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1955-07-04 第22回国会 衆議院 逓信委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月四日(月曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 齋藤 憲三君 理事 廣瀬 正雄君    理事 中垣 國男君 理事 井手 以誠君       秋田 大助君    宇田 耕一君       椎熊 三郎君    竹内 俊吉君       中曽根康弘君    塚田十一郎君       成田 知巳君    森本  靖君       八木 一男君    前田榮之助君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 松田竹千代君  委員外出席者         郵政事務官         (事務次官)  中村 俊一君         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     宮本 武夫君         専  門  員 稲田  穣君         専  門  員 山戸 利生君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 本日の会議に付した案件  特定郵便局長任用問題に関する件     —————————————
  2. 井手以誠

    井手委員長代理 これより会議を開きます。  郵政事業に関する件について調査を進めます。この際質疑の通告がありますので、これを許します。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 それでは土曜日にちよう大臣不在でございましたが、東京都内本所白鬚郵便局長の問題について私の方から質問をいたしまして、それに対しては、大臣不在であるので、大臣が帰ってこられて省内の方針を協議して回答するということでございましたが、その御回答を願いたいと思います。
  4. 松田竹千代

    松田国務大臣 前回の郵政委員会に欠席いたしまして、まことに申しわけありません。その際に本所白鬚郵便局長お尋ねがございましたが、その際に人事部長からお答え申し上げたことは、この前新潟県の問題についてお尋ねのありましたことがございましたが、それとこれとは大分事情を異にするようでございまして、新潟県の場合に、あの場合の局長任命はまことにお尋ねになりました通り、外から見ましてもだれが見ましてもあまり芳ばしいやり方ではなかったということを申し上げて、自今厳に注意をして、同じようなことの起らないようにと特に注意をいたしますというお答えを申し上げたと思うのでございます。しかし今度の場合には、新潟県の場合とは大分事情が違っておりまして、なるほど行政整理によって整理され、そして退職金をもらった者が、あまり長い期間を置かずに再び特定局長任命されたことは、まことに不当ではないかというお尋ねのように拝承いたしておるのでございますが、しかし新潟県の場合におきましてはその日にち間隔もきわめて狭いものでありましたけれども、今回の場合は去る二月退職いたしまして、六月になって任命されたということでありまして、それだけの期間を置いたわけでございます。ことに、なるほど行政整理によってやめた者が、また任用されたという点につきましては同じでございまするけれども、今申し上げまする通りに、その間に時間の間隔相当ありまするのみならず、当時急速に任命を要する必要もありまして、他に熱烈な希望者で、同時にその希望者が適材であると考えられる者がなかったわけでございます。急速に任命する必要もあります上に、従来郵便局のあったところがなくなって、新たな局長任命されないということなりました場合の、付近の住民の不便も考慮いたしまして、ここに前述の行政整理者の一人を任命したわけであります。このことは、郵政省におきましては久しき前から、同じような事情のもとにある者が再び任命されるということはしばしばやって参ったことであります。しばしばやってきたことでもいけないことはいけないじゃないか、こう申されればむろんその通りでございますが、こうした慣習が従来からございまするし、また新しい不熟練な者を任命するよりは、長く郵政事務に従事しておった者を任命するということの方がよろしいという考え方でございまして、このたびの任命に対しては、そう著しく不当であるとは考えられないのでございます。そういう事情でございまするので、御了承願いたいと存じます。
  5. 森本靖

    森本委員 それでは大臣はこの任命については、五月の十一日の私並びに同僚椎熊委員質問に対するあのときのあなたの御回答とは、全く相反しておらない、こういうふうにお考えですか。
  6. 松田竹千代

    松田国務大臣 今申し上げました通りに、新潟県の場合と今回の場合は、四囲の事情が異なっておるということを申し上げたのでございます。従って前者の場合においては相当思わしからぬやり方であるということを申し上げたのですが、今回の場合にはそうさして不当と考えられる面は、私どもとしては考えられないということを申し上げておる次第であります。
  7. 森本靖

    森本委員 そのどことどこが前の場合と違うわけですか。前の場合は不当であって、今回の場合は不当でないというのは、一体どこが前の場合は不当であって、今回の場合は不当でないということを言われておるわけですか。
  8. 松田竹千代

    松田国務大臣 先ほど申し上げましたように、新潟県の場合にはやめさせてすぐ何日も置かないで任命させたという点が、今回の場合と違います。またその他においても違う点があると思いますのは、今回のは、従来郵便局をやってきたところで、適当な事務になれたものが希望者になかったという点で、急遽これを任命する必要があったというような事情でございます。
  9. 森本靖

    森本委員 新潟県の横越の場合、私たち並びに同僚委員質問した趣旨というものは、大体二十八日にやめて、三十日に採用した。わずか二日間くらいにおいてこういうふうにやったのはいけない。これが二月なり三月たてばよろしい。要するに国家が退職金倍額払つておまけに一年間の待命期間中、給料をそのまま払つておる。それほど優遇してやめていただいて、それが三月たった場合には採用してもよろしい、こういうことですか。
  10. 松田竹千代

    松田国務大臣 二月たったからいい、三月たったからいいということを申し上げているわけではございませんで、新潟県の場合にはわずか二日ぐらい中を置いた時期でありますので、それはどこから見てもまことにおもしろくないというとを申し上げたのです。今回の場合はその場合と違って、たとい三月なり四月なりでも間隔があったということを申し上げているので、多少事情が違うということを申し上げているのです。
  11. 森本靖

    森本委員 二月なり、三月なり置いても、やはり行政整理によるところの八割増し退職金をもらって、しかもその上におまけに一年間待命で、いわゆる官庁出勤をせずに一年間待命期間の俸給をただでもらっておる。そういうものをもらっておっても、あと三月程度間隔があれば、国民に対してもこういうことをやってもよろしいという結論になる、こういうことですか。
  12. 松田竹千代

    松田国務大臣 国によってはアメリカのように、もうお前は今日で首だといってやめさせられるような国柄もありまするし、わが国のようにやむを得ず行政整理をしなければならぬというような場合に、むずかしい行政整理をやる国もあります。なおそこに長いこと働いた者に対しては、待命期間というものを持っておるわが国のしきたりである。しかしこういうことはやめたらいいではないかという議論もあって、これからはそれもむずかしいのではないかと私も考えております。そういう国情のしからしむるところ、何と申しますか、一種の親心と申しまするか、やめる者に対して待命のまま月給を与えていくという制度を持ってきた日本であります。     〔井手委員長代理退席委員長着席〕 これは従来やってきたことでありまして、今日の時勢でそういうことはいけないといえば、もちろんいけないと私ども思うのでありますが、従来そういう制度がありまして、これをやって参ったのであります。そうして退職金もよけいもらう、恩給ももらうではないか、こういう人でありますから、当分は困りもしないから、ほかにより困った者、必要な者を採用したがいいではないかという、これは一応も二応も受け取れます。けれども、この点につきましても郵政省では従来から、長く郵政省に勤めてきてやめた者に、これが直ちに民間に就職できればむろんそういうあっせんをするのでありますが、それもなかなか思わしくいかないような面もありますし、一々退職した者を世話するということもなかなかできないのでありますから、現業庁として事務に堪能な者で、まだ十分に働ける立場の者がそこにあるならば、これを再び任用してやる。従来と違う地位でありますが、そういうところに任用する。私はそういうこともやはり特定局任用制度の妙味であるとも考えるのでありまして、こうした従来から郵政省関係の者で退職してしまった者を、また機会があれば郵政省で再び使っていくということは、多くの従業員希望される意見であります。そういうことの意見のあることも承知いたしておりまして、さような決定を見た次第であります。
  13. 森本靖

