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1955-10-11 第22回国会 衆議院 農林水産委員協議会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十月十一日(火曜日)     午前十一時二分開会     ————————————— 協議事項  台風第二十二号等による農林漁業災害対策に関  する事項  甘藷等価格維持対策に関する事項     —————————————
  2. 綱島正興

    座長綱島正興君) それではこれより農林水産委員協議会を開きたいと存じます。  つきましては、この協議会を運営いたすために農林水産委員長座長となりまして、この協議会を進めていくことに御同意願われましょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  3. 綱島正興

    座長綱島正興君) それではさようにいたしまして、不肖でございますが座長を勤めます。  次に、本日の協議事項といたしましては農林漁業災害対策に関する事項、食糧問題に関する事項議題といたしたいと存じますが、これにも御同意願われましょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 綱島正興

    座長綱島正興君) なおこの事項以外でもこれらに関連する事項等で、また特に緊急を要する農林水産に関する事項については、特に議題となすことも差しつかえないことを御承認願われますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 綱島正興

    座長綱島正興君) しからばさようにいたします。  まず農林漁業災害に関する問題及び食糧問題に関する事項質疑等に入ります前に、災害地域に対する見舞に本委員会の理事の中馬氏が向っておられますが、それがどうしてもこの協議会出席ができないからというので、大体同氏の報告とみなすに近い親書が参っておりますから、これを一応読み上げてもらうことにいたします。専門員からこれを読ませます。   〔専門員岩隈博君朗読〕   台風災害視察の結果は大要次通りですから、手紙をもって御報告にかえさせていただきます。  (一)、大分県 水稲一割八分減、陸稲三割減、公共施設農地施設等は普通の災害程度。  (一)、宮崎県 水稲二割二分程度減ただし地方によっては五割以上もかなりあり。  (一)、鹿児島県 離島方面 全滅に近い。大隅地方、薩摩の一部五割程度、その他三割。  (一)、共通して住家、非住家を問わず建物が倒れている。  (一)、澱粉工場(元来バラック建築)の倒壊は著しい。鹿児島県で約半数は全滅。従ってカンショ買付が不可能なるため該工場の復興資金を見てやることが肝要。運転資金は従来通りであるから、特に議論する必要はない。  (一)、農薬の備蓄が特に必要であると感じます。台風襲地帯法案の中にも農薬は入っておりましたが、絶対に必要でしょう。ウンカの発生を防止できればある程度被害率は食いとめることが可能。  (一)、天災による資金融通法の貸付の対象の中に、「その他」という条項があります。か、これを拡大解釈して農家の家屋も経営に必要なるものとして考え、利子補給営農資金の中に考えることが法の解釈上できませんでしょうか。御研究下さい。  (一)、さらに右の法律の中には開拓関係が入っていませんので、次にはこの点の改正が必要と思います。  (一)、木材については、営林局の手持材鹿児島その他の各市町を対象として払い下げることに話が決定しました。十月十日鹿児島県庁において小生が主宰して会合を開きます。大体鹿児搭十六万石、宮崎十四万石程度となりましょう。   最後に小生、どうしても十一日の委員会には出席できませんのであしからず御了承のほど、委員長に御連絡下さい。
  6. 綱島正興

    座長綱島正興君) 次に、今日農林省関係では谷垣官房長和田金融課長河口技官、これは災害復旧課です。それから檜垣官房総務課長、これだけ出席をしておられます。なお建設省関係では今井政務次官浅村河川局次長出席をされておられます。便宜上建設省の方からこのたびの災害についての御説明を願いたいと思います。今井政務次官
  7. 今井耕

    建設政務次官今井耕君 建設省関係公共土木施設の二十二、二十三号台風被害の概要を簡単に御報告申し上げます。  建設省といたしましては、二十二号台風発生直後におきまして、関係事務当局を現場に派遭いたしまして、親しくその実情調査し、その後詳細なる被害調査をいたしておるのでありますが、その結果はただいま資料としてお配りいたしました通り、その総額は二十二号台風におきましては三十六億九千二百二十二万円、二十三号台風におきましては四億七千九百九十七万円となっておるのであります。二十二号台風の三十六億というものは県及び市町村被害であって、そのほかに直轄河川被害が六億あるのでありまして、合計四十三億近くになっております。そのほかに二十三号台風が四億七千万円あるわけであります。これが復旧につきましては、幸い去る二十二特別国会におきまして、公共土木施設災害復旧国庫負担法の一部を改正していただきましたので、この線に沿いまして一日もすみやかに復旧を期したいと存じておる次第であります。  なお目下の問題といたしまして、つなぎ融資の問題につきましては、各府県の申請をとりまとめまして、地方の御期待に沿うようにそのあっせんに努めたいと存じておる次第であります。  なおその他の詳細につきましては、河川局次長が参っておりますので、御報告いたすことにいたします。
  8. 綱島正興

  9. 浅村廉

    河川局次長浅村廉君 ただいま政務次官から御説明がありました点に若干補足いたしまして私からお話申し上げます。  二十二号台風は、御承知のように九州東部を主力が通りまして、山口県を抜けまして日本海に出て北海道の付近で二分いたしまして、北海道を通って去ったという形になっております。  土木関係災害復旧事業建設省が所管いたしておりますものは、河川につきましては堤防護岸決壊あるいは破堤、さようなものの災害復旧、それから道路決壊流失等災害復旧海岸堤防あるいは護岸被害災害復旧、それから橋梁流失あるいは破損等災害復旧、それから建設省でやっております砂防施設被災したものの災害復旧、このようなものを公共土木施設災害復旧事業として建設省で所管いたしております。  台風二十二号でこのような施設被災を受けまして、その結果、府県で所管いたしておりますもの、及び市町村で所管いたしておりますものの被害報告として参っておりますものを集計いたしましたものが三十六億九千二百万円、お手元に資料で差し上げてあります通りでございます。これは地方公共団体から報告がありましたもののなまの数字をそのまま計上いたしておりますので、今後査定等によりまして若干移動かあることと存じますが、この数字で見ますと、山口県の九億三千八百万円というのが一番大きくなっております。次に高知県の五億八百万、大分県の四億五千五百万、宮町県の三億九百万、かようにそれぞれ被害が出ております。山口県が飛び抜けて大きいのは、これは査定をいたしてみませんとまだはっきりしたことは申し上げかねますが、県当局説明によりますと、東部海岸地帯施設道路その他海岸堤防等被災いたしまして、その関係金額が非常に大きくなっておるということを申しております。しかし海岸被災は何も山口ばかりではございませんので、九州の各県にも相当にございます。海岸というのは一カ所の復旧事業事業費が非常に大きくなりますので、海岸がやられますと、私ども災害復旧といたしましては、復旧事業費が比較的に多額になるということになっております。いずれにいたしましても、これは地方公共団体におきまして復旧事業設計ができ次第に私どもの方から査定官を派遣いたしまして、緊急に査定を行うつもりでおります。だいぶ時期も押し詰まっておりますので、査定設計作成を急がせるとともに、私の方といたしましては、でき次第に至急査定官を派遣いたしまして査定を行なってしまいたいという形で待機いたしております。  なお二十二号関係で、府県の所管いたしておりますもののほかに、建設省直轄事業で重要な河川工事をやっておりますが、その直轄工事区域に起りました災害は、直轄事業復旧をいたしております。その関係がその次の紙に書いてございますが、九州では大淀川、大野川、大分川、川内川、球磨川等の各河川中国四国では仁淀川、重信川、太田川等の各河川にそれぞれ若干の被害が起りまして、その復旧事業費合計で六億七百万円とただいま報告が参っております。これは直轄事業でございますけれども、これもやはり私の方でもう一回調査をいたしまして、その結果によりませんと正確な数字は決定いたしかねるものであります。ただいまその調査を急いでおります。幸いにして比較的大きな破堤というようなものはございませんために、土木関係といたしましては、それほどの被害までに達しておらないような状況であります。  それから次の紙は、これは一般被害でございまして、私どもの方でまとめたものではございません。これは警察庁でおまとめになったものを付表として私どもの方ではつけるならわしになっておりますから、つけてあります。これでいろいろの一般被害状況が集計されておりますので、これをごらん願いたいと思います。  次に台風二十三号でございますが、これはただいまのところ非常に報告が少くなっております。全体で、府県の所響いたしております施設被害額が四億七千九百万円程度でございます。これも同様に、査定の結果相当金額が変るものと考えております。私どもといたしましては、もちろんかような土木災害が起りますと査定を急がなければなりませんが、これには査定設計作成という問題がございまして、若干日子を要するので、つなぎ資金をあらかじめ融資することについてのあっせんをいたすのが例になっております。  つなぎ資金は本年になりましてからも大蔵当局から融資を受けておりますが、これに対しましては、私どもとしては至急つなぎ資金融資してもらうように大蔵当局といろいろ話し合いをやっております。もっとも、府県当局から手続をとってもらいませんと融資ができませんので、その関係府県もなれておりますから、ただいま非常に急いでその書類等作成している状況であります。私の方に書類が参りましたならば、直ちに大蔵当局に相談いたしまして融資あっせんを行いたいというふうに考えております。  大体そのような状況であります。
  10. 綱島正興

    座長綱島正興君) 次に農林災害のことで谷垣官房長から御説明を願います。
  11. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 農林関係台風二十二号の被害状況を御報告いたします。  二十二号台風は、九月二十九日に鹿児島に上陸いたしまして、そのままずっと九州を北上いたし、それから北九州からずっと日本海に沿いまして、山陰、北陸、東北をかすめて、それから北海道に参りまして勢力が衰えた、こういう状況になっておるのであります。大体の態様が、当初非常な雨を伴ってくるものであろうと考えて心配しておりましたが、そういういわゆる雨台風という形をあまりとりませずに、強い風をかなり伴った風台風のような特徴を持っておるようでございます。従いまして、これらのものが通りました各県には、相当被害を出しておりまして、農林関係の今まで判明いたしました被害を申し上げますと、いわゆる農林水産施設被害総額四十二億八千、それから治山、林道関係九億一千九百万、漁港関係が六億八千二百万、農地農業用施設が二十一億一千八百万、大体このような状況被害を受けておるわけであります。  なお警察庁の方からの報告によりますと、水田流失埋没、あるいは冠水いたしましたものの面積でございますが、水田の場合、約二万五千町歩のものがこれらの被害を受けておるわけであります。流失埋没が約八百三十町歩冠水が二万三千七百町歩出しております。それから畑地の流失埋没冠水いたしましたものが五千六百町歩流失埋没が六百四十七町歩冠水が約五千町歩に達しております。  次にこれらの被害を受けました地区の稲作でございますが、これは稲の出穂期等と非常に関係が深いと思われます。大体九月十日以降出穂いたしますような晩稲品種につきましては、被害が大きかったのではないかと考えられますが、二十九年度の状況から判断いたしますと、九月十日以降に出穂いたしますものが、作付面積に比例をとりますと、九州地区では全体の二七%、四国地区では二五%、中国地区では七%に達しておりますが、これらのいわゆる晩稲品種はかなりの被害を受けた。ただしこれらの被害は、いわゆる風害によりますところの倒伏、脱粒、あるいは雨の害、風の害等によります品質の汚損等の問題を考えますと、出穂時期の早い、おそいにかかわりませず、わせにも晩稲と同様に、相当被害が出ておるものと考えておりますが、詳細にわたりましては、目下統計調査部の方で調査をいたしておる状況でございます。  農林省の方の対策といたしましては、直ちに調査員をそれぞれの関係各局から現地に派遣をいたして、実情調査いたしておる状況でございます。大体そんな被害状況でございます。
  12. 綱島正興

    座長綱島正興君) 建設農林の大体の説明を終ったわけでありますが、なお大蔵省は十一時ごろ、大蔵大臣は差しつかえるが別の者が来るといっておったのが遅れているのですが、もう参るはずでございます。それから経審も来年の予算その他に多少関係があると思って呼んでおりましたが、経審長官外国関係があって、どうしてもきょうは来れない、それから政務次官は郷里へ帰っている、こういうわけで、大蔵省で両方間に合せてもらう程度でどうかと思っております。それから水産庁岡井次長が見えておりますので、漁港被害説明を願います。
  13. 岡井正男

    水産庁次長岡井正男君 漁港被害につきましては、先ほど官房長から御報告申し上げたのと大体同じくらいでございまして、私の方も関係の係官をいち早く調査に回しているのでございますが、その詳細な結果が、ここ一両日にはまとまると考えます。今までに判明したところによりますれば、金額にして六億四千万円ぐらい、件数が大体四百六カ所にわたっております。なお漁港に付随しました施設並びに陸上施設などが、件数で五百九十三件、金額で一億一千万円でございます。漁船の被害が今のところ二千五百三十三ぞうに上っておりまして、金額が一億三千三百万円に相なります。漁具の流失破損等件数が八百十五件、金額が一億二千二百万円に該当いたします。なお養殖施設は四十八件ありまして、これの金額が一億七千万円に上っております。その他のものを合せまして、現在のところ十三億程度損害でございます。従来の風水害に比べて、案外に件数そのものの内容が、今のところ壊滅というようなのがないのが不幸中の幸いと考えておりますが、件数は、かなり小さいのを入れますと、逐次報告が参っておるのは少しふえるきらいがございます。また判明いたしましたら、詳細について御報告申し上げたいと考えております。
  14. 綱島正興

    座長綱島正興君) 先ほどより質疑の通告がございますから、これより質疑を許すことにいたします。伊東君。
  15. 伊東岩男

    伊東岩男君 私は簡単にお尋ねいたします。まず農林省関係についてでありますが、御報告のように今回の二十二号台風の特色は、風が非常に強くて雨が降らなかったのでありますけれども、中にはところどころに——九州山脈をずっと通ったのでありますが、八百ミリ以上の大雨を伴ったようなところがあって、建設省関係にも大へんな災害があったのであります。そこで農林省関係から申しますると、先ほどちょっと陳情のときにも申し上げましたように、宮崎県ではわせの分は大体もう熟しておりましたが、晩稲は今なお実期に入っておらない。そのときに四十メートル、五十メートルという非常な強風のために、ほとんど細いやつは倒伏をいたしております。倒伏しただけならばよろしゅうございますけれども、折れておるのでございます。ですから養分の吸収ができないから、大半青米だと思います。それから今倒れておるやつは芽がどんどん出ておりますので、手のつけようがありません。よって米質はずっと低下するだろうと思います。従って収量にも非常な影響がございます。ですから今農村で非常に心配をいたしておるのは、予約米もとうてい出し得ないといって心配しておるくらいであります。しかしそれは全部でございませんので、大体平均が三割二分くらいになるんではないか、こう県では言っておりますが、ひどいのは四割、五割、六割、陸稲のごときは全滅しておるところが大半でございます。風の当らない部分だけは五割くらいで済んでおるのでございますから、予約米補正はどうしてもやつていただかなければなりませんが、この点をどういう工合にお考えになっておりまするか、まずその点をお尋ねいたします。
  16. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 伊東君の御質問のうちの、災害によりまして予約を下回る場合には、減額補正は当然しなければならないと考えております。
  17. 伊東岩男

