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1955-06-04 第22回国会 衆議院 農林水産委員会農業及び漁業災害補償制度に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十年三月三十一日(木曜日)委 員長指名で次の通り選任された。       伊東 岩男君    石坂  繁君       木村 文男君    原  捨思君       足立 篤郎君    助川 良平君       鈴木 善幸君    赤路 友藏君       足鹿  覺君    伊瀬幸太郎君       稲富 稜人君 同日  足鹿覺君が委員長指名で小委員長に選任され  た。     ————————————— 会 議 昭和三十年六月四日(土曜日)     午前十時五十二分開議  出席小委員    小委員長 足鹿  覺君       伊東 岩男君    原  捨思君       助川 良平君    赤路 友藏君       伊瀬幸太郎君    稲富 稜人君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      大坪 藤市君  小委員外出席者         議     員 川村善八郎君         議     員 田口長治郎君         議     員 芳賀  貢君         議     員 川俣 清音君         議     員 日野 吉夫君         総理府事務官         (行政管理庁監         察部参事官)  大森  浩君         総理府事務官         (行政管理庁監         察官)     松本 操一君         農林事務官         (農林経済局農         業保険課長)  橘  武夫君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  野田哲五郎君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保栄君         会計検査院事務         官         (検査第三局農         林検査第一課         長)      吉田 信義君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 五月二十五日  伊東岩男君四月四日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員補欠選任された。 同日  足鹿覺君同月十日委員辞任につき、委員長の指  名で小委員補欠選任された。 同日  稲富稜人君同月二十日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員補欠選任された。 同日  足鹿覺君が委員長指名で小委員長補欠選任  された。 六月一日  赤路友藏君五月三十一日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員補欠選任された。 同月四日  足鹿覺君同月三日委員辞任につき、委員長の指  名で小委員補欠選任された。 同日  足鹿覺君が委員長指名で小委員長補欠選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業共済団体農業共済保険事業運営状況に関  する件  農業災害補償制度改正問題に関する件     —————————————
  2. 足鹿覺

    足鹿小委員長 それではただいまから農林水産委員会農業及び漁業災害補償制度に関する小委員会を開会いたします。  今日は本小委員会初めての会議でもありますので、今後の小委員会運営方法等についてまず御協議申し上げ、続いて従来の農業災害補償制度改正についての経過を御報告申し上げ、これに関連をいたしまして、過去における農業災害補償法及び漁船損害補償法末端におきまする運用状況について、法の目的が果して適正に行われているか等の問題について、最近いろいろ報道機関等において重大な報道が試みられておりますので、その真相等についても調査いたしたい。本日は会計検査院決算検査に関しての調査をせられた結果、また行政管理庁立場からいろいろ御調査になっております点について御説明をお願いいたし、これに対していろいろと御質疑等もあろうかと思いますので、そういう点で進めまして、最後に政府の本農業及び漁業災害補償制度に対するところの抜本改正問題に対する政府の考え方を聴取して、一応きょうの日程を終りたいと思っております。よろしくお願いいたします。  最初に本委員会運営についてでありますが、委員各位の御了解をいただきたいと思っております。小委員以外の農林水産委員各位には、随時この委員会に御出席を願って、御発言を願うという従来の慣例がありますので、さように取り計らいたいと思いますが、よろしゅうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 足鹿覺

    足鹿小委員長 それでは御異議ないようでありますから、今後そういうふうに取り扱うことにいたします。  なお本小委員会は、会期もだんだん切迫しておりますので、今後毎週二回程度開催いたしまして、当面の諸問題並びに法の抜本改正問題について調査検討を進めたいと思っておりますので、御協力をお願いいたします。で、初めての会合でありますので、私からごく簡単に従来の農業災害補償制度改正についての経緯を委員各位に御報告を申し上げて、審議の御参考に資したいと思います。  御存じのように、昭和二十八年七月二十四日、衆参両院協議会の決定に基きまして、農業災害補償制度を抜本的に改正する決議が採択をされ、その結果、衆参両院制度改正の小委員会が設けられまして、長きにわたって審議検討の結果、衆議院農林委員会は、二十九年四月二十七日に、あと資料として御送付申し上げますが、満場一致決議を採択し、政府にこれを申し入れました。その結果政府は、衆議院農林委員会決議の趣旨を尊重せられて、農業災害補償制度改正協議会を設立し、昨年七月十六日に第一回の制度改正協議会が開催せられ、その後十回近くの全体協議会並びに幹事会が開催をされまして、二十九年十二月二十一日に中間申し合せができまして、これを政府に申し入れておるのであります。その申し合せ事項等についても、追ってまた資料として御配付を申し上げます。  以上の経過をたどりまして、本年一月二十二日、鳩山首相はその施政演説において、農業災害補償制度改善を実施する所存でありますと、その所信を明確にしておられます。ところが、このような重大な両院協議会決議に従い、制度改正協議会まで設置して、朝野の学識経験者等を加えて検討し、政府にその答申もされておるにもかかわらず、この制度改正の抜本的な措置は遅々として進んでおりません。のみならず、制度改正協議会中間答申をした当面改善を要すべき事項についてすらも、何ら今国会には提出の運びに至っておらないようであります。ところが末端におきましては、本来のこの農業災害補償法に基く共済組合運営並びに県連合会運営をめぐって、会計検査院決算調査の結果、あるいは行政管理庁監察の結果等が次々と報道機関を通じて発表されまして、われわれ国会において指摘しておったような事実が、公正な検査院行政管理庁監察検査の結果、裏づけられておるような事態全国に出ておるのであります。すなわち会計検査院においては、四月十九日、農業災害保険においての運営並びに経理について農林省に申し入れをいたし、千葉、群馬、愛知京都等八十八組合調査いたしております。それによれば、共済金支払い不正等は、ほとんど九割までが該当しておると、言われております。また行政管理庁監察部においては、名古屋管区監察局あるいは岐阜地方監察局の監査に基くものが資料として一部に流れておりますが、これによりましても、比較的成績のいいと言われる愛知岐阜等においてすらも、はなはだ遺憾な組合運営が行われておる。こういう実態を私ども仄聞いたしておるのでありまして、本来の仕事は、そういう事態でありながら、一方においては、共済組合は、任意共済事業には非常に熱心であり、農協関係との間に、各地において競合関係が勃発いたし、同じ農民を対象としておりながら、任意共済事業をめぐって紛争各地に惹起しておる事態を、われわれは非常に憂慮いたしております。当委員会におきましても、検討の結果、先ほど申し上げました農林委員会の二十九年四月二十七日の決議には、任意共済組合については、時期を見てこれを農協に一元化するということになっておるにもかかわらず、各地においてこの国会審議を無視するがごとき紛争が惹起することは、はなはだ遺憾にたえないものであります。そういった点につきましても、十分今後御検討願いまして、即急にわれわれの結論をまとめ、政府にこれが善処方を要求いたしたいと考えておる次第であります。  大体以上申し上げた点が、今日までの衆議院における農業災害補償制度改正に関するざっとした経過でありますが、この詳細は会議録等において、十分委員各位等においても御検討いただきたいと思います。  なお漁業災害補償制度につきましては、全く今まで手をつけておりません。今回農林水産委員会が合併をいたして、新発足するに当りましては、漁民あるいは漁業災害補償制度についても、当委員会調査をするようになりましたので、この点につきましては、その道に詳しい委員各位もおいでになりますので、今後問題を御提示願いまして、十分御検討して、適当な結論に達したいと考えておる次第であります。大体そういう事情を御了承の上、本日の審議を進められんことをお願いいたします。
  4. 芳賀貢

    芳賀貢君 この際小委員長に申し上げます。ただいま小委員長から農業災害補償法根本改正中心としての、今までの諸般の経過についてのお話があったわけであります。委員長のただいまの御表明の中にもありました通り、この問題は昭和二十八年の第十六国会の、しかも両院協議会において、農業災害補償法根本改正に対しては十分これを進めなければならぬというような基本的な意思の上に立って、今日まで二年数ヵ月にわたって検討が加えられておったわけであります。しかも昨年は、四月二十七日の農林委員会の小委員会における小委員長案なるものが、全会一致をもって議決されておるのであります。その後制度改正協議会等ができて、具体的な検討あるいは中間報告までできておるわけでありますか、これはおそらく今回の国会において、制度改正法律案が出るということをわれわれは期待しておったわけであります。ところが何らそれが実行に移されていないのであります。ですから当委員会としては、あくまでもこの制度改正問題点検討するというだけの範疇において、今後上った成果というものをいかにしてこれを法制化して、全国農民の期待に沿うような努力をするかということに、今後の小委員会運営の基本的な問題があると思うのです。ですから、小委員長におかれては、今後当委員会運営をどういうような形に持っていくか。もちろん今度は水産関係災害補償の問題も取り上げることになっておりますが、年来の課題であったところの、農業災害補償法根本改正を、この機会にどういうようにして実行に移すかという、この点に対しては、従来より小委員長をやつておられた足鹿小委員長においても、相当の決意のほどがあるというふうに私は考えておるわけであります。まずその点の所信を明らかにしていただいて、それから今後の委員会運営に当るべきであると思いますが、これはいかがですか。
  5. 足鹿覺

