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1955-06-01 第22回国会 衆議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月一日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 綱島 正興君    理事 井出一太郎君 理事 白浜 仁吉君    理事 松浦 東介君 理事 大野 市郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 足鹿  覺君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       伊東 岩男君    石坂  繁君       大森 玉木君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       原  捨思君    本名  武君       川村善八郎君    助川 良平君       田口長治郎君    中馬 辰猪君       松野 頼三君    松山 義雄君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       井谷 正吉君    石田 宥全君       楯 兼次郎君    芳賀  貢君       伊瀬幸太郎君    川俣 清音君       佐竹 新市君    中村 時雄君       日野 吉夫君    久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         文部政務次官  寺本 広作君         農林事務官         (大臣官房長) 安田善一郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      大坪 藤市君         農林事務官         (農地局長)  渡部 伍良君         農林事務官         (農業改良局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (畜産局長)  原田  伝君         農林事務官         (蚕糸局長)  塩見友之助君         食糧庁長官   清井  正君         水産庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         文部事務官         (管理局学校給         食課長)    岩倉 武嗣君         厚 生 技 官         (公衆衛生局栄         養課長)    大礒 敏雄君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 五月三十一日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として楯  兼次郎君が議長指名委員に選任された。 六月一日  委員松野頼三君及び有馬輝武辞任につき、そ  の補欠として西村直己君及び赤路友藏君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 五月三十一日  三方原用水事業促進に関する請願竹山祐太郎  君紹介)(第一三九二号)  米の直接統制継続に関する請願石田宥全君紹  介)(第一三九三号)  同(成田知巳紹介)(第一三九四号)  同(山本幸一紹介)(第一三九五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員補欠選任  農林水産業に対する基本施策に関する件     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより会議を開きます。  前会に引続いて農林大臣に対する一般質問を開始いたします。久保田委員
  3. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私は与えられた時間が非常に少いので、いろいろな点をお伺いいたしたいのでありますが、とうてい触れることができませんので、特に政府河野大臣も非常に力を入れられており、同時に大きな問題になっております畜産の問題、特にそのうちで重要な飼料問題等について、政府のお考えなり、現実にやっている点について要点をお聞きいたしたいとこう思います。河野大臣が、いわゆる総合的食糧自給度の向上という観点から、畜産、特に酪農を非常に重要視されて、本年度予算措置等におきましても、食管の中で、飼料の、前年度の約十五万トンに対して四十八万トンの輸入計画を立てられた。同時にそれに対しまして食管会計の中で四億五千万円の価格差損金を計上されておるという点は、今までの畜産政策に比べますと非常に大きな進歩だと思うのでございます。その基本方向はわれわれは支持するにやぶさかでないのですが、それにもかかわらず片方においては、御承知通り乳牛にいたしましても、あるいは豚にしてもあるいは鶏にいたしましても、ほとんどすべての経営が、要するに非常な危機に当面をしております。  河野大臣の意図とは逆に、よく河野さんが農民犠牲においていろいろな食糧増産をすることは反対だと言われておるが、今の畜産あるいは酪農の全体の状況は、まさに農民犠牲においていやおうなしに増産をはかるというような態勢になっておる。この打開が酪農農民全体にとって非常に大きな問題であることは御承知通り、この問題の根本的な解決には、私は日本全体の経済の置かれた条件、あるいは日本経済全体のいろいろの特徴、その中での日本農業の根本的な特徴なり、その一環としての日本酪農の特殊な性格というふうなものについての基本的な問題の解決をはからなければ、なかなか酪農が本格に安心して発展をすることはできないと思います。しかもその基本的な問題については、ざっくばらんに言って、政府も各方面においてほとんど手をつけておらない。この大きな基本的な矛盾が、今日の酪農経済の非常な危機を招来しておると思うのです。これに対して農林当局としては、従来ほとんど何らの手を打っておられないと私は考える。しかしこの問題に深く触れることは非常に時間もかかりますので、私はやめたいと思う。当面現象的に見た場合に、今の酪農全体が置かれてあります危機は、何よりも乳価なりあるいは豚肉なりあるいは卵なりが非常に値下りして安くなって困っているということと、逆に飼料が非常に高くなって困っておる。この二つのいわば原料高製品安というような関係で非常に苦しんでおるわけなんです。そこで政府としても、本年度は四十八万トンの飼料輸入計画を立てられて、四億五千万円の価格差損金というものを見て、この飼料を安く提供しよう、こういう御意向と私ども考える。しかしどうも今度の示された計画を見ますと、なかなかこれがうまくいかないように私どもは思う。せっかく政府が四億五千万円の価格差損金を見、さらに四十八万トンの大量の飼料輸入ということを考えられておっても、その内容を検討すると、なかなかうまくいかないように思うのであります。逆に下手をすると飼料はますます上るのではないか、こういう懸念さえ持たれるのであります。そこで私は第一に大臣にお伺いしたいのは、本年度政府食管会計において予定しておる四十八万トンの飼料輸入、しかもこれは政府のほとんど独占的な輸入です、これがはたしてできるかどうかという点を第一にお伺いをいたしたい。それはどういうわけかというと、昨年度政府は当初二十九万九千五百トンの飼料輸入計画を立てられた。ところが、実際においては昨年度入ったものは、十五万九千六百トンしか入っておらない。結局五三%しか飼料輸入が実行できておらない。こういうような実績一つ。それから今年の四十八万トンの飼料輸入をするには、大体四千五百万ドル外貨資金が要るのです。これはもちろん手当をされておると思うが、すでに本年度の貿易の面が、ある程度頭打ちになって将来のドルの手持ちが相当懸念をされておる。それなるがゆえにこそ、これはいずれあとで問題になると思いますが今度のアメリカ援助農産物の一億ドル受け入れということも、その一つ意味は、一億ドルのいわゆる農産物食糧輸入ドル外貨節約の面が非常に含まっておると思う。片方において食糧でさえも一億ドルくらいの節約をしなければならぬときに、飼料に対してはたして四千五百万ドル経度の外貨がさき得るかどうかという点も大きな疑問であります。それからさらにもう一点は、昨年度の大体の実績から見ましても、また今の海外事情等から見ましても、特に政府輸入計画重点を置いておられるは、ふすまです。ところがふすまは、昨年度一万七千トンの計画に対しまして、年度末にはわずかに約三千三百トンしか入っておらない。トウモロコシにいたしましても、九万五千五百トンの計画に対して、わずかに八千三百トンしか入っておらない。トウモロコシは御承知通りアメリカにたくさんある。ふすまは、政府計画ではインドから入れる、あるいはカナダから入れる、その大半はアメリカから入れるという計画になっておるが、いろいろの価格関係その他を入れて、この四十八万トンの計画通り果して入るかどうか、これに対して、政府はどのような見通しを持ってこの四十八万トンを総合的な見地からお立てになっておるか、これをまず第一にお伺いをいたしたい。
  4. 河野一郎

    河野国務大臣 最初にお尋ねになりました、酪農製品並びに一般畜産製品値段が非常に下っておる、これは御指摘通りでございますが、これについては、時間を略するためにごく簡単に申し上げます。  今までのことは今までのことといたしまして、私といたしましては、第一に豚肉、牛肉、卵、これらに対しては冷凍の奨励をしなければいけないという意味から冷蔵庫を東京、大阪の家畜屠場になるべく建てさせたいという気持で、一部補助金予算に計上してあるわけであります。これをやりますれば、季節的な卵の下落豚肉下落等は、将来ある程度避け得るのじゃないか、むろん十分ではございませんけれども、実はその点を考慮いたしております。  それから酪農製品につきましては、これは申し上げます通りに、予算の面においてはありませんけれども、この原因がアメリカから入って参りまする酪農製品の影響にあることは事実でございます。そういう関係でございますので、今年度以後におきましては、学童給食に対して、国内酪農製品を一部買い上げて、そしてこれを学童給食の方に回すということによって需給数字を合すようにしていきたいということで、学童給食会組織、機構、これらにつきまして、今法案を提出いたしております。その中で、従来は文部大臣の所管になっておりました学童給食会を、今後は農林大臣もこれに対して発言をするということにして、この組織等につきましても万全を期しまして、そしてその間の調整をはかって、ある程度の効用を上げたい、こういうふうに考えておるわけであります。次に本問の飼料につきましては、これは少し率直に、具体的に申し上げてみたいと思います。御指摘の点は、前年度におきましてはそういう経過をたどっておりますが、これもただいまお話の通り、ふすまは、国際的に日本のふすまが高いわけではないのでございまして、外国から持って参ります場合には、予算にも組みました通りに、これについてある程度の差損金を出さなければ所期の目的が達せられないということになっておりますので、ことしはそういう考えから十分に買っていこうということで、売りものがあれば、その差額があまり大きなものは困りますけれども、どんどん買うようにということを指示いたしてありますから、私はこれは相当に買うことができると思います。初めから、たとえばアメリカのものを今持って参りますと、現在の日本価格と大体同様くらいになります。同様くらいの値段ならば、アメリカのものが現在でも入れられます。それからさらになるべく安いものということで、御指摘になりましたインド、イランその他の方面のものに重点を置いて、そして売りものは随時買いあさっていくというような方向でやるように指示いたしておりますから、これはある程度効果を達することができるという確信を実は持っております。ただし一般畜産家が要望されますように、今の値段がようやく七百円台ということで、八百円に近いところにいっておりますが、これを六百円台に下げるということは、これはなかなか困難だと考えます。行く行くはそこまでしなければいかぬと思っておりますけれども、これにつきましては、七百円台のふすまを下げて、すぐ六百円台ということはなかなかむずかしいと思いますが、なるべくそれに近い数字に持っていくように考えたいと思っておるわけであります。なおこれにつきましては、国内産の麦の処理等につきましても十分に施策をいたしまして、そして製粉業者の方も十分抑えて、そして随時その線にいきたい、こういうふうに考えておるのであります。  ふすまにつきましては、御意見はごもっともでございますので、その点は今私が申し上げましたような指導方針によってやっていきたい。決してこれは買い惜しみをするようなことはいたさずに、初めから予算が組んであることでございますから、その予算を十分有効適切に使うように一つ進んでいきたい、こう考えております。  それからトウモロコシのことでございますが、これは非常にめんどうでございまして、どういう点がめんどうかと申しますと、御承知通りトウモロコシアルコール原料として、昨年は切りぼしイモとの関連で、一部アルコール業者相当の量のトウモロコシを入れたのでございます。この入れたトウモロコシを、保税倉庫に入れておきまして、えさの方に売りつないでくるか、アルコール原料として自分が使うかという見通しがつきませんで、これが相当飼料界を気迷いさせたのであります。そういうわけで、政府が入れますと、非常に重圧がかかって参りますので、その点に非常にいろいろの手違いと申しますか、今申し上げますような点がございまして、そのために政府も、国内に入ったトウモロコシの全量の——相当の量が入っておるのでございます。それが今申し上げるように、アルコール原料ともえさ用ともつかずに入っておりまして、それが常に荷もたれの関係になっておるというようなことで、アメリカその他の産地とこちらの値段関係からいたしまして、政府としては多少輸入を手控えたのではないかと私は思うのでございます。そういう事情がございますので、今お示しのような数字になっておりますけれども、この点につきましては、一つ勇敢に買って、持つものは持ち、そうして今まで食管会計の方におきまして、損をして売るということはなるべく避けなければならぬ関係があるものでございますから、一ぺん入れますると、入れた値段に金利、倉敷というものを加算して払い下げをしようといたしますと、それが市価と並行していけない、逆に市価をつり上げるような格好になるものでございますから、そんな点でこのような処置ができなかったと思いますが、ことしはあくまでも飼料価格を引き下げるというような点に立ちまして、勇敢にやらなければいけない、こう考えております。  最後の、ドルの割当があるか。これは今計画を立てております四十何万トンに引き合いますドルは、飼料用として確保いたしておりますから、この点は御心配なくやれるということでございます。
  5. 久保田豊

    久保田(豊)委員 だいぶいろいろ、さすがに飼料専門家だけありまして、大臣の答弁はなかなか適切でございますが、ただ私は、もう一点お伺いいたしたいのは、数量の点について四十八万トン——今度の政府計画によりますと、大体においてふすまを十万六千トン、それから麦類を十二万トン、トウモロコシを十五万四千トン、大豆——丸大豆だと思いますが十万トン、こういう内容になっておるようでございます。これが果して日本畜産農家あるいは酪農家にとって適切かどうかという点は、私はもう一度検討する必要があると思う。なぜかといいますと、まず第一にふすまでありますが、ふすまは一番必要とするものであります。しかしながらこれはやはり価格関係のある問題であります。ところが政府輸入計画で見ても、飼料用の麦、これは主としてマニトバだと思いますが、これはCIFトン当り七十ドルで注文しております。ところがふすまの方はやはりCIFでもって七十三ドルです。特にこの十万六千トンのうちの約半数に当る五万八千トンというものは、大体アメリカカナダから買う計画になっておる。これはどのくらいになっておるかというと、七十六ドル九十三になっております。つまり予算より高いふすまを、なぜ特にこんなによけい入れる必要があるという点は、あとでなお配給面についてのいろいろの問題についてのことはお尋ねをいたしたいと思うが、大局から見て食糧より高いものを特にここによけい入れられる、こういう計画は果して適当かどうかという点が第一点。それからトウモロコシにしましても、これは価格を見ますとCIFで七十七ドル五十セントの大体の予算単価になっておる。これは麦よりもふすまよりもさらに高い。こういうものを大量に特にほとんど大部分米国から入れる計画になっておる。こういう計画は果して適当かどうかという点。それからさらに飼料用丸大豆を大体アメリカから三十九、中共から八、三十九対八という比率で買うということでもって輸入価格予算単価をつけておられる。ところがこの丸大豆を入れることが果して適当かどうか。現実あとでもってさらに詳しく申し上げたいと思うが、飼料用丸大豆が入ってくる。これを需給機関なり配給機関政府から払い下げを受けて、それを要するに製油会社にやって、製油会社は高い製油料を取る。うまいところの汁はほとんど油に吸われてしまって、そしてかすだけが結局飼料に回る。こういうことで高いものを手持ちして非常なマイナスをやっておるように思う。それが果してプラスになっておるかどうかわからぬ。ところが豆かすにいたしましても、国際価格日本よりずっと安いようです。こういう丸大豆を入れることが果して飼料用として適当かどうか。この点丸大豆を入れるよりは、むしろ飼料用とするなら当初から豆かす輸入重点を置いたらどうか。この点がどうもわれわれにはわからぬ。全般として見てアメリカ農産物が一番多いのですからやむを得ないと思うが、全体として見てアメリカ重点主義だ。特に大豆豆かすあるいはその他の問題については、中共との関係は今のような関係ですからおいそれと効果は上らないと思うが、しかしながらこういう点についてもう少し努力してもいいのじゃないか、あるいはトウモロコシや何かにいたしましても、何もアメリカからだけ買わなくても、ほかに市場があるはずだ。戦前は御承知通りインドネシア等相当安いトウモロコシを豊富に日本によこした。こういう点についてほとんど何らの考慮を払われておらないように思われる。この貧乏国にしてこういう計画が果して適当かどうかという点が非常に大きな疑問だと思う。これが将来いよいよ国内に入って配給面に入りましてからいろいろの混乱を起し、あるいは全体の飼料高を持ってくる一つの大きなあれになるのではないかと思う。これらに対して政府はどんなふうなお考えを持っておるのか。私ども考えからいえば、こういうふすまのごときは、むしろもっと安いしかも相当豊富にある原料飼料用の麦を適切に入れて、それを国内において加工いたした方が安くはないか。その方がむしろいいのじゃないか。もちろんこれが今のようにやみでどんどん流れてはしようがない。しようがないが、やみで流れない面だけをとってやれば、その方がもちろん経済になりやしないかということを考える。あとで御質問いたしたいと思うが、丸大豆を入れれば、その丸大豆の大部分というのは御承知通りやみに流れておる。市場には実際問題として回ってこない。こういうように飼料用として入れたものをいかにもやみに流すようなそういう品物を入れる必要がどこにあるか。むしろ安いところの豆かすをなぜ入れないのか。トウモロコシについてもいろいろ問題があるが、全般としてその輸入計画は品種的に見て果して適当かどうかという点が非常に疑問に思われる。これについて政府のお考えを承わりたいと思います。
  6. 河野一郎