    伊東岩男君 とにかくも補正でもしていただかなければならぬような災害であるということを前提としてお考え願わなければならぬことは、ひとり作物ばかりでなくて工作物農業施設、あるいは河川氾濫のために農地埋没その他が大へんございます。しかし今回は昨年のような水による害というものは比較的少いのでございます。しかしどういうところがおもにやられておるかというと、去年災害を受けた個所がまだ未完成であるために、引き続き災害をこうむっておるという個所が最もひどいのでございます。九州山脈のうちの大淀川は、束の方に流れる九州一の大河川でございますが、そのうちの直轄河川でやっておる綾川のごときは、去年非常な損害を受けてようやく復旧しておる。そこをまたやられてしまって非常なる農作物の損害を受けておりますし、工作物損害も非常にひどいのであります。もう一つは西諸県の加久藤村に長江川という川がございますが、霧島山のえびの高原に約八百ミリくらいの大雨が降ったために非常な氾濫をして、小さな川でございますが、本流に入るまでに十八カ所も決壊した場所がございます。そういうふうなところはやはり考えてもらわなければならないので、ただそこを復旧しただけでは将来役に立ちませんので、どうしても防災ダムでもこしらえてもらわなければ将来どうにもならないのではないか。こういうことが一つと、もう一つはただ災害復旧という原形復旧だけでは、これは建設省関係ももちろんでありますが、とうていいけないので、将来原形復旧のみにあらずしてほんとうの将来のための工事耕作物災害復旧あるいはなお延長して、原形だけではなくして根本的な問題をお考え願わなければ役に立たないのではないかと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  18. 浅村廉

    河川局次長浅村廉君 建設省で所管いたしております土木施設復旧につきまして、原形復旧ではいけないのではないかというお話でございます。まことにごもっともでありまして、私どもといたしましても決して原形復旧でやるということにいたしておるわけではございません。これは現在の公共土木施設災害復旧に関する法律趣旨からいたしましても、原形復旧することが著しく困難または不適当な場合は、原形以外の施設をもって原形復旧とみなすことができるという規定がございます。その趣旨に沿いまして、最も必要な方法によりまして復旧をいたすことにいたしております。ただ私どもでいつも非常に困りますのは、橋梁が流れたという場合に、これを必ず永久構造の橋にかけかえるかどうかということが常に起って参ります。  この問題は非常にむずかしい問題でありまして、私どもといたしましては、次々に永久構造の橋にかけかえたいのですが、災害復旧事業としてそこまでやるのは行き過ぎではないかという議論もございまして、従いましてさような場合には災害関連事業費というような金を別に予算上もらいましてそれによって災害復旧の及ばないところは抱き合せてやるというような形で、永久構造の橋に持っていくというようなことをいたしております。いずれにいたしましても、何しろ全国的に非常に災害件数が多いものでありますから、なかなか御満足のいくようには参りませんけれども、少いながらも必要最小限度方法だけはとって参りたい。こういうことで決して原形復旧ということにそうこだわらないで私どもはいたしておるつもりであります。
  19. 綱島正興

    座長綱島正興君) 農林災害の問題は、建設省よりも農林省でいつも起っておる問題でありまして、建設省は本工事をやったり、いろいろやられる道を開いておいでになるようですが、農林省でこの問題は非常に起って参りますので、これに対する農林省法律上の御意見、これはただいまの法律に欠点があることは間違いないようですが、それを承わりたい。従来たびたびこの点については、原形だけを復旧する、あるいは会計検査院の連中が行って、そのことをもとにして予算に干渉してくるというようなことから、作ったものがまたすぐこわれるということがわかっておりながら、それをまた作るというようなむだなことをするというようなことがありますので、これについて災害復旧課長代理をしておられる河口技官の御意見を承わりたいと思います。
  20. 河口清

    農林技官河口清君 ただいまは、災害復旧事業原形復旧という文字にこだわり過ぎてむだな工事をしておるのではないか、こういうお話でございましたが、災害復旧事業に対しましては、文字通り原形復旧ということでは実際は実施しておらないのでありまして、それについての復旧事業でございますから、制限はございますけれども、なるべく実情に沿うような、現状に即したようなことで実際は実施しておるわけであります。法律にもさっき建設省からお話がありましたように、困難不適当な場合については、これにかわる施設原形復旧事業とみなすというふうになっておりまして、それの解釈その他については大蔵省と話し合った査定の基準というものがございますけれども、一応そういうふうに原形復旧はこだわらないで実施しております。
  21. 伊東岩男

    伊東岩男君 ただいまの御答弁通りであるならば非常にけっこうでありますが、建設省農林省関係も事実はそうではないから、例年災害はますます増加するばかりでありますので、この点は特に御留意を願いたいと思います。  もう一つ農林省にお尋ねいたしますが、今度の災害は耕地の高いところが一番ひどいので、従って困っている開拓民が、去年もことしもやられてどうにもならぬところまで追い詰められておるのでありますが、これに対して被害報告がなくても、あなたたちの常識から考えても、これに対する対策をどうするかという問題が一つ。この対策食糧庁長官おいでになっておりませんから、だれか責任のある方から御答弁願いたいと思いますが、非常な災害を受けた。ただ災害を受けないものはカライモであります。これは開拓地がほとんど一町なり一町五反なり重点的にやっておるのであります。なお宮崎県、鹿児島県、長崎県等特にカンショ作は多いのであります。今度の被害は受けないけれども、ただいま風水害以上の価格の暴落という非常なる羽目に陥っている事実は御承知であろうと思います。無論これは農産物価格安定法の発動によって救済されるものとは考えますけれども、ただいまのところは去年の半額以下になる模様でありますので、農村においてはこれを非常に心配いたしておるのであります。この問題は一部価格を食いとめるということが、災害民に対する一番直接的な効果があるのでありますが、だれか責任のある人から御答弁を願いたいと思います。
  22. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 開拓地に関する被害が大きく、また平地と平等の被害でありましても、開拓者に対しては非常な打撃であることは当然のことだと思います。従いましていろいろな開拓者に対しての救済あるいはこれに対する補助のやり方を考えなければならないし、またすることになっております。たとえば融資等におきましても、利率一般のものよりも安い利率をやっていく。非常に状況の悪いものに対しましては、飯米等の特配をやっていくとか、あるいは従来の融資等が返還できないような事情がありますれば、いろいろな形におきまして開拓者に対する方策を講じていかなければならぬと思います。なおイモの方は大坪局長の方から答えさせたいと思います。
  23. 大坪藤市

    ○農業改良局長大坪藤市君 私改良局は初めてでありますが、従前経済局長をやっておりまして多少関係いたしておりますので、不適当だとは思いますが、一言御答弁申し上げたいと思います。カンショの問題につきましては、ただいま御意見通り、ただいまの作柄といたしましては大体十六億六千万貫、十七億近い生産が見込まれておるのであります。非常に豊作でありますので、その関係から、価格の面につきましてある程度需給関係からいたしまして下りぎみの傾向にあるということ、もう一つはアルコール原料用といたしまして相当イモが消費されるわけでありますが、最近マイロがアルコール原料用として輸入されている関係もあって、その面から値下りになっている事情があります。従来はマイロはA・A制で自動的に入っておりましたが、それがカンショの値下りの原因になっていることも考えられますので、十月一日の下期予算より一時マイロを停止いたしておりますが、同時にそれではね返って参りましてアルコール用のイモ類が確保できないことも考慮いたしまして農林省といたしましては、アルコール業者並びに農業協同組合の販売業者、この両者を寄り寄り集めまして、大体最低価格の五%以上、少くともそれを下らない価格で取引をさせましてカンショ価格が値下りをするようなことがないように目下措置をいたしている次第であります。
  24. 伊東岩男

    伊東岩男君 ただいま澱粉は幾らの取引でありますか。なおただいま最低価格ということをおっしゃったのでありますが、最低価格は近く御発表になるのか。あるいは昨年はなかったのでありますが、おととしの価格を称されるのでありますか。ただいまの取引は大体一貫二十七、八円であります。しかし九州は今イモが一番ふとるときでありますから、そのふとる率から考えますれば、ただいま売れば大体二十円くらいに当ると百姓は言っておるのでございますが、これではとうていどうにもならぬのであります。これくらい大きな災害はありません。鹿児島宮崎県が今度は風水害で一番やられたのであります。カライモの産地は宮崎鹿児島でありますので、豊作であるために、そういう暴落が非常に逆に災害を受けるということでございますので、そういったような問題を救済されることは、災害地における一つの大きな福音であります。もう少しこの点について御答弁を願いたいと思います。
  25. 大坪藤市

    ○農業改良局長大坪藤市君 御承知のように切りぼしカンショの買い入れ価格は、昨年度のいわゆる二十八年度を基準といたしまして、いずれ切りぼしカンショの方はあとで食糧庁の方で決定されると思いますが、本年度におきましては、一応イモの取引はそろそろ始まって参りますので、二十八年度の五%上げというようなことを目安にいたしまして、取引がスムーズにいくように指導いたしております。先ほどお話がありました通り、ちょうど今がイモの目方も非常にふえる時期に遭遇いたしております。その時分には一貫当りの価格と成長度の関係に伴ってこれは価格面に非常にデリケートな影響を来たしておるのであります。御承知のようにアルコール原料あるいは酒類原料といたしましては、相当多量に、しかもなまイモの時期におきましては、なまイモを酒類の原料、アルコールとしてやることは、アルコール工場自体といたしましても一番能率的であり、そういうような関係からいたしまして、なまイモの時期には必ず酒類の原料にはこれを充当する、しかし先ほど申し上げましたような事情で、その時期に先ほども申し上げましたような二つの原因から不当に値下りすることのないように、一応てこを入れるというような意味からいたしまして、両方の業者を呼びまして、少くとも五%以下には下らないような値段で取引してほしい、こういうような指導をいたしております。
  26. 伊東岩男

    伊東岩男君 最低価格をいつ御発表になりますか。この発表さえ、たとえば二十八円の標準で政府が澱粉を買うという御発表になれば、この価格は食いとめができるのであります。今やしょうちゅう業者のごときは、早イモをほしがっておるのでありまして、一週間ぐらい前までは争って三十三、四円で買ったものを、一日ごとに一円ぐらいずつ下げて、ただいまではもう非常な暴落をするということを宣伝して、無理に農家から買い取ろうとする傾向が、ことに九州方面にあるしょうちゅう業者のごときにはあるのでありますから、一刻も早く最低価格、政府の買上価格を御発表になることがいいと考えております。その場合において、政府としても資金面のことも考えられるので、ただいまのところでは、買うということになれば資金面のこともありましょうけれども、これは一部分を買えばこの食いとめができることは、おととしの事実に徴しましても、買うということで最低価格さえ発表するならば、大体わずか買い入れれば食いとめができるのではないかと思うのであります。いつごろ御発表ができるのか。九州方面では、政府の買上価格というものに対して非常に期待を持っておるのであります。これが一番大事な点で属りますので、くどうございますが、もう一応お伺いいたしておきます。
  27. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 ちょうどイモの買い入れがある時期に暴落したことに対しまして、現地におきましてはいろいろと価格の動揺があることと存じますので、食糧庁の方と相談いたしまして、できるだけすみやかにお話のような趣旨が到達いたしますように処置いたしたいと考えております。
  28. 川俣清音

    ○川俣清音君 関連して……。食糧庁でことしどれだけ買う予定にしておりますか。また昨年の買入価格との会計の操作上、今年はどのような見込みをつけておりますか。この点明らかにしていただきたいと思います。あわせて、農林統計調査部は主として米麦を調査いたしておりますが、これと関連する重要な農産物でありますカンショ等の収穫見込み数量等がございましたならば、この際明らかにしていただきたいと思います。
  29. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 前段の御質問につきましては、官房長まだ新米でございましてよくわかりませんので、食糧庁の方に連絡いたしましてお答えいたしたいと思っております。
  30. 野田哲五郎

    農林経済局統計調査部長野田哲五郎君 それではイモにつきまして、九月十日現在の作況と、それから八月一日現在の作付面積の結果を、先般米の作柄とともに発表いたしましたので、その概況を申し上げたいと思います。  本年度作付面積は約七十八万町歩でございまして、作況指数といたしましては、平年に対して一〇八になっております。これで一応試算いたしますと、収量は十六億七千万貫ということになるわけでございまして、これを反収にいたしますと、四百四十貫、かようなことになるわけでございます。これを過去の生産量と比較して参りますると、二十九年の推定実収高に対しましては二億七千五百万貫の増加を示すわけでございますが、昭和二十三年の最高の生産高に対しましては若干収量が減るわけでございまして、約四千五百万貫減というような見当を持っているわけでございます。  台風二十二号によります被害につきましては、実は代表的な稲について一応客観的な報告を取ったのでございますが、詳細な報告につきましては、締め切り期日今日をもって報告を集めておるわけでございます。この数日のうちにまとまると思いますが、さような状態でございまして、イモにつきましての被害面積被害量というのを現在手元に持っておりませんので、恐縮でありますがいましばらく御猶予を願いたいと思います。
  31. 伊東岩男

    伊東岩男君 イモの収穫については、量がまだ未確定であることは当然であります。しかし大体予想するところは、四割くらい昨年よりもふえているのではないかというように感じておりますので、これは相当お考えにならぬというと、量の多い上に価格の面がこういうことになると、ますます農村では困るということになりまするから、特に一つ御留意を願いたいと思います。  最後につなぎ資金の問題でありますが、災害地ではただいま何としてもつなぎ資金が一番必要を感じておるのでありまするが、これに対する御処置をどういうことにされるのでありまするか、この点を明らかにしておいてもらいたいと思うのです。
  32. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 つなぎ資金の問題につきましては、いわゆる政府資金の方で出しまするものと、また農林中金あるいは銀行資金を動かしまするものと、大体二つの態様に分れるかと思いますが、公共団体、市町村等のやりまする事業につきましては、関係方面と相談をいたしまして政府資金等のつなぎ融資を考えていかなければならぬと考えております。それ以外の農業団体でありますとか等のものにつきましては、農林中金、地方銀行の資金等を融資させる、こういうことでつなぎ融資をいたしていきたい、かように考えております。
  33. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 大蔵省は見えておりますか。
  34. 綱島正興

