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1955-06-13 第22回国会 衆議院 農林水産委員会畜産に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十年三月三十一日(木曜日)委 員長指名で次の通り選任された。       安藤  覺君    楠美 省吾君       野原 正勝君    本名  武君       足立 篤郎君    大野 市郎君       川村善八郎君    井谷 正吉君       有馬 輝武君    稲富 稜人君       中村 時雄君 同日  野原正勝君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。     ————————————— 会 議 昭和三十年六月十三日(月曜日)     午前十一時六分開議  出席小委員    小委員長 小枝 一雄君       安藤  覺君    楠美 省吾君       本名  武君    淡谷 悠藏君       井谷 正吉君    稲富 稜人君       中村 時雄君  出席政府委員         農林事務官         (畜産局長)  原田  伝君  小委員外出席者         議     員 石坂  繁君         議     員 笹山茂太郎君         議     員 生田 宏一君         議     員 芳賀  貢君         議     員 川俣 清音君         農林事務官         (畜産局畜政課         長)      石川 武平君         農林事務官         (畜産局経済課         長)      岡崎 三郎君         農 林 技 官         (畜産局生産課         長)      神尾 正夫君         農林事務官         (畜産局飼料課         長)      昌谷  孝君         農 林 技 官         (畜産局有畜営         農課長)    山本兵三郎君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 五月二十五日  楠美省吾君同月十三日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員補欠選任された。 同日  小委員野原正勝君同月十三日委員辞任につき、  その補欠として小枝一雄君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  大野市郎君及び稲富稜人君同月二十日委員辞任  につき、委員長指名で小委員補欠選任され  た。 同日  川村善八郎君三月三十一日委員辞任につき、委  員長指名で小委員補欠選任された。 同日  小委員有馬輝武君三月三十一日委員辞任につき、  その補欠として淡谷悠藏君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  中村時雄君同月十八日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員補欠選任された。 同日  小委員長野原正勝君同月十三日委員辞任につき、  その補欠として小枝一雄君が委員長指名で小  委員長に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  畜産業現状に関し説明聴取  集約酪農地の設定、輸入飼料の払下げ及び家畜  取引等に関する件     —————————————
  2. 小枝一雄

    小枝委員長 これより会議を開きます。  去る五月十日の農林水産委員会におきまして、本年度畜産関係予算説明を聴取いたしておりますが、この小委員会といたしましては最初会議でありますので、まず畜産現状並びに当面の問題点について畜産局長の御説明を承わりたいと存じます。畜産局長
  3. 原田伝

    原田政府委員 それでは御指名によりまして畜産に関しまする当面の諸問題につきましてあらましを申し上げたいと思います。  まず第一番に酪農事情、それからこれに関連いたしまして乳価の問題、その事情等につきまして申し上げたいと存じます。  お手元にお配りいたしました酪農に関しまする飼料並びにこれに関連しましたえさでありますとか、その他の価格状況等資料をごらんいただきますと、まず最初ページ乳牛頭数牛乳生産量及び牛乳用途別消費量数字がございます。乳牛頭数はごらんのように飼育の頭数が二十七年に比較いたしましても、年を追いまして急激に増加して参りまして、三十年におきましてはまだこれは統計資料がまとまっておりませんので、推定でございますが、四十万頭ぐらいになるのではなかろうかというふうに一応推定されておるわけでございます。その隣りの搾乳牛頭数でございますが、これも増加して参っておりますが、特に昭和二十九年におきましては非常にこの搾乳牛頭数増加いたしまして、その結果次の欄にございます牛乳生産量というものが四百九十五万石というような急激な増加を示して参った次第でございます。この関係が、昨年の夏以来かような生産の急激な増加というものに対しまして、需要消費の方が、必ずしもこれと同程度の勢いをもって増加することにならなかったために、需要供給関係均衡が破れて参りまして、そのために急激に乳製品並びに乳価下落という現象が生じて参った次第でございます。  次のページをごらんいただきますと、これは酪農関係物資価格の推移でございまして、まず農乳価格一升当りというものの変遷がここに現われておりまして、ただいま申し上げましたような需給影響のために、昨年の五、六月ごろを頂点といたしまして、市乳原料用加工用平均乳価が六十円から急激に下って参りまして、三十年の二月にはその平均が四十九円という状態になっておるわけでございます。これに比べまして、牛乳小売価格の方は、必ずしも原料乳価と同じ歩調をもって下っておらないというところにいろいろな問題を含んでおるというふうに考えられるわけでございます。  その次にバター小売価格、ふすまの卸売価格というものが並べてございますが、バターにつきましては、やはり昨年の原料乳価下落並びに乳製品に対する需給の不均衡というものがだんだん影響して参りまして、価格下落という傾向が一応は出ておりますが、これまた必ずしも原料乳値段下落傾向と一致しておらないという傾向が現われておるわけでございます。次にふすまの卸売価格でございますが、これにつきましては、牛乳並びに乳製品需給なり価格なりというものとは関係なく、ふすまというえさ資源需給関係の現われといたしまして、乳製品乳価等が下る傾向を示しておりますさ中に、逆にその価格が上って参るというような現象を呈しておる次第でございます。  それからその次の欄に乳牛購入価格が示してございまして、これはやはり牛乳価格下落というものがだんだん響いて参りまして、漸次価格下落傾向を示しておる次第でございます。  その次のページをごらんいただきますと、飼料需給安定法による飼料需給計画及び実績というもの、これは数字そのままでございますが、ここに二十八年度、九年度、三十年度、三十年度計画だけでございますが、一応表にしてございます。これにつきましては、後ほどえさの問題の際にもう少し内容的に申し上げたいと思います。  それから一番最後の表に主要飼料小売価格というものの主要な品目につきまして、最高、最低、平均とまとめてみた次第でございます。かような計数から見ましても現われておりますように、現在の日本酪農業というものは、一方において需給均衡の問題から価格下落という大問題にぶつかっておる。また他方、えさの問題につきましては、これはえさ需給関係の現われといたしまして、必ずしも牛乳価格の動きとマッチしておらない、場合によりましては逆に突き上げて参るというような現象さえ起きておる状況でございますので、この酪農業というものを今後いかに持っていくかということにつきましては、非常に大きな問題をかかえておる次第でございます。私どもといたしましては、酪農業のそういう苦しい状態につきてまして、これに対して施策を立てなければならぬということはもとよりでございますが、大きな方向といたしまして、日本酪農業は今後どうあるべきかということにつきましても、十分に考えなければならないというふうに思っておる次第でございます。  日本酪農業というものにつきましてよく考えてみますると、大体終戦後におきまして、日本食糧事情というものを考え、また日本農業経営というものを考え、また国民の保健衛生という点から考えまして、酪農業が伸びる必要があるという考え方から、急速にこれが伸びて参ったのでございますが、かような一つのピンチにぶつかった原因がやはりあるようでございまして、それは日本酪農業というものが、大体の傾向といたしまして購入飼料というものに依存する程度が相当高いということが一つの大きなポイントであった。また酪農業分布状態と申しますか、乳牛分布状態が非常にばらばらになり、稀薄になっておる、これが牛乳生産なり処理加工なりあるいは販売なりの面に一種の合理的でない要素を持っておる、これがいろいろな場合に不利な原因になっておるというふうに考えられるわけでございまして、これらの点を是正いたしますために、昨年国会で御審議をいただきました酪農振興法という法律が制定になり、そのねらいの大きな一つといたしまして、この日本酪農業生産基盤を確立する面に向って施策が講ぜられるということになっておるわけでございます。その行き方の中心的な問題といたしまして、集約酪農地域というものを設定いたしまして、そこに乳牛を集約的に入れて参るということ、並びに経営面合理化という見地で、あるいは草地の改良事業なりあるいはさらに自給飼料増産の点なり、こういう点につきまして、国といたしまして財政投融資というものをできるだけこれに集中的につぎ込んで、この地域内における酪農業合理化して、しっかりした基盤の上に育て上げるという考え方を持っておるわけでございます。でありますが、  次にこの集約酪農地域にかかわりませず、飼料問題一般といたしまして、申し上げたような購入飼料依存度というものをできるだけ少くして、自給飼料というものに重点を置くように持っていかなければなりませんので、その線に沿いまして自給飼料増産という施策を種々考えておるわけでございまして、さような行き方によりまして、生産条件のうちの非常に重要な飼料問題について打開策を講じていきたい。でありますが、自給飼料の問題だけでは片づきませんので、さらに購入飼料の問題につきましても、飼料需給安定法の適切な運用によりまして購入飼料需給が安定し、従ってこれに伴って価格がその需給に応じ、安定した姿になるような努力を別途いたしておる次第でございます。  さような生産面につきまするいろいろな努力をいたしますのと並行いたしまして、流通消費の面につきましてもいろいろ努力をいたさなければならない問題があるのではないか、かように考えておる次第でございまして、まず牛乳生産者販売の面につきましても、酪農振興法によりまして牛乳取引公正化をはかる措置として種々規定を設けられておるわけでございますが、さらに実体的に牛乳販売組織というものを共同販売の形にできるだけ強く持っていきまして、この共同販売組織の力によりまして原料乳販売価格その他の取引条件を適正なものに引きつけて参る、こういう努力が要るのではないか、かように考えまして、その線に沿って指導を行なって参りたいというふうに考えておる次第でございます。さらに原料乳を受け入れました乳業者側の面につきましても、その処理なり加工合理化という問題が残されておりまして、申し上げましたように、終戦後急速に発達して参りました乳業のことでありますので、その経営の規模なり経営内容なりあるいは施設の点なりあるいは末端の小売組織なり、それらの点につきまして、このままで果していいだろうか、いやこのままでは合理的じゃないのじゃないだろうかと考えられる点がいろいろございますので、今後におきましては、こういう問題につきましても合理化ということについて相当努力をしなければならないではないかというように考えておる次第でございます。  さような基本的な問題がいろいろあるわけでございますが、現実の問題といたしまして、先ほども申し上げましたような需給の不均衡というものに対してどういうふうに対処して参るかということについて研究をいたしました結果、まず第一番に、どうしても牛乳なり乳製品需要増大消費増大ということに力を入れることが効果的であるという考えから、昨年の年度途中におきまして、牛乳消費の増進の一方法といたしまして牛乳集団飲用促進ということを考えた次第でございまして、牛乳消費そのもの個々ばらばら消費状態に置きました場合よりは、学校なり病院なりあるいは官庁、会社等のオフィスなどにおきまして集団的に牛乳を飲むという面を促進することによりまして、相当消費が伸びるのではないかという考えでございます。ただその場合に、やはりできるだけ消費者価格というものが合理化されることが必要であって、その合理化されることと結びつきまして、集団飲用というものがさらに促進されるのではないかという考えから、この集団飲用というものと結びつけまして、農業協同組合が簡易な牛乳処理施設を持つことが適当であり、またその処理施設をつくります場合に、国がこれに対して財政的な援助をすることが適切であるという見地から、財政当局とも打ち合せをいたしまして、九十二カ所分の補助金を計上いたしまして、これが実現に努めた次第でございます。ただこの場合に、簡易な処理施設というものの内容につきまして厚生省方面食品衛生見地との調整の問題が起きて参りますので、これにつきましては、また別途適当な機会に詳細な事情を申し上げたいと考えておる次第でございますが、一応そういうような行き方でこの施策を推進いたしました結果、経費の成り立ちました時期が多少遅れましたこと、その他のために、九十二カ所全部を消化することは困難でございまして、結局実績といたしましては、六十七カ所程度に終ったのでございますが、ともかくもさような経過をたどっておるわけでございます。三十年度におきましても、引き続きかような集団飲用促進施設を補助することが適当であると考えまして、二百七十六ヵ所分を予算案に計上いたして、さらに本年はこの点を力強く推進して参りたいというふうに考えておる次第でございます。  次に、牛乳直接の問題と少し離れますが、乳製品の面におきましても、乳製品の種類によりましていろいろ事情は異なっておるのでございますが、特に大カン加糖練乳というものが品のさばきが円滑でありませんでしたために、これが相当市況を圧迫することになり、ひいては原料乳価というものに悪影響を及ぼす状態になっておりましたので、この問題につきましていろいろ打開策研究いたしたのでございますが、結局のところともかくも滞貨を一応一般のマーケットからいわゆるたな上げをする必要があるという考え方から、特に急速にその実現をはかる必要がありましたので、大カン練乳約十万カンにつきまして農林中金から二億円の融資を受け得る道を開いたのでございますが、いろいろな条件影響を受けまして、現実には十万カンのたな上げという措置実現いたさなかったのでございます。しかしながらともあれさようなたな上げの道を開くということは一応やってみたわけでございます。  次に乳製品需要増大の問題といたしまして、大きく取り上げなければならないというふうに言われました点は、学校給食というものに対しまして乳製品、特に脱脂粉乳を向ける必要があるということが強く言われましてこの点について文部当局ともいろいろ折衝をいたしました結果、国産品の新しい用途といたしましてまことに適切であるという考え方から、三十年度予算にこの国産脱脂粉乳価格差補助金を六千六百万円計上をみるに至った次第でございまして、この点につきましては今後漸次学校給食に対しまして国産乳製品、特に脱脂粉乳というものを漸次拡張して参ることが適当ではないか、かように考えておる次第でございます。  以上のような流通消費面につきまして措置を講じて参っておるのでございますが、しからばこの程度措置日本酪農業の合理的な振興をはかる上において十分であるかと申しますと、決してさようには言えないのでございまして、今まで申し上げましたような具体的な措置は、その当時の現実状況に即応して、ともかくも打開の道を講じたという状態でございますので、さらに突き進んで基本的な施策を持たなければならないというふうに考えておるのでございます。この場合この基本的な施策というものにつきましては、他の農産物等と比較いたしまして、牛乳なり乳製品なりというものにつきましてはいろいろ特殊な事情、特殊な点がございますので、あらゆる角度から十分に検討を加えまして、これならやっていけるという具体的な施策を握るために、なお相当研究を進めなければならないという状況になっておりますので、私どもといたしましても、私どもだけの知識にたよらないで、関係方面の有識者の御意見等を十分に伺いつつ、目下研究を進めておるという状況でございます。  以上酪農に関連いたしました事情並びにこれに対しまして私どものとりました措置の概要を申し上げたわけでございます。なお畜産の問題につきましては、いろいろ取り上げて申し上げなければならない点等があるわけでありますが、最近この酪農の問題と別途の問題といたしまして私ども非常に憂慮いたしておる問題がございますので、それにつきまして状況を申し上げたいと思います。  これは和牛の問題でございまして、現在日本和牛というものは約二百五十何万頭という頭数を示しておりまして、日本畜産の中におきまして占めまする地位というものは相当重要な中心的なものになっておるのでございますが、最近この和牛価格というものが急に下落傾向を顕著に示して参りまして、そのために和牛関係農家というものが非常に苦しい立場に追い込まれておる次第でございまして、この問題につきましていろいろ対策を講じなければならないという状態に追い込まれておるわけでございます。何ゆえにさように急激に和牛価格というものが軟化して参ったかということにつきてましては、諸般の資料に基きまして十分にその原因を突きとめなければ断定的なことは申し上げられないのでございますが、ともかくもこれに対しましてこのまま推移することは、各方面影響が非常に及ぶわけでございますので、これにつきまして何らかの施策を講じなければならぬというふうに私ども心配をいたしておる次第でございます。結局和牛の実態といたしましては、一面においてはこれは農家におきましていわゆる役畜として農業経営上重要な役割を果しておるのでございますが、他面、肉牛といたしましてこれが肉資源として市場に出て参るわけでございまして、結局和牛価格市場におきます肉の価格と密接な関係があるわけでございます。そういう点も考え合せますと、ここに肉の取引という問題につきましても、適当な措置を講ずる必要があるのじゃないか、かように考えられるわけでございます。この面につきましては、従来から畜産物全体についても言われておる点でございますが、取引というものが非常に近代的でないということを言われておるのでございまして、和牛そのものなり、あるいは肉畜なり、あるいは屠殺の結果出て参ります枝肉なり、さらにそれが末端に行きまして精肉として取引される、この段階につきまして、これを合理化する必要があるというふうに考えておるのでございますが、いきなりこの取引全体につきまして強力な措置をすることはなかなか困難でございますので、私どもといたしましては、ともかくも枝肉取引が現在よりももっと合理化されることが必要ではないか、こういう見地から、これらについて措置を講じたいと考えておる次第でございます。三十年度予算案生鮮食料品流通改善経費が一億円組んでございまして、その中の相当部分につきまして畜産物、特に枝肉取引改善にこれを充当いたしたいという考えでございまして、ただいまこれが具体化について研究を進めておるのでございますが、一つ考え方といたしましては、冷蔵庫とこれに付属いたしまして枝肉取引施設を作りまして、そこにおいて需給状況に即応した公正な取引が行われるようにという点に目をつけて、これが具体化目下研究いたしておる次第でございます。さらに肉の利用の面としましては、これは二十八年から取り上げておるのでございますが、農村におきます食肉利用促進をはかり、また同時にそれを手がかりといたしまして、肉畜取引改善されるようにという考えから、二十八年から三十年度にかけまして、約三十五カ所の農村食肉利用施設補助予算を計上いたして、三十年度がその三年目に当るわけでございます。これは農村方面冷蔵庫並びに肉の加工施設を作りました場合に、これに対して二割程度補助金を出して参るという行き方になっておるわけでございます。  次に家畜取引の点につきましても、現在のありのままの状況を見ますると、この問題につきまして、これを合理化する必要があるのではないかというふうに考えられますので、家畜取引合理化につきまして、現在の状態よりも一歩前進した何らかの措置を講ずることが必要ではないかという考えから、その具体案につきましては研究を進めておるという状態になっておるわけでございます。  それから和牛生産面のうち、特に雄の子牛の問題があるのでありますが、この問題につきましては、現在のように和牛需給が悪くなりましてなかなかいい値段で売れないということになりますと、さらにこれを屠場に引きつけて参りまして売りにかかる、そのために一そう価格下落をはなはだしくするというような現象も見受けられるのでございます。この問題につきましては、これは非常に技術的な面にわたるわけでございますが、今までのような程度よりもさらにこれを改善いたしまして、これを肥育して参るという措置をとることによりまして、同じコストをかけながら質のよい肉がさらによけいとれるという行き方によりまして、一方の値下り傾向に対してこれを取り返して参るという行き方があるのではないかというふうに考えられるのでありますが、この問題につきましてはすでに技術的にも相当研究が進んでおりますので、今後におきましてはこの方法をできるだけ普及させることによって和牛問題解決一つの手段になるのではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから和牛取引合理化の他の面といたしましては、現在の状態では牛の取引というものにつきましては、ほとんど共同販売的な行き方がとられておらない。そのために若干形勢が悪くなったというような場合に、非常にこれが農家の手放す値段に強く響き過ぎるという傾向も見受けられますので、この問題につきましては、やはり共同販売組織というものを確立することによって、需給悪影響をまっこうからかぶるということを相当防止し得るのではないかというふうに考えておるのでございまして、こういう問題につきましても、私どもとしてもできるだけの促進をはかる必要があるというふうに考えておる次第でございます。  一応和牛の問題につきまして、現在の状態というものを申し上げた次第でございます。
  4. 小枝一雄

