につきましては四級扱いでありまして、これは等級方の多い方が安いわけであります。この貨車扱いのは全体の数から見まして七二%を占めております。そこでエロ雑誌よりも高いじゃないかというお話の点は、これは客便車で送る場合がさようになっておるわけであります。ただしかし教科書は客車便で送るという場合は割合に少いのでありまして、全体の三%ぐらいであります。これは二十九年度の実績でありますけれども三%ぐらいであります。七二%程度が貨車便であり、そのほか自動車等で送つておるようなことでありますので、その点は御参考までにつけ加えて申し上げておきます。
  56. 野原覺

    ○野原委員 私はこの紫雲丸の団体客として扱わなかったという点、この点について文部当局がまだ思いをいたしていないということをはなはだ遺憾に思うのです。これは早急に一つ調査を願いたい。というのはどういうことかと言うと、こういう団体の学童、生徒を一般客の中に入れておる。一般客と一緒にごじやごじやに入れておる。どんなに先生が日ごろから団体訓練をしておつても、いざという場合にこういうことではその措置がとれないのです。ところがこれは国鉄に言わせると――きようは国鉄当局者が出てきていないのではなはだ後悔しておるのですが、おそらく三百名以下であるからそうするんだ、こう言うかもわかりませんが、今日の国鉄はこの修学旅行の大切な日本の子供たちを何か荷物よりも軽視しておる傾向がある。私は省線電車に乗つても、あるいに汽車に乗つてもよく旅行の団体等と出つくわすのでありますが、実に気の毒だ。ああいう状態のもとで、幾ら学習活動の一環だからと言つたつて、修学旅行はほんとうにみじめな状態で続けられておるのが今日の実情であります。従ってどうかそういうことがないように、せつかく国鉄の代表者を入れた協議会はこういう点についても掘り下げて討議をしてもらわなければならぬと思うのであります。貧困家庭の問題、交通税の問題、団体扱いの問題、人間並みの旅行を、ほんとうに教育的な修学旅行ができ得るような措置、こういうことを協議会としてはぜひ取り上げていただくように、大臣に御要望申し上げます。  最後に、研究協議会の何らかの成案ができましたならば、大臣は当委員会に早急に、こういうことになつたという、報告ということじゃないでしようが、私どもにも一つお漏らし下さるわけにいかぬものでございましょうか、大臣の御意思を承わりたい。
  57. 松村謙三

    ○松村国務大臣 それはまだなにをしない先に皆さんにお目にかけて、御意見を徴することといたします。
  58. 並木芳雄

    ○並木委員 私は大臣にスポーツ局のことについてお伺いしたいのです。先般川崎厚生大臣が他の委員会で、スポーツ局を設けたいという言明をしております。私は、前からぜひこういうスポーツ局というものが文部省の中にできたらいいということを念願しておった者の一人であります。できれば外局かあるいは独立したスポーツ省というふうなものにまでいけば、なおけつこうだと思っておつたのですが、そういう見地からスポーツ局の設置にもろ手を挙げて賛成いたします。ただそれを厚生省の中へ設けることが妥当かどうか。文部省の中へ設けるのがほんとうではないかと思うのでありますが、ああいう発言を大臣がする以上は、当然文部大臣の方とも協議が行われておつたと思います。従って文部大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。これでいいという承諾を与えられたのですか。
  59. 松村謙三

    ○松村国務大臣 あの発言には、事前にはお話を承わつておりません。従ってそういう局をどつちに置くかどうかということについても、これはいろいろなにがあると思う。大体スポーツなどというものを局を設けて統制するというような考え方は、私は実はあまりとらない。戦後私が厚生大臣になって一番初めには、スポーツというものはもうおれの方じや管理しないから、勝手にやつて下さいといったようなことがありまして、今もそういう考えを捨てていないのであります。従ってスポーツをやるためにいろいろの施設をやるとかいうことで局が要るとかなんとかいうことなら別ですけれども、スポーツを管理するような局は、私は不必要であると考えている。しかしこれは決して川崎君と対立して申すわけじやございません。川崎君の申しましたのも、川崎君の思いつきで申したことで、まだ政府の方針がきまつたわけじやなかろう。今私の申すのも私の思いつきを申し上げる程度と御了承を願います。
  60. 並木芳雄

    ○並木委員 あまりこの点を聞くと閣内の不統一を与党から暴露することになりますから、手かげんをいたしますが、私はどうしてもスポーツ局は文部省の方が適当じゃないかと思いますから、その点だけは答弁をお願いしたい。
  61. 松村謙三

    ○松村国務大臣 もしも将来作ることがありましたならば、これは文部省の方がしかるべきだと考えておりますけれども、今はまだそういう繩張り争いをするまでに具体化してないことを御承知願います。
  62. 並木芳雄