    座長綱島正興君) 大蔵省はまだ見えないです。
  35. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 大体、災害に対する問題で大蔵省にお聞きいたしたいのでありまするが、要するに災害は毎年ございますし、災害に対してわれわれのたださんとするところや一般の希望をしておるところは政府にわかっていると思うのであります。今年の二十二、二十三号台風発生いたしましてすでに二週間になろうとしておるのでありますが、私たちが具体的な問題をとらえまして、この問題はどうしますか、この問題に対してはどう処置をとるかということを聞かないでも、すでに政府は、実情はこういう状態にあるのだから、こういうような方針をもってこれに対しては対処するのだということが——たとえば先刻中馬委員からの御報告にもありましたような澱粉工場等の損傷、こういう事実はもうすでにわかっているはずだ。こういうことに対しては、いち早く政府みずからがどういう方針をきめるかということをまずお示しになっていただきたいと思う。私は質問に入ります前に、まず今度の二十二、二十三号台風に対して、現在政府にわかっている資料によって政府はいかなる具体的な処置をとろうとしておられるか、承わりたい。
  36. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 農林水産関係施設災害復旧でございますが、これは先ほど申しましたように、現地査定をとにかくすみやかにいたさなければならぬと思います。それによりまして、予備費支出によりまする国庫補助金の交付をいたしたい。二十二号、二十三号災害査定は十一月十二日までに査定を完了いたしまして、そして予備金の要求をいたす見込みで、現在やっております。  それから地元負担分につきましては、農林漁業資金の融資を考えなければならないと思いまして、必要な措置を検討いたします。  それから、先ほど申し上げましたけれども、緊急に施行する必要が工事としてはあろうかと存じますが、これらのもののいわゆるつなぎ資金の問題は、先ほどお答えいたしましたように取り進めたい、かように考えております。  それから農作物に対する措置といたしましては、先ほど中馬さんからの質問にありましたように、被害農作物の病虫害防除等の措置、その指導等に十分努めなければならないと思うわけでありますが、農薬、資材供給確保につきまして、あるいは家畜保険等の問題、防疫等の問題につきましては、被害実情に即しまして、財政的な、あるいは金融的な措置を検討していきたいと考えております。  それから資金の融通が問題になろうかと思いますが、資金の融通につきましては、被害を受けました農家の再生産を確保いたしまするために、経賞資金の融通、あるいは利子補給、また損失補償等の措置を検討いたしたい。あるいはまた必要によりまして、状況によりましては、すでに借り入れました資金の償還の猶予等も考えなければならないと思います。  漁船の被害がかなりあったようでありますが、漁船の損害復旧につきましても、農林漁業資金の融通について必要な措置を検討したいと考えます。また非常に被害が甚大な農家で、いわゆる自作農維持が困難なひどい状況にあるものに対しては、自作農創設資金の活用をはかっていく必要があると思います。  それから先ほどもちょっとお答えいたしましたが、飯米が不足しているようなもの、完全保有農家で、今度は非常に災害を受けて困っている、再生産を確保することができないようなものは、再生産を確保させる必要がありますので、米の特配を行なっていきましてあるいは代金の延納等の措置も当然構じなければならぬ、これらのことを実情調査して考えていくつもりであります。  それから保険共済の問題はできるだけ早い機会にやらなければなりませんので、それぞれ実情調査いたしまして措置いたしたいと考えております。
  37. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 ただいま官房長の御答弁を承わりますと、われわれの要望しようとするところは、大体もう政府の方で御計画になっておるようなありがたい御答弁でございますが、要はこれが実行でございます。私たちの最も遺憾に思いますことは、従来法によって決定されたところが、予算上においてこれが実行できないで非常に困るという問題が多い。その点大蔵省が来ておられれば、大蔵省に聞きたいと思うのですが、まだ来ておりませんか。
  38. 綱島正興

    座長綱島正興君) 農林担当の高木主計官と災害担当の鹿野主計官が役所を出たそうですから……。
  39. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 それではこの問題に対しては、大蔵省が来られましてからただいまの問題を中心にお尋ねいたしたいと思います。  そのほかのことについてお尋ねいたします。建設次官が見えておりますので、建設次官に、これは直接あなたの関係ではないと思いますが、新潟市の火災の問題についてでございます。新潟市にはあれほどの火災によって当然家屋の建設等が行われると思います。ところが焼け跡の土地の問題について、いろいろ紛争が起り、あるいは焼けた跡の土地の地上権の問題等についていろいろ困った問題が起っておると聞いておりますので、これらに対して当然罹災都市の借地借家臨時措置法でございますか、そういうようなものが発令されなければできないと思うのでありますが、これはあなたの方の所管ではないでしょうが、もちろん法的な問題は、これはあなたの方じゃないと思いますけれども、あなたの方から法制局その他の方に対して、立法措置でもやろうというような希望といいますか、建設省意見等が具申されたというようなことがあるか、まずその点を承わりたい。これは都市計画とも相当な関連があると思います。
  40. 今井耕

    建設政務次官今井耕君 ただいまの点につきましては、新潟の方の事情もいろいろ承わっておりますので、建設省といたしましてせっかく今検討をいたしておるところでございます。
  41. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 それでは一つ建設政務次官に特にお願いしておきたいと思いますことは、これは大火災が発生いたしますとどこでも起ることであります。上の家がなくなったために、地上権に対しまして従来の所有者がなわ張りをして、従来家を建てておった人が、自分の土地に庚って家を建てようとすると、もうすでにあなたの権利はなくなっておるのだ、こういうことから家を建てられないという問題があるわけです。従来こういう問題に対しては、戦時の場合は戦時災害借地借家臨時措置法、こういうものが制定されたと思います。こういう火災に対してはそういう立法措置をやることが必要であると思う。ところが立法措置をやろうとすると、この国会までの期間とのズレがありますので、これに対して何とか行政措置によって、そういうものを確保するような方法をとることが当然であると思う。新潟の火災の問題はあなたの方で調査中だとかいうのは、あなたは御存じないので、これは当然都市の建設の問題であるし、建設省としては考えなくてはならない問題であると思います。この問題に対しては、直ちに建設省の方でお調べになって、さらに行政措置等に対しては、関係方面と連絡をとられて、従来の地上権者が困るようなことのないような方法一つ政府としてとっていただきたい。この点政務次官にお願いしておきます。
  42. 今井耕

    建設政務次官今井耕君 お説の通りに努力したいと思います。
  43. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 大蔵省が参りませんので、小さい問題ですが、ただいまの官房長の御答弁の中に農産物の災害に対しては病虫害防除などに対する補助をやりたいというような話でしたが、本年度の予算には病虫害防除の補助費は予算上からなくなっていると思うのでございますが、これはいかなる方法によって本年度予算から病虫害防除費をお出しになるというつもりでありますか。それとも特別の処置をとられるつもりであるか。
  44. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 御指摘の通りに今年度の予算ではむずかしいことだと思いますが、被害状況調査いたしまして、被害状況によりまして補正なり、予備費の要求なり、そういうような措置を大蔵省の方と協議せなければならないと思います。
  45. 赤路友藏

    ○赤路友藏君 伊東委員からも稲富委員からもお尋ねがあったわけですが、建設省の方からも農林省の方からもそれぞれ非常に心を配っていただいた御答弁をいただいておりますが、在来いつも委員会ではけっこうな御答弁はいただいているんですが、実際上の問題としてなかなか進行していない、これが実情だと思うんです。そういうような点を今後は一つ十分御考慮を願いたいと思うんです。特に建設関係でありますが、建設関係の公共事業関係については、いろいろ御説明を願ってわれわれも納得をするわけなのでありますが、一般被害の方は今度の二十二号台風建設省の御報告いただいてたのを見てみましても、特に建物の倒壊というものが在来の台風と違って大きいように思っております。これは公共施設でも何でもないのでして、しかしながら建物というものがこわされるということになると直ちにそれだけで生活の根源がくずれてくることになるので、これに対する何か対策を十分お考え願えておるかどうか、この点を一つお聞きしたいと思います。
  46. 今井耕

    建設政務次官今井耕君 特にこの災害によって多数の住宅が被害を受けたことにつきましては、住宅に対する増築措置に対する融資の道が開かれました。従ってその一部がこわれた分については、それをまず増築というような意味で広く解釈して、そういうようなものを使ったらどうかというようなことも今協議をいたしておりますが、こまかいことでしたら住宅局長を呼びまして答弁いたさせます。
  47. 井手以誠

    ○井手以誠君 議事進行……。ただいままで建設農林両当局の御説明なりお答えを聞いておりますと、災害地にとりましては非常に不十分な感がいたすのであります。特にただいま赤路委員から指摘されました建物の倒壊並びに稲富委員から指摘されました新潟の大火による土地の問題、そういったことについていろいろ考えますと、各省別ではなく、内閣の総合的な対策が必要に感ぜられるのであります。従来大きな災害に対しましては、内閣に災害対策本部あるいは程度によって連絡本部というようなものも作られておったのであります。従って私はこの機会に内閣の災害に対する対策を承わりたいと存じますので、官房長官、もしどうしてもできなければ副官房長官でもけっこうでありますが、当委員会出席していただきますように座長から取り計らい方をお願いいたします。
  48. 綱島正興

    座長綱島正興君) さよう取り計らいます。
  49. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 それでは大蔵省の人が来ないようでありますから、それまで二、三お尋ねしたいと思いますが、これは先刻伊東委員の御質問の中にもありましたが、本年度の災害が、旧来の災害復旧が未完成なためにまた災害発生したというのが従来非常に多いのであって、私は災害復旧に対してあまり熱意がなさ過ぎると思うんです。たとえば二十八年度災害のごときも、あれだけの災害をこうむって法律ができた。しかもその当時は、政府はこの二十八年度災害に対しては三カ年間の継続事業として初年度には三割、五割、二割の比率で三カ年間に完成するということさえも言っておったところが、その後勝手にこの予算処置をして、予算を削減してこれが実行されていないというようなことなんです。私は先刻官房長の御答弁を聞いておりまして、実に政府は罹災者が飛びつくようなけっこうな御答弁をなさる。ところが結果は罹災者から見るとだまされた形になってくる、現に二十八年度災害のごときも、ことしは三カ年目であるけれども、今日国の補助を受けておるのはまだ三割にすぎないという状態なんです。こういうようなことで果して災害復旧ができるかどうか、私は災害復旧に対しては、もっと政府が抜本的な方針をとらなければ、今日のように毎年々々先延ばし先延ばしというようなことでは、私は災害復旧なんかできないと思う。今度の災害に対しても、先刻から話を聞くように非常に誠意を持たれているように言われているけれども、おそらく結果においては、私はそういうことが実現できないという結果になることをおそれるわけです。それで私は予算措置等に対して大蔵省意見も聞きたいと思って、先刻から私は大蔵省出席を求めておるのに大蔵省出席せない。こういうことに対して農林省は今非常に誠意あるがごときことを言われるけれども、われわれには誠意のあるような、罹災者が喜ぶような御答弁をなさるけれども大蔵省の方から何か予算ができないんだといわれるとぺしゃんこになってしまう、これではあなた方が罹災者に対して熱意がないと私たちは思うんです。そういう場合も農林省全体が、大蔵省がむちゃな予算の削減をするならば、職を賭しても一つ農林省関係災害復旧を守るくらいの熱意は持ってもらわなければ迷惑千万だとわれわれは思うんです。これは大蔵省が来ないから農林省に小言を言うわけじゃありませんけれども一つもっと熱を持ってもらいたいと思うんです。その点一つ——ただなおざりの答弁なら要りません。こういうこともやろうと思っております、こういうこともやろうと思っておりますという実行できないようなことなら承わる必要はないんです。それで大蔵省が聞かなかった場合にはどうするかという決意を——あなた方はわれわれに今方針を示されたが、まずその決意の点を一つ伺っておきたいと思います。大蔵省が来ないうちにあなた方の決意をしっかり承わっておきたいと思います。
  50. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 稲富委員は過去の事情を十分御案内の通りでございまして、いつもいろいろの措置のおくれるという一つの原因はそこらあたりにもないとは言えない実情にございます。私どもは仰せのように職を賭しても私どもの立場で考えたことは実現をし、皆様の御期待に沿うようにしなければと考えて努力いたしておりますが、どうか一つ御事情に精通しておいでになる有力なる稲富委員初め各位の御協力を特にお願いを申し上げます。
  51. 川俣清音

    ○川俣清音君 関連して。それでは両政務次官にお尋ねしておきますが、二十八年度のあの災害及び今年の東北、北海道を襲った豪雨による災害等について、特に九州災害につきまして三・五・二という比率で予算を出すことになっておったのがなぜ変更しなければならなかったのか、どこに変更しなければならない理由があったのか、この点を一つ説明願いたいと思います。
  52. 今井耕

    建設政務次官今井耕君 建設関係についてお答えいたします。ただいまの御質問の通りに、建設関係といたしましては、昭和二十九年度末におきましてまだ復旧のできておらぬ分が約一千億円残っておるのであります。お言葉の通りに昭和二十八年のあの災害のときにも、時の政府は三・五・二の割合で復旧するということを何べんも答弁いたしました。その後われわれの方にも時の政府はこういうふうに声明したじゃないか、やるのじゃないかということでだいぶ小言を聞いて、そこでそういうことではいかぬと考えまして、去る二十二特別国会におきまして公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正していただきまして、今後起った災害については、急を要するものについては三カ年間でそれを復旧する、大蔵省はその財政措置をしなければならぬということを法律をもってきめてもらいました。従って今後は法律をもってきめてもらったのですから、三カ年間に復旧ができると確信をいたしておる次第であります。
  53. 川俣清音

    ○川俣清音君 私の聞いておるのはどうしてできなかったか、その理由を明らかにしてほしい、こういうことなのであります。なぜこのことを聞くかというと、これは政務次官だから答弁のしやすいように補足いたしますと、どうしてできぬかというと、今いろいろな補助を打ち切ろうというわけです。それからもう一つは、設計変更によって年度会計計画で予算計画が非常に困難になるために設計変更はまかりならぬ、補助はできるだけ切ろうという大方針を立てておる。ところが打ち切るだけの方針を立てておるけれども、一番問題になっておるのは何かというと、経済効果を上げるために一番重要に年度割会計というものをやっておるわけです。この三年間にやるのが五年になり六年になるということになると、一番経済効果が上らないことなんです。大蔵省は常に経済効果を非常に重く論じていながら、経済効果の上らないようなことになぜ建設省農林省は同意されたか、今後この問題の解決をつけない以上経済効果が上らないのを、この事業は経済効果が上らないとかあるいはこれは経済効果が上らないから予算を出さないということを大蔵省に言わしめないという自信がありますならば、これは別問題です。三年のものが五年になると経済効果が上らないことは十分御承知でしょう。大蔵省が言うことなら経済効果は上らないことにも同意されるならば、あなた方が新しい計画をした場合に、経済効果が上らないからその予算の削減を求めてきた場合に、あえて三年間に実行しないようなことをやっておられるのに対しまして、何らかの考え方がなければならぬはずだと思いますから、なぜ一体三年で遂行しなかったのか、このことを聞いておるのです。法律がなかったからだけでは不十分だと思います。あなた方がいつでも説明されることは——事務当局は特にそうです。経済効果ということを一番問題にしているじゃないですか。三年でやるものと五年でやるものとは経済効果の相違があることは幼稚園の生徒でもわかる。従って三年間にやらなかったことはどういう理由でありますか。国の予算は経済効果の上らないように出すという原則に基いて三年を四年にしたというならこれは別問題です。これが変更になったのかどうかあわせて御答弁願いたい。
  54. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 私の承知をいたしておるところによりますと、一口に申しますと、予算の財源がなかったというように言われておりますが、それは日本の国の経済状態がデフレ政策をとるべきだというところから来ておるのではないかと承知をいたしております。しかしながら御指摘のように、ただいたずらにその復旧が長きにわたりますと資金、資材、労力等非常に不経済な結果になりまして、一品に経済効果をねらった結果、逆に大きな不経済を招いておるという実情は、私ども見のがすことはできないのでございます。この点はまさに御指摘の通りでございますので、財務当局に十分認識をさせまして、少くとも農林省関係においては経済効果云々をもって予算を削減されることのないように今後努力をしたいと考えております。
  55. 今井耕

    建設政務次官今井耕君 今日まで三・五・二の割合で復旧ができなかったという原因につきましては、これは前内閣のときからのものでありますので、ほんとうのことは私たちは答弁できません。しかしこれはまことに遺憾なことであります。従いまして先ほど御答弁申しましたように、前年度末において約一千億円のまだできておらぬ分がある。そこで昭和三十年度におきまして二百八十億円の災害復旧費をいただきましたので、あと残りが七百二十億あります。今後起った災害については三年間で復旧するのでありますから、過年度災害の分は当然今後三年間に全部復旧する、そういう確信をもちまして本年度の予算も要求しておる、こういうことでありまして経済効果のいかんにかかわらず、きまった金額は三カ年間に必ず復旧する、こういう態度で今後強力にやっていく覚悟であります。
  56. 井手以誠

