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1955-07-01 第22回国会 衆議院 内閣委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月一日(金曜日)     午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 宮澤 胤勇君    理里 高橋 禎一君 理事 辻  政信君    理事 床次 徳二君 理事 江崎 真澄君    理事 森 三樹二君       長井  源君    保科善四郎君       眞崎 勝次君    粟山  博君       大坪 保雄君    大橋 武夫君       田中 正巳君    福井 順一君       船田  中君   茜ケ久保重光君       飛鳥田一雄君    石橋 政嗣君       下川儀太郎君    井上 良二君       田原 春次君    中村 高一君       矢尾喜三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 杉原 荒太君  出席政府委員         法制局長官   林  修三君         調達庁長官   福島愼太郎君         防衛政務次官  田中 久雄君         防衛庁次長   増原 恵吉君         防衛庁参事官         (大臣官房         長)      門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  林  一夫君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 龜夫君  委員外出席者専         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小関 紹夫君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 七月一日  委員小金義照君、長谷川保君、受田新吉君及び  鈴木義男君辞任につき、その補欠として大橋武  夫君石橋政嗣君田原春次君及び井上良二君  が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 六月三十日  元満州国日本人官吏恩給法適用に関する請願  (大石武一紹介)(第二九三七号)  同(大橋忠一紹介)(第三〇〇二号)  恩給法の一部改正に関する請願藤本捨助君紹  介)(第二九三八号)  同(丹羽兵助紹介)(第三〇〇〇号)同(保  科善四郎紹介)(第三〇〇一号)  宮城県古川市外七箇町村寒冷地手当引上げの  請願保科善四郎紹介)(第二九三九号)  小牧飛行場基地周辺駐留軍専用モデル施設建  設に関する請願早稻田柳右エ門紹介)(第  三〇一四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  八一号)  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第八二号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八三号)     —————————————
  2. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 これより会議を開きます。  自衛隊法の一部を改正する法律案防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案議題として質疑を続けます。通告がありますので、順次これを許します。暑中の折柄ですから上着を脱いで質疑応答をなさるようにいたしましょう。大橋武夫君。
  3. 大橋武夫

    大橋(武)委員 私は議題となっております自衛隊増強計画につきまして、まず防衛庁長官に御質問をいたしたいと存ずるのでございます。  まず自衛隊増強ということは、これは日米安全保障条約に基くわが方の責任の履行として、年々財政の許す範囲において続けておる措置でございまして、特に今年事新しいものではないわけであります。しかしながら鳩山内閣の創立に際しましては、自衛隊増強ということについて計画を立てなければならぬ、そうしてその増強計画というものは、経済五カ年計画あるいは経済六カ年計画と相呼応して行わなければならぬものである、こういうふうなことがたびたぴ内閣の意図として公けにせられておったわけなのでございます。そこで私は今回の法律改正内容となっておりまする陸海空の各種部隊の拡張というものは、この一定計画に基く年次計画の一部であるのか。それとも本年限りの計画であるのか。この点をまず第一にお伺いいたしたいと存ずるのでございます。
  4. 杉原荒太

    杉原国務大臣 お答え申し上げます。ただいま大橋委員のおっしゃいましたように、いわゆる自衛力の漸増ということ、そうしてこれを国力に応じてやっていく、これは自由党内閣時代からももうそういう御方針でやっておられたところでございます。そうしてまたさらに一昨年の秋でございましたか、自由党吉田総裁と当時の改進党の重光総裁との間の会談におきまして、長期計画を立てるということについてのお話し合いがあったことと承知いたしておりまして、引き続いて自由党におきましても改進党におきましても長期計画なるものをお作りになっておったと承知いたしております。私らも実は長期計画と申しますか、その趣旨は大体そういう自由党お作りになっておったものと趣旨を同じゅうして作る必要があろう、こう考えまして、長期計画を作るという方針のもとに、現在内閣もその方針をとっておる次第でございます。従いましてこの長期計画につきましては、これは防衛庁限りで全部作れるというわけではございませんけれども、防衛庁といたしましても研究を重ねて参っております。防衛庁内としては前からもいろいろと研究を重ね、各段階においてその研究の一応の結果を取りまとめて、さらにまた研究を重ねる、こういう順序をずっととってきておる次第でございます。私が就任しました後も、その前にもいろいろ研究をしておりましたが、さらに現在これらの研究を重ねておりまして、実はまだ防衛庁内部としてもこれが防衛庁成案だというところまでは行っていないような次第でございます。いわんやまだ政府の案として成案を得るに至っていない段階でございます。従いまして本三十年度におきましては、まだ正式に政府成案としても、また防衛庁としても、これが決定的なものだという案を起草するわけに参りません。今年度において財政の許します限り必要と認めることを計画し、予算に計上いたした次第でございます。
  5. 大橋武夫

    大橋(武)委員 長期計画はたびたび防衛庁研究を重ねておるがいまだ成案に至らない、こういう御説明でございましたが、成案に至らないと申しますか、あるいは防衛庁部内でいろいろ研究し、たびたび仮案のごときものは作っておっても、それを公式に防衛庁の案として発表する段階にはいかないという、その理由と申しますかあるいは事情と申しますか、どういうことが理由となり原因となってなかなかその成案防衛庁自体においてもできないのであるか、こういう事情について御説明いただきたいと思います。
  6. 杉原荒太

    杉原国務大臣 お答え申し上げます。いろいろあり得ると思いますが、一つには陸上自衛隊増強についてどういう規模内容が適当だろうか、こういう点につきましてもさらに検討を重ねたい、こう考えておる次第でございます。
  7. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると陸上部隊増強規模内容について確信を持つに至らないために全体の長期計画ができない、こういうことでございますか。
  8. 杉原荒太

    杉原国務大臣 ただいま申し上げましたように、いろいろ検討を要すべき点があると思っておりますが、その一つといたしましては、今申し上げましたようなものをおもなものとして考えておる次第でございます。さらに大橋先生も御承知の通り、増強といいます場合にも、これに伴いましてアメリカ側からの装備品等の期待ということが相当重要な要素になるわけでございますが、そういう点につきまして、見通し等について果して従来の研究のものでいいかどうかという点につきましても検討を要する点があるように考える次第でございます。
  9. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると陸上部隊規模内容並びに装備等についていろいろ未解決の点があるために長期計画ができない、こういうお話でございましたが、まず第一に規模という点については従来どういう考え方であり、それがどういう事情で決定できないかというような点を一つ掘り下げて伺いたいと思います。
  10. 杉原荒太

    杉原国務大臣 陸上自衛隊の問題につきましては、従来改進党の方面におきましては地方防衛隊といいますか、ごく短期訓練をしたものをあわせ考慮したらどうかという御意見もあるようでありまして、これらも非常に傾聴すべき考えであります。そういう点はさらによく検討を加えまして、その結果によってこの陸上自衛隊規模内容等もきめていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると、いわゆる民兵制度を採用するかどうかということが陸上部隊規模を決定する大きな要因である、そしてそれについてなかなか結論が得られないために長期計画がおくれておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  12. 杉原荒太

    杉原国務大臣 陸上自衛隊につきましては、おもなる点はそういう点を問題として考えております。
  13. 大橋武夫

    大橋(武)委員 この点についてはまた後に伺います。  そこで防衛庁といたしましては陸上海上航空の三部隊増強については、陸上陸上海上海上航空航空それぞれてんでんばらばらに増強計画を立てていくという考え方であるのか、それともこれらの三つの部隊を相互に関連せしめて、総合的な見地から全体の増強計画を立てるという考え方であるのか、これをまず伺いたいと思います。
  14. 杉原荒太

    杉原国務大臣 その点につきましては、大橋先生のおっしゃったあとの総合的な見地から考えていきたい、こう考えておる次第でございます。  なお私ちょっと補足さしていただきますが、先ほど検討を要する点がいろいろあると申しました中に、これは当然のことだと考えますけれども、国力との関係、もっと具体的に申しますと、財政見通し関係、この点が本質的に非常に困難を伴う問題であります。こういう点につきましてもなおよく検討を加えていきたい、こう考えておる次第でございます。
  15. 大橋武夫

    大橋(武)委員 私は防衛の問題につきましては、増強計画を立てるといたしますと、まず今後の日本国土防衛をどういうふうにやっていくべきかということが根本になるものと思うわけでございます。現在の日本国土防衛につきましては、御承知のように、日米安全保障条約というものが存在いたしておるわけでございます。そこで増強計画を立てるに当っては、安全保障条約というものによる米軍駐留ということを完全になくすということを目標にして計画を立てていくのか、それとも少くとも地上部隊は撤退されるにしても、海上部隊あるいは航空部隊は当分の間日本防衛のためにとどまってもらう、こういう考え方でやっていくか、これによって将来の計画が相当変るものと思うわけなんです。そこで防衛当局とせられましては、この日米安全保障条約による駐留米軍というものについて、今後の日本防衛計画を立てる上においてどういう程度の力並びにどういう程度の仕事を期待しておられるか、これをまず伺いたいと思います。
  16. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今御指摘の点は防衛計画を立てて参ります際に基本的な前提として非常に大事な点だと実は考えております。そして陸上部隊につきましては、日本の可能な増強の実現に伴い、なるべく早く撤退可能な状態を作りたいということを考えております。それから海と空の方でございますが、これは非常にむずかしいと実は私感じておるのでございます。それにしましても今私はっきりと全部こうだと割り切って申し上げることは非常に困難だと思っておりますけれども、日本の直接防衛に当るものはなるべく日本からは撤退しない、あるいは六カ年内に全部というわけにいくかどうか、その辺のところは実は非常に困難である、ただ日米共同防衛といいましても、やり方は必ずしもアメリカ軍がいつも日本国内におらなければならぬということはないと思います。ほんとうに支援を必要とする場合に支援してもらう、こういう方式もあり得ることだ、その辺のところもまず検討してみたいと考えております。
  17. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そこで地上部隊についてはなるべく早く自力でやりたい、こういう考え増強考えるという大臣の御答弁でございます。そうしますと、大体日本国土において自力地上部隊として防衛任務に当るためにはどの程度部隊数が必要だという目標が当然考え得られるものと思うわけでございます。こうした点についての大臣のお見込みは一体どういう程度でございましょうか。
  18. 杉原荒太

    杉原国務大臣 実はそういう点は今度の計画を立てるに当りましてきめなければならぬことでございますが、それにつきましてまだ数字的にこうというふうなところまで結論を得ていない次第でございます。陸上部隊につきましては、先ほど申し上げましたような点なども考慮いたしまして、それによってまた規模内容等も多少変化があるかと思います。そういう点よく考慮いたしまして、日本財政力等から見ましてもあまり無理のないというようなところを目標にしてやっていきたいというふうに考えている次第でございます。
  19. 大橋武夫

    大橋(武)委員 実はこの考え方についての大臣のお考えには二つの矛盾した考え方が無批判に総合されているのではないかという点を私は心配いたすのでございます。それは地上軍だけは自力でもって全部準備するのだということになりますならば、それに必要なだけの部隊は、財政都合がどうあろうとも、究極においては日本自力で備準しなければならぬものだと思うのでございます。ところがそれが財政都合でできないということになりますと、その間においては、当然その足りない部分は、米軍に頼まなければならぬ、こういうことになろうと思うのでございまして、私はその中間において財政的の都合によって究極目的に達する時期に早いおそいがあるということは当然あることだと思います。その間においてアメリカ軍隊駐留を求めなければならぬということもあり得ると思う。しかし究極においては、財政都合がどうあろうとも、結局自力でやるという方針をきめる以上は、必要なる最小限度のものはどうしても自分で準備しなければならぬものだと思うわけです。そうした究極目的として大体どのくらいの部隊が必要だということを考えておられるのでございましょうか。
  20. 杉原荒太