    河野国務大臣 えさの中で、今久保田さんの御質問は大体乳牛飼料ということに重点を置いてお考えになっての御質問のようでありますが、養鶏飼料が一番大きなウエートを持っておると私は思うのであります。養鶏飼料考えますときに、トウモロコシというものはどうしても養鶏飼料にはなければならぬものであるということで、これは価格の点は別にいたしましてトウモロコシは買っておるのだ。トウモロコシの買い先につきましては、南方物はまとめたものが実はあまりないようであります。でありますから買うのは民間は南方物を買っておるようであります。一ぱいにまとめたものを買う場合はアメリカか、しいて申せばアルゼンチンから買いますが、アルゼンチン為替等アルゼンチン引き当て為替がございませんので、去年はアルゼンチンから安いものを買いましたが、今年はちょっと困難ではないかという事情で、そういう予算説明書を作ったのではなかろうかと思うのであります。実情はその通りで、今のトウモロコシにつきましては、養鶏飼料として、トウモロコシでなければならぬという関係で入っておる、こういうことも御了承願いたいと思います。  その次に麦の方でありますが、これは麦、マニトバで入れて参りますと、御指摘のごとく、どうしてもふすまの方にやみに流れてしまって、所期通りの第一に数量を獲得するには、ふすまが得られない、やみふすまの方へ行ってしまって……。ふすまで入れてきませんといけない。麦は麦用必要量だけであって、麦を入れてきてふすまに変えればいいじゃないかということになりますと、今言うように、実質的にえさとして回らず、その間に今の大豆大豆かす関係で御指摘になったような、大豆と油の関係になりがちであります。そこでそういう処置をとっておるのだと私は想像しておるのであります。この点につきましては、国際的にふすまの価格がむしろ今の下級の麦よりも高値になっておりますことは、国際価格がそういうふうになっておるのでありまして、それならばマニトバをたくさん買ってきたらどうかというと、えさの方としては、国内ふすまの価格を押えるにはどうしてもふすまで持ってきてこれに引き当てませんと、持って参った麦がふすまにひかれてしまって、ふすまに向く量に比べるとわずかな量で中味の粉の方が抜けてしまいますから、ふすま自体として入れてこないと工合が悪い。ふすま対策にはふすまをもっていたしませんと、麦の方からふすま対策をすると量的にはよほど大きなものを出さなければいけませんし、御承知通り粉が少し売れ方がおそくなりますと、製粉業者はひきません。ひきませんと、先般のように国内では急激にふすま高になってくる。政府としては、ある程度高いことを承知でふすまをもってふすま対策に当らなければならぬということから、ふすまを持つということにしなければならないと私は考えておるのであります。  そこでその次には大豆でございますが、これについては実は丸大豆を十万トンも入れないで、むしろ豆かすで入れたらどうか、その通りでございます。その通りでありますが、これはあまり私の言葉が過ぎるかもしれませんけれどもわが国大豆と油と豆かすの間には非常な値開きがございます。これは議会方面でなかなか反対も強いようでありますから、また自分としても実は差し控えておるのでありますけれども、砂糖と同様に価格差相当にある。でありますから、向うから入れた豆かす大豆をそのままの値段で実は払い下げを今までもしておらないのでございます。これはこちらへ持って来ました大豆払い下げは、価格一ぱいにして払い下げをしておりますことは、資料として出ておりませんかどうか知りませんが、お調べになればおわかりになります通り、私就任いたしましてから後に大豆払い下げを二回ほどさせましたが、これは市中価格をぎりぎりまで高値にして払い下げをしております。そういうふうにして十万トンの大豆輸入して、そうして豆かすと油、大豆関係でこれをなるべく公正なところへ持って参りたいというようなこと、ないしはまたわが国の油の事情から参りまして、必要なだけの油を取るためにどうしても入れなければならぬ大豆を、その中の一部分をさいて飼料用豆かすを確保するというようなことから、実は丸粒の方の数量を多くいたしておるのでございます。そういう関係で国の全体の油資源を確保する意味から必要な大豆量がきまるわけでございます。その必要な資源の大豆量の中から、飼料用としての豆かすを確保するという意味で、逆算して今のそれだけの丸大豆を入り用とするということに数字を立てておるわけでございます。御指摘通り飼料用だけ、飼料政策だけで参れば、確かに大豆よりも豆かすの方が安く入りますから、その通りでけっこうだと思いますが、そういう見地から、油用の大豆ということとからめてやってあるわけでございます。
  7. 久保田豊

    久保田(豊)委員 とうていどうもそんな程度の御答弁では、私には納得がいきません。実はずっと追究するつもりでおりましたが、時間がないのであとにいたしますが、もうあと二点だけお願いします。  次に一つ伺いしたいのは、今の政府輸入飼料に対する価格政策並びに払い下げの方法というものが果して適当かどうか、これは非常に私は問題だと思う。その第一は、私どもが見たところでは今まで政府払い下げ方針というものは、少くとも二つの大きな特徴を持っておった。その一つ食管中心主義、食管に赤字をあけないというのが中心であった。昨年度実績を見ましても、政府の発表したものでも、大体マニトバの五号は買い入れ価格が二万五千四百七十七円、払い下げ価格が三万六百十五円、五千百三十八円の差金を出しておる。マニトバ六号が三千二百八十六円、豪州の小麦は大体において一万五百十六円、トウモロコシが四千百九十九円、それから大豆はどうかというと五千四百六十円、これだけの差額を見ておられる。本年度にいたしましても、政府計画だとなるほど四億五千万円の差額金を見ておられる。しかしそれがどんなに使われるかということを調べてみると——ふすまについてはさっきの御説明では私ども納得いかないけれども、ふすまにおいてはトン当り六千六百四十円の損を、買い入れ価格払い下げ価格の差額金としてこれだけ見ておる。これの差額が七億幾らになりましょう。そうして片方において麦の方はどうかというと、大体三千八百五十六円の差益を見ておる。トウモロコシは四円だけの差損です。大豆は四千三百九十二円のあれを見ておる。これでは差し引きいたしますと、得の方が多い。あとは要するに金利と保管料の一部を、実質においてはこの四億五千万円で穴埋めをするというだけです。しかもこうしてやってふすまを非常に安くする、一応の考え方はけっこうです。しかしながら市場の状況はどうかというと、全体のふすまが市場に出てくるのが七十万トン、その七十万トンに立ち向うのにたった十万トンを操作して、これが何になるか、私はこれだけでもってとてもふすま全体の価格操作はできないと思う。現に標準価格政府は六百五十五円にきめておるところが実際はどうかというと、市場では現在七百二十円前後です。末端へ行けば八百二十円から八百三十円です。政府で統制したところで、中間でみな抜かれて末端の農民一つも安いものを買っておらない、こういう実態です。従ってこういう食管中心の価格の立て方というものは、私どうしても根本的に変える必要があると思う。この点に対する御意見はどうか。少くともこういうふうなやり方では安い飼料は百姓の子に入らない。  それからもう一つは、政府のやり方の払い下げ価格はどうかというと、時価を中心にしてこれに適当なあんばいを加えてやるという、いつでも下値は実際には時価です。ところが時価というのはどうかというと、やみを中心とする穀物商あるいは製粉業者、精麦業者あるいはみそ、しょうゆ業者、そういう連中が飼料用として入れたものをやみで買う、その値段が大体下値になっておる。今まで実況を見ますと……。これでは安くなるはずがないと私どもは思う。時価中心で、食管に損のいかないように、しかもその中間において大きな幅をとる、こういうことでは飼料価格というものは絶対に安くなりっこないと思う、この点に対して、政府はもっと徹底した飼料対策というものを立てる必要があると私は思うのです。この点についての政府のお考えはどうかということを、第二点としてお伺いをしたいと思う。  第三点は、今の配給機構というものはどうか、これももう少し何とかしないことにはどうにもならぬ。御承知通り中央でもって輸入飼料指名入札、競争入札をする団体は八つある、これは全購連あるいは雑連系統、それからあなたが今まで主宰されておった日本飼料、この日本飼料というものは、言うまでもなくえさ業者の団体です。そのえさ業者の団体が加わっておるということも一つは疑問ですが、この点についてはいずれ機会を見ていろいろまたお伺いしたいと思いますが、それは別といたしまして、こういう団体で、しかも飼料需給安定法では、第一次までは政府としていろいろ注文をつけられるけれども、第二次、第三次の取扱い業者のところまで行ったら、幾ら上げたって何も取締りの方法がない、現に食糧庁なりあるいは畜産局は、何らこれに対して取締りをしておらない、ですからいいものはどんどんやみで末端に流れてしまう、こういうことで、実際の農家に必要な飼料というものが安定して入ってくるという機構にはなっておらない。またそれができないような今日の仕組みになっている。中央でせっかく政府がなけなしのドル資金を使ったり、あるいはいろいろの施策を講じて、中央ではある程度飼料が安くなりましても、末端へ行っては飼料価格はちっとも安くならない。なぜ安くならないかというと、中間の業者にみな吸収されて、末端の農家は常に飼料不足であります。その間においてマニトバがまず第一に製粉その他に流れる、豪州の麦は精麦に流れる、トウモロコシは何に流れるかというと、あなたも御承知通り大体しょうちゅうやその他の方に流れる、ふすまや大豆はみそ、しょうゆ屋に流れる、これらに対して適切な手を打っておらない、これは流れないなどといっても詭弁です。なぜかというと、統済新聞を見れば、こういうものの相場が毎日出ておる。政府払い下げの方法によっていつでも市場が変って、流れておる。こういう実情であって、これらに対して抜本的な方法を講じない限り、飼料需給——少くとも農家が望んでおるような比較的安い飼料が安定をして入ってくるということにはならない。これらについては政府としても今のような態勢の上で輸入飼料をよけい入れ、政府差損金を今申しましたように四億五千万円出しても、それによって安い飼料が末端の農家へ安定して好条件で入るという態勢にはとうていならないと思う、これについて詳しくこまかいデータをあげて、実はお尋ねするつもりですが、ところが遺憾ながら時間をとうとう削られておりますので、いずれこれはあらためて詳しく——特に河野さんは飼料については何といっても日本のその方の親方ですから、詳しいことを御存じだと思いますので、これは質問を保留いたしまして、いずれ次の機会に詳しく御返答をお聞きしたいと思います。総体的に非常にいろいろなことを詰めて申しましたので、少し質問の焦点がぼやけましたが、全体として私は、今の食管法をある程度変えなければだめだ、今の飼料行政も根本的にある程度やり直して、その方向というものは、少くとも輸入飼料に関する限り、これは政府犠牲を払ったものが、末端の農家に安定をして恒常的に中間で抜かれないようにして確実に入るという体制をあらゆる面から整えるほかには、今日のいわゆる酪農危機というものをえさの面から打開する方法はないと思う。もちろんそのほかに自給飼料の面もあります。自給飼料の草資源の開発という点についても私は意見がある。今政府がやっておることは必ずしも私はいいと思わない。あれをやっても下手をすれば何にもならぬ、こういう危険がたくさんありますが、時間がありませんからそれらについては申し上げませんが、少くとも政府輸入をして、しかも政府がある程度の犠牲を払ってやった今の飼料のやり方というものを、飼料需給法の一部を含めて私は根本的に変える必要があると思う。それでないと、結局どういうことになるかというと、今のままでいきますれば……。
  8. 綱島正興

