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1955-05-19 第22回国会 衆議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十九日(木曜日)     午後二時十二分開議  出席委員    委員長 宮澤 胤勇君    理事 高橋 禎一君 理事 辻  政信君    理事 江崎 真澄君 理事 高橋  等君    理事 田原 春次君       大村 清一君    林  唯義君       保科善四郎君    松岡 松平君       粟山  博君    山本 正一君       大坪 保雄君    田中 正巳君       田村  元君    福井 順一君      茜ケ久保重光君    石橋 政嗣君       櫻井 奎夫君    古屋 貞雄君       中村 高一君    矢尾喜三郎君  出席政府委員         調達庁長官   福島慎太郎君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      丸山  佶君         総理府事務官         (調達庁労務部         長)      海老塚政治君  委員外出席者         参  考  人         (山梨南都留         郡忍野村農業) 長田 早苗君         参  考  人         (山梨南都留         郡忍野村農業) 渡辺 徳義君         参  考  人         (山梨南都留         郡忍野村農業) 大森 明夫君         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 五月十八日  委員保利茂辞任につき、その補欠として福井  順一君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員堀内一雄君、下川儀太郎君及び渡辺惣蔵君  辞任につき、その補欠として松岡松平君、櫻井  圭夫君及び古屋貞雄君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 五月十九日  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五二号)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第五七号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  富士山麓演習地問題に関する件  飛行場拡張問題等に関する件     —————————————
  2. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 これより会議を開きます。  調達庁に関し調査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許します。茜ケ久保重光君。
  3. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 基地の問題についていろいろお尋ねしたいのでありますが、その前に、去る十七日未明に東海道線での米軍トレラー・トラック列車衝突事件があったのであります。この点につきまして私どもは非常な関心を持っておりますが、相手方が米駐留軍のトレーラー・トラックでありますので、当然これは調達庁の管轄と思うのでありますが、事故発生原因その後の経過あるいは賠償等についての何か資料がございましたら、この際長官から御発表をいただきたい、こう思うのであります。
  4. 福島慎太郎

    福島政府委員 先般静岡県にございました衝突事件につきましては、詳細のことはまだわかっておりませんが、事故発生原因その他について調査の結果、突きとめましてから判断をするほかいたし方ございませんが、もしもこれがアメリカ軍側不法行為によって発生したということになりますれば、その損害の問題というものが行政協定十八条に予定してあるような手続になるわけでございますが、ただ国鉄というものが日本政府の一部であるかないかということによりまして、その取扱いが違うことになりますので、その辺にアメリカ側との間に意見の調整をする必要があるかと考えております。詳細のことは衝突原因その他が専門家の手によりまして究明せられましてから、それに基いての法律関係をたどりたいと考えております。
  5. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 五月十八日の読売新聞の報道によりますと、この種の事故が過去にもあったかのように思います。しかも今長官の言われましたように、何か国鉄というものに対する性格決定がないために、相当損害賠償がいまだ解決してないということでありますが、今の長官の御答弁でありますと、今度の事件もそのようなことであるということでありますが、過去の、相当前の事件についてすら解決してないということは、私は米軍当局政府との国鉄に対する賠償に関する性格決定に対する取扱いが、非常に怠慢であるということを思うのであります。今回の事件はさることながら、読売の記事によりますと、前に相当件数がある。賠償額におきましても二千万円近い額の要求が出ておるが、何らその点は解決してないということでありますが、長官はそういった前の事件と、さらに今回の事件とを関連して、米軍に対して、相当の強い要求をして、これをすみやかに解決せられる意思かどうか伺いたい。
  6. 福島慎太郎

    福島政府委員 問題は、国鉄政府の一部と見るか、純然たる民営のものであり、政府関係のないものと見るかというところにわかれるわけであります。政府の一部と見るということになりますれば、政府機関米軍との間の損害は、相互に免除するという約束になっておりますので、これは双方とも損害があるわけでありますが——今度の事件双方損害があったという意味ではありません。相互損害を負わせる事件が発生するわけでありますが、それは相互に請求しないことになるということでありまして、政府機関である場合には、そういう取りきめのきめ方も決して違ってはおらないと考えております。問題は、国鉄政府関係がないということを主張できるかできないかというところにわかれる道がくるのではないか。今度の事件そのものにつきましては、どちらに責任があるかというようなことは、これは専門家によってきめてもらわなければわからないと思います。聞くところによりますと、ああいう踏み切りは三級踏み切りとか申しまして、あの程度の車になりますと、三回くらい行ったりもどったりしないと渡れないという踏み切りでありますので、それらの設備その他の関係の問題もありましょう。しかし今回の原因責任がいずれにあるかという問題は、われわれでなくて、きまるところできめてもらってからそれに基いて手続を進めたい。国鉄日本政府機関でない、政府関係が全くないということを立証する方法といったような問題は、かねてからもめておる問題でありまして、それによって従来の懸案が片づかないということでありまして、片づけない、あるいは怠慢のゆえをもって片づかないのではなくて、本筋が固まらないというために片づかないというふうに了解しております。
  7. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 その点でもう一点お伺いしますが、今度の問題は、特に旅客が時節柄の修学旅行の生徒であるという点から、非常に問題が大きく取り扱われたのでありますが、おそらくこのような事故全国的に相当あるものと私は推定するのでありますが、その際相手国鉄とか特殊なものである場合には問題も大きくなり、従って解決もすみやかに、しかも相当賠償額が出されると思うのでありますが、相手個人であったり、そういったような場合には、相当泣き寝入りの状態、あるいは賠償等も非常に長引いて困るという点が多々あると想像するのであります。そういう点につきまして、一つ調達庁としてこういった問題に対する総括的なと申しますか、もちろん事故の数とかそれに対する取扱い等がわかればけっこうですが、わからなかったらあと文書等によってでもお示し願ったらわれわれの今後のこういった問題を扱う参考になると思うのであります。もしおわかりならここで長官から一言お聞きいたしたいと思います。
  8. 福島慎太郎

    福島政府委員 国鉄等団体が大きいから、とにかく取り上げられて、小さいものは取り上げられないということはございません。国鉄等大き過ぎるために今申しました国鉄性格その他がつかめないということで、まだ御指摘のように、古い問題が容易に片づいていないわけでありますが、それが個人その他の問題になりますれば、これは調達庁責任において片づけておるわけであります。事件発生と同時に各地の調達局関係都道府県協力も得まして、この申請を受け付けて損害支払いをするということは、敏速にやっておるつもりでございます。過去におきましてこれの扱い方を都道府県にお願いしてやっていただくという間接的な方法をとりましたために、その方が周知徹底するであろうと思われた手続きが、かえって時間をおくらせる原因になることもございましたので、昨年来その制度を変えまして、直接調達庁で扱うということになりまして以来、自動車にひかれるとか、その他ありとあらゆる米軍行為に基く損害補償はすべて調達庁でやるから、事故があり次第申し出てほしいということで、新聞あるいは地方によりましては、ポスター等も掲げまして宣伝に努めておるわけでありまして、近年は相当にこれらの申し出もあり、泣き寝入りせられることもなく調達局申し出られる件数もふえて参りましたし、またこれを片づける事務的な処理というものも相当に成績が改善せられつつあると考えております。  その申請件数でありますが、昭和二十七、二十八の両年度を合算いたしまして、交通事故が三千二百六十六件、航空機による事故が二百二十七件、海上事故が百二十四件、その他の事故が八百六十一件ありまして、合計四千四百七十八件であります。昭和二十九年度、但し本年に入りましてからの分が入っておりませんので、二十九年の四月から十二月までということになりますが、申請件数交通事故が一千八百一件、航空機事故関係が百八十二件、海上事故が六十五件、その他の事故が四百六十九件、合計二千五百十七件になっております。それに関連いたします損害金支払い状況は、十八条三に基く補償金支払額が、二十七、二十八年度におきましては、端数は省略させていただきますが、両年度合計一億三千二百万円、二十九年度の四分の三の期間、四月から十二月までにおきましては四千九百万円ということになっております。  これらの事件につきましては、事故発生と同時にわれわれの方も遅滞なく調べておるつもりでございますが、また遅滞なく申請を受け付けることが重要なことになりますので、各市町村に対しまして、アメリカ軍関係事故泣き寝入りの必要がないのであること、調達庁調達局調達事務所、これは全国にわたりまして四十カ所くらいになっておりますので、それに話が届きさえすれば至急手続がとらるべきものであること強力に周知に努めておる次第でございます。
  9. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 次に基地関係のことについてお伺いしたいのでありますが、三十年度予算に基いて増加を予定している施設が十カ所、通信関係が九カ所、さらに飛行場拡張が五カ所予定をされているのであります。日米安保条約の精神によって日本自衛力を漸増して参るならば、アメリカ駐留軍をそれに比例して漸次引き上げるということを言っておるのであります。政府もこのことを国民に約束している。国内における自衛力増強がだんだん強仕されていくことに反しまして、さらに米軍国内における基地がこのように増大をされるということは、私ども国民として非常に解せないのであります。先般の委員会において長官は、長官個人としては米軍のこうした基地増加には反対を持っておる、またさらにその反対に対して協力もあえて辞さないような御答弁でありましたが、三十年度予算に現われているこういった増加に対しまして、長官としてどのようなお考えを持っておられるか。
  10. 福島慎太郎

    福島政府委員 三十年度におきまして、予算に現われております増加を予定せられる施設という関係がお申し出通り十カ所近くあるのは事実でございます。しかしながら、これらは全般的に申しまして、これからは純然たる増加にはならないと考えております。いわゆる占領時代相当基地があったわけでありますが、それが講和発効後その提供方式その他につきまして、今日やっておりますような行政協定に基く日米間の話し合いとか、あるいは合同委員会に基く提供上の措置とか、そういうことが比較的こまかく規定せられまして、占領時代のように、いわゆる接収々々でアメリカが乗り込んできて取り上げてしまうというような手続はとれなくなったわけであります。しかし講和発効後そういう提供方式が精密になったにもかかわらず、アメリカ軍が落ちついてくるにつれていろいろ注文が出て、基地提供——まあ件数は減っておるわけでありますが、基地そのものの面積その他の関係で若干増加しておるという趨勢はいなめないと思います。しかしながら全般的に片しまして、アメリカ陸海空の三軍の関係のうち、海軍は今のところどういう計画によって動くかということははっきりいたしませんが、大体当分の間現状維持でおるのであろうと考えております。空軍の方は増強傾向にあると考えております。陸軍相当縮減傾向にあると考えております。従いまして今日では空軍関係施設追加をしていく、陸軍関係施設解除を受け入れつつあるということでありまして、それの一種の過渡期になっておりますので、今日ただいまの数字においては追加分が考えられておるにかかわらず解除分数字がはっきり出てこないということになりますが、本年度一ぱいには解除関係数字相当出て参るのであろうと思われますので、差引いたしまして増加していくという趨勢ではございません。なお陸軍がそういう縮減傾向にありますだけに、われわれといたしましては演習場その他、これは大小いろいろあるわけでありますが、これが多数にわたっておるということになります場合には、三つのものを一つ演習場でできないかというような交渉、また調査その他を重ねておりまして、数十に上ります演習場その他の関係をできるだけ数の少いところでまとめて参ろうということで、いろいろな努力を重ねております。といたしますと、全般的には国民負担を軽減することができることになるのですが、どこかへしわを寄せて全般的の負担を軽くしようということになりますので、しわの寄る個所においては、演習の便宜その他のために若干の追加その他の関係もどうしても出てくる。演習場五つよしてくれ、そのかわり一つは拡充するのはやむを得ないということになりますれば、その一つの面においては相当追加分という問題が生じて参るわけであります。飛行場関係も大体原則は同じになるわけでありまして、今日日本にございますアメリカ関係飛行場は、かつて日本にございました八十幾つの旧日本軍関係飛行場のうち四十幾つ解除いたしまして、かれこれ四十ばかりを使っているわけであります。これらの飛行場は、古いと申しますか、従来の飛行場でありますために、新型飛行機の使用にたえない、滑走路が足りない。飛行機というものは一定の時間がたてば使えなくなってしまうしろものでありまして、あとからあとから一定の間隔を置いては新しい飛行機と交換されていくわけである。交換されていく場合に、あとから古い形式の飛行機を作って持ってくるということは考えられない。年々歳々飛行機の型が変ってくるということになりますと、いずれは古い型の飛行機新型、すなわち今日で申せばジェット式飛行機になるという時代が必ずくるわけでありまして、その場合に今日アメリカ軍側で四十ばかりの飛行場を使っておりますが、どこの飛行場においても新しい飛行機を使えない、日本においては飛行機が飛べないという事態がそう遠くない時期にくるわけでございまして、滑走路を延ばさなければならぬという問題が起っておるわけであります。その場合にわれわれのとります態度といたしましては、それは四十の飛行場滑走路を延ばすということが希望には違いないであろうけれども、そういうことでは日本国民負担の面からいってとうていやっていかれるものではない。これを最も少い数の飛行場日本全国防衛飛行活動の見地から使えるように編成がえをするためには、どことどこにあれば一番少い数の飛行場目的を達することができるかということになりまして、まだせんじ詰めました数は確定はいたしませんけれども、十ばかりの飛行場を選んで四十の飛行場に取りかえることができるかということを研究いたしまして、それにかかっておるわけでございまして、それぞれの拡張をするということになります。飛行場なり演習場なりについては、拡張という問題が表面に出ていることは間違いございませんけれども、それによって演習場関係においても、飛行場関係においても、どこのもの以外のものは使えないということをそのままであきらめて——使えなければ当然かえるということになりましょう。そういうふうな事態も予想しているのでありまして、飛行場のみならずその他の地区においても、九件と承知しておりますが、三十年度予算において増加を予定している施設というものがあるわけでございます。しかしそれは九件と申しましても、高射砲陣地とか練兵場とか倉庫地区とかいろいろございます。坪数にいたしまして、小さいものは二百五十坪、四百七坪、六百十坪、七千八百坪、八千三百坪、大きなものは八万四千坪というようなものもございますが、そういうことでございますので、九件と一口に申しましても、百坪ぐらいのものからすべて提供施設区域施設区域でございますので、そう絶対的に非常な増加を示すということではございません。こういう点でしわを寄せてくるわけでございますが、寄せられた関係地元方々こそいい迷惑であるということは私も承認せざるを得ませんけれども、全般的には、申し上げました通り負担を軽くして参るということで努力をしておるつもりであります。
  11. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 だいぶ詳細な御説明でございましたが、特に今回の飛行場については、名前は小牧新潟、横田、立川、木更津と上っていますが、この飛行場拡張というものは、先般政府アメリカといろいろ折衝しました防衛分担金折衝の過程におけるしわ寄せとして、こういった問題が起ったということがいわれておりますが、この点いかがでありますか。
  12. 福島慎太郎

    福島政府委員 この点は申し上げたつもりでありますが、日本において飛行機の性能が変ってくる、飛行機あとから新しく補充していかなければならない。これは日本だけではなく、至るところ、いやしくも飛行機を使っている軍隊にせよ、民間にせよ、飛行機は何百時間か乗ればつぶれてしまうものであって、新しくかえていかなければならない。その操作を繰り返している間にジェット飛行機になってしまう、ジェット飛行機は長さの足りない滑走路では飛べないということでありまして、現状のままで放擲しておけば、日本では飛行機がそのうちに飛ばなくなる。飛ばなくなって差しつかえないということでない限り、どこかで日本防衛という機能が果せられる限度において、日本において飛行機が飛べるようにしておかなければならないという問題は、私は防衛分担金の削減とか増加という問題に全然関係ない問題と考えております。
  13. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 この問題につきまして、調達庁から地元関係者にすでに発表してありますかどうか。
  14. 福島慎太郎

    福島政府委員 飛行場関係につきましては、関係の五飛行場関係につきましては、地元当局を通じて、確定した区域ではありませんが、これは調査の結果によって変更することが考えられますので、大体の区域ということで、五カ所につきましては全部地元に連絡いたしまして、目下御相談やら、また調査に関するお願いやらしているはずでございます。
  15. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 すでに正式折衝を開始している個所がございますか。ございましたらその交渉経過一つ……。
  16. 福島慎太郎

    福島政府委員 すべてについて折衝を開始しております。そういたしまして、小牧につきましては、立ち入り調査の承認を得まして、目下地質調査、その他の実施中であります。その他四飛行場につきましてはまだ立ち入り調査はいたしておりません。立ち入り調査をお願いするという折衝の段階でございます。
  17. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 新潟木更津については、別に関連質問者がありますから譲りますが、一言ここで特にお伺いしたいのは、木更津の場合に、一昨日地元から反対陳情があったのであります。その際鳩山首相地元の代表に善処方を約束しておりますが、私ども過去の基地反対運動の経験からいたしまして、首相あるいはその他の政府の当事者が何回か善処方を約束しあるいは反対を約束したにもかかわらず具体的な事実はそれと関係なく進められて、首相あるいはその他の一応責任ある政府の大官が、自分たち反対であるから協力しようとか、あるいは御趣旨ごもっともであるから御期待に沿うように努力をするということで、地元諸君が非常に安心をしておると、事態はかえって悪化して収拾がつかぬ事態になるということがあったのでありますが、今回もこういったことで、鳩山首相が現地の諸君に言った善処ということが、果して具体的な事実としてどのような効果を現わすか、一つ長官からお伺いしたい。
  18. 福島慎太郎

    福島政府委員 木更津関係地元方々が上京せられまして、総理大臣初め各方面にお話になったということその通りでございます。私もお目にかかりました。総理大臣善処するというふうに申されたそうでありますが、これは私おりませんので、正確なところは存じません。私といたしましてはあらゆる角度から検討してみよう、しかし今さら計画を変更することは容易なことではないと思う。しかしながら計画の変更ができるかどうかということは、地質その他の調査に基かなければならないし、それからまた申し上げましたように、四十の飛行場を全部大きくすれば文句ないのでありまして、四十の飛行場の大きさを、三十九について滑走路を延ばして、木更津だけはやめようということになれば、話がつくのはきまりきったことでありますが、そうではないのであって、飛行場は四十現在使っておるのであるが、そのうちどことどことどこで滑走路を延ばせば、総数は五つになるか、六つになるか、七つになるか。一番少くなるということが一番大事な問題であるわけです。御承知おきであろうと思いますけれども木更津の場合には海面埋め立てということになるわけなんです。海面埋め立てという問題は、私宅そういう点に詳しくありませんでしたので、今日非常に意外なんでありますが、たとえば小牧で、日本で最も上等な美田の部分に飛行場拡張しなければならない。その場合にその美田を買う値段と、海面漁業権その他を買いつぶして埋めるという問題と比べますと、海面埋め立ての方が非常に金がかかる。海面埋め立ての場合には、おそらく海面権利の買いつぶしという問題だけでも、陸上で広げる場合と比較いたしますと非常に多額の金がかかる。しかも地面以上に高い金を出して海面権利を買って、今度は埋め立てにかからなければならない。これが非常な金を食うことになるわけであります。従いまして、飛行場拡張するということになれば、埋め立てて海に拡張することは、よほどの必要がなければ計画しないという方が当りまえなんです。何倍かよけいかかるわけなんです。それにもかかわらず、木更津を含めて飛行場網計画を立てれば、全部の飛行場の数が一つでも二つでも少くなるということにみそがあるわけなんでありまして、木更津拡張という問題は、おそらく他の拡張計画よりも数倍の金がかかると考えております。従ってそれだけの価値がなければならないということで、木更津もさしあたりの計画は立っておるわけであります。従いまして、たとえば木更津をやめるということになれば、これにかわって幾つ飛行場が要るかということにもなり、四十の飛行場に関連して、どういうふうに再編成していけば、防衛上の目的が達成でき、飛行場の数が一番少くて済むかという、全部の計画をひっくり返すことになりますので、木更津についてはあらゆる角度からまじめな研究で善処はするけれども計画を変更することになると容易なことじゃなかろうということを申し上げたのであります。少くとも私の口からは、これで安心であるというような御印象は、地元方々も得られなかったはずでありまして、そういう点の誤解はお与えしていないつもりであります。さりながら、まじめに検討してみるという態度は、最後まで失わないつもりでございます。
  19. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 私が申し上げたのは、大官——もちろん長官政府の大官ではありましょうが、鳩山さんが善処をすると言ったことが、地元に大きな安心感、信頼感を与えていると思うのです。少くとも時の政府の首班ですから……。首相が正式に善処をすると言ったことが、今お聞きすると、長官の話ではなかなか容易でない、おそらくこれは強行されるであろうというような口ぶりでありますが、首相善処すると言ったことが、具体的にはあとからくつがえってしまうようなことは、私ども不可解千万であります。長官としてそういう点はどうお考えになりますか。
  20. 福島慎太郎