    杉原国務大臣 先ほど私が申し上げましたのは、現在日本におります地上部隊の撤兵と増強との関係について申し上げたのでありますが、今大橋委員の御指摘の点は、それとまた少し角度を異にした点の御質問だと思います。それで陸上自衛隊におきましても、究極において日本独力陸上部隊としての機能を完全に果すことは、私は日本としてはなかなかむずかしいと思います。従いましてわれわれの希望しない事態でありますけれども、万一の場合に与国からの来援を得るまで若干の間少くとも持ちこたえる、そういうところを大体考えてやっていくべきものだと考えております。
  21. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると増強計画究極目的は、与国軍隊の来援するまでの短期間、少くとも独力で国土の重要な部分防衛する、こういうことを目標として考える、こういう御方針と承わりますが、そうでございましょうか。
  22. 杉原荒太

    杉原国務大臣 さようでございます。
  23. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうなりますと、この地上部隊というものは、侵略の開始された早期において、三カ月であるかあるいは半年であるかそれは今後いろいろ検討すべきものでありましょうが、少くとも短期間において、最も大きな戦闘力を発揮しなければならぬ使命を持っている、こう考えられるわけです。そうすれば、私はそういう場合において果していわゆる民兵というような制度が、その一、二カ月の最も危急なときによく召集されて部隊を編成し、そうしてその侵略に対する防衛の行為に参加できるかどうか、これはこうした地上部隊使命から見てかなり難点があるのじゃなかろうか、こういうふうに思いますが、大臣はその点についてはどういうお考えでございますか。
  24. 杉原荒太

    杉原国務大臣 いわゆる民兵的なものがすぐ直接侵略に役立つということを期待することは無理だと思います。ただ後方におきまして、われわれの好まない事態が生じた場合においては、後方においてのいろいろの治安の問題で、いわゆる間接侵略というような危険などもなきにしもあらずであるから、そういう場合などには、あるいは今の民兵的なものも役立ち得るかもしれぬ。しかし、そういうものをどういうふうにやっていくか、こういう点はよく研究していきたいと思います。
  25. 大橋武夫

    大橋(武)委員 ただいまの大臣お答えによりますと、侵略の際に当って民兵主力部隊として防衛の任に当るのは困難である、従って後方における補助的な作戦に使用できる程度だろうと思う、こういうお答えであったわけであります。そうすると結局、民主党の諸君が主張しておられる民兵というものは、これは大臣のお考えによりますと、主力部隊としては考えられないものなのであって、まず主力部隊はやはり現在の部隊を拡張する以外にないわけです。そうなると民兵によって補充できる部分というものは、この全体の地上部隊増強計画から申しますと、きわめて小部分ではないかと思うわけなんです。そうなると、先ほど民兵の問題が解決しないから、従って陸上増強計画が完成しないのだ、こう言われておりますけれども、そうではないのであって、むしろ終局において、主力部隊としてどの程度部隊日本防衛に備えなければならぬかというような、根本的な問題がまだ未解決であるがためではないのでありますか。
  26. 杉原荒太

    杉原国務大臣 先ほど申しましたように、今の根本的な問題とか、それからいろいろな重要な問題があるのでありまして、従いまして、これらの点についてなお十分に検討を加えていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  27. 大橋武夫

    大橋(武)委員 それでは伺いますが、鳩山内閣成立いたしましてすでに半歳であります。この間において、一体防衛庁はこの民兵の問題についてどれだけの研究をなさって、そうして今日どういう結論に到達しておられるのですか。
  28. 杉原荒太

    杉原国務大臣 まだ結論に到達いたしておりません。こういう点は実はほかの問題とも関連いたしますし、まだ十分に研究を加えていく必要があると考えておる次第でございます。
  29. 大橋武夫

    大橋(武)委員 しかし政府は、すでに国防会議法案を今国会に提出いたし、これが成立したならば直ちに防衛計画を諮問する、こういう段取りになっておるにもかかわらず、この主力部隊としてどの程度のものが要るのか、それについて補助的役割を勤めるべき民兵問題一つについても、今日まで何ら研究ができていないということは、これはあまりにも怠慢ではないかと思うわけなのでございますが、何か御弁解がございましたら承わりたいと存じます。
  30. 杉原荒太

    杉原国務大臣 非常に困難なる問題でございまして、いろいろの面から検討を加えております。いろいろの御批評があるようでございますが、なおいろいろのことが関連いたしますのでまだ結論を得てない次第でございます。
  31. 大橋武夫

    大橋(武)委員 いろいろのことが関連してなかなかあなたのお力では結論が得られないということでございますから、私は特に要らない親切気を出しまして、このいろいろな問題を分解いたし、一つ一つの問題についてこの委員会質疑応答を通じて、少しでもあなたが結論を出すのにお役に立ちたい、こう思って質問をしておるわけなんです。そこで私は、民兵の問題だけでも何日かかってでもあなたに一つ結論を出していただきたいのですが、一体民兵の問題についてあなたはどういうお考えでありますか、また民兵とは何でありますか。
  32. 杉原荒太

    杉原国務大臣 先ほど民兵的なものと私は申しましたが改進党においては、地方防衛軍という言葉で言っておられたと思いますが、それをさしておるのであります。そういう点につきまして、これは名称をどう言いますか、たとえば地方防衛隊と言いますか、そういうものについても、改進党あたりの言っておられた案なども十分検討した上で考えていきたいと思います。
  33. 大橋武夫

    大橋(武)委員 今改進党と言われましたが、改進党なんというものは今ございません。改進党というものは、これはまずいというのでなくなってしまっておる。そういうようななくなった党派の、もとのまずいことになっておるそういうものまで研究しておったのでは、幾ら忙しがってやってみたところでとても結論には達しないと思います。それでは一体民主党は現在の民兵問題についてどういう主張をしておられるのですか。
  34. 杉原荒太

    杉原国務大臣 民主党においてもいろいろ御意見がございまして、元改進党で考えられておったいわゆる地方軍同一——全然同一のものかどうかわかりませんが、普通の正規の自衛隊のほかに、さらにごく短期訓練をした者をふやしたらどうかという御意見があるわけでございます。
  35. 大橋武夫

    大橋(武)委員 あなたは、御自分が入っておらなかった改進党の民兵のことはよく知っておられるが、現在自分の属しておられる民主党のその政策の方は、こういうことらしいということでばかに遠慮して言っておられますが、結局今あなたは、こうした問題についてあまり熱心に研究しておられないということになるのじゃないですか。民兵の問題について、あなたはそう言われますが、ほんとうにあなた自身がまじめに防衛庁の全機能をあげて研究しておられるのですか。
  36. 杉原荒太

    杉原国務大臣 研究しております。
  37. 大橋武夫

    大橋(武)委員 それではどの部局の何という人がどういう研究をいたしましたか。
  38. 杉原荒太

    杉原国務大臣 それぞれの担当の部局に命じて研究させております。
  39. 大橋武夫

    大橋(武)委員 それではそれを研究した政府委員から今日までの研究の結果を、大臣のお許しがあったら一つお述べを願いたいと思います。
  40. 林一夫

    ○林(一)政府委員 民兵制度につきましては、この春以来事務的に研究をしておるのであります。まずこの制度についてでありますが、外国においてはどういうことになっておるかということも一つ参考となるかと思いまして、——もちろん国内的にはどういうことをするかということを前提としての外国制度研究でありますが、まず外国制度研究からかかっておるのであります。現在までにわかりましたのは、米国の制度と英国の制度、それからスイス制度などでありますが、これも向うの大体の制度を現在入手し得るところの資料によって研究した程度でございまして、こまかい点はわからないのでありますが、大ざっぱなところは大体わかってきたのであります。こういう制度研究参考にして果してわが国国内でうまく実施できるかどうかについては、その対象をいかにするかとか、どういう訓練にするかとか、どういうふうにして募集するか、志願にするか——徴兵ということは全然考えられませんが、志願にした場合はどういう困難が伴うかというような点をいろいろと研究いたしておるのであります。しかしまだなかなかこうやった方がいいとかああやった方がいいとかいうところまでには至っていないのであります。現在までの研究程度は、主として外国制度に力を入れてやっており、それに基いて、果してわが国においてそれがどの程度実行できるかということをいろいろのデータについて研究はしておるのですが、まだはっきりその結論は出ておりません。
  41. 大橋武夫

    大橋(武)委員 その御研究の一端を一つお漏らしいただきたいと思うのです。私どもといたしまして、この民兵制度について一番関心を持っております問題は、この民兵というものが国土防衛においてどういう任務を与えられておるか、これがまず第一だと思うのです。そして組織のこととか何とかいろいろありましょうが、まず日本地上部隊増強計画をきめるという上からこの民兵制度を問題にするならば、全体の国防組織の中において民兵がいかなる任務を与えられておるか。——これについてはアメリカも強大なる地上軍を持っておるのでありますが、特に強大なる地上軍を持ちかねておるところのスイスあたりにおいてはどういう任務を与えられておるのでしょうか。
  42. 林一夫

    ○林(一)政府委員 スイスにつきましてただいまわかっておる点は、御承知のような、スイスの憲法は兵役義務を課しておるのです。また一方常備軍の保有というものは禁止しておるように聞いております。そういうわけで兵役義務はありますが、常備軍は保有していないということで、一応兵役義務を課しまして、一定の訓練をしてから帰郷しまして、これが予備兵力となって年に何回ずつかの訓練を受け、有事の際には動員するというような建前になっておるのであります。常備兵力としましてはきわめて限られた数でありまして、あとは一定の訓練を経て在郷というか帰郷をさせまして、これが予備力になって有事の際に動員する、こういうふうに考えております。
  43. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうするとスイス民兵というものは、これはスイスが、常備軍を置くことが国際的に困難であるから、そこで便法として常備兵にかわる民兵制度というものを設けたのだ、こういうふうな御研究の結果でございましょうか。
  44. 林一夫

    ○林(一)政府委員 どういうものを民兵というのか、その区別がはっきりしないのでありますが、兵役義務を課しまして、初年兵の学校に入り、百二十日間の基礎軍事訓練を受けます。それから帰郷いたしまして予備軍ということになります。それを民兵と申しますか、何と申しますか、私どもはそれを民兵とこの際解しておるのでございますが、そういうわけで一定の訓練を経れば帰郷する、それが有事の際に動員の予備力になり、常備の軍隊はきわめて少い。ただいま申しました訓練部隊とか、あるいは要塞の警戒隊とか、そういうふうなものであると承知いたしております。
  45. 大橋武夫

    大橋(武)委員 どうも伺っておりますと、それは短期訓練によるところの短期現役といいますか、現役期間は一年とか二年とかではないので。百二十日くらいですから三カ月ですか、その三ヵ月の短期訓練を受けたところの予備軍のようなものではありませんか。
  46. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私もそう思うのでありまして、初年兵の学校に入校いたしまして訓練を受けまして、これが帰郷いたしまして予備力となっておるというわけで、これを予備兵役の民兵と言えば民兵と申されましょうが、予備力である、こういうように考えております。
  47. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると大臣にお伺いしますが、大臣が地方防衛部隊民兵的なものとして御研究をお命じになっておりますものは、今のような短期訓練による予備軍を研究するようにおっしゃったわけですか。
  48. 杉原荒太