    小枝委員長 それではこれより質疑を行いますが、この際お諮りをいたします。本小委員以外の農林水産委員発言につきましては、適宜小委員長より許可いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議がありませんから、さよう取り計らいます。  なお議員生田宏一君より発言の申し出があります、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小枝一雄

    小枝委員長 異議なしと認め、さよう取り計らいます。生田君。
  7. 生田宏一

    生田宏一君 先ほどからお話しを承わっておりますと、和牛値下りが非常にはなはだしいということはよくわかりますけれども、これは私の考えでは、今の和牛取引は、役牛と肉牛と二つがありますけれども和牛価格を左右するものは、肉牛の売買が役牛の方に対しても強く影響していく、こう思うのです。今の肉牛の売買の状態を見てみますと、大体農家家畜商相手に商売をするのですが、その家畜商自体が最近は経済的に実力が低下しまして、農家相手に自力をもって大幅の商売を営むことができなくなっておりますので、必然肉商といいますか、いなかの方にもやはりこれがあるのですが、肉の販売業をしている連中が資金的な実力を持っておる。そこで肉商のひもつきになっておる家畜商が肉牛の売買に実行力を持っておる、こういう状態なんです。ところが肉商自身は、農家経済というものに対してはむしろ無関心でありますし、自己の肉販売業が有利に行えればそれで目的は達するのです。ところが家畜商は一面は農家の不利益をかもすような者もおりますけれども、何といっても農家と緊密な連絡がなくては家畜商の生計もやっていかれないものですから、これは唇歯輔車の関係でうまくやっておるのです。ところが肉商のひもつきの家畜業者だけが肉牛の買付の実力を持っておるというような今の状態になって参りますと、農家の庭先取引農家に対しては非常に不利益な取引になる。これはやむを得ない趨勢です。そこで最近私どもの国から言って参りましたのによりますと、相当な肉牛で枝肉が四、五十貫もあるようなもので十万円くらいで売れておったものが、三万円ないし三万五千円くらいで取引が行われる、こういうふうな状態でございます。かくては役牛としてそれを売買しない農家からいえばそんなに困らないわけですが、肉牛として農家経済の一助にしたいといって飼育しておる百姓にとっては、これはゆゆしき問題になるわけです。そこで阪神における肉の値段、あるいは地元における肉の値段が、昨年あるいは一昨年あたりとあまり違わないのに、肉牛だけが下っていくということになると、これはまた農村に対して非常に不均衡な経済圧迫になるわけですから、これをどうしても直していただかなければならぬ。その直し方にもいろいろ方法があるのですが、私はこういうのはむしろ家畜商と農家との間に個人取引が行われることを極力避けるのがいいのではないか。今の家畜の売買は自由になっておるのですが、しかし日本全国の状態を見ますと、りっぱな家畜市場があってそれが経営をされておる。地方における家畜値段というものはあまり大きな変化はない。しかし家畜市場経営されておらない地方における家畜値段というものは、家畜商と農家との庭先取引ですから、どうしても農家の方が不利益になってくる。こういう状態なものですから、そこで家畜市場法を何とか一歩推進した考え方のもとに政府の方で立案をしていただきたい。そうしてこれを国会に出していただきたいと思うのです。その趣旨は、憲法二十九条によるあの基本的な商権というものを侵害しないことはもちろん、その建前をとらなければなりませんが、しかしできるだけ大ぜいの目の前で牛の値段を正しく評価するような公売の状態において取引をしてやるということ以外に、今の状態を抜け切ることはできないだろう、こう思うのです。  それからもう一つ家畜商の素質の問題であります。従来の家畜商には確かに悪徳な家畜商もありますし、よくないと思う者もあるのです。しかしまた家畜商というものは、農家との間に密接な理解がなくては、家畜商自身の営業も立ち行かないのが本質です。ですから、善良な家畜商というものは、農家に対しては非常にありがたいというか、便利なものなのです。しかし最近においては、家畜商というものが、ほとんど自由登録のような格好になって、五百円くらいの手数料を出せば、そのままそれで家畜商たる登録ができるわけですから、戦後における家畜商というものは、たとえば乳牛が非常に盛んになった地方における家畜商のごときは特にそうなのですが、従来経験のない、資力もあまりない人で、そうして商売はなかなか敏捷だ、こういうような人がたくさん出てきて、家畜商自体の中でも混乱を起しておる、こういう状態です。それで、家畜商の素質というか、そういうものを向上せしめることも一つの手段である。また公営で、あるいは県営あるいは大きな畜産団体の権威のある家畜市場をこしらえて、そこで百姓の利益を擁護してやるということも、私は非常に必要じゃなかろうかと思うのですが、その辺について、畜産当局の方でも日ごろお考えであろうかと思いますので、御意見を一つ聞かしていただけたらと思うのです。
  8. 原田伝

    原田政府委員 ただいまお話のありました家畜取引というものを、ばらばらの相対取引状態から、いわば公開したような取引という状態に持っていくことがいいのじゃないか、またその手段として、現在の家畜商の資質その他の向上の措置考えることはどうか、また家畜市場そのものを、現在のような状態でなしに、もっと強力な公営その他の方法によって開くように措置をしたらどうか、こういう点でございまするが、御趣旨の点については、私どももそういうように家畜取引というものを改善すべきではないかというふうに考えておる次第でございます。ただ具体的にこの家畜商の取扱いというものを考えて参りました場合に、現在の家畜商法の制度というものにつきましても、いろいろな角度から研究をいたさなければなりませんし、また類似の営業の免許制度等につきましても、いろいろな角度から十分に研究をいたしまして、家畜商という業態の実態に即応するような、具体的な行き方というものを突きとめる必要がある、こういう考え方に基きまして、いろいろ研究を進めておる次第でございます。  また家畜市場のあり方につきましては、御指摘のように、現在の家畜市場のあの姿では、家畜取引というものの公正化にあまり役立っておらないのじゃないかという点は、私どもも同感でございまして、ことに最近のような事態に立ち至りました場合に、家畜市場の配置の面から考えましても、ほんとうに必要な集散地等に、必ずしもたよりになる家畜市場が開設されておらないという点も考えられますので、この家畜市場というものの発達と申しますか、その当然持つべき役割を持たせるように、制度的にも考えなければならぬということについても同感でございますので、さような点につきましても、昔ございました家畜市場法等を参考にいたしまして、具体的な考え方研究を進めている、こういう状態になっている次第でございます。
  9. 生田宏一

    生田宏一君 四、五年前でございましたか、今お話がありました国が公布された家畜市場法では、規格が少し高度過ぎて、戦争前に畜産組合あるいは農業会などがやっておりましたいなかの家畜市場では、あの規格には合致いたしません。ところが戦後における畜産団体の発展がきわめておそいものですから、その畜産団体の実力をもって、その家畜市場を数百万円の金をかけて改装して、そして規格に合うような家畜市場にこしらえるのは不可能なものですから、適格家畜市場というものがありませんから、家畜市場というものがいつの間にか経営ができなくなる、こういうような面もあるわけです。そこで私は、規格を少し下げるということも一つの案であろうかと思いますけれども、大きい畜産団体を組織するとかあるいは府県の公営でやるとか、こういうことにして、府県に二つか三つ代表的な家畜取引市場をこしらえてやるというようなことも一案じゃなかろうか、こう思っているわけでございます。  それからもう一つは、先ほど枝肉に対する何か適当な手当をしてやろうじゃないか、こういうお話ですが、私の県の一例を申し上げてみますと、私の県は四国の徳島ですが、阪神から肉商がたくさん買いに来ます。そういうのもありますが、また阪神の市場枝肉で出そうじゃないか、あるいは生体で持っていこうじゃないかということで、私の県の家畜商もやるのですが、この家畜商の取引値段があまりに安いものですから、農家の連中が五人か十人で組みまして、そして十頭ないし二十頭くらいの生牛を、それも相当いい品物を取りそろえて、そして五人、十人の中の代表者が一人か二人で牛を大阪へ持って行ったことがしばしばあるのです。そのときに大阪の家畜取引市場は、あなたの言われた通りに、非常に封建的な取引をするところでありまして、いちげんの者が持って参りましたときには、てんで商売にならないし、値段も折り合わないから、その取引市場から牛を引いて出るということになりますと、暴力的制裁を受けて半殺しにあう。やむを得ずそこでは無条件降伏で、その牛をその取引市場に預けて帰ってくるが、仕切られた値段は、当初予想した半額にも達しない。こういうことがしばしば起きますから、生産者の中から、阪神の市場に直結しょうということを考えた者もありましたが、そういう状態で全然それもできない。そこで私はしばしば県の連中にも言うのですが、それじゃ一つ大阪のどこかに、枝肉の千貫や二千貫貯蔵し得る貯蔵室を借りて、そして枝肉で送って、取引のできたものはいいが、値段の折り合わないものは、そこで県が責任を持って貯蔵して、その中の七、八割程度の融資をしてやれ、こういうことは農林中央金庫あたりで十分に見てくれるはずなんだから、それをやってみようじゃないか、こういうことをしばしば僕は忠告するのですが、やりません。もしそういうことを法律でもってあなた方の方で考えていただきますならば、これはもう農家に対しては非常に大きな利益があると思うのです。最近における、たとえば牛が十万円したものが三、四万円くらいに落ちてきた、六万円以上の損失が起きたということになりますれば——これは換算するとそうなるのですが、たとえば今盛んに問題になっております米の問題あるいは麦の問題ですが、石に千円違うということで大問題にしているのです。一頭六万円の損失を受けた農家から見れば、六十石を供出するような大きな百姓が、一年間の収益を、たとえば一石に千円違ったとして六十石ならば六万円、それほど大きな損失を農家に負わしているわけですから、来年の米の生産あるいはその価格についてはこのように敏感な国会が、牛の値段のこのような大きな値下りで、農家に損失を与えていることについてはあまり見向きもしない、関心が薄いということは、これははなはだ遺憾なことだと私は思うのです。それで御研究中だということでございますけれども、昨年でしたか、あの酪農振興法が出るときに、もうすでにあなたの方には家畜市場あるいは家畜商に対する法律の改正についてはある程度の基礎案ができておったはずなんでありますが、その後の情勢の変化によって、そして至急に成案を国会に出していただくような措置が望ましいと思うのですが、その辺の事務的なお考えはどのようになっておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
  10. 原田伝

