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1955-07-28 第22回国会 衆議院 農林水産委員会商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十八日(木曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員  農林水産委員会    委員長 綱島 正興君    理事 安藤  覺君 理事 白浜 仁吉君    理事 松浦 東介君 理事 鈴木 善幸君    理事 中馬 辰猪君 理事 足鹿  覺君    理事 稲富 稜人君       赤澤 正道君    五十嵐吉藏君       井出一太郎君    伊東 岩男君       石坂  繁君    大森 玉木君       木村 文男君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       丹羽 兵助君    原  捨思君       本名  武君    足立 篤郎君       川村善八郎君    助川 良平君       田口長治郎君    平野 三郎君       松山 義雄君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井谷 正吉君       石田 宥全君    芳賀  貢君       伊瀬幸太郎君    川俣 清音君       中村 時雄君    日野 吉夫君       久保田 豊君  商工委員会    委員長 田中 角榮君    理事 首藤 新八君 理事 長谷川四郎君    理事 山手 滿男君 理事 内田 常雄君    理事 前田 正男君 理事 永井勝次郎君    理事 中崎  敏君       笹本 一雄君    森山 欽司君       山本 勝市君    加藤 精三君       鹿野 彦吉君    神田  博君       小平 久雄君    堀川 恭平君       南  好雄君    加藤 清二君       片島  港君    田中 武夫君       伊藤卯四郎君    松平 忠久君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  吉川 久衛君         農林事務官         (農地局長)  渡部 伍良君         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局次長) 福井 政男君         農林水産委員会         専門員     岩隈  博君         商工委員会専門         員       越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  愛知用水公団法案内閣提出第一三四号)     —————————————     〔綱島農林水産委員長委員長席に著く〕
  2. 綱島正興

  3. 綱島正興

    綱島委員長 本案の内容につきましてはすでに十分御承知のことと思いますので、ただちに質疑を行います。なお午前十一時より引き続き農林水産委員会を開会することになっておりますので、そのつもりでなるべく簡潔にお願いをいたします。川俣委員
  4. 川俣清音

    川俣委員 本機械公団愛知用水公団法案中に、恩給法を適用することになっておりますが、この際公務員とし、この同一の資格をもって公団に転職されるのでありますから、その円滑をはかるために、恩給法を適用されるそれ自体の本質については別に異議はないのですが、役員等になって行かれる場合に、この役員は相当高給じゃないかと考えられる。高給の場合は、高給で行って恩給法を適用するなどというのは、これは一つの機関に役人の恩給を設置したということになると非常に好ましくない事態が起きるのではないかと思う。給料はどの程度になるのか。あるいは役所から転勤した場合に同じ給与なのか。違った給料の場合には恩給法をどう適用するのか。
  5. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまの恩給計算につきましては事務当局から説明させることにいたします。
  6. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 恩給関係は、機械公団の方は三十一条で規定しておりますが、恩給年限に達しない者が要するに公団に入って公団の職務を勤めて、また公務に帰った場合に、公団在職期間公務員として在職したものと計算する、こういうことになっておるのであります。恩給年限に到達しない者が公団に行った場合は通算して考える、こういうことになっております。
  7. 川俣清音

    川俣委員 そうするともとの職場へ戻らなければその恩給期間は喪失するということになるのですか。どうもこれを見ると、必ずしもそうでないようなのです。農林省から出ていって公団に入って、また農林省へ戻ってきたときにその分だけ継続するというならわかるのですが、そうでなくて、公団に入った場合でもさらに恩給期間が延長せられて、そこで退職した場合はその退職時の給料恩給計算するということになると、相当問題が起ってくるわけなのです。
  8. 河野一郎

    河野国務大臣 今の恩給の問題ですが、役所から公団に出て参りまして、公団におるうちの年限恩給加算をいたします。そこで川俣委員の御質疑は、給料が高くなる、そこでやめた場合に非常に高い恩給がつくではないか、こういうことだと思うのですが、これは役所に戻らずにやめれば、それは恩給年限加算をいたしません。それから必ず役所に一たん戻って、役所給料に戻りまして、そこでその間の年限恩給加算して役所の俸給で恩給を出す、こういうことにいたしておるわけであります。
  9. 川俣清音

    川俣委員 その趣旨でこの法律ができておるといたしますれば了承いたします。どうも私研究が不十分であるかもしれませんが、何か期間中も恩給が継続されるように解釈をせられますので、今の質問をいたしたのでありますが、出先に行って、そこでやめる場合には加算されないというなら問題はありません。  次に愛知用水の第三章の業務ですが……。
  10. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっとお願いいたしますが、実は通産の方から松平委員がお見えになりましたので、先に松平委員に御発言をお譲り願いたいと思います。
  11. 川俣清音

    川俣委員 それでは第三章の業務については質問を留保しておきます。
  12. 松平忠久

    松平委員 昨日補償問題で若干関連質問をしたのでありますが、きょうは愛知用水公団法案について若干質問したいと思います。愛知用水計画概要というものは、非常にネコの目のようにぐるぐる変るのであります。そこで私どもとしては、一体どこまでこれが信用が置けるかということについて疑問を持つわけでありますが、私どもに配付された資料によりましても、五月の資料と六月の資料が、目的についても非常に大きな違いがすでにあるのであります。五月にわれわれに配付された資料は、開田計画として大体三千町歩開田計画でありますけれども、六月になって配付された資料によりますと、開田計画は二百何町歩となってしまいまして、まるで開田計画三千町歩がその十分の一にも満たない二百何町歩になっており、今まで五年もかかって調査しておったのに、一月間に三千町歩開田計画が二百何町歩になったということはあまりにずさんではないか、これはどういうわけでこういうずさんなものをわれわれに出したのか、わずか一月の間に、三百億円もかかるのに、こういうずさんなものをわれわれに出してくるということは、われわれを侮辱しておるのではないかと思うのです。一体どういうわけでぐるぐる変るのか、その変る原因、それから開田計画の変った原因もお聞きしたいのであります。
  13. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御説明申し上げます。本計画に一番問題になっておったかは、ダムをどこに作るかという問題であったのであります。当初は二子持ダムを作って、七千万トン以上の水をためたい、こういうことになっておったのであります。ダムの構築についてこれを経済的に処理するためには、ロックフィル牧尾橋の方がよろしいということに諸般研究の結果なったのであります。そういたしますと水の容量が七千万トンから六千三百万トンに落ちたので、従いましてこの水をもって下流受益地域事業を遂行するため水の効率をもっとよくするために、開田計画を落しまして、上流の貯水量が減るのに対応させたのであります。
  14. 松平忠久