    足鹿小委員長 芳賀さんからのごもっともなお話でありますが、その点につきましては、ただいまも若干の経過を御報告申し上げましたように、私ども衆議院農林委員会において出た十項目の決議について、政府がこれを実現するための制度改正協議会を設置する、こういうふうに理解し、政府もまたそれを了承して制度改正協議会を作った。ところがとうてい三十年度の間には抜本改正は合いかねる。また政局も御存じのようにああいう事態で大きな転換がございますし、それは無理からぬことであろうと思う。従いまして制度改正協議会等においても、当面、少くとも三十年度から何を政府はなすべきかということについて、最大公約数を割ろうというので、制度改正協議会は十二月二十一日に、大体において損害評価適正化の問題、あるいは引き受けの単位を一筆石建にする問題、あるいは農家の自由意思に基いて共済保険をする自由選択制の問題、あるいは農業共済団体の区域の問題、あるいはその役職員の性格をもっと公的色彩を強くする点、あるいは農業共済組合連合会不足金の処理の問題等の、当面三十年度より実施すべき事項について満場一致決議をいたし、これは申し合せとはなっておりますか中間答申として、政府に申し入れたのであります。当然政府はその公約等からいいまして、この程度のものは実施する私は行政庁としては責任もあるし、また今までこの問題をお互いが一体となってやってきた立場上、道義的な点からいっても、身をもって実施する責任があったと思う。ところがこの問題に対しても、全然今国会には何ら法的措置も講じないままに今日になってきておるのであります。従って私としましては、この問題を今後政府がどう処理するか。またそれとの関連において、抜本改正の問題に対してどのような方針政府が持っておるかということをよく突き詰めまして、もし政府に熱意がないといたしますならば、われわれは国会立場から、この問題に対して法的措置あるいはその他必要な措置を講ずべきものだ、かように考えております。またそれについては、現在若干の基礎的な準備も進めておるような状態でありますので、本日は政府からもこの点について所信表明もありましょうし、それらの点等もよく勘案して、ただいま述べたような場合には、そういう方針で事に当りたい。かように考えております。  それでは会計検査院小峰第三局長の方から御説明を聞きます。
  6. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 御説明いたします。農業共済保険事業と申しますと、御承知のように相当多額の国費を一般会計から補給してやっておるのであります。二十八年度の実績で申しますと、約二百億、百九十数億というものが一般会計から出ております。私ども検査も、従来は農業共済までは実は手が及びません。いろいろなことがございまして、昨年までは全然手をつけていなかった、こう申し上げてもいいのであります。それで先ほど委員長からお話がございましたように、いろいろ新聞にも出ますし、問題がどうも多いようだというわけで、昨年から全国的に検査を始めてみたわけであります。全国的にと申しましても、一万以上共済組合がございます。それで昨年は初めてのことですが、百三十組合ほど検査したわけであります。ただ固めて検査をしたんでは意味がないものでございますから、九州から東北までわたりまして、ぽつりぽつりと代表的な組合を選びまして、約百三十というものをやつたわけであります。ことしは一月から現在までに百八十ほど検査をしております。大体これで全国的な傾向というものを一応つかんだわけでありますが、昨年の検査の結果で、私は非常に意外なほど悪いのでびっくりしたわけであります。  まず掛金でありますが、御承知のように義務加入——強制加入と申しますか、水稲なり麦なりにつきましては、耕作している者は必ずこれに入らなければいかぬ、こういう制度になっております。この制度は終戦後にできた制度でありますが、文章の上で見ますと、実にりっぱないい制度になっているのであります。これは必ず入らなければいかぬ。災害を受ければある程度の補償は必ず受けられるようにいい制度になっておりますが、実際は制度通りに全然といってもいいくらい動いておらないということであります。掛金は、これは火災保険なんかに比べますと、割合に高い料率になっております。ともかくも農民はこれに絶対に入らなければいかぬ、こういうことになっております。従って掛金も毎年々々災害があろうがなかろうが、必ず払い込まなければいかぬわけでありますが、まずまともに払っておるところは、ほとんどないといっても言い過ぎではないくらいの状態であります。それで、組合はふだんは赤字経営ということをやっておりまして、農協あたりから借金をして、事務費を出しておる。掛金を払い込む。そうしておいて災害があると、これに水増しをいたしまして、連合会からたくさんの共済金をもらって、借金を返してしまう。こういうようなことを繰り返しておるようであります。これが非常に多いのであります。今の掛金まともに取っておることは、まずほとんどないといっても言い過ぎではないくらいの状態であります。  それから今の水増し申請ということも、後ほど具体的な例を申し上げますが、相当ひどく行なっているようであります。それから共済金をもらった組合は、一体どういうような経理をしているかというと、まず第一に今までの赤字を消してしまうということであります。そして組合員掛金をもらうのは、いわば二の次ということであります。赤字を消してしまって、残りを次の掛金——来年なり再来年の掛金として取っておくということをまずやります。そして余って使い道がない金だけを、農民に分けてやるということをやっているようであります。これは相当ひどい経理をやっております。結局組合というものが、足が地についておらないという感じを強く受けるのであります。結局この保険制度組合から上の方、組合から県連、それから特別会計、国の会計、この間でから回りをしているというような感じさえするのであります。しかも私ども参りましても、この金がどうなっているかということに、農民個人に果して入ったかどうかということは、なかなかつかめないのであります。部落代表という者にその金が行っていれば、私ども検査をやめてしまうのであります。部落代表が果して書類に書いてある通り農民に渡しているかどうかという点は、私どもにも実はわかっていないのであります。それで組合長中心とする組合が、いろいろな妙なことに金を使っているという事実も相当に上っている。こういうことになっているわけであります。昨年は私どもはふなれで、十分な検査はできなかったのでありますが、結局今のような結論を出さざるを得なかった。ことしは昨年よりは検査がうまくなりましたが、ひどいものがどんどんと見つかっております。現在なおやっておりますが、今申し上げましたように、百八十見て、まともにやっているところはあまりなかった。先ほどから委員長お話がありましたが、まず私どもが手がたく見つけた案件でも、九割方は悪い。こういうことがはっきり申し上げられるように思うのであります。  抽象的になりますから、今度は具体的な例を二つばかり申し上げます。昨年あまりにひどいのを七つ八つ検査録にあげまして、お手元にたしか行ったはずでありますが、この中で最もひどいと思うのを二つばかりお話いたします。兵庫県の加古郡天満村の農業共済組合であります。二十八年の水稲保険金、これを組合員から申告をとった金額が百四十二町歩で百六十四万円、こういう申告が出たのであります。それを共済組合金額を七百四十三万円というふうに水増ししたのであります。そして県連——県の共済組合連合会に今の組合員が出しました百六十四万円を七百四十三万円ということで出したのであります。これらのところが水増しの典型的なケースになるわけでありますが、県連では一生懸命にこれが査定をしたわけであります。結局査定金額は、保険金に対しまして、三百六十二万円として出しました。七百四十三万円というのを一生懸命査定して、三百六二万円を交付したわけであります。組合員申告した金額が百六十四万円であります。これなんかは実は水増しかあるかないかというような検査はなかなかむずかしいのであります。私どもあとで参りますから、どれだけ被害があったかということはなかなかつかめない場合が多いのであります。昨年も水増しを探そうというんで一生懸命やったのでありますが、なかなかうまくいかない。これなんかうまく見つかった方であります。結局百六十四万円の申告に対して、保険金を払ったのは三百六十二万円、あんまりよけい来過ぎまして、組合じゃ困ってしまったらしいんでありますが、この半分を被害の有無にかかわらず均等割にしてしまったわけであります。耕作者に対して、半額というものを全部の組合員に払ってしまったわけであります。残りの半分を被害に応じて払う。半分くらいでちょうどよかったわけでありますが、そういうことをやっております。これもみんな部落代表に一括交付しておるのであります。果して農民の手に渡ったかどうかということは、私ども実はわからないのであります。  もう一つの例は、愛媛県越智郡の清水村の農協であります。これは共済金をもらったが、組合員にあまり交付しないで、組合で全部持っていた。組合個人名義預金にしていた。こういうケースであります。二十八年に水稲保険金を百六万円もらったわけであります。これは全部組合員に払ったというふうに書類の整理はできていたのでありますが、実際は全然払っておらない、こういうのであります。そしてこれは初めから二十四年にたしかこの組合ができたのでありますが、二十四年にできましてから今のような経理を繰り返しておる。愛媛県のごときは御承知のように相当災害がひどいところであります。たびたび共済金政府からもらっているわけでありますが、農民にあまり払っておらぬ。そして何に使っていたかといいますと、まず病虫害の防除金に使っておる。これなんか比較的いい使い方でありますが、病中害の防除金に使っておった。それから結局のところ昨年の六月に調査しましたところ、二百四十五万円ほど組合長個人名義農協預金にしていたこういうケースであります。農民あまり金は行っておりません。これなんかひどい例でありますが、ほかの県も大分預金をたくさん持っているというところが相当あるようであります。こういうところは全部農民から掛金は取っていないのであります。農民はこういう制度があるかどうかさえ知らないというような状況になっておるわけであります。個々のケースはもっとたくさん出ておりますから、もし御質問があればお答えいたしますが、具体的なことは省略しておきますが、ずい分ひどい。矛盾して制度法律に書いてあるように必ずしも動いておらぬ。まず掛金をとらぬ。災害があると水増し申請をする。ふだん赤字経営をして事務員なり組合長の月給を払っておる。こういうような事情になっております。災害があるとぱっと水増し申請しまして、今までの赤字を全部返してしまう。そうして農民に金を払うのは二の次にして、次の掛金なんかのために預金をしておく。災害がないと今のごとく組合長個人名義預金なんというものはどんどんふえてしまう、こういう実情にあるようであります。もし御質問がありましたらお答えいたします。
  7. 伊瀬幸太郎

    伊瀬小委員 ちょっとお尋ねします。私奈良県なんですが、ことしの二月から何か検査をなさったが、私が聞いているのは、受け取りはちゃんとそろえておる。ところがほんとうはその判をみな協同組合で勝手にこしらえて、あたかも支払ったかのごとき体裁を整えてやっている組合がある。聞きますというと、そういう組合はまだ良心的だ。なんぼもらったか、なんぼ払ったかわからぬような、一切がっさい帳面というものがない組合がある。これは十五か十六調査なさったらしいのですが、その結果、完全とは言えないけれども農民にわたっておるのが二つ組合である。一体そういうようなことが、県にもそういう指導官がおられるし、本省の方では検査指導もなさっておるのですが、どういう結果からそういうつまらぬことができるのか聞きたいのです。その組合の金をまだ持っておるというのですが、それはどういうふうに処置するような指導をなさつておるか聞きたいのです。
  8. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 奈良県は検査した中で代表的に悪いのであります。書類上の支払いは六千六百六十七万円を払ったことになっておりますが、実際に払った金はけたが違うのじゃないかと思うくらい少い五百四十四万円であります。一割以内であります。十六組合検査しておりますが、こんなところはあまりないくらい悪いような印象を受けるのであります。農協預金とか収支なんかで四千万円くらい使っているそうであります。非常に代表的に悪いという印象を受けているのでありますが、今申し上げたように実際びっくりするくらいな県があるわけであります。県の指導官というのは、県によっていいところもあるのであります。たとえばいいことでありますから名前を申し上げますが、静岡県とか宮崎県というのは、県が相当がっちりしておりまして、いい指導をしております。悪い県は、奈良県なんか代表的になるのでありますが、中にはいい県もあります。私どもとしては、農民に行ってしまった金はどうもあまり文句を言っても今さら何とも取り返すことはできません。水増しなんかありましてもしょうがない。ただ組合で持っている金、これはさっさと分けろということをいっているわけでありますが、国としても出した金でありますから、これを取り上げても今さら別に国としては大したことはないのでありますから、できるだけ適正に農民に分けるようにということを言っているわけであります。組合長個人名義預金なんかにしても、私どもだからいいのであるが、検収庁なんかがやったら横領で引っぱられるだろうと思います。ちょっといいのがれが立たぬというのさえあると思います。
  9. 伊瀬幸太郎

