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森本委員 私はここでいわゆる失業対策を論ずるつもりじゃないのです。しかし
大臣がたまたま広範な
行政整理の面について触れられたので、私一言申し上げておきます。今まで
大臣が言ったようなことになったのは、そもそもその時の
政府が悪いのです。無理な首の切り方をするから、首切ったそのあとからすぐどんどん要求が出て、結局それを承知せざるを得ないという立場になってきたわけです。それが今までの
やり方なんです。だから今までの
政府の
行政整理に対するところの基本的な
考え方が、頭から間違っておったわけです。
行政整理をやるときに、頭から各省共通一割あるいは五分というような形において首を切ってきたのが、今までの
行政整理の実態なんです。そんなことをやったら、新しい者がふえてくるのは当然です。まだ増員もしなければならぬという現在において、そういうことをやったら当然そういうことがふえて参りますよ。ただ私はそういう問題をここで言っているわけではない。そういうふうにどんどん淘汰されていっておるのでありますが、新しくはいってくる者は、場合によっては前に首切られた者がはいってくるということじゃないのです。今の官庁の実態というものは、あなた御承知のように、首を切られた者が新しくはいってくるのはほとんどまれです。新しくまた増員されて新しい人がはいってきておるというのが、今までの官庁の
行政整理の実態なんです。そのことをよく認識した上でこの問題を論じてみたいと思うのですが、この問題はそういう問題とは明らかに違うわけです。これは非常に年もいった、それで将来
郵政省内部におってももうあまり栄達の道もない、さらに
後進に道を譲らなければならぬということで、円満に退職したわけです。それで、円満に退職したから、
退職金は普通の
退職金しか出ないけれ
ども、これは特に
行政整理という観点から見て、これに対していわゆる恩典を与えなければならぬということで、税金の中からそれだけ多額の、普通の
退職金よりもずっとよい
退職金を出して退職してもらったわけです。そうでしょう。そうして今度二カ月か三カ月たった場合に、新しくまた九級三号という公務員として採用しておるが、そのことの不合理ということを私は追及しておるわけです。あなた方がそれほど
国民大衆諸君の失業対策を
考えておるなら、そういう
行政整理によって困っておる者を全部助けるという趣旨であるならば、それは何をか言わんやであって、
行政整理で失業して困っておるすべての者を全部採用するという政策を、鳩山内閣として立ててやっていけばよろしい。そういうことを今ここで論じたところで問題にならないわけであります。そういうことを論ずる前に、今ここに当面の問題として持ち上っておることをよく
考えて、そういうことをほんとうにやってよいのか悪いのかということを聞いておるのです。第一こういうことが
郵政省の中で実際に全部が全部こうなっておるかといえば、そういう
実例はない。こういうのは今まで二十か三十あったかもしれませんが、それは単に各
課長なり、あるいはそれぞれの官僚の諸君と実際に親しい人とか、そういうごく小部分の者しか救われておらない、そういうのが実態なんです。そういうことが果してやられてよいのか悪いのかということを聞いておるのです。だからこの前の五月十一日の
委員会の場合には、私の方からそういうことをやってはいけないと申したのに対して、
大臣は明らかにやりませんと言った。さらにあなたの党であるところの民主党の
椎熊君も、そういうようなことはやってはいけないと言ったのに対して、決してやりませんという
回答であったわけです。そういう
回答を五月十一日にしておいて、六月に入ってこういうようなことをやるということは、国会で何ぼ論議をしても、こういうように次から次に約束を破っていくのでは何にもならない。だから土曜日の
委員会においては、この問題については明快なる態度を持って、明らかにしてもらいたいということを私は言った。私がさっきから聞いておるところによると、五月十一日の答弁は答弁だけれ
ども、これはこれで正しい、こういうような
意見ですね。一体どういう
考え方を持っておりますか。基本的においてこういうことをやってもよろしい、将来もどんどんやっていってよろしい、こういうふうに
考えておるのですか。