    原田政府委員 家畜取引改善につきまする問題としましては、ただいま御指摘のように、少し前からそういう問題は論議されておりましたことは事実でございます。従いまして私ども研究といたしましても、そのときそのときの各方面の御意見というものを承わりつつ研究いたしておりましたので、当時の一つ考え方として、こういう行き方考えたらどうなるかというような御意向もございましたので、その線に沿って研究はしてみたことは確かにございます。ただその具体的な内容につきましては、これでやれるという自信と申しますか、見通しまで参りませんでしたために、現在はいま少し違った角度からこの問題について研究すべきじゃなかろうかというふうに考えておりますので、おととしあたりの話は現在そのまま受け継がれておらぬような節もございますので、手間取っておるようなわけでございます。ことにこの営業の免許の問題につきましては、営業の内容なり、性質なり、他の営業との比較均衡の問題なりというような点で非常にむずかしい問題があることと、それから家畜取引というものが、一面においては単純なる取引のような形に見え、他面においてはある程度の技能的な問題が入って参りましたし、またややもすると、その人間の性質というものが取引に非常に影響するというような、きわめて微妙な問題もくっついて参る、こういうような点がございますので、この問題の研究につきましては、私ども非常に努力はいたしておるのでございますが、なかなか簡単にすっきり割り切ることがむずかしいというような性質を持っておりますので、そういう点につきましては一つ御了承をいただきたいと思います。
  11. 生田宏一

    生田宏一君 私も家畜商の取扱い、あるいはこの法律の取扱いについては、業者の圧迫が多少あるということをしばしば耳にするのですが、このことは、私は全然御心配はないと思うのです。といいますのは、今あなたも言われましたように、たとえば家畜商は数百万円の取引をしても受け取りを一つも書かないのだ、お互いに相談ができて、拍手をして商売が成り立てばもうその商売は一円の金も間違いないんだ、こういう誇りを持っておるのです。これは確かに封建的な考え方で、それはやはりそろばんではじいて、もっと大きくなれば、大きな家畜市場では計算器によって計算をやって、そうしてちゃんと近代的な商取引の金銭授受に至るまでの経営をするということが私は望ましいと思うのです。しかしまた一面技術的にいって、別に看貫にかけてみなくても、これは生体が八十貫、枝肉が五十貫あると踏めば、これを肉にして、一貫ぐらいの誤差はあっても、熟練者から見ればほとんど間違いないのだということは、これはあなたのおっしゃる通りなんです。しかし実際は、そういう家畜商であればあるほど、また扱いようによれば決して心配はない。というのは、私が存じておる限り、善良な家畜商というものはりっぱな家畜市場経営されることを心から望んでおるのです。そうしてその家畜市場は自分たちの奉仕する家畜市場だというような気持で、自分たちの営業のためにこの家畜市場があるのであって、自分たちが農家の庭先で農家の人たちとつぼ商いをやる、そのときの自分の個々の取引の利潤を小さく切り詰める機関として、ここに家畜市場経営されるのだというように考えておるのは、一部の業者にはあるかもしれぬけれども、今の状態では、大体そういう考え方はもうだんだんなくなってきて、そうして家畜市場がりっぱに経営されることによる方が自分の営業も安定するし、また畜産振興にもなる。家畜市場利用ということと家畜商の協力ということ、この二つなくしてはむろん地方においても畜産振興ということはあり得ないのですから、そのことはもう最近の善良な家畜商はみな理解しておるわけなんで、私はそれはちっとも心配は要らないと思うのです。もしそういうような悪徳業者があってそれが圧迫を加えるということならば、そういうような封建的な考え方といいますか、個人的な考え方というものは、これは畜産振興を阻害する以外の何ものでもないのですから、われわれはこれを排除しなければならぬと思っておる次第ですから、その点についてはちっとも私は心配はないだろう、こういうふうに考えておるわけです。一番大きな問題は、家畜商の問題の取扱いとしては、免許をするときの資格といいますか、登録に値するかしないかという内容の検討だろうと思うのです。これをしても適当な方法でやれば、みんなが納得するような方法はあるはずなんですから、それはあなたの方でもお考え下さるし、またわれわれもそれを考えなければならぬことだろうと思うのです。一つそれを思い切って早急にお願いをしたい、こういう気持がするわけです。  それからついでですからもう一つお尋ねしておきたいと思うことがあるのです。乳牛の問題ですが、私は最近乳牛が非常に数がふえたということは、これは好ましいことと思う。何か酪農ブームに乗って、農家の人もやってみると、毎日の乳を売った現金収入がありますから、計算を全部してみるとあまり大きな利益にもならないことであってみても、便利なものですから農家がともかく酪農に飛びついたということは間違いないことです。それが非常に酪農振興に役立っている。今そのはね返りが来て、乳価が下ってきたということもございましょうが、また品質が急速に改善せられなければならない状態にあるのではないか、こう私は思うのです。それで農林省のお考え方としては、品質の改良について、特に質のいいものを急速に各県に移入をして、これを当てていかなければならぬ。この根本的な問題が解決しない限り、酪農の問題は行き詰まるだろう、こういう気が私はするのです。  それからもう一つは、乳価の問題ですが、私は今だれがこの乳価をきめておるのかについて大きな疑問を持っておるのです。今の状態でございますと、特に大量取引をする場合には、乳製品の大きな工場が他方の酪農協同組合に対して、乳価を一方的に決定しておるように見えるのですが、これは私どもの県でもいつも問題になっているわけです。ふすまの方は八百円台にもなるが、乳価の方は常に乳製品会社の方から下げられる。その交渉に全力をあげておるという状態ですが、農林省の方では、これに対して多少の乳価維持の政策をおとりになっているのでしょうか。あるいは大きな乳製品会社との間における関係はどういうふうになっているのでしょうか。その辺のところ私よく存じませんから、ちょっと承わりたいと思うのです。
  12. 原田伝

    原田政府委員 乳牛の点でありますが、御指摘のように乳牛の品質を改良するということはぜひ必要である、こう考えておりますので、三十年度におきましても、二分の一補助をもちまして府県が優秀な乳牛の母畜を手に入れ得るように措置を講じております。  それから乳価の問題でございますが、この点につきましては、お話のように地方的に乳価の協定と申しますか相談が行われて、品不足の際は生産者側が非常に強く出る余地があるわけでございますが、一たん牛乳の供給が過剰ぎみであるというような空気になりますと、ともかく相談がきまらなければ、自分の工場ではそろばんに合わないから引き取らないというような態度に出かねないような情勢もありますために、相当押えつけられるという心配があるわけでございます。この点につきましては、現在酪農振興法におきましても牛乳取引公正化をはかるということを一つのねらいといたしまして、牛乳取引契約というものを文書に書かせましてこれを知事に届け出る、知事がその内容を審査しまして適当でないというふしがあります場合には、それの是正について勧告をするというような措置も開いてございます。またさらに一たんできました取引契約をめぐりまして、いろいろ紛争が起きたような場合もそのままにほうっておきませんで、知事が任命しますあっせん委員というものがございまして、当事者の一方なりあるいは双方から申し出がありました場合に、その紛争のあっせんに乗り出すというような措置も開いてございます。さような場合に、地方的にどうしても片がつかないというような場合には、地方の知事から農林大臣あてに農林省の協力方を求めるというような点の規定も設けてある次第でございます。
  13. 生田宏一

    生田宏一君 乳牛が多くなって牛乳生産が多くなってきますと、その付近の乳製品工場が地盤割れをしてくる。私の県なんかですと、森永練乳と淡路のネッスルが多少買いにくるというような状態ですが、一社独占のような状態になったときには必ず乳価は下げられるというのです。それでネッスルの会社が買いに参ります前までは非常に安かった。来ると高くなる、また退き下がると安くなるというような状態です。私はその状態を見て、乳価乳製品の間には幅のあるもので、かなり高く買っても経営上成り立つのだという感じを私は持っておるわけです。そこで農林省の方であまり地域的な独占形態にならないようにしていただくような措置が望ましいのではないか。競争が起きるとすぐ高く買い上げます。これはしばしばあったことですし、戦争前の状態もそうですし、戦後の状態もそうです。それからこれは人と人とのことですからありがちですが、酪農組合の幹部の連中と乳製品会社との間が密接になって、そうして大勢の酪農業者が非常に困るというような状態が非常に多いです。これは例をあげますと、枚挙にいとまのないほどの状態です。そういうことははなはだ困りますので、酪農家の利益を守るためには、どうしても地域的な独占をせぬように考えていただかなければならぬのじゃないか、こう思っているわけです。
  14. 井谷正吉

    井谷委員 私は二点ほどお尋ねしたいのであります。今酪農で一番問題になるのは、家畜えさですが、この家畜飼料は、マニトバの最近の払い下げの状況を見ますと、全購連、全畜連、全酪連、全豚連、日本飼料というものがありますが、最近の払い下げの実績を見ますと、日本飼料が百パーセント比率の払い下げを受けておる。そうすると、全購連あるいは全酪連というような他の農業団体はこうした飼料が要らないのであるということが考えられますが、これは要らぬのではなくして、日本飼料が取ります価格が非常に高いので、大半抑えられてしまうのではないか、こういうことが思えるのでありまして、それでこうした場合に、値段さえ高かれば一ヵ所へ片寄ってしまっても、ほかのそうした団体が幾ら困ろうとも差しつかえないのであるか、実際にはそういうふうにとれるのですが、それらに対するお考えを承わりたいのであります。  さらに、この日本飼料というのは、仄聞するところによると、河野農林大臣が関係をしておられる会社であるように承知しております。ところがまた一説にはおやめになったという話しもある。これは私どういうふうになっておるのかわかりません。この日本飼料という会社のそうした社長、重役陣の構成をついでに、承わりたいと思います。それから資本金、そしてまた日本飼料が各地に出先を持っておれば、そういう系統機構というようなものもあわせて承知をしたい。  それからそうした払い下げを行われましたあとにおいて、その払い下げを受けた者が、完全に家畜飼料として、これを回しておるかどうかということをお調べになったことがあるか、あるいは今後の飼料として使うでありましょうが、そういうことに対しても承わりたいのであります。  それからマニトバ五号の場合をたとえてみますと、二十九年の購入平均額が二万五千四百六十三円、払い下げの価格が三万三千七百六十一円ですが、約八千二百九十八円という差額が出てくるのであります。こういうものを払い下げ価格を落して、そうしてほかのほしい団体にも回れるような幅に下げていって、全体に潤すというようなことはできないものであるかどうか。とにかく家畜を飼っております者は、飼料がほしいのです。こうしてお金を出して買いまする飼料が高いということが、非常にこれは全体の妨げになっておるのですから、そういう点についても十分な御考慮を願いたいと思います。もう一点ありますが、一応これを終りましてから申します。
  15. 原田伝

    原田政府委員 お尋ねの第一点の、たとえばマニトバ五号ならマニトバ五号の払い下げの値段の件でございます。この飼料用の麦の払い下げにつきましては飼料需給安定法に規定がございまして、大体原則としては一般公入札による。しかし特別の事情がある場合には指名競争入札なり随意契約によるということになっておりまして、その場合の価格の点につきましては、時価に準拠して予定価格を立てるということになっているのでございまして、従いましてその公入札なりあるいは指名競争入札あるいは随意契約によります場合も、大体時価というものを反映させるという行き方になっているわけでございます。その場合に払い下げの相手方というものが複数になって参ります場合は、どうしてもそこに若干のえさ価格需給事情というものを頭に置きながら、一つの競争という形が現われて参るのでございまして、その結果一荷日ごとに入札なりあるいは見積りというものを出してもらいまして、その出ました見積りなり入札価格の中の高いものを採用するという建前になるのであります。私どもといたしましては、そういう行き方によって値段がつり上げられるということは、これはあってはならないことだというふうに考えておるのでございますが、売り渡しの方式といたしまして、さような方式をとります場合においては、若干のつり上げというような現象が起きて参るわけでございます。その場合におきましても、この飼料需給安定法の建前といたしまして、いきなりえさ市場価格というものをつかまえて、これを押し下げるというような行き方でございませんで、えさ価格が高いということは需要と供給がつり合っておらぬからである。そこで輸入いたしましたえさというものを市場に放出いたして、供給量を増すことによって需要供給のバランスがとれて、従いまして供給不足のために高かった現象が是正される、こういう建前をとっておりますので、個々の現実の払い下げ価格そのものよりも、供給量を増すというところに重点が置かれておる、かように考えておる次第でございます。  それから第二点の日本飼料株式会社に関しまする点でございますが、私今手元にお尋ねの点に関しまする資料を持っておりませんので、至急調べまして申し上げたいと考えております。なお農林大臣が関係しておるかどうかという点でございますが、私の承知しておる範囲では、大臣に御就任と同時に日本飼料株式会社の重役からは引かれたとかように承知しております。  第三点の払い下げ後の問題でございますが、申し上げましたように、えさというものを市場に放出しまして需給のバランスをとるという考えでございますので、払い下げ、売り渡し後の問題につきましても、私どもとしてできるだけの監督をいたしまして、これが他の方面に流出することがないように、慎重にこの点を考えてやって参っておる次第でございます。  第四点のマニトバ五号の例をお引きいただいたのでございますが、輸入した価格と政府が国内で売ります価格との間に差額が出て、輸入価格よりもそれだけ高いものが放出されておるという形の点でございますが、この点につきましては、えさという見地だけから参りますと、輸入した価格というものをそのまま国内に持ち込みたいところでございまして、先ほど申し上げましたように、市場に対しまして特にこれを特別の価格で高く売るという必要もございませんし、またそういうことをしては逆のことになると考えるのでございますが、申し上げましたように、売り渡しの方法として国内におきます時価というものを建前として、数量的にその供給を増して参るという行き方をとっておりますことと、また同時に、麦につきましては特に食糧管理の建前から、いわゆる麦の価格の全体的な体系がある。こういう関係のために、麦の価格のうち特にえさ用の分だけを特別の建前の価格にするということが、麦価の体系との関係におきまして問題がございますために、現在のような状態になっておるという次第でございます。
  16. 井谷正吉