    福島政府委員 ただいま申し上げましたが、またそれは地元の方がおいでになりましたときに申し上げたのでありますが、そういうことでわれわれとしては、いろいろな関連が生じて容易ではなかろうと思うけれども地質調査その他の結果に基いて、地元の要望その他の関係も十分に考慮して、たとえば木更津という計画を全般の計画に含めずにやったらどうなるかということで、まじめに研究してみよう。真実そのつもりでおりますし、そういう意味でわれわれは事務担当者としての努力をしているつもりであります。従いまして、総理大臣善処をするというお話をかりになすったとあれば、事務当局者をしてあくまでましめに、あくまで慎重に、総合的な計画の中にあってこれを研究させ、場合によってできるだけ木更津といったような問題を起さないようにして研究させる、そういう御趣旨であろうと思います。その意味におきまして、総理大臣みずからおやりになるわけではございませんで、私どもがやらなければならないということであれば、その意味において総理大臣善処するとおっしゃったことは、事務担当者をして善処せしめるということであろうと考えますので、私といたしましては総理大臣の言葉に基いて、まじめな検討を加えているつもりであります。
  21. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 長官も今まですでに二年近くも基地の問題を扱っておられたので、今度のこういった問題も、地元において、ほとんど全部といっていいほど猛烈な反対のあることはお考えのことだろうと思います。今お聞きしていると、政府としてはアメリカ軍の要請に従ってどうにもならぬことであるというような口ぶりでありますが、しかしわれわれとしてはどう考えても、そういった土地の農民その他の国民を非常に泣かしてまでやる、こういったことには賛成できない。従って全面的な反対が、しかも根強く行われると思いますが、長官はそういった反対がいかにあっても、これを必ず強行される気持であるかどうか、その意向を一つ伺っておきたい。
  22. 福島慎太郎

    福島政府委員 この飛行場拡張という問題は、飛行場の数を減らして、残った少数のものについて拡張をするという意味で、その意味において飛行場拡張ということは、アメリカ軍の要請というお話もございましたけれども、これは私どもの観念いたしますところでは、アメリカ軍の要請があるなしにかかわらず、日本防衛という問題が将来存在するものである以上は、日本の国土において飛行機が飛べるようにするということは当然なことでありまして、どこでやるか、どういうふうにやるか、われわれが適当の場所と考えた所が適当でない、もっと損害の少い所があるはずだとか、そういうような問題が存在いたしますことは承認いたしますけれども日本飛行機が一台も将来は、しばらくすると飛べなくなってしまうんだという事態は承認することができにくいのじゃないか。その意味におきまして、どこの飛行場でどうだということについては、その土地その土地の事情によって、まだまだ検討を加える必要が起ると思いますけれども、どこかで、防衛上差しつかえのないと考えられる数だけの飛行場が、拡張せられなければならないということは当然であると考えております。従いましてかりにどこについても全面的に反対だということでございましたならば、私どもといたしましては、最小限度の——また飛行場のことでありますので、どこかのすみに固まって五つというわけにもいかないので、全国を適当にカバーした形において、最小限度の数において飛行場滑走路拡張しなければならないという問題は、それぞれの土地におきましては、先祖伝来の地面を国が買い取るという問題になりますので、相当激しい反対があるということはよくわかりますし、また反対をせられるのが当然であろうと思いますけれども、われわれの方もまたそういう事情でありますので、万やむを得ない個所については、あくまでもお話し合いを続けて納得していただこうという努力は続ける決心でございます。
  23. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 私は今の長官の御答弁に、はなはだふに落ちぬところがあるのであります。と申しますのは、私はアメリカの軍事基地としての飛行場拡張について言っているのであります。従いまして先般長官は、日本人としてはアメリカ基地がふえることは反対であるし、さらにそういったことはできないように協力するという、はっきりした御答弁があったのでありますが、今聞いていると、この飛行場拡張に対しては、日本防衛と申しますか、日本から飛行機が飛び立てぬということじゃ困るというお話でありますが、私どもアメリカの飛行基地としてこういった事態が起ることは非常に遺憾である、従ってあくまでもこれは阻止しなければならぬという立場で、さらに地元の人もそういった見地で反対している。従って私は長官アメリカの飛行基地としての拡張に対する意見を聞いているのでありまして、その点をもう一ぺん明確にお願いしたいと思うのであります。
  24. 福島慎太郎

    福島政府委員 私どもの仕事の態度といたしましては、アメリカ飛行場拡張というだけでは仕事ができないという建前をとっております。アメリカにいる空軍としては、こういう飛行場拡張、ああいう飛行場拡張はしてもらいたいであろう。しかしアメリカ空軍なんというものはいずれ帰ってしまうものであるので、将来日本空軍がとってかわるということにおそらくなるであろう。現在はアメリカ飛行場ではあろうけれどもそういう意味で日本防衛その他と総合して考えてみて、要る飛行場であるというならば、今日においては事務的な形においてはアメリカのための滑走路延長であるけれども、初めて応じるという態度をとっておるわけであります。従いまして確かに仰せの通り、今日における事務手続の形式は米軍の使用する飛行場滑走路の延長でありますけれども、実質的には米軍ということに関係なく日本防衛用の最小限度の飛行場拡張というわれわれの——これは私が考えるわけではありませんが、日本の各方面の専門家の考えによってこれまでは最小限度であろうというところまでしか応じられないという態度をとっておるわけであります。従いましてわれわれとしてはわれわれの仕事自体を、調達庁という仕事自体を、アメリカのための調達庁ということではわれわれの仕事はもう限度に来ておるということを主張しておるわけでございます。将来におきましても、この内閣委員会にいろいろ御検討を願うことになると思いますが、調達庁防衛庁に関連いたします機構の改革というわれわれの主張も、そこに基いているわけでございますので、御了承願います。
  25. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 だいぶん答弁が前の答弁と違ってきておると思います。一番最初に調達庁アメリカのサービス機関以外の何ものではないじゃないかという質問に対して、長官ははっきりと、とにかくアメリカのサービス機関であるということをおっしゃったのであります。今聞いておると、飛行場拡張に関しては、アメリカの要請だけでなくて、将来日本の自衛隊の飛行機が飛び立つことも予想してやっておるということであります。だいぶん前と違っておると思いますが、どこでそういう違いが生まれてきたのか、あるいは日本防衛計画と申しますか、日本の自衛隊による防衛計画の点まで調達庁で仕事をなさるように最近なったのかどうか。私にはそうとしか受け取れぬのでありますが、調達庁の今のお話では、調達庁の仕事がアメリカのサービス機関としてだけではどうもやっていけぬ、そこでいつから日本防衛関係の仕事をもあわせてやれるようになったのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  26. 福島慎太郎

    福島政府委員 前に申し上げたことと違っておるという御指摘でございましたが、違っておるというつもりは毛頭ございません。この問題につきましては、これは私だけでなくて調達庁全職員をあげての主張でありますので、変ったことを申し上げた記憶もなければ、またそういうはずも毛頭ないつもりでございます。調達庁が組織されましたときに、また今日に至りますまで、アメリカ軍のサービス機関として組織され、サービス機関として存在しておることは事実であろうと思います。そういう意味において申し上げたのかもしれません。しかしながらその仕事の仕方としては、アメリカ軍が言ってくればすべてサービスで応ずるんだということでは今日仕事にならない。それをただ予算上金がないから困るとか、社会上困るとか経済上困るとかいうようなことを言って抵抗している限りでは、なかなか調達庁を通じて米軍要求を抑制して参ろう、国民経済に調整させていこうというようなことはできない。われわれとしてはアメリカ側に対してもっと強く議論ができるようにならなければならない。その議論の土台は日本防衛の必要であるということ、アメリカ軍がいかに演習場を要望し、飛行場を要望しても日本国民としてはそういう過剰防衛の必要はないと考えるということになると、これが調達庁としてアメリカにサービスができるできないの分れ目になるという思想を持っているわけでございまして変ったという御指摘ではございますが、そのようなつもりはございません。あるいはそういうような印象を与えているといたしますれば、私の言葉が足りなかったわけでございますので、御了解を得たいと思います。
  27. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 いろいろまだ関連して聞きたいことがあるのですが、時間の関係もありますし、関連質問者もありますので、私はあと一、二点で終りますが、長官地元反対を、あらゆる努力をして折衝の過程においてやっていきたい、こういうことをおっしゃっておりますが、私どもの体験から申し上げますと、いわゆる基地反対というものは単なる折衝によって解決することは非常に困難であります。従って今までの経験から申しますと、折衝ということはおっしゃるが事実は最初から強制収用の用意をして、常に聞かなければこうしていわゆる土地収用法なりあるいは行政協定に基くいろいろな手続をもってやるぞという、伝家の宝刀を用意しながらやってこられておる。従って折衝ということはただ単なる強制収用するための手段としか考えられない、あるいは合理化するための一つ方法としか考えられないということが多いのであります。たとえば富士の場合にいたしましても、いわゆる話し合いをしなければならぬということでありながら、ただ単に一片の通知によって、それが一度拒否されると、直ちに発砲されるということも私はやはりその一つの現われと思う。今度の問題——今度だけではない、今後もありますが、こういった問題に対して長官はあくまでも話し合いをもって進めていく気か、あるいは反対される場合には強制収用という最後の手段をもってしてもこれを強行する意思であるか、その辺のところをあまり長い言葉でなくて一つ簡明率直な御答弁を願います。
  28. 福島慎太郎

    福島政府委員 強制手段というものがあるにはあるわけでありますが、われわれとしてはこういった問題は最後まで説得によって納得していただくように努力するという方針を持していきたいと考えております。御承知の妙義の事件その他につきましても、かなり長い間最後まで説得を繰り返しておりましたような始末でございますので、相当忍耐強く、また気長に説得するということは、いささか経験のございますこと、茜ケ久保さんも御承知の通りであります。われわれとしても、将来もあのように最後まで努力を続ける態度を持ち続けたいと考えております。ただ大ていの場合、拡張地域に何百人もの関係地主が存在するという、たとえば三百九十九人全部が話がついて、まん中に一人最後まで渡さぬという地主がおった場合には、これはもうやむを得ず強制収用というようなこともあるかもしれませんけれども、実質的には強制手段に訴えるということは考えたくないと思っております。
  29. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 ただいまの長官のいわゆる強制収用という方法はできるだけとらない、しかも例をあげてわざわざ三百九十九人が賛成をして一人が反対をしておる場合にはという例も出ましたが、これを裏から見れば、中にはいわゆる土地ブローカーとかそういった者がなきにしもあらず、一、二の者が賛成をしてほとんど大部分が反対をするという例もあるわけであります。ところがその一、二の土地ブローカー的な者が賛成をしたことによって、ややもするともうすでにこういって賛成があるのだ、君たちは反対してもだめなんだ、たくさんの賛成があるといったようなことで、悪くいえばペテンにかけるとか、あるいはまたそういった事実は過去にあるのであります。今の長官の御答弁ではおそらくそういうことはなかろうと思う。従っていわゆる多数の関係者のうち、少数の者がたとい賛成をしようとも大部分の者が反対である場合には、絶対に強制収用等の強硬手段をとらないであくまでも話し合いを進めていく。私ども反対でありますが、一応話し合いでいくという態度を一つ堅持していただきたい、こう思うのであります。  そこで私はここで一つ動議を出したいのでありますが、先般当委員会において富士並びにその他のいわゆる新しく対象となった飛行場等の調査を満場一致決定したわけであります。しかるに残念ながら運営委員会においてこれを否決されたそうであります。そこで私どもはどうしても現地の様子をよく知り、さらに現地の人たちの意向をも十二分にこの委員会に反映させるために、関係地元民の代表を参考人として次回の委員会一つ呼ぶことを、ここに動議として提出いたしたいと思います。これで質問を終ります。
  30. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 ただいまの茜ケ久保君の動議は、実情をよく聞いた上理事会において決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 それではさよう決します。櫻井君。
  32. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私は飛行場拡張の問題につきまして、先ほど同僚の茜ケ久保君の質問に関連いたしまして一つ御質問を申し上げます。あとでまた同じ問題で木更津の問題もございますようですから、私は主といたしまして新潟飛行場の問題についてお尋ねいたします。この飛行場拡張の問題は、長官のただいまのお話では、これはアメリカの要請でなくして日本防衛というような立場から、半ば自主的な決定をなしたというようなことも承わっておるわけですが、しかしこの問題は、政府アメリカ政府との防衛分担金の削減の問題とからんで、いわゆる日米共同声明となって発表されたのでございまして、日本政府飛行場拡張し、また在日米軍施設提供者への補償のため約八十億円を計上する。     〔委員長退席、高橋(禎)委員長代理着席〕 しかもその八十億円の中の十二億円をこの飛行場拡張に充てておる。こういう今までの経過から見まして、どうも長官の言われるようなアメリカの要請がなかった、アメリカの要請が主なものではないというような御答弁に対しては、どうも今までの米国政府日本政府との防衛分担金折衝経過から見ましても、これはアメリカの要請が非常に多いというふうにしか私どもは考えられないんです。  それはそれといたしまして、長官の今までの説明によりますと、日本飛行機の機種がどんどん発達をしていく、そのために今までの設備で飛行機が飛べないということではいけない。飛べる基地にこれを拡張していくのは当然である。こういうようなお話のようでございましたが、航空機の発達というのは日進月歩でございまして、今日の最新鋭機といわれておるところのF100でございますか、このジェット機も明日はまた旧式になってくるかもしれない。そのような場合に、さらに新鋭な飛行機を飛ばすためにはもっと長い滑走路が必要となってくるという場合も考えられるわけでありますが、そのような事態が生じて、またアメリカの方からそのような要請があった場合には、やはり飛行機の性能に応じて次々と今の飛行場拡張していく方針かどうか、その点を一つ承わりたい。
  33. 福島慎太郎

    福島政府委員 飛行機の進歩ということでございますが、ジェットにかわってさらにどういうタイプの飛行機になるかというようなことは、私どもには想像もつきませんけれども飛行機の進歩というものは今日の段階におきましては、ジェットということにとどまっておる。これによればエンジンの性能の違いから滑走路が九千フィートくらいなければならぬということになっておるわけです。これからさらに進歩して、さらに長い滑走路がというお話でございましたけれども、私ども——これは私のしろうと考えも多分にございますので、いささか答弁としては恐縮でございますけれども、その段階を過ぎて——これは何年かかるかわかりません、五年かかるか十年かかるかわかりませんけれども、その段階を過ぎての飛行機の進歩という問題は、むしろ滑走路の短かい、すぐに飛び上れる飛行機の方に向っていくはずであろうと考えております。ジェット以上のいかようなエンジンというものが考えられますか。それによって申し上げることも申し上げられないこともあるだろうとは思いますけれども、通常の考え方からいたしましては、滑走路の長さに関連いたします進歩としては、今日のジェットがとまりであろう、さらに進歩すればこういう滑走路が要らなくて飛行機が飛べるべき時代が来べきものであると考えておる次第であります。
  34. 櫻井奎夫

    櫻井委員 滑走路が要らなくなった場合は基地も要らなくなる、こういうわけでございますね。そういうアメリカの武器の消長といいますか、それによって日本基地の数と質、量、ともに変化していく、こういうお考えのように承わってよろしゅうございますか。
  35. 福島慎太郎

    福島政府委員 アメリカ軍日本に駐屯いたしておりまして、よきにつけ悪しきにつけ、共同防衛という立場において防衛を担当しておるという限度におきましては、アメリカ軍がいる間はこれの兵器というものに、飛行場その他の施設が対応して参らなければならないと考えておりますことは、御指摘の通りでございます。しかしながらアメリカ軍の駐留というものもそう長い、三十年、五十年の問題でないと考えておりまして、長くとも五年なり六年なりという問題のように感ぜられますので、従いましてその間に兵器の革命的進歩というものはないように考えております。
  36. 櫻井奎夫

    櫻井委員 次に、現在アメリカの方で拡張要求しているのは、いわゆる新鋭機の性能に応じての拡張であるというようなお話でございましたが、長官にこういうことを聞いてあるいは無理かと思うのですが、最新鋭機のためにアメリカ要求している、たとえば新潟の場合でありますと、今までの六千フィートをさらに三千フィート延長するということになって、一万フィート近いことになりますが、これはどういう飛行機を飛ばすためにこれだけの延長をしなければならなくなったのか、その間の消息は御存じでございましょうか。
  37. 福島慎太郎

    福島政府委員 今後整備拡充いたしました暁に、日本に数カ所の飛行場ができるわけでありますが、防衛目的としての飛行場の網の目を考えておるということでございますので、これは私は軍事専門家でないのでその意味で申し上げるわけには参りませんか、私の了解いたしております限りにおきましては、日本における米軍飛行機はほとんど全部が戦闘機であると承知しております。
  38. 櫻井奎夫

    櫻井委員 軍事専門家でない長官にこれ以上立ち入ったこともどうかと思いますが、非常に重大でございますので、私はさらにお聞きしたいのでございます。これは全部戦闘機であるというお話でございましたが、今日の戦闘機には原爆が搭載可能であるかどうか。大体原爆は次第に小型になっていっておりますが、原爆が搭載可能であるかどうか、その点お聞かせ願いたい。
  39. 福島慎太郎

    福島政府委員 その点は全然承知いたしませんが、原爆というものは小さい飛行機よりも、むしろ大きい飛行機に積むのであろうというふうに考えております。
  40. 櫻井奎夫