    綱島委員長 久保田君簡略にして下さい。
  9. 久保田豊

    久保田(豊)委員 簡単にしますから、もうちょっと待って下さい。  それでなくては、今の状況では、人間が食う麦より高いものを政府犠牲を払って入れて、そしてそれを牛や馬にくれている、あるいは鶏にくれて、しかもその鶏や牛や豚を飼っている連中は経営が成り立たないという態勢にだんだんなりつつある、これが今日の実情だと思う。大きく見てこんなばかな政策というものはないと思いますが、さっき申しましたような三点について、とりあえず時間がありませんから河野大臣の御意見をお伺いしたい。
  10. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘通りでございますが、これが打開策といたしましては何と申しましても足りないという状態にありまする際には、時価で売るということにいたしませんと、配給機構が完全にできておりますれば、むろん御指摘通りに、その配給機構を通じて完全に流して、農家までその通り行くということになるのでございますが、現在の状態においてこれをどういうふうに配給機構を作っていくのが一番いいかということは、農業団体の問題もありましょうし、畜産団体の問題もありましょうし、もしくは業界の方の問題もございましょうし、これにつきましては御指摘の点私は現在の状態で満足しておる、これでよろしいのだと考えておるのではありませんけれども、何といたしましても非常にむずかしい問題でございまして、軽々に手をつけることも、なかなかいろいろな問題がからんで参りますので、つきませんので、実は何とかしなければいかぬと考えつつも今日のままでおるのでございます。従いまして、今後こうやったらどうだ、ああやったらどうだという具体的な御意見がありましたらば、お聞かせを願えば、それについて改革するのに私は決してやぶさかではございません。今の状態でいいと思っておるのではないのでございます。でございますから配給機構について従来もやってみて、たとえば今回のふすまの払い下げにいたしても、全然払い下げがルートに乗って参りません。これは一体どうしたらいいのだというても、いろいろ団体の関係等もありまして、うまく処置がついて参らないというようなことでございます。しからば御説の通りに時価を離れて安いものでやったらどうだといえば、幾ら安いものでやってもやみによけい流れるだけであって所期の目的はなかなか達成できない。でございますから、まず第一に配給機構について整備する、それが完全にできれば、時価を改正して値下げに必要な価格払い下げをするということも、これは必ずしも不可能ではないと私は思いますけれども、どういたしましても、時価を離れて安く払い下げれば中間で消えてますます変なものができるだけであって、私は決して好ましい姿でないと思いますから、当面は時価で払い下げをして量的にふやしていって、そうして時価を下げていくよりほかに方法がないというふうに私は考えておるのであります。でございますから御指摘の点私は決して異存があるのではございません。そういう点について、どうやってみたらどうだという御意見があれば承わって、その方向にいくことに決してやぶさかではございません。どうかどしどし御注意いただきたいと思うのでございます。そういうことで、要はさしあたりは数量をふやして、そうして時価を下げて、なるべく正常なルートで流すということにするよりほかに方法がないものでございますからこの方法をとっておるのでございます。ただし監督はおろそかにしてはいけないということで、監督については十分にやるつもりでございます。なおまた変なことがありましたらば具体的にお示し願いますれば、たとえば現在の払い下げ指名団体にいたしましても、これを除外するというようなことはどしどしやって差しつかえないと考えておりますから、御注意がありましたら遠慮なく御指摘を願いたいと思います。
  11. 綱島正興

    綱島委員長 中村時雄君。
  12. 中村時雄

    ○中村(時)委員 河野農林大臣に引き続き三点お尋ねしたいと思います。その第一は麦価の問題についてであります。本日の新聞を見てみますと、政府は大麦五十二キロ一千四百十円、裸麦六十キロ一千九百八十円、小麦六十キロ一千九百五十円、このような発表をしておりますが、昨年度に比べましてこれは非常に格安になっております。もちろんこれは暫定価格というような表現を使っておりますが、現在余剰農産物、特に綿花、大麦、小麦、米あるいは葉タバコ等の問題がここにでき上りまして、特にそのうちでも麦に対しましては、農村としては非常に大きな関心を寄せている最中なのです。それでこのような麦価のきめ方の基準というものをどこに置いたのか、これを第一点にお聞きしたい。
  13. 河野一郎

    河野国務大臣 たびたび申し上げますように、今年産の麦価の決定は、決して無理してどうしようというようなことは考えておりませんのでこの暫定価格のきめ方は、従来の慣行によって暫定的にやったということでございますから、それは政府委員から一つ
  14. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま御質問の麦価の暫定価格の問題でございますが、これは毎年御承知通り、五月末のパリティによって麦価をきめることになっておりますので、六月中にきめることになっておりまするけれども、やはり六月中旬以降になりがちであります。ところがその前に麦が出回りますので、早く暫定価格なり一定の価格をきめてやりませんと、生産者に対して非常に御無理を申し上げることになりますので、毎年の例といたしまして暫定価格をきめておるわけであります。本年の暫定価格も昨年やりました暫定価格と全く同じ方式によってやったものでありして、すなわち二十九年産の各種類別麦の一番低いところの価格で暫定価格をきめております。すなわち大麦にたいしましても、要するに五等麦が基準で昨年の一番低いところの価格できめてあります。と申しますのは、いずれ価格がきまりました場合に、低い価格できめておきませんと、あとでいろいろ問題を起してもいけませんので、これは毎年の例でございますが、昨年の麦価の一番低いところでとりあえずきめております。麦価が正式にきまり次第、その差額については別途処置するということにいたしております。これは毎年の例によってやっておる次第でございます。中村(時)委員ことしの麦価をきめたのは、例年の通り五月末のパリティ計算に基いてきめたということでございますか。
  15. 河野一郎

    河野国務大臣 そうじゃないのでございまして、麦価の決定は五月末のパリティによって六月中にきめる、それをきめるまでの暫定処置として、昨年の麦の一番安いところの値段で暫定価格をきめておきまして、正式にきまったならば差額を払う、こういうことでございます。
  16. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうすると、この価格は暫定として最も低いところをとったといいますが、それじゃ本価格は大体いつごろきめる予定でございますか。
  17. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま申し上げました通り、五月末のパリティによってきめるのでございますから、五月末のパリティが出ましたらば、遅滞なく決定をいたして米価審議会に諮りまして、そうしてきめる。ただ私かねて申しますように、問題になると思いますことは、大麦、小麦、裸麦の価格差をどういうふうにするかということにいろいろ御意見もあるようでございますから、それらにつきましては十分審議会の意見を尊重いたしましてやるつもりでございます。この値段は要するにパリティの標準によってきめるということで、これについて政治的考慮を加えるというようなことは全然必要がないと私は考えております。
  18. 中村時雄

    ○中村(時)委員 米価審議会にその意見をお聞きになるということはけっこうなのですが、大体の期日はいつごろの目途をもって考えていらっしゃるのですか。
  19. 河野一郎

    河野国務大臣 パリティが出次第やります。大体六月末になるそうでございますが、なるべく早くすることにいたします。
  20. 中村時雄

    ○中村(時)委員 今農林大臣が米価審議会あるいは他の外郭団体の意見を聴取するという言葉を常に吐かれるわけなんです。それはまことにけっこうだと思うのですが、少くとも米価審議会にいろいろな意見を聞くということは、その対比として、自分は大体この程度のものであろうという一つ考え方があって初めて聞けることなんです。全然それもなしに、ただ意見だけ聞きます、聞きますというだけでは、どうにも話の筋が通らない。麦価の本価格は大体どの程度の見込みをもって考えていらっしゃるか。
  21. 河野一郎

    河野国務大臣 前年度やった通りであります。
  22. 中村時雄

    ○中村(時)委員 前年度、前年度と言いますが、私の聞いているのは、そういう審議会やいろいろなところでよく意見を聞かれる、聞かれるというのはけっこうなんですよ。ただしそのけっこうだという前提は、自分一つのものの考え方があって初めて対比されるからけっこうだというのです。だから、あなたがものを考えている内容をどういうところにおかれて、幾らくらいに考えてそれを勘案していこうとされているかを聞いておるのです。
  23. 河野一郎

    河野国務大臣 よくわかりました。私は今の麦の価格の算定方式に従って出たところの数字を、昨年決定に至るまでの経過を私の腹に置いて、そうしてやる。ただ米価審議会の意見を聴しますのは大麦、小麦、裸麦の価格差が妥当でないという意見が大分方々にありますから、これは私の意見よりも各方面の意見を尊重して、十分伺った上でやった方がよかろうということを申しておるのでありまして、決して責任転嫁をするということではございません。また私自身の腹は、麦価を去年より下げてみようとか、去年より思い切って上げてみようという考えは、麦については持っておりません。今昨年のきめ方通りやるといったのはそういうわけでありますから、御了承願います。
  24. 中村時雄

    ○中村(時)委員 では大体の骨子というものを持っていらっしゃるように承わりましたが、それは大体どのくらいな程度にお考えになっていらっしゃいますか。
  25. 河野一郎

    河野国務大臣 それは今申し上げるように、パリティの指数が出なければ出ないのじゃないでしょうかな。
  26. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それでは逆にお聞きしますけれども、パリティの指数が出た結果、たとえば以前においては生産奨励金なんか出ておったわけなんですが、それに対してあなたは取り除くというお考えを持っていらっしゃるわけなんですか。
  27. 河野一郎

    河野国務大臣 そのパリティの指数が出ましたらば、昨年あと加味した条件は、それは加味してくるということでございます。
  28. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それではしつこくお聞きするようですが、昨年度通り加味していくと生産奨励金はやはり出すというお考えなんですか。
  29. 河野一郎

    河野国務大臣 大体そういう見当で考えておるのであります。
  30. 中村時雄

    ○中村(時)委員 二十九年度の麦価は米価審議会の答申に基いてパリティを基礎にしてやったわけなんですが、その際米価審議会から小麦の対比価格として裸麦百分の八、それから大麦を百分の六、こういう答申を行なったはずなんですが、農林大臣はこれも加味して一応麦価の決定に考えていくというお考えを持っていらっしゃるのですか。
  31. 河野一郎

    河野国務大臣 その点大麦、小麦、裸麦についていろいろ意見があるようですから、そういう点を十分意見を尊重してやる、こういうつもりであります。
  32. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それじゃ百分の八、百分の六、この裸麦、大麦に関して、これは農民として最も重大な関心を持っている。この点は加味されるように今の御答弁の中では考えられるわけです。一つそれは数の大小という問題よりも、その点を十分考慮しておそらく答申されるであろうと思いますから、あらかじめお考えを願いたい。
  33. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどから申し上げる通り、その通り答申を尊重してやっていきたい。そのために御意見を承わりたい、こう申しておるのであります。
  34. 中村時雄

    ○中村(時)委員 これは一つの例なんですが、実は愛媛県で食糧事務所長から各農協あてに、今月の十九日までは麦の買付をしばらくとめておいてくれというような通達が出ておる。そのために愛媛県あたりでは、もうすでに四割から俵詰めをやっているわけです。そういたしますと、その間にその間隙を縫って資金の問題と、それから将来の経営という点から、どうしても商人に買いたたかれるというおそれが方々に出てきているわけです。そのために麦価をめぐって非常に混乱を呈している状態です。これはどういう意味食糧事務所長がそういうことの発表をしたのか。あるいはまた、今の本価格のきめ方を、六月の末と農林大臣はおっしゃったが、その以前に、できる限りすみやかにこの本価格のきめ方の設定をやってもらいたい。
  35. 河野一郎

    河野国務大臣 実はただいまお話の点を昨日愛媛県の農業団体の代表の方から承わりました。直ちに取調べをいたしましたところが、少し誤解があったようであります。といいますのは、検査規格の点を今年から変えましたので、その結果、従来の検査規格でやるよりも今度の検査規格でやる方が農家のために有利だ。だから、十九日ごろから新しい検査規格を実族するようになるからというような話の、誤解があったようであります。これについては昨日直ちに、その話を承わりましたから、そういう誤解を一掃するようにしかるべく処置をするように私は命令いたしました。  なお御指摘になりました価格の決定は、御趣旨の通りなるべく早くやることをここで言明しておきます。
  36. 中村時雄

    ○中村(時)委員 今検査の問題が出ましたが、詳しいことはまた別の機会に譲ることにいたしまして、今度の検査のあれを見てみますと、五等麦を大体除くというようなお考えを持っていらっしゃるように承わるわけです。ところが九州において、たとえば長崎にしても福岡にしても、あるいは四国にしても、今度のひょう害等を考えますと、非常に災害が多い。その意味においてこの五等麦を繰り入れるお考えを持っていらっしゃるかどうか。
  37. 河野一郎

    河野国務大臣 これは政府委員から……。ただし一点だけ答えておきます。災害によって麦の質の下ったものにつきましては、便宜必要な処置を考究するということは私から申し上げておきます。その他の点は政府委員からお答えさせます。
  38. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げた通りであります。五等麦の設置の問題だと思いますが、災害地方で特にひどいところがありました場合には、事情を十分お伺いいたしまして措置をとって参りたいと考えております。
  39. 中村時雄

    ○中村(時)委員 もう一つ伺います。災害のいかんによっては五等麦の繰り入れということはお考えなんですか。
  40. 清井正

    ○清井政府委員 災害の状況によっては五等麦設置も考えますということを申し上げたのであります。
  41. 中村時雄

    ○中村(時)委員 去年は六等麦もあったのです。もう一つ乗り越えて六等麦のお考えはどうですか。
  42. 清井正

    ○清井政府委員 実は今年の規格は少しずつ下げまして、大体今年の四等は去年の四等と五等の間より少し下ったくらいになっております。従って、今年の五等は〇・五%くらいしか出ていないのでありまして、従って五等を設置することはあるけれども、災害の状況によっては考えますが、さらに六等ということになりますと、何とも申し上げられないのであります。特に災害のひどい地域については五等の設置については考えております。
  43. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そこまで災害の認識を十分されているのはありがたい。ありがたついでに、五等麦は大体の方向は設置すると考えられる、そこでもう一つ伺いついでに、昨年度もやっているのだから、また河野農林大臣はなるべく昨年度の線はくずしたくないというお考えもあるし、六等麦ということも幅を残して考えておいていただきたいということを申しておるわけです。全然だめなのか、あるいは考慮の余地があるのかということを一点……。
  44. 河野一郎

    河野国務大臣 今長官からお答え申し上げました通り、五等と六等の間が今度五等になるということになるだろうと思うのであります。それは災害の実情によりまして善処いたしますから、一つその辺で御了解を願います。
  45. 川俣清音

    ○川俣委員 この際関連して一点だけお尋ねいたします。大臣はたびたび米価審議会の意見を尊重して価格形成について意見を取り入れるということですが、米価審議会の委員は昨日で任期が切れております。あとの補充をいつやられて、米価決定のためにいつごろ開催される予定ですか。
  46. 河野一郎

