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1955-06-30 第22回国会 衆議院 逓信委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月三十日(木曜日)     午後一時二十五分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 齋藤 憲三君 理事 濱地 文平君    理事 廣瀬 正雄君 理事 中垣 國男君   理事 橋本登美三郎君 理事 井手 以誠君    理事 松井 政吉君       秋田 大助君    川崎末五郎君       椎熊 三郎君    竹内 俊吉君       成田 知巳君    原   茂君       森本  靖君    前田榮之助君  委員外出席者         参  考  人         (東京海外通信         懇話会常任理         事)      飯野 毅夫君         参  考  人         (日本電信電話         公社総裁)   梶井  剛君         参  考  人         (大阪外国通信         懇話会常任委         員)      加藤  正君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     金川 義之君         参  考  人         (全国銀行協会         連合会会長)  迫  静二君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社社長) 渋沢 敬三君         参  考  人         (一ツ橋大学教         授)      古川 栄一君         参  考  人         (日本電気株式         会社社長)   渡辺 斌衡君         参  考  人         (国際電信電話         労働組合書記         長)      小池 富雄君         専  門  員 稲田  穣君         専  門  員 山戸 利生君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 六月二十五日  委員夏堀源三郎辞任につき、その補欠として  松本俊一君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員宇田耕一君及び中村英男辞任につき、そ  の補欠として木村文男君及び石橋政嗣君議長  の指名委員に選任された。 同月二十九日  委員大島秀一君及び佐々木更三君辞任につき、  その補欠として佐藤榮作君及び山花秀雄君が議  長の指名委員に選任された。 同月三十日  委員河本敏夫辞任につき、その補欠として椎  熊三郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十四日  茅野郵便局舎買上げに関する請願下平正一君  紹介)(第二五五四号)  同(原茂紹介)(第二五五五号)  日本電信電話公社法の一部改正反対に関する請  願(小平久雄紹介)(第二五五六号)  清和村郵便配達地区集配復活に関する請願  (福井順一紹介)(第二五五七号)  茅野電報電話局舎新築請願原茂紹介)  (第二六六八号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本電信電話公社法改正案起草について参考人  より意見聴取の件     ―――――――――――――
  2. 松前重義

    松前委員長 これより会議を開きます。  日本電信電話公社法改正案起草の件について議事を進めます。  去る二十四日の本委員会におきまして、本件につきまして参考人より意見を聴取することを決定いたしましたが、本日御出席参考人東京海外通信懇話会常任理事飯野毅夫君日本電信電話公社総裁梶井剛君、大阪外国通信懇話会常任委員加藤正君、日本放送協会理事金川義之君、全国銀行協会連合会会長迫静二君、国際電信電話株式会社社長渋沢敬三君、一橋大学教授古川栄一君、日本電気株式会社社長渡辺斌衡君及びお手元参考人名簿には載っておりませんが、新たに参考人として加えました国際電信電話労働組合中央執行委員長徳永正三君、以上九名の方方であります。  この際委員長といたしまして一言ごあいさつ申し上げます。参考人方々には御多忙中のところ、かつまたこの暑さの中を御出席いただきまして、ここに厚く御礼を申し上げる次第であります。本委員会におきましては電気通信事業の調査に関する小委員長より、日本電信電話公社法改正に関して小委員会案を起草した旨の報告を受けておりまするが、本委員会といたしましては、右小委員会案を検討するとともに改正案起草の慎重を期するため、関係方面方々より右小委員会案について御意見を伺うことに決定いたした次第であります。参考人各位におかせられましては、この際それぞれのお立場から御忌憚のない御意見を開陳いただきまして、改正案起草参考に資せられたいと存ずる次第でございます。  これより参考人方々の御意見を伺う次第でございまするが、時間などの都合もありまするので、御意見の御開陳はお一人十分ぐらいずつにお願いできれば幸いであると存じます。  なお参考人の御発言の順序につきましては、委員長に御一任をお願いいたしたいと存じます。まず、お急ぎの方もありまするので、お急ぎの方から先にいたすことにいたしまして、日本放送協会理事金川義之君にお願い申し上げます。
  3. 金川義之

