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1955-05-28 第22回国会 衆議院 農林水産委員会林業に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十年三月三十一日 (木曜日)委員長指名で次の通り選任 された。       井出一太郎君    大森 玉木君       野原 正勝君    本名  武君       中馬 辰猪君    塚原 俊郎君       松野 頼三君    有馬 輝武君       石村 英雄君    伊瀬幸太郎君       川俣清音君 同日  川俣清音君が委員長指名で小委員長選任さ  れた。     ————————————— 会 議 昭和三十年五月二十八日(土曜日)     午前十一時三十三分開議  出席小委員    小委員長 川俣 清音君       井出一太郎君    大森 玉木君       小枝 一雄君    本名  武君       伊瀬幸太郎君  出席政府委員         林野庁長官   柴田  栄君  小委員外出席者         議     員 足鹿  覺君         議     員 井谷 正吉君         農林事務官         (林野庁林政部         林政部長)   奥田  孝君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      藤村 重任君         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      石谷 憲男君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 五月二十五日  小委員野原正勝君同月十三日委員辞任につき、  その補欠として小枝一雄君が委員長指名で小  委員選任された。 同日  小委員塚原俊郎君四月四日委員辞任につき、そ  の補欠として田口長治郎君が委員長指名で小  委員選任された。 同日  小委員石村英雄君及び有馬輝武君三月三十一日  委員辞任につき、その補欠として楯兼次郎君及  び芳賀貢君が委員長指名で小委員選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道風害木整理計画等に関する件     —————————————
  2. 川俣清音

