○
綱島委員 吸収力を
増加することは困難だというような御
意見でございますが、それは幾らも
農業政策として
農林省でやらなければならぬ問題が山積いたしておりますが、いずれも無理解なる他の圧力でこれが抑圧され、たとえば年々
既墾地が三万
町歩から三万四、五千
町歩にわたって
壊滅をいたしておりますが、これは長い間時間をかけて調べたのでありますが、一万
町歩で食いとめられる。ごらんなさい。
公営住宅を建てるというと、都会のまん中のすぐ隣の、りっぱな反当三石以上もとれるような所をつぶして、
マッチ箱のような家を建てておる。こういうような
状態、しかもそれが町なら格別、単なるサラリーマンを入れるためにやる。山ぎわに持っていって建てれば何でもないのであります。これなどもだんだん調べてみると、一万
町歩くらいで済むと思う。年々二万二、三千
町歩の
壊滅ということは大へんな数字でございます。おそらくこのために八十万石くらい
減収をいたしておる。これはおそらく五十万石以下の
減収で済むでございましょう。
それから
干拓にいたしましても、ヤンセンという教授が来て
日本のことを笑いました。私が、
長崎干拓というものができるか、
有明干拓は一万一千
町歩ですがあの
干拓はできるかと言ったら、
先生私を笑って、
足下は
農林のエキスパートと聞くがなぜそういう
質問をするか。
オランダなどは
マイナス三十メートルの
干拓をしておる。
有明のあそこは
マイナスニメートルか三メートルだ。そんならどういうわけでそんなことができますかと言うと、
機械力の利用が違う。
足下たちが
干拓に使っておる
機械というものは、
干拓のための
機械でなくて、別な
機械をただ利用しておるにすぎないのだ、こういうことで、
先生は
自分が設計するならば、
東京湾などは、帯のように
交通路を広げておけばあとは全部
水田になる。
有明湾などもほとんど全部
水田になると答えましたが、その後資料をよく調べてみますと、
マイナス三十メートルの
干拓でも、
オランダは
日本円に換算しまして反当十万円でできている。
日本はこれが二十三万円ぐらいかかっておる。これらの点ももう少し考究して、ほんとうに農地を広げるというならば、幸いに
日本の土地がこの
通り広いのだし、旅行してごらんなさい、全部
干拓である。濃尾平野あるいは
信濃平野といえどもほとんど
干拓したものである。それは人間がただ人柱を埋めて
干拓したものである。しかるに、この
工業時代に入って
日本がこの
干拓ができないからということで
——今のように五億ドルといえば一千八百億です。一千八百億の外貨を支払っておる。そして
日本の
予算を年々三百万か四百万ふやすことさえ非常に困難だと言う。大体私が存じておるところによれば、
食糧増産のために計上いたしました
予算は、事実上使いましたのは二百二、三十億をこえたことはございません。なるほど計上しておることは二百五十六億計上したことがございますが、実際にはみな使わないで、二百二十億から三十億以上に使ったことはございません。そうして年々千八百億の
輸入超過をいたしておる。他の役所の費用等をみな計上して四百億やったとか五百億やったとかいうが、これは数字の魔術でございます。
食糧増産のための純然たる費用は、二百二十億くらいより上使ったことは一度もございません。かようなことをやっておってしかもこの
予算さえ削減するというような
方向に向うというなら、私どもはこれは
農民と
国民の生活擁護のために、
日本経済の擁護のために
——それこそ
日本の
経済が全滅するような時期の来ることをわれわれはおそれるからして、そのために全力を上げてこの
内閣を攻撃しなければならぬ。これは実は非常な問題であって、この点については
農林大臣の一層の御奮発をいただかなければならぬと
考えておる。これはたとえどうであっても、もしそれをやるならわれわれ全国津々浦々を行脚してでも、この
内閣の
政策を根底からひっくり返さねば
承知できないと思っておる。今日の私の
質問は冗談ごとではございません。相当の決意を持って
お尋ねをいたしておるのでありますから、
農林大臣もよくこの趣きを腹に入れていただきたい。これは
綱島が何党の立場でということではございません。これは
日本の
国民経済を守るために、実はやらねばならない。ゆっくり時間があるなんというお答えであると、これはなおさら大切なお答えでございます。ゆっくり時間などはございません。もはやおそきに過ぎておる。
日本の
農村の
基本政策を立てることにおいておそきに過ぎております。私は先日
委員と
農林事務当局との応答を聞いておって、
日本が
不利益条件だから
補助をしなければならぬのだというような
お話であるが、そうじゃない。先ほどから申し上ぐる
通り、
工業力が
進歩して参れば参るほど
農村の
保護というものは、生産物の
価格補償政策によろうとも、あるいは
補助政策によろうとも倍加して参るのが
世界の趨勢でございます。この点についての認識を新たにしていただいて、実態をそのままに見ていただかなければならぬ。歪曲した形で物を見ていただくことは、
国民経済の上から困ったことでございます。今のような
政策を続けて行きましたならば、必ず
失業問題が続出して、
日本はその収拾に困難を来たす
時代が必ず参る。五億ドルの
輸入超過、いわゆる千八百億円の
輸入超過を防止するためには、
農村予算を倍加して、それによっての融資を倍加して、まじめな
日本の食糧確保に進むよりほかはない。つまり
輸出のワクが小さくなる以上は、
輸入のワクを小さくしなければならぬ。
輸入のワクを小さくするには何が一番大切かというと、
原料にならない最終消費品である食糧の
輸入ということが、
国民経済には致命的破綻の根源をなすのであります。この
労働吸収力の減退、それから本質的にこの
国民経済の破壊するおそれのある食糧
輸入ということを防止するという二つの点から、
農林大臣は、
閣議においてほんとうに働いていただかなければ、この
内閣をたたきつぶす議論を私
たちはしなければならぬ。
日本の
経済としては坐視するに忍びないから、行脚でも何でもいたします。決して私は冗談ごとを言っているのではないから、この点は性根を据えて聞いていただきたい。大体のこの線に対する御決心のほどを伺います。