    ○並木委員 それだけわかればよろしゅうございます。  次に、日教組と自衛隊の問題なんです。これは前にも日教組の大会でこの問題を出して、自衛隊に志願するのは望ましくないという決議をしたのですけれども、ついこの間の大会でもまた決議をしております。もういいかげんでわかりそうなものだと思うのですけれども、再びこの問題が取り上げられたことは、私は残念に思います。これは私どもが自衛隊というものの存在を認めておるという立場からではなくて、教員の組合の決議として妥当でない、こういう見解なんです。いやしくも職業というものは、憲法で保障された自由選択権のあるものであつて、小学校中学校を卒業してから、どこへ志願しようと、学校の先生は個人的にアドヴァイスをすることはあつても、集団的に決議をしなくてもいいのじゃないか、そういう見地から、私は申しているのです。人身売買とかなんとかいうなら当然違法であり、妥当にあらざるものでありますから、そういうものに反対の決議は当りまえであるけれども、学校を出てからこういう職業へつくことは好ましくないということは、むしろ自由な立場にあるべき教員の決議としては、人権を拘束するような感じを与える。そういう見地から私は好ましくないと思うのですけれども、この際大臣の見解を披瀝しておいていただきたいと思うのです。
  63. 松村謙三

    ○松村国務大臣 実は私本年はそういう決議があったかどうか知りません。いずれよく調べてみて、その上に措置をいたしたいと思います。
  64. 並木芳雄

    ○並木委員 もしあったとしたらどういうふうにお感じになりますか。
  65. 松村謙三

    ○松村国務大臣 それがもしも組合の権限を逸脱いたしておりますならば、文部省といたしましても措置をいたします。逸脱いたしておりませんならば、これはおのおのの組合の意見でありますから、いかようにもできぬと思います。
  66. 並木芳雄

    ○並木委員 ただいま私が申した点についてはいかがでしょうか。つまり職業にまで干渉することが、はたして妥当かどうか。
  67. 松村謙三

    ○松村国務大臣 それは一応正確に決議文を見てから御返事を申すことにいたした方が適当だと思います。
  68. 並木芳雄

    ○並木委員 濃縮ウランの研究の管轄の問題であります。この間からだんだん検討を進めて参りますと、今度アメリカから受け入れられることになるかもしれない濃縮ウランは、ほんとうに研究の段階にすぎないものであつて、もしこれを電力その他の発電に利用する場合には、あらためて別個の協定をアメリカと日本の政府の間で結ばなければならないということが内容になっております。私どもは直ちにこれが利用されて電力に発展するものと思っておりましたから、それならば通産省の管轄でも差しつかえなかろう、こういうことで今まではおつたのであります。しかし多くの学者の参考人の意見などを聞いてみますと、やはり学術研究の一環としてありたいという要望が多いのであります。先般原子核の研究所は、文部省の管轄に決定されて今着着建設されつつありますが、その一環として濃縮ウランの研究も文部省の方で関係学者を網羅してやられたらいかがかと思うのでありますが、文部大臣は当然このことを今まで研究されたと思いますので、見解を承わりたい。
  69. 松村謙三

    ○松村国務大臣 これは研究という線は文部省、それを応用するところは通産省その他ということで、大体所管をきめているわけでございます。今アメリカと交渉中でございますが、その内容が全く研究明であるならば、当然こちらの方であろう。これが応用の部分が多いならば通産省の方へいくかもしれませんけれども、お話の通り研究のものとするならば、これは私の方へ属するものと思うのでございまして、今のところまだ決定をいたしておりません。もう少し事態が進行するに従って話合いをいたしたいと思っております。
  70. 並木芳雄

    ○並木委員 その点ぜひ検討していただきたい。私どもも一生懸命検討してきましたところ、二種類の炉がありまして、今度の濃縮ウランに関係ある炉は、研究の範囲を出ないようです。将来これを応用または利用に持っていって、発電用その他の動力に使う場合には別の炉を作つてあらためて協定をいたす、そこまではやはり文部省の管轄だと思います。またその方が良心的な深い研究ができるのではないか、そういう見解から申し上げておりますので、その点は一つ検討をお願いいたします。
  71. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 平田ヒデ君。
  72. 平田ヒデ

    ○平田委員 私文部大臣にお伺いいたしたいのでございますが、新生活運動についてでございます。これはこの前から三宅委員、それから小林委員からも御質問ございましたので、大体お考えは承わつておるのでございますけれども、最近また特に新生活運動は婦人に関する面が多いので、婦人団体の方からも一体どういう考えだろうかというようなことを私よく聞かれるのでございます。それで五千万円を計上されているということなのでございますけれども、この数字がどこから生れてきたかということをお伺いいたしたいのでございます。
  73. 松村謙三

    ○松村国務大臣 五千万円という数字は、五千万円では事実活動には十分でないであろうと思うのでありますが、ことしはさしあたりそれでやりまして、足らないところはぜひ必要がありましたならば予備金支出でも願つたらどうか、こういうふうに考えているわけでございます。ところがこれをどういうふうに使うかという問題でございますが、それは先般もこちらでしばしば御説明申した通りに、政府から天下つた形の運動とはしない、全く民間の大きな国民運動たることを期待するという意味でありますから、いずれ新生活運動の本部ができましたらば、そこでいろいろのプランを立てていただきましてそれに助成をする、こういう形式をとりたいと思うのでございます。そこで今日の実態は、まだ予算が通つておりませんものですから何ですが、ただ内々各党派の方へこういう趣旨であるからどうか超党派的に御賛同をお願いしたいということを申し上げておりまして、自由党の方へも、それから両社会党の方へもお願いをいたしておるわけであります。どちらからもまだよろしいという御返事はありませんけれども、大体異存がないというような個人的の話を承わつておりますので、予算が衆議院でも通りましたらば各党の間のお話をお願いいたしたいと思うておりますが、今までの経過はその程度でございます。
  74. 平田ヒデ