    金川参考人 本日は参考人として、本委員会において御審議中の日本電信電話公社法の一部を改正する法律案につきまして、所見を申し述べる機会をお与えいただきましたことを光栄に存じます。日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社経営上の実際面からする利害なり、また法律問題等につきましては、それぞれ専門の方々が御出席のようでございますので、私は主としてNHK国際電信電話株式会社NHK日本電信電話公社の業務上の関係を中心にお話し申し上げたいと存じます。  NHKが初めて海外交歓放送を行いましたのは昭和五年でございまして、当時は日本無線電信株式会社施設を使用したのであります。その後昭和十年六月に至りまして、NHKといたしまして初めての定期海外放送を開始いたし、以来終戦により放送を中止いたしますまで、国際電気通信株式会社の名崎、八俣、河内等送信所施設を利用していただいて参ったのであります。こえて昭和二十七年二月、NHK国際放送を再開いたしました当時は、国際放送施設はすでに国際電気通信株式会社の解散のあとを受けまして、電気通信省の所管のもとにございましたが、同年八月からは日本電信電話公社に移り、翌二十八年四月には現在の国際電信電話株式会社設立されまして、NHKが使用いたします国際回線は、すべて同会社施設を利用させていただくことになったのであります。これらの経緯から見て明らかなように、NHK国際放送用無線施設は、主として国際電信電話株式会社またはその前身会社に対するものでありまして、電気通信省あるいは日本電信電話公社施設として利用いたしたのは非常に短い期間、たしか一年足らずだったと存ずるのであります。従いまして、きょうこれから利用者側といたしまして若干意見を申し上げる場合も、もっぱら国際電信電話株式会社との間の利用関係におのずから限定されて参ると存じます。NHKは先ほども申し上げましたように、長い間国際電信電話株式会社施設を利用さしていただいて参りましたが、この間の同社の協会に対するサービスはどうかという点につきましては、われわれといたしましては、大体において協会の需要を十分に満足させていただき、かつ友好、協力的であったというふうに存じております。  次にNHK日本電信電話公社関係と申し上げますと、御承知のようにNHK全国放送網のための中継線につきましては、ラジオテレビジョンともにその保守と運用に多大の御協力をいただいております。特にテレビジョンにつきましては、マイクロウェーブ施設早期建設に当っていただきまして、これによりNHK束名阪――東京――名古屋――大阪間のテレどの中継放送をいち早く開始することができましたが、今後におきましては、さらにテレビの全国放送網計画の一環としての中継放送用幹線建設にも、全面的に協力していただく態勢になっておりまして、この点はこの機会に厚く感謝を申し上げる次第であります。  このようにNHK国際放送の面では国際電信電話株式会社に、国内ラジオ及びテレビジョン放送の面では日本電信電話公社に、それぞれ深い関係を持っておるものであります。     〔委員長退席松井委員長代理着席〕 従いましてNHKといたしましては、これらの電気通信事業の機構及び運営につきましては、多大の関心を持つものであります。  以上申し上げましたような立場からこのたびの法案を拝見いたしますと、国際電信電話株式会社国際電信電話株式会社法によって日本電信電話公社から分離独立されるに当りまして、公社現物出資額相当株式政府譲渡し、別に会社はこれが株式処分対価政府から返還をお受けになり、換言いたしますと、公社国際電信電話株式会社株式所有できないような法制の建前をとっておられたように承わっております。ここでかりにこの建前をかえて、日本電気通信事業国内海外及び有線、無線を一本化すると申しますか、有機不可分関係に再編成するというような方針が内蔵されておるのか、あるいはまた単に政府保有株式処分方法の問題に限定して理解してよいものか、いろいろの観点があるようでございますけれども、そういう大前提は一応別といたしまして、この改正案をそのまま拝見した場合には、公社国際電信電話株式会社株式所有することができるようにするけれども議決権は与えないという規定になっておるようでありますが、この点私不勉強のせいか、いささか疑問を持たざるを得ないのであります。商法では議決権のない株式について規定はございますが、これは私から申し上げるまでもなく、自社の株式及び優先配当株に限られておるようであります。この法案のような場合に、議決権を制限するというようなことは、ほとんど例を見ないのではないかというふうに感ぜられます。かりに日本電信電話公社国際電信電話株式会社株式を持つということが、国際電電の今後の発展に重要な役割を演じさせるというような国の方針でございますならば、所有株式の個数に応ずる議決権の行使は、むしろ当然ではなかろうかというふうに考えられるのであります。ただしそういう意味ではなくして、このたびの改正は単に政府譲渡を受けた株式早期処分できないので、やむを得ず公社に返還するというだけの理由だというならば、これはまた結論はおのずから変ってくるというふうに存じます。  次に国際電信電話株式会社法附則第二十一項に、すみやかに株式処分しなければならないとし、また第二十二項でその資金を公社に支払うことができるというふうにうたってございますが、こういう点がすでに二年余りを経過した今日、どうして実行できなかったかという点に、いささか問題があるのではなかろうかというふうに感ぜられます。私どもの見方を率直に申させていただくならば、国際電信電話株式会社は現在の営業成績から拝見いたしますと、有利確実な、いわば一流会社と言えるかと存じます。そういたしますと、今行われております配当以上の加配も可能ではないかと考えられます。戦前にはたしか国際電気通信株式会社当時は、もっと高い配当ワクが認められておったように存じますが、かりにそういうワクまで高めるということが可能でありますならば、不況下の現在の株式市場といえども政府保有株式処分できないことはないのではないかというふうに考えられるのであります。元来この政府保有の未処分株式は、日本電信電話公社現物出資対価という性質のものでございましょうから、かりに政府当局の御努力にもかかわらず、市場での早期消化が困難である、相当処分まで長引くという見通しでございますならば、電電公社経営面影響もあると存じますので、少くとも配当金だけは公社に帰属さしていただくような方途が別途早急に講ぜられるのが妥当ではなかろうかというふうに考えられるのであります。  少し観点を変えて申し上げますと、国際電信電話株式会社のような公共性も高くて、独占性が許容されているというような企業体株主構成につきましては、特に慎重なる考慮がなされなければならぬというふうに存じます。これは現在国際電信電話株式会社法の第四条の株主例限規定などにも現われておりますし、漏れ承わるところによりますと、第一回、第二回の売り出しのときにも、実際面においてそういう考慮が払われたということは聞いておりますが、やはり株主国際電信電話株式会社事業に深い理解と協力をする方々が望ましいのではないかと存じます。さらに、国策的な会社株主が小口に分散してしまうというような場合、また反対に大口の株主に集中するというような現象を考えました場合、ともに企業の健全なる発達あるいは安定という面に、いろいろ悪い影響があるのではなかろうかということを憂慮いたすのであります。なおこれは話が本題からはずれるかと存じますけれどもNHKはかつて社団法人時代でありましたときには、利用者の一人といたしまして国際電気通信株式会社の株を持ち、日本国際電気通信事業発展協力して参った歴史がございます。しかし御承知通り現行放送法のもとでは、このような株式所有は一切禁じられておるのでありますから、将来放送法改正という機会に、NHK関連事業に投資することが可能だという法律改正がかりに認められますならば、NHK安定株主としての協力の道が開けるのではないかというふうに存ずるのであります。いろいろ申し上げましたが、国際電気通信事業は本来国家性と申しますか、公共性と申しますか、特殊な目的と使命を有する企業であることは万人認めるところでございますので、株主構成につきましては特に慎重な御配慮が望ましいと存じます。  結局、結論といたしまして、利用者としてのNHK立場から申し上げますならば、適正な料金による万全のサービスを期待するものでございまして、国際電信電話株式会社及び日本電信電話公社の健全な発展いかんということは、放送事業運営にも至大な影響を与えるというふうに存じておりますので、今後ともより一層のサービスの向上をお願いし、放送の普及、発達に御協力を期待いたしまして、私の陳述を終らせていただきます。
  4. 松井政吉