    井谷委員 今の御説明の中で、もう一つお調べに加えていただきたいことは、河野農林大臣が大臣就任とともにやめられたといたしまして、その後の会社と河野さん一族との関係はどうなっているか。これも私は知りたいのです。  それからただいまの輸入外麦の値段でありますが、これは議論になりますけれども酪農奨励の本質からいって、値段は下げてやるべきではないかと思うのです。差額が非常に多過ぎる。たとえばアメリカ産のハードウンターのCで、三万五千百六十円。これは家畜飼料ですから、今のお話のように国内産麦を考慮すると言われるけれども、これは人間が食う方であり、向うは家畜が食う方ですから、この差額というものは当然であって不思議でない。この家畜飼料に回す方が高くなれば、自然内地産麦の価格影響してくるのですから、こういう点についても計数的にお考えになっておられると思う。そういう資料一つお願いしたいと思います。
  17. 原田伝

    原田政府委員 御要求のありました資料の点につきてましては、すみやかに調べまして提出いたしたいと思います。
  18. 中村時雄

    中村(時)小委員 今の資料のついでに、整理して一つお願いしておきたい。今の飼料関係における品種別、それから月別の価格変動の一覧表、第二番目に日本飼料の話が出しましたから、先ほど言った人的機構、資本金の変遷——この間から変っているはずです。それから統合されていった会社並びにその株式所有の各会社、その系統別のものを一つ出していただきたい。それから日本飼料が取扱った品種別の数量並びに配給先、これはそれに付加して一つお願いしておきます。  続いて今局長のおっしゃった三点の問題、要するに井谷さんの質問に対しての答弁に対し、三点とも私は非常な不満を持っているわけなんです。たとえばあなたは供給不足が飼料の高値を呼んできた、こうおっしゃったが、その原因についての答弁は何一つおっしゃっていらっしゃらない。これに対してどういう理由で飼料が非常に高くなってきたのか。たとえば供給不足とおっしゃいましたところで、飼料需給安定法を作って、あなた方が最も得意とする価格安定という問題から、安定帯価格というようなものを設定して、その結果八十億円からの資金を出して、政府が飼料の購入まで入っている。にもかかわらず価格は上っていくということは、その飼料として入って来たものがほかの方に転換されるなり、あるいは各団体なり業者なりに売り渡したものが横流しされているとか、いろんな実態がこの中にあるはずです。そういう方向を一つも答弁されずにおいて、ただ単に供給の不足であるとかいうような答弁の仕方に対しましては、私は不服でありますが、それに対してどういうお考えを持っていらっしゃるか。  それから第二番の日本飼料とマニトバの関係、ここに書いてありますマニトバの五号に対しての価格あるいは払い下げの価格、これは先ほど指摘されましたが、それに対して依然マニトバは粒によって払い下げをしておったはずであります。ところが今度のマニトバは、おそらく皆様方の発言かどうか、あるいは大臣の発言かどうか知りませんが、食糧に回すことも認めているはずですが、どうですか。
  19. 原田伝

    原田政府委員 第一点のえさ価格が高くなる原因として供給不足という点を申し上げましたところ、それだけでは問題に触れておらないという御指摘がございましたわけでありまするが、私の申し上げました供給不足という意味は、要するにえさを使います家畜頭数増加して参る、またえさの供給源としては自給飼料もございますし、また購入飼料もある、それらの状況が総合されまして、購入飼料需要と供給のアンバランスが起きる、こういう意味をもちまして申し上げた次第でございます。その場合に政府の対策としまして、市場に放出されましたえさというものが、その目的通りに流れて行かないで、それがわきにそれるということがございますれば、もちろんそれだけ供給の増加というものがチェックされるわけでございますので、さような事態が起りました場合は、やはりえさ価格がうまく落ちつかない一つ原因になるということは、私ども考えております。そういう点につきましては、力の及ぶ限り指導監督に努めておる次第でございます。  第二点のマニトバの売り方の問題でございますが、これは従来飼料用の麦は粒用として売ることを建前といたしましてやって参ったのでございますが、最近ふすまの価格が高目になりまして、これに対してあらゆる措置をとってこれを押えて参らなければならぬ、こういう考え方から、そのための措置としまして、ふすま自体も政府の手持ちをできるだけすみやかに売るという措置を講じて参ったほかに、麦の問題につきましても、飼料用のマニトバ五号、六号等を放出すると同時に、一方一般の食管会計の麦類につきましても需給事情の許される限りこれを放出する、かような措置によりまして、麦類に対する供給力が全体的に増すという措置をとることが適当だというふうに考えた次第でございます。その場合に従来一般の食管会計の麦類の払い下げの方法そのものが、特定の加工用というふうに限定されておったのでございますが、その限定されております行き方を拡張いたしまして、製粉加工用のほかに、えさ用にもそれを出し得るようにする、また醸造用にもそれを放出するようにする、そういうふうに一般の麦類の払い下げの間口を広くいたしまして、その出ましたえさ用は粒用でもよろしいし、またこれを加工に回してふすまだけをとるという行き方でもよろしいという措置をとることが必要だというふうに考えまして、一面においてそういう措置をとりますと同時に、えさ用のマニトバにつきましても、これを従来のように粒用に限定するということは必要がないから、これをやはり粒用に使うこともあり得るでしょうが、加工用にそれを回しましてふすまをとるという行き方をとってもよろしいんじゃないか、その両方の措置をあわせて行うことによって、ふすまの対策として効果をあげたい、こういう考えから申し上げたような措置をとったわけであります。
  20. 中村時雄

    中村(時)小委員 第一点の問題で、供給不足になっている、あなたは簡単にこうおっしゃいますけれども、供給不足になっているがために、畜産関係者が経営上非常に困っているということの方がより重大な問題です。そういう意味においてあなた方は飼料需給安定法も作り、そうしてそれによって需要供給のバランスをとっていくという確信のもとにあなた方は企画をし、やっておられるはずなんです。それからそれに基いたところの輸入があり、それに基いたところの生産率というものが考えられて、初めてここに畜産行政の一環ができ上ってくるわけです。そういたしますとあなた方が、飼料が値上りしていったのは供給不足のためだと簡単におっしゃっていることは、逆にこの見方をすると、あなた方に何の誠意もなかったためにこういう結果が出てきたと見ざるを得ない、誠意があるとするならば、需要供給のバランスをとるという建前から、その輸入も合うようにあらゆる角度からこういう計画をすればこういうことになるという一つの算定をして出されたものだ。にもかかわらず実際供給不足になっている。そういうことは、今言ったようにどこかに欠陥が出てくる。それに対する責任は当然あなた方が持たなければならぬ。ただ単に供給不足でございますからというわけにはいかない。これを追及していけば幾らでも問題が出てきますけれども、よくその点の考慮を願いたい。  第二点の今のマニトバの問題ですが、あなたは食用にも醸造用にも用いることができるとおっしゃる。そういたしますと、麦の品質からいきました場合に、食管法の第四条ノ三は、麦の売買の建前は随意契約にするということがその中心になっておるはずです。これはごらんになったらちゃんと出ております。ところが飼料需給安定法におきましては第五条の第二項に、一般入札となっている。今まではこれが粒用として飼料の方に回されるからこそこの価格の二万五千円というような問題が出てきておった。ところが食用に回すとここに利潤が上ってくるから、この払い下げ価格の三万三千円というような問題になってくる。そこでこうなってくると、一般のほんとうの飼料として取り上げておったところの、たとえば全購連であるとか、あるいは全畜連であるとか、全酪連であるとか、そういういろいろな農業を中心にしていった——機構にはいろいろ問題がありますが、農業を中心にしていったところのこれらの一連の方々は、とうていこれを横流しすることができないとなれば、粒のままでしなければならぬ。粒のままでしなければならぬとすれば、三万三千円というような高値で払い下げるわけにはいかない。そこでこの日本飼料というものは、たとえば六月の払い下げの実績なんかを見てみると一〇〇%全部取っている。その結果どういう欠陥が出てくるか。少くともそこには機構の変遷なり、あるいは今言った入札の方式なり——たとえば随意契約にしていくとか、そういう方向に切りかえなくちゃならぬということを考えずしてこういうことをやった結果が、このような高値で呼ばれてくるわけです。これに対してあなたはどういうようなお考えを持っていらっしゃいますか。
  21. 原田伝

    原田政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、私どもといたしましては飼料需給安定法の趣旨に沿いまして、えさの供給を数量的に増すという措置によりまして価格の安定をはかる、こういう考え方でございますので、このマニトバならマニトバの払い下げをいたします場合に、えさ需要者団体というものを相手といたしまして、先ほどから申し上げておりますような入札の方法をとりまして、各荷口ごとにそれぞれの入札の結果を待ちまして落札、決定をする、こういう方法をとっているわけでございまして、その場合に入札の結果がどういう団体にどういう事情で集まっていくかということにつきましては、これはやった結果を見て初めてわかる、こういう立場に立っておるわけでございます。
  22. 中村時雄

    中村(時)小委員 その結果はここにちゃんと現われておるじゃないですか。三万三千円という非常な高値になっておる。しかもこれを一〇〇%全部買い占めてしまったら、あなたのおっしゃったように供給不足になっておる。飼料は供給不足で困っておる。そのためにいろいろ考えておるとおっしゃっておる。それが一方、今言ったマニトバならマニトバを一会社がここで購入してごらんなさい。価格の変遷は、これは独占ですよ、自由自在になる。一般生産者団体というものは何にもならぬという結果は当然ここに出てくるじゃないですか。あなたが価格の安定を考えるために行なった行動というものが、その結果においては非常に大きなマイナスをつけてきておるという結果がここに出てきておる。これに対して一体どうお考えですか。
  23. 原田伝

    原田政府委員 ただいまのお話の点につきましては、私どもといたしまして、この払い下げのやり方として期待しておりましたのは、各荷口ごとに入札がございました結果、地理的な条件その他のいろいろなからみ合いによりまして強弱の差はいろいろありましても、従来の実績と申しますか傾向から見まして、ある程度分散してこれが引き取られていくのではないか、こういうふうに予期しておったのでございますが、入札の結果は御指摘のように一つ需要者にまとまってしまった、こういうふうになっておる次第でございます。
  24. 中村時雄

    中村(時)小委員 しっかりして下さいよ。実際まとまってしまったところで、あなた方の立てた一つ計画が自分たちの計画とそごをして、一つの会社に全部それを買い占められてしまったということで一体事は済むと思うのですか。これは私簡単に聞いておりますけれども、重大な問題なんです。だから方法としてはこれがいけなかったということになってきてたわけだ。あなたの考え方を発展させてみると、今まであなたは一般入札をやっておって、しかもその中に実績やいろいろなものを考えてみたいと思っておったというのであったけれども、結果ではその期待に反して一つの業者になったということになっておりますから、その実績はいろいろなものを考えていくと、一般入札ではいけなかったという結果が出てくる。そうするとあなたの考え方は、随意契約をやってもよろしいという考えを持っておったのかどうか、その点お聞きしたい。
  25. 原田伝

    原田政府委員 ただいまお話の四千トンのマニトバでございますが、これは払い下げの口数としてここに一口の分としては扱われたわけでございます。もともとこの四千トンは、実は五月に約一万トンばかりの払い下げを計画いたしまして実行いたしたのでございますが、その際にいろいろ引き取られた残りとして四千トン売れ残ったという形になりまして、それを今回の分として残りの分の払い下げも手続いたした、こういう状態になっておりますので、もともとの一万トンの中の四千トン、こういう形になっておるわけでございます。それからさらに私どもといたしましては、六月に一万トンをやはり放出いたしたい、かように考えているのでございまして、需要者の団体にできるだけこの政府放出のマニトバが行き渡るようにいたしたい、かように考えております。
  26. 中村時雄

    中村(時)小委員 あなたは畜産局長としての責任上からも、もう少し考えてもらいたい。というのは、この四月というのはあなた方が以前に全購連がマニトバを購入するということで契約され、一応話がまとまったときに、それは食用の方には回してはいけないというので小便をされたでしょう。その結果これではいけないというのでこういうような方向にまた変ってきたのだ。そういう実情もあなたはよくお知りのはずなんです。そこで今度はこの会社がこういうふうになってきた。たとえば四月の払い下げ実績というものは、全購連が四百トン、日鶏連が一千四百一トン、全畜連が二百トン、全酪連が八百四十九トン、全豚連が九百九十九トン、日本飼料が六千百五十一トン、こういうふうになっている。それが今度は六月に入ってくると、今までいったものは全部ゼロになっている。ただ日本飼料会社のみが四千百十六トン全部購入してしまった。こういう工合になっているのです。その結果がなぜこういうふうになったかということの根本をあなたは話さずに、ただ単に不足であったとか、自分たちの予期に反してこうなったとかいって考えているのですが、考えることはあなたの勝手です。しかし、私たちの大事なのは、この影響がどういうふうに現われてくるかということです。ものの考え方としては、二つあります。そういうふうな商社を対象にしていってもうけることを一つ考え方にした場合と、ほんとうに畜産をやっている生産者を舞台の中心にして、それをどのように経営の発展をはかるかという考え方と二つある。少くともあなた方の立っている立場、われわれの立っている立場というものは、直接の生産者をどのように向上させるかということなんです。その線の上に立って、一つ計画がなされなくちゃならぬ。あなたの話を聞いていると、全然違う。生産者の問題は第二次的の問題にして、そして、これらの飼料会社であるとか、あるいは全購連とかが舞台の中心になっている。もちろん全購連にしたって、日鶏連にしたって、全畜連にしたって、その組織なり、機構なりを見てみた場合に、ほんとうに生産者と結びついていない。結びついていないからこそ、こういういろいろな問題が現われてくる。現われてきても、あなた方は実態がつかめないから、そのままにほったらかしてしまう。これがあなた方の今までの畜産局の考え方になっている。そういう点に関して、あなた方が生産者を中心に考えていった場合に、こういう不手ぎわを行なった結果をどのように是正するかというような、一つの建設的な意見を持っていなくちゃならぬ。過去における問題を私はとやかく言うのではない、今後これでは困るから、どうすればいいかという問題についての御構想をお聞きしたい。
  27. 原田伝