    ○平田委員 その本部のメンバーはどういうふうになさるおつもりですか。
  75. 松村謙三

    ○松村国務大臣 本部のメンバーは、今私の方では予定をいたしておりませんが、各党の代表者の間で寄つていただいての構想、それからそれによって作られる呼びかけの委員会の結果によってきまることと思うておりますが、今のところは詳しいことはきめておりません。ただ何しますところでは教育界、宗教界、経済、言論、それから婦人というような各層の有識者と申しますか、代表者というような方々にお願いをしてその組織をお願いする、こういうつもりでおります。今日すでに生活運動をやつておる団体もずいぶん数多うございますが、これらをみなその中に包容はいたしますけれども、これらの方と個々の話し合いを政府としてはいたさない、まとまつて話をしていただきたい、こういうつもりでやつておるわけであります。
  76. 平田ヒデ

    ○平田委員 この本部の委員会、協議会と申しましょうか、代表者の集まりでございますけれども、これがただ協議会とか、今までございましたような推進委員会とかいったようなこういう集まりだけで、その人たちだけのお話し合いでございますと、ほかの予算から比べますと五千万円という額は決して多い額ではございませんけれども、少くとも私ども国民の血税でございます。これが委員会あるいは協議会、そういう形に持っていかれまして、末端の方までずっと会を持たれるということになって、案を出せ、出せというようなことになりますと、ただ単にこれが集会費として使用されて、消えてなくなってしまうという傾向がございます。五千万円が空に浮いた雲のように、あれよあれよと見ている間にどこかへ行ってなくなってしまうというような傾向、これはあらゆる場合に私はあるのではないかと思っております。私は末端でそういう会合によく出ておりまして、文部省の社会教育局長さんなんかにも伺いたいのでございますけれども、たとえば青少年教育推進協議会というものが開かれておりますが、それが中央で一つやる、それから地方に持っていく、そうして今度は各市町村の方に持っていきますと、ある場合には千五百円しか今ないのだといって、そして千五百円ばかりではどうにもならぬから結局予算をほかのもに使われておる形でございます。私はこれはどうしても一つか二つにしぼつてしまつて、そうしてほんとうに生かすような方向に持っていかないと、何べん繰り返しても同じことになるのではないかと思います。冠婚葬祭の問題、これもずいぶん強く取り上げられておりますけれども、一応形だけ結婚式を三百円でやつた、ところが今になって、私のうちではあれだけの貸しがあるというので今度は三百万円もかけて別のところでこつそりと披露したというような事例もございます。こんな生活改善ではどうにも仕方がないのでございまして、どうしても具体策をあげなければならないと私は思っております。この間三宅委員が学校給食の問題で案を申し上げたようで、大臣は大へん御賛成でいらしつたように思いますけれども、そうしたいい案が出たらこれを即時に実行するような方向に持っていかれないものかと思います。大臣のお考えとしては上から働きかけたのではおもしろくない、どこまでも自主的な意欲が盛り上ってくるということが望ましいとおつしやいますが、このお考えは私は大へん賛成でございますけれども、よいことであったら上からも下からもないと思うのでございます。下から下からとおつしやいますけれども、どうでございましょうかしら。
  77. 松村謙三

    ○松村国務大臣 お話の通りでございまして、下手にやりますと全国に一種のお祭騒ぎのようなことで、国の経費で集会やら何やらをやるということになってはもう大へんでありますので、ぜひそういうことのないように期待をいたしたい、それでそういう本部ができましたときの問題でございますが、大体何もかにも一時にそういう生活の改善ということをやるものか、それともそのうちの重大なものをことしはやるというふうに取り上げてやりますものか、それらにも相当に研究の余地があると思います。それらのことについて今私の方の社会教育局でも――具体的のものはまだできておりません、いろいろ考えてはおりますけれども、こちらから出すことは先刻申したようなわけで、そういう団体を作つてからのことと思ってまだまとめたものにはいたしておりませんが、御趣旨のようにできるだけ話し合つていきたいと思っております。
  78. 平田ヒデ

    ○平田委員 私それにつきまして一つ案を持っておるのでございます。これは人口問題の解決にもなるのじゃないかと思いますけれども、この予算でもって工場に働いている人たちに、いわゆる家族計画として受胎調節の方に使つていただけないか、そう思います。これはただ案だけではなく、実際に生活を改善するといっても、これは冠婚葬祭のような場合には実行力が必要なのでございまして、この実行力に対してのお金が要るということは別でございます。この受胎調節については実際に費用がかかります。私は中絶ということは不賛成でございまして、どこまでも妊娠をしない、そうしますと、最低で一回十円かかる勘定になるわけでございます。これと一緒に調節の仕方を――これは厚生省の関係もございますけれども、実際問題を取り扱つていただきます場合に、これは社会教育と非常に関係があるのでございますけれども、ついでに道徳教育もこの中に入れて並行していきませんと、これは大へんな不健全なことになってしまいます。これはどうしてもこの二つを並べていって、そうしてほんとうに健全な姿でもってこの調節を行なっていっていただきたい。調節のことについては技術的にこれはお医者さんなり保健婦さんなりがやつて下さいますけれども社会教育局長さんがおいでになっておりますから、道徳的な裏づけについて御案がございましたら伺いたいと思います。
  79. 松村謙三