    松井委員長代理 この際金川参考人に御質疑があればこれを許します。御質疑はございませんか。――御資疑がなければ次に移ります。  次は全国銀行協会連合会会長迫静二君にお願いいたします。
  5. 迫静二

    迫参考人 ただいま御紹介にあずかりました迫静二でございます。国際電信電話株式会社の未処分株の問題について意見を述べよとのことでありますが、銀行は生保あるいは損保あるいは一般金融機関等とともに、当会社株式を相当多く保有しておりますので、私はそういった株主立場から、またこの問題は民間財界一般としても、種々意見が出ておりますようでありますから、これらを取り入れて意見を申し上げたいと存じます。  この改正法律案提案理由を拝見しますと、設立の当初政府譲渡しました株式が、二年余を経過したにもかかわりませず、今日なお売却処分が完了していないので、立法当時の趣旨にかんがみ、すみやかにこれを処分整理をする必要があります。しかし近い将来これを急速に民間消化し得る見込みも困難であるし、また過去二年間配当金政府がこれを収受しており、会社現物出資をした日本電信電話公社は何らの果実も受けてないという不合理もあるので、これを一応公社に持たせたいとのお考えのようであります。また電電公社がこの株式をお持ちになりましても、国際電信電話株式会社の性格や運用の面には、何らの変更も加える意図はないということも明らかにせられておるように承わっておるのであります。従いまして二年前国際的諸関係考慮して、国内国際と別個の企業体とし、国際の面は株式組織となし、純然たる民営会社として健全なる発展を期していこうという会社設立当初の大方針には、何らの変更はないものと承知いたすのであります。事実現在株主となっております民間の者といたしましては、このような純然たる民営方針に大いに賛成をし、これに十分なる協力をいたすという趣旨から株式をお引き受けいたした次第でありまして、この前提は何にも増して基本的な原則であろうと存じます。従って現在のごとく政府がこれを保有し続けていくことが、いろいろな関係でどうしても不都合、不合理があり、しかも一方早急に売却処分見通しもないということでありますならば、これを一時的に一応公社に肩がわりし、そうして民営会社の当初の方針に沿うように、それをなるべくすみやかに民間売却処分すること、また将来会社の株は証券市場に上場すること、また公社が保有する間、その株式議決権のない株式とすること等を、この際あわせて明確な方針として明らかにせらるべきであろうと存じます。最近この案に対して、財界からは反対意見が強いようでありますが、この案を拝見いたしますと、第一に公社会社株式を保有することができる、第二にはそれを議決権のない株式とする、第三には今後取得及び処分せんとするときは郵政大臣の認可を受けなければならないと、この三点が示されておるだけであります。従ってそれだけでありますといかに議決権のない株式でありましょうとも、全株式の五分の二以上に当る現在の政府持株をそのまま公社が保有することとなり、民営方針に反し、また五分の二が一株主に保有せられるのでありますから、現在の株主分布状況では、証券市場に上場せられる資格を失うのではないかと心配されるのであります。現在国際電電会社におかれては、民営の長所を発揮され、サービス改善に大いに努力されて、利用者好評を得ておられるようであります。また経営的にも営業報告書を拝見いたしますと、きわめて堅実な方針を持たれ、内部留保に努めておられるようでありまして、おおむね順調な発展を見て、所期の成果を上げられつつあるようにお見受けいたすのであります。現在はなお配当は八分に押えられておりますので、額面による消化に多少は困難があるかと思いますが、今後ともこの経営方針を持していかれ、一方内容の堅実性と事実の公共性に抵触しない範囲で、配当率についても適当な御考慮を払われるとともに、株式を将来上場するような措置をとっていかれますならば、近い将来市場性も十分つき、従って処分もまた容易になっていくものと考えます。このような民営方針の再確認と、一般民間をしてこの会社株式取得に熱意を持たせ、また現在の株主協力を待つような点が、実はこの案には盛られておりませんために、かえって官業化の懸念や株主の不安を生み、財界から反対意見も出る、こういったような次第ではなかろうかと存ずるのであります。もちろん事業的に緊密な関係のあります公社が、この会社の株を持ってはならないということではございません。ただ公社がお持ちになりますについては、民営事業である会社の本質を失わないように、また株式市場上場資格を失わないように、必要最小限度にとどめられることが必要であろうと存じます。またその趣旨が法文に明らかにされることが、ぜひとも必要であろうと存する次第であります。私ども民間の者としましては、たびたび申し上げますが、設立当初の民営方針は、まことにけっこうな方針であると存じますので、この際ぜひこの方針を再確認願い、一そう国際電信電話会社が現在の経営方針を堅持されて、公益民間会社として堅実な発展を遂げられるよう期待する次第であります。  簡単でありますが、以上をもって私の意見を終ります。
  6. 松井政吉