    森本委員 それではあらためてお聞きしますが、私は待命制度が悪いということを一ぺんも言った覚えはない。そういうやめていく人に対して、親心考えてやらなければならぬということは、これは全く賛成です。しかし大臣よく聞いてもらいたいのですが、普通にやめた場合は、普通の退職金規定による退職金きり出ない。待命のときは八割増し退職金と一年間の待命期間給料を出勤せずにもらうわけです。それでは一体政府はどういうわけで一般退職金と違う、そういう一年間の給与と八割増し退職金を出しておるわけですか。
  14. 松田竹千代

    松田国務大臣 私の承知いたしまする点では、要するに本人希望してやめたのではない。政府の政策としてどうしても行政整理をしていかなければならぬというところで、要するに強制的に首を切るというか、露骨にいえばそういう形になるだろうと思いますが、政府方針としていついっかにやめてもらいたいという要請によってやめるのでありまして、本人自由意思でないのでありますから、そこに特別の退職金を出すという形になっておる次第であります。
  15. 森本靖

    森本委員 これは私の記憶違いかもわかりませんが、昨年の白鬚郵便局長退職金をもらって待命になったということは、これは強制的ですか。そうじゃないと思うのです。この当時は大体待命希望者というものがかなりあって、予算が場合によっては足らないという話もあったと思う。これは省側の方からきめ、これはちょっとやめたらどうかということでやったのじゃないと思う。おそらくこれは今回の待命の中に入れてもらいたいという要望によってやったと思うのです。この時分の待命というのは、強制的に待命するという仕組みにはなっていなかったように考えますが、この点はどうでしょうか。
  16. 宮本武夫

    宮本説明員 その点について私からちょっとお答え申し上げます。昨年の特別待命による行政整理強制退職制度云々というお話がございました。もちろん法規の上では、強制的に退職制度にかけ得る道は講ぜられております。しかしながら私ども実際問題としますれば、本人意思に反して強制的にどうこうするということは努めてやめまして、希望者がありました場合にはなるべくそれらを優先的にやっていく。法律的に強制的な方法を認めたから、これを強制的にやっていいというわけではございませんで、実際問題としてそれが事態をスムーズにやっていくという関係から、実は昨年においてもできるだけ希望者を優先的にやったのであります。ただし御承知の通りに、一般職員は別といたしまして、いわゆる郵便局長あるいは課長というような管理者層については、必ずしも本人自由意思ばかりでやっておりますと、人事渋滞と申しますか、その意味において人事の風通しを少しでも多くして、下級の者のいわゆる昇進の道を開くと申しますが、そういうことは当然私ども考えなければなりません。そういう点からいたしまして、これは強制的といえるかどうかは別として、そういう管理者層に対して、私どもの方から、こういうふうな恩典があるからこの際引退、退職されたらどうかということは、これは相当強くお勧めいたしまして、本人の大体の納得を得まして整理にかけた、こういうのが実情でございます。大臣が申し上げましたように、法律上はまさしくそういうふうな強制整理というか、その方法はもちろん認められておりますが、実際はそういうふうにとり行なった次第でございます。
  17. 森本靖

    森本委員 そうするとこのこのとき、二月に待命になった方は、大体もう整理に該当する、だからお前はやめた方がよろしい、こういうサゼスチョンをして、それで退職金を出した、こういうことなんですか。
  18. 宮本武夫

    宮本説明員 こちらから本人に勧奨しましてやった次第でございます。
  19. 森本靖

    森本委員 それではその歓奨をした場合は、どういう理由によって、この人にやめてもらいたいという歓奨をしたわけですか。
  20. 宮本武夫

    宮本説明員 この本人については、これは沖縄郵政に長く勤められた方でございまして、沖縄において何カ所かの郵便局長その他の長をやられた方であります。二十七年にこちらの方に引き揚げられまして、当時沖縄政府との話し合いにおきまして、郵政関係職員は、できるだけ郵政でもってこれを引き取るということになっておりました。そして郵政に引き取った次第でございます。そこでとりあえず、本省郵便局事務官として採用いたした次第でございます。しかし本人年令その他からして、今後本人はおそらく東京都内に居住することを希望しておったと思うのでございますが、普通局長その他の方にこの際さらに進出するということは、相当困難ではなかろうかというような点からいたしまして、この際整理にかかったらどうか、こういうことを勧奨いたした次第であります。
  21. 森本靖

    森本委員 そうすると、本人はもうあっちこっちの郵政関係を歴任をして本省に帰ってきた。それでもう年も六十前後になる。これ以上は郵政省内におっても、後進に道を譲るという意味においてもやはり引いた方がよろしい、本人もこういう考え方であろうし、それから省側も、このごろが引退の時期である、こういうことでわざわざ待命にして、八割増し退職金を出して一年間の待命にかけた、こういうことですね。
  22. 宮本武夫

    宮本説明員 大体そういうことになっております。
  23. 森本靖

    森本委員 それでは本省において、そういうふうに年をとって役に立たないという者が、少くとも現業第一線であるところの特定郵便局長で役に立つということは、どういう理由ですか。
  24. 宮本武夫

    宮本説明員 先ほども申し上げました通りに、今後普通局長その他の局長としては必ずしもどうか、こういうふうな見方からいたしまして、整理にかけてもらった次第でございます。しかしながら、その本人相当郵政経験者でありますし、健康その他の点から見て、普通局長その他としてはこれはいかがかとも感ぜられる点があるのでありますが、特定局長としてまだこれは十分に使い得る、こういうふうな観点からいたしまして、おそらく東京郵政局においてこれを白鬚特定局長候補者にして、選考いたしましていろいろ検討いたしました結果局長任命する、こういうふうになったものと存じます。
  25. 森本靖

    森本委員 それでは、何ですか、郵政省という省は、少くとも現業第一線で一番仕事をしなければならぬ、しかも国民大衆諸君と一番接触をしなければならぬ局長というものは、老朽人間でもできる。それから本省の机の上でやるところの仕事は、そういう人間ではできない。要するに第一線現業の、一番先頭で大衆諸君接触をしてやらなければならぬという者は、年がいって、大体老後の安定の職として、やってもよろしい。大体隠居半分の仕事である、こういうことでございますか。
  26. 宮本武夫

    宮本説明員 私の申し上げるのは、決してそういう意味ではございません。先ほども申し上げました通りに、たとえば例を普通局長にとりました場合に、相当年令に達しました場合、やはり普通局人事につきましても、人事渋滞というようなことは、私どもが常に考えなければならぬものでございます。課長相当古参の者もできますし、あるいはまた同じ普通局の者でも、小局相当長く勤務した者がある。これが課長から局長まで、あるいは小局から中局、さらに大局というふうに、昇進の道をわれわれ人事当局としては考えなければならぬのでございます。そういうふうな点から考えまして、やはり行政整理というものは、一つはそういう目的を持ったものと私は考えるのでございます。しかしながら私どもは、そういう行政整理にかかった者といっても、ただいま申し上げました通り、あるいは非常に老朽で、ほとんど使いものにならぬために整理にかける者もありますが、そうでない者もあるのでございます。先ほど申しました通り本人希望によった者もありますし、こちらが勧奨したのに対して、それを引き受けた者もございます。しかしながら私どもとして、特定局長任用する場合に、老朽使いものにならなくなった者、十分に働く資格実力のない者までも、あえて特定局長にするということは毛頭考えておりません。そこにおのずから普通局長、あるいは、三百人、五百人という大局、あるいは四、五人ないし十人というようなわずかな小局、それをやり得る力につきましては、やはり若干の差異があると私は思いますので、特定局長としても使えない古物を押し込めて、そして特定局老朽者はきだめにするという考えは毛頭ございません。
  27. 森本靖

    森本委員 それではこの人は、もう将来普通局長なり本省の、いわゆる課長なりになっていくということは、後進があまりつかえているから、だからそういう人だったら、特定局長なら適当である。こういうことも一つ理由だ、こういうことですか。
  28. 宮本武夫