    ○松村国務大臣 それらもやはり新生活運動の中へ取り入れて考えらるべきことと思います。今お話のようなことは十分に御研究下さいまして、それらの場合に徹底しておやりになる、これはぜひ必要だと思うのであります。しかしこれは地方によって非常な差が出てくると思うのです。現にそういう思想の普及したところと普及せぬところとの差が相当に出てきておりまするし、そうしてまたあまり徹底し過ぎても困るし、そこに調整ということも必要でありますが、これはもちろんこの新生活運動の一部をなして日本の将来の社会の根本を規正するということは当然のことと考えております。
  80. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 受胎調節運動を大きく展開するということになります場合には、お話のように道徳教育というものと十分並行してやる必要があると考えております。
  81. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 ちょっと文部大臣に新生活運動のことについてお尋ねするのですが、昨日二、三の婦人団体の方から陳情がありまして、どうも新生活運動の五千万円の金を、すでにある婦人団体の方へ渡してしまつたんじゃないか、これじやせつかく松村文部大臣が言われてもだめなんだと、こういうふうな陳情がございました。私どもの方はまだ予算が通過していないし、まさかそういうことはないだろうと言いましたけれども、その代表として私の方へ婦人団体の方がおいでになりましたから、これはうわさの程度だと思いますけれども、そういう誤解があるのではないかと思いますけれども、そういう点について大臣のお考えをちょっとお漏らし願いたいと思います。
  82. 松村謙三

    ○松村国務大臣 今のお尋ねでございますが、絶対に何らの約束とか、それからそういう話を受けるとかということは絶対にいたしておりません。この点だけは責任を持って申し上げておきます。
  83. 平田ヒデ

    ○平田委員 どうも女の立場ですから一生懸命になって申し上げたいのですけれども、ある工場でもって百五十名の調査をいたしたのでございますが、受胎調節を希望しておるのがそのうち八五%でございます。そうして実際に実行しておるのが六五%、こんな数字になっております。そうしてこれについてでございますけれども、やはり結局は費用の点が問題になっておるようでございまして、なかなか工員というものは生活がぎりぎり一ぱいのようでございます。私はその点を考慮していただきたいとお願いを申し上げたいのであります。  それから道徳教育の面についてでございますが、これは親たちが子供にいろいろなこういう問題について困っておる場合があるのでございます。住宅が狭かったり、それでこれと関連してなんでございますけれども、ただしつけの面で非常に困っておるというのが百人のうち五〇%でございます。食べものは今は大分出て参りましたけれども、こういう面についても私は局長さんお考え願いたいと思っております。純潔は個人にもあります。夫婦の間にもある、政治にもある、どこにでも純潔というものはあるのでございまして、こういう点を私は十分に強調していただきたいと、そう希望いたしまして質問を終らしていただきます。
  84. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 御意見の通り十分その点を考慮いたしまして、そういう問題に対処していきたいと思います。     ―――――――――――――
  85. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 最後に国立学校設置法の一部を改正する法律案についての質疑を行います。米田吉盛君。
  86. 米田吉盛

    ○米田委員 お伺いいたしますが、今度出されました各大学の学部、学科の増設は大学令が改正せられた当初から多少懸案になっておつたものを、大体御解決になつたのではないかと思うのでございますが、さらに将来こういったような学部、学科の増設というようなことが、今の段階で相当案件がお見込みになりますかどうか、この点ちょっとお伺いいたしたい。
  87. 稲田清助

    ○稲田政府委員 大体文部省といたしましては、先般来申し上げておりますように、大学の拡張という点よりは充実ということを考えるべき時期に到達したと思っております。ただ絶対にないかというような点につきましては、今後いろいろ学術の進歩等もございますし、あるいは戦争中転換いたしましたものの元にかえるという問題もございますし、あるいは一つのものが分離するといったような懸案等も多少ございまするけれども、大体において拡張というようなことは今後あまりないだろうと考えております。
  88. 松村謙三

    ○松村国務大臣 これは私の大体の考え方を申し上げておきますが、大学の増設をこの上やつたらとても内容の整備などは思いも寄らぬ状態にあることはこれは御存じの通りであります。学校を無制限に伸ばすということは、これはもう日本の国力においてとてもやり得ないことだと私は考えております。大学の上に大学院あり、大学の下に短期大学あり、ずっとこれらのものを無制限にやつていきますれば、これはとても間口だけ広くなりますが、内容というものは整理はできません。従いまして、私は何か特殊のうちの特殊のことがあつて、やむを得ない場合は別でありますが、原則としては絶対にもう大学はこの程度にとめておくべきであると固く信ずるものであります。そしてそれらの金がありましたならば、これは内容の整備の方へ全力を尽してやるべきであろう、こういうふうに考えているのであります。実は私も非常に困っておりますのは、師範学校を二つ合せて一つの教育大学を作る。それがやつぱり二つ合せたものがうまくいかない。それでこれを分離しようというのが全国に七つもある。そして文教委員会の御決議で、しかも一致の御決議で、これを分かて、こう書いてある。ところがそれをそのままやりますならば、四、五十億円くらいの金が一時に要るわけであります。それだけの金を出して、また大学を七つもよけい作る。こういうことであったら、それがほんとうに日本の文教に資するのかという点から見ますと、それだけの金を内容の充実に使いましたならば、非常な効果が上る。こういうわけでございまして、今のところ直ちにあの七つの大学の分離を、それはけつこうです、やりましょうと申し上げかねております。実情は、こういうところにあるわけでございまして、もう少しゆとりが出てきますれば、そういうことは考えられますけれども、こういう窮迫した実態のときにはどういうものか、こういうふうに考えて、これらもまだ躊躇しておるようなわけであります。もちろんそういうことができるようになりますれば、やりますことは当然でありますが、まあそんなような事態であるとお考え願いたいと思います。
  89. 米田吉盛