    櫻井委員 これは非常に重大です。あなたが軍事専門家でないからそういう答弁ができないとおっしゃいますけれども、すでに今日F100という戦闘機には原爆搭載が可能だということをいわれておる。もしそうであるとすれば、今日のこの新潟あるいは横田、立川、木更津等の飛行場拡張は、そのような機種を飛ばす基地を作るということになるとするならば、これはそこの地元の問題だけでなく、日本国民としての大きな問題になってくると思う。これは原爆の基地がそこにできるかできないかという、民族の消長をかけた大きな問題であります。そういうものを、あなたはただ調達庁長官で、土地の接収とかなんとかそういう事務的な問題を取り扱うのであるから、そういうことは自分はわからない、こういう答弁では、これははなはだ不誠意きわまると思うのですが、その点はどうですか。
  41. 福島慎太郎

    福島政府委員 原爆という問題になりますと、これは必ずしも私の所管内というわけに参らないのでありますが、今日の状態におきましては、飛行場だけで即原爆という問題になるとは考えておりませんので、原爆の場合には、果してそれを日本国内に置く場合にはどこに貯蔵するかという問題その他もございます。たとえば新潟飛行場の場合には、飛行場がかりに大きくなりましても、一体それをどこへ貯蔵するのかというようなことは、全然そういう該当個所はないわけであります。また原爆という問題になりますれば、これは私の承知する限りでは、国際関係上の重要問題でありまして、少くとも日本側としては、原爆を日本に持ち込む、持ち込まないという場合には、当然日本政府の同意を求めろということをアメリカ側に請求することのできる性質のものでありまして、単純に飛行場拡張即原爆ということにはならないというふうに考えております。
  42. 櫻井奎夫

    櫻井委員 この問題は専門家でないあなたにこれ以上追究しても無理だと思いますので、新潟飛行場の問題に入りますが、これは地元で強い反対があることは長官も御承知であろうと思いますが、この新潟飛行場はすでに第三次の拡張をやって、今日計画されておるのは第四次の拡張になるわけですが、まだこの第三次拡張のときの補償といいますか、これが完全に解決をしていない。こういう第三次の補償の解決がないままに第四次の拡張をやる、こういう点について調達庁はいかに考えておられるか。
  43. 福島慎太郎

    福島政府委員 第三次の拡張補償が済んでおらない部分があるということは事実であります。話合いのつかない、値段の点について折り合いのつかない部分が、特に海岸寄りの方についてあるわけであります。しかしながらこれらはどちらかと申せば、第四次の拡張があるということがその後わかっておりますので、第四次の拡張になれば相当猛烈な反対にもなるし、調達庁も手を焼くに相違ない、そうなれば自然に買収価格等も有利になるに相違ない、あらかじめ話をつけてしまったんでは損になるおそれがあるというところが、おそらく第三次関係の話合いのつかない根本的な原因であろうと考えております。しかしながらこれから第四次の分のお話合いに入るわけでありますが、第三次の関係はそれ以前にぜひとも完了させたいというふうに考えております。
  44. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それじゃ第三次の分は、第四次の計画に入る前に誠意をもって解決をつけたい、こういう御意向でございますね。
  45. 福島慎太郎

    福島政府委員 その予定でございます。
  46. 櫻井奎夫

    櫻井委員 このほかの木更津、横田等も同様であろうと思うのでありますが、新潟といたしましても、これは地元に非常に反対の空気が濃厚でございます。なお地元だけでなく、さらに大きく、市あるいは県が反対を表明しつつある段階でございますが、そのような全県的な反対があっても、やはりこれは軍事上の立場から強行して行く、こういう御意向でございましょうか。
  47. 福島慎太郎

    福島政府委員 この点は先ほど木更津について申し上げたと同じでありますが、新潟飛行場を含めた計画を立てることが、全体の計画を最も小さい計画で実現することができるということにはっきり確定いたしますれば、ぜひとも新潟拡張はお願いしなければならないというふうに考えております。
  48. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 江崎真澄君。
  49. 江崎真澄

    ○江崎委員 前回の当委員会で問題になりました北富士の演習場の問題でありますが、またすでにあの当時から予想せられておりましたように、本日の新聞を見ましても、二十五日から以後三日間にわたって射撃演習が行われるという報道もなされておるわけでございます。また新聞等でちらほらながめますところによると、現地は納得したというような報道をなされておるわけでございますが、この問題は、長官も当時痛感されましたように、現地当局の思わざる返答と、同時にまたこの調整に責任のある特別調達庁としての立場からいささか手おくれの観もあった、そのために非常に日米国民感情を刺激したことはいなめないと思います。その後円満に話合いが進んでいることと思うのでございますが、この経過等について承わりますと同時に、二十五日からまた三日間のこの演習は円満裡に行われると当然考えなければならぬのでありますが、その点について長官は自信をお持ちであるかどうか、そういった点について承わりたいのであります。
  50. 福島慎太郎

    福島政府委員 北富士の問題につきましては、一応私どもアメリカ側との間に話をいたしまして、山梨県側に話をする前提条件を作りましたことは、前回の当委員会において御報告申し上げた通りであります。その後山梨県側におきまして、地元その他の関係者とも相談せられた結果、山梨県知事から私に直接、調達庁申し入れの条件に応ずるという御返事がありましたので、富士演習場の背景をなしております基礎条件につきましては、御提示しましたような、御報告申し上げましたような条件で山梨県側は了承をしてくれた。従って今後は調整という問題の手続において摩擦を生じない手続をとって、射撃が、行う必要があれば、行われるということになるものと了解いたしておりますが、御承知の通り、十七日に射撃という問題がそのときすでに存在しておりまして、これは県と軍側との話合いによりまして、県側が先へ申し送るということになりました。そのときにまた申し上げておきましたけれども、十八日から二十四日までは県側においてあの地区を使う予定があるからということになっておりましたので、これはまあ初めからアメリカ側も了承しておったところでありますが、これをそのまま尊重いたしまして、それが済んでからということになりまして、従って二十五日という日取りが出て来たのだろうと思います。それをあらためて二十五日から三日、これはまあ日数は、現実に射撃するかしないか、それは私はわからないと思っております。先般の四日間の射撃も、通告は六日間でございました。その間の天候の関係その他もございますので、日数のほどは実際にはわかりませんけれども、その範囲内においてやるという申し出でありました。今日県側との間に打ち合せをいたしておりますので、正常な調整方法をとった上で円満に実施されるものと確信いたしております。
  51. 江崎真澄

    ○江崎委員 円満に実施せられることに確信をお持ちになる、大へんけっこうだと思います。われわれもさように了承いたしまして、この問題に安心感を持つものでございますが、どうぞ一つそういう点等について万遺漏なきように、最高責任の場面の方として十分御注意をお願いしたいと思います。ただここで、現地の人々から仄聞するところによりますと、なるほど前回のこの演習場の問題は、一応一段落をしたかに見える。けれどもが、それが一つの被害妄想にも発して、A地区からB地区がときに被弾地区になるのではなかろうか、また将来そういうことがあっては相ならぬとか、あるいはまたB地区への立ち入りを極端に制限されるということははなはだ困るというような住民の声がああいう大きな反対運動になったことはこれはもう御承知の通りであります。ところが皮肉な一つ地元の批評を聞きますと、今度のB地区の解決ということは、いわゆる被害妄想の上に立ったそれぞれの想像はなるほど否定をせられた。けれども現実の問題としては、ただ単にこれは船津の林道におけるバス通行の問題、バスの乗り入れが合法化せられ、許可を受けた程度にとどまるのであって、これは地元としてはどうもはなはだ承服しかねる問題だ。むしろこのバス乗り入れの問題が解決せられるというのであるならば、過去において、ちょうどこれはあなたもお立ち会いになったこの船津林道におけるバス通行問題と同時に、A地区の、御承知の忍草、この三百戸農民の補償も十分あわせて解決をしようということで、まあ泣く泣く忍草においてはこの問題をバスとのにらみ合せで今日に至った。ところがB地区の被害妄想的面だけはともかくとして、それを除いてはバスの乗り入れの合法化ということだけで、一向に前進を見せておらぬ。むしろB地区のバス乗り入れの問題等をめぐりまして、逆に被弾地区で今まではバスとのからみ合せでまあまあと押えて参ったA地区に非常な政府不信の声が起っておるということは御存じでありますかどうでありますか。
  52. 福島慎太郎

    福島政府委員 御指摘のような関係はよく承知しております。そしてまた御指摘のような点について注意を払わなければならないということも事実であります。しかしながら今回はB地区という問題でB地区の返還運動に端を失しまして問題が非常に紛糾いたしましたので、B地区の問題をどうけじめをつけるかということに全力をあげた次第であります。A地区の問題に手が及んでいないことは御承知の通りであります。しかしながらB地区の問題から被害妄想的な分野が、その心配なしということになったということだけでも必ずしもないのでございまして、B地区を被弾地区にするという話が米軍関係から出て参って、それでB地区関係者が憤慨したりあわてたりしたことも事実ございますので、アメリカ側からB地区にたまを落すという話がありもしないのに、B地区の人が騒ぎ出したとは私考えておりません。これは確かにあったのだと思います。従いましてこれを解消させたということ並びにバスの問題とは関連なく、バス以外にも、B地区には従来は観光客の立ち入り禁止ということになっておりましたが、これが入れるということとか、あるいはB地区に全面的に立ち入り禁止としておりました関係が、そのときその場所という主義に変ったというようなこと、B地区問題といたしまして実質的に事態の進歩がないということは考えられないと思います。しかし御指摘のA地区関係というのがあることは事実でございます。ただ今回の問題といたしましては、いかにいたしましても、全然性格の違うA地区、B地区の問題でございますので、これをからませて一緒に解決するということはかえって困難もあると考えておりましたので、アメリカ側と話をいたしますときも、B地区の問題の解決条件はこれ、しかしながらそのほかにA地区の問題があるということはそのときすでにアメリカ側に話をいたしたのであります。そしてこれはB地区の問題とは別にA地区の問題として取り上げるからという話をいたしております。A地区の問題と申しますのは、おもにA地区内二、三カ所でありますが、桑畑の問題であります。これに対しまして根本的には桑畑を解除しろということであります。それからまた第二次的には、解除ができないのならば、その補償はどうするかということであります。当面はいずれアメリカ側との間にも——希望されております三カ所すべてが成功する交渉の対象になるかどうか、ちょっと地理的関係もありまして、A地区のまん中へ孤立している地区どもありますので、これらがどうなるか、多少の疑問も持っておりますが、A地区の境界に接続しているところも二カ所ばかりあるわけであります。それらの問題は取り上げようはあると考えておりますし、いずれアメリカ側で取り上げてくる、先方も個別にやってもらった方が片づきやすいからということを言っておりますから、何とか善処したいと考えております。それまでの間忍草区域におきます桑畑の問題その他補償は実施することに決定いたしておりますし、早急に補償の運びになると考えております。
  53. 江崎真澄

    ○江崎委員 結局今の桑園三百町歩を解除してもらいたいというのは、これは前からの問題で、そこには常時住んでおる三百戸の村民がおるわけです。それとバスの問題を、これは政治的にからみ合せて、それが二十九年の八月三十一日施設特別委員会で、あなたも、同時にまた米軍側も了承せられて両方並行して解決するこういうことになっておることは御承知の通りです。そこで今お説にありましたように、前回は全くB地区の問題でありB地区の解決に奔命をした、それはよくわかります。けっこうだと思います。けれどもそういうふうにからみ合せにして三百戸農民を押えて参ったというこの政治的措置、これから考えると、やはりこの住民にしてみると力のない一農民は非常にばかをみる。ところがたまたまバス会社の今の県知事につながった非常に力の強い営利団体はよかったんだ、こういうひがみが出てくるのも一応納得ができると思うのです。ですからこれはあくまで政治的措置の問題として両方にらみ合せて解決するというふうにお約束になっております以上、しかもまた米軍においても、それを認めております以上、これはすみやかに並行して解決に当っていただきたいと思うのです。大体いつごろまでに——これは相手仕事でありますが、あなたの腹がまえとしてそういう責任ある調整をあなた御自身がかつておられるのでありますから、大体の見通しとしてこういうふうにしたらいいと思う、また同時にその日取りはこの程度にしたいという具体的な見解というものは当然お持ちになっておると思いますが、その点いかがでございましょう。
  54. 福島慎太郎

    福島政府委員 事態並びにその考え方といたしましては確かに御指摘の通りであります。従いまして私も被弾地区の問題あるいはA地区の問題は早急に片づけなければならないと考えております。しかし問題はB地区の問題を固めるということに当面はあるわけでありますので、B地区において実態的の問題としては、さしあたり行われます射撃その他の問題が、いわゆる円満な調整の上に行われるかどうかということ、それに関連いたしまして、われわれの方で考えております立ち入り禁止の制札の撤廃とか、あるいはそういった現行協定の解釈上明確化できます措置を急ぎまして、なおまたほかにA地区の今回の解決条件の中には現行の協定を改正しなければ含まれない観光客その他の解決条件があるわけであります。これらの協定の改訂もいたしまして、将来にわたって、これはアメリカ側——日本側はそういう心配はないと思いますが、ひっくり返らないように固めましてからA地区の問題に移りたい。A地区の問題をB地区の問題にからめるというA地区方々の主張というものも、私はよくわかるのでありまして、私自身もそういう考え方を持っておったこともあるわけなんです。しかしながら射撃が始まってしまいまして、ああいうふうな事態になれば、これがまず取り静められなければならないということになりましたので、涙をのんでA地区とB地区との問題を切り離して考えたわけでありますので、B地区の問題を将来にわたって混乱の起らないように固めるという措置を至急にとりたい。それが固まり次第A地区の問題に入りたい。A地区の問題これは純然たるアメリカ側に譲歩を求める段階になりますので、その交渉の途次交換条件として従来のB地区の問題に話がひっくり返ってくることのないようにという時期までは、一応待たなければならないと考えております。B地区関係の今回の条件を、いわゆる成文化するという時期の問題でございますが、これは私ども合同委員会の問題でございますので、そうむやみな時日はかからないと考えております。
  55. 江崎真澄

    ○江崎委員 これはすでに長官も、速記録等によりましても、A地区の問題を考慮せずバス問題のみを考慮することは基地行政の均衡を失することになるのでありますから、かりに米軍がよいといってもこのバス問題のみを考慮することはできないという、過去に非常に強い、また公正な意見を出しておられる面があったわけです。そこで私どもが今度思いましたのは、たとえば観光客の立ち入りは認めてやろう、あるいは農民のそだ取りに入るのは認めてやろうといったようなことが許されたならば、これはB地区もなるほどいいことで、バスを入れてやろうというのを、それはけっこうですという必要はないかもしれぬが、少くともこれが昨年の夏からの地元民にとっては痛切な大きな問題だったわけです。そういう政治的な措置として両方を一緒に解決するという問題があるのならば、何もこれは観光客の立ち入りあるいは地元農民に、その農地の返還といった問題だけにとどめて、あえてこの事態の紛糾を避けようというおぼしめしならば、なぜこのバスの乗り入れ問題を、これはA地区の問題と一緒にして下さいというふうに——長官如才ない人だと思いますが、なぜそのお取り運びができなかったか。そうじゃない、これはバスの乗り入れが非常に観光のために役に立つのだというような理由があるかもしれませんが、それはただ単にバスの問題を解決するというだけならば非常にけっこうだと思います。けれどもこのバスの許可の問題とあわせてということで、三百戸農民を押えてきた経緯に考えれば、あなたの責任ある言明の建前からいっても、これはあと回しにすべきではなかったか、われわれはかように信ずるのですが、いかがなものですか。
  56. 福島慎太郎

    福島政府委員 先ほど来再三申し上げております観光客云々という問題は、バスに乗る乗客ということでないつもりで申し上げておったのでございます。スキー場とかその他富士五湖めぐりとか、そういうバス・ルート以外の観光客というものが、これは初めから締め出されておったものが今回解決したということになります。バスの問題は私どもががんばりまして、バスをとめてしまうまでは通っておった問題でありますので、過去のものが、バスの問題は戻ったというにすぎないわけであります。しかし今回の解決条件の中には、それに引き続く処置としてバスの問題も解決するようになっておるわけでありまして、解決条件そのものを構成しているわけではないのであります。その意味におきましては、あるいはA地区の問題と似たり寄ったりの扱いになっておるわけであります。またA地区の問題につきましても、B地区の問題を交渉する際に、アメリカ側に、本来はB地区の問題だけで片づくわけではないので、A地区の桑畑の問題があるということ、しかしこれは扱いにくい、アメリカ側としてもA地区、被弾地区の問題まで一緒に扱うことは扱いにくいであろうから、済み次第交渉するということで、先方もそれに異存ないということになっておりますので、格別バスの問題とA地区の問題を差別したつもりはございません。さりとてバスの問題もできるということになっております以上は、そうみだりに遷延する必要もなかろうというふうに考えておりますので、今後協定その他の改訂を待ちまして、特にバスということになりますれば、通れるバスが夏の登山期に通れないというのは、ばかな話だと思いますので、建前の問題は御指摘の点も確かにあることはありますけれども、登山期を控えてバスが動かないということもいささかどうかと思っております。できればA地区の問題がそういう時期にたとい解決しないまでも、取り上げられておるとか、そういうことで御了承を得やすい事態に早急にいたしたいと考えておる次第でございます。
  57. 江崎真澄

    ○江崎委員 お説よくわかります。ただそういうことでバスの問題を解決せられるならば、当然押えてきた今までの根拠は根底からくずれたわけです。そうして一方的にバスだけは解決した。早急にあなたの責任において、B地区三百戸の桑園返還の問題をお取り上げいただきませんと、これは政治的に非常にまずい問題になると思います。登山期を控えてバスを許した。許す許さぬということに私どもはあまりこだわりたくはない。許し得るものなら許してもらうことは一歩前進ですからけっこうですが、これが一つのなだめる要素になり、まあまあという一つの場面になって今日まで至っておった。そうするとこれは勢いこの問題はあわせ解決するとおっしゃった建前からいっても、あなたに、よほど責任を感じてこの忍草部落三百戸農民のことをお考えいただきませんと、力の弱い者がばかをみるというような悪印象を残して、この演習場今後の平穏のためにもまずい結果を来たすのではなかろうかということを憂慮するから、あえてこの問題を取り上げて申し上げているわけでございます。しかもこの船津林道のバス通行の問題は、地元の人から聞いてみても、そんなに緊要性を持たないものであるということがしきりに言われるのです。また一説には、このバスの乗り入れば不当競争で、現在訴願中であるというようなことも聞くわけなんであります。だんだん話を突き詰めていくと、この富士山麓鉄道ですか、この社長は、たまたま本委員会委員の人である。しかも前回の委員会の問題をめぐって——ここにおられるかおられないか知りませんが、しきりとその問題を強調せられたというようなことを聞くにつけましても、これはどうも長官はなはだまずいことをやった。政治的にあなたのように強い、私以外ではアメリカとは折衝不可能でしょうという、御確信ある答弁をなさる力のあるワン・マン長官にして、まさかこの一社長——しかしここに来ては委員かもしれませんが、かの圧力だとか、あるいは県知事のそれにからまる政治折衝というようなものがものを言ったとは思いませんが、ついこれは世の中のならわしでありまして色めがねで見たくなるものだということであります。それはあなたにしてみればお勝手かもしれませんが、少くともそういう誤解の生じやすいような問題を、何もことさらにこの際解決を急がれる必要はさらさらなかったと思います。少くとも三百戸農民をいかにして納得させ了承をさせるか、これがむしろ先決でなければならなかったと思います。こういった点につきましてあなたの確固たる決意のほどをはっきり承りませんと、早く打ち切って次にバトンを渡したいのですが、渡しにくいということになるわけであります。この三百戸農民の問題は、具体的にどういう御解決をせられるのか、はっきりと承りたいのであります。
  58. 福島慎太郎

