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1955-10-19 第22回国会 衆議院 農林水産委員協議会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十月十九日(水曜日)     午前十時四十九分開会     ――――――――――――― 協議事項  みかんかん詰輸出に関する事項  漁業調整に関する事項  甘藷等価格維持対策に関する事項  農林漁業災害対策に関する事項     ―――――――――――――
  2. 鈴木善幸

    座長鈴木善幸君) これより農林水産委員協議会を開会いたします。  理事であります私が座長を勤めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木善幸

    座長鈴木善幸君) 御異議なしと認めます。  本日は、まず輸出ミカンカン詰の件につきまして、田口委員より質疑を求められております。これを許します。田口長治郎君。
  4. 田口長治郎

    田口長治郎君 私はミカンカン詰輸出の問題につきまして事情をよく聞いていただきますとともに、二、三の問題につきまして通産当局及び農林当局から回答を求めたいと思うものでございます。  ミカンカン詰は、御承知通り外国では大衆的のデザートに欠くべからざるものになっている。それに値段がとても安いということと、日本独特のもので世界にこれと競争するものがない、こういうような事情からいたしまして、最近非常に飛躍的に輸出増加をしておる。私の承知しておるところによりますと、これはミカン年度で計算するのですが、昭和二十七年度は四十五万箱輸出されておった、それが昭和二十八年度には八十一万箱になる、二十九年度は一躍して七月の末までに二百二十万箱輸出された、こういうふうに記憶しておるのでございますが、この数字について誤りがないかどうか、この点を農水課長から承わりたいと思います。
  5. 日比野健児

    通商局農水課長日比野健児君 二十七年が約四十三万ケース、それから二十八年は少くて三十万ケース、それから二十九年は一―十二でございますが、百二十六万ケース、それから三十年の一―六で百六十万ケース、こういう数字になっております。
  6. 田口長治郎

    田口長治郎君 ただいまの農水課長数字ミカン年度、すなわち十一月から翌年の十月までと、こういう数字をとられたのでございますか。
  7. 日比野健児

    通商局農水課長日比野健児君 一―十二でとっております。
  8. 田口長治郎

    田口長治郎君 その点で少し違うのだと思いますが、大体におきまして四十四、五万、それから次はミカン年度でとりますと、約八十一万程度になると思いますが、それと二十九年は七月までに二百二十万となっております。この数字基礎にして考えますと、非常に躍進的な増加を示しておる。この数字その他の事情から申しまして、今年度この輸出目標、これがすべての基礎になると思うのでございますが、この点を通産省としてはどんなふうに見通しをつけておられますか。私が調べましたところによりますと、この前年度の数字飛躍という実態と、また私は、先般、このミカンカン詰については高碕経済企画庁長官が以前から非常に研究しておられますから、三十年度の輸出目標について高碕長官意見も聞いてみたわけなんです。長官の話によりますと、長官自体が見本を持ってアメリカカン詰販売業者に試食をさせてみた。ところがこの値段でこんなりっぱなものができるかということでびっくりした。二十九年度はアメリカカナダで四十万箱行ったのであるが、あの様子からすると三十年度はアメリカだけで百万箱行くのじゃないか、こういうような話をしておられます。また最近ヨーロッパから帰った人の話によりますと、輸入したいという意欲方々に盛んである。こういうことも伝えております。また日本との商取引の相談ですが、この実情から考えましても非常に旺盛である。常識的に考えましても、アメリカカナダ市場開発、あるいは西ドイツの開発、北欧の開発、あるいは濠州の開発、こういうようなほとんど未開地がたくさんありますために、私は三十年度の輸出目標は、少くとも三百万以上、この程度には達するんじゃないか、二十九年度二百二十万ということを言っておりますが、これは七月末まででございまして、あと三カ月ございますから、少くともまだ二十万箱程度は三カ月で行くだろう。そうしますと、今年度におきましてすでに二百四十万箱行っている。前の数字飛躍から申しまして、三百万箱は行けるだろう、こういう目標を私はつけておるのでありますが、この目標に対しまして、通産省としてはどういう御意見でありますか、お伺いいたしたいと思います。
  9. 日比野健児

    通商局農水課長日比野健児君 ただいまお聞きしました数字、大体私の方で予想しております数字と同様でございまして、私どもといたしましては、大体輸出向けに二百五十万から三百万、それから内需が百万、それで総生産量三百五十万から四百万へ行くのじゃないか、こういう予想をしておりますが、ただ御承知のように、ミカン生産事情が、去年は表作で非常に多くて、一億五千万貫、ことしは裏作に当りまして、大体二割減で一億二、三千万貫程産じゃないかという事情もありますので、そちらの方の事情考えますと、輸出可能数量に見合うほどの生産の伸びは、あるいは出ぬのじゃないかという観測もありますので、大体固いところ二百五十万くらいじゃないか、うまくいって三百万じゃないか、このように考えております。
  10. 田口長治郎

    田口長治郎君 三十年度の輸出目標につきましては、通産省におきましても私どもとほとんど同じ程度目標を立てておられる、かように承知をいたす次第でございます。第三に私は、これだけのミカンを今日本におきましてどういう状態において生産をしておるか、この問題に触れてみたいと思うのであります。ミカン生産者組合といたしましては、今全国地区とする蜜柑罐詰工業協同組合があり、さらに広島以西四国九州地区とするところの西部蜜柑罐詰工業協同組合、この二つがあることは御承知通りでございますが、この二つ地区というものは、結局一方は岡山県、一方は広島県、この県境で二つに分けて考えてみますと、岡山以東地区――ミカンは茨城県までは少しできてると思いますが、大体神奈川県まででございます。岡山県から神奈川県までの間で二十九年度に輸出ミカンを作りましたものは、大体全体の四分の三で、広島県、山口県、四国九州におきましては四分の一だけしか作っていない、こういうような数字になるようでございます。これを数字的に申しますと、広島県から西の方が五十四万四千箱程度作っておるようでございますし、岡山県から東の方が百五十二万三千箱程度作っておる。この二つ数字を見ますというと、結局四分の三を東で作り、四分の一を西で作る、こういうような事情になっております。この西の方はもちろん西部工業組合員日本罐詰工業組合員、両方で作った数字でございますが、地区的に分けますと、さような比率になるように考えるのでございます。しかして日本ミカン栽培面積、こういう点をいろいろ研究してみますと、今分けました四分の一を生産しております広島以西地区岡山以東地区とこの二つに分けてみますというと、ミカン栽培面積は東の方が一万九千六百町歩でございますし、西の方が二万三千五百町歩、この栽培地のうちで、現に結実をするミカン畑面積を計算してみますと、東の方が一万六千町歩、西の方が一万六千五百町歩、大体耕作面積におきましては西の方が少し広い。わずかに四分の一の生産をしておりますが、耕作面積からいいますと、むしろ西の方が広い。なおミカンの畑であるが、まだ木が若いために実がならない、いわゆる未結実面積を調べてみますと、東の方が三千町歩あり、西の方が四千九百町歩ある。かような実情から申しまして、収穫量だけは今ほとんど五〇%、五〇%でありますけれども、将来のミカン生産高というものは、むしろ西の方がぐんぐん伸びてしまうんじゃないか、こういうふうに考えておるのでございますが、今私が申し上げました数字は、大体農林省におきましても、あるいは通産省におきましても、認められる数字でございますかどうか、その点を一つお伺いいたしたいと思うのであります。
  11. 安田善一郎

    農林経済局長安田善一郎君 統計調査部長もおりますけれども、ごく最近の統計数字を持ち合せておりませんが、役所におりましてミカンカン詰の問題をいろいろお聞きしておるうちに、基礎として語られております常識数字としては、正確なことは別といたしまして、大体、そのようかと存じております。
  12. 田口長治郎

    田口長治郎君 これは農林関係の方に調べていただきました数字でございまして、おそらく農林省においてあらためて調査をされても、同じ数字が出るくると私は思うのでございます。結局私の言わんとすることは、栽培面積あるいは収穫高というものは、大体において西と東と同じである、むしろ西の方が栽培面積では多い。生産数量におきましては、東の方が七万五千貫で、西の方が七万一千貫でありますから、現在においては少し少いですけれども、若木の関係から申しまして、将来は西の方がミカン生産よけいになるだろう、こういうことを申し上げておるのでございます。  第二に、東の方でできるミカンと、西の方でできるミカン品質の問題でございますが、今日まで私どもが調べておりますところによりますと、これは検査所開カンの場合に研究された結果でございますが、ミカン自体は南の植物でございますから、結局西の方が品質がいい。ことにカン詰にいたします場合におきましては、色沢は西の方のものが非常に赤みを帯びておる。そうして外国でどこでも好かれる。しかも実は非常に柔軟性に富んでおりまして、甘みが多い。これは人によりましては、どうも南の方のは酸味が少いからいかぬということでございますけれども、最近ロンドンあたりから帰ってきた人は、やはり甘みが多いということを非常に好んでおります。これは日本人と外国人、ことにこのミカン輸出されておる各国の国民の一人当りの砂糖消費から考えましても、やはりこの甘みということを非常に重大視しておる。かような点から申しまして、私ども調査したところによりますと、色沢にいたしましてもあるいは柔軟度にいたしましても、甘みにいたしましても、西の方のものの質がむしろすぐれておる。昨年実際にカン詰を作ってみますと、フアンシーとスタンダードの割合が予想以上に西の方がフアンシーのがよけいに出る、こういうような実績から申しましても、品質からいっても、西の方が非常にいいのだ、こういうふうに考えておるのでございますが、実際に取り扱われましたところの通産省その他といたしましては、この品質の問題についてどうお考えになっておりますか、御意見を承わりたいと思うのであります。
  13. 日比野健児

