運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-03-29 第22回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十九日(火曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 宮澤 胤勇君    理事 高橋 禎一君 理事 辻  政信君    理事 高橋  等君 理事 森 三樹二君    理事 田原 春次君    長井  源君       保科善四郎君    堀内 一雄君       眞崎 勝次君    粟山  博君       大坪 保雄君    小金 義照君       田中 正巳君    旧村  元君       船田  中君   茜ケ久保重光君       石橋 政嗣君    下川儀太郎君       渡辺 惣蔵君    鈴木 義男君       中村 高一君    矢尾喜三郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 三木 武夫君        国 務 大 臣 大久保留次郎君  出席政府委員         人事院総裁   浅井  清君         海上保安庁長官 山口  博君  委員外出席者         調達庁長官   福島慎太郎君         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君         専  門  員 安倍 三郎君         専  門  員 遠山信一郎君     ————————————— 三月二十六日  委員池田禎治君辞任につき、その補欠として矢  尾喜三郎君が議長指名委員に選任された 同月二十九日  委員松岡松平君及び竹尾弌君辞任につき、その  補欠として堀内一雄君及び小金義照君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提  出第四号)  公務員の給与に関する件  富士山麓演習地問題等に関する件     —————————————
  2. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 これより会議を開きます。  海上保安庁法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑は先般一応終りましたが、あらためて御質疑はございませんか。——なければ、これにて質疑は終了いたしました。  これより討論に入りますが、通告もございませんので、これを省略するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 なければ、さよう決定いたします。  これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 御異議なければ、さよう決定をいたします。よって本案は原案通り可決せられました。  なお本案に対する報告書作成につきましては委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  委員会の運営につきまして理事会を開きたいと思いますから、このままで休憩をいたします。     午後一時三十六分休憩      ————◇—————     午後一時四十四分開議
  6. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 それでは会議を再開いたします。  富士山ろく演習地問題について堀内委員より発言を求められております。これを許します。堀内君。
  7. 堀内一雄

    堀内委員 私は調達庁長官国務大臣質問したいのでありますが、国務大臣が見えないようでございますので、調達庁長官にお尋ねいたします。  昨朝の都下の新聞に掲載してありました通り、一昨日山梨県におきましては、富士山ろく演習場返還期成同盟会を結成いたしました。知事を中心といたしまして約二千名の者が会同いたし、そうしてその会衆は向うはち巻、旗さしものというありさまでありまして、霊峰富士を汚すなということを先頭といたしまして大きいデモ行進が行われておるのでございます。そうしてこれによってできましたところの連盟は、山梨県知事が会長となり、県会議長そのほか全県的の組織であり、きわめて強力なものであるのであります。そうしてその目的は、富士北ろくの国立公園内にある米軍演習地、いわゆるB地区二万町歩米軍より返還せしめんとするものであります。このほか県内各地におきまして署名運動が行われておるのでありまして、それは第二の内灘問題となるおそれが非常に多いのであります。従って日米国交上に及ぼす影響はきわめて大なるものと信ずるのであります。  そこでこの問題につきましては、調達庁長官はよく御存じのことでございますが、私は将来第二の内灘問題として、たびたびこの委員会等のお世話になることと存じますので、この際いささか申し上げて御参考に供したいと思います。  由来富士山の北ろく、いわゆる富士五湖地帯一帯は、富士箱根国立公園として知られておるのでありますが、その地域内約五千町歩は、戦前から北富士演習場として旧陸軍が使用しておったのであります。終戦後はこの地域二万五千町歩をほとんど米軍によって接収され、そうして独立後におきましても協定によって依然として米軍が使用しておるのでございます。しかしこのうちの五千町歩は旧日本陸軍演習場であった地域、これをA地区と申しまして、いわゆる大砲小銃爆弾等を落す被弾地になっておる、いわゆるキャンプ・マックネア地域になっておるのでございまして、残りの二万町歩予備演習地として、いわゆる行動を主とした演習地として使用してきたのでございます。そうしてこの地域は、米軍接収時代から、米軍が使用しない場合におきましては立ち入りを自由にするということになっており、しかもこの地域接収以来一回も使用していないのでございます。しかるに昨年の八月、吉田自由党内閣のときに、調達庁の名において突如この地域に対して一般の立ち入り禁止の制札が立てられたのでございます。これがために地元民は生活を脅かされ、山梨県におきましては、知事先頭として県民一体となってこれが解除について調達庁並びに米軍当局に数十回に及んで陳情をいたしてきたのでございますが、はなはだ奇怪なことには、米軍当局に参りますれば、このことは当方には関係ないことであり、日本政府がやっておることであるから、日本政府の方に行ってお話なさい、日本政府の方から話さえあればいつでもこちらでは処置をいたします。こういうように言うのでございます。しかるに調達庁の方へ参りますれば、いろいろの理由アメリカが聞かない聞かないと言うておるのでございますが、この間の消息が非常に不明なのでございます。そうしておるうちにこの問題はじんぜん解決しないものでありますから、山梨県下におきましては、この立ち入りをお願いするという問題が変って演習場返還問題ということになってきたのでございます。その後聞くところによりますと、米軍の方では、キャンプ・マックネア地域、いわゆる五千町歩被弾地、これを行動地域である予備演習地の方まで広げようということを内部で計画しておるということが、山梨県の県庁に連絡があったのでございます。そこで山梨県は、かくのごとくしてもし被弾地予備演習地方面に広がりますと、この予備演習地の方は、天然記念物原始林、そのほか富士観光の主体を成しておる地域でございまして、ここに大砲が撃ち込まれ、ナパーム爆弾が落ちるというようなことになりますれば、これらの天然記念物並びに観光地域は灰燼に帰してしまうというので、もう非常に問題になって、先ほど申しましたような県民大会となって現われてきたのでございます。そうしてこのことが今日までじんぜん解決がおくれておりますために、富士五湖一帯地域では共産党の者にこれを利用されまして、いろいろなことで問題が起ってきておるのでございます。こういうふうに今日いよいよ大きい問題になってきたのでございますが、このことに対する今日までの調達庁のやりましたこと、並びにこのことに対する調達庁——調達庁といいますか、関係当局の所見をお伺いしたいのでございます。
  8. 福島慎太郎