    伊瀬小委員 経済局長はそういうことに対して奈良県にどういうような御指導をなさっているのですか。実際支払った金の一割も農民に渡っていないというようなばかげたことを、どういうふうな御指導をなさっておるのですか。
  10. 大坪藤市

    ○大坪政府委員 ただいま会計検査院から御指摘がありました点はまことに遺憾に存じておるわけであります。私の方といたしましても県に検査官を置きまして、常時検査に努めておるわけでありますが、なかなかただいまお話しのように、静岡県でありますとか、宮崎県でありますとか、そういう有能な検査官がおりますところはうまくいくのでありますが、そこまで至らない場合におきましては、なかなか検査と申しまするか、監督と申しまするか、仕組みが農業災害補償制度はきわめて複雑で、しかも緻密にできております関係上、検査いたしましてもなかなか摘発のしにくいというような状態になっておるのであります。会計検査院等におかれては、ほんとうに部落の人をいろいろ引張ってきて実情を調査されますから、そこで初めて涜職が出てくる、こういう格好になるのであります。県等においてやります場合においては、そういうような徹底的な検査をやらないで、一応帳簿上等で検査いたします関係上、なかなか具体的な事例が引き出せない、こういうような事態じゃないかと思うのであります。そういうことにつきまして、農林省といたしまして、従来そういうふうな経理になっているということは実は従来はあまり存じていなかったのでありますが、昨年より始められました会計検査院の本格的な調査によりまして、相当たくさんの組合経理上不合理な点が非常に多いということを発見いたしました。われわれといたしましても、この点につきましては大いに注意しなくちゃならぬというわけで、本年の二月、三月、県の主任課長を呼び出しいろいろ協議会を開催いたしまして、今後はりそういうことのないように監督を厳重にしてもらいたいということを戒告いたしておる次第であります。
  11. 日野吉夫

    ○日野吉夫君 会計検査院の方にちょっとお尋ねいたしますが、去年は百三十九組合を調べ、ことしは一月から今までに百八十調べた。そのうち大体九割くらい不正だというような調査結果が出ていますが、これは非常に重大でありまして、この調査組合を決定する場合は、とかくよくないという評判の立った組合を調べられたのか。そういうことでなく、抽せんかなんかでどこということを指定されたのか。結果はこういうことで、この制度はなかなかよく書かれておる。作文はよろしいが、実際はよくない。調査の結果、こういう結果だということになりますると、非常に重大であります。あなた方の調べた組合はきわめて少いのでありますから、これでもってこの結論を出されると、大きな全称肯定の誤謬に陥りますから、この点十分考えなくてはならない。その標準をちょっと伺います。
  12. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 百三十九とおっしゃいましたが、百二十九であります。これは昨年から一昨年までは御承知のように公共事業関係の補助というのに専念していたのであります。いろいろ井堰とか水路とか、土木関係でありますが、昨年からこれじゃいかん。大体二十八年は災害の非常に多い年でありますが、七百二十数億出ております。そのうち五百億ばかりが農業土木、それから農地に開いた道路の補助、こういうことで、あと二百二十数億というものが、私ども一般補助といっております農薬とかあるいは油紙、例の稲の苗を早く育てるような補助であるとか、こういうものに使っておる。これもいろいろな問題がありそうだというので、昨年初めて一般補助の検査をやり出したわけであります。一般補助もたくさんはできませんから、大体一県二十町村ぐらいを標準にやったわけであります。一般補助のたくさん行ったところを、たしか二百八十ぐらいの町村を歩いたと思います。それと一緒に農業共済を見たわけであります。ですから特にこれが悪そうだというのでやったわけではないのであります。しかも一万近い町村がございますから、そのうち二百や三百見て全体の氷山の頭をつかむことはできないのであります。ですから、たとえば東北なら東北だけ見たのでは全国的な傾向というものはわかりませんから各ブロックごとに二県あるいは三県ぐらいを選んだわけであります。ですから農業共済もまず大体全国的というふうにごらん願っていいわけであります。初めはさっき申し上げたように、なれないものですから、関東地方とか、東北地方なんかは、あまりとんでもない結果が出ていないのであります。ことしは関東地方、東北地方もよく見ようと思っておりますが、関東地方を除きますれば、まず大体全国的な氷山の頭というのはつかんだんじゃないだろうか、こういう感じを持っておるわけであります。たとえば関東地方の二百や三百の町村を見ましても、県によっては二百、三百という町村は当時あったのでありますが、固めてしまったのでは意味がないというので、全国的にいわゆる大数観察のできるような調査報告だけでありまして、そこでこういう強いことを申し上げられるわけでありますが、一地方だけでいうのではちょっと意味がないわけであります。たとえば九州でいいますと宮崎と長崎を見ております。長崎は悪かったのでありますが、宮崎はさっき申し上げたように大へんよかった。それから四国で申しますと愛媛、徳島を見ております。そういうふうにブロックごとに七つ、八つある中から二つぐらいの県を選びまして、しかもその中で一般補助のたくさん行った共済組合を選んで、一緒に同じ連中が見たわけであります。ここは悪そうだという投書なんかもございますが、投書のあるようなところは見ますが、そうでないところも決してその悪そうだという予断のもとに見たわけじゃないのであります。ですから数は少うございますけれども全国的な傾向で氷山の頭をつかんだというような印象を私どもとしては持っているわけであります。
  13. 日野吉夫

    ○日野吉夫君 数は少いが全体のブロックから代表的なケースを選んで調べたから、これは全体を類推するに十分な判断の資料だというふうに聞えるのでありますが、そのブロックの調査する組合は、補助金の多く行った組合ということでございますけれども、そういたしますと過般国会でだいぶ問題になりました山口県の出雲村ですかの七億、八坂村の五億、ああいうところもお調べになりましたか。
  14. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 今お話が出ました山口県の佐波郡の出雲村、八坂村、これは二十六年の災害の公共事業関係の補助であります。先ほど申しました農業土木関係の補助でありまして、一般補助はたしか二十八年度はそれほどたくさん行ってないはずでありますが、山口県はやる中に入っていなかったわけであります。中国は、私ども旅費の関係があるのでありますが、比較的手薄な調べしかできなかったのであります。岡山県はやったのであります。それから広島もやりました。広島などはちょっと検査がまずくて、あまりいい結果が出ておりません。それで中国では岡山県をやったわけであります。今年は昨年やらなかった県ということで、なるべく去年、今年でやってみたのでありますが、どうも今申し上げたような関係もありまして、全国はできません。東京と山梨、それから北海道、こういうところが今年検査できないで残ってしまうのであります。北海道とか青森とか、割合共済関係でワクが多いところであります。ぜひやりたいのでありますが、今年はちょっとまだできません。来年はぜひやりたいと思っております。山口は今年いたします。昨年はこの中に入っておりません。全国的な傾向と、はなはだ口はばったいことを申し上げますが、その後に、これは大へんだというので、この一月から先ほど申し上げたように百八十ぐらいやっております。これは昨年やらなかった県をやっておるわけでありますが、同じようなあれがどんどん出ているのであります。昨年は、先ほど何べんも申し上げましたが、どうもわれわれなれないものですから、あまりいい結果は出なかった。たとえば埼玉や栃木、神奈川はあまりいい結果は出なかったのであります。一番最初に検査したのでありますが、さっき申し上げたように水増しを何とか見つけようというので、水増しを探すのに重点を置いたのであります。これがなかなかうまく出てこない。これにこりまして七月ごろから検査方針を転換しまして、農民に届いているか届いていないかということを重点に見ていったのであります。それからいろいろさっき申し上げた兵庫県のような水増しも一緒に上って来た、こういうような関係にあるのでありまして、まず農民に届いていなければ問題にならぬじゃないか、農民に届いているかいないかということを重点に現在もやっております。
  15. 日野吉夫

    ○日野吉夫君 僕は東北の宮城ですが、だいぶ全国の農村を回って、われわれの聞くところでは、共済の掛金が高いという農民から不平を聞いているわけであります。掛金についてはこれは次の改正には十分考えなければならぬという一つのあれを考えておるのですが、今調査結果を聞いてみると、ほとんど掛金していないように聞えるのですが、だいぶわれわれの聞くものとは一致しないものが出てきている。災害というのは、これは何といっても均等には来ないのでありまして、患は均ならずであります。掛金をする者は掛金しっぱなしで、金子を受けている方は、これはあまりにも少い。満足できる金子は受けられないというところに共済のむずかしさがあるのであります。改正の重点はこの辺におかなければならぬと思うのでありますが、今の調査報告を聞いていると、ほとんど掛金をしておらない。災害の給付はまず赤字の補填を第一に置く。それから次の掛金として留保して、余剰があればこれを災害に充てているというような組合があるということを聞いて、今さら驚かざるを得ないのであります。それが少い調査の個所ではあるが、全国的にわたっているから、一つの共済の傾向とみてよろしいということになりますと、これは重大な問題です。農林省も、会計検査院のような厳重なものはやらぬにしても、一応共済の指導監督というものをやっているんですが、こういう結論に対して、経済局長そのまま承認できますか。お考えを一つ承りたいと思います。
  16. 大坪藤市