    杉原国務大臣 この短期訓練をした予備軍的なものと申しますか、いわゆる地方防衛隊というものは一体どういうふうな任務を与えるのが日本の場合適当かということは、これは各国でもいわゆる民兵的なものとしてどういう任務を課して、それがその国で実際に正規の部隊化の関係でどういう成果を上げておるか、その辺のところを実際に研究させて、日本としてどういうふうにするのが適当かということをまず一つ研究したい、こういう趣旨でございます。
  49. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると、大臣のお考えになっておられる地方防衛隊すなわち民兵的なものは、どうも雲をつかむようなものであって、こういうものが民兵である、こういうものを研究しろというのではなくて、何か民兵のようなものを研究してみろ、この程度のきわめて漠然たる御命令であったのではないかとただいまの御答弁から拝察いたさざるを得ない。これではいつまでたってもあなたの御期待されるような研究が終る時期があろうとは思われません。現に御命令によって当局において検討されておられるところのスイスのいわゆる民兵制度なるものは、これはわれわれが言うような民兵じゃない。これはつまり完全なる正規軍の一部であるところの短期訓練による予備軍と言わざるを得ない。あなたはもしこういうようなものを日本民兵制度として研究しようというのなら、それはもう研究の必要はありません。なぜならば、それが徴兵制度というものを根底として初めて成り立ち得るところの予備軍制度なんですから、そういうものを今日の憲法のもとにおいて民兵と称して研究したところで、これは何ら日本地上軍増強地上部隊増強計画参考にはならぬと私は思うが、いかがお考えでありましょうか。
  50. 杉原荒太

    杉原国務大臣 御意見でございますが、私必ずしもスイスの案をそのままとるということを予定しておるわけではございませんで、民主党内でもこの問題につきましていろいろ御意見のある方もでございますので、実は今後党の方ともともによく研究していきたいと考えております。
  51. 大橋武夫

    大橋(武)委員 この民兵問題につきましては、党の人の意見を聞かないとわからないそうでありますから、次会までに大臣は党の人の意見を聞いて、こういうものが民兵である、こういうものを研究するんだということを一つはっきり答弁されることを要求いたします。  次に陸上増強規模がなかなか決定しないから、そこで六年計画は立ちかねる、こういう御答弁でございました。この規模をきめるについて民兵問題というものがある、こういうお話だったんですが、結局正規の部隊増強という面からいえば、民兵というものによって相当正規の部隊の節約ができる、こういう意味で民兵問題をお考えになっておると思うんですが、節約するもとになるところの主力部隊としてどの程度防衛力が必要かという見当について大臣のお考えを承わりたいと存じます。
  52. 杉原荒太

    杉原国務大臣 これは先ほどもお答えしたと思いますが、その目標を数字的に実は今申し上げ得る段階に達していない次第でございます。
  53. 大橋武夫

    大橋(武)委員 大臣増強計画目標というものは、地上部隊についてはアメリカ軍の撤退を可能にし、そうして有事の際においては短期間内に米軍が来援せられる、それまでの防衛を絶対的に確保する、こういうことを目標にしてこの計画を立てられておる。そうすればそれについておおよそ兵力に換算すれば何個師団は必要だとか、あるいは何個師団以上は要らないというようなことは、大臣考えておられる常識としてもあり得るんじゃないかと思うんです。これを今何十何万何千要りますというきわめて詳細な数字を伺おうとは思いませんけれども、たとえば三十万くらい要るのであるか、あるいは二十万くらい要るのであるか、それとも十一、二万でいいのであるか、一体どちらなんですか。
  54. 杉原荒太

    杉原国務大臣 実はそういう点の見当をつけたいと思って研究しておる次第でございまして、まだそれを数で何万とか何十万とか、そこまで申し上げ得る段階に至っていない次第でございます。
  55. 大橋武夫

    大橋(武)委員 それでは今度のこの法律で地上部隊は一体何万になるんですか。
  56. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今回自衛官を二万名の増強をお願いいたしておる次第でございます。
  57. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると現在のと合せてそれは何万になるんですか。
  58. 杉原荒太

    杉原国務大臣 陸上自衛官が十五万になります。
  59. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうするとあなたの必要と考えておられる地上部隊というものは、十五万以下ということでは不十分だということは言えるんでございましょうね。
  60. 杉原荒太

    杉原国務大臣 そうでございます。
  61. 大橋武夫

    大橋(武)委員 それを十五万で十分だとお思いなんですか。
  62. 杉原荒太

    杉原国務大臣 十五万ではまだ十分であるとは思いません。
  63. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると来年も当然増加されますか。
  64. 杉原荒太

    杉原国務大臣 来年度につきましては自衛隊全体としていろいろの関係を考慮して決定したいと考えております。
  65. 大橋武夫

    大橋(武)委員 これは一体いつごろまでにこうした計画を決定したいというお考えなんですか。
  66. 杉原荒太

    杉原国務大臣 問題点が多いので非常に困難なことでございますがなるべく一つ早く済ませて——国防会議法案をお願いいたしておりますが、国防会議の実現を見ました上は、諮問することができるように一つ研究を進めていきたい、こう考えております。
  67. 大橋武夫

    大橋(武)委員 この防衛計画のむずかしい第三の理由といたしまして、地上軍増強のために必要な装備の供給について米軍からこれを受ける、その見通しが困難である、また装備として備えるべき武器の種類ですが、それの見通しが困難である、そのために計画が立ちがたい、こう言われたわけなんですが、装備がなかなかアメリカから来ないために増強ができないんだということになると、これは当然ある目標があってそうしてその目標部隊を作るためにはアメリカからこれだけの装備をもらわなければならぬ。ところがそれが来ないからなかなか何年に幾らふやすという具体的な計画ができないこういうことだろうと思うのですが、一体そういう意味なんですか。
  68. 杉原荒太

    杉原国務大臣 アメリカ側からの装備等の供与を受けますにつきまして、趨勢といたしましてアメリカ側の供与がかなり私は変化が起りつつあるように判断しておるのでございます。たとえば部品類等につきましては、従前から必要な車両、航空機等の部品若干分はずっとくっついてもらっておったのでありますが、こういうのをアメリカの方の方針といたしまして、部品等につきましてもどうしても日本で作れないものは——日本で国産可能なものにつきましてはなるべく日本で作るようにというふうな考えでおります。部品の今の供与につきましての向うの方針というものは、私は変ってきつつあるように考えております。
  69. 大橋武夫

    大橋(武)委員 いずれにしてもアメリカに装備を要求するとすれば、これだけの自衛隊増強したい、そこでこれに伴う装備をくれ、こういうことでなければ要求というものは成り立たないと思う。そうすればそのアメリカの供給が見通し困難だということは、とにかく十五万以上のある要求を前提として、初めて装備の供給が見通しが立たぬということが言えると思うのです。そうすればあなたはその十五万以上の計画というものを予定しておられるに違いないと思うのですが、一体どうなんですか。
  70. 杉原荒太

    杉原国務大臣 私の申し上げますのは今申し上げますように装備の供与を受けるにつきまして、アメリカ側外国に対する装備供与の方針にかなりの変化が起っておるのではないかというふうに、私は判断いたしおりますがその点を考えて申し上げた次第でございます。
  71. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると、それはある必要な部隊の限度をきめて、それを実現するについて年度割を作るに当って困難があるという問題であって、供与がむずかしいからということは日本国土防衛に必要な部隊の数を算定する上からいえば、これは無関係なことではないかと思うのですが、そうすると要するに民兵問題その他防衛庁の方で増強計画を立てられるについては、これはまだしっかりした研究をまじめにやっておらぬ、あるいはまたそうした点については全然専門的知識がなくて結論が出ないんだとかこういうふうなことの理由計画がおくれておると見てよろしいでしょうか。
  72. 杉原荒太

    杉原国務大臣 これは装備のアメリカ側の供与期待度というもの、これはそう長期にわたって正確にこうだということは向うとしても言い得る何がないわけであります。御承知の通り、毎年度予算を組みますから、それだから結局おおよその見当ということになるわけでございます。それにつきましても、これの傾向というものを大体判断しましてやっていくことが、日本財政負担、それからそれに伴ってそれがはね返ってこっちがどれだけ増強するかということがきまるわけでありまして、その辺の見当は、今現状のもとにおいて予測し得る限りの予想をできるだけ詳しくしてやっていく必要があると考えておる次第であります。
  73. 大橋武夫

    大橋(武)委員 この問題はこの程度にいたしまして、先ほど大臣の御答弁の中で地上部隊増強目標は、常駐するところのアメリカ軍の撤退である、そうして有事の際においてはその来援まで完全に独力で防衛し得るということを目標にして、地上部隊増強計画すべきである、こういう御答弁をいただいたわけでございますが、これは地上部隊についての問題でございましてその点は了承いたしました。次に、海上部隊について増強目標はいかなる点を目標として増強計画をお立てになりますか。
  74. 杉原荒太

    杉原国務大臣 海上につきましては、まず第一は日本海上交通、商船の護衛ということが一つ任務だと思います。それにつきましても、ごく近海のところ、それから外洋としまして日本の力でどういう距離まで一体やれるか。これは非常に遠距離をやるとしますと非常なるものを要しますし、どの程度まで護衛できるか。それから港湾、水道等固定設備その他の防衛、それから掃海ということが日本としては非常に大事なことだと思います。現在ですら、御承知でもございましょうが大戦中敷設された機雷の掃海ということ、まだ未掃海の部分が非常にたくさん残っております。終戦以来自衛隊におきましてずっと掃海の業務に従事しておりますけれども、これで約五、六千平方キロ掃海をいたしましたが、自衛隊の現有掃海能力をもっていたしますと、まだ少くともあとおそらく数年くらいは優にかかるというふうな未掃海部分もありまして、掃海ということも非常に重要な任務と思っております。
  75. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると、第一は護衛、すなわちコンボイ、第二は港湾、水道の守備、第三は掃海、これを目標にして増強計画を立てる、こう言われたのですが、そうなりますと、必要なる艦艇の数量、あるいは部隊の数を決定いたします要素として、港湾、水道というものはこれはきまり切ったものですが、護衛ということになりますと、こちらの商船隊がふえればだんだんに護衛もふやしていかなければならぬ。それからまた近海は全部日本海上自衛隊でやるのだが、外洋についてはどこまで日本海上自衛隊でやらせるかそれはまだわからぬ、こういうことです。それでは結局一番肝心な数量を決定する因子になるところの遠洋における日本商船隊の護衛をどの程度まで日本部隊がやるのかということをきめなければ、水上部隊増強目標というものは考え得られないと思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
  76. 杉原荒太

    杉原国務大臣 理論的にはお説の通りだと思います。ただ実際問題といたしましては、申し上げるまでもなく一方可能の限度ということ、ことに財政上の見地からいたしまして、一体どれくらいのものが要るか、そこに非常な制約があるわけでございまして、これは外洋につきましても非常に限られた部分になるものだと私は思っております。
  77. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると、可能の限度を越えた日本部隊の不可能の部分の護衛は一体どうなるのですか。
  78. 杉原荒太

    杉原国務大臣 そういう点につきましては、できる限り与国の支援というものを期待せざるを得ないことになると思います。
  79. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると、そういう有事の際におきまする遠方の護衛について、与国というと一体どこですか。
  80. 杉原荒太

    杉原国務大臣 アメリカを期待しております。
  81. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると、そのアメリカと何らか話し合いをこの問題についてやっておられるわけですか。
  82. 杉原荒太

    杉原国務大臣 まだそういうところまで至っておりません。
  83. 大橋武夫

    大橋(武)委員 大体アメリカ日本の商船隊まで護衛してくれるだけの余力を現実に振っておるとお考えですか。
  84. 杉原荒太

    杉原国務大臣 ある程度持っておると思います。その程度等はわかりません。
  85. 大橋武夫

    大橋(武)委員 これは持っておるか持っていないかは、単なる想像なんですか。そしてまたやってくれるだろうということを信ぜられる何か合理的根拠がおありでしょうか。
  86. 杉原荒太

    杉原国務大臣 一般的に申しまして、日本等極東に対するアメリカ側としての国防計画というんですか、そういうような基本方針的なものから推測いたして、実はそういうふうに推測いたしております。
  87. 大橋武夫