    ○井手以誠君 ただいまの建設政務次官の覚悟はなかなか勇ましいものですが、しかし私は当時建設委員会でその審議に当っておりましたが、あれは昭和三十年度から実施することになっておるのである。特に過年度災害については約束を実行されておらないから、これをニカ年くらい、あるいは三カ年でも実施してもらいたいということを私どもは要望いたしましたけれども、私どもの主張が通らずに、今おっしゃる三カ年でやるというのは三十年度からであります。過年度分についてははっきりした言明はございませんでした。ずいぶん私どもは主張しましたけれども、それは言明がございませんでした。しかも今後三カ年でやるというものについては、河川局次長がお見えになっておりますから、よく御承知でありましょうが、大体七〇%に上るであろう特別の災害についてだけでありまして、そのほかのものについては三カ年でやるという約束はなかったのであります。そう甘いものでないことを私は特に申し上げまして、あとのことは何回聞いたって同じですから答弁は要りません。ずいぶん災害について何年もやって参りましてうんざりしておりますから聞きません。  そこで私は農林省にお尋ねいたしますが、先般の国会で作りました天災による資金融通の法律、今度の二十二号台風、二十三号台風に対しまして政令はいつごろお出しになる見込みであるのか、また今の災害状態では高率補助というよりも三分五厘の利子で融通しようという特別の指定災害地帯がどのくらいある見込みであるのか、この点をまず第一にお尋ねいたします。いろいろ希望的観測は要りませんからどうぞ簡単にお答えを願います。
  57. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 ただいま御質問の天災融資法は十月下旬までに決定する予定で準備を進めております。
  58. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 三分五厘の地区を決定いたしますにつきましては、現地の状況というものを相当に詳しく調べなければならぬと思います。先ほど来申し上げましたような調査を現在急いで進めておるわけであります。その結果、三分五厘の利率まで落す必要があるかどうか検討を進めなければならぬ、かように考えております。
  59. 井手以誠

    ○井手以誠君 今政務次官のお答えによりますと、十月末までには政令を出したいという御答弁でありました。また特別の災害地帯に対する低率融資についてはさらに研究したいということでございますが、それは急ぐことは申すまでもございませんので、なるべく繰り上げて早急に資金融通法が発動できますように希望いたします。これ以上はこの点については申し上げません。  そこでもう一つ、先刻病虫害防除のことについて質疑応答がありましたが、念を押しておきたいと思います。災害地には病虫害発生のおそれが非常に強いことを私ども承わっておるのであります。今年度予算になかったようでありますが、東北地方には出されたような話も承わっております。病虫害の発生がひどければ、病虫害防除の国庫補助金をお出しになるお見込みでありますか。この点を重ねてお伺いいたします。
  60. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 これは被害調査いたしまして、災害程度が異常な程度に達しておるかどうかということになるかと思います。現在まだ実はそこまでの調査が行き届いておりませんので、異常災害発生を認定する段階にまで至っておりません。至急調べて要求を出す必要があれば大蔵省の方へ交渉しなければならぬと考えております。
  61. 井手以誠

    ○井手以誠君 その点もう一ぺん念を押しておきたいのですが、従来の慣例によるいわゆる異常災害、従来の病虫害の発生状況よりも特に多かった場合には国庫補助金を出すということでございますな。
  62. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 農林省といたしましては、従来のそれぞれの例がございますので、それ以上の災害発生状況でありますれば、当然にこれは大蔵省の方へ要求いたしたいかように考えております。
  63. 井手以誠

    ○井手以誠君 先刻災害の現況及び復旧についていろいろな要望なり御意見がありましたが、これは実際は御答弁なさったようになっていないのであります。稲富委員も指摘されましたが、後日改良事業をやった、こういうことで大蔵省方面から横やりが入って、せっかくでき上った工事をこわしたという事例さえあるのであります。しかもそのために今回海岸堤防災害を受けたという、非常にばかばかしい実例もあるのであります。私はそれはなぜそうなったかという過去のことは問いませんけれども、稲富委員同様に、一つ腹をきめて農林省はやっていただきたい。ほかの予算折衝の関係があるからというので非常に弱腰ですけれども一つ職を賭してでもやる決意でやっていただきたいということを、私は特に要望いたす次第であります。これは毎たびのことでありますから、特にお願いしておきます。  そこで私がこの際特に両政務次官に御要望いたしたいことは、災害査定の場合にほかの官庁からも独自の査定をなさる。このことについては、何回もこの委員会建設委員会などで意見を申し上げておりますが、去る公共土木事業の法律適用に関する改正案が出ましたときに、大蔵省の原次長は、今後現地においては査定をしない、大蔵省意見があるならば、これは持ち帰ってから主務省に意見を申し述べて、是正すべきものは是正してもらうというはっきりした御答弁があってこれを大臣からも念を押して答弁をしてもらった次第でありますが、そこでおそらく今後現地の査定があるでしょう、また他の官庁からも査定に参るでありましょうが、二十八年度災害、二十九年度災害災害地民が非常に泣かされた各方面からの査定、これは今後絶対にないようにしてもらいたい。なるべく査定に出した分は関係各官庁の人は一斉に行なってもらう。一たんきまったものについては、他の財務局あるいは会計検査院が行って、これはこのくらいが正しいのだといって現地で数字を示してもらうことは非常に迷惑でございます。繰り返しこのことは申し上げますが、二十二、二十三号の台風については絶対にこういうことのないように、すでに大蔵省からもそういう言明をしてもらっております。連絡がどのようになっておりますか知りませんが、特に私は両政務次官にお願いいたしたいと思います。連絡が大蔵省とあっておるのか、あるいはどういうお考えであるのか、この際承わっておきたいと思う次第であります。
  64. 吉川久衛

    農林政務次官(吉川久衛君) 大蔵省からどういうふうに言われようとも、またどういう連絡があるなしにかかわらず、農林省にいたしましても、建設省にいたしましても、大蔵省農林局ではございませんから、私どもの主体性はあくまでも堅持していくということは当然でございます。そのつもりで私たちは善処します。
  65. 井手以誠

    ○井手以誠君 今の政務次官のお答えはりっぱなものです。それは作文にしたって百点です。ところがそうなっていないのです。自分の家族と同様な地方の農山漁民が、方々から査定に来られて、百万円で査定を受けておったものが、八十万円であるとか、さらに七十万円だとか、他の省から削られておる、自分の家族の者が他人からたたかれたりけられたりしておる状態になっておるのに、今日まで農林省はどうしておったのか。言われるままではありませんか。私は多くを申し上げません。あなたもよく御存じのはずです。そういうことが再びないように私は今念を押した。だから連絡があろうとなかろうと、私の方独自でやりますとおっしゃいますが、独自でやったはずのものがそういう状態です。だから早目に御相談なさって、自分の方が責任を持つから、もし文句やいろいろな意見があるなら私の方へ言ってもらいたいということを大蔵省あるいは会計検査院などにあなたの方で事前に連絡なさることが必要であるから申し上げておるのであります。その点をはっきりもう一度御答弁していただきたい。これは建設農林政務次官から御答弁願いたい。そうしなければ災害地は困るから申し上げておきます。
  66. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 まことにごもっともでございます。政務次官会議においても、閣議においてもさように決定するように措置をとるようにいたします。
  67. 今井耕

    建設政務次官今井耕君 ただいまの件につきましては現に大蔵省とも十分話合いいたしまして、そうして現地におきましてごてごて言わないように本省の方で話合いをしてそれをきめる、こういうことで今日まで進んでおります。
  68. 綱島正興

    座長綱島正興君) この際座長から申し上げます。ただいま大蔵省の大村主計官、農林主査の高木事務官が出席しましたから、稻富君。
  69. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 大蔵省の主計官が見えておりますのでお尋ねしたいと思うのであります。実は災害の問題につきまして、われわれ建設省及び農林省関係係官に質問しておるわけなんですが、御承知通り災害は毎年々々やってきておりますし、矢つぎばやに毎年々々追われている。ところが今年度の災害のごときも、従来の二十八年度災害また二十九年度災害等の復旧等がおくれておりますためにまた災害をこうむった、こういうような事例さえもあるのであります。なぜそういうようなことになっておるかと申しますと、これは建設省あるいは農林省等においては、災害復旧等についての計画を立てておりますけれども、これが予算措置によってやれない、こういうことからそういう結果が生じておる。私たちが大蔵省のあなた方にお尋ねしたいことは、一般の補助と災害というものに対する国庫の支出というものを、あなた方は同じように考えておられるのじゃないか。災害というものは非常に緊急なものであるし、復旧しなければ、ただちに次の生産にも非常な影響をこうむるのだ。これほどの災害復旧の重要性というものを、どのくらい大蔵省は御認識になっているか。まずこの点を一応承わって、それによってまたお尋ねしたいと思うのであります。
  70. 大村筆雄

    ○大蔵事務官(主計官)大村筆雄君 災害につきましては、一般のものと同じような考えでやっておるのじゃないかという仰せでございますが、災害につきましては、これはもちろん緊急に復旧する趣旨で、また地元の負担も考慮いたしまして、普通の一般の補助よりは特に補助率を高くする等、できるだけ復旧を容易ならしめるように考えておりますが、もちろんそれぞれ毎年の財政負担の限度もございまするので、必ずしも十分御満足いきかねる場合もあるかもしれませんが、一般の補助とは違いまして、できるだけ御趣旨のようにやる建前でやって参ったつもりでございます。
  71. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 それでは根本の問題は別といたしまして、さらにお尋ねいたしますが、一般と別な考えを持っていらっしゃるというならば、たとえば災害復旧に対するあなたの方で支出する金額が、災害復旧費の支出金額が決定したあとにでも出すことは、一般補助などと同様に月割りで出されている事実がある。これは一般補助でありましたら、農地の改良事業その他に対する補助であるならば、これは月割りになさるならば、仕事は毎月々々やっているのですから、月割りで出されても仕事は進捗いたします。ところが二十八年度の災害につきましては、二十八年度災害復旧しておる。それはよそから金を借りてきて復旧している。あなたの方から支出する金はきまった量が毎月毎月月割りで支出されている。それがため金利は高くなる。せっかく高率補助にあずかっていても金利を支払わなければならないために、その恩典に浴することができない結果になってくる。こういうような支出方法というものは、一般補助などと同じように災害を考えている結果だろうと思うのですが、こういう事実がある。これはどういうわけでございますか。
  72. 大村筆雄

    ○大蔵事務官(主計官)大村筆雄君 ただいま毎月そういう実情を無視して出しておるのじゃないかという御質問でございましたが、毎月と申しますよりは、これは毎四半期毎でございます。それでなぜそういうことをやっているかと申しますと、もちろんそれは事業の進捗に応じてという建前でございますので、ただいま御質問がございましたように、事業は終っている、終っているにかかわらずやはり機械的にやっているというのは、ちょっと実情をよく調べてみませんとここで即答いたしかねますが、もちろん不合理のないようにこれは是正していくように、今後研究して参らなければならぬと考えております。
  73. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 では今の問題は——災害復旧課の河口さん来ておりましょうか。災害復旧課に事情をお聞きになりまして……。改めていただけるのでございますね。そういう事実があったら、それは改めて、一時に払ってもらえますか。あなたの方で災害というものは一般の補助並みに考えていないというならば、当然災害復旧しておる、金はほかから借りている、予算措置もきまった以上は、やはり従来の補助並みに何回も分けて出すのではなくて、一時に出すという方法をとることが妥当であると思うが、そういう問題に対してはお出しになるという考えでございますか。私の言ったことが事実とするならば、今改めるという御意思があるかということをはっきり言っていただければよいと思うのです。
  74. 大村筆雄

    ○大蔵事務官(主計官)大村筆雄君 お答え申し上げます。従来四半期ごとに支払い計画をつけておりますのは、もちろん事業の進捗の度合いに応じてというのが建前でございます。ただ支払い計画の中におきましても、もちろん災害復旧を優先いたしまして手配するというふうにはやっております。その場合もちろんこれは国庫資金の資金繰りの点もございますので、若干のずれのある場合もあるかとも存じますけれども、そういう極端な例はそうないのじゃないかと思います。稻富先生の特にひどいという場合がございましたら、これは一つどももぜひ聞かしていただきまして、研究して参りたいと考えます。
  75. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 大蔵省のおっしゃることは、資金繰りの関係であるとか財政都合によって出さないということがいつでも言われる手なんです。私たちが災害というものは重大だという考えを持っておることは、もちろん国家財政の都合はあるだろうけれども、その国家財政の困難の中においても、災害という非常時に対して対処するということは、私は災害対策として考えなければならぬと思う。ただ私たちが最も遺憾に思いますのは、今私が申し上げた問題は、あなた方が同一だと考えていないとおっしゃるから、事例をとってお話し申し上げたのであって、これは現に二十八年度災害におきまして本年度の割当はきまっております。それを払ってもらわなければ、たとえば地方の問題を話すようですけれども、福岡県なんか毎日一日に四万円だけ金利を払っております。これは政府で金さえ払ってもらえば、毎日四万円という金利の支払いをせぬでもいいのです。ところがあなたの方が財政の都合によってお払いにならないから、毎日々々四万円の金利の支払いをやって、町村は非常に困っておるという事実なんです。これはなぜこういうことをやっているかというと、一般補助並みに一期々々に分けてやられておるものですから、そういう結果になる。あなたの言われるように、災害というものを一般並みじゃない特殊な考えを持っておるというならば、予算は通った、予算措置も通った、将来の割当も通った、当然支払うべき金であるならば、そんな区分けをして出し惜しみをしなくても、一ぺんに払って、あなたの方が、毎日四万円払っているのだからその金利の補いをまたやられればいいのです。これをやられないから、結局罹災者というものはますます負担が多くなってくるわけです。そういうことをやっておる事実があるから、私はあなた方の考えというものは災害というものを特殊に考えていないのだと、こういうことを話したのであって、その点を改めてもらうことに私はあなたの了解があったと思いますので、その点は一応改めてもらうことで、私はこの質問は終ります。  さらに次の問題は、ただいま申し上げますように、災害が非常に重要性があるにかかわらず、国家財政の都合によって今日のように延ばされておる。先刻もここであなたのおいでにならない前に農林当局にやかましくわれわれ言ったのでありますが、たとえば本年度災害を迎えて、私たちはなぜ過去の災害というものを引っぱり出しておるかというと、政府は災害に対して、いつでも十分の措置をとると言われ、声明をされながらも、予算の都合によってこれが実行されない。そうすると罹災者の方では、初めからやらないとおっしゃっておればそのつもりでやりますけれども、国が相当の補助をやるといわれるから、そのつもりでやっておる。ところが予算の都合によってこれが延ばされる。そうすると罹災者から申しますと、実にあだで返されるようなことになって、だまされるような結果になってくる。その結果、今度の災害等にまた前の災害がプラスしているというような状態になってきている。た一とえば二十八年災害のごときも、三カ年間の継続事業で終るということだった。今年度はもう予算措置においては終っていなくちゃいけないはずです。ところが実際上は、この三カ年間の継続事業で終ると言った二十八年災害は、本年度においても三割くらいの補助しか受けていないという状態です。これはことごとくあなたの方の、国家の財政的都合によって延ばされているわけです。何も罹災者が不都合したわけでもございません。国家財政の責任においてこれがなされている。こういう事実がある。それで私たちは、今後そういうことを繰り返したくないから、過去におきまする災害に対する轍を踏まないように、今年度災害においてもそういう決意があるかということを承わっておる。  それで、本年も二十二、二十三号の災害が来ておりまするが、これに対しては、農林省相当に何とかやらなくちゃならない、建設省も罹災者に対しては対策をやらなくちゃいけないという抱負を承わっておる。ところが肝心の大蔵省が、経済的な財政都合によってやれないということになれば、できないことになるのでございますから、国民から考えますると——国民は何も、建設省の国民であるとか、農林省の国民であるとかいうことは考えておりません。国民は、国家の国民だと思っている。これは国家の連帯的な責任において果さなければならない。それで、こういうところから、建設省とか農林省なんかの災害対策に対する意見というものを、大蔵省はどのくらい尊重しようという意思があるか。この点をあなた方も担当されているので、十分尊重する意思があるかどうか、その点承わっておきたいと思います。
  76. 大村筆雄

