○安倍専門員 御指名によりまして、先般一月二十四日の本
会議で、
審議未了になりました
委員会としての
地域給決議案の経過及びその
予算額、その後の情勢等について御
説明申し上げます。
あの
地域給の是正案は、実は第十六
国会、すなわち二十八年七月二日に結成いたしました
地域給小
委員会からの懸案でございます。当時の小
委員長は赤城宗徳
委員でございましたが、この小
委員会は参議院の
人事委員会ともたびたび
折衝いたしました結果、大体二つの
意見にまとまったわけでございます。
一つは
地域給はできれば全廃したい。少くとも
現行の五段階を二段階くらいに縮少して三段階くらいにしょう。それから
地域給の
級地改訂は、
人事院の
勧告を待って具体化したいというような
意見にほぼ一致しておったようでございます。ところが全廃ということにつきましては、
地域給についてどうもはっきりとした客観的な基準が明確化されない。また
地域給の
意味が二十二、三年のころと違って、大分物価差が少くなってきた今日においては非常に
意味が少い。だからできればこの問題を何とか全廃したいというような
理由が中心になっておったようでございます。ところが全廃と申しましても非常に金がかかる。当時は二万二千八百二十円ベースでありましたが、全廃して、つまり全部の都市を東京並にするということになると、当時の
予算で六百十三億九千万円もかかる。それを四級まで縮小するということになると四百三十八億八千万円、三
級地まで縮小しますと二百七十四億八千万円、二
級地まで縮小すると百三十九億九千万円、一
級地だけ整理して縮小して、それを本俸に繰り入れて、それぞれが手取額が少くならないように工作するだけでさえも四十六億六千万円の金がかかるというので、大分
考えておったわけでございますが、ときたまたま七月十八日になりまして、待望の
人事院勧告が
提案された。ところが従来はベース・アップと同時に、
地域給の
勧告別表第六というものを改訂するのが常でありましたが、このときはどういうわけでしたか、ベース・アップの方は一万五千四百八十円というふうに引上げるが、
地域給についてはなお従前の
通りということであった。そこで
委員会といたしましては、各
委員の方々が
政府に対しましては、一万五千四百八十円ベースを即時
実施せよ、
地域給については二段階もしくは一段階、これは
予算の
関係からこうなったろうと思いますが、少くとも一段階は縮小したいというような希望が述べられたようでございます。
人事院に対しましては口頭もしくは決議文などによりまして、
地域給の
級地改訂を厳重に申し入れたわけでございます。第十七
国会はたった九日でございましたので、
地域給に関しては大した問題はございませんでしたが、第十八
国会になりまして、十一月の三十日をもって
政府は
給与法の一部改正の
法律案を提出したのでございます。これは
委員会の要望が多分に盛り込まれまして、
現行五段階の
地域給を四段階に縮小し、さらに一
級地をゼロとして、その他のものを入れて五%以上本俸の方に繰り入れる、そうしてその繰り入れた額と合せて一万五千四百八十二円のベースを規定した
法律案でございます。本来ならば、実際は
勧告の方は一万五千四百八十円ベースといいましても、
現行五段階のままでそうでありましたので、これを一段階整理して、その五%を本俸に繰り入れることになると、それよりも約六百何十円か高くならなければならぬ
関係上、いろいろ
委員会では問題になりましたが、続いて十二月の五日に、自由党の方から今までのゼロ
級地をひとまず一
級地に引き上げる、そうしてその分を本俸の方に繰り入れて、そしてまたそれはゼロ級にして、あと四段階にするというような
法案が提出されました。これは事の
性質上、
政府案に先行しなければならぬので、この自由党案は可決されたのであります。それに従いまして若干
政府案を
修正しなければならぬ事情が起りましたので、自由党側の
修正案、両派社会党側の
修正案、それから改進党側の
修正案と、それぞれ出たのでございますが、ついに自由党側の
修正案が可決されて、
政府案とほぼ同様のむのが可決されたわけでございます。
これでベース・アップの方は一段落きまりましたが、
地域給の方はきまりませんので、
委員会といたしましては、たびたび
人事院の方に
地域給の
勧告を早く出せということを要望されたようでございます。特に二月九日に至りましては、ぜひ出せという言質を
人事院の方からとるというようないきさつもございまして、その結果、去年の五月の二十九日にお手元にありまする
通りの
勧告案が出て参ったのでございます。ところが
人事院案におきましては、
市町村合併が激しく起りましたので、ゼロ
級地の
市町村に合併するところの村ならば、たといそれがイノシシが出ようと、山ザルが出るような小さい場所であっても、形式的に機械的にみな一
級地にするという事態が起りましたので、今まで独立して一
級地の待遇を受けておったところの町をそれに見合せてどうしても上げなければならぬというような御
意見も出て参る。また従来から非常に損をしておったところの町々が、
人事院の