    川俣委員長 これより会議を開きます。  林政の諸般の問題に関しましては一応本委員会関係予算概要も承わり、また基本的な施策について質疑も行うことになっておるわけでありますが、本日は最初の小委員会でありますので、林政の一般的問題について当局説明を承わり、また特に北海道における十五号台風による風害木処理問題について調査を進めることにいたします。柴田林野庁長官
  3. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 昨年の春、五月十日の突風によりまする風倒木処理を、二十九年度主体として進めて参りました際に、御承知通り九月の二十六日に特に強烈に北海道地方に襲来いたしました十五号台風によりまして、ほとんど未曽有に近い北海道森林風倒被害を生じた次第でございまするが、現在までに判明いたしておりまする風倒被害の概況は、国有林におきまして十五号台風によりまするものが、約五千万石、五月台風の四百七十万石近い量と合計いたしまして五千四百五十万石余という莫大な風倒被害を生じた次第でございます。その他に大学演習林あるいは道有林鉄道防雪林民有林等を合計いたしますると、十五号台風によりまして北海道全道における森林被害は、風倒木として五千八百五十余万石という膨大な被害があった次第でございます。五月台風と合計いたしますると実に六千三百五十万石余ということに相なっておりまするが、その後の経過あるいは調査進展等につれまして、さらに精査の結果は相当量増加と相なるような事情にもございまするので、順次的確な調査をいたしております。これが判明次第また御報告を申し上げたいと存じておりまするが、さしあたり概算いたしましたただいまの数字処理につきまして、直ちに計画を進めて今日に至っておる次第でございます。何分全道にはわたりまするが、詳細に調査いたしますと、非常に局地にかたまっての被害であるという関係上、極力短時日にこれを処理いたしたいということで計画を進めましたが、やはり最小限度三ヵ年を要するということに相なりまして、一応現在といたしましては、昭和三十一年度をもって処理完了を目途に計画を進めておる次第でございます。大部分国有林に集中せられておりまする関係上、国有林処理が順調に進みますれば、ほぼこれが処理は可能であるという見通しのもとに、国有林にその処理計画を集中いたしておる次第でございます。  国有林におきましては、被害と同時に直ちにこれが処理に着手いたしまして、二十九年度におきまして一応千四十万石を処理するという計画を立てました。この計画はまだ正確な集計はいたしておりませんが、ほぼ順調に完了いたしまして、所によりましては多少より以上に進捗しておるという事情にございます。さらに三十年度に二千三百八十万石程度処理することによりまして、三ヵ年間にこれを完了するという計画のもとに現在進めておる次第でございます。  従いまして、これが計画概要につきまして簡単に御説明を申し上げたいと思いますが、これは先ほども申し上げましたように、場所関係からいたしまして、主体的には輸送とあわせて需給関係からいたしまして、なかなか処分が円滑に参らない等との関係もございまして、先刻御説明申し上げました目標数字は大体全体を、二十九年度に二〇%、三十年度、三十一年度にほぼ四〇%ずつという目標で進めておる次第でございます。これに関連いたしまして、北海道におきまして生立木で売り払いを予定いたしておりましたものは、極力これを風倒被害個所伐採計画を切りかえまして、全体の伐採調整をするという方法をとった次第でございます。二十九年度におきましては約六二%に生立木処分を圧縮いたした次第でございます。三十年度におきましてはさらに圧縮度を強くいたしまして、三四%まで圧縮いたし、三十一年度におきましても、ほぼ三十年度と同様ぐらいまでは生立木売り払いの計画を圧縮する予定でございます。しかしながら地域的な労務消化あるいは特殊の事情等関係から、完全な切りかえは不可能な面も出て参りまして、以上のような計画現状におきましては最大計画と私どもは考えております。さらに風倒木を一時処理することによりまして、北海道需給とにらみ合せまして、内地への消化相当に考えられなければならないといたしますると、内地市場におきまするエゾマツ、トドマツ需要関連いたしまして、同じような性質の樹種、すなわちモミ、ツガ、松等主体といたしましては、需給混乱を生ずる危険もございますので、内地のさような樹種生産されるところにおきましては、同じ生立木を極力伐採を抑制いたしまして、全体の調整を考えた次第でございますが、これまた地方の特殊の事情あるいは労務消化等関係市場情勢等をにらみ合せまして、三十年度におきましては百三十万石だけ伐出をいたすことにいたしたのでございます。三十一年度におきましてもほぼ同様の措置を講ずる予定をいたしております。かようにいたしまして全体を通じまして風害木、生立木を合せまして伐採関係を考えてみますと、二十九年度におきましては広葉樹は大体過不足はございませんが、針葉樹用材を総計いたしまして、約四百万石の増加ということに相なるのでございます。さらに三十年度におきましては、針葉樹におきまして用材九百四十万石、広葉樹用材百万石、合計いたしまして千四十万石の増加、三十一年度ごおきましてもほぼ同様の見込みでございますが、これで北海道について考えますると、北海道全体の国有林伐採量風害木の占める量は、約半分、五二%ということに相なる次第でございます。それが三十年度におきましては風害木がほとんど主体になりまして、八〇%は風害木処理によって当てられる、こういうことに相なる次第でございます。そこでこれが伐出処分方法でございまするが、従来北海道は比較的直営伐採売り払いが少く、立木売り払いが多かったのでございますが、何といたしましてもこの膨大な生産を一時にいたすということになりますと、需給調整上の問題とかあるいは伐出のための資金融通関係等からいたしまして、極力国費をもって利用可能の程度まで多く進めなければならないという考え方からいたしまして、二十九年度におきましても、当初計画に比較いたしまして、立木処分相当減少いたしまして、直営生産に切りかえて参ったのであります。三十年度におきましてはさらに直営生産の量を増加する、三十一年度におきましても一そう増加をはかる、大体立木処分量は不変で、増加いたすものは直営生産によって売り払いをいたすという方針で進めて参ることに計画をいたしておる次第でございます。  これに関連いたしまして、北海道内におきまする木材需給見通しを考えてみますと、北海道内におきまする三十年度需給は、大体におきまして需要量針葉樹におきましては各種用途別必要量を集計いたしまして約千四十万石前後、広葉樹で七百二十万石前後、合計いたしまして千七百五十六万一千石という需給推算数字を得ておるのでございます。これに対しまして、風倒木処理によります国有林供給予定量針葉樹用材におきまして約千三百七十万石、広葉樹用材におきましては約七百万石、合計いたしまして二千六十四万有余ということに相なるのでございます。かように需給を推計いたしますと、三十年度におきまして三百三十一万有余という余剰の材を生ずる次第でございます。これをそのまま北海道に放出いたしますれば、必ず大きな混乱を生ずることは当然でございますので、これを極力需給調整利用いたし、価格等内地北海道との混乱を避け、あわせて合理的な利用を考えるという見地からいたしまして三百三十一万有余処置を考えたのでございます。そこで風倒木処理に伴いまして、将来資材の急激な減少と年伐量の急激な減少に対応いたしまして需給調整をするために極力道内の貯蔵をも考えるということを第一段として計画いたした次第でございます。  そこで長期にわたりまして貯材いたしますためには、腐朽あるいは虫害等を防止できるということが最も必要な観点でございますから、そのほぼ完全な方法といたしまして水中貯材という方法が現在におきまして最も完全である、しかしながら水畜場等関係からいたしましてなかなか大きな量はいろいな観点から困難なのでございますが、極力いろいろな障害を解決いたしまして、三十年度に一応水中貯材計画いたしておりますのが五十三万石でございます。それから陸上貯木場の売り払いを考えまして循環を考えつつ、なおやや長期にわたって貯材可能貯木場のフルの利用によりまして百十三万七千石、合計いたしまして甘六十六万七千石というものを後年度のために道内に貯蔵いたしたいという計画をいたしておるのであります。さらに残りの約半分の百六十五万石につきましては、内地への輸送販売によりまして消化をいたしたい、こういうことで輸送販売計画いたしておる次第でございます。すでに実行に着手いたしておりまするが、現在の市況、あるいはエゾ、トドマツに対します内地の従来の市場あるいは需要趨勢等からいたしまして、その用途、販路の急激な拡張はなかなか困難でございます。これらを勘案いたしまして、現在、一応九月までに輸送販売をいたす目標を八十万石といたしまして、各需要地を当りまして具体的に売り払いの契約を進めておる次第でございます。下半期におきましても、できるだけ輸送販売をいたしたいのでございますが、下半期には海上輸送相当困難な港も出て参りますので、現在におきましては、需要趨勢とにらみ合せまして、下期は六十万石を予定いたし、さらに来年度へのつなきとして港頭貯材を三十五万石ということでこれが消化計画いたしておる次第でございます。この計画に対しまして、現在まで進んでおります具体的な輸送販売予定は、場所といたしましては、大体市場考え方は、その需要地におきまして加工消化するということを目標といたしまして、製品によってさらに大市場への輸送販売ということは一応極力考えないようにということで相談をいたしました。これは一時に大市場製材製品等が集中することによりまして、需給混乱を生じないようにという考え方で実は進めた次第でございます。そこで対象地域といたしましては、現在、日本海岸では青森、秋田、山形県の酒田、新潟、伏木、富山、舞鶴、それから太平洋岸では満水、名古屋、和歌山、塩釜、東京横浜、大阪、ここを対象として一応御相談をいたしております数字が七十六万九千石でございます。これは国におきまして着港まで輸送いたしまして、舷側渡しということで契約を進めることにいたしております。すでに四、五月分といたしましての約十七万石につきましては、三井船舶、飯野海運、川崎汽船、日東商船の四社に指名競争入札を数回繰返した結果、落札いたしませんので、さらに最も近い会社と折衝を続けまして、今日四、五月分が決定して輸送に入っておる次第でございます。  この際市場情勢を簡単に申し上げますと、極端な金詰まり市況の不活発のために、すでに船の入りました地方におきましては、その地方市場相当圧迫いたしており、将来を見越して必要以上に弱気になっているという情勢がございます。このままで参りますと後半期に相当混乱が予想されるのであります。市場消化情勢とあわせまして、買い受けに対しまする資金保証等関係からいたしまして、金詰まりが非常に深刻に現われて来ておるので、今後の処理はなかなか楽観を許さない実情でございます。  一面新しい需要の動向についても、対処する考え方は十分いたしておるのであります。その一つといたしまして、三十年度特に国が大きく取り上げられております住宅対策との関連でございますが、今日約四十二万戸の住宅建設計画を見まして、これに要します総量は約千四百万石に相なるのでございますが、そのうちすでに一般建築用として従来から千二百万石程度考えられておるのであります。今日まだ具体的な計画までは入りませんが、あるいは公党住宅増加あるいは公社住宅増等を考えますと、一応増として予定せられますものは二百十七万石程度というふうに考えておるのであります。その後さらに住宅建設計画が進展し、あるいは増加されまして、風倒木がもし使えるようになるといたしますれば、先刻申し上げました内地輸送の現在の計画量にあわせまして、道内に貯蔵いたそうという計画のものをただちにこれに振り向けることができるのであります。さらに現在の計画では、来年度生産完了しようというので伐採に着手いたして、山元で進行いたしておりますものが約三百万石になっておりますので、繰り上げて需要が出るということになりますれば、本年度において最大六百三十万石余需要に応じ得るという切りかえ態勢をとっておることも御了承を願いたいと思うのでございます。  なお風倒木処理関連して、私どもの最も大きな考慮を要する問題は当面虫害対策でございますが、風倒被害地域は、現在調査いたしておりますところでは約二十一万町歩にわたっておるのでございます。一部生産を進めますと同時に、できる限り全般にわたって虫害防除を施す計画をいたしておりますが、何といたしましても特殊な地形等関係上、全地域虫害処理の困難な場合もありまして、現在は約百十七万六千町歩にわたり、主として人力による防虫剤の散布を計画いたしております。さらに、なかなか人の入り切れないような地域に対しましては、飛行機、ヘリコプター等利用いたしまして、極力虫害防除に努力する考えでございまして、予算といたしまして二億五千六百万円を現在計上いたしております。もうすでにこれが防除には着手いたして、現在ではやや順調に進んでおるという状況でございます。  また、現在最も神経をとがらせておりまするのは、御承知通り北海道降雪期から急激に乾燥期に入ります関係上、融雪時期の森林火災は最も大きな森林被害として、常々万全の対策を講じて参っておりまするが、風害被害に伴いまして、末木枝条等が集積する関係上、一たん火を起しますれば、その被害はちょっと予測できないような状況も考えられます。従って、林内の火気取締りは、場合によりましては、公営地区等に関しましても、節を限って入山を禁止するというような処置まで、警察当局等と連絡をとりまして現在徹底的な処置を講じておる次第でございます。現在まで、幸いにほぼ万全な対策が講ぜられて参っておるというふうに考えておる次第でございます。また、地域によりましては、非常に大面積に集中して倒木を起しました結果、融雪期におきまする水害等も非常な危険がございましたので、各河川支流渓沢等融雪水の流下に対しましては、極力これを円滑にいたすように、相当事前に処置を講じまして、今日まで水害被害防除は大体でき得たというふうに考えておる次第でございます。何分にいたしましても、未曽有の大被害と、北海道中心といたしまして、全国的に木材薪炭等森林資源の枯渇の今日、これが利用最大を期するとともに、跡地の更新につきましても万全を期さなければならぬ、かように考えて、総動員をいたしまして、職員等内地から一時的に北海道相当配置転換をいたし、労務につきましても、東北を中心として一時的な配置転換を考えて処理をいたしております。さらに地元の余剰労力あるいは炭鉱労務者等にも呼びかけまして、現在のところ、仕事の面では大体支障なく取り迎んでおるというつもりでおりますることを御報告申し上げる次第でございます。
  4. 川俣清音