    大橋(武)委員 肝心な日本防衛力を決定するのに、単なる一個人の杉原君の推測だけが根拠になってこの計画がきまるというようなことは、どうも私どもには納得できないわけです。とにかく水上部隊の最大の任務が護衛である、こうお考えになる以上は、そういう際における護衛のやり方について、アメリカがやってくれるならばやっていけるのだという確たる取りきめのもとにこの目標というものをきめていただかなければ海上目標というものはどうも成り立ち得ないと私は考えるわけでございまして、今後そういう意味において目標をきめられるについては、この関係大臣はどういうふうに御処理なさりたい御希望をお持ちでございましょうか。
  88. 杉原荒太

    杉原国務大臣 これは今の問題のみならず、この防衛計画アメリカの支援の関係という点は非常に重要な問題でございまして、今御指摘のような点も確かにございますけれども、とにかく財政等の関係からしても、日本側としてまずどれくらいのものが大体増強し得るかというようなことについて、大体日本側としての計画、腹づもりといいますか、そういうものを立ててからでないと、具体的に向うとのこうだというふうな協定というようなことは、実際問題としてなかなかむずかしいだろうと私は考えております。
  89. 大橋武夫

    大橋(武)委員 アメリカはその与国に対しまして、船舶、商船の護衛の協定をしておる例がございますか。
  90. 杉原荒太

    杉原国務大臣 護衛そのものについて協定をしておるものを——私は、どういう協定ですか、それは存じません。
  91. 大橋武夫

    大橋(武)委員 私が、護衛の問題についてアメリカに期待しておられる大臣のお考え方について根本的に疑問を持つ点は、アメリカは、なるほど日本国土については、日米安全保障条約によってある程度の責任を負担する意思と能力を持っており、また責任をも持っておる。しかし護衛の問題は、これは国土防衛と全然無関係の問題なんでありますから、これについてアメリカの海軍力あるいは空軍力というものに依頼するという大臣の今のお考え方が、根本的に正しいと言えるかどうか、私は非常に疑問に思っている。そこで、もしそういうふうなことをアメリカに期待されるとすればアメリカ日本の希望をいれるであろうということをまず前提としなければならない。それならば、アメリカがすでに日本以外の与国に対して、戦時におけるそういう商船隊の護衛について責任を負うような協定をしておるかどうか、これを調べるということがまず第一に必要だと思うわけです。どうも今の大臣の御答弁によりますと、その一番先に調べなければならぬ肝心な点はちっともお調べになっておらぬらしい。そしてただ何とかアメリカがしてくれるだろう、こういう考えのもとにこれから計画をお立てになろうとしておる。私は、これではこの防衛長官にこの国土の安全をおまかせして国民として安心するわけにはいかぬ、こういう気持が非常に切実にいたしたわけでございます。この点について何か承わることがございましたら、どうぞお願いいたします。
  92. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今いろいろの御意見でございますが、私申し上げることはありません。拝聴しておきます。
  93. 大橋武夫

    大橋(武)委員 意見ではないのであって、あなたはそういう考え方で果してできるかどうかということ、そういうことでいいかどうかということについてのあなたのお考えを承わりたい、こういうことを申したわけであります。とにかく水上自衛隊の一番の使命海上における商船の護送である、こう言われておる。そしてそれは、できるだけは日本でやる、あとはアメリカがやってくれるだろう、こうあなたは言われる。それではアメリカがやってくれるという根拠はどとにあるか、これは一番の根本問題なんです。この点を特にお答えいただきたいと思います。
  94. 杉原荒太

    杉原国務大臣 日本側として、ことに外航の護衛についてどこまで護衛の能力を持ち得るかという点、これは、必要性の方は、たとえばアメリカとの関係におきましても、日本からサイパン、サイパンからハワイまで、ハワイからアメリカのサンフランシスコまで、こういうふうにございますが、日本の能力からいたしましては、サイパン付近まででもそうやさしいことではないというふうに考えておるのでございます。従ってサンフランシスコとそれからそれ以後のアメリカ航路の関係につきましては、実際問題としまして日本の能力としてはなかなかむずかしいだろうと私実は考えておるのですが、そういう点につきましては結果としてでき得る限りアメリカ側に期待せざるを得ないことになる。現実にそれでは直接の護衛というようなことがどれだけ期待できるか、その辺のところはなかなかむずかしいことだと私も考えております。
  95. 大橋武夫

    大橋(武)委員 次に航空勢力につきましては、日本においては、どういう任務日本航空自衛隊が当る、またどういうことはアメリカの空軍に頼む、増強計画を作るに当って、この辺についてある程度考えをきめておく必要があると思いますが、それについての大臣のお考えはいかがですか。
  96. 杉原荒太

    杉原国務大臣 航空につきましては、規模においても内容においても非常に限られたものにならざるを得ない、また本来日本は特に攻撃的な、外国に脅威を与えるような、そういうものを持つべきでない、全く防衛的なものでございますから、従ってこれを航空機に直接関連せしめて考えましても、航空機の機種等はもっぱら防衛のものに限られている、能力からしてもそうなると思っております。従って爆撃機とかそういうものは考えていないのであります。
  97. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると日本航空自衛隊使命は爆撃は全然ない、爆撃機はないわけですか。——そうすると主として偵察あるいは攻撃、こういうことでございますか。
  98. 杉原荒太

    杉原国務大臣 さようでございます。
  99. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そこでただいま大臣の言われましたように日本自衛隊の責任となるべき事柄、一応アメリカの責任に期待する事柄、大体分れてくるわけです。そうすると日本自衛隊アメリカ軍隊とは、常に日本防衛という共同の目的のために活動するわけでございますから、従いましてこの間におきまする共同作戦ということが当然考えられるが、この共同作戦をやっていくための組織、有事の際の組織というような点についても相当研究する必要があるわけであります。この点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。
  100. 杉原荒太

    杉原国務大臣 御承知の通り、行政協定の中には、日本区域において敵対行為が発生した場合、また敵対行為の急迫した事態が生じた場合について、日本国の防衛について両国政府が協議するという協議条項がございます。しかし今までそういう事態が起っておりませんので、まだこの協議条項の発動はないのであります。いまだそういうことについての協定はない次第であります。
  101. 大橋武夫

    大橋(武)委員 それじゃその次に、よく民主党内閣が六ヵ年計画ということを言っておられますが、防衛計画増強ということは、これは今の世界情勢から見ましてそうゆうちょうな仕事ではないと思うわけであります。そこで六ヵ年が五ヵ年・五ヵ年が三ヵ年、なるべく早くでき上ることが防衛という点だけから見れば望ましいわけですが、六ヵ年というのは一体どういう点から割り出したのですか。
  102. 杉原荒太

    杉原国務大臣 これは自由党では五ヵ年ということになっておりますが、今度私らの方は六ヵ年となっております。これは基本的にはある程度の長期の計画性を持たせたいというところから来ているのでありまして、ちょうど民主党内閣におきましては、経済の方面において六ヵ年計画を立ててやっていきたいということを考え、それとあわせまして大体国力の推移というようなものとの見合いをつけてやっていく、そういう趣旨で六ヵ年計画ということになっております。
  103. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると経済六ヵ年計画との見合いだと言われますが、なぜ経済六ヵ年計画は六ヵ年ときまっているのですか。
  104. 杉原荒太

    杉原国務大臣 その点は大体の長期的の計画を立てていきます場合に、あまり十年先とか二十年先とかでは…。そうかといってその辺のところは正確に、五といったって六といったってそうこまかく言い切れるものではなかろうと思います。大体のところを見当つけて、こうなったのではないかと思います。
  105. 大橋武夫

    大橋(武)委員 これはどうもとんでもない話であって、防衛計画が完成するのに五年でもいいのだ、六年でもいいのだというのならばこれは七年でも八年でもいいので、あえて六ヵ年計画というものを打ち出す必要はなくなると思う。今の大臣の御答弁は、私はそのままでは受け取れません。何なりともう少しまともね御答弁をいただきたいと思います。
  106. 杉原荒太

    杉原国務大臣 先ほど私防衛の六ヵ年計画ということにつきましての六年の意味については申し上げました。そしてさらに今度は経済六ヵ年計画の六というのはどうしたのか、こうおつしやいますので、これは私の言葉が精密を欠いたかと思いますけれども、六年という大体の見当で計画を立てていきたい、こういう趣旨のものだとお答えしたわけでございます。
  107. 大橋武夫

    大橋(武)委員 私は、なぜ六年かからなければ日本防衛が完備できないのかということを伺いたい。そこで六年計画の六はどこから来たのか、こう伺いましたらその六は経済六年計画から来たのだ、こう言われるから、それでは経済六年計画はなぜ六になっているのか、こういうことを伺ったわけであります。ですから経済六年計画関係なく、国防の六年計画というものがとういう事情で六年が適当なのだ、六年が一番いいのだということをおっしやれば、経済六年計画のことを私は承わろうとは思いません。しかしあなたは、防衛六ヵ年計画はなぜ六になっているのかというと、これは経済六ヵ年計画があるからだ、こう言われるので、それならば経済六ヵ年計画はなぜ六になっているのかということをどうしても伺わざるを得ないわけであります。
  108. 杉原荒太

    杉原国務大臣 これは自由党内閣時代からそうでありますが、独立国として国力に応じた自衛の体制を作り上げるということを基本方針としてきておるのであります。しかし一方、その間にあって、計画を立てるに当っての重要なことは、日本経済力、財政力、それの見通しというものに実際上は制約されるわけでありますから、そういう点につきまして大体六ヵ年くらいの見通しを立てまして、そしてその間に防衛力をどのくらいという、そういう計画を立てていきたい、こう考えておるわけであります。
  109. 大橋武夫

    大橋(武)委員 自由党は、そんな六ヵ年計画なんていうものを打ち出したことはございません。五ヵ年ということはよく言いましたが、六ヵ年ということを言った覚えはないのでありますが、大臣は一体その自由党の六ヵ年計画というものをどこでお聞きになりましたか。
  110. 杉原荒太

    杉原国務大臣 私自由党が六ヵ年とおっしゃっておるという意味で、そういうふうには実は申し上げておるのではございません。もしそういうふうにお聞き取りになりましたならば、それは間違いでございます。自由党は五ヵ年計画というものをお立てになったのであります。
  111. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると、大臣の説明によると、自由党は五ヵ年であった、民主党は六ヵ年になった、こういうわけですね。そうすると民主党は、そういう意味において自由党に比べて一年の長がある、こういうわけですか。
  112. 杉原荒太