    松平委員 この調査は四、五年前から続けられておって、われわれは大体二子持ということに話を聞いておったのであります。そして本年の五月までは二子持でやるという計画を出されてきておる。その後たった一ヵ月で牧尾橋になった。そして牧尾橋調査もろくすっぽやらずに、六月にああいう計画を出してきた。諸般研究と言われるが、二子持から牧尾橋に変った理由はどこにあるのか。また五年もかかって二子持中心研究しておって、ずっとその資料を整えてわれわれにも提示されておったのに、たった一ヵ月の間に今度はすっかり計画を変えて、違ったものを出してくるというずさんなやり方をしておられるのですが、それは一体どこに原因があるのか、もっとはっきりしたことを伺いたい。
  15. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お答えいたします。この計画につきましては、資料としてはお話のように簡単に一ヵ月で変ったという現象を呈しておりますが、実は二子持牧尾橋の両方についてわれわれは長く調査を続けてきておるのであります。二子持は二子持で、河床を四十メートル掘らなければ岩盤に達しないので、何かと経費が非常に多くかかる。牧尾橋につきましては、炭酸ガスが出る断層があるというふうな問題があったのであります。従来の技術からいきますと、経費はよけいかかってもグラビティ・ダムで二子持に作った方が安全であるというのが昨年末ごろまでのわが国技術者の見解であったのであります。これに対しまして世銀の推薦するパシフィックの意見は、そんな不経済なことをしたのでは聞こえが悪いじゃないか、牧尾橋地質が処理できるものかできないものか、もう少し研究したらいいじゃないか、研究した結果どうしてもできないときに、初めてよけい経費のかかる二子持にしてもおそくはない、そういう示唆がありまして、私の方では技術者を五人これらの研究アメリカにやりました。さらに世銀の推薦しておるエリックフロア現地に連れてきまして詳細に検討いたしました結果、牧尾橋地質は完全に処理ができる、従って水量は少々減っても、経済的に有利な牧尾橋にやるべきであるという結論に到達いたしました。この問題につきましては、エリックフロアがきましての技術上の検討の結果につきまして、経審建設省、通産省等技術者も参加して十分検討をいたしました結果、牧尾橋にきめる方がいいということになったのであります。私どもの方としては、突如として変えたのではありませんで、十分各方面調査をした上できめたのであります。それがきまりましたので、法律をいよいよ最終的に出すことになったのであります。それまでの資料は経過的な資料でありまして、経過的な資料はどこの地区でも漸次改善していくのでありまして、その点はそういうふうに御了承を願いたいと思います。  なお牧尾橋ダム・サイトの選定の経過と地質調査概要はただいま資料でお配りすることにいたします。
  16. 松平忠久

    松平委員 ただいまのお話によりますと、主として経済的な理由牧尾橋にきめたということです。そこで牧尾橋にした場合に相当の貯水量の減少がくる。それと全体の経費との関係はどういうふうなバランスになっておるか、一体子持牧尾橋にしてどれくらいの利益があるのか伺いたいと思います。
  17. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お配りしてあります概要書の六ページの事業費のところの堰堤五十二億、このところの相違であります。これは最初に出したときは百億以上になっておったと思います。
  18. 松平忠久

    松平委員 お話によると、アメリカへ五人視察にやられて見学さしてきたということですが、パシフィックコンサルタントサービス専門家のサーヴェイというようなものがありまして、ダム地点をきめるのにアメリカ技術者を雇ってこなければ農林省ではきめることができないということですが、一体河床が四十メートルあるいは三十メートルあるとしても、現在秋葉ダムは五十メートルというのを日本人だけでやっておる。そういうことに対して農林省では技術員がいないのですか。一体どの程度技術的な自信があってやっておるのか、お伺いいたします。
  19. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の方では、この計画については二子持牧尾橋を当初から調査をいたしました。それの結果について最も確実安全を期するためには、あらゆる調査知識をとってくるのは当然でありまして、それでやったのであります。  なお簡単に例を申し上げますと、たとえばボーリングの方法等につきましても、何と申しましても大土木事業をやっておるアメリカ技術等は、これは現地調査に行った技術者もはっきり認めておりまして、最も進歩した方法をとるべきであろうということを言っておりますから、これは文献とかいろいろなもので見ておるよりも、現地に行きまして、なるほどこうすればこう処理できるのだということを確認しまして、将来のわが国農業土木の進歩の上に外国のいいものは遠慮なく取り入れたがいいというふうに私どもは考えております。
  20. 松平忠久