    川俣委員長 この際質問の通告がありますので、順次これを許します。井出一太郎君。
  5. 井出一太郎

    井出委員 ただいま長官からきわめて詳細な御説明を承わりまして、北海道風倒木処理に関しては、今日林野当局が符っておられる全能力をあげて万遺憾なきを期しておられることはよくわかりました。林野庁としましても、おそらくこういう大事件はかってなかったこと存ぜられますので、これを処理していかれる御苦心のほどはわれわれよくわかるのであります。  ただいま承わりましたことに関連をして、二、三の点をさらに確めておきたいと思うのであります。この風害にあいましたことからして、従来のノーマルな国有林経営のあり方に、非常に大きなひずみが寄ってきたという感がいたすわけであります。それでこれらは、予算措置としては、二十九年度にすでに応急的な手当もなさったと思いまするし、三十年度に当っても同様な措置が講ぜられておると思うのであります。私は、ただいまここに国有林特別会計の詳細な数字を持っておりませんが、二十九年度ないし三十年度において特にこのことが起りましたがために、予算面において、これは特別会計予算でありますから、事業会計としてふくれておる部分、あるいはそれがために特殊な経費を要するところの、先ほど承わった病虫害防除などにも相当支出をなさっておりますが、そういうふうな支出面は一体どれくらいふえておるか、こういう点を若干承わっておきたいと存じます。
  6. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 御質問の点は、二十九年度におきましても応急処理を要する問題が相当出て参りました結果、総計といたしまして、予備費補正等を加えまして、合計で十億四千三百三万五千円というものが風倒木処理として追加せられまして、実行いたした次第でございます。これらは、一面におきまして、風倒木処理によりまする生産増加によりまする財源をもってまかなうということで、特別会計内の処理が可能なのでございまして、その面で処理をいたした次第でございます。さらに三十年度におきましては、風倒木処理によりまして収入増加いたしますものが約八十億に相なるのでございます。一面におきまして、風倒木に切りかえまする北海道並び内地の生立木の売り払いの減少等によりまする減収等を差引いたしまして、五十三億五千余万円という増収が期待できるのでございます。一面、風倒木処理に要しまるす経費が約五十三億ということに相なりまして、国有林全体といたしましては、昨年度に比較いたしまして、百行造林増加を、水源林地帯公有林を合せて一般林地公有林につきまして、新規に相当増加計画いたしたのでございます。これらをひつくるめまして、一応独立採算以内におきまして、収支四百六億余で予算を編成いたしておるというのが現状でございます。
  7. 井出一太郎