    福島説明員 ただいま御質問のありました北富士演習場に関連いたしまして、従来の交渉経過などについて申し上げておきたいと思います。  北富士演習場と申しますのは、ただいまもお話のありました山型県側富士のすそ野、富士五湖に隣接する地方でありますが、終戦直後からその地域に二万五千町歩にわたる演習場を設定したわけであります。講和発効後、これを行政協定に基く施設区域としてアメリカ側に提供したわけであります。ほとんど全部が県有地でありまして、県から借り上げているというわけであります。そのうち五千町歩A地区と名づけまして、実際の演習はむしろ大体においてこちらでやっており、残りの二万町歩の方にはB地区と名づけて、実際には今日まで全然使っておらないという地区になっています。しかし全部借り上げておるということは同じであります。  そこで、そのほとんど使っておらないB地区については、接収区域であるけれども立ち入りは差しつかえない。それからまたB地区の西端になりますが、船津林道バスも通っておったということであります。ただこのバスは、接収区域内において正規使用条件の例外として認めた条件として定めたものではなくて、現地米軍限りで黙認しておるという形になっております。もう一つあります登山道の方の吉田口という方は、これは提供しますときの条件として、吉田口登山道をあける、ここのバス運行は許すという条件をつけて提供してありますので、吉田口における登山道並びにバスというものは、合同委員会によって承認された条件ということになっておったわけであります。船津林道の方は船津口の方は林道でありますが、正規条件に加えるよう努力したのでありますが、これはアメリカ軍の承服するところとならずに、正規条件にはなっておらない。ただし現地部隊としては、使っていない区域でありますので、バスの通行も差しつかえないということで、これは終戦後のことでありますが、そこに新たに、ただいま御質問のありました堀内委員が社長をしておられる会社富士山麓電鉄バスが通っておったということであります。  昨年になりましてアメリカ側の話がありまして、ほかの地域と違って演習場のことであるので、使っていないとはいいながら、いったまを撃たぬとも限らない、大規模なことはないにしても、流れだまやその他の心配もある、それでそこにバスが通っておって、これが正規に承認された上で通っておるバスであれば、当然損害補償というようなことの対象になるわけであるけれども正規には通れないということになっておって、ただ黙認ということだけでバスが通っておっては、そこに事故が起った場合に補償方法がないということもあるので、バスを通すか通さないかどちらかにしてもらいたい。アメリカ側としても、バスを通しても差しつかえないというのであれば、それを正規条件で明らかにした上で通したい、黙認で通すということはあとで間違いが起った際に救済の方法がない、日本側での使用条件定め方の問題もあるであろうからということで、相談があったおけであります。  そこでわれわれの方でも、合同委員会下部機構になりますが、施設特別委員会というのに関係各省集まりまして相談いたしましたが、バスだけ承認することはできないという結論に達したわけであります。それは、演習場は広大な地域でありますので、農民その他いろいろな関係者がある。施設区域になりました以上は、B地区については立ち入りその他比較的自由でありますけれども、全般的に申せばそこに田畑を持っておった人は立ち入りができない、桑畑の桑の葉もとれないといった問題も非常にたくさんありまして、現実演習しているところへ、たまの下をくぐって立ち入りを続けるという問題もたくさんありましたので、そういったような演習場に関連するいろいろな問題まで含めて解決するのでなければ、バスだけでは困る。向うが使っていない区域だからバスが通ってもよろしいというくらいであれば、農民活動その他ももちろん許容すべきものでふる。従ってほかの問題も取り上げて一緒に議論しようということで、私どもとしましては、バス以外の問題その他十数項目をあげて、バスを許せるくらいならこれも許せるだろう、あれも許せるだろうというということでアメリカ側に話したのでありますが、アメリカ側としてはそうたくさん持ってこられても困る。私の方は、バス会社めんどうは見たが農民めんどうを見ないということでは役所の仕事にならないということで、あくまでがんばって話がつかないものでありますから、話がつかなければそれでは全部とめてしまうということで、七月にバス会社の方に——バス会社と申しますのは、運輸省が大体免許しておりますので、運輸省の方にバスをとめてもらいたいと申し入れたのであります。どだいアメリカ側に提供しておって、通れるということになっていないところに、運輸省が免許を下したことがそもそもおかしいのですが、そんなことを言ってもしようがない。しかし通さぬということになったのだから運輸省で差しとめてもらいたいという話をしたのであります。運輸省としてはできないということでありましたが、調達庁の名においてこれは提供した区域であるので、バス運行は困るという意味の通知をしたのであります。ところがそれと前後いたしまして、山梨県側から司令部へ直接話をされた際に、司令部バス運行は差しつかえないのだこいう話をしておる。またわれわれの方にもそれはしておるわけでありますが、私どもの方としてはバスだけでは困るということで押し問答になったわけであります。いずれいたしましても、アメリカ側バスだけはいいと言っても簡単に承服するわけにいかない、ほかの農民その他の問題もあるということで、全部のめということでアメリカ側と話をしておりまして、話のつかない間はバス運行もしばらくとまってもらいたいということで、結局とめてもらいました。初めはだいぶごたごたしたのでありまして、調達庁の命令は聞く必要はない、アメリカ側はいいと言っておるのだという議論もありましたが、私どもも、そういうように言われても困るということで、バス運行をとめてもいいと言っているのだから、これを土台としてアメリカ側交渉を開始するという態度をとりまして、アメリカ側との話も始めたわけであります。  私どもの方の問題といたしましては、富士山麓アメリカが使っていない地域バスが通ってもいいというのであれば、いわんや農民活動やそれより小さい活動をシャット・アウトすることは理屈にならない、のみならずバスが通っていいというくらい使っていないならば、政府として年々三千万円の地代山梨県に払っておるわけでありまして、過去十カ年近く、数億の金を払ったが、使っていないのに金を払うということは意味をなさないから、その金も払いたくない。だれが入ってもいい、何が通ってもいいというくらい使っていないならば、一年に三千万円も政府の金が出るということが不合理になって来るわけだから返してもらいたいという交渉を始めたわけであります。従って初め予想したよりも話の規模が大きくなったか困るとアメリカ側考えたのかもしれませんけども、容易にらちがあかないということになったわけであります。その間山梨県側からはほかの問題はさておき、バスだけ通してくれぬかというお話が再三あったわけでありますが、私どもとしてはどうしてもバスだけ通し、あとはできなくてもかまわぬという態度はとれない。バスだけ通し、ほかの農民めんどうは見ないわ、県に対しては引き続き三千万円ずつ払って、アメリカはその地域を使わないわという事実が続いたのでは、私調達庁長官は勤まらないと思う。従って強硬にこれを返せという交渉アメリカにすることが最も正しいのであるという態度を今日まで取り続けておるわけであります。従ってバスだけ通したらどうか、それならアメリカがいいと言っておるという比較的簡単な問題が、問題を全般的に取り上げましたためにいまだに片づかないということも事実でありまして、バスを経営なすっておられる山麓電鉄としては非常に御迷惑な話だと思いますが、その点はまことに恐縮にたえない次第でありますけれども、これは全般的な関係もございまして、われわれとしてはそういう態度をとらざるを得ないというふうに考え、今日まで交渉を続けておる次第でございます。なおその間今日まで使っておらないというその地域に対して、これを使うという意向が、もしくは計画アメリカ側にあるという話も最近地元の方からは聞いておりますが、私どもの方には何ら正式にそういう申し入れをして来ておりません。地元部隊にそういう計画があるかもしれませんけれども司令部としてはまだそこまでの決心はついておらないという事情であります。こちらから出かけていって聞く必要もありませんので聞いておりませんが、私どもの方はあくまで現状の事態、すなわち使っておらない事態に対して、返せという押し問答を繰り返しておるという状態でございます。われわれの態度がいささかがんこであるかもしれません。そのために山麓電鉄には御迷惑がかかっておるかもしれません。しかしながら、山梨県の言われるような、バスだけ通せばあとはどうでもよいということでは解決ができない。こういうことで御迷惑をかけておる向きがあると思います。恐縮でございますが、事態の推移はそのようになっておる次第でございます。
  9. 堀内一雄

    堀内委員 たまたま私が山麓会社関係があるということはまことに遺憾でありますが、私は本日は代議士として、衆議院議員としてお伺いしておるのでございます。そこで長官現地の様子をもう少し実際に見ていただきたい。ただパスが通るとか通らぬという問題ではなくて、現地の住民がどんなに騒いでいるかということをよく見ていただきたいと思います。そこでなるべくすみやかに長官現地を視察していただきたいということが第一点。それから第二は、調達庁当局アメリカに対してあの演習地返還してくれという交渉をしておられるのでありますか、それを明瞭に一つ伺いたい。
  10. 福島慎太郎

    福島説明員 現地視察仰せ通りできる限り早い機会に拝見させていただきたいと思っております。なおあの使っていない地区を返せという交渉は、再三申し上げました通り、正式にかつ熱心にいたしておる次第でございます。
  11. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまのお話の中に、米軍において被弾地区にする計画があるということが現地の方には連絡があるが、こちらの方では積極的に調べる必要がないからというようなお話でございますが、由来調達庁並びにアメリカとの交渉において向うから委員会に出てきたということになると、ほとんど拒否することができないというような状態になっておるようでございますので、むしろこの際アメリカから提案される以前においてこれを解決するように努力することが私は非常に望ましいと思うのでございますが、調達庁としましては積極的にアメリカの方にその企図を調査して交渉するというような意図はありませんか。
  12. 福島慎太郎

    福島説明員 ただいまのお話被弾地区を拡張するという問題は、現地では現在A地区にやっているような演習状態を、B地区へも向うは広げると言っている。それに対して現地では反対運動がある。その現地に呼応して調達庁はそのようなことをアメリカ側に言わぬのはけしからぬ、調達庁側も言えとおっしゃるのだと思いますけれども、私どもA地区B地区接収のままで、B地区を使わぬという状態ではがまんできないのであってそのB地区を返してもらいたいと言っている。B地区A地区活動を広げるとかなんとかいうことは問題にならないけれども、返してもらいたいということを言っている以上は、A地区活動B地区に広げるということに反対であるのは当然であります。ただ私がこの問題はやりにくいと申しますのは、地区というのは使っておらない、今日までかれこれ十年間使っておらない。従って山梨県初め各方面の方々がその地域を利用せられておる。これに対して国あるいは調達庁は毎年々々三十万円の地代を払っている。将来使うことあるべしということで、使わない地代に対して地代を払い続けてきたのだと思います。三億円近い金を払って、いよいよ使うという状態になった場合に、それはいかぬとおっしゃる山梨県側の主張についてもいささかふに落ちない点もあるのでありますが、しかし返してもらうに越したことはないから返してくれという交渉をいたしているわけであります。
  13. 堀内一雄

    堀内委員 今の山梨県の方の立場といたしましては、協定の文句と条件が違うからということが返還の根本の理由であります。それと同時に、今調達庁の方でどこまでも返還要求しているということを聞きましたので、この点新しい事実としてわれわれ同意するところでございますが、今申しましたように、今日までの経過から見ましても、米軍から要求されたときに、それがはたして日本政府で断われるものであるかどうか、そういうような点を非常に心配いたしますので、むしろ米軍の方においてそういうものを正式に日本要求する以前において、これを解決するように努力するということについては、長官のお考えはどんなお考えでしょうか。
  14. 福島慎太郎

    福島説明員 これはアメリカ側から要求があった場合に、日本側が断われるかという問題ではないのでありまして、つまり内灘事件とは違うのであります。アメリカ側からそこを提供してほしいという問題ではないのであって、すでに提供してしまってある地域を逆に日本側が返せと言っている問題なのです。提供している地域内のことでありますので、アメリカ側がそれを今日まで長い間使わなかった、今さら使う必要もないではないかという議論をわれわれがするのでありまして、先方としては自分たちの方に提供されているつもりでかかっているわけでありますから、拡張とかそういうたちの問題とは違いまして、交渉の方角はまあ逆になっているわけであります。なおA地区B地区については提供の条件が違うということで、山梨県の方に別な見解があるということでございましたけれどもA地区B地区にかかわらず全体の地区を通じまして——たとえばB地区ではたまを撃たないということではないのでありまして、B地区を使わないということが事実上起ってきただけであります。従いまして現実たまを落すA地域地区も、それから今まで使っていなかったB地区も、従来の慣例とは違いまして同じような地代を払っている、同じような損害が起るだろうという想像のもとに同じ地代を払っているわけでありまして、B地区に対しましても被弾地域と同じ地代を払っている。それからB地区からもそういう趣旨の要求が再三ありましてそれに応じているというわけでありまして、アメリカ側が使わずに今日まで多年来たのであるから、接収区域ではあるけれども、新たな行動を起してくれては困るという意味の実質上の議論は当然できるわけでもありますし、またいたしておるつもりでありますが、形式上の議論といたしましては、アメリカ側要求をこちらで断わるとかどうするとかいう形にはならないのでありまして、むしろこちら側から使わない地面を接収されておったのでは困るということで、返還要求しておるという形の段階になっておる次第であります。
  15. 堀内一雄

