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1955-07-02 第22回国会 衆議院 逓信委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二日(土曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 廣瀬 正雄君 理事 中垣 國男君    理事 井手 以誠君 理事 松井 政吉君       秋田 大助君    宇田 耕一君       川崎末五郎君    椎熊 三郎君       竹内 俊吉君    中曽根康弘君       原   茂君    森本  靖君       前田榮之助君    三輪 壽壯君  出席政府委員        郵政政務次官 早稻田柳右エ門君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君  委員外出席者         郵政事務官         (事務次官)  中村 俊一君         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     宮本 武夫君         専  門  員 稲田  穰君         専  門  員 山戸 利生君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 七月一日  委員石橋政嗣君及び山花秀雄辞任につき、そ  の補欠として八木一男君及び佐々木更三君が議  長の指名委員に選任された。 同月二日  委員木村文男君及び松本俊一辞任につき、そ  の補欠として宇田耕一君及び中曽根康弘君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵政事業に関する件     —————————————
  2. 松前重義

    松前委員長 これより会議を開きます。  郵政事業に関する件について調査を進めます。この際質疑の通告がありますのでこれを許します。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 私ちょっと聞いたところによりますと、東京都の本所局区内ですか、白鬚郵便局長に、六月一日付で奥平朝親さんという方が任用になっておりますが、この方は昨年待命でやめられて、本年の二月ごろまで待命後の俸給をもらつてつて、そうして六月一日に新しく特定局長に任用されたというふうに聞きましたが、その間の事情をちょっと御説明願いたい。
  4. 宮本武夫

    宮本説明員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。白鬚特定郵便局長のことでございますが、ただいまお話がありました通り、六月一日に白鬚特定局長東京郵政局におきまして任命いたしております。  この事情をちょっと申し上げたいと思いますが、奥平という本人は、ただいまもお話がありました通りに、昨年の行政整理によりまして、昨年の二月特別待命となりましてよすことになつたわけであります。特別待命でございまして、これは一年間身分を保有して俸給は支給するという建前になっております。これが本年の二月にその待命期間が切れております。待命になりますまでは本省の郵務局事務官でありました。白鬚局長の後任問題が起つて参りましたのは、ことしの二月ごろからでございます。実は白鬚の前の局長事故がございまして、ことしの二月に免職になっております。事故が起きましたのは昨年のたしか暮れごろかと記憶しておりますが、いろいろ調査を進め、何しまして、二月に免職にいたした次第でございます。この奥平朝親という者につきましては、昨年の二月特別待命になりましたあと、都内のどこか特定局長になりたいという志望を持ちまして、一、二カ所そういうことを話しておったようであります。しかしその方が話になりません。結局この白鬚局長免職になりましてこれがよすことになりまして、その後任という問題ができて参りました。いろいろ東京郵政局におきまして希望者その他を当りまして、その選考に当つたのでありますが、他に希望者もなく、この奥平という者がぜひ白鬚局長を志願いたしたいというような点からいたしまして、局舎その他のことにつきましていろいろと話を進めまして、そして四月の何日でありましたか、東京郵政局といたしまして本人白鬚局長にするという内命を下しまして、自後特定局の開局の準備に当らせまして、その準備ができましたものですから、六月の一日にこれを任命いたしました。こういうふうないきさつでございます。
  5. 森本靖

    森本委員 この奥平という人は、待命になるときは俸給は何級何号であつて、そして今度採用された場合は何級何号であったか。
  6. 宮本武夫

    宮本説明員 待命になりましたときは十級の十号でありました。今度白鬚特定局長に任用されまして、その俸給が九級の三号ということになっております。
  7. 森本靖

    森本委員 それからこの新しい白鬚局舎は、この新しく任用された奥平氏のものですか。
  8. 宮本武夫

    宮本説明員 実は今までの白鬚局舎は、今度事故でもって免職になりました局長の前の局長所有だそうであります。しかしいろいろの事情があると思いますが、その局舎を引き続いて使うということにならなかったそうであります。相手がおそらく貸さなかったことと思いますが、それでこの奥平はちようど従来の白鬚の局のすぐ向いに適当な家屋を見つけまして、それを改造いたしまして局舎に充てる。郵政局の方も、従来の局舎のすぐ前でございますから、位置もそれで差しつかえないだろう、こういうことで、その新しい向い局舎を手に入れまして、それで改築いたした、こういうことになつたわけであります。
  9. 森本靖

    森本委員 そうすると現在の局舎奥平氏のものである、こういうことですね。奥平氏が買い入れたものである……。
  10. 宮本武夫

    宮本説明員 奥平氏の所有かどうか——借り入れたものでございます。
  11. 森本靖

    森本委員 それからもう一点お聞きしたいのは、通常こういう特定郵便局長を任用する際には、あらかじめ各管内において特定郵便局長希望者はないかということで通達を出して、たしか募られておる候補者名簿というものがあると思いますが、東京都内特定郵便局長希望しておる従業員が、手元名簿には一名もございませんか。
  12. 宮本武夫

    宮本説明員 都内特定郵便局長を志願しておる者は、相当あるはずでございます。それで白鬚のことについて東京郵政局に聞きただしてみたのでありますが、おそらくは今までの白鬚局舎を使うということにつきまして、いろいろな条件と申しますか、そういうことでもってなかなか話がめんどうな状況だったようでありまして、そういう点から申しまして、奥平以外にはこの白鬚の局に対する希望者と申しますか、そういうものはなかった、こういうことになっております。
  13. 森本靖

    森本委員 そうするとその希望者というのは、人数にして大体どのくらいありますか。
  14. 宮本武夫

    宮本説明員 ただいまその希望者の数というものは、手元に持っておりませんからちょっとお答えできかねます。
  15. 森本靖

    森本委員 そうするとそういう希望者に対しては、調査をする際に全部こういうところに希望はないかということを問い合せてある、こういうことですね。
  16. 宮本武夫