勧告におきましては二段飛びを許さないという原則でずっと進んできましたので、いつでもこれがほかが上ることによりまして総体的に陥没するというような事情がございまして、
衆参両院期せずしてこれに対して不満を抱いて参った。そうしてあらためて六月一日に再び
地域給小
委員会を開き、
委員長には赤城宗徳
委員がなりまして、これから是正するということになったのであります。ただその是正におきましては、政治的な因子はなるべくなくするという
意味で、先に草案を専門員室に移す、これを
委員会において検討に検討を重ねてやるということだった。それから三
級地以上については、よくよくの客観的事情がなければ上げない。それから二級以下については、従来特に損をしておると思われるようなところは十くらいに限って二段飛びをやる。但し三
級地以上の二段飛びは認めないことにする。それから
市町村合併の
理由だけ下はなるべく昇級させない。それから、あまりに大げさな
修正になって
実現の不可能にならぬようにという
委員長からの御内命もあったわけでございます。
こうして十五回も会を重ねて検討した結果、九月十二日に成案を得たのでありますが、そのほかに
事務的になお不均衡と思われるところのものを、
委員長が
委員会の了承を受けて
委員長一任という線がございましたので、九月十二日より少しふえましたけれ
ども、一まず衆議案として固まりましたのは、地域の数で千二百七十五の
市町村の
級地が移動しております。別に
人事院勧告では千三百六十二の
市町村の
級地を移動さしておりますので、合せて二千六百三十七の
市町村が移動したわけでございます。
人員総数におきましては衆議院だけで二十六万四千九十八名がそれに適用されることになります。所要額といたしましては、国庫負担といたしまして衆議院側は二十八億五千万円、
人事院の方が七十五億五千万、合せて百四億でございます。ところがこれは実際上のことでございまして、
予算編成上におきましては
人事院側の分が九十二億、衆議院側の方が三十四億でございます。
参議院との協議の方はどうなっておったかと申しますと、初め
折衝いたしました際には、参議院の方ではこういうようなものを
国会で手をつけるというと、とかくゆがめられるからというので、参議院の方は最初消極的でございましたが衆議院の方では先に草案を一応専門員室に検討させるからということで、協調して
修正をしようという申合せになりましてやりました。やりましたところが今度は参議院の方がますます熱心になりまして、衆議院よりはるかにはるかに上回るような
修正をやって参った。ここで
実現の可能性があるかいないかということで、ずいぶん衆議院の方々が心配されておられましたが、ついに十二月の二十六日になりまして、参議院側の方も非常に緊張して参りましたので、川島
委員長と
——向うの松浦
委員長が中共の方に行っておった
関係上宮田
委員が見えられて、ぜひこれは協調してほしいということを申され、それから二、三日たって松浦
委員長も帰られ、千葉
委員、宮田
委員の参議院の三人の方とそれから川島
委員長とが会合されまして、協調していこうということになつたわけでございます。そうしてそれにはまず衆議院と参議院の両方の案を両方の専門員室同士で、純粋に客観的に検討し合えという御命令でありましたので、いろいろやりましたけれ
ども、向うの方は衆議院の方をけなし、こちらの方ではどうも困ったと
指摘するというようなことでありましたので、なかなかうまくいきません。ついに両
委員長の御指示を得まして、衆議院案にも参議院案にも手をつけないで、一応これを包含し、ただ両方合せたことによって不均衡の生ずるところについて若干
事務的な
修正を加えるということに落ちついたわけでございます。これに
衆参両院の一任されました相当の者が入りまして、でき上りましたのが十一月十七日でございまして、このときの移動地減数は三千二百五十七
市町村でございます。
人員は九十四万六千七百名に上ります。
勧告は
予算上から申しますと九十二億でございますが、それを国庫負担分に非常に減じて参りますと七十五億五千万、これを合せまして両方で二百十二億七千五百万という膨大な数字に上っております。しかし実際においてはほんとうに国庫から持ち出す分だけを
考えますと百五十億を下ると思います。この案が御承知の
通り一月の二十三日に、
委員会においては
委員会提案として出すことにきまりまして、翌二十四日に本
会議に
提案することになっておりましたが例の
解散によりまして
審議未了となった次第でございます。その後、大蔵省のアルコール専売等におきましては、この
国会案を中心にいたしまして盛んに
折衝しておるようでございます。大蔵省の方ではなかなかこれだけの
予算はのめないといって、むしろ
現行のまま廃止の方向に持っていくような気配も見えるようでございますが、はっきりしたことはまだきまっておらぬようであります。われわれの方といたしましては、振り返ってみまして、いろいろ案にも難点があるかもしれませんけれ
ども、これが無事に通過すればと
考えておる次第であります。簡単に申し上げておきます。
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