○原田
政府委員 畜産
関係の
予算の御
説明を申し上げます。
まずお手元の資料の四の三十五ページをごらんいただきますと、畜産局の計といたしまして、二十九
年度予算額は二十一億三千八百十一万八千円となっております。それに対比いたしまして、隣に三十
年度の要求額が出ておりますが、これが二十億一千八百四十九万一千円でありまして、差引一億二千万円ばかりの減という形に一応なっておるわけでございますが、しかしながらこの畜産
関係の
予算につきましては他の費目に若干計上されておる分があるのでありまして、その第一といたしましては資料の四の四十一ページの五番のところに、学校給食
経費といたしまして、
国内産脱脂粉乳購入費補助費六千六百万円が計上されておるわけでございます。その他先ほど
事務次官からも御
説明申し上げました際に出ておりますように、
生鮮食料品の
流通改善のための
補助費が約一億円でございまして、そのうちに一部畜産
関係の
流通改善の
補助というものが入っておる次第でございます。これらを総合いたしますと、前
年度との比較におきましてほぼ似たような数字になりまして、若干下回っておるという程度になるわけでございます。さらにそのほかに、これは後日食管
会計の御
説明の際に出て参るかと思いますが、
購入飼料の
需給の安定のために、従来飼料
需給安定法によりまして食管
会計の負担において外国の飼料を輸入いたして、
国内におきまして
需給調節のために売り
渡しをいたしておったのでございますが、その分におきまして従来は収支大体とんとんになるようにという
予算の立て方でございましたものが、飼料の
需給安定の重要性並びに
運用上の効果を十分に上げますために約四億四千万円ばかり欠損を見込むという計上のいたし方をいたしておりますので、実質上におきましては、畜産の
関係におきましてそれだけの国家の財政負担というものを考えておる次第でございます、これらを総合いたしますと、結局におきましては実力においては前
年度以上の財政上の
措置が考慮されるというふうに考えられるわけでございます。
次に
予算の各費目につきまして主要な点を御
説明申し上げます。資料の四の三十一ページでございます。
まず最初に畜産行政
事務処理の
経費でございまして、これは畜産行政一般の
事務費を計上いたしておるわけでございます。
次に
北海道畜産振興の
経費でございますが、この分につきましては、三十
年度におきましては荒廃永年牧草地の更新の部分を計上いたしまして、前年に比べますと若干
減少という形になっておるわけでございます。次に
家畜改良増殖の
経費でございます。仕事の
内容といたしましては、ここに掲げてございますように、従来と同様の仕事を続けるわけでございますが、種畜の購入費の
補助金が前年に比べまして若干
減少もやむを得ないという事態になっておるわけでございます。
その次に四番の集約酪
農地域とございますが、
地区設定の誤りでございます。
集約酪農地区の設定に関する
経費でございまして、これは
集約酪農地区にジャージー種の
導入をいたしますための
経費でございまして、ここにもございますように、前
年度から
導入を始めました四
地区の
継続分と、本
年度新規の二
地区の分と合せまして一千八百頭のジャージー種を豪州並びにニュージーランドから輸入する計画になっております。前
年度におきましては金額は少し多いのでございますが、この差額は主といたしまして、前
年度においてはアメリカからジャージー種を入れるように計画いたしておったのでございますが、アメリカからの輸入は単価の点におきましても少し高くなっておりますし、そのほかに輸送距離が長いので海上運賃も少し高くなっております
関係上、並びに最近の外貨の窮屈な事情等も考えまして、アメリカからの輸入を豪州、ニュージランドに振りかえたための
減少でございます。
その次の
草地改良の
経費でございますが、草地の改良につきましては従来からいろいろやってみましたが、実際の状況にかんがみまして、今後におきましては草地の改良はできるだけ重点的にかつ能率的に行うことが適当ではないか、かような考え方から主といたしまして草地の改良を機械力によって行い、しかもその対象を集中的にいたしたい、こういう考えから機械の
施設補助という形をとりまして、大体二十三
地区というものを考えまして、その一
地区当りについて
草地改良用の機械の購入費、二組でありますが、二組ずつの購入費一千三百万円の二分の一
補助という立て方をいたした次第でございます。
その次の
牧野災害復旧費でございます。九州方面におきまする