    宮本説明員 具体的にそういう局長の欠員が出ました場合に、都内特定局希望しておる者に全部一々、こういう局があいたからどうかという照会を実際にやつておるかどうか、私ちょっと存じておりません。ただこういうふうな従来の例をもってみますれば、特定局長があいたという場合には、特定局長になりたいという者が、むしろ進んで郵政局の方に何とかしてもらいたいということを申し出る、こういうのが大体従来の実例のように記憶しております。
  17. 森本靖

    森本委員 それでは御質問いたしますが、この前の逓信委員会の、これは何回でしたか、五月十一日の逓信委員会速記録の第十一号によってあなたも御承知のように、あのときに新潟県の横越特定郵便局長の任用問題について私の方から発言をいたしまして、さらに民主党の同僚の椎熊議員の方からも質問があつて特定郵便局長任命する際には、こういうふうに倍額退職金の支払いを受けて、しかもそういう恩典に浴した者を将来また特定郵便局長に任用する、そういうことはやらない、こういうことを大臣言明をされたし、そのときに宮本人事部長も確かに将来はとくと注意いたします、そういう言明をせられたわけでありますが、その後日がたたずして六月一日にこういうふうに任命があるとは、どういうお考えでありましようか。
  18. 宮本武夫

    宮本説明員 五月の委員会におきまして大臣からああいうことを申し上げ、私もお答えいたしたのは確かでございます。横越の問題につきまして、倍額退職金をもらつて退職いたしました者を、わずか一日置いて特定局長任命したことにつきまして、いろいろお話があったのでありまして、その際私どもも申し上げたのでありますが、決して初めから横越局長になることを予定して倍額退職金を与えて整理にかけた、最初からそういう魂胆でやつたのではないということを申し上げたのであります。こういうふうな倍額退職金を与えて、しかもわずか一日か二日置いてやるということは、はなはだ芳ばしくない、こういうことについては将来としても十分注意をいたしますということを申し上げたのであります。私ども考えとしますと、それでは整理にかかった者をすべて特定郵便局長任命することをやめる、こういうことは実は私ども考えていないのでございまして、そういう意味で私はこの問題を考えております。
  19. 森本靖

    森本委員 今の答弁ははなはだ奇怪な答弁だろうと思う。これは十一号の速記録の三ページを見ていただければよくわかる。しかも与党椎熊委員から、そういうふうな行政整理をやるということは明かに欺瞞である、そういう練達の者であるならば、何も倍額退職金支払つてまでやめてもらう必要はない、そういうのは置いておいた方がよろしい、こう言っておる。そのとき宮本説明員としては、その点は将来十分注意いたしたいと思います。そういう簡単な答弁をしておられる。それが今になって、横越は二日しか離れていないので遺憾であるが、この分は二月にやめてから三、四、五月と三月も離れているからいいという、そういう論旨は成り立たぬ。あのときわれわれが追及し、大臣人事部長十分注意いたしますと言つた。国家が倍額退職金の支払いするのは、行政整理という意味整理するのです。それをもう一回採用するのだったら、何も倍額退職金支払つて一カ年も遊ばしておいて金を払う必要はない。それを横越の場合とこの場合は違うという回答は、はなはだおかしいと思う。本日大臣がおられないから聞けないし、このいきさつはおそらく政務次官も御承知ないだろうと思いますが、この速記録を見ていただけばすぐわかる。郵政当局は今後こういうことをやらないと、五月十一日にはっきり言っているわけなんです。だからこの点について大臣代理としての政務次官にはっきりお答えを願いたい。
  20. 早稻田柳右エ門

    早稻田政委員 森本委員仰せもっともと存じます。私きょう白鬚の問題を伺い、驚いたわけであります。さらに今の仰せによりますと、先般大臣から横越局長任命に当つていろいろのお説もあったように伺いますが、私個人といたしましても、そうしたことをもし計画的にやつたとするならば、これは芳ばしからぬ行為であると思います。従いまして、将来はそうしたことのないように十分注意をいたしまして、当時大臣答弁いたしましたと同じように、十分監督することをお答えいたします。
  21. 森本靖

    森本委員 この前の横越の問題のときにも、私はこういう発令は取り消してもらいたい。こういうことを深く追及するつもりだったわけです。しかしそのときには当時のいろいろなことを考えてみると、今さらそういうことになつた場合には、御本人に非常に気の毒である。だから将来は絶対そういうことをやりませんということを大臣も、責任者であるところの宮本人事部長答弁されておる。それをこういうことをやつておいて、将来は注意いたしますでは納得がいかないと思う。そういうことでは二枚舌を使つておると言われても仕方がないと思う。そういうふうなことでは困るので、この際は明確な、はっきりした態度をとつてもらいたい。この前の速記録で述べたことは間違いであったというなら別として、あの通りであるというならば、私はこの問題についてははっきりした決意をもってこれを取消すなり何なりいたしてもらいたいと思う。それについてどういうお考えを持っておられるか、重ねてお聞きしたいと思う。
  22. 早稻田柳右エ門

    早稻田政委員 御説ごもっともでございますので、きょう大臣は所用のため出かけて失礼をいたしておりますが、帰りましたらよくその点協議いたしまして、適切な措置をとらしていただきたいと思います。
  23. 井手以誠