    河野国務大臣 お話の通り昨日で任期が切れまして、ただちに手続中であります。ただ今度お願いをするのを農林大臣に切りかえるのは、これは昨日閣議決定をいたしましたから、前後はどうなるかわかりませんが、農林省の一部改正が通りますれば、大臣からということにいたしますが、それを待っておれません事情もありますので、さしあたりは従来通りのことで今手続中であります。手続はそう長くかかるはずはございませんから……。それからもう一つは、一昨日の米価審議会の御意見通りに、米価は従来のように九月ということを待たずして早急にきめろという御意見のようでございますので、私直ちに昨日から米価の決定について閣議の決定を急ぐというこにとして、大体この十五日を目途としてきめていきたい、こういうふうに考えて、今せっかく閣僚との間に懇談中であります。
  47. 川俣清音

    ○川俣委員 きのうの米価審議会は速記をとっておりませんので、報告にも正確を期し得られない点があるわけです。必ずしも早い方がいいということは抽象論としてはそう言えないことはないと思うのでありますが、一面従来の米価審議会の決議等からいたしまして、やはり一定の基準のあるような米価を出すべきだという決議が有効でありますことも御承知だと思うのであります。それは東畑君がどういうことを言ったか知らぬけれども、急げということは予約買付制度をやりたいというところから言っておられるのだと思うのです。米価審議会というものは、必ずしも予約買付制度に縛られておるものでもない。やはり米審としては、価格はいかにあるべきかということを検討するのが米審の任務である。それがただ客観的に今予約買付制度をとるから、従ってこの方がいいだろうということにはなるかもしれないが、米審というものはそういう予約買付制度にとらわれて米価を決定しなければならないということにはならないと思う。この点はどうです。
  48. 河野一郎

    河野国務大臣 私は米価審議会の委員の方々は、いずれもわが国食糧問題に対する各方面の権威の方々のお集りでございますから、これに対して今御指摘のように、これを正式の会議にいたしますと、米価の問題についての議論することも出るでしょうと思いましたから、そこで懇談会の形式をとっていただいたのでございます。そうして各方面の御意見を十分尊重いたしまして、やって参りたいということをかねて申しておったのでございます。でございますから、その中に一部の委員の方々から予約買付制度に反対の意見もいろいろあったようでございますが、これを要するに、予約買付制度をやる以上は、米価の決定を早くやれということが大体の御意向であったということを承わりましたので、そこで私はその御意見を尊重いたしまして、今お示しのように——私はかねて申しましたように、一体九月がいいのか、十月がいいのか、六月がいいのかというような御意見があったということを聞いておりましたので、それを今までのこの委員会においては申し上げたのでございます。しかし米価審議会の懇談会の決定によって私は腹をきめていくということを申しておりましたので、その委員会の懇談会の結果が、大体予約制度をやる以上は早くやらなければならないということのように承わりましたので、今御答弁申し上げましたように、これは六月なるべく早く、中日の十五日を目途として、政府としてはやらなければならないということで、その方向をとっておるというふうにお答え申し上げたのであります。
  49. 川俣清音

    ○川俣委員 そうしますと、米審の意見は大いに尊重してという意味は、きのうで委員会は終っておるので、今後はどの委員会の意見を尊重されるのか。新しくできた委員会が違った決定をしないとも限らない。違った決定をした場合は、どっちの意見を尊重されますか。
  50. 河野一郎

    河野国務大臣 川俣さんから委員会の席でも、委員の顔ぶれは今度違うのか違わないのかというお尋ねがありましたが、大体違いません。決して私委員会のことをここに持ち出すわけではございませんが、顔ぶれが違うのか違わないのかということであったので、大体違いません。今度選ばれて参ります米価審議会の委員の方々には、大体今までの委員の方と同一の方が大多数なるであろうと私は思うのであります。従って同一の人によってお話し合いがあれば、大体同一の方向にいくだろうと考えており。この点はどこまでもその委員会に責任を負わして、委員会がきめたからおれはやったのだということを申すのではないのであります。大体わが国食糧問題の権威のお方がお集まりであり、各党の代表の方方の御意見でありますから、それを十分私の参考として、それによって動くのだ、こう自分できめておるのであります。でありますから、その点は御了解願います。
  51. 川俣清音

    ○川俣委員 ちょっと了解しかねる。あなたが聞こうとするのは、おそらく米価の本来のあり方はどうであるかということを聞かれるという建前においてとらるべきだと思うのです。従ってわれわれもできるだけこういう米審につきましては、政党を離れて、将来米価がいかにあるべきかということを検討していこう。とかくわれわれは国会のような気持で米審を利用することを控えていきたいという考え方から質問しておるのです。そのようにやれということになったら違ってくると思うのです。そこで私は、あまり予約制度にとらわれた、しかも人気がないのにとらわれたやり方はすべきではないのではないかという意見を出しておるのです。おそらく自由党の諸君の意見も、予約買付制度ということを前提に米価の決定ということを考えておられないと思うのです。その点誤解があるのではないかと思って、あえて関連質問をしておるのです。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 米価の決定であれば、その参考とするためには米価審議会を開いて、審議会の正式の御答申を私はちょうだいいたします。しかしそうではないのでありますから、そこで有力なる方々の御会合でございますから、十分皆さんから御意見を吐いていただいて、それを私が参考にした、こういうことでございます。ただし今お話のように、予約制度がいいとか悪いとかいうことは、これは政府がこれでやるということに閣議決定をして、その準備をしておるのでありますから、それでそのよしあしの議論はまた議論として、各党の御意見は各党の御意見としておありのことはもちろんでありますが、しかしあくまで私といたしましては、予約制度を前提として、決して諮問したとか何とかいうことではないのでありまして、フリートーキングを願ったということでありますから、その点は一つそういうふうに御了承願いたいと思います。
  53. 中村時雄

    ○中村(時)委員 第二点として農地の問題を一、二お尋ねいたします。政府は公約に基きまして、農地担保の金融を行うことによって、農地の担保価格を反当り大体二万円当り考えておる、そのくらいにしないと意味をなさぬということになるのですが、そういうように考えると、金額は別といたしまして、政府はその場合に農地法によるところの農地の買い上げ及び売り渡し価格をも当然引き上げるべきだと思うが、これに対してどういうように考えておられるか。
  54. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 担保価格と農地法による農地の買い上げ価格とは一応別に考えております。それぞれ別の見地から検討してみたい、こういうふうに考えております。
  55. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうすると現在の農地価格というものは、今非常に売買が自由にされているような状態になっておりまして、年々非常な値上りになっている。特に土地を併合するという場合が出てきておりますから、これは非常に高価なものとして出てきているのですが、農家統済のガンというものは、農地格価が高くて、農業資本の大部分が土地に還元されている。そこで農業の経営資金の運転が少くなっておったのが昔のガンであった。これがもしもこのような状態で上ってきた場合、再びそういう混乱が起るのではないか。そこで政府としては農地に対する価格の統制を行う意思があるかどうかということを伺いたい。
  56. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 農地の価格については新しい農地法で価格統制をやめました。ただし政府が買い上げる場合には政府が買い上げ価格を政令できめるということにしているので、現在のところ農地の保有限度を農地法できめてありますから、終戦以前の農地に関する統制のなかった時代のように一ところに集中するという心配はありません。しかしそれがお話のように反面、従来は農地を担保にする金融というものが相当大きい農業金融の位置を占めておったのが、農地の保有制限から、担保価値が減っているのであります。それをある程度、農地だけしか信用力のない者に国がめんどうを見て、金融の道をつけようというのが今度提案いたしております自作農維持創設資金融通の趣旨であります。
  57. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうすると、自作農ということになりますと、金融公庫から二十億円ですか出して融資をいたしたといたしましても、たとえばそれに基いて耕作権ということをかりに仮定した場合に、その担保が流れた場合には、その金融公庫が入札のような格好で競売にする、こういうことになっているのですが、もしその場合に自作農を作るという建前からいって、そういうあり方が最も正しいと思われてやっているのでしょうけれども、その金融機構だけにおいてそういうことをせずに、その農地を担保に入れた自作農であるその人間にそのまま耕作権を確保させていくような方法の考え方というものはつかないものでしょうか。
  58. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 今度の場合は自作者が自分の持っている土地を場合によっては担保にして金を借りるという道を考えているのでございます。貸し付けている貸し主がその土地を担保に入れるということは考えておりません。それからまた耕作者が借りている土地を担保に入れるということも考えておりません。従ってそういう問題を考えると非常に複雑な問題になりますので、そこには触れないで、不徹底という感じがありますけれども、自作者がほかに信用力を作る道がないという場合だけを取り上げているのであります。
  59. 中村時雄

    ○中村(時)委員 だから今言ったように、自作者が土地を担保に入れていく。それが流れるということになると、所有耕作権全部を向うにやってしまうわけです。そこで自作農という建前からいって、それを流さないように耕作権だけはあくまでも確保できるという方法は考えられないかということを聞いているのです。
  60. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 現在のところはそこまでは考えておりません。耕作権と今の所有権とは別に担保にするという考えは持っておりません。
  61. 中村時雄

    ○中村(時)委員 この問題は非常にむずかしい問題ですし、また一番重要な問題だろうと思います。この問題はもっともっと深く検討してみたいと思いますが、時間がありませんから、次に譲ることにいたします。  農林大臣一つお尋ねしたい。たとえば先般来問題になっておりました小作料の値上げの問題です。河野農林大臣は自作農を作るということに重点を置くべきだ、こういう話し方をしていらっしゃる。そうすると小作料を上げるということは、小作ということをよりよく認めるという考え方にもなりはしないか、逆から見るとこのように考えられる。これに対してどういうお考えを持っていらっしゃるか。
  62. 河野一郎

    河野国務大臣 小作料の程度によると私は思うのであります。小作料が非常に低過ぎたり高過ぎたりいたしますれば、今御指摘のようなことになると私は思うのであります。
  63. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうすると問題が小作料の値上げの率の問題になるわけです。小作料の値上げの率の問題ということになると、もちろんそれは小作料の率が幾らにするという前提があって大体の考え方が出てくると思う。そこで小作料の率というものをどの程度に考えていらっしゃるか。もうおそらくわかっていらっしゃると思いますが、その概要だけです。
  64. 河野一郎

    河野国務大臣 たびたび申し上げますように、私自身は、これまた委員会に責任転嫁とおっしゃるかもしれませんが、これは一つ正確にデータを出していただいて、そのデータによって考えていかなければならぬと思います。ただし私のここで申し上げ得る点は、そのデータの出方がどういうところに出ても現在の小作料とあまり逸脱したことならば、これは私は政治的にその線まで一ぺんに上げることは正しくない、順を追うていくべきだ。こういうことだけは申し上げることができますが、そのデータを見た上で意見を申し上げます。
  65. 中村時雄

    ○中村(時)委員 事務当局の方にお伺いいたしますけれども、そのデータというものはいつごろできるのか。現にずいぶん時間と費用をかけてまだできてないのか、できているのか。
  66. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 まだ最後の腹をきめるまでのデータは出ておりません。ただいま大臣がお述べになりましたように、今度は米価の算定につきましても生産費主義を採用しようという意見も相当出ておりますので、そうしますとそれとの関連がありますので、最後のデータがまだ出ていないのであります。
  67. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうすると米価の算定方式はいろいろなものがある。それは考え方によっていろいろむずかしい問題が出てくると思いますが、大体米価の決定はいつごろの時期に考えていらっしゃるか。
  68. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、この六月十五日を目途として今せっかく私は努力をしているわけであります。
  69. 中村時雄

    ○中村(時)委員 農地局長お尋ねするが、米価が決定すれば、大体いつごろの時期にこの小作料問題の取り上げ方を確定的なものとするのか。
  70. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 できるだけ早くいたします。
  71. 中村時雄

    ○中村(時)委員 できるだけ早くということは答弁にならない。それは逃げる手です。幅がある。その幅を縮小して一つの線を出されて、そこにおいてみながそれだけの考え方をもって農業経営というものが成り立っていく。米価だってそうです。十五日なら十五日にきめられるその米価によって、これだけの米価だから自分たちはどれだけの力をそこに入れる、そうして自発的な農家経営を行うという一つの新しい考え方を作り出される。そういうようなぼかしたようなものの考え方をしているから農家自身が迷ってくるわけです。だから、できるだけでなくして、大体自分の胸算用というものがあるわけでしょう。
  72. 河野一郎

    河野国務大臣 お考え通りと思います。中村さんのお話の御趣旨はその通りですが、しかしおのずから常識がございまして、米価についても今私はこれは早くきめなければいかぬということにしております。早くきめます。しかしこれについても従来からといえども、九月にきめたらいいということで九月にきめまして大体やってきているのでありまして、植付のときにきめた方がいいという意見もありますし、またある程度豊凶がついてからきめた方がいいという意見もあります。しかし植えるときにことしの米価がどうなるかということは、やはり常識でありますから見当つけてやっていると思うのであります。小作料につきましても今申し上げますように、常識を逸脱したどういう数字が出ても決して私はそれを取りません。順を追うて修正すべきものであります。こう申し上げているのでありまして、これがとっぴなところにいくという不安を農家に与えるということはよろしくありませんから、大体第三者の意見によってデータを出しますけれども、政治的に逸脱するようなことにはならない、こういうところで小作者の諸君に安心感を持っていただきたいと思うのであります。しかしさればというていつまでも延ばすというのでは私はないのでありまして、これもなるべく早くやるようにいたします。
  73. 中村時雄

    ○中村(時)委員 常識をはずれぬと言うが、私がまるで常識がはずれているように聞えるが、私は逆に、農林大臣の方が常識がはずれているからこういうことになっていると思う。それは問題の考え方の基礎の違いかもしれませんが、そこの問題は、今言ったように期日をある程度の幅を持たせて、ただ善処しますとかそういうことではなくて、ほんとうに検討して、大体この時期にはできるのではないかというふうな方向を確定すれば農家自身の一つ考え方なり、あるいは今後どうしていくなり、そういう一つの基準が立つ、一つの最も重大な問題だと思う。そういう意味において私は尋ねているのであって、何も常識を逸脱していると自分考えておらぬつもりなんです。米価の問題もそうです。その考え方の基準に基いて、米価を早く算定するならば、少くともそれに基いて農家の方が、たとえば五月一ぱいにでもきめていただければ、おっつけすぐに麦価の問題の解決方向考えられる。そういう混乱も起らないだろう。そういうことにしていくところに、農家自身の自主的な一つ農業経営の形が出てくる、こういうふうに考えられる意味において、私は言っているのです。
  74. 河野一郎