    ○大蔵事務官(主計官)大村筆雄君 お答え申し上げます。災害復旧につきましては、その年の災害の規模にもよりますけれども、もちろん国家財政の都合によりまして十分にならなかった場合もあるかと思いますが、大蔵省といたしましては、もちろん建設省なり農林省等とも十分協調いたしまして、できるだけ建設省なり農林省なりの御意見を尊重して、災害復旧をできるだけ早くやりたい、こういう考えでおります。
  77. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 大蔵省農林省建設省意見を尊重するとおっしゃっているのですが、大蔵省はこれを尊重されましたか。二十八年災害のごときはほとんど尊重されておらないと思いますが、その点われわれは非常にふに落ちない。大蔵省は、農林省建設省の意思を尊重したとおっしゃって、現在のような処置をとられておるならば、農林省建設省はわれわれに対してうそを言ったことになる。どうなんです、それは、大蔵省の言われるのがほんとうであるか、農林省建設省が十分尊重せられないがために予算措置ができなかったのであるか、その点一つ次官からはっきりお答え願いたい。
  78. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 先ほどもお答え申し上げたように、前政府時代においては、デフレ政策と申しますか、そういう大きな政策の関係で、財政的に相当ワクを縮めたというようなことで、例の三・五・二の比率に相当の修正を加えられたように私は承知をいたしております。しかしただいま主計官のお答えでは、二十二、二十三号台風災害についてはこういう考え方でやるというように答えられたと思いますので、われわれの立場も十分尊重されて査定をされるものと考えております。
  79. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 二十二、二十三号災害に対しては、主計官も農林省建設省意見を十分尊重されるというふうに農林省解釈をされるそうでございます。その点は聞違いないのであるか、主計官、一つはっきり御答弁願っておきたい。
  80. 大村筆雄

    ○大蔵事務官(主計官)大村筆雄君 お答え申し上げます。もちろん従来からもできるだけ建設省農林省の御意見は尊重して参ったのでございますが、今後ともその方針で進みたいと考えております。
  81. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 そこなんですよ。従来もとおっしゃるが、従来は尊重されてないのです。その点を私はさっきから政務次官にお尋ねしているのであって、従来尊重されておるならば過、年度災害というものは今日まで放任されるという結果にならなかったと思う。過年度災害というものが、毎年々々延ばされて未完成のまま終っている。こういう状態に置かれておるということは、やはり農林省建設省意見大蔵省において十分尊重せられない結果だ、こう実は私たちは認識しておるわけなんでございます。ところがただいまの大蔵省の御意見を聞きますると、大蔵省はやはり協力されているというので、私たちの認識違いなんで、建設省農林省というものが十分大蔵省に意を尽されていないとしか解釈できないことになる。それで私はそう解釈しましたから、さっき農林次官に対して質問したわけです。こういうことを繰り返しても仕方がないわけですが、要するに二十二、二十三号台風に対しては、現実の問題ですから当然やってもらわなければならない。さらに二十八年、二十九年災害等も、先刻申し上げましたように、予算措置というものは三割くらいしかやっていない、二十八年度災害は……。二十八年度災害のときには、政府がその当時われわれにはっきり方針を示されたことは、先刻からも言われたように三・五・二の割合をもって三カ年間の継続事業として完成するということで、われわれは政府の言明を聞いておる。罹災者もまたそれを期待しておったと思う。ところが今日それが三割しか国家の支出がないという状態は、だれが協力しなかったのか知らぬけれども、私たちは歴代の政府に責任があるといわなければならぬと思うのだが、そういうような状態に置かれておる。そこで過去のことは知りませんが、将来はこういうような過年度災害も早期完成のことをやるように努力して、本俸度のうちにも一つやってしまおう、こういうだけの熱意があれば、私たちは今までのことはがまんしなければならないことになるわけですが、今後その両方の意見を十分尊重しておやりになるのでございますか、その点を一つ念のために承わっておきます。
  82. 大村筆雄

    ○大蔵事務官(主計官)大村筆雄君 お答え申し上げます。その点につきましては、もちろん財政の余裕というこもございますけれども、ことしは幸いとにいたしまして災害程度も軽く済んでおります。予備費もなお相当余裕がございますので、できるだけ御趣旨に沿うように努力したい、かように考えております。
  83. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 ただいまの主計官のお話を聞きますと、本年度は余裕もあるようだから、本年度においては過年度災害を解決するような予算措置に対して努力をする、こういう意味でございますか、そういうふうに受け取ればいいですか。今予算編成期でございますから、三十一年度予算においては、過年度災害を何とか解決するようにやっていこうという方針だ、こういう意味でございますか。
  84. 大村筆雄

    ○大蔵事務官(主計官)大村筆雄君 お答え申し上げます。ただいま申し上げましたのは、先ほどの御質問が、過年度災害というものは別として、二十二、二十三号についてはどうかという御質問でございましたので、二十二、三号につきましては、できるだけ御趣旨に沿うように努力して参りたい所存でございます。もちろんそれにつきましては財政負担の限度もございますが、これにつきましては、本年度は幸い比較的少かった関係で、予備費等もまだ若干例年に比べて余裕があるという現状でございますので、できるだけ御趣旨に沿うように努力して参りたいという意味でございます。
  85. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 二十二、二十三号台風災害についてはよくわかりましたが、私この機会に特にお尋ねしたいと思いますことは、過年度災害の問題も一つあるわけです。それは何かというと、過年度災害復旧ができていないがために、次に来る災害がまた被害を加えるという場合が非常に多い。それがために、従来の継続事業が途中に生じた災害のためにまたぶちこわされてしまうという結果になりますので、本年度は、過年度災害に対しましても、約束からいえば終ってなければならない時期でございますが、ちょうど予算の編成をやられる機会であるから、これに対して大蔵省としても何とかお考えになる御意思があるかということを承わっておるわけであります。過年度災害に対しては——二十二、二十三号の災害に対しては、今お答えになりまして十分御努力をされるというのであります。過年度災害の問題を一つお尋ねしておるのであります。
  86. 大村筆雄

    ○大蔵事務官(主計官)大村筆雄君 お答え申し上げます。過年度災害の点につきましては、来年度予算において、できるだけ努力するようにという御質問かと存じますが、ちょうど来年度予算につきまして、目下編成中でございます。これはまた別の機会に、あるいは次長なり、部長なりから、また全体の予算の考え方につきまして、御説明願うのが適当かと存じますが、一口に申しまして、ことしは非常にむずかしい予算になりそうなので、ここで特に私から確約するというふうに申し上げかねますが、もちろんその方向で努力して参りたいと考えております。
  87. 稲富稜人

    ○稲富稜人君 これはいずれ機会を得まして、大臣か、主計局長か、責任のある方に間わなければならないと思います。こういう農林委員会の意思があったということをまずあなたから十分お伝えして、予備知識を与えておいていただきたい。
  88. 綱島正興

    座長綱島正興君) この際、私からちょっと御報告申し上げます。ただいま建設省の住宅局総務課長、南部哲也君が出席をいたしております。なお農林大臣は、三時よりという確約でございましたところ、病気だそうでありましてこの次には必ず出るが、病を押して出ろというならやむを得ず出もするけれども、非常に疲れて病気をしておるから、この次の日を指定してもらえないか、こういう申出がございます。それらのことについてちょっと御協議いたしましょう。  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  89. 綱島正興

    座長綱島正興君) 午前中はこれにて終ります。午後二時半より再開いたします。     午後一時七分休憩      ————◇—————     午後二時四十一分開会
  90. 綱島正興

    座長綱島正興君) 午前に引き続き、これより協議会を再開いたします。  質疑の通告がありますからこれを許します。川俣君。
  91. 川俣清音

    ○川俣清音君 この際大蔵当局に二、三点お尋ねいたしておきたいと思います。大蔵省の陣容を拝見いたしますると、農業土木あるいは一般土木関係あるいは建設関係等について必ずしも技術者がおいでにならないようでありますが、これで御不便だというふうにお考えになっておりませんかどうか、この点一つお尋ねしておきます。
  92. 鹿野義夫

    ○大蔵事務官(主計官)鹿野義夫君 ただいまの御質問でございますが、技術屋がおらないということよりは、技術屋、そういうものがたくさんおりまして技術的にも十分検討して予算を編成していく方がよりけっこうだとは思います。
  93. 川俣清音

    ○川俣清音君 近年大蔵当局が資金の、または財政上の効果を最大ならしめるために、比較的財政投融資または補助金等におきましても、財政資金の効率的な活用あるいは事業資金の効率的の利用というようなことをいろいろお考えになっておるようですが、こういうことは深く内容にタッチしないと、この効果が上るか上らないかということの判定は困難ではないかと思うのですが、この点はどうですか。と申しますのは、補助金の問題についてだいぶやかましくなっておるのが一つですが、それと同時にこれは当然な問題だと思いますけれども設計変更についても将来何らかの手を打たなければならないというふうにお考えになっておるようであります。各府県の赤字の状態を見ますと、予算不足のために小規模で、しかも経済効果が上るような設計工事をいたしておりますが、初めからそれは予算獲得の方法として講ぜられておるのであって、初めから設計変更をしなければならないということは技術的にはあまりにも明らかであるにもかかわらず、予算獲得の方法としてこういうことが考えられておって、この設計変更が非常な大きな赤字を生み出す原因になっておるように思われるので、これについてもいろいろ検討されておるようですが、この二つの点について御答弁願いたいと思います。
  94. 鹿野義夫

    ○大蔵事務官(主計官)鹿野義夫君 事業を効率的に遂行していくためにいろいろのことを検討するという際には、純技術的に検討する場合もありますし、やはり技術的な面ばかりで見た場合には、比較的現在の経済状態といいますか、そこに投ずる資本の総額、そういったものを割に無視して技術的にのみ十分なという検討を下しがちの場合もありまして、やはり経済的に最も能率のいい事業の遂行というのは技術的な面とそこに投ぜられる資金量をどういう程度に投ぜられるかということの判断と相まってやっていく場合に、最も現実の問題として能率のいい仕事ができるのではないかと思います。また先ほどの御質問にも関連しますが、若干は主計局の内部にも技術屋がおりまして、特にそういう設計のこまかい点について検討をする場合には、主計局の中にも、主計課というのがございますが、そこに土木その他の系統の技術屋数人がおりまして、一緒に議論をしてやっていくという面も現在においては加味されております。もちろん本質的には技術的な検討は建設省あるいは農林省のそれぞれの専門家が十分検討された結果について議論をし合う、議論に参画するといったような工合ではございますが、そういう面も加味されてはおります。全体を効率的に検討するという場合には、純技術的にでなくてやはり経済的な面からも十分検討された方がいいのではないかと考えております。
  95. 川俣清音

    ○川俣清音君 ここで二つに問題がわかれてくるのですが、一つの問題は私が提供いたしました設計変更——最初の計画のときには、これで経済効果が上るかどうか、これは必ずしも災害問題ばかりではございません。特に土地改良事業等におきましてはそうであると思うのですが、経済効果が上るかどうかというようなことが盛んに検討されて、それから設計変更になって参りまして予算額がふえて参りますと、そのときにはいわゆる経済効果というものはあまり論じられないで、ただ技術的に変更しなければならない、こういうことになっておる。あなたの方は最初の予算をつけるときには経済効果ということを非常にやかましく言うが、途中からの変更になるときにはそういうことを問題にしない。これはどういうわけですか。どこに理由があるのですか。
  96. 鹿野義夫

    ○大蔵事務官(主計官)鹿野義夫君 最初の場合は非常にやかましく言うとおっしゃられますが、むしろ現在におきましては、農業土木におきましても、土地改良その他の事業におきましても、あるいは建設省の事業におきましても、多くの事業が手をつけられましたのは数年前くらいのことが非常に多いのでありまして、その時分は大部分のものは経済安定本部に技術屋その他大勢の人が集まりまして、議論をして取り上げた問題が多いのでございます。それが非常に当初は見積りが過小であった。その後の変更によって非常にふえておる。その事業量の増大を私どもの方といたしましても非常に真剣に考えておりまして、問題はむしろそこにあるのだということで、ここ二、三年は特に残事業の増大ということを問題として取り上げまして、なぜそういうふうに事業がふえていくのか。技術的に不可避なのであるか、それとも当初の見積りが不自然であったのか、あるいはごまかしであったのかというようなことを相当各省に対しては、われわれもできる範囲の努力をして文句を言うておるわけなんですが、その点の努力については今後もわれわれとしては惜しまないつもりでやっていきたいと存じております。
  97. 川俣清音

    ○川俣清音君 そうするとあなたのさっきの説明によりますと、純技術よりも財政面から経済効果を大いに批判をしていくのだということでありますが、これは結局技術の面からする検討が足りなかったということになるのじゃないですか。設計変更でそういうふうに応諾するというのでありますから、主になるのは設計変更で、純技術の面なんです。それは結局技術の前にあなた方は頭を下げざるを得ないということになってくる。そうすると経済効果なんかでやかましく論ぜられておっても、結局何もならなかったということはお認めになるのですか。
  98. 鹿野義夫

    ○大蔵事務官(主計官)鹿野義夫君 それが悪意でごまかしをするという場合に、何分にも大蔵省の陣営として技術的にこまかい設計の内容にまで非常に深く立ち入ることはできませんから、そこにいろいろなごまかしをしてやっていくという前提でありますれば、あるいは大蔵省はごまかされるかもしれません。しかし各省ともそこは良心的にお互いにごまかしのない立場で検討をいたしておると私らは考えておりますので、そういう場合においては、お互い議論を尽すことが何も矛盾することはないというふうに確信しております。
  99. 川俣清音

    ○川俣清音君 お互いにごまかさないのだというけれども、これはお互いにごまかし合いをしているのです。あなたの方はなるべく予算を出すまいとするから、そこで初めの問は小さい予算をとって、あとで設計変更をして多く取ろう、こういう手がある。あなたの方は出すまいとすれば当然その裏をかく手が考えられるわけです。あなたの方でなるべくしぼればしぼるほどどこかでその穴埋めをしなければならないということになってくると思うのです。このよしあしは別問題ですが。そこで一面そういう問題も指摘すると同時に、逆な面からもう一つ指摘したい。前の問題は必ずしも災害ばかりではなくて一般の問題ですが、今度は災害の問題です。災害の場合は逆な問題があると思うのです。というのは建設省なり農林省査定しましたのを、その査定だけでは不満足であるというようなことで、地方財務局の再査定をなるべく受けさせるというような方針をとっておられるようです。これこそ財務局のあなた方の今の陣容は、公務員制度からいって非常に微力であることはお認めだと思う。これをどうしなければならぬかということは、おそらく検討されたと思う。その微力なものに再査定をしなければ満足しないというのは、どこからきているのか。どこに根拠があるのか。
  100. 鹿野義夫