    井手委員 関連して。ただいま政務次官から、大臣と打ち合せて適切な措置を講じたいということでございましたが、私はこの前の委員会なり、きょうの委員会における森本委員発言を聞き、また当局答弁を聞きまして、どうも納得がいかないのであります。ただいまは絶対採用しないわけではないというような逃げ口上もあったようでありますが、かりにこの場を、この委員会を何とか過ごし得ても、この問題は国民納得させることはできないと思う。逓信部内の従業員納得させることにはならないと思います。今もお話があったように、倍額退職金をもらつて退職した者を、あるいは三カ月の余裕があったにしろ再び採用するということは、恩典を悪用したものと言われてもいたし方がないのであります。この問題はこの制度がしかれようとするときに、そういう危険を部内から指摘されておつたのである。それが次々と各地において行われておる。ところが先刻宮本説明員答弁によりますると、ほかに希望者がなかったような言葉でございましたけれども、おそらくこれは局長になりたい人は山ほどあるでありましょう。これは私は人情だろうと思う。なりたい人がたくさんあるはずです。申し出がなかったからということでは、これは承認できないのであります。そういうふうに申し出がなかったからということでも納得ができませんし、また人事刷新の面においても、従業員希望を持たせるという上においても、やはり部内から局長をどんどん採用していくという方向でなければならないのであります。片方でよして退職金を取つて片方にすえるというのでは、長く働いておる従業員希望とかあるいは光というものは見出せないのであります。局舎の問題もあるかもしれませんが、私は局舎のことにからむことは反対であります。しかし今の御答弁によりましても、局舎を提供したからということではないようであります。おそらくこの奥平さんという人は、一時借りて局舎にされたものであろうと思います。その点は宮本さんは言葉を濁されたようでありますが、おそらくそうであろうと思う。これらをいろいろ総合して考えてみましても、待命制度恩典を受けた者を特定郵便局長に横すべりさせることは、原則としていけない。森本委員は早くからその点の不当であることを追及しておりますが、私はこの機会に明確な態度を示されて、一般の不平不満や非難に対して、そういうことのないように対処されることが必要である。きょう答弁ができなければ私の分はあとでもけつこうです。私も森本君同様の感を持っておりますので、この白鬚特定郵便局長の問題を機会に、再びそういうことを繰り返さないようにしてもらいたい。何回も何回もやりますと、やはり委員会としても侮辱されたようになる。なるほど答弁にははっきりそういうことはいたしませんとは書いてございません。ここに微妙な、考え方によりますと要領のよい言葉は使つてありますけれども、何回も何回も同じようなことを繰り返されたのでは、われわれとしても承認できないのであります。この次大臣の御答弁がありますならば、その際には明確な態度をお示しになりますように、ただ善処するとか、あるいはこの前のような言葉を繰り返されたのでは私も承知いたしません。どうぞそのお含みで、十分打ち合せせられますことを私は希望いたしておきます。
  24. 森本靖

    森本委員 それでは政務次官の方では、大臣が帰ってきてからこの問題について発令取り消しなり、あるいはもとに返すなり、そういう点について十分協議をして、次の委員会において回答する、こういうことでございましょうか。
  25. 早稻田柳右エ門

    早稻田政委員 大へん失礼ですが、実は私この問題を伺つたのはきょうが初めてでございまして、先ほども申し上げたように驚いたわけですが、これはただいまも井手さんから御指摘になりましたように重大な問題だと思います。従いまして大臣が帰られた暁にはよく相談をいたしまして、そして皆様の御指摘の点について適切な措置をとるなり、あるいは御納得のいくような方途を講ずるなりして、お答えをするようにさしていただきたいと思います。
  26. 森本靖

    森本委員 それでは重ねて申し上げておきますが、これは単に左派社会党とか右派社会党とかあるいは何党とかいうことではなしに、この前本委員会に出席しておった各委員は、ほとんど私と同一意見であります。特にあなたが出ておられる与党であるところの椎熊委員の方からも、この点については強く追及されております。そういう点についても十分にお含みの上、省内において大臣並びに当該の責任者と御協議をなされるときには、そういう問題に対する省議としての回答は、私たちが納得できる方向に十分御協議を願いたい。それでは一応そういう点で本日はこの程度にして打ち切りをいたしますが、この次の委員会においては必ずこの問題について、はっきり結末をつけたいと思いますので、それまでに十分そういう点をお願いしたいと思います。  それでは次に一点お聞きいたします。断わつておきますが、これは新聞のことでありますので真相はわかりません。しかし新聞でなかなかはなばなしく報道せられておりますので、一応御質問申し上げたいのであります。それは例のお年玉はがきの問題について、何か郵政省と厚生省とがけんかをしておるというような新聞の報道でもありますし、また今年はお年玉はがき発行できないというふうなことが一昨日でしたか、読売新聞の夕刊に載つております。またけさの朝刊では松田郵政大臣談話で、発行するというようなことが出ておりますが、われわれ委員の方ではそういう内容がさつぱりわかりませんので、一応その経緯と経過を明らかにしていただきたいと思います。
  27. 松井一郎