    原田政府委員 今後の問題についてというお話でございますが、私どもとしては、お話のございましたように、畜産生産者の立場をもちろん基本的に考えて、えさ需給調整を行うべきである、かように考えております。従って今までのやり方について、こういう点がこういうふうに悪いという点がはっきりいたしますれば、そういう点について改善方を考えなければならないと考えておりますが、現在のやり方としては、飼料需給安定法の運用上、あるいは入札の方法をとるとか、あるいは見積り合せの方法をとるとか、こういう方法で従来もやって参りましたので、このやり方について、どういう点がどういうふうに改善を要するかということについて、今後ともしっかり研究をいたしたいと考えております。
  28. 中村時雄

    中村(時)小委員 これはわかっているんじゃないですか。あなたは、一業者がこのマニトバの五号、六号を全部購入してしまったということはいけないと考えていらっしゃるのでしょう。堂々めぐりですけれども、これをもう一回お聞きしたいのです。それでもいいとおっしゃるのですか。
  29. 原田伝

    原田政府委員 御指摘のような、一つの会社に全部の荷がさらわれているという現象につきましては、私どもとしても、こういうことが好ましいことであるとは決して考えておりません。ただその場合に、四千トンというのが前回の残量として現われて参りまして、かようなことになっておるのでございますが、払い下げの計画としましては、五月分約一万トンを払い下げまして、その際に売れ残りました分を、残量の処分という形で今回扱った。従って全体として正月の払い下げの計画に対応するものといたしましては、前回の売れ残らなかった、最初に売れた分とも合せて、計数をとってみておった次第でございます。
  30. 中村時雄

    中村(時)小委員 一万トンの数量を出していった残りの四千トンを一業者が取ったとおっしゃるのですが、取ったというところには理由があるのですよ。今あなたは飼料が不足しているとおっしゃっている。不足しているところへ持ってきて、食糧にまで転売してよろしいという条件を付けたのでしょう。だからふすまさえ出してしまえば食糧に横流ししたってかまわない、こういう一つ条件が付いている。だからもうかるから高値で入札しているのです。高値で入札しているからこそ、四千トンでも一業者に取られる。これは困るとおっしゃるのでしょう。一業者に取られて困るというならば、その困る原因を排除しなければならぬ。将来必ず一業者が高値で買い占めますから、一般のところは手も足も出ません。片っ方は商業取引としてやっているのですから、どうしたって買い占めが行われてくる。一般入札をやった結果こうなってきた。そこで一般入札を随意契約にするとか、そういう考え方があるかないかということを聞いている。ただどうするかじゃない、具体的にこれでどうでしょうかと私は言っているのです。それに対する考え方を聞いているので、何も抽象的に言っているのではない。あなたが抽象的に言っているから、具体的にこうしたらどうですかということを用いている。
  31. 原田伝

    原田政府委員 この四千トンのマニトバの用途と申しますか、用途が、ふすまを取ればそれでいいというような場合を含んでいるという点でございますが、実はその際には、同様の問題につきまして、先ほど申し上げたように内麦についてもやはりえさ用、醸造用等の払い下げを並行的に行うようにいたしたのでありまして、内麦の方におきましても、粒用に持っていってもよろしいし、またふすまだけを取るという使い方をしてもよろしい、こういうふうにいたしております。外麦と内麦と全体を合せてふすまの供給量なり麦の粒用の供給量を増していく、こういう建前をとっておったのでございます。
  32. 中村時雄

    中村(時)小委員 私はマニトバの問題を中心に取り上げている。内麦の話になってくると、集期の問題とか、入ってくるときも、それから実際にこれがふすまに切りかえられてどういうふうにするかという大きな問題がある。この問題はこの問題で別に解釈しなければならぬ。今言っているのは、この一点に集約して問題を進めている。あなたは外麦を食糧に持っていくのがよろしいというならば、食管法の第四条の三を適用して、麦の契約は随意契約にしたらいいんだという建前になっている。そういうことを加味して考えていくべきじゃないかと言っている。あなたのおっしゃっているのは、飼料需給安定法の第五条の第二項を取り上げて言っている。その結果悪い——悪くなくても、好ましくないと言っている。好ましくなければ、好ましいようなことを考えていかなくちゃならぬのが、あなたの立場ではないか。だから現実に具体的にここに出している。この一点をお尋ねして、非常に時間がおそくなりましたから、この問題は継続に持っていってもらいたい。
  33. 原田伝

    原田政府委員 お尋ねの点につきましては、私どもといたしましても従来とって参りました方法というものにつきまして、その払い下げの結果を検討いたしまして、従来の方法を改善しなければならぬ点を見つけました場合は、その線に沿って直して参るべきである、かように考えております。ただいま御指摘の四千トンの点については、いわば初めてこういうような現象が起きましたので、この問題につきましては十分に研究をいたしたい、かように考えております。
  34. 小枝一雄

    小枝委員長 それでは午前中の会議はこれで一応休憩いたします。午後は二時から再開いたします。     午後一時二分休憩      ————◇—————     午後二時四十五分開議
  35. 小枝一雄

    小枝委員長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。  質疑を続行いたします。
  36. 淡谷悠藏

    淡谷委員 集約酪農の今までの成績及びことしの計画、お見込みなどをお聞かせ願いたいと思います。
  37. 原田伝

    原田政府委員 集約酪農地域の問題でございますが、昨年酪農振興法が制定になりまして以来、同法の定めるところに従いまして、各地方で集約酪農地域計画が立てられまして、これを基礎といたしまして、酪農振興法による集約酪農地域の指定の申請が出て参った次第でございます。本年の三月末に締め切ってみました状態では、全国から六十九カ所が指定申請をして参っておる、かような事情でございます。これに対しまして私どもの立場では、ともかくも法律による指定というものに対しまして、予算的な裏づけが必要であるという考え方から、予算の折衝に努めておったのでございまして、私どもの要求原案といたしましては、五十地区を考えたのでございます。しかしながら、この件につきましては、財政当局と種々折衝いたしました結果、先般政府予算案として提案になりました予算の積算の基礎といたしましては、二十三地区が認められた、こういう状態になっておった次第でございます。  その予算内容といたしましては、従来の草地改良の事業の実績等を勘案いたしまして、重点的かつ効率的に仕事を行うことが適当であるという考え方から、草地の改良の仕事を機械力によって行わしめ、その機械の購入費を補助するという建前に相なりましたことと、またこの重要な仕事をしっかりやらせるために、設計なりその他の指導監督を厳重に行う必要があるという考えから、府県のさような経費の二分の一を補助するという内容を持ちまして、約一億五千万円ばかりの予算がまとまった次第でございます。その後におきまして予算の修正がございましたので、これに対して、さらに機械の購入費の補助が三千七百万円ばかり追加されることに相なった次第でございます。  さような状態でございますので、補助予算が成立いたしますのと見合いまして、具体的の地区指定の取り運びをいたしたい、かように考えまして、目下申請の出ております地区につきまして、事業の計画またその内容の適否というものにつきまして審査を進めておる、こういう状態でございます。
  38. 淡谷悠藏

    淡谷委員 六十九ヵ所の申請のうち二十三地区と申しますと大体三分の一になりますが、この選に漏れた方の地区は大へん遺憾に思うだろうと思いますが、この審査の基準としては一体どういうことを行われたのか、詳しくお伺いしたいと思います。
  39. 原田伝

    原田政府委員 この集約酪農地域の審査の問題でございますが、これにつきましては、基本的な事項は酪農振興法並びに同法の政令にある程度記載してございまして、その精神といたしましては、集約酪農地域というものは、現在の自然発生的と申しますか、酪農事業というものが統一的な姿でなしに、各地にばらばら乳牛が飼われておる。またこの乳牛生産しました牛乳というものを処理し、あるいは加工するという側の乳業の方の状態もきわめて区々でございまして、あるいはまことに小規模な非能率的な設備が至るところにあるかと思えば、あるいは相当大規模な工場がまた方々にできておりまして、これらが錯綜いたしまして必ずしも円滑にこの酪農業というものが伸びていく姿でない、こういう点が問題になっておるのでございまして、今度の集約酪農地域という考え方は、大体酪農の適地というものを一定区画内に考えまして、その区画の中におきましてはこの乳牛の飼養、つまり乳牛を飼う密度というものが一つ地域として成り立つようにある程度の集約と申しますか、ある程度の濃さをもって乳牛が一定地域に飼われるということが第一条件でございます。それからこれに対応いたしまして、そこにおいて生産されます牛乳というものが、中心的な工場に経済的に適切な距離でもって集められる。そこで合理的かつ効率的にあるいは乳製品となり、あるいは飲用牛乳となって消費地に送られる、そういうような形で、しかもその間におきまして生産者の立場といたしましては牛乳の集荷、出荷というものが農協を主体といたしました共同販売の体制で、生産者の利益が十分に主張し得るような姿にまとまる、こういうような姿をもちまして計画が立てられることが望ましいという点であります。それからまた、さようなふうに濃い姿で乳牛が導入されます場合に、その地域におきましてこれを養うに足る飼料資源というもの、特に牧草でありますとか、その他飼料作物でありますとかいうような自給飼料の面におきまして、それだけの乳牛を受け入れることが十分にできる、こういうような点でありますとか、またその主体であります農家の戸放の分布状態でありますとか、その稼働労力というような点でありますとか、これらの諸点を総合いたしまして、自然的にも、地理的にも、また経済的にも十分に生産基盤のしっかりした合理的な酪農業がそこに成り立つ、こういう内容、要件を備えましたものが初めて集約酪農地域として指定する資格がある。こういうような考え方で法律、政令等に基準が定められておる次第でございます。個々の地区の審査につきましては、さような点を勘案いたしまして、その法律、政令の条件を具体的に具備しておるかどうかというような見地から、その細目につきまして審査を進めておる、こういう状態でございます。
  40. 淡谷悠藏

    淡谷委員 酪農経営については、生産した乳を処理する施設の重要なことは申すまでもございませんが、現在の形を見ますと、牛は大へん入っておるが工場がないという地域、工場があるけれども、牛の頭数が少いために工場の経営が成り立たない、こういう矛盾が各地で見られるのでありますが、牛の数と工場の数の比較の表が何かできておりますか。あったらそれをちょうだいしたい。なかったら資料として請求したいと思いますが、いかがですか。全国における酪農工場の数、分布状態及びこれの所有者と申しますか、経営と申しますか、系統を分類し、並びにその工場の集荷しておる範囲の牛の飼育頭数などの比較表を、今でなくてけっこうですが、お願いしたいと思います。  それからこの酪農経営一般農家とはまた違った形で、日本農業経営一つのケースになると思いますが、大体一戸の飼育頭数をどれぐらいの頭数に押えられるか、こういう点を伺っておきたいと思うのです。
  41. 原田伝

    原田政府委員 酪農経営につきましては、農家経営規模そのものとも非常に関連がございますので、一がいに一戸当り何頭ぐらいが適当かということは申し上げにくいのでございますが、ごく大づかみな見当といたしまして、北海道のような場所におきましては五頭くらいという見当になると思います。また内地と申しますか、北海道以外、本州でございますが、本州におきましてはまあ二頭以内、場合によりましては一頭くらいでちょうどいいのだという場所もございますが、大きな見当としまして二頭ぐらいまで、こういうようなことを考えております。具体的にはいろいろ経営面積と乳牛の飼養頭数というものが組み合せになって考えられると思います。
  42. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今までの乳牛の飼育状態を見ますと、一軒の農家が牛舎を作りまして、その中に一頭ないし二頭の牛を飼う。ただしこれだけではとうてい酪農専業ではいけないことはおわかりだろうと思うのです。従って他に稲作をやるとか、果樹をやるとか、非常に多角的な経営形態の一つに入っておるようであります。その結果他の農業の忙しいときは管理がおろそかになる。ひまになるとまた急に管理をする。一年を通じて平均しない飼育方法が、しばしば乳牛の生理に悪影響を及ぼしまして、失敗した例がたくさんございます。集約酪農という構想は、そうした非常に不完全な農家の飼育状態をそのまま集めて、それでよろしいとお考えかどうか。あるいはこれらの集約地区の設備として、共同放牧なりあるいは共同飼育場なり、種つけ等に対しましても何か共同的にやるような御計画があるかどうか、お伺いしたいのであります。
  43. 原田伝

    原田政府委員 ただいま御指摘の点は、私どももそういう点をやはり十分に今から考えなければいけないのじゃないか、かように考えておるわけでございますが、ただ具体的にいかなる形をもちまして、さような多角経営の場合の労力と乳牛の飼育管理の関係を調和させるかということにつきましては、それぞれの地方々々の事情がございますので、今後集約酪農地域というものを育てて参ります場合に、そういう点につきましても、地方の実情をよく考えまして適切な指導を加えて参りたい、かように考えております。
  44. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これからお考えになることはけっこうでございますが、今までの様子を見ましても、古い型の酪農のやり方というものは、一番困難をきわめるのは放牧なんであります。綱をつけて、くいにゆわえてつけておくとか、でなければ二、三頭の牛に人一人が全くかかり切って、一日牛とともに遊んでいるというふうな、非常に能率の上らない点がたくさんある。これは地方々々の事情もございましょうけれども、地方々々の事情に押されておったのでは、なかなか新しい構想が出ないと思いますので、思い切って集約酪農をやる条件として、一定の土地に共同放牧地などを設けまして、そのさくの材料の補助をするとか、その草地の改良をするとか、一緒にそこへ連れ込んで、晩にはまたみな連れ帰って搾乳をするというような積極的な構想をお持ちにならないかどうか、これが一点。  さらにさっきの御答弁の中に、飼料資源の確保ということもございましたが、牧草なども日本の土地に適する牧草と、輸入する牧草と、いろいろ種類がございますが、大体集約酪農という構想の中に盛られた飼料資源というのは、日本的にいってどんなものがあげられるか、一つ伺いたいと思います。
  45. 原田伝

