○永井委員 当局の答弁も悪いし、
委員長の苦衷もまた察するにかたくありませんので、この最後の
質問で終りますが、私は昨年根釧原野を視察いたしました。ところが
現地の町村及び農業
関係の人々の声は、従来のような形で入植させられるならばお断わりをしたい。たとえば別海でありますならば、別海の村の現在の人口は千五百戸くらいです。千五百戸くらいのところに一千戸くらいの入植者が入れられた。この一千戸の入植者がほとんど生活扶助者だ。転落している、あるいはほかに移らなければならない、村内にいる者に対しては生活扶助を与えなければならない、こういう入れ方である。何万戸という戸数のところに一千戸の入植者があるというなら別ですか、村の中の半分以上が新しく入植を持ち込まれて、これの生活扶助をしなければならないということになりますと、町村財政は破産の状態になる。営農以前の村を維持するかどうかという、こういう悲惨な状態になっている。こういう形でただ
日本に現在余っているのが人間だから、余っている人間をここへ追い込む。そしてわだかな補助金だけをくっつけて、あとは野となれ山となれということで入植者を入れるというようなことは、これは重大な問題であるというのが
現地におけるところの町村及び農業委員会の切実な要求なのであります。この地帯の
開発にはこういうあやまちを繰り返さないようにしなければならない。それには各個の農家が最低営農が確立できるような必要な条件というものが科学的には試験場その他においてちゃんとあるわけです。それたけの必要な
資金を裏づけにしないで、ただ入れるというところに問題がかかっておりますから、その点最低の営農の各戸安定のできる基礎はどれたけの財政を裏づけにして入植させようとするのかということが、この
法案をわれわれが賛否を決するポイントであります。それをただ十分に十分にという抽象論ではわれわれは理解できないのでありまして、もうこれはことしから出発しようというのでありますから、その財政の裏づけとなる
資金はどれくらいが用意されているのか、こういうことを承わりたい。