    松井政府委員 それでは私からお答えさせていただきます。お年玉はがきについては、御承知のようにお年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律というものに基きまして、すでに過去六カ年にわたりましてこれを続けております。大体においてお年玉はがきというものには従来も一円の寄付金をつけております。その寄付金はすでに今日まで二十一億三千万円に上っております。従来は大体その寄付金を受ける団体として、中央共同募金委員会及び日本赤十字社という二つを指定して参つたのであります。私どももこれがりつぱな社会事業に使われることは、きわめてけつこうなことでありますし、なるべくそういうふうにやっていくことはもとより望むところであります。また郵政省として個々社会事業自身を、そう深く指導したりなんかすることもできないと思います。ただ郵政大臣はがきにそういうものを印刷し、郵便局を通じて売り出したものである以上、そうした国民の浄財というものがいかように使われたかということについて、全然無関心であつていいというわけには参らないのであります。私どもとしては、しよつちゆうその金がいかように使われたかということに対しては、重大なる関心を持たざるを得ない立場にあったわけであります。過去の経験に徴しますると、従来のやり方を概観いたしますると、せつかく集めたこの金が、どうしても地方に細分化されておるという一つの問題が一点。それからもう一点は、私どもが直接寄付金を差し上げておる中央共同募金委員会というものが、必ずしも地方に対する強い統制権を持っておらない。結局中央共同募金委員会に差し上げた金というものは、中央共同募金委員会で、出されたはがきの売りさばき概数程度のものをにらみ合せて、各府県にこれを分けてしまう。各府県から以下になりますと、これはそれぞれの地方共同募金委員会において、それをお分けになっておるというような機構の複雑化というような関係で、どうしてもその使われた金の明確なる資料を得ることには隔靴掻痒の感がある。それでどういうふうに去年の金は使われたのかという資料提出を求められましても、必ずしも私どもの満足するような資料が入ってこないといった点。それから先ほど申し上げました、どうもある意味においては悪平等に近いような分け方をされる結果、金が細分化されていく、こういうやり方をいつまでも続けておつても、これはやはり考えなければならぬ問題があるのではないか。何よりもわれわれとしてそういう個々の問題を離れて、はっきりした金の使途がつかみ得ないという事情に置かれることは、これははなはだ迷惑千万だというようなことから、一つこの際反省をしなければならぬのではないか。その反省ということは、かりに従来の行き方を続けるとすれば、これは当然中央共同募金委員会というものの性格を、もっと責任を持ち得るような態勢に置かなければならぬということが一点でありましょう。どうしてもそれが中央共同募金委員会地方共同募金委員会との従来の関係から、中央共同募金委員会というものに中央集権的な、そういう性格を持たすことはできないということになりますならば、それにかわる新しい団体を別に作るということも考えざるを得ないのではないか。要はこのお年玉寄付金において集まつた金が最も有効に社会施設に使われ、かつその使途というものが郵政大臣にはっきりとつかみ得るような形に持っていってもらわなければならぬということが問題点であります。そういうことを前提といたしまして、これは法律上その諮問委員会の権限をまかされておりまする郵政審議会に、目下いかようなる方向で進むのがいいかということを諮問しておるわけでありまして、ただいままでのところその諮問の結果が私どもの方へ答申されておりません。私どもといたしましてはその答申を待って、これを尊重しながら必要な事態に処していきたい、かように考えておる次第であります。これが今日までのこの問題に関する一つ経過であります。  それからなおお年玉はがき云々という問題につきましては、これはいわゆるお年玉はがき、何と申しますか抽せんをつけたはがきですが、これ自身は別に本来的に寄付金とは何らの関係がないのでありまして、別に寄付金がつかないからお年玉はがき発行できないといった問題ではございません。おそらくその発行できるとかできないとかという記事がいかよう意味を持っておるか、私にも了解に苦しむのでありますが、まあ筋としていえば寄付金がつこうとつくまいと、これはお年玉抽せんをつけることは何ら差しつかえないことであります。それから時期的な技術的な問題については、現在まだ印刷にかかっておりませんが、それだからといって不可能だとは私どもは思っておりません。もとより早くこれがきまることが望ましいことは言うまでもありません。
  28. 森本靖

    森本委員 この法律によっては、何か相手方の寄付団体をこれに明示しなければならないことになっておる。もしそういうことできまらないという場合に、そういう寄付団体を明示せずに、現在四円のお年玉はがき、いわゆるお年玉をつけたはがきをそのまま発行する場合もあり得る、こういうことでございますか。
  29. 松井一郎

    松井政府委員 技術的に可能なぎりぎりの期間までに、これの解決を見ないような場合がかりにあるといたしますれば、その場合には一円の寄付金というものをつけないものを発行せざるを得ないというような場合もあり得ると思います。
  30. 森本靖

    森本委員 そうするときのうの大臣談話で、確実に発行ができるとこういうことを言つたのは、万が一そういう場合もあり得るということを想定して確実に発行ができる、こういうように言われたわけですね。あなたは大臣じゃないから、大臣がどういうつもりで言つたことかわからないけれども、一応その新聞にはそういうように載つておりますから、大臣は確実に発行すると言っておるのだから、万が一そういうことになつた場合には、その一円を除いても発行ができる、こういうことを含んで大臣はそう言われた、こう解釈してもよろしゅうございますか。
  31. 松井一郎

    松井政府委員 私は大臣の言われた言葉自身はどういう意味かわかりませんが、先ほど申し上げましたように寄付金をつけようとつけまいと、お年玉はがき自身発行は、これはできる問題である、かように御了解願いたいと思います。
  32. 森本靖

    森本委員 それはでき得るということだけれども、もしもそういうことになつた場合は結局四円でお年玉をつけて発行する——するということでなしに、そういう場合もあり得る、こういうことだろうということを私は言っておるのです。それはどうですか。
  33. 松井一郎

    松井政府委員 それは理屈はその通りでありますが、大臣のおっしゃったことがその意味であるかどうかということは、ちょっと私からお答えはできかねるということであります。
  34. 森本靖

