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1955-10-15 第22回国会 衆議院 農林水産委員協議会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十月十五日(土曜日)     午前十時十五分開会     ————————————— 協議事項  食糧問題に関する事項  甘藷等価格維持対策に関する事項台風第二十  二号等による農林漁業災害対策に関する事項     —————————————
  2. 綱島正興

    座長綱島正興君) それでは前会に引き続いて、これより農林水産委員協議会開きます。  なお前会に引き続き委員長座長を勤めることに御同意願えますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 綱島正興

    座長綱島正興君) しからばこれから座長を勤めます。  なお間もなく農林大臣が出席されると思いますが、ただいま政府委員のうち特に食糧庁長官が見えております。なお災害に関する方も農地局総務課長が見えておりますから、どうぞ御質問がございましたらその点に関しての御質問をお願いします。川俣清音君。
  4. 川俣清音

    川俣清音君 大臣が見えるまでの間、時間をお借りいたしまして、食糧庁長官に二、三点お伺いいたします。  第一点は、外米輸入計画変更が加えられたようでもございますし、また外米輸入は必ずしも計画通り入っておるという経過をたどっていないのは、過去の年次輸入実績を見ましても同様でありますが、こうなりますと、外米としての輸入総量トン当り価格が大きく変化し得ることもあり得るわけでございますが、最初三十年度予算を組んだときにおける外米輸入計画、これは総量ばかりではございません、地域別が主なのですが、地域別の変化について御答弁願いたいと思います。  第二点は、内地米の、これは外米も加えてではございますが、食糧庁配給したのと、それから受け取り側であります消費者受け取りとの間に相当開きが現実的には出ておることが統計上も出ております。たとえばCPIから見まして、内地米受け取り数量食糧庁配給いたしました数量の間において差額があるようでございます。もちろんCPI統計が必ずしも妥当かどうかということについて疑問があるということなれば別ですが、しかしながら一応CPIというものを一つ統計の重要な資料として取っておられる。それから推定いたしました受け取り数量配給数量との間に開きがあるようでございます。こういう点について、どのような見解を持っておられるか、この二点についてお伺いいたします。
  5. 清井正

    食糧庁長官清井正君 ただいまの川俣さんの御質問の第一点でございますが、外国食糧輸入計価につきましては、ただいまは当初の輸入計画変更は原則としてはないのであります。ただ予算編成当時に比べまして実は若干の変更要件がその後起って参ったのであります。それは御承知通り病変米がまだ実は残っておるのであります。あれが食糧用に供給できない現状にございますので、その病変米の供給できない部分の一部をさらに追加供給しなければならぬという問題があるということであります。それからもう一つの問題は業務用の問題がございます。これを約十万トン今年度内に売却したいつもりでおるわけなのであります。それは申すまでもなく準内地米でありますが、そういう形にいたしております。それこれを合計いたしまして、当初の買付予想計画が百十九万五千トンであったのでありますが、それを先般百四十万トンに変更いたしまして、約二十万五千トンばかりふやしたのであります。それは買付計画でありまして、到着は少しずれました。申すまでもなく到着計画は、食糧年度といたしましては約百二十万トン計画いたしておったのであります。従ってこの数字がふえました分だけ、その通り計画で参りますれば今後ずれて参るのであります。しかしただいま御指摘の点の計画実績とマッチしない点があるではないかということでございます。この点は、実は病変米の問題が起ったときに、一時あの方面輸入を停止いたしましたので、昨年の暮から今年の春にかけて、若干遅延をいたしたこともございます。その後漸次回復いたしまして、ただいまのところは外国米も予定通り入って参ることになって、ずっと回復に向っておるのであります。ただいまの増加の数量は主として準内地米等考えておるのでありますが、むろん外米等もふやしたいという考えがあるのでありまして、タイ、ビルマ、中共、台湾というやはり買い得る数量の余地のあるところに数量をふやすということでもって、ただいま輸入を実施いたしておるようなわけでございます。  それから第二点の内地米の問題でございますが、これは消費者受け取り数字から申しますことは、おそらく配給辞退の問題との関連においての御質問だと思うのでありますが、CPI等に現われます具体的な数字消費者受け取り数量ということで出て参ります。私の方は需給計画配給数量というものについて考えておるわけでございます。私はこまかい数字を持っておりませんが、事実大体内地米にいたしまして二%くらいの配給辞退があったのであります。外米は少し多くて十何%になっておったというのが、昨米穀年度の実績として現われておるわけでございます。これは私ども配給計画と実際の売却との差であります。その差が実際はCPI受配者数字として現われてくるのではないかと思っております。そういったような配給辞退というものにつきましては、当初の食糧売却計画に対して非常に売却が少いわけでありますから、結局それだけ政府手持ちがふえておるような格好になっておるのであります。現在はそれに対して何らの処置をいたしておりません。これはやはり、配給数量がそれだけ減ったということであります。従って政府手持ちがそれだけふえたということになっておりますが、これは御承知通り配給辞退というものがいろいろそのときの条件によって変って参りますので、果してその通り数字がこのままでいくものであるかどうか、あるいは今年のように内地米が非常に豊作であればこれがどのように影響してくるか、あるいは麦の値段で外米がどう変ってくるか、いろいろ事情がございますので、簡単に、この三つが今後どのように推移するかということは推測できませんけれども、確かに地方において、内地米についても、いわんやまた外米につきましても、私どもの方の計画に対して、ある程度配給辞退があったということは事実でございます。その点について私どもといたしましては、配給手段についてどうこうするということはまだ考えていないのでありまして、所定の計画量がそれだけ減ったということで、私ども需給推算上の手持ちがふえるということに計算上なっております。この点はなお私ども今後の事態に応じまして考えなければならぬと思っておりますが、現状はただいま申し上げたような次第でございます。
  6. 川俣清音

    川俣清音君 この際なぜ第一点のことを質問したかということを明らかにしておきたいと思うのです。と申しまするのは、この百四十万トンに計画変更されたということをいろいろ推測いたしますと、あるいはこれは統制撤廃の前兆として外米を多く買い付けたのではないかというような疑惑を生みます。あるいは逆にまた非常に過大に病変米をかかえ込んでいるように見られたりいたしまして、そこらの食糧事情についての観察の仕方がいろいろ出て参るのであります。これは普通の年次でありますればあるいは大したことがないということで済むのでありますけれども、いわゆる統制撤廃をめぐっていろいろ施策が練られたり、あるいは方針が立てられたりするときに、この輸入計画のなぜ変更されておるかということを明瞭にしておきませんと、今後の対策の上に大きな誤解を生ずるおそれがあるという点から、この点を質問いたしたのであります。  それから第二の点でございますが、これは一般の批評家評論家というような人々が、どうもやみ米がといいますか、自由購入米を非常に多く算定する基礎に、CPIのいわゆるやみ米計算をかなり使っておるようでございます。ところが先ほど長官説明をいたしましたように、配給辞退ということで片づけられないのではないかと私は思います。なぜかといえば、一カ月間の通計でありますが、配給辞退をしながらやみ米を買うということはどうも普通の常識では判断できない。やみ米も買わなかった、配給米辞退したというならこれは考えられないこともないと思うのですけれどもやみ米は買った、配給米辞退をしたというのは、これはもちろん一カ月の通計でありますから、そういうことは絶対ないということは言えないと思いますけれども、それもいわゆる普通の生活観念から申しますとあり得ないということになると思うのです。だから配給辞退からくるものだということはどうも考えられない。配給辞退でありますならばもう一ぺん政府計画の中に、再度これは入ってくるものだと思う。従って配給辞退をもってあなた方の配給量CPIとの開きが出たということは、これは長官答弁としては少しおかしいです。私あなたの答弁のしりをつかまえていじめようという気持はないのですが、さっきの言葉は説明が足りなかったと思う、あるいは思いつきで答弁されたと思うから別に責める意味ではない。問題はやみ米数量を多く見て、配給量を少く見て将来の計画一つ基礎に立てる、かような傾向がありますために、この際この点を明らかにしておきたい。こういうところからですし、決してあなたの言いそこなったことを突っついている意味ではないから、その意味でもう一度御答弁を願いたい。
  7. 清井正

    食糧庁長官清井正君 ただいまのお話CPI数字がどういう数字になっておりますか、あるいは配給米数字だけが出ておりますのか、あるいは御指摘通りやみ米を入れました全部の購入ということで出ておりますか……。
  8. 川俣清音

    川俣清音君 両方です。
  9. 清井正

    食糧庁長官清井正君 その点になりますとちょっと私の申し上げたことと違うと思いますので申し上げます。確かに私どもの観点から申しますれば配給辞退が多いわけでありますから、その点は需給計画と実際の受配量が違って参るということが数字上の受配者統計からわかって参るのでありますが、一方またやみ米——これはもちろん私ども責任者として申し上げますが、豊作物価格関係上、あるいは産地においては農家がいろいろ現金収入などの関係から手離すということで、やはり相当数量が現われて参るということも事実であります。そういうことから申しまして、私どもといたしましてこの点をどういうふうに考えてただいまの食糧行政を円滑にやっていくかということにつきましては、実際にそういう統計上の数字を十分検討いたしまして、足らないところから出て参るやみ米の問題、なぜやみ米というものがそういうふうに起って参るか、あるいは地元の産地価格が違ってくる、あるいは配給価格生産価格よりも低い価格やみ米が売られておるというようなこともあると思いますが、そういう点を十分勘案いたしまして、御指摘の点につきましては私ども十分検討していかなければならぬのではないか、こういうふうに考えております。
  10. 綱島正興

    座長綱島正興君) それでは大臣がおられぬでも——もううちを出られたそうでありますけれども質問される方はどなたか……。井谷君。
  11. 井谷正吉

    井谷正吉君 食糧庁長官にお尋ねしたいのでありますが、本年のカンショ価格決定は、先般十月の二十日以後程度であろうかというようなお話があったが、本年の作柄から見まして、これはもうすでに決定をされていなければならないと思うのであります。先ほどの陳情で愛媛、長崎ということがありましたが、これは私少し補足しておきますが、関東一円、九州一円、四国一円、中国地方においてもこれに加わる分が相当あるわけです。ことしは御承知のように作柄が非常によろしい、それから天候の関係等で収穫も少し早目になっております。というようなことで、聞くところによると、関東地方で現在取引されている価格というものはお話にならぬほど安いようであります。こういう状態でイモ作地帯におきましては不安と焦躁にかられておるわけであるが、今長官はこの問題についてどういう考えを持っておられるか、まずそれを承わりたいと思います。
  12. 清井正

    食糧庁長官清井正君 カンショの点について今お話がございましたが、バレイショについても同じ問題があるのでございますが、申すまでもなく現在農産物価格安定の法律に基きまして、毎年一定の計算に基きました支持価格決定いたすことになっておることは御承知通りであります。十月末までにきめるということになっておりますので、ただいませっかく計算をいたしておる最中でございます。御指摘の点でございますが、申すまでもなくこの計算方式にはそれぞれの土地の作況と申しますか、流通量というものを勘案する方式になっておりますので、計算方式といたしましては実はことしの作況というものをその中に織り込むという形になっておるわけであります。あるいはパリティの資料あるいはそういったような前三カ年の作況であるとかあるいは出回り数量であるとか、ことしの見込み状況であるとかいうものを入れまして、ただいませっかく計算をいたしておる最中でございます。十月末日までといわずになるべく早くきめなければいかぬということで、せっかく今事務的に検討いたしておる最中でございますので、価格最終決定までにはいましばらくお待ちを願わなければならぬと思うのであります。昨年の価格につきましては、これは申すまでもなくカンショは二十八円五十銭という単位に基く澱粉基本価格がたしか十貫当り千七百七十円であります。バレイショは二十三円で澱粉が千八百八十円ということになっております。そういうようなことで昨年は推移いたしたのでありますが、ことしは計算上いかなることに出て参りまするか、目下私どもとして計算をいたしておりますので、結果を見るまでもうしばらくお待ちを願いたいと思うのであります。ただ申すまでもなくこの法律が施行されまして以来澱粉は一度も買ったことはないのであります。と申しますのは、支持価格に対しまして市価が相当高目になっておりまして、政府に対する売り込みがございませんでしたので、毎年ある程度予算は計上いたしておりましたけれども、いまだ二十八年以降買っていないのであります。そこでこれが今回どういうふうになりまするか、私どもといたしましても、実際生産地におきまするカンショバレイショ、あるいはそれに基く澱粉、そういうものの価格生産者に対する影響も相当甚大であることも十分わかっております。また一方そういったような算定方式によって算定する事情もありますし、そういった事情を勘案しながらなるべく早く決定するように研究しておる最中でありますので、価格決定までの間いましばらくお待ちを願いたいと思います。
  13. 井谷正吉

    井谷正吉君 作況をにらみ合すと言われますけれども、もうすでにそういうことはわかっておるはずだと思います。従来と違って本年はこうした特殊な事情にあるし、そうして支持価格以下ですでに売買をされたおるというような——これは生産者にとって非常に大きな問題になっておる場合に、せっかく検討中であるというようなことでは私ども納得ができないわけであります。もう少し生産者の立場も考えて、敏速に運んでいただきたいように思いますることと、いま一つは、これは計数の問題になるからはっきり言えないと言われるかもわかりませんけれども、われわれとしては昨年の支持価格を下回るんじゃないかというようなことで、非常に心配をしておるのであるが、われわれとしてはこの昨年の支持価格以下になるというようなことは絶対に認められないのでありますが、およそそういう面についての見通しというものがあれば、お答えを願いたいと思います。
  14. 清井正

    食糧庁長官清井正君 御指摘の点でございますが、なるほど十月末ということになっておりますけれども、なるべく早くきめることはけっこうなんであります。またそういうことがいわゆる農産物価格一つ指標になる、私どもさよう考えておりまして、なるべく早目にきめたいとは思っておるのでありますが、一方私どもといたしましては、十月末にきめるということになっておりました以上、なるべくそれに接着してなるべく最近の事情もつかみたいという気持もあるわけであります。カンショにつきましても、バレイショにつきましても、できるだけ接着した最も最近のデータ計算の中に入れる、そういうことが一番正確を期するわけでありますから、そういう意味合いにおきまして、さらにカンショにつきましては十月五日に一応発表をいたしておるのであります。バレイショにおきましても九月九日に発表いたしておるのでありますが、その後カンショバレイショにつきましても若干新しい要素もあればそれを取り入れていきたいということで、やはり正確を期して一番正しい状況を得たいと思っておりますので、若干おくれておるような状況であります。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、事務的にできる限度において早くいたしまして、生産者売却等に基く価格の将来の一つ指標になるようにということを考えておるわけであります。しかしまた一方ただいま御指摘の第二点に関連いたすわけでありますが、それでは一体価格計算はどうなるかということでございますが、端的に申しまして、この点は非常にむずかしい問題でございます。先ほども申し上げました通り、昨年はカンショ十貫当り二百八十五円、バレイショについては二百三十五円ということで計算をいたしまして、それぞれ澱粉価格を出しておるわけであります。ことしはそれがどういうふうになるかということでございますが、むろん計数につきましては御説明申し上げることはただいまいたしかねるのでございますが、先ほど申し上げたように、やはりその年その年の作況見込みというものを計算に入れなければならぬのでございますから、計算上どうしてもこれはある程度下って参るのではないかという気がいたしておるのであります。そういうような点がありますので、私どもといたしましても、やはり慎重にこれを考えまして、最も最近のデータを入れて考えるということになりませんと、事がきわめて農業生産上重要なことでありますので、慎重を期し、最も新しい正確なデータによって計算をするということにいたしたい、こういうふうに実は考えて目下計算をいたしておる最中でありますので、しばらく一つお待ちを願いたいと思います。
  15. 井谷正吉

    井谷正吉君 今の長官答弁はこれは平生の場合のお考えの上に立ったお答えのように思う。ことしはそういうときじゃありません。十六億貫が増産をされる、しかもすでに取引は行われ、その取引は昨年の支持価格と比較にならぬほどべらぼうな安値であります。大体重要農産物価格安定法を作った精神というものは、こういうことにならないために作ったのだと私どもは了解しておる、そういう普通のお考えでことしのような特殊な問題を処理せられるということは、私は非常に不満であります。お答えに対してのれん押しになってもしかたがないが、ほかにカンショ産地委員諸君に御意見がなかったならば、私は当委員会として最後の決議を一つやっていただきたい、こういうふうに考えます。
  16. 伊東岩男

    伊東岩男君 カンショバレイショ下落対策については、食糧庁長官ただいまお話のように大へん御心配していただいておる点は感謝いたしまするが、今同僚から質問がありましたように、昨年の最低価格の二十八円五十銭を下回ることは断じてできないというお話でございます。私どももむろん同感であります。そこで去年の二十八円五十銭という価格は、澱粉が千七百七十円した場合の、そうして澱粉含有量が二〇%の場合を大体基準にして御決定になったものと考えますが、さように承知していいのでありますか。といたしますと、ただいまの澱粉価格は少くとも二千円以上二千二、三百円ぐらいだと考えるにもかかわりませず、ただいまの取引はなぜこんなに安い価格取引されておるかということは、これはやはり早く支持価格を発表されるならば、大体それに近い価格取引される、かように考えるのであります。現在の取引、事実宮崎からの報告によりますと、宮崎は今後まだ二、三割ぐらいは量がふえるのでありますけれども、早掘りしたものがただいま一等で二十七円ないし二十八円、二等で二十四円ないし二十五円、三等で二十二円ないし二十三円と通知を受けておるのであります。この価格は、いわゆる霜が降る前後のほんとうの最盛期になりますならば二、三割量がふえたといたしますと、これは相当な安いもの、二十円以下になる価格に算定されることをはなはだ憂慮いたすものでありますが、これについての対策については近く支持価格を発表するというお話でありますから、これは一刻も早いことがいいのと、また別に対策がなければならぬと考えるのであります。それはこのカンショ価格にきわめて不離密接な関係のある砂糖、マイロ、トウモロコシ、糖蜜等輸入等に対してはどういう手を打っておられるのか、そのまま放任してあるのかという問題であります。この点は澱粉業者も非常に注目しておるところと考えるのであります。ただ支持価格を発表するということはきわめて緊急を要しますけれども、生産された現在が単に去年よりも多いという程度でだんだん価格を下げてもらうということは、農家に耐え得ない、かように考えます。なかんずく九州は非常な暴風雨でございまして、それによる減収は約一割二分と報告をいたしておるのであります。米でやられ、今度はカンショにおいて価格面でやられることは非常な痛手でございますので、この点について食糧庁長官の確信の点をもう一度はっきりしていただきたい、かように考えます。
  17. 清井正

    食糧庁長官清井正君 ただいまのお話の点でございますが、なるほどこれは今年のカンショバレイショを通じての問題といたしまして、早目支持価格をきめますことが必要であるということも十分承知しておるのであります。もうすでにカンショは出回っておるのでありますから、その点につきまして早目にやるべきであるということも私ども十分心得ておるのでありますが、ただいま御説明申し上げましたごとく、目下なるべく新しい条件なり数量等をつかみまして計算したいという気持でございます。それに基きまして私どもといたしましては最も適切なところで正確を期して参りたいというふうに実は考えておるわけであります。ただただいま委員からお話のございました通り、やはり出回り状況というものがありますが、現在の算定方式においてはこの価格計算されるという方式になっておるのであります。しかしまた一方農産物価格安定という法律の建前もある、こういうことであります。やはりそういったような状況を勘案しなければ価格のことはできない、そういうことがありますので、目下いろいろの事情を勘案いたしましてせっかく計算をいたしておる次第であります。いましばらくお待ちを願いたいと思います。正確なところで計算をいたしたい、こういうふうに実は考えております。私ども考えておる趣旨のことを申し述べました。
  18. 伊東岩男

    伊東岩男君 農林大臣にお伺いいたしますが、大体ただいままでカンショ下落対策について食糧庁長官の御意見は承わりました。なるべく早く農産物価格安定法を発動する、こういう御意見であることは当然なことであります。そのためにこしらえた農産物価格安定法でございますから、こんな年こそ一刻もすみやかに、そうして生産者を安心させる意味合いにおいて、また取引がきわめて公正に行われる意味合いにおいてやっていただかなければならぬと思いますが、農林大臣はこの対策についてはどういう腹組みでおられるのでありますか。なかんずく九州方面では非常な風害がございまして、米はうんとやられる、この上に頼みにしておりましたカンショは、価格の面において今日去年の半分になっている場合に、これは非常に重大な問題であると思いますが、農林大臣いかがなお考えでありますか。
  19. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 御説の通り非常に農産物がよくできまして、豊作飢饉というようなことにならぬように善処しなければなりませんことは申すまでもありませんが、さればと申しまして、一応従来とって参りました基準もございますので、それを無視してやるわけにも参りません。ただ一番考えなければならぬと思いますことは、手当がおくれまして、イモが出回って農家の手を離れてしまってあとから価格対策をやるというようなことでは非常に遺憾でございますので、要はすみやかに処置をとるということであろうと思うのであります。そこで大体今月中にきめるということになっているそうでございますけれども、これもできるだけ早目決定をいたしまして遺憾のないようにいたしたい、こう考えている次第であります。
  20. 伊東岩男