    通商局農水課長日比野健児君 ただいまお話がありました点につきましては、輸出検査所の方でもそういう意向のようであります。ただ対外的にそうした嗜好に合うかどうかという問題につきましては、いろいろの御意見も実際は聞いておりまして、ただいまお話の出ました西のミカンについては糖分が非常に多い、それから東の方については西に比べて糖分が少いというような問題につきましては、対外的な嗜好につきましては、あるところでは糖分が少くてむしろ砂糖を添加した方のものがいいとかいうような事情も私の方に来ておりますけれども、これは現実に買う方の立場のことでございますので、実際にどういうことで商売が進んでおるのか、実はその詳しい市場関係のことは、私ども資料がありませんのでちょっと答弁いたしかねますけれども、大体の事情といたしましては今お話しになったような事情にあると思います。
  14. 田口長治郎

    田口長治郎君 さらにミカン栽培者、すなわち農民生活に直接に関係する問題でございますが、西と東と分けました際におきまして、なまミカン販路事情というものが全然違う。大体ミカン神奈川県より北の方はほとんど生産をされない、こういう事情から申しまして、東の方のミカンというものは北海道から東北あるいは北陸、関東の大部分、こういうところになまミカンとしての販路を持っておる。しかるに西の方といたしましては、各県がミカンを植えておるのでございますから、なかなか東のようなさような販路を求められない、かようななまミカン販路という点におきまして、西と東とは非常に事情が異なっておる。従って西の方では、同じミカンを作りましても農家収入というものは東と全然違う、こういうような事情にあるのでございます。この点は農林省でもよく話がわかると思うのでございますが、農林省としてはこのなまミカン販路、西と東と分れた場合におきまして西が非常に悪い条件にある、こういうことを常に研究しておいででございましょうかどうか、その点お伺いをいたしたいと思います。
  15. 安田善一郎

    農林経済局長安田善一郎君 なまミカン販路につきましては、最近は別に統制などをいたしておりませんけれども生産農民収入また国民消費、その間にありまする流通の問題といたしまして絶えず研究をいたしておりますが、ただいまも田口委員から御指摘のありましたように、ミカンカン詰原料といたしましては、昔は静岡ミカンが圧倒的に、ほとんど全部であったと思うのであります。これはカン詰業として先進地であったということもあると思いますが、あわせまして、また大量の生産がある地区にあって、大消費地もヒンターランドとして控えておるが、生産も多い、その処理はどうだということから、水産カン詰などとともに進んできたものと了解をいたしております。品質としましては、あわせてそこに外国輸出向けとして進んだ特徴もあるかと思うのでありまして、御指摘のありましたように、静岡ミカン酸味が多い、また皮の処理などが、かなり古くからある技術としては処理しやすい、こういうことなどもあったり、またカン詰をあけて消費し利用する場合に、用途によりましょうが、粒がならされていて小さいなどというようなこともあるかに聞いておるのであります。これに反しまして西の方は、いわばその特徴としましては、なまミカンとしてはその反対ともいい得るものもあるかと思うのであります。皮なども処理のしにくいものなどもあったかと思います。その後だんだん加工技術の方とミカン栽培技術が進歩しまして、また品種のそれぞれの改善もある程度行われておるように思うのであります。この場合なまミカン販路はどう考えておるかという御質問でありますが、ただいま私どもが了解しておりまするミカンカン詰原料としてのミカン特徴は、ある意味ではなまミカン国内消費ないしは販路という意味においても理解されると思うのでありますが、なまミカン消費としましては、あるいは西の方が良質でおいしいし、値段も高い、東の方は大量生産であるがなまミカンとしては味もある意味では悪くて質も悪いものがある。そうでない場合も選別工合等でありましょうが、そういう点があろうかと思いますので、田口委員がなまミカン販路あるいは市場のあり工合という意味において西、東の生産地等関係でおっしゃいましたことは、生産地消費地地理的事情においてそのようかと思いますが、またあわせまして人の嗜好、なまミカンの質からいいまして、東のものが西の方へいくことはかなり少いのですが、西の方のものが、大都会においては東の方へも来ることもある。それらを考察しまして、地理的な原則としては、消費地用としましても、田口委員のおっしゃるようでありますが、価格条件品質条件等から見ましても、若干の差が最近出ておるのではないか、このように了解いたしております。
  16. 田口長治郎

    田口長治郎君 何か東の方が大量生産というような話のようでございますが、実は先ほど申しました収穫高が五〇%、五〇%だということは、東の方は十八県のものを集めたものであり、西の方のものは十三県のものを集めたものである。さような点からいいまして、局部的には大量生産のところもありましょうが、大体において東の方が薄くて、西の方が多い、こういうような観点に立っておるのでございます。このなまミカンの相場をずっと見ておりますと、大体において日本で一億貫程度生産された場合に価格が安定をするような状態のようでございます。たとえば二十六年、九千万貫生産された場合におきましては卸売の一貫の価格が九十円から百円程度をずっと保っておった。ところが二十七年になって一億二千万貫程度生産があった場合は、六十円から八十円に下ってきた。あるいは二十九年、一億四千万貫ありますと、今度は八十五円から百十円くらいになりました。ともかく今のままでございますと、ここらがどうも値段を安定させるような数字のようでございます。かような状態におきまして、ますます生産がふえてくるし、しかも地理的条件が非常に悪い。なるほど西の方にも今局長がおっしゃられましたように非常にいいミカンもありますけれども、大部分は普通のミカンである、長崎県の伊木力であるとかあるいは愛媛県の一部であるとか、そういう特殊なものもありますけれども、大多数は普通のものである。こういうような事情から申しまして、この地理的条件が非常に悪いということは、西の栽培者にとりましては非常に大きな痛手でありまして、この点は一つカン詰などで価格が暴落しないような処置を講ずるということが、農民立場からいっても非常に重大なものであります。  さらに私は西のミカン栽培者実態を申し上げなければなりませんが、西ではやはりすべての産業が貧弱である。かようなことからたくさんの者が満州あるいは中国、南洋方面に行っておりました。これらの連中が帰って参りまして、仕事がないものだからやむを得ずこの開拓に従事した者が非常に多いのでございまして、これが普通の農産物ができませんために結局ミカンの栽倍を始めた。こういう連中の、ミカンが今出つつあるのでございます。また大部分のところの地形が段々畑ばかりでございまして、イモミカン生活をしておる。かような実態にあるのでございまして、農林省といたしましては、この貧弱なる生活をしておるところの、段々畑ミカンイモに依存するこういう者に対する生活の安定ということにつきまして、特に一つ考えてもらわなければならぬ。これが一つ非常に深刻な問題としてあるのでございます。  第二にこの西の方のカン詰工場は、大部分が水産物をカン詰にするということで発達をして参りました。長崎県だとかあるいは山口県なんかは、イワシを対象にして発達した工場でありますし、また熊本県だとか福岡県だとか佐賀県だとかいうところは、内海貝類を目的にして発達をした工場である。しかるに最近この内海方面におきましては、農家が使用いたしますところのホリドールの問題によりまして、ほとんど貝類が死滅してカン詰原料がなくなりつつある。またイワシ等原料として発達しました工場は、一昨年以来潮流の関係イワシ原料がなくなってしまった、こういうような事情でございまして、今日までどの工場も破産の一歩手前にある。工場は全部銀行に押えられておる、こういうような実情になっておるのでございます。これを何とか生かす方法はないか、こういうことで昨年特に農林省通産省にお願いをいたしまして、これらの工場ミカンカン詰の試作をやらしてみたのでございますが、やってみますと非常にりっぱなものができる。そうして試験の結果は、このミカンカン詰によってこれらの工場が活路を見出す、生き返る、こういうような見通しも大体つきましたような次第でございまして、現にりっぱな設備がありますし、技術もある。イワシがとれなくなった、あるいは内海貝類がとれなくなった、かようなことで困っておる者が、このミカンカン詰によってようやく生きようとしておる。言いかえますと、西の方の工場の大部分は、昨年得た利益をますますよけいにするためにミカンカン詰を作ろうというのでなしに、今瀕死の状態にある、死ぬか生きるかの問題である、かような深刻な実情に立ち至っておるのでございますから、先ほど申し上げましたようなミカンの分布あるいは品質あるいはなまミカン販路、こういうようなことと、先ほどの輸出ミカン数量が東の方で四分の三、西の方では四分の一、こういうような状態ではとうていおさまらない問題でございまして、幸いにしてミカンカン詰輸出が躍進しつつある、この躍進するときにおきまして、この生産調整をこの際どうしても一つやってもらわなければいかない、かように考えるのでございますが、農林省あるいは通産省におきまして、この点について何かお考えになっておりますか、その点を一つ明快にお答えを願いたいと思うのであります。
  17. 安田善一郎