    井出委員 ただいまの御説明で、三十年度についてだけ申し上げますと、五十三億五千万円内外が、一方の減収を差し引いて風倒木によって生じたところの収入として計上せられ、同時にそれが一方の面においては支出になっておる、こういう御説明であります。大体それでバランスが合うわけでございますが、この風倒木はおそらく大体非常な奥地に集中されておるのでございましょうし、これが処理をいたしますのには相当コスト高になって現われる、こういうことは了解がつくのでございますが、そのコストとなって全然減耗してしまう部面と、同時に水源林なり何なり新たな投資がなされる。それはプラスの面、積極面として考えなければならないのてございますが、私の伺いたいのは、その風倒木が全然ゼロになるとかマイナスになるとかいうことでは実に困ると思う。プラスの面にどれくらいの貢献をしておるのか、つまりこれだけを取り立てて経営収支を計算してみましたときに、プラスの面に貢献がどれくらいあるかということを伺いたいと思います。
  8. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、実はこの被害総額等もなかなか算出も困難なくらいでございますが、一応私ども被害総額として計算してみましたものを御参考に申し上げてみますと、立木被害で現在市価から逆算いたしまして、六十九億四千四百万余に相なると思います。さらに河川整理費、これは全然被害によって消粍されるものでございます。これらの見方はなかなかいろいろ議論があると思いますが、約三億七千万円、防虫火災防除等をひっくるめまして総体で、これも見込みでございますが、約十億五千万円、治山施設として、これは将来残ることにはなると思いますが、被害のために対策を講じなければならぬと思われるものが約一億九千六百万円、それから建造物、林道その他の被害復旧が五億三千七百余万円、合計いたしまして九十億九千七百余万円という一応の推算をいたしておるわけであります。さらに跡地造林を急速にいたさなければなりませんが、これらは残るという考え方もあるわけでございますが、早急に造林修復を要しますものが百十六億程度予定いたしておりますので、風害処理に伴いまして、とうてい風害木処理のみをもって償うことは不可能だと存じますので、これが完了の際におきましては、やはり相当国有林野事業資産その他に大きなマイナスを残すということは、どうしても避けられないというふうに実は考えて、これが被害最小限度に何とか処理しなければならぬということで努力いたしております。明確にどれくらい実際特別会計としてマイナスになるかということにつきましては、今後の市場情勢等も大きく影響いたしますので、まだ見きわめがつきかねるというのが現状でございます。
  9. 井出一太郎

    井出委員 私の問題の提出の仕方が少しややこしかったかと思いますが、われわれの普通の常識から申しますと、山林というものは一つ資産である。これは民有林の場合などを想定いたしまして、ある一定の山林風害にあった。その場合いずれにせよ、そこにある成上長した林木であるならば、林木というものが倒れた形においてあることは間違いございません。それを伐採し、搬出し、何らかの価格をこれは生む。その跡地整理であるとか、いろいろな問題もございましょうけれども、まあマイナスには普通はなるまい、何らかのものが手取りになるのじゃないかという感じがするのでございます。これは北海道の特殊な林相というものをわれわれよく承知をしませんので、今私の申しました設例をもって推しはかるということは、あるいは当らないかもしれませんけれども、何か五千万石以上のものがそこに消えてなくなったのではないのですから、そこから生れてくるものがありそうな感じがするのですが、その点はどうでしょうか。
  10. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 三十年度は先刻申し上げましたように、風倒木、倒れておる被害はございますが、これを利用することによりまして、収入八十億を期待いたしておりますが、これを処理いたしますのに約五十三億という程度でございますから、三十億程度はこの処理だけではプラスということになりますので、マイナスではない。先生の今のお話からいえば、一応マイナスではないかということになると存じます。これは年度の進むに従いまして、虫害、菌害等の防除がどの程度にできるか、それによりまして価値がどの程度に下るかというようなこと等も、今後の趨勢で実はなかなか予測を許さない。そういたしますと、三十年度通り収支によって一応伐出の処理が可能かどうかということについても、実は相当の危惧を持っておるわけであります。ただ私どもといたしましては、いかに国の仕事であり、国の貴重な資料であると申しましても、莫大な国の支出によりましてこれを処理する、マイナスでも何でもやるということになりますれば、おのずから限度があるということも考えておりますので、これはやはり依然として市況混乱を生じないように、一応安定した現在価格が支持できるということを努力しながら、それを維持して妥当な処理を進めなければならぬ、かように考えておるのでございます。五千四百万有余国有林被害木を令部マイナスなしに処理できるかどうかということについては、多少の危惧をいたしておるという実情でございます。
  11. 井出一太郎

