○
増田(正)
説明員 御
承知のように本年の七月九日をもちまして、
漁業法の臨時
特例法が失効になったわけであります。
漁業法の臨時
特例法の失効に
関連いたしまして、今後のカツオ・
マグロ漁業の許可方針といたしましては、大体次に申し述べますような
理由によりまして、別途詳細に御
説明いたしたいと思います。このカツオ・
マグロ漁業の臨時
特例法の期間中約二カ年のうちに、経済的な効果と申しますか、一応総トン数について申し上げますと、二十七年の十二月三十一日、これを基準にいたしますと、当時隻数は千百三十隻、船舶の総トン数におきまして、十万二千八百トンごさいました。一昨日のものはまだ集計が済んでおりませんので、一応三十年の四月三十日現在をとりますと、隻数において千二百九十一隻、総トン数において十五万三千三百トンになっております。ただいま申し上げましたように、隻数におきましても百数十隻の
増加になっておりますし、総トン数におきましては約五万トン
増加をいたしたわけであります。これは
特例法の始まります前に比較しますと、おおむね五〇%増ということになります。その間漁獲高について申し上げますと、漁獲高の
増加量は二千三百万貫でございます。隻数におきまして約五〇%、漁獲数量におきまして約二千三百万貫の
増加になっております。なお二十七年以降におきます対米輸出は、二十七年におきまして一千百四十四万貫、これはいずれも鮮魚換算いたしております。二十八年は千六百九万貫、二十九年度は二千二百二十九万貫、いずれも暦年でございますが、そのように漸次上っております。当初
特例法の構想を持ちました当時、私
どもの予想いたしました隻数あるいは漁獲量は、ともに大体目的を達成したというように一応考えられます。
なお他方におきまして、先ほ
ども申し上げましたように、カツオ・
マグロ漁業の生産物は、戦後対米輸出品として急速に伸張いたしたのでありまして、一応順調な経過をたどって参りました。ところが昨年の秋以降におきまして、主としてアメリカ国内におきます諸般の
事情から、米国内におきます需給
関係が漸次軟化の傾向を示して参りまして、最近では楽観を許せない現状にあると考えられます。この
原因につきましてはいろいろあるようでありますけれ
ども、昨年アメリカの
マグロ漁獲が例年に比して
相当よかったということ、あるいは家畜類等の増産が漸次アメリカ国内に高まりまして、そういったことも非常に
影響したというような点、さらにアメリカ全体におきます景気がやや後退したのではないかと思われる点等がおもな
理由かと思うのでありますが、
マグロの対米輸出は昨年の秋、特に最近非常に頭打ちの傾向を示しております。
以上の点等から見まして、対米輸出の点につきましては、今後におきましてもそう楽観を許せないのではないかというような懸念もいたします。従いまして今後
マグロの輸出等につきましては、
相当程度欧州市場の開発ということも努力しなければならないと同時に、国内におきましては、特に関西方面なりあるいは農村方面への販路の開拓ということも、今後重点を指向すべき問題であろうかと思います。しかしこのような販路の開拓等につきましては、なかなか一朝一夕には参りませんので、今後
マグロ漁業につきましては、生産カに見合った円滑な流通、販路の確保という点を考慮いたしながら、漸進的に操業力の拡張をはかる必要があろうかと思います。従いまして
特例法の有効期間中のような、極端に操業力を
増加する点は一部
修正いたしまして、できるだけ漸近的に、発展の度合いを従来よりも幾分下げつつ、適正
魚価の維持、企業の合理化、安定を主眼にした施策を進めて参りたい、かように考えまして、以上申し上げましたような考え方を基準にして、実は昨日付をもちまして許可方針を改正いたしたわけであります。
次に、許可方針の改正のおもな点について申し上げます。まず最初遠洋カツオ・
マグロ漁業でございますが、これは従来と比較して御
説明した方が便宜かと思います。従来は百トン以上の船の代船といたしましては、無制限に船の総トン数の
増加を認めて参りました。これにつきまして、今後は新方針におきましては、一応百トン以上の船、具体的に申しますれば、二十七年の十二月一日現在において総トン数がすでに百トン以上になっているものにつきましては、従来は無制限でございましたけれ
ども、今後の代船は二百四十トンという線で押えて参りたい。それから
計画トン数が二百四十トン以上を
希望される方々につきましては、二百四十トンから超過するトン数を他の船舶のトン数の補充によって、トン数が大型化できるようにいたしたいと思います。それから
従前に船舶総トン数が、九十、五トン以上百トン未満までのもので、
特例法の期間中に百トンの線を越しまして、百八十トン未満までいった船につきましては、それを百八十トンまで認めたい、これはちょっと御
説明いたしますと、従来九十五トン以上百トン未満の船舶か、
特例法を利用いたしまして、かりに百五十トンまで上ったという場合には、その船舶はさらに百八十トンまでは無条件に大型化できるという意味でございます。それから同じ考え方で、七十トン以上九十五トン未満の船型のもので
特例法を利用いたしまして、百トンをオーバーした船舶は、一応百六十トンまで認めたい。すなわち七十トン以上九十五トン未満の船舶がかりに百三十五トンにいっておったとすれば、なお百六十トンまでは無条件に大型化できるということでございます。
それから従来は、遠洋カツオ・
マグロ漁業につきましては、ボートによる操業の援助と申しますか、搭載
漁船の隻数については、別段の制限を設けておりませんでしたが、一応搭載
漁船としては、一隻までの
範囲内において使用することを認めたい。なお二隻以上の分につきましては、別途母船式
漁業の立場から
検討を進めまして、救う方法を考慮したいということでございます。
先ほどある一定の制限を越した場合には、他の船舶からの補充によって大型化するということを申し上げましたが、その基準は、中型カツオ・
マグロ漁業につきましては、七十トン以上のものは補充トン数を百トンとみなしたいと思います。それから七十トン以上八十五トン未満の船舶は八十五トン、七十トン未満の船舶は七十トンというように補充トン数をある一定の補充トン数に定めております。