    福島政府委員 バスの問題は、A地区の問題と同じように取り扱っているつもりでありますが、ただ多少違いますのは、バスの問題は、B地区の問題として将来アメリカとの間にバスの許可等その他あらためて交渉しなければなりませんが、交渉いたします場合に、今までに解決をみましたB地区の条件の方に話がはね返ってくるという心配はない。A地区の方の問題は、これを押し問答しておりますうちに、全般的な関係で話をつけたのがもし固まっておりませんと、それからそれへと影響する心配があるというところに、若干性質上の差異があるわけであります。またお説の通りに、バスとA地区の問題は、同じように扱わるべきであったと当時私はかたく信じておりましたし今日でもそういうふうに考えております。しかしながらあの射撃問題というものがああいうふうな騒ぎになってしまいまして、当時の状況といたしましては、とにかくあれを食いとめる、正常化するということが、どういう角度から考えましても、最も大事な問題になっておりました。従いまして将来バスが通れるような下地を、その解決で作ってしまったということになるわけであります。でございますから、あのバスが従来通っておって、それからまた一時通れなくなった、それが今後再開するということが、A地区の問題以前にあるといたしますれば、それはお話のございました圧力だとかなんとかいうことじゃありませんで、圧力があれば、その富士の射撃の問題に関連して騒ぎがあったという圧力に屈したわけでありまして、ほかの圧力に屈したわけじゃない。でありますから、山梨県知事なりあるいはバス会社の関係の人の圧力じゃなくて、あの射撃事件に関連して、騒がせた人の方の圧力に屈したわけでございますから、何ともお許しを願いたいと思います。
  59. 江崎真澄

    ○江崎委員 それでけっこうですが、ただ問題はこの緊急性のないバスがほどかれて、これはあなたのお話の筋もよくわかりますが、しかし一緒に解決するという場面で、この方面だけは解決されるとひがむのが人情なんです。そうすると、これは当然あなたの責任において一緒に解決をしたかのごとき、あなたの敏腕による処置を見ない限りあきらめられるものではないと思います。むしろ逆に今度はあなたがああいう騒ぎに屈したとするならば、今度はA地区でバス会社だけを認めておいて、話が違うじゃないか、かつて吉田内閣のときには非常に公正妥当な言辞を吐いた福島長官も、内閣がかわればその圧力に屈したのではないか、あなたが圧力に屈しないということは、われわれ委員会の者は一応了解したいのでありますけれども、まあ地元民というものは、そういうように色めがねをかけたがるものです。しかもバス会社の社長さんが民主党のれっきとした代議士であり、当委員会委員であるというに至っては、これははなはだどうも場面として——われわれも全くのところ言いたくないのですが、これは要素として今後もしそれらの連中が立ち上るときには、政治的にこれが大きく浮び上る可能性があるんですから、要らぬことを申し上げておるわけではないのです。だからどうぞ一つそういう点において話がほごになり、しかも状況の変化が全く政治的にはあったのでございますから、そういう誤解等を一掃をするためにも、忍草部落三百戸農民の善後措置を補償金というような手ぬるい問題でなく、三百町歩にわたる桑園の返還をあなたの力においてぜひ実現をしてもらいたいと思います。のみならず富士登山に要する二百頭の馬は、ほとんどこの忍草部落において養われておると聞いております。しかもこの忍草のこれらの二百頭の馬の飼育地は全く不法にも接収せられたと地元では言っておりますが、その接収地帯が飼育の唯一のたよりだった、こういうことを考えますときに、忍草の二百頭の馬の健全化のためにも、いわゆる一バス会社のバス運転も、観光期を控えて大切であるならば、この二百頭も、やはりこの桑園を奪われた三百農民の命の綱です。いわゆる観光遊覧機関としての重要な役割を果し、しかもまた生命を存続する上にもこれは大切な二百頭の馬でありますから、どうぞこういう点をバス会社のバスと同じように御考慮願いたいと思います。これは私どもしろうと考えからいっても、バスに乗るよりも馬に乗せてもらう方が安全で快適だと思います。いろいろ申し上げたいことはありますが、どうぞ一つそういう点を十分あなたの責任において、すでにもう昨年の八月三十一日に言明しておられるのでありますから、これが政治的紛糾の素因をなさないように、またあなたはすぐにと思い立ったが、委員会に引っぱられたから手落ちになったとあとで悔いを残さないように、どうぞ一つその点あなたの力においてすみやかに忍草部落の問題を御解決下さいますように、強く要望いたしまして、私の質問を結びたいと思います。
  60. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 古屋貞雄君。
  61. 古屋貞雄

    古屋委員 さっきの江崎委員に対する答弁を聞いていますと、長官が前回この委員会で報告された事項と、山梨県知事が地元民に発表した事項が食い違っていますので、明確に一つ今度解決いたしました条項を御発表願いたいと思います。
  62. 福島慎太郎

    福島政府委員 前今申し上げた通りであると思いますが、一つにはB地区を将来とも被弾地区にしないこと。B地区における立ち入りの関係は全般的な立ち入り禁止ということでなくて、演習の都度、その場所においての立ち入り禁止という制度に直すということ。B地区における従来は生業のための立ち入りということだけであったのを、観光関係の立ち入りということも承認するということ。調整という点に関しては、これを誤解の起らないような、明瞭な表現に改良したいということ。大体そういうところに尽きると考えております。
  63. 古屋貞雄

    古屋委員 そこで一番問題になりますのは、被弾地区にしないという問題ですね。それはいつどちらから被弾地区にするという申し込みがあったんですか。あらかじめそういうことを今回の条件の中に加えて、こういうことになったのだからといって地元民を押える方便に利用したように考えられるが、これは合同委員会において協定された条項の中に、そういうことが入っているのですか、入っていないのですか。
  64. 福島慎太郎

    福島政府委員 B地区被弾地区云々ということは、私どもが申し上げておるのじゃないのです。地元でそういっておるわけです。地元は富士のキャンプの将校あたりが、B地区にも被弾地区を広げるという話をしたことがあるといっておるわけです。それでB地区にたまが落ちるようになっては重大問題、B地区からA地区にたまを打つことは問題でないにしても、それが足がかりになって、一旦担当将校が言明したように、B地区が被弾地区になるということがあったのでは困るということを言い出したのです。そういうことを言ったアメリカ将校がいたかもしれないが、今後さようなことはありませんと明らかにしたというのが解決条件のつもりであります。協定には、B地区の被弾地区という問題は、B地区は被弾地区でないということ、将来B地区を被弾地区にする場合には、日米あらためて協議をしなければならないというふうに表現されておるわけです。従ってこれを根拠にいたしまして、B地区を被弾地区にするという問題を将来——ただいま申し上げた一将校のごとくでなく、アメリカの最高司令官もしくは司令部がいってくることがあっても、日本側は将来ともその協議には応じませんということを、このたびアメリカ側に通告したということであります。
  65. 古屋貞雄

    古屋委員 おかしいですね。あの実行委員会は私どもの支部長がやっておるのですが、今までかつて一言もないのです。  もう一つ承わりますが、調整の問題なんです。一体調整をしてあそこを使うということは原則にそうなっておるのですか、例外になっておるのですか。協定の一般事項の四項によりますと、例外規定、ただし書きになっておるわけです。ただし書きになっておって、そういうような現地の調整をして使うことができるということになっておる。そういう訳文に原文は見ておるのですが、原則は使わないということですか、例外を使うということですか、この点はっきり言明して下さい。
  66. 福島慎太郎

    福島政府委員 あそこで射撃をするということは、ただし書きに書いてあるという仰せでありますけれども、ただし書きばかりではないのです。ただし書きの前に二行ばかり書いてあります文字が、B地区からA地区への射撃と申しますか、あるいは登山道を越えて撃つ射撃は原則として禁止することに同意すると書いてある。従って例外的には射撃があるということは、ただし書きでない方に表現されておるわけです。それからただし書きの方にその例外、射撃が行われる場合には調整ということが書いてある。
  67. 古屋貞雄

    古屋委員 そうしますと読み上げますが、一般事項の中の四ですが、「在日合衆国軍は富士吉田、富士御殿場口及び須走口の登山道を越える実弾射撃を原則として禁止することに同意する。」原則的に同意するということはどういうことでしょう。原則的にできるということですか、できないということですか。やれないということが原則だと思うのですが……。
  68. 福島慎太郎

    福島政府委員 原則的に同意すると書いていないと思います。原則的に禁止すると書いてあるはずです。
  69. 古屋貞雄

    古屋委員 原則的に禁止することに同意するのですから使わないことに同意するのじゃないですか。
  70. 福島慎太郎

    福島政府委員 原則的に禁止することに同意しておるのであります。
  71. 古屋貞雄

    古屋委員 これは水かけ論になるのですが、今解決をいたしましたのに続いて、一番問題になっておるのは調整の問題です。現に江崎委員からお説があったように、山梨県知事には、二十五日から使うということを言ってきた。しかも今度は前と違って砲座が鳴沢村の中に変えられて前より悪くなるのです。今の江崎委員の質問の要旨は、今度はあれで片づいたが、今後この前のような混乱を起すおそれがあるかないか、ないというような御確認ができるかということですね。それに対して長官は何も返事していないのですが、この点はどうです。少し明確に御答弁願いたいと思います。山梨県の現地における知事の説明では、調整という言葉の解釈は、こちらが絶対に反対をするというような態度をとった場合において相手が考慮するというような説明をしておるのです。ところが長官の本委員会における説明は、知事が絶対に反対をするという申し出をするということ、地元民がそういう申し出をすることは行き過ぎであって、この協定には違反しておるという趣旨の答弁をされたように私は承わっておる。そこに本件の紛糾の問題が起きてくるのですが、この点は、今までの場合のアメリカの解釈、日本側の解釈は格別といたしまして、今回解決したときのお話はどうなっておるのでしょうか。その点を具体的に説明して下さい。
  72. 福島慎太郎

    福島政府委員 調整という問題に関連しまして、私が答弁いたしましたことを御引用になったのですが、御引用になりましたように答弁した覚えはございません。調整ということは断われるということではないのであるというふうに申し上げたつもりであります。何月何日にたまを撃ちたいと言ってきた、その日では都合が悪いから何月何日後にしろとか、何カ月先にしろとか、あるいはその場所では都合が悪いんだからほかの場所でしろとか、そういう相談をするということは調整であります。何月何日に射撃がしたいという場合に知事が断わったのが行き過ぎであったのは、将来とも絶対にたまは撃たせないという文章を書いたことは行き過ぎであるというのです。その日その日のことを断わることは行き過ぎでも何でもないのでございます。変った日についてまた相談すればいいわけなんです。一々断わったことが行き過ぎであるというふうに申し上げた覚えはございません。行き過ぎだということは、協定に例外的ではありますけれども、たまを撃たせるということになっておるのに、撃たせないといってがんばるのは協定違反になるということです。
  73. 古屋貞雄

    古屋委員 そこでその点なんですが、地元民はたまを撃たせない運動をしておる。その運動をしておる人たちについて今のような説明であったのですが、もうすでに知事があなたにお返事をしたその翌日から運動が猛烈に起きているのです。そこであなたが今後発表になったところによると、全部片づいたというお考えを持っておるのですが、現実は片づいていないわけなんです。そこで今言ったように調整とか協定条項に議論のあった場合、アメリカ日本側の解釈が違った場合の、最後の決定権はどちらがお持ちになるのですか。
  74. 福島慎太郎

    福島政府委員 調整ということで議論があって、その日ではいかぬ、あの日ではいかぬ、ここではいかぬ、あそこではいかぬ、ということで議論がごたごたしておれば、それは調整が完了しないので、調整中であります。調整に応じないのだということを言ってしまえばけんかになるのです。調整がうだうだ何日続いても、それは調整中であって、調整が片づいていないということはりっぱに言えると考えております。
  75. 古屋貞雄

    古屋委員 そうしますと、撃つのは二十五日、二十六日、二十七日と三日間は困りますということでごたごた、ごたごた、一年間でも、その日はいかぬ、その日はいかぬと継続をすれば、相手方は撃たないということに承わっていいのですか。
  76. 福島慎太郎

    福島政府委員 一年もやりますと、これは協定違反だということを多分言ってくるだろうと思います。
  77. 古屋貞雄

    古屋委員 その点は明確に願いたいと思うのです。地元の人たちの考えは違っておるのです。従いまして、今のように、長官のおっしゃったような御解釈でやると、この間の知事の回答が絶対に撃ってはいけないという回答をしたから、あれは調整ができたのだ、今回は三日間困るのだ、知事の方から申し出が出る。それからまた来月になっても困るのだという申し出が出る、そういうような申し出を知事がした場合に、アメリカさんがもし実際に撃ったとするならば、それは協定違反ということに解釈されるのでしょうか、その点はどうでしょうか。
  78. 福島慎太郎

    福島政府委員 二十五日からというのは、御承知の通りに、十七日という話がありまして、知事が十七日は困るということを言ったわけです。それから二十五日という話になったわけですが、さりとて十七日が困るといってアメリカさんが引き下ったということで、二十五日はもう調整済みだということに必ずしもならないでありましょう。しかし調整努力の結果、日取りがそういうふうに移っていっておるわけです。従って二十五日にもし都合が悪いという事情があれば、堂々たる理由があれば、理由を具してがんばればいいだけのことでありまして、理由がなければ、さしつかえのない日であれば撃たせたらいいだけの話であります。B地区から絶対に将来とも撃たせない運動があるということは承知しております。しかしながら、これは演習地としてきめて、例外的にでも何でも撃たせるという協定を作っておれば、B地区からたまを撃たせないということはできないのだから、B地区からたまを撃たせたくなかったら、B地区返還を待望するという運動になるべきである。B地区の返還についてはわれわれはけしからぬとも何とも言ってはいない。B地区の返還は協定が改訂されなければ返還されない。改訂されるまでは協定通りに、協定の範囲内において、例外であれば例外的に、実行させるものは実行させるという態度でなければならないと考えております。
  79. 古屋貞雄

    古屋委員 ただいまの答弁はこう承わっていいでしょうか。十七日に米軍が撃つとおっしゃっておったのですけれども、知事からそれは困るということになったので、二十五日に変更されたのだ、こういう御答弁に承わっていいのですか。
  80. 福島慎太郎

    福島政府委員 その通りでございます。
  81. 古屋貞雄

    古屋委員 それでは承わりたい。私は十一日に中央管区のクィッグ幕僚にお会いしました。十七日は撃つ、しかし二十四日までは撃たない、二十五日から撃つということを言っておった。これはどうですか。相手方がうそを言っておるのでしょうか、その点はいかがですか。あなたが想像をおっしゃっておるのですか、それともあなたのあちらとの交渉事項の中に、具体的に十七日は知事が反対しておる、それは困るから休んでくれ、しからばあらためて二十五日から撃つという交渉をあなたがやられたのか。私は中央管区司令官の方から二十五日からやるということを承わっておった。あなたの今の御答弁はでたらめなんですか。あなたの方の交渉によって変更されたとおっしゃるなら、その点を明確にしていただきたい。
  82. 福島慎太郎

    福島政府委員 でたらめかどうか、それは御解釈は勝手でありますけれども、十七日に鳴沢地区から撃つことになっておったことは事実です。知事がそれは困るといって、それがとりやまったことも事実です。二十五日から、それは前からの計画があったかなかったか、それは知りませんけれども、かりにあったにせよ、ないにせよ、十七日から撃つということがなくなって、二十五日から撃ちたいという事実があるわけであります。十七日の問題はあとになって、どこかに出てくればまた別かもしれないけれども、十七日に撃つと言っておった。知事がそれは困ると言ったのです。それで二十五日にそれをしたか、二十五日に前々から計画があったので代用したか、いずれにしても十七日の問題については知事の言う通りになったわけです。端的に申し上げれば十七日に撃つという計画が、地区も同じであります、十七日のやつはやはり鳴沢地区から撃つことになっておった。二十五日からのやつも鳴沢地区から撃つということでありますから、前々からあったやつが出てきただけであって、とりかわったのではないということであれば、それななおさらけっこうな話であります。十七日というものは永久にとりやめたことになるなら、なおさらけっこうなことではないかと私は考えます。
  83. 古屋貞雄

    古屋委員 それはなおけっこうというが、私は十七日はやめたので、二十五日に変更されたとおっしゃるから私は聞いておるわけです。  それからもう一つ承わりたいことは、あの条項があれによって地元が納得した、こう御報告になっておりますが、地元反対の運動がますます強くなりつつあるのでございますよ。おそらく二、三日間撃ちますなら、前より猛烈になるでしょう。従いましてそういうことになります場合に、知事が反対期成同盟会の会長をやっておる。この点は私どもは知事に対して抗議を申し込もうと思っておるのですが、拡張するとき知事は承諾しながら、今は返還何とかの会長をやっておる。この点は知事の問題ですが、ただ、あなたにお尋ねしたいのは、そうすると将来に向ってこの調整という文句を協定の中で変更するということで、知事に対しては、あなたが御報告され、そういうことで地元の方が納得したという御報告を受けておるのでしょうか、この点どうでしょうか。
  84. 福島慎太郎

    福島政府委員 知事さんが会長をせられておるのはB地区返還のための同盟であろうと思います。私どもはこのたびの射撃事件が解決したとか、あるいはわれわれの提示いたしました条件によって納得を得たとかというような射撃事件そのものが片づいても、山梨県人がB地区を返せという運動を継続されるのはあたりまえだと考えております。従いまして、知事がその同盟の会長をされようと何をされようとそれは正当であろうと思います。またそういう御相談を受け付けますということを言っております。しかし射撃事件そのものはああいう不正常な事態において、騒ぎのもとにおいて行われる必要はないから、協定の変更がされるまでは、これは現行の協定の範囲内で行われるならば正常化した事態において行わなければならないというふうに考えておるわけであります。従って現行の協定の制限のもとに射撃が行われるということは、将来においてB地区返還運動を引っ込めるわけではないけれども、それが固まるまでは現行の協定が生きておるという事態は承認するということにわれわれも考え、知事さんも考えておられるはずであります。その意味におきまして現行の協定が変るまでは生きておるという思想ではありますけれども、再三問題になりますように、また御質問それ自体がそうでありますように、調整という字がわかりにくいということです。これをわかりやすいように書きたいということです。
  85. 古屋貞雄

