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1955-07-20 第22回国会 衆議院 農林水産委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十日(水曜日)     午前十一時四十七分開議  出席委員    委員長 綱島 正興君    理事 白浜 仁吉君 理事 松浦 東介君    理事 鈴木 善幸君 理事 中馬 辰猪君    理事 足鹿  覺君 理事 稲富 稜人君       赤澤 正道君    安藤  覺君       五十嵐吉藏君    井出一太郎君       伊東 岩男君    石坂  繁君       木村 文男君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       原  捨思君    本名  武君       足立 篤郎君    川村善八郎君       助川 良平君    田口長治郎君       平野 三郎君    淡谷 悠藏君       井谷 正吉君    井手 以誠君       石田 宥全君    芳賀  貢君       伊瀬幸太郎君    川俣 清音君       佐竹 新市君    中村 時雄君       日野 吉夫君    久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         農林政務次官  吉川 久衛君         農林事務官         (農地局長)  渡部 伍良君         農林事務官         (畜産局長)  原田  傳君         水産庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         議     員 楢橋  渡君         参議院議員農林         水産委員長代理 三浦 辰雄君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 七月二十日  委員楯兼次郎君、小牧次生君及び松本七郎君辞任につき、その補欠として井手以誠君佐竹新市君及び中村時雄君が議長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十日  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案小枝一雄君外一名提出衆法第六三号) 同月十九日  種豚登録事業助成に関する請願安藤覺紹介)(第四二九〇号)  藺牟田漁港築設に関する請願中馬辰猪紹介)(第四三〇八号)  東頸城郡治山事業促進に関する請願)(塚田十一郎紹介)(第四三二四号)  東頸城郡耕地災害復旧工事施行に関する請願塚田十一郎紹介)(第四三二五号)  すぎたまばえを森林病害虫指定に関する請願伊東岩男紹介)(第四三二六号)  同(井出一太郎紹介)(第四三二七号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の一部改正に関する請願鈴木善幸紹介)(第四三二八号)  以西機船底びき網漁業及び遠洋かつをまぐろ漁業許可等についての漁業法臨時特例に関する法律存続請願池田清志紹介)(第四三二九号)  台風襲地帯における農林水産業災害防除に関する法律制定に関する請願坂田道太紹介)(第四三三二号)  急傾斜地帯における土地改良事業費増額に関する請願石橋政嗣君紹介)(第四三五九号)  病虫害防除薬剤購入予算確保に関する請願石橋政嗣君紹介)(第四三六〇号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法案楢橋渡君外二百七十二名提出衆法第四〇号)  台風襲地帯における農林水産業災害防除に関する特別措置法案楢橋渡君外二百七十二名提出衆法第四一号)  漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件(内閣提出承認第五号)  狩猟法の一部を改正する法律案参議院提出参法第一五号)  養ほう振興法案平野三郎君外四名提出衆法第三〇号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案小枝一雄君外一名提出衆法第六三号)     ―――――――――――――
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより開会をいたします。  天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法案及び台風襲地帯における農林水産業災害防除に関する特別措置法案議題といたし審査を進めます。  まず提案者代表楢橋渡君の提案に至る事情の御説明を求めます。楢橋渡君。
  3. 楢橋渡

    楢橋渡君 御指名を受けましたので、提案者の一人として説明を申し上げます。  私は九州地区の選出の者でありまして、九州地区並びにその他台風襲帯が、年々の台風、特に戦後の台風のために非常に大きな被害を受けておった。しかも今までの行き方から申しますと、事前にこれを防除するということにはあまり力点が置かれずに、常に災害の跡始末に追われて、それが十分にできないというような状態なのであります。従いましてそういう災害の累積から来る国土荒廃を何とか防ぎたいという考えの同志の方々等相寄りまして、実は今回の法案議員立法として提出する一人に私は加わったのであります。私が提案代表者という意味合いでもございませんが、世話をずっと座長としてやって参りました関係もありまして、名前も劈頭に書かれておるような次第でありますが、民主党与党関係もありまして、この法案を出すにつきまして相当幹部の方にも難色がありまして、ことに政調会方面等において、大蔵省事務当局を呼びまして、また私たちの党の提案者とともにいろいろ意見調整をやりましたが、大蔵省等においても非常な反対意見が強くありましたが、どうしてもわれわれとしてはこういう一つの画期的な法案をもって、負けいくさばかりやっておるのだから、勝ちいくさの方に回って、金額の一面においてはなるほどいろいろ大蔵省等にも議論があるけれども、究極するところこれの方が予算面においては経済なんだ。こういう観点からいろいろやりましたが、難色があったままに実はなっておったのであります。党にも諮りましたが、大体党の四役はこれを提案するにつきまして、私らが八十数名の調印を取りまして、私が党の四役に交渉をいたしました。党の四役といたしましても、地元の切実なる要求もあり、法案そのものは実にりっぱな考えであるから、提案については賛成をいたしましたが、しかしそのとき私に、提案について賛成をするが、審議の途中においてなお党に一ぺんかけてもらいたいという意向等も実はあったのであります。私は農林委員ではありませんので、逐次情報を得ておりまして、二、三日前、一昨日でありましたか、この問題について総務会においていろいろと私は出張をいたしましたが、党の四役その他党内の方におきましても、この法案が非常に重大であって、建設方面また予算措置等の裏づけの問題、あるいは在来の農林関係予算等のにらみ合せ、台風関係その他いろいろ非常に大きな問題がたくさんあるので、何とかこの問題を継続審議にして、もっと慎重に万全を期していくような方途をとってもらえないかというようなことを、党の幹部よりもるると述べられておりまして、私も実は板ばさみとなりまして、非常に苦しい立場に立っておりますが、党内幹部の大体の意向としましては、ぜひともこの法案は必要であるから通さなければならぬけれども、いろいろな面をにらみ合せて、もっと慎重に、しかも次期の国会に何とかこれが実を結ぶような方向に向って万全の策を講ずることにぜひとも了承してもらいたいということを実は受けておるような次第でありまして、現在の段階ではそういう立場に立っておるのであります。
  4. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっと委員長からお尋ねをいたします。それに対する態度はどういうふうにきめておりますか、未定ですか、大体決定したのでございましょうか。
  5. 楢橋渡

    楢橋渡君 党の総務会におきましては、この取扱いにつきましては、自由党の方ともいろいろと御了解なり御連絡申し上げて、この法案の将来の実現方について顧慮しなければならぬということで、四役にその取扱いは一任するということになって、自由党側との間に話し合おうということに実はなっておるのであります。
  6. 川俣清音

    川俣委員 この際提案者代表である楢橋議員にお尋ねしておきたい。新しい国会法に基きまして、旧憲法のもとにある帝国議会法なら別でありますが、今日立法権議員に与えられて、それに基いて御提案になったのでしょうな。
  7. 楢橋渡

    楢橋渡君 もちろんそうであります。
  8. 川俣清音

    川俣委員 そうすると立法権に基くということになりますと、御承知でもありましょうが、提案審議、可決ということが当然含まれておることは、憲法においても明らかである。国会法においても明らかだ。みずから議員が責任を持って、国会法に基き憲法に基いて提案したものを、途中でこれは審議権を放棄するということになりますと、代議士権限をみずから放棄するということになりわしませんか。せっかく持っておる権限を放棄されるなら別問題です。代議士をおやめになるならば別問題です。
  9. 楢橋渡

    楢橋渡君 審議権を放棄するという意味でなくして、この法案内容等についてまだ十分に――たとえば建設関係方面あるいはその他諸方面について万全の審議なりあるいは研究なりをして、りっぱなものを作ろうという考えであって、これを途中でやめてしまうという考えではありません。
  10. 川俣清音

    川俣委員 そうすると提案者代表はみずからりっぱなものでないものをお出しになったというお考えですか。
  11. 楢橋渡

    楢橋渡君 これは党内いろいろ議論がありますので、私自身はそういう考えはありませんけれども、党内でいろいろな議論が出ております関係もありまして、党としての立場等もありますので、提案者としては、そういうことを全部私が説得し得ないことは遺憾でありまして、まことに皆さん方に申しわけなく存ずる次第でありますけれども、党内事情がそういうようなことでありますので、私としては実はまことに皆さん方には申しわけないことと存ずるのでありますが、この法案実現について、今申し上げたような点について十分に努力していきたい、こう思っております。
  12. 川俣清音