    ○米田委員 大臣の御説明ごもっともだと思いますが、基本的に考えますと、今度学部、学科を増設せられ、あるいは県立からの移管をせられたという案件についてだけでも、かなりな私は予算の増加を伴うだろうと思う。今はともかくといたしまして、われわれが知っている限りにおいて、まことに貧弱な施設のものが県立からどんどん移管されておる。これを相当水準の大学に良心的に文部省がおやりになるためには、かなりな予算がさらにこれに加えられる。全国的に見て、貧乏人の子だくさん式に、中途半端の施設の国立学校がすこぶる日本は多い。先生は少い、施設は悪い、それで金がないんだから、金がないんだからと言って、口頭禅のように実は過しておられるわけであります。そこへ持ってきて、今のような何かの理由はもちろんある、私らが知っておる理由はありますが、一々理由を取り上げておつたら今大臣の説明せられたような師範学校なんかの問題もどんどん出てくるだろうと思います。そこで私は大臣の基本的なお考えは当然だと思います。これに関連して大学制度を二十四年に変更いたしましたときに、各府県でかなり多額の寄付をするという申込みをして、それで各府県にたくさんの国立大学を設置したやに聞いておりますが、多分それは事実だろうと思いますが、これらの寄付を出しますという県で、申し込んだだけの寄付をほんとうに出しておるかどうか。途中で消えてしまつて、場合によっては、下手をすると時効にかかる時期になっておる。向うは出さないのだから仕方がないのだという格好で、文部省の方でもとれないのだというようなお考えに投げておられるのではないかという話も聞いておるのでありますが、こういう点、私は相当多額にあると思います。それについて当時の寄付申込書もありましようから、そういう点についての御調査が今ありましたら承わりたい。ずいぶん陳情に来たわけであります。おれの方は三億出す、おれの方は五億出す、それだから国立学校をどんどん作つたわけであります。作つたが金は県で出さぬ、こういう実態ではないかと思います。この御調査の資料がありましたら承わりたいと思います。
  90. 稲田清助

    ○稲田政府委員 おおよそ国立学校設置以来、各府県あるいはその他地元町村その他団体等と約束をいたしまして、大体寄付を受けました額が三十億足らずと伺つております。さらになお年次的にまだ継続中のものが大体の額といたしまして十七億くらい。そのうち約十一億くらいは入っておる。しかしこれはお話のように焦げついてしまつたとか、あるいは約束違いというわけでなくて、学校と地方と話し合いの年次的なものと伺つております。さらに新しい合併その他におきまして、やはり六億くらい、これは将来の年次的の計画、これは今お話のありましたように、府県立学校を合併いたしましす場合に、施設の伴わないものを引き受けて、こちらでそれを負担いたしますということになると、既往のこちらの計画に阻害を来たしますので、合併の場合には今後何年間を期して地方から寄付を受ける、こういう新しい約束をいたしております。そういう次第でございまして、私どもの方から非常に進んで寄付を受け入れたいという気持もございませんけれども、既往の約束分につきましては、大体支障なく完了するような状況でもあり、またそのように将来心がけたいと思っております。
  91. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 辻原弘市君。
  92. 辻原弘市

    ○辻原委員 設置法の問題について大臣に三点お伺いいたします。第一点は今も御意見がありましたように、設置法が出されるたびにいろいろ私ども戸惑いするのです。一体文部省は大学設置に関して、また大学の強化についてどういうような具体的な方法、方針をとられようとしておるのか、その点についてはっきり承わつたこともありますが、当時大臣就任早々でありまして、一応抽象的なお話を承わつたのでありますけれども、具体的な事柄については承わつたことがございませんし、また今提案されている新しい学部の新設、あるいは短期大学の国立への移管等にも、若干私どもとしては考えさせられる点もありますので、この機会に承わつておきたいと思います。  ただ漠と申し上げたのでは、お答えいただくのも非常に御不便かと思いますので、こういう点についてお考えをいただいておるかどうか承わりたいと思います。と申しますのは、新制大学が発足いたしましたが、ただいまもお話がありましたように、その内容の充実に至ってはまことに遅々として進まない。そういう点から各大学の一校だけを充実していくという考え方ではなくして、でき得べくんば、その新制大学等をブロック式に分けて、そのブロックの中で、それぞれ各学部の統合、整理、分合、こういった形のものをおとりなさつていただければ、相当強化した学部の充実、大学の本格的な充実というものが私は行われるのじゃないかと思います。そういう点について検討せられておるかどうか。新制大学予算を増額しろと今申したところで、いろいろ国費の関係もあつて、そう一気にはいかないことは方々承知いたしております。ところがそういかないから、大学が貧乏子だくさんでは困るから廃止しろという極論も出て参りますので、何かの方法を講じなければならぬ段階だと思う。従ってその一方法として、そういうようなブロックの中で、各学部を強化していくというような方法を検討せられているかどうか。検討せられておらなければ、それについて一つ至急御検討賜わりたい。具体的な一、二の点を申し上げてみたいと思いますから、大臣からお考えを承わりたい。
  93. 松村謙三