    宮本説明員 昨年の二月特別待命にかけましたときは、必ずしも特定局長にこれを任用するというような考えを持って待命させたわけではございません。ただ今日結果から見まして、この六月一日に白鬚局長任命しました結果、ただいま森本委員のおっしゃった通りの結果になったのであります。
  29. 森本靖

    森本委員 それでは、そういうことが了承されるとすれば、大体あなたの考えでいくと、普通局なり本省の者は、課長なり部長なりあるいはそれぞれ上っていくという昇進の道が開かれている。ところが特定局においては、たとい十人であろうと五人であろうと、その当該局には二十年も三十年も勤務した者があると思う。そういう者が、将来自分が局長になっていきたいという希望を持っておった場合に、本省で役に立たないようになったら、あるいは現業普通局で役に立たなくなった者をわざわざ退職金まで支払っておいて特定郵便局に持っていって、一体特定郵便局従業員はどこに希望を持っていったらいいのですか。
  30. 宮本武夫

    宮本説明員 私の申し上げましたのは、そういう行政整理に当りまして退職した者につきましても、なお特定局長として何年かは使えるという資格なり実力を持ちました者がありました場合に、局舎その他の問題もございますが、いろいろな事情考えまして特定局長任用すると申し上げただけでありまして、特定局長をすべてそういうふうな普通局長を退職した者をもって充てるというようなことは、これまた毛頭考えておりません。御存じの通り特定局長任用というものにつきまして、大体三つケースがあるのでございます。一つは全然郵政関係のない純粋の部外者、その地元の有力者とかその他の者が多いのでありますが、そういう部外者がなる場合、それから部内者がなる場合があります。この部内者がなります場合に、特定局主事等で二十年、三十年というふうに長く勤められた方につきまして、もちろん郵政省といたしまして、それらの人々の昇進の道、それはやはり特定局長というのが一番手近な昇進の道でありますが、手近と申しますか、一番やりやすい方法でありますが、こういうような特定局局員につきましては、適格者がありました場合にできるだけその者を特定局長候補とし、またこれを特定局長任命している、これは従来も実例において多く実施している次第でございます。それからもう一つは、先ほど申しました通り普通局長あるいは局課長などの退職した者につきまして——あるいは退職せずに転換でいく場合もございますけれども、そういうふうな者から採る、こういうふうな大体三つケースがあるのでございます。ただいま森本委員のおっしゃいました通りに、特定局長というものは全部普通局課長古物だけを持っていって、特定局局員について全然考えないのかということを申されましたが、決してそういうことはございません。私どもの方としましても、特定局従事員昇進、今後の希望というものを与える意味からいきましても、できるだけそういうふうに特定局長昇進するということも考えて、そのときどきによりまして必ずしも百人が百人とも希望が達せられるということはないと思いますが、できるだけ私どもの方といたしましてはその方面からも特定局長に起用している、これは実例でございます。
  31. 森本靖

    森本委員 一、二、三というふうな三つの点で御説明がありましたが、しかしそういうふうに幾ら説明しても、今ここに上っている実例は、郵政省本省郵務局において仕事をしておった者である。それでこの人は本省におったら役に立たないから、この人は退職しなさいということで退職さして、しかも倍額退職金を支払い、そして今度は特定郵便局長任用した、これは厳然たる事実でしょう、この事実は認めざるを得ないでしょう。
  32. 宮本武夫

    宮本説明員 ただいまおっしゃいました通りの事実でございます。
  33. 森本靖

    森本委員 今言った通りの事実であるということであるならば、本省では役に立たないけれども特定郵便局長としては役に立つ、こういう諭旨になるわけですね。
  34. 宮本武夫

    宮本説明員 役に立たぬというのは、私ただいま言葉が過ぎたかと思いますが、本人相当高令になりましたし、今後都内において普通局長というふうな、いわゆる従来の線で進んでいくということはいかがか、こういうふうに考えてやった次第でございまして、決して本人無能者である、無力者であるというようなことからやった次第ではございません。特定局長としてこれならば十分やれるだろう、これは選考いたしました東京郵政局の判断に私は信頼しております。
  35. 森本靖

    森本委員 それは東京郵政局だろうがどこだろうが、あなたの方がそれを指揮監督しておるのでありますから、任命についてもすべてあなたの方の責任になるのです。とにかく今の質疑応答で明らかになったことは、本省郵務局では仕事にならない、それは事実でしょう。だからそれを一応やめてもらって、それで特定郵便局長なら仕事ができる、こういうことになったことも事実ですね。
  36. 宮本武夫

    宮本説明員 先ほどからたびたび申しました通りに、今の例は本省郵務局の問題でありますが、本省郵務局事務官として全然使いものにならなくなった、こういう意味で私は申し上げているのではございません。本人が従来普通のコースによりまして本省のあるいは課長とか、あるいはまた都内の普通の局長、そういうふうなコースで進むのは、年令その他の関係でいかがか、こういうふうに考えましてやった次第でございます。
  37. 森本靖

    森本委員 そういう考え方に立ってこれ以上郵政省におっては、郵政省に対して御迷惑もかけるし、後進に道を譲るというわけにもいかぬので、一応待命にかけていただきたい、こういうことでやめたわけですね。
  38. 宮本武夫

    宮本説明員 ただいまおっしゃいました通りでございます。
  39. 森本靖

    森本委員 それではそういうことでやめた者でも、結局特定郵便局長となる。そうするとこれは同じ郵政省内の公務員ですね。そういう場合に養老院はきだめと同じように、特定郵便局長にどんどん持っていくということはいいことなんですか。
  40. 宮本武夫

    宮本説明員 たびたび申しましたが、私は普通局長とかあるいは本省事務官という者が使いものにならなくなって、全然、仕事にならぬ、しかしながら特定局長はやれるから持っていく、こういうことを申し上げたのではございません。ただいま申し上げた通りに、いわゆる普通郵便局長その他につきまして、今後何年かは十分働き得る、あるいはまたそれだけの資格があるという者ももちろんあるのでございます。さっき申しましたように、行政整理というものはやはり下からの昇進の道というふうなものを十分開くために、いわゆる風通しというものをよくしなければならぬ、これは事実でございます。そういう点からしましても、本人実力ということでまだ働き得るという者も、やはり整理にかける場合もあるのでございます。従いましてこの奥平という人間につきましても、本省事務官としてあるいは今後何年かやっていける、今までもやってきたのでありますからやっていけるでしょう。しかしながらたまたま整理もありましたし、本人がたしか五十七才でございますか、五十七才にもなりましたし、いわゆる普通のコースとしまして、本省課長なりあるいは都内局長というものに進むのはいかがか、こういうに考えた次第でございます。
  41. 森本靖

    森本委員 たびたび私が言っておりますように、そういうことであれば、この方は大体郵政省に勤務するのはこれで終りである、そういうことからこの待命という恩典にかけていただだきたい、こういうことでやめたわけでしょう。そうでなかったら日本の公務員がすべてこの待命によって——待命ということで一年間恩典を与え、さらに普通の退職金倍額を支払う、そういうことをやって、そうしてその者をまた二ヵ月なり三カ月なりたって採用する、そういうことをやっておって、国家財政上から見て——私どもはこのか行政整理というのは基本的に反対だけれども、あなた方はどう考えているのですか。この退職金というものも全部税金で出ているわけです。その国民大衆諸君から出ている税金で、普通の倍額を支払ったわけです。それをあなたは国家財政の見地から見て、行政整理をするのであるから、気の毒だからといって出しておいて、すぐ二カ月なり三カ月なりたっただけで、もとの俸給に近いような俸給で再採用しているということが、たとい法律的にそれれが許されても、一般の政治家として、あるいは行政官として、そういうことがいいというふうにお考えなのでしょうか。
  42. 松田竹千代

