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福島説明員 調達庁は
米軍のために基地を設定し、提供するために設けられた役所であることは間違いありません。但し
アメリカの機関ではなくて日中
政府の機関であるわけであります。
日本政府が条約上負っている基地提供の義務のために、これを実施するための機関として設けられたわけであります。その
意味におきましては、任務は
アメリカのために基地を設定するということであります。しかしわれわれとしては、
アメリカの言うなりに基地をつくるのではありませんので、社会上、経済上の影響とか、あるいはわれわれの持っております予算上の制約とか、そういうものを考慮いたしまして、過大な
要求はこれを抑制するようにし、あらゆる
議論をしておるのであります。ただいまのところでは、でき得る限りの
議論もし、不適当なものに対してはこれを取りやめるように、場合によっては比較的被害の少いところにつくらせるというようなことをしております。御指摘のように、それが適当であるかないかは知りませんが、
調達庁としてそういう努力を全然してないというのではありませんので、現在の私
どもといたしましては、でき得る限りの努力をし、
米軍の
要求を抑制しつつ、絶対必要な
要求はこれを満たしていって、条約上の義務を完遂していくということで仕事をしております。ただこれは、私の私見と申しますか、
調達庁長官としての意見でありまして、
政府全体の意見というわけには参りますまいと思いますが、
調達庁のこのようなやり方は改良の余地があるかどうかということになりますと、私はあると思っております。われわれは
アメリカのために基地を設けるということで任務を授けられており、金がないから、予算がないから経済上困るとか、あるいは社会的の影響上困るからというようなことで、しきりに
議論をしておるのでありますが、もっとせんじ詰めた
議論をする必要がないか。最後には
向うでは軍事上の設備であるので、お前にわかるわけがないじゃないかというような
議論を言い出すことがしばしばある。そうなりますと、私は軍事上の専門家ではありませんので、これに反駁することができないというような難関にしばしば逢着するのであります。従って
アメリカが基地がほしいと言った場合に、
日本政府で受け答えをするには、
日本に軍事専門機関があるかどうか知りませんが、もしあるとすれば、
日本側の軍事機関が引き取って
日本の防衛のためにこの基地は要るのであるか要らないのであるか、まずもってきめてもらいたいという気がしております。その上で
調達庁に注文を出してもらいたい。われわれはその後において社会上経済上の影響ということで
議論はできるけれ
ども、軍事上の
議論はできない。山岳訓練というものが要るのであるか要らないのであるかという
議論ができない立場において
議論をしておるという
意味においては、
調達庁の仕事は改良を要すると私は思っております。従いまして、まだ採用になっていない私限りの
議論でありますけれ
ども、
調達庁が
アメリカに対するサービス専門という形ではおもしろくないのであって、これは
日本の国防のために
アメリカがいるといないとにかかわらず、これだけの基地は要るのであるということ、現在は
たまたまそれを担当する
現実の
部隊が
アメリカであるというのにすぎないのであるという
意味合いにおいて、基地問題は
解決していくべきじゃないか。従って
調達庁に関連する機構というものは、防衛庁との
関係において再編成される方が適当ではないか。これは私見と申しますよりは、
調達庁の
長官としての地位におきましてそういう
議論も持ち、各
方面に実は説得しておるつもりでありますが、微力にしてまだそこまで行かないのであります。第一点の御指摘の
調達庁の
考え方と申しますか、国防
関係においては、ただいま申し上げたように、全面的に思った
通りには行っていない点がありますが、
調達庁の間口におきましては、
アメリカの言いなりに基地をこしらえるというようなことはいたしていないつもりであります。
なお、第二点に御指摘のありました、
アメリカがほしいと言って取り上げておきながら使っていないという基地が実はたくさんございます。たくさんと申しましてもそうむやみにはございませんが、指で数えるほどありまして、実は妙義山の解除のころに、突然妙義山を返すと言われても私としても収拾がつかない、一つだけでは困るからもう少しよけいに返せという
議論をしたことがある。十ばかり返してくれればその中の一つに妙義山をはめてごまかせる、一つだけ返されたのでは目立って収拾がつかないという
議論をした。そのとき使っていない基地を全部調べまして
アメリカ側に私の名前で
要求しております。
アメリカも
考えると言っております。大部分が国有地でありまして、
現実に
補償その他の問題の少いところでありますので、
アメリカ側が
考えます限りは待てますので待っておりますが、使っておらずに
立ち入りをさせていないで、元の持ち主が困却しておるというところはまずないと