    ○松村国務大臣 それではその点を申し上げますが、私はぜひお話通りにそうあるべきだと考えております。しかしながら今日の政治情勢、地方の各府県に一つずつ総合大学ができたようになりました以上、これをやり直しして統合するということは、現在の情勢としては非常に困難なことでありますので、今私といたしましては、今後新たなるものをとめるということに力を注ぎまして、これを整理統合することは何かの機会を待つよりしようがないのではないか、このように考えておるわけでございます。しかしながらそういうようなつもりでありましたから、先刻御質問もありましたが、今度の新設を許しましたのは、あれに従来準備金を国が出したとかなんとかというので、すでにどうあつても大学に直すということにきめたのだけを今度で整理をいたしたものであつて、このあとはこれで原則としてはもうやらないという私の考えのもとに、これまでのものを一応清算いたしたということでございまして、今そのあとの整理については私としては持ちませんが、しかし当局としていろいろの研究もありましようから、大学局長から何かお話がありましたら……。
  94. 稲田清助

    ○稲田政府委員 大学を充実する場合に、ただいまお話のような方角で考えておる点が幾つかございます。たとえば御承知のように学芸大学でありますけれども、各学芸大学の各部に、それぞれ音楽とか体育とかを充実いたしますよりは、多少広範囲な地域を考えまして、こういう特殊教科の課程を増強しておるということは御承知の通りであります。また夜間短期大学を置きます場合も、地域地域を考慮し、また産業の種類を考慮して置いて参っておる。ただいま御指摘のような点は、将来大学の内容を充実する場合におきましても、その地域というかなり広い視野において考えて参りたいと思っております。
  95. 辻原弘市

    ○辻原委員 大体私の申し上げたことに、大臣も、それから局長も御異論がないようでありますので、一つ具体的に申し上げたいと思います。確かに今お話のように、学芸大学、それから夜間の短期大学、これは膨大な数でありますけれども、これらについて最近の傾向から見ると、経済学部の新設については相当地元の協力も得られる。ところがそれに反して人文科学その他の関係については比較的軽視をされているような傾向にあると私は考えるのです。従ってそういう点も相当広範囲にいろいろセレクトしてやるならば、そこにブロックの中で充実した一つの学部が持たれるということは理の当然であります。同時にそれと同じような問題で、たとえば旧高等学校時代からそのまま移行したような形のもがの相当残つておるということも、これまた事実、それがよくいわれるいわゆる新制大学大学とは名のつくものの、その教科内容なり施設あるいは教授のスタッフの面から見て、旧態依然として何らその域から脱していないのじゃないかという非難の起る一原因をなしていると私は思うのです。たとえば文理学部、これは聞くところによりますと、大体全国で十三くらいこの学部を持っておるようでありますが、いわゆる文科と理科、全く系統の違うこの学部を両方がちやがちやと合せてやつておるという形態の大学が今なお十三ある。あるいは誤まつておれば御訂正願いたいと思いますが、私はそう記憶いたしております。これらはたとえば関東信越を例にとりますと、静岡にもこの文理学部がある。それから松本にも同じように文理学部がある。ところがこれを総合交流をして考えるならば、いわゆる理学部と法経学部との関係に切り離していって、どちらかに理学部を設ける、あるいはそのいずれか一方に法経学部を設けるというふうなやり方も可能であると思う。これは私は必ずしも大学の意見に賛成するかどうかは別として、ただ一例を申し上げるのでありますが、そういう式のやり方をやつていって、少くとも文科、理科をごつちやまぜにして、旧高等学校時代のようなやり方をやついてる点からはずしていくということも大学強化の一つの方法ではなかろうか、こういう点について一つ検討を加えていただきたいということをこの機会に申し上げておきますが、今の具体的事例について局長はどう考えられるか。
  96. 稲田清助

    ○稲田政府委員 文理学部は新しい大学の試みでありますので、すでに相当批判もあり、また地方の要求もあつて、われわれといたしましては専門家とともに考究いたして参ってきております。その措置につきまして、大学の他に配せられる学部との関係でそれぞれ異なるべきであろうと思うのであります。たとえば御存じのように神戸の大学におきましては、すでに文理学部を文学部と理学部に分難いたしました。あるいは富山の大学におきましては、地元の要望に従って文理学部から経済学部を他出いたしております。今御審議を願つております法律におきましては、弘前あるいは佐賀においては文理学部から、やはり地方の要望に即して農学部を他出しておる。こういうように文理学部については地方の要望、他の学部の配置等から将来相当考慮しなければならぬと思っております。しかしあらゆる大学に文理的な要素を全部払拭し去ることができるかと申しますと、御承知のように、一般教育として三十六単位与えなければなりませんので、どうせ理科的の教員、文科的の教員、これは教員養成としても必要でございますから、そういう意味において、全く理科要素のない、あるいはまた文科要素のない、かたわな総合大学というものは考えにくい、これは御了承いただきたいと思っております。
  97. 辻原弘市