    河野国務大臣 こういうことで御了承願います。今の小作料の結論は、今ここですぐに大体いつということの御答弁がしかねますから、いずれ次の機会までによく事務当局の方面を調べまして、進行状態も調査いたしまして、大体私の目標をきめて次の機会に申し上げることで、一つ御了承願います。
  75. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そういうことで、往往にして起りやすいのですけれども、よく督励をして、そういう質問のいらないように、一つ斬新な、常識のある頭を持っていらっしゃる農林大臣から、よく今後注意してもらいたいと思う。  第三点に、食管制度について一、二お尋ねしたい。先般足鹿委員から食管法の第三条第二項の問題についていろいろ討議があったが、どうも私は頭が悪いせいかはっきりわからない。河野農林大臣は頭がいいからよくおわかりだろうと思うのですけれども、この問題に関して河野農林大臣は、第三条第一項に対しましては眠らせておくのだ、また清井食管長官はこういうようにおっしゃった、予約をされていった数量を命令に定むるところの義務供出とみなすと言った。これは二つの大きな食い違いなんです。その問題に関してどのようなお考えを持っていらっしゃるか。これは非常に大事な問題なんです。
  76. 河野一郎

    河野国務大臣 私の従来申し上げておりました点が、言葉が足りませんので、これは事務的に明瞭に食管長官から答弁したのでございます。
  77. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうするとまた話がもとへ戻ってこなければならぬ。今度の新制度は、生産者の自主的売り渡しを集荷業者の協力によって促進することを基調とし、地方行政庁関係農業機関がこれに全面的に協力する態勢である、こういうふうに説明している。ところが食管法の第三条第一項はそのまま置いておく、このようになっている。そのまま置いておくというような場合に、これを考えた場合には、片一方の新制度では売り渡しは自主的売り渡しとなって現われている。片方では命令によるところの、義務によるところの供出、こうなっている。その権利義務の履行として法律というものがあるわけです。そういうふうな条件でここに二つのものが出てきたわけです。ところが片一方の命令の定むるというところを考えていった場合、これによって在来政令というものが出ておってちゃんとなっておる。ところが今度は権利義務を変えるのですから、すなわち義務の売り渡しというものを自主的なものにしているのですから、少くとも法的根拠に基かなくてはならぬのではないかという考え方になってくると私は思うのですが、河野さんはどういうふうにお考えですか。
  78. 河野一郎

    河野国務大臣 それは先般食糧庁長官から御説明申し上げました通りに、第一段階におきましては自主的に、権利義務の関係でなしに、双方合意の上話を進めていく、それができ上ったところでもって形式的に次の段階で今の食管法の第三条第一項の裏づけをしておく、こういうことでございます。
  79. 中村時雄

    ○中村(時)委員 だから実質的には、それを飛躍すると、河野農林大臣は一段階くらい飛んでしまう。この食管法は眠っておると同じだ、こういうふうに答弁になるわけですが、そうすると今度この食管法の解釈自体が違ってくる。食管法の第三条第二項は、「米穀ノ生産者ハ命令ノ定ムル所ニ依り其ノ生産シタル米穀ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」こうなっておる。そういたしますと、片方は今言ったように権利義務を履行する。法律というものはそうなんです。片方においては今言ったように政令でもってこの権利義務の本質を改めてしまうという行き方になっておる。片方は命令による義務の供出なんです。片方は自主的な供出なんです。そうすると数の上においては自由になっておる。片方は数の上においても自由にならない。そうすると少くともその本質が全然ぐらっと変ってしまっておる。変るとすれば、権利義務を履行する法律が、当然ここで食管法の一部改正になるか、あるいは別の法律を作るか、何らかの方法によらなければ、政令で法律を切りかえるということはでき得ないものである、このように私は思う。それを農林大臣に博学なところを一つ伺いたい。
  80. 河野一郎

    河野国務大臣 私がかねて申し上げております通りに、協同組合の精神によって、そして政府の命令によらずして、政府と農家との間の完全な合意によって所期の目的を達成するということにありまするから、そこで今言いますように、その目的が達成せられた限界において切りかえて裏づけをしていく、こういうふうに考えるのであります。なお今中村さんのお尋ねの点の法律関係につきましては、政府委員から答弁をいたします。
  81. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま中村委員の御質問の点でありますが、これはただいま御指摘通り、三条一項の「命令ヲ以テ定ムルモノ」というところで、その命令の内容といたしまして、毎年実は今の政令を出しておったのであります。その政令が供出に関係する政令でありまして、ただいまありますのは、今までの制度によってずっといたして参りました、政府が知事に割当をいたして、知事が市町村長に割当をいたして、市町村長が個人に割当をいたすという割当の政令であります。それが政府に売り渡すべき米穀に関する政令ということで毎年実は出しておったのです。毎年々々この政令の内容が変ってきておったわけであります。そういうことで法律は三条一項で、「命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府二売渡スベシ」ということで、命令をもって政府に売り渡すべきものの内容を政令できめておったのです。その政令の内容が今度変ることになるわけであります。法律的に申しますと、今までの政令はただいま申し上げた通り割当でずっときておって、個人まで割当をしてきておる。上から割り当てたものが三条一項の命令をもって定めたもの、そこで法律と関連を持ってきたわけであります。それが今度、その政令の内容がさきに申し上げたような、生産者が自己の発意によって申し込んだものが第三条一項の法律の命令を受けたものだということでもって、政令と法律のつながりをつけるのであります。法律形式で申しますれば、ただいまの政令で書いたと同じようなことで、内容が変って、法律形式は同じものである。こういうふうに申し上げておるわけであります。
  82. 中村時雄

    ○中村(時)委員 清井さんと大臣とにお尋ねするわけですが、今おっしゃっておることは私はどうしても納得がいかない。あなたは頭がよいから納得がいっておるかもしれないが、よく納得がいくように御説明してもらいたい。というのは、政令によって伝々ということは、この内容が変わるとおっしゃっておる。それはたとえば、執行機関として県庁なりあるいは市長村長にまかしていったときには、その政令の内容を変えることによって事は済むのです。ところが今度は実際本質的に権利義務が変ってきておる。あと今度は県知事なりあるいは市町村長に、それだけの権利もなければ、それを援助するだけの方法はありません。しかも法的根拠の上からいったら、各農業団体においても、一つも法的の責任はないわけです。そういたしますと、今言った本質的な権利義務が変るのです。法律というものに基いたこの権利義務が変るならば、政令によって命令の伝々ということは、これを切りかえることができるかどうかということは、大きな問題です。あなたはそれができるという確信を持っていらっしゃるんですか。
  83. 清井正

    ○清井政府委員 中村委員のお話でございますが、私はできると思ってこういうように考えたのであります。
  84. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して。これは自治庁でお調べになるとわかると思いますが、今までは政令並びに法律に基く行為でありましたために、県が行政の補助機関として予算を組んでおったのでありますが、今度は——これは各県によって非常に膨大な費用を使っておる。これは法律及び政令に基く補助機関としての義務でありますために、おそらく県会がこれを議決していると思う。今度は任意供出のような形をとって、しかも責任者が農協だということになりますると、県はただ協力するだけです。行政末端機関としての、補助機関としての任務を離れるわけです。今まで各町村とも、私どもの推定によりますると、大体平均三千円くらいかかっているのです。行政末端事務の遂行のために、補助機関としての費用を大体三千円程度出している。これを今度はその法律が変るということによりまして、この義務がなくなってきますると、大へんな負担ですよ。おそらく食管の中でこれを見るというようなこともないでしょう。ないばかりでなく、法律上これは非常に疑義の多い点なんです。それをあなたは簡単に答弁されていますけれども、どうなんですか。自治庁の見解と農林省の見解とは明らかに異なりますよ。
  85. 清井正

    ○清井政府委員 この地方の知事なり市町村長なりの今度の立場でございますが、これは確かに一点は川俣委員のおっしゃったようなところがあるのでございます。事実その通り、そこが今度変った根本でもあるわけであります。今までは、この政令に書いてあります通り、供出の割当ということでずっと参っておったのでありますが、その点を今度は改革すべきかというところで、この自主的な売り渡しということで、生産者の自主的な申し込みをもととしてやるように切りかえたのであります。しかしながらこれは、法律的に申し上げれば、個々の生産者が義務者でございまするけれども、従ってまた直接は集荷業者が、政府の集荷予定量に対して極力集荷に努力するわけでございますけれども、決して県知事なり市町村長が全然無責任であるということはあり得ないと思います。今度の割当については、法律上の責任は形式的には確かにございません。しかし今度は、御承知通り配給をいたさなければなりませんので、県といたしましても配給しなければならぬ行政的な義務があるわけであります。また県の中の単協と申しますか指定集荷業者が一定の指示数量に基きまして集荷をしなければならぬということになりますれば、その県内の集荷業者が一定の数量を集めるということに対しまして、できるだけ指示監督しなければならぬという行政上の義務があるのではないかと思います。ただ今までのような法律的な、表面に出てくる問題ではなくて、あくまでも集荷業者の活動を強力にするという立場でございますけれども、責任がないということはないと私は思います。従って今度の場合におきましても——ただ今までの政令の内容は、供出の割当を政令でやったのでありますけれども、今度は本人が政府に売り渡しを申し込む、その申し込んだものが三条一項の命令でございます。これは政令をもってその内容を変えるのでありまして、今川俣委員のおっしゃったことは、御議論としてはわかるのでありますけれども、政令で本質的に法律変えるという議論とは違うのであります。私はそういうふうに考えております。
  86. 中村時雄

    ○中村(時)委員 今あなたは簡単に言っているけれども、ほんとうに大きな問題なんですよ。というのは、今までの先例を見ても、そういう先例がありますか。あなたのおっしゃるように、執行機関として、政令、よってその内容を変えることはけっこうです。それは今言ったように、権利義務の履行をやっているのだ。ところがそうじゃなくて、本質が変ってきた場合に、権利義務の履行が変ってくるわけです。そういう場合に、政令をもってその法律を変えるというような行き方が在来ありましたか。
  87. 清井正

    ○清井政府委員 在来と申しまするけれども、政令というのはむろん法律の範囲内できめるべきであります。法律を逸脱して政令がきめられないことは御承知通りであります。しかし法律は、この第一条に、食糧管理法の目的が書いてあります。目的と異ならない範囲内ならば、政令をもってやれる。この限界はおのずからきまっておると思います。食糧管理法の第一条の目的はそこにあるわけでありますから、食糧管理法の目的を達成するための一つの方法として、今までは供出割当でやっておったのでありますが、今度は供出割当でなく、自主的な生産者の売り渡しの申し込みを三条一項の義務にしようということにいたしたのであります。三条一項に、「命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」ということにしてあるわけでありますから、今私が申し上げましたことを政令でもって書くということは、少しも差しつかえないのじゃないかと考えております。
  88. 中村時雄

    ○中村(時)委員 その命令という問題でありますが、命令というものが本質的に変ってくるわけであります。命令ではないのです。そうでしょう。今度は自主的な方法によってこれを扱っておる。在来ならば命令に基くのですから、政令の内容を変革することは当然かまいません。ところが今度は命令によって云々ということはないのです。だから、たとえばそういう内容を切りかえる場合においても、私が先例があるかと言っても、その点には答弁がないのですが、その先例はあるのですよ。これはあなたどういうふうにお考えになりますか、先例はないと思いますか。
  89. 清井正

    ○清井政府委員 先例につきましては、私も調べておりませんので、ちょっとはっきりしたお答えはいたしかねますが、しかし精神といたしまして、食糧管理法第一条がありますし、食糧管理法をこのまま持続していくわけでありますが、食糧管理法第一条の目的を達成するために必要な政令でありますれば、命令の中で書き得るということは法律上当然だと思います。その政令の内容において、ただいまおっしゃる通りのことを書くわけであります。この制度というものは、自主的に売り渡しをしたものを三条一項の法律上の義務にするのだという、こういう制度でありますから、制度自体は法律の一条の精神に照らしまして、ちっとももとらないと考えますので、私は法律上妥当である、こう考えるのであります。
  90. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなたのおっしゃることは、くどくど言っておるけれども、その内容はよくわかるのです。政令によって内容を変えていっても、今までの義務供出割当を命令によって云云する場合にはけっこうです。しかし今言った命令も、法律の本質が変る、すなわち権利義務の履行というものが変ってくる。そうすると、法律の建前からいって、権利義務を変える場合には別途の法律を作るなり、あるいはここのところを削除して何らかの別途の方法によるなり、そういうふうにしなければならない。たとえば、以前事前割当を初めて作ったときにはどうであったか。事前割当を初めてやるときには、食糧確保臨時措置法というものを——食糧の事前割当を行うというその行為のみにおいても臨時措置法というものを作ってやったわけです。それを今度はこれだけの大きな変革をしようとするのに、ネコババをきめようとする。そういう、政令によって法律の根源を侵していくということはでき得ないと私は思う。  そこで農林大臣お尋ねしたいのですが、農林大臣は、食管長官にこの問題が移って知らぬ顔をしておられるようですが、農林大臣は一体これをどう考えられますか。
  91. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、今食管長官の申しましたように、この点につきましては十分研究いたしまして、その食管長官がお答え申し上げておる点でよろしいという認定のもとに、この処置をとっておるわけでございます。
  92. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それでは農林大臣は、何も事務当局に答弁さす必要はない。あなたはよく御存じのはずです。そうしますと、農林大臣は、立法府の性格からいって、少くとも政令でもって法律を変革することができるというお考えを持っておられるのかどうか。
  93. 河野一郎

    河野国務大臣 私は不敏にして、そういうむずかしい法律論になりますとわかりませんから、そこで……。     〔中村(時)委員「よくわかっておるじゃないか」と呼ぶ〕
  94. 河野一郎