    古屋委員 そこで承わりたいのですが、反対運動が猛烈になって前より激しくなってくることは既定の事実です。従っていわゆる日米合同委員会において日米行政協定の今までの協定を変えましてあそこはもう演習場に使わないということを即時おやりになる御決意があるかどうか、この点を私外務委員会総理大臣に質問したのです。それはまず二つに分けて質問いたしました。第一に、あの富士山麓の今回の実弾射撃をやっておりますB地区は、アメリカがここでなければ困るからという要求で、アメリカ側に対して日本が協定に基いて提供したのか、それとも日本の皆様方の御都合であそこを提供することになったのか、この点をまず第一に質問したのです。と申しますのは、御承知の通り、富士山は単なる普通のところと違って特殊の関係を持っております。言いかえますならば、日本の民族のシンボルとまでいわれて、崇敬の的になっておる一つの場所であります。あそこをアメリカ軍に汚される。世界の霊山であり、平和の富士山としてあそこにレクリエーションをわれわれが自由にしたいというのが国民感情上の要望であります。従ってそこが汚されるということになれば、国民感情上どうしても反対するということがほうはいとして全国に起ってくるのは当然であります。加えて、あそこにはかけがえない重要な天然記念物があり、そこにたまが撃ち込まれるおそれがある、こういうことを考えますときに、ああいう特殊事情のあるところをわが国が提供しております現在のこの協定について、そういうことを考慮されて、すみやかにこれをやめるように行政協定を改訂する御決意があるかどうか。総理大臣は、あそこは永久にそういうような演習地にしないように自分も努力するというお話がございましたけれども、まず第一に前提として、日本提供したのかどうか、アメリカさんから要求されたから提供したのか、まずその点が一つ。それからいずれにしましても、相当猛烈に日本中から反対をされて、日米感情が悪くなるというおそろしい悲しい結果を引き起すおそれがあるので、即時長官も先頭に立って、ただいま江崎委員もおっしゃったように、一つのエキスパートとしてあの場所提供の協定改訂に御努力される御決意があるかどうか、この二つを承わりたい。
  86. 福島慎太郎

    福島政府委員 北富士のB地区提供する際に日本側で進んでやったか、アメリカ側要求でやったかという御質問でありますが、私は二十七年当時は役人をしておりませんので、その辺の事情は調べてみないとわかりません。しかし想像をいたしますのに、日本側から進んで提供したというようなことはなかろうと思っております。なおあの辺は日本人の最も大事にしておる地域であるので、たまが飛ぶというような事態はやはり希望されないということも私もその通りであると考えております。天然記念物その他もございます。ただ御指摘のありましたような、天然記念物の中にたまが撃ち込まれるというおそれはないのであります。天然記念物は御承知の通り地区にあるのであって、A地区にはないのです。間違って落ちれば別ですけれども、たまはA地区に落ちることになっておる。従ってB地区にたまを落さないという協定のために今日までやっさもっさやっておるわけであります。天然記念物の中にたまを撃ち込むおそれがあるということではないのであります。いずれにいたしましても、それはA地区であろうとどこであろうと、富士山のすそ野をたまが飛ぶという事態日本人の感情からすれば希望しないことであることには間違いありません。しかしながらこのいわゆる北富士B地区の問題だけを解決したのではこの問題は片づかない。A地区は御承知のように、東富士の方から須走口を越えて従来撃ち込んでおるわけですまた今問題となっておりますB地区の問題だけを取り除いたならば、富士山の横でたまが飛ぶという事態が解消するかということになりますと、それは解消しない。私も総理大臣と同じように、そういう事態は解消させたいと思っておりますが、解消させるためには、東富士、北富士すべての演習場を含んで問題が考えられないと解消しないということになるわけです。東富士、北富士の演習場というのは、今日問題となっておりますB地区以外は旧陸軍時代からの演習場でありまして、国内でああいう程度の演習場というのはほかに求めることはなかなか困難であろうと思います。それゆえにこそかって日本の軍も使っておったんだろうと思います。従いまして、全面的にこれを取りやめるということは、希望せらるるのではありますけれども、いついかなる形で実現されるか、見通しとしてはなかなかむずかしいところがあると思います。ではしからば、全面的問題でなくてB地区返還問題はどうだということになりましても、やはり富士山の横でたまが飛ぶという問題は解決しないということは御承知おきを願わなければなりません。B地区問題につきましては、これはまん中に天然記念物があることでもあり、旧陸軍演習場ということでもございませんし、何らかの解決が希望せられることは、総理大臣の仰せられる通り私もさように考えておりますので、でき得る限りの努力をしたいと考えております。
  87. 古屋貞雄

    古屋委員 今被害がないとおっしゃるが、現に戸沢には落ちています。絶対に破裂しないというたまか途中で破裂して戸沢に被害がありました。これは長官も知っているはずです。だから言っておるのです。あなたは今科学的に見れば一つも撃ち込んでないからこわれないというけれども、撃ち込まないといっても撃ち込むような場合があったり、例外があるから言っておる。例外があって撃ち込めば天然記念物がなくなってしまう。この点長官は十分今のようなことを保障されるかどうか。あそこはB地区からA地区へ撃っておるので、B地区には撃ち込まないのだから、そういう天然記念物の被害はないということをあなた保障されますか。現に山梨県の戸沢にそういう事実があるから私は質問しておる。その点どうですか。責任ある答弁を願いたい。
  88. 福島慎太郎

    福島政府委員 天然記念物の中にたまを撃ち込むおそれがあるというお話でございましたから、撃ち込むことになっていないということを申し上げておる。落ちるということはあるかもしれませんが、撃ち込むということと落ちるということとは違うということを申し上げておるのです。
  89. 中村高一

    ○中村(高)委員 今の問答に関連してちょっと。今古屋委員との問答の中にわからないところがあるのです。新聞で拝見したのですが、二十五日、六日、七日にまた実弾演習をやるというのですが、これは向うから正式に政府なりあるいは知事の方へでも通知が来ているでしょうか。
  90. 福島慎太郎

    福島政府委員 御承知の通り、協定上は現地で射撃をする場合には知事と調整すると申しますか、平たく申せば知事と相談するということになっておりますので、私どもの方には来ないのであります。知事と相談中であると考えております。
  91. 中村高一

    ○中村(高)委員 知事は、今古屋君の言葉で言うと、絶対に実弾演習をしてもらっては困ると言っておるのだから、多分そうだろうと思うのですが、そうすると、今度また二十五、二十六、二十七日の調整を始めるんだろうと思う。そうすると知事は、また困りますということになると、二十五日から以後の実弾演習はどういうふうになるんでしょうか。やるんでしょうか、また……。
  92. 福島慎太郎

    福島政府委員 知事は十八日から二十四日までは絶対困るという——十七日も困るといって、それから十八日から二十四日までは絶対困るといってがんばったわけなんです。しからば二十五日ということになったわけなんですから、その二十五日もまた困るということになりますかどうですか。おそらくそういうことはないだろうと私は考えております。
  93. 中村高一

    ○中村(高)委員 これはあなたもおわかりにならぬことはないと思うのです。知事として、あれだけ県民がやっておるものを、知事の一存でよろしゅうございますなんということをとても言えるものじゃない。私はおそらく困りますという断わりをするんじゃないかと思うのです。今までの経過から見ても、そうするとまたそこで問題が出てきて、またすったもんだが起るだろうと思うから、これはよほど注意しなければならぬのであります。ところがこの間委員会で問題になったのは、十七日一日の問題ですね。多分十七日は調整がつくだろうという長官の言葉で、十五日か十六日かあの日の前でした。ところが十七日にやらなかったようですが、そうするとあと残っておるのは一日なのに、十七日はやらなかったから残りは二十五日というならわかるけれども、二十五、二十六、二十七と、一日残っておるのを今度三日に、よけいになっているということはおかしいように思うのですが、一日残っておったなら一日やるというのならこれはがまんしてくださいということもあるかもしれないけれども、一日残っておるのを今度はおまけになってしまって三日やるのだというんじゃ、ちょっと知事としても相当調整困難のように思うのですが、長官としてのお考えはどうですか。
  94. 福島慎太郎

    福島政府委員 十七日にやられれば一日であったものが、二十五日になって三日になったということでありましょうけれども、それはすべてもう調整上の問題でありますので、アメリカ側も七月になればたまが撃てなくなるわけなんですから、五月、六月のころには一日、二日ずつ、あるいは二日、三日ずつの射撃をある程度やらなければならぬと思っております。従って一日やるといった場合にそれを取りやめて二十五日ということになりますれば、おそらく十七日の射撃と二十五日の射撃とでは同じ部隊ではなくなったんじゃないかと思います。そこに射撃をする部隊が常時いるわけじゃありませんから、ほかの部隊が入ってくるということになれば、来たついでに三日撃ちたいということになるのでありましょう。なお五月の末から六月の十日ごろまでの間には梅雨に入ります、その前には一日とか二日とかいう射撃の希望が今後も出てくると考えております。それが県知事なり地元なりにおいて、一年のうちに数回ということで承認できる限度であれば調整に応じてくれるはずだと考えております。
  95. 中村高一

    ○中村(高)委員 これはどうも納得できないのです。一日残ったというのであれだけすったもんだして、そして騒いだ問題で、しかも現地では納得しないままでああいう状態になっておるのに、今度はまた改めて三日やるというようなことは、全くこれは米軍としても日本人に対する無礼なやり方だと思うのです。今までの交渉、最初五日であと一日残っておったからというて、それを今度は三日にふやしてくるというようなことは、あの当時の実情を考えたならば米軍としても考えなければならぬことだと思うのです。これは福島長官を含むわれわれ国民全部のよほど考えなければならぬ問題だと思いますので、今後の調整については、あなたはその方の責任ある長官でありますから、一日をまた二十五日一日だけというならわかりますけれども、一日残っておったのを三日にふやされるなんて、そんなばかにされたような交渉に対しては、厳として断わるというような態度をおとりになったらいいと思う。一言だけ私の希望を申し上げておきます。
  96. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 田原春次君。
  97. 田原春次

    ○田原委員 私も富士山麓演習場問題についての質問でございますが、その前にこの委員会理事会ですでに御承諾を得て決定しております五名の参考人が、たまたまこの委員会の傍聴席におりますので、委員長の御承認を得ましてぜひ参考人としてわれわれの質問に答えてもらうようにしてもらいたい。その参考人は、この問題の土地の忍野村の前助役の長田早苗君、それから同じく忍草農民組合員の渡辺徳義君、同じく忍草入会組合の副組合長の大森明夫君、この五名の参考人を随時本日の委員会で陳述できるように、委員長にまずお取りはからい願いたいと思います。
  98. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 この際お諮りいたします。富士山麓演習地問題につき、長田早苗君、渡辺徳義君、及び大森明夫君の主君を参考人として招致し、本日その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 なればさよう決します。
  100. 田原春次

    ○田原委員 主として福島長官にお尋ねいたしますが、本件はA地区地区、すなわち梨ケ原と青木ケ原の問題でありますが、同僚委員によってB地区の問題はかなり明瞭になってきたのであります。そこで問題は、B地区は砲弾の発射地を臨時に設けるかどうかの問題であったのでありますが、私どもがこの問題の経緯を調べておる間に、はしなくも問題はそのB地区よりもA地区にあるということがわかってきたのであります。山梨県の南都留郡忍野村、特にその中の忍草部落の問題でございます。でその村の大体の状況を申し上げますと、そこは富士山の北側であり、標高九百六十メートルの高冷地であります。そうして戸数は大体三百戸でありまするが、そのうち二百七十戸は農民である。耕地は三百四十五町歩程度のものであります。  第一にお尋ねしたいのは、この忍草部落の入会地と、同区の個人所有地をどういう手続で米国占領軍に提供したかということであります。
  101. 福島慎太郎

    福島政府委員 北富士演習場のA地区に入会権があるということは事実でございます。従いまして占領期間中の分として入会権行使制限に関する補償をいたしております。講和発効後の分につきましては、二十八年三月末日までの分として九百余万円の申請があり、近日中に支払い実施の予定であります。それ以後の分については申請を待って処理する方針になっております。従いまして入会権の行使制限に関する補償を行っておりますことは、入会権そのものの存在を認めておることでございます。
  102. 田原春次

    ○田原委員 次は参考人に質問したいと思うのですが、参考人の陳述のできるような場所を用意願います。
  103. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 長田早苗君、渡辺徳義君、大森明夫君の三君が当委員会に出席されました。そこで田原君にお尋ねいたしますが、その参考人の三君のうち、ただいまの御質問はどなたに対してですか。
  104. 田原春次

    ○田原委員 参考人には、それぞれ質問の内容が違っておるのでありますが、長田早苗君には所有権の問題を聞きたいと思います。大森明夫君には入会の問題を聞きたい。渡辺徳義君には刑事特別法の処罰の問題について聞きたい。長田君にまず尋ねたいと思います。  長田君にお尋ねしますが、あなたはこのA地区に土地を持っておるのでございますか。そうしてその土地が、自己の承諾なしに演習地に使われておりますか。その点をお答え願いたい。
  105. 長田早苗

    ○長田参考人 私は米軍演習場として、幾多地元民と深刻なる問題を引き起しておる梨ケ原の、有名なる富士山麓演習場キャンプ・マックネアの、A地区に近接するところのB地区の一部の土地を所有しておる者でございます。ただいま田原先生の御質問に対して明確なる回答をいたします。私の所有地に対しましては、何ら交渉もなく接収いたしまして、今日立ち入り禁止になっております。以上の通りであります。
  106. 田原春次

    ○田原委員 あとでまた長田さんにお尋ねしますが、この際大森明夫さんに入会の問題についてお尋ねいたします。皆さんの忍草部落の入会組合の今までの経過、いつごろから入会地として採草や採石をやっておったか、それからいつごろからこれが禁じられておるか、どういう経過になっておるのか、お話願いたいと思います。
  107. 大森明夫

    ○大森参考人 入会権の行使は、忍野村ができたときから、往古より権利を有しております。それで旧陸軍のときには自由に立ち入りができまして、別して差しつかえはなかったのでございます。接収されて以来、立ち入りが極度に制限されるどころではなく、年に二回くらいのときもありました。それから土曜、日曜と申しましても、実際は土曜、日曜には入れなかったのであります。わずか年間二十日か二十二、三日ということで現在に至りました。
  108. 田原春次

    ○田原委員 大森さんにお尋ねいたします。その制限中に入ったというのは、採草のために入ったと思いますが、そうでございますか。なお入会権というものは採草だけでなくて、桑園の栽培、採取、それから薪炭林の設定あるいは採石場の復活等も当然入会権として認められておるのでありますが、それらについても、米軍が接収後において、自由に立ち入って使用もしくは採取できたものですか、この点一つお答え願います。
  109. 大森明夫

    ○大森参考人 採草だけに二十二、三日入れてもらうだけで、採石、採炭とかいうことにおきましては、一日も入れていただくことができませんでした。
  110. 田原春次

    ○田原委員 大森さんにお尋ねいたしますが、戦前陸軍演習地として使用している当時においては、採石も、薪炭林も、専用桑園もとられておったのですかどうですか。
  111. 大森明夫

    ○大森参考人 その当時は、採石も自由にできましたし、そだを切ることも自由にできました。
  112. 田原春次

    ○田原委員 大森さんに重ねてお尋ねしますが、しからばいつごろから、だれがあなた方にここに入って桑をとってはいかぬ、ここで木炭を採取してはいかぬ、あるいは石を持っていってはいかぬということを言われたのですか。
  113. 大森明夫

    ○大森参考人 それは渉外事務所の方から、立ち入り禁止ということで、接収されてから全然入ることができなかったのでございます。
  114. 田原春次

    ○田原委員 大森さんにお尋ねしますが、渉外事務所というのは、調達庁の渉外事務所ですが、それから、大体の御記憶でいいのですが、いつごろからそういう通達が参ったのですか。
  115. 大森明夫

    ○大森参考人 渉外事務所から、二十三年ごろ来たのでございます。
  116. 田原春次

    ○田原委員 次に渡辺徳義さんにお尋ねいたしますが、あなた外数名の方が、刑事特別法で科料に処せられたということを聞いておりますが、それはいつごろから、どういう内容でそういう判決を受けたのでございますか、これを一つ御説明願いたい。
  117. 渡辺徳義

    渡辺参考人 私は昭和二十七年十一月十四日、家内を連れまして、県道から約十メートル奥へ入ってまきをとっておりましたら、米軍のMPが五台来まして、ものも言わせず、逃げればぶつという格好でもって、そしてすぐ兵舎へ連れていかれまして、そして日本の警察を呼ばれまして、そこでひどく怒られました。後日また呼ばれまして、吉田の簡易裁判所へ行きまして、そんなまきを十ぱや二十ぱとって何のもうけがある。日本の国がアメリカ政府に対して、これは手をついてあやまらなければならぬ。とんでもない話だ。問答無用だという格好でもって、泣いてあやまって、やっと情状酌量して科料にしてもらいまして、五百円を昭和二十八年三月四日にとられております。
  118. 田原春次

    ○田原委員 福島長官に質問を継続しますが、御承知のように、入会権は国有地及び県有地にあるものでありまして、また個人の所有権はもちろん個人にあるのでありますが、先ほど質問申し上げましたように、米軍の占領中において提供したのであるが、その後調達命令、地元では略してPDと言っておりますが、どういうことかわかりませんけれども、この調達命令は、占領軍が日本政府への命令であって、日本人民への命令ではないと思うのでありますが、政府とこの忍草部落との間に、事前に何の協約もしないのに、占領中の軍の使用をそのまま継続してやらしており、そして今参考人が言われるように、調達庁の渉外事務所の一方的通告によって立ち入りを禁止しておりますが、なぜそういうことになったのであるか、当時の経過等お知らせ願いたいと思います。
  119. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 田原君にお尋ねしますが、参考人の三人の方に対する質疑はもうございませんか。
  120. 田原春次

    ○田原委員 まだあると思いますから、そのまま出席していていただきたい。
  121. 福島慎太郎

    福島政府委員 終戦直後、いわゆる占領期間中のことは、建前もかなり違いますので、今日のいわゆる行政協定に基く演習場の使用という問題と相当違っているところがあると思います。なお当時私は役人をいたしておりませんので、詳細のことは調べるほかはないと思いますが、占領直後は調達庁の設立せられる以前でありましょうから、渉外事務所という先ほどのお話は、おそらく県の渉外事務所の意味でございましょう。いずれにいたしましてもそれは同じことでございますが、調達命令によって接収地をきめる——その当時は合同委員会の形式による日本側との合意に基いて提供するという形式でありませんので、先方の調達命令、いわゆるPD一本で話が終るようになっておりますので、それに基いて県なり農林省なり関係市町村なりが相談してきめたのだと思いますが、私の承知しております限りでは、調達命令に基いて農林省なり県なりあるいは関係市町村なりが、一括して代表してきめたという形で、接収地区の使用が始まっておると考えております。それが講和発効と同時に行政協定に基く提供土地に変ってくるわけであります。その際に厳密に申せば、あるいは一件々々の土地所有者、もしくは一件々々の入会権所有者との了解で話が成り立つべきものでありましょうが、私の承知しております限りでは、その際も、農林省と県、関係市町村との一括取りきめということになっておるだろうと考えております。
  122. 田原春次

    ○田原委員 占領中のそういう取りきめが独立後もそのまま行くということは地元では知らないことであり、また納得できないことであり、従って講和発効後におきましては、少くともあらためてその忍草部落の共同の入会権であるところの建前を尊重いたしまして、部落と交渉してその承諾のもとに借り受けるなり、あるいは承諾がなければ場合によっては強制収用するなりして米軍に引き渡すべきものであると思うが、その点はどうなのです。
  123. 福島慎太郎