    松井委員長代理 この際迫参考人に対して御質疑があればこれを許します。森本君。
  7. 森本靖

    森本委員 一つだけお伺いいたしますが、今の参考人の方の説明の中で、国際電電民営になってからサービス改善と、それから利用者好評を得ておるという御説明がございましたが、具体的にどういうふうにサービス改善がなされておって、どういうところで利用者好評を得ておるかということを、もしそういう具体的な点を御承知であれば、ちょっと聞かせていただきたい。
  8. 迫静二

    迫参考人 私は直接これを使うことが少いのでありますが、世間一般にそう申されておるということをここで取り上げただけでありまして、具体的に一々私はここで申し上げるだけの資料を持っているわけではございません。しかし世間ではみんなそう申しておられることは事実であります。
  9. 森本靖

    森本委員 それでは重ねてお聞きしますが、民営になってからサービス改善をされて、それから利用者好評を得ておるということは、具体的に国際電電民営になってどういうところがサービス改善がなされておる、そういうことを端的に見きわめたわけでなしに、一般の風評というものが、まあ民営になったから大体サービスも相当よくなったといううわさの程度を御承知だ、こういうことでございますね。
  10. 松井政吉

  11. 秋田大助

    秋田委員 ただいま迫さんから、この国際電電会社法の最初の立法趣旨民営方針である。それはまことにけっこうな方針であるから、これを貫かれんことを希望するというような御趣旨のお話があったのであります。そこでこの一部改正案は、その点において多少用意が欠けてはいないだろうかというような御趣旨発言があったように思います。もしそうだとされますならば、具体的にどういう点が不備であるか。かりにこの案を生かすとしましたときに、どういうような条項をこれに付加した場合に、民営をあくまでも貫くという趣旨を明らかにするというあなたの御希望が満足されるか、その点を御説明いただきたいと思います。
  12. 迫静二

    迫参考人 初めに申し上げましたように、これは民営にするということが初めに公表されまして、私どもはその趣旨に沿って株式を引き受けたのでありますが、この民営にするという方針を出すためには、この株式公社に片寄っておる、かりに今の十四億のものが公社に行くとすれば、これは五分の二以上の株式数を保有することになるわけであります。そうするとこれは支配権決議権がないといっても、最大の株主でありますので、そのインフルエンスは相当あるものだと私は考えるわけでありまして、これはまたいずれ公開される御趣旨であるかどうか、これを民間処分される御趣旨であるかどうか、そこの点を明らかにしていただくことが必要ではなかろうか、こういうことを申し上げたわけであります。
  13. 秋田大助

    秋田委員 上場株になることを予定されておるような御発言があったのであります。私深くは承知いたしておりませんが、大蔵当局上場株式資格として内規のようなものがあって、一万株以上所有した大株主が、その会社発行の総株数の七〇%をこえないことというような規定があるということを聞いております。現状で公社がこの五分の二を少し上回ろうかという株式所有されますと、おそらくその七〇%をこえるのじゃないかと思いますが、その点は御希望であるかどうか、そういう状態が出て参りまして、大株主代表者として、それが望ましいと思われるかどうか。おそらく上場株を予定されておるのでありますから、あまり好ましくないとお考えになっておられるのでありましょうと私は想像する。従って民営趣旨を貫く御希望であるとすれば、そういう点についても、公社保有株数をもう少し切り下げて規定したらどうだろうかというような御趣旨が、具体的に考えられるのじゃないかと思うのでございます。それからまた一時公社に大蔵省から株式を返還されましても、将来これが譲渡を禁止するともあるいは許すともここには明確になっておらない。その点を将来状況が許すようになれば、積極的に譲渡希望しておられるのじゃないか、そういう点をここに記載したらどうだろうかというようなことを考えられておるかどうか、この二点をお伺いします。
  14. 迫静二

    迫参考人 ただいま御質問と申しますか、おっしゃったように、私もちょっとそういう工合に申し述べたつもりでございますが、この上場株式としての認可については、ただいまお話の通り一万株以上の株主が七〇%をこえないということであります。従って今のこの株式公社が持つとすると、八○何%かになると思います。そうするとこれは上場は資格がないと思います。そういうことで、私が申し上げたのは、この上場株式になって市場性を持つということが、われわれの株式保有についても、また世間一般から見ても、そういう株式であることが望ましいとされておるものであろうと存じます。従って今公社が譲り受けられても、将来これは市場に放出するものであるということを、ここに明らかにされることが望ましいということを申し上げたわけでございます。
  15. 松井政吉