    川俣委員 まあ陳謝の意を表わされたようでありますから、これはあえてそれ以上追及しまいと思う。そうでなく提案者におかれましては、党内におきましても提案理由説明をなさっているはずだと思う。あなたは提案にここにおいでになる予定もあったようでありますから、提案理由も十分御承知だと思う。その提案理由の中には、すみやかに御審議の上、御可決せられんことをお願い申し上げますということが書いてある。だからあれはどうもちょっと自分たちの不徳のいたすところで、軽卒であったから、一つ今度はしっかり特別の御研究を願いたい、こういうことならば別問題です。どうもそこつなものを出したというようなことをあやまられるならば別です。これは人間は落度があるのですから、あやまられることについてはあえて異議は申しません。どんなにりっぱなものでも、誤まりのないものはないのですが、大きな顔をして、あれだけのものをこれだけの日数をかけさせておいて、今さら陳謝もしないで、あれは党内事情でかんべんしてもらいたいというようなことであっては許せません。これは議員権限にも関しますから、楢橋さんが丁重に陳謝されますならばこれは許さぬこともありませんが……。
  13. 楢橋渡

    楢橋渡君 どうぞ一つそういうふうな事情でありますから、私も提案者の一人でもありますから、できるだけ努力して将来実現に向いますが、今党内事情が非常に苦しい立場にありますので、まことに申しわけなく存じて、つつしんで陳謝申し上げます。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 楢橋さんに一つお尋ねいたしますが、私は先般の当委員会において、私どもが、社会党は党議をもって党所属議員全員がこの法案提案者になっている。ですからもちろん提出者立場でありますが、先般私は特に与党提案者代表に対して、この法案成立によって、少くとも本年度は調査費として五千万、三十一年度には百二十億程度の予算的措置が必要になってくるのでありますけれども、これらに対しては、特に提案者の中にも与党提案者におかれては、かかる将来の見通しというものは十分考慮されて、党内における意見調整とか統一あるいは確認をなされてかかる提案をされておるかというような点に対して、私はその点をただしたわけであります。今日の楢橋さんの御説明によりますと、民主党提案者の諸君は、正式の党議の決定を経ないで、議員個々の任意なる立場の上に立って、この提案者になられておるというふうに聞こえるわけです。これはお互いに政党に所属して議会政治に加わっておる以上、特に与党の場合においては、かかる多額の予算が伴うような議員立法を出す場合においては、何としても前提は、その所属する党の確認を得て、党の方針として議員立法をやる場合にはやるという態度でなければならぬと思うわけです。ただ提案するだけの承認を得た、その後の審議とかその成立等に対しては何ら党の了承を得ておらぬというようなことは、今まで前例がないのです。あなたはかって法制局長官までやられた閲歴を持っておられる方でありますが、過去の政治を歴史的に検討した場合において、議会政治の中でこういうような事例があるのですか。提案だけを認めてもらって、審議成立に対する党の了承を得ておらぬというような提案の仕方というものは、前例にあったかどうか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  15. 楢橋渡

    楢橋渡君 その点どうも不幸にして自分の知識がありませんから、前例はよく存じませんが、この法案は初めから党内では相当反対意見等もありました。しかしわれわれ関係者代議士たちとしては、ぜひとも何とかしたいというので、相当党内努力いたしておりましたが、それがこういうような事態に立ち至りましたことは、まことに不明で、申しわけなく存ずる次第であります。そういう事情ですから、どうぞ一つ了承願いたいと思います。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は単に楢橋さん一個の問題ではないのです。先ほど川俣委員も言われたように、これは議会全体を通じていまだかつて前例がない。結果においては議員みずからが立法権を放棄するようなことになるのです。ですからわれわれはこの点が非常に重大だと思うのです。この一法案を、党の方針によってこれを審議未了にするかどうかということよりも、せっかく議員がこういう権利を持って提案した法案を、また豹変してみずからの意思で提案権を放棄するような行き方というものは、これは議会政治の権威の上からいっても重大な問題であると私は考えるわけでありますが、楢橋さんはその点に対してはどういうようにお考えですか。
  17. 楢橋渡

    楢橋渡君 御指摘のように、その点はまことに重要なことであると思いますが、さいぜん申し上げましたように、この法案につきまして党内等においても、建設省との関係その他いろいろな議論が非常に出て参りまして、これをもっと慎重に継続審議して、完璧にしたらいいじゃないかという議論が強くなりましたので、その議論にわれわれとしても遺憾ながら服さざるを得ないような立場になったのであります。しかしあくまでこの法案の精神を生かすべく各般の関係の方に連絡あるいは研究等をして、一つ十分な成果を見るようにしたいという考え方を持っておるので、これを途中で放棄してしまうような考え方は全然ありません。そういうような党内事情ですから、どうぞ御了承願います。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 法案を十分慎重審議したいという点は一応了承いたします。しかしこの法案審議の過程においてどの点がさらに慎重審議を要するかという点です。あなたは御存じないかもしれませんが、当委員会においては、この法案を十分慎重審議した結果、幾多の修正すべき点も発見して、これらを各党の意見として修正を行なって、これが単なる地域的とかあるいはそういうような誤解を受けることのないような、日本の災害に対する特質の上に立った災害防除というような内容の充実した法案にして成立させなければならぬという方向に現在到達しておるわけです。しかもまだ国会会期は終っていないのです。七月三十日までこの会期はあるわけです。それを今からこれを継続審議にしなければならぬとかなんとかいうことは、どういうわけですか。しかも当委員会からそういう意見は出ておらないのです。毎日この暑い中を、真剣にこの法案審議をやっておるのに、やっておらぬ連中からこれを継続審議にしてくれとかいうことは、委員会意向を全く無視しているじゃありませんか。継続審議にするかどうかということは、当委員会自身の判断によって最終的にきめる問題なんです。それを今ごろ現われてきて、継続審議にしてくれとかいうことは、了承できない点なんです。ですから党内事情がある場合においては、むしろ率直に遺憾の意を表明するとともに、みずから提案者たる地位を失った方がいいじゃないですか、提案者でなくなればいいじゃないですか。継続審議にしなければならぬということは、どういうお考えですか。提案者になることが誤まっておったとするならば、その不明を謝して、提案者でない立場になった方がいいじゃないですか。提案を取り下げるという方法もある。その点はうどですか。
  19. 楢橋渡

    楢橋渡君 私は提案を取り下げる考えはありませんが、審議未了になることは私も非常におそれるのであります。従って何とか一つ――これは党内事情がありますので、私としてはそういうことを率直に申し上げて、自分努力の足らないことを陳謝申し上げます。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 どうもあなたの御発言は、奥歯に物のはさまったような感じが多い。もう少し率直に表明されたらいいと思う。党内事情党内事情と言うが、そんなことはこの席で言うべきことではないですよ。提案者は二百七十三名でしょう。あなたを含めてこれだけの数があれば、議員過半数をゆうに持っているわけですよ。成立が心配だというような点は何もないじゃありませんか、提案者だけでこれを通せるじゃありませんか。しかも民主党でも八十数名が提案者である。民主党の半数が提案者になっているじゃありませんか。これは今後の災害を未然に防止して、今までのように災害復旧だけに追われるようなやり方でなく、前進させる飛躍的なりっぱな法案なんですから、なぜこの方向党議を持っていかぬか、その点お尋ねしたい。党内において何ら努力しないで、最高幹部か四役かわかりませんが、その頭株に押えられて、このりっぱな、国民の期待に沿うような法案をわざわざ継続審議にしたり審議未了にする、実質的には廃案にしようという意図じゃありませんか。あなたの方の首脳部が、そういう点をもっと具体的に、率直にこの委員会において明らかにされたらどうでしょうか。
  21. 楢橋渡

    楢橋渡君 党内においては実は非常に努力しておるのでありますが、現在では今申し上げたような段階にあるのであります。また党としてこれを廃案にするという考えはありません。この法案が非常にりっぱであり、卓見のある法案であるということは言えるのでありますが、さいぜんから申し上げますように、党内意見といたしまして、建設省関係その他諸般の関係等において、もっと予算関係等においても完璧なものに仕上げるために、ぜひ継続審議にしていったらどうだろうかという意見が実は出ておるということを申し上げておるのであります。
  22. 川俣清音

    川俣委員 私はさっきの質問で実は打ち切っておったのですが、あなたの陳謝の意が足りないですよ。はなはだ不穏な言辞を弄せられているのですよ、あなたは……。審議未了になることをおそれるなんて、こちらでは審議しようというのですよ。審議しないなんということは一つも言っておりませんよ。あなたの方から進んで審議をなるべくしないでほしいというのに、頼んでおるのに、審議未了になるなんて、はなはだもって不見識な話なんですよ。こっちは審議しよう、可決しようというのですよ。審議未了になるなんてとんでもない話なんですよ。しかもあなたは提案者を離脱されたらどうかというのは、提案理由の中に、すみやかに御審議の上可決あらんことをお願いしますということを、代表としてあなたの名前で言っている。だから、われわれが可決しようとするのに、可決されては困るから、しばらく猶予願いたいから陳謝するというのだから、それじゃ許してやろうか、こう言っておる。とんでもない話ですよ。非常に思い違いをされておる。はっきりした御答弁を願いたい。
  23. 楢橋渡

