○江崎
委員 ただいま上程されました
国防会議の
構成等に関する
法律案に対する修正案の要旨並びに
理由を申し述べます。修正案文につきましてはお手元に配ってありまする印刷物を御参照賜わりたいのであります。
すなわち
国防会議の
議員に
閣僚以外の
民間人を充てることは、これを排除することとし、これに伴ってお手元に届けました別紙の
通り関係条文に所要の改正を行おうとするものであります。
すなわち
政府の説明によれば
国防会議の
構成員に
識見の高い
練達の
民間人議員五名以下を加えることは、
意見を広く求め、
諮問機関としての機能を発揮しようとするものであり、また
民間人議員の任期を三年とすることによって、
国防の
基本方針が
内閣の更迭によって動揺することを幾分防止しようと
考えたことに発するもののようでありますが、これらの点は
質疑を通じまして、その得るところよりも、かえって失う点が多いことにわれわれは思い当るのであります。
政治が軍事に優先する原則を正しく貫いていくためには、本来
国会議員自身の深い軍事知識に待つべきものであります。在来
政治家の多くが戦略、戦術の常識に欠けておるとの通念は、新しい自衛隊の発足と並行して当然打破されるべきものであります。また戦後
政治家の国家の
防衛力について格段の関心と
意見を持たなければならないことは、申し上げるまでもないのであります。すなわち
政治が常識でありますように、軍事もまた常識であるべきはずであります。
政治家たる者は、
政治の軍事より優位にあることを深く感じ、過去の誤れるところの、
国防はおれたちにまかせておけといったような軍閥跳梁の姿を再現せざるよう、十分の研究と努力を払うべきことは言を待たないのであります。これがむしろ根本であるのであります。いかに
識見の高い
練達の人と称しても非常勤の人に
政府の言うがごとき
国防の
基本方針に一貫性を持たしめようとする大きな期待をかけることは、むしろ言うべくして実際上はむりであるといわなければなりません。また
民間人という一個人によって、方針や問題点がチェックされることではなく、だれしも首肯できるところの理論によってチェックせらるべきものであるのは、申し上げるまでもないのであります。これは事務局の機能を充実強化することによりまして補うことが、むしろ妥当であると私
どもは
考えておるのであります。しかも
民間人たる
議員が重大な機密を漏洩し、国家
国民に多大のわざわいを及ぼす場合も想像されるのであります。その場合におきまして、単に
議員を罷免するのみでは事態の収拾は
考えられません。同様のことが
閣僚に起りました場合には、ときに
内閣総辞職という
責任の帰趨を明らかにする
方法もあるのでありますが、
民間人の場合、これをしばり、また
責任を糾明する
方法を見つけるに困難を覚えるのであります。
次に、
国防会議は
諮問機関ではありますが、
内閣総理大臣はその議決による答申または
意見について、実際上ある程度の束縛を受けることはまた当然でございます。このことは
内閣責任制ずるという本質的な問題をも蔵しているのであります。たとえば原案の
通り民間人五名以下として、五名が充足されておりました場合には、
防衛出動のごとき重大問題が、
民間人五名の
議員にただ一名の
閣僚が同調すれば、他の四
閣僚が
反対してもその方向がきまり得る
可能性も心配せられるのであります。かかる場合、
内閣の
責任制と
国防会議の権威との間に紛淆を生じたり、議事に混乱を生じ、将来不測の事態も予想せしめられるのであります。なおアメリカ、イギリス等の諸外国におきましても、
国防会議と同様の
会議体があるのでございますが、アメリカ、イギリスにおきましても、
民間人は加えてはおらないのでございます。
以上簡単ではありますが、その
理由の大要を申し述べ、本法原案にある
民間人議員を削除修正せんとするものであります。