○内藤
説明員 お手元に配付いたしました「
文教予算の
重点」、これを一応まとめましたので、これについて各
項目を御
説明申し上げたいと思います。
まず
文部省の
予算のうちで一番大きな地位を占めておりますのは
義務教育費の問題でございます。本
年度千百九十億のうち、約七百億を占めておるのであります。
その一が人件費の分といたしまして、
義務教育費の国庫負担金の給与費でございます。これがただいま
お話がありました、教員の俸給の二分の一を負担するという負担金の分であります。来
年度は児童、生徒が合せて七十七万ふえますので、この七十七万の児童、生徒に対応する教員の増加を来
年度見込んでおるのであります。同時に、ただいまも
お話がありました場合の政令一〇六号というのがございまして、富裕な県は一定の限度で国庫負担を打ち切っております。そこでこの富裕県の分のうちで東京、大阪、神奈川のように平衡交付金を一文ももらっていない
団体と、比較的富裕
団体として、地方税収入と交付税とが半々である場合、その場合少しでも地方税収入が多い県を比較的富裕
団体と申しますが、この県が全部ひっかかるのでありまして、
文部省といたしましては、比較的富裕
団体は政令にひっかけないように、すなわち実績の二分の一を支出できるように
要求しておるのであります。この額が相当額に上っております。この点が来
年度の
予算の中で一番大きな問題の
一つとなると思います。
次は設備費でございます。設備費のうち、一番目の
義務教育費国庫負担金の教材費というのがありますが、これが十四億でございます。これに
義務教育費国庫負担法の中で、給与費と並んで、小中学校の理科の設備の関係の図書、その他の教材が含まれておったのですが、(2)と(3)にありますように、学校図書館の方は別に
法律ができましたので、そちらの方に三億、それから理科の方は、理科設備について四億、こういうふうに前
年度きまったわけであります。そこで
義務教育の国庫負担の教材費は、原則として図書館の図書と理科の関係を除きまして、その他の教材費というわけでございます。これを増額するように
要求しております。学校図書館も理科も、前
年度は十年
計画で完成するという
計画でございますが、これを五ヵ年で一応完成したいというので、
予算を
要求いたしております。
次に建物の関係でございますが、建物につきましては、特に
新制中学は前
年度一人当り
〇・七坪でございましたのを、一・〇八坪に基準を引き上げましたので、この分が相当坪数がございます。ことに本
年度百万、来
年度は七十七万もふえますので、公立女教施設には、特に
新制中学、
老朽校舎、
戦災復旧、不
正常授業の
解消等、これらに
重点を置いておりまして、大体十ヵ年の
計画でありますのを、五ヵ年に縮めたい。最後の二部授業等の解消、いわゆる不
正常授業の解消につきましては、三ヵ年で解消したいということで、ただいま
予算要求をいたしております。
それから
義務教育の問題で、人件費、設備費、
施設費のほかに、特殊な問題として、ここに三つほど特に掲げてありますが、特殊
教育と僻地
教育と学校給食、この三つを
重点として取り上げております。特殊
教育の分につきましては、盲ろう児童の就学奨励法が前国会で成立しましたので、ただいま五千万円組んでおりますのは、盲ろうの児童に
教科書を無償でやる分、それから盲ろうの学校給食を、貧困者六割程度に無償でやる分、その他寄宿設備等を見込んで、合せて五千万円、二分の一補助で組んでおるのでございます。来
年度は特に児童福祉施設との関連もありまして、生活費一切を見るように
考えておるのであります。
その次に特殊
教育の場合には、精神薄弱、身体不自由の子供がなお
全国に三%ぐらいおると言われておるのですが、この特殊学級をつくるように、その設備費の増額
要求をいたしております。それから僻地
教育の関係では一億一千万そこに上っておりますが、このうち大きなものは職員の住宅が約一千万、それから一億は、僻地の児童生徒のための集会所が組まれておるのであります。この僻地
教育につきましては、特に来
年度は教員の住宅を増加することと、僻地の集会室の建築費をふやすこと、さらに設備、無灯部落等が非常に多いのでございますので、自家発電の設備費と、それから救急箱のような医療の関係の設備を充実してやりたいというので、そういうものを新たに
要求しておるのであります。
それから次の学校給食ですが、これは小麦の半額とミルクの利子補給合せて十七億五千万円、十七億が小麦の半額、五千万円がミルクの利子補給、この十七億五千万円を食管特別会計の方に繰り入れしておりまして、
文部省としてはこの学校給食を推進するために、給食室と給食の設費を補給するということで、五千万円組んでおるのであります。これは特に学校給食を大幅に推進したいという
考え方から、現在四百五千万の児童が受けておりますのを、六百万程度に引き上げたいというので、この建物と設計を大幅に増額いたしたい、同時にもう
一つ、給食をやる場合に困りますのは、各学校は任意でございますが、やっておる学校につきましては義務的になりますので、生活保護法の適用を受ける者だけではどうしても救われない準保護児童がございまして、これが生活保護を受けておるとほとんど同数くらいございます。これは現職はPTAなり市町村でめんどうをみておりますが、この準保護児童に対しまして無償でできるような措置を講じたい、それに伴う
予算を新たに
要求しておるのであります。以上が
義務教育費の関係では
文部省予算の
重点でございます。