    松田国務大臣 行政整理によって特別の退職金を得、また一年間の待命の猶予期間ももらい月給も有利にした者を、また再採用していくということは、そういうことをやらぬでもよいような事情の場合はやらぬ方がよろしい。しかし私はそこは日本の国情のことも大いに作用すると思うのでありまして、昔から——私に森本さんのおっしやることは正論だと思います。そうありたい。一ぺん首にした者はもう採用しない、一ぺん行政整理で特別退職金をもらった者は、採用しないという方がいいと思います。けれども、日本の国情として——昔から行政整理を幾たびもこれまでやって参りました。役人の数が多過ぎる、そんなに国費を、国民の税金を多くの人間に使っていかぬ。役人はもっと少数でもよろしいというような見地から、また国費として、そういう多くの人をかかえていくことは、どうしても財政が持たぬという見地から、幾たびかこの行政整理をやってきたのをわれわれ承知いたしております。しかるにそのあとで、やつはり二年なり、三年なりすると、だんだん行政機構が変り、また舞い戻っていくということがしばしばあったのであります。これは情ないことには、日本の人間が多過ぎるというのか、仕事が少な過ぎるというか、とにかく失職者が多くて、代議士が国会で行政整理を叫んで行政整理をしたのだが、行政整理された人間が、またそれぞれ縁故をたどって、そうしてその就職のために骨を折らなければならぬというようなことをやっている。これは事実の問題として申し上げるのでありますが、そういうことをやって、二年なり三年なりのうちに舞い戻っていく、何もならぬじゃないか、その通りなんであります。そういうことはよくないじゃないかという森本さんの意見は、私は正論だと思います。そうあってほしいと私は思います。けれども、残念ながら日本の国情は、どんどん不必要な者を首にして、そうして再び採用しない。ほかに新しい産業が、事業が起って、そうしてそれにみな吸収されていくという建前になれば、そういう建前が十分にできていくならば——それをやろうとしておるのが今日の政府の政策でありますけれども、なかなかそれができない。失職者を採用し、あるいはこれを雇用していくために十分な道が開けていかない。ついにまた舞い戻るというような事実を、私は過去において幾たびか見てきておるのでありまして、森本さんの言うことは、そういうふうにあってほしいと私思いますが、日本の国情の実際として、それが必ずしもなかなか行えないのが今日の現状であると考えるのであります。しかしながら、首にした者を要求すればいつで採用するというのではありません。たまたまこの白鬚郵便局の場合におきましては、四囲の情勢からこれを再採用することが適当であろうという結果になって、採用されたものと考える次第であります。
  43. 森本靖

    森本委員 私はここでいわゆる失業対策を論ずるつもりじゃないのです。しかし大臣がたまたま広範な行政整理の面について触れられたので、私一言申し上げておきます。今まで大臣が言ったようなことになったのは、そもそもその時の政府が悪いのです。無理な首の切り方をするから、首切ったそのあとからすぐどんどん要求が出て、結局それを承知せざるを得ないという立場になってきたわけです。それが今までのやり方なんです。だから今までの政府行政整理に対するところの基本的な考え方が、頭から間違っておったわけです。行政整理をやるときに、頭から各省共通一割あるいは五分というような形において首を切ってきたのが、今までの行政整理の実態なんです。そんなことをやったら、新しい者がふえてくるのは当然です。まだ増員もしなければならぬという現在において、そういうことをやったら当然そういうことがふえて参りますよ。ただ私はそういう問題をここで言っているわけではない。そういうふうにどんどん淘汰されていっておるのでありますが、新しくはいってくる者は、場合によっては前に首切られた者がはいってくるということじゃないのです。今の官庁の実態というものは、あなた御承知のように、首を切られた者が新しくはいってくるのはほとんどまれです。新しくまた増員されて新しい人がはいってきておるというのが、今までの官庁の行政整理の実態なんです。そのことをよく認識した上でこの問題を論じてみたいと思うのですが、この問題はそういう問題とは明らかに違うわけです。これは非常に年もいった、それで将来郵政省内部におってももうあまり栄達の道もない、さらに後進に道を譲らなければならぬということで、円満に退職したわけです。それで、円満に退職したから、退職金は普通の退職金しか出ないけれども、これは特に行政整理という観点から見て、これに対していわゆる恩典を与えなければならぬということで、税金の中からそれだけ多額の、普通の退職金よりもずっとよい退職金を出して退職してもらったわけです。そうでしょう。そうして今度二カ月か三カ月たった場合に、新しくまた九級三号という公務員として採用しておるが、そのことの不合理ということを私は追及しておるわけです。あなた方がそれほど国民大衆諸君の失業対策を考えておるなら、そういう行政整理によって困っておる者を全部助けるという趣旨であるならば、それは何をか言わんやであって、行政整理で失業して困っておるすべての者を全部採用するという政策を、鳩山内閣として立ててやっていけばよろしい。そういうことを今ここで論じたところで問題にならないわけであります。そういうことを論ずる前に、今ここに当面の問題として持ち上っておることをよく考えて、そういうことをほんとうにやってよいのか悪いのかということを聞いておるのです。第一こういうことが郵政省の中で実際に全部が全部こうなっておるかといえば、そういう実例はない。こういうのは今まで二十か三十あったかもしれませんが、それは単に各課長なり、あるいはそれぞれの官僚の諸君と実際に親しい人とか、そういうごく小部分の者しか救われておらない、そういうのが実態なんです。そういうことが果してやられてよいのか悪いのかということを聞いておるのです。だからこの前の五月十一日の委員会の場合には、私の方からそういうことをやってはいけないと申したのに対して、大臣は明らかにやりませんと言った。さらにあなたの党であるところの民主党の椎熊君も、そういうようなことはやってはいけないと言ったのに対して、決してやりませんという回答であったわけです。そういう回答を五月十一日にしておいて、六月に入ってこういうようなことをやるということは、国会で何ぼ論議をしても、こういうように次から次に約束を破っていくのでは何にもならない。だから土曜日の委員会においては、この問題については明快なる態度を持って、明らかにしてもらいたいということを私は言った。私がさっきから聞いておるところによると、五月十一日の答弁は答弁だけれども、これはこれで正しい、こういうような意見ですね。一体どういう考え方を持っておりますか。基本的においてこういうことをやってもよろしい、将来もどんどんやっていってよろしい、こういうふうに考えておるのですか。
  44. 松田竹千代

    松田国務大臣 森本委員のおっしゃることは、大体正しいと私は申し上げております。けれどもこれは、特定局局長任命するような場合には、それぞれの四囲の情勢によっても考えなければならぬのでありまして、そういった場合に、たまたま今度任命した者がさきに数カ月前に整理になった者であるということであったわけです。しかしながら、こういうことをこれからもどんどんやるという考えはむろん持っておりません。ただ今回の場合においては、四囲の情勢から必ずしも不当なやり方ではないという考えのもとに、やったのであるということを申し上げたのでありまして、新潟県の場合とはおのずから事情も違っておる、こういうことを申し上げておるのでありますから、これを端的にすべての場合において、一たんやめた者は絶対に再び採用しない、採用したからといって、これからどんどんそういう者を採用するというのでもございません。
  45. 井手以誠

