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田口長治郎君 ただいま安田
局長がるる御
意見を吐かれましたのでございますが、その中に
実績という言葉もありますし、また現在一部の人は非常に
実績を尊重するような、さような御
意見もあります。私この
実績という問題につきまして多少疑問があるのでございまして、
実績も尊重をしなければならぬ、しかし
実績を万能にしてはいけない、こういうような
意見を持っております。ことにこの
ミカンの場合におきましては、先ほどから示しましたように二十七年度四十、二十八年度八十、二十九年度二百四十、こういうような
飛躍的な
数字を示している。これは十カ年間も苦心粒々として積み上げた、さような
実績と性質が違う。また
実績自体は、これはたしか
昭和十二年ごろ日支事変のために
日本で為替管理をやらなければならぬ、いわゆる縮小をしなければならぬ、このものを縮小する際に割当方がないから
実績主義をとっておったのでございますが、かように躍進的な増進
状態におきまして、そうして
実績にあらざる
実績、こういうような
基礎をもちましてこの
ミカンの
カン詰に関する限り、
実績はある
程度尊重しなければならぬけれ
ども、
実績万能であってはいかぬ、こういうように私は
考えるのでございます。かような
観点から申しまして、
日本の
輸出の振興というものはどうしても
生産者を培養しなければならぬ。ものを作る人が栄えなければ
輸出振興にならない。かような
観点から申しまして、今この
ミカンの製造時期に突入しているときに、この問題を
農林省は
通産省に預けて、言いかえますと、
輸出業者の
輸出数量割当、このことによって混乱を防ぐ、かような
考えになられますというと、これでは
生産者がほんとうに全部かれてしまう。物を作る人がかれてしまって、何ぞ
日本の
輸出振興がありましょう。かような
観点から申しまして、私は、この問題は法律的に根拠があるのかないのかという問題でなしに、
生産者の
生活安定あるいは
生産事情、これに対しまして全責任を持っておられるところの
農林省というものが、進んで
生産者に対する
生産の割当を急いでされなければならぬ。こういうふうに
考えます。私自身も、この
中小企業安定法による
調整組合ができていない今日におきまして、
農林省としては、非常にむずかしい問題でありましょうが、しかしこれは行政指導で、どうしても強力に
一つやってもらわなければいかぬ。今まである
程度の努力はしておられるようでございますが、私
どもから見ますというと、まだまだ努力が足らない。東西の業者を夜に日をついで
一つ引っぱり出していただきまして、そうして、どうだ、こうだということで、ほんとうに熱意をもって、この
生産者に対する
生産割当というものの問題をどうしても解決してもらいたい。そのことは非常にむずかしいことでございますけれ
ども、ほんとうにまとめる、こういうような熱意のもとに両
関係者を呼ばれて、両
関係者がへとへとになりますというと、結局において、どうも、こうなるから役所にまかせなければしようがないじゃないか、こういうようなことになる。そこまでまだ
農林省がどうも努力しておらない、さようなふうに私は
考えるのでございまして、もし
農林省でこの
生産者の
生産割当をやられないというようなことになりますというと、
通産省としては、ほうっておけないのでございますから、結局
輸出業者に対する
輸出割当という
生産者にとりましては最悪の
状態が招来する。
通産省をそこまで追い込んでしまう。私はできますれば、この
生産割当だけをされまして、そして
通産省は業者割当はされない。業者同士は
輸出をする
価格その他の協定をお互いにされる。また
生産者から幾らで買うかというような、さような協定をされる。そうして
農林省が
生産割当をしたその
数量がきまっておるのでございますから、これだけの
数量をほんとうに
輸出業者が全努力をして、はかせてしまう。このことが最も
生産者のためにも、
日本の
輸出振興のためにもいいと思うのでございますから、この問題の解決はとにかく
農林省がほんとうに熱意をもって、夜に日をついで業者と
生産割当を幾ら――これが先決問題であろうと思いますから、この点を特に
一つ農林省に、いま一段の努力を
要請する次第でございます。
さらに私は、
通産省の
農水産
課長だけがきょうおいでになっておりますから、
農水産
課長に一、二
要請問題について、申し上げたいと思うのでございます。この問題は、どうしても
生産数量の割当、こういうことで
農林省は進まなければならぬと思うのでございますが、この場合におきまして、
通産省で
輸出目標があまり低く置かれるというと、
農林省としてはやりにくいことを招来する、かように
考えるのでございます。
通産当局といたしましては、
輸出を慎重にする
意味におきまして、
輸出目標をこういうふうに立てられ、あるいは商売の
関係からいたしまして、第一次、第二次というような、さような
目標を立てられるかもしれませんけれ
ども、あまりに慎重にするために
輸出目標が小さい。この小さい
数字では、
農林省は
生産割当が非常にむずかしくなる。この点をぜひ
通産省にお
考えを願いたいと思うのでございます。それと申しますのも、さような
輸出業者が昨年の七月に、二十九年度の