    森本委員 なおこれは郵政審議会にかかっておるそうでありますので、ここでまだ云々するのはちょっと早いかもわかりませんので、いずれその時期にまたこの問題については、私は取り上げて質問をしたいと思います。ただこの寄付金の使い方については、今いろいろ当局の方から言われましたが、その内容については私としても大体賛成ができる点が多いように考えます。今までのお年玉はがきはせつかく従業員が苦労してこれを売りさばく、あるいはまた一般国民大衆の人々がこれに協力して、お年玉はがきというものがうるわしいかっこうになっておるということも、これは率直な事実であります。ところがそれがたとえば五千円、あるいは場合によっては一万円というように細分化されて、あまり目に見えた使い道がないという場合もあり得るのであつて、そういう点についてはお年玉はがきによってでき得た施設である、そういうふうな毎年々々何か目に見えた施設で、そうしてこれによって明らかに社会福祉が増進をする、そういうような施設をやつてもらいたいという要望がかなり従業員の中にも、あるいはまた国民の中にもあると思う。だからそういう点については、私は郵政審議会に今かかって、いろいろの問題が論ぜられておると思いますけれども、一応そういうふうな意向が大衆の中にあるということは、当局の方も十分御承知の上、この辺についてはやつていただきたいということを強く要望して、私は一応この問題は審議会の方がきまりましてから、また質疑をすることにいたします。
  35. 井手以誠

    井手委員 私はこの機会に一点、郵務局長人事部長にお尋ねをいたしたいと考えます。それは去る六月の初めでございましたか、熊本県の東郷郵便局に給料の遅配、賃金の遅配から、一家六人心中が起きたという問題でございます。一家心中の原因が遅配ばかりだとは考えませんが、それが大きな原因であると私は聞いておるのでありますし、その現場においては子供に新しいくつを買つてそろえて、六人まくらを並べて死んでおつたという悲惨な事実を新聞は大きく報道いたしておるのであります。生活苦という問題ばかりではなくして、郵便局の仕事に遅配問題が起きて、金額は四千円か六千円か、大きな金額ではございませんけれども、その日その日を過ごしておる下級の従業員にとつては、はなはだ困つた問題であります。またそれが心中の大きな原因になっておるということは、郵政事業の面から看過することができないのであります。このことは現地においてもいろいろ折衝を進められておるようでございまするが、おそらく本省にも報告があつておるだろうと思います。もしそういう報告があつておりましたならばその概要、特に私がお聞きしたいことは、なぜ従業員に対して賃金の遅配が行われたか、その欠陥はどこにあるのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  36. 松井一郎

    松井政府委員 実はその問題につきましては、私どもの方の監察局で現地について詳細に取調べを進めて、私もその報告によって承知をしておるのでありますが、私の記憶しておりますところによりますと、たしか配達員の給与というものについては、別に特にその月に限つての大きな遅配というものはなかったようであります。ただ若干四月あたりの分について、選挙関係とかいったようなものの手当が、暫定予算なんかの関係上若干支給がおくれていた。しかし毎月大体支給されておるものについては、最低限度その月に行き渡つておつたというふうに私の方としては報告を受けております。しかし万一いやしくも人間の生活していく給料というふうなものについての遅配というようなことは、これはいかようなことがありましても、万難を排してなくするようにしなければならぬと考えております。
  37. 井手以誠

    井手委員 私の方の調べでは三千八百円の遅配が——その日その日野菜を買うにも困窮しておる者にとつて、三千八百円という遅配は大きな問題であります。なぜ郵政事業にそういう遅配が起きたのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  38. 松井一郎

    松井政府委員 実はこれは、私が全部ここで責任を持ってお答えする立場ではあるいはないかもしれませんが、もしも間違つておりますればあとで取り消させていただきたいと思います。私の承知しておりますところによりますと、大体毎月の基本的なものは遅配なくしていっておる。ただその三千何百円というのは、おそらく選挙関係に伴う臨時の増額分ではなかったかと思われます。その分については、ことし四月、五月ずっと暫定予算でやつてきた関係上、経理上若干支給がおくれたというもので、毎月大体基本的にその人が得ておるものはその月に得ておつた、かように私は報告を承知しております。
  39. 井手以誠

    井手委員 実際とあなたの受けられた報告とは食い違いがあるようであります。なるほど賃金の一部分は毎月ずっと受けられておるようであります。電報配達賃というものは、二ヵ月ぐらいおくれておるようであります。ただどうしても生活ができないから、局長に立てかえを願つている。しかし立てかえもそうそう言うわけには参らないというので、心中のときには三千八百円に上っておる。これは毎月々々同じ金額が、一月おくれというのではなくして、毎月ずっとふえていっておる。それが特に電報の配達賃にあったということに私の調べではなっておるのであります。これは心中という悲惨な事態になっておりますので、当局もここに至つたことについて、おそらく哀悼の気持がおありであろうと思う。そのことも私はまず冒頭に承わりたかったのであります。なぜ、そのようにおくれておるか、私はこの点が一番大事だと思うのです。その点もう少し詳しく御説明が願いたい。
  40. 松井一郎

    松井政府委員 これは偶発的な、その月だけの問題ならば、先ほど来の私の説明であるいは御納得いただけるかと思いますが、毎月々々そういう事態があるということは、これは私ゆゆしいことだと思います。その点につきましてはよく調べまして、事実そういうものがありとすれば、すぐに直すような措置をいたしたいと思います。
  41. 井手以誠

    井手委員 私の方も突然の質問でございましたので、あるいは用意がなかったかと思います。私はこの犠牲を無にしてはならぬと思います。この事件は、やはり内部の事務手続が適確にいっていないというところにも原因があるでありましょう。またいわゆる請負制度という、特定局の根本的欠陥に関するものを私は含んでおると思う。私はただお聞きするだけではなくして、この機会にその内容にまで立ち入って十分検討したいと考えます。こちらの方ではそうまで響いていないかもしれませんけれども、九州地方ではすべての新聞が大きく取り上げておる。郵政事業にこういうことがあるとは、不可解千万であると私存じておりまするので、事務的ではなくして、また気の毒なそういう人に対して、やはり哀悼の意も含んで御答弁を願いたい。十分の資料を用意されますことを希望いたすものであります。詳しくは次会に資料をもってお尋ねいたします。
  42. 森本靖