    松平委員 農業土木お話ですが、ダムを作ることは日本でもやっておったのです。ただ農林省が自分で直轄ダムを作るということをしなかっただけで、その辺のネコのひたいみたいな温水ため池を作るのがせいぜいであって、こういう大きなものを作ったことがない。実際の経験が何もない。しかし日本の国内にはこれより大きなダムはざらにあるのであります。従ってこれは日本でも初め発電ダムにしようという計画さえあった、相当古くから知られておった地点であります。従ってあらためてアメリカ技術者を招聘してやるということをしなくてもいいわけであります。農林省がそういうようなことを——長く時間をかけてやったけれども、結局自信がない、そうしてアメリカからそういう技術者を頼んでくるというようなことをするから、地元民にしろあるいはわれわれにしろ、技術に非常に自信がないということをみずから暴露しておるような格好になってしまう、世間では、それもあわせてこの計画案が非常にずさんであるという印象を各方面に与えております。ですからそういう技術面からいっても、一体農林省にこれをやっていく自信があるのかどうか、たとえば牧尾橋にしても三十何メートル程度あると思うのです。河床が三十何米の難工事一体どういうふうにやられるつもりか知らぬけれども、これをやる場合にはやはりアメリカ技術が入ってきて、そうしてアメリカの技師の監督のもとにこれをやっていくということになるのかどうか、その点を伺いたい。     〔綱島委員長退席松浦(東)委員長代理着席
  21. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 先ほど申し上げましたように、諸外国ダムの形式は、コンクリートダムから順次ロックフィルダムに変ってきておるのであります。その根本的な最も大きい理由は、ロックフィルダムの方がむずかしい地質に対応するのにいいということと、非常に経費が安くなるという点にあるように考えられます。この地点につきましても、コンクリートダムよりもロックフィルダムの方が、地質の方から見てもいいし経済的にもいい、こういう結論になったのであります。ところが日本におきましては、ロックフィルダムの大きいのはまだやっておりません。高さ四十メートル以内であります。今度の場合は八百八十メートルのレベルにしますと七十八メートルの堤の高さになるのであります。従いまして日本ではこういう大規模のものはロックフィルとしては最初である、この次に電源の美幌でもロックフィルでやるということにおきめになっておるようでありますが、最初であります。ロックフィルをやるためには、こういう大規模になると大規模機械を使わなければなりません。そうしますと設計理論のほかにやはり従来の実施上の経験というものがものを言うことになりますので、私どもといたしましては、工事の確実安全をあくまでも実現するためにあらゆる知識を導入しよう、こういうふうに考えておるのであります。
  22. 松平忠久

    松平委員 私もコンクリートダムがいいかロックフィルダムがいいか、そういうことはよくわかりません。現在佐久間にしても秋葉にしても、これより大きな規模であって、また河床岩盤までの高さというものが非常に大きな差があるのでありますが、そういうところでは大体コンクリートダムを作ってやっておる、しかも電源開発でありますから、もっぱら営業を考えてやっておると思うのでありますが、そういうところは全然ロックフィルをやらずに、あなたの方だけロックフィルを初めてのテスト・ケースとしてやっていくというその根拠、その理由一体どういう理由なんですか。これが難工事であるからなのか、あるいは特殊な地形であるからなのか、あるいはただ単にアメリカから慫慂されたというのか——パシフィックコンサルタントサービスは、彼らは日本ロックフィルを知らぬものだから、お前やれと言ってどこへでも勧めるのです。そうしてアメリカが指導してやるのだ、こういうことを言っておる。どこのダムにもアメリカはそれを慫慂しております。あなた方はそれに乗ったわけであります。どういうわけでこれに乗って、どういう理由ロックフィルにするのか、それを伺いたい。あなた方、一体根拠があるのかどうか。
  23. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の方で考えましたのは、技術的に可能であり安全であれば、経済的に安いものをとることは事業を遂行する上に必要である、こういうふうに考えて、この地点調査の結果、ロックフィルを採用する方がいい、こういうふうにきめたのであります。
  24. 松平忠久

    松平委員 次に聞きたいのは、この用水目的であるところの畑灌開田関係についてでありますが、五月の資料によりますと、たしか畑灌は一万三千町歩というようになっております。開田の方は三千町歩、ところが今回の新しい資料によりますと畑灌の方が一万六千町歩と三千町歩ふえておる、こういうわけでありますが、これはどういうわけですか、三千町歩ふやした理由というのはどういうわけであるか。私どもの考え方からすれば、開田の方をうんと減らしてしまって、今度は畑灌の方をふやしたという結果になっておりますけれども、そういう工合農林省というのはくるくるとネコの目のように変えていいものかどうか。一体これでは地元農民計画などというものは知らないのじゃないか。地元民が知っておれば——開田だといってうれしがっておると、今度は畑灌になる、こういうわけなんでありまして、一体どの程度まで地元農民の納得をとっておるのか。その点に対して変った理由も聞きたいのでありまして、この点はさっき農林大臣農地局長と耳打ちをされたようでありましたから、こういう工合に一月の間に目的が変ってしまったということは、農林大臣もお知りにならぬのではないか、これは一体どういうわけなんです。
  25. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは先ほど申し上げましたように、ダムを最終的に様式規模をきめた結果、その水を最も有効に使うためにはどうすればいいかということで、下流受益地域の再検討を加えたのであります。その結果、開田のうちの一部は、ため池に今までやっておるものを相当減す計算になっておりますから、そのため池をある程度残しまして、洪水期の水を貯蔵する、そのためにため池をつぶして開田にするのが減る、さらに新しい開田等も多少減しまして、水の需要量を減すと同時に、さらにその後の精査の結果、畑地灌漑の余地があるということがわかりましたので、これを追加いたしたのであります。
  26. 松平忠久

    松平委員 次にお伺いしたいのは、ダムを作るあの地点は、従来中部電力の前身によっても発電計画がありましたが、あそこを発電オンリーにする場合、そのことを仮定してやってみた場合には、どの程度の高さで、どの程度発電にするのが一体適当であるかということを御研究になったことがあるか。またこれは通産省関係になるのでありますけれども発電オンリーにした場合のダムの形態ということは、どういうのがあそこでは理想的であるかということをお聞かせ願いたい。
  27. 中島征帆