輸出目標をどのくらいにしようか、こういうことで相談いたした結果、百四十万箱という
目標を立てたのでございます。実際にやってみますと、それが二百四十万箱も要る。こういうような
実情でございますから、どうしても、ほんとうに大所高所から
農林省を応援する、こういうような
意味におきまして、
輸出数量というものを、
通産省があまりに低く慎重にということでなしに、妥当な
数字を
一つぜひ出していただきたい、こういうふうに
考えるのでございます。
第二に、私が先ほどから申しましたように、本年も昨年同様に、
農林省が
生産割当をいたしましたら、
通産省ではこの業者の割当をされないで――昨年もされなかったのでございますが、これは
生産数量がきまりますから、その必要がない。
輸出の
価格の
維持その他は、
輸出業者同士の協定できまります。また
生産者から購入する
価格というものも、これも協定できまる、こういうような
関係で、今年は何とか
農林省の
生産割当というものをやらしていただく。そうして
輸出業者の割当というものをやらないような、そういう問題を
一つ考えていただきたいのであります。
輸出組合で今非常に急いで、自分らで
輸出割当を確保しよう。これが
連中の非常に利益になる。もし
輸出組合の割当ということになりますと、ほんとうにすわっておって、おれのところに持ってこい、お前らはどこへも
輸出するところがないじゃないか、こういうようなことで
生産者に対せられましては、とても問題にならないのでございますから、この点は
一つぜひこの
生産割当で、そうしてあとの
輸出あるいは
生産者からの購入
価格というものは
輸出業者同士の協定による、こういうようなことにぜひお願いをいたしたいのでございます。さらに私は、いろいろ
農林省が努力をされましても、何としても
生産割当ができなかった。こういうようなことは私は想像しないのでございますけれ
ども、万一さような事態が起りましたときは、これは
輸出組合員に対する
輸出数量の割当もまたやむを得ないか、こういうふうにも
考えるのであります。さようなときにおきましては、実際に物を動かす、あるいは
生産を
調整するというような
立場から申しまして、自由ワクというものを相当大幅に認めておいてもらわなければ物が動かない、あるいは
生産の
調整がつかない。こういうような結果になるのでございまして、私はさような
生産割当ができないというような事態は想像いたしませんけれ
ども、万一さような事態がありましたら、自由ワクを相当大幅に認めてもらわなければ困るだろう。今
輸出組合は、御
承知の
通り組合員が五十五名でございますが、
実績割当によって、
輸出数量の割当という問題について反対している人が二十名ばかりおります。あとの人は一、二欠席がありますけれ
ども、賛成をしておる。こういう
状態で、この二十名ということになりますと、この種の協定というものは、これは議決が有効か有効でないかということは、中小企業協同
組合法の第五十三条を適用すると思いますから、三分の二以上でなければいかぬので、現在のところ議決もなかなかむずかしいと思いますけれ
ども、これはまあ
通産省のさしがねなり、あるいは業者の働きなりということでどういうふうに変るかもわかりませんが、変るといたしましても自由ワクを相当広くとってもらわなければ、これはすべてのことが行き詰まる、こういうふうに私は
考えておりますから、その点を特に
一つお願いいたしたいと思うのであります。
それと同時に、
通産省にいたしましても、
輸出組合にいたしましても、この
販路の拡張ということに対して、どうも今日まで努力が足らないように私は
考えます。どうかしますと
通産省は
国内の統制だけ、安逸な
方法で
輸出の
価格の
維持なりあるいは秩序の確立ということだけを
考えておられるようでございますけれ
ども、これはほんとうの筋でなく、本筋というものはやはり
販路の拡張、ここに努力をしてもらわなければならないのでありまして、これは見本をさげて、
一つ通産省の人も
輸出組合の人も
外国に行って、
販路の拡張というその点に努力をしてもらいたい。また今日
日本の
輸出が非常に困っております問題は、業者に資金がないということである。資金がないために早く売らなければならぬ。物をかかえておく力がない。一年に平均して売ればいいものを、作ったらすぐ売ってしまう。そうしてわれわれまでが今日では
一つの錯覚に陥りまして、物を作ったらすぐ売らなければいかぬというような、こういう気持になってしまっておる。これでは
日本の貿易の振興ということはとうていできないのでございまして、一年間平均して売る、市況を見て売る、それだけの実力をつけるためにはどうしても資金の問題を解決しなければならぬ。この資金によって
日本の貿易というものはおそらくうんと伸びるんじゃないか。しかもこの資金は商品を担保とした資金である。大してむずかしい問題ではないと思うのであります。資金獲得ということについていま一段の御努力を願いたいと思うのであります。先ほど申し上げました、今年でき得れば
生産割当だけで、そうして
輸出業者のものはお互いの協定によって
輸出価格その他を決定し、また
生産者から購入する
価格を決定する、かような行き方が妥当であると思うのでございますが、その点について
農水産
課長はどのようなお
考えを持っておられますか、お伺いをいたしたいと思います。