    杉原国務大臣 長があるというのはどういう意味か私にはわかりませんが、そういうふうな意味ではございません。
  113. 大橋武夫

    大橋(武)委員 長があるというのは一年長いということです。
  114. 杉原荒太

    杉原国務大臣 それは一年長くなったわけであります。
  115. 江崎真澄

    ○江崎委員 関連して。防衛長官、これはあなたいけませんよ。やはりもうちょっと真剣に考えてもらわなければいけません。あなたが一番初めに防衛庁長官に就任せられてここに来られたときに、今までのように一年々々の防衛計画では困る、だから民主党内閣は六ヵ年計画というものによって、長期防衛計画を立てて、防衛力の漸増をはかっていくのだ、そういうことをあなた自分で施政演説さながらに、ここでおやりになったじゃありませんか。そのときにちようど今大橋委員から質問があったように、私やほかの委員からも、一体この六ヵ年のよって来たる根拠は何か、どうして六ヵ年というこの数字が出てきたのかということで、この委員会が紛糾した御記憶があるだろうと思います。そこでわれわれは委員長にあずけて、そして委員長は、その根拠は後刻明確に答弁するということにして、まあこれはおそらく経済六ヵ年計画ともきっと関連があるのでしょうと言って、あの紛糾の場面を委員長がいろいろととりなしてくれたわけです。あれからもう三カ月も四ヵ月もたっております。それを今われわれが承わると——あのときたまたま委員長が紛糾の場面を押えるために、きっと経済六ヵ年計画と関連があるという程度のものでありましょうと言ってにこにこしながら取りなされた。これは雑談的な一つの調整の言葉であった。それを四カ月もたってまたあなたが大まじめにここで言われる。大橋委員の今聞いておられるのは、大体六年という根拠はどこから出てきたかということであって、これははっきりしなければいけません。いつまでたっても何も示さずに、ただあらゆる角度からと言われるが、速記録を調べてごらんなさい。困ったところへくるとそういう言葉でごまかしていらっしゃる。それをごまかしでないとおっしゃるのならばどういう計画でその六という数字が出てきたのか。これはおっしゃった方がいいと思います。こんなことを言えぬようでは法律案の通しようがない。なぜ六ヵ年計画というものが出てきたか。この経済六ヵ年計画との関連性はどういうものであるか。六年たったあとはアメリカ軍地上軍だけは撤退するのであるか。およその見通しがあるはずです。具体的におっしゃっていただきたいと思います。これは大橋委員ばかりではありません。おそらく民主党委員の方でもその点についてはお聞きになりたいだろうと思います。どうかはっきりお答え願いたい。
  116. 杉原荒太

    杉原国務大臣 わが国が独立国にふさわしいある程度の自衛の体制を整えることは必要だと思いますが、今それが六年というのはどういうことか、こうおっしゃいますので、これは今わが国の独立国にふさわしい一つの自衛体制を作るとともに、それと非常に密接な関係があるわけでありますが、その間に少くともアメリカ地上軍の撤退ということは弾待し、その点は重要なこととして考えておる次第でございます。
  117. 江崎真澄

    ○江崎委員 それでちょっとはっきりしました。大体六ヵ年計画を遂行していく、その最終年度にはアメリカ地上軍は撤退する場面もあり得るということを重要な問題として御考慮になっておる、こういうことですね。
  118. 杉原荒太

    杉原国務大臣 そうです。
  119. 江崎真澄

    ○江崎委員 わかりました。
  120. 大橋武夫

    大橋(武)委員 地上部隊増強の最終の目標米軍地上軍の撤退だ、これは私それでいいと思う。ただそれがいつごろやられるつもりであるかということで、六年というのはどうしてできておるかということを承わりたいと思うのですが、経済六ヶ年計画ということになると、この経済六ヵ年計画にしてもまだきまった問題ではない、おそらくこの国会中にはきまらないでしょう、この国会が済んで来年の国会になれば、今度は一年たったのだから五ヵ年計画にならなければならないのだが、おそらく今のあなたの言葉を聞いておりますと、来年になれば七年計画、八年計画になるのではないかということを心配せざるを得ない。一体六年ということについてあなたは責任が持てるのかどうか、そうしてまた根拠があるのかどうか、ないならばないとはっきりおっしゃい。どっちか一つはっきりした御答弁をいただきたい。
  121. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今政府として考えておるところは六ヵ年の計画でございます。
  122. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると、政府としては閣議でもって六ヵ年で地上軍の撤退をさせるような防衛計画を作らなければならぬということを決定しておられますか。
  123. 杉原荒太

    杉原国務大臣 駐留軍の撤退につきまして特に閣議においてその時期をはっきり決定するというものではないと私は思いますので、そういうことはやっておりません。
  124. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうではなく、経済六ヵ年計画なり、あるいは防衛六ヵ年計画なり、そういう計画は六ヵ年に完了すべきものであるということについての閣議の決定をしておられるかどうかということを承わっておるのです。
  125. 杉原荒太

    杉原国務大臣 私の理解しておりますところでは、今国会に出しておりますのは、六ヵ年計画の、経審で作った一つの構想ということで、そしてこれは六ヵ年間においての望ましい一つ目標というものを示しているという趣旨のものだと思うのです。その点につきまして、あの構想につきましては、国会に提出するについての閣議の了解だったように私は記憶しております。
  126. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そうすると、六ヵ年計画というものを、経済についてもいまだ閣議決定はない、こういうわけですか。
  127. 杉原荒太

    杉原国務大臣 六ヵ年計画そのものについては、私はそういうことはないように思います。
  128. 大橋武夫

    大橋(武)委員 こういう状況では、日本防衛の完備ということが一体いつになればできるか、まことに大臣の御答弁は心細い限りでありますが、しかし事実そういうだらしのない状態にあるのですから、これ以上追及してみたところで、急にできるものでもないと思いますから、六ヵ年の問題はその程度にいたします。  今年度において自衛隊陸上部隊海上部隊また航空部隊に対するアメリカからの器材、燃料、弾薬等の受け入れ数量の見込みがありましたら承わりたいと思います。これは政府委員からでけっこうでございます。
  129. 久保龜夫

    久保政府委員 主要なものの数量と金額を申し上げます。  陸上自衛隊、第一に火器類でございますが、これは大小取りまぜして十七万、金額にいたしまして、これはいろいろな資料で価額を推定いたしまして、さらに再用品ということで六割程度をかけておりますが、三十七億余り。それから特車類が、数量は二百二十五、金額は約二十八億、車両類、これは六百十六、三十三億、それから通信機が四千万、合計いたしまして九十八億、これが陸上自衛隊でございます。  海上自衛隊関係は、艦艇が潜水艦一隻、これは推定価格十八億。  航空機の関係が、実用機がF86Fが五十四機、C46が六機、PZVが二十四機、PBYが六機、小型対潜機が十二機、以上合評百二機で、推定価格は百十九億となっております。ほかに練習機が、T33を五十機、T6Gが八十四機、合計百三十四機、金額にいたしまして約二十五億、航空機が合計百四十四億、かように相なっております。  合計いたしまして約二百十六億でございます。  燃料は米軍からは供与を受ける予定はございません。弾薬につきましては、大体一年分の通常消耗量一万トン程度の供与を受ける見込みであります。金額にいたしますと、一万トンで約五十億見当になるかと思います。
  130. 大橋武夫

    大橋(武)委員 各自衛隊がその機能を発揮いたしますために、弾薬、燃料、武器、車両等を、必要な際のために貯蔵することは、当然必要だと思います。この貯蔵の状況は現在どういうことになっておりますか。
  131. 久保龜夫

    久保政府委員 貯蔵につきましては、物によって違いますが、第一に弾薬、これは陸を主として申し上げますと、六月末現在で、各弾種合せまして約十四万トン弱、これはほとんど全部米側の供与によるものであります。それから燃料につきましては、これも自動車、航空機、艦船等、いろいろございますが、合計いたしまして年度末で七万一千キロリットル、これは物によって違いますが、三カ月ないし六カ月支える程度でございます。備蓄はさようなことになっております。
  132. 大橋武夫

    大橋(武)委員 これは侵略に際して防衛の任に当る場合に、現在の規模自衛隊としてどの程度のものを備蓄する必要があるのか、そうしてどういう計画で必要量まで備蓄していくのか、そういう計画があるか、これを承わりたい。
  133. 久保龜夫

    久保政府委員 大体弾薬もしくは武器等につきましても、有事の場合の備蓄ということは若干考えておりますが、大見当三カ月程度考えております。
  134. 大橋武夫

    大橋(武)委員 その三カ月はすでに備蓄済みですか。
  135. 久保龜夫

    久保政府委員 弾薬の例はただいま申し上げた通りでありまして、武器等につきましては、三十年度の供与期待の中におおむね入っております。ただ日本側で調達いたします燃料、石油等につきましては、今のととろ、先ほど申しました数字は一応平時の使用量でありまして、まだそこまで参っておりません。
  136. 大橋武夫

    大橋(武)委員 この増強計画もけっこうですけれども、特に防衛庁とせられましては、現在あるところの部隊防衛能力をできるだけ完全ならしめることが最も必要だと思うわけです。このためには、どうしても必要な器材なり、車両なり、燃料なり、弾薬というものについて平素から備蓄の計画を立て、そうして一定の期間内にすみやかにその備蓄を完了しておく。それでなければ有事の際の機能が発揮できないと思う。そういう点において特にこの問題については当局としても御留意いただきたいと思うわけでございますが、こうした備蓄計画は、大体いつごろまでに完全な備蓄を終るお見通しででざいましょうか。
  137. 久保龜夫

    久保政府委員 ただいま申し上げましたように、弾薬、武器等については、三十年度は大体一応所要の備蓄はできるんじゃないか。燃料につきましては、毎年度少しずつ備蓄量を増加いたしておりまして、一方、タンク等の増設がようやく本年度あたりにかけて完成いたすというようなことでありまして、ただ予算の関係その他で今明年中に弾薬等と同じような割合で有事の際の備蓄を持つということはここ一両年ではちょっと困難かと存じておりますが、できるだけ早くそれに並行していたしたいと考えております。
  138. 大橋武夫

    大橋(武)委員 次に大臣から明年並びに明後年における陸上海上航空部隊増強計画を伺いたいと思います。
  139. 杉原荒太

    杉原国務大臣 来年及び再来年におきましても自衛隊といたしまして若干の増強は必要だと考えておる次第でございます。まずさしあたり来年のことでございますけれども、これにつきましても実は三十年度の増勢の計画、それに伴う予算及び法案等もまだきまっていないような状態でございまして、せっかく検討中でございます。
  140. 大橋武夫

    大橋(武)委員 まだ残りの質問がございますけれども、ちょうど福島長官がお見えになりましたから……。     —————————————
  141. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 それではこれより駐留軍基地問題について発言を求められておりますので、この際これを許します。中村高一君。
  142. 中村高一

    ○中村(高)委員 昨日の立川飛行場の基地問題につきまして、調達庁の測量班と現地の住民との間に混乱が起ったように、新聞にも伝えられておりまするし、また負傷者も出たようになっておりますから、調達庁長官と、あと法律的な見解につきまして法制局長官とに承わりたいのでありますが、昨日の事故について調達庁の方にはどんな報告が来ておりますか。要点だけを御説明願いたいと思います。
  143. 福島愼太郎

    ○福島政府委員 昨日、御指摘の通り、立川飛行場拡張予定地の一部について測量を開始したわけでございます。御承知の通りに、立川飛行場の拡張予定地に立ち入りたいという問題は、法律上の手続はいたしておりますが、しかし常にこういう調査は所有者の了解を得てからの方が希望せられる事態でありますので、法律上の手続は済んでおるけれども、了解というところまでまだ行かない問題でありますので、さしあたり道路だけ、公道だけの調査にかかったわけであります。東京調達局の矢崎次長以下職員十三名は、昨日——六月三十日でありますが、午後三時三十分から砂川町の都道四号線四番、五番区間におきまして測量を開始したわけであります。その道路上には二百名ばかりの群衆、応援共闘団体と思われるわけでありますが、集合せられており、測量作業に対し相当な妨害がありました。群衆はスクラムを組んで押した結果、トランシットが倒れ、矢崎東京調達局次長は顔面に五日間の療養を要する傷を受けたわけであります。また群衆はスクラムを組んで測量従事職員を道路側の有刺鉄線の方に押しつけましたために、職員中一名、大和田敏郎と申す者が右手に三日間の療養を要する傷を受けたわけです。また測量用のテープを踏みにじる等測量の続行を不可能に陥れられましたので、辛うじて木のくい四本を打っただけで約二十分後に作業を中止したわけであります。この測量に当りましては事前に道路交通取締法の規定に従いまして、立川調達事務所長の名義をもって、所轄立川警察署長から測量くい打ち等の許可を取りつけてあります。当日の測量を実施したのは許可区域内の公道上にとどまるものでありますから、東京調達局のとった措置は適法なものと考えておるわけであります。
  144. 中村高一

