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久保田(豊)
委員 とうていどうもそんな程度の御答弁では、私には納得がいきません。実はずっと追究するつもりでおりましたが、時間がないので
あとにいたしますが、もう
あと二点だけお願いします。
次に
一つお
伺いしたいのは、今の
政府の
輸入飼料に対する
価格政策並びに
払い下げの方法というものが果して適当かどうか、これは非常に私は問題だと思う。その第一は、私
どもが見たところでは今まで
政府の
払い下げ方針というものは、少くとも二つの大きな特徴を持っておった。その
一つは
食管中心主義、
食管に赤字をあけないというのが中心であった。昨
年度の
実績を見ましても、
政府の発表したものでも、大体
マニトバの五号は買い入れ
価格が二万五千四百七十七円、
払い下げの
価格が三万六百十五円、五千百三十八円の差金を出しておる。
マニトバ六号が三千二百八十六円、豪州の小麦は大体において一万五百十六円、
トウモロコシが四千百九十九円、それから
大豆はどうかというと五千四百六十円、これだけの差額を見ておられる。本
年度にいたしましても、
政府の
計画だとなるほど四億五千万円の差額金を見ておられる。しかしそれがどんなに使われるかということを調べてみると
——ふすまについてはさっきの御説明では私
ども納得いかないけれ
ども、ふすまにおいては
トン当り六千六百四十円の損を、買い入れ
価格と
払い下げの
価格の差額金としてこれだけ見ておる。これの差額が七億幾らになりましょう。そうして
片方において麦の方はどうかというと、大体三千八百五十六円の差益を見ておる。
トウモロコシは四円だけの差損です。
大豆は四千三百九十二円のあれを見ておる。これでは差し引きいたしますと、得の方が多い。
あとは要するに金利と保管料の一部を、実質においてはこの四億五千万円で穴埋めをするというだけです。しかもこうしてやってふすまを非常に安くする、一応の
考え方はけっこうです。しかしながら
市場の状況はどうかというと、全体のふすまが
市場に出てくるのが七十万トン、その七十万トンに立ち向うのにたった十万トンを操作して、これが何になるか、私はこれだけでもってとてもふすま全体の
価格操作はできないと思う。現に標準
価格を
政府は六百五十五円にきめておるところが実際はどうかというと、
市場では現在七百二十円前後です。末端へ行けば八百二十円から八百三十円です。
政府で統制したところで、中間でみな抜かれて末端の
農民は
一つも安いものを買っておらない、こういう実態です。従ってこういう
食管中心の
価格の立て方というものは、私どうしても根本的に変える必要があると思う。この点に対する御意見はどうか。少くともこういうふうなやり方では安い
飼料は百姓の子に入らない。
それからもう
一つは、
政府のやり方の
払い下げ価格はどうかというと、時価を中心にしてこれに適当なあんばいを加えてやるという、いつでも下値は実際には時価です。ところが時価というのはどうかというと、
やみを中心とする穀物商あるいは
製粉業者、精麦業者あるいはみそ、しょうゆ業者、そういう連中が
飼料用として入れたものを
やみで買う、その
値段が大体下値になっておる。今まで実況を見ますと……。これでは安くなるはずがないと私
どもは思う。時価中心で、
食管に損のいかないように、しかもその中間において大きな幅をとる、こういうことでは
飼料価格というものは絶対に安くなりっこないと思う、この点に対して、
政府はもっと徹底した
飼料対策というものを立てる必要があると私は思うのです。この点についての
政府のお
考えはどうかということを、第二点としてお
伺いをしたいと思う。
第三点は、今の配給機構というものはどうか、これももう少し何とかしないことにはどうにもならぬ。御
承知の
通り中央でもって
輸入飼料を
指名入札、競争入札をする団体は八つある、これは全購連あるいは雑連系統、それからあなたが今まで主宰されておった
日本飼料、この
日本飼料というものは、言うまでもなく
えさ業者の団体です。その
えさ業者の団体が加わっておるということも
一つは疑問ですが、この点についてはいずれ機会を見ていろいろまたお
伺いしたいと思いますが、それは別といたしまして、こういう団体で、しかも
飼料需給安定法では、第一次までは
政府としていろいろ注文をつけられるけれ
ども、第二次、第三次の取扱い業者のところまで行ったら、幾ら上げたって何も取締りの方法がない、現に
食糧庁なりあるいは
畜産局は、何らこれに対して取締りをしておらない、ですからいいものはどんどん
やみで末端に流れてしまう、こういうことで、実際の農家に必要な
飼料というものが安定して入ってくるという機構にはなっておらない。またそれができないような今日の仕組みになっている。中央でせっかく
政府がなけなしの
ドル資金を使ったり、あるいはいろいろの
施策を講じて、中央ではある程度
飼料が安くなりましても、末端へ行っては
飼料価格はちっとも安くならない。なぜ安くならないかというと、中間の業者にみな吸収されて、末端の農家は常に
飼料不足であります。その間において
マニトバがまず第一に製粉その他に流れる、豪州の麦は精麦に流れる、
トウモロコシは何に流れるかというと、あなたも御
承知の
通り大体しょうちゅうやその他の方に流れる、ふすまや
大豆はみそ、しょうゆ屋に流れる、これらに対して適切な手を打っておらない、これは流れないなどといっても詭弁です。なぜかというと、統済新聞を見れば、こういうものの相場が毎日出ておる。
政府の
払い下げの方法によっていつでも
市場が変って、流れておる。こういう実情であって、これらに対して抜本的な方法を講じない限り、
飼料の
需給は
——少くとも農家が望んでおるような比較的安い
飼料が安定をして入ってくるということにはならない。これらについては
政府としても今のような態勢の上で
輸入の
飼料をよけい入れ、
政府が
差損金を今申しましたように四億五千万円出しても、それによって安い
飼料が末端の農家へ安定して好条件で入るという態勢にはとうていならないと思う、これについて詳しくこまかいデータをあげて、実は
お尋ねするつもりですが、ところが遺憾ながら時間をとうとう削られておりますので、いずれこれはあらためて詳しく
——特に
河野さんは
飼料については何といっても
日本のその方の親方ですから、詳しいことを御存じだと思いますので、これは
質問を保留いたしまして、いずれ次の機会に詳しく御返答をお聞きしたいと思います。総体的に非常にいろいろなことを詰めて申しましたので、少し
質問の焦点がぼやけましたが、全体として私は、今の
食管法をある程度変えなければだめだ、今の
飼料行政も根本的にある程度やり直して、その
方向というものは、少くとも
輸入飼料に関する限り、これは
政府が
犠牲を払ったものが、末端の農家に安定をして恒常的に中間で抜かれないようにして確実に入るという体制をあらゆる面から整えるほかには、今日のいわゆる
酪農危機というものを
えさの面から打開する方法はないと思う。もちろんそのほかに自給
飼料の面もあります。自給
飼料の草資源の開発という点についても私は意見がある。今
政府がやっておることは必ずしも私はいいと思わない。あれをやっても下手をすれば何にもならぬ、こういう危険がたくさんありますが、時間がありませんからそれらについては申し上げませんが、少くとも
政府が
輸入をして、しかも
政府がある程度の
犠牲を払ってやった今の
飼料のやり方というものを、
飼料需給法の一部を含めて私は根本的に変える必要があると思う。それでないと、結局どういうことになるかというと、今のままでいきますれば……。