    井手委員 ちょっと関連して。ただいま大臣は、どんどん採用する意思はないということでしたが、どんどん採用しなくても、次々に採用されたのでは困る問題であります。先刻来の森本委員と当局との質疑応答を聞いておりますと、平行線で一向らちがあきません。森本委員の言うことは正しいけれども、実際問題としてはそう簡単にはいきませんという答弁でした。しかし理論はわかっておるはずであります。森本委員の言わんとするところはわかっておるはずであります。当初大臣は、この前の場合は中二日か三日を置いた直後であったからいけなかったけれども、今度は三カ月も置いておるというのですが、感じから申しますと三日も三カ月も本質に変りはないと思う。周囲の情勢とか、あるいは適当な云々ということもありましょうが、それは逃げ口上で、この特定局長を部内に求めようとすればあるはずであります。求めようとしなかっただけの話であります。中村次官は新聞の発表において、憲法には職業選択の自由があるということを言われました。新聞に出ておりましたから、多分おっしゃったことであると思います。この問題に憲法論議を持ってくるべきものではないのでありまして、何も仕事につこうという物を押えるのではありません。なるほど親心ということも、われわれの胸を打つものがあります。しかし特定の人だけに親心があってはならぬのであります。二十何万の従業員が、せめて特定局長になりたいという者ばかりであります。一方は年齢六十歳という。説明員のおっしゃる通り窓をあけたい、空気を刷新したい、それは当然であります。そのためには、かりに手腕家であっても、その人でなくてはならぬというものではないのでありますから、やはり高齢者の方から退職してもらうべきだと思う。しかも本人意思に反して退職してもらうものであれば、特別の措置をするということで、その手続が完了しておりますならば、その人に対して郵政部門は手が切れておるはずであります。一方に多数の人が特定局長になりたいと希望しておるのに、その特定の人に親心を示すために、他に適任者がなかった——われわれ外部の者はあったかどうかということはわかりませんけれども、なかったからとかいってその人を横すべりさせる。特定局長任命するまでに五十日も六十日も日があったというのは詭弁です。三日であろうと三カ月であろうとそれは同じことです。なるほど先般の新潟の問題について、絶対いたしませんという、そういう言葉ではなかった。要領よく、もしそういうことが起きても逃げられるだけの用意周到な答弁ではありましたけれども、部内の空気を一新する、後進者に前途の希望を与える立場と、いま一つ待命制度という二つの面から考えますならば、一たん退職した、させた者を、かりに普通局でなかったにしても、特定局長任命するということは不当であると私は思う。森本委員の言うことが正しいと私は思う。その場になりますと、ああだこうだと言って逃げ口上を申されますけれども、ここで肝心な点は、将来にっちもさっちもいかないような言明はともかくとして、悪いことであるならばみんなが納得できるような、逓信部内がなるほど思うような言明をされることが、この際必要であると存じます。そういう意味において、この問題をいつまでも同じような平行線で質疑応答を繰り返すことはおもしろくないと存じますので、この際特別待命という問題と、特定局員の空気刷新という問題、そういう両面から、大臣が二十何万の従業員親心を示されようとするならば、三日とか、三カ月ということでなく、希望のある御答弁をこの際願いたいと存じます。
  46. 松田竹千代

    松田国務大臣 郵政省のどこで起った事柄でも、私は一々これを報告を受け、承知しているというわけには幾ら努めても参らぬと思いまするが、さればといって郵政省管内で起った間違ったこと、不当なことに対しては、むろんその責任を感じておるのであります。ただいまの事件に関しましては、むろん私は事前に承知しておったわけではございませんけれども、事後においてその報告を受けて、はなはだしい不当であるとは考えなかったということを申し上げた次第でありますけれども、しかし森本委員の主張されることは正しいと思いますので、相なるべくはそういうことのないようにしたいものであるという気持は、十分に持っております。ただこの前はそういうことを一切やらぬということは私は申し上げませんので、その言葉によってどうということではございませんけれども、しかしあの場合はいかにも思わしからぬやり方であった。今度の場合は多少期間が開いておったことと、四囲の情勢も違うしするので、一々これをいかなる場合でも一切採用せぬのだというわけにも参るまい。かように感じます。またこの人事のことは、情実やあるいはえこのさたによってやるということは、これはもってのほかであります。そういうことにつきましては厳に注意をいたしまして、今後皆さんから御叱責を受けるようなことを極力防ぐように努力いたしたいと思います。
  47. 森本靖

    森本委員 私は大臣に対して、全国二十五万の郵政省職員がやったことを、一々取り上げてやれと言うのではない。少くとも五月十一日にこういう問題の質疑応答がされて、現在までこういう問題がいろいろあった、そういうことは将来あまり望ましくないという人事部長回答であるならば、その趣旨を全国の郵政省のそれぞれの責任者に対して通達なり何なりするのが至当と思うが、そういう措置をおとりになったことはありますか。
  48. 宮本武夫

    宮本説明員 この前の委員会のあと、直ちに全国に対して相当な措置を講じております。
  49. 森本靖

    森本委員 それは文書でやったのですか、それとも口頭でやられたのですか。
  50. 宮本武夫

    宮本説明員 御承知の通り特定局長任命は、地方郵政局長の権限においてやることになっております。しかしながらこの間の委員会の次第もありましたから、その後直ちに文書をもって通達し、また先般地方の局長会議をやりました場合に、その席上で訓辞いたしております。
  51. 森本靖

    森本委員 それでは明日でもよいですが、その文書を資料として御提出を願います。今日の大臣回答では不満足ですので、その文書がどう解釈されたか、参考人にも来ていただき、さらにこの問題に対しては努力をしていきたいと思う。こういう国民大衆を欺瞞するような行政整理やり方についてははなはだ不満でありますので、本日はこれで打ち切りますけれども、今後さらに徹底的に論議していきたいと思う。  なお大臣希望しておきますが、本日の回答でははなはだ不満であります。おそらくこれは私の言うことが正しいということを大臣は言われましたけれども、正しいということを言われると同時に、実際問題として国民大衆諸君も、おそらく私の発言に対しては拍手かっさいを送ることだと思う。それだけの考え方国民の中にはっきりあると思うのです。だからこの問題については、そういうふうな形式的な回答ということでなしに、実質的にこれを解決でき得るようなことを、省内としてももう一ぺん十分協議の上、次の委員会に臨んでもらいたいことを希望いたしまして、私のこれに対する質問を打ち切ります。
  52. 松前重義

    ○松前委員長 ほかに御質疑ありませんか。
  53. 成田知巳

    ○成田委員 大臣にお伺いいたしますが、今の森本委員質問に対する御答弁の中に、今回の措置がとれたことは特定郵便局制度の妙味だ、こういう御発言があった。これは速記にちゃんと載っておると思いますが、妙味ということは、特定郵便局制度を是認されている、こういう感じがするのであります。大臣特定郵便局制度そのものについては、一体どういうようなお考えを持っているか。現在の制度は正しいと考えておりますか、あるいはこれは将来変革しなければいかぬ、こうお考えになっていますか。この根本問題についてお伺いいたします。
  54. 松田竹千代

    松田国務大臣 私も就任以来まだ十分に郵政各般のことを検討するのいとまを持ちませんでした。しかしながら事郵便局問題一つにいたしましても、どういう機構にすれば最も理想的であるかということに対して自分も考え、また各局長とも話し合いをし、いろいろ意見を徴し、外の人たちとも話して参りましたが、非常にむずかしく私は考えております。特定局だけの問題でも、普通局との間の問題がありまして、また特別任用の問題もございまして、これを日本の国の郵政事務を処理していくためには、どういう機構でやっていくのがよろしいかということに対して、非常に苦慮いたしております。昔三等郵便局といった今日の特定局も、地方の人々から聞きますと、非常に昔の請負制度が優秀なものであるという考えの人にも幾たびか会いましたし、また今日は採算などを度外視して、そうして特定郵便局長というものは父祖伝来の職業であって、これはそういうことにかかわらずこの地位を保持していきたいのだという、りっぱな、そして業績を上げておる郵便局長もありまするし、いろいろの面から考えてみまして、これをどう改正することが最も理想的であるかということに対して、しきりに私は各方面の意見を求めておりまするが、いまだ明確な結論に達しておりません。そういうわけでありまして、これだけでも非常にむずかしい問題である。特定郵便局長会議もあるし、局長の仲間からは、これを全国的横の連絡をとった一つの団体にしたいという希望もあるし、その中にはボス的な存在の者もあるし、いろいろさまざまでありまして、これをどう統一し、どう整備し、どう改革していくかということに対して、日夜苦慮しているのが、私の現在の実情でございます。先ほど申しました自由任用ということも、私は非常に民主的なやり方であると思う。郵政省昇進を目標として、あるいは一般事務官として出てきた者が、漸次年を追うて仕事の性質に基いて昇進していくということもけっこうであります。またその土地、その特定の郵便局に対して、局長として全くこれは適材であるという人がありまするならば、これはどういう閲歴の人でも自由に採用し得るということは、私は非常にいい制度であるとも考えます。それを私は自由任用一つの妙諦ではないかというふうに申し上げたのでございましたが、これとても普通局との場合が違いますし、国全般の郵便局制度をどうすればいいかということに対して、私は苦慮いたしております。どういうふうな案が最も理想的であるか、実際に合致したものかということに対しては、いろいろの面から考えましてむずかしい問題があると考える。これはとくと研究して、そしてその改善に当って参りたい、かように考えております。
  55. 成田知巳