    堀内委員 それでは先ほどの調達庁としてアメリカ返還要求しておるということは、大臣もむろん御承知のことであろうと思いますから、日本政府の方針として考えていいのですね。
  16. 福島慎太郎

    福島説明員 仰せ通りでありまして、さような事項は日米合同委員会交渉する。日米合同委員会のうち施設特別委員会というものを別に特別に設けまして、これは施設関係交渉を担当するということになっておりまして、私が日本政府代表ゲーノー少将という参謀次長アメリカ側政府代表ということでやっております。私の名において、私の口からないしは文書でアメリカ側要求いたしておりますことは、日本政府代表のいたしておることでありまして、日本政府がかけ合っておるということでございます。
  17. 堀内一雄

    堀内委員 さらにお伺いしますが、今のお話の中で、つまりB地区も借地の中に入って今日まで料金を払っておるのだから、これは使用目的を変更してもやむを得ないという御見解でございますか。
  18. 福島慎太郎

    福島説明員 使用目的の変更にならないのであります。全部の地区米軍の射撃演習場になっておる。その一部分について先方が活用しておらなかったという事実はありますけれども使用目的としては北富士演習場というものは全部が射撃演習場でありまして、実際にいいこと悪いことは別問題といたしまして、形式上の議論としては、先方としては使用目的の変更を要しないのであります。
  19. 堀内一雄

    堀内委員 それではA地区B地区とは使用目的に差があるのではないんですか。
  20. 福島慎太郎

    福島説明員 A地区B地区につきましては使用目的に差はありませんけれども、例外的に日本人が立ち入って利用してもよろしいという、いろいろ例外条件がついておりますが、演習に支障のない限り立ち入ってよろしいという使用条件がついておりますものがB地区の方によけいたくさんあるということでございます。A地区の方にはたまの落ちます関係で、そういう例外条件がよけいついておらないということでありまして、使用目的といたしましては、一つの演習場でありますので、一つしか使用目的がないわけであります。
  21. 堀内一雄

    堀内委員 それではB地区A地区のようにしてもやむを得ないという御見解でありますか。
  22. 福島慎太郎

    福島説明員 先方があくまでB地区においても演習の必要があるということでありますれば、法律的には先方にその権限はあると思います。
  23. 堀内一雄

    堀内委員 調達庁としては日本政府としてこの使用目的を変更する、つまりB地区内にA地区と同様の使用をするということに対して、先ほど全部返してくれということでやっておるのだから云々というお話がありましたが、向うでそういうことを変更してもやむを得ないというのでございますな。
  24. 福島慎太郎

    福島説明員 一つの演習場でありますので、そのうち先方がどこを使ってどこを使わないかというようなことになりますれば、法律的には一つの演習場を全部先方が使う権限があるわけであります。ただB地区には日本人の立ち入りその他の関係でいろいろ条件がついておりますので、向うが使用します以上は、その条件を落してもらいたいということを言って来ざるを得ない。人が入ってよろしいという状態のままでは演習するわけにも参りますまいから、その意味の使用変更は言って来ざるを得ないだろうと思います。しかしながら一つの演習場として提供してありますものを、先方が絶対に必要があるということで最後までがんばりますれば、提供した以上はその演習場の絶対性を認めなければなるまいと思います。しかし事実関係としては、十年近くもアメリカが一つの演習場として借りておきながら、そのうちの地区についてはほとんど使っておらない、アメリカ陸軍もぼつぼつ帰るころになって広げるということは意味をなさないと私は考えておりますので、法律関係いかんにかかわらず今後ますますアメリカ側演習その他を強化するなら別でありますけれども、全国的な傾向から見まして、少くとも陸軍に関する限りはぼつぼつそういったものが下火になる時代に——法律上の問題は別といたしまして、事実上使ってない地区をこれから使い出すということは第一穏やかでない。今日まで使ってないところに地代を払わせられただけでもこちらとしての立場も困る、返してもらいたい。自分たちの借りている演習場の中だから、使いたいというくらいの議論は断然するだろうと思いますけれども、しかしながら世の中はそういった法律的な理論ばかりで片づくものでありませんので、このごろになって演習活動が広がるということは、少くとも陸軍部隊に関する限りわれわれは了解することはできないのであります。従いまして向うに広げる権限かあるかないかということに立ち入っての議論は、法律的にどこまで貫徹できるかわかりもせんけれども日本人が今日まで立ち入っておったというその他の使用条件をおろすという問題については、相当しつこく粘らざるを得ないのではないか。大体論として初めから借りている同じ演習場で最近たまたま使っておらないところならいざ知らず、初めから今日まで全然使ってなかったところを、大体返せと言うのがおそかったくらいの問題であって、今日になって向うが急に気が変って使い出すと言っても、今日まで平穏かつ公然と使わず、人も出入りしておった地域を使い出すということは穏やかではないという議論は、法律の関係を離れて成立し得る議論だと思っております。
  25. 堀内一雄

    堀内委員 ただいま米軍が引き揚げる云々ということを言われましたが、米軍から漏れたところによりますと、赤城そのほかの関係もあるかもしれませんが、自衛隊の演習地等にあの辺を使う必要そのほかがあるので広げるんだということを聞いておりまするし、同時にすでにあの辺をA地区と同じように使用するということがアメリカの参謀間においては相当進んでおるというような情報が入っておりますし、しかも協定を締結するときには、あの地域天然記念物が非常に多いところであるからということで除外したという経緯もあることから考えて、私はこの際特に日本政府におきましてもこの辺を調査の上に、少くとも現状以上にならないように御努力をお願いいたしておきます。
  26. 福島慎太郎

    福島説明員 日本政府といたしましては現状維持では困るのであります。現状維持で、アメリカは使わないが、日本政府は金を払うというのでは、われわれは会計検査院に対しても申し開きが成り立たないのでありまして、使うか返すか、どちらかにしてもらわなければ困ると考えております。
  27. 宮澤胤勇

  28. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 調達庁長官お話を聞いておって非常に力強く思ったのであります。私は妙義の演習地関係をやっておりましたが、一言、二言伺いたい。第一点は、日本調達庁アメリカ演習地接収するためのただ単なる執行機関ではないか。調達庁長官は、今聞くと、富士山麓ではB地区返還のために強硬な交渉をしておるようでありますが、私どもの妙義演習地関係について見ますと、調達庁はまるでアメリカ演習地日本の国の中に作るために、全面的に協力しているということしか考えなかった。しかし今の長官の御返事を聞いていると、そうでもない節があるのであります。調達庁はただ単にアメリカのそうした機関であるような状態でなく、あるときには地元等との反対も加味して、強力にアメリカ側演習場の設定についての反対の意思表示並びにそういった具体的な運動ができるものかどうかということが第一点。  第二点は、今私どもは全国に非常に膨大な演習地を持たれている。しかもその間において、今現に富士の山ろくであるように、アメリカが使うと言いながら使っていない地域が相当ある。使っていないにもかかわらず日本人は立ち入りができない。しかも開拓した土地が相当取り上げられて開拓民は非常に苦しんでいる。なおそれが続いているという状態であるが、調達庁富士山ろくB地区返還要求をしているとおっしゃるが、全国の軍事基地に対してそういう状態を早急に綿密に調査して、米軍が使うと言っておきながら実際は使っていない地区に対して、全面的な返還要求をする意思があるかどうかという点が第二点。  それから私どもは、現実に基地反対の運動をやって参りまして感じますことは、日本政府があまりにもだらしがないのであります。これは吉田六年の政治並びにそのいろいろな機関が全く日本国民のあらゆる苦しい状態を無視して、ほとんどアメリカの言うなりに一方的に接収をし、しかも血の出るような反対を知りながらも、最後には強制収用をかけて、われわれ日本国民はアメリカ演習地を作るために奴隷化する状態である。こんなことが現に続けられているという実態に対して、今調達庁長官が言われるように、国民のほんとうの反対、しかも食うことのできない、あらゆる暴圧の中に苦しむ国民の実態を承知して、今後さような実態に対して敢然として国民とともに戦っていく決意があるかどうかという点が第三点。  さらにもう一点は、私どものこういった状態が続く過程を通じて、調達庁はすぐに警察権を乱用しておる。私ども妙義において幾たびか武装警官のために非常にさんたんたる状態に陥れられました。われわれはこれに対して相当合法的な闘争を続けて参りましたが、あらゆる機会に国民をアメリカのために武装警官までも出して弾圧することが非常にある。これは私はまことにけしからぬと思うのでありますが、実際に行われておる。現に最近の場合においても、最後の接収のための測量をするときには、われわれが何ら抵抗しないにもかかわらず、妙義山においても百数十名の武装警官をひっぱってきて、あるときにはこん棒によって住民をなぐりつけて、けがをさせている。こういったことはまことにわれわれとしては許しがたいことであります。今後調達庁長官としては、そういった事態に直面して、このような人民が警察の力によって暴圧してまでも——しかも現在の段階においては、私はアメリカの駐留軍は日本を守るための駐留軍とは考えない。まるで日本全国を、アメリカを守るための一つの演習地にしている観がある。このような実態に対して、人民をそういう事態に陥れてもなお仕方がないと思われるか、あるいは長官はそういった事態を今後絶対に起させないために、全面的な努力をされる決意があるかどうか、この四点をこの際お聞きしたいと思います。
  29. 福島慎太郎