    松井委員長代理 秋田君、よろしゅうございますか。ほかに質疑はございませんか。それではほかに御質疑がなければ次に移ります。  次は東京海外通信懇話会常任理事飯野毅夫君にお願いたいします。
  16. 飯野毅夫

    飯野参考人 ただいま御紹介にあずかりました東京海外通信懇話会の飯野でございます。東京海外通信懇話会は、東京における国際通信の利用者の集まっている法人の団体であります。従いまして今回本件に関して意見を申し上げるにつきまして、数回会員の集まりを求めまして、その意見を伺ったのでありまして、その意向を代表して申し上げたいと存ずるのであります。結論的に申し上げますと、今回御審議になっております案は、会員にとっては望ましくないことのように考えているのであります。その趣旨を簡単に申し上げますが、順序といたしまして国際通信の利用者の分布状況あるいは利用の実情というようなことを簡単に御紹介申し上げまして、御説明に移りたいと思うのであります。  海外通信懇話会は、名称はいろいろありますが、今日設立せられておりますのは東京大阪、神戸、名古屋、横浜の五都市であります。この五都市でほとんど全部の通信利用者を網羅しているのであります。さらにその五都市のうちでも東京及び大阪において、約九割以上の利用者を持っているのであります。他の三都市を合せて一割に満たないほどであろうと考えております。東京におきますところの利用者、われわれの方の会員は約八十社程度であります。利用の詳細な状況会社当局に聞いていただかなければわからないのでありますが、われわれの方で見ているところによりますと、大体利用通数、つまり利用の厚みの問題になりますが、利用の半分ほどは内外商社あるいは為替銀行を加えまして五十社程度で、半分が取り扱われているのであります。そのうち外国商社、為替銀行等を除きますと、国内利用者といたしましては約三十五社程度であろうと思います。われわれの方の会員であります八十社、これは外国商社はほとんど入っていないのでありますが、この八十社程度の利用をまとめますと、東京におきます国際通信利用の約八割がその八十社に集まっているのであります。これをさらに伸ばしまして二百社程度と考えますならば、九割何分に及ぶであろうと思います。一ヵ月に一回一通程度の電報を出されるというような利用者は、きわめて丹念に網羅したといたしましても、一千商社をこえることはないと思うであります。約二百商社で九割程度、百社で八割程度、それから内外商社を加えまして五十社程度で五割の利用、こういうのが大体の実情であります。なお先ほど申しましたように大阪、神戸、名古屋、横浜等にも相当の数の利用者がおられますが、ただいま申し上げました何社と申し上げる中には、それぞれの商社の本店、支店がすべてダブって入っているのであります。従いまして東京で今申し上げました数は、それぞれの本、支店をかりに一つと考えますならば、全国的に見て商社の数から見てはその程度のものであろう、かように考えるのであります。かように国際電信電話――電話には駐留軍その他の利用もありましょうが、国際通信の実勢はほとんど電報ということになっているのでありますが、外国電報の利用者というものはその約半分が三十数社程度で利用せられており、八十社ないし百社ということになりますと八割程度が利用せられている。かように非常に局限せられた利用者ということになっているのであります。地域的に見ましてもただいま申し上げました五都市、それ以外にきわめて丹念に拾いますならば、あるいは清水とかその他の方面にも少しの利用者がごいますが、きわめて局限しております。局限した都市の中でも、きわめて数の少いところが利用せられている、こういうわけでございます。貿易商社がわれわれの方の会員の大部分で、ほかに為林銀行その他も参加しておられます。それから通信社及び外国に派遣員を持っておられる新聞社等も加入しておられるのでありますが、主として貿易商社であります。  これらの商社の模様を伺いますと、商社の総経費中、通信費がその二割以上を占めているということであります。これはわれわれ大体論として聞いていることでありますが、商社の総経費中、人件費の占める割合が大体三割であるといわれておりまして、その総人件費の約三分の二ないしそれ以上に当る分が通信費であります。この通信費の中で大体半分ぐらいが国内通信料であり、半分ぐらいが国際通信料であるとこういわれております。従いましてこれらの利用者におきましては、通信料が総経費の非常に重要な部分を占めるという関係上、通信の利用方法ということについては、きわめて真剣な態度で研究しておられる、これは当然のことであります。またこれらの利用は、国内通信並びに国際通信についてもきわめて大口の利用者であります。ただ国内通信につきましては広く一般国民の利用に供せられて、地域的にも広いわけでありますし、利用者層も非常に普遍的にまたがっているというために、大口利用者でありますけれども、全利用者から見ると一部分にすぎないのでありますが、国際関係ということになりますと、先ほど申し上げたようにこれらの利用者がほとんど圧倒的な利用者であります。しかもその数におきましては全国を通じて百社を出でない、そのうちのほとんど大部分が五十社にも満たないところで利用せられている、かような実情であります。従いましてその利用の体系、あるいは通信事業社、すなわち電電公社あるいは国際電電会社に臨むところもきわめて真剣であり、切実なるものがあるわけであります。かような立場に立っているので、さらにまた先ほど申しましたように国際関係はほとんど電報でありますが、この電報が、御承知のように電報の書き方によって、あるいは電報の出し方によって、料金を節約し得るものであります。国際通信はきわめて料金の高いものでありますから、いかなる態様によって電報を書くか、電報の内容をどうするかということはこれは電報料の節約をはかる上においてもきわめて重要なことでありますから、そこで利用商社が集まりまして組織している団体が本日お召しにあずかりました海外通信懇話会、こういうことになっているのであります。従いましてこの会社は、決して国際電電会社あるいは電電公社の外廓団体の性質を持っているものではありません。従って世間にあります官公署の協力会的な性質を持っているものではなくして、みずからの電報をいかに安く発受するか、つまり利用するにつきましていかにすれば最も安くなるかということ、それからまたいかなる態度で電信事業経営者に要求していくか、こういったようないわば相対立するような立場に立っている団体であります。こういう立場から申し上げる、こういうことを御承知をおき願いたいと思うのであります。  われわれ利用者の団体から見ますと、日本の電信事業は、もとは国内国際両面とも同一事業体――逓信省あるいは公社といいました。そういう一つは企業体経営せられておったのでありますが、電信事業は多年赤字の状態にあったということが、あるいは主たる原因であったろうかと思うのでありますが、そのサービスというものはまことに満足しがたいものである、こういうわけであります。またさようなわけでありましたから、一方において電信電話公社設立せられ、また国際通信については国際電信電話会社設立せられたことであろうと思いますが、利用者から見ますと国内関係については電電公社において、また国際関係におきましては電信電話会社において、すなわち企業体が二つに分れて、これらの企業体がそれぞれの分野において、それぞれの特色を発揮して、立ちおくれた電信事業改善、改良に進んでいただく、こういうことに非常に多くの望みを嘱しておるわけであります。発足以来わずか二年であります。われわれは国際電信電話会社に対してもいろいろの御注文を申し上げておるのでありますが、まだわれわれが決して満足すべき成果に達しておるとは思っておりません。しかしながら国内通信の方では、国民一般が御利用になる電電公社施設で、われわれ海外通信の利用者あるいは貿易商社におきましても、他の国民一般の諸君とともにこれを利用させていただく立場でありますが、国際通信になりますと、われわれがあの会社利用者層のほとんど全部を網羅しておる。しかもきわめて数の少いもので網羅しているわけであります。これらのものが一致団結して進んでいくならば、われわれのためにも便利な施設、改良をしてくれるであろうということを期待いたしまして、国際電信電話会社に臨んでおるわけであります。つまり二つの企業体が相競ってけんらんたる電信事業の花を咲かせていただきたいと思っているわけでありますが、どうも何らかの形においてでも、この二つが資本的に結合せられる、あるいは数量的な問題もありましょうけれども、結合せられるということになると、そのサービス改善があるいは牽制されることがあるのじゃないであろうか、こういうことに懸念を抱いておるのでありまして、かような意味から本案のごとくお進めになることは望ましくない、かように一般の会員は考えておるのであります。従いましてもししいて本案を議決し、このままお進めになるというような場合を想像いたしますと国会においてそう決定せられることについては、われわれとしてはまことにやむを得ないことでありますが、もしそうなるものでありますならば、その際にはこの両者がそれぞれの立場で、それぞれの特色を発揮することについては、何ら相牽制するものでない。こういうことを立法の過程において明確にしていただきたい、こういうことを切に望んでおる次第であります。  私簡単でありますが、これをもって終ることにいたします。
  17. 松井政吉