    ○成田委員 大臣の御答弁を承わっておりますと、あまりに政治的な御答弁です。結局何を言われようとしているのか、私たちにはわからない。困難であるとか苦慮しているとか言いますが、やはり解決しなければいかぬ問題があるということはお認めなんでしょう。
  56. 松田竹千代

    松田国務大臣 そうです。
  57. 成田知巳

    ○成田委員 どういう点を解決しようというお考えですか。
  58. 松田竹千代

    松田国務大臣 それは全般を考えてやらぬと、一つをとらまえてこれはいいといっても、他に支障が起れば、それはよくないということになるのでありまして、今その事情を申し上げた次第でありまして…。
  59. 成田知巳

    ○成田委員 解決する場合には、縦の関係あるいは横の関係大臣の言われる全般のにらみ合せで解決しなければいかぬと思いますが、解決すべき問題点としてどういう問題があるか。特定郵便局制度についてぜひとも解決しなければならぬ問題点——解決の方法は別です。どういう問題点があるかということについて大臣のお考えを承わりたい。
  60. 松田竹千代

    松田国務大臣 今申し上げたように、たとえば特定郵便局長の自由任用の問題、この中にもいろいろさまざまであります。同じ月給制度になっておりましても、今申し上げました事情郵便局長も幾人もあります。非常な名誉と考えてその仕事に精進して、利害を度外視してやっている、そういう人こそ非常に望ましいのではないか。そういう見地から言うと、者の請負制度のあった時代のことを非常にいい制度であると推奨されるものもあります。これらのものも、一利一害はありますが、よく検討していかなければならぬということを申し上げている次第であります。
  61. 成田知巳

    ○成田委員 私は他の人の言っている意見を聞いているのじゃない。大臣として、ぜひとも解決しなければいかぬ問題、今自由任用制度の問題をあげられましたが、先ほどの御答弁では、自由任用制度は妙味がある、こういうようなことでありましたが、大臣として、これは解決しなければならぬ問題、これはどうしてもやめなければならぬ問題、これはこのように改正すべきだ、こういう二、三の問題があったらお教えいただきたい。
  62. 松田竹千代

    松田国務大臣 この前にも申し上げましたけれども、これこそいい制度である、この点をかく改正することが最善の道であるという確信を持てば、私は断固としてやりたい、かよに申し上げて参ったのでありますが、今日でもさように考えておる次第であります。ただ今のところでは苦慮しているということを申し上げたのは、いまだその結論に達しておりませんということを申し上げたのであります。
  63. 成田知巳

    ○成田委員 私は解決の方法ばかりじやなしに今大臣が、これは改めなければいかぬ、しかしその方法について苦慮しているという問題、これを一つあげていただきたいと思います。具体的に申しますと、特定郵便局長任命方法には三つある。一つ部外者から、一つ部内者から——本省普通局から局長に回す。一つ特定郵便局内の主事その他を昇進さす、この三つがあるそうであります。このうち部外者から採るということは、大臣はいいとお考えになっておりますか。
  64. 松田竹千代

    松田国務大臣 そういう場合もあり得ると思います。部外者から採ることがいいと考えられる場合もあると思います。そういうことは一概には申し上げられないと思います。
  65. 成田知巳

    ○成田委員 もちろん、たくさんのケースの中にはいい場合もあるだろうと思います。やはりこれは一つ制度でございますから、九よければ、あと一つ悪いものは捨てなければいかぬ。だからその一つ制度としてお考えになった場合に、部外者から採ることが果していいかどうか、郵政大臣としてどうお考えですか。
  66. 松田竹千代

    松田国務大臣 その点につきまして、先般郵政並びに電波局長会議を開きましたときに、私は官途について痛切に感じたことの一つに、やはり形式とか規律とかいうことの大切なことを痛感した。また郵政省のごときは古き伝統を持っておるところから、その伝統のよいものはこれを尊重していかなければならぬ。さればといって形式やそうした伝統にのみあまり拘泥していくならば、そこにあまり形式にとらわれ過ぎて、ラットに陥り、腐ってしまう。だから両々相待ってその中間をいくところに、むしろ真意があるのではないかと思うというような話をいたしたのでありまするが、そういうふうに考えております。従って相当制度として長く伝統を持ってきたものであるから、それを片つばしからぶちこわしていくというような考えはむろんごございません。よい点はますますこれを伸ばしていくことにしなければならぬ。さればといってそれにあまりこだわっても困る面が出てくるのではないか、かように考えている次第であります。
  67. 成田知巳

    ○成田委員 局長会議でそういう御訓示をなすったそうですが、形式、制度も尊重しなければいけない、と同時に伝統も尊重しなければならない。その訓示を受けた局長諸君は何をやっていいかわからぬと思います。今度の問題で本省の方から局長へ通達を出されたという話ですが、やはりそういう意味の通達では、何をやっていいかわからないと思うのです。そこで具体的に私お尋ねしておきますが、今の任用としてはどれを一等重点的に取り上ぐべきか、三つありますね。大臣としては任用としてはこの三つのうち、どれを中心としてお考えになっておるか、それを二つ明確にお聞きしておきたい。
  68. 松田竹千代

    松田国務大臣 私いずれを中心にしてとは申し上げられません。これとても全体を考慮してやっていくという考えであります。
  69. 成田知巳

    ○成田委員 ということは、部外者部内者とは対等のウェートにおいて考えるということですね。
  70. 松田竹千代

    松田国務大臣 そういう言葉をもって対等のとか、あるいはいずれに重点を置くかとかいうような考え方を私は持たぬ。大体においては制度を尊重していく、従来の伝統をたっとんでいくという考え方であります。しかし特別の場合においては異なったやり方をやるということもまたあり得ると思います。かようなことを申し上げたのであります。
  71. 成田知巳

    ○成田委員 従来の伝統と言われましたが、終戦後特定郵便局制度ということが非常に問題になって、世襲制度廃止、財産制度あるいは請負制度を廃止するということで、部内の比率がだんだん上ってきたことは事実じゃないか。これは一つの流れだと思う。現在部外者部内者ということになっているのだが、どちらにウェートを置くとも考えられない、対等とも考えられない。伝統ということを言われるが、伝統そのものが今こわされてきておるのじゃないですか。あなたは最近郵政大臣におなりになったので御承知ないかと思いますが、やはり部内の優秀な者を抜擢するという傾向になっておる。今は過渡期の段階じゃないかと思う。大臣でもし昔の事情がおわかりにならなければ、政府委員の方から御答弁を願いたいと思います。
  72. 松田竹千代