    伊東岩男君 農林大臣のただいまの御答弁によると、価格維持については従来の標準を無視してまではできないということでございます。むろんわれわれはそう無視されてまでやってもらわぬでもいいと思いますけれども、少くとも去年の価格の千七百七十円を基準にした二十八円五十銭というなまイモの価格維持はしていただきたいと思います。これを割るようなことがあっては私ども承知できぬのでありますが、農林大臣、その点をはっきりお答え願いたいと思います。
  21. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 それを今ここではっきり申せとおっしゃっても、はっきり申すわけには参りません。いろいろ数字を入れて計算するのであります。それがその通りでありますというならば計算の必要もございませんし、基準も要らないのでございます。そこで私はなるべく早く計数をつかみまして、それによって従来の慣行によりましてやっていくということよりほかに答えようはないと思います。
  22. 伊東岩男

    伊東岩男君 そういたしますと、いつまでに御発表になることができる事務上の準備ができておりますか。これは今月中にということにはなっておりますが、こういう工合に暴落するときには、一刻も早く決定してもらわぬとますます暴落すると思いますので、この点ははっきりしなければいかぬと思いますが、いかがでありますか。
  23. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 なるべく早目でありますが、大体二十日ごろまでにはやりたいと思っております。
  24. 井谷正吉

    井谷正吉君 大臣がお見えになりましたから、先ほど食糧庁長官には申しておいたのでありますが、御承知のように関東地方はイモの大暴落、昨年の支持価格を非常に下回っているわけであります。今年は御承知のような増産でありまして、どうなるかというので生産者は非常に不安にかられているわけであります。ただいままでの御説明によると、せっかく検討中である、慎重な御態度でありますけれども、本年はこういう事情で、すでにイモはどんどん出回って値段がばかに下っている、こういうときにこそ農産物価格安定法を敏速に適用するときではないかと思うのでありますが、せっかく一つ長官を御督励になって早く御発表になるようにお願いをしたいことと、ただいま伊東さんの申しましたように、昨年基準より下ればこれは大へんなことになりますから、お含みの上で御善処願いたい。お願いします。
  25. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 ただいまお答え申し上げました通り、大体二十日を目標にしてなるべく早くやるようにいたしたいと思います。それから価格の点でありますが、昨年より下ったら大へんなことになる。これは申し上げますように、よけい取れたらば価格が下ってしまって収入がかえって減るようなことになっては大へんでございますけれども、さればといって従来のおよそ畑作についての収入の慣行もございます。取れたら取れただけの収入が増すということはぜひそうしなければなりませんけれども、さればと申して政府の方でいたしますことは、最低価格の維持をしていくようにするということなのでございますから、それらの点は十分われわれといたしましても考慮いたしまして、米でやりましたように、米を早くきめてしまったらば、非常に豊作で収入が多くてよかったということになるとばかにうまいのでございますけれども、イモの方はそう必ずしもいきませんので、そこらの点はそういうことでいろいろああでもない、こうでもない、何かいい話はないだろうかというので、実は価格の算定も、急いでやれ、急いでやれとおっしゃるならばすぐに出ると私は思います。出ると思いますけれども、そのほかに何かいい要素はないだろうかと思って実は考慮しているというようなことで、せっかく苦心努力はしているわけでございますから、どうかそれらの点は一ついろいろ御協力はいただきたいと思っておりますが、一生懸命やります。
  26. 井谷正吉

    井谷正吉君 私はもうやめようと思ったのですが、大臣がああ言われますので一言申し添えておきたいことは、イモの場合、イモの価格を安定する上においてはほかのものと違う点がある。競合物資があるわけです。マイロとか糖蜜とか、こういうものについては期限的な手を打たれておる。これは感謝するのでありますが、トウモロコシが今問題になっております。そういう面も含んで、そういう輸入抑制とか使用制限等においてカンショ価格を維持していくというような点についても十分お含みを願いたいと思うわけです。
  27. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 その点は十分考慮いたしまして、私も注意をしてやってみるつもりであります。
  28. 綱島正興

    座長綱島正興君) 御報告申し上げますが、大臣は午後は差しつかえまして、午前中だけしか出席ができぬようでございますから、なるべく皆さんに割り当てて、ことに災害のことが一つもまだ出ていないようですから。
  29. 伊東岩男

    伊東岩男君 カンショの問題については大体農林大臣の御答弁を得ましたので、一刻も早く支持価格の発表を希望いたします。なおカンショはその他の農産物とは違いまして、澱粉は貯蔵ができるのでありますから、ほんとうに農林省が腹をきめていただくならば、相当価格澱粉の買い入れもでき得ると考えておりまするから、特にこの点お含みを願いたいと存じます。さらに台風の災害に関連して、米の問題についてごく簡単にお伺いしたい一、二の問題がございます。最近問題になっております米の統制撤廃の問題でございますが、予約制度は農民の非常な歓迎するところとなり、これは少くとも河野農政の善政だと私ども考えておるのでございます。この善政をもうおやめになるつもりでございますか。統制撤廃ということはこの善政をおやめになるということでございますが、さらにこれとからんだ配給の問題もございます。こういう場合にこそ私ども、まだ予約残の米も相当にございますので、うんと買い入れ、そうして配給量をどんどんふやしていくということが一番よい方針だろうと思います。ただいま農林省のおとりになっておるあの方法でなくて、やはり一般的に二十四、五日分くらいまでやられるような御構想はないものでございますか、その点を伺っておきたいと思います。
  30. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 最初に統制撤廃をやらないようにということでございますが、これは私はやると申したことはないのであります。今まで参議院でも申しましたように、やるやらないということは党の方でまずおきめ願うことでありますから、党の方でやることに方針がきまれば、それに基いて自分としても準備をして、準備の万全を期することができればやるべきだ、こう考えております。私は自分で独断でやるとかやらぬとかいうことは、これはこういう席で申し上げるのはどうかと思いますので差し控えたいと思います。  その次にもう少し配給量をふやしたらどうか、これは御承知通り政府が集荷いたしますものにつきましては、現行いたしておりますように、希望して買う者にはどんどん売り渡すということでやっていきたい、こう考えております。現在第二次の予約をいたしておりますが、これに応じていただいて、それが政府の方に入ってきますものについてはさらに考慮していきたいと考えております。
  31. 伊東岩男

    伊東岩男君 第二次の予約買付をおやりになる予定のようであります。これは相当量が集まるとこうわれわれは想像いたしております。ただし宮崎、鹿児島は少くとも三割平均くらい減収した、特に中には五割、六割の減収をした農家もございますので、これは別に考えていただかなければならぬと思います。やはり災害地にいたしましても、人によってはかなりまだ余力あるものもございますので、応じ得られると思いますけれども、予約分でさえも応じ得られない農家もあると思いますので、これの減額補正についてはどういう工合にお考えになっておりますか。
  32. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 それは本制度御審議の際に申し上げましたように、当然先般のような災害によって減収を見た分につきましては、減額補正をなすべきだと考えております。
  33. 綱島正興

    座長綱島正興君) このイモのことについて座長からちょっと申し入れをいたしたい。イモはただパリティだけでおやりになっても、澱粉がだいぶ貯蔵がききますので、今年のたまたまのパリティだけでしていただくことは、先ほどみんなと協議したのでありますが、これは非常に不当だという意見が強いのであります。それからただいま澱粉価格から逆算いたしますと、やはり三十円をこえたイモでなければならないのに、澱粉価格はアルコールの関係で下りっこない事情もございます。下れば非常にアルコール屋がもうかるということになるので、百姓が損をする。アルコール屋がもうかるということになるので、その点もよく御考慮願って、従って委員会の意向としては現行の今まで続いている二十八年ですか、二十八円五十銭のあれより下回ることは絶対あるべきでないという御意見も強うございますから、そういうこともお含みの上御決定を願いたいと思います。
  34. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 ただいま委員長の御意見でございますけれども澱粉価格から逆算してイモの価格が出る、これは一つ考え方だと思います。しかし従来の慣行もございますし、われわれとしても苦慮いたしておりますことは、従来の慣行によって計算をいたしますと相当下値になりますことは、皆様方がそろばんをお入れになってもすぐわかる通りでございますがしかし、そろばんを入れた通りに出すならば非常に簡単でございますが、その簡単なそろばんをそのままとっていいかどうかというところが、実は私といたしましても苦慮いたしておるところでございます。しかしそういう事情があったときに、そのときそのときにそういうものを変えていいかどうかということになりますと、慣行が一切めちゃめちゃになりますと、これがまた他の方面に非常に大きく響く場合が起って参ります。私がひそかに憂えますことは、今後農産物価格が国際的に下落の傾向にありますことは申し上げるまでもありません。それを、いかにして国内価格を維持していくかというところにいろいろ今後問題が起ってくるだろうと思うのであります。そういうふうにして、一方別の角度から消費大衆との間にいろいろな摩擦が起ってくる。その摩擦をいかに調整していくかというところに、さらに問題が大きくなってくると思うのであります。従いまして私どもといたしましては、一時的の問題のために従来比較的農村のために、各位の御努力によりまして計算方法その他が条件よく慣行が行われておりますものを、あまり慣行をくずすというくせをつけますると、そのためにいろいろまた問題が起ってくる点もあるのじゃなかろうかと私は思うのであります。従いまして、この点につきましては、別途委員の有志の方々、委員長その他の方々と十分御協議御懇談いたしまして、十分御意見を承わり、その上で私としては最後の腹をきめたいと思いますから、その点を一つ御了承をいただきたいと思います。
  35. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 当初に委員長を通じてお尋ねいたしますが、この二十二国会後の閉会中においては、衆議院の方は常任委員会あるいは国政の調査がやれないような状態になっております。それで十一日と本日協議会が開かれたわけですが、委員長相当博学の方であられるからお尋ねしておきますが、この協議会は国会法等に基いた場合、どの程度政府等に対する権威を持っているものであるか。またこういう異例な一つの状態において協議会等が開かれておるわけでありますから、この協議会の決定等については、政府当局においては、委員会決定等と同じような意味においてこれを尊重する意思があるか、この二点を明らかにしてもらわぬと、せっかく協議会を開いて真剣にいろいろな問題を討議してみても、それほどの重要な期待したものが得られない場合もあるわけです。その点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  36. 綱島正興