    松井委員長代理 この際飯野参考人に御質疑があればこれを許します。竹内君。
  18. 竹内俊吉

    ○竹内委員 ただいま利用者側としての御発言がございましたが、その中に、国内と国外の二つの事業体がもしも結合されるようなことがあれば、サービスの度合いが低減していくのではないかという懸念があるということをおっしゃったように聞きましたが、その点をもう少し具体的に、こういう条件であるからこうなると思うといったようなことまでお聞かせ願えれば、大へんけっこうだと思います。
  19. 飯野毅夫

    飯野参考人 あまり具体的な事例を申し上げることはいかがかと存じますが、日本国内通信といわず、国際通信といわず、電信事業は先ほど来申し上げましたように、おそらく採算制が悪いということに基因したことだろうと思いますが、料金の徴収にいたしましても、あるいはいろいろな電報を託送するための制度でありますとか、取扱いの諸制度についても、料金を徴収し得る面では相当思い切ってします。まあできるだけ料金は徴収するということにして、施設改善といったような方面においては、できるだけ節約しておられるというのが現状でありまして、今後はいろいろ改善されることであろうと思います。ところが多年国内国際両方が同一事業者でありますが、政府でありますか、そこにおいて経営せられておりました関係から、これは当時の政府あるいは事業体としては当然の結論であったろうと思いますが、国際、岡内を通じてなるべく同じようなサービス、同じような制度で進めていこう、こういう意識が全従業員といいますか、企画者には自然に頭に残っておるのであります。従いましてわれわれもこの一両年の間、国際会社に対して国際通信についてせめてこういうことをやってもらいたい、二、三にとどまりません。いろいろな点について要求を出しておるのであります。ところが中にはだんだんと了解してもらったものもありますし、了解の途中にあるものもあるわけでありますが、どうもそれは国内でもやっていないのだからとか、そういったものはうまくいくものであろうかというふうに、われわれ国際通信利用者という立場から、またわれわれ国際通信を経営しておるという立場から見れば、この程度のことは当然受け入れてくれてもよさそうだと思うくらいのことでも、とかく国内の方ではやったことはない、あるいはないから、こういったような、ことがそのやりとりの間の申しわけといいますか、ちょいちょいと話も出るわけであります。これは単にある部分の株式を持たれたからどう、はっきりということはない、濃度の問題であろうと思いますが、今日一かどの株主でもないというような人においてもそういったようなふうであるから、これが相当大量の大株主になられる、議決権があるかないか、それもやはり濃度の問題であろうと思いますけれども、その後においてはどうもやはり国際ばかりが、そういうふうに進んでしまうといったようなエキスキュースがどんどんふえていくのではないかということをおそれております。私としてはその逃げ穴をふさいでおきたい、こういった工合に利用者の方は考えておるのであります。さような意味であります。
  20. 竹内俊吉

