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松井委員 ちょっと大蔵当局にお伺いを兼ねて
説明になる点もございますが、申し上げたいと思います。要するに先ほど第一点の審議中の場合の株の処分についての御
答弁の中に五分の一としたのは残る五分の一は大蔵省が持っているという
意味か、それとも大蔵省の五分の一は早くほかへ売れという
意味か、ちょっとやはり法律を立案した側の
意見がわからないような御
答弁の
内容があったように拝聴いたしました。そこで明らかにしておきたいのは、われわれが当初この法律を出して株の処分をしようと
考えたことは、大蔵当局には具体的にわかっていないのじゃないか、こういう懸念を持てるのと、
質問を兼ねて
説明を申し上げるのでありますが、この法律案を出すまでには小
委員会が持たれまして、小
委員会においては
政府当局の見解をお伺いし、
資料を取り寄せたのであります。われわれは
国際電電株式
会社法を審議した一人であります。そういう同僚
委員が大ぜい当
委員会におるのでありますが、そのときのいきさつから申し上げますると、
国際電電の民間株式
会社にするということについては、相当の議論が戦わされたことは御
承知の
通りであります、そこで民間
会社にして公共性を保持するにはどうしたらいいかということが、いわゆる
会社法の中にるる条文となって法律化されておる
理由の大きな原因なのです。その公共性を保持するということの立場において審議したのでありまするが、要するにこれは全会一致ではなくて多数の可決で通った法律案であります。それからさらに一番重要なことは、われわれは
資料を取り寄せるまで当初審議中に、
速記録を見れば明らかなように、
政府当局は現物出資の株は大蔵省へ一たび預けるけれども、現物出資者には一年以内に売り渡して返すということが明瞭に
速記録に残っておる。ところが二年有余になって
資料を取り寄せてみたところが、まだ五分の二の株が大蔵当局に残っておるので実はびっくりしたのです。とっくに処分して、全部やはり現物出資の公社には全額支払ったものとわれわれは心得ておった。ところが
資料を取り寄せると五分の二の株は残っておる、しかも
国際電電の
会社はもと公社というよりも逓信省が
直営でやっていた当時から、今電電
会社に切り離された部分は、
政府提案の当時の
資料によれば年間十四億円の利益を出していた。さらに関連団体の
調査によれば、十九億円近くの利益を出しているというデータをわれわれはいただいております。さらに別のところから出てきたデータには、二十四億円の利益がある
国際通信だというデータをいただいておる。
政府提案でも十四億円なんです。ところが
資料の中の決算を拝見しますと、今日ではやはり八億を欠ける利益になっている、こういうことです。そこで償却は逓減制をとっている。さらにまた民間
会社になったために税金と株に対する八分の配当を行わなければならない。従って分離する当時十四億円の利益というものは、そういう形において減らされておる。しかも株の額面を割っている。そういう形だということのこまかい
資料をいただいて実はびっくりした。そこでいろいろ情状論等も参考人の中から
意見が出ましたけれども、とにかく
会社法案に賛成したか反対したかということを別にして、少くとも国会において法律が通って民間
会社ができ上った。二年の実績しかやっていないのでありまするから、もう三年、四年間くらいの実績をやらしてみなければならないと
考える。けれども公共性を保持する経営体が大事なんです。そうすれば法律上から見ても、生まれた当初の
理由から見ても、この株が証券市場に出された。そうして配当金をえさにして株の売買を目的とする性質の株でないことは明らかだと思うのです。従ってわれわれはもしかりに今でも——分離する当時から利益が減っておるのであるから、やはり配当金を増さなければ株の処分ができないという参考人の御
意見もございました。具体的には、これは当
委員会ではないのでありまするけれども、別の
委員会における参考
意見によれば、一割二分くらいの配当は妥当だというような
意味の
発言もあったようであります。そうなりますると、勢い分離するとき利益が半減しているのに、さらに配当金に利潤が食われてしまうのです。そういう形になって
利用者に対するサービスの適正、いわゆる単価を維持しながら