    森本委員 それに関連をしてちょっとお聞きいたしますが、今請負の問題というのが出ましたが、現在特定郵便局において電報配達をする場合に、いわゆる小局において請負をするという場合、それは今単価は大体どのくらいになっておりますか。
  43. 松井一郎

    松井政府委員 これは私ども、請負基準というものにつきましては、その地方々々における労働関係のいろいろな賃金というものに相当幅がある。そこで大体本省としましては、その平均的なものを出して、そして各郵政局において、その範囲内において現地に即して相当違つた単価を出しておるというのが実情でございます。私今ここで数字的にはっきりと、その平均単価が幾らであったかちょっと記憶をしておりませんが、これは取り調べまして、また適当なときにお答えいたします。
  44. 森本靖

    森本委員 夜間なりあるいは小局で、電報を配達するという定員がない場合、一般の民間の者をそのつど雇つて、電報配達をさせねければならぬ、そういうことになっておると思いますが、その通りですか。
  45. 松井一郎

    松井政府委員 請負の建前上、さようなやり方をとつております。
  46. 森本靖

    森本委員 その場合に、たとえば山道を二里も三里も、夜の夜中の十二時に行かなけけれならぬということで、それを雇い入れようにも、それだけの賃金では雇われる者がないという場合には、その電報の配達はどうなりますか。
  47. 松井一郎

    松井政府委員 私どもはどうしても得られなければ、その地方において賃金を必要な限度増額して、やはり何とかして人を得てもらうというふうに極力努めておるわけであります。
  48. 森本靖

    森本委員 そういうふうに努力をするということはわかるけれども万が一そういう者を雇い入れることができないという場合で、その電報が危篤であるという電報であった場合は、その電報をどう取り扱うかということです。
  49. 松井一郎

    松井政府委員 私どもただいままでのところ、そういう危篤の電報が、そういう事情のために配達できなかったということはまだ聞いておりません。
  50. 森本靖

    森本委員 郵務局長ともあろう者が、そういうことを聞いておらないということはおかしいと思う。全国的にこれはかなりあると思う。それは具体的に例をあげろというならば、持ってきてあげてもいいのですが、雇い入れようにも雇い入れることができ得ないという場合があつて、電報がそのままそこの局で渋滞するという場合があると思う。そしてその電報が向うに届かないという場合には、それは一体だれの責任になるのか。あるいは公社の総裁が責任を持つのか、郵政大臣責任を持つのか、あるいは当該の郵便局長が責任を持つのか、当該の担務者が責任を持つのか、そういう点をお聞きしておるわけであります。それからそういう報告を聞いてないということは職務怠慢であつて、そういうことは明らかにあり得ることであります。そういうことがあった場合にどう措置をせられるか、こういうことです。
  51. 松井一郎

    松井政府委員 われわれとしてはそういう契約は、そのたびごとにやるわけではない。一定の方に大体予約をしておいてやる、かようなことが望ましいのであります。ただ従来ともいつ来るかわからない電報のために、局に詰めなければならぬというようなことでは、人が得にくいというような話も聞いております。私どももっともだと思うのです。といって、一日にせいぜい二、三通しか来ないような電報のために、人間を一日雇うわけにもいかない。ここに私ども非常に苦慮しておる点があります。そこで私どもとしては、一つこれはもっと技術的な面で解決の道がありはしないかというので、実は最近電電公社と話しまして、そういう雇い入れの方々と郵便局との間には直通のベル連絡をする。これは公社と話し合いましてこれからそろそろ着手するわけでありますが、来たときにはそれによってそこのうちにベルを鳴らす。そこのうちのその人がそのときに来ればいいので、あとはそこでどんな仕事をしておつてもいい。つまりわれわれが当初目途としておったそういう仕事の請負化ということのほんとうの分業的な意味と副業的な意味ということが、あるいはこういうことで打開されはしないか。実は私どもこういう構想については、各地の関係の課長を集めて伺つたのでありますが、そういうふうにしてもらえば、雇い入れの困難というものは相当解消されるだろうというふうに伺つておりますので、私どももさような方向で今後この問題を解決していきたいと思っております。それから先ほどお尋ねの、これはまれの場合だろうと思いますが、あるいはたまたまそのときに適当な人が得られなかったという場合に、電報の配達上若干の遅延は起きるかもしれませんが、それが全然配達もできなかったというふうなことはないと思います。
  52. 森本靖

    森本委員 その配達が全然できなくして、そのあくる日の朝の郵便によって電報を配達するということは、これはやつてはいかぬことになっておるのですか。
  53. 松井一郎

    松井政府委員 われわれの建前上、電報は来た場合に特使をもって配達するというのが原則になっております。
  54. 森本靖

    森本委員 原則は原則として、雇い入れようにも人がおらないという場合は、どうするかということを私は聞いておるわけです。こういうふうにやりたい、ああいうふうにやりたい、やりたいということはわかるけれども、幾らやりたいと思っても現実にできないところがあるなら、できない場合にはどういうように処置をせられるか。その場合に、父危篤というような電報があつて、それが配達人が得られないので、配達ができ得ないということになつた場合に、それを向うから抗議を申し込まれた場合には、一体だれがその責任を負うことになるかということをお聞きしておるわけです。
  55. 松井一郎

    松井政府委員 それは具体的な場合の事情をよく聞かなければ、一般的にはお答えできません。しかし私としては、大体においてそういうことが不可能ではない。相当困難なところもあると思いますが、不可能なことではないということで、今制度的にやつております。しかし現実においてそれが不可能なことであるならば、不可能なことをしておるときには、現業局の人には何も責任はない。しかしその地区においてやればできるのだ、それにもかかわらずやらなかったということは、やはり現業局の人の責任になるだろうと思います。その辺は具体的な事情を伺わねければ、一般論として、今ここで、どこに責任があるということは言えはいと思います。
  56. 森本靖