    中島政府委員 あの地域はずっと上の方から下手に至るまで大体開発が完了に近づいていますので、あそこだけ独立に発電用ダムを作って、果して採算に合うかどうかという点について若干疑問もありますので、発電用専門ダムの理想的な形は、どういうものであるかということはまだわかっておりません。
  28. 松平忠久

    松平委員 農地局長に聞きたいのですけれども発電用ダムを作る、施設を作るということは、年間のキロワット・アワー、それを換算した純利益のおよそ何倍くらいの資本を動かすことが現在では有利なのか。つまり二億円の収入があるならば、最大は一体どの程度の投資をすべきかということをお聞かせ願いたいと思います。
  29. 中島征帆

    中島政府委員 利益の何倍ということについては、ちょっと的確にわかりませんが、大体われわれの方で目安としておりますのは、キロワット・アワー当り建設費はどのくらいになるかということを押えるわけでありますが、大体最近の例で申しますと、だんだん高くなりまして、二十円から三十円くらいまでの間が最近建設されるダム建設費の通例であります。二十円以下の建設費になると比較的安い、こういうふうに考えております。
  30. 松平忠久

    松平委員 キロワット・アワー二十円ということになりますと、下流増量分とを合せると一体幾ら発電資金になるか。一万四千キロワットの発電であり、それから下流の十二の発電所がありますが、それを二十円かけてみて一体幾らにしたらいいか。
  31. 中島征帆

    中島政府委員 このダム建設費自体も、今後検討の結果若干の変更もありましょうし、的確なことは言えませんが、大体利益の面から言いますと、二十円がいいか何円がいいかわかりませんが、大体ある地区発電される電気のコストは、一応の標準なり限度があると思います。それ以上電気負担になる場合においては、むしろ発電をしない方がいい、こういう結果になりまして、それ以下の場合において初めて発電が可能になる。従って今後の具体的な計画につきましても、発電が可能になるような計画を立て、それに沿って発電側としても応分の負担をするという建前で進まねばならぬ、こういうふうに考えております。
  32. 松平忠久

    松平委員 この計画によりますと、公団自体がすベて金融を相当することになっておるようであります。そこで普通の水力発電開発は、御承知のように二十五年、六分五厘になっておる。われわれの得ておる資料によりましても、五月までの間の皆さん方の話によると、大体やはり六分五厘の長期の資金公団は貸せるということになっておるように聞いておる。今回の六月出されたものによりますと、発電に対しては特に年九分というふうに六分五厘を上げてしまった。そうしますと、結局高い利息を払わなければならぬということになる。それならむしろそうでなくて、開発銀行から直接六分五厘の金を借りた方がいいじゃないか。公団を作るためにそれが九分に上ってしまうというような、一月の間にそういうふうに計画がずさんに変ってしまったというのでありますけれども、それは一体どういうつもりであるか。通産省もそれに同意しておるのであるか。これははなはだいかぬではないか。電気のことに関しまして、普通の発電会社が融資を受けて水力電気開発していくよりも、公団を作るために高い金利を支払わなければならぬということは、どういうわけなんですか。これもどうも計画変更の中ではなはだ解せない点です。
  33. 中島征帆

    中島政府委員 お説の通りに、開銀から借りる金利は六分五厘ですから、私どもも六分五厘程度で見ていってもらいたい、こういうふうな気持を持っております。ただ実際問題といたしまして、電力会社建設をいたします場合には、全額が開銀資金ではなくて、そのうちの半分なり何なりが、一般の市中の借入金なり自己資本というものが入るわけであります。従ってそれを込みにいたしますと、六分五厘でなくて、八分なり何なり、もっと高い金利になりますから、その関係で必ずしも六分五厘でなくてもよかろうという議論も出てくるわけであります。しかしこの点につきましては、なおわれわれの希望にできるだけ近づけていただくようなつもりで、今後折衝いたしたいと思っております。
  34. 松平忠久

    松平委員 次にお伺いいたしたいのは、計画自体は総合開発計画という銘を打っておるわけであります。従って金についてもこの公団が取り扱うことになっておる。しかしその運営に当っては農業が中心となっておる。ところでアメリカの例をとりましてもTVAでもおわかりになるように、日本の総合開発というものは、すべてこの公団なら公団が全部工業用水あるいは発電というようなものもやっていかなければならぬ、そういう性質のものであると思うのであります。ところがそうではなくて、農業だけはやるけれども、あとはやりっぱなし、金も貸しっぱなしというようなことになって、何らそれをコントロールしていくような権限を持っておらない。ばらばらになっておる。それはこの新しい総合開発を出された趣旨に反するのではないか。従ってもっと権限を持たして、発電あるいは工業用水も全部公団がコントロールできるようなぐあいにしていったらどうか。それでこそ私は初めて農業、工業の調整ができてうまくいくのじゃないかと思いますが、それに対する考えは大臣はどういうふうに考えておられますか、お伺いしておきたいと思います。
  35. 河野一郎

    河野国務大臣 お説の通り、総合的に木曽川水域を立体的に開発していこうということでございまして、もちろん工業関係についても十分考えていかなければならぬことは申し上げるまでもありません。従って政府におきましては、主管は農林大臣がこれに当りますけれども、通産その他の関係閣僚の同意を得て、総合的にこれを企画をしていくということに考えて参りたいと思うのであります。電力その他につきましては、通産大臣においてしかるべく御指導があることであろうと考えております。
  36. 松平忠久