    福島説明員 調達庁米軍のために基地を設定し、提供するために設けられた役所であることは間違いありません。但しアメリカの機関ではなくて日中政府の機関であるわけであります。日本政府が条約上負っている基地提供の義務のために、これを実施するための機関として設けられたわけであります。その意味におきましては、任務はアメリカのために基地を設定するということであります。しかしわれわれとしては、アメリカの言うなりに基地をつくるのではありませんので、社会上、経済上の影響とか、あるいはわれわれの持っております予算上の制約とか、そういうものを考慮いたしまして、過大な要求はこれを抑制するようにし、あらゆる議論をしておるのであります。ただいまのところでは、でき得る限りの議論もし、不適当なものに対してはこれを取りやめるように、場合によっては比較的被害の少いところにつくらせるというようなことをしております。御指摘のように、それが適当であるかないかは知りませんが、調達庁としてそういう努力を全然してないというのではありませんので、現在の私どもといたしましては、でき得る限りの努力をし、米軍要求を抑制しつつ、絶対必要な要求はこれを満たしていって、条約上の義務を完遂していくということで仕事をしております。ただこれは、私の私見と申しますか、調達庁長官としての意見でありまして、政府全体の意見というわけには参りますまいと思いますが、調達庁のこのようなやり方は改良の余地があるかどうかということになりますと、私はあると思っております。われわれはアメリカのために基地を設けるということで任務を授けられており、金がないから、予算がないから経済上困るとか、あるいは社会的の影響上困るからというようなことで、しきりに議論をしておるのでありますが、もっとせんじ詰めた議論をする必要がないか。最後には向うでは軍事上の設備であるので、お前にわかるわけがないじゃないかというような議論を言い出すことがしばしばある。そうなりますと、私は軍事上の専門家ではありませんので、これに反駁することができないというような難関にしばしば逢着するのであります。従ってアメリカが基地がほしいと言った場合に、日本政府で受け答えをするには、日本に軍事専門機関があるかどうか知りませんが、もしあるとすれば、日本側の軍事機関が引き取って日本の防衛のためにこの基地は要るのであるか要らないのであるか、まずもってきめてもらいたいという気がしております。その上で調達庁に注文を出してもらいたい。われわれはその後において社会上経済上の影響ということで議論はできるけれども、軍事上の議論はできない。山岳訓練というものが要るのであるか要らないのであるかという議論ができない立場において議論をしておるという意味においては、調達庁の仕事は改良を要すると私は思っております。従いまして、まだ採用になっていない私限りの議論でありますけれども調達庁アメリカに対するサービス専門という形ではおもしろくないのであって、これは日本の国防のためにアメリカがいるといないとにかかわらず、これだけの基地は要るのであるということ、現在はたまたまそれを担当する現実部隊アメリカであるというのにすぎないのであるという意味合いにおいて、基地問題は解決していくべきじゃないか。従って調達庁に関連する機構というものは、防衛庁との関係において再編成される方が適当ではないか。これは私見と申しますよりは、調達庁長官としての地位におきましてそういう議論も持ち、各方面に実は説得しておるつもりでありますが、微力にしてまだそこまで行かないのであります。第一点の御指摘の調達庁考え方と申しますか、国防関係においては、ただいま申し上げたように、全面的に思った通りには行っていない点がありますが、調達庁の間口におきましては、アメリカの言いなりに基地をこしらえるというようなことはいたしていないつもりであります。  なお、第二点に御指摘のありました、アメリカがほしいと言って取り上げておきながら使っていないという基地が実はたくさんございます。たくさんと申しましてもそうむやみにはございませんが、指で数えるほどありまして、実は妙義山の解除のころに、突然妙義山を返すと言われても私としても収拾がつかない、一つだけでは困るからもう少しよけいに返せという議論をしたことがある。十ばかり返してくれればその中の一つに妙義山をはめてごまかせる、一つだけ返されたのでは目立って収拾がつかないという議論をした。そのとき使っていない基地を全部調べましてアメリカ側に私の名前で要求しております。アメリカ考えると言っております。大部分が国有地でありまして、現実補償その他の問題の少いところでありますので、アメリカ側考えます限りは待てますので待っておりますが、使っておらずに立ち入りをさせていないで、元の持ち主が困却しておるというところはまずないと考えております。国有地以外のとしろでありますと、これはあるにはあるのですが、そういうところは使っておりませんので、持ち主の方に立ち入ってもらって、農耕その他を継続してもらって、従ってわれわれも地代の支払いを節約するといったようなことをしておりますので、使ってないのにもとの持ち主が立ち入ることができないで困却せられておるということ、ないとは私も申し切れない気もいたしますけれども、原則的にさようなことはないつもりであります。しかし使ってない基地につきましては、主として演習場でありますが、全面的な返還要求はいたしております。  なお続きまして、警察力乱用という御指摘もございました。これは乱用と申すほど実は使ってないと思いますけれども、私もそこまで正直なところ、よく実情につきましてはわからないのであります。調達庁長官を引き受けましたのも一年ちょっと前でございまして、それまで役人をしておりましたわけでもございませず、突然にこういう仕事を頼まれまして始めましたので、具体的な実例については承知してないところが多いことはまことに恐縮でありますが、強制収用をかけざるを得ないという事態があることは実は承知しております。その際に警官隊その他の問題も、特に妙義に関連いたしましてはあったということは聞いておりまして、まことに申しわけないとも思い、今後そういうことを繰り返さないようにしたいとは考えております。今日までのことにつきましては、もしも行きすぎの点がございましたらおわびを申し上げるだけでございますが、今後はさような事態はできる限り慎しみたいと考えております。ただどうしても立ち入り調査その他のために警官隊の見張りを頼むという場合が今日まであったということにつきましては、全然承知してないと申し上げるわけにも参りません。さような事態はあったのだと考えております。  さらに基地提供その他の問題に関連しまして、アメリカ側との交渉を、せんじ詰めて申しますれば、もっとはっきり、自主的にやれるかやれないか、こういう御趣旨だと考えますが、過去一年数カ月、少くとも私が参りましてからは、全部のところに手がとどきませんので、不十分なところがまだ多々あることは事実でありますけれども、相当に態度としてはしっかりさせて参ったと考えております。調灘庁自体の機構が、先ほど申し上げましたように、私の信念から申しますれば、改良すべき点があるにもかかわらず、改良が行われてないために思うにまかせないという点もあるのでございますが、できる限り自主的な態度をとっておるつもりでございます。  つけ加えて申し上げておきますけれども調達庁は今の土地提供のほかに労務の提供というものをいたしております。この二つがおもな任務になるのでありますが、いずれもアメリカとの間に紛議の起るたちの問題でありまして、アメリカ側態度、取扱い方がおもしろくないという問題が非常に多いことは事実でございます。これに対して、日本政府として、調達庁として有効な議論をしておるか、自主的な態度をとっておるかということでございまして、御心配をかけておると思います。その点恐縮にたえませんけれども、私に関する限りは、アメリカとの交渉に卑屈な態度はとっておらないつもりであります。またアメリカ側に対しても、私としては私の今日の態度で良心に恥じるところがないと考えておるのであります。  ふまじめとおしかりをいただいては恐縮なんですが、ここまでお話し申し上げれば一つ申し上げておきたいのでありますが、おしかりをいただかないようにお聞き取りを願いたいと思います。先般、これは労務の問題でありましたが、仙台の方に紛議がありまして、あそこの師団長のところへ参ったのでありますが、その際、アメリカの方はいろいろ事情もあるし、いろいろ考え方もあるかもしれない、軍事上の都合もあるかもしれませんけれども日本人の考え方からいえば、われわれの言う通り調達庁の意見の通りにすべき問題なのだから、われわれの言うことを聞いたらどうか、第一、私は今日日本の役人としてここに勤めているけれども、偶然のめぐり合せで私の子供たちはみなアメリカ籍になっている。アメリカ市民だ。お前さんは何だ、ただのアメリカ人じゃないか。私は日本人であるけれどもアメリカ人の父だ。アメリカ人の父というとジョージ・ワシントンみたいなものだ。あなた方より階級が高いんだ。私はアメリカのことを心配しながら仕事をやっているのだ、私の言うことを聞いたらどうかという議論をして、それが通ったとは思いませんけれども態度の上、信念の上では、ひげをとっておらないつもりであります。日本のためのみならずアメリカのためも考えて仕事をしているということをアメリカ人に主張し得るだけの態度をとっておるつもりでございますので、十分に成果のあがってない点は、御指摘の通りのこともございましょうと思います。恐縮でございますけれども、私どもに関します限りは、信念として、態度として御心配をかけないようにやれるつもりでございますので、今後ますます努力したいと思っております。
  30. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 長官の決意のほどを承わって、全面的にはとても了承できませんが、今まで私どもがやってきたことからすると、やや了承する点があるのです。従いまして私は今後長官に御希望する点は、現に私も二、三の演習地問題で案件を持っておりますが、今後具体的な案件について折衝することが多いと思います。そういう場合に、ただここで御答弁としての決意だけでなく、具体的な事案についてそういった決意を具体的に表わして、日本国民の実態を明るくしていくように全面的な努力を希望して、私の質問を終ります。
  31. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 高橋禎一君。
  32. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 富士山麓演習場のことについて、こまかい二、三の点をちょっと伺っておきたいと思います。こういう問題の取扱いは、申すまでもなく米軍に対する施設提供に関することで、これは国民感情にもいろいろ影響がありますから、できるだけ問題の起らないように処理していく必要があると思うので、その問題解決のためにも明らかにしておかなければならぬ、こう思うのでありますが、バスを通行させておけば実際問題として危険なのであるかどうか、先ほどもちょっとそれにお触れになりましたが、その点を一つ明らかにしていただきたい。長い間通行しておったわけでしょう。その間事故があったのかないのか、あるいは、先ほどの説明では、だんだん演習規模も小さくなっていかなければならぬというような状態にあるときに、今バスを通行さすことは、実際問題として非常に危険であるというふうにわれわれ考えられないのですが、そこのところを一つ御説明願いたい。
  33. 福島慎太郎