    井出委員 おっしゃるように、これは一般市場価格の問題とも関連がございましょうし、あるいはそこに時間という要素が入って参って、長引けば長引くほど虫の害その他にも見舞われるというようなこともありまして、なかなか単純に考えるわけには参りますまいが、せっかく一つ独立採算の建前もございますので、御努力を願いたいと思います。この間もあるところで話が出たのでございますが、国有林の事業分量というものが、ごく大ざっぱに言うて一日一億くらいで年間三百五、六十億になる、今国家財政の上にもう若干よけいの貢献があってもいいじゃないかというような、ほんとうにしろうとの目の子勘定で、そんなふうな話題も出たことがございます。どうかこの風倒木処理に対しましても、一つできるだけ有利に国家財政に大きな損失を食いとめるという意味での御配慮を願わしいと存じます。  それでは私はあとは簡単にいたしますが、先ほど御説明にありました住宅政策との関連でございます。これは北海道のトドやエゾは必ずしも適材とはいわれなくても、庶民住宅などにはもう十分間に合うものではないかと思うのであります。その場合、林野庁として建設省方面としっくり話し合いがなされて、ある程度ひもがつくと申しましょうか、この建築にはこの風害によった木を結びつけて使う。そうすれば何かそこに特典でも考えるというような手は打たないものでしょうかどうでしょうか、その点を伺いたいと思います。
  12. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 最初に、風倒木処理に対しましては、極力その迎常についても損失を来たさないように、場合によっては全般の財政に寄与するようにというお話は、常々十分全般を通じて徹底さしておるつもりでございます。従いまして、これは風害処理等がございませんでした場合には、現在でも保安林整備のために約三十二億、今度はさらに公有林野の百行造林のために現在も約十億、本年度さらに十億プラスという程度で四、五十億のものは実は一般会計の仕事をしょって努力いたしておる次第でございますが、今後もできるだけさような方面に努力をいたして参るというつもりでおりまするし、場合によりましては、この国有林の膨大な資産を活用いたしまして、全体の財政に寄与するという手段等も新しい角度から検討いたしたいということを考えておりまするが、何しろこの風倒木処理は全体として大きな負担であるということで、これが処理に関しまして相当特別会計の基礎をゆすぶるものであるという点だけは一つ御了解願っておきたいと思うのであります。  それから、今住宅建築に対しまして、住宅対策本部等との関連はというお話だと存じますが、これは実は私も委員をいたしておりまするし、随時計画に対しまする連絡をとると同時に、積極的に風倒木を合理的に利用処理するということで、具体計画に参画をいたしておる次第でございます。建築方面におきましては、使ったことがないという不安からだと存じますが、エゾマツ、トドマツが一般建築材には不向きであるというような声がかなり出ておりましたが、北海道の実情をごらんいただいてもわかるように、北海道では木造建築におきましても相当エゾ、トドが主体的に使われておるという実例もございますし、技術的な取扱い、すなわち主として乾燥の問題で解決はできると私どもは考えておりますが、乾燥を十分にいたすことによりまして十分に一般の木造建築にも使用し得る。こればかりでやるというような不合理を考えなくてもいいと思いますが、エゾマツ、トドマツ主体としての木造建築も可能であると存じまして、この点は対策本部にも十分連絡をとっております。さらに具体計画に対しまするこちら側の対策を早く立てたいということで計画所要数量、場所あるいは形態別等の照会をいたしておるという実情でございまするが、まだそれに対します具体的な回答は得ていないのでございます。いずれにいたしましても、積極的に使えるというところまでは参っております。何とかその計画の一部として、方法によってはひもつきで使わしたらどうか、この点は、各個人が建てられる住宅にぜひ使えと申しましても、これは各個人に売り払うということは、実は言うべくしてなかなか困難でございます。公営住宅であるとか、あるいは特に公社住宅等につきましては、それらの計画住宅所要材ということで数量あるいは用途等も明確になりますので、これについてはできるならば直結いたしまして使用を促進していただきたいということで、積極的に働きかけをいたしております。しかしまだ具体的にはお話は進んでいないということでございます。
  13. 井出一太郎

    井出委員 もう一点だけ伺います。これだけの膨大な供給量が一時的にこの一、二年の間に出て参つたわけですが、これが用途もございましょうが、輸入防遏の面、こういう面にはどの程度の役割になるのでしょうか。
  14. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 第一段といたしましては、実は針葉樹が非常に不足するという見地から、ソ連、沿海州材の輸入等に関しても、かなり積極的に実は昨年あたり進めて参ったのでございますが、風倒木の発生以来は、実は価格の面等からいたしまして、実際にほとんど商談は成立せずということで、自然にこれは停止されるという状況に相なってしまったのであります。さらに南方から入っております約五百万ないし六百万のラワン材のうちで内地需要のものに対しましては、従来針葉樹不足のために、かなり全国にわたりまして針葉樹にかわってラワンが需要されたのでございますが、最近の船腹不足、従って船賃の高騰等も原因はいたしておると思いますが、それは風倒木によってかえられる用途相当多いというような建前から、かなり急激に減少いたしておるという状況でございまして、これが処理をめぐりまして、おそらく木材の総輸入量はかなり押えられるであろうという見込みでおりますが、手段としては特にとらなければならないかどうか、おそらく価格の面におきまして自然に減少するであろうというふうに実は考えておるのでございます。アラスカ材のごときも、価格引き上げが可能ならば少量でも入れようかというようなアラスカ・パルプ・カンパニー等の計画もございましたが、現在は価格の面で実現は不可能という見通しをいたしております。
  15. 川俣清音