    ○大蔵事務官(主計官)鹿野義夫君 再査定の問題でございますが、再査定というのは大蔵省の財務局が再査定をするのではなくて、各省の主務大臣が一時——一時というのは、法律に基いてこれを決定するということで、決定したものについてもう一回見直していただいて、そのときに大蔵省の財務局も一緒に立ち会って、各省といいましても建設省農林省いろいろございますが、そういう各省のバランスの問題もありますし、もう一つには、二十八年災あたりでその点が非常に強く言われましたのは、戦前のデータはあまり詳しいことはございませんが、戦後におきましても、二十六年ごろは要するに超過工事といいますか、原形を越える工事原形の二割、戦前ではよく一割といわれておったのですが、その程度のものが大体常識であった。ところが幾つかの例を見ますと、相当原形を越える度合いが非常に高くなってきている。それは財政的に余力が十分あった場合は、やはり一つ工事をやるわけですから、一つ工事を仕上げて、またその上にかさ上げをするとか、あるいはまたその上に何かをつけ加えるよりも、一度に工事をやった方が安上りでもあるし、あるいは再度災害を受けるような状態のときには、それを補強するというようなことも当然必要になってくるわけですが、それもやはり一つは全体の財政の余力とにらみ合せないと、片一方では原形復旧できないようなところが千億もあるいはそれ以上もあの時分は余っていた。現在も金額に換算しまして約千億に近い残事業が残っている。これは大部分のものが原形すら復旧できないで残っている。そういうところをさておいてやるところについては、一応再度災害防止とかいろいろな見地がありましても、その程度を越すとほかの方の災害復旧がそれだけおくれると考えられますので、そういう面で度合いをあまり越すのはどうかというようなことで、各省にもこちらから相当強く申し入れまして、その点は一応もう一回現地を調査して、行き過ぎがあったらそれを直していこう、そういう意味で再査定をしていただいた。それについて大蔵省が一応立ち会って、各省とのバランス等を見ながら御意見があれば申し上げます、こういうことなんでございます。
  101. 川俣清音

    ○川俣清音君 時間がない、台風がくるというので落ちつかないから先に進みますが、財務当局の査定が終らないからということで延びている責任をもっと追究しなければならぬと思いますが、この点やめておきます。原状復旧と言いますけれども、これは何といいましても見ただけでもわかります。戦争中から戦後にかけて非常に設備の悪かったものや、道路その他のものやセメントにいたしましても、また服装なんかも戦前以上によくなっているし、トラックの交通量もあるいは自動車の交通量におきましても非常に変ってきているにもかかわらず、原形復旧ということで元のままを通れということは非常に無理である。たとえば米の供出などを見ても、昔はリヤカーで倉庫まで運ばせる、あるいは自宅で検査をする。ところがこのごろは自宅検査はなく、全部倉庫検査です。倉庫検査ということになると、一定の倉庫にすみやかに集めるためにはトラックを使うというようなことで、どんな単協でもトラックを持っている。従って道路の破壊も大きいし、木橋等は一ぺんにこわれてしまうというような問題、従って当時の事情と異なっている点を考慮せずに、あえて原形復旧ということにこだわっているところに問題があるのではないかという点が一つ。もう一つは、今申し上げたような陣容が十分に整っていないにもかかわらず、自分のところで査定をしなければ満足しないというのは、現行の公務員制度からいっておかしいと思う。もしも農林省の役人が公務員の域を脱して地方事業団体やあるいは一般被害民に同情的であるというならば、越えた行為でありますならば、別な方面から処分したらいい。お互い公務員でありながら、公務員のとった態度を信用できないとなったら、これは大へんなことじゃないかと思う。そこで再査定をしなければならないとか、財務局の意見を聞かなければ最後の腹がきまらぬということは、公務員でありながら、公務員制度をみずから否認するようなことになるのではないかと思うのですが、この点についてだけで質問を終りますから、あとは答弁によっていずれの日にかまた続行いたします。
  102. 鹿野義夫

    ○大蔵事務官(主計官)鹿野義夫君 財務局が査定をするというわけではございませんで、再三申し上げましたように、各省が査定されるのについて一応立ち会せていただいて、財務当局としての意見があれば、そこで申し述べて御相談をしてきめていくわけなんです。それは一つにはやはり各省それぞれのお立場もあるものですから、各省の査定の中では重複しているというようなこともありますし、あるいは考え方等につきましても、農林省建設省の間で相当の食い違いなども出てくるということもありますので、そういうバランスの問題もあり、財政当局の方の立場として、一応意見があれば申し上げるということで決定をして、あくまで査定そのものは各省がおやりになるわけでございます。
  103. 綱島正興

    座長綱島正興君) 芳賀貢君。
  104. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 午前中は主として二十二、二十三号台風の御質疑があったわけでありますが、この際農林、大蔵両事務当局から、今年度の四月以降における、主として農林、水産関係災害復旧災害対策を、具体的にどういうふうに行われたかということを概括的にまずお伺いしたい。われわれから見ると非常に消極的であって、何もやっていないのではないかというようにしか考えられないわけです。ですから、この際農林政務次官並びに大蔵省当局から、今年度の時期を区切って、たとえば四月、五月の凍霜害並びに風水害災害の処理、それから六月、七月の水害対策に対してどういうことが行われたか、それから八月以降二十二号、二十三号台風に対してどういうような処置を進めておるか、この三つに時期を区分して具体的なお話をお聞きしたいと思います。
  105. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 農林省対策については、官房長からお答えさせます。
  106. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 七月、八月あるいは九月の北海道の水害並びに東海、近畿、四国地方の旱害の対策につきまして申し上げたいと思います。  東海、近畿、四国地方を中心としました七月下旬から八月にわたりましての旱魃被害に対しましては、掘井戸であるとかあるいは灌水道の掘さく等の応急対策工事を講じましたものにつきまして、目下農地事務同等で調査中でございます。これはこの数日前までに報告を完了するようにいたしておりますので、これで大蔵省に予備費要求をするつもりでおります。  それから今年度の八月までの農地及び農業用施設災害復旧の問題につきましては、十月四日に予備費として大蔵省に約十一億円を要求いたしております。このほかに治山関係あるいは漁港関係等の被害も要求いたしておりますので、総合計いたしますと、約十三億程度の予備費を要求いたしておる状況でございます。  それから治山関係のうちの崩壊地の復旧についてでございますが、これらのうちで緊急に復旧を要しますものは現地査定をいたしまして、査定済みの北海道、岩手、秋田、その他の東北地方、それから群馬、東京、神奈川、新潟、富山、長野、それから山梨、岐阜、静岡等の各県に対しまして、総額一億五千万の国費配付を九月三十日に決定いたしました。現在これを地方庁に通知済みでございます。それぞれ措置をいたしております。和歌山以西のものにつきましては、今般の台風等と合せて予算配付をいたしたい、かように考えております。  それから金融対策でございますが、北海道水害に対しましての営農資金について、大蔵省と協議をいたしまして、いわゆる天災融資法で整備をいたすことといたしておりますけれども、その金額につきまして農林省の方の調査北海道の現地の調査とがまだかなり食い違いがございますので、目下それの調節をいたしておる途中でございます。これができますればさっそく善処いたしたい、かように考えております。  それから旱害につきましての営農資金につきましては、県からは現在まで要求がございません。ただ開拓地の問題につきましては、融資の必要があるものと考えまして、そういうような措置を講じたいと考えております。  それから公庫資金の融資でございますが、北海道の水害に対しまして、個人施設復旧につきましては公庫から約三千万円の融資をすることに決定いたしまして、現在手続を進行させております。  その他旱害につきまして、先ほど申し上げましたような、農地関係の予備費支出を要求することといたしておりますので、八月、九月の水害と、それから八月の旱害等につきましては天災融資法で指定いたすことになっておりますが、金額につきましては、十月一ぽい中にこれを決定する予定で作業が進行いたしております。  その他飯米対策等は、現在のところまだ各府県からの報告がまとまったものになっておりません。あまり要求が実はございませんが、北海道の一部につきましては御要求があるように聞いておりますので、それぞれ措置をいたしたいと考えております。  大体以上のような状況でございます。
  107. 鹿野義夫

    ○大蔵事務官(主計官)鹿野義夫君 農林省関係予算の措置については、今官房長の御説明の中にも、幾つかの大蔵省としての合せての措置が含まれておったのでありますが、全体としての災害状況をちょっと簡単にお話し申し上げますと、今まで災害被害報告といたしまして三百四十億ほどございます。これは二十二号、二十三号まで含めまして、土木、農業その他一切を含めますと三百四十億程度被害報告でございまして、そのうちおもだったものが土木で二百二十四億、農業で大体百五億になります。そのうち二十二号台風以前のものと、その後の二十二号、二十三号を含めた台風災害とに分けて申し上げますと、二十二号、二十三号の台風被害分が全体で大体九十一億ばかりの被害報告が集まっております。これにつきまして今後査定が行われるわけですが、それ以前の災害につきましては査定もぼつぼつ進んでおりまして、その査定済みのものについて予備費要求がございまして、今までに建設省から、主として特に北海道、東北方面の積雪地帯については工事を早めたいというので査定も早く行われた結果、予備金要求も早目に提出されまして、それによりまして、大体この九月災害までの、九月災害といいますか、大体二十二号台風災害までの分として十一億の金が予備金として支出されております。九月までの災害についても、なお二十億あるいは二十数億の予備金が近く支出されることになろうかと思います。そのうち今農林省官房長から言われた農業施設災害については、約十二億の予備金要求が生じまして、これにつきましては全部が出るかどうかはちょっと疑問でございますが、その系統の予備金支出の手続を近くとりたい、こういうふうに考えております。その他災害のつど若干のつなぎ資金を出しております。ごくわずかではございますが、九月末までの災害について約三億二千万円ちょっとの金がつなぎ資金として預金部より融資されております。中に若干農業用施設についてのつなぎも含まれております。その他災害救助費の関係も、災害救助法の発動によって厚生省その他で今検討されて、近くその系統の予備金並びに厚生省に計上された予算が支出されるという段取りになっております。二十二号台風以後の災害につきましては、今後の査定が済んでからになりますから、やはり予備金支出という点では若干時期的におくれるというふうに考えております。
  108. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 官房長にお伺いします。先ほど官房長の言われた十二億程度大蔵省の方に要求しておるという点でありますが、これは今年度の農業関係災害復旧に対して農林当局が査定を行なって、もう査定が終った分を基礎にして、これだけの要求をなさっておると思いますが、その点いかがでありますか。また今後査定が進行した場合においては、およそどのくらいの要求が必要であるかということも、大体の見通しがついておると思いますので、その二点をあわせてお尋ねいたします。
  109. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 従来の八月までの被害分につきましてのものは、これは農林省査定いたしました数字でございます。今後のものにつきましては、先ほども申しましたように、ぼつぼつ集計が集まっておりますけれども、全体の数字としてここ数日中に持っていくということになっております。御了承願います。
  110. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 これは先般の国会の開会中でありましたか、北海道災害地帯に対しましては、特に連年災害を受けておるという特殊性もありますので、こういう地帯に対しましては、過年度災害の政府の負担分が非常に未支払いになっておりますので、これに対しては重点的に処理を急ぐという言明が大蔵当局からも農林当局からもあった。この点はどういうふうに御解決をなさっておられるか。
  111. 河口清

    農林技官河口清君 災害を受けておる地方に対しては、過年度災害分の補助金を重点的に割り当てろということでありますが、それにつきましては、農林省におきまして若干手持ちの予算がございますので、それは十月の半ばごろになりますと、現在予算の再査定を進行いたしておりまして、ほんとうに必要な金額というものが、各県ともわかりますので、若干の余剰が出てくると思います。その調整をはかって割り当てたいと考えております。
  112. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 災害地帯に対して過年度の支払い分を急げということを今言うのではないのです。これは先般の委員会等において農林当局も大蔵当局も、その地域に対しては善処するということを自発的に言明しておる。それがどうなっておるかということをお聞きしたのですが、まだその作業が進んでいないとすれば急いでもらいたい。ここで申し上げたい点は、建設省関係がほかと比較すると非常に進んでおる。農林災害関係の方はおくれておる。この点は鹿野君あたりも御承知と思いますが、非常にアンバランスになっておる。農林災害関係を放置しておられるとは考えませんが、これを促進する御意図があるかないか、お尋ねしたい。
  113. 鹿野義夫

    ○大蔵事務官(主計官)鹿野義夫君 その点は、今までも予算の計上の方法等につきましても、過年災の残事業について何割を復旧するか、あるいは復旧率をどこまでにするということで、各省事業別に色合いをつけずに、農業災害、港湾災害漁港災害土木災害といろいろありますが、色合いをつけずに復旧率をここまで高める。あるいは残っておる分の何割を復旧するというふうにやっております。ただ若干違うのは、直轄の災害がございまして、これは融資の道も何もございません。直轄でやるところは比較的甚大の影響があるところをやっておりますので、その復旧率だけを例外と定めておりますが、それは全体の比重からいうと非常にわずかなものであります。全般としては各省にそういうふうに差をつけておらないわけであります。ただ災害復旧予算との関係ということで、いわゆる仕越し工事の問題にからみましては、農業災害建設省災害と比べると、農業の方は田植への関係その他から、とにかく仮工事でもやらないと水がとれないといったことで、予算がいかない場合に、独自の立場で復旧を進めておるというような意味から、復旧が進んでおるのに、金の行き方が少いといったような場合が建設省に比べていくらか多い場合があると想像しております。それも実態は詳しくつかめないのであります。
  114. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 次に申し上げたい点は、災害対策の一環としての融資関係ですが、四月、五月の営農資金は、法律をもって約四億五千万円のワクで決定になっておったのですが、その後の災害は天災等による資金の融通法によって処理されるのです。今までは時期別に災害に対する融資法律を作った場合には、条文の中に政府が利子補給や損失補慣に任ずる対象になる資金ワクというものを一応示しておった。ですから、これは非常に処理しやすかったのですが、天災法によると、この法律になってからのやり方が、どうも意に沿わぬように考えるのです。これは吉川次官にお尋ねしますが、今になってみると、従来のような方法によった方がよかったが、政府の所見をはっきりしてもらいたい。なぜかというと、最近における災害対策は、ほとんど政府自身の財政支出を極端に圧縮するという意図に立って、ほとんど資金関係に全部問題を集中するような傾向が強い。これは当時の法律の審議の過程を見ても、この資金融通法だけには大蔵当局は賛成したんです。あとは全部反対されたところを見ても、そうであれば現在の政府の一つの施策の中において、被害地域に対する資金融通にもし重点を置くとすれば、これが効率的に所期の目的を達せられるような運営が必要だと思うんです。それさえも非常に微温的であって従来の法律の取扱いと全く格段の差があるようなことになっておる。これはどういう考えでやっておるか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  115. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 芳賀委員の御指摘のような点があろうかと思います。当時そういう点についての検討が十分でなかったかとも思われますが、立法の趣旨にかんがみまして従前通りのような取扱いに準じてやるべきだと考えられます。
  116. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 そういう抽象的なことでなくて、たとえば一例をとると六・一災警は主として東北、北海道でありますが、これらの諸県に対しては暫定的かもしれませんが、大体五億円の資金の配分が行われておるんです。ですからその場合基礎的な根拠というものはその地域の農作災害等の損害額というものが基礎になると思うんです。ですから五億円の場合果たしてどれだけの——府県別にしても差しつかえありませんけれども、どのような災害総額を基礎にして五億円なら五億円というものが算定されたか、これの基準が明らかになっておらぬ。まさかただ勘だけでやっておるわけでもないでしょうし、少い方がいいということでやっておるわけでもないと思うんですが、そういう点はいかがですか。
  117. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 もちろん損害程度によって地区の指定が行われ、そうしてその指定された地区損害高に応じてその額は決定さるべきものと考えております。
  118. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 営農資金の問題なんですが、たとえば五億円の資金融通は、基礎的な根拠は大体どのくらいになっておったかということです。具体的には北海道は大体一億八千万という配分があったんですけれども、これの基礎になった災害の額というものはどれだけに確認されたかということを明らかにしてもらえば、おおよその見当は下せるわけなんです。ただ現地の作報の報告が食い違っているとかなんとかいうこととは違うんですよ。
  119. 安田善一郎