    楢橋渡君 党内事情等もございますから、どうぞ一つ御猶予を願いたいと思って、今審議未了云々と言ったことは私の言い過ぎでありまして、それは取り消します。どうぞあしからず……。
  24. 綱島正興

    綱島委員長 この際この席からで恐縮ですが、委員長からも一言発言いたしたいと思います。実は御承知の通り本委員会におきましては、私が提案理由説明いたしたのでございますが、私も当時この法案がこれほど困難に遭遇するとは夢にも思わなかったのであります。一昨日初めて非常に困難な事情が当初より伏在しておったことを発見いたしまして、非常に意外に存じた次第でございます。(「不明だ」と呼ぶ者あり)これはお説の通り不明でございまして、この点は私も申しわけないと存じております。一応ごあいさつ申し上げておきます。
  25. 中村時雄

    中村(時)委員 不明であるとか楢橋さんの陳謝もよくわかりますが、これからどうするかということが問題であります。これからこれをどう取り扱ってどういうように可決していくかということに努力することが必要なんです。だから陳謝とか不明とかいうことは第二段のことである。ただ楢橋さんの場合はこれは趣きが異なっている、というのは党内事情がどうであろうと提案者の一人であり、しかもその代表である者が、しかも議員過半数を占めているにかかわらず、そういうような消極的な態度をとられたことに遺憾の意を表されることは当然のことである。ただ当委員会としてこれをどういうように可決していくかということが重点にならなければならぬ問題だ、このように思っております。
  26. 綱島正興

    綱島委員長 御発言の趣旨は妥当であると存じますから、委員長もそのことには努力をいたしてみたいと存じております。  この際一時休憩をいたしまして理事会を開きたいと存じます。     午後零時十四分休憩      ――――◇―――――     午後三時十一分開議
  27. 綱島正興

    綱島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  去る十五日付託になりました漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件を議題といたし、審査を進めます。まず本件の提案理由について政府説明を求めます。吉川農林政務次官     ―――――――――――――   漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件    漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件   内閣は、漁港法昭和二十五年法律第百三十七号)第十七条第一項の規定により、漁港審議会意見を採択して農林大臣から提出せられた漁港整備計画を別紙のとおり改正することについて提出のとおり決定したので、同条第二項の規定に基き、国会承認を求める。     漁港整備計画  わが国経済を再建し、国民生活を安定せしめる方策の一環として水産業を発展させることは、地理的条件からみて極めて適切且つ必要である。これがためにはまず漁業の根拠地である漁港を、全国に亘り計画的に整備補充しその機能を増進させることによって漁業能率化と経営の合理化をはかり、もって漁業生産の増強と漁民生活安定向上に資する必要がある。  一 計画方針   (イ) 漁業漁港施設との現状を基礎とし、将来の漁業の推移、漁場資源生産条件との関連、漁港配置等を勘案して整備計画を樹てる。   (ロ) 漁港整備計画は、原則的にわが国漁業に対応して必要な漁港施設を、各漁港に具備させることを目途とした綜合計画とすべきであるが、国家財政都合等も考慮し差当り漁港施設不足度合の高いもの、経済効果の多いもので緊急整備の必要あるものから順次採用する。   (ハ) 整備漁港の選定については、指定漁港数二、六五四港(昭和二十九年十二月末現在)を対象とする。  二 計画   (イ) 前項の計画方針にもとづき六四七港(内修築事業完了の四三港を除き昭和三十年度以降実施港数は六〇四港)を整備する。   (ロ) 各漁港においては、漁業状態、漁港施設の現状等を勘案し夫々の漁港に適応した外かく施設、けい留施設、水域施設、輸送施設、漁港施設用地等を整備する。   (ハ) 整備漁港
  28. 吉川久衛

    吉川政府委員 漁港整備計画改正について承認を求めるの件の提案理由を御説明申し上げます。  わが国経済を再建し、国民生活を安定せしめる方策の一環として水産業を発展させることは、地理的条件から見て、きわめて適切、かつ必要であります。  わが国漁業は俗に世界第一と称せられておりますが、いまだ、その経営形態あるいは漁獲物の利用効率または漁業労働の生産性等の点において、原始産業たるの城を脱し得ない実情にありますので、これを近代産業の列に伍して健全に発達せしめるためには、まず漁業の根拠地である漁港を全国的にわたり計画的に整備拡充いたしまして、その機能を増進させることにより漁業の合理的経営を行い生産の増強をはかるとともに、漁業経営費を低減し漁民生活安定向上に資する必要があることは申すまでもないところであります。  昭和二十六年第十回国会承認を受けた漁港整備計画は、当時漁港法の施行に伴いまして緊急に樹立する必要があった関係から、漁港指定が比較的容易に処理できた千三百港を対象として定められたのでありますが、その後順次漁港指定が行われ、現在においては近く指定が行われますものを含めますと、二千六百余港に倍加され大体一段落いたしましたことと、当時わが国が占領下にあった関係上、水産業の面においても種々の制限があり、この状態をもととして漁港施設の規模、配置等が定められたため、現在の漁業の発展的施策に対応しない面が多いので、その後の事情の変化に適応するようこれが改正の必要を認め、慎重審議の上漁港整備計画改正案を樹立し漁港審議会意見を徴しましたところ、去る六月十五日原案通り議決した旨の答申がありましたので、七月十二日閣議に付しその決定を得て、本日漁港法第十七条第二項の規定によって国会承認を求めるため提案したものであります。  以上のような次第でありますから、何とぞ御審議の上、なるべくすみやかに御承認を下さるようお願いする次第であります。
  29. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  30. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて。     ―――――――――――――
  31. 綱島正興

    綱島委員長 天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法案及び台風襲地帯における農林水産業災害防除に関する特別措置法案を一括して議題といたし、審議を進めます。すでに内閣に通知しておきました通り、この機会に再案について国会法第五十七条の三の規定により内閣に対し意見を述べる機会を与えることにいたします。内閣において御意見があれば御発言を願います。河野農林大臣
  32. 河野一郎

    ○河野国務大臣 この機会に私より政府代表いたしまして、この台風災害に関する法律天災による資金融通に関する法律のこの両案についての意見を申し上げて御参考に供したいと思います。この天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法案につきましては、御承知の通り従来災害の都度立法処置をしてこれらに必要な施設をすることにして参ったのでございますけれども、今回のこの法案につきましては、これを台風のありました際その他災害のありました際にこの法律によって常時備えておくということは大へん都合がいいのじゃなかろうかというので、従来の考えを取り入れまして、その程度において、ないしは一部資金の限度を多少広げるというようなことにおいて、これをお取り運び願うならば大へんけっこうではないか、こう思うわけでございます。ただしその資金のワクにつきましては、多少御意見があるかとも考えますが、特別に非常に災害のひどい場合には、特別の際の処置を講ずることにいたしまして、あまりワクを広げ過ぎますと、それによってかえって弊害が起るきらいもないことはないというような懸念もありますので、それこれ勘案いたしまして、適当なところで金額の限度をきめていただくならば、大へんけっこうではないかというように考えている次第であります。一方台風もしくは災害の未然にこれを備えるために各種の施設をする法案につきましては、御承知の通り農林漁業関係のみならず、建設関係につきましても、その他のたとえば積雪寒冷地帯に関する法案とも関連いたしまして、十分慎重に考慮する必要があるだろうというような意味合いから、政府としてはこれに対しての賛否を申し述べるのにしばらくの御猶予をちょうだいいたしたいということで、目下検討中でございますので、その意味において御了承いただきたいと思うのでございます。
  33. 綱島正興

    綱島委員長 この際一時休憩をいたしまして、理事会を開きます。     午後三時三十五分休憩      ――――◇―――――     午後四時四分開議
  34. 綱島正興

    綱島委員長 休憩前に引き続いて、これより会議を開きます。  去る六月三十日付託になりました参議院提出狩猟法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。まず本案の趣旨説明を求めます。参議院農林水産委員長代理理事三浦辰雄君。
  35. 三浦辰雄

