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赤路委員 次に、私は調査研究のことについてお導ねしてみたいと思います。漁業の
計画生産ということは、これは陸上の諸
産業と異っておりますので、非常にこのことは至難であると思います。しかしむずかしいからといって、これが放置されておっていいということではないと思うのであります。水産庁として水産行政を担当する上から参りますなれば、
一つの
計画性を持って、その
計画の上に乗って、その基本線に従って水産行政というものが末端までおろされていかなければならぬ、こういうふうに私は考える。だとするなれば、少くとも過去における、あるいは現在の各方面にわたる調査が十分なされ、資料が正確に把握され、その上に乗って初めて水産行政というものは
計画性を持って遂行される、かように考えるわけであります。ところが今までの水産資料を見てみますと、こう言っては何ですが、実にずさんきわまると思う。だから水産行政がそのつど行政に陥りやすいんじゃないかと思います。一例をとって申しますと、瀬戸内海です。先ほ
どもちょっと触れたようですが、現在あの海区に小型底びき船が一万四千隻ある。在来一万六千隻あったものが、小型底びき船の整理によって二千隻整理された。この一万四千隻の小型底びき船で、はたしてあの海区の魚族が乱獲にならないかどうか、この点は瀬戸内海に関連を持つ十一府県の業者の諸君が非常に関心を持っておるところなんです。ところが行って調べてみると、これは基本線が出てない。ある諸君に聞いてみると、一万ぐらいでなければいかぬだろう、あるところで聞いてみると、いや七千隻ぐらいだ、いや現在の状態でよかろう、みんな勘で話をしておる。そこで水産指導所の方へ行ってみると、調査はやっておる、やっておるが十分な調査ができない。こういうような調査が十分に行われないで、勘で行政をやろうとするから混乱が生じてくる。水産行政の基本である調査ということが、
相当正確に、しかも精力的になされていかなければならぬと私は思うのです。今日調査資料課というものがあって、非常に
努力していただいておりますが、私たちの手元にも調査資料課からの資料はほとんど来ない。課長にやかましく言うてみると、どうも財源がございませんという話です。そういうようなわれわれの手元にすらも調査資料が来ないようなことでやっておるから、水産行政というものはそのつどの行政に陥って、一貫性のある、
計画性を持ったものが積み上げられていかない、こういうように思いますので、これらの点は今後十分御研究を願いたい。これは特に
政務次官にお願いをしておきたいのですが、どうもこれは
日本人全体の癖だと思いますが、勘で仕事をしようとする。これはやはり数字を正確に握る、こういうことでなければねらぬと思います。特にこれは
農業統計にしてもそうなんですが、あの
農地統計にしましても、固定した異同のない——異同のないといってはあれかと思いますが、それすらもなかなか握れ切れないというのが現在の
状況なんです。特に海を相手とする仕事ですから非常に至難です。むずかしい。むずかしいだけにそうしたものにこそ最も大きく重点を置いて、正確に数字を握ってもらいたい。どうも今までの
予算の出し方等を見てみますと、目に見えるものには
予算を出すが、目に見えないものにはほとんど
予算措置をしていない。これでは私はほんとうの水産行政というものは成り立っていかないと思う。特に私のやかましくいいたいのは、一万海里という長い海岸線を持ち、どこを見ても大海に囲まれている
日本では、特に現在においても
日本の漁業というものは世界一なんです。しかも現在の
日本の
輸出を見てみた場合、第三位が水産物の
輸出なんです。非常に大きく外貨獲得に貢献しておる。これはまだまだ伸びる余地がある。ところがそういう面になかなか手が伸びていない。ぜひこれらの面に対しては、十分ウエートを置いて御研究願いたい。もうこの点については御
答弁は求めません。希望条件だけ述べさせていただきます。
最後に伺いたいのですが、二十八日に、私は北洋漁業の本
年度操業の危険性について、河野農林大臣に御忠告申し上げておいたのですが、たまたま二十八日に根室地区においてカニ漁業船が四隻拿捕された。こういうような私の心配しておった点が、現実の面に事実としてすでに現われてきたかのごとくに思うわけなんです。そこでこの二十八日、大臣に御希望申し上げ、大臣も
外務大臣とよく相談をして行きたいと言っておられましたが、母船鮭鱒の操業時期が六月ですから、それまでにはぜひ親善使節をソ連の方に派遣するように、こうした事実が現実に出て来ておるのだから、このまま放っておいたら大へんなことになりはせぬかと思う。その点
一つ次官の方でも大臣と御相談願って、また業界の諸君の
意見等も十分お聞き願って、その上で速急に対策をお立て願いたい。これを御希望申し上げておきます。
それから水産庁の方に北洋漁業について一点だけ御
意見を伺いたいのでありますが、北洋漁場は台風の墓場ともいわれておりますし、魔の海ともいわれておる、非常に気候の激変するところなんですが、それだけに各地の気象通報をとる場合、やはりその方の道の者が
相当母船に乗っておって、気候の変転に従って操作をするということが当然考えられるべきじゃないか、現在までの母船操業の母船には、気象台の台員が全然乗っていない、そこに
一つの欠陥等がありはせぬかと思いますが、中央気象台等の職員を乗せてこれら不慮の災害を防止するという方法をとる御意思はないかどうか、この点をお聞きしたいと思います。