○齋藤委員 私の御質問申し上げておりますのは、たとえて申しますれば、六年間に
完全雇用を行う、
経済企画庁の今
考えておられます昭和三十二年度までに新たに二百五十万人の就業をやり、失業者を五十万人なら五十万人に減らしていく、それによって
完全雇用の形態を確立する、こういう
計画を今立てておられるのであります。ところが一方には企業の
合理化をはかっていく、しかも鉱工業
生産は、三十二年度までにわずかに四%か五%の上昇率を示している。このパーセンテージは間違っているかもしれませんが、われわれから
考えますと、昭和三十二年度までに企業の
合理化をやって、四%や五%の
生産の上昇率を得る、これは企業の
合理化でできる。企業の
合理化をやると、一方には失業者が出てくる。むしろ四%や五%の鉱工業の
生産率を上昇するということになったならば、失業者がふえるということです。新たなるところの就業の職場は、鉱工業の部門については出てこないと思います。そうするとこれを収容するために土木工事、道路工事をやるとかいろいろなことをやっても、
生産体制の助長にはならない。社会保障制度の失業救済のロスの面であります。そういうようなことを
考えていきますと、むしろ今の鉱工業
生産の
計画からいくと、失業者は増大するのであって、失業者を救済するところの新しい職場はなかなか得られないと思う。しかしながらこの
計画書を拝見いたしますと、新しい職場がちゃんとできるようになっているわけであります。たとえて申しますれば、きのう
説明を承わりましたこの八ページの十一項目の「科学技術の振興と新技術
産業の助長育成」という部門がありまして、「さらに資源の有効利用、原料輸入の防遏に資するため、石油化学、木材利用の
合理化、
石炭利用の拡大、チタン等の新金属其の他新規
産業の健全な育成を図るものとする。」とありますが、この一項目を見ても、これはすこぶる重大なものです。しかし
日本の石油化学はどこにあるか、木材利用の
合理化も行われておらぬ、
石炭利用の拡大は一体何を
意味するか、チタン等の新金属鉱業の発展というのは一体どのくらい行われておるかということを調べてみますと、ここに羅列するだけの何ものも
現実にないということを私たち
考えなければならぬ。だからこういう文章をお作りになるときに、一体どこからこの文章をお作りになるところの具体的な
裏づけを持ってきているかということです。もしこういう文章をお作りになるときに、これは
日本全体の
経済政策を実行する上において必ず六カ年に遂行できるところの体制がここにある。技術もある。技術があるからここにどれだけの金をつぎ込んでいったらこれだけのチタン工業が起きてくるのだ、チタン工業がこれだけ起きてくるならば、これだけの値段で外国市場に売れるめどがついているのだということで、初めてチタン工業の育成ということがここに浮んでくると思うのでありますが、私が調査いたしましたところによりますと、
日本のチタン原鉱の調査さえできていない。チタン原鉱というのは一体
日本にどれだけあるかということの調査も完了しておらない。そういうようなことから
考えますと、まずこの
経済政策を遂行していく上において
日本の一番の欠陥は何かというと、一切の科学技術の面が置き去りにされているということです。科学技術に総合統一性がない。科学技術に総合統一性がなくして六カ年の
経済計画が一体できるかどうか。そこで私がお伺いいたしておりますのは、こういうような六カ年の
経済計画をお立てになっておるその科学的な
裏づけに対して、
経済審議庁独自の見地からそれを的確に把握するところの何ものがあるかということです。私はそれは何もないと思うのです。だから
各省から集まってくるところのデータを取捨選択して、計算器を回して作り上げるものが、こういうような
経済政策の大綱となって現われてくるのであって、これを遂行していこうと思っても、私はそれはできないだろうと思うのであります。でありますから、私が今
大臣にお伺いいたしたいのは、この
経済審議庁の
機構を改革いたしまして
経済企画庁として、
ほんとうに六カ年の
経済計画をここに
立案して、これを
総合調整して
推進せんとするならば、
経済企画庁はもっと力強くその
各省のデータを検討するだけの実力を握らなければならぬと私は思うのです。その
経済企画庁が握るべきところの実力は何かといえば、結局
日本の最高の科学技術を握るということと、この科学技術の力によって
予算の案分をする実力を握るということである。そうでなければ私は
経済六カ年
計画の大本はとうていできないのではないか、こう
考えるのでありますが、これに対して
大臣は一体どうお
考えになりますか、
一つお答えを願いたいと思います。