    農林経済局長安田善一郎君 ミカンカン詰のことにつきましては、かねてからその輸出振興とこれに伴いまする国内輸出態勢及び生産態勢につきまして種々検討がなされておったと聞いておりますが、ごく最近におきましては、先ほど来お話がありましたように、西部蜜柑罐詰工業協同組合が分れてできましたり、その背後には御指摘事情等もありまして、生産及び輸出をその方面で特に伸ばそうという御意欲もありましたし、その要請もありましたりしておるようであります。他方、昔からある全国蜜柑罐詰工業協同組合広島以西を除かれておるようでありますが、かなりたくさんのカン詰業者等もあって、輸出も過去において相当の実績があり、その実績を示すがごとき努力もされておるようでございます。その間に処しまして、国家的な輸出振興要請国内生産業輸出業の進展と両々相待ちまして海外の販路開拓が行われつつあるのでありますが、ごく最近、業界並びに通産省の方からお聞きいたしますところ、業界におきましても国といたしましても、輸出方法にはいろいろ工夫をしなくてはならぬ、また単に輸出の量ばかりでなしに、輸出単価維持を通じまして国内販売単価の安定と生産所得と申しますか、収入の安定ないしは増大をはからなければならぬということの要請もあるようでございます。そこでこの両者をかね合いまして、いろいろ西、東で切磋琢磨があることは自由経済の現状といたしまして当然であり、またやむを得ないことと考えておりますが、他方輸出問題といたしましては、単価維持もし、生産費も合うように、また総輸出額も最大限度伸びますように、その総輸出額を最大限度伸ばす方法といたしましてある種の調整をする要があるかないか、こういうことも研究する必要があるかと存じておるのであります。たまたまもって業界並びに通産省におきまして、これを適当な方法によって輸出調整をするのが適当ではないかというので、御関係方面で寄り寄り協議がなされておるそうでございます。農林省といたしましても、ミカンカン詰の八割前後は輸出に向くものと了解いたしておりますが、ミカンカン詰生産輸出がほとんど重点である、こういう観点からいたしまして、そのミカンカン詰輸出問題はいわば生産の問題でもある。こういうことからいたしまして、輸出調整が必要なような事態は、この品目に関しましてはあわせて生産の問題でもある。一方が調整を要するならば一方も調整を要するであろう、こういう見解に立ちまして、業界並びに通産省と連絡を緊密にいたしておるのでございます。これに対しまして、今この関係の法規とか経済態勢を念のため申し上げますと、昔と違いまして、ただいまは輸出入取引法による規制の場合あるいは中小企業安定法による規制の場合、これが中心になっておるかと思います。輸出入取引法の場合によりましても、中小企業安定法の場合によりましても、一方は輸出調整であり、他方生産調整でございますが、いずれも業界の自主的なる調整に待ちまして、御関係方々の三分の二の同意を得まして、いかなる調整を行うかということなどをおきめ願いまして、そうしてそれを通産省なり農林省なりにお届出をお願いするという法律になっておるようでございます。そこで農林委員皆様方や、私ども農林省の官庁におります者が、この問題をどの程度に深入りして、調整を要するやいなや、調整をする方法はどういう方法であるか、また調整を必要とするならば西東あるいは全国地区おのおの両方あろうと思いますが、実績あるものないもの、実績の多いもの少いもの、大規模なるもの小規模なるもの、原料がなまミカンとして販路を有するかどうか、その農業的な栽培の状況はどうか、海外市場嗜好はどうか、こういうことなどをいろいろ考えまして、その間に適当な対処をする必要があると思いますが、目下のところは、何と申しましても日本輸出並びに中小企業安定の態勢が、自主的な関係業者のまとまりでまずおきめ願っていったらどうだ、こういう態勢になっているわけでありますので、慎重な注意を払いながら関係省とも緊密な連絡をとりながらこれを見守っている状況でございます。しかしお聞きいたしますところ、端的に申しまして西の方と東の方では意見が合わないことが相当あるようでございます。また東西を通じまして古くかつ実績があり、また大規模なお方方とそうでないお方々との間に――大規模と申しましても食品カン詰でありますから程度はございましょうが、その両者の間になかなか意見の一致を見ないものがあるようであります。そういう事態に調整を要するかどうかということもまた根本的に研究をしなくちゃならぬと思いますが、輸出の側においては通産省と御連絡を申し上げているところ、調整を要するであろうから、まず自主的に意見をまとめてもらいたいというので、そういう動きがあって、それがまとまっておらぬということでございます。農林省といたしましては、つい先日でありますが中小企業安定法の業種指定を行うべく中小企業安定審議会に諮りましてその御審議をいただきまして、このミカンカン詰の業種は、生産調整をなし得るような調整組合の設立とその運営とができますような業種指定の審議を願いました。しかし生産の問題は生産の時期もございますので、むしろ来年の輸出用のための生産に対する配慮になるかと存じているのでございます。また業種指定はその後通産及び農林におきまして、政令をもって正規に指定をいたさなければ、審議会の審議だけでは十分でないのでございます。そこでその間に政令をいつ出しまして、また業界との間にいかなる理解ある連絡をし合いまして、どのようなインフルエンスを与えるように官庁も働くかということについて寄り寄り研究いたしているわけでございます。先ほど来いろんな角度から田口委員からミカン及びミカンカン詰生産輸出収入のことにつきまして御意見がありましたことは十分頭に入れまして、将来もし業界輸出及び生産におきまして調整を要する、調整しよう、しかし調整の案がまとまらない、こういうような段階が明瞭になりましたならば、田口委員その他御関係皆様方の御指導と御協力を得まして、業界側においても、そのような輸出入取引法であり、そのような中小企業安定法でありますから、官庁でも、第三者的ないい意見も出して、これをいい方法を馴致したり、いい方法が発見できてものがまとまるように働いてみたらどうだということが御関係皆様方から生れ出るように、一つお願いをしたい。そうでありませんと、現行法規を楯にいたしまして、役所側の者が昔流の統制なり裁定なりのようにいく態勢には必ずしもできてない。それでそういうふうに役所でも一つ骨折ってみないかという空気及び方法業界の方から東西を通じて出てくるように必要ならば、お願いをいたしたいと思っているのであります。しかしそうだと申しまして、およそ政府があります場合、国に生産業があり、生活なさる方があり、輸出がある、国の立場からも十分に見なくちゃならぬ、こういうことは当然でございますので、可能、必要の限度におきましては、絶えず注意を払って研究もいたしまして、行政指導はほどほど濃淡いろいろありましょうが、その場合に応じましてよく業界ともお話し合いもして、しかるべく役目を果さしていただきたい、こういうように考えているわけであります。
  18. 田口長治郎