牧野の
災害復旧は大分進んで参っておるわけでございますが、なお被害激甚の地帯が残っておりますので、その分につきまして二千万円の
補助費を計上いたしたような次第でございます。
次に飼料
需給経営となっておりますが、これは間違いでありまして、自給
経営の普及の
経費であります。この
経費につきましては前
年度分三千二百六十五万三千円計上いたしてありましたものが、本
年度の分といたしましては千五百二十二万六千円に
減少いたしておるのでございます。その
減少の原因は、飼料作物の
採種圃に対しまする
補助費というものが従来三カ年にわたりまして
補助が行われ、大体その
補助の効果を上げるに至ったという考え方から、この分が本
年度の
予算には計上されておらないということが原因であります。
次の有畜営農の確立でありますが、これにつきまして先ほど
事務次官からの御
説明でも申し上げましたように、三十
年度分といたしまして約
融資額九億八千万円というものを考えまして、これに対しまする
利子補給の分が二千四百五十九万五千円であります。それと過
年度分の
利子補給の必要額とを
合計いたしまして、二億九千二百八十三万七千円というものが計上されておる次第でございます。
次の流通飼料の
需給及び
価格安定の
経費でございますが、これは飼料
需給安定法の
運用のために必要な審議会の
運営のための
経費、そのほかに
国内におきまする飼料の
取引の事情を調査するための
調査費が
内容になっております。
次の飼料の品質
改善の
経費でございますが、これは前
年度に比べまして約五百万円ばかり
減少という形になっておりますが、この五百万円の
減少は飼料の検査を行いますための
施設の
施設費が、前
年度におきまして
施設が大体でき上りましたので、その分が本
年度には計上されておらない、それが
減額のおもなる理由でございまして、この四百万円の
内容は飼料の品質を
改善するために必要な検査の
経費でございます。
次の酪農
振興の
経費でございますが、これは酪農
振興法の
運営のための
経費でございまして、その
内容といたしましては、審議会の
運営の
経費、そのほかに酪農に関しまする講習の
経費でございます。
次の
家畜及び
畜産物の
消費、
流通改善並びに
価格安定の
経費でございますが、これはほぼ前
年度と
同額を計上いたしておりまして、その
内容といたしましては、おもなるものは農村におきまする食肉の利用の
促進をはかりますために、
昭和二十八
年度以来三ケ年計画で農村にその利用
促進の
施設に対して
補助をいたしておりましたものの
継続の分でございまして、ここにございますように本
年度も十ケ所を予定しておる次第でございます。
その他、
家畜並びに
畜産物の
取引価格の調査の
経費でありますとか、それから出荷調整協議会というものを設けまして、
生産者並びに
生産者団体に有利なる出荷の
措置を講ずるための
経費でございます。その次の
家畜疾病予防の
経費でございますが、これは大きく約一億円ばかり
減少の形になっておりますが、この
家畜疾病予防の
経費は、
家畜伝染病予防法を中核といたしました予防の
経費でございまして、従来から、この疾病予防の仕事をやって参りますと、だんだんその成績と申しますか、効果が現われて参りまして、
家畜の殺処分等に対しまする手当金等が、
予算に見込みましたほど必要でなくなる、またこれに関連しました旅費でありますとかその他の
経費も余裕が出て参ります状況にかんがみまして、本
年度におきまする事情を勘案してここに計上いたしました程度一応用意すれば、これで間に合うという見当がついておりますので、かような計数にまとめておる次第でございます。ただこの
家畜疾病予防費のうちにおきまして、実は従来は計上しておりませんでした部分がございますのでそれを申し上げますと、ミツバチにつきまして腐蛆病という病気が数年前からだんだん頭を持ち上げて参りまして、昨年の秋ごろの状況から判断いたしますと非常に危険な状態になって参っておる。しかもこれが今年の春になりまして猛烈な勢いで広がって参る徴候が現われて参りましたので、特にこの問題につきまして
研究をいたしまして、急を要するという趣旨から
家畜伝染病予防法の規定に基きまして、政令をもちましてこのミツバチの腐蛆病というものに対して、
家畜伝染病予防法中必要な規定を準用することにいたしましたための分、並びにそのための
予算的
措置といたしまして、ミツバチの腐蛆病の防遏のために必要な
経費といたしまして、約七百七十万円ばかりを特に計上しておる次第でございます。