その次が
学術振興でございますが、国立学校運営費では現在三百億ほど
予算に計上されておりますが、この中で来年特に
重点を置いておりますのは、教官研究費系統の増額、学術用の設備の更新充実、それからそのほかに、
東京大学における原子核研究所の増設費それから七十四インチの天文台の望遠鏡の継続あるいは生産技術研究所のロケットの研究その他重要な研究がこの中にも含まれておるのであります。
次の科学
振興は、科学研究費と在外研究員、民間学術研究
団体の補助等を含めまして約十億
予算に計上されておりますが、これも先ほど
大臣の
お話がございましたように、特に
重点を置いて大幅な増額
要求をいたしておるわけであります。
次に国立文教施設でございますが、これは
公立文教施設と並んで
文部省予算では相当大きな地位を占めておるものでございますが、特に国立の文教施設は、大学病院、研究所、付属学校等を含めまして十九億ではあまりに少いので、とりあえず
戦災復旧、
老朽校舎の改築等緊急に整備をするのを大体百億くらいにまとめまして、その三ヵ年
計画で
要求しようというのでただいま
要求しておるわけであります。
それから次の勤労青少年
教育でございますが、これは定時制の高等学校と通信
教育の充実と青年学級の充実、この二本建てで
要求しておりますが、定時制の高等学校及び通信
教育につきましては、先般特別法が
制定されましたので、ただいまのところ、設備と通信
教育に要する経費を約一億ほど計上されておりますが、これも勤労青少年
教育に特に
重点を置きまして、相当大幅の増額
要求をしているのであります。来
年度は、できますならば建物の方の補助もいたしたいという
考えでただいま折衝しております。
次に青年学級でございますが、青年学級は
全国に一万数千ございまして、非常に堅実な歩みを続けておるのですが、この面におきましても補助があまりに少いので行き悩んでおりますから、さらに増額いたしまして青年学級の
振興をはかりたい、こういう
趣旨でございます。
四番目の産業
教育の
振興でございますが、これは約八億ですが、これは、主として高等学校でございますが、高等学校の産業
教育の設備を充実することが第一でございます。第二は、前
年度から建物の経費が二億三千万円ほど入っておりますが、建物をさらに整備する。設備の中には水産学校の実習船がやかましく言われておるのであります。そのほかに中学校については、せめて一郡市に一校ずつ指定校を作りたいというので、これも大幅な
要求をいたしております。
それから五番目の育英及び
学生援護事業でございますが、大体三十九億ほど現在
予算に盛っておりますが、育英につきましては、来
年度は特に単価の引き上げをいたしたいというので、できますならば人員も増加したいのですが、現在人員については大学二〇%、高等学校か三%でございますが、単価が大学は二千円、高等学校七百円になっておりますので、できるだけ単価の増に
重点を置いて
予算折衝をしておるわけでございます。
それから次に私学
振興でございますが、私学
振興につきましては、共済組合に助成するものと、私学
振興会に出資金を出すという二つの問題があるわけであります。共済組合につきましては、
事務費を全額国が負担しておるのであります。それから同時に長期給付の十分の一を国庫が補助しておりますが、これを健康保険並みに百分の十五に引き上げたいという
要求を
出しておるのであります。できるだけ共済組合の掛金を低くする
趣旨ございます。
それから私学
振興会の出資金に、今までに約二十四億ほど政府が出資しておりますが、そのうち四億は短期融資でございますので、長期融資は二十億になっております。そこで五十億まで行けば何とか私学で運営できるということになっておりますので、五十億ですから残り三十億になりますが三十億を二ヵ年で十五億ずつを
要求したいということで相当これも大幅な
要求でありますが、
要求しておるのであります。
それから次に共済組合の事業費でございますが、ここにあがっておりますのは国家公務員の学校の先生、
文部省の職員を含めた共済組合の国庫負担金でございます。しかし今後できますならば、公立学校の共済組合に対して助成をしたい、昔は
義務教育の教員については、府県の負担額の半分を国庫で負担しておったのですが、これが平衡交付金に入ってしまいましたので、各府県の財政調整に非常に困りますので、調整金程度を国から補助していただきたいという
要求を
出したのであります。
八番目の
教育委員会の経費ですが、ここに五百万と出ておりますのは、これはほんの
事務費でございまして、このほかに
地方財政の方で見ておりますのは、特に地教委の分として約三十億ほど地方税制
計画に織り込んでおるわけでございます。そこでこのうち地教委で一番弱い点は専任の
教育長がいないということもございますので、専任の
教育長を国庫補助にしたいという
要求をいたしております。
それから
社会教育の関係では、来
年度は特に図書館、公民館、博物館の施設及び設備の充実、先ほど申しました青年学級の充実、及び松方コレクションの建築、その他
社会教育上必要な特に放送、映画、そういう方面に
重点を置いて
要求いたしております。
それからユネスコと文化財保存事業でございますが、ユネスコについては大体前
年度予算を踏襲しまして、ユネスコの国内
委員会の協力国に対する助成等が新たに出ておるのであります。文化財保存事業につきましても、大体前
年度に比べまして相当大幅な増額
要求をいたしておるのであります。以上でございます。