    河野国務大臣 わかってないのです。わかっておりませんから、それを説明を聞きまして、これでよろしいという認定を下してこのままいったのでありますから、中村委員のよく納得のいくようにいたしますためには、政府委員をして答弁せしめる方が妥当であると考えて、お許しを願って、政府委員から答弁させておるのでございますから、どうかさよう御承知を願います。
  95. 石坂繁

    ○石坂委員 関連質問。ただいまの中村委員との間の質疑応答は、立法上の非常に重大なる点に触れておると思いますので、私はいずれ他日あらためて御質問いたしたいと思いますが、関連して簡単に質疑をいたしたいと思います。  私の考えをもっていたしますれば、従来の割当供出制度の時代と、今度新たに予約売り渡し制を施行しようとする場合においても、食管法第三条は依然として存続しておる、こう解釈してよろしゅうございますね。
  96. 清井正

    ○清井政府委員 その通りです。
  97. 石坂繁

    ○石坂委員 そこで従来の割当供出制度の場合においでは、生産者が政府以外の者に売ってはならないという議論はその通りでありますが、義務を生ずる場合は、割当を受けた場合は、割当を受けて初めて生産者が割当の数量政府に売り渡す義務が生じた、従いましてその義務を履行しなかった場合においていろいろの制裁を受けておったのであります。しかるに今回割当供出制度を改めまして、いわゆる予約売り渡し制度に改めようとするのであるが、この場合に生産者の義務はいつ生ずるかということになると、予約に基いたいわゆる売り渡し契約が成立した場合に生産者の義務が生じてくると思います。従いましてその場合においては政府に売り渡すという義務が生じて参りますから、今の食管法第三条をそのままにして、今度の売り渡し制度を政令をもってきめても私は立法上一向さしつかえない、こういう見解を持っておるのですが、これに対する長官の見解を一つ伺いたい。
  98. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまの御意見はきわめてごもっともな御意見と思いますが、私ども考えておりますのは、ただいまは政府に売り渡すこの三条一項の義務と、それから政府が売買をいたす場合と法律的には一応別になっております。売買契約というのがございますが、これに基いたものが三条一項の義務になっておるのです。両方の性格を売買契約に持たせておる、こういうことにいたしております。ただいまの石坂委員の御意見と同じ意見であります。
  99. 松山義雄

    ○松山委員 関連して、予約の申し込みをした場合に、その点について義務を生ずる、しかし予約を申し込まなかった残りについてはどういうことになりますか。
  100. 清井正

    ○清井政府委員 本法を改正いたしませんので、売ろうと思いますれば政府以外には売れないのであります。
  101. 松山義雄

    ○松山委員 政府以外に売れないことはわかっておりますが、そうすると政府は予約を申し込んだ部分だけについて大体買い入れて、その予約以外に相当ある分については強権発動その他はしない方針なんですか。
  102. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまお話がございましたが、今度の制度によりまして全国の集荷予定というものは、配給を維持することになりますから当然必要があるわけであります。従って私どもといたしましては、本制度によりましては、生産者の申し込みを集荷予定数量を最低限度といたしまして、できるだけよけい集めたいというところに本制度の最初の眼目があるわけであります。従って私どもといたしましては、生産者が本制度によって政府に対して売り渡しを申し込み、しかも申し込みました売り渡しによって実際に米穀の売り渡しを履行することを促進するために、先ほど来お話のありました米価の問題であるとかその他のいろいろな経済的な利益を生ぜしめるようなことを考えておるわけでありますが、私どもといたしましては、生産者をして適正な米価をきめまして、できるだけその適正な米価のもとによけい多くの売り渡し申し込みをとりまして、もって配給を維持できるようにという考え方で行くつもりであります。私たちといたしましては、生産が自分の作況の将来の見通しをつけつつ、できるだけ多く政府に対して売り渡し申し込みをして、この制度を実施する、こういう建前であります。
  103. 松山義雄

    ○松山委員 政府は現在の内地米の集荷を——大体現在の配給は八日でございますから、申し込みが八日に満たないような場合は、現在の配給制度は維持できません。そうすると申し込み以外の生産の分については強権を発動される意思があるのかないのかという点をお聞きしたい。
  104. 河野一郎

    河野国務大臣 強権発動ということは私は考えたくないのであります。もっと積極的に、従来の供出割当制度を農村の自覚によりまして自発的に協力していただこうというような点を高揚して参りたいというふうに考えております。しかもこれはかねて御承知通りに、今度の制度にいたすにつきましては、各方面の御意見を十分尊重いたしまして、そうして従来の制度は現在の時勢には適さぬという農村方面の強い御要望もありましたので、こういうふうに変えたのでありまして、こういういうことは政府の一方的意思によって決してできるものでもありませんし、また変え得るわけのものでもないわけでありますから、われわれといたしましては、そういう強権発動によって取り上げるというような従来の供出割当制度の時代のことを少々前進いたしまして、農家の自覚と積極的な御協力に期待いたしましてこの制度に移行して参るというふうな考え方をいたしております。
  105. 中村時雄

    ○中村(時)委員 具体的にお尋ねいたしますか、一反歩から一石出して残りは出さなかったということになった場合に、河野農林大臣は道徳的観念の上に立って出してもらいたいと言われるが、しかし現実にはそういう問題が起らぬとも限らぬ。もしもそういうことが起った場合にどういう処置をとられるか。
  106. 河野一郎

    河野国務大臣 私は従来の供出別当制度の際でも、供出をしないという人があれば強権を発動しなければならぬはずでありますけれども、全国の農民諸君に、そういう場合に供出をしないといって、相当な納得のできる理由なしに供出を拒まれた人はないと思うのであります。そういうことから今のような場合は、大体現在の時局においてはないというふうに私は考えております。またその場合には積極的に協同精神によって各村の協同組合の活動によってそういうことをなからしめるように御協力願いたい、こう考えております。
  107. 中村時雄

    ○中村(時)委員 一般の強権をもってそういう発動をやろうとした場合においてすら、やはりその供出割当を行わなかった者も事実においてはあるのです。まして今度は任意にということになりましたら、米価の価格の問題、あるいは制度の問題、あるいはまた配給の問題、集荷の問題——私の言っておるのは序の口なんですが、そういう問題がたくさん出てくるわけです。その一つ一つはいずれあとから十分検討してみたいですが、こうした場合に問題になるのは一つなんです。今言ったように、ほんとうに納めなかった場合にどういう処置をとるか。納得してもいけない。どうしても納めない場合に、あなたは絶対強権発動をやめないという考え方を持っていらっしゃるのか、あるいは時と場合によっては、最後にはどうにもならないからやるという考え方を持っていらっしゃるのか。
  108. 河野一郎

    河野国務大臣 私は従来の本法の運用と同様な精神で運用して参りたい。そういう場合は想像したくないのであります。こういうことは言葉が過ぎるかもしれませんが、そこはどこまでも理解と納得によって協力を願うようにやってもらいたい。こう思うのであります。
  109. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私が言っておるのは、仮定を立てて言っておるのではない。過去の実績のことを言っておる、そういう場合があったのです。その場合に農林大臣は、仮定を立ててそうはやりたくないという一つの夢はけっこうでありますが、しかし現実にそこまで来た場合にはどうなるかということなんです。それは非常に大きな問題になってくる。
  110. 河野一郎

    河野国務大臣 私は強権発動をした例がないと思ったら、あるそうでありますが、そういう場合は例外中の例外でありまして、全国の農民諸君に今この席から強権発動する場合もあるというようなことは答弁したくない。これは従来の実績によって、だれが見ても非常に悪質だと思われるような場合にはともかくといたしまして、とにかく農民諸君が協同組合精神にのっとって自発的にこの制度に御協力願うということで、理解と協力によっていきたい。ただしかねて申しますように、米価の決定でありますとかその他の条件につきましては、政府もまたこれに対応して最善の努力をして参らなければならぬということは申し上げるまでもないことだと思います。
  111. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっと待ってください、割当時間が関連質問の七分間を引いてもあと二二分余りしかございませんから、そのおつもりでどうぞ。
  112. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それでは河野農林大臣お尋ねします。たとえば今まで、あなたはそういう例外中の例外だと言いますけれども、実際は例外というものはたくさんある。なぜならばやみ米が一千万石現われてきておる。また供出制度の割当数量が以前よりもはるかに下回っている。その実績はおわかりでしょう。昭和二十七年産米は豊作を唱えながらもその集荷量は二千八百万石、そうしてその二千八百万石が二千二百九十一万石に下り、遂には供出完了後の自由販売ということで特別集荷制度が実施せられた。二十八年度産米は五千四百九十二万石、平年作の八四%、そういう凶作になって再び統制割当を行なってきた。そうしてあらためて今度はその当時の吉田内閣というものは食糧対策協議会を設置して、その結果同協議会は予約制度を答申した。しかしながらその時期が七月であったために時期がおそく、もう一度供出制度を繰り返さなければならぬという状況になった。そうして一千七百六十万石の割当、集荷見込み二千二百五十万石、財政負担が百五十五億円ということになって、ここに再び食管制度の問題が起った。このような経過から見て、今の集荷制度が再び盛り上ってきているということはどういうことかといったら、今言ったように割当をしても出てこない。そこで割当をある程度少くし、少くしていった結果がやみ米が一千万石から出てきた。こういう結果がきているのです。だからやみ米一千万石というものは、そこへ吸収しようとしていらっしゃるが、供出の強権をもってした場合でもそういう状況が出てきている。一千万石のやみ米が出ている。この一千万石というものはほんとうの供出割当が十分にできなかったということと、そうして今言ったように、逆に言えばこれが強権発動をしなければならぬという一つの米の集荷であったに違いない。そういう状態がここに実際に出ている。だから任意制度にした場合、たとえば米価が要求通りいかなかったならば、おそらく供出という割当なくしては、今言った任意的な一つの供出の考え方に対してもいろいろな錯誤が出てくると今から予想される。予想される場合に、予定通り集まらなかったらどうなるか。これに対してあなたは、今言ったように仮想をしてそういうことのないようにという一つのきれいな夢を持っていらっしゃる。現実は今言ったように、価格の観点の上からいってそういうきれいな夢を破るかもしれない。そういう場合に強権発動をするかせぬか。これを行うことになれば食管法を生かしていくことになる。食管法を生かしてこれを行うということになれば、今言った命令に定めるところ云々ということを生かしてけっこうです。あなたがあくまでもそれはやらないということになって、任意ということがやはり全般のほんとうの主体ということになれば、この命令に定めるという法文の条項は当然変えるか、あるいは別の法律を作ってこれを施行していくか。そういう方向になるのではないかと考えられる。だからそういう意味予算委員会であなたにお尋ねしたときに、あなたはそういう考えがあるからこそ、たとえば別の法律を作ってもよろしい、こういうお答えがあったのだと思う。その点もう一ぺんお考え伺いたい。
  113. 河野一郎

    河野国務大臣 だんだんのお話でございますけれども政府が現在の配給量を維持して参りますには、やみ米を一切なくさなければいけないという数字でないことは御承知通りであります。前年の平年作に近い数字の収穫でございますれば、今お話のように一千万石であったか、五百万石であったか知りませんけれども、ある程度のやみ米が流れた、これも事実でございます。そのやみ米を今度の制度によって大量吸収しなければ配給の維持ができず、輸入量を非常にふやさなければいかぬかどうかということになりますと、私はそういうことではないと思います。ここにあらためて従来の供出割当制度を予約集荷制度に変えていく、そうして農家にこの精神を高揚してやっていくということでありまして、全部すみからすみまで取り上げなければ日本食糧はどうにもならないのだという時代とは時代は小々違っておるのでございます。今お話の通り、強権発動をしなければいかぬのじゃないかということは、そういう点でやみ米を一切なくするということにするにはそういうことを考えなければならぬかもしれませんけれども、しかし決して私はやみは奨励はいたしません、いたしませんけれども、そこまで突き詰めて、ここでお話しを願いますと、何か話が結論が出ないようになるかもしれませんけれども従来の程度の二千三百五十万石を目途としてやっておるのでありますから、そういうことにすれば今年平年作であれば二千三百五十万石の集荷を得て、これによって従来の配給量をやっていくには足りるのであります。でございますから、この程度の予定で、より以上効果が上ればけっこうでありますが、そういうことになりません以上はこの程度でいけるのじゃないか、こう考えておるのであります。
  114. 中村時雄

    ○中村(時)委員 最後に一点だけ河野農林大臣に承わりたい。今のような、たとえばやみをそれほど重要視しないという考え方を持つたならば、米価という問題の設定に基いて出す出さぬということは大きく集荷の問題に影響が出てくると思います。やはり今言ったやみ米を一応なくしていくだけの気魄とそれだけの必要性を高度にとっておってこそ一つ方向の確立ができるのじゃないか。にもかかわらず河野農林大臣は、安易の考え方をもってそういう方法をとった。そのときの責任は農業団体におっかぶせるか、あるいはあなたが代々主張されておるように、これがいけなかったら、ざま見ろということになって、ついには統制撤廃ということになる。そういう危惧を抱かせるような言動になってくる。実は時間がありませんから、あと配給問題、価格問題、そういう問題をやりたいのですが、まだ序の口でありますから、そういうことを十分お含みの上、最後にこの一点だけお答え願いたい。
  115. 河野一郎

    河野国務大臣 私は先ほど申し上げましたように、やみを認めて、これを決してなおざりにしておこうという気持はありません。しかしこれには程度がございますので、やみはどこまでいってもやみでございますから、米価を一体どこまで上げたらやみはなくなるかというと、相当上げなければなくなることはないと思います。やみやみでありますから、きめた値段より上のやみ値が出てくる。これは三十日配給をしない限りはやみがあるのは自然の理で出てくるのだろうかと思うのであります。しかしそれは消費者の関係で、非常に米価が高くなり、配給価格が高くなれば別でございますけれども、そうでなければ米価は上げれば上げた以上のやみ価格が出てくるということでありまして、決してそれは全然なくなるわけにいかないだろうと思います。これは程度でございまして、これは議論の根拠にならないと思います。決して今お話のように、そういうことだから米価のきめ方をなおざりにするということは考えておりませんのでこれは一つ御理解を願いたいと思います。
  116. 綱島正興

