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福島政府委員 この問題はなかなかむずかしい問題でございまして、公務員に比較して
退職金が必ずしも三割三分低いというように簡単に割り切れないところもあるのであります。つまり
退職金をどう見るかということで変ってくるわけであります。公務員と駐留
軍労務者というものは大体賃金ベースが違うわけなのであります。一方は一万五千円に対して一方は一万八千円ということで定めた。その後公務員と同時同率でベース・アップするということで現在になっておるわけであります。ぺース・アップを重ねた結果がそういうふうに開いたわけでありましょうが、そこで
退職金規定も公務員と同じように定まっておったところが、公務員の
退職金に関する規定が近年いささか改まりましたので、その結果
退職金規定としては、つまり率の問題としては公務員の率よりやや不利であるということが言えるわけです。それを御
指摘の、あるいは三割というふうにおっしゃるのかもしれないと思います。ところが
退職金というものは、率はもちろん問題でありますが、せんじ詰めて問題になるのは、やめて幾らももえるかということになるわけでありますから、
退職時の月給に率をかけてそれで幾らになるかということになるわけであります。そういたしますと、もらえる金としては同じような年限、同じような
仕事をした公務員と駐留
軍労務者の
退職金とでは、駐留
軍労務者の方が低いということにはなっておらない、金額としては高いのです。率としては公務員と同じような
制度になっておらないことは事実であります。従ってその
限度内において、金額の場合は忘れて率の問題として是正される必要があるであろうということは、私も
考えております。たださらに違いますことは、駐留
軍労務者の場合には
失業保険というようなものがついてくるが、公務員の場合にはそれがついてこない、そのかわり恩給がついてくるとか、
待命制度がついてくるとか、いろいろあるわけで、その付随の
制度が非常に違います。従って
退職時の利益といいますか、
——退職時の利益というのはおかしいのですが、
退職時のベネフィットというものを一体何できめるべきか、公務員は
退職金と恩給、
臨時待命であるが、駐留
軍労務者は
退職金に
失業保険である、それとどうするかというように比較して、そこで
お話になっておるのですが、何と何を比較するかという正確なところがいろいろ意見の分れるところでありまして、従って公務員より三割安いというようなお尋ねがございましたから、
現実の問題として公務員より安いことはない、しかしながら
制度上の問題として比率上若干損をしていやしないか、駐留
軍労務者の
退職金が公務員より多いのだからといって、平生の給料が多いのだから、給料の多い者は
退職金をよけいもらえる、これは当然なんで、それを多いからといって数字化されては困るのです。そこでこういう
制度は改善してもらわなければならない、せんじ詰めればこういうことを
労務者側は主張になるが、
アメリカ側の主張は公務員並みにしろといっておる、どれをとってみても公務員より多いじゃないか、こういうことをいっておるのです。一方問題をむずかしくしておりますのは、駐留
軍労務者の場合は、
平和条約発効の際一ぺん
退職金を計算してとってしまったわけです。それ以後新たに勤務年数というものが生まれておる。従いまして
駐留軍の
労務者というものは講和発効以来三年になりますか、三年といたしますれば、三年以上の勤続年数というものはないのです。それまでに途中で一ぺん
退職金をとって清算したということがあります。
退職金というものは、一定の率に最後の
退職時の給金をかけましてとるものでありますので、途中で清算すれば損になるにきまっておるのです。損になるときまったことをしておって、今になって少いといったってしょうがないじゃないか。少くしたのじゃないか、しかも給料の金額はどれをとっても公務員より多いじゃないか、そこで金額で
議論する
米軍と、率で
議論する
組合との間に立ちまして、われわれは妥当な解決点を発見しようというような
努力をしておるわけであります。