    原田政府委員 ただいま二つの点についてお尋ねがございましたが、第一点の放牧につきまして、共同放牧がどうかという点でございますが、集約酪農地域計画といたしましては、その地域内に適地がございます場合は、当然これを放牧地あるいは採草地として計画に織り込んで参るわけでございまして、ただ放牧をするという場合におきまして、これは現実に土地の所有関係、使用関係等につきましていろいろ沿革もございますために、一がいにはきめられないわけでございますが、放牧地というようなものにつきましては、できる限り共同放牧を行わしめる方が適当である、かように考えております。  第二点は飼料資源の点でございますが、この点は、大へん恐縮でございますが、技術的な点もございますので、ただいま有畜営農課長が参っておりますので、御説明申し上げたいと思います。
  46. 山本兵三郎

    ○山本説明員 ただいまの、集約酪農地域におきます飼料資源についてどういうことを考えておるかというお尋ねでありますが、これは二つにわれわれ考えておりまして、一つは田畑、従来の既耕地を利用する飼料の充足の方法、もう一つはいわゆる原野、牧野法で申します牧野を利用します方法、この二つを考えておりまして、田畑を使います場合においては、たんぼにつきましては、裏作を主として考えておりまして、これは自給肥料の方で取り上げておりまするレンゲ、これは改良局の所管として取り上げてもらっております。飼料として考えますのは、これはあるいは採油の作物になると思いますけれども、例のウンダイでございます。特に東北方面では非常にいい飼料作物でないかと思います。それから畑作につきましては、燕麦あるいは大麦という冬作物、それから家畜用のビート、家畜用のカブラといいますか、こういうものを考えております。なお牧野につきましては、ただいまもお話がありましたように、優良の牧草を考えておりまして、従来は禾本科の牧草でチモシー、オーチャード、こういうものが日本に相当普及して成果をおさめております。ただ豆科の牧草になりますと、日本では適したものがなかったのでありますが、ここ四、五年いろいろ外国のものを入れました結果、めどがつきましたのがラジノ・クローバー、これは白クローバーと赤クローバーの雑種のようなもので固定されたもののようであります。これが南から北まで大体成功しております。これをわれわれ第一に取り上げておりますが、北海道、その他内地においては一部桑園あるいは畑地の狭い地域、あるいはたんぼや畑のあぜ等にレッド・クローバーをやっております。北海道にはレッド・クローバーの栽培が非常に適しておりまして、種等も道内で二十五万ポンドほど取れます。外国からも七、八十万ポンドの輸入をしているような始末であります。これも豆料の蛋白自給飼料として相当有望なもので、これらを主として取り上げております。そのほか、豆科にもスイート・クローバーとか、いろいろございますけれども、数量的にはまだわずかであります。今後の試験研究と実際の栽培によりましてだんだんと取り上げ得べきものができるんじゃないかと思います。これはまだ普及段階に入っておりませんけれども、ルーサンが、従来は酸性土壌では適さないんじゃないか、日本におきましては失敗の歴史でありましたけれども、最近ニュージーランドあたりのルーサン、根が一メートルくらい張りまして、微酸性のところでも成育するということで、各地にぼつぼつこれが成功をみている。北海道におきましても今かなり有望視されております。来年度あたり取り上げていきたいと思っておりますが、まだ予算措置はとっておりません。これらの自給飼料あるいは牧草の種子につきましては、国営原種圃を経営いたしまして、その優良種の信用のある種を採種圃を通じまして農家に配付する、これも現にやっております。なお申し落しましたけれども、食糧作物としても考えられておりますトウモロコシでありますが、これは酪農家としては、トウモロコシの青刈は一年に一回ないし三回くらい同じ畑から採っておりまして、この種はやはり国営原種圃で採種をして各地に配付をしております。なお国営の原種圃だけではその需要に応じ切れませんので、しかも最近非常にこの需要がふえましたので、特に農家の採種事業を助成いたしまして、その種を計画的に配付しておりますが、需要の半分程度を満たすにすぎません。本年もこの間予算の修正が行われました際に、トウモロコシの採種圃の助成反別が増加をしてきております。かようなものを、原種圃、採種圃を通じまして、種の供給をはかっております。なお不足いたします分につきましては、海外の輸入にまたなければなりません。これらの外貨については、おおむね毎年必要分量の外貨は確保することになっております。
  47. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ルーサンについては、以前に下総の御料牧場でこれを作りまして失敗した事例がございます。その原因として、日本の土地全体の地下水が別に高いということがあげられているのですが、この奨励などについて、地下水の高さなどの御勘考があったかどうか。  それから、こうした洋種の牧草はむろんけっこうですが、日本の土地に従来はえております禾本科としては、非常に根の強いススキ、あれの若刈り法などによる計画がございますか、どうですか。また、カブとか、その他の根菜類の代用にも、なるといわれておりましたノブキという植物がございますが、これは日陰でもできますので、北海道で一時トウモロコシのかわりとして相当植えた時期がございます。これらの研究がどういうふうになっているか。特に豆科の牧草として自然生のハギの利用が、しばしば言われておるのでございますが、乾燥法がまずいので失敗して参っております。こういうふうな日本の土地にはえておるさまざまな牧草の利用等について、何か御研究があったら伺いたい。それから関連して、果樹地帯における利用をどういうふうに奨励されるか、お考えを承わりたいと思います。
  48. 山本兵三郎

    ○山本説明員 ルーサンの地下水の問題でありますが、お話のように、根が相当深く入る作物でありますから、地下水の高い所は避けなければいかぬ。どっちかといいますと、普通平地よりも傾斜地のところがいいんじゃないかと思います。ただ、最近ぼつぼつと成功をしているところがありますのは、従来は酸性土壌ではほとんどこれは成功しなかったということがありましたが、最近のものは、外国で相当改良されてきているらしく、ある程度酸性のところでもりっぱに成育する、こういうことであります。  次のススキ、ノブキの問題でありますが、それぞれ野草的な飼料資源としてはりっぱなものである。ただ野草をふやしますことは、技術的なことを申し上げて恐縮でありますが、植生——植物の分布の生態といいますか、そういう関係もありまして、種の成熟が非常にまちまちで、もちろん開化もまちまち、従って種を取るのに非常に困難です。そのほかにもヤハズソウ、スズメノエンドウ、いろいろ優良なものがありますけれども、採種が非常に困難であり、しかも採った種をまきますと、一斉に発芽しない。ある場合には、全然発芽しない場合がある。それから毎年少しずつ発芽をするという性質を持っておりまして、これを繁殖し、普及するということに難点があります。この点の改良につきましては、今農業技術研究所でも取り上げ研究はしております。まだこれを普及段階に移すというところまでいっておりません。ことにススキなどは収量も多いですし、若いうちは相当蛋白質もございまして、優良な禾本科の野草であろうとは思います。  それから、その次のハギの問題でありますが、ハギは自然牧野には二十九年度までは助成金がありまして、これを肥飼料木の一つとして取り上げて、牧町に植栽をする。そうして根瘤菌がございますから、空中窒素を固定して土壌を肥沃にする。その葉は蛋白質等の含有分が相当ありまして、飼料として適当なものだということで、白ハギ、イタチハギ等は飼料木として助成しておったのであります。三十年度から、その予算は大蔵省が認めませんので、残念ながら今年度はございません。そういう事情でございます。  それから果樹地帯の酪農でありますが、これは果樹の下に適当な牧草を植えることができて、果樹が要求する時期の水分との競合がないような牧草の栽培の仕方をしていきますれば、粗飼料供給の面におきましては、果樹地帯に酪農が入っていくと私は思います。ただこれに要する労働力の問題、しかも袋がけあるいは農薬の散布、これに相当の労働力をとられるという点で、乳牛について朝晩搾乳したり、えさをやったり、そのしぼった牛乳を冷却するというような点に多少そごを来たして、従来成功しなかった例は多いのでございます。それともう一つ、牧草を植えましても、ただいま申しましたように農薬をまきますので、農薬の方の被害が逆に牛の方に牧草を通じて参りまして、牛の健康を害するというような点が実はおそれられているのでございます。しかしこれも雨がある程度多いところで、まいてから一月なりあるいは四十五日くらいたちまして、農薬の害がなくなったことを確かめて、それを飼料に刈って食わせるというような方法を講じますれば、できないことはない。現にそういう研究はしておりますが、よほど注意をいたしませんと、せっかく高い牛を殺したり、あるいは流産をしたり、あるいは出乳量を非常に減らす、こういうことで経済的収支の方がむしろ支障を来たすということがありまして、果樹地帯に集団的に乳牛を導入していくという問題につきましては、酪農というものと果樹あるいは他の畑作なり水田経営と全体をにらみまして、そこに労働的にも支障のない、あるいは農業技術的に考えてもこういう人ならやれそうだというようなことでありませんと、一般的に取り上げることはかなりな危険が伴うのではないか、かように存じております。静岡のミカン地帯等でも、どっちかと申しますと、あまり成功した例がないのでございます。しかし今後果樹地帯の酪農化という問題は、今お話しましたような点を考えながら漸次指導をして参りたい、かように存じております。
  49. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今年飼料のいろいろな利用のための予算が盛られなかった。特に日本にあるさまざまな野草の研究費が削られたことは遺憾に思うのでありまして、さっきあげましたほかに、たとえばヤハヅソウとかミヤコソウといったような豆科の植物がございまして、ヤハヅソウのごときは逆にアメリカがこれを改良してバード・アイという名前でまた還元して参っております。それから特に日本の山野至るところに生えておりますクズがあります。このクズなども日本で閉却している間に、アメリカの方では逆に非常にこれを重要視しまして、ジャパニーズ・クズというような名前までつけて、これを非常に有利な飼料作物として奨励しておる事例がございますが、こういう非常に有利な飼料作物を自然に持っていながら、その改良を忘れ、さまざまな育種上の研究も忘れて、でき上った牧草の、しかも風土に合うか合わないかわからないような牧草の種子輸入の方に重点を置かれるということは、今後酪農が発展するに従って非常に大きな難点になるだろうと思います。クズ、ヤハヅソウあるいはミヤコソウというようなものに対する研究などをなされているかどうか。特にさっきお話のラデノ・クローバーでございますが、これは白いクローバーのランナーの出る特性と、レッド・クローバーのたけは高くなるがランナーのないという欠点とかね合して作られた新種としてわれわれは理解しております。これなども日本ではようやく種を輸入して、あわててこの増殖をはかっておる。この山野にある草の育種改良をよくやりさえすれば、もっと平易な土地に合った草は十分に利用できると思いますので、草地改良が盛んに唱道されている今日、これらの予算が削られたことをまことに遺憾に思う。何とかこれは委員会としても考えてみたいところでございます。  それから果樹園の酪農に障害を来す具体的な農薬としてどんたものがあげられるか、伺っておきたい。
  50. 山本兵三郎

    ○山本説明員 ただいま使っております農薬は、ほとんど強力な農薬が多うございまして、どの農薬がどうということを詳しくは私存じませんけれども、農薬をかけて一ヵ月ないし四十五日くらい、しかも雨が二、三回降ったあとなら大体大丈夫だと聞いておりますが、高い牛を殺したり事故を起させるということは、万金の措置をとらなければなりませんので、どの程度といいましても、雨が非常にたくさん降った場合とか、あるいはそれほどでないということによってその被害も非常に違ってくるのじゃないか。従って果樹栽培地帯のその下に牧草を植える、あるいは飼料作物を植えるということは、果樹の水分吸収との関係どもございますので、果樹の奨励問題とも関連をして、今後相当研究してからでないと、普及にまで取り上げることはどうかと考えておるのであります。長野県等におきましても、園芸試験場等で実は取り上げておりますが、まだ一般農家がやるという自信がないというお話であります。
  51. 淡谷悠藏

    淡谷委員 果樹園に牛が入ることは必至だと思います。特に稲作とか一般の畑作では、人間の食糧生産の線と牛を養う食糧の線とがぶつかりますので、なかなかこの利用ができない。しかるに果樹というものは下の方が全然あいてしまう。しかも適当な日影を作っておりますので、この下で放牧ができますと非常に有利な酪農経営ができるのでありまして、静岡県のミカンがこれと結びつかないのは、雪などの関係で樹形が低いのでありまして、大きな家畜が入りますと、下枝を食ってしまう。特に最近果樹の栽培が盛んになりましてから、傾斜地を開いて果樹を植える傾向がずっと進んで参っております。その場合に傾斜地を開墾しますと、雨のために土が流れて高度の浸蝕状態が著しく起ってくる。これをとめるためには、勢い草地栽培の形態が盛んに奨励されまして、今ではもうほとんどリンゴなどにおきましては果樹園の下は全部お話のラデノ・クローバーあるいはレッド・クローバーをもっておおってしまっておる状態であります。ただ御心配の農薬の点は、今まで使いました砒酸塩であるとかあるいは除虫菊、BHCくらいまではまずよいのですが、DDTは神経性の毒なので、これは生物には若干害があるのじゃないかということがいわれておりますが、私自身実は実験いたしましたが、除虫菊、砒酸塩、BHCの程度ではこれはあまり害がない。それから下で放牧する方法と、下の草を刈って食わせる方法とございますが、蒸発する水分の関係は、乾燥期以前に牧草を刈り取りさえすれば水分は絶対に減らぬということが立証されておるのであります。そうすると、これは薬剤散布の前に刈り取るとか、乾燥期に入る前に刈り取るとか、こういう方法によってこの矛盾の解決はできる。ただBHCの場合はにおいが強いものですから、しぼった乳に若干においを残すというきらいはございますが、生理的な被害はあまりない。ただDDT及び最近使っておりますホリドールなどは、人間にさえ害を与えておりまして、私が昨年愛媛県に行ったときには、ミカン地帯あるいはたんぼに使いまして、そのために人間が病気で倒れて命をなくしたという例が出ておる。これは虫だけでなくて、人間にも危険を与えるのですから、こういう危険のあるパラチオン剤については、これは集約酪農の発展からも研究を願いたいと思う。これを無責任にやるということは、今後の酪農発展上に非常に支障があるだろうと思う。そういう点から特に果樹園の下地利用という点から試験的に一つ大いに身を入れておやりになる御意思があるかどうか、伺っておきたい。
  52. 山本兵三郎