    農林経済局長安田善一郎君 その被害額の見積り及び査定並びに災害融資の基礎は従前通りでございます。ただその際に各県からの取りまとめた申し出を参考にいたしておりますので、ただいま手持ちがございませんが、必要ならば別途提出もし御報告も申し上げます。その後の災害との関係のバランス等につきしては、北海道につきまして農林省北海道庁と所要額の査定が実は十倍違いますので検討を進めておりますが、ただいま政務次官に対する御質問の点につきましては、国会で立法していただきまして政令で指定いたしますれば、災害金融等の対策はすみやかに講じ得る建前でできておることと思いますので、従前より個々の立法いたしますよりすみやかにやるべきものと思って措置するつもりであります。その結果といたしまして、お話の点につきましては少くともおくれがちでありましたか、ただいま必要額の調整をいたしまして、十月末までに指定して指置いたしたいと思っております。
  120. 綱島正興

    座長綱島正興君) 芳賀委員にちょっと申し上げます。小枝委員が十五日に来られないんだそうです。ところが車のない者やなんかあって、夕方台風が上ってくるというんだからなるべく早く——今ちょうど食糧庁の中西企画課長が来ましたから、大事な点だけにとどめておいていただいて、ちょっと小枝氏にお譲りを願って、食糧庁の方の点だけにしていただきたいと思います。
  121. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 安田さんの言われた点ですが、農林当局と北海道庁の報告の差が十倍だということは今まであり得ないんです。これはおそらく当局の御意向は統計調査部の資料に基いておられると言われると思うのです。たとえば統計調査部と府県の差がそれほどあるというようなことはいつもこれはあるけれども、そういう大きな差があるということはちょっと了承できがたいので、今も必要であれば資料をお出しになると言われましたが、また十五日に協議会がありますから、具体的な府県の配分の基礎になったところの被害金額、これを参考までにぜひ御提示願いたいと思うのです。なおこれに関してお尋ねしたい点は、たとえば北海道の場合には二十八年、二十九年とニカ年災害を受けておる地帯が非常に多い、特に二十九年度の場合には、北海道全地域が冷害地帯ということになっておった、それで昨年までの措置といたしましても、連年災害をこうむってしかも被害の度合が激甚であるという場合においては、資金融通の中においても六分五厘と三分五厘の運用上の差をつけて配慮をしてきたわけです。今年度の場合もこれは御検討になればわかるわけですが、過去二カ年相当ひどい災害を受けた地域が、今年度の春以来の災害をこうむっているという地域が相当あるわけです。こういう地域こそは天災等による融資法律の中においても政府の指定する地域、特に被害が甚大である地域ということにおおよそ該当するのではないかと思います。今まで政府のとられた措置を見ますと、いまだに三分五厘の優遇された措置というものは一件もないわけです。先ほどのお話によりますと、十月一ぱいには一般災害とあわせて三分五厘の五カ年償還のこの分もきめるということを政務次官が言われましたが、そうすると十月末までには今年度の災害地域の中で、そういうケースに適合する地域は指定になるというふうに考えてさしつかえないですか。
  122. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 その通りでございます。
  123. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 そういうことが行われないと、去年は二十八年、九年の連年災害であったが、三分五厘の地域を指定した、ところがもう一年災害をこうむったところは何らそういう指定を受けないという場合があると、これはやはり行政的な政府の措置からいっても筋が通らないことになる、しかし今の段階ではそういうおそれが非常に強いのです。もう一点具体的にお尋ねしたい点は、昨年は二十八年度の災害資金を二十九年度に返付すべき金額がある、これは連年災害の地域に対しては再貸付の道を講じた、その返済分をもう一度貸して更新したということになっておる。これがことしの次官通牒等によると、去年再貸付をした分はことしはいかに被害が甚大であっても延納等の対象にしないということが通達されておる。しないといっても払えない金は全然払わないことはわかるわけですが、そういう場合には政府は延納等の措置でなくて損失補償ということで、これはもう回収できないとあきらめてその分は損失補償をされるかどうか、その点はどうですか。これは大事な点だと思います。
  124. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 連年災害災害の度合いが非常にはなはだしい場合に再貸付の方式をとるのは当然だと考えております。どんな通牒が出たか承知いたしておりませんが、調査をいたしまして、さようなことがあるならばいま一応この考え方に基いて検討したいと思います。
  125. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 次官通牒というのは政務次官はわからぬわけですね。普通はわかることになっているのですが、そういう場合今の御見解によると明らかなことなんですが、とにかくニカ年の災害だけでも激甚なところは、再貸付等の措置によって実質的に延納の措置をとったわけです。そこがもう一回災害になった場合はまたひどいのです。本来から言うと損失補償ですね。これはもう回収不能の地域指定をして、その分は法律にもあるように損失補償をするのが当りまえですけれども、それができないという場合に初めて延納とか再貸付の道を講ずる、次善の策なんです。それさえもやらないということは絶対ないですね。間違いないですか。
  126. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 その前の問題については検討をしてみたいと思いますが、あとの場合についてはさようなことは考えてはおりません。
  127. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 その点は政務次官のお言葉を信頼いたしまして、それができないようであるならば政治的な責任を追求します。  もう一点お伺いしたいのは、災害復旧資金措置と並行して、災害地帯の被害農家のこれから生きていく道をやはり講じてやらなければならぬ。災害復旧も今の政府の方針では十万円以下の小さい災害は何ら配慮が行われない。資金措置に対しても過去ニカ年の場合よりも非常に消極的だということも明らかなことなんです。問題は今後被害農家がみずから働いて食いつなぎをしなければならぬということで、これはやはり政府としても具体的な策を立ててやらさなければならぬと思う。従来救農土木事業とか臨時救農というような名前でこれは取り扱ってきたわけですが、今年はそういうことをやるような御意図が一向にないように考えているのですが、忘れたわけではないと思うのです。今年被害をこうむった地域の農家に対しては、やはり救農土木工事の道を開いてそうして現金収入の道を講じて、自分の力ででも災害を切り抜けていくようなことをぜひやってもらいたいと思うのですが、今までに何か具体的な方針をおきめになってあればこの際発表していただきたいし、まだなければ十五日までには大蔵当局とも相談して何とか明確にしてもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
  128. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 ただいまのところ救農土木事業等についての積極的な検討はいたしておりませんが、災害復旧工事でそういう問題の解決をいたしたらどうかということだけは考えております。
  129. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 その災害復旧なんですが、公共土木関係は御承知通りおそらく請負工事に付してあるのですね。橋梁にしても護岸にしても築堤にしても被害農家のそういう労力を吸収するというような機会均等の措置は、そういう災害復旧工事だけでは行われないと思うのです。幸いに一部はそういう面もあるかもしれませんが、昨年度も北海道においては風倒木が非常に多く出たのですが、風倒木の処理が臨時救農の大半であるというようなことであったのです。ところが実際問題としては風倒木の非常にある地帯におる人たちはいいのですけれども、離れているところはその恩典に浴せないのですよ。ですから公共事業の災害復旧の場合にもそういうことが言えると思うのですから、そういう機会を求められない被害農家に対してはやはり土地改良等を中心とした臨時救農土木の道はぜひ政府の御配慮が必要であると思うのです。この点は重ねて申し上げますが、緊急に大蔵当局とも相談されてその道を講じてもらいたいと思います。
  130. 吉川久衛

    農林政務次官吉川久衛君 お話のような被害状況によりましては十分研究をいたしてみたいと考えております。
  131. 小枝一雄

    ○小枝一雄君 一般災害については同僚委員から御指摘になり、御質問がありましたから、私はただ一点だけ旱害対策について当局にお尋ねしたいと思うのです。農林省の首脳部が御出席ですし、大蔵省の担当主計官も御出席でありますが、大蔵省の方はまた一つ幹部ともよく御相談願って善処を願いたいと思います。  どうもまた今度の風害によって旱害対策が軽視されるのではないかと私心配しております。ところが今度の旱害を受けました府県は全国で十四府県ばかりありまして、しかもそれが非常な特異性がある。その特異性と申しますのは、今まで食糧増産対策で政府が補助することのできないところの山間地帯及び傾斜地帯に起っておるのです。今まで政府及び府県等の補助の恩典に全然浴しておらないで、営々として増産に励んでおるところの地帯の特殊的な問題であるということをまず御認識願いたい。そういう地帯に旱害が起りまして、金額においては少いようでありますけれども、非常に深刻な問題なんです。従いましていろいろ努力して米はある程度とれたが、これに要した費用は米代以上に使っておる。しかも関係町村では消防団が全部出動して夜昼となくポンプを使って、そのポンプが破損をして修理に行って火事が起きてもどうにもならぬという非常に大きな打撃を受け、災害の影響するところが大きいのです。そういう状態にありますので、金額においてはきわめて少いかもしれませんが、その影響するところが大きいということと、もう一つは一方が非常に豊作で喜んでおるところへ持ってきて、こういう深刻な打撃を受けたということが人心に及ぼす関係を考えるとき、これは決して軽視できぬ問題であろうと私は思う。そういう問題をこの十四府県の者がしばしば会合もし、去る六日でありますか、ちょうど伊瀬委員もおいでになりましたが、関係府県の連中が融資だけでほっておかれるのではないかということで非常に心配をいたしまして、押しかけてきてやかましく陳情もし、実情も訴えたわけです。そこで私ども、そういうことになってこれを融資だけで、関係者が少いのであるから、豊作であるからそういうわずかな関係のものであるならばほっとけという程度でこれはいいじゃないかということでお茶をにごされると、災害対策としても国のやり方、国の方針というものが国民から非常に疑われると思う。そういう意味で一つ両当局におかれましては十分この問題に対して善処していただきたい。農林省の案で見ますと、いろいろ臨時措置費あるいは施設費等についての予算をいろいろ考えておられるようでありますが、これは農林省におきましても大蔵当局ともよく御相談をしていただき、また大蔵当局としてもこの特異性の旱害に対しても、少数なりといえども最も深刻な打撃を受けておるところの旱害地に対しても十分なる措置を講じていただきたい。当局の御所見をお伺いしたいと思います。
  132. 谷垣專一

    官房長農林谷垣專一君 このたびの台風等に、俗に言いますとまぎれて旱害等が軽視されるのではないかという御心配が多かろうと思いますが、当農林省といたしましてもそういうことのないように、すでに旱害地帯の調査を進めておるわけであります。先ほども申し述べましたけれども、この一両日中にそれをまとめまして予備費の要求を大蔵省の方にいたしたい、こういうふうに考えております。
  133. 大村筆雄

    ○大蔵事務官(主計官)大村筆雄君 お答え申し上げます。旱害対策につきましては、近年若干の旱害はあったのでございますが、特別に補助などをいたしておらないのであります。目下農林省などとの関係もありまして、農林省でどういうふうに対策をお立てになるのか伺ってからでないと、私どもの所見もちょっと申し上げかねると思います。従来と状況が多少違っておる面もございますので、これは十分研究したいと思います。
  134. 小枝一雄

    ○小枝一雄君 いろいろ農林省のお考えを伺いましたが、大蔵省におきましても一つ慎重に御検討せられまして、ぜひこれは融資だけというようなことでなしに、一つ相当対策を考えていただくように要望いたしまして、私の質問を終ります。
  135. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬幸太郎君 ちょっと小枝委員の質問に対して大蔵省の方から御答弁がございましたが、旱害地の課税の問題でございますが、これはただ収穫の上でことしは豊年であったからということで、普通な収入に査定されては大へん農民は困ると思うのです。そういう点についての具体的な御処置はどういうふうになさるお考えでありますか、お伺いしておきたい。
  136. 大村筆雄

    ○大蔵事務官(主計官)大村筆雄君 税の取り方につきましては、多少私どもと所管が違って国税庁でやっておりますから、私の方で特にこうだということを申し上げかねますので、またいずれかの機会に主税局長なり国税局長官なりに御質問いただければけっこうかと思います。
  137. 川俣清音

    ○川俣清音君 農林水産施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案が通過いたしまして、前国会に政令として考えられる構想なるものが資料として配付されておったのでありますが、政令の改正案の中の第五条に左の一項を加えるというようなことで御説明があったのですが、この御説明に対しまして私どもは、被害者総数に十五万円を乗じたる額をこえる場合においてはこうだという工合に希望意見を付してこの法案が通ったと記憶しております。この政令の改正につきまして、その後どういうような状態になっておりますか。もうすでに法律案ができ上って公布になっておりながら、政令がまだ整っていないということになりますと、国会の意思を行政官庁がじゅうりんすることになると思いますので、この点だけ伺っておきたいと思います。
  138. 安田善一郎

    農林経済局長安田善一郎君 御質問の点につきましては、国会の御審議がありましたように、案を具しまして、目下大蔵省と打ち合せ中でありますが、まだ解決をいたしませんので、御趣旨に沿うように解決しまして早く処置したいと思います。
  139. 川俣清音

    ○川俣清音君 しかしもう国会が終って立法措置が講ぜられて、当然行政官庁は規制を受ける立場にある。この法律の効果をじゅうりんすることは許されない。どういう理由で延びておるのか。大蔵省といえども国会の意思を無視した行為はできないと思うのです。そういう公務員があれば名前を一つ知らせていただきたい。
  140. 安田善一郎

    農林経済局長安田善一郎君 申し上げるほどの理由がないと思っておりますので……。
  141. 川俣清音

    ○川俣清音君 大蔵当局はどうなのですか。今まで折衝しているというのですが、非常におくれている理由を一つ
  142. 鹿野義夫

    ○大蔵事務官(主計官)鹿野義夫君 一応政令を定めますときのいろいろの経理のデータ、これは農業も林道も漁港もありますので、その基準でやった場合にどういうふうに国庫負担がふえるか、いろいろ基礎的資料の提出を願い、目下進めておるというよりもむしろ大体の検討を済ませまして、内部的に話をまとめるという段階に至っております。大へんおくれましたことは申し訳なく思っておりますが、放置しておるのではなく、いろいろの方面から一応基準を作って、それを後世にまで適用するわけでありますから、いろいろ先々の見通しを具体的にそういう基準を定めるについての根拠というか、そういうものも固めておきたいということから、相当詳細なことを関係の各省にお願い、御相談して今日まできておったわけであります。大へんおくれたことについては遺憾に思っております。
  143. 川俣清音