    川俣委員長 本名武君。
  16. 本名武

    本名委員 先ほどの風害木整理計画についての御説明と御報告に関連して二、三点具体的にお伺いしておきたいと思います。  その前にちょっと参考に伺いたいのですが、昨年の二回の風害によって森林に非常な損害を受けたわけでありますが、こういう大きな風の被害というものは今後あってはならないのでありますが、さりとてないとも断言できない。そこで、先ほどの御報告で、大体行政的ないろいろの御方針を承わったのですが、これはあくまでも昨年の風害による御処理の方針であると了解したのです。それで昨年の風害によって一体今日までの森林行政あるいは森林経営の上に何か大きな圧迫を発見されなかったかどうか。さらに今後この風害によって森林行政あるいは経営の上に新しい方法をとらねばならないことを発兇されたかどうか。たとえば森林の更新計画であるとか、造林方法であるとか、あるいは択伐、植栽その他伐採方法であるとか、そういった点に何か新しい発見をなされたかどうか。それをちょっとお伺いいたします。
  17. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 その点に関しましては、風害発生当時、特に伐採更新の方法に関して相当検討を要するのではないかということで、損害の激甚の原因、風倒の現状等をしさいに調査させたのでございますが、天然林の択伐的な取扱いによりまして被覆が増加したか、あるいは人工植栽林に対しまして被害が軽微であったかというような点に関しましては、すでにそれらの問題を超越して、森林の状態のいかんにかかわらず、瞬間風速の強弱によりましてほとんど全滅的な被害を受けておるということでございまして、今後北海道の根本的な主要樹種の切りかえが可能でない限りは、エゾ、トド材を主体にしなければならぬという見地から考えますと、特に今回の大風害を契機といたしまして施業形式を変えなければならないということは考えられないという実は結論に達したわけであります。従来も北海道の天然林の取扱いに関しましては択伐、天然更新というものを主体にして参ったのでございますが、この点は非常に成長量が遅い、少いということと、さらに択伐後の被害木が多いということ等からいたしまして、成長量を増し、更新を確実にしなければならぬという見地から、人工植栽に切りかえつつあるという次第でございまして、その方針はやはり持続しなければならぬということ以外に変更を要するとは実は現在考えておらないということでございます。
  18. 本名武

    本名委員 次に風害整理計画関連いたしまして、山元から需要地に至るまでのうちでお伺いしたいのですが、時間がないので間に合う限りやってみます。  そこでまず山元の問題としまして虫害対策ですが、先ほどの御報告で、予算額の二億五千六百万円で虫害対策をやっていくということですが、これは国有林だけでございますか。
  19. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 先刻申し上げましたのは国有林だけでございますが、そのほかに民有林の害虫防除費として四千万円が一般費において計上されております。
  20. 本名武

    本名委員 これはもう申すまでもないのでありますが、国有林に隣接している民間林であるとか、鉄道林のように、国有林が扱いに万全を期しても、民有林からどんどん虫が発生するということがあれば大へんでありますから、この点はぜひ民有林その他の方面にも十分な手当をしていただきたいと思います。  それから需給関係ですが、実は風害が起きた直後の委員会で他の委員からも、私からもいろいろお伺いしたのですが、先ほど来の御説明によりますと、むしろこれは御計画説明の方が強くて、現状並びに見通しというものについて御意見が承われなかったのですが、今日の需給量ではなく、需給価格の面で、当初の御計画現状とはどういうふうになっているか伺いたいと思います。
  21. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 市況全般から申し上げますれば、御承知だと思いますが、資金関係あるいは需要関係からいたしまして、当初に私どもが予想いたしました以上に弱気という現状にはございますが、私ども需給を円滑にすると同時に価格混乱をも避けなければならないということで、売り払いに関しましても非常に苦労をいたしたのでございます。消化を急ぐために輸送材等に価格の特別な措置を講ずるということにいたしますれば、直ちに北海道にはね返る、北海道を基調といたしまして内地事情を無視いたしますれば、ほとんど消化は不可能である。その辺のにらみ合せが実は非常に困難でございます。現在四、五月分の輸送販売をいたしました価格は、当初に私どもは、北海道市場価格に影響させない、これを基調として内地市場等とにらみ合せてということで、その基本を九寸四方材として込み千八百円ということで取引の相談を始めたわけでございます。千八百円のFOBといたしますと、実は内地の松材——主体としていえば松材でございますが、松材等と比較をいたしまして、ほとんどこれはコマーシャル・ベースに乗らないということが各地の情勢でございまして、八十万石と予想いたしましたのに対して、いかに勧誘いたしましても、千八百円では三十万石前後しかどうしても相談が成り立つ見通しがなかったわけでございます。これでは輸送販売ができない、さらに北海道風害木処理対策本部等とも関連をとりまして御相談いたしました結果、千七百五十円ということでお話を進めまして、八十万石の予定に対しまして七十六万九千石というところが一応お話合いがついたという程度でございます。しかしながら現在の市況からいたしますと、今後おそらくなかなか引き取り困難なものが生じてくるのではないかとさえ考えられますので、今後の処理につきましてはさらに検討を要するのではないかというような段階にあるわけでございます。これにはいろいろな原因もあると存じますので、さらに多少の時間の推移によりまして、あるいはやや好転を期待しつつ需給調整をとって参りたいということで、時々計画調整をとりながら進めなければならぬという現状でございます。
  22. 本名武

    本名委員 供給がふえて市場の気配が弱気だというところに問題があるのですが、実は昨年の御答弁では、絶対に価格には大きな変化を来たさずに、しかも森林の再生産に影響を来たすことのないようにする自信があるというお言葉があったのですが、私どもの知る範囲では、おそらく当初の御計画からは相当の開きを見せていくのではないか、それからまた今後において期待を持たれると言われますが、必ずしも林野庁木材需給調整のお力だけではなかなかこれを維持することができないと思います。この点についてももう少し聞きたいのですが、時間がありませんから次に移ります。  先ほどの生立木問題に関連いたしまして、三十一年度までの処分計画というものを、民営を減じて直営生産に振り向けるというお話でございましたが、おそらくこれの一番大きな目的は、ただいまもお伺いしたいわゆる需給調整価格の維持というようなことが大きな目的の一つだろうと思います。直営生産をふやすということについて、そのほかに何か目立つ利点と申しますか、特徴があるかどうか、それを伺いたい。
  23. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 直営生産をふやすと申しますか、増加に対しまする需給調整あるいは価格調整等は、立木処分で一時増加いたします場合に、すでに当初におきまして実は大分——大分というと語弊がありますが、多少失敗をいたした実例があるので、さらに立木処分をこの際ふやさないで直営生産に切りかえる、こういう考え方をいたした次第でございます。総量といたしまして、必ずしも量では従来の立木処分相当するものは減少いたしておりませんが、増加いたしますものを従来のような技術じゃなしに、ほとんど直営生産で実行する、こういうことにいたしておる次第でございます。
  24. 本名武