    座長綱島正興君) お答えいたしますが、法的根拠は協議会にはないようでございます。けれども協議会の意向というものを明らかにすることは、みな委員の皆さんがお集まりでございますから、これは委員会も協議会も実質的には違わぬようであります。そこで民主主義の立場からいって、国会の意向を尊重して政治をするという意味からいえば、大きな憲法の建前からいえば、何ら委員会と協議会の決議等は、効果は違わぬと思いますが国会法等の立場からいえば、協議会というものの法的根拠または何らかの権限があるかというような別段の規定はないようでございます。さしあたってどの法条によってこれがどういう効果を持つということは主張しがたいと思いますけれども、民主主義の大きな建前から、議会制度というものの建前から、憲法の基本的建前に立てば、やはり委員会とほとんど同等に近い効力を持つものだという解釈をして、この協議会に臨んだわけでございます。
  37. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 では農林大臣にお尋ねしますが、ただいま農林委員長であり本日の座長である綱島委員長からそういうお話があったのですが、政府当局はこの協議会の決定等に対しては、委員会が行う決定と同じような意味においてその態度を尊重される意思があるか。これをお尋ねしたいのは、十一日の協議会の日に、実は農林大臣が御出席になるということを見越して、この協議会が開催されたわけです。ところが中途において大臣は発病されて、出席ができないということになったわけです。それで本日は正十時から出席するのでもう一日協議会を延ばしてもらいたいということであったので、われわれは了承したわけです。ところが当日大臣は閣議に出席されておるわけですね。保守合同等の問題に対しては相当重要な発言をなさっておるわけなんです。ですから、私のここでお尋ねしたい点は、これは正式の委員会でない、協議会であるから、委員が自主的に自然発生的な意味でやっておるのだから、別に大臣がそこへ行くまでもないだろうというような軽い気持でおられたかどうか、この点を大臣みずから率直に明らかにしてもらいたいと思います。
  38. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 その点につきまして私から私の考えを申し上げます。この協議会は御承知のような事情で、前回の議会の最終に、普通でありますれば当然休会中にこの常任委員会が十分御活躍いただけるものであるべきはずのものが、そういう手続をたまたまとる時間がなかったということで今日のような情勢になっておることでございますので、われわれといたしましては、法的根拠につきましてはただいま委員長お話通りと思います。またこの運用については、われわれどもがとやかく申すべきものではないのでございまして、いずれこれは議運その他において適当に扱われるものと思います。しかしその扱いとか解釈がどうであるかは別にいたしまして、国政を運用いたします上において、衆議院の特別委員会の御意思を十分尊重して、われわれどもとしては万遺憾なきを期して参ることが当然妥当な処置であると思うのであります。そういう意味からいたしまして、協議会を開催なさるということを承われば、私といたしましては努力いたしまして、御希望があればこれに出席をして、この協議会の進行に御協力を申し上げ、また私の方といたしましても御協力をいただくことが当然であると思うのであります。たまたま前回十一日の協議会の日には、私は午後から出席するお約束をしておったのであります。午前中閣議に出席いたしましたところが、その前から実はかぜを引いておりまして、非常に工合が悪かったのであります。それでそのときに、実は午後一時でございましたか、午後一時過ぎでございましたか、出席する予定でおりましたところが、何分気分も悪いし、何とか一つきょうはごかんべん願えぬだろうかということを御連絡いたしましたところが、それではこの次、適当の日にもう一ぺん出席するかということでございましたので、むろん出席いたしますというお約束で実は御了解を得たつもりであります。そういうことで私といたしましては、決してこの協議会が正規の委員会でないからこれに協力する責任がないのだというようなことは毛頭考えておりません。きょうは実はまことに申訳ありませんが、午後、新聞記者の先輩の連中の十五日会という会がございまして、この会に前々から約束いたしておることを失念いたしておりました。委員長から土曜日はどうだということで、土曜日はけっこうだと御返答いたしたのでございますが、そういう都合で、実はきょうは午後からはごかんべん願いたいということを申しておるのでございまして、決してこの協議会になるべく出席をしない、委員会は勝手に協議会をお開きになるのだから、私は、できれば出るが、どうでもいいというような軽い気持考えておりませんことを御了解いただきたいと思います。
  39. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 それでは時間の関係で、三点ほど大臣に当面必要な問題をお尋ねしておきたいと思います。  第一点は、この十一月一日から、希望配給と称して、生産県以外の県に対しましては月三日、生産県に対しては月一日を基準として、配給日数をふやして、この売渡し価格を一升百二十円として配給するということが政府として御決定になっておるというふうに承わっておるわけでございます。これはいろいろな判断憶測が行われておると思いますけれども政府の立場にある農林大臣としては、あくまでもこの米の取扱いというものは、基本的にはやはり食管法に基いて、その法のワク内において運営されるというふうに私は考えておるのであります。それでこの際農林大臣から、このいわゆる希望配給なるものが、現行の食管法から見て消費者に対しまして——生産者からは全量政府が買い取る、それ以外に売ってはならぬということになっておるので、ここには問題がないのですが、それを政府消費者に国の責任において配給するということを行う場合において、それが今まで一カ月分の生活を支えるだけの数量配給されておった場合と違って、内地米の場合には、消費県においては八日、生産県においては十五日という範囲になっておるわけであります。ですけれどもこれではまだ足らぬということは明らかなんです。ですからこういうような豊作によって、政府が当初期待した集荷量よりも、たとえば四百二、三十万石よけいに集荷できるという場合においては、不足分に対しては政府の責任において増加して配給するということが当然であろうと思う。そういう建前の上から見た場合において、この希望配給なるものの真意がどこにあるかということを率直に御説明願いたい。
  40. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 御意見は十分拝聴いたしましたが、実は現行の食管法ないしはまた実際の米麦の動きというものは御承知通り事情でございまして、はなはだ遺憾のことでございますけれども、ここにやみ米相当量の移動、売買が行われておりますことは事実でございます。こういうことを一刻も早くなくす処置をとるべきこと、これはどなたのお考えも一致しておると私は思うのであります。しかしこれをどういうふうにするかということにつきましてはいろいろむずかしい問題があり、ないしはまた従来のように米と麦との消費量もしくは消費慣行というようなものにつきましても、必ずしも一律にいっていないというようなこと等々から考えまして、家庭によりましては、決して貧乏人は麦を食えというような思想でありませんで、むしろ見方によってはパン食の方が食べようによっては金がかかるという話もあるのでございます。そういうようにいたしまして、麦と米との消費慣行が必ずしも一致していない。従ってこの全量を一律に——これはやむを得ざる結果に出ておるとは申しながら、八日分の内地米配給であり、ある程度外米配給であり、準内地米配給であるというようなことをいたして、一方において麦でこれを補填しておるというところに、従来の食糧政策があったと私は思うのであります。そういうことでございますので、これをすっきり割り切って参るということは、今直ちにこれをやるということには、また別の意味においていろいろな問題が起ってくると思うのであります。そういうような諸般の点を勘案いたしまして、現在やみ価格で買っておる人にやみ価格よりも相当安い価格でこれを差し上げるということによって、各御家庭の生計費が相当カバーできるのじゃなかろうか、それをやることによってさらにやみ価格を下げることができるのじゃなかろうか、やみ価格を順次下げることによって、供出量も増してくるだろう、供出量が増してくるからさらにやみ価格を押えることができるだろうということによって目的を達成する。今申し上げるように、一気にすべてをすっきりと割り切っていかれぬ各般の事情がございますので、そういう処置をとったわけでございまして、申し上げるまでもなく配給価格で一ぺんにやるということが一番いいことであるかもしれません、それをやらなければならぬのかもしれませんが、それはわれわれどもの政策主張といたしましては二重価格制を主張いたしておりませんので、そういう観点からいたしまして、われわれどもといたしましては、一応現状はともかくといたしまして、今生産者農家から買い上げた価格に適正なる諸掛りを加えた価格でこれを希望者に配給する、売り渡すということによって、順次やみ価格を押えていって、そうして食生活を安定させていくということには相当の効果もあり、裨益するところが多かろうというふうな意味でこの処置をとっておる次第でございます。
  41. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 私のお尋ねしておるのは、現在の食管法から見た場合において、政府のお考えになっておるところの希望配給制というものに疑義があるのです。今の大臣の御答弁を聞いておると、一理あるようにも聞えるわけです。たとえば国内においてやみが行われておるということ、これは一つの事実であって、われわれもそういうことがないとは言わぬわけです。ただ今の大臣の御答弁によると、そういうやみに対抗する意味において、一般家庭がやみ屋から買うよりも、政府の手を通じて、国家的なやみのあっせんのルートを経て、一日分とか三日分渡した方が非常に都合がいいと思うということになりますと、希望配給というものはやみの取次的なことを食管法の中においてやろうという意図があるようにも聞えるのですが、そういう意味なんですか。今までの八日ないし十五日の配給日数以外は、これはやみに対抗する意味において、政府があっせん的にやみ米のそういう仕事もあわせて行うのだという、そういうことなんですか。
  42. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 今お話しになったようなことを言うておられる人もあります。しかしこれはわれわれがやっておることにやみであるとか何であるとかいうような言葉を無理につけて——だれもやみと思っておる人はないだろうと私は思うのであります。今申し上げましたように、農家の生産費に公正適正な諸掛りを加えたもので、最も妥当に消費者にこれを売り渡すということは、当然とるべき道でなかろうか。考えようによれば、生産費が上ったらば配給価格も上げろという意見もあります。しかし、それはわれわれどもはとるべきじゃない、配給価格消費者価格の方は現行のまま据え置きにしておくのだということを堅持いたしておるわけであります。そういうような点からいたしまして、今申し上げましたように、現在——現行という言葉は使いませんが、現在まで食糧問題について国内にとられて参りましたことは、いろいろな点において割り切れない問題をそのまま割り切ってこざるを得ない事情はあるにいたしましても、議論の余地が非常に多かった点があるのでございます。それを順次正常化して参りますには、一気に割り切ったことをやれとおっしゃっても、それはなかなかむずかしいだろうという点から、今申し上げた処置をとっておる。すみやかに御期待に沿うような点に逢着することをわれわれは期待いたしまして、そうしてこの価格で売り出すことによって、いわゆるやみ取引というものはなくなるだろう、やみ取引がなくなってくれば、そこに供出量は、さらに一そう正常のルートに乗る米がふえてくるだろう。そういうことになるときに、さて米についてはどういうふうにして——配給価格消費者価格の間に二重価格をおとりになるという御意見もございましょう、そうでなくして、私が申し上げますように、消費者価格生産者価格の間に妥当合理性を求めてきめるという意見もございましょう。そこに私は米についての基本的な考え方を——そういう正常なルートに乗ったときにあまり変化のないような状態にしておいて、そこに私は基本的な考えを検討して持っていくべきだ、こう考えておるので、その経過的な処置として当然とらなければいけない処置であると考えてやっておるわけであります。
  43. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 どうもその点がはっきりしないのですが、たとえば当初の期待量が二千三百五十万石、ことしは政府はなるたけ米をよけい集めたくないという御意思があることは明らかだと思う。ところが四百二十万石もよけい集まるということは、必然的に食管会計の中においてそれだけ赤字分がふえるということはわかるのです。ですから、その最初の期待量、計画量以上の分は、食管から赤字を出さないために、いわゆるコスト主義で一升百二十円に売り、食管の負担分は何も赤字を出さぬということでやろうとしておるのじゃないですか。やみを押えるとかなんとかいうことでなくて、それが一つの前提になって——大臣は今、絶対二重価格制でない、そうは主張しておらぬと言っておられるけれども、ことしの場合はやはり政府の経理負担分というのがあるのです。それがあるから赤字が出るという危惧があるのじゃないですか。二重価格制をとらないで、完全に経費を全部消費者に負担させるということになれば、全部一升百二十円にしてしまえば、政府は全然経費を負担しないで、ことごとく消費者に負担させるという方針に切りかえることが可能になってくるわけなんです。ですからここで具体的に申し上げますが、この希望配給制を実施した場合においては、生産県、消費県によって配給を受ける者の米の価格というものが、平均化した場合には変ってくるのです。たとえば消費県の場合においては、現行の八日に三日を加算した場合の百八円の米と百二十円の米を平均した場合には、一升どういうことになるか。それから生産県の一日ふやすという場合にはどうなるかということになります。これは希望配給だから高い米が要らなければ買わなければいいといえば、これは別ですが、当然米の絶対量が消費者の側において足らぬのだから買うことになる。しかも国が食管法に基いて生産者から買い受けた米を消費者に渡すのですから、そうすると国内における消費者に対する配給米価の不平等が必然的に起きると思うのです。そういった意味から食管法に照らした場合において、幾多の疑点が出るというようにわれわれは考えるのですが、そういう一つの食管法に基く判断の上に立った場合において、政府としては何らそこに疑義がないというのですか、その点はいかがですか。
  44. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 食管法自体につきまして、生産事情もしくは消費事情、経済事情の変化によりまして、この食管法は永久不変のものであって、一切変えてはならないというものじゃないと思うのです。事情の変化に適応して順次これを変えるべき時期が来れば変えていくべきものだとわれわれども考えておるわけであります。しかし変えなければならぬ限界に達しておるかどうかということは別の判断でございまして、少しでも変ったらすぐ変えなければならぬということじゃない。その傾向、方向をたどって、この限界が来たら変えなければならぬということはあるだろうと思います。その方向としまして、生産県の消費者と消費県の消費者価格は常に同一の価格でなければならぬ、これは食管法を厳として制定してこれでいくんだといって、この方向以外のものはやらない、いわば専売にひとしい方向でいくということになれば、それはその通りだと思います。しかしわれわれどもは順次こういう商品の自由化を意図いたしておるわけであります。その時期、手段、方法は、いつであるか、どうやるかということについては、目下われわれどもは検討中であります。しかし今申し上げますように、これをそういう傾向にあるべきものという観点からいたしまして、生産県の米を買う消費者の値段と、消費県の米を買う値段とが常に必ず同じでなければならぬということは、今申し上げたようなことでございまして、私はこれが順次変っていくことにある程度の妥当性があるのじゃないかと思うのでございます。しかしこれは議論になりますから、私の考えとしてお聞き取りをいただきたいのであります。  なおお話にありましたように、われわれどもが米を二千三百五十万石以上買いたくないとか、買う意思はなかったとか、あまり買いたくなかったというように御判断でございますけれども、われわれどもはこの春におきましては、現在の配給量を充足するにはこの程度の米の量でよろしい、それだけを主張して予約の行政措置をとっていくというふうにやったことは当りまえだと思います。しかし豊作である限りは幾らでも買います。なるべく多い方がいいのでございます。たくさん買いたいと思っておりますということは、その当時も私は申し上げたはずでございます。それで非常に幸いなことにこういう大豊作に直面いたしておるのでございますから、できるだけ買う。これは決して皆さんから非難を受けて買う処置に出たというのではないのでございまして、私といたしましては、この豊作の事実に直面いたしましたので、すぐに第二次の予約をしたらいいじゃないか、しようということでその処置をとっておりますし、その数量につきましても、希望されるだけたくさん買おうということに考えておるわけでございます。しかも買うだけでは、一方においてやみ米があったのではいけない。だからなるたけやみ取引のルートを押えて、そうしてこのルートにたくさん農家の方の御協力を得られるような処置も必要であろうということで、売りと買いとを同時に発表いたしました。そうしてこの効果の万全を期するように処置をいたしておるのでございまして、今御指摘のようになるべく買いたくないだろうというようなことは全くわれわれの考えと違うということを御了承いただきたいと思います。
  45. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 この問題は非常に重要ですから時間も長くかかるので、いずれ臨時国会等においてもたださなければならぬと思うのですが、ただ私のお尋ねしておるのは、これは農林大臣にお尋ねをしておるのです。民主党の実力者河野一郎氏に聞いておるのではないのです。政府である場合にはあくまでもその現存いたしておる法律に基いて、法律を守る、その精神を守るという立場において行政を行わなければいかぬと私は考えておる。もちろん保守党の諸君は、統制撤廃をやりたいという希望があるということは、これは明らかなんです。それを聞いておるのではないのです。その点は大臣としてもけじめをつけてお取扱いにならぬと、政府であるか党人の有力者であるかわからぬようなことでは非常に国民は迷惑をすると思うわけです。この点は御注意をする程度にしておきます。  その次は、先ほど各委員から御意見がありましたが、当面しておる澱粉等の価格維持の問題です。これは、国内においては九月十五日現在の作況指数を見ても八%生産増ということになっておるので、これも豊作であるということは明らかです。それで国内における需給関係から見た場合において、当然市場において値下り傾向が出てくるということは、これは避けられないことであるので、それだからして農産物価格安定法の趣旨に基いて価格の暴落を防ぐような措置を講ずべきであるということに主張が一致しておるわけです。もう一つは、国内においてそういう価格面には一つの不利な要素が生まれておるにもかかわらず、国際的な問題を大臣は先ほど言われましたが、この外国の食糧等の輸入が与える影響というものを軽視してはならぬ。たとえばマイロ輸入の問題であるとか、あるいは糖蜜の問題であるとか、それらが直ちに国内のイモ類の値段や澱粉価格に影響を与えておる、これは事実なんです。しかし政府が最近とっておられる方向というものは、国内の農産物価格維持ということにあまり重きを置かないようなことで、安易に外国からそういうような農産物輸入されておるということは軽視することができないと思う。ですから国内における価格維持をやる場合においては、そういう国外からの農産物輸入等の問題に対しても、国内の生産量とか需給趨勢と見合ったような立場の上に立って処理される必要があると思うのですが、その点はいかがですか。
  46. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 先ほどもお答えを申し上げたのでございますが、ただ一つつけ加えておきたいと思いますことは、糖蜜のごときは、私はもうよほど必要の最小限度、ぜひ糖蜜でなければならぬというものは別でございますが、それ以外には決して入れちゃいかぬということを厳重に言っておりますから、そんなに糖蜜が入っておるとは思いません。  それからマイロの方は、これは一方におきまして飼料を安くする意味において必要であるというような関係から、飼料用としてマイロ相当に入ったのじゃないかと思います。それからまた一方において、イモが豊作であるかどうかということの見通しのつく前に入れたものが入っておる。これが豊作であることがわかっていて、それからあとでなおかつマイロをどんどんアルコール用に入れてよろしいというようなことは毛頭考えておりません。もうそういうことになりましたから、下期の為替の分につきましては、マイロは一切許さないということに厳重にしてあります。そういうふうにして、押えるべき点は遅滞なくやっておるつもりでございます。しかし今申し上げるように、その豊凶のわかる前に買ってあるものでおくれているものとか、正当に入ってくるものが入ってきて、それがイモの豊作とぶつかって悪い影響を与えておるということははなはだ遺憾に考えておりますが、事情はそういうことであるということも御了承いただきたいと思います。  なお澱粉価格、イモの価格等についていろいろ御指摘がございましたが、これは先ほど委員長に私が申し上げましたように、われわれといたしましては細心の注意を払って、なお各位の御意向も十分承わった上で善処いたしたいと考えておりますから、これはいずれ別の機会に十分御懇談申し上げた上で行政処置をとっていくということで御了承いただきたいと思います。
  47. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 それでは外国から来る、澱粉の値下りを促進させるような競合物資は、現在の判断の上に立った場合には善処するというのですね。たとえば最近畜産行政を通じて、マニトバ五号を政府が横流しした問題であるとか、あるいはマイロが純然たる飼料であるにもかかわらず、それがアルコールとかいろいろな方に回っておる、そういう傾向が非常に強い。これは前国会においても委員会等において指摘された問題なのです。最近そういう飼料に擬装してそれ以外に流れるといった、輸入物資の一つの流れがだんだん露骨になってきておる。そういう点はやはり農林大臣の所管の仕事なのですから、十分目を通して、そういう悪い傾向の現われるような場合においては、一つ大臣の国際的な感覚でも何でもいいですから善処してもらいたい。
  48. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 今お話の点でございますが、たとえばマニトバ五号につきましては、前田会の末期におきまして、これが他の方面に流れるということでだいぶん御意見がございましたので、実は畜産団体の方は、現在でも前のように戻してくれという要望が強いのでございますけれども、これは厳重に指示いたしまして、政府の払い下げ以外のマニトバはないのでありますが、飼料用として払い下げますマニトバは全部ひき割ってカーボンを入れたものにして払い下げをいたすことにしておりますから、他の方面に流れるということは絶対にないと御了承いただいていいのじゃないかと思います。それでもまだ行くということになれば、もっとほかの処置を考えてやっていきたいと考えております。マイロにつきましては、ただいま申し上げました通り、十月一日以後は為替の割当をやめて、マイロは入れてはいかぬということにしておりますから、これは澱粉の問題が解決するまではやらせない、これもここではっきり申し上げておきます。糖蜜についても先ほど申し上げた通り、工業用か何かでどうしてもこれだけはなければいかぬというものは、特に通産省から指定してきますればともかくといたしまして、そうでないものについては農林当局としては同意いたしません。これもはっきり申し上げておきます。そういうふうに御了承願いたいと思います。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 次に災害問題でありますが、これは十一日の協議会においてもいろいろ討議が行われたわけでありますが、ここで御指摘申し上げたい点は、今年の春以来の災害等に対しまして農林当局のとられておる施策というものは、昨年、一昨年の災害対策等に比べて相当消極的であるということが言えると思うわけです。災害中に大臣も外遊等をされておったわけでありますが、ちょうど議会も閉会中でありますし、災害対策を要約した場合においては、たとえば農業問題につきましては、農地あるいは農業施設の災害復旧に対して積極的な手を伸ばしてもらいたいという点と、それから被害農家に対しましては、今後の再生産を行う上においても営農資金を配慮してやる必要はどうしてもあるわけです。さらにもう一点は、収穫を失った被害農家に対しましては、営農資金だけでなくて、もっぱら働いて次の生産に食いつなぐという必要がありますので、これは救農土木事業等を速急に起す必要があるというふうに考えるわけでありますが、この三点につきましても非常に問題の解決が進んでおらないのであります。それで大臣もお帰りになっておりますので、これは大蔵当局とも十分に話し合いを進められて、速急に七月以降の水害あるいは今回の二十二号、三号台風の処理等に対しては、大臣の責任においてその方針を明らかにされる必要があると思うのですが、何か大臣としてのお考えがあれば、あらためてこの機会に御発表願いたいと思うわけでございます。
  50. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 災害に対する対策は、今お話のありました通り、各手段を講じて万全を期さなければならないことは申すまでもございませんので、われわれは災害対策について、適当になおざりにしていくという考えは毛頭持っておりません。時期がおくれては何もなりませんから、遅滞なくこれを善処しなければいかぬということは十分承知いたしてやっておるわけでございますが、何分前回の東北、北海道の場合にいたしましても、われわれの方が進みましてもむしろ地元の調査でありますとか、地元の書類の提出でありますとかがおくれてなかなかうまく行きません場合があったり、ないしはまた地元の方の出してこられます書類に不備な点がございましたり、ないしは不備とは申しませんが、必ずしもわれわれの方で妥当と思えないような数字があったりいたしまして、われわれの方といたしましても係を派遣して調査をし、十分の処置はとっておるつもりでありますが、はなはだ遺憾なことには、結果においてこれらの災害対策が常に問題になりまして、非常に遺憾の点が多く現われて参ります。そういうようなことでございますので、やるときには早くやれといわれる、何分広範囲にわたり、調査その他も地元の提出されますものによってやらなければならぬ、これによってやれば結果において必ずしもいい結果が出てこないというような場合が従来多かったものでございますから、これについて十分調査をしておればおくれてしまうというようなことで、なかなか思うようにうまく行きません。たとえば北海道の場合には、北海道の方から出ておりますものとわれわれの方でこれについて考えておりますものとの間に、まだ数字の点において一致しない点があるというようなこと等のためにおくれているものもあるという実情は、御承知通りであります。これらにつきましては、すみやかに地元の御要望も十分承わり、われわれの方の意見も聞いていただいて、一致点を見出して進めていくようにいたしたい。なおこの間に完全な一致を見て参りませんと、大蔵省に持って参りましてまたここでいろいろめんどうのありますことは御承知通りであります。そういうようなことでございますから、御趣旨は十分了承いたしまして、なるべく一生懸命やることにいたしますから、しばらくお待ちを願いたいと思います。
  51. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 その点はぜひ誠意を持ってやっていただきたいと思いますが、先日大蔵当局からの報告を求めた点によっても、六月以降の災害復旧につきましても、査定が済んで財務当局へ要求している金額を見るとまだ十二億円足らずの程度なんです。それから営農資金に対しましても、六月、七月、それ以降、それまでの分を入れて、大体五億円と四億五千万ですから、九億五千万しか、四月以降の災害地に対する営農資金の配分が行われておらぬという程度であります。救農土木事業等の問題に対しては、何ら具体的な方針がきまっていないということになると、大臣の御心配になっているように、現地から資料が出てこないというようなことよりも、むしろ農林省当局としては、財政的な関係もあるかもしれませんが、非常に災害対策に対し萎縮しているのであります。そういう点は、一つ農林大臣の迫力をもってこれを打開してもらわぬと、ことしの災害対策というものは何ら実を結ばぬということになると思うわけで、十分その点は御注意願いたいと思います。  それから最後にお尋ねしたい点は、これは明年度の予算あるいは農業政策に関係のある問題でありますが、最近政府は、農業改良基金制度なるものを検討されておるように聞いております。これによりますと、ほとんど今までのいろいろな農業保護の建前の上に立った、法律に基いた補助金等を、全面的に農林省自身が廃止することにして、単にこれを融資的なものに切りかえるという構想であるというふうに考えられる。これが行われた場合においては、これは非常に農業政策上の大きな変貌であると考えられるのです。完全に農業保護的な政策を一擲して、大臣の年来の主張である流通面に重点を置いたところの政策にこれを切りかえる、そういう意図であるとするならば、今から方針というものを明確にしていただきたいと思うわけでありますが、幸いの機会でありますから、農業改良基金制度を中心にした今後の農政に対する見解というものを、この際お述べ願いたいと思います。
  52. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 今私の考えておりますことと、ただいま御質疑になりましたこととは少し食い違いがありまして、かえって誤解を解いていただく意味において、まだ十分取りまとめておりませんけれども、ごくずさんな素案としてお聞き取りいただきたいと思います。  元来農林省予算の中にあります補助金の制度、これがわが国の農政の上におきまして非常に大きな役割を果し、これがわが国の農村事情の非常に千差万別あります中に、補助金でやれば、今のように非常にこまかく分けていかなければならないようになりますことは、申し上げるまでもないことであります。しかしこれを補助金でやりますると、また一面において、現在のような非常に少額のものをたくさん並べてやらなければいかぬようになりますので、脆弱性もありまするし、またそこに弊害もありますることも御承知通りであります。そこでこれを何とか形の変った、しかも現地々々に適応性のあるものに、効果をあげる面において考えられないかということでいろいろ考えました結果、今素案として研究中のものに、今お話のような基金制度を考えておるわけでございます。この基金制度は、流通面にばかり力を入れて、保護助成の面を放擲する傾向に行くつもりだろうということでございますが、決してそういう意図から出ておるのではないのでございまして、従来の保護助成の流し方、やり方を、別の考え、別のやり方でやる方法はなかろうかというので考えたのでございまして、しいて申せば、各都道府県に現在よりもより一そうの責任を負っていただきまして、都道府県の必要性を十分に強く考慮のうちに入れていただくことにいたしまして、さらには各農家もしくは団体の要望を強く取り入れることにいたしまして、むしろ上から流す金ではなくて、下から要求される必要にこたえていくというところに重点を置いて考えるわけにはいかぬだろうかというふうに考え——私の考えといたしましては、少くとも今年補助助成資金として政府が出した金を、ふやしても減さない意味におきまして、その金額を増額いたしましても、金額を減すという意味合い考えるのではないのでございますから、減さないという意味におきましてこの基金制度を考えていったらどうだろうか、この基金制度は政府が従来通りに府県に流します金を、従来のように府県には出してやる。府県は政府が流します金に対して、府県の分担分を府県が負担する、この中央と地方との金を合せたものを府県に特別会計を持たせる。その特別会計の運用を府県が中央の示唆、指導いたします目途に合致するように、また府県の委員会その他によって府県の実情に合うように、これを府県の要望によって流すようにしたらどうだろうか、つまりこの件については、政府の方で考えているこの費目よりも、こちらの方により以上多く使いたいという場合には、それをのけてもその方によけい流すという場合もあるでございましょうし、ないし、また政府の方で大体調査をしてやるというよりも、地方の実情に対して、地方の要求によってやるという場合もあるでございましょうし、ないしはまたあまり要求度の強くないところに画一的に流すものを、地方の要求の強いところにより多くやるという意味は、すなわちこの資金は長期にわたって返還をしていただく貸付金である、しかし利息は取らない、無利息であるということで行ってみたらどうだ、というようなことを今考えているわけであります。しからば補助助成の案は全部やめてしまうのか、それはそうは参りません。これが補助助成の方法でなければその目的を達成できないというものにつきましては、これは当然補助助成の予算として別建てに建てておく、今申し上げるように、一本にまとめて流して、その地方々々の実情に沿うようになるものについては、今申し上げるように基金制度でやったらどうだ、この二本建てで行こうと考えて、せっかく検討中であるというように御了承おきをいただきたいと思うのであります。なおこれらにつきまして、いろいろ御注意なり御示唆がいただけますれば十分承わって、今せっかく案を検討中でございますから、その中に取り入れていくことができれば、より以上われわれといたしますれば仕合せだと思う次第でございます。
  53. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 私の申し上げる意味は、従来とかく大蔵省が中心になって農林省関係の補助金整理を一生懸命にやってきた。それが今度は立場をかえて、農林省自身の中からこういう補助金をなくして、それを融資を重点にした方針に切りかえるというような傾向が生まれてきたということは、これは見のがすことはできないと思う。たとえば、ただいま構想を承わると、耕土培養、あるいは土相の改良とか、特殊土壤の改良であるとか、そういうような耕土培養に関するようなものは、これは全部補助金はやめるというような話、特にこれは耕土培養法という法律が現存しているわけです。あるいは最近できたばかりの保温折衷苗しろの事業の問題、桑園改良事業の問題こういうような必要欠くべからざるものを補助金対象から全部除いてしまって、奨励資金の貸付のような形に切りかえるということになると、あとに何が残るかということです。補助対象になるようなものは結局育種ぐらいのものしか残らぬということになるのです。これは実にゆゆしい問題であるというふうに考えるわけです。ただ補助金があるとかないとかいう問題でなくして、今後の食糧の生産性の向上を基本にしたこういう政策が非常に変貌するということは、これは重大な問題であると考えるのです。ですからこの点に対しましても、いろいろまだ内容をただしたい点はあるわけでありますが、相当慎重を期して考えられないと、これは協議会だけの問題でなくして、この次には臨時国会とか通常国会が控えているのであるから、そういう軽々しい考えでいろいろな構想を打ち出すことは、これは慎まれたらどうかというふうに考えるわけです。
  54. 伊東岩男

    伊東岩男君 議事進行。ただいままでイモ類の価格維持について論議されました。これは非常に重大な問題でございますので、これを集約して、決議として皆さんの御賛成がありますればこれを政府に申し入れたい、こう考えるのでありますから、ここに案文を申し上げて御賛成を得たい、こう考えるのであります。    昭和三十年産イモ類価格に関する件   昭和三十年産カンショ等は全国的に大豊作が予想され、一方需要の伸び悩みから掘り取りの最盛期を控えその価格は暴落しつつあり、イモ作農家は多大の不安を与えられている現状である。よって、政府は早急に農産物価格安定法に基き、昨年度買い入れ価格を下回らない価格澱粉及び切りぼしイモの無制限買い入れの処置を講ずるとともに、本法制定の際の附帯決議のごとくトウモロコシ、糖蜜、マイロ等の競合物資の輸入を制限し、もってイモ作農家経済の維持安定、国内資源の活用、ひいては国民経済自立達成のため遺憾なからしむべきである。   右本協議会の総意により要望する。 以上のような決議をいたしまして、そうして政府にこの実行を迫ることが必要だと考えます。満場の皆さんが御賛成であるならば、委員長において適当に処理されるように望みます。
  55. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 先ほど私は委員長の御意見お申し出がありましたので、それにお答えしましたように、委員の諸君と十分御懇談を申し上げて事務を取り進めていきたいということを申し上げているわけでございます。今伊東君の御提案になっておりまする御決議をいただきましたが、これはいろいろむずかしい点がたくさんございます。無制限に買い上げろとおっしゃいましてもなかなかそういうわけに参りません。数字をきめてやるということになっております。そういう関係で、諸般の点で検討を加えなければなりません点もございますので、せっかく御決議をいただいたが、その決議通りに運用ができないというようなことになりますと、私としてもせっかくのこの協議会の御意見をその通り実行ができないということは非常に遺憾でございます。従って十分御懇談申し上げた上であらためて御決定を願うということに一つお取り計らい願えれば大へん仕合せだと思う次第でございます。
  56. 伊東岩男