    ○三浦(辰)参議院議員 ただいま議題になりました狩猟法の一部を改正する法律案につきまして提案理由説明をいたします。  わが国における鳥獣は、従来の乱獲によって減少の一途をたどり、このままに放置すれば、農林産物の害虫駆除に重大な障害を生じ、わが国農林業のためまことに憂慮すべきものがありまして、有益鳥獣の増殖をはかりますことはまことに緊要なことと考えられます。  しかして有益鳥獣の保護増殖をはかりますためには、鳥獣保護区及び禁猟区の増設等の保護施設を整備し、狩猟法違反の取締りを強化するの必要であることはもちろんでありますが、同時に、空気銃の性能の向上に伴いまして、空気銃による小禽類の乱獲がはなはだしく、小禽類の減少が特に目立っておりますから、かかる現状にかんがみ、この際狩猟法改正して、従来単に登録制となっておりました空気銃を免許制とし、今国会において成立をみました銃砲刀剣等所持取締令等の改正による空気銃の所持、携帯及び製造販売等の規制と相まって、空気銃による狩猟の適正を期し、もって有益鳥獣の保護に資することにしようとするのがこの法律案提出する理由とその内容であります。何とぞ御審議の上すみやかに御可決ありますようお願いいたします。     ―――――――――――――
  36. 綱島正興

    綱島委員長 次に養ほう振興法案議題といたし、前会に引き続き質疑を進めます。川俣清音君
  37. 川俣清音

    川俣委員 この際提案者にお尋ねしたいのですが、この法案の結果どれだけの経費を必要とするようになりますか。もくろみがありましたらその数字をお述べいただきたい。従来どのような経費でやっておりましたか、あわせてお伺いしたいと思います。
  38. 平野三郎

    平野委員 この法案に関します予算の面についての御質問でございますが、本年腐蛆病が発生をいたしまして、これに対しまして、家畜伝染病予防法の規定に基いて政令でこのハチを追加いたしまして、そうして当面の措置をとったわけでございますが、その金額は六、七百万円ではないか、こう記憶いたしております。詳細なことは政府の方から申し上げますが、大体そういうような内容でございます。――今政府の方に聞きましたら七百七十方円だそうであります。
  39. 川俣清音

    川俣委員 原さんがお見えになっておりますから、この際お尋ねしたい。補助金等の整理に関する法律審議の最中、できるだけ補助金等を削減いたしたいという説明がなされておりましたが、今でもその点についてはお変りないですか。普通にハチというと、家畜というふうには見られないのが定説ですが、大蔵省は家畜と見て予算上の措置を講ぜられるつもりでありますかどうか、その点をお尋ねしたい。
  40. 原純夫

    ○原政府委員 補助金は必要に応じてふやしもし、減らしもするということであろうと思います。ミツバチの腐蛆病について家畜伝染病予防法の発動するかどうかということはだいぶ議論がございましたが、政府部内で慎重検討の結果、政令の発動はしかるべし、しかしあれは一時的でありますから後刻立法を必要とするというふうな結論になったと思います。
  41. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、予算増額の意思がございますかどうか。この法案が通りますと、当然予算的措置を講じなければならないと思いますが、その額はどの程度見込まれておりますか。
  42. 原純夫

    ○原政府委員 実はこの腐蛆病問題を御相談しました際に、それじゃ政令を適用しよう、しかし政令では一年以内ということになっておりますので、将来のことを考えて、政府提案法律を直すという含みであったわけであります。その後この議員立法のお話が出まして、中に補助金の規定があるということを伺いましたので、それはかなり問題だということで慎重にやっていただきたいと申しておりましたのですが、実は私らとしましては、その条文がなくなったというふうに伺っておりましたが、今聞いてみますとありますので、今までの了解とは違ったように思っておるのでございます。従いまして、今のところこの家畜伝染病予防の措置をとるほかに、特に補助を出すということについては、別段定まった考えを持っておりません。まあ全般的にいって緊縮の際でありますから、なるべく締ってやって参りたいという気持を持っておりますが、なおよく話を伺ってみませんと、どうするかということはちょっとまだ申し上げられない段階であります。
  43. 川俣清音

    川俣委員 そこが問題なんです。あなたの方で寄生虫というようなものについての予算の削減をあれだけがんばられたのです。寄生虫であるかないかという判定は実は簡単なんですけれども、寄生虫であるのかあるいは伝貧であるのかということを常に判定しなければならないための予算を、あなたは削減しておられる。そうして愛馬をむざむざ殺さなければならないようなことになるのに、あえて勇敢に予算を削られていったのです。私は養蜂というものをわからぬという立場じゃないのです。だけれども、一方あれだけ成育した愛馬をむざんに殺されていくときに――しかも病気であるか病気でないかわからない、あるいはもっと検査を受ければ寄生虫であるかもしらぬし、あるいは他の病気であるかもしらぬのに、診療が不十分なために伝貧として廃馬にしなければならぬようなことが現に起っている。どういうところから起っているかというと、結局予算削減によって獣医師の十分な活動ができないというところから起っている現況なんです。これは何人も認めるところなんです。伝貧になれば、これは初めて指定は受けます。伝貧の指定を受けて補助金が出ることは当りまえなんで、伝貧であるかないかということを診察しなければならない予算が削減されている、そのために長年愛育してきたところの愛馬がむざんにも屠殺されなければならないということは、馬を飼育する者からすれば耐えられないことです。病気で、伝貧で死ぬならばこれはやむを得ない、あるいは伝染病でやられたならば、早く殺さなければならないということになるが、伝染病であるかどうかわからない、判定があいまいなうちに屠殺しなければならない。その方の予算を削っていながら、この養蜂だけにはつけられるというのはどういうわけですか。つけて悪いというのではないが、つけるならばもっとつけなければならない重要なものがある。そちらの方は削っておきながら、これは重要だというあなたの理由がわからないのです。
  44. 原純夫

    ○原政府委員 寄生虫は従前の例によりましても、伝播の速度なり何なりということから申しましても減らしてよかろうという考えを取ったわけであります。ミツバチについても、まず飼養蜂施設であるということ、しかも起れば――何か蚕にそういうような病気があるそうですが、出たらばすぐ捨てるなり焼くなりしなければ商売がやっていけない。だから自衛本能として焼くのは当然じゃないかというような考えも当初は取ったのであります。ところがいろいろ伺ってみますと、技術的にそうはいかない、実際に一箱気がついたときは五十箱全部それが回ってしまっていてとてもいかぬ。その場合その五十箱全部捨てることはちょうど伝貧で馬を倒すのと同じ気持になるというお話がありまして、私ども寄生虫に類するということでなく、やはり他に適用のあります伝貧病に類するものというふうに考えて御同意申し上げたのであります。私もあまり技術的に深い方ではありませんけれども、本件につきましては、提案者平野委員もたびたびお見えになりまして、ずいぶんきつく議論もいたしました。その結果そういう判断になりまして、その間の権衡と申しますか、今それを計っているつもりであります。
  45. 川俣清音

    川俣委員 これはこの前の補助金の委員会でも説明した通り、寄生虫とわかればあえて補助は要らないのです。このくらいのことならば今では家庭薬によって駆除できないことはないのです。問題は診断なんです。寄生虫かあるいは他の病気かという衰弱からくるところの判断なんです。寄生虫ときまればそんなにあなたの方から補助を出さなければならないということはない。馬を飼っている者は、何病かが判断できれば、それに対する処置を心得ておりますから、そのくらいの経費を惜しむものはないのです。あなた、そういうふうに考えなければならぬ。物の判断なんです。寄生虫であるかどうかという判断なんです。町の医者にかかると、これは寄生虫でないかという判断をする、そのときには寄生虫の投薬をする。ところがまた一方、県の指定の医者が来ると、これは伝貧だという判断をする。そこでこれはもっと血液の検査をしなければならぬというようなことを言っているのだけれども、なかなかそれでは次の巡回のときに間に合わないから、大体われわれの認定ではこうだということで、無理々々に廃馬にしているのです。問題はそこにあるのです。これはあなたにたびたび申し上げているではないですか。その予算を削っておいて、そうしてこっちだけつけるという重要度がわからないのです。それにもつけた、この養蜂にもつけるというのなら話はわかりますよ。
  46. 原純夫

    ○原政府委員 伝染病の疑いがあるというので廃馬にいたします場合の手当というものは出ると思っております。そして寄生虫について減しましたのは、たしか検査員の旅費とそれから薬品であったと思います。その種類のものは減らしても差しつかえないと思ってやったのでございます。このミツバチの場合は、たびたび申しますが、先ほども申しますように、初めは商売上は当然じゃないかと思いましたけれども、やはりぴんぴんしている馬を、これは病気づいているから、はたに迷惑だからつぶせといわれるときと同様な環境になるという御説明を受け、われわれもそう思ったので、それと同様なことをやろうということでございますから、一つ……。
  47. 川俣清音