    福島説明員 ただいま問題となっておりますバス線の方は——もう一つございますけれども、当面問題となっておりますパス線の方は船津林道を通っております。船津林道B地区、使ってない地区の方を通っておりますのでバスの通行には現実の危険にないと思っております。
  34. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 そこで長官のお考えでは、バスを通すくらいなら農民等の出入りもさしてもいいじゃないかとお考えのようですから、そういう農業人の出入りにももちろん危険はないというふうな考えだと思うのです。ところが向う交渉すると、農民等の出入りは許すわけにはいかぬけれども、パスの通行ぐらいは黙認しておいてもいいんだ、こういう考えであれば、そのままに黙認しておいたらいいじゃないかというふうに思われるのですが、それについてのお考えをもう一度お伺いいたしたい。
  35. 福島慎太郎

    福島説明員 おっしゃる通りだと思うのですが、ただほかの地域と違いまして演習場でございますので、その地域たまが落ちたこともなければ、落ちないと思いますけれども流れだまその他の関係で事故が起らぬとも限らないし、そのときに通る権利のないパスが通っておれば、自然、補償しないということにもなります。補償するのも私どもの立場であります。しからば、バスを通してもいい、向う黙認で通すというなら、はっきり許したらどうかということも、どうも言わざるを得ない。それと、バスを通すくらいならば、その他の農業者の活動も何も締め出す必要はないということも言わざるを得ません。利害が対立している関係もありまして、また地域関係その他もありまして、農業者の利益というものを強調している部落もある。バス向うが幸いにして通すと言っておるならば、それに引き続いて農業者の利益も主張しなければならないし、またバス黙認というだけで問題が済んでしまいますと、つまりその地区は使わないからバスが通れるということになるわけでありますので、われわれとしては、調達庁の責任において三千万円以上の金が年々歳々出ておりますので、会計検査院等に対して申しわけが立たない。使ってないという地域に対して、過去においての累積は三億円に近く払い続けておって、しかもバスはいいわ、何は通行してもいいわと向うが言うくらいなのに対して、これを取り返すという交渉ができないというようなことでは役所の責任にもなりますので、やはり全面的に返してもらうということを私は言う立場をとらざるを得ない、こういうような心境でございます。
  36. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 この返還要求することはまことにけっこうなんです。ところがその返還要求する場合に、長官の方ではえらい割り切って、農業人の出入りもさせない、あるいはバスも通行しないというような状態において交渉する方が返還をするか、あるいはバスでも通っておるじゃないかというような状態において交渉をするのがいいのかは、これはまあなかなか交渉なさるあなたとしてもよほどお考えにならなければならぬ点だと思うのです。われわれの一つの考えとしては、危険があれば仕方がない、これはもう出入り、通行すべきじゃないと思うのですが、現実に危険がないのであれば、そして将来返してもらおうというのであればバス向うが通してもいいと黙認しておるのならば、今まで通っておったバスを通さないようにして、何かここに新しい問題を起して行くということはどんなものかというふうな気持がしてならないわけです。そこのところをえらい割り切って変な答えが出て、危険もないところをだれも出入りできない、通行もできないような状態にしておいて、一体いつ返してもらえるかわからないという交渉をやって行くことが得策かどうか、それは疑問があると思うのですが、それらの点について——私は今のお話で大体お考えになっておるところはわかりますけれども、新しい問題がここに国民の間に起って来るということは、これは全国的に見まして、こういう問題に対する将来のいろいろの立場から考えて好ましいことではないと思うのですが、それらについてなお考える余地があるのかどうか、あるいは考え直してみられる必要があるのではないか、こういうふうに思うのですが、それについての所信をお伺いいたしておきます。
  37. 福島慎太郎

    福島説明員 おっしゃることまことにごもっともなのであります。それでありますので、このバスの問題が先に問題になりまして、先方はバスは承知するらしいという空気が一時あったわけでありますので、われわれの方としては、その他農民関係の問題を十五項目並べ上げまして、十六項目にして向うに出したわけであります。十六になりましたもので先方もあわてて、返事ができないということに実を言うとなったのが現状なのでありますが、その際私といたしましては、その十六になっている十五を落すわけにはいかない。バスだけで引っ込むとは言わない。しかし問題が十六存在するのだから一つずつ返事して来てもいいということは実は言っておるのです。そうなれば当然バスだけ言って来るだろう、あとの十五はバスを言って来たことによっておろしたことにはしない、続いてやるのだという建前をとろうということで、十六の要求を出しまして、一ぺんに言って来いと言ったら返事が来ないものですから、一つずつ返事をして来い、時間的なずれはかまわないということを言っております、建前はおろしたことにしないで、一つずつでも言って来いということを実は申しておりますので、どういう返事ぶりになりますかと実は考えておるのでございまして、あるいは御指摘の通り考え方ももっと深めなければならぬかとも考えております。
  38. 堀内一雄

    堀内委員 いま一つ、よくだめを押すと申しますか、返事をしておいていただきたいのですが、先ほどのお話で、すでに貸してあるのだからその中の目的変更は仕方がない。そこでこれは返還してもらうんだというお話でありました。その次に、返還要求をしておる間に向うで今のように目的を変更して来ることに対してはいかがかというふうにお伺いしたところが、それは返還してもらうんだというお話でありましたが、向う返還はしないでおいて、そうして今の被弾地原始林天然記念物のあるところにつくるというふうなことを言って来ましたら——すでに向うはそういうことを計画しておるのでございますが、そういうことを言って参りましたときにはどういうふうなお考えでありますか。
  39. 福島慎太郎

    福島説明員 私の申し上げたこととして今お話になりましたけれども、さように申し上げたのではないので、目的変更は要しないということを重ねて申し上げておいたつもりでございますが、先方は目的を変更するというのではなくて、同じ目的のもとに、ただ使用地域の大きさが変って来るというだけのことであり、目的変更というふうなものの言い方は向う側はしてもおりませんし、また言っては来まいと思っております、ただ被弾地が大きくなるということで、今日まで先方で承認しておりますところの農民その他の立ち入り権を今後は承認できないということを言って来る、その意味での条件変更の交渉を先方が——広げ方にもよりましょうけれども、言って来ざるを得ないだろう、それをつかまえて議論をするということになるわけでありますが、もちろんその際に、天然記念物たまを浴びせるとか、そういったようなことはさせたくない、またそういう問題は最後まで主張できる問題だと考えております。
  40. 辻政信

    ○辻委員 私は今までの問答を聞いていまして、一つ考えついたことを参考に申し上げておきます。ただいままでの長官の答弁によりまして、非常に苦しい立場は十二分に了解できたのであります。あなたの前任長官の際に私の郷里の内灘で問題を起しまして、これが政府の不信行為から地元民を激高させまして、それが共産党の利用によって非常に拡大をして、悪化をしたこの事実は御承知の通りであります。ただいま堀内委員からの話を聞きますと、どうもそのケースに似たような空気を感ずるのであります。こういう問題をあざやかにさばくためには、主任者が現場に行かれまして十二分に住民の言うことをお聞きになって、そうしてただいま考えておられるコースで短期間に解決をするということが、政治的な策謀に乗ぜられないただ一つの道であろうと思います。その意味におきまして、どうか現場をごらんになって一日も早く円満に解決をされて、これが共産党あたりに利用されないような処置を政府として十分とっていただきたいということを、希望として申し上げておきます。
  41. 田原春次

    ○田原委員 関連して。先ほど来の問答を聞いておりまして私の気のついたことを申し上げます。現在駐留軍で協定によって使用しております施設は、概略七百だと聞いておるのでありますが、その中でかような係争中あるいは交渉中のものは現在何件あるか、その件数を伺いたい。
  42. 福島慎太郎

    福島説明員 七百何件でありますか、このような係争中と申しますか、一応問題になって——個人的な問題でなくして社会的な問題にまでなっておりますものは、まず富士関係が第一でありましょうが、規模は小さいのですが、千葉県の九十九里の豊海の射撃場という問題もございますし、山形県の大高根の射撃場という問題もございます。東京から北の方はそれだけであろうかと思います。さらに西の方に参りましては、兵庫県の伊丹の飛行場の拡張問題というのが若干ございます。それからこれは今それほど騒ぎになっておりませんが、私に言わせればなるはずであります。それから広島県の大久野島の弾薬庫の問題、きわめて大きな社会的な問題といたしましてはその程度であります。そのうちでも大久野島とか、要するに提供に異存はないが調達庁がつけた買収値段が安過ぎるからもう少し上げろというたちの問題がこの中に入っておりますので、それらをかりに除外いたすとすると、五つもございません。三つくらいかと存じますが、社会的な問題としての係争問題はさほどたくさんあるわけではございません。むろん個人々々の用地の買収借り上げの問題にいたしましても、金額で折り合いがつかないといったたちの問題はほかにもございます。なお先ほど辻委員からお話のございました御注意拝承いたしまして、できる限りその通りに仕事を促進するように努めて行きたいと思っております。
  43. 田原春次