    松平委員 工業用水並びに上水道等に関して、この公団が金を貸せるようなぐあいになっております。御承知のように、現在の上水道、簡易水道等については、各地方公共団体においては補助起債について困難をきわめております。簡易水道のごときは単独起債というものがほとんどできません。ところがこの川水の沿線都市町村においては、この公団から金が借りられるようになっておる。     〔松浦委員長代理退席、委員長着席〕 それらの上水道、簡易水道についてこの公団が貸せる金というものは、国の起債とどういう関連を持っておるか、同じ条件であるのか、あるいは町村でもって借りたいというならば大体貸してくれるというのであるか、現在のところでは、おそらく百件のうち二十件ぐらいしか水道については起債ができません。ところがこの用水の沿線の町村は、そういうような制限をやはり受けるのかどうか、あるいはフルにどこの町村でも大体借りられるということになるのか、その辺のところをお伺いしたい。
  37. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 水道につきましては本公団が金を貸す部分は配水等までであります。それにつきましては本公団建設のときに六分五厘で金を貸します。これを受益の市町村が年賦償還することになるのであります。従いましてまず第一に受益のときに起債が必要になってくるのでありまして、その起債の場合にこの程度であれば大体起債能力があるというふうな考え方で自治庁と話し合いをしておるのであります。しかし具体的の町村になりますと、町村の財政状態がいろいろ違いますから、これは県なり、さらに農林省が、この事業がうまくいくようにいろいろあっせんをしなければいかぬ、こういう場合が出てくると思います。現在の基本的な考え方はそういうことであります。
  38. 松平忠久

    松平委員 最後に伺いたいと思うのですが、昨日お伺いしたところの補償問題について、若干補足的にお伺いしたいと思います。吉川政務次官からこれは伺ったのでありますけれども、この補償は公団がやるのであるか、あるいは農林省がやるのであるかということに対して、農林省自体がおやりになるということを承わっておるのであります。そこでしからば、ここに出ておる六月の愛知用水事業計画というものは、これは公団の場合の事業計画になっておりまするが、従ってこの事業計画の中には補償料というものは含まれておらぬというふうに了解できるのであります。つまり農林省自体がやるというわけであります。もしそうであるとすれば、農林省は別に予算的措置を講ぜられるというのであるかどうか、あるいはそうではなくてこの事業計画の中から所要の補償分だけはとってしまって、そうしてあらためて実行予算というものを公団は作っていくのであるかどうか、その点を伺いたいのであります。
  39. 河野一郎

    河野国務大臣 補償の点につきましては最も慎重を期してやる必要があると思いまして、物心両面においていやしくも地元の了解を得るのに最善を尽さなければならぬと考えております。ただいま予算処置についてお尋ねでございますが、これは予備費の中に含めて考えておるわけでございます。ただつけ加えて申し上げますが、これの施工はもちろん公団がこれに当るのでございますが、農林省におきましても十分注意監督をいたしまして、万遺憾なきを期するつもりでございます。
  40. 松平忠久

    松平委員 そうしますと、予備費の中から出るということを大臣からお伺いいたしましたが、この公団経費の中にも予備費的な項目があるように見えるのでありますが、それらを含めて の意味であるかどうかということと、それからもう一つ伺いたいことは、この補償の農林省の窓口は一体どこにあるのか、つまりこの点は農地局でおやりになっておるのでありますけれども、この補償の問題は畜産局にも関係をいたしますし、また林野庁にも関係をすると思うのであります。ことに国有林については私は非常にその点があるように思うのでありますけれども、その窓口は一体どこがおやりになるか、またこれは京都の農地事務局とはその補償については一体どういう関係があるのか、その点だけお伺いしておきます。
  41. 河野一郎

    河野国務大臣 愛知用水につきましては直接農林本省でこれをやります。ただいま窓口の話でございますが、農地局でこれに当ります。ただし畜産、山林、必要が起りました場合には農地局を通じて遅滞なく折衝いたすことにいたします。
  42. 綱島正興

    綱島委員長 加藤清二君。
  43. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はこの際地元民の一人として、この愛知用水計画を一日も早く実行に移されたいと念願いたしております数多くの地元民の気持になってこの問題の推進をはかって参りました関係上、この際二、三それに関係のあることを承わりたいと存じます。実は質問を試みなければならない数多くの問題がございますけれども、時間の関係上ほんの要点にとどめたいと存じます。  まず第一番にこの資金源でございますが、この資金源に余剰農産物の買付による贈与分がうたい上げられておるようでございます。ところが、この余剰農産物の買付につきまして、政府の答弁がまま食い違いを来しておるようでございます。文部大臣は来年はもうないのだと言い、通産大臣はいや同じように買付をするのだ、こういうことでございますが、一体政府としてはきまった方針があるのかないのか。またこの問題について、農林大臣一体どのように考えておられるのか、この点をまず農林大臣にお伺いいたします。
  44. 河野一郎

    河野国務大臣 その点につきましては、先般予算委員会において大蔵大臣その他の閣僚からお答え申し上げました通りに、政府といたしましては意見は一致いたしております。わが方の必要なる量しかしてわが方の希望する条件というものがいれられました際には、引き続き余剰農産物の買い入れを行うということに決定いたしております。
  45. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは文部大臣松村さんの、いや来年からはもう買い付けないのだ、こういう言葉は、ものの間違いか、その相談が決定する以前の言葉と受取ってよろしゅうございますか。
  46. 河野一郎

    河野国務大臣 それは予算委員会において松村文部大臣からその点について明確に所信が述べられております。その際の速記録を、御無礼でございますが、お読みになりますか、松村さんからお聞きになれば、私もその席に同席しておりましたが、明瞭に松村文部大臣は答えておられますから、おわかりいただけると思います。
  47. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは次に受益者の負担についてお尋ねしたいと存じます。このような国営の事業に対しまする受益者負担は、他にも例が多々あると存じまするが、それと比較いたしまして愛知用水関係の受益者の負担は多きに過ぎるではないかと存ぜられます。すなわち毎年反当り二千八百円の負担金を課せられなければならない、こういう計画のようでございまするが、これについて大臣としてはどのような考えを持って、将来これをどう変えようとしていらっしゃるのか、この点についてお尋ねいたします。
  48. 河野一郎