    田口長治郎君 ただいま安田局長がるる御意見を吐かれましたのでございますが、その中に実績という言葉もありますし、また現在一部の人は非常に実績を尊重するような、さような御意見もあります。私この実績という問題につきまして多少疑問があるのでございまして、実績も尊重をしなければならぬ、しかし実績を万能にしてはいけない、こういうような意見を持っております。ことにこのミカンの場合におきましては、先ほどから示しましたように二十七年度四十、二十八年度八十、二十九年度二百四十、こういうような飛躍的な数字を示している。これは十カ年間も苦心粒々として積み上げた、さような実績と性質が違う。また実績自体は、これはたしか昭和十二年ごろ日支事変のために日本で為替管理をやらなければならぬ、いわゆる縮小をしなければならぬ、このものを縮小する際に割当方がないから実績主義をとっておったのでございますが、かように躍進的な増進状態におきまして、そうして実績にあらざる実績、こういうような基礎をもちましてこのミカンカン詰に関する限り、実績はある程度尊重しなければならぬけれども実績万能であってはいかぬ、こういうように私は考えるのでございます。かような観点から申しまして、日本輸出の振興というものはどうしても生産者を培養しなければならぬ。ものを作る人が栄えなければ輸出振興にならない。かような観点から申しまして、今このミカンの製造時期に突入しているときに、この問題を農林省通産省に預けて、言いかえますと、輸出業者の輸出数量割当、このことによって混乱を防ぐ、かような考えになられますというと、これでは生産者がほんとうに全部かれてしまう。物を作る人がかれてしまって、何ぞ日本輸出振興がありましょう。かような観点から申しまして、私は、この問題は法律的に根拠があるのかないのかという問題でなしに、生産者生活安定あるいは生産事情、これに対しまして全責任を持っておられるところの農林省というものが、進んで生産者に対する生産の割当を急いでされなければならぬ。こういうふうに考えます。私自身も、この中小企業安定法による調整組合ができていない今日におきまして、農林省としては、非常にむずかしい問題でありましょうが、しかしこれは行政指導で、どうしても強力に一つやってもらわなければいかぬ。今まである程度の努力はしておられるようでございますが、私どもから見ますというと、まだまだ努力が足らない。東西の業者を夜に日をついで一つ引っぱり出していただきまして、そうして、どうだ、こうだということで、ほんとうに熱意をもって、この生産者に対する生産割当というものの問題をどうしても解決してもらいたい。そのことは非常にむずかしいことでございますけれども、ほんとうにまとめる、こういうような熱意のもとに両関係者を呼ばれて、両関係者がへとへとになりますというと、結局において、どうも、こうなるから役所にまかせなければしようがないじゃないか、こういうようなことになる。そこまでまだ農林省がどうも努力しておらない、さようなふうに私は考えるのでございまして、もし農林省でこの生産者生産割当をやられないというようなことになりますというと、通産省としては、ほうっておけないのでございますから、結局輸出業者に対する輸出割当という生産者にとりましては最悪の状態が招来する。通産省をそこまで追い込んでしまう。私はできますれば、この生産割当だけをされまして、そして通産省は業者割当はされない。業者同士は輸出をする価格その他の協定をお互いにされる。また生産者から幾らで買うかというような、さような協定をされる。そうして農林省生産割当をしたその数量がきまっておるのでございますから、これだけの数量をほんとうに輸出業者が全努力をして、はかせてしまう。このことが最も生産者のためにも、日本輸出振興のためにもいいと思うのでございますから、この問題の解決はとにかく農林省がほんとうに熱意をもって、夜に日をついで業者と生産割当を幾ら――これが先決問題であろうと思いますから、この点を特に一つ農林省に、いま一段の努力を要請する次第でございます。  さらに私は、通産省農水課長だけがきょうおいでになっておりますから、農水課長に一、二要請問題について、申し上げたいと思うのでございます。この問題は、どうしても生産数量の割当、こういうことで農林省は進まなければならぬと思うのでございますが、この場合におきまして、通産省輸出目標があまり低く置かれるというと、農林省としてはやりにくいことを招来する、かように考えるのでございます。通産当局といたしましては、輸出を慎重にする意味におきまして、輸出目標をこういうふうに立てられ、あるいは商売の関係からいたしまして、第一次、第二次というような、さような目標を立てられるかもしれませんけれども、あまりに慎重にするために輸出目標が小さい。この小さい数字では、農林省生産割当が非常にむずかしくなる。この点をぜひ通産省にお考えを願いたいと思うのでございます。それと申しますのも、さような輸出業者が昨年の七月に、二十九年度の輸出目標をどのくらいにしようか、こういうことで相談いたした結果、百四十万箱という目標を立てたのでございます。実際にやってみますと、それが二百四十万箱も要る。こういうような実情でございますから、どうしても、ほんとうに大所高所から農林省を応援する、こういうような意味におきまして、輸出数量というものを、通産省があまりに低く慎重にということでなしに、妥当な数字一つぜひ出していただきたい、こういうふうに考えるのでございます。  第二に、私が先ほどから申しましたように、本年も昨年同様に、農林省生産割当をいたしましたら、通産省ではこの業者の割当をされないで――昨年もされなかったのでございますが、これは生産数量がきまりますから、その必要がない。輸出価格維持その他は、輸出業者同士の協定できまります。また生産者から購入する価格というものも、これも協定できまる、こういうような関係で、今年は何とか農林省生産割当というものをやらしていただく。そうして輸出業者の割当というものをやらないような、そういう問題を一つ考えていただきたいのであります。輸出組合で今非常に急いで、自分らで輸出割当を確保しよう。これが連中の非常に利益になる。もし輸出組合の割当ということになりますと、ほんとうにすわっておって、おれのところに持ってこい、お前らはどこへも輸出するところがないじゃないか、こういうようなことで生産者に対せられましては、とても問題にならないのでございますから、この点は一つぜひこの生産割当で、そうしてあとの輸出あるいは生産者からの購入価格というものは輸出業者同士の協定による、こういうようなことにぜひお願いをいたしたいのでございます。さらに私は、いろいろ農林省が努力をされましても、何としても生産割当ができなかった。こういうようなことは私は想像しないのでございますけれども、万一さような事態が起りましたときは、これは輸出組合員に対する輸出数量の割当もまたやむを得ないか、こういうふうにも考えるのであります。さようなときにおきましては、実際に物を動かす、あるいは生産調整するというような立場から申しまして、自由ワクというものを相当大幅に認めておいてもらわなければ物が動かない、あるいは生産調整がつかない。こういうような結果になるのでございまして、私はさような生産割当ができないというような事態は想像いたしませんけれども、万一さような事態がありましたら、自由ワクを相当大幅に認めてもらわなければ困るだろう。今輸出組合は、御承知通り組合員が五十五名でございますが、実績割当によって、輸出数量の割当という問題について反対している人が二十名ばかりおります。あとの人は一、二欠席がありますけれども、賛成をしておる。こういう状態で、この二十名ということになりますと、この種の協定というものは、これは議決が有効か有効でないかということは、中小企業協同組合法の第五十三条を適用すると思いますから、三分の二以上でなければいかぬので、現在のところ議決もなかなかむずかしいと思いますけれども、これはまあ通産省のさしがねなり、あるいは業者の働きなりということでどういうふうに変るかもわかりませんが、変るといたしましても自由ワクを相当広くとってもらわなければ、これはすべてのことが行き詰まる、こういうふうに私は考えておりますから、その点を特に一つお願いいたしたいと思うのであります。  それと同時に、通産省にいたしましても、輸出組合にいたしましても、この販路の拡張ということに対して、どうも今日まで努力が足らないように私は考えます。どうかしますと通産省国内の統制だけ、安逸な方法輸出価格維持なりあるいは秩序の確立ということだけを考えておられるようでございますけれども、これはほんとうの筋でなく、本筋というものはやはり販路の拡張、ここに努力をしてもらわなければならないのでありまして、これは見本をさげて、一つ通産省の人も輸出組合の人も外国に行って、販路の拡張というその点に努力をしてもらいたい。また今日日本輸出が非常に困っております問題は、業者に資金がないということである。資金がないために早く売らなければならぬ。物をかかえておく力がない。一年に平均して売ればいいものを、作ったらすぐ売ってしまう。そうしてわれわれまでが今日では一つの錯覚に陥りまして、物を作ったらすぐ売らなければいかぬというような、こういう気持になってしまっておる。これでは日本の貿易の振興ということはとうていできないのでございまして、一年間平均して売る、市況を見て売る、それだけの実力をつけるためにはどうしても資金の問題を解決しなければならぬ。この資金によって日本の貿易というものはおそらくうんと伸びるんじゃないか。しかもこの資金は商品を担保とした資金である。大してむずかしい問題ではないと思うのであります。資金獲得ということについていま一段の御努力を願いたいと思うのであります。先ほど申し上げました、今年でき得れば生産割当だけで、そうして輸出業者のものはお互いの協定によって輸出価格その他を決定し、また生産者から購入する価格を決定する、かような行き方が妥当であると思うのでございますが、その点について農水課長はどのようなお考えを持っておられますか、お伺いをいたしたいと思います。
  19. 日比野健児

    通商局農水課長日比野健児君 生産調整輸出調整の問題につきましては、ただいま田口委員の御発言になりました通りに私ども考えておりまして、実は生産調整の問題で会議の席に陪席をいたしましたときにも、なかなか生産者側のお話がまとまりませんときに、どうして生産調整がまとまらぬのだろう、こういうことをやれば――私農水課長として非常に言い過ぎかもしれませんが、実は輸出業者の方で協定という問題が起きたときに、生産者は困るだろうというお話をしたのでありまして、これは全く同様で、通産省といたしまして、生産調整がうまくいけば輸出調整をやらなくてもいい、こういう思想が一貫しております。  それから例の輸出目標数字の問題でございますが、この問題につきましては、私どもただ一つ心配しますことは、結果において輸出数量が三百万、三百五十万になることは非常に喜ばしいのでありますが、最初から三百万なり三百五十万なりという数字を対外的に出しますと、非常に輸出の面で不利ではないかという心配から、去年も最初は百四十万、だんだん上げていきまして二百四十万という数字になったのでありまして、最終目標といたしまして、田口委員のお説の通り、できるだけ多くということは考えておりますが、発表の技術と申しますか、売り方の技術と申しますか、そういう問題から当初は、あるいは百二十万とか、百五十万とか二百万とか、こういうことになるかと思いますが、結果において私どもそれにこだわって、それでぴしゃりと押えるのだということは毛頭考えておりません。そういう考えでおります。
  20. 田口長治郎

    田口長治郎君 今までいろいろな問題を取り上げましたが、とにかく農林省通産省生産者を培養する、そうしてことに今年不作でもありますし、また非常に躍進をする年でもありますから、国内生産をある程度今年地ならしをされ、そうして次年度は中小企業安定法による調整組合というようなものが無理がなしに設立をされるような方向に、一つこの上とも御努力下さいますようにお願いいたしまして、私の質問を終る次第でございます。
  21. 鈴木善幸

    座長鈴木善幸君) この問題につきまして他に御発言はございませんか。――それではこの問題はこの程度にとどめたいと思います。     ―――――――――――――
  22. 鈴木善幸

    座長鈴木善幸君) それでは芳賀貢君。
  23. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 この機会に水産庁当局に対して漁業権に対する訴願の問題の取扱いの内容等について若干お尋ねをしたいと思うのでございます。これは一つの事例でありますが、留萠海区漁業調整委員会の地域に所属する問題ですが、ニシンの定置漁業権に対する知事の認可に対しての訴願が、同じ調整委員会の区域内から二件出ておるのです。それは御存じと思いますが、具体的に指摘申し上げますと、一つは留萠市の三国直見、もう一つは同じ留萠市の浜谷隆太郎、この二名が農林大臣に対して訴願を提起しておるわけでありますが、この三国君の場合には、昭和二十七年の三月に訴願が出されておるので、もうすでに四年くらい経過しておる。浜谷隆太郎君の場合におきましても昭和二十八年の十一月に出しておるので、これももう二年を経過しておるわけであります。これは訴願を提起した場合においては、一日も早く決裁庁においてその訴願の内容を御調査になって結論を急ぐべき問題であるというふうに私ども考えておるわけでありますが、特にこの定置漁業権の問題等に対しましては、すでに来年度漁業権の更新が行われるというふうな時期になっておるわけです。これはやはり訴願人の立場におきましても利害関係の伴う問題でありますので、いかなる理由でこれらの訴願が今日まで全く放置されておったか、これは相当の理由があると思いますので、その点に対して、まず今日まで放置された内容について御説明を願いたい。
  24. 岡本貞良

