○久保田(豊)
委員 今
川俣委員からも非常に該博な
意見があったわけで、大いに傾聴いたしたわけであります。これはハチ屋の利益を守るのだ、だからハチ屋の
法案であって、これは選挙目当てだ、こういうような声もあったのでありますが、
提案者にお聞きいたします。私は
提案者の票を集めるというようなお気持からではないと
考えます。というのは、日本でいわゆるハチをもって飯を食っているのは一万人かそこらであります。しかもそれが全国に分散しているのでありまして、まさか
提案者の地帯にそのハチ屋が全部居住をしているわけでもなかろうと思います。また今日日本のハチ屋が、全国でもって統一された行動とか有効な行動をするような態勢にはまだなっておらないように私は見受けます。従いましてそういう御趣旨ではないと私は理解しますが、この点はどうかという点。
もう一点、これは表面ちょっと見ますと、私当初に申しましたように、養蜂業者、特に養蜂だけで飯を食っている業者の利益を守るごとく見えますが、そういう
考えではいけない、少くとも農薬がだんだん発達していけば、世界の農業の大勢といたしましては、害虫がやられると同時に益虫もやられてしまう。従って益虫のうちで自然益虫は農薬の
関係上なかなか保護が困難である、人口的にある程度コントロールができるミツバチを保護することによって、いわゆる農業上の増産効果を大きくしていこう、こういうのが世界の大勢である。そういう観点からその効果を非常に認めたデンマークのような国では、いろいろの保護の
規定も十分でありますし、保護のシステムも十分である。その上に持ってきてハチが増産上の効果を上げる。この効果に対して、一群に対して千六百クローネなり何なりの報償金を
政府みずから出している。ソビエトやその他におきましても、それにほぼ似たような制度をとっているというのが今日の実態であります。日本でこの養蜂の問題をここで取り上げられた
提案者の御趣旨は、日本の今後のいろいろの事態、農薬の大きな発達というものを
考え、また日本の持っておりますみつ源その他を
考えた場合におきましては、少くとも日本では二百万群以上のハチを持つのが、増産上非常に効果がある。ハチみつとか、みつろうとかいうものじゃなくて、そういう大きな目標に向って一歩を踏み出すという意味においてこの
振興法案を出されたと思う。しかもそういう事態になることは、今のようなハチでもって飯を食ってあっちへ動いたりこっちへ動いたりというハチ屋によって養蜂が行われておるという事態ではなくて、世界各国でやっておるように、各村でもって農家がみずから二群、三群ないしは五群といういわゆる養蜂を行なって、ハチによるところの花粉受精と、そしてそれによるところの増産効果を全国的に確保して参ろう、こういうことが私は最高の目標であろうと思う。そういう観点を十分にとりませんと、これはハチ屋の
法案じゃないかというようなことになろうと思うのですが、
提案者の御趣旨は、少くともそういう高い目標を目ざした御
提案で、その第一歩として――今日の実情が、ハチといえばハチ屋の利益、こういうふうな一般の見方が多い、みつをとる、あれは要するに花粉受精をしておるのだ。そのみつをとるハチに対して一般農民はみつを盗んでおるといって、かえってこれを圧迫するところもなきにしもあらずという現状であります。官庁も、同時に農薬屋も、そうして農民も農業
関係の指導者も、ハチの問題については、特に農薬がこういうふうに発達してくる場合においては、この点で大きく認識を改める必要がある。その改めることについての第一歩の
法案がこの
法案だと、私は
提案者の御趣旨をそう理解しておるのでありますが、以上の三点について、
一つ明確なお答えをいただいておきたいと思います。私
自身がこの問題で皆さんから見ると、何だ、ばかに熱心じゃないか、こう言われるのでありますが、私はざっくばらんに言って、これによってハチ屋から一票をとるというようなことも
考えておりません。そういうけちな根性ではありませんし、そういう大きな目的に向って、ごく小さいながら第一歩を踏み出した、こういう意味においての理解だと思います。私は少くともそういう
考えでこれに対処しておりますが、残念ながら日本全体のハチに対しまする――特に農薬の異常な発達をしておる今後における日本の農業の
一つの大きな盲点であります。この盲点をどうして積極的にやっていこうかというところにこの
法案の真のねらいがあると思いますが、この点をもう一度
提案者から明確にお答えをいただきたいと思います。