    綱島委員長 大野市郎君。
  117. 大野市郎

    ○大野(市)委員 私は現下のわが国の状況からいたしましていかに輸出が重要であるかということ、これはもう理の当然なのでございます。そこでこのわれわれの農林委員会におきましてこの農林帝水産物の輸出に対して、これは全わが国の輸出量の中でいかほどの比率を占めておるものでありますか。この点についてまず伺いたい。
  118. 河野一郎

    河野国務大臣 事務当局から説明させます。
  119. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 約二割であります。
  120. 大野市郎

    ○大野(市)委員 約二割を占めるということは、これはさらにわれわれとしては増加を願いたいのでありますが、しからばその増加に対して当局はいかなる決意を持たれるか、並びにわれわれ担当委員会の所属輸出物に対する振興策の本予算案に盛られた内容を御説明願いたい。
  121. 河野一郎

    河野国務大臣 第一は蚕糸の点であります。これは現在の生糸の価格を安定し、さらに国内におきましては養蚕業の振興、すなわち繭の値段の安定につきましても十分考慮いたしまして、これを大いに盛んにして輸出をふやして参りたいと考えておるのであります。
  122. 大野市郎

    ○大野(市)委員 お話中ですが、時間を急ぎますので項目だけでけっこうです。
  123. 河野一郎

    河野国務大臣 蚕糸、水産でございます。輸出振興費は、今事務局から説明させます。
  124. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 農林水産物の輸出振興費につきましては、生糸につきまして中央蚕糸協会に対しまして農林省から五千万円、通産省から二千万円。これはニューヨークにおきます同協会の事務所の販路開拓費、宣伝費、国際繭業協会等と連繋をとりました活動費でございます。  なおその他の農林水産物につきましては、本年度は五千万円の予算で、同様見本市とか市場開拓費宣伝費等の販路開拓費に計上いたしまして、農林省の要求したものを通産省の予算に計上いたしまして、両省で協議してこれを使用することにいたしております。
  125. 大野市郎

    ○大野(市)委員 いろいろ項目が盛られておるようでありますが、私は全体の二割程度に当るという当委員会所管の水産物あるいは畜産物の輸出品物について、二十九年度実績を一応調査いたしたのでありますが、たとえばチューリップは昨年度一億三千八百万円程度の輸出があった。あるいは除虫菊が同じく一億三千九百万円程度、その他の球根類は三千九百万円程度という工合で、実は一億円見当の品目に当るいろいろな品物を調べてみたのであります。冷凍水産物では、イワシの一億六千万円、食用ガエルが同じく一億七千万という工合で、項目を見ますと、大きな生糸の類あるいはミカンのカン詰のようなものを抜きますしと、大体一億円台が頭でありまして、その他はほとんど千万台を数えておるようであります。そこで振興策に対しまして御当局は、いわゆる国策に沿う輸出増進のために手ごろな品物があるにもかかわらず、お忘れになっておるものがある。これを御指摘してこれに対するお考え伺いたい。  前に米価の問題その他で非常に殺伐なやりとりがありましたので、かわいいところのカナリヤについてお尋ねいたします。カナリヤの輸出は二十八年度で大体一億五千万円を越えております。この輸出は主として農家の副業であり、しかもアワ、ヒエ、菜っほで済むのでありますから、ほとんど飼料費というものを見ないでいい程度で、かたがた家庭で副業でできるので常に現金収入にもなる。このカナリヤの現在の飼育状況でありますが、これに対して御当局は何らかの振興、指導策をおとりになっておられるかどうかお伺いします。
  126. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま大野さんのお話になりました通りで、そういう各種のものに対して配意して参らなければいかぬということは御指摘通りであります。カナリヤのお話でありますが、私も輸出カナリヤに非常に興味を持ちまして、地元の輸出カナリヤの会長をやっておりまして、相当に興味を持っておるわけであります。そこで私は、ほかの話に飛びまして恐縮でございますが、これらの農家の副業を多角経営にして参る必要がある。予算措置はどうかということになりますと、してございませんが、これを総合いたしまして御議論もあるかもしれませんが、農家の副業を育成していく上において資金がないだろう、その資金を与える必要がある。たとえば温室を作らす必要があります。花卉を盛んにして参る必要もあります。そういう花卉類あるいはゴシキゴイというようなものもありましょう。いろいろなものを奨励するにいたしましても、農家自身がこれらに転換する資金がないということから今回資金の措置を講じたのでありまして、農地担保の融資ということには御議論があったようでありますが、現在の農家に資金を持たしてこういう副業を奨励して参る処置をとっていきたいということでいたしておるわけであります。それに加えて、ある程度進みましたところで、政府としてもそれぞれの奨励の方向予算措置を講じたい、順序はそういう順序になるのではなかろうかと考えておるわけであります。
  127. 大野市郎

    ○大野(市)委員 先ほど申し上げたチューリップでありますが、チューリップは一億三千万円程度の輸出が続いております。このチューリップに対しても、本年度予算ではその採種圃に対して相当補助金が組んであるようでありますが、このような工合で、土地をつぶしても奪い外貨をとりたいというのでこれだけ出ておる。土地をつぶさず、余剰労力でできて一億三千万円から外貨が獲得できる、われわれの予想では三億くらいまではいけるだろうという考えでありますが、御当局はそういう意味の輸出振興策をチューリップその他にもすでにとられているのでありますから、私は農家個々に助成は要らぬと思います。それよりもむしろ——あなたの方の横浜に現在マイゲルベンの輸出商が一つしかない。しかも四百坪の集荷場をもってここに一手に買い集めておるので、つい買いたたかれておるわけです。販売先はアメリカに百万羽の輸出があるのでありますから、これを一つの輸出商に握られるということはまことに困る。従って、先ほどの御答弁の中には具体的な問題が出ないので、私は時間の関係上結論の方を申し上げて先に進みたいと思います。そこで横浜港に国がそういう施設をせられてカナリヤの集荷場をお作りなさる御意思があるかありませんか。
  128. 河野一郎

    河野国務大臣 さっそく実情を調査いたしまして、横浜市、神奈川県等とも話し合いをしまして善処したいと思います。
  129. 大野市郎

    ○大野(市)委員 もう一つは輸出振興策として全国にそれを供給する団体が幾つかに分れておりますが、これらに対して当局としてそれの統合と申しますか、連絡と申しますか、指導行政をいかになさいますか。
  130. 河野一郎

    河野国務大臣 大へんけっこうなことでございますから、一つ大野さんあたりに御協力願いまして、役所としてもこれに対応して参るように指導して参りたいと思います。
  131. 大野市郎

    ○大野(市)委員 それでは次に進みます。私ども河野農政の本質であるというので、当委員会その他においても、いわゆる米麦偏重論者であられるという観点から大いに論争が行われておるのであります。この点は、大臣はそうでない、われわれはそうであろうと観測しておりますが時間のない本日、この論争はやめますけれども、ただ考えられますのは、せっかく人口が百万以上もふえて、自然増が百万石以上も伸びて、つぶれ地が三万五千町歩からあるというので、人口並びに農地の現状から必要量がふえておるにもかかわらず、今年は七十五万石くらいの食糧増産に落ちつかざるを得ない予算措置であることは明白なんです。こういうことは議論を越えてわれわれとしては、それらの土地改良その他の施設をしわ寄せして、来年に二年分やったらよかろうという大臣の御意見には反対であるのであります。見解の相違が出ると思います。この点はもっと掘り下げたいのでありますか、ほかに急ぐのがありますので、いずれかの機会にもう少し数字の上で御意見を伺いたい。——これは前置きでございますが、そこで最も農政に堪能であられる大臣が、どういうわけでありましょうか、大臣のお国が神奈川であるためじゃないかと実は私ひがむのでありますが、積雪寒冷単作地帯に対しまして、あの濃厚蛋白飼料のありまするレンゲソウの問題が、いわゆる採種圃の予算が全額ゼロになっておる。これはわれわれとしてはとうてい承服できがたいのであります。われわれの予算のうちにおいても、この問題の組みかえはわが党としても要求しておるのでありまするが、これはきっとお忘れになったのじゃないかと思うので、この重要性を御認識なさるかどうかお伺いいたしたい。
  132. 河野一郎

    河野国務大臣 レンゲソウその他必要の種子につきましては十分考えなければならぬと思っておりますが、原種の方において予算を組んでありますることは御承知通りであります。そこで普通の種については一応いけるのじゃないか——決して忘れておるわけではありませんけれども、そういう措置をとったわけであります。
  133. 大野市郎

    ○大野(市)委員 これはお忘れでないらしいので大へんなことであります。これは御承知のように岐阜産ではだめなんです。どうしても雪国に合うところの品種でなければならぬのです。予算のうちには岐阜産はあるようでありますが、それではだめなんですから、これはお忘れかと思っておったのに、そうでないということになると大問題なんです。われわれ積雪寒冷単作地帯の議員一同は、この点に対してはちょっと不服でありますから、これらに対して将来予算是正の御意思ありや。
  134. 河野一郎

    河野国務大臣 岐阜ではありませんで、冨山の方について考えておる、富山方面、雪国の方面の原種について考えておるわけであります。
  135. 大野市郎

    ○大野(市)委員 これは高冷地の部分が多少あるようでありますけれども、元来が特に雪国全体に合うところの品種がもっとたくさん要るのでありまして、われわれは八万八千余町歩以上の——いわゆる採種圃は八万八千反くらいでけっこうでありますが、それくらいのものを見ておるわけでありますので、これらの点の見解の相違であるので、富山の方に少し見たからというのでは納得ができません。この点につきましては、まずここで話のつく問題ではないけれども、もう一言承わりまするが、大臣はほんとうにそれでさしつかえないと思ったのでございますか。
  136. 河野一郎

    河野国務大臣 絶対それで要らぬと思ったのではないのであります。要らないと思ったのじゃないが、ことしの予算措置からいって一つこの点でがまんしょうというのでこうしたのであります。
  137. 大野市郎

    ○大野(市)委員 ここで冒頭申し上げたわれわれの食糧増産に対する考え方と、大臣が米麦偏重論者じゃないかとわれわれが疑う根拠になるわけであります。これはわれわれとしてはとうてい承服いたしがたい、できまするならば、農民のためを思っておられるに違いない大臣ですから、きっと反省されると思って、これくらい甘いところでやめておきます。  それから次に食生活改善の必要があると叫ばれて、今の輸入部分を減らすことが、結局食生活改善による米麦のすりかえという問題が増産と同じ効果があるのじゃないか、かようにわれわれは思っておりますが、食生活改善は必要なりやいなや、並びに現予算によられた食生活改善の措置いかん。
  138. 河野一郎

    河野国務大臣 私も全く同感でございまして、食生活は可能な限り改善して参らなければならぬ、その意味から畜産、水産というような蛋白給源をなるべく増強していかなければいかぬ、こう考えております。
  139. 大野市郎

    ○大野(市)委員 そこでばく然としたさようなお答えでなくて、もう少し突っ込んだ、かようなる方針で、かようなる項目に対して実施の手を打つ決心である、かようなお考えがあるはずでありますので、予算に限定して御説明を願いたい。
  140. 河野一郎

    河野国務大臣 予算上のことにつきましては、政府委員から答弁させますが、私が申し上げております通りに、畜産を盛んにする、水産についてもなるべく増強するように、動物給源、蛋白給源については相当にたくさんとるように、この方面については十分に考えております。
  141. 大野市郎

    ○大野(市)委員 この問題に関連して学校給食の問題がございますが、学校給食に対しての予算措置はどんな程度でございますか。
  142. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 小麦と脱脂粉乳につきまして、学童給食に合うような単価及び数量にいたしますために、小麦については十七億円、脱脂粉乳につきましては六千六百万円の価格差補助金を出して、一方は食管会計の中で、片方は一般会計で計上しております。
  143. 大野市郎

    ○大野(市)委員 食生活改善の項目の中で、学校給食が大きなウエイトを持つものであるというお答えが、大臣から劈頭あるかと私は思ったのでありますが、それらを飛び越えて、栄養素の羅列でお話が出ましたので、実は失望いたしましたが、しからば学校給食の及ぼす効果について、農林大臣はいかにお考えでありますか。簡単に……。
  144. 河野一郎

    河野国務大臣 この点は非常に効果を上げておると思います。これはここ数年来の米麦の消費量から参りまして、その効果は明瞭に示されておる、こういうふうに考えております。従ってこの点は先ほど久保田委員でございましたかにお答えいたしました通りに、これに必要な法案もこの機会に提案をいたしまして、これにつきましては従来文部省の所管でありましたものに、今後は農林省方面からも十分にこれについて発言をいたしまして、万遺憾なきを期していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  145. 大野市郎

    ○大野(市)委員 大臣も非常に熱心であるというのでありますが、しからば従来実施をいたしました結果、体位の向上——これは見ればすぐわかる効果であると思いますが、体位向上に対して統計的に具体的な実例をお示し願いたい。
  146. 河野一郎

    河野国務大臣 具体的なお示しは別に願うことにいたしますが、われわれの考えといたしましては、毎年わが国農業壮丁の青年の中から、アメリカに行っておることは御承知通りでありますが、この帰ってきました青年から具体的に話を聞きまして実に感心したのでございますが、労働力において、動物蛋白を十分にとって育った欧米の青年諸君と農業労力を共同してやります際に、日本の優秀な青年がこれに参加いたしましても、自分たちがどうしても劣っておるということを自覚しておるというような具体的事例について、私は直接話を承わりまして、われわれ農村方面においてもこの点について十分考えなければいかぬ。そういう意味からいっても、畜産を盛んにし、または動物蛋白を十分に補給していかなければいかぬということを、ごくばく然とではございますけれども考えておるわけでございます。十分これに力を注ぎたいと思っております。今お尋ねの具体的数字につきましては、出席いたしております政府委員からお答えを願うことにいたしたいと思います。
  147. 大野市郎