考えております。国有地以外のとしろでありますと、これはあるにはあるのですが、そういうところは使っておりませんので、持ち主の方に立ち入ってもらって、農耕その他を継続してもらって、従ってわれわれも
地代の支払いを節約するといったようなことをしておりますので、使ってないのにもとの持ち主が立ち入ることができないで困却せられておるということ、ないとは私も申し切れない気もいたしますけれ
ども、原則的にさようなことはないつもりであります。しかし使ってない基地につきましては、主として
演習場でありますが、全面的な
返還の
要求はいたしております。
なお続きまして、警察力乱用という御指摘もございました。これは乱用と申すほど実は使ってないと思いますけれ
ども、私もそこまで正直なところ、よく実情につきましてはわからないのであります。
調達庁長官を引き受けましたのも一年ちょっと前でございまして、それまで役人をしておりましたわけでもございませず、突然にこういう仕事を頼まれまして始めましたので、具体的な実例については承知してないところが多いことはまことに恐縮でありますが、強制収用をかけざるを得ないという
事態があることは実は承知しております。その際に警官隊その他の問題も、特に妙義に関連いたしましてはあったということは聞いておりまして、まことに申しわけないとも思い、今後そういうことを繰り返さないようにしたいとは
考えております。今日までのことにつきましては、もしも行きすぎの点がございましたらおわびを申し上げるだけでございますが、今後はさような
事態はできる限り慎しみたいと
考えております。ただどうしても
立ち入り調査その他のために警官隊の見張りを頼むという場合が今日まであったということにつきましては、全然承知してないと申し上げるわけにも参りません。さような
事態はあったのだと
考えております。
さらに基地提供その他の問題に関連しまして、
アメリカ側との
交渉を、せんじ詰めて申しますれば、もっとはっきり、自主的にやれるかやれないか、こういう御趣旨だと
考えますが、過去一年数カ月、少くとも私が参りましてからは、全部のところに手がとどきませんので、不十分なところがまだ多々あることは事実でありますけれ
ども、相当に
態度としてはしっかりさせて参ったと
考えております。調灘庁自体の機構が、先ほど申し上げましたように、私の信念から申しますれば、改良すべき点があるにもかかわらず、改良が行われてないために思うにまかせないという点もあるのでございますが、できる限り自主的な
態度をとっておるつもりでございます。
つけ加えて申し上げておきますけれ
ども、
調達庁は今の土地提供のほかに労務の提供というものをいたしております。この二つがおもな任務になるのでありますが、いずれも
アメリカとの間に紛議の起る
たちの問題でありまして、
アメリカ側の
態度、取扱い方がおもしろくないという問題が非常に多いことは事実でございます。これに対して、
日本政府として、
調達庁として有効な
議論をしておるか、自主的な
態度をとっておるかということでございまして、御心配をかけておると思います。その点恐縮にたえませんけれ
ども、私に関する限りは、
アメリカとの
交渉に卑屈な
態度はとっておらないつもりであります。また
アメリカ側に対しても、私としては私の今日の
態度で良心に恥じるところがないと
考えておるのであります。
ふまじめとおしかりをいただいては恐縮なんですが、ここまで
お話し申し上げれば一つ申し上げておきたいのでありますが、おしかりをいただかないようにお聞き取りを願いたいと思います。先般、これは労務の問題でありましたが、仙台の方に紛議がありまして、あそこの師団長のところへ参ったのでありますが、その際、
アメリカの方はいろいろ事情もあるし、いろいろ
考え方もあるかもしれない、軍事上の都合もあるかもしれませんけれ
ども、
日本人の
考え方からいえば、われわれの言う
通り、
調達庁の意見の
通りにすべき問題なのだから、われわれの言うことを聞いたらどうか、第一、私は今日
日本の役人としてここに勤めているけれ
ども、偶然のめぐり合せで私の子供
たちはみな
アメリカ籍になっている。
アメリカ市民だ。お前さんは何だ、ただの
アメリカ人じゃないか。私は
日本人であるけれ
ども、
アメリカ人の父だ。
アメリカ人の父というとジョージ・ワシントンみたいなものだ。あなた方より階級が高いんだ。私は
アメリカのことを心配しながら仕事をやっているのだ、私の言うことを聞いたらどうかという
議論をして、それが通ったとは思いませんけれ
ども、
態度の上、信念の上では、ひげをとっておらないつもりであります。
日本のためのみならず
アメリカのためも
考えて仕事をしているということを
アメリカ人に主張し得るだけの
態度をとっておるつもりでございますので、十分に成果のあがってない点は、御指摘の
通りのこともございましょうと思います。恐縮でございますけれ
ども、私
どもに関します限りは、信念として、
態度として御心配をかけないようにやれるつもりでございますので、今後ますます努力したいと思っております。