従業員の待遇の問題や、あるいは償却並びに自己資金による建設資金の保持等は非常に困難になってくる。そうなると公共性を持っている企業体というものが非常に危険にさらされる。それを守るためにどうしたらいいかということが、今度の法案の第一点の
理由なんです。
第二の
理由は、そのためにはやはり配当金を増すことによって、売買できる場所でない安定株主を見つけなければならぬ。その安定株主を見つけようとする場合に、配当金をえさに求めるという形でないとするならば、配当金が八分でもいい場所であって、しかもその株が
国際電電会社の安定株主としての役割を果し、企業の健全化に経験と努力を持つ者でなければならないというので、現物出資者の公社に、当初は全部でありましたが五分の一、こういう経過を経てきているのであります。そのことが
国際電電会社の経常体を守る一番重要なことである、こういうことが第二点の
理由なんです。
それならば第三点として大蔵省に株をそのまま置いたらいいじゃないか、こういう理屈も一面議論をいたしました。ところが、やはり民間
会社にするという
理由で民間
会社にしておいて、その民間
会社の株式を
政府当局が五分の二持って、そうしてやはり
政府といえども株主でありまするから、配当金は
政府がもらうのは当然であります。そういう形の民間
会社が合理性があるかどうかということになると、これはあまり合理性がない、不合理なる原因と見なければならない、こういうことでありますから、その不合理を改めるにはやはり
政府の持ち株を処分して、早く民間
会社としてのほんとうの体裁を整える株主を選ぶことが必要である。そういう形に相なったのであります。そこで
政府当局の見解をいろいろ聞いてみましたところが、大蔵当局としては当面の状態ではとれないという御
意見、これは大蔵当局直接ではございませんけれども、
政府側の御
意見として拝聴いたしました。そこでそれならば
国際電気通信というものが非常に公共性があり、それを保持し、そうして企業体を安定化するために、やはり配当を上げることによって株主の移動等を防止しながら公共性を守っていこうという
考え方で、この問題を
処理する場合には、やはり法律を作ろうじゃないか、こういうことに第三の
理由がなって法律となされたのであります。
従いましてただいま申し上げたような
理由で提出をいたしたのでありまして、それで明らかになったと思いまするが、要するに大蔵省に五分の一残しておくのは、大蔵省に長いこと五分の一は持っている、株主になっているという
意味ではございません。と同時に、特定の参考人が申し上げたように、配当を上げて売らなければ売れないから、配当を上げて売るという形において処分しろということをわれわれは望んでいるのではないのであります。従ってやはり配当というものは適正利潤に対する配当、たとえば現在八分でやっているとするならば、それが適正と見て、幾たびかの決算の結果、それで
国際電電会社は行なっているのでありまするから、それを維持しながら株式の処分を
考えてほしい。そうして現物出資者に対しては当時一年以内に
政府は
処理するという言明の公約を果さなければならない、こういうところにつながってくるのでありまして、要するに大蔵省に五分の一持っていてほしいということでもなければ、しゃにむに電電公社にその株式を移さなければならないという
理由ではなくて、安定株主の立場から配当金目当てでない株主にして、
電気通信企業に理解を持ち、
国際電電の通信
利用者に迷惑をかけない株主を見つけたい、こういうことでやったのでありまするから、大蔵当局はこの趣旨を十分体して株の
処理には当っていただきたいと思いまするが、こういうような
理由についてすべて私が申し上げたのではまだ
理由は足りませんけれども、われわれとしてはそういうような立場においてこれを立法したのだ。その趣旨を今まで大蔵当局は正しく御理解になっておるかどうか。さらに国会において審議中であっても、株を
処理することが法的には制約されておりませんから、おやりになることはけっこうでございますけれども、ただいま申し上げたように、額面を割っているから配当を増す形において、額面
通りの株式を売ろう、そのためには配当を増そう、こういうような
考え方を持っておられるかどうか、あるいはそういう
考え方が
国際電電会社の方から大蔵省に相談があった場合、大蔵当局としてはどういう
考え方でこれに対処するかどうか、こういうことについて大蔵当局の見解と、直接法律によって監督しなければならない
郵政大臣、両者の見解を明らかにしておいていただきたいと存じます。