    ○竹内委員 ただいまのお尋ねと同様ですがもう一点お聞きします。そういたしますと事業体が二つでおる方がサービスがだんだんよくなる、こういう傾向が考えられる。これが一つになるということには、独占的な色採がさらに濃厚になって、料金なども一方的に高くなる懸念もある。また施設の面においても国内、国外が一本になる、国外の施設のあなた方の要求に応じない、あるいは国内施設の方にそういう資金が回っていくようなこともあって、国際通信としては二つが低下していく心配もある。であるから結論としては今のように事業体が二つに分れていく方が、国際通信を利用されるあなた方としてもその方がよいと考えられるか、こういう意味でございます。
  21. 飯野毅夫

    飯野参考人 結論の点はお話の通りであります。ただし国際通信の利益が、株主になられたために国内に流れるであろうとかいうことは懸念いたしておりません。何となれば二つの企業体が全然別でありますから……。
  22. 竹内俊吉

    ○竹内委員 私の申し上げておるのは今の株の問題ではなくして、企業体が二つに分れている方が、国際通信を利用されるあなたの方としてもこの制度の方がいいのだというお考えのもとで、従って二つの事業体があまり影響をしないような独立的な色彩の濃厚なままでいった方がよろしい、こういう形であるならば、その原因を先ほどあなたが申されましたが、その点では料金が高くなるいう懸念もある。あるいは施設をする場合にも両方が一緒になれば、その経費が国内施設にどんどん流れていって、国際通信の方が留守になることもあるいはあり得ると考える、こういう意味かということをお聞きいたしているわけであります。
  23. 飯野毅夫

    飯野参考人 二つが別の企業体であってほしいということはお話の通りでありますが、その理由といたしましては、どうしても企業体が別である方が望ましいことでございますが、国内国際一つであるということになれば、国内は前申しましたように利用者層が全国に広くまたがって非常に多いのであります。つまり公社という非常に膨大な組織で、また非常に多くの利用者を対象として考えられるのでありますから、その施設改善を講ぜられるにしても、容易なことではなかろうと考えるのであります。前に申しましたように、国際利用者というものはきわめて小範囲の利用者であります。利用金額は高いのでありますけれども、通数もきわめて少い、また利用者数もきわめて少い、そこでその方面が必要ということならば、国内施設とは切り離してでもその会社単独に進め得られるであろう。こういう意味で申し上げたわけであります。
  24. 秋田大助

    秋田委員 ただいまのお話によりますと、利用者が割合に少いということでありますが、それは実情でございましょう。御承知のように国際電電会社は公益性と申しますか、公共性の高い会社であります。そこで先ほど迫さんでありましたか、この株主の分布状況については細心の注意を希望された。しかしながらこれは純然たる民営会社で上場された場合に、どの程度まで注意すればできるか疑わしい。それに特別のその場合を用意して法規に規定するといっても、これは非常にむずかしい問題ではないかと思います。利用者が少い。従ってその方の御利便をはかる必要が十分あるが、それがために株主の分布の過程におきまして、公益性が害されてくるようなおそれがないかということが、一部に心配されておるのではなかろうかと思う。また私も場合によっては相当憂えざるを得ない。その点、これは株主の分布状況のことでございますから、あなたにお聞きいたすのは必ずしも妥当ではないかもしれませんが、懇話会の常任理事さんとしてどんなふうにお考えであるか、そういう心配はあるかないか、これらのあなたのお考えを伺いたいと思います。
  25. 飯野毅夫

    飯野参考人 先ほど来申し上げましたことは、懇話会で意見を交換しましたことについて申し上げたわけであります。ただいまお尋ねの点になりますと、幾分私見にも入ろうかと思いますから、その点はお含みを願いたいと思うのであります。株式会社株式でありますから、ことにこれが上場せられたという場合において、法律で禁止せられない範囲内において、あるいは許された範囲内において、株式が移動するということは間間あることであろうと思います。また当会社設立せられます当初において、利用者といたしますならば、この会社がたとえばもうかっておるということであれば、きわめて少数の利用者だけが非常に高い料金を払っておるということであります。またこの会社が欠損するということでありますれば、利用者が不当に安い料金でサービスをしてもらっているということになるのであります。かようなふうに非常に関係が多いから、貿易商社においても相当数の株式を引き受けたらどうかというお話もあり、ある程度は引き受けておるのでありますけれども、貿易界の現況――もちろん為替銀行その他には富裕なところもおありでありましょうけれども株主としては、どちらかというと、小さい方の株主になっているというのが現況であります。しかしこれは株式会社株式でありますから、それがその後持株主さんの御意向によって、法律に許された範囲において移動することには、利用者としてはまことに何とも申し上げかねることであります。今回立法府によってこういう株主のあり方を定めようとせられた場合に、意見を述べろとおっしゃるので、かようなことは望ましくない、かようなことを申し上げる、こういうわけであります。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 さっき御説明の中に、公社とこの国際会社とが結合することは、サービスの低下を来たすおそれがあるから望ましくない、結論的にはこういう御説明でありましたが、どういう点からこのサービスの低下が予想せられるのでありますか。
  27. 飯野毅夫