    ○水産庁漁政部長岡本貞良君 漁業権の訴願の問題につきましては、実は今までに全体といたしまして八十七件ほどございました。そのうち御指摘の二件だけが実は未解決になっておるわけでございまして、まことに長い間懸案のまま経過いたして申しわけないと思っております。  事案の内容は、適格性、優先順位という問題ではなくて、勘案事項をどう見るかという非常にデリケートなところが係争点になっております。いろいろな関係者の方たちも、訴願が出まして以来中に入り、できれば和解の措置を講じたいというような努力もされたのでありますが、さようなことにならず、今日に至っておる次第で、まことに申しわけないと思っております。
  25. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 そこで私どもは決して、水産庁当局がこの訴願に対して取り扱っておられる過程においてとかくの容喙をしたいとは考えていない、これはただ異例な事実だというふうに感じましたので、それでお尋ねしたわけです。私どもの知っておる範囲においては、この事案の内容等も、地区調整委員会において取り扱った委員会自体の取扱いに対しても若干の疑義を持たざるを得ない。たとえば三国君の場合は、これは地区調整委員会におきましては、最後の委員会の審査において、やはり訴願人に決定すべきものであるというふうな仮決定が行われておる。それに対して、この分に対しましては北海道の知事が、地区調整委員会に再審査を指示しないで、時期がないからということを理由にして、勘案事項においては、これは地区調整委員会の決定が間違っておるといって、結局地区の委員会の決定と相反したところの決定が知事において行われておるわけです。これらの場合においても、やはり現地の調整委員会にある程度主体性を認めるということが一応法の建前になっておると思うのですが、それを再審査を指示しないで、道知事が一方的に地区の委員会の決定をくつがえした決定を行なっておるというのは、これは三国君の場合の訴願が提起された一つの原因だと思っておる。もう一つの浜谷隆太郎君の場合は、これはすでに御調査になって奇異に感じられると思うのでありますが、たとえば地区の委員会において数度にわたって決定を行うための投票を繰り返しておる。特に委員会を四回にわたって行なっておるわけでありますが、いずれも訴願人が優先すべきであるという決定が出ておるわけです。ところが第四回目には現在漁業権を持っておる林喜太郎君並びに林英夫君が異議の申し立てをした。その場合におきましても、委員会は両度にわたってその投票を行なっておるわけでありますが、最初の場合には、これはやはり浜谷君にすべきであるということで、異議の申請は却下されたように承知しておる。その後さらにまたもう一度投票をやらしておるということで、委員会が四回も投票を繰り返すことによって、ようやく現在漁業権を持っておる林君に落ちついたというようなことになっておる。ですからこれをわれわれが客観的に見た場合においては、一つの決定にもっていくために何らかの力がそれに加わって、委員会の自主性がだんだんゆがめられたのではないかというふうにもこれは判断できるわけです。こういう場合においては、当然地方庁においても道知事もこれらのことは判断を下して、何のためにその地区の委員会においてこのようなちょっと了承できかねるような決定が行われたかということは、これは十分調査すべき事柄であるというふうに考えておるわけです。ところがこの件に対しましては何ら再審査するとか、これに対して疑義を感ずることなくして、そのまま容認しておる。そうして一方においては、地区の委員会が決定した問題に対して、これを再審査しないままに今度は別の判定を下しておるというような二つの対照的な問題が水産庁の現在の段階においても残っておるということになって、そういうところにもやはり今日まで結論が出ない何らかの理由が伏在しておるのではないかというふうに感ぜざるを得ないわけなんですが、そういうような点に対して、この委員会においてお述べになることが可能な範囲の御説明を願いたいと思います。
  26. 長谷川善彦

    ○水産庁漁政部漁政課長長谷川善彦君 今お尋ねの点でございますが、私今年の四月に赴任して以来、調整課長といたしまして、この訴願の裁決を引き継ぎまして、できるだけ訴願の裁決の片をつけたいと思って、先ほど部長からおっしゃいましたように、八十七件あるうちまだ残っておるのも四、五件あったわけですが、二件だけということになってしまったわけですから、そういうことでやったのですが、何分にも今先生がおっしゃられたように、内容が複雑でございまして、それからどういった関係でどういうふうになったということもトレースがまだ私としては十分できかねるような状況でございまして、またかわってしまったわけで、その点私も非常に残念に思っておりますが、そういったことでできるだけ裁決をしようと努力したわけですけれども、十分自信のいけるような、いわゆる勘案事項について、あるいはその経過につきまして、裁決するというまでの腹にとうとう到達できなかったような次第で、その点非常に申しわけなく思っております。どういうことで裁決がおくれたかという点でございますが、内容が今抽象的で恐縮なんですけれども、まだ勘案事項について進まなかったということで、さらに次の課長にも十分引き継いでおりますということでお答えにかえたいと思います。
  27. 川俣清音

    ○川俣清音君 関連して……。今芳賀委員からせっかく質問されておるのに、答弁は、非常に複雑であったためにおくれておるというのだが、訴願になるようなことはみんな複雑なものにきまっている。単純なものならば解決しておるはずです。単純なものならば訴願になることはない。おそらく複雑なものがいろいろあるから訴願になったのだと思う。そこで複雑だからおくれておるというのでは答弁にならない。もう一度しっかりした答弁をして下さい。
  28. 長谷川善彦

    ○水産庁漁政部漁政課長長谷川善彦君 勘案事項につきまして、どうもどちらがどうだということの判断についてまだ十分自信を得る段階に至りませんでしたのでおくれておるような次第であります。
  29. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 私ども農林水産委員会になってからの水産面に対する日はまだ浅いのですが、今日の漁業法を見ても、十六条の五項の勘案事項というものはやはり若干の盲点になっているのじゃないかというふうに考えられるのです。そのことは一応わかるわけです。ただじんぜん日を過ごした場合、もう来年更新期になるというままに放置された場合においては、やはり非常に訴願人が不利な立場になる場合もあるのじゃないかと思う。訴願が提起されておったにもかかわらず、何ら結論が出ないままに第二次の漁業計画も策定されておると思うわけですが、そういうことになれば、この訴願の相手方の既成事実というものをやはり認められておるという形がだんだん強くなってくるのじゃないかと考えられる。もちろん過去の実績とか資格というものは生きていると思うのですけれども、そういう問題になった漁業権が未解決のままになっておるということは、今の権利を持っている君たちがやはり有位に置かれておるのだということになって、その次にまた不利益というものが継承されるのではないか、そういう点もこれは確かに具体的な問題としてあると思うわけです。それで来年の更新期までに結論をお出しになるつもりであるのか、今になって結論を出すのはちょっと面はゆいので、これはほおかむりでやった方がいいというつもりであるのか、その辺の見通しというものは持って仕事をやられていると思うのですが、いかがですか。
  30. 岡本貞良

    ○水産庁漁政部長岡本貞良君 御指摘通りでありまして、事案は、勘案事項をどう見るかという非常にデリケートなところを、しかも調整委員会でもしばしば右に行ったり左に行ったりというような経過もあるという事案でありまして、なかなかわれわれ当局者といたしましてもきめ得なかった。その上できれば和解というような周囲の方たちの努力もありまして今日まで至った次第でありますが、来年度の切りかえに際して訴願当事者と漁業権者との間の利害が相反するというようなことも考えられますので、できるだけ早急に解決をいたしたいと思っております。
  31. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 ここでちょっと私が申し上げたい点は、この二つの事案に対する問題点があると思うのですが、一つは浜谷隆太郎君の場合は、訴願の相手方は林喜太郎君と林英夫君ということになっておる。そのうちの林英夫君の場合は、漁民としての適格者であったかどうかというところにも問題があると思う。この点は勘案事項でなくて基本的な問題になると思うのです。漁民とは何ぞやという定義にも触れる問題ではないかと思うわけです。こういうものが道の知事の段階においても看過されてきたということはちょっとふに落ちないのです。やはり水産庁当局としても、法の根拠の上に立った判断からいって、明確になるようなこういう問題は、当然に明らかにさるべき性質のものではないかというふうに考えられるわけです。  それからもう一つ、三国直見君の場合は、相手方の出町尊君というのが昭和二十七年に死亡して、細君が継承しているというように考えますが、今までの実績、漁業権の継承の経緯を見た場合、確かにこれは出町陽吉という人から継承されたようになっている。これは資料等も持っておられると思いますが、一つは出町陽吉という人が実在していたかどうかということにも問題があると思うわけです。これは昭和二十四年留萠漁業協同組合組合員であったということにはなっているけれども、彼の居住地の北海道の古宇郡神恵内村にはそういう人間はいなかったということになっている。ですからこういう点に対しては、果して実在しておった人間かどうかというところにもやはり問題点があるというふうにお考えになっていると思うのですが、これらのことは戸籍とか、そういうものによってお調べになれば簡単に明解になると思うわけです。漁業改革ということを見越してこういう仮空の人間をでっち上げたような形の中において一つの漁業権を獲得するような工作が一部の勢力の動きによってなされたようなことがあるとすれば、これはゆゆしい問題であるというふうに考えるわけです。これらのことは訴願人等の方でもあるいは水産庁当局において、その審査の一つの資料としてすでに整えておられるというふうに考えているわけでありますが、私どもは今日まで水産界における封建的な動きとか、支配勢力がどうなっているということはまだ不勉強でわからぬのですけれども、たとえば農地改革等によるところの農地問題の処理等に比較した場合、先ほど私が指摘したように、地区調整委員会等の運用の中においても、農地問題を扱う場合と非常に違ったような空気が底流していることは否定することができないと思うのです。ですからやはり漁業法の持っている精神とか基本的なものがどこにあるかということは、当局においても十分把握して運用されていると思うわけですが、そういう基礎的な精神の上に立って、これらのまだ未解決の事案は当然結論が出なければならぬというふうに考えているわけであります。そういう私が指摘したような問題等についても、すでに当局においては御調査になっていると思いますが、そういう資料が整っているかどうかという点はいかがですか。
  32. 長谷川善彦