    福島政府委員 その点はそういうことでございますれば確かにおっしゃる通りであると思いますが、しかしながら昭和二十八年三月末日までの分として入会権行使制限に関する補償申請があったり、あるいはそれ以前の分として入会権行使制限に関する補償支払いがあったりいたしたことは、これは所有権には関係ないように思いますが、入会権に関しましては、制限しておるという了解が成立しておるという形はついておると申して申せないことはないのではないかと思います。
  124. 田原春次

    ○田原委員 日米合同委員会は、日本人民の財産権に所属する土地をただちに施設及び区域に編入する権限を有さないと考えますが、どうでしょう。言いかえれば、行政協定第二十七条二項の規定がある以上は、日米合同委員会決定は、日米両国政府間の約束にすぎないのでありまして、その決定がただちにそのまま日本人民を拘束するものではないと思うのでありますが、この点はいかがでありましょう。
  125. 福島慎太郎

    福島政府委員 日米合同委員会決定と申しますか、日米行府協定に基きます協定事項は、仰せの通り政府間の問題でありまして、日本政府はその協定に基きましてアメリカ側に対し土地その他の提供の義務を負うことは負うのでありますけれども、その義務を履行するためには、これが民公有の土地であればその所有者から買い上げるなり借り上げるなりいたさなければならないことは、御指摘の通りであります。
  126. 田原春次

    ○田原委員 そういう御解釈ならば、その後もそれに基いて忍草部落との間に買い上げ、借り上げ等の交渉をやられたかどうか。
  127. 福島慎太郎

    福島政府委員 申し上げました通り、入会権について補償をいたしておる次第でありますので、民公有の財産については補償するとか借り上げるとか買い上げるとか、そのいずれかの措置をとっておるというふうに考えております。
  128. 田原春次

    ○田原委員 本日の同僚委員の質問を聞いておりましても明らかでありますように、元来富士山麓演習場の使用については確かに協定に基いてあるとは思いますけれども国民感情に富士山麓はお断りしたいという気持があります以上は、これはB地区の部分的な解決であるとか、あるいは被弾地区のA地区における入会権を未解決のまま、着弾地としての行動をそのまま黙認するというようなことをせずに、私はあっさりここはお断わりしたらどうかと思う。そのことについては去る十六日のニューヨーク発のUP特電で、たまたまニューヨーク・タイムスでもそういう観点から論じているのであります。それをここに紹介いたしますと、「ここを実験場としなければならぬという軍事上の必要があるならともかく、ない以上は射撃を永久にやめるべきである。」といい、続いていわく、「富士山に実弾が打ち込まれることが日本人にとって腹立たしいものであることは明らかである。日本人にとって富士山は単なる絵はがきではなく、無視できぬ何か特別に神聖なものがある。もし外国の軍隊が米国のベドロー島を機関銃の射撃演習に使ったり、米国の戦死者たちが眠っているアーリントン墓地で、戦車を走り回らせて演習したらわれわれどう思うだろうか、われわれにとってこれらの聖地が尊敬されるのと同じように、富士は日本人にとって尊いものなのだ。」こういうことをニューヨーク・タイムスは社説で述べておるのであります。たまたまこれが十六日の社説に載ったということは、十日から十四日まで富士山麓の北演習場のB地区におきまして、地元民の反対を無視して、協定があるからということと、調整ができないということを理由といたしまして米軍演習を断行したことに対する米国国民の反省であり、警告であります。従ってわれわれは知事が返還期成同盟の会長であるとかどうであるとかいう末節の問題でなく、あっさりここは決心をいたしまして、アメリカ演習地としてのA並びにB地区は返還を要求すべきものであると考えるのでありますが、これについて長官はどういうふうにお考えになるか伺いたい。
  129. 福島慎太郎

    福島政府委員 ニューヨーク・タイムスもそういうふうに書いておる次第でもありますし、アメリカ人としても富士山という問題についてはそういうふうに考えるのでありましょう。われわれとしても富士山というものが、射撃演習によってわれわれの目ざわりになるというようなことは、解消すべき問題であるということお説の通りであります。しかしながらこれは——地区の問題は若干別になりましょうが、また日本の軍隊はアメリカほどむやみに実弾を撃たなかったのでありましょうが、昔からの演習地なんです。東富士、北富士両方とも昔から日本陸軍演習し続けてきたところであります。でありますから、日本人が演習するなら目ざわりにならぬけれどもアメリカ人が演習すれば目ざわりだということを言って言えないことも確かにないと思います。その意味において富士の演習場の問題を何らかの形で考え直すアメリカ人もニューヨーク・タイムスに表現されたような思想を持ち得るのであるから、何らかの形においてアメリカ人の考えを変えさせて、富士においてたまが飛ぶという問題の解消には努めたいと思っております。  ただ念のために申し上げざるを得ないのは、富士山にたまを撃ち込んで富士山のてっぺんでも欠けておるがごとき話が行われておりますが、そういう問題ではない。あれでわれわれが見る富士山の格好が三角から四角になるという問題では毛頭ないのであって、射撃によって富士山のてっぺんを逐次変えているというようなことを行なっておるはずはない。いわゆる北富士のA地区の今日ここに見えている諸君の部落にとっては、たまが落ちるということは大問題であります。落ちない方がいいにきまっている。しかしそれはそれなりの実態において理解さるべきであって、富士山にたまが撃ち込まれているとか、富士山のてっぺんがだんだん欠けてくるというような形でわれわれ取り上げても、ちょっと話の幅が違い過ぎるというようには思います。しかしながらそれとこれと別にいたしまして、富士山でアメリカ兵が演習するということは、われわれの気持からいって感心しないということは事実でありますので、でき得る限りそういう方角で話を実現させるように持っていきたいと考えております。ただ東富士、北富士という両演習場は広大な地域でありますので、アメリカ演習を取りやめさせてしまうということになれば、アメリカ陸軍というものがいなければかまいませんけれども、いるという建前をとっている限りは、どこかで演習をさせなければならぬ、どこかへしわを寄せなければならぬということになります。これ以上大きい演習場というものは今のところないのでありまして、どこかアメリカ軍演習しても差しつかえない、歓迎するという地域を探さなければならない。それがまた容易なことではないということになりまして、結局問題は、富士演習場に関する限りはアメリカの陸上部隊でありますが、これが日本国内でたまを撃つ必要がないという事態まで持ってきませんと、問題が容易に片づきません。これは私限りの考えでありますけれども、これはそういうふうに考えておるのであります。
  130. 田原春次

    ○田原委員 ただいまの長官答弁には、富士山の山が欠けていないということでありますが、実は須走口から登山する登山客に対して案内人が、八合目まで行きますと、ちょうどA地区の被弾地区が見える。そして点々と砲弾の撃ち込まれた穴があいておりまして、案内人いわく、あそこがアメリカ軍が富士山にたまを撃ち込んだ跡でございますという、屈辱の紹介を現在続けておるのでありますから、なるほどてっぺんに当らぬにいたしましても、胴腹の心臓に当っていることは事実であります。この辺でわれわれはアメリカさんに考え直してもらわなければならぬと思う点がある。第一点は、一体演習するというのは、ふなれであるから演習するということでありまして、たまの撃ち方がわからぬ、地形がわからぬとかいうことで撃つのでありますから、それならばアメリカ本国の、たとえば原子爆弾の実験をいたしましたネヴァダ州のラスヴェガスという、周辺六十マイルくらいは砂漠である、そういうところでアメリカ演習してきて、間に合う人間だけを日本に置いたらどうか、日本を初年兵の演習場にするということはわれわれには納得できないことである。なお使っております曲射砲その他の砲は、私も現地に行ってみたのでありますが、B地区青木ケ原の砲座からA地区に撃ち込むのですが、これは四里くらいですから十数マイルそこそこではないかと思います。こういう近距離にしか使えないような砲の威力というものは、先ほど来同僚委員長官との問答の中に出ておりますように、飛行機のごときは漸次飛行場を広げなければいかぬというくらいに、武器の進歩発達があるのでありますから、そういうときにわずか十マイルくらいしか撃ち込まれないような、比較的近い距離の大砲の練習のために、われわれ八千八百万の国民のあこがれの的であります富士山の土手っ腹に撃ち込む必要はない。この点はニューヨーク・タイムズも言っている通りでありますから、今回の反対運動を契機といたしまして、すべからく福島長官は外務省その他と協力し、もしくは意見を出しまして、一挙に富士地区は、一切さような戦争の演習のような忌まわしい場所にしないように願いたいというのであります。これに対する見解を承わりたい。なお戦争誘発はかえってこういうときに来ると思うのです。たとえば初年兵があそこで実弾射撃をしている、大砲の使い方もよくわからぬ者が射撃演習をやっているということはかえって外国の侵略を誘発するものと思うのです。その意味からいたしましても、また先ほど来申しました理由からいたしましても、富士山麓におけるAB両地区とも一切お断わりをして、本国で十分演習するように仕向けるべきであると私は考えるのでありますが、長官はどうお考えになりますか。
  131. 福島慎太郎

    福島政府委員 兵隊のことでありますから、必ずしも新兵だけが演習をするということではなかろうと思います。アメリカ人が特別覚えが悪いわけではありますまいが、新兵でなく古くなっても、兵隊として飼っておく以上は時に演習させなければならぬこともございまして、新兵の訓練場としてばかり富士山を使うということも言えないかと思います。  それからまた十マイルぐらいしか届かない曲射砲ということでありますが、それはまあそうでございましょう。そうでございましょうけれども、やはりそれでも大砲を操作する演習にはなるのであります。それ以上大きなものを持ってこられれば大きな演習場が要るのでありまして、われわれとしてもたまったものではない。せいぜいこの辺で大きな大砲を使うつもりで演習をしてもらうということにしなければなりませんので、今日の射撃状態というものは兵隊が存在する以上はある程度はやむを得ないのじゃないかと思っております。それにいたしましても、富士山がそれに適しないということは原則的にお説の通りであります。アメリカ自身の世論のうちにもそういう富士山でなくて済む方法はないかという意見が出ているくらいでありますから、われわれもこの問題は考えなければならぬと思います。しかしニューヨーク・タイムズの議論はアメリカにおける議論でありまして、アメリカ人らしい議論であります。日本のことをよく知らない議論であるはずです。射撃場ぐらいどこに行ってもある、そのぐらいの砂漠がありそうなものだ、何をすき好んでそんなところでやるやつがあるかということでありますが、アメリカのラスヴェガスの砂漠というわけには参らないのでありまして、富士山の射撃場をやめさせるためには、アメリカ兵に帰ってもらわなければ、われわれもこれにかわるべき演習場の捜査にこれから乗り出さなければならぬということになりますから、また各方面に御迷惑をかけることもあるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
  132. 田原春次

    ○田原委員 私は私の質問を終るに際しまして、三名の参考人にその労を謝するとともに、前回の委員会で決議になっておりますように、至急にB地区並びにA地区両方含めて内閣委員会が正式に現地を視察したい、しかもそれは二十五日以前に一組と、二十五日に一組と、二組に分けて現地に行くように、先般決定された動議を再確認し、その実行を要望いたしまして私の質問を終りといたします。
  133. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 古屋君。
  134. 古屋貞雄

    古屋委員 長官に伺います。一体日本国民は所有権、入会権は憲法に保障されているのですが、報酬を払えばそれでいいというお考えですか。頭から押えてこれを取り上げてしまってそうして所有権者の法律によって与えられている使用収益を禁じてしまって、あとから本人は不承々々だけれども、金を払ってやればいい、こういうお考えですか。
  135. 福島慎太郎

    福島政府委員 その関係は、占領中は先に取り上げてあとから補償したという事態がないとは私は言えないと思っております。しかし講和発効後におきましては、アメリカとの協定に基いてアメリカ側に土地その他を提供しなければならない、土地にいたしましても、地域を提供いたさなければならないということになりますれば、その所有者との間に賃貸契約なりあるいは買い取り契約が成立してからでなければ——もしくは漁業権、入会権などに一ついても、買い取りあるいは損害補償をするという話合いがつかなければ、これは提供できないという一般原則でございます。
  136. 古屋貞雄

    古屋委員 それでは、今参考人が申されたように本人は知らない。占領中はけっこうですけれども、占領中から講和発効後における推移、過程において、その手続をしたかどうか、しないでいいのかどうか、この点はどうですか。
  137. 福島慎太郎

    福島政府委員 その辺も調べてみないとわかりませんけれども、占領中に発生しましたような事態は別といたしまして、それがその後に押せ押せになっているわけでありますから、先刻来申し上げました通り、これは当時は農林省が担当してやってくれたのだそうでありますが、知事なり町村長なりとの一括話合いのときに、納得をしてもらったという形になっておるだろうと思います。そしてまた補償金その他を払っておりましたり、補償申請を受け付けておりますような事実が、その裏づけになっておるのではないかと考えております。
  138. 古屋貞雄

    古屋委員 所有権は知事さんや農林省が代理はできないはずです。それは土地であるならば、土地収用法に基く所定の法律の手続をしなければならぬと思うのです。先刻の長官答弁によりますれば、日米行政協定が行われても、国と国民との間の関係は、日本の法律によって所定の手続を経なければできないと思う。それをかってに知事さんや農林省のどなたかがやっても、村長さんがそういうことの承諾をしても、それは一文の法律上の効力はないと思う。従いましてそういう圧迫をしておるから、ここに来ておる人たちが、今の問題において数年間この闘争をやっておる。それをちゃらんぽらんにして受け付けていないというのは、あなたの役所が怠慢なんです。私は責任ある言葉を聞きたかったのですが、長官は当時就任してないから、前の人のことは知らぬというならば、明確に調査されて当委員会に報告を願いたい。  もう一つは、私非常に不愉快に思っておるのは、あなたは不謹慎だと思う。具体的に言いますれば、田原委員が、国民感情が非常に高ぶっているから、こういう問題は日本人としての立場から、すみやかにかような国民感情を害するような処置は改めるお考えがあるかないかということをお問いしたところが、富士山の頭のかけらがどうしたとかいうような答えをしておるが、これは態度が非常に不謹慎だ。議員を侮辱しておる。一体だれがそんなことを質問したか。われわれは富士山周囲における平和があるべきレクリェーションの場所、さように国民が感情的に考えておるところへたまを撃たれておるから、これをやめてもらおうじゃないかというのが国民感情であるということを申し上げておる。  もう少し承わりますが、日本の兵隊がやっておれば文句を言わずに、アメリカの兵隊がやっておれば文句を言うというような答弁をされておるが、アメリカの兵隊がやっておるのと日本の兵隊がやっておったのとでは、まるっきり根本的に違っておる。アメリカ軍がやっておるのは二万五千町歩、日本がやっておったのは四千町歩足らずです。あの演習地の歴史を調べてごらんなさい。今ここにおります参考人の所有地が、昭和十一年ごろに政府に買い上げられたのです。買い上げられたけれども、入会権の問題——しかも演習をしない場合とは、桑園として桑などを作って、地方民の生活は保障せられておった。今度は絶対にそこに入れない。今同僚委員のおっしゃったように、自分の入会権のあるところへ管理のために行ったら、つかまって縛られて罰金をとられたという。こういうことはあなた方が完全に解決しなければ、国民はまたあなた方に対する反感を持つ。もっとまじめな答弁をしてもらいたい。日本の当時の演習場ならば文句を言わなくて、今文句を言うのはけしからぬというあなたの答弁であるが、もっと明確な答弁をしていただきたい。われわれは日本演習場のときは国民の生活を考え、国民の生活を保障しておったから黙っておった。今は立ち入り禁止の場所に行けば、すぐ縛られたり、特別処置をもって罰せられておるから、皆さんが文句を言っておるわけであります。従いまして十三日の問題もそうです。演習地内におけるところのあの問題も、警察とデモ隊の問題でごたごたした。これはよってもってあなた方自身が解決しないから、ああいうことになる。この点はいかがですか。個人の所有権に対して納得をしていないという事実を認められるか。今参考人のおっしゃったように、何ら今まで政府が、官庁にしても、アメリカ軍にしても、個人の所有権者に対して納得のいくべき交渉もなければ、日本国内における手続にかなっていないという事実を認めるか。
  139. 福島慎太郎

    福島政府委員 個人の所有土地といいますか、民有地も、A地区内にあることは確かにあるのであります。従いましてそれらにつきましては賃貸なり買い上げなりの手続が済んでおると私は確信しております。済んでないところがあるということでありますれば、それは至急取り調べますけれども、A地区内においてさようなことは、いかに調達庁の仕事といえども、まずなかろうと考えております。ただいまこちらの参考人の方から伺いましたのは、B地区のA地区をちょっとはずれておる土地のように伺いましたが、B地区関係は、立ち入りの関係がA地区と異なりますので、土地の所有権がA地区と同様にいっていないというのはあると思います。  なお御指摘のございました富士山の演習問題——われわれがここでA地区と申しております地区へたまが撃ち込まれるという射撃問題について、今日こういう紛争が起っておるのは事実であります。紛争そのものは承認いたしますけれども、一般的には富士山の付近においてどこでもたまを撃っておるかのごとき印象を与えておりますので、その点は明確にしていただかないと、問題の所在が明らかにならなくなる、そういう意味で申し上げたのでありますから、その点御了承願いたいと思います。  日本演習場時代には文句を言わないが、アメリカになったら文句を言うのはけしからぬということを申したということでありますが、あの演習場日本陸軍時代から存在しておったのでありまして、今日アメリカがいることが気に食わないということは、私自身のつもりで申し上げたので、そういう意味で日本陸軍時代には何とも言わなかったけれどもアメリカになってから富士の近所でやってもらっては困るということを言っても、別におかしくなないということを申し上げたつもりでありまして、日本のときには文句を言わないが、アメリカのときには文句を言うというのはけしからぬと申し上げた覚えはございません。もしさようにおとりいただきましたならば、言葉の足らない点でございますので、これまた御了承を得たいと思います。
  140. 古屋貞雄

    古屋委員 それではもっとはっきり申しましょう。今A地区の入会権をどういうことで承認しておるか、補償するという承諾を得ておるのかどうか。ここに組合長もおられますが、そういうことについては何らの交渉がないということは事実であります。一体入会権に対する補償さえあるならばいいのか、それとも補償する前の前提行為として、入会権を一定の期間、権利行使をしないように、停止してから、補償するという納得があったかどうか。
  141. 福島慎太郎

    福島政府委員 この富士の問題は、占領時代から引き続いておるという意味において、いろいろな点で説明申し上げにくい点も多々あるわけでありますが、おそらく終戦直後におきましては、交渉もろくにせずに入会権を制限したという事実があったのでありましょう。しかしながらその後補償行為その他も行われております。補償というものは入会権を一括して——一人一人補償するわけには参りませんので、組合長の申請によって補償金を出しております。また今日も組合長の補償申請を受け付けておるわけであります。初めは占領時代に、おそらく先ほどお話のありました、PDによる一方的入会権の制限という問題から出発したでありましょうけれども、今日補償申請を受け付けるという事態に立ち至りまして、それが追認せられておるというふうに考えられるのではないかと思います。私自身特にこの仕事に関係したわけでもございませんので、そういうふうに考えられると御答弁申し上げるよりほかにありませんけれども、なお詳細の点は調べたいと考えております。
  142. 古屋貞雄