    ○大坪政府委員 掛金の問題につきまして、掛金を現実に徴収しないで保険金等で相殺をしている、こういうような事例が相当全国的にあるという点につきましては、会計検査院の指摘通りこれは認めざるを得ないのではないかと思います。しからばなぜ掛金を徴収しないか、つまり掛金を払っていないかという問題でありますが、これは掛金の高いという問題ももちろんあると思います。この点につきましては、大体全国的に見ますと、掛金につきましては大体四対六ぐらいの割合で国庫が負担をいたしております。残り農民掛金としてかけるという建前になっておりまするが、残りの分につきましても、あるいは農民の側から見れば高いという問題になるのじゃないかと思うのであります。もちろん組合といたしましては、これは法の命ずる通りに一々の農民から掛金を払ってもらいたいということを強く言うようにやっていると思うのでありますが、御承知のように農村におきましては、現金を徴収するのはなかなか困難であります。従って今のような事例が相当全国的に行われているのじゃないかと思うのであります。しかしこの掛金を取るということが、保険の根本的な発足点になるのでありますので、私どもといたしましては、掛金を完全に徴収し、しかも他面保険金つまり共済金は完全に支払う、こういうことがなければ、保険というものが、共済というものが成り立たぬじゃないか、こういうような点でありますので、本年度から特に掛金を完全に徴収することと、共済金を完全に指定通りに払う、この二つを重点として指導して参りたい、かように考えたわけであります。
  17. 日野吉夫

    ○日野吉夫君 このことは一昨年来災害が多かった年、そういう年次の調査が結果に現われたとは考えられますけれども、今のような不正の行われているところも中にはあるであろう。いろいろ補助金の問題等にも、そういう会計検査院報告に基く補助金廃止論が出ているのでありまして、各地にそういうものは、単に農業共済だけじゃなしに、あるのであります。今の機構ではそういうことがあり得ることはわれわれも承認しなければならない。ただこういうこともあるであろうけれども指導監督をやっている農林省当局が、若干かかるケースはあるということは承認されるとしても、これが全国的な一つの傾向として、九割がこういうことをやっておるという指摘に対して、あるいはそういうこともあり得る、しかし今後の方針は別として、これを是認するような態度でおられるところに、こういうものの発生を許したのじゃないか、指導監督が適当でなかったのじゃないか、われわれはせっかく社会保障制度の一環として、この農業災害補償制度がしかれて、これを農村の一つの制度として完全に育て上げようと努力しているとき、こういう結果が一部的にせよ現れてきたというものに対しては、全力をあげてこれを阻止しなければならぬという一つの考えを持っているのに、今のように、調べたのが全部こういうことだということになると、この制度をやめてしまえというような一つの危険な傾向さえ出てくる。こういう場合に、これをどうするかということは、この委員会の重大な問題にはなるが、一つ農林当局はもっとふんどしを締めて、みっしり指道監督して、かかることのないような、こういうことの絶無を期する覚悟と決意を持ってやってもらわなければならないと思います。なお具体的なことについては、皆さんの御意見もあるようでありますから、会議の進行中に聞きますが、傾向として、そしてわれわれの方針として、よほど重大な決意をしてかからなければならぬ、こういう考えだけを述べて次に移りたいと思います。
  18. 助川良平

    助川委員 ちょっとお伺いしたいのですが、ときどき会計検査院検査の仕方を聞きますと、非常に厳正な検査をされるあまり、何か昔の代官が調べるような一つの前提を立てられて、その上に立って、すべてをその前提に合せようとするような検査をされておるという不平不満をだいぶ聞くのです。ただいまおいでのお顔を見ますと、そういう方が一人もおられないようなんで、これは私の誤解だと思うのであります。そういうことはおそらくなされておられないと了解をいたしておきますが、こうした問題について各県をごらんになられて、先ほど経済局長から県庁の監査についての御意見が出たわけなんですが、県庁の監査に対する会計検査院のお考えを承りたい。
  19. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 もちろん検査員は非常に厳正な検査をされております。ここに農林省の検査の主力がずらっと来ておりますが、みな大学を出たりっぱな方であります。そしてへんなことはいたしていないはずであります。受ける者になりますと、とかく、普通のことをやっておりましても、へんなことを言いたがるのでありまして、これを一つお考え願いたいのであります。ことに補助金の場合には、とかくいろいろなことを言われますので、ことに検査を厳正にいたしております。まともにやっていてさえ何だかんだと言われるのであります。それから、たとえば役場、市町村に迷惑をかけまいというので、弁当持ちで、ほんとにゲートルを巻きましてやっておるのでありまして、決して皆さんがおっしゃるようなことはないと思うし、その点一応一つお考え願いたいのであります。検査員は決してへんなことをしていないつもりでおりますから、どうぞよろしく。  それから県の監督でありますが、これは先ほど申し上げましたように、県によってはいい県があるのであります。先ほどお話が出ましたように、これは結論を見ております。私どもほんとに悲観的な考えを持って、やめてしまうほかないじゃないかという気さえ持つのでありますが、中には宮崎、静岡なんかのようないい県がありますので、それでまるきりやめてしまおうという結論に持っていかないだけの足がかりがあるのであります。やりようによっては、うまくできるのじゃないかというところに、私どもとしては検査しながら、若干の楽しみを感ずるわけであります。何とかうまくやってもらえれば、制度としては非常にいい制度であります。これは補助なんかより、まだ運用の仕方によってはうまくいくのじゃないか。補助というのは、一般補助なんかはずいぶんひどいのでありまして、公共事業なんかあれでも比較的ましな方であります。一般補助のような場合には、実際ひどい。農村の中間のボス連中の食いものになっているんじゃないだろうかというのが、実際あるのであります。農林省は一生懸命に、お互いが納めている税金を出している中から補助を出しているが、それが農民に届いていないというのが相当多いのであります。飲み食いに金を使ってしまったり、分けるにしても、農林省の期待しておるような分け方をしておらない。ボス連中が、いかにも自分の金を分けるようにして分配しているという印象さえ受けるのでありまして、共済組合が、ただこのままでほっておきますと、農村ボスのたまり場になってしまうのじゃないだろうかという印象さえ受けるのであります。せっかく金が来たのに、どうしてこれを分けようかという場合、数名の人間が勝手に分けてしまうというような感じさえ受けるのであります。しかしながら今申し上げましたように、いい県もあります。特に検査の結果、この県はいいという県も少数であるがあるわけでありますから、その県と同じようにやってもらえば、何とかうまくいくのじゃなかろうかという印象も持っているのであります。私どもはもうやめてしまうほかないだろうという考えを持ったこともありますが、今申し上げましたように、いい県も若干ありますから、その県に右へならえが願えれば、何とかうまくいくのじゃないか、やめるということは相当大きな問題でありますから、そこまでの強い廃止意見は私どもとしては持っていないのであります。いろんなことも考えて、県にも報告を出しましたし、農林省にも最近相当強い注意書を出しているのであります。何とかやりようによっては、うまくいくのじゃないかということも考えているわけであります。農民はこの制度を知らない、なじんでおらぬということが一番の欠陥じゃないかと思うのであります。それから常習災害地、年がら年中必ず災害を受けるところもあります。反面、隣の村はまるっきり災害を受けない、先相代々無被害だというところもあるのでございます。こういうところには、何かたとえば無事故戻しと申しますか、事故がなかったときに金を払い戻してやるとか、いろいろ考え方があるんじゃないかと思うのであります。これは相当制度としてはいい制度であります。何とかこれを生かしていきたい制度なのでありますが、現状では、はなはだ悲観せざるを得ないということが言えるわけであります。それから宮城県は来月検査でありまして、昨年度はやっておりませんからどうぞよろしく。
  20. 助川良平

    助川委員 それから、水増しのねらいをつけて監査されたというお話ですが、これは会計検査院じゃなく、農林省の方にお伺いしたいのですが、評価をされて、共済金を渡す場合には、実際は刈り取りまでの共済責任です。ですから実収高なり刈り取ってからの実績を見て金を払うというのは間違いないわけだと思うのですが、実際に今まで取り扱っておることを、私も共済組合長なんで若干承知しておるわけなんですが、実際に保険金を支払う場合には、統計事務所の数字を合せて、上下何%の幅で決定をするというふうに承知しておるのですが、そうですか。
  21. 大坪藤市

    ○大坪政府委員 ただいまのお話でありますが、会計検査院お話の点は、組合員共済組合との関係の場合に、組合員の損害を多く見積ってそれを連合会報告していく、こういう事例じゃないかと思うのであります。国と県の再保険金支払いの方法は、これはまた県を単位として考えますので、ただいまお説の通りであります。
  22. 助川良平

    助川委員 そうしますと、水増しが非常に多いというお話なんですが、県には県で統計調査部の出先きがあって、県内の実態についての調査は、能力の範囲内において可能な限りの正確な数字が出ておる。それを各郡内の実態調査というものを行なって、統計調査の出張所で検討をして、常に統計調査部の資料に合うように結論的には仕事が行われているように私承知しておるのです。そうしますと、今兵庫県の例で、実際の実損額の場合も、連合会査定でもらうので、組合申告を何倍にもすることはめちゃくちゃだと思いますが、いずれにしましても、そうした統計調査部の末端機構と常に密着しながら、共済金支払い問題が兵庫県の場合も現実にとり行われておるわけです。そういう場合に、水増しの線がこんなに出てくることは、ちょっと了解がつかない。統計調査部の方では、実際の取り扱いをどんなふうにやっておられるのでありますか。
  23. 大坪藤市

    ○大坪政府委員 ただいまお話の点でありますが、政府と県共済組合連合会との関係におきましては、県を一つの単位といたしまして、その実収高から再保険金を計上いたしております。ところが県内に多数の組合があるのでありまして、その方の関係は県内において連合会で調整をとる。こういうようなかっこうになっておりますから、ただいまの個々の組合をとって参りますと、場合によってはそういうような事例が出てくるのじゃないか、かように考えております。
  24. 芳賀貢