    ○山本説明員 先ほどお話申しましたように、われわれ果樹園の下地利用酪農ができないかということで、いろいろ実際にやっておる農家から聞き取り調査をやっておるのであります。失敗した例あるいは現に成功しておる例等も実は調べておりますが、今後果樹園経営者がよく果樹の方のやり方、酪農に気を配ってやりさえすれば成功していくのじゃないか。しかも土地の二重利用という点から申しますと、非常に有効じゃないかというふうに考えておるのでありまして、長野県の園芸試験等にも実は頼んでやっていただいておるわけであります。県の畜産課と農産課、農地試験場等集まりまして何とかやっていけないか——あすこはほとんど果樹の下を牧草をやっておりますが、やはりこまかく試験研究者の意見を聞きますと、刈り取りの時期によってはやはり果樹の方の水分の不足を来たす、あるいは農薬の点でどうも一方の方の被害が多くなる。本体はやはり果樹の方の経営にあるのですから、果樹の方に少しでも被害がくるのは困るというような御意見のようであります。しかし私はむしろ果樹の方の減収と酪農の経済の好転というものと両方比較してみた場合に、果してどうかということを実は申し上げておるわけでございます。今後日本の土地の狭い現状、あるいはそういう小さい日本農業経営から見ますと、土地の二重利用ということを取り上げましてあやまちのないような指導を加えていったら、私はそう悲観すべきものではない、むしろ果樹地帯の酪農は果樹の経済の優秀性と酪農の優秀性と両方考えられる農家がやっておるのではないか、そういう農家に誤りない指導を加えていけば、私は、成功し、また将来有望になるのではないか、かように存じておるわけであります。
  53. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長野県のリンゴが旱魃に負けますのは、地盤が浅い、岩盤に近いものですから耕土が浅い、従って樹勢が非常に衰えまして、酪農しなくてもあそこのリンゴはだいぶ問題を起すのであります。この例は、青森県の黒石という市にリンゴの試験場がありまして、草生の研究を二十年以上やっております。こまかいデータも農林省にはあるはずですから、これは一つ研究を願いたいし、なお実験的な方法としては、いろいろなケースで果樹と酪農とのコンビネーションをやっておるのがあるのです。これはもし例をお集めになるのでしたら、ぜひリンゴ試験場などに具体的にお話しになっていただきたい。  特に御注意申し上げたいのは、飼料としてリンゴの問題があると思います。風に落されたリンゴとか病虫害のついたリンゴは飼料として非常に優秀なのです。一匹の牛が一箱のくずリンゴを食ったらあと何も要らぬというくらいにいわれている。それから摘果なども、小さな実が直ちに飼料になる。これも相当な反別で二万町歩に及ぶような果樹の地帯でございますから、この量というものはとうてい想像のつかぬくらい多いものでありますから、一つ果樹園の酪農につきましては、青森県におけるリンゴと牛との結びつきなどを十分お考え願って、これは全国的な一つの果樹園の酪農例として非常にいいケースだと思いますから、一つその点についてのお考えをお間かせ願いたいと思うのでございます。
  54. 山本兵三郎

    ○山本説明員 大へんいい御注意いただきました。リンゴ園の下の土地利用酪農について試験場等の資料をちょうだいいたしまして研究してみたいと思います。  クズの点でありますが、クズもわれわれ実は取り上げてみたことがあるのでありますが、これはどっちかと申しますと、山林の方から見ますと敵である、こういう点がありまして、やはりこれを奨励する場所につきましては慎重を要するのではないかと思います。しかし農家の家のまわり等で、むしろこれを作物的に扱いまして、伸びたらすぐ刈って食わせるというようなことをいたしますれば、差しつかえないのでありますけれども、雑木の生えているようなところに植えますと、木を枯らすというようなことで非難が実は一部ございまして、われわれもどこでもやるということについては実はちゅうちょをしておるわけでありますが、一時砂地地帯の利用のためにクズを取り上げたらどうかということで、これも鳥取県の砂地地帯で試験をしたことがあるのであります。そのときには鳥取大学の先生とも御相談いたしましたけれども、いい成績ではございませんでした。傾斜地等でむしろ薪炭林等を目標にしないでこれをえさに使う一方ということでありますれば差しつかえないようであります。これも実は一時民間の希望がありましたので、国営の原種圃でクズの苗を配布したことがありますが、その後希望がなくなりましたので、現在はやめております。決して悪い飼料資源ではないと考えております。
  55. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もちろんクズは山林地帯の敵でございます。従ってつるを伸び次第刈ってきて、すぐ飼料として食わしておる例は非常に多いのですが、これは伸ばしておくことはできないのであります。  それから私がなぜくどくどとこういうことを申し上げるかと申しますと、集約酪農という構想が従来失敗した。零細な農家の牛を養うような形そのままの形で集約されたならば、集約酪農全体は失敗すると思う。思い切って牛の飼育の密度を考え、あるいは重点的にかつ効率的に指導監督を行ってやられる集約酪農であるならば、行き方ども、今の日本農業が陥っている、零細な残滓をもって養うといったような概念を一掃しまして、新しい構想をもって進んでいただきたい。このためには、特に日本型の集約酪農研究が大事だろうと思います。  クズですけれども農家の庭などに植えられるようなしろものではない。大きい根は一つの根で八尺もあり、イモの直径が二尺から三尺というような根になるのもございまして、アメリカなどではこれを護岸工事に使っておるのであります。非常に丈夫なものです。こんなものはとても農家の庭などに植えられるものじゃないのであります。共同放牧場をつくりましたときに、これを生きたままでさくの代用にいたしますと、枯れたクズは非常に弱いのですが、生きているクズはまことに強いものであります。相当太くなります。これをもってさくの代用にいたしますと、この葉が全部伸びると非常に長くなって飼料になる、こういう新しい観点から、一つこの研究をもっと充実さして、新味を取り入れて、何とか集約酪農にも清新の気をあふれさした新しい構想をもって臨んでいただきたい、これが私の質問の趣旨なのであります。なおまた折がありましたらいろいろお教えいただきたいと思います。
  56. 小枝一雄

  57. 井谷正吉

    井谷委員 今の集約酪農地域の指定につきまして、関連してちょっとお尋ねしておきたいと思います。  先ほど原田さんのお話では、今度の地域指定は、草地改良を機械力でやる、そうして機械力化のための補助を出す、そういうことが今度の選考の主体になるようなお話に承わっていたのでありますが、機械力というのはどういうものをいうのか、ちょっとそれを御説明願いたいと思います。
  58. 原田伝

    原田政府委員 集約酪農のあり方につきまして、先ほど来いろいろ教えていただいて参ったのでありますが、私ども考えといたしまして、やはり集約酪農地域におきまして自給飼料というものに基礎を置いた酪農を行わしめる、そういうことになりますと、飼料作物の増産のほかに、どうしても草資源特に牧野というものの改良を前提とするのではなかろうか、その場合に草地の改良を行いますにつきましては、やはり草地というものがいろいろな形にわかれておるのでございまして、私ども従来から、同じ牧野のうちでも高度集約牧野というふうに名づけておるのでございますが、比較的広々といたしまして傾斜等もあまりきつくないというような牧野につきましては、これを集約的に利用せしめることが適当ではないかというような考えから、牧野改良のうちでも、そういう牧野については特に力を入れておったのでございますが、これにつきましては、人力なり畜力等を用いまして改良いたします方法もあるわけでございますが、比較的経済的に、また早く改良をいたしますには、機械力を用いまして、まず抜根等障害物を除く、またその除いたあとの荒起しといいます起土の作業でありますとか、またそういうふうにやりましたあとの整地でありますとか、こういうような作業を機械力を用いまして行いますことは、非常に牧野改良を効率的に行うということになりますので、そういう考え方から機械力による牧野改良ということを従来から考えておったわけでありまして、この集約酪農地域の革資源の改良を行います場合も、さような行き方によりまして、なるべく早く相当広い面積の牧野の改良を行うということによりまして、集約酪農地域内の草資源というものの改良を促進いたすことが適当ではないか、こういう考えでございます。その場合具体的にいかなる機械でやるかということにつきましては、まずトラクターが主体になりまして、これはその現地の地形等にもよりますので、具体的には今後いろいろ地方とも打ち合せをして、機械の大きさ、馬力等をきめて参りたいと考えるのでございますが、予算を組みます場合の考え方としましては、大型のトラクターとしては大体五十馬力程度のもの、それから小型のトラクターとしましては二十五馬力程度のもの、こういうトラクターにそれぞれハローなり何なりというような付属機具を組み合せまして、さらにプラウ等もこれに加えましたさような組み合せの機械を考えて、予算を編成いたしておる次第でございます。
  59. 井谷正吉

    井谷委員 そうしますと、今のお話しのようであれば、北海道であるとか東北であるとか、広範なそういうものを使い得る地域に限られるようです。関西地方になりますと、平坦地はほとんど農耕水田あるいは畑作にすべてこれを使っておる。そうすると今度の地域指定というものは、従来のように重点が東北、北海道に置かれる、そうして今まで酪農に希望を持ってこつこつと頭数も増し、準備をしていた者は選考に入らない、こういうようなことが考えられるのですが、その点伺いたいのです。
  60. 原田伝

    原田政府委員 機械力を主体とするということの結果、ただいまお話しにもございましたように、非常に広い地積を擁しておりまする地帯がまず条件を具備する可能性が強いという点は御指摘の通りであると考えますが、西日本方面におきましても、やはり集約酪農地域として具体的に計画を立てます場合に、高度集約牧野というような使い方を十分取り入れ得る場所も相当あるように私どもとしては考えておるわけでございまして、もちろん地方の実際の地形等から見まして、そういう機械力を割合受け入れやすい傾向と、そうでない傾向というものがある程度現われてくるのはやむを得ないと思いますが、大体集約酪農地域というふうに取り上げ計画を立て得るような場所については、かような行き方で、機械力を用いる場合はやはり相当あるのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  61. 井谷正吉

    井谷委員 先ほど飼料の問題であります。私は愛媛県でありますが、愛媛県は御承知のように段々畑が非常にたくさんあって、主として麦とイモを作っておるわけですが、この三崎半島という九州に向いた長い半島がありますが、あの中ごろに四ツ浜村という村がある。ここは道路が広いだけで、道路の山はなに家が建っておる、あとは急傾斜、前は海です。ここが愛媛県と高知県に出します牛の産地で、村の財政はこの牛によってやっておる。また伊予は伊予牛というて、神戸で神戸牛といいますが、ああいうりっぱな肉ができるし、御承知と思いますが、闘牛というものが非常に盛んです。百姓が蔵を建てれば、もうあの家はつぶれるというので金の貸し手がないようになるのですが、それと同じように、突き合い牛を飼うたといわれれば、もうあのうちはつぶれるよといわれていいほど牛にのぼせる。牛飼いの専門というか非常に牛を愛する昔からの慣習で今日までやってきておるのです。そうして飼料はどうするかといえば、これはイモのつるなり、畑作ですからこれの裏作を作ってこれにあてがうというふうなことをやってきておる。これが突き合い牛をやって財産を失うのでしようがないというので、酪農に転換しておるのです。これは機械を使わぬでも、あの付近一帯は柑橘地帯でありますが、すでにその下では家畜飼料になる作物を作っておるわけです。こういう方法によって、そう金を出して飼料を買わないでもやり得ると思うし、またそういう考えで案を立てておるのじゃないかと思います。先ほどのお話しに、内地では一戸当りが二頭くらいということでありますが、二頭も三頭もみな飼っておるわけです。私は牛を飼うておる人たちの気持を伸ばしていくためにも、また今度のそうした地域指定が一方に偏するというようなことでなくして、そういう見込みのある所、そういう熱意を持っておる所を指導していくことを一つ考えていかねばならぬと思うのですが、それに対するお考えを承わりたい。
  62. 原田伝

    原田政府委員 具体的な場所につきましてのお話しが出ましたが、私といたしましても、いろいろ御心配をかけておりますことについて恐縮に存じておる次第であります。私の申し上げました考え方は、全国的に取り上げます場合の考え方でございまして、いろいろ地方によりましては、そういう一般的な考え方では酪農振興、特に集約酪農地域行き方にまとまりにくいというケースも出てくることも考慮の中に入れておるわけでございますが、その場合におきまして、本年度予算は申し上げましたような形になっておるのでございますが、御指摘のような場合におきまして、やはり機械力によらない草資源の培養という手段があることはお説の通りでございます。私どもといたしましては、今後さような場合につきまして、どういうふうに草資源の改良というものを持っていくか、またそれに対して国としてもどういう方法によってこれを援助して参るかということにつきまして、今後十分に研究をいたしまして、これに対する対策なり措置なりを立てるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。集約酪農地域の指定そのものにつきましては、予算の問題とどうしてもこれは関連をもって考えなければならぬわけでございますが、実は集約酪農地域先ほど申し上げました審査の基準につきまして、大体においてはその基準にはまって参るのでありますが、若干の点についてしっくりいかないというような地区があちらこちらに実はあるわけでございます。そういう場合におきまして、そういう基準にはまらない点があります場合に、これにつきましてどういうふうに考え方を持っていくかということにつきましては、地元の県庁の主管課と今後ともによく打ち合せをいたしまして、また必要な場合には特に現地の調査等もいたしまして、せっかくいろいろな点において有利な条件を持っておりますような地帯をそのまま放棄することになりましては相済まない次第でございますので、これらの取扱いにつきましては、申し上げましたような緊密な連絡並びに調査をいたしまして、今後の行き方というものを研究して参りたいと考えておる次第でございます。
  63. 井谷正吉

    井谷委員 この地域は御承知のように、明治が工場を置いてすでに酪製品を作っております。さらにこの付近かち十里ありましょうか、海岸一帯は石灰岩の土質であります。ここから生えます草が非常に牛の飼料に適するのか、よく牛がこえるのです。それから広いところがよければ、これに続いたところに農林省がよくやっておりまする大野ヶ原の大きな開拓地がある。ここは普通の作物ができないで、今バレイショくらいでやっておりますが、相当貧困をしておる。これらは関連をしておるのですから、よく一つ現地をお調べになって、希望を失わないように地元のそうしたお百姓たちのためにお考えを願いたい。私の関連質問はこれで終ります。
  64. 川俣清音