次の
家畜薬事の
経費でございますが、これは前
年度に比べまして若干
減少いたしておりますが、仕事の
内容といたしましては従来と同程度の仕事を続けて参るという趣旨でございます。
その次の競馬の監督の
経費でありますが、これは昨年におきまして国営の競馬を民営に移管いたしましたことに関連いたしまして、先般競馬の
特別会計という
制度を廃止いたしましたので、これに関連いたしまして中央競馬並びに地方競馬の監督のための
経費を
一般会計に計上する必要を生じて参りましたので、そのための所要額を計上しておる次第でございます。
その次の
牛乳、乳製品
消費普及
促進の
経費でございますが、この
経費はいわゆる高温殺菌等の
牛乳の簡易な処理
施設を農協等の
団体が
施設いたします場合に
補助をいたすのでございまして、実は前
年度におきましても、当時におきまする
牛乳、乳製品の
需給並びに
価格の状況にかんがみまして、応急の
措置といたしましてかような
補助をいたすことが必要だと考えられましたので、
予算の科目流用等の便宜の
措置によりまして、二カ所分の
予算を設けましてこれによって応急の
措置を講じた次第でございますが、今後におきましても、かような
施設によりまして
牛乳の流通を
改善いたしまして、できるだけ低廉なる
牛乳を集団的に飲用せしめる等の方法によって
牛乳の
消費面を拡大するというために適当な
措置であるという考えから、さらにこの規模を大きくいたしまして二百七十六カ所分、二千二百万円ばかりを計上いたしておる次第でございます。
その次の畜産の技術
振興に関する
経費でございますが、畜産の
振興をはかりますために
畜産技術の
振興をはかることが必要であるという考えから、技術の講習会でありますとか、共進会でありますとか、特殊な調査でありますとか、こういうものにつきまして適切な計画を持ちました場合は、これに対して
補助を出したいという考えから二千万円を計上いたしておる次第でございます。
次の
家畜家禽飼養実態調査の
経費でございますが、これは昨
年度までにすでに二カ年この趣旨によりまして調査を行なって参りました結果、一応のデータが得られるという建前になっておりますので、三十
年度におきましては
減額となっておる次第であります。
その次の草資源の造成改良の
経費でございますが、この
経費は先ほど五番の
草地改良につきまして申し上げましたような
関係で、新しい考え方の
経費に振りかわりまして
減額ということになった次第でございます。
以上が畜産の実体的な行政費でございますが、そのほかに小計から以下は主として場所の
関係の
経費でございまして、これが種類といたしましては三つに分類できるのでございまして、
家畜衛生試験場
関係と動物検疫所の
関係と種畜牧場との
関係とに分れるわけでございまして、この場所
関係を
合計いたしますと前
年度が八億一千百六十一万四千円になっておりましたものが、本
年度の分といたしましては七億七千七百七十二万九千円というふうに若干下回っておりますが、
事業の
内容といたしましてはほぼ従来程度の仕事は続けられるという建前になっておる次第でございます。そのうち特に御
説明申し上げたいと思いますのは、二十二番の馬の伝染性貧血の
研究に関する
経費でございますが、この馬の伝染性貧血症いわゆる馬の伝貧という問題につきましては、二十九
年度におきましては九百十三万五千円の
経費を計上いたしまして、この伝貧の問題の解決につきまして
家畜伝染病部門の一つとして取り上げて
研究を続けて参ったのでございますが、特にこの病気の性質上総合的な多角的な
研究をいたさなければ病理の根源をつくこともできないし、またそれに対する療法というものの解明もできないという考えから、特にこの点につきましては今後強力なる総合的な
研究をいたしたいという考え方からいろいろ折衝をいたしたのでありますが、結局
経費におきましては千九百四万三千円というふうに増額になりまして、そのうち従来ございませんでした委託
研究費というものを三百万円計上することになりまして、こういう委託
研究費というようなものの活用によりまして、用に獣医学的な見地のみならず、他の科学の方面からの総合的な援助
研究を仰ぐ、こういう道が開ける次第でございます。と同時に直接試験場で従来から行なって参りましたような
経費につきましても、相当増額を見まして、直接の分が一千百五十万七千円というふうに増額になっておる次第でございます。大体場所
関係につきまして特に必要があると思いました点を申し上げまして、一応
説明を終ります。