    ○水産庁漁政部漁政課長長谷川善彦君 出町さんのお話の件でございますが、この出町初太郎さんのむすこさんの尊さんというのが訴願されているのでございますが、この方はすでに死亡されておりまして、今仰せのようなことになっております。戸籍の抄本も取り寄せておりますが、そういった点も今後十分資料を整えまして、部長のおっしゃられた趣旨に沿いまして早急に結論を出したいと思っております。
  33. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 今長谷川さんの言われた点の出町尊という人が出町初太郎氏のせがれであるということはわかっているのですが、ただその前の漁業権について、出町初太郎さんのおじさんの出町陽吉という人が昭和二十四年ごろ留萠漁業協同組合組合員であったということですね。これが一応漁業権を持っておったということになっているのです。しかもそれは、まだそれにさかのぼる場合においては、鰊合同会社というものがありまして、それから出町陽吉、出町尊という系列が出ておるのですが、問題はその出町初太郎氏のおじといわれる出町陽吉という人が、この地球上に実在しておったかどうかということをあわせて調査する必要があると思うわけであります。これは実に笑いごとではないのです。これ以上私が繰り返して言うまでのことはないと思うのですが、この二つの事案についても、そういうようにわれわれがちょっと見ても、漁政部長が非常に複雑怪奇ものであると言われたことは全くその通りだと思うのです。どうか最近のうちに何とか万人が見ても了承できるような結論をお出しになって、漁業法の権威を守るために一つ努力していただきたいということを私は申し上げておきます。
  34. 岡本貞良

    ○水産庁漁政部長岡本貞良君 御指摘になりましたように非常に複雑な内容もございますし、デリケートなところもございます。その上、実はまことに申しわけない話でありますが、水産庁当局の担当の部長、課長がかわったというような事情がございまして、具体的に事案をプレスして早期に解決するのがおくれたという事情もあるのではないかと思われますので、御指摘通り十分検討いたしまして、できるだけ早い機会に解決いたしたいと思っております。
  35. 川俣清音

    ○川俣清音君 関連して二点だけお尋ねしたいと思います。今芳賀委員と水産庁当局との話を聞いておりますと、どうもふに落ちないと申しますか、疑問点がたくさん出て参ります。その第一点は、これは司法関係でありますると別ですが、行政関係でありながら四年も解決を見ないというようなことは、非常に怠慢のそしりを免れないと思うのです。それから人事の異動によっておくれているというのですけれども、これは重大なことです。もしも人事の異動によっておくれるということになりますと、これは政府の責任であると同時に大臣の責任になってくる。事務を渋滞させるような異動が行われるということになりますと、これはだいぶ問題だと思うのです。私は決して言葉じりをとらえるのではありませんが、四年もほうっておいて解決を見ないということは、行政官として当然怠慢のそしりを免れないと思うのです。事務が複雑だということは了解できないわけはないけれども、それを解決するために権限を持っておられるのでありますから、解決の能力がないということになりますと、単なる人事異動でなくて、その職にたえないということになってくると思うのです。これはほんとうですよ。従って人事の異動だということで責任を免れることはできないと思いますから、この機会によほど一新していただかないといけない問題ではないかと思います。あらためて大臣の所見を伺わなければならぬことになりましたが、この際はこれだけにいたしておきます。第二の点は、昭和三十年度の母船式漁業許可について、札幌の泉盛とかいう人から農林大臣並びに水産庁長官を相手どって職権の乱用、不当処分の意味で告訴が提起されておるやに聞くのでありますが、その事実があったかなかったか。もしあったとすれば、その後の経過はどのようになっておるか。これだけ伺っておきます。
  36. 増田盛

    ○水産庁生産部長増田盛君 ただいまのお尋ねでございますが、さような人から告発の手続が進められておることは聞いております。その取扱いに関しまして、当該検察庁より水産庁に、当時の事情に関して二、三照会があったのでございますが、実はこの点の詳細につきましては、私が当時の責任者でないので、当時の事情をよく知っておる者から説明したいということでその本人が参っておりまして、私あまり詳しいことを知らぬのでありますが、御必要でありますならば、詳しく本人から聞きまして次会にお答え申し上げたいと思います。
  37. 川俣清音

    ○川俣清音君 私はその告訴の内容を詳細に検討しようという考え方ではないのです。なぜこの際問題にしたかというと、常に人事の異動によって詳細はわからない、わからないというようなことでありますと、行政全体の怠慢になってくるのではないかということをおそれるためにお問いしたのですよ。行政の内容にまで立ち入ろうということにはなりませんで、国会といたしまして行政事務の進行状態については重大な関心を持っておるわけでありまして、行政監察特別委員会まで作っておりますのはその趣旨であることは明瞭でございます。従いまして当農林水産委員協議会にしましても、行政事務の進行について重大な関心を持っておるということだけをこの際警告いたしておきたいのでございます。
  38. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 先ほどの漁政部長のお話で、長官がちょいちょいかわかることは非常に遺憾ですが、ちょうど一回りしてこの問題が提起されたときの塩見さんが今度は長官に舞い戻ったのですからいい機会だと思いますので、これは当時の責任において処理さるべきものだと思う。  なお、話は災害関係でありますが、十一日の当協議会において岡井次長からの御説明が落ちておったのでありますが、北海道地方における水産関係の被害が、これは二十三号、二十五号の関係でございますが、十一月の十一日、十二日にかけて主としてオホーツク海の沿岸、宗谷支庁管内、網走支庁管内、根室、釧路支庁管内、この四支庁管内を襲った水産関係の被害、それから十月十四、十五日の北海道の東部を襲った暴風雨等によりまして、主として根室支庁管内が相当被害を受けた。特にこの十四、十五日の災害の場合においては死者五名、行方不明三十一名ということになっておりますので、この行方不明はおそらく死者とみなすべきであるというふうに考えますと、三十六名の犠牲者が出ておるわけでありますが、北海道長官の被害の概況等を聞きましても、水産関係だけでも合せて三億五千万円くらいに及んでおるというふうにも聞いておるわけですが、まだ私どもも詳報を把握しておらぬのですが、これらの問題は二十三号、二十五号台風を中心にした全国的な災害にあわせて御処理になると思いますが、水産庁当局においてただいま申し上げました被害の報告等を把握しておられるとするならば御説明を願いたいと思います。
  39. 岡本貞良

    ○水産庁漁政部長岡本貞良君 ただいま地方からの報告を取りまとめ中でございまして、かなり数字が動いておりますから、近日中にまとまる予定でございます。
  40. 川俣清音

    ○川俣清音君 これは水産関係だけを抽出して申し上げたわけですが、漁船とかあるいは定置網、そういう漁網関係であるとか、あるいは浅海養殖の施設の被害であると、かあるいはコンブとか、そういうようなものがいろいろ数えられておるわけですが、先般も農林大臣が、農林省が調べる被害の内容と地方庁から出てくる数字が非常に食い違っておるので、大蔵省に対しても折衝がしづらいというようなことでうまく逃げておったようですが、これは一つ積極的に被害の内容等を調査されて、たとえば融資の問題であるとか、あるいは災害復旧の問題であるとか、いろいろ行うべき問題が多いと思いますので、それらに対しても緊急な措置をすべきであると思います。
  41. 松山義雄

    ○松山義雄君 有明海の漁業の被害についてちょっとお伺いします。ここ数年前から農薬が有明海に流れておりまして、有明海のアミであるとかあるいはエビというようなものが非常に被害を受けて、死滅してしまっておるということを承わっておるのですが、これは長崎県、佐賀県、熊本県、あの沿岸の漁民の生活に一大脅威を来たしておるということを承わっておるわけであります。農林省とされまして調査されたことがございますか。あるいはまたさらにこれらに対する何か対策等をお考えになっておるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  42. 岡本貞良

    ○水産庁漁政部長岡本貞良君 農薬の漁業に及ぼす被害につきましては、調査委託費等を出しまして、九州大学の水産学部に調査をしてもらっておる。あるいはごく最近の問題といたしましては、御指摘の有明海におきまする各県から出て参りました被害状況をよく有明調整事務局で検討をいたしまして、農薬との因果関係のある被害状況の抽出に努力をいたしております。対策につきましては、この前の委員会のときですか大臣からもお話があったと思うのでありますが、もし必要とあらば今ある予算の運用ないしは予備金等の要求もやりましょうということを言っておるわけであります。その被害状況と農薬との因果関係が必ずしも明確になり得ないところもありますので、目下検討中であるということを申し上げておきます。
  43. 松山義雄

    ○松山義雄君 アミなどというものは御承知通り虫といっていいか、何といいますか、非常に小さいものです。ことに大きないろいろの魚がアミとかエビとかいうような餌料がもとで非常に被害があるということを聞いておるのですが、農薬の被害ということは各県みなそう言っておるのですから、速急に何とか対策を立ててもらいたいと思うので、予備金あるいは予算措置なりを至急にやっていただきたいと思います。九州大学に調査を委託しておられるということはけっこうですが、各県でそれぞれ調査も進んでおることでございますから、恒久対策と臨時的な処置を別に考えていただきたい、こう考えるわけであります。
  44. 鈴木善幸

    座長鈴木善幸君) 暫時休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十一分開会
  45. 鈴木善幸

    座長鈴木善幸君) 午前に引き続き会議を開きます。――川俣委員。
  46. 川俣清音

    ○川俣清音君 食糧庁長官にお尋ねいたしたいと思います。政府は従来の食管制度についていろいろ研究しておられるようなんですが、それに相伴いまして、法律上米価審議会があるわけです。これは法律の命ずるところによりまして、食糧管理制度はもちろんのこと、米価並びに麦価その他これに関係する諸般の審議をするところでございますが、いろいろ米価審議会にはかけなければならぬ要素が生まれてきておるように思うのですが、近く開かれる御用意があるかどうか、これをお伺いしたい。
  47. 清井正