    川俣委員 実際あなたは予算を削ることばかりで、実態を把握していないから、いつまでたっても答弁がおかしい。それは伝貧になった場合に、伝染病共済ばかりでなく、ほかの共済の対象になりましょうから、それは補償はあるんでしょうけれども、補償のあるないということを問題にしているのではない。要はあなたが、獣医の診療のための旅費を削られた。その旅費を削るところから伝貧でもないものまで疎漏になる。従来出ておるところの旅費だって少額で、県が二分の一以上負担しなければならない貧弱な県ではそれも疎漏になりがちだ。従って診察か疎漏になって、愛馬を屠殺しなければならないようなことの矛盾をついておる。廃馬になったところの補償はあるでしょう。その補償の問題じゃない。診療途上における問題なんです。ただ大した予算でもないものをあえてあなたが削られたから問題なんです。それが数千万円とか、何億とかいう金なら別ですが、大した金でもないものをあえて勇敢に削られた。その勇敢さに比べてみると話が合わないじゃないかということを言っておるのです。
  48. 原純夫

    ○原政府委員 寄生虫の旅費を削りました点についての御不満の気持は重々承わりますけれども、たびたび申し上げるような事情で削る案を立てたのであります。削られたところは実際そうお考えになるだろうとは思いますが、たびたび申し上げているようなことで削っておりますので、多いに越したことはないが、少くなれば熱が下ると言わぬで、それぞれ持つ向きは持って熱を上げていただかないと、とても始末がつかぬと思いますから、川俣先生は特にそういう方面のリーダーでおなりになるわけでありますから、大へん恐縮でありますが、特にお願いいたしたいと思うわけであります。
  49. 綱島正興

    綱島委員長 主計局次長は、参議院の方から席をはずして来てもらいましたが、また向うへ参らなければならぬそうです。
  50. 川俣清音

    川俣委員 あなたがそれだけ努力して予算を削るということがわからない。ハチみつだと甘くなって……。どうもわからないが、あとは参議院の委員会が終ってから問題にしてもよい。
  51. 原純夫

    ○原政府委員 寄生虫の防除につきましては、地域的な性格、それから人間の寄生虫防除におきましても補助率は二分の一になっているということの権衡その他を考えてああいう措置を考えたわけであります。しょせん川俣先生とは見解の相違ということになると思いますけれども、われわれが何かけしからぬ態度でやっておるのだということは、一つどうかごかんべん願っておきたいと思います。
  52. 石坂繁

    ○石坂委員 議事進行について。養ほう振興法案に対しましては、わが党の議員諸君は修正案について協議したいと思いますので、しばらく御休憩を願いたい。
  53. 綱島正興

    綱島委員長 暫時休憩いたします。     午後四時二十九分休憩      ――――◇―――――     午後四時三十九分開議
  54. 綱島正興

    綱島委員長 休憩前に続いて会議を再開いたします。平野三郎
  55. 平野三郎

    平野委員 ただいま審議中の養ほう振興法案に関しましては、本委員会における審議の経過にかんがみまして、農林水産委員といたしましてこの際修正案を提出いたしたいと存じます。  修正案の案文を朗読いたします。  養ほう振興法案の一部を次のように修正する。  第十条中「第七条」を「第六条」に改め、第五条を削り、第六条を第五条とし、以下一条ずつ繰り上げる。  附則第二項中「第七条」を「第六条」に改める。  この修正案に基きまして御審議をお願い申し上げたいと存じます。
  56. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 提案者一つ伺います。この前私は強調いたしたのでありますが、今度の養ほう振興法案の中で多少とも効果のあると思われる法文は、実際は第五条だけであります。さっきからいろいろ御議論がありましたように、そういうものについても、ほかに必要がある場合にその方に金を回して補助等に金を回すことはあまり適当でないじゃないかというような御議論もありますし、また補助金なんかは出すべきでないというような御議論もあるようです。いろいろそういう点を総合してみますと、実は補助だけが今日の問題ではなくて、将来養蜂振興の足がかりになる唯一の法律だと思うのです。本来からいえば、これは第五条の農薬との関係をもっと実質規定を作るべきだと私どもは考えております。しかしながら今日の日本の状況では、ハチを飼う人も、農民も、またそう言っては言葉が過ぎるかもしれませんが、農林省自体も、この問題の重要性なり、農薬との連関というものを具体的に考える点において、少くとも世界各国の水準よりはるかにおくれた認識の状態にある。従ってこの条文ができたからというて、いきなりここでもってすぐに農薬の使用制限を全国的にしようという趣旨のものでない。そういう趣旨にこれを了解してこれを使うならば非常な災害を及ぼすでしょうけれども、そういうものではない。これはあらゆる方面がお互いにこの問題の重要性というものを研究しつつ、現実にできるところからこの条文に基いた措置をするのが実際には行政措置だと思う。そういう行政措置でもってこれを発展的な方向へ逐次持っていこうという唯一の足がかりになるのがこの五条であります。この五条をとったら養蜂振興の意味は全くないと思う。農林省の一部に相当反対の声があることは私は承知しております、しかしそれはざっくばらんに言いますと農薬屋の声で、農薬屋も実は問題の焦点を知っておらない、これが実態だと思うのであります。めちゃめちゃな議論を振り回して、あっちこっち言っている向きもあります。ここでもってそういう問題について一々本質論について討論をしようとは私は考えておりません。従って五条を抜かれては、提案者としては養蜂振興というものは何をねらったのか、提案者においては、第九条の規定によって今後大いに補助金でも出してやっていこう――デンマークは花粉受精に基く増産の効果を認めて、一群について政府が千六百クローネの報奨金を出しておるが、そういう措置をとっていかれるつもりか。かりにそういう措置をとっていかれたとしても、五条がなくてはそういう意味は何らなくなってしまうと思うのです。これは今の段階では、これを御理解をいただくのに困難はあろうと思います。その困難の中で多少とも一歩前進していくためには、どうしても五条は最低限必要だと思う。これ以外にはこの規定の振興の意味を体した規定はほとんどありません。そういうのでありますから、一番眼目である五条を抜かれるという提案者の意図が私はわからない。それならば何のために養ほう振興法案なるものを提案されたのか、私はその趣意を理解するのに苦しむのです。その点の御説明一つはっきりお願いしたい。
  57. 平野三郎

    平野委員 久保田委員の御意見まことに同感でございまして、提案者といたしましても第五条は必要である、こういう認識のもとに提案いたしましたような次第で、その基本的な考え方につきましては現在も少しも変ってはおりませぬ。ただその後本委員会において委員各位の御審議の状況にかんがみまして、このこと自体は当然のことであり、必要であるとは存じますが、農薬の被害ということは、この養蜂のみならず、先般本委員会においても大きな問題となりました有明海の問題等漁業に対する問題もある、こういうようなことでありまして、これは全然別個の立場一つ農薬全般について検討する必要があるのではないか、もしここでこういう法案が出ますと、この真意が誤解をせられまして、そして農薬の使用が制限せられるというようなことになって、食糧増産を最大の目途として進んでおりまする観点からいかがかと思われる、こういうようなことも考えました。従って根本の基本的考え方は少しも変っておりませんが、一応農薬の問題全般についてもっと慎重に検討する、こういう考えを留保いたしまして、本案といたしましては、この点だけは誤解を避けるために一時削除しておくことが適当じゃないか、かような考え方からただいま修正案を提出いたしたような次第でございまして、何とぞこの点よろしく御協力をいただきたいと思います。
  58. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 どうも今の御答弁でも実はよくわからない。この法文の内容は、要するに使用制限なりあるいは適当な何らかの措置等は一切農林大臣にまかされておる、従って実際は農林省の事務官僚にまかされておる。それだから、このことに対して人民に権利を与える、あるいは人民がこれについて具体的に一々政府に要求しょうという条文ではありません。これが実質規定ならばそうなるが、それでは行き過ぎるという考えからこういう抽象規定になったと思う。従ってこの実権を握っている農林省のこれに対する規定をどう運用するかということは、この問題についての国民全体の理解の程度に応じてどうやっていくかということがねらいでなければならぬと思います。そういう意味において私は何らの誤解はないと思う。ここに誤解が生じているとすれば、それはためにする、ほかの観点から誤解だと思う。それからもう一つ、農薬全体についての問題を考えるとおっしゃるが、こういう問題に真剣に考えずに何を考えるか。漁業の問題はもちろんありましょう。これはすでに農業取締法というものがあるのです。こういう点を真剣に取り上げることによってのみ、農薬の問題については農薬の及ぼす災害についての全般的の規制というものが、できてくると思う。そうでないと、そういう場合の施行規則というものはしゃくし定木になって、これこそ、農薬そのものは知っているかもしれないが、その農薬によってどういう災害を受けるか何も知らない農家にとっては、全く気違いに刃物みたいになる。だからやはり農薬全体を考える場合においても、この程度の規定は当然必要ではないかと考えるわけであります。この点については、今の御説明では納得しかねますので、もう一回この点をはっきり提案者から御説明願いたい。ただ単にこういうものがあると農民に誤解を与えるということだけでは納得できぬし、私はそういうことにならぬと思う。今ためにする宣伝がありますからはっきり申し上げておきます。全く筋違いのものが農林省の改良局から出ている。事態の真相を知っている者から見れば笑うべき事柄であります。そういう方角違いのことをやって農民の誤解を深めるような放送に負けて、正しい筋を伸ばさないということは、農業政策全体を考える場合においても間違いじゃないか。どうかその点をもう一回提案者の御意見を伺いたいと思います。
  59. 平野三郎