    伊東岩男君 この決議を一般に諮っていただきたいと思います。農林大臣意見意見として承わっておきたいと思います。
  57. 綱島正興

    座長綱島正興君) お諮りいたします。ただいま農林大臣意見もございました通りでございます。そこでこれを伊東委員の動議の通り本協議会で取り扱うことにいたしますかどうかをまずお諮りいたします。
  58. 川俣清音

    川俣清音君 ちょっと休憩してもらって……。私もその趣旨に関して反対だという意味で提案するわけじゃございませんが、農林委員会はできるだけ全会一致の方式をとりたいと思うのです。ことに協議会でございますためにそういう形式をとるのが妥当だと思うので、民主党の与党の諸君の意見も十分聞いて採決する方が妥当じゃないかと思うのです。
  59. 綱島正興

    座長綱島正興君) ただいま川俣委員の御意見もございましたが、いかがですか、ちょっと休憩してやりますか。——ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  60. 綱島正興

    座長綱島正興君) 速記を始めて下さい。  先ほど伊東委員より、カンショバレイショに関する要望決議が動議として出されましたが、これを本協議会の動議として取り扱うことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 綱島正興

    座長綱島正興君) では皆さんのこの動議に対する賛否を問いますが、ただいまの伊東君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 綱島正興

    座長綱島正興君) 御異議なしと認め、全会一致でこの要望決議を決定しました。(拍手)  農林大臣
  63. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 カンショバレイショ価格につきまして非常に重大なる時期に、ただいま当協議会から重要な御要望がございましたので、私といたしましてはさっそく各派の有志の方に適当な時期にお集まりいただきまして、その御意見を十分拝聴いたしまして善処していきたいと思います。さように御了解願いたいと思います。
  64. 井谷正吉

    井谷正吉君 関連して……。これはただいまのカンショの問題とは課題は違いますけれども、内容に関連性があるから質問いたしたい。時間の関係がありますから、要点だけ二点お伺いをしたいと思います。  第一はコカコーラの問題でございます。仄聞するところによると、農林省においてはコカコーラの輸入について、御賛成のように承わっておるのでありますが、これについての御見解を承わりたい。  いま一つはミツマタの問題でありますが、現在ミツマタ生産者は、大蔵省の買い上げの原料において非常に困っておる。これは大蔵省関係でありますけれども、しかしミツマタそのものはわれわれの範囲に属するものでありまして、これがマニラ麻の輸入であるとか、あるいは今話題に上っておる百円の銀貨の鋳造、こういうことで産地は非常に困っておるわけでありますが、農林省として、大臣はこの二点についてどういうお考えがあるか、まず最初に承わりたい。
  65. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 コカコーラを、従来駐留軍並びにその関係者の消費いたしておりますものを、内地におきましてその設備を——あまりよく知らないのですが、こちら側の人がそれを作って、こちら側の計算でそれを売るようにする、並びにそれは一般の市販には回さないようにするというようないろいろな制約条件をつけて、コカコーラの原料の輸入政府に申し出いたして参っておりますことは事実でございます。これにつきましては、内地のあらゆる飲料水と競合する場合もありましょうし、さらに農林省といたしましては、柑橘製品の飲料水との関係もございますので、これらを十分慎重に取り扱わなければいけないということで、かねて検討を加えるように言っております。ただこの際一つ申し上げて御了解を得ておきたいと思いますことは、賛成をする人も非常に多ければ、反対をする人も非常に多い。ことに私ははなはだ遺憾に考えますことは、先般、ミカンを利用しております二次製品であります飲料水について、農林省がこれの奨励の意味において十分配意をいたしたいというときに、今と同じような意味において、これに対して猛烈な反対があった。これについては、なかなか強く各方面では反対をしておる。そしてミカンの製品の使用量を増加するように処置することにいたそうとしたのでございますが、これまた同様に飲料水の製造業者から強い反対があったのであります。それらと関連いたして考えてみますと、今度のコカコーラの問題は、単にコカコーラが農産物関係の製品を圧迫するというような意味でのみ考えられない節もある。その裏面には非常に複雑多岐な関係があるようでございまして、私といたしましては、今申し上げましたように慎重に取り扱わなければいけない、軽々にこれを許すべきものではないということはこの際はっきり申し上げることができますし、またそれをやることによって今の農産物加工に影響がないということに制約ができますれば、他の国内の飲料水を保護するというようなことは農林省はあまり関係のないことでありますから、これらの点について今後十分調査検討を加えまして、皆さんとの十分なお話し合いの上で善処して参るということをここに申し上げて御了解を得たいと思います。  第二のミツマタの点につきましては、今私も十分研究しておりませんから、さっそくそれらの点は調査いたしまして勉強することにいたします。
  66. 井谷正吉

    井谷正吉君 私どもの非常に心配しているのは、柑橘の生産地が一億五千万ぐらい生産を上げており、しかも年々五百万貫から千万貫の増産を上げて、実際は生産過剰のような段階にこれも入っている。こういう場合に、ジュースの工業が起きましてこれで調節をしているわけでありますが、参議院においての大坪さんの御答弁を見ると、これは駐留軍であるとか観光客だけでなく、一部一般に認めるという内容を含んでいるような御答弁が速記録に出ているわけであります。そうすると、現在外国タバコでも同様でありますが、いけないといっても市中に出ている。しかも一部市販を認めるということになれば、これが拡大されていくということになり、従って柑橘類に非常な影響を及ぼすということを私どもは心配しているのであります。大臣はまだお帰り早々で、これらの内容を十分御検討になっていないのでありますか。  そうすると、吉川さんも今晩御出発でお時間がお急ぎであろうと思うから、要点だけ申し上げますが、あなたは前に農林委員をしておられた当時、十六国会でしたか、コカコーラについてはトップを切って反対せられた。これは速記録に明らかに載っております。この問題が起きたときに、自分は農林委員としてはっとしたというような言葉を使っておられるのでありまして、非常に驚いたような表現をしておられるのだが、今回次官になられて政府の立場に立たれて心境が変られたのか、この点を、あなたもせわしかろうと思うが、御答弁を願いたい。
  67. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 一部市販というようなことを農林省は考えていないのであります。これははっきり申し上げておきます。一部市販を許すというような意味において原料の輸入を認めようとは考えておりません。御承知通り、これはどこまでも原料をアメリカから輸入する為替を許せということでございますから、その原料の輸入量について制約を加えればそれだけで済むことだと私は思っております。しかし、そう申したからといって、私の答弁は先ほどの答弁通りでございまして、しかも政務次官も一部市販を許すというようなことは申したことはないと、われわれはみなそういうふうに考えておりますから、そういうようなことを答弁されたことはないと私は思っております。
  68. 井谷正吉

    井谷正吉君 これは次官がそう言われたのではありません。この問題については、経済局長の大坪さんが一任をされており、そうしてまた、市販を一部認めるとの内容の答弁が参議院の速記録に載っておりますから、これは大臣と御見解が違うと解釈してよろしゅうございますか。
  69. 大坪藤市

    ○農業改良局長大坪藤市君 ただいまの問題でございますが、私現在は改良局長を拝命いたしたのでありまして、経済局長当時の参議院での答弁についての問題でありますが、お許しを得まして御説明を申し上げたいと思います。あるいは言葉の行き違いと申しますか、そういうふうなことになっておったかもしれませんが、実は私といたしましては、決して市販を許すというような意味じゃなしに、販売については厳重に制限をする、外人専門のホテルでありますとか、飛行場でありますとか、あるいは外国の船舶でありますとか、そういうように主として外人の来るところに制限する、こういうような趣旨をずっと申し上げておったのであります。私といたしましてはもちろん速記録の内容を一々あらためておりませんので、ここにはっきり申すことができませんが、私の答弁いたしましたところは、何回も答弁をいたしておりますのであるいは中にそういうことがちょっと質疑で出たかも存じませんが、私どもとしましては、ずっとそういうような御答弁を申し上げたつもりでございますから、もしその点間違いがございましたらお教え願いたいと考えます。
  70. 井谷正吉

    井谷正吉君 大臣がお急ぎのようだから私の質問はこれでいいのです。あとはこまかいことですからほかの方に……。
  71. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 大臣に今の問題に関連してお尋ねいたします。さっきの百円硬貨とミツマタとの関連について、大臣はさっきそういうことは聞いておらぬという御答弁でございました。この重要な問題に対して聞いておらぬということは、私は看過できないと思う。一体ほんとうに知らないのですか、知らない振りをしておるのですか、この点。
  72. 河野一郎

    農林大臣河野一郎君 私不敏にしてまだ聞いておらなかったのです。しかし今聞きましたら、事務当局で十分調査研究をしていろいろと話し合っておるという報告を受けました。
  73. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 それでは事務当局が大臣に話をしなかったというのはどういうわけです。重要な問題を大臣が知らないで済ますということはないと思う。
  74. 吉川久衛

    ○農林政務次官吉川久衛君 実は私承知をいたしておりましたが、大臣は帰られてまだ日が浅いものですから、その点連絡がはなはだ十分ついておりません。大体淡谷委員の御質問のような考え方で私の方はただいま大蔵省と折衝いたしております。
  75. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 おかしな話だ、私は質問していないのです、井谷委員から……。そんなふうな無責任の答弁をされたらしようがない。具体的にはどうなされるというのですか、次官でかまいませんが、一つお答えを願いたい。
  76. 吉川久衛

    ○農林政務次官吉川久衛君 農林省といたしましては、ミツマタの生産農家の立場を擁護すべきであるという考え方に立っております。
  77. 井谷正吉

    井谷正吉君 大臣はお帰りになっていいのですが、今のコカコーラのことで私は吉川さんに質問しているがお答えがない。その結末をつけて下さい。
  78. 吉川久衛

    ○農林政務次官吉川久衛君 コカコーラの問題でございますが、ただいま大臣お答えになった通りでございます。先ほど私がかって反対をしたという点についての御指摘でございますが、それだけに当時からの事情をつまびらかにいたしておりますので、そういう点も考慮に入れてただいま検討をいたしております。私の今日まで承知いたしておりますところによりますと、これは米軍が現在本国から持ってきて扱っておるものをそっくりそのまま日本へ——その加工あるいは納品と申しますか、今まで米軍が入れていたところへ入れる権利をこちらに譲ってくれる、しこうして取扱いの程度もその範囲内でやるというふうに承知をいたしております。そこでそれらの条件によって検討をいたしておりますが、賛成の方あり、反対の方あり、反対の方々の了解なくしてこれを実施するというわけには参りませんので、十分各方面意見も聞き、また農林省の立場で柑橘生産業者の立場も顧慮いたしまして、目下検討中でございます。
  79. 井谷正吉

    井谷正吉君 これはコカコーラを輸入して、進駐軍や観光客だけだ、こういうような問題と、それから私が考えるのは、これの基本的な問題は、将来の日本の果樹政策をどう立てていくかということから掘り下げていかなければいかぬ問題であります。これについてのお考え一つ承わりたいと思います。
  80. 吉川久衛

    ○農林政務次官吉川久衛君 日本の果実の生産は近年非常に発展をいたして参っておりますことは御案内の通りでございますが、それの一次加工、二次加工等をいたしまして海外に相当輸出もされているような状況等もございますので、わが国の狭い国土で多くの人口を養っていくためには、国土の高度の利用ということを考えますならば、私は果樹園芸についてもう少し政府が力を入れていくべきであるという考え方に立っておりますので、この点については今後特段の努力をしなければならないと考えております。
  81. 綱島正興

    座長綱島正興君) この際ちょっとお諮りをいたします。この協議会でおきめを願いたいことは、御承知通り八郎潟が次の開発地に予定いたされておりますので、八郎潟視察に——承知通り委員会というわけには参りませんので委員派遣という形でなく、協議会でとりきめまして、実際はこの農林委員の中から各党から御視察を願いたいと思いますが、さような手続をとることに皆様御異議がございませんでしょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 綱島正興

    座長綱島正興君) そういたしますと、各党から一人以上ということになっておりまして、大体各党おきまりのようでございますが、自由党だけがまだきまっておりませんから、この点は鈴木さんにごあっせんを願いたいと思います。日程は二十日木曜の二十一時三十分上野発ということになっております。あとの詳しい日程は川俣委員が主として交渉されたりしておるようでございますから、この点もお打ち合せを願いたいと思います。     —————————————
  83. 綱島正興

    座長綱島正興君) おそれ入りますが私だけ一つおいとまをいただきたいと思います。代理を鈴木理事にお願いをいたしますからどうぞよろしくお願いいたします。     〔座長退席、鈴木(善)座長代理着席〕
  84. 鈴木善幸

    座長代理(鈴木善幸君) 池田清志君。
  85. 池田清志

    ○池田清志君 第二十二号の台風が襲来いたしますと、その翌日私ども、自由党の中馬代議士、当時の左社会党の有馬代議士、当時の右社会党の小牧代議士並びに民主党は私が、それぞれ党を代表いたしまして台風二十二号の襲来いたしました大分、宮崎、鹿児島、熊本の四県にとりあえず慰問の派遣をせられたのであります。私ども一行は一緒になりましてそれぞれの県に参り、知事及び議会の議長あるいは農協の関係の方々からいろいろと御報告を受けまするとともに、さらにまた災害のひどい現場につきまして、いろいろと視察をさしていただいたのであります。これらの被害の状況につきましては、関係府県からそれぞれ当局にも参っておりまするし、当委員会におきましても御研究でありまするから、その重複は避けまするけれども、ここにその要点を集録いたしたものがあります。これによりまして、この台風の特徴とでも申しましょうか、このことをまずもって申し上げたいのであります。すなわち被害総額からいたしまして、鹿児島県が二百三十億円、宮崎県が百二十八億円、大分県が五十四億円、熊本県が五十二億円、こういうことになっておりますが、これはつまり鹿児島、宮崎相当にやられておるという常識的な現われになると思います。  次には農作物の被害及びお米の減収のところをごらんいただきますと、この台風の被害が農村に現われておるということが一つの特徴でございます。さらにまた住家のところをごらんいただきますと、今回の台風の被害が住家に現われておるということであります。土木被害、学校被害をあげておりますが、これは幸いにも公共施設には被害があまりなかったということをお示しをいたしておる次第であります。これらの対策につきましては、政府はもとより当委員会におきましても、それぞれ御研究を願っておるのでありますが、私は政府対策を立てまする際の具体的な問題につきまして数項お尋ねをいたしたいと思う次第であります。  まずお米について申し上げますが、今回の台風によりまして、相当に減収のありますことは、政府の当局におきましてもすでに集計をしておられます。まず政府の減収見込みの集計がどうなっているかということをお尋ねを申し上げます。
  86. 野田哲五郎

    ○農林経済局統計調査部長野田哲五郎君 十月の十四日までに報告のありました被害の状況をまとめてみますと、水稲におきまして被害面積は三十八万五千町歩、減収量は七十三万三千石であります。陸稲は三万三千町歩の被害面積に対しまして、減収は五万九千石、合計いたしまして、稲の被害面積は四十一万八千町歩でございまして、減収量は七十九万石、かようになっております。
  87. 池田清志

    ○池田清志君 政府で集められましたところの減収の見込みと私ども四県にお伺いいたしまして、県当局が集計いたしましたところのお米の減収見込みに非常に違いがあるわけであります。四県におきます減収の集計は百二十六万石、こういうことになっております。農林省におきましては作報によるところの報告を集計されておると思いますし、県知事等の報告いたしますものは県の系統、共済組合、農協、そういう関係の系統で集められた数字であると思うのです。こういうふうに減収の数字が違うということは、将来において非常に困った問題の原因となりますから、そういうことがないようにしてほしい、こういうことを申し上げたいわけです。私は鹿児島県でありますが、二十九年度のこれらの報告におきまして、作報は九八と報告を申し上げ、知事の系統におきましては八六でありましたので、その差は共済金に換算をいたしますと二億一千万円という差がありまして、これがために農村が大へんな不利益をこうむったという実例等もありますところから、今回の台風による減収の見込みにおいて、そういうような違いのないようにしてほしい、こういうことを申し上げるわけです。作況でありますとか台風の実情であるとか被害の実情というようなものは、これは現実の事実でありますから、これをだれが見ようとも、神様でありますならばその見積るところの結果はみな同一であるはずであります。そこにおきまして私どもお願いしますのは、作報の系統と知事の系統と歩調を合せて共同の調査をしてほしい、こういうことであります。私ども回りましたところの四県につきましては、そのことを頼んで参りました。鹿児島県のごときは、この十日から作報もみな一緒になりまして調査をする、こういうような運びになったようであります。ほかの県につきましても同様なことが運ばれまして、両方の減収の見込み違いがそう差がないようにしてほしいということをお願い申し上げる次第でありますが、これにつきまして政府当局のお考えはいかがでありましょう。
  88. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 農作物の被害調査は重要でもありましてまた非常に困難なものでございますが、お話の中にありました鹿児島の昨年の共済金に伴います県と農林省との扱いにつきましては、いろいろ御迷惑をおかけしたことがあるようでありますが、最後の決定におきましては大体農林省のつかんだところでやってよろしいというふうにおさめていただいて、引き継ぎを受けておるわけであります。今回の被害につきましても、なおただいま統計部長から申し上げましたもののほか、さらに引き続いて調査をいたし、また共済制度の運営に当りましては、共済組合から県を通じていただく調査もございます。なお補助その他の金融等の災害資料等についても、いただきますものを彼此勘案いたしまして、農林省においては作報の資料をかなり尊重して考えることは当然でございますけれども、従来の扱い等にもかんがみまして、慎重にこれを取り扱いたいと思います。
  89. 池田清志

    ○池田清志君 今回の台風によりましてお米の質が低下するということは、これは御承知通りであります。すなわち不完全なる結実をいたしましたりあるいは腐蝕をいたしましたりする等のことによりまして、減収とともに質が低下してくるということは当然起き得ることであります。従いまして災害地におきましては等外米というものが相当に出てくるということを予想いたしておるわけであります。お米は御承知のように政府に売らなければなりませんところから、せっかく出ましたところのこの等外米政府が買い上げないということになりますと、農家は全く困ってしまうわけでありますから、この出て参りましたところの等外米の買い上げにつきましては、政府において特段の考慮をお願いしたいと思いますが、お考えはどうでありましょうか。
  90. 清井正

    食糧庁長官清井正君 実は等外米の買い上げの問題でありますが、毎年それが問題になるのであります。昨年までは供出割当をいたしておりまして、供出割当の数量の中に等外米を入れるとか入れないとかいうことが非常に問題になっているのであります。本年は御承知通り制度が変りまして、生産者の申し出によってそれを買い上げる、あとからそれを買うという制度に変りました。等外米の取扱いなり考え方というものが今までとだいぶ違って参りましたことは事実であります。ただ実際問題といたしまして等外米が出てくることがあるわけであります。それを政府に売り渡したいという御希望をお持ちになることは事実としてあるわけであります。その点はわれわれとしても十分考慮しなければならぬと思っているわけであります。私どもといたしましては、実は等外米の問題につきましてはすでにこういうふうに考えております。と申しますのは、現在の等外米の取扱いについて考えておりますことは、やはり政府が買っていくことになります。実質的には一般の米とは扱いを異にいたしまして法律上の特例がありまして、売手の方が買手を選択されまして、その限度において政府が中に立ちまして売買をやる、こういう行き方をいたしまして、価格をただいまの五等米の価格よりもある程度下げた価格決定をいたしておりまして、価格の面でもある程度五等米より若干下ることもやむを得ない、下った面において政府も仲立ちをいたしまして買い入れをしていきたい、こういうやり方を考えております、すでに県に通知をいたしております。
  91. 池田清志

    ○池田清志君 事前予約の制度によりまして前渡金石当り二千円というものを交付されております。ところが今回の台風によりまして申し上げますように減収になりますので、予約をいたしました数量まで出し得ない農家相当に現われてくると思うのであります。その際におきまして当然二千円の前渡金の問題が問題になってくるのでありますが、私どもといたしましては、そういう農家につきましては二千円の返済ということにつきましては特別の計らいをしてほしい。すなわち出しましたお米の値段の中から、その前渡金をまっ先にごっそりとってしまうということがないようにしていただく、すなわち分納するとかあるいは納入の延期をするとかいうような特段の方策を講じていただきたいと思いますが、それはいかがでしょうか。
  92. 清井正