    河野国務大臣 負担金の点につきましては、ただいま御指摘になりましたように、平均はそういうことになっておりますが、これは内容が非常に複雑でございまして、それぞれの種類によって違うようになっております。もちろん負担金が安いとは考えておりません、おりませんが、事情は十分検討いたしまして、なお今後必要が起れば、昨日もその点については申し上げたのでございますが、一応全国の、現在やっております政府の土地改良、これと補助その他については同率でやって参ることが妥当であると私は考えて現在いたしておるのでございます。しかし将来において、この計画を遂行し、これによって受益者が営農いたしまして、その遂行いたして参りまする過程におきまして、そういう必要が起り、そういう事態が起った際にあらためて考慮さるべき問題だろうと考えております。
  49. 加藤清二

    加藤(清)委員 もちろん大臣のお答えの通り、受益者の種類ないしはこの水の用途いかんによっては、それぞれの負担額が違うことは私も心得えておりまするが、かりに平均値といたしましても、反当二千八百円ということになりますと、これは少くとも反当硫安十貫目俵大体四俵に相当するわけでございまするが、この七百円から八百円に至るところの硫安の値段が問題になっていることは大臣がよく御存じの通りで、これもわずか十円、二十円の問題で高いとか安いとかいうことで相当論議が沸騰するわけでございまするが、これとても農民負担が多過ぎるから軽減しようというところから発していることと存じます。ましていわんや四俵分も反当納付しなければならないということになりますると、相当苦しい農家が出るのではないかと存ずるわけでございます。この点農民の身になってよくお考えの上、なるべくならばこの二千八百円という数字は軽減するように御努力が願いたいと存ずるわけであります。  次に第三番目には、受益者はこれによって喜ばれますけれども、喜ぶ人の陰に泣く人があったり、あるいはこれをねたむ人が往々にしてあるわけでございますが、この方々の気持を緩和すべく御努力を前もってしていただきたい、こう存ずるわけでございます。すなわち目下の状況でございましても、あの木曽川水系の犬山橋前後で水田に灌漑用水を取っているところの設備は、宮田、木津、名古屋水道等々たくさんあるわけでございますけれども、これが川底の低下によりまして水位が下っていく、……。
  50. 綱島正興

    綱島委員長 加藤委員に申し上げますが、もう時間がございませんから、なるべく簡単に御質問を願いたい。大体みんな知っておることのようですから……。
  51. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではこの問題について、一体大臣はどのような措置を講じられようとしておりますか。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 この事業の遂行によって影響を受ける下流地点につきましては、その影響をなからしめるように善処していくことは当然のことでございまして、これらにつきましてはしかるべく措置を講ずる用意を持っております。
  53. 加藤清二

    加藤(清)委員 しかるべくとおっしゃられただけではちょっと心配の面があるわけでございますが、たとえばあの地区に堰堤を築くとかあるいは取り入れ口を上にまで持っていくとかいう計画はございますか、ございませんか。
  54. 河野一郎

    河野国務大臣 それらにつきましては準備を整えて計画を立ててやることに着々いたしておるわけであります。
  55. 綱島正興

    綱島委員長 永井委員。
  56. 永井勝次郎

    ○永井委員 農林大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、機械公団の問題ですが、大蔵省は最初愛知用水に重点的にやろうとした。これを政府が政治的な立場から今回北海道へ相当の金額をさいた、こういうのでありますが、ことしは五億五千万円程度のものでありましょうが、これが将来にわたってどういう見通しのもとに、本年第一着手をされたのか、今後の予算的な措置に対する見通しを承わりたいと存じます。ことしはことしの風が吹く、来年は来年の風が吹く、これだけのことで手を染められたのかどうか、将来にわたっての見通しを明確に伺いたい。
  57. 河野一郎

    河野国務大臣 もちろんこの機械公団計画につきましては所定の計画を持ち、所定の年次にこれを完遂すべく計画をやっておるのでございまして、ことしだけでこういうことをやるということはむろん考えておりません。御承知の通りことしの金額はわずかでございますが、これは機械を導入する、そうして地元で道路を作ったならば、それによって本格的に明年度あたりからどんどんやっていくということで、これにつきましてはお手元に差し上げてあります資料によって年次別計画等については御承知を願いたいと思います。これはこの計画通りに遂行して参る決意でございます。
  58. 永井勝次郎

    ○永井委員 この計画によりますと、当初の計画とはだいぶ違うようであります。予算の増減によってこれは事業計画規模が違ってくるのは当然でありますが、ただこれだけの予算で計画を立てて、これだけ出したから、これだけをやるというのでは、これは計画にはならないと思うので、縮まれば縮まった規模における一つの計画があると思うのです。政府は根釧原野の開発、篠津原野の開発について当初計画したものを縮めただけの計画のようですが、これの内容の科学性あるいは合理性というものは不十分だと思う。そういう点について、縮まったこの予算を基礎にして、合理的に科学的にどういうふうなプログラムでこの開発を完遂しようとしておるのか、これを明確にしていただきたい。
  59. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 機械開墾の問題につきましては、当初根釧地区は二つの地区をやろうという計画であったのですが、予算の関係で本州は上北地区地区、合計二地区ということにいたしたのであります。これの内容につきましては、当初の計画資金的にはある程度圧縮しました。それは要するに初めは理想的に防寒家屋を作るという計画になっておりましたけれども、これでは農家の負担等も相当要ることになりますので、たとえば家屋にしましても、ほんの一少部分だけを防寒施設でやる。あとは漸次営農が充実していくに従って独力で直していくようにしたらよろしいのではないかと考えまして、資金的には結局節約することにしました。さらに営農の状態については、北海道農事試験場、北海道大学あるいは根釧の中村先生、さらに防風林については林野等の関係者と相談してやっておりますので、この計画を進めていきたいと思っております。それから篠津につきましては、配水の切り方等につきましてその後調査の結果訂正したのであります。これは立地上の訂正であります。
  60. 永井勝次郎