    平野委員 先ほども申し上げました通り、久保田委員のお考え方につきましては提案者といたしましても全く同感でございます。当初の原案におきましても農林大臣がすべてこれを処理する、こうなっておるわけでありますから、差しつかえないという考えのもとに原案を提出いたした次第でございますが、委員各位の多数の御意見等もございますし、本法案の円満なる取扱いというような点を種々勘案いたしまして、この際はこの五条を一応取り下げることが最大公約数である。こういうふうな立場からいたしているわけでありまして、どうか一つ御理解、御協力をいただきたいと思います。
  60. 川俣清音

    川俣委員 今の質疑応答を聞いておると、いよいよもって私たち賛成しにくくなる。一体こういう法案を出す前に考えられなければならないのは、化学工業によって農業の侵されている点がたくさんある。その方がより重要な面がたくさんあります。たとえば肥料工業におきましてもあるいは硫黄の鉱山の発生するところの亜硫酸ガスあるいは鉱毒、こういうものについて、すべて農業を侵すようなものを全部制限するような法律があって、しかる上にこれを考えるということならまだわからぬこともない。それよりもこの養蜂の方が大切だという考え方で出される考え方については、農業本位でなく養蜂本位であって、ほんとうに日本の農業政策の上からいうと工業との衝突の面をどうするか、農薬を製造するところの薬品の流れをどうするかということを検討すべきがほんとうなんです。それならよくわかる。その方はどうでもよい、ただハチに与えるだけの影響は大いに厳格に規制しなければならないということは、これは農業政策ではない。全く養蜂政策だ。私どもは農業全体にわたる考え方一つとして出てくるなら別ですが、その方はあまり重視しない。こちらの方を重視するというならば、もっと大切な法案があるからそちらの方を先にすべきだ、こう考えるのですが提案者はどうですか。
  61. 平野三郎

    平野委員 提案者といたしましては、ただいまの御意見を尊重いたしまして修正案を出したような次第でございますから、基本的には養蜂もやはり農業の一部であり、農業を振興するためにハチの触媒によるところの農業に対する貢献というものも非常にあるわけでございまして、それらの点を勘案して御審議を煩わしたわけでありますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
  62. 川俣清音

    川俣委員 畜産局長にお尋ねいたします。畜産局長は家畜伝染病の予防法に対する国の予算補助にいたしましても、あるいは直接国の負担金につきましてもだんだん予算を削減されるような方向にある。だから競馬法において改正の場合に、特にその点を重視いたしまして、予算の削減に見返りできるようにということで改正をいたしておったのでありますが、今度の養蜂によってこういうような措置をだんだん追加して参りますと、予算がふえないのに対象物件をどんどんふやしていきますと、ただ表面的にはたくさん取扱った、内容的には十分な措置ができないというようなことになるのではないかと思うが、この点についてどうなんですか。
  63. 原田傳

    ○原田政府委員 家畜伝染病予防法の関係予算でございますが、私どもの考えといたしましては、こういう性質の事業につきましては、事業者が支障があってはならない、こういう考えから、予想されます事業の分量に応じました予算を計上してもらうというように努めて参っておるわけでございます。  ハチの腐蛆病の経費でございますが、これは当時非常に危険な状態になっておるというふうに感じましたので、最小限度必要な金額を予算に計上するという措置をとった次第であります。
  64. 川俣清音

    川俣委員 腐蛆病を対象とするからには予算を増額するというお考え方なのですが、今までのワクの中でやるということになりますと、当然やらなければならないものですら手薄になっておるというような問題、それがさらにこういう対象物がふえるとなお手薄にならざるを得ないような結果になるんじゃないか。これによって予算増額をして万全を期するというならまだいいのですよ。既存の経費の中だけでもなお予算が不足だという問題が起きて来ておるときに、対象物件だけをふやすのは無責任じゃないか、こういうのです。もう一度お聞きします。
  65. 原田傳

    ○原田政府委員 全体の事業の執行に支障のないように家畜伝染病予防関係の経費を計上いたしまして、そのほか腐蛆病の関係と必要を生じましたので、その金額を加えて予算に計上する、さような措置をとったのであります。
  66. 川俣清音

    川俣委員 それは補正予算あるいは予備費からでも出そう、こういうことですか。私の尋ねておるのは、三十年度予算で通ったものだけでも家畜伝染病予防法を十分こなすだけの予算が不足を来しておるような状態のときに、さらに対象物件をふやすことは、なお疎漏になるおそれがあるんじゃないか、こうお尋ねしておるわけです。そこでそういうことのないように処置するということは予算を増額するということなのですね。予算を増額するということになると、補正予算でやるのか予備費でやるかと聞いておるのです。
  67. 原田傳

    ○原田政府委員 家畜伝染病予防法関係の経費につきましては、大体過去の実績を基礎といたしまして、必要と思われまする金額を予算として一応計上いたしまして、病気の状況が非常に変化を生じたりいたします場合におきましては、補充使途になっておりますので、その生じました事態に即した必要な措置がとられる、かように考えております。
  68. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、それは、補正予算または予備費から出る、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  69. 原田傳

    ○原田政府委員 必要を生じました場合は、予備費をもちまして補充の措置ができる、こういうことであります。
  70. 川俣清音

    川俣委員 もし予防に対してそれだけの熱意をもっておられるとすれば――おられるかおられないかまだ聞いていませんが、おられるとすれば、家畜の最も必要で問題になっておりまする、しかも手当が不足で診療が不十分であるところが問題を起しておりまする家畜寄生虫の予防その他診察に要する巡回診療等の旅費を削減されたのですが、これは原田局長にも話しをしたのですが、寄生虫が寄生虫だとわかれば自己負担で防ぐこはちっともいとわない。畜産家はそれくらいの費用はいとわない。ただ寄生虫であるか、他の病気であるかあいまいなうちに伝貧というような指定を受けて、少し弱っておるというようなところから伝貧という指定を受けて廃馬にしなければならないというようなむごい取扱いをすることは、旅費の節約であるとか事務費の節約から起ってくることが非常に多い。今の問題は、いわゆる寄生虫と判断したものの、この経費の補助はないのです。最も必要なのは診療に当る旅費なのです。これを削っておられるのです。これはあなた方も御存じの通り、今日は必ずしも寄生虫の診察に回るというわけじゃないのです。あらゆる旅費が不足であるから、寄生虫もやれば伝貧の調査もやるというよな診察の仕方をしておられる。その回数が減ってくる。回数が減ってきて日にちがなくなると、二カ町村なり三カ町村なり一緒にやらなければならぬ。そうすると診察が疎漏になって、まだ伝貧でもないものを伝貧と判定いたしたり、あるいはその他の病名をつけていくために馬の価格が下ったり、廃馬になっているというような事態が起る。なぜ起るかというと、家畜伝染病に対する旅費が不足であるということから起ってくるのじゃないか。十分だなんてどこから出てくるのです。
  71. 原田傳

    ○原田政府委員 お話のように、この寄生虫にかかった場合の診療等の旅費について事を欠くようなことがあってはならないというように、私どもも考えておるわけでございますが、先ほど申し上げました過去の実績を基礎として、次の年度に予想されまする事業量というものを考えまして、それに相当する経費を計上いたしておる、こういう考え方でございまして、これで十分であるというように私ども申し上げておるわけではございませんが、予算の作り方として、そういうようなやり方が適当であるというふうに考えて計上している次第でございます。
  72. 川俣清音