    ○辻原委員 時間がありませんので詳しくは申し上げませんが、文理学部の問題にいたしましても、全部総合大学から分難して一つの傾向にしてしまえという私の意見ではないのでありますけれども、文理学部それ自体の性格が非常にあいまいで、与えられる称号にしても、社会学士なんということは、法律上そう規定はされてあるものの、実際の大学の姿からいうと、これは再検討を要すべき問題だと考えるのであります。  その問題はそれだけにいたしまして、次にこれは大臣に一つ御決意を促したいのでありますが、それは大臣も就任早々の一つの方針として、特に科学の振興ということを強調されました。そうして科学振興費というものを相当大幅に獲得すべく御努力なすつた跡も私どもは拝聴いたしまして、敬意は表しておるのでありますけれども、しかし私はそれもまことにけつこう、ぜひやつていただきたい。いわゆる科学研究費を獲得して、それぞれ民間の科学者なり研究団体に補助育成をしていくということも非常に必要なことであります。だが、これは文部当局としては、本来科学を専攻し、その科学の進歩を日夜やろうとしておるのはどこかといえば、これは大学にほかならぬのでありますから、従ってその大学の中のいわゆる科学振興をやっていくめには、今最も切実に感ぜられておるのは、何といってもそれぞれいわゆる研究に当つておるところの教授に対する研究費の問題だと思います。ところがその研究費は、遺憾ながら私の知るところでは昨年より若干少いというふうに私は考えております。そういうことでは、どうして大学の教授にこれ以上の研究をしてしつかりおやりなさいということが言えるかということを、この際大臣に再認識をしていただきまして、これについての方法を今後どういうふうにして是正されるかということを承わつておきたいのであります。  さらにその問題について、去年でありましたが、個々の教授に対する講座研究費は、これは誤まつていたらこれまた御訂正願いたいのですが、旧制大学についてはある程度十分に考えておるのでありますけれども、新制大学の面については、何ら考慮されていない。だからそういう面にも私は何か欠陥があるということをこの際指摘いたします。同時に、講座研究費は、個々の教授に直接参りますけれども、俗にいわれる研究費というのは、一般には何か教授個人に与たられるように考えられておるけれども、実質はそうでない。最近の電気料金その他の値上げですでに研究費の大半がふつ飛んでしまうというような、こういう実に全くみみっちい傾向、これでは、大学において学術研究をより深めてやつていきなさいということをわれわれが慫慂することはできない。これは大きな国の責任であるということを私は痛感します。  さらに毎年次予算の際になりますと、いわゆる何々折衝ということで、裏舞台でいろいろ予算が折衝されますが、その折衝された結末で最後に財源がひねくり出されるのは、いわゆる一般官庁の諸経費、特に人件費の面が圧縮されてくるわけです。これは一番圧縮しやすい、最も手がけやすいけれども、しかしそれらの渦に巻き込まれて犠牲になっているのは研究費であり、さらに教授その他が研究のために出張するところの出張旅費であります。この出張旅費は、ただ汽車に乗るための費用、旅館に宿泊するための費用であるとは私は考えていない。少くとも大学において旅費というのは、研究費と同じ概念を与えてもしかるべきものであろうと思うのです。そういうことがもし今日も行われておるとするならば、これはゆゆしい問題である。所管大臣である松村大臣に、この機会に、大学研究費その他研究費に類するものがいかに貧弱であるかということをよく腹の中に納めていただいて、国務大臣としてこの昭和三十年度予算の行く行く末々までまで十分見届けてもらいたいということをお願いを申し上げ、さらに大臣の御決意と、私が申し上げましたそういう点について十分配慮していただけるかどうか、この点を承わつておきたいと思います。これで私の質問は終ります。
  98. 松村謙三

    ○松村国務大臣 ちょっとお答えをいたしますが、実はその問題は、大学の内容整備の最大重要な点であろうと思うのであります。庁費が、普通の官庁の庁費と比較いたしますと非常に低い。今ほかの方が二万円もするときに、その二割にも及ばぬというのが現在の状態でありまして、大学の講座においての研究などということには非常に支障があり、ある意味から言つたら不可能であるとも言い得る状態です。それをどうかこうかやつておりますのは、七、八億から十億に及ぶ科学振興費、あれは学術奨励審議会で分けるわけでありますが、それで補つておるという、実に窮屈な状態であります。科学振興費をせつかく取つておきながら、それをきわめて零細化せざるを得ないのが今日の状態でございます。それで、それに相当する庁費をふやして、科学の研究費をその上にそう小分化しないで重点的に使うことができたなら、ほんとうに科学の振興などは今よりもずっと成績が上ることと思いますが、今日はそれができないというのが現実の状態であります。これは私ばかりではありません、皆さんのお力を借りまして、ぜひ庁費を増して、研究がある程度やつていけるようにしていただかなくちやならない。私もそういう意味において努力はいたしたいと思います。旅行費のことについては、初めて承わりますので、よく研究をいたします。
  99. 野原覺