    ○大野(市)委員 時間がありませんので、いわゆる学校給食の問題に限りまして、学校給食実施以来農林省として、それらの体位向上の実例を御用意があるかどうか、これを政府委員でけっこうですからお答え願いたい。
  148. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 絶えず文部省、厚生省と連絡をとりまして、それ専門のことは文部省が担当いたしておりますので、それから資料をいただいて研究いたしたいと思います。
  149. 大野市郎

    ○大野(市)委員 まことに農林省としては不熱心だと思いますが、これはあとにいたしまして、それでは文部省の政府委員の方にお答え願いたいと思います。
  150. 寺本廣作

    ○寺本政府委員 学校給食による体位の向上につきまして、全国的に組織的に調査した統計資料はございませんが、特別の事例を取り上げまして研究したものがございますので、それを資料として差し上げたいと思います。
  151. 大野市郎

    ○大野(市)委員 それではその点は資料としていただくことにいたします。われわれが調査いたしたところによりますと、小学校四年生徒で約八カ月の伸び盛りの経過を調べた実例を持っておりまして、完全給食児童としからざるものとの差が、約一センチないし二センチの身長差で現われている。こんな工合でありまして、この点に対して農林省御当局が、担当が違うかといって、多額の国費を農林予算でとられながら、その成果に対して他省の担当にまかしておくという行き方は、私はとうてい納得ができない。それらの予算を使われたならば、それらの予算の成果というものを、担当大臣並びに政府委員の諸君は、われわれが聞いたらわかるようにしていただくべきものだろうと思う。この点は私はまことにふんまんであります。もう一つ承わりますが、この学校給食の主管庁はどっちでございますか。
  152. 河野一郎

    河野国務大臣 文部省でございます。
  153. 大野市郎

    ○大野(市)委員 この学校給食の主管庁が文部省であるというところに、これまた問題点があるのでありまして、文部省がよいか、予算編成の農林省がよいかという問題にも、私は問題点があると思う。これはわれわれが小学校の給食の実情を見まするに、文部省の政府委員もおられますが、学校当局の熱意のいかんによって学校給食の是非の問題が起きておる。しかも予算の元であるところの大きな小麦粉その他の補助が、農林省の予算で出ておりますために、ややもいたすと末端の小学校給食担当員は、何だか奥歯にもののはさまったような行政をやっておるのです。県の給食指導員しかり。こういう実態が現実にありますが、それらに対していわゆる末端の文部省の御指導は万全を期しておるとは思いがたい。担当委員会が異なりますので、これらは私の指摘をだけ申し上げて、御答弁は要りませんが、御反省をいただきたい。  そこでしからば、その食生活改善、学校給食の必要を認められておられますが、給食費の父兄負担の割合は全国でどんな比率になっておりますか。これは担当が文部省だそうでありますから、そららでお答え願いたい。
  154. 寺本廣作

    ○寺本政府委員 学校給食課長から答弁させていただきます。
  155. 岩倉武嗣

    ○岩倉説明員 お答えいたします。学校給食費の一食当りの経費の負担でございますが、小学校におきまして、基準計算によります全額は十七円となっております。パンとミルクとそれに添えますおかず……。
  156. 大野市郎

    ○大野(市)委員 完全給食ですね。
  157. 岩倉武嗣

    ○岩倉説明員 そうです。
  158. 大野市郎

    ○大野(市)委員 そういう言葉で答えてください。
  159. 岩倉武嗣

    ○岩倉説明員 そのうち、父兄負担が十四円八十四銭、なお国庫負担が二円十六銭、基準計算でございますから、現場においては農村方面がやや金額が小さくなっております。また都会地の方では高目になっております。
  160. 大野市郎

    ○大野(市)委員 ただいまの負担の問題は、委員各位がお聞きの通りの状況であります。しからば全国の小学校の普及率、これは全学校数あるいは児童数に対して、いかなる普及率になっておりますか。
  161. 岩倉武嗣

    ○岩倉説明員 大体におきまして小学校におきましては、児童総数に教員を加えました千二百万の約五四%ぐらいになっております。
  162. 大野市郎

    ○大野(市)委員 私は劈頭申し上げました通りに、食糧増産はストップして、積雪寒冷のようなふやせばふやせるところの予算を削り、いわゆる米は増産をしないで、食生活改善で穴埋めをするのかと思えばせっかくそれらの効果の上ると実証のできた学校給食そのものでさえも、わずかに半分しか普及ができないというふうな状況である。しかもこの数字はわれわれの調べでは、完全給食はその一部にすぎないはずであります。しかも一週一回とか、ミルクだけ飲むというようなものを入れたものの数字に違いない。しからば実際に完全給食によらざれば、先ほど述べた一センチ、二センチの身長増は来ない。従って果して当局に予算穫得の熱意があったのかどうか、私ははなはだ疑わしい。しかも農林大臣はこの農林省の予算の獲得で大蔵大臣と御折衝なさるときに、あなたが食糧増産はストップさせておるのだから、重大な責任ですよ。食糧増産は伸ばさないように予算でストップきせて、せっかく食生活の改善で、小麦と取りかえて少しでも楽になりたいと思うのに、今度はこっちの方ではまだまだそのような形で普及度が少いというような事柄は、私はまことに職務怠慢と考えますが、さようにお考えになりませんか。
  163. 河野一郎

    河野国務大臣 これは多いほどがいいと思うのでありまして、少くしておこうという考えは持っておりません。ただ予算の編成に当りまして、十分に行かなかったということを御了承いただきたいと思います。
  164. 大野市郎

    ○大野(市)委員 予算の問題は、いろいろ担当部局の責任の問題でありますから、私の意見は意見としてこれを保留いたします。  そこでしからば、全国千六百万の小中学校児童、生徒がありますが、これらが昼飯一食一月二十回、一年間十カ月という計算で一合のお米を持っていくのと、学校の完全給食でまかない得た場合に、約三百二十万石のお米が浮く目算ができるのでありますが、これらのものが小麦粉の系統のもので置きかえられるということになると、あなたが予算で大蔵大臣に頭を下げられた、そんな必要がなくなるのでありまするが、そういう形において学校の完全給食をなされれば三百二十万石からの節約となり、しかも約五十万トンとしまして三百億円からのそれらのものの置きかえが可能でありますが、さような見地から今の学校給食に本腰を入れて実現を期せられる御決意がありますかどうか。
  165. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、学校給食というものは非常に重大なことであって、これによって食生活の改善の基礎をここから出発しておりますことは御指摘通りであります。その効果相当上って参りまして、米食が粉食に変りつつありますることも、相当の角度で変っておることも計数の上において明瞭であります。ただいま御指摘のようなことは大へん望ましいことと私は思うのでございますが、予算その他の関係でそういうことが実現しておりませんことは、これまた御承知通りであります。しかしこれは私としては、できればやるべきだ、やった方がよろしい、こういうことで大野さんの意見とは全く一致いたしておるのであります。
  166. 大野市郎

    ○大野(市)委員 これは実は予算の措置が心配ない。つまり輸入米を節減して、この昼飯に使う部分をそちらに回すという方法をとりまするときには、その差額金でできるので、先ほどの十四円八十四銭という現在の父兄負担が累計されると年間二百億円からの父兄負担によって給食が実施されておる現状であります。従ってそれだけのものは国民が負担しておるのでありますから、国家の税金の吸い上げによる財政面においてこれの肩がわりをするのは当然なんです。しかも今の米と小麦の差額の問題をお考え願うならば、食管のやりくりでその金でもすぐこの完全給食はできる。何にも予算の足を出さないで、置きかえによってできるのでありますが、私は先ほどから承わるに、これは主管庁が文部省であるために、農林省の関係がまことに責任の分担において不明確であるなどの組織上の問題があるのじゃないか、こういう点につきましてこれは国民全体の要望であり、本農林水産委員会は生産の増強のみに議論を固定するわけにいかぬ。全国民の食糧問題の源であると思いますので、この点は国民待望であります。どうかそういう点でぜひとも御善処を願って、将来実現を期していだきたい。しかもその検討の結果をごく近い日に、当委員会でさらに御説明をいただきたい。これをお約束願いたい。
  167. 河野一郎

    河野国務大臣 承知いたしました。
  168. 大野市郎

    ○大野(市)委員 そこでこのような完全給食の問題が出て参りますると、勢い大臣の得意の酪農の問題になるわけなんですが、現在の牛乳の生産高あるいは乳牛の頭数はいかなる状況でありますか。
  169. 河野一郎

    河野国務大臣 政府委員から答弁させます。
  170. 原田伝

    ○原田政府委員 乳牛の頭数でございますが、昭和二十九年の二月一日現在で約三十五万頭になっております。それから牛乳の生産量でございますが、昭和二十九年の暦年で四百九十五万石になっております。
  171. 大野市郎

    ○大野(市)委員 しからばこの牛乳の需給の状況と申しましょうか加工と飲用の比率は統計的には出ておりますか。
  172. 原田伝

    ○原田政府委員 昭和二十九年のただいま申し上げました四百九十五万石のうち、飲用牛乳に回っておりますものが二百二十二万石であります。それから加工用に回っておりますものが二百二十四万石でございまして、比率は大体半々の形であります。なおそのほか生産者の自家用消費等の分が四十八万石ございます。
  173. 綱島正興

    綱島委員長 大野委員、時間が参りましたから、あと簡単に。
  174. 大野市郎

    ○大野(市)委員 もうちょっとであります。そこで今のミルクの加工の問題でありまするが、飲用の方でいわゆる高温殺菌のわれわれの要求があります。それから牛乳の一本売りということで、一升びんといいますか、大きな集乳器に入れて、病院あたりではまとめて買うことを非常に喜ぶのでありますが、現在の制度下においては、高温殺菌並びにそれらの一升びん買いといいましょうかそういう大量購入、容器の大きなものに入れたままで買う方法、これが飲用に供されるような手続になっておりまするかどうか、これをお聞きしたい。
  175. 原田伝

    ○原田政府委員 牛乳の消費の姿でございますが、まず第一点といたしましていわゆる高温殺菌の点につきましては、食品衛生法の所管官庁でありまする厚生省と、いろいろこの点につきまして協議をいたしまして、私ども考えといたしましては、集団的に牛乳を飲用するような場合におきましては、厚生省の省令を改正いたしまして、お話の高温殺菌の点でございますとか、容器の点でございますとか、そういう点を緩和すべきではないか、かように考えまして、昨年の秋以来折衝をいたして参ったのでございますが、今までのところ事務的にはこの問題は解決いたしておりません。しかしながら酪農対策の一環といたしまして、牛乳の集団飲用というものを促進させ、また牛乳の生産者から消費者の集団に直結させることが非常に効果がある。かような考え方から、昨年予算の流用によりまして、農林省から補助金を集団飲用の施設のために出すようにいたしまして、この分につきましては厚生省におきましても、農林省のそういう補助金につきまして積極的な協力をするという通諜を、厚生省側から地方に出すようになりましたので、その補助金につきましては相当円滑に実現しているわけでございます。
  176. 大野市郎

    ○大野(市)委員 これは重要な問題でありまして、とにかく現地の要求は高温、あんなビタミンなんていいますけれども、熱くたって何だって、うちに来れば低温でも煮ちゃうのですから、そういう消費の普及状況でありまするときに、農林省の当局が酪農奨励をやられてせっかく作りながら、現地で消費ができるのに、省内の手続の問題で滞っておるということは、われわれとうてい承服できない現状を見ております。これは大問題なのです。これを解決すれば酪農だってもっともっと盛んになる、この点について農林省がどうしてそう弱腰でおられるのですか。もっと一つ押してもらいたい。
  177. 河野一郎

    河野国務大臣 私は就任以来鋭意この問題の解決に努力をいたしましたが、遺憾ながら参議院の厚生委員会の同意が得られませんというような理由で、結論に達しておりません。
  178. 大野市郎

    ○大野(市)委員 農林大臣は大いに酪農を奨励せられておるのでありますが、こんな問題が解決せられないとは、まことにどうもわれわれも心もとないと思うものであります。御努力をお願いします。  そこで、営農資金による乳牛の導入数を見ますと、昨年が一万八千頭もありましたのに今年は、鳴りもの入りで畜産多角経営を推奨された農林大臣でありますのに、八千九百五十頭でこの乳牛導入が打ち切られるという予算措置でありますが、あなたの多角経営の真意は、あれは羊頭狗肉でありますか。
  179. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通り酪農の奨励は一朝一夕にしてできません。家畜の導入ということもむろん必要適切な処置でございますが、酪農家を育成して参りますことは——牛を預かれば酪農家になるというものではないのでありまして、これを合理的に経営するということが非常に必要なことでございます。でありますから、私は基礎を十分に打ち立てて、その上に積み上げていくことが必要であるということで、酪農全体に視線を投じていきたい。ただ導入にあまり重点を置きますと、今日のように酪農の流通過程において非常に遺憾な点が生じて来たりいたしますので、全体の視野に立ってこれを運営して参りたいというようなことから、この処置をとっておるのであります。
  180. 大野市郎

    ○大野(市)委員 それでは最後にもう一点伺います。食糧研究研に四千万から出ておりますが、副食物に対する研究が何もありませんが、これに対して今後副食物の研究をその項目に入れられる意思があるかどうか伺いたい。
  181. 河野一郎

    河野国務大臣 食糧研究は御承知通り農産物の利用という点からいたしておるのでございまして、これにつきましてはよく厚生省と連結いたしまして、厚生省の方においてお考え願うというようなことにいたしたいと思います。     —————————————
  182. 綱島正興

    綱島委員長 この際お諮りいたします。水産に関する小委員淡谷悠藏君より小委員辞任いたしたいという申し出があります。これを許すことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めます。つきましては、その補欠及び委員の移動に伴いまして、水産小委員及び他の三の少委員に欠員を生じておりますので、その補欠もあわせてこの際委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めます。それでは蚕糸に関する小委員に       楯 兼次郎君を、  林業に関する小委員に       楯 兼次郎君    芳賀  貢君を、  水産に関する小委員に       赤路 友藏君    芳賀  貢君を、  農業及び漁業災害補償制度に関する小委員に       赤路 友藏君をそれぞれ指名いたすことにいたします。  それでは午前中はこれにて休憩いたします。     午後一時四十五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会するに至らなかった〕