    古屋委員 委員長から御要求を賜わりまして、調査して御報告願いたい。というのは、この問題が納得いかなければ、おそらく地元の人は永久に反対運動をやる。やるのが当然なんです。所有権が国内法の手続によって何ら処置されていない、入会権もそういう処置がなされていない。これは長官の御就任前のことだとおっしゃるので、十分お取調べになって報告をしていただくように、できますならば、書類がありましたら、書類を提供してもらえれは一番よくわかる。委員長から御要求願いたいと思います。  それからなお長官一つ伺いたいのは、B地区の問題になりますが、今度二十五日からやるのは、前は砲座が大室山のふもとだったが、今度は鳴沢村に近い方に持ってきた。先刻の中村君の質問のように一日が二日になったということではない。もっと人畜に近いところに砲座を持ってくる。そこで伺いたいのは、アメリカ側で必要とあればB地区のどこにでも砲座を持っていって、そこに据えて射撃ができるのかどうか、そういうことをおきめになっておるのかどうか、その点はどうなんですか。
  143. 福島慎太郎

    福島政府委員 この点も再々お答え申し上げていると思いますが、B地区における射撃というものは、地元と調整の上で行う。調整はその日どりだとかあるいはその砲座の地点だとか、そういう点についてそこでは都合が悪ければほかに変えるとか、その日では都合が悪ければほかの日に変えるとか、そういう内容を前提としておるわけでありますので、それらも含めてアメリカ側として一応の申し入れとしてはB地区——但し保護地域を除きまして、B地区の地点で、そのために立木を切るとか、そういう必要のない地域でありますならば、発案することができるはずでございます。それを、場所なり時期なりについて現地と調整した上で、異存のないところにきめていくというのが、調整の内容であると考えております。     〔高橋(禎)委員長代理退席、委員長着席〕
  144. 古屋貞雄

    古屋委員 そうすると、そういう場所や何かのことで調整ができないということになれば、やめることになるのでしょうか。
  145. 福島慎太郎

    福島政府委員 場所にしても日取りにしても同じことでありますが、申し入れた場合に、その日ではどうしても都合が悪いとか、その場所ではこういう被害があってぐあいが悪いとか、その方角では保護地域が真正面にあって頭を越すことになって方角を少し変えてもらわなければ都合が悪いとか、そういうことがありますので、そういう場合に向うの申し出てきました地点を、都合が悪いという理由があれば、都合のいい地区がどこかにあるはずでございますから、そこらを教えてやるということが、調整交渉の内容になるはずであると考えております。
  146. 古屋貞雄

    古屋委員 申し入れても相手方がだめだといえば、向うのおっしゃる通りにやることになるわけですか。
  147. 福島慎太郎

    福島政府委員 それは、相手が、そこでは都合が悪いということになりますれば、そこはいわゆる話し合いでありますから、B地区というものは相当に広大な地域でありますから、どこかに話を落ちつけさせるということが交渉であろうと私は考えております。
  148. 古屋貞雄

    古屋委員 それは行政協定のどういう点においてそういうことになるのでしょうか。ただ合同委員会の申し合せの協定事項なんでしょうか。それとも行政協定において、それに対する根拠があるのですか。
  149. 福島慎太郎

    福島政府委員 それは、行政協定自体には根拠はございますけれども、問題となっております使用条件は合同委員会によって定め、日本側の閣議の決定を経、さらに引き続いて日米間の協定になったという意味において使用条件そのものが行政協定に基く日米協定になっているわけでございますので、その点御了解を得たいと思います。
  150. 古屋貞雄

    古屋委員 そうすると日本側は、今長官がわれわれに対するような強腰で、堂々とアメリカの方に当っていけば、今度は押せるということになるわけですね。たとえばこちらが強腰になって、アメリカさんにそういうことで押していただいて協定を改めてもらうというような態度でいけば、改められる見通しがあるわけですか。
  151. 福島慎太郎

    福島政府委員 協定を改めるという問題でございます。つまりB地区返還ということになるかもしれませんが、協定を改めなければできない事項については、協定を改めるということについては強交渉はできると思います。強硬にやるに従ってその実現性もあるわけであります。しかしながらお考えおき願わなければならないのは、そういうことで協定の改変が成立するまでは、現行の協定が生きておるという建前は、承認していただかなければならぬということでございます。
  152. 古屋貞雄

    古屋委員 現在B地区並びにA地区において提供されて犠牲になっておる参考人などの入会権並びに所有権に対しての調査の書類があれば、その書類をこの委員会提供することにしていただきまして、それを拝見してから質問することを留保させていただきましてこの問題に対しての質問はこれで打ち切っておきます。
  153. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 参考人よりの意見の聴取はこれで終了いたしました。参考人の三君まことに御苦労さまでございました。  次に福井順一君。
  154. 福井順一

    福井(順)委員 私は総理大臣並びに西田労働大臣に質問したかったのでありますが、御出席がございませんので、主として木更津の航空基地拡張問題につきまして福島長官に質問いたします。  福島長官は、先ほど茜ケ久保委員の質問に対しまして、アメリカ幾つかの航空基地拡張要求したのに対して、日本防衛上の見地から、日本防衛になると思わないものは取り上げていないということを答弁されましたが、そういうことができるかどうか、まず御答弁願いたい。
  155. 福島慎太郎

    福島政府委員 アメリカ側の言いなり次第になっていたのでは、飛行場問題が幾つ起ってくるかわからないのであります。またどれだけの財政負担になるかわからない。とにかくできてもできなくてもアメリカの言うことを全部うのみにして参るわけにはいかないのでありまして、これを最小限度に切り詰めるということでわれわれは仕事をしているわけでありますし、また最小限度に切り詰めておるわけでありますから、できるかできないかということになりますれば、今日そういう意味においてのアメリカ要求を制限しつつあるということは、できておるとお答え申し上げるほかはないと思います。
  156. 福井順一

    福井(順)委員 それでは一体五カ所の航空基地拡張はいつどういう機関で決定をされたのか、これを承わりたい。
  157. 福島慎太郎

    福島政府委員 この五カ所の問題は、ずいぶん長いことかかったのでありますが、一昨年以来もみにもんでいた問題でありまして、あらゆる面での日米関係者、両政府の間でこの相談にかかり合っておるわけであります。どういう機関かということになると、それは機関としての意思表示は、日米合同委員会並びにこれに接続いたしますところの施設特別委員会で討議したということを申し上げるほかないと思います。
  158. 福井順一

    福井(順)委員 これは聞くところによれば、昨年の九月二十七日の第二十九回施設特別委員会決定されたということを聞いておりますが、その施設特別委員会のメンバーと、また日本側の要求がいれられるかどうか。たとえば日本の国防上必要でないと思えば、これをやめるというようなことがいれられるかどうかということを、明確に答弁していただきたい。
  159. 福島慎太郎

    福島政府委員 この木更津の問題につきましては、昨年の九月に何らかの決定ということでありますが、これはその背後地の問題が昨年の施設特別委員会に出たということであります。その背後地の問題はそのころ一応の方針を固めた、意思決定をしたかもしれません。しかしながら問題は、一昨年以来飛行場全般の問題としては、つまりこれは木更津ということに固まるか固まらないかわからない状態ではありましたが、全部その飛行場の状態を検討するという意味においては、一昨年私が調達庁に参りましたころすでにもみ合っておったということは間違いございません。施設特別委員会においてはアメリカ要求を断わったことがあるか、断われるかというお話でありましたが、施設特別委員会で断わった事例は数限りなくございます。会議のたびに三件や五件アメリカ側の要望であっても、日本側としては要求に応ずることができないという書類を、私の名前で出すのでありますが、今のところ二週間に一ぺんずつ回送しておりますが、そのたびに七つや十ぐらいの拒絶の回答に署名しておる記憶がございますので、断わるものはりっぱに断われておりますから、アメリカに言われたことは断われないのではないかという御心配はかけずに済むのではないかと思っております。
  160. 福井順一

    福井(順)委員 しからば今回の五カ所の航空基地決定は、日本の国防上あなたは必要と思ってこれに賛成されたのかどうか。
  161. 福島慎太郎

    福島政府委員 今日の事態におきましては、四十の飛行場をすべて拡張せられるよりは、これを五カ所に切り詰めて、そのかわりこの五カ所の飛行場の性能が十分に発揮できるような計画を立てた方が日本の国防上の問題としては、これは数の多い方がいいのでありましょうけれども、最小限度の要求は満たすことができるし、国民負担の問題としてもその方が正しいと考えて一応の意思表示としましては、五カ所の拡張計画努力してみるということになっておるわけであります。
  162. 福井順一

    福井(順)委員 そういうことになれば、これはあなたの見解で日本の戦略的または戦術上、国防上非常に必要だということをきめることはできない、従って施設委員会に軍事専門家を入れてこれを決定しているかどうか。あなたが一人でそういうことをきめるということは、あなたはしろうとでありますから、日本の将来にとってはなはだ危険なことになります。その点一つそういう軍事専門家がメンバーの中に入っているかどうか伺いたい。
  163. 福島慎太郎

    福島政府委員 こういう問題が起りましたので、施設委員会には防衛庁からも参加してもらっております。
  164. 福井順一

    福井(順)委員 先ほどの答弁や今の答弁を聞いておりますと、いかにも日本の国防上これが必要だ、アメリカのただ単なる要請によってアメリカのサービスで航空基地をつくるわけじゃないというようなことでありますけれども、それならばそういう機関できめていただきたい。もっと日本の軍事専門家というようなものを入れて、主張できるものは堂々と主張できる法的な根拠を作って、しかる後にきめていただきたい。それでないと、はなはだ危険なことと思います。この点について御答弁願います。
  165. 福島慎太郎

    福島政府委員 お説の通りであると思います。私どもとしては、日本の現在の国防の専門家防衛庁をもって代表させるよりほかはないと考えておりますので、防衛庁に特に参加してもらっておる次第であります。
  166. 福井順一

    福井(順)委員 そういうことになれば、将来防衛庁が調達庁を吸収するというようなことも起きてくることと思いますが、それはそれとして、先ほどの同僚委員の質問にこういうことを答弁されましたが、私はこれをもう一回ただしたいと思う。それは、防衛分担金折衝のときに、削減の道具に航空基地拡張を使ったということではないと長官は言われましたが、どうも最近の政府の航空基地に対するやり方を見ておると、大へんあせっておられる、そういうことから考えてみますと、やはり防衛分担金の削減をめぐって、何か政府が非常に急速にこれを整備するというような密約をされたのではないかと思いますが、その点について……。
  167. 福島慎太郎

    福島政府委員 防衛分担金の先般の交渉に全然関係がなかったということではありません。それは確かに日本側としては、二年間もみにもみました飛行場拡張問題というものも最小限度において案を立てなければならぬ、日本の国防上からいっても案を立てる必要があるという結論に達したわけでありますから、その意味において、分担金の削減額をアメリカ側が考えている以上にふやしてもらわなければ困るという主張はしたのでありましょうから、その意味においては関係ないとは言えないと思います。従ってその意味において、共同声明の中に飛行場問題もうたわれておるのであろうと思います。しかしながら、日本飛行場を近々のうちに予想せられます新飛行機時代に使えるようにしておかなければならない、日本では飛行機はどこからも飛ぶことができないのだというような事態では困るのだということは、防衛分担金交渉がいかような結果になりましょうとも、われわれの方には必要があるはずの問題でございまして、その意味では関係がないということを申し上げたわけであります。
  168. 福井順一

    福井(順)委員 それはまた問題がおのずから別個の問題でありまして、アメリカから要求されたから作るということと、日本自体が将来ジェット機が一機も飛べなくなる時代がきては困るから今作るということとは、全然別個の問題であります。そうなると、日本自体の考えでアメリカがいかに航空基地要求しても断われるかどうかという問題に再びなって参りますが、日本自体の考えで断われるかどうかということをもう一回はっきり御答弁願いたい。
  169. 福島慎太郎

    福島政府委員 アメリカとの間には共同防衛というか何というか知りませんが、とにかくアメリカの軍隊は日本におる、空軍もおるという建前になっておる。その場合、アメリカ空軍日本飛行機が飛べなくとも差しつかえないということであれば、これが承認される原則であれば、それに基いて断わることはできると思います。
  170. 福井順一

    福井(順)委員 最近政府は、非常にあせって航空基地拡張問題を常軌を逸した方法でやっておられるが、これについてはどういうお考えを持っておるのでしょうか、またどういう理由があるのでしょうか。
  171. 福島慎太郎

    福島政府委員 あせっておるわけではございませんですけれども、御承知の通り、この拡張計画に必要な予算というものは、防衛支出金として今回三十年度の本予算が国会の御承認を得た後に、つまり七月から始まるということになっております。大体こういう問題は予算をとるときから問題になるたちの問題でありますので、予算はとることはとったが実現ができなかったということになりましては、またもう一ぺん問題にならざるを得ない。従いまして私どもとしては、この予算の成立しました時期に問題を起さないように本年度内に仕事を終えたいと考えております。また事柄の性質が、飛行機日本において飛べるように間に合せたいということもありますので、あまりにゆうゆう閑々とやるわけには参らないということであります。あせっておるわけではありませんけれども、事柄の性質上、大体出かけていってすぐ御賛成が願えるというたちのものではありません。相当長い間御反対を願わなければいけないというような事情にあるわけであります。従いまして、その間の説得工作も相当手間もかかり骨も折れるわけであります。早く始めなければ容易なことでは間に合わないという問題でございますし、たくさん問題も出ておりますから、早くやりたい。忌憚のないことを申し上げて恐縮でありますが。まあゆっくり待って国会でも済んだころから始めれば一番簡単ですが、それをせずに、あえて国会中といえども地元の方にも通知もし話もする。あせっておるとおっしゃられればそれまででありますが、われわれとしては仕事の必要性からいってまじめにやっておるつもりで、その点は御了解いただきたいと思います。
  172. 福井順一

    福井(順)委員 私があせっておると申し上げるのは、大へん常軌を逸しておるということであります。たとえば木更津の航空基地拡張について言いますならば、調達庁は千葉県知事を通じて五月九日にこういう通達を発しておる。二十日までに海面調査をしたいから、漁民から立ち入りの承諾をとってもらいたい、また九月二十日までに海面埋め立てる承諾を同じく漁民からとってもらいたい、こういうことを千葉県知事に調達庁が申し入れてそうして千葉県知事から木更津の浜名市長にそういう話があった。これはたった十日間の余裕を置いて、そして漁民から海面に立ち入って調査をする承諾をとれというようなことは、この民主政治の時代に考えられない常軌を逸した方法でありますが、これについて一つ長官の見解を伺っておきたい。
  173. 福島慎太郎

    福島政府委員 これは文書の面からみますとそういうことになりますけれども、問題はかねて千葉県知事との間にも話し合いをしておりますので、文書として受け付けたのはそれは最近のことであるかもしれませんけれども、千葉県知事としては唐突の問題ではないのでございます。それからまた埋め立てその他の権利という問題は、これはさっきのお話でいいのでございますけれども、立ち入りだけは急ぐ、と申しますのは、調査をせぬことにはほんとうの意味において四十の飛行場の問題を、五つなら五つに詰める、六つなら六つに詰める、七つなら七つに詰めるという問題がどことどこでやれるかという本式の案は立たない。従いまして、調査だけは大至急やってしまわないと、あまり調査ができないで、ゆっくりやりまして八月、九月になってようやく立ち入りを認められて、そのボーリングをしてみたところが飛行場に適しないということになったのでは、今さら計画の変更もできないということになってしまいますので、いやしくも調査というものは厳密にやりたいと思っておりますが、その結果思いがけない結果でも出て参りました場合には、それによって計画自体も変更できるという時間的余裕がなければなりませんので、土地を入手するとか海面を入手するとかいう問題は先へいっても差しつかえないのでありますけれども調査だけは、こういうたちの問題は、再三申し上げております通りに、四十というものが五つになるという、そういう経緯になっておりますので、調査だけは大至急やる方が仕事の態度としてもまじめであると私どもは考えております。
  174. 福井順一

    福井(順)委員 千葉県知事に対してはずっと前から要請しておると言っておられますが、私はそうじゃないと思う。ここに千葉県知事に対して出された通牒がありますから、これを読みます。三十年五月六日付東京調達局長より千葉県知事に出された通牒、「木更津飛行場整備拡張のための地役権設定要求につきましては、予てより御協力方煩わし来り深謝致して居りますところ、今般更に調達庁長官から御協力方お願い致すことと存じますが海面側についても別添図面の地域についてその埋立使用の要求がなされました。つきましては、その具体的内容については参上の上詳細御説明申上げる所存でありますが、これ等土地提供及び海面埋立使用の目的及び必要の事情等御高察下さいまして、更に格別の御配慮を重ねてお願い致したく、取敢えず書中を以て御依頼申します」これは昨年の十一月からの問題であります。これは背後地の地役権の要求でありまして、いわゆるクリアランス・ゾーンの要求であります。この問題についてはずっと前から千葉県知事に話をされていない。非常に突然千葉県知事に要求されたものでありまして、漁民といたしましては非常にびっくりしているようなことで、調査をするのは早くしなければならない、そういうあなたの調達庁の都合で、そしてわずか十日間であるけれどもこれは漁民に承諾してくれということを要請したのだというようなことは、これははなはだ人の御都合を考えない。もっと極端にいえば、これは人権の無視でありまして、憲法違反にもなるまことにゆゆしい問題で、許すことのできない思想であります。その点について、今後もそういう考え方で交渉してこられるかどうか、長官の考えを伺いたい。
  175. 福島慎太郎

    福島政府委員 この飛行場の問題に関連しまして最も大事な点は、どことどこの飛行場でぜひともやるという案が確定するということが一番重大なことなのです。そのためには一応予備的な考え方としては、現在名前の出ております五つに固まっておるということはこれは申し上げられる。さりとてこれも調査が済まなければ完全なる自信を持ってきめたと言うわけに参らないのであります。従いましてこれができるだけ早く調査を済ませて、その五つにするならする、その五つのうちたとえば木更津は海底の状況がこれに適しないとかいうことになることが早ければ早いほど、かりにこれが木更津ということにその調査によって固まることになれば、木更津の人には御迷惑であるけれどもほかの地域の人にとっては利益になる。あるいは木更津の海底の状況からいって適しないということにかわってほかを至急探さなければということになれば、ほかの人にとっては迷惑であるけれども木更津の方にとっては安心がいくという処置になるわけであります。従いまして調査それ自体はできるだけ早くやった方が、その後の処置の第一歩になるのでありますから、とりわけどこにおいても拡張するということになれば反対の問題が必ずあるわけでありますから、それをわれわれが反対せられてもだめだといって言い通すか、それともそういう反対というものもあるいは頭に入れざるを得ないかもしれないという御返答ができるか、いずれにしても調査の結果でありますので、調査を取り急ぐという事情については、ぜひとも御了解を得たいと思います。従いまして立ち入り調査をしたいということでありますので、十日間の余裕くらいでお願いできるというふうに考えておる次第でありまして、立ち入りということだけを五月の問題としてお願いしておるわけでありますので、人権の制限とか、憲法上の問題とかいうところまで問題が及んでおるとは毛頭考えていない次第でございます。
  176. 福井順一