    本名委員 そういたしますと、ふえる分だけは直営でやるということであって、民営分は従来と変らないということですね。
  25. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 量といたしましては両方とも多少ふえる方が、比率といたしまして、従来立木処分主体といたしておりましたものを直営伐採主体処理いたしていくということでございますが、ただ場所的に従来計画的に生立木立木処分をいたしておりましたのを風倒箇所に切りかえておるというような点が変っておるわけでございます。
  26. 本名武

    本名委員 それに関連いたしまして、いわゆる過剰材の処理ですが、これは先ほどの御説明ですと、御計画としては、しごく苦しい中にもりっぱな計画を立てられたと見えて、敬意を表しておりますが、ただ実際問題として二十九年度材及び三十年度、これから夏山にかかった処理というものがこの通り実際にいくかどうか、たとえば水中貯材にいたしましても、あるいは陸上の貯材にいたしましても、あるいは本州への輸送販売にいたしましても、これだけの御計画は、御自信があって計画を立てられたのでございましょうけれども、ほんとうにいくという御自信がお持ちになれるかどうか。先ほど御説明になった市場状況あるいは需要状況その他から見ても、なかなか困難だと思います。これがかりに狂った場合、一体山元の処理に影響を来たすようなことが起きはしないかということが心配されるのであります。
  27. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 お説の通りこの計画相当の確信を持って実は進めたわけでございますが、現存すでに申し上げました通り、現存市況とにらみまして、ただ市場混乱等をある程度犠牲にいたすとすれば——言葉は悪いのですが非常に安い値段で売り払ってしまう。ある程度損を覚悟でということになれば、計画はむずかしいことはないと思いますが、さようなことは行政的に許されないということを考えますと、道内貯蔵に関しましては、おそらく計画は確実に実施できると思われるのでございますが、一番困難な問題は——あるいは急激に好転いたすかもしれませんが、内地輸送の問題で計画実施が現在一番困難であるというふうに考えております。
  28. 本名武

    本名委員 そこではけ口ということが一番心配されるので、その対策として住宅対策としての関係が結びつけられるのですが、貯材いたすにしても、輸送いたすにしても相当のいたみを生じ、虫害を生ずるということは当然ですが、これは一日も早く処分するということも一つ考え方だと思います。同時にそういった品質低下を来たして内地輸送販売をやられるということは、収入増を見込まれる方法としては当然な方法ですが、品質を低下させる曲に、どうせもてあます心配が赴きるようなときには早目に処分したらどうか。これはすでに討議されたと思いますが、先ほどの四十二万戸に関連いたしまして、たとえば公営住宅用として内地へ素材を持って来られて処分されるのか、それとも現地でいたみを少くするために、あるいは輸送量を減じさせるために製材でもって来られる御計画はないか。それからもう一つは、公営住宅以外に自己資金で建てる住宅公庫の建築であるとかその他に対して、どうせ品質は低下する、あるいは非常な輸送賃をかけ、手数をかけて内地まで持って来るよりも、現地あるい内地へ持ってきても、さらに貯材の期間を短縮するために、こういった自己資金で建てるものについては、国家がいろいろ免税や金融その他の措置を立てて、ある程度価格を引き下げて供給するようなお考えはないか、この二点についてお伺いいたします。
  29. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 公営住宅あるいは公社住宅等に対しましは、おそらく規格品で使用の計画が可能であるということも考えられますので、相当量プラスして使用できるという場合には、なるべく輸送量の軽減をはかると同時に乾燥措置を敏活にするために加工して輸送するという問題を考えたいということで、必要によりましては道内の製材能力を動員いたしまして、製材製品で輸送販売をいたすということにいたしたいということで、実は対策本部と相談を進めておる次第であります。これは海上輸送能力等にもおのずから限度がありますので、ぜひとも実現させなければならない問題であるというふう考えております。さらに公営、公社住宅以外に自己で建設される人たちにも売ったらどうか、これは実は簡単に消化できるということになりますれば、当然考えられる問題でありますが、その間に公庫の計画以上に個々に売り払うということは、実は事務的にも言うべくして困難であります。と同時に買い受けた者がさらに転売する等の問題が起りました場合には、価格混乱需給混乱等を起して非常に困難な問題が起きますので、その場合に、でき得るならば自治体等が取りまとめて交渉願うということによりまして、自己資金によって建設をされるような希望者にお分けするような点は極力考えて参りたいと者えております。ただ、それは道内では割合に簡単にできると思うのでございますが、内地まで輸送販売をいたして、それをするということは、事務的にちょっと私どもでは考えられない問題であるというふうに考えております。
  30. 本名武