    ○田原委員 今お話のあった数カ所の交渉の問題でありますが、もし話のつかないときの応急処置というのをやっておるかどうか。たとえば先方は使用するというが当方は使用は困るといった場合、困る程度によっては、解決するまで暫定的にでも使用をとめさせるような実力行使というようなことはやれないものかどうか。そうしないと、おれの方は協定で借りたものであるから当然使うということになれば、これはいかに長官が外交的手段をもってしてもどうにもならぬので、これらの話の裏づけ、実力行使をやる必要があるのではないか。たとえば小さい問題で、今あなたのお話の中に出て来ませんが、福岡県の小倉市内の場内通路の問題があります。ちょうど四角の矩形のような町のまん中に十二師団司令部があったのでありますが、十二師団司令部の当時は場内を通行できた。図書館も中にある。今度駐留軍が入って来ると全然通さないために、小学校の生徒までも通学にちょうど矩形の三万を大回りするようなことになる。しばしば地元で問題になっておるのですが、地元で駐留軍に交渉すると、中央に行け、中央ではなかなか地方のことはわからない。それで五年間そのままになっております。従って強行突破でやろうかということになると、今の辻委員の言うように、共産党が利用するということを言いますが、必ずしも共産党がこれを利用するのでなくて、あまりにも駐留軍の使用の仕方が横暴であって、日本国民の感情や生活の便利を考えぬからそういうことになるのでございますから、問題は、それを解決しさえすれば別に共産党が乗り込んで来たりすることもないのであります。従って先ほど来の富士山ろくの問題でも、その交渉の片鱗をわれわれ聞いて実は安心しておるのであります。漸次減らして行く方針のもとにあるというならば、交渉さ中における一種の実力控置を一つ持って、これほど日本国民が強く政府も強いなら引き揚げてもいい、この分は返した方がいいというような、向うを少しへこますようなことをやらなければなかなかそう簡単に引き揚げてはくれぬと思う。先ほどのお話にはなかったが、たとえば福岡県の築城飛行場の実弾演習による漁場の被害などというものは、ずいぶんひどいことをやっておるのでありますけれども調達庁へ行きましても、そう簡単に片づきませんので泣き寝入りしておる。結局政府も恨まれる、また駐留軍も恨まれる。漁民は非常な被害を受けて泣き寝入りという形であります。どんどん今後やられるならば、一つ強行質をとってもらいまして、その結果長官がやめても、われわれはあなたを引き取るくらいな考えを持っておるので、一つ強行外交をやる決意を聞かせてもらいたいと思います。
  44. 福島慎太郎

    福島説明員 小倉の問題、築城の問題、おっしゃる通りであります。確かに小倉市の市民の方々に御迷惑になるということはよくわかっておるのであります。ただいま当然数えあげるべき問題でありました。今のところ実を申しますと、うるさくないもんですから、うるさくない方に入れてしまったのであります。問題の性質としては確かに個人的な問題でなくて、社会的な問題でありまして申訳ありません。また築城の問題につきましても、おっしゃる通りでありましてただいまのところとりあえずこの三月の漁期に網をしかけるといったようなことで、しばらく演習を中止しないかという交渉をしてはおるのでございますが、ただ問題の性質で新たに向うが、この間の内灘基地のように新しい基地の提供を申し込んで来る場合と、すでに提供済みの基地の中で問題が起っている場合と両方ありまして、基地の提供済みの場合に、中に問題が起って、つまりこちらが返せという場合の強行策はちょっと名案がないのでありまして、強行突破する方法もありませんので、強力に交渉するということでいろいろ知恵もしぼっておるわけであります。新規提供の場合には、こちらが提供しなければ、それまでになるわけであります。実を申しますと内灘事件以来あのたちの問題が比較的静かでございますのは、私の方針といたしましては、アメリカ側の都合もあろうけれども、新規提供の場合は地元の話のつくまで待ってほしいということで、全部待たせておりますので、問題は大分たまっておりますが。話のつかぬ限り相手にせぬということでやっております。従って内灘事件以後あのたちの問題が比較的少くなっております。これは前任者よりも私の方が必ずしも成績がいいのではなくて、全部アメリカ側をへこませて待たせてあるというようなことで、問題を寝かせてあるということにもよるのであります。ただ新規提供の場合には、そのような芸当もできますけれども、ただ提供済みの基地に対しまして、これを返還せしめるもしくは使用条件を緩和せしめるという場合には、もちろん強力に交渉もいたします。またそれ以外の問題との関連等も考えまして、新たに提供するもの、その他向う側の頼んで来る事件とひっかけて、こちらを聞いてくれなければそちらを聞かないとか、いろいろ苦心はしておりますが、それ以外に強行突破、中央突破というのは——そういう考え方は持ちたいと思いますけれども、具体的な知恵はまだはかばかしく出ておりません。でき得る限り知恵をしぼって努めるようにいたしたいと考えております。
  45. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 栗山委員
  46. 粟山博

    ○粟山委員 富士山ろくの問題からだんだん長官の答弁を承わっておりますと、長官自体としてはまことにみごとな御決意で、アメリカとの折衝を続けておられる。私はそのお心がまえに対しては敬意を表するものでありますが、さて承わっておる間に、あなたとしての常識なり知識なり事務上の経験なりでは解決できない、いわば軍事的知識がいるのだというようなお話であるが、ごもっともだと思う。こういう問題の解決は、長官が率直に言われるように、あなたの希望なり念願なりがあっても、あなたの立場においてはあなたの考えをそのまま実現することはできない状態にある。これはすなわち根本はサンフランシスコ条約というものに発足しておるのでありますから、いわばそこまで遡及しなければならぬ。しかしながらそれは容易なことではなくて、すでにきまっておる大きな鉄則のもとに解決して行こうと思うならば、あなたのお心がまえはごもっともである。ただ実際効果を上げようと思うならば、あなたのポストだけでは不可能だということがはっきりわかります。そこで防衛庁もあるその他の官庁もあるのであるから、連絡会議を開いて、そしてあなたの心がまえで、その結論をもってお当りになるような順序を経る必要があるのではないか。お言葉の間にだんだん駐留軍が減って行くのだ、減って減ってゼロになれば、もう何もかにも問題はありません。しかしながらその道程においてあなたの予想されるように、使用条件が緩和されるであろうということは一般的には考えられるけれども、個別的に考えられれば多数ある地域のうちで、だんだん不必要なものから必要なものに重点的に転化していくだろう。そういうことになると、富士山ろくなどは最近に起った問題であるけれども、使用料を払っておるとか払わぬとかいうことよりも、国民の利用の面からいっても、あるいは感情からいっても、富士富士山ろく、これは大きな観光地帯だ。世界的の観光地帯だ。そこにパスは通ってもいい、それは暫定的だ、大目に見てやろう、農地もすでに手を入れているものは入れてやろう、それも大目に見てやるというけれども、観光ということはもっと大きな問題です。ところがAとBとの地区を比較すると、一方は五千坪で一方は二万坪かになっておる。この大きな地帯こそ東京という八百万人の健康の地帯である。また全国民が富士を愛し、富士によって秀峰に逍遙するという精神的な面からいっても、健康的な面からいっても、あるいは心の慰めの上においても、大きなものが期待されている。そこで重点的にここだけは使うんだということになってアメリカさんがもっとふやして使わにやならぬということになれば、これはただ山梨県の問題でなくて、もっと大きな根本問題じゃないかと思うのです。でありますから、あなたに難きを求めるということは限度があるから、あなたとしてはこういう大きな問題を御解決なさるのに新たな方法をお考えになる必要がありゃしないか。このことを申し上げて、御答弁はいりませんけれども、所感を申し上げる次第であります。
  47. 堀内一雄

    堀内委員 長官にいま一度お伺いいたします。長官使用目的は変更云々ということを言われますが、日米行政協定のこれによりますと、使用条件としてキャンプ・マックネアの中は行動訓練の演習場、または小銃、機関銃、大砲被弾地にするのであって、こちらのB地区の方は訓練場に使用されるのである、キャンプ・マックネアの中に被弾地等を設けるときは、前もって日米両国の協議を行うものとすると書いてありますので、私が今申します、今までA地区被弾地でということに使用条件がなっておって、B地区の方は訓練場となって、いわゆる行動の土地である、ここへ今度被弾地を作るというのですから、その被弾地を作るには日本の方と交渉をしてきめるということに契約がなっておるのですから、それを阻止したいというのが山梨県の今の案だ。その辺がちょっと誤解があるようですから、念のために申し上げておきます。     —————————————
  48. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 それでは次に大久保国務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
  49. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 私は大久保留次郎であります。北海道の開発事業のほかに、給与の面についての担当を命ぜられました。給与の問題は、実は簡単な問題であると考えておりましたけれども、いよいよ聞いてみますと、実に複雑多岐である。どの道をとったらいいか迷うような実況であります。ただ私は、皆さんの熱心なる御協力によって、この問題を円満に、公正に解決いたしたい念願を持っております。ここに初めて委員長以下委員各位の皆さんにごあいさつを申し上げる次第であります。よろしくお願いいたします。
  50. 森三樹二