    食糧庁長官清井正君 ただいまの問題はいろいろ問題があろうかと思うのであります。と申しますのは御承知通り本年は政府と売買契約をいたします。一定の売買条件としてお示しいたしまして売買条件によって売り渡しを申し込んでいただく、こういうやり方をとったわけでありまして、例年の供出割当と違ったやり方をやっていることは御承知通りであります。そこで災害によって問題が起りました場合には、災害の取扱いといたしまして売買条件とは一応切り離されたものになるわけであります。しかし農家の方々が実際上災害を受けられているわけでありますから、われわれといたしましてはできるだけその便宜をはかりまして、災害を受けた方の御便宜になるような扱いをしなければならぬと考えております。ただ前渡金の問題でありますが、石当り二千円ずつ出しまして売買条件で申しますと、最初に政府に売り渡しを実行されたときに実行されたものからさっ引くというやり方にいたしておるのであります。これを変えることはただいまもすでにそういうことで実施をいたしておりますし、途中から売買条件を変えまして最初に差し引くことを改めるということはちょっと困難ではないかと率直に思うのであります。ただこれは御承知通り二割だけ概算で出しているわけでありますから、かりに十石政府に売り渡しの申し込みをされた方は二石出されればそれで済んでしまう。それ以上にたとえば十石申し込んだけれども減収のため一石しか政府に売り渡しできないという方が問題になるのでありまして、二石までの方ならば問題はないわけであります。こういうことでありますから実際収穫皆無という方、あるいはほとんど皆無に近い方が問題になるというふうに私ども考えるのであります。非常に激甚な特殊地帯においてはその該当の方もあろうと思いますが、大部分の方はそれほどでもないような気もいたすのであります。しかし万が一収穫が皆無だというような方がありました場合にどういうふうにするかということになりますが、これは私ども食糧庁だけの問題ではありませんので、農林省全体として考えなければならぬ問題でございますが、あるいは私どもといたしましても、一応の考え方は、一月三十一日までに政府に申し込んだ米を出していただく。出していただかなかった場合にはあとからそれを追って返すのだということになっておるのでございますけれども、かりにそういうことができないということになりますれば、あるいは一応他の方面から融資をしていただいて、融資によってこちらの概算金を返していただいて融資の方に切りかえる。融資の方が利率が低いわけですから、そういうことにしていただくことも一つの方法かと思います。大体そういうことにしようということで相談しております。そういたしますれば、一度政府に返していただいたものを別途また融資を受ける。金利の高いものから低いものに切りかえるという形になる、こういうふうに考えておるのであります、ともかくこの問題につきましても、私ども十分生産者のためになるように考えてみたいと思っておりますけれども、何分災害地の問題は、売買条件の問題と切り離して考えなければならぬ点が相当あるわけであります。この点は十分一つ考えおき願い、また御了承願わなければならぬ、こういうふうに考えております。結論といたしましては、私どもといたしましても、できるだけ災害を受けた農家の方がこの制度の不利を受けることのないようにということで、せっかく農林省部内でも相談し、善処したい、こう考えております。
  93. 池田清志

    ○池田清志君 事前予約制度の一つには、実行を全うしたいという考え方からでしょうが、違約金のことを地方に通達しておられるようであります。その制度のよしあしを今申し上げるのではないのでありますが、台風によりまして予約いたしましたところの数量の供出のできない農家につきましては、当然にこの違約金の制度が適用せられるおそれがありまするので、このことをお願い申し上げるわけであります。天災でありまして、本人の意思に基く義務不履行でございませんから、あるいはこの制度以上の問題でありまして、もちろん問題にする必要はない、こういうふうに私は考えるのでありまするけれども、こういうような書きものが地方に出ておりまする関係上、地方ではこの取扱いにつきまして、これを厳格に実行する向きがないとも限りませんので、そういうことがないようにしてほしいと思うのであります。つまり違約でないということにしてほしいと思うのでありますが、どういうようなお考えでしょうか。
  94. 清井正

    食糧庁長官清井正君 ただいまのお話の点は、違約金の徴収は生産者が契約を誠実に履行しないと考える場合ということであります。当然これは災害等によって減額した場合は減額補正の措置をとるわけでありますから、本件の違約金徴収の問題とは全然別問題であります。従いまして当然これに該当いたさない。ただ誠実に履行しないという事態がありました場合の措置ということで考えておるようなわけでありますから、災害と全然無関係というふうに考えております。
  95. 池田清志

    ○池田清志君 カンショの問題につきましては、先ほど来いろいろお話がありまして、決議もできましたし、農林大臣のお考え等も相当に拝聴いたしましたので、それを必ず実行していただくようにお願いを申し上げたいのであります。ここに一つさらにお尋ねをいたしたいのは、先ほどもお尋ねがありましたが、飼料として輸入をいたしましたマイコなるものが、アルコールの原料として使われておるという事実であります。カンショは、アルコール原料の立場におきましてはマイロの競争相手になるわけであります。私は鹿児島県であり、宮崎県でも同様でありますが、鹿児島はお米とカンショです。ところがお米が相当やられましたし、カンショ豊作とは申しながらある程度の被害を受けたのであり、現在はすでにその掘り出しの時期になっておるのでありますけれども、肝心な需要者でありまするところのアルコール工場から、この需要の申し出が少いということであり、その原因はマイロがアルコール原料に使われておる、こういう事実であるわけであります。従いまして政府といたしましては、カンショ価格を維持するという方策の一つといたしましても、飼料として輸入をして参りましたところのマイロが、アルコール原料としてそちらの方に使われることがないように、この際はっきりと処理してもらいたいと思うのでありますが、どういうようなお考えでしょうか。
  96. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 マイロ及び糖蜜などイモに関します生産消費に関連いたしますものにつきまして、農林大臣からその方針を先ほどお答えになりましたが、それにさらに敷衍をいたしてただいまの御質問お答えを申し上げます。言うまでもなくイモは非常に重要なる農業生産物で、その価格及び消費等についても、十分に農林省として農業政策の立場でこれを配意いたさなければなりませんので、過般来マイロ、糖蜜につきましては、ごく一部配合する飼料の用途の部分、あとは工業用のもの、こういうもののほかは外貨の割当に農林省は同意をいたさない、こういうことにつきまして大蔵省、通産省とよく懇談をいたしておるのであります。余剰農産物の来年の取りきめ等に当りましても、マイロ等の話が出ましたが、これは日本の畜産ではえさを安くする必要があって、国内供給で不足する場合は輸入に待って安くする方が畜産の振興、有畜農業、ひいては農業経営の生産費の切り下げ、農業所得の確保の上から必要でありますので、その点には十分の配慮をいたさなければなりませんが、それですら小麦その他のものと、一番日本の事情に適するものを入れて、確実に品目を掲示してこれを入れるということはいたさないということにいたしておる。またイモの大量消費の重要用途であります御指摘の酒用、アルコール用につきましては、私ども考えといたしましては、農業協同組合、特に全販連で販売統制をいたしまして、これでただいま立っておりますイモの支持価格とにらみ合せまして、農家に不利にならないように、そうしてこれが一括してアルコール、酒用の業者にも買ってもらえますように集荷、販売、購入の方との予約をいたしてもらいたい。そうしてそれを確実に使ってもらって、不用なる輸入品を防遏いたしたい。酒、アルコール業者に言わせますと、マイロなり、糖蜜なりははるかに現行支持価格ないしはその切りぼしイモよりは採算がよいようでございますが、しかしその製品であるアルコールと酒との今の価格関係もございますので、その余裕がある限りは農業生産に協力すべし、そういう立場に立ちまして大蔵省、国税庁、通産省ともよく話し合いまして、全販連の能力が発揮し得るところで、ただいまの方針でどうしても使命が農業団体で果せない場合ならまた考え直しますけれども、そうでない場合、すなわちイモがこれから出回る場合、今後集荷、販売、買い入れが国内だけで行われ得る場合、全販連中心の農協が使命を果します場合、イモの値段がむやみに暴騰しない、そういう場合については輸入をいたさない、こういうことできめておる次第であります。
  97. 池田清志

    ○池田清志君 被害の特徴の一つといたしまして住家が非常にやられたということを申し上げ、この際農村の家が相当にいたんでおるという事実もあわせて申し上げ、私どもその実情を見て参ったのであります。農家といたしましては、かねがね丈夫な家を作りたいのはもとよりでありますが、丈夫な家を作ることのできない方々が、たまたま今回の台風によってやられておるように見受けて参りました。ことに開拓地におきましては、家の全壊、半壊等が相当に現われておるわけであります。ここにおきまして農林省の対象として、今回の台風の被害による住家の問題が取り上げられなければならないと思うのであります。もとより直接の担当は、あるいは建設省等でいろいろとめんどうを見ておることと思いますが、これに対しまして農林省のお考えをお尋ね申し上げたいわけです。貧しい農家の方々は、このたびの台風によりまして、農作物がやられたのと、さらに家が全壊半壊したという二重の苦しみを受けておるものが非常に多いわけであります。これにつきましては、国の力によりましてこれが復旧をしなければならないことは申すまでもありません。私ども宮崎県に参りました際に、国有林材の払い下げのことをお話になりましたので、ただちに連名をもちまして林野庁長官に対し電報をいたしましたところ、ただちにこれを処置していただきまして、宮崎県、鹿児島県に対しましては、国有林材の払い下げを指示していただいたようであります。ほかの県におきましても同様なる要望があろうかと思いますが、これらにつきましても御処置を願いたいと思う次第であります。開拓地の住宅につきましては、五割の補助等も従来はあったのでありますから、今回の台風におきまする農家の住宅の被害につきましても、全壊及び半壊、流失あわせまして対象として取り上げていただきまして、できるだけ復興が早くできるように処置していただきたいと思うのです。農林省のお考えをお伺いします。
  98. 谷垣專一

    ○官房長(農林)谷垣專一君 災害地の被害を受けました農家の建物の問題でありますが、これは実は一般の家屋との関係がありまして、農家だけを特別の扱いをするというふうには、実は表向き建前としては参らないわけでございます。ただこの被害を受けました地帯が果してどのようになっておりますか、今ここに数字を持ちませんでしたけれども、大体農家は農協等のいわゆる家屋の災害保険に入っておりますものがかなりに達しておるように思います。六割程度にもなっておりましょうか。そういうような場合は、一つそちらの方からの保険金が入りまして、今申しましたようなことに何らかの助けになるのではないかというふうに考えております。またこの金というものは融通のあるものでありましょうから、おそらくそういうところの農家は、営農資金等にも困ることが多いことと存じます。営農資金等の融資につきましては、これはそれぞれ安い利息で融資ができるように考慮しておる次第であります。これは話が少し違いますけれども、そういうことになっております。  それから開拓地の問題でありますが、これは何分にも回復する能力の非常に低い方々で、困った状態になっておる方々が多いと思いますが、これは従来ともに入植施設というものの考えでありますから、住家であるという考え方よりも入植のために必要な施設という形で五割補助をやっておったわけでありますが、これはやはりこのたびの災害につきまして、実情によって対象に取り扱われることに相成るかとも考えます。
  99. 伊東岩男

    伊東岩男君 台風被害に関連して、ごく簡単にお尋ねしたいと思います。ラミーの被害の問題であります。一番刈り二番刈りは満足にとれたようでありますが、三番刈りはほとんど全滅に帰したのであります。しかし台風の被害よりも現在は価格暴落の被害の方が大きいのであります。一番刈りの分は大体受け入れができたようでございまするが、二番刈り三番刈りは全くだれが受け入れるやら、どうしてくれるやらわからぬ現状でございます。価格面においても、去年は七千五百円、今年は協定価格が五千円余であるようでございます。その五千百五十円でも一番刈りは受け入れるでしょうけれども、二番、三番刈りのごときは一体どうなるのでございましょうか、この見通しについて、及びその価格救済について農林省はいかようにお考えになっておりまするか、この点をお伺いいたしておきます。
  100. 大坪藤市

    ○農業改良局長大坪藤市君 ラミーの問題でありますが、ただいまお話のありました通り、実は本年の六月ごろになりまして、わが国ラミーの約半数を消費いたしておりました東洋繊維の業績が急に悪くなりまして、七月に入りまして全く事業を停止いたしまして、会社更生法の適用を申請するのやむなきに至ったのであります。従いまして南九州を主たる生産県といたしておりまするラミーの問題につきましては、その半数以上のものが取引停止に相成ったのであります。これはまことに私どもといたしましては遺憾なことであったのであります。つきましてはわれわれといたしましては、せっかく生産者の生産いたしましたものが売り先がないようになると困るということで、まず新しい会社と申しまするか、東洋繊維以外の、日本繊維と東京麻糸の両社を呼びまして、この際できるだけ引き取ってもらいたい、こういうようなことで、第一期作までは御承知通り約五十万貫くらいでございまするが、東京麻糸と日本繊維の方に大部分を渡しまして、実は第一期作の方が現在五万貫残っておるのでございます。この五万貫残っておりまするのは、御承知のように各県連で持っておるのであります。引き取りまする場合に、中金にお話をいたしまして、日本繊維並びに東京麻糸の方に収買資金としていわゆる余裕金を約三億ほどあっせんいたしまして、それによりまして日本繊維並びに東京麻糸の方が身がわりとして引き取っておるような事情に相成っておるのであります。  価格の問題につきましては、ただいまお話がありましたように、昨年に比べますると約二割八分ほど下っておるのでありまするが、大体私どもの調査いたしましたところでは、生産費等いろいろ調査の方法がありまするが、大体五千円見当と考えられまするので、いろいろ相談をいたしまして、業者の中で五千三百円、こういうふうな価格で、これは標準価格でありまするが、そういうような価格取引をされておるのであります。従って問題は、二期作並びに三期作の約五十万貫がどうなるかという問題であるのであります。これにつきましては、さらに日本繊維並びに東京麻糸に引き取ってもらう、なおそのほかに一、二の新しい会社を物色いたしておるのでありまするが、いずれにいたしましても、主としてできるだけ両方の会社の方で引き取ってもらう交渉をいたしておるのであります。しかしながらどうしてもいかない場合におきましては、農林中金からまた系統機関に金を流してもらいまして、不足分につきましては協同組合でストックをする、こういうようなことにいたしまして、生産者自体といたしましては、それによって現金にかえる方法がないようなことのないようにいたしたい。そういうようなことによりまして、少くとも資金の供給によって連合会でこれをストックする、こういうふうに一応考えておるのであります。これが大体の見通しでありますが、実は東洋繊維の方におきましても、その後いろいろと計画を立てまして、目下会社更生法で認可申請をいたしておるのでございますが、ここ二、三日のうちにその認可がおりるかどうかというせとぎわになっておるのであります。うまく銀行団の方の了解が得られまして、認可がおりますれば、一応の計画といたしましては月産三万五千ポンドでございますか、大体三万貫程度のものを使う、こういうようなことになりますので、もし東洋繊維の方が新しく操業ができるということになりますれば、その辺の関係はよほど違ってくるのであります。先ほど申し上げましたのは、いわゆる東洋繊維の方が操業不能という状態を継続いたしました場合には、ほかの会社でできるだけ引き取り、引き取れない数量につきましては、中金の資金によっていわゆる系統機関で一応ストックする、こういう建前でございますが、東洋繊維の方がうまく話し合いがつきまして工場が運転できるということになりますると、その分だけはプラスとして新しく需要ができることになるのでありまして、その点は非常に違ってくると思いますが、ここ数日のうちにその辺の関係がはっきりしてくると思います。いずれにいたしましても、生産者ができましたものを現金にかえることができないような状態にはならないように措置いたしたい、かように考えて努力しておるのであります。
  101. 伊東岩男

    伊東岩男君 ラミー栽培農家は、ラミーの前途について非常な不安を持っておるのでありますが、一体農林省はこれに対してどういう御確信があるのか、一会社が倒れたために需要供給がうまくいかないなどということは、これは奨励の方針が根本的に誤まっておるのであって、農林省も相当責任をお感じになるのが当然だと私は考えるのであります。そこでその救済の方法については、当面の問題は今御説明通りで、大体換金ができるということだけは、二期作、三期作の金にかわるだけの準備はやるというお話でありまするが、それよりも根本問題は前途の問題であります。これについてはやはりラミーの輸入を防止するということが一番大事なことだと思います。もう一つはラミーの製品を輸出するというような対策が講じられてない、それからもう一つは、今ラミーの原料を買い製品にする会社は四つくらいあるようでありますが、そのうちの半分くらいを買い得る一番大きな工場が倒れたとすると、そこの工場は設備を持っており、相当の職工も持っておるのでありますから、その工場をどうすれば救済できるかということについては、お話のように今銀行団の関係になっておるようであります。そこで今度は残っておる工場に対してどういうような方法で、より多くの原料を仕入れてそれを製品化する、その製品化したものがどうせ見込みがなければないように——今や農村ではラミー栽培者はどんどん掘り取っております。もう見込みがない。この掘り取っておる実情をどういう工合に指導するのか。これはほとんど南九州に限られておるのであります。そのうちでも宮崎県がその五割を生産いたしておるのであります。奨励の衝に当った県あたりは、ほとんど答えようがなくて困っておるようでございます。そこで農林省としてもこの際指導方針を明らかにされることが非常に大事だ、かように考えるのでございます。これについての考え方も、農林省としてお困りの点も想像いたしまするけれども、どう考えておられるのでありますか。その点をはっきりしていただきたいと思います。
  102. 大坪藤市

    ○農業改良局長大坪藤市君 ただいまのラミーの今後の問題でありまするが、御承知のように、大体日本といたしましては、現在生産量としては年間百十万貫程度に相なっておるのでありまして、大体内地の生産で間に合うという事情に相なりますので、今度の下期の外貨予算から、従来は自動承認制で、自由と申しまするか、無制限に入ってきておったのでありまするが、これを停止いたしまして、フィリピン等から入って参りまするチョマにつきましては、輸入の必要がないとして、これをとめたのであります。従いまして、外国からチョマが入って参りまして内地のものを圧迫するということはなくなって参ります。御了承願いたいと思うのであります。マニラ麻の関係はまだそういうふうに輸入を停止するというわけではございませんけれども、チョマにつきましては一応そういうふうな措置をとっておるわけでございます。もちろんマニラ麻の問題につきましても今後検討いたしたい、かように考えるわけでございます。  次に、これは輸入の問題でありまするが、片一方輸出の問題につきましては、実はこれはほかの繊維との関係がございまして、輸出も非常に困難なのでございます。ただ東洋繊維といたしましても、チョマの生産を増加し、業態を続けていくためには、どうしても外国に少しでもよけい出さなければならぬということで、その方面に非常に力を入れておる。ところが輸出があまり期待できなくて、片一方そのための費用は莫大に使ったというような関係で、実は会社では非常に急速に営業不振に陥った、こういうような事情もあったようでございまするが、いずれにいたしましてもこれは少しでも多く外国に輸出するということがぜひ必要じゃないかと思うのであります。東洋繊維自体といたしましては、そういう構想のもとに、どうしたら外国に売れるかというような試験品と申しまするか、そういうような製品をたくさん作っておって、それが向うへ届かない間に、実は会社が営業困難になりまして、営業を停止するのやむなきに至ったというような事情でございまするが、これにつきましては、私どもといたしましても通産省といろいろ相談いたしまして、ぜひ一つ輸出振興の方法をとりたい、同時に漁網と水産用のもの等につきましても、チョマ製品につきましては現在のところいろいろ非難があるようでございますが、これにつきましても、いわゆる新しいチョマを主原料にいたしました加工品といたしまして相当優秀なものも最近現われておるようでございます。これを水産庁の方にお願いしまして、いわゆる試験的に使ってもらっております。内需をふやしますと同時にそういうふうな努力を続けまして、少しでも多く輸出いたしたい、かように考えておるのであります。御承知のようにチョマは永年性でありまするので、一朝にして減産をするということもはなはだ困難であります。そのことは生産者に非常に迷惑をかけることになりますので、少くとも現行の生産量をぜひ維持する、しかもそれは生産費が償えるくらいの価格で売れるというような態勢に向いまして、いろいろ研究いたし努力いたしておる次第でございますので、一つ御了承願いたいと思います。
  103. 伊東岩男

    伊東岩男君 やはり消費者である会社の救済ということが非常に必要だと思いますが、協同組合あたりがかりに金融を受けて貯蔵いたしましても、一度はこれを製品化せねばならぬのでありますから、そういうふうなことも一つの方法でありますけれども、根本的の問題は、やはり工場に対する金融あるいは会社の合同整備といったようなこと、また今一番大きな会社の休業になっておるこの設備をどういう工合に活用するかといったような根本問題が明らかになれば、ラミーの将来ということが少しは明るくなると思うのでありますが、その点については農林省としては何ら手は打っていないのでありますか、この点だけをお聞きしておきます。
  104. 大坪藤市

    ○農業改良局長大坪藤市君 その点が先ほども申し上げましたように、ここ数日のうちに銀行団との話し合いがついて、法務当局の決定があるということに相なるのでございまして、東洋繊維の方から出しておりました計画につきまして銀行団その他債権者の方に、相当異議があるやに聞いておりますが、その点の話し合いが、うまくつくということになりますれば、当初の計画通り、月産といたしましては三万貫程度のものが使える、こういうようなことで、それは近いうちに操業が可能になるというような状態に相なるわけでありますから、その見通しが立ちますれば、これはよほど明るくなるわけでございます。しかしこれはもうごく最近のうちにきまるようでございますので、そのきまるか、きまらないかを実は見守っている次第でございますので、私どもといたしましては、一日も早く会社の希望通りきまることを希望いたしているのであります。
  105. 伊東岩男

    伊東岩男君 一つ特に御善処をお願いいたしますが、大体倒産会社は六、七十億の負債を持っておるということでございまして、この整理はとかく大事業でございまして、銀行団の方もかなり痛手であろうと思いますけれども、これはひとり銀行団だけでなくて、次々に被害というものが波及して、遂には日本におけるラミー栽培業というものが全く行き詰まってしまうということになりますので、農林省としては特別なる御善処をお願いいたしまして、私の質問を打ち切ります。
  106. 鈴木善幸

    座長代理(鈴木善幸君) 午後二時半から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時二十三分休憩      ————◇—————     午後二時五十二分開会
  107. 稲富稜人