    ○永井委員 この配られた資料に基くものは、最初計画を圧縮して年度を延ばしたのか、あるいは年度はそのままにして、たとえば道路予算をこれだけ減らした、開墾の分をこれだけ減らした。あるいは機械購入の分をこれだけ減らした。あるいは大型のものを小型にしたというだけのものか、あるいはもっと最初規模を切りかえて、最初のものとは違った規模にして計画を立てかえたのか、その計画の性格を一つ明らかにしていただきたい。
  61. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 性格は変っておりません。先ほど申しましたように地区を……。
  62. 綱島正興

    綱島委員長 永井君、実は三十分過ぎておるのです。
  63. 永井勝次郎

    ○永井委員 ぼくは今始めたばかりです。
  64. 綱島正興

    綱島委員長 そんなことを言ってもだめです。あなたはおくれて来たのですから……。あと二分間許します。それ以上は許しません。
  65. 永井勝次郎

    ○永井委員 それではもう一問だけ大臣にお尋ねいたしますが、北海道の根釧原野の開発は困難な点は開墾であるとかなんとかいう点ではありません。開墾を機械でやらなければこの開発ができないというものではなくて、営農の方式をどういうふうにやるか、そしてその裏づけとなる資金が営農を維持するだけの最低の限度を保障し得られるかどうかというところに問題があると思うのであります。そういう点に対する基礎というものがこの計画には何ら盛られておりません。ただ機械で開墾するのだという、その第一年次としてはただ道路を作るという、実に空漠としてどっちの方向へどういう性格でどんなプログラムでどんな形でこの開発が行われるのかということは、全然この計画の内容やただいまの答弁の内容からは、われわれはうかがい知ることができないのでございます。委員長は時間的に、機械的に早く質問を終れということでありますが、われわれは合同審査を求めた以上は、この内容をもっと伺いたいのであります。ただ形式的に委員会を合同しているのじゃないので、この計画はどういう形でやられるのか。営農資金はどういうふうになるのか。そして従来の開発計画とはどういう点において違うのか。この形でいくならば十分に各農家の個々の営農が確立されて、これがその地域におけるところの開発を円滑かつ安定した形において発展させることができるのかという点について、簡単でよろしいですから、われわれが常識的に理解できるように一つ明確にしていただきたい。答弁がだめでありますから、質問を何回も繰り返さなければならないのです。
  66. 河野一郎

    河野国務大臣 お答え申し上げます。この計画につきましては、学識経験者その他の方の御意見を十分参考にいたしまして、遺憾なきを期するように計画を立てているのでございます。御指摘のように、いろいろ営農の点について困難な点は各方面で御意見がございます。ございますからわれわれとしましても、地元の成功者もしくは北海道大学の学識経験者、これらの人の研究資料にいたしまして、万遺憾なきを期するように案を立てている次第であります。
  67. 永井勝次郎

    ○永井委員 今の大臣の答弁ではこれを了解することはできません。大臣が政策的な見地に立っての所見だけであって、具体的にはわからぬということであれば、事務当局でよろしいですから、各農家に対する一戸当りの営農資金はどれだけの裏づけをするのか、これをお聞かせ願いたい。
  68. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お手元に機械公団法の内容を差し上げてございます。それに詳細出ておりますが、従来の営農資金のもの等よりは当然増額しなければならないことになっております。この点はただいま大臣がお答えいたしましたように、現地の十分なる実情とそれに対する北海道権威者の御意見を聞いた上でいたしているのでございます。ただし節約できるものは極力、先ほど申しましたように家屋等について暖房施設とかブロック建物にするというものを一ブロックでやめるというようなことでありまして、十分取り上げております。
  69. 永井勝次郎

    ○永井委員 当局の答弁も悪いし、委員長の苦衷もまた察するにかたくありませんので、この最後の質問で終りますが、私は昨年根釧原野を視察いたしました。ところが現地の町村及び農業関係の人々の声は、従来のような形で入植させられるならばお断わりをしたい。たとえば別海でありますならば、別海の村の現在の人口は千五百戸くらいです。千五百戸くらいのところに一千戸くらいの入植者が入れられた。この一千戸の入植者がほとんど生活扶助者だ。転落している、あるいはほかに移らなければならない、村内にいる者に対しては生活扶助を与えなければならない、こういう入れ方である。何万戸という戸数のところに一千戸の入植者があるというなら別ですか、村の中の半分以上が新しく入植を持ち込まれて、これの生活扶助をしなければならないということになりますと、町村財政は破産の状態になる。営農以前の村を維持するかどうかという、こういう悲惨な状態になっている。こういう形でただ日本に現在余っているのが人間だから、余っている人間をここへ追い込む。そしてわだかな補助金だけをくっつけて、あとは野となれ山となれということで入植者を入れるというようなことは、これは重大な問題であるというのが現地におけるところの町村及び農業委員会の切実な要求なのであります。この地帯の開発にはこういうあやまちを繰り返さないようにしなければならない。それには各個の農家が最低営農が確立できるような必要な条件というものが科学的には試験場その他においてちゃんとあるわけです。それたけの必要な資金を裏づけにしないで、ただ入れるというところに問題がかかっておりますから、その点最低の営農の各戸安定のできる基礎はどれたけの財政を裏づけにして入植させようとするのかということが、この法案をわれわれが賛否を決するポイントであります。それをただ十分に十分にという抽象論ではわれわれは理解できないのでありまして、もうこれはことしから出発しようというのでありますから、その財政の裏づけとなる資金はどれくらいが用意されているのか、こういうことを承わりたい。
  70. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっと永井委員に私から註釈しますが、補償のことにつきまして、その他それに関係することについては後刻農林委員会の秘密会をこの直後に開いてすることになっておりますので、事務当局もしさいにわたった説明が困難かと存じますが、そういうわけで秘密会に移ることになっておりますから、その点は御了承賜わりたいと思います。
  71. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お話の点その通りでありまして、その点がわれわれこの計画を苦心したのであります。たとえば一戸当りの営農資金及びこれに付随する開墾建設事業費等を合せましても、従来北海道だと全部を合せまして三百万円程度を予定しておったのが、これでは五百万円以上を予定するというふうな考え方にいたしております。従いましてお話の点は今後十分注意いたしますけれども、十分取り入れたつもりでありますが、なお実施に当りましていろいろ御注意いただければ幸いであります。
  72. 永井勝次郎