    芳賀貢君 会計検査院にお伺いします。先ほど水増しの価格の点の御説明があったのですが、これは一応共済制度というものを頭の中に入れてかからぬと、正鵠を得ない場合があるのです。あなたの言われたのは、本人の申告が、組合の段階を経て非常に水増しになっているということでありますが、これは規定の中に、共済組合の中に損害評価員というものがある。しかも御承知通り引き受け面積の中に災害が起きた場合には、一筆ごとに、損害の度合ごとにこれを調査しなければならぬことになっておる。しかもその災害の度合によって保険金の支給率が非常に違ってくる。ですから本人の意思によって申告されたものを、共済組合損害評価員が一筆ごとに損害を査定する。その結果というものは、本人の申告と異なったような数字が出てくる場合も非常にある。それをさらに県の連合会が町村単位の、全体を通じてのまた損害数字の把握を行うので、そういうことになると、あなたの言っているところでは、水増しというものは、本人の意思に基くものが水増しされたのであるか、それから共済組合損害評価の結果ができたにもかかわらず、それをさらに共済組合が上部機関の方に何倍かの水増しを出しているのか、そういう点をもう少し明白にしてもらわないと、ただ単に本人の申告水増しされておるというだけでは、具体性がないわけであります。その点はどうなんですか。
  25. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 水増しを、組合員水増しをするか、共済組合水増しをするかというお話でありますが、私どもが先ほど御紹介いたしました兵庫県の例は、組合員申告したものを四倍以上に組合水増しをした。そうして評価員はおりますが、これはいわば自己評価でありまして、ここに一番大きな欠点があるわけでありますが、保険金をたくさんもらいたい連中が寄ってたかって評価するわけであります。それでとかくここに水増しの例が出るわけでありますが、個人が水増しして評価したというケースは、昨年は私どもはつかめなかったわけであります。この兵庫県の例も、四倍以上に水増ししたのは、個人々々からの申請を集めまして、組合がそれを四倍以上に評価してしまった。こういう事例であります。  それから御参考に申し上げておきますが、保険料が高い高いという声もずいぶん聞くのであります。今まで農業共済制度改正という点の重点は、まず保険料を下げること、それから共済金をふやすこと、こういうところに重点が注がれていたようであります。この共済金は実は安いのであります。これが一番多くて、全損の場合に反当り六、七千円、三割以内は認めないのでありますが、三割以上の減収の場合に認めますが、三割の場合に一割であります。反当六百円か七百円しか三割の場合にもらえない。こういうのであります。掛金の方はどうかといいますと、これは高い高いと言われておりますが、大体百五十円くらいであります。年に反当百五十円、高いか安いか……。
  26. 芳賀貢

    芳賀貢君 僕はそういうことを聞いておるのではない。
  27. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 先ほどお答えしたはずでありますが、今のは御参考に申し上げておるのです。
  28. 芳賀貢

    芳賀貢君 僕の質問に答えて下さい。掛金がどうかということを聞いておるのではないのです。
  29. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 いろいろ話が出ておるので……。
  30. 芳賀貢

    芳賀貢君 それはその都度あなたが答えればいいじゃないか。  それでお尋ねしたい点は、共済保険金をよけいもらいたい連中が自己評価をしておるという指摘なんですが、それは非常にあなたの言葉の行き過ぎなんで、今の共済組合制度というものは、制度自体がそういうことを示しておる。そういう制度の中において、自主的に正確な損害評価をやらなければならぬということはもちろんであるけれども、ただ単に利害だけのために、保険金をもらいたい連中が、勝手にそれを水増しをしておるというような断定は慎しまなければならぬと思うがどうです。
  31. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 評価員が自己評価をする、これは今のおっしゃる通り法律できめていることでありますが、そこにとかく水増し的な要素が入りやすい現状だと申し上げたわけであります。先ほど申し上げた兵庫県のケースは、今も申し上げました通り組合員申告組合水増しをしたというケースであります。そこで私率直に申し上げておるのでありますが、水増しが多いといううわさを聞きます。これで刑事事件になった例もあります。そういう面もよく調べようと思ったが、なかなかうまくいかない。それで七月以後は、組合員に届いているか届いていないかということを重点に検査方針を転換した、こう申し上げたのであります。別に予断をもってやっておるのではないのでありますから、その点は一つお含みを願いたいのであります。兵庫県のケースは、繰り返して申し上げますが、組合員申告したのを組合が四倍以上に水増しをした、こういうケースであります。
  32. 芳賀貢

    芳賀貢君 私の指摘しているのは、組合員である個人が、自己の耕作しておる農作物に対する損害を申告したということが基礎になるのではないのです。保険に対する一定の反別に対して契約をして、その災害ができた場合においては、一筆ごとにそれを区分して、災害の度合いを調査して確認しなければならぬ。ですからあなたの言う水増しというのは、ただ組合員個人が自己の判断だけに基いた申告に対して共済組合がこれを水増ししたかどうかということをさしておるのか、災害の実態を認定した上に、さらにそれを過大評価しているということをあなたは水増しと言っているのか、その点が明確でないと思うのです。災害の度合いを過大に評価して、ことさらに故意に水増し評価をしてやっておるのか。個人のただ任意なる申告水増ししたという点を説明したのか、その点をもう少し明らかにされたい。
  33. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 水増しといいましても、いろいろな意味があると思います。要するによけいの、実被害以上に保険金をもらうのが、結果的に見て水増しなんであります。これは個人が過大に申告する場合もあります。それから組合連合会に出すのを、個人の申請以上にふくらます場合もあります。いろいろなケースがあると思います。個人が過大に申請しているかどうかという点を、しっかりとここではっきり申し上げるだけのものは、私もつかんでいないのであります。先ほど申し上げました兵庫県の例は、個人が出しましたものを評価員が評価しまして、その評価の結果を組合で勝手に水増ししたのであります。組合がやったのでありまして、個人の申請は先ほど申し上げましたように、保険金の基礎になった連合会への申請の四分の一というのを評価員が評価しまして、その評価した結果を組合で任意に水増しをした、こういうわけであります。水増しの場合もいろいろあると思いますが、個人がふやしたかどうかということは、災害が起って半年たってから検査に行ってもわかるものではございません。即座に調べれば別でありますが、これはなかなかわからないのであります。それから農林統計調査部の調査も、これは一筆ごとにやっておりません。一筆ごとに統計調査部がやっておりますれば、厳正なものが出て、第三者評価になるわけでありますが、大体郡単位くらいにしかやらないのであります。しかも標準地調査といって、あるところをやりましても、それは第三者評価の資料にはならないのであります。農業共済の場合は、全部一筆ごとに評価をして出す。あとになりますと事実に即した評価かどうかなかなかわかりにくくなるわけであります。
  34. 足鹿覺

    足鹿小委員長 ちょっとお打ち合せをいたしますが、先ほど申し上げましたように、きょうは行政官庁の係官も見えております。これはまたその立場から、御調査になった結果を一応報告していただくことになっておりますので、別に委員の発言を制するわけでありませんが、お手元へ配付してあります農林経済局提出の資料の六十三ページに、会計検査院実地検査及び指摘内容というものが文書になって出ております。これを一つ次会までによく御検討いただいて、疑問の点等よくあらかじめ予定していただくと、非常に次の進行上よろしいと思います。それから九十一ページに行政管理庁補償制度に対する監査指摘事項についてというのもありますので、一応きょうは突然、皆さんにも十分こういう方々が見えるということの御連絡もつきかねておりましたので、いろいろと混乱もあろうと思いますが、この程度で会計検査院への御質問をちょっと留保していただいて、行政管理庁の方の報告を聴取して、あとで総合的に、もしまだ御疑念があればやっていただきたいと思います。——芳賀君いかがですか。
  35. 芳賀貢

    芳賀貢君 もう一つだけ、私この点をもう少しつまびらかにしたいというのは、今問題になっているのは、やはり共済組合の組織単位を市町村単位にすべきであるとか、あるいは郡単位にすべきだというところに問題が非常に多いと考えております。ですから損害評価の場合も、ただ単なる損害の認定というものを、少し甘く判断されたかどうかということも、あなたの方ではこれを水増しと称しておるように聞えるのでありますが、そういう点はやはり制度上の基本的なものを頭の中に入れてかからないと、これは個人の申告というものが行われるということは事実でありますが、問題は被害の実態を損害評価員が忠実に把握しなければならぬという、そこに任務があるのです。ですからたとえば組合員がその被害よりも過小な申告をした場合には、それが大きく是正される場合もあるし、過大に申告した場合においては、それが適正に圧縮される場合もありますけれども、常識的に考えてみては、損害評価の結果は個人の申告より大きくなることはあり得ないということは私たちも承知しておるわけです。ただ問題が最終的に適正かどうかという判断は、やはり今までの供出制度の作況に対する一つの判断というものが、これと並行しているということは御承知と思うわけです。ですからたとえばどの県の何村が非常に、損害額が二倍にも三倍にも過大に評価して保険金をよけい取ろうとしておるとしても、これは客観的に見た場合において、その村の作況指数が、平常の年次に対してどの程度であるかということは、大よそ把握できるわけです。八分作か七分作かということは、そういう大局から見てお考えになった場合においては、大よその判断はつくのではないかというふうに私たちは考えております。しかもこの制度を、最終的な段階においては、最初の制度の中では損害評価がだんだん累積されて、それに対して国の補償金が支出されるということになるけれども、実際今の運営は、最終的な段階においては、国は統計調査部の作況の判断の数字を根拠にして、それを都道府県に対して、大体共済金政府支出というものを最終的にはきめるわけであります。ですから個々の配分に対しては不適正なものがあるかもしれないけれども、客観的に考えた場合においては、その年次の災害が非常に過大に評価されて、国が不当な共済金というものをよこしまに取られておるのだということにはならない。むしろ適正な損害評価が累積されて、国が支出しなければならぬ分に対しても、ある程度規制がされておるという面もないわけではない。そういう点を一応今後調査される場合も、認識の中に入れられて、しかも共済組合の組織単位——町村といういろんな因縁情実の上に立った地域団体というものを、今後の共済組合の一つの末端の組織体として妥当であるかどうかということも、やはり判断をしておく必要があるのじゃないかと思います。  もう一つは、掛金を全然払っておらなくて、保険金だけもらっておるところがあるというお話でありましたが、これは毎年のように引き受けの契約を行うわけなんです。そうすればどの団体だって期限内においては当然掛金を納めなければ、保険金をもらう権利は生じないのです。ですからそういう場合には、やはり共済組合が立てかえかなにかの形において、何らか形だけは整えておるのじゃないかと私たちは判断しておるわけです。あなたの先ほどの御説明を聞くと、全く掛金を払っておらなくて、保険金だけを受け取っておるのだというようなことですが、それは組合員個人が期日までに掛金を納入するのを怠っておったという意味か、あるいは共済組合が上部機関に対しての掛金を全く納めておらなかったか、そういう点はどうですか伺いたい。
  36. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 評価の問題でありますが、先ほどのをもう一回申し上げますと、兵庫県の例で、つまり水増しと言うと語弊があるかもしれませんが、百六十四万円という申告が農家からあったわけであります。私どもとしてはこれを前提にして考えたわけでありますが、中には農民組合員申告が過小なものも、これは時にはあると思います。適正な評価によってそれをふやすという場合もあり得るのでありまして、適正な方法に従わなければならぬわけでありますが、この場合には、百六十四万円の申告に対しまして、七百四十三万円というのが県連に出たわけであります。何ぼ何でも、四分の一以下にこの村の全農家が過小申告をしたとは思えないとわれわれは判断しておるわけであります。先ほども申し上げたように、県連がこれを査定いたしました金額が三百六十二万円で、それでも農家の申告額百六十四万円の倍以上であります。これは一軒一軒で見ますと、なるほど過小評価もあるかもしれません。見そこないもあるかもしれませんが、村単位で、全体が倍以上というのはどうかという感じを持っているのであります。  それからこの掛金の点でありますが、先ほど申し上げましたように、赤字経営をやっている。つまり掛金は一応納めた形にはしているのであります。掛金は反当百五十円くらいでありまして、そう大きなものではありませんが、これを格好は一応全部納めたように経理しております。そこで組合赤字経営になってしまうわけであります。農民から取らないで、しかも県連へは一応掛金は納めるのであります。これは強制加入のせいなのですが、ともかくも農民から出た格好にはしているのであります。そうして実際には農協なりなんなりから金を借りてやっているのが多いのであります。これは農民がまるきり現実に出していないという点は割合に多いのでありますが、形だけは農協から借金するなりなんなりして、一応一筆ごとに全部掛金を払い込んだ形式にしているのであります。ただ形式をそうしているだけであります。それで先ほど申し上げたように、足が地についていない、農民層に根をおろしていないという印象を受けるわけであります。
  37. 日野吉夫