    川俣委員 その養蜂まで引き受けるというからには、本来のものに対して熱を入れたらどうかと聞いておるわけです。これに対して熱を入れられることは悪いとは言わないが、まだやらなければならぬことをやらぬでおって、手ばかりつけたってどうしようもないじゃないか。これもただ法律が出ればいいというようなことであったのではだめなんだ。結局予算化されなければ問題にならないのですよ。予算化されない法律だけ出すというのは、最も悪い考え方だ。選挙民にただ気に入られようとするだけで、代議士としては最も慎しまなければならぬ。法律さえ通せばいいというような無責任なことはやめていただきたい。本来の仕事にも十分手を入れて、まだ余裕があるから、一つ畜産局はこれらにも手をつけるというなら、私は大いに了承する。人手が少く十分な巡回ができない。その上に養蜂までやれますというのはうそだよ。もっと定員でもふやす予定がありますか。
  73. 原田傳

    ○原田政府委員 御指摘のように、養蜂の問題につきまして新しい経費の計上を見ているわけでございますが、もちろん一般の家畜伝染病予防法の事業の実施につきましては、十分なる熱意をもって必要な予算措置、また定員等につきましても、どうしても必要な事態にぶつかりました場合には、これに対応してできるだけの努力をいたしたい、かように考えております。
  74. 川俣清音

    川俣委員 これから、いよいよもって乳牛等の導入が盛んになって参りますと、これから発生するところの病菌の蔓延等も増大するであろうことは予想せられます。従ってそういう方にもっと力を入れなければならないわけです。それを等閑に付しておいて、こういう法案が出たら、それにすぐ賛成だということは無責任です。それには、定員をふやして大いにおやりになるという決意があるならば、私はこの法案を通すことに賛成してもいいが、ただ法律だけ通せばいい、権限が大きくなったというようなことが喜ぶようなことは、非常に不親切じゃないか。この法案をもしも通して参りますと、あなたなかなか手がかかりますよ。どうです、その点は……。
  75. 原田傳

    ○原田政府委員 私どもの立場といたしましては、ただいま御審議中のこの法案に対しまして、事務的にいろいろな角度から研究をいたしている次第でございまして、この法案についてどういうふうにしたらいいかということについては、まだ私限りの意見を申し上げる段階になっておらぬのであります。
  76. 川俣清音

    川俣委員 賛否の意見を保留されましたが、もしもこの法案が通りましたならば、この法案を執行する上に、当然増員も考えなければならぬと思いますけれども、その点はどうです。あなたはあまりまだ賛成しておられないから、考えていないと言われればそれきりでありますが、もしもこの法案が通れば、当然増員の必要が生じてくると思いますが、この点もう一度……。
  77. 原田傳

    ○原田政府委員 お尋ねの点でありますが、仕事と定員との関係につきましては、仕事がどういう分量でどのように発生して参るかということと、すでにやっております仕事の同じような点とを、総合的に判断しなければならないわけでございまして、この御審議中の法案かどういうふうにおさまるかということも十分見通した上で判断したい、かように考えております。
  78. 川俣清音

    川俣委員 第八条に農林大臣は云々ということで、農林省が責任を負うことは非常に多いわけであります。従って増員というようなことも必要になるというようなことが考えられる。さらにまた第六条の「みつ源植物を植栽、除去又は伐採しようとする者は、その目的に反しない限りにおいて、みつ源植物の増大を旨としてこれを行わなければならない。」という、人のやっております事業を制限することができるようなことは、いかようにお考えになりますか。これは養蜂家のために特別に奉仕しなければならないということですが、畜産局長どうお考えですか。
  79. 平野三郎

    平野委員 政府の方に対してお尋ねでございますが、提案者からお答えした方が適当であると考えますので、お許しを得てお答えいたしたいと思います。第六条はいわゆる訓示規定でありまして、なるべくみつ源植物の権栽とか、除去または伐採する場合には、みつ源植物の増大を念頭に置くようにすることが望ましい、こういうことでありまして、実際にはどういう場合があるかと申しますと、たとえば街路樹にアカシアを植えるというような場合において、アカシアにはみつ源のある種類とない種類のものとあるのでありますが、そういう場合にどのアカシアを植えてもいいのだというような場合には、なるべくみつ源の多い街路樹を植えることが望ましい、こういうような規定でありまして、実際には他人のやっている事業を束縛するとか制限するというようなことはない、その目的に反しない限りと書いてありますから、実害は何もないわけでございます。御了承いただきたいと思います。
  80. 川俣清音

    川俣委員 実害がないなら業者は花のあるところを求めて養蜂したらいい、ないところは行かないわけです。これはおれのいいようにこしらえろというふうなものじゃないですか。花を求めて共存のために双方の利益のために行かれるから、土地を無償で提供しておられる。果樹園と同じように特に無償で提供しているわけです。おれの言うことを聞くようにリンゴを植えろとかアカシアを植えろというようなことまで言うことは行き過ぎだと思います。すなわち養蜂家にとって利益なことは、植栽する者にとっても利益だから、土地を無償で提供する、宿を無償で提供するというようなことが好意的に相互に行われている。これは非常にけっこうなことだと思います。それを、おれの養蜂の便宜のために木を植えろとか、そういう植物を植えろということは行き過ぎではないですか。これは自己満足であって、実際には効果がないのだから、こういうものはおとりになったらどうですか。
  81. 平野三郎

    平野委員 実は提案者といたしましても、第六条というのは実際にはほとんど効果のない規定でありまして、無益といえば無益のようなものでございます。しかし別に有害でもないわけであって、ないよりはある方がいい。外国の法律を見ますと、やはりこういう規定が相当強くございまして、デンマークのごときは相当こういう点が強く働いております。そういう点いろいろ勘案いたしまして、なるべくみつというものを念頭に置くという趣旨でございまして、もちろん罰則もないわけですから、違反することもありません。その目的に反しない限りは自由にやれるわけでありますから、こういう規定はあまり効果はないものの、ないよりはあった方がいくらかよいという趣旨でありますから、御了承いただきたいと思います。
  82. 川俣清音

    川俣委員 あってもなくていいようなもので、養蜂家の便宜のためだということになると、ただ養蜂家の気に入るような法律を作ればいいということになります。外国で例がありますことは私も知らないわけではない。ただそういうものを助成するような措置が講ぜられているから、国の養蜂奨励の一つの方法としてそういう補助をしながらみつの存在するような果樹をなるべく選ばしているのだ。それはまた私は悪くないと思います。一方そっちに何も恩典を与えないで、ただ養蜂家の気に入るようなものを植えろ、こういうところに問題がある。養蜂家のためにそちらにも補助するのだという規定を入れれば、これは養蜂は日本の産業には必要なんだから、そういうものに補助をしてそういう植栽をさせるというのならわかります。しかしそこまで予算がとれそうもないから、そこまでいかないで法律で逃げようとするから卑怯だと言わざるを得ない。もう一つは、こういうのは共済制度を作ったらいいと思う。そしてそれに対して国が補助するのがしかるべきことではないかと思う。副業から専業になってきているのでありますから、共済施設を設けて、それに対しては国が補助していくというやり方が必要ではないかと思う。むしろそういうことが法案に関連して出てくると思ったところが、そうでなくて、宣伝だけで面子を立てるだけになっている。実益を与えるためには予算上の措置を講じなければならぬということもあるだろうと思いますけれども、共済制度をここに実施するという方途がしかるべきではないかと思う。実際に養蜂のことを考えたら、お互いに共済制度を考えていくということがしかるべきではないかと思う。そしてそれに対して国が援助し、補助するということが至当ではないかと思いますが、この点はどうですか。
  83. 平野三郎

    平野委員 川俣委員の該博なる御知識の上に立った、しかも適切なる御高見につきましては、ひたすら傾聴いたすわけであります。むしろ私の方からお尋ねいたしたいぐらいでございますが、御意見につきましては全く同感でございまして、十分拝聴いたしたいと存じます。
  84. 川俣清音