    座長代理(稲富稜人君) ただいまから開会いたします。有馬君。
  108. 有馬輝武

    ○有馬輝武君 先ほど池田委員から二十二号の台風災害に対する措置の問題について御質問がありましたし、またせんだって井手委員の方から御質問があったそうでありますので、重複しないように、なるべく簡単に御質問申し上げたいと存じます。  まず第一点といたしまして、自作農維持創設資金融通法に基く融資のワクの問題でありまするが、今度の災害に対してどの程度の融資のワクの増大を考えておられるか、この点についてお伺いしたいと存じます。
  109. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 自作農維持創設資金融通法は、前国会で農林委員会の御審議を得まして修正を受けまして、最近になりましてこれを細目の省令や業務規程等を決定したところでございまして、今回の災害、言いかえますれば北海道災害あるいは旱害、二十二号以降の災害にこの資金を有効に活用していただきたい、こういうことで農林省は方針をきめておりますが、このうち災害資金というものをどれだけ、言いかえますと、本年度二十億円のうちで被害事項を暴風とか旱害とか北海道水害等を指定しましてその被害原因ごとにワクを幾らとしてきめる方針はまだ持っておらない、と申しますのは、法律の示します通りに、重点を零細農家、特に自作農を維持しましたり、没落を防止しましたり、維持の手段としまして土地を購入しましたりするために使うこと全般に充てるものでございまして、中に災害を受けたためにこの資金の融通を受けたいというのは当然融通法の趣旨にも入りますけれども、目的がこれは相当広範囲なものでございますので、他の方法によっては資金を受けられない方々の方に重点を置くという方針のもとに特定ワクをしいて設けないようにして進めたいと思っております。そういう理由からであります。
  110. 有馬輝武

    ○有馬輝武君 少くとも第二条第四号はこういった場合を予想しておると思うのであります。そういった面から、やはりこのワクの拡大については、今おっしゃったようなことで処理されるのじゃなくして、当然考慮されてしかるべきである、このように思いますので、この点についての御努力を特にお願いしたいと思います。  次に第二点といたしまして、やはり同じような性格の問題でございますが、農林漁業金融公庫の特別ワクの拡大についてであります。たとえば私たち今回視察いたしました大分、宮崎、鹿児島あるいは熊本におきましては、澱粉工場等が約半数以上倒壊いたしております。すり込みの時期にありましてこういった状況では、先ほど問題になりましたカンショ価格の問題にも直ちに影響してくる問題でありますので、たとえば農協施設の復旧に対する融資ワクの拡大、こういった点についてどのような考慮をされているか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  111. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 私の方からさかのぼりまして恐縮でございますが、自作農維持資金は災害を受けた農家のために融資されることは、当然その一用途でございますが、他方資金全体のワクがあることも考えまして、十五年等の比較的長期の資金で、一戸当り二十万円前後のようなそういう資金がいるのか、短期営農資金が必要なのか、そこのところの性質で分けて、普通の災害金融で処理した方がいい場合は自作農資金でない方で行きたいと思っております。それが有効に資金を使う道だと思っているわけであります。普通の災害融資につきましては、幸い国会で立法をいただきまして、政令をもって指定いたしますれば本年度の農林予算の中にあります利子補給の額は、目下予想せられます融資需要、資金需要に対しましては追加予算ないし補正予算の要もないかと目下思われますので、十分あると思っておりますので、さよう御了承願いたいと思います。  第二点の公庫の特別ワクにつきましては、今的確に特別ワクについて申し上げることができないのを非常に遺憾に思いますが、御質問の御趣旨では、農林漁業金融公庫が特に共同施設である農業施設、例を澱粉工場で言われましたが、一部は農協の経営にならないものでも対象になりましょうし、特に農協の施設でありましたならば優先的にこれを行うべきものでございますので、かたがたもって本年度からは個人融資の道も、これこそ特別ワクで七億ふえておりますので、それらをもって各県あるいは各資金需要のおありの方方からの申請を待ちまして、処理をしたいと思っておる次第であります。
  112. 有馬輝武

    ○有馬輝武君 次に農業共済金の支払いの問題についてであります。これは本日渡されました行政管理庁の報告書でもわかりますように、この早期支払いということについての要望が非常に強く出ております。その他の運営面についてもいろいろ問題がありますけれども、この早期支払いということが相当考慮されないと、この制度自体に対して農家相当疑問を持つようになってきておりますので、この早期支払いについてどのような措置を考慮されておるか、この点をお伺いいたしたいと存じます。
  113. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 現行農業保険制度によりましては、全損あるいは異常な災害を受けました地域で、しかもそれが県単位で押えたような場合に、いわゆる概算払いの方法によりまして早期に支払う方法になっておるかと存じますが、ちょっと私非常にこまかい運用の規定を法的に、また実際的に十分そしゃくをいたしかねておる点もございますが、農林省といたしましては、共済制度のもとにおいて災害対策を講じます場合、七、八月以降の災害については早期支払いをする、たとえば旱害の場合でいいますと、その後被害調査あるいは府県の報告をいただきましたところによりますと、茨城県の陸稲ぐらいがこれに該当するようで、あとは適当な該当県がなかったようでございます。最近におきます台風等におきましては適用県が出てくるかと思います。それらの趣旨に従いましてやるように農林省は方針をきめて、府県と打ち合せ中でございます。ただなかなか支払い方法で、従来いろいろの御論議がここ数カ年もあり、役所も研究したこともございますが、簡単に早期支払いを便宜的にいたしますと、その後共済組合連合会と役所との関係等におきまして非常に複雑な経理関係が出て参りまして、かえって組合も農民もお困りの場合があることが多い、行政管理庁や会計検査院からも指摘をされておりますことが多いので、運営の適正を期しつつこれを行いまして、むしろつなぎ融資とにらみ合せながらやっていく必要があるかと思っておる次第であります。
  114. 有馬輝武

    ○有馬輝武君 この点につきましては、特に鹿児島県など昨年大坪さんが経済局長であった時代にいろいろ御迷惑をかけておりますので、口幅ったいことは申し上げられないのでありますけれども、しかし今おっしゃったような運営の面と、早期支払いということは何も私は矛盾するものじゃない、矛盾しないようにやらなければならない、このような考え方に立っております。そういった意味合いから、この点については特に今御答弁がありましたように、鋭意御努力をお願いしたいと考える次第であります。  次にこれは先ほど御論議がありましたので詳しいことは申し上げませんが、天災による被害、農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法、この政令による指定を急いでほしい、これまた特に要望されているところであります。それでこの時期その他に対する見通しをこの際お伺いしておきたいと存じます。
  115. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 その時期の指定につきましては先般の農林水産協議会で私がお答え申し上げました通り、本月末を期限的な目途といたしまして指定をいたしたいと思っておりまして、御要望のあります被害については、その時期とかいつ起きた台風というようなことについては指定をいたす予定でおります。その指定の時期は今朝も実は局内の課長以下とさらに打ち合せましたのでありますが、どうせ指定をするならば、たとえば二十二号台風による被害ということは指定しておいて、あとどういう融資をするとかいうことなどの措置を、先ほど申し上げましたように中金資金、信連等の資金はこの豊作を控えて相当ありますし、利子補給等につきまする予算はすでに計上してある予算でその支障がない、こういうような事情だから、もっと早く指定できないのかと研究して参りましたのですが、おおむねの資金ワクを北海道水害等をも含めまして相当見当を立てましてから、それと一緒に指定したい、こう申しておりますので、それも先般この協議会で私がお答えを申し上げましたことと矛盾がない範囲内ならばそれでやろう、こういうことにいたしているわけであります。
  116. 有馬輝武

    ○有馬輝武君 最後にお伺いいたしたいと存じますが、先ほどの池田委員質問に対する答弁の中で、開拓関係の人家の倒壊に対する措置としては特に考慮されない、一般的なものでというような御答弁であったと思いますが、これと相関連しましてやはり政府資金その他の貸付金の償還期限について何か特別に考慮されているかどうか、この点についてお伺いしたいと存じます。
  117. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 住宅用の資金がいかに農林省固有の仕事としては取り扱われ得るか、こういうことにつきましては、午前中官房長から答えました通りでございますが、ただいまの有馬委員の御質問は、住宅に限らずに貸付金、災害融資全般のお話かと伺いますが、これにつきましては、先般吉川政務次官は、償還は償還としていただいて——これは芳賀委員の御質問だったと思います。それに答えまして、損失を補償するような、カバーはいたしませんが、償還をぎすぎすやったりはしない、かりに償還をお願いしても再貸付をする措置は講じますとこういうように答えられたかと思いますが、政務次官の御方針に従いまして、むしろ私どもは償還延期で行ったらどうだろう、こういうことで今打ち合せ中でございます。
  118. 有馬輝武

    ○有馬輝武君 その償還延期の措置その他が具体的にきまりましたならば、早急にその旨を流していただきたい。このことを特に要望いたしまして、私の質問を終ります。
  119. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 関連して二、三点お伺いしたいのですが、災害の融資につきまして、いろいろ予算上苦労をされて出しておりますが、この融資が当初の目的通り下部に浸透しておるかどうか。途中で何らかの形で停滞して、実際の罹災農家がこれを受けていないというような実情があるかどうか、お伺いしたい。
  120. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 実は申しわけございませんが、個人の私といたしましては、これからせっかくその点を勉強しようと思っておるのでございます。しかし農林省といたしましては、局長の交代等に関係なく続いておる仕事でございますので、前には個個の被害ごとに実報をお願いいたしました。前国会では政令の処理によりまして、暫定的ではありますがやや恒久的な、継続した法律をお作り願いました。こういうことで、運営上の差はあると思いますが、先般の淡谷委員の御要望に従いまして本日提出いたしました資料でごらん下さいましてもわかりますように、一応農林省におきまして、都道府県の要望を見ながら割り当てました資金ワクよりは、実際にその年度ごと、被害ごとに見ますと、資金の融資を受けた実績の方がいずれも少いように思います。  若干余談になりますが、芳賀先生もいらっしゃいますから、この前の御意見お答えする意味であわせて申し述べさせていただきたいと思いますが、北海道水害等につきまして申し上げますと、資金需要の面では十倍で、農林省の被害調査から想定して従来の融資の方針でほぼ推定いたしますと、要望の十分の一である一倍、こういうような差があるから、目下大蔵省との打ち合せも進みかねておりますと申し上げましたことは、その後督励いたしまして研究いたしましたところ、どうも物量と申しますか、何石の被害、あるいはどのくらいの面積の被害ということ、金額でなしに被害面積、減収量などといたしますと、せいぜい農林省の一に対しましてあるいは一・八倍とか、多くても三・五倍というようなもののようであります。この点につきましては、ただいま申しました資金割当をワクを取ってから県別等に配分いたしましても、実績がその相当内輪を回っておるのが数カ年の実績、また被害ごとの実績であると申しました。両者は今後敏速に処理をいたしますと、高い金利で個人金融を受けましたり、他の資金源で、農家が不利を受けました災害資金を一時したために、低利でいい資金がかえって少い、こういう弊害は運用によってなくなる、また御立法の趣旨もそこにあるかと思うのでありますが、それにしましても、両者の差が二様にあるわけであります。ちょっとくどいようでありますが、言いかえますと、いつも資金需要と資金の供給者側ではある程度の差があるのが慣例であります。また割当をしましてからでも、融資実績はそこに差があることが慣例でありますので、もう少し大胆に急速に処理をいたしまして、そうして足りぬところは足りぬところでまた処理する、こういうところが災害対策の要諦かとも思いますので、その趣旨で急速に処理をしたいと思っております。淡谷委員の言われるうまく行っているかどうかという点につきましては、開拓地等が第一でありましょうが、その後零細貧農の農家、特に災害を受けた、あるいは連年災害を受けられた農家などについての融資は、何しろ金を貸し付けることでございますので、中金等もよほど理解を持ち、あたたかい気持でやりませんというと、真に必要な人に融資が行かないで、比較的富農の裕福な人に資金が行くということなどございますので、有馬委員からも御指摘になりました自作農資金等をも加味いたしますると、まだ不十分ながら、従前よりは運用面、制度面の改善が行われつつあるかと思います。判定を申しますれば、まだ現状では十分でない、近き将来にでも全くうまくいくのではないかと思いますが、従前よりは改善するように、しかもなるべく時期的にも早く行いますように努力をいたしたいと思っております。
  121. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 大へん率直な御答弁でけっこうですが、私、きょう配付していただきましたこの資料に基いてさらに検討を進めて、あらためてまた大臣出席のときに質問をいたします。もう一点、貸付融資の系統につきまして、農業協同組合が弱体な場合に、その融資が非常に不円滑に行くのは当然の姿でございますが、率直に言って、不良農業協同組合の再建整備について、何か早急な対策がございますかどうか、あるいは、協同組合を経ずしてこれらの融資を受け得るような道を考えておられるかどうか、この一点をお伺いしたい。
  122. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 御質問の点は、一つは、非常に根本的な信用事務に関しまする農協の現在のあり方が果していいかどうかということと、一般的に災害ばかりでなくて、おっしゃいましたかもしれませんが、災害及びその他の事業資金の融資につきましてどうだということと、その場合、農協が不振な場合にどうかということと、三つの点が含まれておるかと私は思いますが、最後に申し上げました不振農協につきましては、私早々でございまするが、農協の実態を本省の目から見たところ、県段階の連合会では再建整備はどのくらい進んでおるかということ、しからばまたその次には、単協でどのくらい健全性を持っているか、あるいは不振農協があるか、こういうことを至急やや明確にいたしますように、下吏に命じまして、その報告を受けましたところによりますると、市町村農協の約二四%、数にしまして三千組合くらいはかなりの不振農協のようでございます。従いまして、この農協がそういうことでは、災害対策はもちろんのこと、米その他の農産物の集荷も、肥料その他の必需品の購買事業も、これは十分でありませんので、日本農業農村建設の経済中核体としての農協の振興と申しますか、再建整備は必要と存じまして、願わくは、来年度予算に、私どもだけの希望で申しますと、数億の予算を計上いたしまして、基金といたしまして単位農協の再建整備、不振農協の振興に資する方策を数カ年計画で確立したいと思っておるわけでございますが、もう少し研究をさせていただきたいこともありますので、それらの構想なり目標について、きょうはただいま申し上げる程度にしていただきたいと思います。
  123. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 農協の不振建て直しができるまで罹災農家は待っておれない。従ってそういうふうな農家に対して臨時緊急な処置をとるために、貸付金等を農協を経由しないでやる方法があるかどうかということを伺いたい。     〔座長代理稲富稜人君退席、座長代理鈴木善幸君着席〕
  124. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 それは一つは先般農林業金融公庫法の改正法律案を御審議、また可決いただきました中にありましたように、あれは公庫の業務を農協が行いますが、公庫から個人施設に直接貸すものでございます。それもその一つでございます。なおそのほかに農協資金によりません場合には、他の金融機関も地方銀行もあるだろうと思います。
  125. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 最後にもう一点お伺いしたいのは果樹災害についてでありますが、果樹の災害相当大きな数に上っております。それについて共済制度など考えておられるかどうか、これが一点。もう一つは、果樹災害資料収集に当りまして、現在の農林省の調査機関が果樹に対する特別な予算措置などをとっておられませんので、その点非常に弱体で、絶えず当該県との間に数量その他の調査の不合いが生じておるような傾きがございますが、日本の農業の上に果樹の占める比重が高まりつつある今日、この統計方面に対しても新しい顧慮を払われる意思があるかどうか。その二点をお伺いします。
  126. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 今般台風等がありまして、時期の関係もありまして果樹の災害がかなりあると思いますが、本日統計部長が申し上げましたような程度でも本省でわかっておりますか、農林省の統計調査機構をだんだん拡充整備する一方、人、器材等の不足でいろいろ悩んでおるようでありますが、とにかく米の調査から麦の調査へとだんだん広がってきまして、そのうちに、マイナー・クロップという、まあ英語流に言っておるようでございまして恐縮でございますが、小作物——小というのもどうかと思いますが、全国的にまんべんなく大量にある作物でないものにつきましては、十分な調査方法と調査能力を持っておるとは私は思いません。特に地方も、作物の成長力も、収穫力も、また裏からいいますと被害状況もある階層をもちまして、まとめて調査ができるようなものについて、比較的よく当てはまるサンプル理論をとっておるわけでございます。ところがぼつぼつちらばっておる作物でありますとか、また特殊の地方に集団的にリンゴ、ミカン、ナシとかサクランボとか、こうまとまっておりますが、それにしても散在しておるというものについては十分でありません。加うるに被害を測定する尺度等におきまして、果樹は比較的災害を受けますと全村的な被害を受けることが多いのでございます、従いまして従前からこれは府県庁の調査また府県の農業団体あるいは被害地域の村の方々からの報告もいただいて、特産課等において調査しまするものも、より重要に統計調査部の調査と突き合せまして災害対策資料に使っておるのが実情でございます。ただしからば対策がいつも弱体ではないかということにつきまして、一方恒久的制度の農業保険的な共済制度あるいは災害補償的な制度といたしまして、そういうものが保険として今の米以下の保険対象に準ずるようにいくかどうかについては、まだ確信がないようでございます。従って災害応急対策の方でいつもいっておるようになりますが、商品化作物で比較的経営者と申しますか、果樹を栽培しておいでのお方々は資本の高度化を持ったり、資産もある方というようなことなどの印象が何となくございまして、大蔵省等においてはもちろんのこと、農林省においてもやや米、麦に対する対策の態度と違っておるのが実情であったと思います。これらが両者恒久制度である場合は、せめて任意共済によるということは考え得るかどうか、あるいは共済制度も保険的な概念でなしに、災害補てんの方に重点を置くが一つの制度であるという、そういうことが可能ではないだろうかなどと寄り寄り、新米であるかわりに大胆乱暴な一つの目標も出しまして、研究をさせて、自分もまた考えておるのでございます。まだ十分な成果を得ておりませんので、これから御指導いただきまして、いい対策ができますようにお願いしたいと思います。
  127. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 実はきょうの御答弁全部入れましてあらためて農林大臣にいろいろ御質問申し上げたいと思いまするが、ただ今のお話で特殊な作物として方々にちらばっている果樹の性格、なるほどミカンにいたしましても、あるいは甲州のブドウ、青森県のリンゴといったような各地に特殊作物のように栽培されてはおります。けれども農業が高度に発達して参りますとともに、適地にこういう作物を栽培しなければ商品化がむずかしくなるのでありまして、当然今後の農作物のあり方は、特殊作物のような形態をとってくるだろうと思う。これはおそらくは新しい農業の形態であろうと思いますので、その点は一つ特例としてではなくて、日本の農業の進んできた常道としてお取り扱いを願いたいと思うことが第一点であります。  それからもう一つは、今のような経営状態では、米や麦の生産に比較して、現金収入は非常に多いのが果樹の特性なのであります。ちょっと今おっしゃったように、富裕農家が多いように思われるかもしれませんが、この経営の実態を見ますると、一例として申し上げますと、青森県の形は四万戸のリンゴ栽培農家を持ち、二万町歩に近い栽培反別を持ち、一年間普通の年で百億の収穫をあげておりまするが、その実態は二反歩、三反歩という零細農家が七割以上を占めておるという実態なんです。総額は非常に多いけれども、決して富農的な性格が普遍していない。その中に特殊な五町歩あるいは七町歩といったような大栽培をしておりまする栽培家はいるわけでございますけれども、大多数は依然として零細農家である。日本の米麦農家と同じ経営形態にあるということを一つお見落しなく、この問題の御研究をお進めいただきたい、これを切望いたします。  なお大臣出席の上で関連いたしまして今日の点についてもう少し深く質問を申し上げたいと思いまするので、その間一、二日余裕がございまするので、できるだけ精密なる資料に基いて御答弁願いたいと思います。
  128. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 先ほどの安田局長の御答弁の中で、十一日の協議会に私が資料を求めておった問題にも触れられたので、ちょっとお尋ね申し上げます。先日申し上げた点は、たとえば都道府県の被害の報告と農林当局における被害の認定の差が、相当幅が広いということはだれもが一応認めておることなんですが、特に先日のお話によりますと、北海道庁と農林省の差が十倍の幅があるというようなお話があったのであります。これは決して私どもは、単に北海道とか県の代弁的な立場でものを言うわけではありませんが、それをもう少し具体的に根拠を明らかにする必要があったというふうに感じたわけです。それでたとえば、ことしに例をとっても四月、五月に凍霜害あるいは水害資金を五億円出されております。それから六月、七月災害に対しましても四億五千万ということの御決定をなすっておりますので、この時期別に見て四月、五月災害あるいは六月、七月災害の五億あるいは四億五千万の基礎をなすところの被害の額というものはどういう数字であるかということの資料をお願いしておったんです。そういうことがわかればそのことがもう少し数字的に了承できるんじゃないかというふうに考えたわけなんですが、先ほどの御答弁によりますと、それは府県の資金需要の要求額と、農林当局の大体の予想する資金の配分額との間の差が多いのであって、被害額の差というものはそれほどでもないというお話があったんですが、もう一度その辺を御説明願いたいと思います。
  129. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 その点確かに芳賀委員からの御要望と提出いたしますという資料について、私どもからお答え申し上げましたことは、ただいま再びお申し述べがあった通りだと思います。局内担当課にその御要望に沿いまするように資料を作成するようにと申しておきましたが、一部間に合いませんでまことに恐縮でございました。とりあえず間に合いましたものだけをと思って御提出を申し上げたのであります。ただ金融課の方から従来のことを聞きますると、先般北海道水害について北海道庁なり北海道の地元と農林省の被害見積量との差は十倍であると申しましたのは、その通りでございまして、ただこれをしさいに検討いたしますると、資金需要量の要望金額が北海道から上っており、農林省には統計調査事務所の被害量というものを金額に見積ったものがある、その両者を比較すると十倍だと申し上げる方がよかったのを、多少言葉不足及び不正確であったように思います。従いまして先ほど申し上げましたように、同じべースのものを比較しますと、せいぜい二、三倍、多くて三・五倍程度の差になっている、この程度のことは、融資面につきましてあるいは災害共済制度につきまして、従来もそういうところは相当ままあったものと私は存じておるのであります。  さらに被害金額は県別にどうであるかということにつきましては、災害融資の点につきましては、県別に被害金額を県から統一的にいただいておらないそうでございます。従ってこれを統一した時期別の県別表というものはなかなかまとまらないのだそうでございます。どうやっておりましたかというと、融資のワクの決定とその県別のワクの一応のきめ方、これにつきましては統計調査部の調査の、三〇%以上の被害を受けた面積の被害量をその資料によって想定いたしまして、そうしてまた農林省調査によりまする単位生産量当りの現金支出額を想定いたしまして、それに調整率七〇%前後を一応かけまして、まず資金をそう押えてみたらどうだろう。それから府県別にお申し出のあるところと、こちらからはこれくらいでどうだろうかということを打ち合せてきめて参ったようでございます。多少府県間において各県の実際の被害額はどうだといえば、農家の階層等も先ほど申したようにありましょうけれども、それ以外にもアンバランスがあったかと思いまするが、少くとも従前はそういう方法しか処理しようがないので、関係省及び省内いろいろ研究の結果、そういうふうになっておったというのであります。その結果は資金割当量と実際の融資額とは、先ほど申しましたように融資実績の方がなお内ワクである、こういうことでございますので、今後なおこの方法はただいま適正に研究いたしたいと思っておりますが、当面の災害対策の処理も急がなくちゃいけませんので、過去の実績から見ましてさほど支障がない、全国的に被害ができた場合の被害に対する総融資ワクというものを押えるのには少くとも問題はないので、北海道等について、多少の供給と需要とでも申しまする融資ワクについて意見がありましたものは、急ぐものは急ぎ、足りないものはその次にしたり、他府県の様子を見まして北海道へ回し得るものは回すということによって処理するのが現実行政の敏速に効果あるようにやる措置だと思って、そのように督励をいたしておるわけでございます。
  130. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 それで申し上げたい点は、安田さんはかって統計調査部長で非常に成果を上げられたので、話はわかると思うのですが、地方においてやはり災害地域の持っておる特殊性というものは、やはり資金決定等に当っては勘案される必要があるのです、たとえば北海道や東北のごときは単作地帯なわけです。ですからその年の一度の収穫が、災害によって非常に甚大な収穫上の損傷を受けたという場合においては、その年は再び収穫をするという機会を失ってしまうわけです。二毛作地帯等においては、一度の収穫がだめになってもその次の作付によってそれが順調に行った場合においては、年間の農作収入を通ずると五割程度の被害ということに最後は落ち着くようなことになる、それがこういう際というものは、当然その地域における資金需要の面においてもだいぶ違ってくるんじゃないかというふうに考えるわけです。それをただ算術的に、統計調査部の資料に基いた点に非常にウエイトを置くというような考え方でいくと、やはり地方の実情に対する認識の欠如というものが結果的に現われてくるのではないかというふうに考えられるので、こういう点はやはり金融課等においても、全国の農協を通じての特殊性というものを頭の中に十分持って、そうして御判断を願わないと、これは地方においては非常に期待に沿わぬということになるわけで、特に今年の場合には国が決定するところの資金の総ワクというものが今までより非常に少いので、寡少であればであるほどそういう特殊な地域に対する要求には沿えないということになると思うわけなんです。  それからもう一点参考までに申し上げたい点は、統計調査部の現在の機構においては、安田さんは十分御承知と思いますが、米麦以外のたとえば畑作のバレイショであるとかあるいは豆類であるとか、そういう雑穀等に対する具体的な、精密なる被害の把握認定ということは、今の統計調査部の末端における機構を動員しただけでは、十分な資料はとれないのではないかというふうに思うわけです。それで特に北海道等において被害額に差違があるという点は、米麦以外の農作物の被害の把握に対して、やはり統計調査部の方でも手不足であるという点もありましょうし、あるいは府県側においてもそういう点に欠けた面があるのではないかというふうに考えられるわけです。先ほどもちょっと御意見がありましたが、これらの問題は、やはり現地における生じた災害に対する被害の把握というものに対して、これはやはり統計調査部の末端の機構とかあるいは現地の町村等における何か共通性のあるような災害調査等の一つ方式というものは、どうしても必要になってくるのではないかと思うわけです。府県においてもやはり現地の町村から出た数字を府県はやはり集計したものをある程度整理して当局の方へ出すということになるので、実際現地における災害の認定というものは、府県当局においても十分であるということは言えないと思うのです。ですからそういう点に対してやはり今後改善の余地というものが相当あると考えられるのですが、そういうことが行われれば、中央においてそういう大きな災害数字の差が開き過ぎるというようなことも相当防止できるのではないかと考えるわけですが、そういう点に対して何か御見解があればこの際聞かしてもらいたい。
  131. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 芳賀委員の御意見の中には、多少面はゆいこともありまして恐縮に存じます。さきに私はなるべく統計の忠実性、公平な統計ができますようにやる立場にありましたし、中ごろは需要者側の要求の立場に立って仕事をしまして、今度は金融側の立場に立っても、ちょうど窓口を入ったところでありまして、御指摘の第一点の北海道、東北等の単作地帯、その他地域の高冷地等も単作地帯でありますが、そういうところの被害に対しては、二毛作地帯の農家の経済余裕とか、また一作は悪くても他作が普通であれば、あるいはよりよければ耐え得る力も多い、こういうことを資金の需要量においても、お言葉がございませんでしたが、特にそういう地帯の連年被害等については、金利等のお話もこの間ありました。これらをよく考えるべきではないかということにつきましては、金融課長とも相談いたし、農林省の中へも御趣旨の旨を伝えまして、都道府県等とあるいは被害側とお打合せをして資金を受け取っていただく方には必要なる差はつけ、理解を持って処理するようにいたすつもりであります。また不日この対策を具体的に実行しましたときにそれがうまく行ってないかどうかは、少くとも従来より改善されていないかどうかは、御批判をいただきたいと思います。また第二点の統計調査部の米麦以外の統計資料がいろいろ問題があるであろうということは、私も率先して先ほど申し上げた通りでありまして、調査方法におきましても、調査の規模、能力、人員、器材等におきましても御指摘通りであると思います。いたずらに人員機構を厖大にしても専門知識のある人がそれだけあるかどうかも疑問がございますので、この調査方式あるいは多少二、三様ある調査の結果をどう扱うかという扱い方につきましても、行政の運用でもありますので、これらにつきましては従来持っております知識とか統計内容が、一応統計数字が出ておりましても、それ固有に持っております長所欠陥をにらみ合せまして、活用を行政上上手に生かしたいと思っているのであります。他の機関たとえば市町村、県庁、食糧事務所、農業委員会等いろいろタッチする人が多いものでございますが、これらにつきましては、数カ年前から故金子委員川俣委員その他御指導いただいたこともありますので、これらを総合的に取り扱う立場にはからずもなりましたことを機にいたしまして、改善方式一つ提案しようと思っていることもございますが、やはりこれに当りましては予算の問題でありますとか、法律の問題でありますとか、あるいはそういうことを離れましても、運用を上手にどうやるかという問題もありますので、もうしばらく時間を貸していただきたいと思っているわけであります。
  132. 川俣清音