    ○中村(高)委員 ただいま長官の説明によりますと、道路を測量したのであって道路の使用については手続済みであるから、道路を測量することに違法はないという御説明でありましたが、おそらくこの道路の測量ということも飛行場拡張計画一つであって、道路自体が直接の目的で道路自体だけ拡張するとか、道路自体を改修するとかいうようなことは調達庁の事務ではないのでありまして、これはそれぞれ建設省なりあるいは東京都なりが行うべきことでありまして、今回の測量は道路をやったと言っておりますけれども、その道路は飛行場拡張事業の一環としてやられたのであって、道路をやることは合法的だと言っておりますけれども、むろんこれは道路自体の問題ではないと思います。それはどうでありますか。
  145. 福島愼太郎

    ○福島政府委員 もちろん飛行場拡張の一環として道路の測量をいたしたのでありまして、お説の通り飛行場拡張のために測量をいたしたことに間違いはございません。しかしながら何のためにやりましても、道路は道路でございますので、これは公道であるということでございます。つけ加えて申し上げますならば、立川の拡張計画の中の最も難点はその拡張計画が道路にかかるという点が眼目でございます。道路を測量するということが立川飛行場問題の眼目でございます。
  146. 中村高一

    ○中村(高)委員 長官の答弁によりましても明らかなように、飛行場が道路にかかるということが結局町を二つにぶち切られてしまって、交通もできなくなるというところに町民の非常な悩みがあることは明らかでありますが、この飛行場拡張計画について法的ないろいろの手続についてまだ十分尽しておらぬのでありまして、長官もできるだけ住民との間に話合いをつけて調整をしようとする努力のあることは私たちもよくわかるのであります。しかしこの場合どうしても土地を奪われることに対しては反対だという場合において、長官としては強権を発動するんだというのでありますが、それについては法的に不十分なる状態において強権を発動するというようなことは、これはいかにも調達庁としてやるべきことではないと考えておるのでありますが、法的に現在においては御承知のように、町長がなすべき規定でありまするところの告示も住民に対する通知もせないのであります。結局個々の占有者はそれは新聞や何かで知らないはずはないというけれども、あるいは新聞で見て知っておるかもしれませんけれども、そんなことは占有者に法律的には知ったとは言われないのでありまして、土地収用法の規定からいきまするならば、占有者には通知をするか告示しなければならないというふうに明確に規定をされておるのでありまして、それを、知っているだろうというようなことでは断じてできないと思うのでありまするけれども、今後もこういうような手続の完了しないままに、昨日の道路をやったような調子でさらに続行するということは、やはり事態を悪化させるものだと思うのでありますが、長官は、道路を合法的にやっただけであって、その他のことは合法的な法律上の手続ができるまでやらないというのでありますか、どうでありますか、その点をはっきりしておきたい。
  147. 福島愼太郎

    ○福島政府委員 道路を合法的にやったつもりなのでありますが、それも道路から追い出されてしまいましてどうにもならないわけであります。しかしながら今後も道路から始めまして、全般の調査をしたい。そういたさなければ、あの道路にかかるという拡張の計画を、いかような別案があり得るかというようなことにつきましても、全く案も立ちませんし、まだ引き続き道路の測量を要する面が多々ありますので、これは本日も続行しておると思いますが、やりたいと思っております。なおそれ以外に一般の所有地につきましても、これは道路の済むまでに若干の余裕もあるわけでありますので、さらに話し合いがつくような努力は続行いたしたいと考えておりますが、引き続きやる意思はございます。その際御指摘のございましたような、法律上の手続が完了しておらないというお話でございますが、私どもは法律上の手続については遺漏はない、適法である、また一般民有地に立ち入っておりませんけれども、民有地の問題になりましても適法性は十分にあると考えております。それは町長の公示があるないというところに分れるわけであります。私ども国といたしましては、収用法の規定に基きまして、準備のための立ち入り、調査については、都道府県知事の許可を受ける必要がなくて、ただ立ち入ろうとする土地等の区域及び期間等を知事に通知すれば足りるのでありますから、調達局長の立ち入り権は、知事に通知をしたときに生ずると解されるのでありまして、調達局長の通知に基きまして知事が公告したときから、土地の占有者は立ち入りを受け入れる義務が生じておるものであります。従って調達局長が収用法に基きまして市町村長に立ち入り通知をした後は、市町村長が土地の占有者に対し通知とか公告いたしませんでも、調達局長は、八条の規定によります証票等を携帯して立ち入り、調査することができるものと考えております。
  148. 中村高一

    ○中村(高)委員 今の点は土地収用法の十二条の規定でありましょうが、これに対して法制局長官にも、今の調達庁長官と同じ解釈かどうか御答弁を願いたい。
  149. 林修三

    ○林(修)政府委員 お答えいたします。結論としては大体同じことになるわけでございますが、御承知のように、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法という法律がございまして、いわゆる駐留軍に提供する土地の使用に関しましては、この法律の適用を受けておる。この法律は、御承知のように、第十四条で大体法律に特別の規定がない限りは土地収用法を適用することになっております。従いましてこの事業の準備につきましては、土地収用法の第二章の規定が適用になるものと考えるわけであります。これにつきましては、この十一条の規定に基きまして、国が起業者である場合には、事業の準備のための土地立ち入り、調査につきましては、都道府県知事の許可を受けることは要しないで、その立ち入ろうとする土地の区域及び期間を都道府県にあらかじめ届け出でればよいことになっております。その届け出でた場合には、十一条の三項によって、その起業者またはその委任を受けた者は、その土地に立ち入ることができることになっております。第四項では、同時に都道府県知事はそういう通知を受けた場合には、その土地の区域及び期間をその土地の占有者に通知し、またはこれらの事項を公告しなければならないということが書いてある。今問題になっている点は、こういう手続は一応調達局としては済んでいることと今私伺ったのですが、問題は、十二条の、そういう十一条三項の規定によって入ろうとする場合には、その五日前までに日時及び場所を市町村長に通知しなければねらぬ。市町村長はその通知を受けた場合には、その旨を土地の占有者に通知し、または公告しなければならぬというこの規定との関係だろうと思うわけであります。私どもの考えといたしましては、この十二条の一項、二項の規定は、この土地の立ち入りあるいは測量調査をより円滑にやるために書いた規定であると思います。いわゆる土地の立ち入り権の問題は、この十一条一項から四項までの規定で尽きているのではないか、かように考えるわけでございます。従いましてこの十二条の規定の手続をかりに市町村長が行わなくとも、十一条の一項及び四項の規定で手続が済んでおれば、十一条の三項の規定によって立ち入りができるものと考える。それは結局十三条で「土地の占有者は、正当な理由がない限り、第十一条第三項の規定による立入を拒み、又は妨げてはならない。」と書いていることからもうかがわれるわけでありまして、十一条の規定の手続が済んでおれば立ち入りはできる。ただそれをより円滑にやるために地元の市町村長にも知らせる、そういう意味でこの規定が置いてあるものと思うのでございますが、立ち入りはできるのではないかと考えております。
  150. 中村高一

    ○中村(高)委員 いやしくも法制局長官ともあろうものが、土地収用法という法律があって十二条にちゃんと規定のあるものを、何か円滑にやるための注意のためにある規定のようなことを言うことはもってのほかだと思うのであります。いやしくも法律は、町会の通知や何かじゃあるまいし、自分都合のいいように、その方が便宜だというような、そんなばかな便宜的に自分都合のいいように解釈することはもってのほかだ。もし法律をあなたが必要ないというならば、堂々と改正するなり何かするならいいが、この法規の上には、市町村長は土地の占有者に通知し、または公告しなければならないとあって、そうしなければならないという規定を、通知した方が都合がいいのだというように便宜的に解釈することは、いやしくも法制局長官として、そんなことは許さるべきことではないと思う。もしそういうことについてあなたがそんな勝手な解釈をして他人の土地を奪い去るというようなことだったら大問題だと思う。法律を改正するとかなんとかすればいいが、厳として法律にしなければならないとあるものをしないで、便宜的なその方が都合がいいというようなことで出かけてくるから、問題が起るのだろうと思う。これはむしろ調達庁の長官としては、なかなか中にはさまって苦しいということはわかるのです。一方はアメリカから責められる。地元からはいやだと言われる。あなたの立場はわかるけれども、法制局長官は法律の番人でありますから、それがどうも困っているから、都合のいいように解釈したり何かするということはもってのほかでありまして、もしあなたが考えるように、どうでもいいならば、この十二条は削除するか、あるいは何か法的な措置を講じなければならぬ。厳としてある法律をあなたは適用しなくてもいいという暴言をお吐きになるかどうか。
  151. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ちょっと関連して。今の中村先生の質問に合せてお答えいただきたいと思うのですが、十二条の手続が欠除している、こういうことは十三条の「土地の占有者は、正当な理由がない限り、第十一条第三項の規定による立入を拒み、又は妨げてはならない。」という場合の正当な事由に入りませんかどうか。これは十二条であなたのお説に従って注意的な規定であったとしても、これは土地の占有者その他を保護するための規定であることは当然誤まりないと思うのです。この手続が行われていない限り「占有者は、正当な理由がない限り」というこの正当の理由に入る、十二条の手続が欠除せられている限り、その立ち入りを拒絶することができる、こう解釈するのが少くとも法律の常識だと思うのですが、この点も合せて御答弁願いたい。
  152. 林修三

    ○林(修)政府委員 私決して勝手宏解釈をしておるわけではございませんので、十二条は、もちろん市町村長は都道府県知事からこういう通知を受けました場合には、その通知を受けまして、土地の占有者に通知し、あるいは公告する義務はございます。もちろん義務があることは当然でございますが、私の申し上げましたのは、第、十三条で土地の占有者の受忍の義務は十一条を受けております。十一条の手続が済んでおれば、その土地の立ち入りは調達庁の方はできるし、相手方は正当な理由がない限り受忍しなければならない、そういう手続になっておる、そういうことを申し上げたわけでございます。この規定の解釈は、別に私勝手にいたしたわけではございませんので、この土地収用法立法当時からそういう考え方でこれはできておると私思っております。  それから土地の占有者の権利の保護に欠けるところがあるじゃないかというお話でありますが、これは当然十一条の四項によりまして、都道府県知事も土地の占有者に通知をすることになっておる、そういうこともあるわけでございますから、十二条はさらにそれをもう少し慎重にする意味で市町村長に通知する、市町村長も公告をしなければならない、もちろんこういう義務を市町村長に課したわけではございますけれども、これが直ちに占有者にとって立ち入りを拒否する原因にはならない、こういうことでございます。  今、飛鳥田先生からおっしゃいました正当な理由云々でございますが、これはやはり個別的なケースで考えなければならない問題かと思いますが、十二条二項による通知を受けておらないというだけで直ちには普通の場合にはならないのではなかろうか。そこに立ち入りにきた職員が、たとえば証票を持たない、あるいはほんとうの職員かどうかわからないという場合には、もちろん拒否するというようなことも正当の理由があるという場合になりましょうけれども、単に十一条四項の通知は受けておるけれども、十二条二項の通知を受けておらないというだけでは、直ちに正当な理由にはならないのではないか。これはいろいろ、そのときの個別的な事情によって多少変ってくると思いますが、一般的にはそう言えるのじゃないかと思います。
  153. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 十一条を正当な理由に入れて、十二条を正当な理由に入れないという根拠が、私たちには全然わからないのです。条文としては同列だと思うのです。知事の通知と町長の通知、こういうふうに段階を追って行くべきであって、これは少くとも同価値のものを持っていると考えなければならないことは当然です。しかも知事の通知、町長の通知というふうに二つに分けて考えるべき筋合いのものではありません。一つの手続として、ここから始まってここに終るという一連の手続です。これはどのほかの法律を見ましても、手続というものは順序を追っていくものです。その中のどれだけが重要で、どれだけが重要でないという価値判断はできない、一連の法律行為ですから。その一連の法律行為の中の一つが欠けているということは歴然と正当な理由に入るものだと私たちは解釈せざるを得ないのですが、この点についてもう一度、なぜ十二条が正当な理由に入らないのか、十一条が入るのか、そしてそれは立法当時からそうだとおっしゃるなら、立法の当時の審議の議事録でもお示しいただいて、立法者の意思は十二条は入らぬということを一つ明確にお示しいただきたいと思うのです。そうでありませんと、これはあなたに対しては釈迦に説法ですが、土地収用法というものの精神が根本的にくずれてしまうわけです。かつての土地収用法は、ほとんど収用者側の職権的な手続で行われておった。それが終戦後そういう職権主義的な手続ではいけない、民主的に、収用を受ける側の立場も考えていかなければいかないということで、これは一種の相互契約的な形で双方対等な形で取り上げるということに、土地収用法がそういう精神のもとで変えられたはずです。そういう立法精神から照らしてみれば、十二条の通知が行われていないということは当然占有者の正当な理由に入る。今、たとえば立ち入る人が証票を持ってこなかった、従ってそういう場合は拒絶できる、こういうお話ですが、しかしかりに証票を持ってきましても、法律の明確に定めている手続が一つ欠除している以上は、その証票に対して疑いを持つのは当然です。かりに持ってこられても、おれは町長さんから通知を受けてないんだから、これはにせものじゃないか、こういう疑いを持つことに少くとも合理的な理由があると思う。こういう点から考えてみても、これは正当な理由に当然入るものだと思う。これはここで便宜的に今調達庁のやられることを弁護しようという形ではなしに、土地収用法の解釈の問題として、今後の日本を全部規律する重要な問題ですから、一つ明確にお答えを願いたい。
  154. 林修三