    ○日野吉夫君 どうも今の局長の説明では、百六十四万円が七百四十三万円に水増しされたということは、ちょっと理解がつかないのです。これには多分作報の作況調査もありましょうし、作報でこうふやすわけには参りませんでしょうから、被害面積を手かげんしたとか、いろいろのこともあろうと考えられるので、一つこれをサンプル係数として調べてみたいと思うのであります。この経過をあなた方が調査になれば、個人々々の集計が百六十四万円になって、組合段階で七百四十三万円になって、そして県段階で査定の結果が三百六十二万円になった、こういう経過を一つ資料として提出していただきたい。これは農林省や県の指導官検査官が見られれば、どこでごまかしているかということはすぐわかるはずなのです。県の指導が適切に行っているかどうか、これらのことを判断する材料になると思いますので、一つこれを御提出願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 これは資料と申しましても、ここで申し上げる程度のことしかないのでございますが、結局この天満村は、六百五十四町歩の耕地があるわけであります。
  39. 日野吉夫

    ○日野吉夫君 全耕地から、被害農家戸数から、こういうものを一つ親切に書いて出していただきたい。
  40. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 よろしゅうございます。
  41. 伊瀬幸太郎

    伊瀬小委員 十六の組合を調べられて、政府から出ている金が六千六百六十七万円とおっしゃった。それが五百四十四万円しか農民に渡っていない。そうするとあとの金をどこへ使われたかという。それをちょっと聞きたいのですが、これは資料を一つ出してください。
  42. 小峰保栄

  43. 芳賀貢

    芳賀貢君 なお資料ですが、これは兵庫県の天満村の共済組合においても、この帳簿があるわけですね。組合員のは大して大きな額じゃないと思います。基準反収はそこではどうなっているとか、個人的な内容もあると思いますが、それに必要な被害損害評価はどうなっているか。なお、この村に対する統計調査部の調査もおそらく行われておるであろうし、また水稲の場合には、供出関係もそれに随伴しておると思いますので、共済組合やあるいは町村長、統計調査部、これらの機関でも、これと並行して、対照して判断できるような資料の提出をすみやかにされるように取り計らっていただきたいと思います。
  44. 足鹿覺

    足鹿小委員長 それではまだあとに御質問があれば機会はありますから、行政管理庁の方から行政監察の結果について、御説明を願いたいと思います。
  45. 大森浩

    ○大森説明員 御要求がございましたので、私から監察部監察をいたしました結果につきまして、御報告を申し上げたいと思います。その前にお断わりをしておきたいのでありますが、実は農業共済制度の問題につきましては、農林省から地方に流れております国費の中でも、相当大きな部分を占めておる重要な施設でございまするし、なおその運用につきまして、とかくのことがあるやに聞いておりましたので、実は昨年四月から九月にわたりまして、私どもの方の名古屋管区監察局と岐阜の地方監察局で、とりあえず両県の監察をいたしたのであります。その結果、一応いろいろの問題点が出ましたので、これを取りまとめて実は農林省の方へお話をしようかというふうに考えたのであります。本来私の方の仕事のやり方は、監察をやりまして、いろいろ重要な改善点を発見いたしましたならば、これを主務官庁の方に勧告するという建前になっておりますので、名古屋、岐阜の問題につきましても勧告をすべきか、一応考えたのでございます。しかしながら何分にも両県のことでございまして、この制度全国にわたっておりますので、全国的のいろいろの事情調査をいたしませんと、その両県のみの結果から一応の結論なりあるいは勧告の事項をきめるということは、不適当ではないだろうかというふうなことを考えまして、本年の二月から全国監察局を使いまして調査をいたしておるのであります。その結果が近々中央の方にも参ることになっております。これが取りまとめができましたならば、全国的の資料に基いた一応の監察局の勧告の内容が決定し得るのであろうと思っておるのでありますが、しかし御要求もございますので、両県の監察をいたしました結果の問題点のみを、一応中間的にこの席でお話をしておきたいと思うのであります。  監察をいたしました対象は、愛知県におきましては県庁と共済組合連合会の本部、これはもちろんでありますが、支部を十七、市町村農業共済組合を四十九、それから市町村の部落代表者あるいは農家、こういうものを百四十七名、それから岐阜県におきましては支部を五、市町村農業共済組合を三十三、農家を百、大体この程度の監察をいたしたのであります。この監察で重点的に考えましたのは、制度は一応りっぱな制度があるのでございますが、これが末端共済組合では、実際どのような災害補償事務を行なっているのだろうか、また農村ではこの災害補償制度をどういうふうに取り入れているのだろうかというふうな実態を把握するということに重点を置いてやったのであります。従いまして、そのためには県内のできるだけ多くの支部、組合に対して調査を実施するという方法をとったのであります。しかしながら共済組合は御承知のように、農産物の共済、蚕繭の共済、家畜の共済その他任意共済等も含んでいるのでございまして、こういうものの全部の調査をいたせばよかったのでございますが、人員の関係あるいは経費その他時間等の関係もございましたので、結局昭和二十八年産の水稲と麦に限定をいたしまして、そのうちでも水稲に重点を置いて監察をするという結果になっているのであります。その点を御了承願います。  監察結果の問題点として、調査の結果出て参りましたことは、第一に組織を指導監督、運営状況についての問題であります。結論だけを申し上げますが、県の指導監督は、私たちが調査した結果から見ますと、必ずしも徹底しているとは認められないのであります。両県でも愛知県の方はある程度よくいっているようでありますが、岐阜県の方はややこれに比較しては劣っているというふうな結果が出ております。  連合会の本部と支部でありますが、ともに損害評価委員会の組織は、非常に形式的なものになっておるのであります。なおその上本部からの支部並びに末端組合に対する指導も、必ずしも活発に行われているとはいえないというふうな、一応結論的な見方が出ております。  次に末端共済組合でございますが、この末端共済組合長には、農協組合長、市町村長の兼務が問題に多いのであります。この兼務の問題につきましては、一がいにその兼務が適当であるとか不適当であるという結論は出し得ないと思いますが、この兼務に従っていろいろの弊害も認められるのでありまして、一つの問題点であることには間違いないと思うのであります。  次に組合職員の素質なりあるいは職員に対する給与なりについて考えてみますと、素質は必ずしも非常に良好であるとも申せられませんし、また給与の点におきましても、組合によって非常に違っているのでありまして、実に種々雑多であります。かような点にも問題があるのじゃないかと考えております。  次に組合損害評価委員の人員の構成でございますが、これは調査の結果によりますと、最少四名、一番多いのでは七十五名、こういうふうな大きな差があります。また部落の利益を代表する部落の生産組合長実行組合等でありますが、これが問題になっている場合もかなり見受けられるのであります。これも先ほどいろいろ御議論がありましたように、問題になる点ではないかと思うのであります。  次は共済引き受けの状況でございますが、水稲につきましては、引き受け面積は、ほとんどこの引き受けの場合に実態調査というものをいたしておらないようであります。その結果実態と引き受けの帳簿上の面積というものは、必ずしも一致していない。その結果、結果的のことでございますが、供出対象面積と大体一致しているか、あるいはそれに接近した数字で一応帳簿上きめているのじゃないかというふうな点が見られるのであります。また連合会報告いたします引き受け面積と実際の組合の引き受け面積が相違をしておるというふうな、これは一つのずさんな事務の例かもしれませんが、さような例も多々見受けられたのであります。  次に基準収穫量でございますが、これは農林省でおきめになっております評価要領というものにも示されておるのでありまして、その通りしなければならないのでありますが、これを正確に算出し、決定しておるという事例はきわめて少いのじゃないか。多くは県反収に合うように逆算によって算出しておるのじゃないかというふうなことが認められたのであります。単に形式的な数字が掲げてあるというふうな結果になるのじゃないかと考えておるのであります。  次は、共済掛金、賦課金の徴収の状況であります。この徴収につきましては、本来は告知書によって各組合員から徴収するのが建前でございますが、こういうふうな正式の方法をとっておるものはきわめて少い。大部分は組合部落を通じまして共済掛金、賦課金を徴収しておる。本人の方はあまり御存じないというふうな実情がかなり見受けられたのであります。また組合で前年度の共済金から差し引いて共済掛金なり賦課金を取っておる。また組合で立てかえまして連合会に保険掛金を納入しておるというふうなものが多かったのであります。これは先ほど検査院からお話になったことと大体同じような結果が出ております。  次は、損害評価の実施の状況でございますが、水稲につきましては、連合会本部は、農林省の査定目標のワク内で支部別に査定指示を与えております。結果的には、連合会損害評価は、末端の農家からの順次積み上げによるものではなくて、逆に政府の方からワクが与えられまして、そのワクにはめ込んで下までずっと及んできておるというふうな形が多いのであります。考え方によれば何だか一種の補助金のような運営に堕しておるというふうな印象も受けたのであります。今申し上げましたのは水稲でございますが、麦につきましても大体同じような結果でございます。その結果、水稲、麦ともに連合会の支部段階では、多少の例外はございますが、本部の指示通りの評価を行なっておりまして、独自性というものがほとんど認められておりませんが、ただ町村間の均衡ということについては、供出割当等をかなり考慮に入れられまして、いろいろな考慮をお与えになっておるというあとが多分に見られるのであります。それで適正に損害評価を実施したという例は、調査いたしました結果から見ますと非常に少いのでありまして、一応これを数字で申し上げますと、水稲では愛知で二九%、岐阜では一二%、この程度がまあ適正な損害評価を実施しておるのじゃないか。それから麦につきましては、愛知が二〇%、岐阜が九%、大体この程度の組合が適正な損害評価を実施しておったようだと結果的には判断されたのであります。また組合損害評価の野帳は非常に信用がないと申しますか、連合会の決定に合せてあとから作られたという形が多いようでありまして、中には原始記録もないようなものが相当にあったようであります。かようないろいろな事例が調査の結果出ておるのであります。  なお、評価に関連いたしまして、不適正な事例といたしましては、損害評価なんかも全然行なっておる形跡がないというふうな組合が、麦について愛知では三件、岐阜では二件発見されております。また連合会の決定を有利にするために、組合の評価を故意に水増しをしておるのではないか、先ほどもいろいろ御議論がありましたが、そういうふうに認められたものが水稲におきましては愛知で二件、岐阜で三件ありました。麦では愛知二件、岐阜三件、こういうものがそれに当るのじゃないかというふうに考えておるのであります。また連合会の決定に合せまして組合の評価を過大に水増しをしたと認められるようなものもございまして、これらはいずれも評価に関する不適正な事例ではないかと考えておるのであります。  次は、共済金支払い状況でございますが、共通的の問題といたしましては、組合員に対する支払いの公示というようなものはほとんど行われておらない。非常に不徹底である。多くは組合部落を通じて共済金を支払っておるというふうな事情でありまして、この組合支払いの公示なんかはほとんど無視せられておるというような事例があります。また組合の農家に対します支払いは非常に時期がおくれておるというふうなことが一般的に認められたのでありますが、またそのほかに共済金支払いにつきましては、共済金を反別割りの評価書通り支払っていない。一応評価書によって組合共済金が回って参りますが、それとは全然別個の標準で組合に払っておるのではないかというふうな事例が認められたのであります。これを調査した結果数字的に申しますと、愛知では水稲二十三件、四七%、麦二十六件、五四%、これらがどうも評価書と実際支払ったものが違っておるのじゃないかという結果が出てくるわけであります。岐阜では水稲二十四組合、七二%、麦十九組合、五九%、こういうふうな結果が出ております。このような場合には大部分のものが二重帳簿を作っておりますので、表面から見ますと非常にきれいになっておりますが、実際は二重帳簿なんかを作ってこれを隠蔽しておるというようなところが多いのではないかというような感じを受けております。また共済金から、掛金でありますとか賦課金、寄付金、部落費等を取りまして、これを別の用途に使用するために、掛金、賦課金、寄付金等の差し引きを行なった組合部落がかなり多いのであります。全然組合のことには関係のないようなことにその金を使っておるというような事例も出ております。まあ大体調査をいたしました結果、問題点と見られるようなものは以上のようなもので、ございまして、これは今全国的に調査をいたしておりますので、あるいは全国的の調査の結果は、また広範囲の問題点があるいは出るのではないかというようなことも考えております。  最後に、これらの調査を通じまして一応考えられることを申し上げておきたいのでありますが、この調査愛知、岐阜の両県のみに実施したものでございますから、とらえました事象は直ちに全国的に普遍性があるものだというふうに結論するのはいささかはやまっておるのではないかと考えるのでありますが、これらのうち、単に両県のみの局地的のものとして片づけられないものがあるんじゃないかということを調査の結果印象を受け、感じさせられたのであります。調査によりますと、引き受けから共済金支払いに至るまでの過程におきまして、不適正と指摘し得る事例は少くなかったのであります。共済金の総花的な配分でございますとか、あるいは他目的使用、またこれら不当処理を正常化するために擬装になみなみならぬ苦心を払っておるという点等が、共済制度の趣旨徹底、完全実施はまだなおいまだしというような感じを与えることになってくるであろうと思うのであります。特に共済金の配分に関します不当処理は、重要な問題と思われるのでありますが、これらの問題はいろいろと複雑な原因があるでありましょう。ある組合では、規定通り組合で配分を実施しようといたしましても、農家の部落代表から反対をされまして、やむを得ず別途の方法で共済金を配分したというようなことを申しております組合長もあるのであります。この場合に考えられますことは、農家の方では共済金制度は、これは共済と申しますが、保険制度よりは補助金なんだ、当然均等にもらう権利があるのではないかというようなことを考えておられるんじゃないかという印象を受けたのであります。本制度の趣旨の達成、完全な運営というものがいかに困難であるかということが、今日までの調査を通じまして非常に痛感をしたのでありますが、それだけに農林省から末端組合に対する監督を厳重にするということ、あるいは場合によっては制度相当考慮しなければならぬじゃないかというような点も一応今までのところ中間的に考えておりますが、まだ最終的にその結論を申し上げる段階に至っていないということを御了承願いたいと思います。  私の御報告は以上の通りであります。
  46. 足鹿覺