    福井(順)委員 あなたはたいへん早くからこの問題が起きていた、また手も尽しておったと先ほど言われましたが、何ら手を尽していない。そんなに早くからこの問題が起きているならば、これは地元民に対していかようにも今まで事情を了解させる方途は講じられなければならなかった。特に木更津市の前山崎市長や市会議長、その他数人の有志が昨年から約半年間にわたって、数回にわたって特調、外務省、県に伺いも立て、陳情もしておる。それはNHKその他で、どうも木更津の航空基地拡張されるのではないかという不安を持ちまして、そうして県や特調や外務省に数回にわたって行ったわけであります。ところがそのたびに特調でも外務省でも、木更津の航空基地拡張計画は全然これはない、その計画がないのになぜそんなにしつこく陳情に来るんだということまで言って、怒られて帰ったような状態で、地元民としては、全くこういうことはないと思っておった。ところが突然青天の霹靂で、五月の九日に市長に申し入れがあったということでありますが、ずっと前からおわかりになっておったのに、しかも数回にわたって、半年間に市長、議長、その他数人の者が陳情に来ておるのに、どういうわけで話をされなかったか。この理由を一つ承わりたい。
  177. 福島慎太郎

    福島政府委員 木更津という結論に達しました四十の飛行場の検討問題というものは、昨年からもんでおったということは申し上げた通りでありまして、その意味におきましては、木更津ということに落ちつく可能性が出てきた時期から——初めから木更津という名前が出たわけではありませんが、相当前からわかっておったということは事実であります。しかしこういうたちの問題は、かりに調達庁におきましても全部が全部、事務当局の末から末まで知らせて仕事をするというわけにも参りません。私どもだけがアメリカとの間で話し合い、防衛庁と話し合うということで事態が推移しました点が非常に多いのでありますから、係官によりましては知らなかったということもあるいはあるのであります。それからもう一つ、差し迫りましてもなおかつ申し上げられなかったというのは、一つには予算が確定してない。案としては木更津ということになりそうだけれども、大体予算的にいってアメリカ飛行場拡張問題を、日本防衛問題を頭に入れて組み直したのではあるけれども、それを本年度予算に盛り込めるかどうかということが非常に疑問であったわけです。それがようやく四月の末になりましてから本予算案ができるときに初めて入ったわけなんで、それまでは予算ができるかできないか、ほんとうに実は問題であったわけです。相当に金額もかさむ案でありますので、予算上の目途がつかないときにお話しをすることはまずもってできないし、私どもとしてはアメリカ側要求の案の時代、それに日本側の防衛問題を考慮に入れて飛行場の話をつけた時代がありましたけれども、さらにそれを制約するものは予算であると考えておりましたので、予算をもらわなくてはこれはいかにアメリカの要請があろうとも、いかに日本防衛問題があろうとも、予算がなくてはこれはできないという建前をとっておりましたので——これは全然予算をつけられないということはないと思っていましたけれども、当節のことでありますので、十分な予算はとうていつけられないのではないか。現に予算の査定時代におきましては、この関係予算は非常に少かったわけなんであります。従いまして四月、ほんとうにもう本予算のできますぎりぎり前の晩あたりにようやくこの予算というものができ上りましたような事情もありまして、その一日前では一体この飛行場問題に幾らの予算があるかということは皆目わからない。従いまして幾らか予算があれば、かりに五つというような原案がありましても、一つやったらおしまいといったような予算であっては、とうてい木更津などというお話しをすることはないと考えておりましたので、五月に近づきますまで、申し上げますならば、本予算政府案ができまするまでは、人様にお話しする気持に全然ならなかったというわけでございます。本予算は、御承知の通りに、ほとんど五月に接近してできたのでありまして、それからすぐ手配をいたしましたので、東京局長の通知は五月五日ですか、あるいは九日になっておるという次第であります。
  178. 福井順一

    福井(順)委員 それでは予算ができるのを待っておられたというのでありますから、その間の長い間調査もされたことでありましょうし準備もされましてやっとこの予算ができたので、これならやれるということで木更津航空基地拡張をきめられたのでありますか。
  179. 福島慎太郎

    福島政府委員 木更津拡張を大体においてきめておるということは申し上げられますが、これは調査をしてみなければほんとうのところはわからないということは御了承を得ておかなければならぬと思います。予算は十二億何がしの予算が、防衛支出金にうたってあるわけでございますが、これはそういう予算ができたらばその限度でやろうとわれわれは考えておりますので、かりにこの五つ飛行場の問題でありましても、その十二億からはみ出せばもうできないということにこれからでもなるのです。一応十二億は木更津も含めまして五つ飛行場について——一つ飛行場について幾らという考え方はいたしませんけれども五つ飛行場全般について必要となる土地の面積がどのくらい、また必要となる補償額、漁業権、入会権その他の補償額はどのくらい、家屋の移転補償その他の補償がどのくらい並びに飛行場に関連いたします工事、河川、道路のつけかえといった関係がどのくらいというところは、概算して予算を全体に通じて立てておりますので、十二億という予算を立てております中には、通じての予算といたしましては、木更津を含めて立てておるということは申し上げられると思いますが、木更津飛行場を、これによって絶対完成できるかどうかということになりますと、今後の調査の結果にもよりますけれども、まだ確実な見通しは立っておりません。
  180. 福井順一

    福井(順)委員 十分に調査をされ、また予算も大体概略のことは取っておられることと思いますが、その調査をされてどういうふうに認識をされておりますか。私が今から木更津の航空基地の事情を簡単に申し述べますが、木更津の航空基地は、これにノリと貝類の養殖場で、稚魚、稚貝の優秀な発生場でありますが、この海面を九十万坪、昭和十一年に埋め立てて、日本海軍が使用していたのでありますが、終戦後アメリカに接収されて、今米軍が使っておるということであります。ところが昨年の十二月にこの背後地に地役権の要求がありました。これはクリアランス・ゾーンにするために四万二千坪立ちのきを命ぜられておる。その戸数は十六戸でありますが、この住民はもう今までに戦争中から飛行場ができたために三回立ちのきを命ぜられておる。今度立ちのきがせられるというとこれは四回目であります。従ってもう行くところもないというような状態であります。またこの九十万坪埋め立てられたのでありますから、これは非常に零細な漁民になっておる。この零細な漁民が、またこのたび十六万五千坪埋め立てられると、これはなおさら零細化する、というよりも、ほとんどこれはもうやっていけなくなる。と申しますのは、農耕地ならば十六万五千坪だけ埋め立てればそれでよいと思いますが、ちょうどこれは海流の関係で、小糸川という川の下流に当っておりますので、この小糸川から流れてくる水が沈澱いたしまして、ここらの百数十万坪の海域というものがノリが全くできなくなってしまう。また貝も育たない、稚魚も発生しないというようなことになるのでありまして非常に膨大な海域にわたって絶大なる影響があるわけでありまして、ここで生業を営み、生活しておるところの四千百人の漁民の死活問題である。これは全く生活を奪われてしまわなければならないという、非常に重大なる漁民の死活問題でありますが、御調査の結果、そういうふうに認識されて、この木更津の航空基地拡張してアメリカ提供するということをきめられたのでありますかどうか、一つ伺いたい。
  181. 福島慎太郎

    福島政府委員 そういう漁業権の問題、それに関連する組合員の数その他の関係は、一応農林省なり水産庁なりにあります資料によって判断の材料としたわけであります。それによって第一案としてこういう状況になっておるわけであります。調査したかというお話しでありますが、その調査をさせてくれろということを目下お願いしておるわけであります。
  182. 福井順一

    福井(順)委員 それは概略の調査をした結果実情をよく認識をされて、そしてきめられなければならないことでありまして、調査をするのにわずか十日ばかりの間に漁民の承諾を得るということは、これははなはだ至難な問題であります。あなたは人のことだからそういうふうに言われます。ほかにもたくさんの重要なかつまた困難な問題に東奔西走、大へん力を尽しておられるので、どうも一木更津航空基地の問題には、それほど重大な考えをお持ちにならぬかもわからぬけれども、四千百人の漁民が生活を奪われるということは、これは人道上の問題であり、憲法上の問題であり、大へんなことであります。これを一つよく考えてもらいたい。そういうことも簡単に言えば、きめてこれから調査しようと思うから調査をさせてくれということを通告したのだというようなことは、これははなはだあなたとして不遜な言葉だと言わざるを得ないのでありますが、一つあなたのお考えを伺いたい。
  183. 福島慎太郎

    福島政府委員 調査をこれからしたいと申し上げていることは、私は別に不遜でも何でもないと思っております。調査をいたしますことは、とにかく海上に立ち入りまして海底の地質も見なければならぬ。漁業の状況も実態的に見なければならない。その結果で海流の調査もしなければならないでしょう。その埋め立て地域が突き出しますことによって両側の漁業に与える影響はどうであるか。稚魚が発生しなくなるか、依然としてするかどうか。川の流れの関係はどうなるかというようなことになりますので、たとえば地質関係からいって埋め立てに適しないことがわかるとか——もちろんわかれば飛行場もできなくなってしまいます。それからまた漁業の実態の調査につきましても、政府関係にあります資料だけでは不十分なのであって、これを実態に基いて、たとえば今福井議員の仰せになるような実態上の問題が存在する、埋め立て場所だけの借り上げなり買い上げでは事が済まないのであって、また数十万坪以上の漁場に稚魚の発生その他で影響を与える。それらに対しても補償をしなければならないとか、そういうことが調査の結果確定して参りますならば、極端に申しますれば、十二億のうちにはまらないという調査の結果が出て参りますれば、これはできないということになるのでありましてそういう意味におきましても、これから調査しなければならないという切実なる必要があるわけでございます。
  184. 福井順一

    福井(順)委員 非常に理解のあるお言葉をいただきましたが、十二億の予算五つの飛行基地拡張ができないということになれば、これはやめなければならない。こういうお話でありますけれども、むろん十二億などで足りようはずがないと私は思います。海面埋め立て木更津だけだと聞いておりますが、この木更津から申しますならば、海面を収用する補償漁業権賠償、その他工事費にいたしましても、おそらくこれは耕地を埋め立て滑走路を作るよりも数倍も、十倍もの金もいるでしょうし、滑走路だけの買収費でなく、影響を及ぼす百数十万坪の漁業権も買い取らなければならぬということになれば、木更津だけでもこの拡張計画を遂行するには膨大なる予算が要るものと思います。とてもできるものとは思えない。そういうこともよく御研究なさらないで、たとえば今長官が十二億でできなければやめると言われますけれども、大体の概算はしてあるんでしょうが、積算の根拠は何か。私はもう一ぺん伺いたい。
  185. 福島慎太郎

    福島政府委員 その点は仰せの通りでありまして、海面埋め立て飛行場拡張するということは、先刻もほかの方の御質問にお答え申し上げましたけれども、むしろ田畑を買って飛行場拡張するよりは数倍も高くつく。あるいは数倍どころではないかもしれません。海面自体、十六万五千坪の漁業権だけじゃなくて、そのほかに影響する地域ももちろんありましょう。ただそれがおっしゃった百数十万坪であるかどうかということは、専門家あるいは学者の調査に待たなければなりません。おっしゃる通りにきめるわけにも参りません。従いまして、海面を使用できるところまで権利をとるまでに、普通の田畑をつぶして拡張するよりははるかによけいの金がかかることは事実であります。しかもその上に今度は埋め立て費用が莫大もなくかかるわけであります。従いまして通常の人間の常識をもって、四十の飛行場五つにするとか、六つにするとか、どこにしようとか、しかもそれは国民負担を軽減するために減らすんだということになれば、当りまえの飛行場拡張よりも数倍かかる飛行場を入れるはずはないのであります。それを地理的な配備の関係から、どうしても木更津ということになっている。これをやめたら、ほかの飛行場よりも何倍かの金が浮くわけであります。一応積算の根拠というものは、木更津飛行場の点も加味してはおりますけれども、大体五つ飛行場について六十万坪くらいのことを考えておりますので、それに通常の土地という観念から申しますれば、六億円くらいというふうな考え方になっております。そうして土地だけで済まない地域につきましては、補償費その他の関係をもう六億見ておるということが、大ざっぱに申しまして十二億の根拠になるわけでございます。
  186. 福井順一

    福井(順)委員 拡張費の十二億の半分の六億が補償費だそうでありますが、とてもこんなことでは足りるわけがないでしょう。そこで私が聞いておるのは、まだ少くとも十億や十五億は足らないので、何とかこれを捻出しなければならない、そこで東京にあるワシントン・ハイツの近所に、現在米軍施設が建築されておる、それに収容すれば十五カ所くらいのものが返してもらえるので、そこからも何億か浮いてくる、また妙義山の中止とか、あるいは千葉県の防潜網が撤去されたので、補償をやらなくてもいいようになる、そういうものを集めると、大体十億くらいは捻出できるから、それを一つこの補償に充てたいというような考えのように承わっておりますが、たとえば千葉県の防潜網が撤去されましたけれども、すぐこの補償をやめてもらっては困る。あの下には幾多の残骸がある。たとえば五トンもあるおもりやワイヤーがたくさん沈めてある。すっかり掃海が済まなければ網も引けない、魚もとれないというような状態でありまして、そういうものをこの補償費に見込まれるというようなことはできない相談であります。そう考えて参りますと、これが十二億くらいでは最初からできないじゃないか。特に木更津の航空基地というようなものは、膨大な海面漁業権さえ収用しなければならない、それの補償は実に膨大な額がいる。こう考えてみますと、これはてんで予算がない。にもかかわらず強行しよう。一体九月の二十日までに収用する承諾を漁民からとってくるということだそうですから、着々計画だけは進んでおることと思いますけれども補償する金がなくて海面や土地を取り上げてしまおうというようなことでは、全くこれは人権問題です。そういう点についてどう考えておられますか。
  187. 福島慎太郎

    福島政府委員 十二億では十分なわけにいかないとなれば、どうせ同じ防衛支出金の中でありますから、十二億以外の、六十八億の一般補償関係解除その他でできるだけ切り詰めて金を浮かして、こっちへ回すというふうなことは考えておりません。たとえば防潜網の補償は、従来一億五千万円ですか、二億ですか、そのくらいの補償をいたしておったかと思いますが、本年度は昨年度の実績に対する補償をするということになりますので、本年度になりましてあの網を取ったからといって、本年度の防潜網関係補償費は一文も節約にならない。それからワシントン・ハイツその他の関係で、これから東京都内において相当の建物があくようになると思いますけれども、これとても、これからのことでありまして、決してそれの一年分の家賃が浮くわけでもありません。またあけば原状回復の補償その他が当然に出て参りますので、かりにこれが年度半ばの十月ごろにあきまして、半年分の家賃の節約になったからといいましても——十月ごろにあくことそれ自体がなかなか問題があると思いますけれどもあと半年分くらいの家賃の節約は、原状回復の補償にそれ以上取られてしまうわけでありまして、一般の補償費の関係解除その他で節約して、それから飛行場関係の財源を生み出すという考え方は、とうてい実現することのできない考え方でありまして、さような考えは全然持っておりません。
  188. 福井順一

    福井(順)委員 私は補償をしてもらいたいために、この補償問題を話したのではないのでありまして、先ほど長官がいわれましたように、十二億で足りなければこれはやめなければならぬというような話でありますから、それならば十二億で足りないということはわかり切っている。特に五カ所のうちでも木更津の航空基地拡張は、ほかの航空基地よりもおそらく数倍、十数倍の予算でなければやれない。だからこういう一番やれないところから打ち切ってもらいたい。またこの百数十万坪ということは影響があるのでありまして、四千百人の漁民の生活が全く奪われる。こういう見地から、これは被害の甚大なることが、ほかの飛行場とは問題にならない。予算の点からいきましても、あるいはまた被害の膨大な点からいいましても、木更津の航空基地が第一位でありますから、こういうところは、さっさとおやめになったらよかろう。おそらく長官自身も、話を聞いてよく調査をしてみれば、木更津の航空基地はとてもやれないと思っておられるのではないかと思いますが、長官の御所見はいかがでしょうか。
  189. 福島慎太郎

    福島政府委員 かりに仰せの通りでありましても、福井代議士のお話だけで引き下るわけに参らぬのであります。どうしてもこれは役人仕事でありますので、調査をして、その数字に基いて、引き下るものなら引き下る、やれるものならやるという形をとらなければなりませんので、一つ現地立ち入り調査だけは、たってお願い申し上げたいし、また御尽力も願いたいと思っております。
  190. 福井順一

    福井(順)委員 漁民は全く木更津航空基地拡張反対であります。また地域権の要求も、これは絶対反対であります。そこでこれを承諾させるということは、私は絶対に不可能なことだと思います。また地元の代議士といたしまして、土地の事情にも大へん詳しい私が見ましても、この航空基地拡張というものは、これはとうてい不可能である。これだけの膨大な犠牲、四千百人の漁民の犠牲においても、航空基地拡張しなければならないというわけが私はないと思います。そういう意味におきましても、私はこの木更津航空基地拡張は絶対反対であります。また漁民も全員こぞって反対であります。これは背後の思想関係というものは何もありません。ただ父祖伝来の自分たちの漁場を奪われて、あしたからにも生活が困ることになるのだという生活権に対する恐怖で反対しておるわけでありまして、これは当然のことだと思います。従いまして私もまた絶対反対でありまして、五月二十日までに漁民が立ち入りの承諾をしないときには、実力を行使しても調査をするということを知事が木更津市長に話をしたそうでありますけれども、そういうことをすれば、大へん重大なる事態が起ることと思いますが、私はその責任を負うものでありません。これは私はお答えいたしておきますが、これに対する長官のお考えはどうでしょうか。
  191. 福島慎太郎

    福島政府委員 五月二十日までに、地元の同意が得られなければ実力を行使するという、どういうことでそういう話が出ましたか知りませんけれども、私どもは毛頭そういうことを考えておりません。この問題がどっちへころぶにしても、早目に調査をすることが絶対に必要であるということから、これは御了解願えるはずであると確信しております。
  192. 福井順一

    福井(順)委員 私は大体の質問を終りましたが、これは調査庁ではよく御調査を願いたい。それは海岸に立ち入って調査を願いたいということではなくして、諸般の事情をよく御調査を願って御考慮いただきたい。百数十万坪のノリの養殖、貝の養殖、稚魚の発生上に重大なる影響を及ぼし、四千百人の漁民の死活問題でありますから、これをも犠牲にして航空基地拡張をしようということは、私はこれはやるべきでないと思いますので、ぜひこれは中止をしていただきたいということを要求いたしまして、私の質問を終ります。  それから漁民や市の代表を参考人として呼んで、この次の委員会で意見を聞いていただきたいと思いますが、これは委員長にお願いいたします。木更津市といたしましては、従来あそこに膨大な航空基地がありますために、少くとも三千万円という交付金が入らなければならないのに入っておりません。その他これは文教上、風紀上、学童などにいたしましても、ジェット機の発着で耳をおおうて勉強をするというようなことでありまして、その他いろいろ米軍の航空基地があるがために、木更津の市民は苦労に苦労を重ねてきております。そこへまた今回この基地拡張問題が起ったのでありますから、これはぜひ長官には中止をするように一つ考えていただきたい。これをお願いしまして私の質問を終ります。
  193. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 参考人の件は、先ほどの他の例と同様、理事会において決します。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十八分散会