    松田国務大臣 成田さんのおっしゃることは、私は従来のやり方をぶちこわしつつあるのじゃないかと思う。そういうふうに私は考えません。
  73. 成田知巳

    ○成田委員 ぶちこわすというのじゃなしに、いい方に改まっている、改正されていっているというのです。昔は御承知のように世襲制度だった。こういうものが近代的な経営方法ではないというので、終戦後あれだけ大きな問題になって、だんだん部内者昇進さして局長に持っていくという道が開けてきたと思う。これは一つの進歩だと思う。間違った古い制度をぶちこわすという意味においては、ぶちこわすというのは正しいかもしれしませんが、これは一つの流れとしては正しい方向じゃないかと思うのです。その点について政府委員の方の御答弁があったらお伺いしたいと思います。
  74. 宮本武夫

    宮本説明員 御答弁申し上げます。特定局長任用につきましてただいま成田委員からお話がございましたが、私ども事務当局の者といたしましてこの問題をどういうふうに考えておるかというと、ただいま大臣から申されました通りに、これは非常に長い伝統のある問題でございますし、なかなか一挙にこれをどういうふうに解決するのだということは、その解決の具体的方策というものは実は私から申し上げられぬのであります。ただ私ども事務当局の者の考えといたしましては、ただいまおっしゃいました通りに従来の部内者から任用するという流れというものが、若干変還をしておると申しますか、変ってきておるということも、私は時の流れとして事実認めております。しかしながら私ども事務当局といたしまして、それならば部内者だけからこれを採るべきかどうかということにつきましても、現在の状況からいたしましてなかなか言い切れない問題だろうと思います。ただおっしゃいます通り事務当局といたしましては、やはり最近の特定局は非常に仕事の幅もふえますし、それからその取り扱う仕事というようなものもなかなか複雑になって参りましたし、相当業務上の経験なりあるいは知識というものが必要であることも、これは明瞭でございます。そういう点からいたしまして、私どもが実際に選考に当り、あるいは各地方の郵政局が選考に当ります場合に、どちらかと申しますればやはり今後特定局の実際の仕事を間違いなくやっていくために、部内の相当知識もあり、経験ももあるという者に傾きやすいと申しますか、そういうふうな傾向にあるということは間違いがないことだろう、こういうふうに私は思います。さればといってこの際なり、近き将来に、自由任用制というものを全然廃止して、いわゆる普通局同様にするかということについては、なかなか踏み切りがつかないというふうな実情であります。
  75. 成田知巳

    ○成田委員 傾向としては、大臣がお聞きの通り、やはり部内者から選ぶ傾向があるという人事部長の御答弁であります。現存一挙に自由任用制を廃止することについては踏み切りがつかないと言われますが、その障害になっておるものは何でありますか。たとえば局舎の問題なんかも一つの障害の問題であると思いますが、現在一番大きな障害になっておるもの何か、お示しを願いたいと思います。
  76. 宮本武夫

    宮本説明員 障害と申しますか、そういうふうになっておりまする実際の具体的な例を考えてみますときに、いわゆる部内者でその局に対して希望する者がいない、こういう場合もございます。その点につきましては、いろいろ例の局舎問題がやはりからんで参ると思います。それから局舎問題でなくして、あるいはその局の位置なりその他の情勢からいたしまして、部内者に適当な希望者がない場合、あるいはかりに希望者がありましても、それが特定局長として十分資格なり実力を持っていないという場合もあるだろうと思います。それからもう一つの問題はやはり局舎問題というものがありまして、実際におきましても、今日の状況におきまして部内者から持っていくという場合がめんどうな場合もあると存じます。そういう状況であります。
  77. 成田知巳

    ○成田委員 今の御答弁を承わりますと、やはり部内者から全面的に持っていくと困難な理由局舎問題にある、だから一つの傾向なりあり方としては、部内から採用していくのが正しいという大体の方針のように承わったのでありますが、大臣は今ここで人事部長の答弁をお聞きになりまして、どういう御感想でありますか。
  78. 松田竹千代

    松田国務大臣 私も大体において部内者からこれを抜擢、採用していくという方針は、これは持っております。しかしながら特定の場合にはそうも参らぬ場合がある。それに堕し過ぎてはいかぬと思っております。
  79. 成田知巳

    ○成田委員 最後に念を押しておきますが、部内者から採用するのが原則なので、特定の場合にはやむを得ない事情があるから部外者から集るのだ、こういうように考えてよろしゅうございますか。
  80. 松田竹千代

    松田国務大臣 大体そういう考え方でございます。
  81. 井手以誠

    井手委員 問題を戻して恐縮ですが、先刻の白鬚の問題で局舎本人の家ではなくて、借りて提供したということですが、その通りですか。
  82. 宮本武夫

    宮本説明員 白鬚局の局舎の問題でございますが、こちらで調べましたものがありますけれども、従来の白鬚局舎につきましては、その持ち主は、これはこの前の委員会でも申し上げましたが、ことしの初めに懲戒免職になったその局長の前の局長なんでありますが、それが持ち主になっております。それがいろいろな条件を持ち出しまして、この局舎はとうてい手に入りにくい、こういうふうな状況からしまして、初めその局を何とかして使いたいという意向のようだったのでありますが、それがめんどうになりまして、たまたまその向いのところに適当な家屋を見つけまして、これは本人が買ったのではありません、借り受けをしたというふうに聞いております。
  83. 井手以誠

    井手委員 借りて局舎として提供した、こういうわけでございますか。
  84. 宮本武夫

    宮本説明員 さようでございます。
  85. 井手以誠

    井手委員 そうすると特定局長任用に、局舎の提供、自分の家を提供するというようなことは、条件にはならないわけですね。局舎の問題があるから、自由に任用するという基本はすでにくずれておるわけですね。だれだって家を提供すればよい、借りて借家で提供すればよいということになれば、部内者だってそういう者はどんどん出てくるだろう。もうそういう自由任用の基礎というものは、それで大体くずれたわけですね。
  86. 宮本武夫

    宮本説明員 白鬚の問題につきまして、それは借り受けて提供するということにおそらくなっておると思いますが、それが普通の更京の都内のことでございますし、やはり相当それに条件がありまして、いわゆる部内者が転換でもってそれに行くということが非常にめんどうである。事実やはり東京都内におきましては、ほかのところよりもそういうことが非常に顕著だと思います。なかなか並み大ていの金ではできないのでございまして、そういう点からしてまして今回の奥平を決定した、こういうふうに考えております。
  87. 井手以誠

    井手委員 大臣にお伺いいたしますが、今までの自由任用の妙味というものは、局舎が得られるということが絶対条件のようで、そういうふうにいつも答弁されておった。ところが今お聞き及びの通り、奥平という人が借り受けて提供された、こういうことになっておるわけです。そうなりますと、自分の家を提供できなかったけれども、借り受けて提供できる。こういうことになって参りますと、部内の者にそういう者を求めれば、どんどん出てくるであろうと思うのです。苦慮しておるとか、総合的にという万人向きの御答弁がありましたが、私は特定局の問題はきわめて簡単だと思います。局舎を国有にして、部内からどんどん任用していく、自由任用を廃止して部内者をどんどん引き上げていく。これより簡単な、また国の事業として理想的なことはないのであります。私は大臣がそのように信念を持って進められるように希望いたすものであります。これでもなお部外者から必要であるというお考えでございますか、念のためにお尋ねしておきます。
  88. 松田竹千代

    松田国務大臣 借り受けてその家を提供することができるのだから、もはや自由任用制度の根拠がなくなっておるのではないかとおっしゃいますが、そうは簡単に参らぬのではないかと思います。家を借り受けて提供するまでには、やはり相当の準備が要るのであろうと思います。それには家を借りるだけの信用も必要ならば、それのためには権利金というようなものもむろんついていることでありましょうし、またそれを局舎に適当に改善していくというような事柄も必要でありまするし、やはりそれぞれ準備が必要であろうと思うので、そういうものを提供される場合においては、むろん部内といわず部外といわず、最適の人を任命するということになるのであろう、かように私は考えます。
  89. 井手以誠