    足鹿小委員長 御質疑ありますか。私からちょっと大森さんに伺っておきますが、今のは名古屋と岐阜の分だけでありますが、全国的な観察の結果はいつごろまとまるのですか。その結果を承わるのはいつごろが適当でしょうか。
  47. 大森浩

    ○大森説明員 大体今までの例によりますと、全国から中央に集まりましてから、中央でとりまとめに、一月くらいは最小限かかっておりますので、まだ全国のものがまとまっておりませんので、少くとも一月はかかるんじゃないかと思っておるのでございますが、一応従来のやり方から申しますと、その程度じゃないかと思っております。
  48. 足鹿覺

    足鹿小委員長 それは手続上やむを得ないことでしようが、大体中間報告的なものを作って、今月の中旬ごろまでに当委員会に御報告願うような手はずはできませんか。
  49. 大森浩

    ○大森説明員 実は今報告書が集まっておりますのは、全国的に見て六割程度でございますので、中ごろまでにその集まっているものの中から、中間的のことなら努力して御趣意に沿うようにしたいと思いますが、全国のものはそれまでにできてないと思います。御了承願いたいと思います。
  50. 足鹿覺

    足鹿小委員長 ただいまの六割程度集まったものをまとめるだけのものでけっこうです。
  51. 大森浩

    ○大森説明員 中間的のもので、一つできるだけ御趣意に沿いたいと思います。
  52. 足鹿覺

    足鹿小委員長 なおほかに御質疑ありますか——それでは私から二、三お尋ねしておきたい点がありますので、農林省に伺いますが、ただいまお聞きのような会計検査院並びに行政管理庁調査の概要が現われているわけであります。かくあることをわれわれは別途に指摘して、そうしてこの抜本改正昭和二十八年から熱心に取り組んできている。ところがいまだにめどもつかないということでありますが、これは別な機会に大臣その他からも基本方針を伺いますが、所管局長としては、このような事態に備えて、当面どのような措置をとるか、また抜本改正についてはどういう見通しを持っており、制度改正協議会は人の差しかえを行なって直ちに発足すると称しながら、今日まで遷延しているが、いつこれを再発足せしめて基本的な問題の検討に入るのか、そういった点についてまず伺いたい。
  53. 大坪藤市

    ○大坪政府委員 ただいまの第一点は、会計検査院並びに管理庁から、相当共済組合についての不適正な事例が提出されている。これについて農林省としてはいかなる対策を立てるか、こういう問題でありますが、私どもといたしましては、実は共済組合につきましては、ただいまのような事例が相当たくさんあるということは、今日に至るまで予想していなかったのであります。大体におきまして法の命ずるところによりまして運用されておったものと考えておったのでありますが、ただいまのように相当多数の事例が出て参りますということにつきましては、まことにこの点につきましては遺憾の意を表する次第であります。つきましては、まず何よりも現在ある組合の組織を整備し、その機能の充実をはかりまして組合運営を充実させ、そして今のような事例のないように期しますことが先決の問題だと思いまして、先般緊急に府県の担当課長を招集いたしまして、また経済部長等も招集いたしまして、農業共済組合運営整備要綱というものがお手元に参考として配布いたしてありますが、その要綱を中心にして論議いたしまして、この要綱によりまして強く共済掛金の完全徴収あるいは共済金のいわゆる完全支払い、これが根本をなしますので、これを土台にいたしまして、法の命ずるところによって共済組合制度を運用して参る、このことが第一点ではないか、かように存ずるのであります。  次に第二点の問題でありまするが、ただいま委員長から御報告がありましたように、農業共済組合制度の問題につきましては、機構その他各般の問題があるのでありまして、この点につきましては、すでにただいま委員長よりお話がありましたように、昨年の幕に中間答申があったのであります。われわれといたしましては、この中間答申の線に沿いまして鋭意検討いたしたのでありまするが、三十年産米からあの中間答申はこれを適用するということになっておったのでありまするが、いろいろ検討いたしました結果、三十年産米よりこれを適用することは実際問題として不可能であり、またかつは現在の組合状態からいたしましてあのシステムを直ちに押しつけると申しまするか、あの機構によって動かすには、組合の機構をもう少し充実したあかつきにおいてやった方がいいじゃないか、こういうような観点からいたしまして、本年度はもう一年間一つただいまの御答申の意に沿いまして種々検討して参りまして、あの線に沿った、がっちりした機構を打ち立てまして、それによって法律制度を制定して参りたい、かように存じまして目下それにつきましての準備をいたしておるような段階であるのであります。御了解願いたいと思います。  制度改正協議会につきましては、三名ほどの議員の方の変更がありましたので、これにつきまして私の方の政務次官より党の方といろいろ連絡いたしまして、数日前に委員の一名の変更の決定がありましたので、いろいろ相談いたしまして、できるだけすみやかな機会にあの協議会をさらに再開をしていただくように、農林省といたしまして申し入れをいたしたい、かように存ずるのであります。
  54. 芳賀貢