    ○食糧庁長官清井正君 ただいまの御質問の点でございますが、私どもの中に各局別に調査会と申しますか、これは省内決定の調査会でございますが、明年度の予算編成についての問題等につきまして、それぞれ民間の学識経験の豊富な方々の御意見を伺う調査会を持っておるのでございます。食糧庁といたしましても、無理にこういう米の管理方式につきまして何か御意見があるかということにつきまして政府に伺っておる最中でございます。別段これという目的を持っておるわけではございませんが、すでに本年の米につきましても御承知のような制度をとっているような次第でございます。麦につきましてもいろいろ御議論があるようでございますが、私どもといたしましてもそういうような問題につきまして、いろいろ民間の有識の方々の御意見を聞いておくことが、将来の参考になるのではないかということからいたしまして、現在その会議を開催いたしておる最中でございます。二回ばかり開きまして、また近く継続して開くことにいたしておりますが、いずれにいたしましても、本問題等を中心といたしまして、ただいま検討いたし、さらにまた昨日は農産物の価格審議会を、これは内閣に設けまして、経済企画庁が幹事になって開かれる会議でございますが、それもすでにその第一回が開かれたのでございます。その際私も現行の米価、麦価の決定方式等につきまして御説明申し上げた次第でございまして、今後いかになにするかは全く今後のその会の委員の御意向によって運営されるものと存じておるような次第でございます。まあただいま申し上げたようなことにつきまして、私ども事務的にいろいろ御意見を伺っておるような最中でございますが、ただいまのところ私といたしましては、これらの問題につきまして米価審議会を開催いたしまして委員の各位の御意見を伺うということは考えていない次第でございます。
  48. 川俣清音

    ○川俣清音君 これは正式な委員会または懇談会、協議会というような形はあるだろうと思いますが、しかし事態としては当然開かなければならぬような事態が起っておるのではないかと思うのです。実は私それほど詳しく質問しながら意見を述べるつもりじゃないのです。今秘密会であったからここで申し上げることは控えたいのですが、カンショあるいはバレイショの買い上げにつきまして、予算上、法律上なかなか困難な点もあると思うのです。それは一方においてカンショ、バレイショの価格をきめるときに規則、政令等に強く支配をされなければならないという原則が立てられるとしますれば、米価の方におきましてもバック・ペイをしなければならないような要素が起きておるわけです。一方法律なり規則にやかましくとらわれることになりますと、みずからその責めをやはり米価の方が負わねばならないということになるのではないか、それはいろいろな事情を参酌して開かないで、あるいはバック・ペイの問題を等閑に付するというわけじゃないでしょうが、その法律はなるべく縮小解釈をしてのがれようとすればできないことはないだろうと思うのです。しかし一方においてバレイショあるいはカンショの価格をきめるときには法律、規則を非常に重大視してきめる、一方のバック・ペイの義務はこれを免れよう、こういうことをやろうとすれば問題が出てこようと思う。私はここで無理に議論をしようというのじゃないが、しかしここでいろいろな了解を遂げなければならない事態もあると思う。また希望配給等の出荷を行うことにいたしましても、一応の了解をつけることが必要ではないかと思うわけです。まだ実は問題があるわけですが、むしろここであまりさらけ出さないでおもむろにお聞きした方が適当じゃないかと思うのです。正式の委員会なりあるいは懇談会なりあるいは協議会を開いて、食糧庁の現在とっておる態度を御了解願うことが適切ではないかと思いますが、これに対する御答弁を願いたいと思うのです。
  49. 清井正

    ○食糧庁長官清井正君 ただいまの川俣委員のお話の御趣旨はよく了解をいたしました。なお部内におきまして上司とも相談をいたしまして、なるたけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。その点御了承をいただきたいと思います。
  50. 鈴木善幸

    座長鈴木善幸君) 淡谷悠藏君。
  51. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 時間もだいぶたちましたので、簡潔に二、三点お伺いいたしたいのですが、第一に災害の問題でございます。  次々と秋の台風災害も起っておるようであります。この間の御答弁では、鋭意急いでこの対策をやっておるということでございましたが、二十二回の国会における災害対策の諸法案の中で、その事後の処置がまだできていないような法案がどれくらいあるか一つお聞きしたい。政令あるいは扱い方法などについてまだ準備のできない法案がございましたら御報告願いたい。
  52. 谷垣專一

    ○官房長(農林)谷垣專一君 実は私新米でよく従来の事情がわかりませんので申しわけない点が多いかと思いますが、農林水産業施設災害復旧事業の暫定処置に関しまする法律に関しましての政令が、前から問題があったと思います。この政令に関しましては、あすの次官会議にかけましてこれを決定いたしたい。例の共同施設等の問題につきまして、それを政令で具体的にきめるもの、あるいは被害の程度によりまして、それに対する補助金の率等がきまるわけでありますが、そういうような点の政令を明日の次官会議にかけることに取り急いでおります。
  53. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 ただいまの御答弁は、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案でございますか。――これは参議院において事実審議未了になっておるんじゃないでしょうか。
  54. 谷垣專一

    ○官房長(農林)谷垣專一君 これは法律は通っておりまして、政令で今言いましたようなことをきめるということになっておると存じます。
  55. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 衆議院公報の第百九号によれば、「参議院において審査未了のもの二件」として、今の法律が載っておりますが、これは印刷の間違いでございましょうか。
  56. 檜垣好夫

    ○官房(農林)総務課長檜垣好夫君 ただいま官房長から申し上げました分は、共同利用施設の関係と、それから一定額以下のものにつきまして、十割補助をするという関係の法律に基く政令案でございまして、ただいま御質問の点は、あとからもう一つ改正案が出まして、その分は審議未了になっております。
  57. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 大災による被害農林漁業者等に対する資金の暫定措置法案のごときは、全部政令は出ておりますか。
  58. 檜垣好夫

    ○官房(農林)総務課長檜垣好夫君 その方の政令は、御承知通り災害があるごとに指定をいたします政令でございまして、六、七月の災害につきましては政令が出ております。
  59. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 新しい災害の対策もそうでございますが、成立しました法案については、すみやかに実施の運びになるように御努力を願いたいと思います。  なおこの間いただきました災害融資の繰り上げ償還額の表でございますが、これを見ますと、大体七億近いものが繰り上げ償還を見ておるようであります。この操り上げ償還の中には、さまざまなケースがございましょうけれども、申請額に比べて大へんに少い。割当がなお使い切れずに、繰り上げ償還を見ておる、こういう形のものもたくさんあると思いますが、具体的に被害地の農漁民の形を見ますと、もっと金を使いたい、借りたいという人がたくさんございますのに、この貸付がなされず、逆に割当の消化ができないというこの矛盾は、一体どこに根ざしておるのか、これに対する官房長のお考えを承わりたい。
  60. 谷垣專一

    ○官房長(農林)谷垣專一君 ことに今御指摘になりました二十八年災害の場合にかなりそういう問題があったわけでございますが、これはいろいろな事情があるようでございます。その後いろいろなことで調査をいたしましてやっておりますが、融資が短期であったというような事情のために、末端の農家まで実際に金が行きませずに、農協の組合一つの運転資金に使われておったというような例もかなりありました。そういうようなものは本来の経営資金の考え方と違いますので、当然にかえさせるようなやり方をとったわけでございます。またこちらの方で督励をいたしたわけでございますが、金融的な立場にとらわれるきらいが中にあったことも実際問題としていなめなかったのではないかと思います。それらのものは当然に損失補償等の方途がとられておるわけでありますから、実際に個々の農家に必要なものが行くべき筋合いのものであるわけでありまして、これらのことは行政機関等にそれぞれ指示いたしまして、その実際の貸付に当りまする金融機関、末端の農協等の当事者にこの趣旨が徹底するように督励をいたしておりますが、今申しましたような傾向が若干あったように伺っております。
  61. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 末端の形をよく見ますると、割合に健全な経営をしておる農家でも、いわば償還の可能性が十分に見られるような農家であっても、その村の農協の経営実態が非常によくないためにこういう融資を受け得なかったという点がたくさんございます。これなどはやはり農協の再建整備をはかると同時に、目の前に迫っておる災害の苦痛から抜けられるような特殊なお考えをもってやっていただきたいと思います。特にたくさんの借りたい人があるのに、農協の経営が不振であるとか、あるいは償還が不能になるのではないかというような形から、せっかくの融資が末端に徹底し得ないとすれば、農漁民の災害を救うという本来の融資の目的が非常にそれると思いますので、こういう点もなお一層深い注意を払っていただきたいと思います。特に新しい年度の予算編成期もそろそろ間近に迫っておりますが、この辺で一つ私は、農業構造の改革のために従来の補助並びに融資の態度を一新される必要があるのじゃないかということを申し上げたい。たとえば米にいたしましても麦にいたしましても、最近はジュースに至るまで、当委員会においてしばしば国外の農産物の価格の圧迫を受けまして、危殆に瀕するような陳情が行われて参っております。本日協議されておりますイモのごときもまさにその適例だろうと思う。これに対して、従来のように災害が起ったからこれを救済する、あるいは農家が不振状態になっておるから何とか一時的にこれを救い上げようというような臨時の措置だけでは、現象をつかまえてだけの措置であっては、私は永久にこの悩みは消えないと思うのであります。やはり保護にいたしましてもその保護には限度がございます。この膨大な日本農業というものを保護政策一方だけでいつまでもやるということは不可能だと思います。従ってこれを海外の農産物の価格に対して経済的に太刀打ちができるまでに合理的な改変を行う必要が今あるのじゃないか、補助金などはずいぶん削られております。しかし何といたしましてもこういう災害に対する補助あるいは融資でなくて、もっと積極的に経営そのものに対する補強工作を行なって、農業構造を近代的に改変する必要があると思いますが、そういう面に対する施策なり、あるいはまたそういう面への金融措置が何らか考えられておるかどうかお伺いしたいと思います。
  62. 谷垣專一