    ○永井委員 それから機械の購入でありますが、この機械の購入は国産でも十分できると思います。また国産培養ということが今の内閣のスローガンでもある。この機械をどこから輸入するのか。たとえば国産を主にして、国産で間に合わない分を外国から輸入する、アメリカから輸入するというのか。アメリカのひもつきによってこれらの機械が全部来るのか、その点を明らかにしていただきたい。
  73. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘のようにひもつきで輸入することは一切ございません。国産で間に合うものは全部国産でやります。この点は明確にいたしておきます。
  74. 松平忠久

    松平委員 ごく簡単に、先ほどちょっと落しましたので、農林大臣並びに中島公益事業局長にお伺いいたしたいと思います。補償に関連してでありますが、関西電力の新たなる発電並びに十二にわたる下流発電所の電力量が相当増すわけでありますが、この点に関連いたしまして、補償の一環として私は公共補償的なことを考えていかなければならぬと思うのでありますが、その公共補償の一環といたしまして、新しくできる電力もしくは下流発電所の電力量の一部を関西電力と中部電力と話し合いをさせまして、地元にこれを使わしてもらう。現在あの地区におきましては、目の前にある発電所は全部関西電力でありますから、一つも使っておらぬのであります。従ってあそこの工業がちっとも発展しない。今度できましても全部関西に持っていかれることになるのでありまして、総合開発の手前からいえば、やはり木曽川全体にわたってある程度の特典を与えていかなければならぬ。被害ばかり与えるということでは、この目的に反すると思うのであります。従って新たにできる電力量の一部を地元に使わせるような御措置をお考え願って、これを関西電力と中部電力との間をあっせん願って、地元に若干の還元をしていただくように御配慮願いたいと思いますが、この点に関して特に大臣並びに事業局長にお願いして、その御所見を承わりたいと思うのであります。
  75. 中島征帆

    中島政府委員 お話の通り木曽川筋の電気は現在は関西電力の方に参っております。今後開発される電気あるいは増加される電気につきましては、これを地元に戻すということは、これは関西電力が中部電力の区域に供給するということになりますので、法規上は特別の措置をとらなければなりません。ただ実際問題といたしましては、関西電力で余る電力を中部に供給するということは当然でありますから、そういうふうな操作はできます。ただおそらくは目的とせられるところは、地元電気をそこで安く使いたいという趣旨ではないかと思いますが、これは結局地域差の問題になります。現在の供給規程では、一地区の料金は全部同一になっておりますから、それをどう変えるかということになりますと、規程の改正ということになりますから、現在のままの形では融通の形で返すという以外にちょっと方法がないのであります。将来そういう問題は十分研究の対象とはいたします。
  76. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 関連して。電気料は灌漑排水関係の特例を認めてあるのですが、それは中部電力と関西電力との関係はどういう開きがあるか、それが一点、それから一トン当りの用水料の負担額が発電関係は二円何がしで、農業用水の方は四円幾らになる。そういうふうに開きをつけてあるが、農事用電力等の場合に、農地開発をやった場合の何か特例のような話し合いがあるのかないのか、またそういうことをやる余地があるのかないのか、これはきわめて重要なんです。
  77. 中島征帆

    中島政府委員 灌漑排水用の電力は特別の料金になっております。これが趣旨は大体豊水期に、つまり電気の豊富に出るときに使われる電力でありますから、これに着目して割引しておるのであります。中部と関西とではそれぞれ全体の原価が違いますから、若干の相違はあります。どの程度の違いがあるか、今手元に資料がありませんが、これは料金表ではっきりしております。それから将来開発のときに、灌漑排水用の電力を作るための水のコストを特別に計算するということは、ちょっと困難ではないかと考えております。
  78. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それが別になっておるから指摘しておるのです。農地開発をやった場合、土地改良等をやった場合に、その地域の農事用電力というものに対しては特別なやはり恩典を与えることが私は可能であると思うが、それに対して可能であるかどうか、その見通しについて聞いておるのです。
  79. 中島征帆

    中島政府委員 農事用の電力に対しまして、特別料金を作るということは現在でもやっておりますし、可能でありますけれども、その中に特別に農業開発等に関連して、あの地区だけさらにまた別の灌漑排水用の電力料金をきめるということは、現在の制度のもとにおいてはちょっとむずかしいのではないかと思います。
  80. 綱島正興

    綱島委員長 これをもって農林水産委員会商工委員会との連合審査を終ります。     午前十一時四十五分散会