    ○川俣清音君 午前中の説明でどうも理解できない点がありますので、この際委員長のお許しを得て二、三点お尋ねしたいのです。  このマニトバ五号並びに六号は、えさとして払い下げられたのですか、またはその他にも利用できるというような意味で払い下げられたのですか。これはおそらく畜産局が払い下げの責任者になっておられるようですから、えさだと思うのですが、どうですか。何か説明の中にちょっと違ったような説明があったのですが……。
  65. 原田伝

    原田政府委員 マニトバの麦を払い下げまするねらいは、やはりえさ需給の逼迫というものを緩和する、こういう考え方でいたしておるわけでございます。
  66. 川俣清音

    ○川俣清音君 そうするとこれは払い下げた全量がえさ、こういうふうに需給計画の中に見てよろしゅうございますか。
  67. 原田伝

    原田政府委員 その点につきましては、午前中もちょっと申し上げたのでございますが、えさ用の麦として払い下げるのでございますから、これを粒用として払い下げるということが一つのティピカルな方法であると考えておりますが、結局ねらいとしますところは、家畜飼料特に購入飼料需給というものが逼迫しておるから、これに対して供給量を増すという考え方でいたすのでございまして、そのときの家畜飼料需給状況に効果のあるような行き方をとるということが考え方であると思っております。従いまして従来のやり方といたしましては、ふすまが高いというような場合におきまして、とにかくふすまそのものを払い下げる方法をとりましたし、また政府の持っておりまする家畜飼料として十分役立つと考えられる麦類をあわせて市場に放出する、こういうことによりまして家畜えさの供給を増大するという行き方で、懸命に飼料価格の引き下げ、安定をはかるというやり方をとって参ったのでござまいす。その場合に、この払い下げまする麦を粒用に限定するという行き方と、粒用に限定しないで、そのかわり先ほど申し上げましたように食糧管理の方の一般用の麦類に助太刀も頼みまして、その一般用麦類も大いに市場に放出してもらう。しかもその放出の対象といたしましては、ひとり精麦用のみならずえさ用にも出してもらう。それらをあわせましてえさ需給の逼迫というものに対して供給力を増さしめる、こういう方法があるわけでございまして、けさほど来いろいろお話の出ておりまする六月の払い下げのマントバの麦につきましては、これを粒用に使うこともよろしい、また加工用にまわしてそのふすまを取ってえさとして使うということもよろしい。その両方を認めるが、同時に内麦の方につきましても、従来は製粉原料にしか認めておらなかったものを、間口をあけましてえさ用にも使ってよろしい、しかもそれは粒用にしてもよろしいし、また一般加工いたしまして、ふすまだけを取ってそのふすまをえさ用に回してもよいというように、両方の施策をあわせて行うことによりまして、足元のえさ需給を緩和せしめる、こういう考え方をとったわけでございます。
  68. 川俣清音

    ○川俣清音君 私のお尋ねが非常にややっこしいのかもしれませんが、四月、五月のマニトバ五号、六号の払い下げは、その一部は需給計画以外になっているのか、全量入っているのか、こう聞いているのです。
  69. 原田伝

    原田政府委員 需給計画の上におきましては全量えさ用の麦類というワクに入っておりますが、これを運用します場合に、申し上げましたように従来えさ用として考えていなかった内麦につきまして、やはりえさ用の分を見てもらいまして、その両方を合せまして効果を上げたい、こういう措置をとった次第でございます。
  70. 川俣清音

    ○川俣清音君 何か答弁が非常に苦しいようです。えさ用以外に回した分も内麦から埋める、こういうようにも聞えまするし、全量がえさであると理解してもいいように聞えるのですが、どっちなんですか。
  71. 原田伝

    原田政府委員 ただいま申し上げておりますマニトバ麦の使い方といたしましては、さような粒用でもよろしいし、またその麦わらふすまを取ってえさに使ってもよろしい、こういう取り扱い方を考えましたのは、そういう行き方だけでは適当ではないと考えておる次第でありまして、申し上げておりますように、内麦の放出というものとかみ合せまして、その場合に限って今申し上げましたような措置を特例として開く、そうして飼料需給の安定に資する、こういう考え方をとっておる次第でございます。
  72. 川俣清音

    ○川俣清音君 私議論するつもりじゃないのです。これを全部飼料と見てよろしいのか、一部飼料以外になるというふうにも聞えるし、どっちですかと聞いておるので、議論しようとするのではないのです。説明がどうも……。加工をするということは、飼料以外にも回るということを予想して、粒でもよろしいしあるいは加工してもよろしいし、全量を飼料としてもよろしいし、こういうふうにも聞えるのです。どっちですかとお聞きしているのです。
  73. 原田伝

    原田政府委員 飼料用として放出をいたした、こういう考えでございます。
  74. 川俣清音

    ○川俣清音君 そうすると加工をしてもよろしいということは、一般常識からいえば、加工して製粉をして、それはえさでなく食糧になるということを意味するのですね。そこであなたの説明はわからない。粒のままえさにするというのと加工してもよろしいということは、加工してふすまを取り、あとは食糧に供してもいい、こういうことなんですね。全量が飼料だと見てもよろしい、加工してもよろしいということになると、ふすまを取る、あとの粉はいいところは食糧に供してもいい、こういうふうにもとれるのですね。どっちなんですか。
  75. 原田伝

    原田政府委員 えさ用としての麦を放出いたしまして、その麦からふすまだけを切り離して使う、こういう行き方は、実は昨年におきてましても備蓄ふすまの取得用としてさようなやり方をとった例もあるのでございまして、また種類は違いますが、えさ用の大豆を放出しまする場合も、大豆そのものの中には大豆油が含まれておるわけでございますが、そういう大豆を放出いたしまして、油を加工をして、これをえり分けて大豆かすをえさ用に使う、こういうような似たような例もあるわけでございまして、今回の取り扱いは、非常に込み入った話しになりまして恐縮でございますが、ふすまを取るという行き方だけを単純にとったということではございませんで、いわば相棒としまして内麦というものを相当多量に放出する、その放出先としては、普通は含めておらないものを、えさ用というものを含めた、両方を合せまして、それぞれから、あるいはふすまを取り、あるいはえさ用として必要な粒用は、両方から必要量がとられていく、こういうような建前をとって考えておるわけでございます。
  76. 川俣清音

    ○川俣清音君 私は局長の飼料対策を聞いておるのじゃない。これは政府の資金をもって買いました飼料でございまするから、どういう条件で払い下げられたか、えさにするために払い下げたのか、それともこれ自体食糧の一部に供してもいいという考え方で払い下げられたのか、こう聞いているので、それがえさになるかならないかという政策論を聞いておるのじゃない。一体どういう条件で——えさ以外にも使ってもよろしいというような条件で払い下げたような説明にもなる。そうじゃなくて、これはえさとして払い下げた、こうにもなるので、どうもあなたの説明はどっちかはっきりしないのです。それでお尋ねしておるのです。議論じゃないのですから簡単に一つ
  77. 原田伝

    原田政府委員 えさ用として麦を払い下げる、こういう考え方でございます。その場合に、えさ用として払い下げたものの使い方としては、申し上げたような今回の組み合せの措置の場合に限りまして、あるいはそれを粒のままで用いられ、あるいはふすまだけをえさ用として使われるのだ、こういう道も開いたというふうに考えるのであります。
  78. 川俣清音

    ○川俣清音君 簡単にしようと思うが、局長どうもわからないのです。粒のままということになると全量がえさなのです。それから加工してもよろしいということになると、全量がえさじゃないのです。ただ埋め合せを別に考えておるというだけのことで、これ自体がえさとして払い下げたのか、それともそうじゃないのか、こう聞いておるのです。あとで埋め合せればいいじゃないかというと、払い下げの条件が違ってくるのです。価格にも影響して来ます。
  79. 原田伝

    原田政府委員 どうも同じことを繰り返して申し上げるようになりましてまことに恐縮でございますが、今回の措置は、ねらいをふすま対策に実は重点を置いておるのでございまして、そのために、従来とも麦を放出することによってふすま関係にもいい影響があるはずであるという考えからいろいろ努力して参ったのでございますが、さらにその効果をしっかりしたものにいたすために、申し上げたように同時にいたすわけでございます。
  80. 川俣清音

    ○川俣清音君 おそらく速記を見ましてもどうもわからないと思うのですよ。払い下げの条件が、全量飼料ということになりますと、粒で処分して全量使うのか、あるいはふすまだけ使って、あと粉になったものは食糧に供してもいいということですと、目方が違いますよ。それを内麦で補うなら、その貫薮の不足の分だけ内麦で補うというならば、これは別の政策です。払い下げの条件が違って来ます。それはあなた方の政策で不足分を内麦でやるんだ、これは払い下げた業者がやるんじゃないでしょう。違うのです。国会で問題にしておるのは、どういう条件で払い下げられたのかということを聞いておる。加工してもよろしいということになると、あなたのさっき説明した通り、この中のふすまだけが飼料になるので、あとの不足分は内麦のふすまをもって補うのだ、こういうことにもなる。どうもどっちかわからないのです。どっちなんですか。次の質問に非常に影響してくるのでお聞きしておるのです。
  81. 原田伝

    原田政府委員 言葉が下手なものですから、簡単に申し上げますと実態をおくみ取り願えないかと考えますのでありのままを申し上げておるわけであります。えさ用として払い下げるのでございますが、それを粒用とすることと、ふすまだけを取って使うということと、両方を認めるという考え方で払い下げをいたしたのでございます。
  82. 川俣清音

    ○川俣清音君 そうするとこういうふうに理解していいですね。六月に払い下げられたものは、全量がふすまだけが飼料に回って、ふすま以外のものは飼料に回らない、こういう払い下げの仕方をした、こう理解してよろしいのですか。
  83. 原田伝

    原田政府委員 お話しの六月の分につきましての扱いは、それ以前の扱いとは違っておるのでございまして、それ以前におきましては、全量粒用であるという条件をつけて払い下げをいたしております。六月の分につきましては、その全量粒用であるという制限をつけませんで、粒用として使う場合あり、またふすまだけで使う場合ありという行き方をとったのであります。その扱いをしました考え方は、先ほどから再々申し上げておりますように、内麦の方の関係とを結びつけてさような扱いを特例として考えた、かようなわけであります。
  84. 川俣清音

    ○川俣清音君 そうすると二点疑問が出てくる。需給計画から見て、どっちでも使っていいことになると、全量粒でやった場合と全部加工された場合とでは非常な違いが出てきます。従って需給計画が立たないと思うのです。これが一つ。もう一つは、これは四、六月に払い下げられたと言いますが、五月も払い下げられたように聞いておりますけれども、五月のはどうなっておりますか。
  85. 原田伝

    原田政府委員 五月にも放出をいたしたのでありますが、その五月の分につきましては、全量粒用という条件で払い下げをいたしております。
  86. 川俣清音

    ○川俣清音君 それはどうして資料としてお出しにならなかったのです。五月は全量粒にしたために破約になったとかあるいは解約をしたということも聞くのですが、この点どうなのです。
  87. 原田伝

    原田政府委員 お話の資料でございますが、これは私も今見本を一部いただいたのでございます。これは私の方で作りました資料ではございません。私ども資料といたしましては、五月分が幾ら放出になっておるのかということをここに加えました資料でないと十分ごらんいただけないというふうに考えておるわけであります。
  88. 川俣清音

    ○川俣清音君 その資料をお出し願いたいのです。私の聞くところによると、今までは全額飼料として買い入れたものが一部食糧に回ることは、飼料需給の上に大きな支障があるということで、粒として条件をつけられた。今度は日本飼料にやらせるためにわざわざこういう条件を緩和したのじゃないか。初めから全量飼料でない、ふすまだけだということになっておると、もっと他にも参加者があったやに聞く。初めからそういう条件でなかったようです。日本飼料に払い下げられて、加工してもよろしいという条件があとでつくということで、これがわかったのは日本飼料だけだと言われておる。ほかはやはり粒として処分しなければならないというので価格競争に敗けたというのが常識になっておる。加工してもよろしいというときの払い下げ価格と、加工してはならないというときの価格が違うのは当然のことなのです。一方は食糧にするという条件がついておる。食糧にすれば高いことは明らかなのです。どうもこの点わからないのです。さっきから私が聞いていると、全量今まで通りでないようにも聞えるし、全量が飼料だというようにも聞える。ここからもう一度問題は出発しますが、きょうはやめておきます。これは食糧としてもよろしいということになると、競争入札ということが、食管法から問題が出てくる。明らかにこれは問題です。えさである限りにおいては、競争入札は法規の通りです。食糧とする場合においては食管の方の法律を適用されなければならない。これはやみルートだと思います。そう思われるか思われないか、農林省として重大ですから、大臣の方もわずらわして答弁の用意をしていただかなければならないと思います。
  89. 原田伝

    原田政府委員 最後におっしゃった点は今お答えいたしませんが、最初の点は事実関係でございますので、ちょっと申し上げたいと思います。六月の四千トンにつきましては、見積りに参加しました全員に対して、粒用でもよろしいし、ふすまだけを使ってもよろしい、こういうことを知らしてございます。五月の分につきましては、これは粒用である、それ以外の方法は認めないということを最初から知らしてございました。
  90. 川俣清音

    ○川俣清音君 そういう答弁になると、もう一つお尋ねいたします。あなたも午前中からこれは残量の処分であるとわざわざ言われた。残量というのは前の条件と同じだという説明一般の通念になっております。それでなければ残塁ということはないのです。毎月やっておるのですから、残量ということは普通からいってないはずだ。残量という観念は前と同じ方式の分の残りということだ。これは普通の常識ですよ。従ってあなたの説明の中で残量残量とわざわざ言われるのが、前と同じ方式だというふうにもわれわれには聞えるのです。そこで長々の質問が出た。これはあといろんな問題が起って参りますから、一つよく研究されて答弁を願いたいと思います。
  91. 井谷正吉

    井谷委員 この飼料問題は、先ほどこちらの方からも資料の要求がしてありますし、またこちらに持っておるのが当局のものとは関係ない資料のようでもありますし、食い違いもあるようでありますから、きょうはこの飼料問題に対しては留保して、後日あらためてこういう会議を持ちたいと思いますから、よろしくお願いいたします。
  92. 小枝一雄

    小枝委員長 それでは質疑は後日続行することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十九分散会