    川俣清音君 ちょっと関連して。今の局長の答弁によりますと、機構を厖大にしてもあながち人を得られるかどうか疑問だ、こういう答弁があったのでありますが、しかし今芳賀委員指摘されたように、米麦については何といいましても統計自体の把握について軌道に乗ってきた。これに機動力のあるジープ等を配置いたしましてさらに効果が上ることだと思いますが、今指摘されました雑穀類の統計につきましては、一方において食糧庁がこの集計をやり、一方統計もやっている。一方県及び農業団体もやっておる。あるいは一部取引所もこの統計をやっておるというようなことで、一体どういうのが最も真実に近いかということはつかみ得ない状態である。従いましてその方の知識がないのだということになると、いずれの統計もみなうそだということになってしまうと思うのです。経費の点もそうだと思う。食糧庁ども相当の経費をかけておられるようです。ですからこれは必ずしも一本にしなければならないとまで極論はしないけれども、どっちかにこれは集めていかなければならぬものだと思うのです。なぜこれが重大かと申しますると、雑穀類の収穫というものは非常に雑穀の価格に影響するものであることは、私が申し上げるまでもない。この雑穀類の価格が主食の米麦に非常に影響することもこれまた事実で、過去の経験からいって明らかであります。ですから、こういうものはいたずらに投機の対象になったり、あるいは米麦に非常な影響を与えるものでありまするから、やはり正確にこの統計をつかむ、実態をつかむということについては、米麦と同じように、つかんでおりませんと、農業政策の全体が立たないということになると思うのです。ここでわずかな経費を惜しんで、混乱が起きてからあわてていろいろなことをやるということになると、前のアズキの取引の混乱のように、初めからわかっておるのにかかわらず、統計自体の把握がないために混乱のままに放任しなければならないという結果になってきて、経済界に及ぼす影響は非常に大きかった。ああいう事態は正確にこれを把握しておったならば、アズキの取引所の混乱などは起り得ないはずです。自信がないからああいう混乱を起さした。責任はまた農林省にあると言わなければならないと思うのです。こういうところから、今まで盛んに要求の立場に立っておりながら満たし得なかったのだから、今度局長になったらそれを満たすという自信を持って、おそらく数年統計事務に当ってこられたと思うから、その自信のほどを、局長になったその実績を少くとも現わしていただかないと、部長時代に言ったことはいいかげんなことだったのだということになると、安田局長も将来非常に影響が大きいと思うので、この際一言だけ注意かたがた質問いたしておきます。
  133. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 川俣委員からは多年御指導をいただいておりまして、まことに浅学非才恐縮に存じております。ただいま御指摘の点は逐一ごもっともで、その通りかと思います。先般も、まだ私はそのときは経済局長ではございませんでしたが、食糧事務所が雑穀の収穫量を北海道食糧事務所において新聞に公表いたしておりました。そのくらいの余力があれば、統計一本においてこれは強化すベきものである。もしすぐ定員法や組織そのものにおいて不可能であれば、運用においてむだなく一つの調査にまとまるように両者が協力して、その対外公表は統計事務所においてすべきものである、そういうことを関係局長に強く要望いたしまして、農林省は自今そういうふうにするということに実はしてあるのであります。間々現地の職員が違って処理することも今後も全くないとは保証できませんが、あれば直ちにその省の方針に従って是正をするつもりでございます。またアズキ等について調査の把握あるいは予想が特に早くないということが、この間アズキ問題の処理がうまくいかなかったことがありとすれば、その一つの原因かという点において、川俣委員のおっしやる通りかと思いますが、取引所の運営が必ずしもあるべき姿にまだ法的その他にもないという点にあるかもしれませんし、有名な相場師や何かがまざって、官庁との連絡をよくやらずにやられた点にあるやに、正確ではないかもしれませんが、聞いております。しかし事調査の面からこの問題を論じますれば、川俣委員のおっしやる通りの点があると思います。それらにつきましては従来の方針なり性格を曲げないで機能が強化して、行政なり経済の指針によく有効に役立ちますように、多少私見もないわけでもございませんが、ここで私見を申し上げることははばかりたいと思いますので、役所といたしまして不日また御批判を仰ぎたいと思っておる次第でございます。
  134. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 今川俣委員から御指摘がありましたが、イモ類、雑穀の把握が非常に困難だというのはこれはやはり末端機構が充実してないことだと思う。一例を申し上げますと、たとえば統計調査部では、バレイショに対しては八月十日現在の予想収穫高を一応出しておるわけですが、これによりますと、作付面積は昭和二十九年よりも七千五百町歩増加の八万六千七百六十町歩となっておる。ところが食糧事務所の方は八月十五日現在で数字を出しておりますが、これによると作付面積が七万六千九百四十町歩、ですから同じ北海道だけでも九千八百町歩くらいの作付反別の差が出てくる。収穫予想に対しては統計調査部の方は昨年よりも約二千四百万貫生産増の三億一千六百七十万貫となっており、これは七千五百町歩反別が去年よりふえていることに原因がある。しかるに食糧事務所の方は反別が前年度よりふえておらない数字が出ており、これによると生産数量が二億八千三百七十万貫でも統調との間にちょうど三千三百万貫の差があることになり、同じ農林省内において統計調査部と食糧庁の調査の上にこのように数字の違いがある。これらの数字というものは、たとえばカンショバレイショのような場合には、農産物価格安定法に基く決定を行う場合においても、一つの重要なる資料として用いられる。ところが食糧庁の場合は自分の食糧庁自身の作った資料によると、これは値上り要素が出てくる資料になる。去年よりも反収も落ちるし、歩どまりも悪いということになる。本来は食糧庁が自分で調査したならこれを使うのが妥当だと思うのでありますが、不利になる場合は統計調査部の資料を使わなければならぬので、こっちにするのだということになると、去年より反別がふえ、出回りがふえておるから、これは値下り要素が非常に強い、同じ農林省内における統計とか、調査の機構の中においてもああいう矛盾したものがありますので、やはり国の農林統計の場合においては、統計調査部なら統計調査部の調査に権威を持たせて、これに統一するということにならなければいけないのではないかというふうに考えるわけであります。なお一点申し上げておきたい点は、これは特に金融課長が出席されておるので申し上げますが、単に災害資金だけを切り離してものを考えるということではなく、たとえば東北、北海道においては、短期の生産金融の農手に一例をとっても、全国農手の全体のワク内における寒冷単作地帯がどれくらいの分量を占めておるかということは、これはお調べになっておると思いますが、たとえば昨年の場合にも約二百六十億くらいが全国の数字でありますが、そのうち北海道だけで八十三億くらいの農手に依存の数字が出ておる。全国の三分の一くらいを北海道が占めておる。しからば北海道が全国の三分の一の農業の生産力を示しておるかというと、そんなことには全然ならないわけです、ですから寒冷単作地帯のような、生産条件の悪い、ほとんど生産に対する物量の投下が多くて回収されるものが少い、こういう状態になっておるところが大きな災害を受けた場合においては、結局赤字の累積ということになって、農家の負債問題として取り上げて検討しなければならぬような時期まできているわけです。ことしの農地金融の問題等にしても、これは農地の窮迫販売が行われるような時代になったので、緊急に法律を定めて、自作農がさらにまた転落することを防止するというような顕著な事例が現われてきておるわけですから、そういう点も、ひまがあればそういう特殊地域にも一つお出かけになって、果して府県当局が、ただよけい資金を獲得したいということだけのインチキな気持でやっているかどうかというような実態も見きわめ、ことしの資金問題の解決あるいは昨年、一昨年の二箇年の災害資金の返済の可能不可能の問題等も十分きわめて、どうしても返済能力がないというようなところに対しては、やはり当然のこととして延納であるとか今後の農業の生産力がそれによって中絶することのないような配慮というものは、どうしてもやるべきであるというふうに考えるわけですが、これらの点に対してお答えを願いたいと思います。
  135. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 さっきのお話にもどるかもしれませんが、供出割当がありましたときには、農業団体や食糧調整委員、農業委員あるいは知事等の非常に強い要望もあり、国会からの御意見もありまして、統計事務所の数字以外に、参考資料としてその他の調査結果を活用したことがあるかと思いますが、最近農産物価格に関しまする資料としましては、生産最等につきましては、あるいは生産見込みにつきましては、統計調査事務所の数字だけを使ってきたように私は考えております。多少例外があり、参考資料として他の資料を使った場合があるかとも思いますが、価格形成のような場合には、あまりそういう不統一はなかったかに思います。しかしそれかといって統計の価値が割合少い場合とか、よりいい他の資料があるというような場合もありますから、それらは彼此勘案いたしまして、原則は原則として立て、例外なり参考なりとしてはそのように参考にしたのがまだ現状かとも思っております。それらは御趣旨に従いまして、なお今後努力いたしたい思います。  第二点の方は、金融課長も余裕がありましたら北海道の方に出張していただきまして、今後の行政に支障がないように努めたいと思います。
  136. 川俣清音

    川俣清音君 関連して……。どうも安田局長、しばらく統計から離れて時間がたったと見えて、大分認識が薄くなったのじゃないかと思うのです。食糧庁関係統計統計事務の関係で見ますると、雑穀イモ類については根本的に調査の方針が違っておるのです。というのは、片っ方は米麦と同じように一定の調査方針に基いてやっておりますが、食糧庁の方は、なるべく生産された実体がどの程度に商品として販売されるかということに主力を置いた調査になっておると思うのです。その結果、過去の経験から実績を見ますると、大体食糧庁の把握したものが現状における現物の動きから推測いたしますると、食糧庁の推測の方が大体従来は近い数字を把握しておるわけです。ところがときによりますと非常にその把握が異なって、あるいは統計事務所の方が近かった場合もなしとは申し上げませんけれども食糧統計の方が、北海道等の雑穀イモ類については大体近いものを使われておったと思うのです。しかしそれが全部生産物であったかどうかということは疑問でありまするけれども、市場の中に動いた実績を見ますると、食糧庁の把握したものの方がより実際に近い、こういうことだけは判定できるということが常識になっております。どれがどれだけ生産されたかということについて、統計事務所が自信を持って、これだけ確実に生産されたのだという自信を持つほどの精密な統計が行われておるかといえば、行われていないのですよ。これは統計調査部長を呼んで、どういう調査をして、正確な把握程度は、確率はどのくらいかと聞いたら、おそらくこれは非常に危険な答弁をせざるを得ないような結果になる。そんなに確率は高いというようなことを公然とここではいえないような調査の内容であることは、安田局長はよく御存じのはずなんです。そこで価格形成の中に統計からくるところのものをもって使うのだということは、雑穀類のように直接統制をしていないものについては、やはり商品として流通しているものがどのくらいであるかということの把握をしないと、これは統計としての役に立たないという結果になると思う。そこまで統計が深く入ってやるべきなのに、やっておらないというところに問題があると思うのです。これは一段とここに局長の責任で予算をそういうことに必ず使いたいというならば、使うだけの確率を出すだけの予算をやはりここに計上させていくということが付帯されませんと、あやふやなものを基準にしてくるのだということでは、これは承服できないのでありまして、長くは申しません。これだけ注意いたしまして—注意というか、これについての御答弁を願いたいと思います。
  137. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 今のは川俣委員の御高見でありますから、そのようにまた御趣旨を尊重しまして、部内で研究しまして、その方向へ私もまた努力いたしたいと存じますが、あわせて、かなり独立性を持っておる特殊の部として機構もできて扱っておりますから、統計部長にも以下全職員にも、努力していただきまして、食糧当局にも、同じ農林省内でありますから御趣旨をよく伝えまして、同じ歩調でよりよく統計が生きて使えますように、正確でありますように努力いたしたいと思います。ただ統計事務所より食糧事務所の統計の方が実際に近いことが多かったという常識は、私はまだそういう常識として少くともただいまは持っておりませんので、なお今後勉強したいと思います。
  138. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 先ほど私が申したイモ類関係数字の問題ですが、これはあとになれば、安田さんが言われたように正確な数字が出てくることになると思うのですが、バレイショの場合は八月十日以降の調査というのは、今日までまだ報告されていないのです。ですからその中間における災害数字等ももちろん出てきておらぬと思います。今月の十七日にはその実収推定高が——これはもう本庁に必着することになってくるので、その数字を見れば、その八月十日現在というものとの差異ははっきり災害による減収等を含めて現われてくると思うのです。おそらく私どもの予想では、八月十日の調査よりも収量面においても一割以上の低い数字が出るのじゃないかというふうに考えておるわけです。ですからこの災害資料をお使いになる場合においても、的確に災害数字というものは米麦以外にも現われるようなことになれば、融資関係の方でも、それを非常に有効な資料として使うことができるのじゃないかと思うので、この時期のずれ等に対しても、これはやはり調節する必要があると思うわけです。  それから次に、これは官房長に災害問題とは別にお尋ねしたいのですが、来年の予算の編成の準備等もあると思いますが、たとえば現在の政府の経済六カ年計画に対応して当然食糧増産の五カ年計画というものを具体的に長期経済計画の一環として策定されると思うのです。そういうものをすでに農林省としては大体用意されておると思うわけなんですが、これは今までと違った点は、今までの食糧増産の三カ年あるいは五カ年計画というものは、どちらかといいますと、その年次予算と全然関係がないわけではないけれども、やはり別途の立場に立った増産計画というものが作られた場合が非常に多いわけです。今度の場合はそういうことではなくて、長期経済六カ年計画の中における農業の増産に期待する明確な計画というものが当然出てくると思うわけなんです。これは相当しっかりした計画が用意され、確立されないと、明年度以降における農林省関係予算の面に対しても重大な関係があると思うわけなんですが、こういう問題に対しては現在どのように進んでおるか。これは官房長になったばかりで迷惑な質問かもしれませんけれども、一応農林当局としての今の段階をお示しを願いたい。
  139. 谷垣專一