    ○森(三)委員 大久保給与担当大臣から今ごあいさつがございましたが、給与の問題は非常に簡単な問題だと思っておったところが、非常にむずかしい問題だということであります。ところがそのむずかしいと思ったのは、いつ思われたかといいますと、これは私の想像かもしれませんが、先ほどから何か人事院総裁あたりから耳打ちをされて、なるほどむずかしいということを今この場でお考えになったような気がするのですが、私は大臣が給与担当の大臣としてみずからその責任を果さんとするならば、就任早々人事院総裁その他給与関係の専門家の意見を十分たたいて御研究になって、そうして公務員の給与のために全力を尽してその生活を保障する、あわせて公務員の国民に対する公僕としての義務を果させる、こういうお考えを持つべきであると考えるのであります。大久保大臣 が一つのユーモラスな気分でごあいさつの中に織り込まれたのかもしれませんが、しかしそういうような簡単な考えによって御発言なさったことに対しまして、私は実に遺憾の意を表明してやまない次第であります。  そこで私は質疑をいたしたいと思うのでありますが、大臣はその点についてまだ御検討になっていらっしゃらないかもしれませんが、しかしこの委員会に出席を要求する以上は、私どもは当該委員として大臣の出席を要求する理由があって要求し、しかも給与についてのあなたの御意見をたださんとして御出席を要求したわけでありまして、第一に、さしあたって問題となっておりますところの公務員の勤務地手当の問題につきまして、その勧告が、昨年の五月二十八日でありましたか、つまり昨年の国会の末期においてなされまして、自来長年月をけみしまして、ことしの一月二十三日衆議院の人事委員会におきまして、当時の社会党両派並びに自由党、この三党の賛成によって委員会を通過いたしまして、あくる日の二十四日の衆議院本会議に上程してありましたが、遂に当日は解散によってその法案は成立を見ることができなかったのであります。その過程といたしましては、昨年の夏を通じ、秋を通じ、冬を通じまして、各委員諸君は実に熱心に、人事院が勧告いたしましたその勧告案を中心として全国的に大幅な是正をしたのでありますが、これに対しまして、大久保長官といたしましては、この経緯等について当然知っておらなければならぬと思いますし、また今後これに対して処理をしなければならぬというお考えを持っておるのでありましょうが、私どもはもちろん新しい国会によって新しい委員諸君の御意見を十分尊重して審議しなければなりませんが、前国会におけるそういうようないきさつを持った地域給の案でありますので、やはりこれを一つの参考資料として、私は本国会においてぜひとも成立をみたいと考えておるのであります。これにつきまして大久保長官の御所見をただしたいと思うのであります。
  51. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 いわゆる地域給の問題で断ります。この問題も、さきほど申しました通り、なかなか複雑な問題であります。今お話通り人事院からの勧告案も昨年参っております。議会の解散の人事委員会の決定も一応拝聴しております。なおまた一方政府におきましては、公務員制度調査会を設けて公務員の制度の根本的な改正に当っております。実は今日も小委員会が開かれて、これに先ほど出席しておりました。そういうような工合にいろいろの経過を経ておるようであります。なおまた一面におきましては、地域給というものはむしろ廃止して、手当に編入したらどうかという議論もあります。そういうような工合でありまするから、これらのいろいろの経過議論を検討して、適当な結論を得たいと存じます。  なおさきに申しました簡単云々ということは、これはほんとうのユーモラスな話でありまして、私は円満に解決するという熱意は持っております。御安心を願います。
  52. 森三樹二

    ○森(三)委員 円満に解決するところの熱意を持っておるというお話で、その点はいささかたよりになるような気もしますが、しかしまだ十分に御検討もされておらないようであります。過去長い間の時間をかけ、先ほど申し上げましたように、委員会を通過し、本会議では解散によって遂に成立することを見なかったところのあの法律案に対しましては、新しいこの国会において、新しい委員諸君によって御審議されることは当然であります。あれはやはり前国会におけるところの、実に超党派的な法律案であったのであります。しかも、その経緯を申しますと非常に長くなりますから省略いたしますが、簡単に申しますと、当時の人事委員会委員長は川島正次郎君でありまして、現化自治庁担当の大臣となっております。この川島正次郎君が中心になり、小委員長にはやはり民主党の赤城宗徳君が就任されまして、川島君 も赤城君も、この地域給を成立さすためにはほんとうに真剣に審議をしたのであります。しかも各党の意見をこの修正案の中に織り込まれまして、最後に各党がお互いに了解費に通して、そして委員会で成立したものでありまして、そうした経緯にかんがみましても、前国会においては一応各党が了解点に達しておるこの法律案でありますので、今国会におきましても、そうした努力を一応基準といたしまして、できるならば各党の共同提案という形によってこの地域給の法律案を通過せしめたい、こういう考えを私は持っておるのであります。新しい国会におきましては、新しく構成されたこの内閣委員会委員諸君の御自由なる御判断をいただくことはもちろんでありますが、昨年の五月以来の懸案になっておりますので、一日も早く今日の公務員の給与を是正する意味において、この地域給の法案を成立せしめたい、このように考えております。大久保長官はこれにつきまして、地方制度調査の委員会とかあるいはまた公務員制度の調査会等の、いろいろな案等について、これから御研究になろうとしておられるような御説明でありましたが、御研究は十分やっていただきますが、結論的にはぜひともこの地域給の法律案の成立、そしてこの裏づけとなるところの大体の所要経費は、国家公務員並びに地方公務員を含めまして二百十三億程度の金でありますが、これにつきましては政府は十分責任を持って、来たるべき本予算——われわれは昨日衆議院を通過した暫定予算の中に、四、五の分を組みかえ予算として要求いたしましたが、われわれの要求は一応多数をもって否決されました。まことに遺憾ではございますが、来たるべきところの本予算の中には、ぜひともただいま申し上げました二百十二億円程度の、地域給に要するところの経費を計上してもらいたい、こういう強い希望を私どもは持っておるので彫りますが、これにつきまして長官の御所見をお尋ねしたいのであります。
  53. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 ただいまのお話でございますが、議会解散前におきます人事委員会の決定につきましては、相当に参考になる資料であると信じております。けれども議会が解散になりまして、衆議院もほとんど半数かわりました。従ってこの委員の顔ぶれもだいぶかわっておりますので、やはり新しい委員の方の意見も尊重して、最後の決定をいたしたいと存じます。
  54. 森三樹二

    ○森(三)委員 もちろん私の先ほどの質問の中にも、新しく構成されました委員諸君の御意見を十分尊重して、新しく構成されたこの委員会において御審議を願いたいということも申したのであります。何も大久保長官の発言のあげ足をとるわけじゃありませんが、半分以上交代したというようなことは数字においてありませんので、その点は一応お考え直しをいただきたいと思います。しかし半数改選したから、あるいは三分の一かおったからというようなことは問題でありません。とにかく新しい委員諸君によって自由なる御討議を願うことは、これは何もわれわれは制限をするような意思もありませんし、また制限する権能ないのであります。ただし長官自身としても、先国会において各党がお互いに超党派的にまとめたところのこの法案の重要性は、ただいまの御発言中にも認められておりましたが、この地域給の昨年の勧告というものは、本来からいうならば、昨年も給与ベースの根本的な改革がなされなければならなかったのです。これは日本の全国の公務員の強い要求でありまして、国家公務員法第二十八条に基くところの公務員の給与ベースの引き上げの勧告をせよということを、強く人事院に要求されたのであります。しかし当時の日中党内閣時代において、人事院総裁は予算上の点等も考慮されたと見えまして、遂に勧告しなかったのです。しかし本来ならば本俸給与ベースの引き上げをすべき段階にあったのであります。それをやらなかった。私どもはその人事院の態度に対しましては、もちろんあきたらない、不満の点がございますが、この五月の二十九日にされました地域給の勧告、これだけでもせめて国会において予算措置を講じたい、そして今日の公務員の非常に苦しい生活の一助にもしたい、こういう考えを持っておったわけであります。ところがわれわれがせめてもと思ったところのこの勤務地手当の法案も、遂にきわどいところで成立しなかったということは、まことに遺憾にたえないのでありますが、現在におきましても人事院に対しまして、全国の公務員は本俸の給与ベースの引き上げの勧告を出せということを強く要求しておるのであります。これに関しては昭和二十七年十二月のあの本俸の給与ベース引き上げ、現在実施されておるところの一万二千八百二十円という給与ベース、それも自由党内閣において実は人事院か勧告したよりか下まわった実施をして、昭和二十七年十二月にようやく予算に乗せたわけであります。従来本俸の給与ベース引き上げということはなされておらない。従って昭和二十八年、二十九年、三十年とありますが、この間に当然、昨年あたり本俸の給与ベース引き上げの勧告を人事院がしなければならなかったのでありますが、私ども考えとしては、人事院としてもそれをすべきことは実は認めておったと思うのです。ところがこの五月に勤務地手当引き上げの勧告がありましたので、せめてもこれだけに早く実施しなければならぬという観点に立って、私は本俸の給与ベース引き上げの勧告は予算のためにしなかったのであろうと考えておるのでありますが、そうした含みも長官は十分御検討下さいまして、今日の日本の公務員の生活実情というものを十分御判断願いたいと思うのであります。昨年三月の民間給与の実態からいたしましても、当然公務員の給与ベース引き上げはしなければならなかったのです。従いまして、政府としてもまた国会としても、われわれの見解からするならば、当然本俸の給与ベース引き上げというものはなされなければならないものをしなかったということは、全国の公務員諸君に対しまして、自己の責任を果せなかったという一つの責任感をわれわれは痛感するものであります。これはそうした本俸の給与ベースとやはり私は重大なる関連性があるものであると思う。本俸の給与ベースの引き上げが、昨年度勧告されて、それが実施でもされておるならばこの問題が多少ずれてもまだしもでありますが、それと逆に、本俸の給与ベースの引き上げがなさるべきであったにもかかわらずそれがなされなかったので、せめてもこの勤務地手当の勧告を実施するところの重大なる再任をわれわれ課せられておったにかかわらず、それさえもできなかった、遂に流れでしまった。その点から言うならば、私はやはり全国の公務員諸君に対しまして、全く国家公務員法第二十八条に規定されましたところの重大なる給与の引き上げというものが顧みられない結果を招来したのでありますが、このような本俸と勤務地手当との関連性につきまして、長官は現在どういうお考えを持っておられるか、御所見をただしたいと思います。
  55. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 昨年勧告を受けましたものは、御承知の通り地域給だけでありまして、ベース・アップの問題に触れておりません。今日の情勢におきてまして、ベース・アップの問題はまず民間の給与の状況から考えまして、また物価の指数の点から考えまして、今ただちに取り上ぐべき問題ではなく、むしろ低物価政策に拍車をかけて物価を下げて、実質賃金をふやしてやるという努力をするのが私どもの任務ではないかと考えるわけであります。従ってベース・アップの問題には触れずに、今あなたの申されました通り地域給の問題を解決したい、こういう考えを持っております。
  56. 森三樹二