    川俣委員 大蔵省に対する質問を保留し、農林省並びに提案者に対する質疑をこれをもって終ります。
  85. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今川俣委員からも非常に該博な意見があったわけで、大いに傾聴いたしたわけであります。これはハチ屋の利益を守るのだ、だからハチ屋の法案であって、これは選挙目当てだ、こういうような声もあったのでありますが、提案者にお聞きいたします。私は提案者の票を集めるというようなお気持からではないと考えます。というのは、日本でいわゆるハチをもって飯を食っているのは一万人かそこらであります。しかもそれが全国に分散しているのでありまして、まさか提案者の地帯にそのハチ屋が全部居住をしているわけでもなかろうと思います。また今日日本のハチ屋が、全国でもって統一された行動とか有効な行動をするような態勢にはまだなっておらないように私は見受けます。従いましてそういう御趣旨ではないと私は理解しますが、この点はどうかという点。  もう一点、これは表面ちょっと見ますと、私当初に申しましたように、養蜂業者、特に養蜂だけで飯を食っている業者の利益を守るごとく見えますが、そういう考えではいけない、少くとも農薬がだんだん発達していけば、世界の農業の大勢といたしましては、害虫がやられると同時に益虫もやられてしまう。従って益虫のうちで自然益虫は農薬の関係上なかなか保護が困難である、人口的にある程度コントロールができるミツバチを保護することによって、いわゆる農業上の増産効果を大きくしていこう、こういうのが世界の大勢である。そういう観点からその効果を非常に認めたデンマークのような国では、いろいろの保護の規定も十分でありますし、保護のシステムも十分である。その上に持ってきてハチが増産上の効果を上げる。この効果に対して、一群に対して千六百クローネなり何なりの報償金を政府みずから出している。ソビエトやその他におきましても、それにほぼ似たような制度をとっているというのが今日の実態であります。日本でこの養蜂の問題をここで取り上げられた提案者の御趣旨は、日本の今後のいろいろの事態、農薬の大きな発達というものを考え、また日本の持っておりますみつ源その他を考えた場合におきましては、少くとも日本では二百万群以上のハチを持つのが、増産上非常に効果がある。ハチみつとか、みつろうとかいうものじゃなくて、そういう大きな目標に向って一歩を踏み出すという意味においてこの振興法案を出されたと思う。しかもそういう事態になることは、今のようなハチでもって飯を食ってあっちへ動いたりこっちへ動いたりというハチ屋によって養蜂が行われておるという事態ではなくて、世界各国でやっておるように、各村でもって農家がみずから二群、三群ないしは五群といういわゆる養蜂を行なって、ハチによるところの花粉受精と、そしてそれによるところの増産効果を全国的に確保して参ろう、こういうことが私は最高の目標であろうと思う。そういう観点を十分にとりませんと、これはハチ屋の法案じゃないかというようなことになろうと思うのですが、提案者の御趣旨は、少くともそういう高い目標を目ざした御提案で、その第一歩として――今日の実情が、ハチといえばハチ屋の利益、こういうふうな一般の見方が多い、みつをとる、あれは要するに花粉受精をしておるのだ。そのみつをとるハチに対して一般農民はみつを盗んでおるといって、かえってこれを圧迫するところもなきにしもあらずという現状であります。官庁も、同時に農薬屋も、そうして農民も農業関係の指導者も、ハチの問題については、特に農薬がこういうふうに発達してくる場合においては、この点で大きく認識を改める必要がある。その改めることについての第一歩の法案がこの法案だと、私は提案者の御趣旨をそう理解しておるのでありますが、以上の三点について、一つ明確なお答えをいただいておきたいと思います。私自身がこの問題で皆さんから見ると、何だ、ばかに熱心じゃないか、こう言われるのでありますが、私はざっくばらんに言って、これによってハチ屋から一票をとるというようなことも考えておりません。そういうけちな根性ではありませんし、そういう大きな目的に向って、ごく小さいながら第一歩を踏み出した、こういう意味においての理解だと思います。私は少くともそういう考えでこれに対処しておりますが、残念ながら日本全体のハチに対しまする――特に農薬の異常な発達をしておる今後における日本の農業の一つの大きな盲点であります。この盲点をどうして積極的にやっていこうかというところにこの法案の真のねらいがあると思いますが、この点をもう一度提案者から明確にお答えをいただきたいと思います。
  86. 平野三郎

    平野委員 久保田委員の御指摘の通りでありまして、提案者といたしましては、この法案の第一条に目的がございますように、農作物の花粉受精の効率化をはかりまして、日本と農業の振興を期する、あわせてハチみつ及びみつろうの増産もはかる、こういう趣旨でございまして、久保田委員と全く同感でございますので御了承いただきたいと思います。
  87. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一つの点は、家畜や何かに対して十分の防疫の施設ができないのにミツバチとは何ごとかという御意見もあったのですが、家畜は家畜で農業上重要性を持っております。ミツバチはミツバチでまた重要性を持っておる。その生産するものの金額は片方が何百億、片方が何十億、何億ということではございません、牛や馬では花粉受精はできません。ミツバチにはミツバチでなければできない役割がある。この役割を助長していこうというのがこの本旨だと思います。今後これの運営をしていかれる場合におきましても、やはりその点が大事じゃないかと思うのであります。どっちが第一義的でどっちが第二義的ということはないと思います。私はそれぞれ役割が違うのだ。違ったものをいわゆる総合的に伸ばしていくのがやはり農政の根本だと思うのですが、この点についての提案者の御意見はいかがですか。
  88. 平野三郎

    平野委員 その点につきましても全く同感でございまして、久保田委員御指摘の通りでございます。
  89. 綱島正興

    綱島委員長 お諮りいたします。これをもって質疑を終局いたしたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めます。御承知の通り本案も国会法五十七条の三に規定する法律案に該当いたしますから、この機会に内閣に対して意見を述べる機会を与えたいと存じます。内閣において御意見があれは御発言を願います。
  91. 吉川久衛

    吉川政府委員 本件に関しましては、ただいま政府においていろいろと意見をまとめるべく検討をいたしておりまして、いまだに結論を得ません。御案内の通り農林省においてこの養蜂関係については、御質疑の中にいろいろ御指摘もありました通り、今月までまだ十分なるこれの振興に対しての措置がとられておりませんが、過般来養蜂の腐蛆病の問題に端を発しまして、この養蜂の問題に大きな関心を持ち出しまして、これが今後の振興についての措置については十分検討をしなければならないということで、とりあえず大蔵省と、政令をもって暫定の措置は講じて、この十月まで政令の延期をいたしているような次第でございますが、本案はきわめて重要な問題の一つでございますので、慎重に審議をいたしておりますうちに、今日に至るまで結論を得られないような事情でありますので、特に御了承をお願いいたします。
  92. 綱島正興

    綱島委員長 委員長よりちょっと伺いますが、ただいま発言を求めましたのは、本法案を可決いたすことについて内閣の御意見を伺いたいのでございますが、本法案を可決いたすについて、内閣においては別段御異議はございませんか。     〔「まだまとまっていないというからそれでいいじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕
  93. 綱島正興

    綱島委員長 先ほど質疑を打ち切りと申し上げましたが、今日の質疑を打ち切りと訂正することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 綱島正興

    綱島委員長 さように取り計らいます。     ―――――――――――――
  95. 綱島正興

    綱島委員長 お諮りをいたします。先ほど付託になりました小枝一雄君外一名提出農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、本案の趣旨について提出者説明を求めます。小枝一雄君。     ―――――――――――――
  97. 小枝一雄

    小枝委員 ただいま議題になりました農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国は自然的環境から年々災害が頻発し、貴重な農地及び農林水産業施設が多大の損害をこうむり、その被害が巨額に達しておりますことは、まことに遺憾とするところでありまして、そのすみやかな復旧をはかりますことはきわめて重要な問題であると考えられるのであります。  現在公共土木施設の災害復旧につきましては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法により、また農林水産業施設の災害復旧につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律により、それぞれ、その規定に従って措置されておりますことは御承知の通りであります。  ところが前者にありましては、災害復旧事業費の一部を国が負担することになっておりまして、国の負担額は地方公共団体の財政力にスライドさせ、災害復旧事業費の総額のうち、当該地方公共団体の当該年度の標準税収入の二倍をこえる額については全額国において負担することになっております。  しかしながら、後者におきましては、災害復旧事業費の一部を国が補助することになっておりまして、その補助率は被害の程度に従って平率と高率の二段階に分れ、平率にありましては五割及び六割五分、高率にありましては復旧事業費に対する負担が一定の限界をこえる場合に、そのこえる部分についてのみ七割五分ないし九割ということになっているのであります。従いまして両者その建前が違い、また復旧事業費に対する国の財政支出の割合も異なっているのであります。  かような経緯もありまして、激甚な災害が起りましたときには、その都度農地及び農林水産業施設の災害復旧に対して特別な措置を講ずることの必要が痛感されていたのであります。  そこでこの際、現行措置法の補助規定の一部を改めまして、公共的施設であります農業用施設、奥地幹線林道及び漁港施設につきましては、その被害が激甚で復旧事業費が巨額に上る場合に、その復旧事業費の負担が一定の限度をこえるとき、そのこえる部分の一定部分について全額を国から補助することができることといたしまして地元負担の軽減をはかり、もって復旧事業を促進することが適切な措置であると存ずるのであります。  以上が本改正法律案提出するに至りました理由とその内容であります。何とぞ慎重審議、すみやかに御裁決下さいますようお願い申し上げます。(拍手)
  98. 綱島正興

    綱島委員長 これをもって散会いたします。明日は正十時より理事会を開き、引き続いて委員会を開きます。     午後五時三十五分散会