    ○川俣清音君 時間があれば、おくれたことをただではおかないけれども、きょうは一つかんべんしておきまして、それではいつごろまとめるつもりですか。日にちを明らかにしていただきたい。
  144. 鹿野義夫

    ○大蔵事務官(主計官)鹿野義夫君 いつごろと言われますと、日にちまでちょっと申し上げられませんが、ほんとうに近々中に結論を出したいと思っております。今週あるいは来週になりますか、できるだけ早くやりたいと思っております。法規課の法文的な審査も一応受けなければなりませんし……。
  145. 川俣清音

    ○川俣清音君 今どこにも食い違いがあるような箇所がない。こういうことならなお時日を要するということはない。どっかで根本的な食い違いがあってそのための調整、意見の調和が必要だということで日にちが延びておれば、それでも許しがたいのですが、一応かんべんいたします。食い違いもない、全部調整もついておるのになお見通しがつかない、近々だというなら見通しがついていなければならないが、この点をはっきりしておきたい。近々というのは二、三日という意味ですか、二、三日というなら大体の日にちを決定できないことはない。それがわからないという近々なら、これは日本語の解釈を別にしなければならぬ。そうでなく普通の近々というのは二、三日というのがこれが世間の常識でありますから、そういう常識でよろしいのですか、大蔵省の常識が変った常識をお持ちならば説明を要する。
  146. 鹿野義夫

    ○大蔵事務官(主計官)鹿野義夫君 内部の内容的な結論というものについては最終的には局長、次長にもよく御相談して決定いたしたいと思いますが、事務的に私らの係といたしましては、先ほど申し上げましたように、大体の検討を済ましておりますから、そういう意味でなるべく急いでやりたい。ただ手続等がありますから近々と申しましても二、三日中にすぐ政令が公布されるという段階まではいきかねると思います。
  147. 川俣清音

    ○川俣清音君 今主計官は次長、局長の了解を得なければならぬと言われる。これは次長、局長の了解よりも、国会で作った法律がその意思を十分行政上に現わし得ないということになると、これは責任が重いですよ。あなた方は次長や局長の下に使われているのじゃないのです。国の公務員なんだから、次長や局長の付属のものではないですよ。従ってもし了解を得るならば国会で了解を得なければならない。従って二、三日中というならば、国会でこういうふうな状態だから御了解を願いたいというのならば別問題です。この点をはっきりしてもらいたい。
  148. 鹿野義夫

    ○大蔵事務官(主計官)鹿野義夫君 よく承わりまして……。
  149. 綱島正興

    座長綱島正興君) 芳賀君。
  150. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 災害問題は十五日の協議会に譲りまして、今一番緊急な問題となっているカンショ、バレイショの政府の澱粉等の買上価格の決定の問題について、午前中食糧庁当局の御出席がなかったのですが、伊東委員が二十二号、二十三号台風にからんで、澱粉製造の施設が非常にこわれている、そういう点からカンショの原料イモ等の価格が非常に不安定である。それで一日も早く政府の買上価格とか買い上げの措置を決定してもらいたいという御発言があったのですが、内容は大体それと同じであります。もうすでに政府の価格決定時期に当面しておりますので、食糧庁当局としてはどの程度まで作業が進んでおるか。  それから農産物価格安定法趣旨に沿って、ことしは統計調査部の資料によっても、平年作に対して一〇八くらいの指数になっておるので、そうなると結局市場に対しては、平年度より出回りが多くなるというような傾向になってくるわけです。こういう場合にこそ価格維持の法律の必要が生じてくると思う。だからそういう点に対しまして、企画課長から具体的な御説明を願いたい。
  151. 中西一郎

    ○食糧庁総務部企画課長中西一郎君 お尋ねの点でございますが、九月九日、八月十日現在のバレイショの収穫高の発表がございました。その後九月十日現在で十月五日にカンショ関係の作柄の概況が発表になっております。われわれとしましてはこのカンショ数字を得ましたので、供給量の測定を現在やっております。と申しますのは、食用とかあるいは種子用に回るものもございますので、原料用にどのくらい回るかというようなことをまず固めまして、その上で御承知のパリティ計算によりますイモ価格を供給量の変動によって若干修正をいたすという法律、政令の建前になっておりますので、そういう手続に従って計算をいたしております。まだ最終的な計算までに至らないのですが、事務的にはおそらく今週一ぱいで作業は完了いたしたいという気持でやっておる最中でございます。
  152. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 今週中に原案ができるわけですね。
  153. 中西一郎

    ○食糧庁総務部企画課長中西一郎君 そうでございます。
  154. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 それで今課長からお話があったように、生産は確かに昨年度よりふえるということは間違いないと思います。そういう場合予測される点は、これを放任しておくと市場価格が値下り傾向をたどるということは必至だと思うのです。だから原料のカンショ、バレイショ等の価格維持をやるということが、やはり農家の経済を安定させるというところに通ずるわけですから、ことしはこの法律の適用とか発動が、あるいは必要になるのではないか。昨年、一昨年はその必要がなくて、政府の基準価格よりも市価が上回っておったので非常にけっこうであったわけですが、ことしは安定法ができてから初めてそういう法律によって善処が必要になるのではないかというふうに考えるわけです。ですから、その一番手本になるのは、やはり政府のおきめになる基準価格であるというふうに考えるのです。必ずしもこれは無制限に買い上げるわけではないけれども、やはり政府の価格決定がどの程度の基準を基礎とするかということに対する生産者あるいは一般の現在の期待は相当大きいのじゃないかというふうに考えるわけです。ですからただこの純理的な計算は基礎になるわけですが、そういう全体の趨勢というものを十分配慮されてこの法律趣旨が生きるような決定が必ず行われるとわれわれは期待しておるわけです。それで結局正式に公表される前に、原案ができた場合には、関係の機関あるいは学識経験を有する一部の権威を持った人たちにも意向を聞くということになっておると考えられますので、そういう場合は当農林委員会等に対しても何らかの方法によってその意思が反映されるようなことも一つ御考究願いたいと思うのです。そういう点はどういうようにお考えでございましょうか。
  155. 中西一郎

    ○食糧庁総務部企画課長中西一郎君 政府としまして原料イモの基準価格とかあるいは澱粉の基準の買入れ価格をきめます際には、農産物価格安定法の条文にもございますように、生産者関係の御意見も十分参酌してということになっております。そういう関係で毎年農業団体関係に御相談をいたしておるわけですが、本年もそのような手続は必ず踏みたいと思っております。同時にこれは方法についてはまだよく練れておりませんが、当委員会の方々の御意見も聞く機会を作りたいという考えで進めております。
  156. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 時間がないのでもう一点申し上げますが、私から言うまでもないことですが、おきめになるとき、原料イモ価格と、澱粉にそれを製造する場合の所要原料量であるとかあるいは加工賃が加算されるわけですが、その中で澱粉の含有量がどれだけであるかという認定が価格決定に相当のウエートを持っておると思うのです。これは一例でありますが、北海道澱粉の場合は、一昨年は一四・五%という歩どまりを見てあった。昨年度は一五%にしておる。原料イモの方は二十八年の一貫目二十二円を二十三円五十銭ということにしておる。常識的に考えると原料イモ価格が上れば、原料費の上からいって澱粉の値段が上っていくということなんですが、その原料の値上り分だけを歩どまりの方で調節して、結果的には居すわるということが行われておる。今年は北海道等においても水害とか異常の高温のために、バレイショの澱粉の含有量というものは平年時より低下しておる。これは食糧庁の出先機関においても調査をされておるので、そういうことは明確になっておると思う。それから九州等の災害によっても、完全に成熟しないうちに災害を受ければ、これもやはり含有量が足らぬということにもなると思う。ですからそういう含有の測定等に対しては十分考えてもらわぬと、これは一番大事な点であると思いますが、今までのようにただ技術的な、一つの結論を想定してそれに到達させるために、その含有量の問題で、そこだけで、インチキというわけではないけれども、その辺で操作をするというやり方だけをとられると、これは非常に法律をゆがめるということにもなると思うので、今年はもう少しみんなが納得のできるような、そういう含有量の測定に対しても科学的のはっきりした根拠の上に立った測定が必要であると考えるのですが、その方の手順はいかがなようになっていますか。
  157. 中西一郎

    ○食糧庁総務部企画課長中西一郎君 澱粉の含有量の問題でございますが、言いかえると歩どまりになります。これは毎年客観的な調査に基いてやっておるわけなんですが、北海道のバレイショについて申しますと、最近われわれの見ておりますところでは、やはり昨年に比べると歩どまりが少し落ちるのじゃないかというような心証を得ております。で、結論の価格を頭に描いて、そのために歩どまりの方で操作するというようなことは、決していたすつもりはございません。
  158. 伊東岩男

    伊東岩男君 私は澱粉のカンショの問題で午前中お尋ねしたのだが、食糧庁長官おいでにならないので……。ことしは生産量が相当ふえる。一体ふえること自体が澱粉下落の原因になっておるのか。ただいま澱粉の時価相場が一体幾らになっておるのかという問題でありまするが、もうすでに九州では盛んになまイモを売買いたしておるのであります。その価格から算定すれば、時価相場の大体の見当はつくのでありますが、これがどうなっておるか。  それからもう一つは、この下落はちょうど今から一ヵ月も前でしたか、政府手持ちの澱粉を売り出した時期が悪かったのじゃないかと思います。どれくらい売って、手持ちがまだどれくらい残っておるのか、それはどう処置されるつもりか。ちょうどできるまぎわに手持ちの品を売り出したということは、澱粉下落の非常な原因だと私どもは想像いたしておるのでありますが、この点いかがでありますか。
  159. 中西一郎

    ○食糧庁総務部企画課長中西一郎君 先般政府手持ちの、二十八年産の澱粉でございますが、ずっと長く持っておりまして、その間に少しずつ処理してきたのがまだ残っておりましたので、それを端境期ということを目標にしまして、実は処分をしたわけでございます。時期として、地域によりましては若干出回り初期と重なった傾向がないではないと思いますが、そういうことを大局的には避けるという趣旨で実は進めたわけでございます。東京を基準にいたしまして現在の澱粉の相場を調べてみますと、十貫当りで千八百六十円くらいになっております。昨年きめました政府買い入れの基準価格が千七百七十円でございます。去年の価格よりまだ少し高目のところで現在取引されておる、そういうふうに見ております。
  160. 伊東岩男

    伊東岩男君 去年は全然買わなかったのですが、おととし最低価格を、なまを二十八円四十銭かにおきめになったように思うのですが、その場合の澱粉の価格が千七百七十円。といたしますると、今千八百幾らでありまするならば、ただいまの取引は、大体九州地方ではなまイモが二十七円くらいのように思うのです。そういたしますと、今ちょうど一番値の動き盛りでございますから、不利なことは農村では知っておるけれども、何しろこの災害でどうにもなりませんし、換金しなければといったような立場から、結局計算いたしますと、やはり二十円くらいになるのじゃないかと思うのですが、一刻も早く買い入れ価格を発表されさえすれば、たくさん買わぬでも、私は市場価格の維持ができると思うのですが、その見解はいかがでございますか。
  161. 中西一郎

    ○食糧庁総務部企画課長中西一郎君 これは実は毎国会問題になりまして昨年は十月の二十五日に価格が決定いたしました。その間北海道のバレイショがどんどん出回って参るというようなことで、ことしはできるだけ早くきめまして市場の出回りの始まります前に価格をきめたいということで、実はやっておったわけですが、とにかくカンショの生産の実態を把握いたしませんと、数字の計算のしようがございませんので、今まで延びております。しかし、この際できるだけ早くきめまして、去年のようにおそくならないように配意しまして、支持価格としての趣旨が貫徹されるように持っていきたいと思っております。
  162. 伊東岩男

    伊東岩男君 特にお願いいたしておきますが、九州、ことに宮崎県、鹿児島県は、今度の二十二号台風で一番やられたのでございますが、水稲陸稲がやられた。そこで頼みの綱はカンショであります。去年はなまイモが大体四十五円くらいいたしておりました。そうするとことしはその半額にも達せぬということになりますと、台風以上の損害でございますので、この点は特に御者慮の中に入れられて、一刻も早くこれ以上下らぬように——大体農村では二十七、八円から三十円くらいすればやむを得ぬ、こう考えておるのであります。ですから、価格決定の協議会を一刻も早くやっていただきたいと思いますが、いつごろまでにお開きになる予定でございますか。
  163. 中西一郎

    ○食糧庁総務部企画課長中西一郎君 われわれの方の計算は、実は今週一ぱいを目標にいたしておりますので、それができますと、生産者団体方面等の御意見を聞く段取りになるわけでございます。そのころ適宜学識経験者その他の御意見も伺うわけでございますので、来週の初めごろにはいろいろな段取りが進むと思います。
  164. 綱島正興

    座長綱島正興君) 座長からちょっと申し入れをしておきますが、イモは、昨年はカンショが二十八円五十銭、それを下る価格できめてもらうことは絶対いかぬ。ことしは特に日向から薩摩の方は早取りでありますから、おそらく歩どまりは非常に悪い。それから長崎県、愛媛県あたりも必ずしもよくはないはずです。みな風を負っておる。こういう点も考慮されて去年よりも安くきめられることは困るので……。今伊東さんは日向の方の意見を言われたけれども、長崎県あたりはまだ二十七円だ八円だという相場があります。だから安く持っていかれることは非常にいかぬ。少くとも昨年の二十八円五十銭より上に支持価格をしてもらわなければ、昨年はそれでも四十五円もしたのだから、それ以下になることは、農村は非常な打撃です。  なおこれについては、私は、委員長としてではなくて、例年相談を受けておるので、この間も、僕には必ず相談をしてもらうという条件を食糧庁長官にはつけておいたが、イモのことはあまり手軽にしてもらいますと、非常な範囲で非常な問題が起きてくるから、特に御考慮願って処理してもらいたいということを企画課長に厳に申し上げておきます。
  165. 淡谷悠藏

    ○淡谷悠藏君 ちょっと資料の要求をしたい。質問もしたいと思いますけれども、この次に譲りましてさっき芳賀委員からも話がありましたが、私特にお願いしたいのは、災害に関する二十八年度、二十九年度の営農資金でございます。この各県の申請をどれだけに査定されたのかというさっきの芳賀委員の資料、同時にその査定に基いた融資総額どのくらいあったか。もう一つは、この融資が実際に貸付にならずに、あるいは別の方に流用されまして、会計検査院その他の指摘もありましたろうし、監督の発見されたものもございましょうが、返還命令を受け、もしくは返還命令を出さなければならないといったような場合になっております。営農資金の不当貸付額を一つ承わりたい。もう一つは、今回の二十二、二十三号台風による全国の果樹の被害高であります。この二つの資料を要求いたします。
  166. 綱島正興

    座長綱島正興君) なお次会は十五日の午前十時よりするということにお申し合せが済んでおりますが、これは農林大臣の出席がなかったために、特に十五日まで延ばしたのでございますから、農林省関係の方は、ぜひ農林大臣が、十五日はできるだけ定刻に出席ができますように御配慮をお願いします。  今日は、これにて協議会を終りまして、次会は十五日の午前十時より開会いたします。     午後四時十一分散会