    森本委員 そういう答弁をするから、結局私の方が追及せざるを得ないわけです。そういうことをやつて、雇うことができないことはないということを言われるけれども、たとえば私の選挙区の高知県なんかに行ってみた場合、実際に夜間の電報配達をやる場合に、当該局が請負人になってやつておる。ほかにないからやつておる。一般の人を雇い入れようにも全然ほかにないから、やむを得ずして当該郵便局従業員がそれを請負つてつておる。その場合に、一体その従業員が断わつたら、ほかには全然ないわけであります。だからそういう場合に、もしその従業員が断わつて、ないということになつた場合に、一体だれに責任があるかということをお聞きするわけです。
  57. 松井一郎

    松井政府委員 実は従業員がそういうことをなさるということは、ちょっといろいろな法規の関係があつて、私どもとしてもこれをいいとは言えませんし、またそういう方向を私どもとしてはねらつておるわけではありません。逆にこれはおっしゃる通りのような、非常にむずかしい地帯が私はあると思います。しかし全国的に見て、これが不可能な地域と可能な地域と分ければ、やはり可能な地域が多い。現にそういうことで円滑にやつておる地帯もある。そこで不可能な地域については何が原因であるか、あるいは現在の配達の賃金が足りないのかどうか、そういうことは具体的な問題として考えていきたいと思っております。
  58. 森本靖

    森本委員 当該郵便局従業員が、そういうのを請負してやるのは望ましくないということは事実でありますか。
  59. 松井一郎

    松井政府委員 望ましいとか、望ましくないというよりは、現在の法規の建前上、そういうことは望ましくないということです。
  60. 森本靖

    森本委員 それではそういうことは絶対にやつてはならぬ、そういう指示なり指令なり通達を、郵政省の方でお出し願えませんでしょうか。
  61. 松井一郎

    松井政府委員 こういう点については、従業員の皆さんも当該局長も十分承知しておると思います。私どもは、そういう承知して、現実に運営されることになっているところは、良識に待ってやつていきたいと思っております。
  62. 森本靖

    森本委員 良識に待って云々というけれども、現実にそれぞれの従業員が夜間の配達をやらなければ、電報がとまるという現実ですよ。私は今抽象的な問題を論じて質問しておるのではない。だからあなたの方が、従業員がそういうものを請負をして配達をしてもよろしいということであるならば、それはそれでよろしい。しかしそういうことは法規上、従業員が請負をしてやるということは望ましくないということであれば、やつてはならぬということを通達を出したらどうか。通達を出したら当然電報配達をすることが困る。その困るという状態になつた場合には、郵政当局としては、どういうふうなことをおとりになるかということをお聞きしておるわけです。
  63. 松井一郎

    松井政府委員 これはいろいろな法規の根本の問題ですが、大体そういうことは法律上おもしろくないということはみな承知しておる。しかしそれが経常的にいつもそうしなければならぬということならば、これはけしからぬと思います。しかしたまに非常な事態になれば、そういうものは相協力してやるのが、やはりサービス官庁としての大きな責任だろうと思っております。だからそこは現業局の人たちの判断においてして、よいものは別として、悪いものは従業員諸君も納得しない。しかし緊急の場合には、そういう場合もあり得るだろうと思います。
  64. 森本靖

    森本委員 ほかのところは知りませんが、私の選挙区に関する限りは、山間地帯が多いのですから、そういうものは従業員がほとんどやつているところが多い。あなたのおっしゃるように、適当な賃金で雇うにも、二里も三里もの山奥に電報一通持って行くのに、そのくらいの賃金で行ってくれと言っても行くものではない。結局従業員がやらなければならぬ。あなたの方では断わつていいと言うから、断わつた場合に電報がいかないことになつたら、その場合どうするか。具体的な問題を論じているわけだ。抽象的にこういうふうにやりたい、ああいうようにやりたいということではない。その例はないとあなたは言っているけれども、いろいろな例がある。そういう例があるところをお聞きするわけです。
  65. 松井一郎

    松井政府委員 私どもは、現在ある程度合理的な賃金さえ出せば、絶対に不可能だとは考えておりません。具体的な場所について、現在の賃金が安ければ増さなければならぬ。賃金を増すことによっても絶対的に人が得られないというようなととろは、今日までのところまだないのではないか。問題の基本線は、やはり賃金が足りないのではないかと考えております。
  66. 森本靖

    森本委員 賃金を増せばそういうことができるというのですが、とてつもない賃金を出せば雇えるかもしれません。しかし現在の賃金を若干増額したくらいでは、とても雇い切れないというところもあるわけです。あなたがないと言えば、私は端的に二つ、三つあげてもいい。そういうことで雇い入れるととができない場合には、それをどういうふうにおやりになりますか。
  67. 松井一郎

    松井政府委員 私どもとしては、現在の賃金をもって満足しているわけではないので、公社側に対しても増額を要求して、そういう困難なところに向つて金を出したい。金を出してやつても絶対に解決できないという事態がはっきりといたしますれば、また別の方法を考えざるを得ない。しかし現在のところは、結局賃金が足りないから雇い入れられないだろう、雇いにくいのだろうと考えております。
  68. 森本靖

    森本委員 それではなかなか困難だというところは、賃金を増すというようなことを考えてみるが、それでもどうしてもできない場合には、それぞれの当該局を調査してみるという措置をおとりになるわけですか。
  69. 松井一郎