    ○野原委員 国立学校の設置法について重要な段階に来たように思いますので、一つお尋ねをしておきます。それは夜間大学でありますが、この前文部省から出されました「夜間授業の学科を置く短期大学一覧」これによりますと国立の数が十九、公立が十一、これに対して私立は六十八あるようであります。私は勤労青少年のために国の費用で夜学の大学を置くということが緊要なことではないかと思うのでございますが、そういう考え方の上に立ってみますと国立の夜間大学がきわめて少い。大臣はこの点についてどういうお考えでございましょうか、承わりたい。
  100. 松村謙三

    ○松村国務大臣 これは将来のことを考えますとそういう必要もあるかと存じます。現に東京大学に夜間制をやれという陳情も受けております。しかしながらいろいろの設備その他等もにらみ合せてみませんと、たとえば東京大学の例で言えば、東京大学の設備の中でやれることならばこれは経費の問題に減じますけれども、それをやるとなるとその設備を必ず要求をいたしまして、事はそうなると容易ではありませんから、今のところ慎重に考え研究をいたしておるというようなところであります。
  101. 野原覺

    ○野原委員 予算の問題でしんどいので、ちょっとうかうかと手出しができぬというような正直な御答弁でございますが、一体大臣は夜間大学が少いとはお考えになりませんか。国立の夜間大学が少い、これではいけない、こういうお考えはお持ちでございませんか。
  102. 松村謙三

    ○松村国務大臣 国立の夜間大学は今夜間の短期大学があります。ここへまた普通の夜間大学を設けるというようなことになりますと、だんだん大学の種類がふえて、そうして金がかかりまして、容易ならぬことになりますので、必要は十分認めますが、これを実現化するのには相当の用意をしてかからなくちやならないというようなふうに考えるのであります。
  103. 野原覺

    ○野原委員 私は特に大きな都市、たとえば東京、大阪、あるいは五大都市というような大都市には夜間の大学の必要が非常にあると見ておる。御承知のように定時制の高等学校、夜学の高等学校を卒業する子供がたくさんおるのであります。今はっきりここに数を申し上げることはできませんが、ほとんどの公立の高等学校が夜学の高等学校を設置しておる。高等学校すら夜行く子供が、大学に昼行けるわけはない。こういう子供はどうしても大学も夜学を選ぶということになるのに、夜間の大学が、大阪に例をとつてみますときわめて少い。私立の大学もごくわずかあるだけなのであります。そこで過日大学学術局長に対して、せめて大阪の外大にでも夜学部を設置して下さいという陳情が参っておつたはずなんですが、これに対して局長は大体内諾の意向を表明しておったように私は聞いておる。地元の方では、そのためならば金も集めようじゃないかということで、学校当局も了解して、予算の上では数百万円あれば本年発足ができるというので、今年定時制の高等学校を卒業する諸君は非常に希望を持っておつたところが、選挙が終つて四月かそこらになって突如としてこれを設置しない、こういうようなことになっておることは局長御承知の通りなんです。私どもはできるところにはやはり置いてもらいたい。受け入れ態勢も十分あるのでございますし、予算はごくわずかであります。そういうところには、夜学の短大でもよろしゅうございますから、設置するという御努力を一体今後ともなさるのか、なさらぬのか。ことしのようなことを毎年お繰り返しになるのか、ならぬのか、これを一つ局長から承わつておきたい。
  104. 稲田清助

    ○稲田政府委員 お話の点は、昨年の夏でありましたか、文部省議をもって決定した予算に計上いたして大蔵省に要求いたしました。しかし不成立となって今日に至つたわけであります。将来これについてどう考えるかという点につきましては、先ほど来大臣のお話もありますので、大学の充実その他緊急な他の諸案件と見合いながら考究すべき問題であると思っております。
  105. 野原覺

    ○野原委員 夜学の大学設置は十分一つ考えていただきたいのです。以上要望いたしておきます。
  106. 平田ヒデ

    ○平田委員 ただいまのと関連しての質問でございますけれども、たとえば東京大学に置いていただけるにしても、設備の点でとおつしやいましたけれども、法文学系統でしたら、私は設備は要らないと思うのでございますが、まずお金のかからない方からしてはいただけないものでございましょうか。
  107. 稲田清助

    ○稲田政府委員 これは考え方でございますけれども、東京大学その他、大学院を持ち、かなりいろいろな研究所を持って学術研究というような点に非常に人手の足りない大学に夜間大学を置くのがいいのか、あるいはそうでなくて、大学院を持たないような大学に置くべきか、こういう点がまず第一に問題だろうと思います。夜間大学を置いたときに、設備や人手が要らないということは毛頭ございません。やはり相当専任教員を置かなければなりませんし、設備あるいは夜間照明装置その他相当考慮しなければできない問題でございます。その点につきましては御了承いただきたいと思います。
  108. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 本案については質疑は大体終了していると存じますが、ほかに御質疑はございませんか。――御質疑がなければ、本案に対する質疑はこれにて終了したいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 御異議なしと認め、さように決します。  これにより本案を討論に付します。――討論の通告も別にないようでございますから、討論を省略したいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって討論は省略されました。本案について採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  111. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 起立総員。よって本案は可決されました。  なお本案の議決に伴う報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 御異議なければさよう決します。  本日はこれにて散会いたし、次会は公報をもってお知らせいたします。     午後一時五十四分散会