    ○林(修)政府委員 決して便宜的な解釈をしておるつもりはないのでございます。今おっしゃいましたけれども、結局この土地収用法は、公共事業をやるための国あるいは起業者の公共のための必要性と同時に、それによって土地を使用されたり収用されたりする土地の所有者あるいは占有者の権利の保護、この両方をいかに調和させるかといういろいろな手続を技術的にきめた法律でございます。従いまして当事者の権利を保護するための規定は、もちろんその通りに手続を行わなければならないことは当然でございますが、私先ほどから申し上げましたことは、結局この事業の準備のため、つまりこれは事業の使用手続にはまだ入っておりません、事業の準備のための調査でございますが、事業の準備のための調査につきましては、立入権は十一条の規定によって発生するので、十三条はそれを受けて、その場合には正当な理由がない限り、土地の占有者は受忍しなければならないと書いてある。従いまして十二条でもちろん市町村長は義務を課せられておるわけでございますが、その手続が欠けたからといって、直ちにそれが片一方の立入権をなくするものではない、こういうふうに私先ほどから申し上げたのであります。正当な理由があるかないかは個々の場合によって判定しなければならないことでございますが、一般的には今言いましたことからいたしまして、十二条の手続を市町村長が怠ったというだけで直ちに正当の理由があるということにはならない、そう解釈すべきものだろうと私どものは解釈しておるわけであります。当事者の権利保護は、十一条の四項の規定によりまして、当然通知もありますし公告もあるわけであります。一応法律はそれだけを予定しておるのであります。そういうふうに考えます。
  155. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今のお話は全然ポイントが違っていると思うんです。準備のためであるからこれは許される、こういうお考えですが、準備のためであろうと実質的にやるためであろうと、立ち入りを受ける側は、立ち入りを受けるという点については同じなわけです。だからポイントを起業者の側にだけ置いて考えてはならない。少くともポイントを起業者と立ち入りを受けるという両方の側に置いて考えなければならぬわけです。準備のためだからよろしいとおっしゃるのなら、これは立場を起業者の側にだけ置いているわけです。どんな形であろうと、立ち入りを受ける側は同じです。少くとも自分の占有しているところにずかずかと政府のお役人なり起業者なりが入ってくるという点においては同じです。どろぼうが入ってこようが、友達が入ってこようが、入ってくるという点は、その人の意思に反している限りは同じです。こういう点で少くともポイントを両方に置いて一つ考えをいただきたい。こういうふうにぼくは考えるわけです。私だけ質問して中村先生のじゃまをしますから……。
  156. 中村高一

    ○中村(高)委員 今飛鳥田君との問答で、あなたはまことにどろも十二条を自分都合のためには全く抹殺して、十一条からいきなり十三条にいこうという、きわめて驚くべきやり方をしておられるのですが、こういう場合に地方自治法をごらんになればわかるように、市町村長が政府の命令に基いてこういう公告とか通知をしない場合には、ちゃんと規定があるのじゃないですか。たとえば罷免をすることもできるというし、あるいは知事が代理執行することもできるというし、裁判を起せるという規定もあるし、命令をするという規定もある。やらなければ断然たる処置ができるという規定さえあるということを考えてみれば、おやりになったらいいじゃないですか。市町村長が言うことを聞かないならば、ちゃんと罷免までもできるというくらいに規定があるのに、あなたの方はこの規定を便宜的な規定だなんといういいかげんなことを言わないでもらいたい。この規定は強行規定です。便宜的な規定だなんということを言うてごまかしておってはとうてい問題の解決はできないと思います。この地方自治法の強行的規定によって、こういう場合に法制局長官、できるのではないですか。
  157. 林修三

    ○林(修)政府委員 私は十二条二項を便宜的規定と申し上げたわけではございません。これは当然市町村長がそういう義務を課せられておるわけであります。しかし手続からいえば、十三条は十二条の二項の公告または通知がなくてもできるのだということを申し上げたわけであります。十二条の二項が便宜的な規定だということを言ったわけではないのであります。市町村長はそういう義務を課せられております。従って市町村長がそういった義務を怠った場合、これは国の機関委任の事務であろうと私も思いますが、その場合には、地方自治法の規定はもちろん働くわけであります。それと今の立ち入りの手続とは、先ほどから私の申しますように、別問題であります。十二条の二項の規定がなければ、十三条の方のあれがないということとは、先ほどから申し上げておるように、これは別問題でございます。
  158. 井上良二

    井上委員 きわめて重要な法的根拠の問題について、専門家である法制局長官が御答弁をされておりますが、これは事業の準備に関する手続を規定してあるのです。それであなたは、その手続だけは法文上はずれてもいいと言うが、そんな都合のいい解釈がありますか。それならこれは施行規則か何かできめておくことであって、そういう場合なら、法律的性格は持っておっても、多少融通はきくということがあるけれども、法文としてはっきり規定してあるものを、そんな都合のいい、いいかげんな解釈をやられた日には、一体所有者の権利というものはどうなりますか。憲法で保障されておる所有権は一体どうなるのです。そんなむちゃくちゃなことを言われてはたまらない。そうでしょう。あなたはそう考えませんか。そこまで考えてもらわなければ困る。
  159. 林修三

    ○林(修)政府委員 もちろん憲法第二十九条の財産権の保障ということは、当然のことでございます。またこの事業の準備は、財産権の問題と直接ではございませんが、結局基本的人権の保障あるいは住居の不可侵というような問題と相関連する問題だと思います。従ってその手続が慎重でなければならないことは、当然おっしゃる通りでございます。従ってこの二章の第十一条の規定も置いてあるわけであります。またそれをスムースにやるために、市町村長に十二条の義務を課しておるわけであります。しかしながら当事者と起業者側の間の問題は、私どもの解釈としては、この十一条の問題であって、これによって当事者の権利保護のための手続は一応これでいいのだ。この手続が済めば立ち入りはできるものだ。これは十三条と十一条の規定を照し合せて考えれば、そういうふうに解釈される、こういうふうに申し上げておるわけでございます。十二条の手続は市町村長には義務でございますが、これがないからといって、直ちに立ち入り権はないのではないと、かように言っておるわけでございます。
  160. 井上良二

    井上委員 それはここではっきり規定してあるように、市町村長にその行使の義務が課してあるのです。あなたのおっしやるように、調達庁長官とかあるいは府県知事とかいうものには立ち入り行使の義務は課してない。いついつからお前の土地に入るが一つどうだということを、五日前に通知をして、そこでなかなか住民も言うことを聞かぬという場合になって、初めて行使の標札を立てて、いついつから立ち入り調査をすることということを住民に知らすということにならなければならぬのです。調達庁長官も知事も、そういうことを住民に知らす何らの規定がないのです。ただ規定のありますのは、ただいま問題になっておるこの市町村長が所有者に対して、こうこう言うてきたから一つ調査をやらすからという行使権がここに規定されてある。この行使権を飛び抜けてそんことをされたらたまったものじゃない。いつの間にそういうことがきまったか、住民も所有者もちょっとも知らぬ。知らぬのに法律だけあるんだというようなむちゃなことを言われてはたまったものじゃない。お前さんは百円札を持ってるだろう。おれはとる権利があるんだ。そんなむちゃなことを言われてもどうにもならない。あなた十二条を飛び越えたらいかぬよ。
  161. 林修三

    ○林(修)政府委員 決して十二条を飛び越えているわけじゃございませんで、これは調達庁長官ももちろんこの十一条の規定に従って、一定の手続上の義務を課せられているのでありまして、都道府県知事に通知しなければいけないことになっております。また都道府県知事は、その通知を受けた場合には、土地の占有者に通知もしますし、公告する義務も課せられております。また地元の市町村長に通知をする義務も課せられております。そういう義務は調達庁長官も都道府県知事も負っているわけでありますし、市町村長は、そういう通知を受けた場合には公告する義務を負っているわけであります。義務を課せられている点においては、内容は違いますがみな同じでありまして、手続上はそういうふうにきまっております。私が先ほどから申し上げている点は、結局十一条、十二条、十三条の規定を全部読めば、いわゆる調達庁長官の立ち入り権限は、十一条一項あるいは二項、三項、四項の手続を完了することによって、十三条によって土地の占有者は受忍する義務があるのだ、正当な理由がない限りは拓めないのだ、こういうふうに解釈されると申し上げているのであります。
  162. 井上良二

    井上委員 政府の方ではただ都合のいい法的解釈によって、一方的にやろうとする。政府の方としてはそれでいいかもしれないが、土地所有者及び家屋所有者、これに影響を持つ一般住民はたまったものじゃない。そこで調達庁長官に伺いますが、かような問題を、ただ法律に規定してあるから、法文上執行しておりさえすればそれで事が済む、こういう解釈でおやりになっておりますか。それともこの仕事は国としても非常に重要な仕事であり、やらなければならぬ仕事である。また国際上いろいろ問題を起す仕事であるから、できるだけ所有者を納得させて、また管轄の市町村長を納得させて、十分得心の上で政治的な解決をはかるというようなやり方をとるべきじゃないかと思うが、一体長官はどっちをおとりになろうといたしますか、それを伺いたい。
  163. 福島愼太郎