    井手委員 もう一度確かめておきたいのです。この局舎の問題は、今後さように自由選任する、適任者があれば部内からでもどんどんお採りになるが、部内に適任者があっても、局舎が、自分のものを提供しないということでは任用できないというお言葉がありましたが、それでは今後は、部内に適任者があり家を提供できる者があれば、採用して参るわけでございますか。
  90. 松田竹千代

    松田国務大臣 私はそこに格別の区別をして、部内者からはそういう任用はしないのだという行き方ではないと考えております。すなわち家を提供する能力があり、そうして同時に適当な人であるならばこれを任用してよろしい、こういう考え方であります。
  91. 井手以誠

    井手委員 今のお言葉は部長さんもよくお聞きになったと思うのですが、従来局舎云々にこだわって、部内の適任者があっても採用できなかった。部内から借り受けで提供するものの適任者があれば部内から採る、部内の方が原則である、こういう御答弁が先刻成田委員に対してありましたが、その点、答弁ばかりでなく、十分に励行していただきたいと思うのであります。  特定局についてはいろいろと聞きたいこともありますし、申し上げたいこともございます。大臣やあるいは事務当局にはいろいろお考えもあるかもしれませんが、考えたことを率直に言えないところに特定局のむずかしさがあろうと思うが、きょうはこの程度で打ち切ります。  次いで、先日お尋ねしました熊本県の一家心中事件について、すでに調査ができておるだろうと思いますから、この機会に、郵務局長さんか監察局長さんか、どなたからか、何ゆえに給料が遅配になつたか、その経緯を承わりたい。もし調査ができておらねば後日でもけっこうであります。
  92. 松田竹千代

    松田国務大臣 大体調査を進めておりまして、もう少したてば——まだ返事の来ないところもありますので、この次に聞いてもらう方がより完全な報告をまとめて申し上げられるかと思います。
  93. 森本靖

    森本委員 先ほど最初に次官にお聞きしようと思ったのですが、来ていなかったので聞けませんでしたが、次官が来られましたので、気にかかることがありますのでちょっとだけ聞いておきたいと思います。  きのうの朝日新聞の夕刊のところにこの問題を書いて、中村次官の談話として、「職業選択の自由は憲法に認められているし、民間への就職はよくて官界への就職は悪いというのもおかしい」という談話が載つておりますが、この通りの談話は言われましたか。
  94. 中村俊一

    中村説明員 そういう談話はいたしません。
  95. 森本靖

    森本委員 それでは、この新聞社の記者が捏造して書いたものですか。
  96. 中村俊一

    中村説明員 その間の事情は、捏造して書いたかどうかということは私は想像できませんが、私は話したことはございません。
  97. 森本靖

    森本委員 この記事は次官は全然言ったことはない、そうすると想像しても想像せぬでも、その新聞記者が勝手に書いたということは——言った本人が言ってないと言うのだから、これは事実ですね。そうすると、この書いてあることは次官が言ったことはないにしても、むろんこういうふうに書かれて不都合である、あるいは適当であるというような考え方があるだろうと思うのですが、これに対する御感想はどうですか。こんなものは書いても書かぬでも勝手だ、そんなものは問題にならないという考え方ですか。
  98. 中村俊一

    中村説明員 私は白鬚郵便局局長人事につきましては、先般来人事部長からお話を申し上げているような意見を持っております。従ってそれをどういうふうな観点からどなたが御論評になろうが、これは御自由でございまして、私は特にそこに、新聞に書いてある記事はそういう論拠があって、この問題は適当であるというふうには考えません。
  99. 森本靖

    森本委員 そうすると、新聞記者が捏造した記事であっても、勝手にほっておいてもよろしいのですか。新聞記者がそういうインチキなことを書くのはけしからぬということで、少くとも郵政省事務次官ともあろうものが、新聞に抗議をするくらいの気がまえはありませんか。
  100. 中村俊一

    中村説明員 私はそういう論評は、一つの論点に立ってやられるということも一つの行き方であろうと思います。従って私はそういう他人の論評に対しましては自由を尊重したいと思う。そういう意味で私はこれを取り消すとかいったことは全然——これが私が申し上げたということならば、それが違っておれば取り消すこともありますが、私はそういうことは差し控えたいと思います。
  101. 森本靖

    森本委員 この新聞をよく読んだらわかるのですが、これは新聞の論評ではないのです。次官がこう語ったと書いてある。これは堂々たる朝日新聞です。だからその堂々たる新聞がうそを書くのはけしからぬじゃないかということを、今後も癖になるから、少くとも抗議をするという考え方はないかということを聞いておるのです。これはこう思うとかいう新聞記者の考え方ではないのです。あなたがこう語ったとはっきり書いてある。だからそのことを私は聞いているわけです。
  102. 中村俊一

    中村説明員 私はその内容についてどう思うかという御質問がありましたから、先ほどのようなお答えをいたしたのであります。しかし話さないことを私の談として書いたことにつきましては、私は新聞社に——どなたが書いたか知りませんけれども、適当な方法で御注意をしていただくようにしようと思っております。
  103. 松前重義

    ○松前委員長 ほかに御質問はございませんか。——なければ私からちょっと簡単に伺いますが、局長任用の問題でいろいろ論議があったようでありますが、私は一つ疑問な点があります。それは従来行政整理で役所をやめたのでなく、特定局長になりたいから役所をやめさせてくれと言ってやめられた方があるだろうと思うのですが、そういう場合がございますか。
  104. 宮本武夫

    宮本説明員 具体的な数字がどのくらいあるということは、資料がございませんから存じませんけれども、そういう例はございます。
  105. 松前重義

    ○松前委員長 そういうときは退職金はどのくらいお出しになっておられますか。
  106. 宮本武夫

    宮本説明員 普通の退職金であります。
  107. 松前重義

    ○松前委員長 そうすると、ただいまの森本委員ケースは、行政整理の二倍の退職金ですか、普通の職金ですか。
  108. 宮本武夫

    宮本説明員 倍額退職金であります。
  109. 松前重義

    ○松前委員長 そこがただいまの論議の点だろうと思いますが、どうでしょうか。
  110. 宮本武夫

    宮本説明員 ただいま委員長のお話の通りに、普通の退職金をもらって、やめて特定局長になつた場合と、今回の場合とでは、片方は二倍の退職金をもらっているということで、そこに問題があるのではないかというお話でございます。ただ行政整理といいますのは、やはり先ほども申し上げました通りに、普通の退職者をもってやっていく場合ですと、人事渋滞ということはなかなか避け得られないのでありまして、たまたま、指定局長になりたいというような人がおりまして、やめていくことによって若干人事渋滞が防げるという面があるのであります。これはもちろん大した数ではないのであります。やはり従来何回となく行政整理をやってきたのでありますが、その行政整理をやりますときに、先ほど申し上げました通りに、ことに管理者層につきましては相当こちらの方から勧奨いたしまして、いろいろ部内の人事情勢その他をお話しいたしまして、お引き受け願つているような状況でございます。これに対しまして平生ならば退職をしない者につきまして、やはりそれだけの恩典と申しますか、プラスを加えまして整理を行う。またそれだけ人事の刷新を期するということも一つ方法かしと思うのでございます。たまたま行政整理がありまして、その際整理にかかった者がたくさんの金をもらった——普通の場合でしたら、倍額退職金をもらわぬ。その点からいいますれば、ただいま委員長のお話の通りに、そこに若干のすつきりしないものがあるということは事実であろうと思います。
  111. 松前重義

    ○松前委員長 この問題はこの程度で私は打ち切りますが、いずれまた森本委員との対決を将来に残しておきます。  それではきようはこの程度で散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後三時二十七分散会