    芳賀貢君 ただいま局長のお話がありましたが、この局長の意思表名の中でも積極的なものが全然ない。第一点にいたしましても、今の制度をなるたけ末端に浸透させて充実させたい。もう問題点が出ておるのです。どの点とどの点が今の制度下においてはさっそく是正しなければならぬという問題点が浮き彫りされておる。それをまた黙殺してこれをどこまでも徹底させるということでは、根本的な是正はできないのです。だから一昨年からその問題を早く結論的に是正しなければならぬ、根本改正をしなければならぬということをわれわれは主張しておる。特に先ほどの水増し問題にしても、今の制度の中では共済組合は自主的に損害評価をして、それが累積された問題に対して政府は財政的な損失補償をやるということが明記されている。しかし運営面においては、政府は天下り的にワクを与えて、それに符節を合せるということを今やらしておるではないですか。だから当然正当な保険金を受け取るためには、技術的に損害を水増しするような形で、要求しておかなければ実態と合わない、こういうことになっておるのです。だから問題点が明らかであるのですから、こういう点はただいま問題になっておるこの損害評価というものを統計調査機構というか、やはり政府機関がそれにタッチして、適正な損害評価末端機構の中においても行われるようにしなければいかぬではないかということも、もう結論が出ておるのです。だから本年度から全部一ぺんにやるというわけではなくて、漸進的に可能なる面からこれは制度改正をやるべきであるということになっておるにもかかわらず、まだことしはもう一年慎重を期して、三十一年度からぽつぽつやりたいということでは、いつまでたってもこれを期待することはできない。これは農林大臣が来なければはっきりしたことは言えぬかもしれませんが、所管当局をしては、決意のあるこうしなければならぬという、もう少し具体的な、積極的な意見を局長は述べなければいかぬと思いますが、どうですか。
  55. 大坪藤市

    ○大坪政府委員 ただいまの御意見でありまするが、いろいろ問題が出ておるという点につきましては、もうすでにその通りであります。従いましていろいろ問題が出ておりまする一つの大きな点は、検査院の第三局長が申されておりましたように、ある組合につきましてはこの制度農民から遊離しているというようなお話であろうと思うのでありますが、それにつきましてわれわれといたしましては、組合の内容を充実いたしまして、これの方法といたしましては単位組合の区域についていろいろ問題があったのでありますが、弱小等の組合がありまして、組合の能力からして現在のシステムではどうしてもやっていけないというような組合相当たくさんあるのでありますから、まず第一点といたしましては、組合をできるだけその共済制度に見合うような適切な区域に広げて参る。具体的に申しますれば、合併後の町村を目標といたしましてそれに準じた組合にできるだけ統合して参る、こういうことを具体的に進めておるのであります。第二点といたしまして、損害評価について、現在のところは県を単位としての損害の調査でありまするが、これをできるだけ市町村の組合と同じ区域で調査するようにというような強い希望があるのでありまするが、町村まで行きますことは現段階といたしましては困難でありまするので、さしあたりの問題といたしまして郡市単位に損害調査を統計調査部で実行いたしますように、この点につきましては必要な予算を本年度現実に計上いたしておるのであります。つまり損害評価適正化をはかる、こういうような措置をとって参りたい、かように存じておるのであります。同町に合併等と関連いたしまして、組合員の素質の向上その他各般の施策を実施して参りまして、組合がほんとうに現在のままの法制のもとにおいてまず完全に実行し得るような態勢を確立して参りたい、その基礎の上に立ちましていわゆる中間答申の線を打ち立てて参りたい、かように考えておるわけであります。
  56. 足鹿覺

    足鹿小委員長 なおただいまの局長の御答弁に関連して、統計調査部長にこの際伺っておきますが、ただいまのお話によると、損害評価の方法に改善を加える必要な予算を計上したと言っておりますが、何ほどの予算で、統計調査関係でどの程度の人員をふやし、中間答申の線に沿い得るような措置を講じてあるか、資料があればそれを提示して具体的に御説明を願いたい。
  57. 野田哲五郎

    ○野田説明員 資料を皆様にお配りするように準備しておりましたので、後刻お届けすることにいたしまして、簡単に内容を説明させていただきますと、前年度被害調査の金が一億円ありましたのが、本年度一億五千万円に増加になったのでございます。増加は五千万円ということでありますけれども、前年度置いておりました被害調査員の謝金が三千万円減じましたので、この被害調査に直接関係ある部分につきましては七千万円の増額ということに相なったわけでございます。この経費の大部分は職員を置くことにかえまして、非常勤的な労務者を八ヵ月間六百四十八人動員いたします経費が約四千四、五百万円入っておるのが根幹でございます。この職員とそれから面積及び作況調査の方から回します職員五百五十六名をあわせまして、この両者で調査をやっていきたいということにしておるのでありまして、この調査の方法といたしましては、従来県単位に被害量を見ておりましたのを、このたび郡単位に被害量が推計できますように、一出張所当りこれはほぼ一郡に二出張所見当になりますが、一出張所当り八十の単位区をとりまして、ここで収量が平年に比べましてどれぐらい増加し、どれぐらい減少しておるかということを調べて参る予定であります。それによりましてこの郡において三〇%以下の減収が何町歩、三〇%以上の減収を来たしたところが何町歩ということを推計することにしておるのでございます。簡単でございますが、以上であります。
  58. 足鹿覺

    足鹿小委員長 なおこの問題に関連しては後ほど十分また伺いますが、当面の問題として、全国で十県近い地帯にひょう害あるいは霜害、水害が勃発いたし、概算払い等の要求が地方からは相当強く出ておると思いますが、その実情について当局ではいかように処理されようとしておるか。現組合の内容を充実するのだというお話もありますし、従来のごとく非常に時期を逸するようなことではおもしろくないと思いますが、現在、昭和三十年四月以降に起きたこれらの各種農業災害に対して、概算払いの措置等はいかようになっておりますか。
  59. 大坪藤市

    ○大坪政府委員 ただいま御指摘になりました四月並びに五月の水害、凍霜害、ひょう害に関連いたしまして概算払いを強く要望されておられます府県のうちに、今までの調査によりましてほぼ概算払いの条件に該当すると思われる県が、佐賀県と福岡県の麦であるのであります。御承知のように概算払いを実施いたしますのには、被害程度が九割ないし十割、つまり全損ということでありまして、実収高による損害調査を待たずにその損害がすでにほとんど確定をしておるということが一つと、その県をとりまして県全体の被害が異常災害に該当する、この二つの要件を必要とするのでありますが、佐賀県並びに福岡県は、現在までの被害調査によりましてほぼそれに該当いたしますので、先月の二十一日に地方長官に通牒を出しまして、それに該当するならばそれを調査の上概算払いの請求をするようにということを通牒いたしたのであります。その他の府県につきましては、目下のところ概算払いについての条件に該当するような被害があるようにも今までのところ考えられませんので、その他の県につきましての概算払いはなお決定いたしていないのであります。
  60. 足鹿覺

    足鹿小委員長 最後もう一点お尋ねをしておきますが、去る昭和二十九年四月の衆議院農林委員会決議第五項によりますと、「共済農業協同組合連合会の行う共済事業と競合する建物等の任意共済は、一定期間後、農協に一元化し、事業内容に法的基礎を与えるものとする。」かくのごとき満場一致決議がなされ、この問題についても制度改正協議会において検討をされ、具体的な確案をわれわれにお示しになったこともあるのでありますが、当時の経過から見ますと、大体において農災組合協同組合の行うことは、各県においては大体協定がついて円満にいっておる。こういう話で私どももことさらにこれを考える必要なしとも一時考えたこともあります。ところが最近各地においてこの任意共済、特に建物共済をめぐって、同じ農民農協並び共済組合両方から対象として競合が起き、この問題をめぐって忌まわしい紛争すら起きておる。その一つの事例としては、長野県における最近の事態は好個の事例だと思います。ただいま問題になったように、元米共済組合が本来の農作物災害を完全に実施するためにすべての努力を傾注すべきである。にもかかわらず本来の任務を怠りながら、一面において経済的な収益のある純然たる経済行為を行なっていくということについて、私どもは非常な疑義を持っております。農林省としては、こういう事態各地に起きつつあるということを知っておるかどうか。またその一つの事例として長野県における実情等を調査し、検討をしておるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  61. 大坪藤市

    ○大坪政府委員 任意共済、特に建物共済の問題につきましては、これはいろいろと重要な問題でありますので、農業災害補償制度協議会にもこの問題を取り上げまして、諮問事項の一つとして討議いたしておるのであります。ただいま小委員長より建物共済について末端農業協同組合共済組合との間で紛争があるやに聞くがというようなお話でありますが、われわれといたしましても最近その事例につきまして了承いたしておるのでありますが、これは私どもといたしましてまことに遺憾に存ずる次第であります。この問題につきましては、すでに御承知通りに、いろいろ経緯もあり、いろいろな経過をたどって参っておる問題でありまして、同じ農業団体でありますから、私どもといたしましても、できるだけ円満に協調してこれをやっていくようにと念願いたしておったのでありますが、ただいまのような事例が起きましたことにつきましては、まことに遺憾に存ずる次第であります。この問題をどう処理するかということにつきまして、実はいろいろと苦慮をいたしておるのでありまして、ただいま小委員長から御注意がありました点もありますので、すみやかに本問題につきまして何らかの対策を講じまして、遺憾のないように期したい、かように存ずる次第であります。
  62. 足鹿覺

    足鹿小委員長 まだこの問題については重要な点がありますが、次会に留保いたしまして、審議を続けることにいたします。  それから今の長野県等における任意共済をめぐる紛争の実情について、農林省が調査した事例があるならば、次会までに御提示願いたい。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後一時十分散会