    本名委員 まあ、大体そういうことでしょうけれども、今のお話のうちに、どうも取締りと申しますか、民間に処分した場合の取締りが非常にむずかしいということがありましたが、公庫から貸した金こそどこへ使われるかわからない。しかしながら今日までの経験からいいますと、りっぱな家ができておるのですから、金より目立つ木材が横流しされるということは、ちょっと理由にならないように考えられるのでありまして、もう少し熱意があって、いいのではないかと思われるのです。それから道内はしごく簡単だけれども、道外がむずかしい、これも経費の問題が一番問題になってくると思うのですが、素材でも輸送販売されて、しかもそればかりでなく、内地にも輸送されて、さらにある期間を経て販売されるという手数をかけるといった場合にも、ある程度民間に処分する建築材というものにつきましても扱えないことはなかろう。ただ対象が個々にわたることが非常に手数をかける。これは先ほどちょっとお話がありました自治体あるいはまた他の適当な団体をこしらえて、それに取扱いを代行させるとか、何か積極的な方法をおとりになる方法はないわけじゃなかろうと思うのですが、どんなもんでしょうか。
  31. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 ちょっと誤解があるようでございますが、公庫の方たちに個々に売り払うということは事務的になかなか困難だ、自治体等で取りまとめて、希処者の分を一括して申し込んでいただけば、道内では比較的容易に処理できるので、その方は考えて参りたい、こういうことを申し上げたわけで、個々の希望を入れるということにはちっともやぶさかではございません。公庫を一々の取引の対象としてやるということは、実際事務的にはおそらく処理し切れぬであろうということを申し上げているわけであります。  それから内地でもできるんじゃないかというお話でございますが、内地に持って来てさらに貯材するというような措置まで考えるといたしますれば、それは可能でございますが、これはまた経費と今後の処分見通し等からいたしまして、実は非常に大きなスペキュレーションになると同時に、内地の方たちの個々の建設希望者の輸送、貯材等に対する認識というものはきわめて低い。さように申し込みを募集いたしましても、おそらくこのままではお使いにならないということの方が多いであろう。そういたしますと、したらいいじゃないかというお話まではわかるのでありますが、なかなか実行ができない。できにくいということで、実は私どもは今二の足を踏んでいるということでございます。
  32. 本名武

    本名委員 そうしますと、今のお話はよくわかりましたが、実はお話の通りにエゾマツ、トドマツというものは、内地に持って来ますと、大工さんを初め家を建てられる方、住まわれる方に非常にきらわれることは当然です。しかし国が特殊な助成をしてまで家を建てなければならぬときですから、その点は忍ばせるといたしまして、今のお話を伺っておりますと、だんだん住宅対策に対しての期待が薄れるような気持がするのです。と同時に、やはり最後には、需給関係価格維持の点において、もう一段とお骨折りが必要ではないかと思われるのですが、時間もありませんので、またこの次にゆっくり伺うことにいたしまして、これで打ち切ります。
  33. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 ちょっと申し上げておきたいのでありますが、私どもは可能である限りにおいては、積極的に使っていただきたいということで、相当相談をいたす心組みでおるわけでありますが、建設計画の面ではほとんど使うという意欲がなく、きわめて消極的だというような現状でございまして、そのためにおそらく実際に実行する際には、非常に小さなことになりはせぬかということを、かえって私どもは危惧いたしておるという現状でございます。
  34. 本名武

    本名委員 価格に対してはどうですか。
  35. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 価格は貯材あるいは直接利用というようなことで、建設という大きな政策が促進されるということになれば、当然相当考える余地はあるというふうに考えておりますが、これは具体的な問題の発生に伴って相談いたさなければならぬと思います。たださような場合には、あるいは法令の改正を要する問題も生ずるかと思います。
  36. 川俣清音

    川俣委員長 井谷正吉君。
  37. 井谷正吉

    ○井谷正吉君 私は風倒木とは関係はないのですが、この機会に、承わっておきたい。それは林野庁が今度の予算に優良特産樹苗育成費わずか二百三十六万円ですか組まれておるのでありますが、この内容を見ると、クリとか、クルミ、キリ、漆、タンニンアカシアというように限定されておる。この額は私どもから見ればスズメの涙のように思いますし、御増額のことは考えられないかということと、この中にコウゾ、ミツマタ、こういう大へんなものが落ちているように思うのですが、何か意味があって除いておられるのか、増額の場合にはこうしたものも将来入れていただけるかどうかということを承わっておきたいと思います。
  38. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 御指摘の通り実は特用樹種の増殖という問題では、長い間私どもも強く要望いたして参って、ようやくそれが一部認められたという程度でございまして、私どももこれによって決して満足いたしておる次第ではないのであります。とりわけ林地の利用という総合的な見地からいたしますと、純森林地帯あるいは農耕地というものには相当に主力が注がれますが、ちょうど林野あるいは牧野と農耕地帯との境の利用が、実は一番集約に取り扱わるべくして一番下集約に取り扱われる。ここらには林業といたしましても比較的収入の短期に期待できる特用樹種をもっと奨励して参りたいということで、実は前から予算要求をいたして参っておった次第でございますので、その実行の結果からいたしましても、相当地方での御活用を願っておりますので、将来は拡張いたして参るということに一そう努力をいたしたいと思っておりますが、しかしその際にお説の通りコウゾ、ミツマタ等に関しましても奨励品種に入れたいということで要求はいたしたのでございますが、特にコウゾ等の現在の需給情勢からいたしまして、少し増加いたして直ちに価格をたたかれてしまうと、奨励したものが消化できないというような面に出つくわしまして、今かように需給がアンバランスになっておる際にさらに奨励するということは、それに輪をかけるのではないかというような議論も出て、実は今年縮んでしまったというのが実情でございます。なおこれらの特用樹種に関しましては、いずれもさようなことは言えると思いますが、これらの恒久的な安定した需給という問題をにらみながら進めて参るということでないと、全体として、現在のままではそう大きな需要でないものが多いわけでありますから、少し増殖いたしますと直ちに需給混乱を生ずる。価格が買いたたかれるというようなことで、せっかく積極的にお進めを願ったものがかえって処理のために非難を受けるというようなこともあって、実はあまりよう広げずにおるという事情一つ御了承願いたいと思います。
  39. 井谷正吉

    ○井谷正吉君 今のコウゾ、ミツマタでございますが、御承知のようにこれは非常な急傾斜で、砂地で土砂の崩壊のおそれのあるような所、そうしたものを防ぐ意味にも非常な効果があるんだし、今需給のお話がありましたけれども、これは大蔵省あたりがマニラ麻をどんどん入れられるというようなことで押えられておる。そうした面もありますので、私は軌道に乗れば決して過剰にはならぬと思っておりますが、よく御研究を願いまして、やはりこれが将来入っていくようにお考えを願いたいと思います。
  40. 川俣清音

    川俣委員長 本日はこの程度で散会いたします。     午後零時五十九分散会