    松井政府委員 さような方針で参りたいと思っております。
  70. 森本靖

    森本委員 ついでにお聞きしておきますが、これと同じような請負問題があると思います。これははっきり覚えてはおりませんが、昭和二十七年でしたか、六年でしたか、例の駐在集配という問題を、行政整理の場合に定員のワクから落した。それ以外にまた逓送便のものも落したということがあった。ところがその当時はそれと同じ賃金を出すということであったけれども、その後これらの賃金は全然一般物価に並行して上っておらない。そういうところは、労働組合にも入っておりませんし、全然庇護してくれる団体もないという悲惨な状態です。今の熊本ののもこれと同じような状態だろうと思いますが、そういうものが過去何カ年か全然昇給も何もなく、単に請負の額においてやつていっている。こういうことについて、将来この賃金あるいは請負料を増額してやるというような意図はございませんか。
  71. 松井一郎

    松井政府委員 請負にしたから、賃金にしたからといって決してそれを永久にくぎづけしようとは思っておりません。社会の一般情勢が変動して参りまして、労働賃金が上って参りますれば、それに応じて改訂はいたしていくべきだろうと思っております。ただいろいろな予算の制約その他もありますから、必ずしも一般の公務員と同じ形でいくとは限つておらない。場合によってはその間にニユアンスの差はありますが、基本的にそういう形をとつたから、永久にくぎずけしようとは考えません。
  72. 森本靖

    森本委員 それでは具体的なことをお聞きいたしますが、この駐在集配を請負に直したのはいつでしたか。
  73. 松井一郎

    松井政府委員 たしか昭和二十七年ではなかったかと思います。
  74. 森本靖

    森本委員 それで現在まで請負料については増額なり、改訂をしたことはありますか。
  75. 松井一郎

    松井政府委員 一般労働賃金の水準の上昇に伴つて、たしか一度やつたと思いますが、ただあの当時の大体の基準として、つまり勤務時間が八時間以下であるようなところ、結局それに応じた請負料を算定すると、それまでに定員として受けておられた給与よりも差があるというようなことは、これはいかにも気の毒だから、過渡的措置として、そういう方々には事実上の請負料から算定した勤務時間によれば、現在の給料よりも下るにもかかわらず、当分そのままでいくということでやつている例があります。そういう人たちは、実は恩恵にあずかつているといってもいい部面もあるので、そういう方の昇給はストップしておりますが、それ以下の人は新しい賃金水準表に従って、改訂をしたはずであります。
  76. 森本靖

    森本委員 新しい賃金水準に従って改訂はたしかしていないはずであります。これはたしか一回程度、若干のものは上げたかもわかりませんけれども、今の公務員のベースが上るに従って、それと並行的な請負料というものは増額していないはずです。だからこれを端的に言うならば、二十六年だったか二十七年だったかはっきり記憶いたしませんけれども、現在までほとんど同一の請負料においてやられておるということは率直な事実なんです。だからこの問題について、やはり何とか増額をしなければならぬ、あるいは増額をしようというようなことを考える余地はないのですか。
  77. 松井一郎

    松井政府委員 たしか今森本さんのおっしゃった通り一回やつたはずですが、それも私が先ほど申し上げましたように、請負料の関係から見て、昔のフル・タイムの賃金に相当するものをもらつている方は、そのまま据え置きになっております。これはどうしても、やむを得ない現象でありまして、請負料の形をとつて、勤務時間が五時間なり、六時間なりになっておるのに、やはり昔の八時間時代のサラリーをそのままもらえる。さらにそれに従って上げていくというのは、いかにも不条理です。私どもはそれを切り下げるということはしません。その当初からその勤務時間に対応した請負料が払われている方については、これは一般の賃金ベースというものの変動を見まして、非常に小さな変動にまで一々やることも大へんですから、ある程度の変動差ができれば、これを改訂すべきだと思っております。
  78. 森本靖

    森本委員 すでに現在はそういう変動の差が出ておるというふうに私たちは解釈をするし、またそれに従事しておる諸君も、そういうように解釈しておるわけであります。これは早急に一つ何とかこれを改訂をする、そういう御意思はございませんか。
  79. 松井一郎

    松井政府委員 私どもよくそれは検討いたしまして、もしもその現状がわれわれの考えておる方針に従って、相当大きな基本的な変動があるならば、当然これの調整はとらなければならぬと思っております。
  80. 森本靖

    森本委員 最後の回答でよろしいのですが、ただ一点、その前の回答でちょっとおかしなところがあります。それは請負になって、勤務時間が六時間になつたとか、五時間になつたということを抽象的に言われても、現実の場面としてはそういうことはあり得ない。だからその問題を、単に形式的に机上において論議することは、差し控えてもらいたいというふうに考えます。なおこの問題については、政務次官の方もさっきから聞いてよくおわかりだと思うのですが、これが請負になってから、それ以来一銭も上っていない。先ほど言われたような熊本のような悲惨な事件も起る場合もあり得るわけです。だからこういう問題については、十分省内で改訂をせられるように強く要望します。
  81. 松前重義

    松前委員長 私、一言質問ではございませんが、希望を申し上げておきます。  先ほど井手委員からお話がございました山鹿のお話は、私の選挙区です。私にとつては非常に重大な問題でありまして、多少選挙区のために遠慮したきらいもありますけれども、ああいう特定局従業員に対する給与の面が、一番重要な問題だと思うのです。電電公社からどのくらいの定員の予算を取つておられるか、そしてそれを実際問題として特定局にお使いになっておられると思うのです。そのいわゆる電電公社が取つておられる定員の数と、現存の特定局において現在働いておられる従業員の数、この間に食い違いがないのか、この辺の問題が一つと、それから特定局従業員に対しては給与の基準、それから家族手当やその他の問題、これらに対して何か基準をお作りになっておられるかどうか。もちろん昇給の問題も含んでの話であります。そういうふうな総合的なデーターを一つ提供していただきたいと思うのであります。この次まででけつこうですから、お願いをしたいと思います。  それでは本日はこの程度をもって散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後零時二十七分散会