    ○福島政府委員 その点につきましては、先ほども申し上げたつもりでございますが、飛行場の拡張というような問題は、これは容易にできることではありません。今一方的通知でできるとかできないとかいうようなお話でありますが、その調査というものがかりにできましても、調査だけが目的ではないので、そのあとで土地の提供を受けなければならないわけです。あとへあとへと問題が引き続いていくわけでありますので、あらゆる意味で了解を取りつけていくことが正しくもあるし、またその方が賢いわけであります。従いまして全面的に反対せられておるという立川につきましても、私有地の問題になれば、できるだけ了解を取りつけて、調査もさせてもらうという方角に持っていこうということをいまだに考えておるわけであります。私有地に踏み込んでどうのこうのというのは、まだやっておらないのであります。昨日、また本日も、そのことを続行しておりますということは、公道上でやっておるわけであります。その公道を応援団か何か知りませんが、占領されて、役員は入るな——言いぐさは私どもの方にあると思います。言いぐさのない方の人々にがんがん言われる筋合いではない。公道の調査も、相当日数のかかる問題であります。その間にできるだけ了解に基いて、話し合いのできる方角へ持っていく。しかもほかの飛行場の拡張と違いまして、公道上の問題の見通しがつきますならば、この飛行場の格好の様相というものは大体見当がついて参るという、最も重要な点を見ておるわけであります。この町長の公示があるとかないとかいって、公道を占領する権利はないわけですから、私どもはきのうのあれはけしからぬと思っております。
  164. 井上良二

    井上委員 とんだ方向へ答弁がいきましたが、さようなことを質問しておるのではない。問題は、御存じの通り、日本のように土地が挾く、かつ生活が非常に困難な状況に置かれておるところにおきましては、その土地を取り上げられることによって、あるいはその住居を撤去せなければならぬことによって、ここにわずかな補償をいただきましたにしても、また他の地価に比べれば相当高い価格で買い上げられることにいたしましても、その土地によって生活をし、その居所によって住居いたしておる者にとっては、実に将来に関する重大な生存権の問題であります。かようなものを脅かそうという場合においては、よほど慎重に事を運んで、円満に処していくということの対策を考えなければならぬ。ところが調達庁は、今まで民間のものを借り上げる、あるいは使用する、あるいは買い上げるというような措置をいろいろたくさんとってきておりますが、これらの措置において——従来占領下におきます場合ならば、日本の主権はございませんから、占領軍のいわゆる権力によって一方的にやられますから、その下請をやっておった調達庁としては、それでいいかもわからぬ。しかし少くとも主権が回復して、日本政府のもとにおいてやらなければならぬことになった今日においては、あくまで民主的な方法を選ぶべきであります。この飛行場を予算化し、これを実施しなければならぬ調達庁といたしましては、具体的に私がただいま申しますような市町村長なり、あるいは当該地区の住民なりに執拗に集会を求めて、懇談に懇談を重ねて、政府の意のあるところ、また工事の重要な目的というようなものを十分意思を徹底さして、ただいま申します通り、自分の将来の生活権に関する大問題でありますから、容易に納得はしますまいけれども、そこは権力的な威圧を加えたり、法律的な権力を乱用したり、そういうようなにおいを出さずに、あくまで一つ国のため、あるいはこの事業の重要性を理解願うという立場に立って、私はやるべきだと思う。一体今まで数回にわたって慎重な手続をとってやっておりますか。たとえば予算化するにしても、先般事務当局に伺いますと、一々現地の調査もせず、また実測もせずに、大体の机上的な概算によって予算が編成されておるということがわかりました。そのようなことをして、そうしてこれこれの飛行場は拡張されるんだという報道をして、それで地元民に、これはえらいことになったという先入観を吹き込んで、恐怖の念を与えていったんでは、もう相手はすでに武装しておりますから、この武装しておる状況をほどくということは容易なことではありませんぞ。だから少くとも予算化をし、かつ拡張を相手方から要求されましたならば、ただちに県庁を通し、あるいは当該市町村長を通し、地元民との間に十分連絡をとって、懇談に懇談を重ねるやり方をなんであなたはおとりになりません。そのやり方妥当な政治的な解決の方法じゃありませんか。これを伺いたい。
  165. 福島愼太郎

    ○福島政府委員 井上さんのおっしやる通りでございまして、できるだけ地元の了解を取りつけてやろうということで、各方面ともやっております。ただ問題になっております立川に関する限りは、町長さんが全然出てこない、何べん会いに行ってもいないということで、話のしょうがない。やむを得ませんから、法律上の手続もし——しかしいきなり私有地に入る必要もない、まだ時間の余裕もあるから、なお話し合いを続けよう、向うが出てこなければ、話もできませんけれども、その意味において、公道上の調査でもやろうということになっております。御指示のように、民主的なやり方というものは、でき得る限り突き詰めて参りたいと考えております。従いましてわれわれもそういう精神で、民主的なやり方を貫きたいと考えております。従って公道上における活動とかそういったものは、当然われわれも許されてしかるべきものだと考え、公道を占拠する方がよほど民主的でないと考えておるわけであります。
  166. 井上良二

    井上委員 長官は、職務執行の責任を負わされておりますから、強引に事を推し進めるということも考えられるのでありますが、たとえば、ただいまのお話のように、立川の場合に、町長を何べん呼び出しても出てこない。もちろん町長は執行者でありますから、町長を相手に話をしなければならぬということになりましょうけれども、その場合町議会というものがございますし、町議会が問題にならぬ場合には、さらに各部落代表もおりましょうし、それぞれの人々がおるのでありますから、いたずらに事を激発していくやり方をとらずに、できるだけ円満に話を進めるような方法に態度を改むべきではないか。特にただいま伺いますと、道路の測量に関係して公道が占拠されるという問題でございますが、道路の測量なんという問題は、あと回しでも一向差しつかえないものであります。最も人の集まりやすい地点を先に手をつけて、いたずらに民衆を憤激さすというようなやり方は、妥当な処置ではありません。従ってそういうものは、強行するというのではなしに、話のつくまで一時あと回しにして、あなたの方で十分政治的話の進められる道を考えてやるようにできないものか、あくまで強行するつもりか、そうしていたずらに大きな問題に発展さして、国会の大問題にまでこれを持ち込むつもりか。そこまで腹をきめてやるということなら、何をか言わんやでありますけれども、そういう手荒いことを考えずとも、もう少し円満に話はつくものであります。慎重におやりになったらどうか。それとも今道路測量を強行して、あくまで警察官を動員し、群集と対抗してでも目的を達するというところへいきますか、そうして市街戦まで持っていきますか、ついには自衛隊も繰り出しますか。それはおもしろいかわからぬけれども、それではものは解決いたしません。そこらは一つもっと慎重におやり願いたい、こう考えますが、どうでございますか。
  167. 福島愼太郎

    ○福島政府委員 道路などは人の集まりやすいところであるから、あと回しという御注意もございまして、ごもっともだとは思いますけれどもいろいろ飛行場の拡張の中に立川の拡張、これは千五百フィートの拡張でございますが、これが道路の中へつっ込んでくるというだけの拡張なんであります。従いましてこの道路を調査すれば大体の検討は終ってしまうわけなんであります。従いましてこれをあと回しにするということはちょっとどうも工合が悪いのであります。ほかの飛行場と全然違う。その道路のところが問題なんであります。従いましてこれはあと回しにするというわけには参りますまいと思います。またもっと手を尽せば話し合いもできるはずだということでございます。私どもの方もさらにさらに手は尽したいと考えておりますが、五月初め以来役場を訪れ、町長等にお話ししたことも最初はあります。同意を得られない。以来砂川の町の幹部あるいはその他の有力者諸君に相当にいろいろな話はしておりますが、手紙を出しましても返ってくるという始末だとか、あるいは五月の半ばごろになりますと各戸に立ち入り禁止とか話し合い拒絶とかいう札を全部張りめぐらしてしまうということになりまして、どうにもこうにもしようがない。しかもわれわれといたしましてはそうむやみなところではなくて、通路の面の問題が解決すれば相当の案も立ち得るわけでありますので、収用法による手続を開始する決心をしたわけであります。相当に丁寧にやっておるつもりでもあります。また町長は工事を拒絶されましたけれども所有者にはすべて、また直接われわれの方からも通知はしておるというようなことで、手続はかなり丁寧にやっておりますが、しかしながらさらに手を尽したいと考えております。ただここで強行云々ということでさらに強行するかというお話しもございましたけれども、当面の目的の、きのう以来始めております道路上の調査のごときは、これは市街戦をやらなければ天下の公道は通れないという、そんなばかなはずはないのでありまして、私は公道は通れるという普通の法律常識で仕事をして参りたいと思います。
  168. 井上良二

    井上委員 次に伺いたいのは、先般私予算委員会で長官に伊丹の飛行場の拡張に関連をして質問したのでありますが、この伊丹を拡張するといたしますならば、一体予算はどのくらいを見込んでおりますか。まだこれは具体的に何ら計数をはじき出してないという現状でございますか。  それからもしこれを予算化をいたします場合は、本年度のワク内においては、先般も事務当局にいろいろ伺いますとなかなか困難なようでございます。そこでこれは来年度予算において考えたいという先般の長官の御答弁でございますが、来年度予算でこれをやろうといたします場合に、その予算化をいたします前に、伊丹の予算化をするということについて、予算ができて閣議にかけるのじゃなくて、予算化する前に閣議の了解を得ますか。これは非常に大事なことでありますから、この点を一点伺っておきたい。  それからこれを予算化するということになりますと、現実に実地調査をしなくても机上概算においてやり得るというお話しでございますが、それがもし実地の実測面積と公簿面積との上に非常な開きが出るというような事態が出ました場合はどうこれをあんばいいたしますか。さらに予算化をいたしますのは一体いつごろからの予定でございますか。これを一つ伺いたいのであります。
  169. 福島愼太郎

    ○福島政府委員 伊丹の拡張の問題は、これをいついたしますにせよ、予算的にどれだけの大きさかということにいたしますと、はなはだ大づかみで申しわけございませんが、日本側の予算が五億から六億ではないか。またアメリカ側の予算がかれこれ三十億くらいではないか。アメリカの方のことは知らないといたしまして、日本側だけでも、少くとも五億、六億はなければいけない。従いまして、本年の予算に入ってないということでございます。問題は本年の予算には入っていないが、本年度の予算でやる気になったらできるかどうかという点が一つあります。これは先般も参議院でございましたか、他の機会に申し上げたこともあるのでございますが、理論上の問題、建前の問題としては、本年度できないということは言えない、と申しますのは、防衛支出金関係の八十億に近い金額と申しますのは、やはり施設提供とか、そういう関係がございますので、非常に反撥の多い仕事でありまして、金を持って、予算化してやるつもりでも、できるという保障のない仕事がかなりあります。できなくなってしまう仕事が四億も五億も出てくるということになりますと、伊丹に充当する予算はあるということは言えるわけであります。しかしただいまのところはそういう事態が起ってくる、本年度の予算内に充当可能な分が出てくるということは私は予想いたしておりません。しかし建前の問題として可能かどうかということでございますならば、可能ではないということを申し上げることはできない、こういうことでざいます。通常の場合は来年度の予算に盛って参るということになりますが、御承知の通り来年度の予算はこの夏ごろから始まるものでございまので、当然に八月、九月のころになりますればこの予算金額をきめて参るという作業——ただいま申し上げました五億だ六億だという程度ではなくて、もうちょっとしっかりした金額をきめなければならぬという問題が起ってくると思います。ただその際予算化をする前に実地調査をして、ある程度地元の意向も探って予算化をすることが理想でございますけれども、立川の問題で、御承知の通り、その前の実地調査ができないのでございまして、できないことをやれとおっしゃいましても、どうも工合が悪いので、やはり実地調査はできればやりたいのでございますが、やらずに予算化するという事態にならざるを得ないかと思います。なお予算化をいたす際には、予算的な固まり方をする前に、内閣なり政府の了解を得るか、こういう点でございますが、やり方といたしましては了解を得るという方法もあると思います。また予算を提出いたしまして、その計上を許されるということで、承認を得たという形になることもあるかと思うのでございます。いずれにいたしましても、実質的には政府の意向をきめていただかなければ、われわれ限りやるとかやらないとかというたちの問題ではなく、相当大きな問題であるということには間違いないと考えております。
  170. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後零時五十八分散会