    ○森(三)委員 今長官は低物価政策によって実質賃金を増加したい、こういう御所見を述べられましたが、これはもちろん私どもとしても賛成です。賛成でございますが、しかし昨年三月の民間給与の実態を調査したところの人事院の所則としても、やはり物価は騰貴しておる。従って先ほど私が申し上げましたように、国家公務員法第二十八条によると、物価の値上り、あるいは値下りが五%以上になった場合には法律の規定に基いて当然人事院は勧告しなければならぬ、ということになっております。そういう形から言うなれば、五%以上の値上りがあったときに本来ならば当然本俸の給与ベースの引き上げの勧告をしなければならなかったという実情にあったわけでありますが、それがやはり国家財政の状況の見通しのもとについになされなかった。今日においでもやはり物価は横ばいであるとは言いながらも、騰貴の状況にあるのであって、あなたが今おっしゃったような低物価政策によって実質賃金が増加するならば、それはもちろん好ましいことでありますが、そうした段階に至っていない今日の物価指数からするならば、当然本年においてもこの給与ベース引き上げの実施をしなければならぬ段階にあると私ども考えておるのであります。しかしまた一面においてただいま問題なっておりますところのこの地域給の是正につきましては、昨年の五月の勧告が国会並びに政府に対して行われておる、こうした厳粛な規定の勧告をわれわれはこれを法律案として成立し、かつこれが予算上の裏づけをしなければならないところの重大な責任があることを痛感するのであります。長官は、これに対して良心的に、しかも公務員の生活を安定せしめるということは、上りもなおさず公務員が国民に対する奉仕者として、その自己の任務を十分に遂行するための一大要件であると考えておるのでありますが、今日の財政上からいって、民主党内閣はこの国家公務員に対するところの勤務地手当の必要経費についてどういうお考えを持っておられるか、予算上の措置について長官の御所見を承わりたいと思います。
  57. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 最後の点はどういう御質問でしたか。
  58. 森三樹二

    ○森(三)委員 あなたは地域給について十分考えておるというお話でありましたが、実際において現在の政府並びにその政府の基盤になっているところの民主党の方針、大臣の予算上の措置に対する御所見と御決意のほどをお尋ねしたい。
  59. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 地域給の予算化でありますけれども、まだ案がはっきりできておりませんので、どれくらいの費用を要するかということがはっきりしておりません。しかし先ほどお話になりました通り、二百億ないし三百億というような大きな金になりますと、おそらく私は大蔵省はびっくりするのではないかと考えております。しかし委員会全体の一致の案となれば、せいぜいその目的の実現のために努力いたします。
  60. 森三樹二

    ○森(三)委員 大蔵省が聞いてびっくりするとおっしゃいましたが、大蔵省はとうにそのことは知っております。われわれは大蔵省の給与担当の方々にも出席を願って、もう何度となく質問もしておりますし、また所要経費についてもわれわれは話し合っておるのでありまして、決して驚きません。これはもう知っております。しかし長官は二百億とか三百億というような言葉を簡単に使われますが、二百億と三百億とでは大きな差があるのであって、やはりこうしたところの予算上の問題を論議する場合には精密な観念をこの際持っていただきたいと私は思う。先ほど申し上げましたように、地方公務員並びに国家公務員に対するところの勤務地手当の所要額は約二百十二億、この算定の金額を当該の専門員の方々におかれても計算しておるのでありまして、大体間違いのない数字であります。そこで私は給与担当の大臣として、こうしたところの勤務地手当について重大なる関心を持っておられる以上は、この予算を獲得し、公務員の生活を安定せしめるという重大なる責務の上からいたしまして、担当大臣はやはりこの予算獲得のために献身的な努力をあなたはなさらなければならないと思うのであります。これは全く冗談や笑い事ではない。昨年の五月、すでに人事院から国会と政府に対して勤務地手当の支給の勧告がなされておるのでありますから、これをわれわれが実施しないことは、すなわち公務員諸君の給与に対するわれわれの怠慢といわれても過言ではないのじゃなかろうか。われわれは一日も早く、人事院が責任をもって勧告されたところのこの勧告案に基きまして、しかもこれを修正するならばするとして、そうして一日も早くこれの予算上の裏づけをするということが、われわれに与えられたところの今日の任務でなければならぬ。しかも大久保給与担当大臣がここにその任に当られる以上は、やはりあなたは重大な決意をもって、どれだけの予算が実際において可能であるか、これにつきまして大蔵当局とほんとうに真剣に取っ組んで、予算上の獲得のために努力されなければならない。頭からこれはむずかしい、これはできないというような、そういう先入観に基いて大蔵当局と話し合うというようなことは、これは全く間違いである。私は、昨年の五月に勤務地手当の勧告がなされたという、こういう厳粛な既定の事実を十分に御認識なさらなければならない、かように思うのでありますが、その点についてもう少し真剣な御答弁を願いたいと思うのであります。
  61. 田原春次

    ○田原委員 関連。この法案は御承知のように、本年の一月二十三日提出でありまして、改正法律案ということになって提案されております。各政党とも賛成をして、十分時間をかけて準備したものであります。私はこの際給与担当の大久保国務大臣に特に希望したいことは、大久保国務大臣は非常に豪胆にして、また党内においても有力な大臣である。従って北海道開発の長官のごときはむしろ廃止して、北海道知事にまかしたらいい。全国的に影響のある、この国家並びに地方公務員に関係のある——すなわち労働法規によりましても争議権を奪われておる人々に対しまして、その仕事を安んじてやらせるという意味から実は人事院ができたことは御承知の通りであります。しかるにだんだん時間がたつに従って、一つ二つずつ制限もしくは冷淡になるような傾向になっておる。少くとも人事院が昨年の五月にこれだけのことはやってしかるべしという勧告をしておるのであります。それに基いて昨年末から今年の初めにかけまして、各党各派慎重審議の結果できたものなのでありますから、これは私はなるほど選挙によって議員も多少かわり、それから国会法の規定によりまして、人事委員会が内閣委員会に吸収されたという事実はありますけれども、今ここでごらんのように、議員にして、来ておりたがら、人事院の問題になるといつの間にか帰ってしまうというような、まことに不熱心なる連中がお気の毒ながら自由党と民主党に多い。わずかに辻政信氏が例外といいますか、はたしてどの程度内容を聞いておられるかわかりませんが、着席しておることは事実であるにすぎない。他のそういう連中を相手に今から勉強するというようなことでは間に合わない。とにかく今の森委員の言われるように、半年以上もかけて十分準備したものであり、まして、これは大久保新大臣の試金石だと私は思う。どうせ鳩山さんも長いことはないのでありますが、あなたがこの問題で成功されるかどうかは、次の民主党の総裁等になる非常な試金石だと思うのであります。豪胆にして、またみずからも市長をやられた経験もあるのですから、多くの物言い得ざる、行動し得ざる公務員の生活の問題——ことにこの提案の理由の中にありますように、地域相互間の不均衡を是正する案にすぎない。新しくわれわれが要求するのではなく、あまりにでこぼこがあり過ぎたのを是正する案でありますから、一日一刻を争う問題だと思うのであります。しかしながら実際問題として四月、五月の暫定予算も通ったことでありますから、ここ多少の日にちもございますし、四月中旬から審議の予想されます本予算に対しまして、これは大久保さんの試金石としてぜひ一つ頭を出さしてもらいたい。また金額についても今あなたの御答弁の中にありました物価引き下げの問題等にからんで、他の省、他の政策と関連がありますから、しっかり馬力をかけておやりになるという決意を示されたい。われわれは最後まで党派を越えて大久保さんを応援します。この問題だけは満場一致で超党派的に応援するということでやりますから、どうか強い決意でやっていただきたい。そうして全国の物言い得ざる多数の公務員をして、なるほど大久保さんはいい大臣だという声が起るように、断をもってやってもらいたいということを、私は私の考えをつけ加えて、関連して申し上げましたから、森さんの質問にあわせて御答弁を願いたい。
  62. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 ただいままことに御親切なるお言葉を拝聴いたしまして感謝にたえません。御礼を申し上げておきます。ただ一言申し上げたいのは、解散前の人事委員会においてつくりました案は、一つの案でありまして、あれは確定案と見るのはまだ少し困難じゃないかと思われます。私の希望は、さきに申しました通り、議会も解散となり、代議士もかわり、委員会のメンバーもかわったのでありますからして、どうか皆さんが納得のいきまするような公正な案をつくられましたならば、私は最喜の努力を払って、その案の実現に努めたいと存じます。
  63. 森三樹二

    ○森(三)委員 大久保長官に対しましていろいろ御質疑を申したのでありますが、長官もだんだんと御熱意を示されるような態度を持ってこられましたことは、われわれとしても非常に喜びにたえないのでありますが、われわれが申し上げましたところのこの地域給の問題は、要は昨年五月、人事院からの国会並びに政府に対する勧告というものが、大きな一つの土台となっておりまして、これに対しましては、やはりわれわれは国会の権威と責任において一日も早くこれを具体化することが、われわれに課せられた重大な責任であると考えております。従いまして今後この委員会においてできるだけ早く成案を得たいと考えておりますが、それと並行いたしまして、長官におかれましても、大蔵当局と十分な折衝をされまして、これに対するところの所要経費等の獲得につきましては、万全の措置をとっていただきたいということを私は希望を述べまして、一応私の質疑を終りたいと思います。
  64. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後三時四十一分散会