    ○官房長(農林)谷垣專一君 淡谷委員から御指摘になりましたように、農民の協同組織でありまする農協が、単位農協及び県連等を通じましても、相当数のものが実は不振の状況にある実情でございます。大部分の農協につきましては、今言われましたような災害等の場合に十分な働きができるわけでございますが、いわゆる総合農協といわれますものの二割以上のものが、いわゆる経営不振の農協というふうに、私たちは最近の調査でも考えておるわけでございます。この農協の経営が不振でありますもののその数が、災害等の金融その他の措置の場合口にだめであるというふうには即座には申せませんけれども、やはり達観いたしますると、災害を受けました場合に、その村の農協がしっかりしておるのと、あるいは不振であるのとは、実際問題といたしまして農民あるいはそこの農業の復興のために非常な差が出てくる状況であります。それにつきましては、単に災害におきます場合にとどまりませず、ほかの一般の農民生活あるいは農業経営に非常に甚大な影響があるわけでありますので、農林省といたしましても農協の不振対策には常から非常に腐心をいたしておるわけであります。再建整備等の方策をもって不振の農協を建て直す仕事をやって参っておるわけでありますが、さらにそれだけでは十分でないというので、二年ほど前から再建整備促進というような口実で、県連以上の段階のものについてこれを強化して参っております。また来年度に一応終ると思いますが、再建整備等の五カ年を経ました後においてなおかつ不振でありますところの今申しましたような農協に関しましては、今後ともに新しくこれの振興対策を考えていきたい、かように考えておるわけであります。またこの金融の問題でございますが、碓かに御意見通りに、災害に際しましてのみあわてたような応急対策をいたしておる。こういうことでは実はまことにどうもたよりないことなのでありまして、災害におきます応急対策、災害復旧という問題は、それのみでとどまってはならないのでありまして、長く基本的な農業経営の安定をいたしますような恒常的な対策が必要であろうと思います。金融にいたしましても、そのために従来からあります農林中金のほかに、農林漁業の長期資金等の制度を御協賛を得まして作って、ここ数年やってきた現状でございますが、また自作農創設等農地改革によって解放されましたところの自作農の維持等に対しましても、これの金融を確立する必要があるという見地から、昨年度から新しくこれを農林漁業金融公庫の一部門といたしまして施策をいたしておる、こういう状況でございます。何分日本の農業の根本的な問題といたしまして、雇用の問題等につきまして非常に窮屈な状況になっておる。他産業等からの労力というものが随時農村に入っておりまして、潜在失業的な状況において多くの労力を抱えている。こういうような問題が基礎にありますために、どういたしましても農業経営の上において家族労働当りの生産を向上いたし、そして他産業におきますような生産の増を来たしていくということにつきまして十分なことがやれないという現況であろうかと思います。どういたしましても反当収量の増大というふうなこともやっていかなければならない。こういうような日本の農村の持っておりますところの基本的な性格が、金融というような問題につきましてもやはり十分な対象になり得ないところがあろうかと思います。海外農産物との対抗等に関しましても、生産費の切り下げをできるだけ考えねば相ならぬことになるわけでありますが、やはり根本問題といたしましては、先ほどの潜在失業的な労力過剰という問題をどういうふうに解決すべきかという問題に突き当るかと存じます。これは単に農業内部のみにおいて解決すべき問題ではないと存じますし、国民経済全体の立場におきましてこれを解決していく必要があろうかと思います。しかしながら見通し得る現状におきましては、やはり相当数の農業人口の過剰という形、雇用労力が十分にこなせないという状況、潜在失業的な状況がやはり当分あらざるを得ない状況であろうかと思いますので、農村内部だけの問題といたしましても、たとえば農村工業の施設を増加していくとか、あるいはまた海外の移民の道を開くとか、あるいは多角経営的な面に農業経営を導いていくとか、あるいは山村でありますとか漁村でありますとか非常に恵まれない地帯に対しまして、適切な総合的施策をしていきますとかというような広い形におきまして、日本の農業経営の持っております弱点を補っていく必要があろうかと思います。ただいま関係方面といろいろ協議策定を急いでおります経済六カ年計画の農林部門におきましても、従来申しましたような立場において、農山漁村の経営が安定いたしていくということを基本的な立場といたしましてこの計価を進めておる次第でございます。そういうような施策をできるだけ広い範囲にとりまして、ただいま淡谷委員の申されましたような、海外農業に対する競争力というものを少しでも強めていくという方向に持っていきたいと考えておるわけであります。
  63. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 ただいまの御答弁の中の一、二重要な点について、なお御質問申し上げたいと思います。  農村における潜在失業者の増大は、とうてい農業の場面からだけでは考慮し尽せないものがございます。日本の農業構造をこうした農業人口の過大に重点を置きまして、その安い労働力と過度な労働の上に立って、いつまでも抜け切れなかったならば、やはり日本の農業の衰退というものは争えないのではないかと思うのであります。生産費切り下げにいたしましても、こうした農民生活程度の引き下げと労働の過重、これに重点を置かないで、生産効率を高めることによる生産費の切り下げが非常に大事だと思います。これには何といたしましても豊かな経営資本と、これに伴う近代的な設備が農村に必ず要求されてくるのです。幸いにして大蔵省は農林省に対するさまざまな攻撃のうちに、施設に対する補助はあまり惜しまれていないようであります。農薬に対する補助はいろいろ惜しみましても、施設に対する補助は惜しまないという形、大蔵省でさえこれくらい持っておるのでありますから、ただ農地を百姓に持たせるとか、そのような生産効率の上に作用しない資本投下を試みるよりは、もっとはっきり生産効率を高めるような農業構造の近代化のために新しい施策を要求したい。新しい年度における予算外の上におきましても、そういう観点から日本の農業構造を根本的に改めるという一つ遠大な構想を持って、いろいろ六カ年計画などに対して考えられておられるかどうか。特に農林大臣においでを願いたかったのは、河野農林大臣はどうも最近まことに珍しい雄大な農業構造の改変の構想を持っておられるようでありますから、それを一つ裏づけるために、何らか新しい年度の予算に具体的にこれを裏づけるような構想がおありになるかどうか、その一点を聞きたい。
  64. 谷垣專一

    ○官房長(農林)谷垣專一君 先ほど申し上げましたように、現在他の産業部門に比較いたしまして、農林部門の所得水準、生産基準というものはかなり低い段階でございます。これをどうしてもほかの産業に比較いたしまして引き上げていく、こういうことをまず私たちは具体的には考えなければならないと思います。いろいろと長期計画等におきましても勘案をいたしておるわけでありまするけれども、長期計画におきまして、今他の産業部門に比して約三分の一程度に低いところの農民の所得というものを、一挙に他の産業並みに持っていくということはかなり実際問題として困難であろうと思いますので、長期計画においては、農林省考えておりますのは、他の産業部門の所得の伸びというものと農林部門におきまするところの所得の伸びというものは、少くとも同じような比率でいくべきである、こういうものの考え方で私たちは施策を考えていきたいと思っております。また先ほど申されましたような、コストを下げて海外との競争力を強める、言いかえますると、農業経営を長い期間にわたってはっきりとかたい基礎のもとに築き上げていきまする場合におきましては、何といたしましても技術の改良と投資の拡大を進めなければならないと考えるわけでありますが、何分農林内部におきますところの資本の蓄積が少い現状でありますので、やはり国家財政の投融資に期待するところが農林部門としては大きいわけでございます。これはもちろん毎年の予算要求という形になって参ることが大部分になるわけでございますが、私たちは大蔵省方面において予算を折衝いたしまする場合に、今申しましたような基本的な立場に立ちまして予算の交渉を続けたいと考えております。もちろんこれは国会におきまして、また当委員会におきまして十分御審議を願い、御協賛をお願いするということに相なることと思いますが、ただいま私たちの基本的な態度はそういうことで進んで参っておるわけであります。なお、予算の問題は現在農林省といたしまして、最後的な案ができて大蔵省と交渉に入っておるという段階では実はまだございません。来年度予算につきましていわゆる経営費的なもの、これは新政策的なものというより、いつもありまする経営的なものが多いわけでありますが、こういうものにつきましてはすでに事務的に大蔵当局に説明をいたし、交渉を始める段階になっており、それも進行いたしておりますが、いわゆる新政策的なものに関しましては、今大急ぎで成案を練り、内部の案を固めておるという状況でございます。経営的なものといい、新政策的なものといいましても、もちろんその間に全部がそういうはっきりした断層があるわけではございませんので、経営的なものの考え方の中にも、新しい構想が盛られながらすでに交渉しておるというものもございますが、現在まだ予算の要求をいたし、予算の折衝をいたしておる段階はそのような段階でございますので、いずれもう少したちますれば、農林省が持っておりますところの来年度の予算要求に対する全貌を皆様のところに御報告申し上げて、御批判を願う時期があろうかと思います。現在のところはそのような状況で進んでおります。
  65. 鈴木善幸

    座長鈴木善幸君) その他御意見ありませんか。――それでは他日の協議会開催は公報をもってお知らせをいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十六分散会