    ○官房長(農林)谷垣專一君 まだこの地位につきましてからあまり時間がございませんので、あるいは御満足のいくような御答弁ができないかも存じませんが、あしからず一つ御了承を願いたいと思います。  いわゆる六カ年計画、長期経済計画の樹立につきましては、関係各省と協議いたしまして、経済企画庁が中心になりまして策定いたしておるわけでございます。御存じのように、それぞれの専門部会ができておりまして、そこでそれぞれの部門別に計画をいたし、それをまた総合調節して参る、こういうことになるわけでございまして、それがたとえば農林水産関係であれば農林水産部会が開かれて参っておるわけであります。さようにいたしまして逐次積み重ねが行われてきておるわけでございますけれども、要するに増産計画の場合におきましては、一番問題になりますのは国家資金のそれに対する投入がどの程度になるかということが一番大きなてこ入れの問題になるだろうと思うのです。この点が実は毎年問題になります。予算ともからみ合いまして問題になるわけでありますが、今度の場合におきましても、長期計画を立てる場合におきましても、その点が各産業別の資金の配分と農林水産業におきまする資金計画、資金需要の問題とにおきまして、なかなかうまく調節がいかない数次の場面を繰り返してきておるわけでございます。しかしこれはどうしても調節をいたしまして、そうしてまとまった計画にいたさねば相なりません。この一両日におきましても、何とかこの調節点を見出すように関係の部門と折衝を続けておるわけであります。ただ問題は、そういうふうにしてでき上りました増産計画と申しますか、単なる増産計画ではなくて、もっと含めて農業計画ということになろうかと思いますが、そういうものと来年度の予算というものが具体的にどのように時間的にかみ合っていくかという問題であろうと思います。これは当然にかみ合う——その間にたとえば初年度が来年度の予算ということになって発足するのが当然のことになるかと思いまするけれども、片一方は長期計画でありまするし、片一方は来年度直接の問題になりますし、その間に時間的なプログラムの調節がうまくいくかどうか、端的に申しますれば、来年度の予算が事務的にはもう相当に積み重ねて検討が行われておる、これは国会その他でどのように訂正がありますかは別でございますけれども、その事務的に積み重ねられておりますそういう時期と六カ年計画との時期とが、どういうふうにずれるか、あるいは一緒になるか、もっと端的に言えば、六カ年計画は先にきまりまして、それに基いて来年度の予算が事務的に要求できるようなところになってくれば一番正しい順序になる。そこのところが今のところなかなか調節がつきにくい状況で推移しております。これを何とか早く六カ年計画というものをきめまして、初年度の数字が来年度の予算という具体的な数字に織り込まれるようにいたしたいと思って努力いたしておりますが、そこらのところは今来年度予算が六カ年計画の初年度の数字とぴたりと合うかどうかということについては、もう少し調節の必要があろうかと思います。と申しますのは片一方は、やはり六カ年、かなり変転の多い先行きを見ます六カ年を通じましての、いわばかなりこれは客観的な性格を持った計画に相なりますし、片一方は来年度すぐという問題になります。その間におのずと精粗の別というと語弊があるかと思いますけれども、やはり見通しを立てる場合大まかな、大まかというと語弊がありますが、その問題と来年度直接の問題との場合に非常に問題が生じた。各産業別の資金配分等の問題にいたしましても、六カ年全体を通じてであれば議論があるいは合う、あるいはまた総ワクにおいてはこれをお互いに認めよう、ただし来年度の計画については調節のつかないままに各省が大蔵省との折衝をまずやらなければならないという時間的な情勢が考えられるというようなことが生じるかもしれない状況でございます。農林省といたしましてはできるだけそういうことのないように考えて処置いたしておりますが、やはり六カ年計画自体についてもこれは客観的に筋を通して主張しなければならないので、その間の調節に目下苦慮をいたしておる状況であります。どうもまだ新米でありまして、つぼにはまったお答えができにくい点が多いかと思います。大体今のところはそういう状況で進んでおります。
  140. 安田善一郎

    ○農林経済局長安田善一郎君 このバレイショを、十月十七日ごろでございましょうか、その時間的ずれ、調査期日による収穫見込み、言いかえれば被害状況等についても、最新版をとって対策基礎資料にせよ、またその調査資料も慎重に扱えということにつきましてはお話通りに処理したいと思います。  なお私の谷垣官房長に対する引き継ぎが多少悪いようでございますから、私から一、二申し上げます。経済総合六カ年計画は、一応政府の建前では去年から始まっておることになっております。官房長がさき申し上げましたのは三十一年度のことを申していられたので御訂正になっていただきたいと思います。また予算と長期計画関係はいろいろあり、今私どもの側から申し上げました通りでありますが、経済企画庁におきまして新たに委員の民間学識経験者のりっぱな方々からなる経済審議会を置いて、これに付議して、その御意見も十分に聞き、尊重して、計画をより具体化して、また改訂もするということで、この前の国会にも直ちにその議を進めまして、農林水産業部門におきましても総合経済六カ年計画の重要なる一環として同様に扱われておるのでありまして、またその建前からかなりの改訂をされつつあるのでありまして、まだその案は経済審議会の議を全部経てもおりません。経済企画庁としても全部まとまっておりません。政府といたしましては、来年度予算の編成に重要な基礎的参考資料となるものという趣旨の——そういう言葉ではございませんが、そういう扱いをしようというのは、ずっと前に了解がされつつあるのでありますが、経済自立と雇用の増大——完全雇用とうたってありますが、必ずしも完全雇用はできませんので、そういう目標に向いまして、計画をよりしっかりしようということで立て直されつつあるのであります。しかしただいまお話がありましたように、三十五年、六カ年目の目標についてまず固めようということでありますので、勢い一方大蔵省あるいは政府におきます来年度の予算規模のもとにおいて、またどういう予算編成方針をとるかもきまっておらないことと照応いたしまして、この経済六カ年計画の三十一年度分ということについても、まだなかなかはっきりしたものにはなっておらない段階のまま、最終目標をよりよく固める意味の六カ年計画が進んでおるのであります。食糧生産計画というのは、農林水産業計画のうちのその一部でありますが、予算とか財政投融資計画に非常に重大な関係があることは、他の公共事業とともに、あるいはそれ以上のものでございますので、最終目標を関係庁や経済審議庁と改訂しながら、決して全体の経済六カ年計画に非常にもとるものではないが、農林省独自の見解をももちまして、その三十一年度分の予算要求をすでにしておるわけであります。今後これを予算の折衝過程中、言いかえますれば、その時期は経済六カ年計画またその中の一部の農業計画、またその一部の食糧生産計画がどういうふうに固まってくるかということと同時期でございますが、予算要求に盛った農林省の計画案と申しますか、ないしはその要求案、こういうものは経済六カ年計画におきましても、予算におきましても、趣旨を通しまして、そうしてまとめようとしておるわけであります。
  141. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 この点に対しては、十九日の協議会にさらに農林大臣が出席された場合、基本的な考えを尋ねたいと思っておるのですが、ただ本年度の当初に政府が示された経済六カ年計画の構想を見ますと、農林水産業のいわゆる第一次産業に対する考え方、分析というものは非常に消極的なんです。農業生産等の面に対する長期計画の持つ期待というものが非常に薄いということが、他産業に比べて言えると思うのです。そういうような一つの基本構想の中において、今後の農業政策というものがいろいろな制約を受けることになると思います。ですから、この際やはり農林当局においても、一貫した筋の通る政策を確立して、それがこの長期経済計画の中に主要な役割を果すというようなところにいかないといけないのじゃないかと思う。ですから、それはやはり来年度の予算の編成の中においても、当然その相関関係というものはあると思うのです。特に財政投下の問題にしても、あるいはいろいろなその他の諸問題等に対しても、午前中にもちょっと申したように、たとえば基金制度のような構想が出て、やはり保護政策というものをだんだん捨てるような傾向も現われてきているわけですから、こういうような段階においては、農林当局としても非常に重大な場面に当面しているのじゃないかとわれわれは危惧しているわけです。そういう危惧が危惧で終ってしまえばいいわけですが、そういうことが現実になるような傾向になると、これは悔いを千載に残すことになるのですから、長期計画あるいは来年度の予算編成等に対しても、農林当局の確固たる御方針を承わりたいと思っておったのですが、これは時間もありませんし、できれば十九日にもう少し具体的なものを大臣等からお示し願いたいということを申し上げておきます。
  142. 石田宥全

    ○石田宥全君 時間の関係上簡単に御質問申し上げたいと思うのです。今年のウンカの異常発生の問題ですが、改良局長の担当かと思うのですが、官房長でおわかりだと思います。非常な豊作をうたわれておったわけでありますが、特に北陸地方においては八月の中旬ごろから一時的な非常な異常発生を見たわけでありまして、新潟県などにおきましては、ツマグロヨコバイ、セジロウンカというようなものが、おそらく明治三十年来かつてないといわれるような状況であったわけです。御承知のように、それが非常な豊作を予想されておったので、実はみんな安心しておったわけです。ところが急激にふえて参りまして、驚いてこれが対策に取りかかったわけですが、農薬の備蓄も実はない。それがために他府県から相当長距離のところをトラックで運搬するというような事態が起り、また各個人としてもなかなか薬剤の入手に困難を生じたり、いろいろあわてふためいて、多少手おくれなどもいたしたところもあるわけでありますが、新潟県としてはその被害面積が約六万町歩、薬剤の散布の金額が一億五、六千万円というような程度で、しかも個人にまかせておくわけには参りませんので、農業協同組合やあるいは農業委員会等が薬剤の手配やらいたしまして、半ば強制的に、集団的に防除措置をとったというような事態なのであります。また時間があれば実はいろいろ詳しいこともお聞きしたいと思ったわけでありますけれども、時間もございませんが、農林省は新潟県に対しては調査官も派遣されたようでありますが、どの程度に御調査になっておられるか。実はその当時の手配ははなはだ緩慢でありまして、われわれ納得いたしかねる状況であったわけであります。そこで問題は、もうすでに終ったことでありますので、新潟県だけでも今申し上げたような状況でありますし、富山、石川、福井等にも発生はいたしておったようでありますが、こういう異常発生に対しまして農薬に対する助成の道が開かれておると考えるのであります。詳しい法的な問題などは抜きにいたしまして、当局としてどの程度に御調査になり、同時に薬剤に対する助成措置等について、どの程度に進行しておるか、進行の状況等を承わっておきたいと思います。
  143. 谷垣專一

    ○官房長(農林)谷垣專一君 ただいま石田さんから主として新潟県に発生いたしましたウンカの問題について御質問があったわけでございますが、現在におきます全国的なウンカの発生状況は、今お話のありました新潟が一番激しい状況でございます。その他北陸の三県もかなりの発生を見たという状況でございますが、そのほかの地帯では今年は実はそれほどの発生は見ていないのでございます。二、三のところはございます。特に今申しました新潟を入れました北陸四県がひどかったようであります。これはまだ今の台風に伴いますウンカの発生も現在警戒をいたさねばならぬと思いますが、とにかく今までの状況はそういう状況であります。防除の状況等、一部に若干そういうような手おくれがあったかとも思いますが、全国的には大体におきまして防除も割合にうまくいっておりまして、被害も全体的には軽微で、特に北陸四県がひどかった、こういう状況であります。  これをどういう形で措置をいたしますかという問題でございますが、今後におきますウンカの発生等は、状況によりまして整備いたしておりますストックの農薬等の放出をもって処置するわけでございますが、今御指摘の新潟県等の地帯におきましては、一応ます農薬等の手入れはすでに済みましたあとのことでございますので、特にいつも問題になります防除機具の補助につきましては、一つ現在の予算の運用で特に重点的にやっていかなければならぬ、そういうふうに考慮いたしております。問題の農薬の購入補助につきましては、ざっくばらんに申し上げますと、実は今のところなかなかむずかしいような状況でございます。と申しますのは、先ほどのように全国的な大発生という形でなくて、一部のところが非常にひどかった、こういう状況でございますので、これをいわゆる農薬購入補助金という形で具体化いたしますのには、もう少し検討をいたしたい、もちろん関係方面とも協力してやらなければなりません、実は現在そういう感じでおるわけであります。とりあえず防除機具の方に対します補助を重点的に回して運用していく、そういう態勢で今農薬補助についても検討はいたさねばならない、こういう考えでおるわけであります。
  144. 石田宥全

    ○石田宥全君 防除機具の問題は予算が計上されておるわけでありますし、これは予算の範囲内でやられることは問題ないわけで、今お話の要点は予算外にさらに考慮する、こういうことなんですかどうですか。
  145. 谷垣專一

    ○官房長(農林)谷垣專一君 今の防除機具の問題は、現在あります予算の配分につきまして、こういうふうに異常発生を見ておりますところに重点的に考慮したい、こういうことでございます。
  146. 石田宥全

    ○石田宥全君 農薬の備蓄の問題ですが、従来は農林省は稲熱病に対する対策としての農薬などは相当備蓄があるように承わっておるわけでありますけれども、このウンカの対策は、これはいわゆる異常発生でありますからやむを得ないと言われればそれまでのことであるけれども相当深刻なものなので、将来そういうものに対してもやはり相当備蓄を考慮しておくべきものだと思うのです。ことにパラチオン剤などの点で実は非常に困ったわけであります。そういう点について、一体全国的に見てウンカの常習発生地帯というようなものはどの程度にあるのですか。
  147. 谷垣專一

    ○官房長(農林)谷垣專一君 私まだ詳しく存じませんので、堀防疫課長にかわりまして、話をさしていただきたいと思います。
  148. 堀正侃

    ○農業改良局植物防疫課長堀正侃君 私からお答えいたします。ウンカと一口にいわれております中には数種のウンカがあるのでありまして、今度新潟で発生したのはツマグロヨコバイ、正確にいえばヨコバイでありますが大きくウンカと申しております。そのほかに一番稲に災害のありますのはナツウンカと申しましてセシロウンカ、それからアキウンカと申しましてトビイロウンカ、この二つであります。御承知のように、ウンカはどちらかと申しますと九州地方あるいは中国、四国といったようなところに普通の年は発生をいたしておるのでありまして、大発生の年は関東から、ときには東北の一部あるいは北陸というふうな地方にも及ぶことがあるのであります。ツマグロヨコバイの方は、これは大体ほとんど全国的に発生しておるのでありまして、主としてこの虫は、従来は苗しろから本田初期の害虫でありまして、本田後期に害を及ぼすことはあまりなかったのであります。ところが最近、この数年間暖冬異変といいますか、そういった影響もあるのかと思いますが、また全般的に稲作が幾らか早くなっているという結果もありまして、ツマグロヨコバイの繁殖が従来になく多くなっておる傾向にありますし、また後期稲作に対しても影響を及ぼすようなことになっております。この虫は今申しましたように、突発的におそくなってから出るという虫ではないのでありまして、初めは禾本科植物の雑算から初期の稲に移り、だんだんとふえてくる、こういう性格を持っている虫であります。  それから先ほど農薬の備蓄のお話がございましたが、農薬のいわゆる整備、備蓄につきましては、単にいもちのみならず、ウンカにつきましても、二化メイ虫につきましても、昭和二十七年以来実施をしておるのであります。ただ東北地方は、比較的ウンカの出ない地方であるために、県備蓄は昭和二十九年でありますが、国の備蓄は二十七年から実施しております。東北地方並びに北陸地方は比較的ウンカの出る頻度が少いというふうなわけで、あるいは新潟県あたりではウンカに対する備蓄をしていなかったのではないかと思うのでありますが、国全体といたしましては、従来ともこの三大病害虫に対しましては備蓄をいたしております。
  149. 石田宥全

    ○石田宥全君 担当の課長のお話でだんだんはっきりするわけでございますが、実は早くから発生の徴候があったにもかかわらず、非常な被害がしろうと目にもわかるようになるまで何らの措置が講じられておらなかったのです。一部の者は農民でも言っておったのですけれども、ほとんど講じられておらなかった。そういうことでは困る。いろいろな調査機関もあり、研究機関もあるにもかかわらず、ほとんど放任されておった。今後そういうことがあってはならないということです。  それから官房長が、どうも深刻なのは新潟県だけで、あと二、三の県はあるけれども大したことはない。だからこれを異常発生として補助や助成の対象にするには非常に困難性がある、こういう話なんですが、その範囲が広ければ対象にするにいいけれども、範囲がただ一府県ぐらいでは調査の対象にしにくいというのは一体どういうわけなんですか。
  150. 谷垣專一

    ○官房長(農林)谷垣專一君 これは石田委員の御指摘通りに、範囲が少いからいけないというのはおかしい話なんで、範囲が少くても異常発生をしておるところには何らかの対策をするというのが本筋だろうと思います。ただやはり全国的な問題として取り上げられます場合と、ごく局部的な場合とにおきまして、若干その間の取扱いに、財政当局等との話し合いをいたします際に、まとまり方が軽視されがちな点があることは事実なのでございますが、今石田委員のおっしやいます通りに、数府県であるから対策にならないというような筋のものでは決してないと思います。
  151. 堀正侃

    ○農業改良局植物防疫課長堀正侃君 今もお話申し上げましたように、新潟県のツマグロヨコバイの発生につきましては、ことし病害虫の発生予察事業等におきましても、早くから予察をいたしまして、実は新潟及び北陸四県ではウンカが出るぞということは警告をいたしていたのでありますし、また県当局におかれても、数回にわたって市町村に警報を流してあったようであります。ところが結果においてああいうふうになったということは、三十年来か何十年来か存じませんが、珍しい発生であって、農家の方々のこの虫に対する認識が十分でなかったという点もありましょうし、またあるいは農薬が円滑に供給されなかったという問題もありましょうが、なおやはり防除機具が不足しておったということも大きな原因じゃないかと思うのでございます。ウンカのごときは、一部落なら一部落の防除が一日なりあるいは二日というような短時日のうちに行われないと、十分な効果が上らないものでありまして、一週間もかかってやっておりますと、一方から追い出しておるような結果になりまして、これがまた防除したところに帰ってくるというような結果になって、十分な効果が上ってこないのであります。新潟県の実情は、そういうふうに機具の不足ということがかなり大きな問題である、こういうふうに考えますので、先ほど官房長のお話申しました理由もございまして、すでに防除の終ったあとでもありますので、防除機具について重点的に考えることによって、ある程度農家の御要望をカバーできるのではないか、こういうふうな気持になっておるわけであります。それで防除機具につきましては、御承知通り最初約一億八千万円の予算がございまして、あと予算の修正で一億ばかりついたのであります。この一億につきましては、当初計画の上につきましたためにまだ配分をいたしておりませんので、これを一つ重点的に新潟等ウンカの発生の多かったところに配付するように考慮したらどうか、こういうふうに考えておる次第であります。
  152. 石田宥全

    ○石田宥全君 実情は必ずしも機具の問題ではなかったのです。薬剤の問題でした。これはいいとして、実は大蔵省の主計局長にも話したのです。ところが農林省からまだ話がない、こういうのです。所管の農林省が大蔵省の方にまだ話をしてないというのは、私はこれは農林省の怠慢だと思うのです。こういうばかな話はない。われわれが直接主計局長に話したときには、考慮しましょうということであったのに、農林省からまだ何も話がない。農林省がもう二カ月ほども前に係官を派遣して実態を調査しておいて、そうしてその資料もまとまっておるはずなんです。被害金額も薬剤の額もまとまっておる。それを農林省の方で腕を組んで、どうも困難でございます、こういうことは私は、農林省としてはなはだ怠慢で許すべからざるものだと思うのです。すみやかにその調査をまとめて、そうしてやはり大蔵当局に対して、こういう実情であるし、こういうふうな条項によってこれは見てもらわなければならないということを、強硬に主張しなければそれはできるはずがない。それとも農林省の予備費の中で繰り合せがつく状況なんですか。それなら私はいいと思う。ところが聞くところによると、農林省内の予備費では繰り合せはつかないという話だったから、私どもは大蔵省にかけ合った。ところが大蔵省はまだ農林省から要請がないという。そうして官房長は非常に困難だという。そういうことではいかぬと思うのです。すみやかにちゃんとした数字をまとめて、農林省の内部で予備費でちゃんと都合がつくならば、それは予備費で差し繰りをされるべきであるし、どうしても農林省内部の予算で差し繰りがつかないというならば、やはりそれは大蔵省に対して要請さるべきだと思うのですが、どうですか。
  153. 谷垣專一

    ○官房長(農林)谷垣專一君 あるいは主計局長のところにはまだそういう話が上っていなかったのか、向うの内部の事情は存じませんが、農林省といたしましては、担当のところには前もってこういう問題は実は連絡はいたしておるわけであります。農林省としましても、もちろん大蔵省に対しまして数字その他を要求しないというわけじゃございませんので、検討いたしまして御趣旨のような折衝をいたしたい。大蔵省の方には前もってそういうことを連絡はしておるわけであります。御趣旨のような検討をいたし、大蔵省と折衝いたしたいと思います。ただ今すぐの問題といたしまして、先ほど申し上げましたように、防除機具の補助金の重点的な運用をいたしまして、実質的にその地方の要望が満たされるのではないかというふうに私たちは一応考えておるわけでございます。
  154. 石田宥全

    ○石田宥全君 もう繰り返して申しませんが、今申しましたように、防除機具の問題ももちろん問題でしょうけれども、農薬は農薬で別に大蔵省に対して、ただそういう話があったということでなしに、やはり調査の資料に基いて、正式にかつ強硬に折衝さるべきだと思うのです。一つすみやかにやって下さい。
  155. 鈴木善幸

    座長代理(鈴木善幸君) 次会は公報でお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十一分散会