    飯野参考人 言葉が適当でなかったかと思いますが、サービスが低下するとは考えてはおりません。今後のサービス改善が幾分遅々となりはしないだろうかということであります。まあその点は御了承を願いたいと思うのであります。先ほども申しましたように、それは公社においても着々電信事業改善しておられるという事実はわかるのであります。けれども公社が膨大な企業体で、しかも全国民を対象としてのサービス改善をはかられるということ――この場合のサービスというのは、もちろん取扱いの内容ということになるわけであります。はかられるということは、なかなか容易なことでは進み得ないであろう、かように思うのであります。ことに電信事業は財政的にも非常に苦しいようにもわれわれは聞いておるのであります。といって他面、国際関係といたしますと、利用者――これは利用者自体の会社の営利行為ではありましょうけれども、国策に従って、国家の貿易政策に順応してまた一面やっておるわけであります。こういう点で国際事業が全然別個に行われておるのならば、われわれの希望も十分にいれられていただくであろう、かように期待いたしておるわけでございます。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がかかりますから、まあその問題はそれでいいでしょう。また違った角度からもう一点伺いたいと思います。私は自分の立場を先に言っておきますが、公社国際会社が別になっておることは好ましくない、本来一緒になるべきものだ、こういう建前をとっておるのです。そこでこれは飯野さんは前の経歴から御存じじゃないかと思うのですが、アメリカなどの現況を見ましても、少くとも通信事業の一元化という点では、民間経営立場をとっていても、各会社は名前は違っていても、ブランチの性格を持って、強い連系をもって一元化している、メーカーまで一元化していると言っても過言ではないわけです。この通信事業というものはアメリカの今日発達した現状を見ますと、その考え方の基本に電信事業の一元化ということは、民間であろうとも、あるいは国であろうとも、一本強い線を貫いているというところに、私は大きな原因があるのじゃないかと思うのですが、日本の場合、飯野さんの今までの経歴からお考えになって、アメリカのようなこういう基本的な考え方にいった方がいいとお考えになるのか。これを今のように、国際の面だけは民間経営にやらせる、国内のものだけは公社の方にやらせておく方がいいというように、分断的にやらせておいた方が、国家将来の通信事業としてよいとお考えになるのか、参考までにお伺いいたしておきます。
  29. 飯野毅夫

    飯野参考人 これもまた私見になりますから、その点お許しを願いたいと思います。国内国際が一つの企業体でやるかやらないかということと、一つの企業体でやった場合にいかなる形態の企業体になるか、たとえば政府経営でやるか、公社経営でやるか、純粋な株式会社経営としての一つの経営に移るかどうか、これらのいろいろの組み合せがあることだろうと思います。これは私の私見ですから恐縮でありますが、私の考えるところは、国内のこういう公共事業あるいは公益事業といいますか、独占公共事業として多年発達してきたこういう通信事業は、国営にあらずんば公社経営といったような、公益的色彩の非常に強いものでおやりになることがぜひ必要であろうと思います。また従ってそれの規制につきましては、予算措置でやるか、あるいはまた法律によって、国家の監督下において行動せられるということも必要なことであろうと思います。国際通信を公益でやる、あるいは日本においてはということになりますが、独占性を持っておる、こういう点につきましては、これは放任すべきものでないことはもとよりであります。しかしながら、日本に従前ありましたような意味の官庁経営――これは官庁というような、イデオロギーとしての官庁経営がいいとか、公社経営がいいとかいうことを申すのではありませんが、内部処理に関する官庁手続の問題で、今日の公社は、これは私よく存じませんが、かような形態で、非常に機動性を要する国際関係を処理することは困難であろうと思います。この点において国際電信電話事業というものは、外航船舶または外航航空事業なんかと同じような性質を持っておるものと思っております。国内において国際電信電話株式会立の事業は独占でありますけれども、一歩外に出た場合においては、国際的に決して独占せられておるものではありません。その間において渉外関係の交渉処理、こういったものにつきまして常に時宜に応じた機動性を持たなければ、立ちおくれた日本として今後一般に活躍していくということはとうてい不可能であろう、かように考えるのであります。ただしこの会社に帰属しました財産の処理、たとえば課税の対象になるとか、あるいは国内利用者に対してできるだけ安くしてやるとか、その他のことについて、国内限りの処理についてはいろいろのやりようもあろうかと思いますが、国際活動という点におきましては、やはりこれは独立した、身軽な形で機動的に行動せしめるということでなければ、日本国際通信は、国際間の電気通信競争にとうてい太刀打ちしていけるものでない、私はさように考えております。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一点だけ。今私がお伺いしたのとちょっと的がはずれたお答えをいただいたわけですが、それでけっこうであります。そこで、ついでに今飯野さんがおっしゃったことで、もう一度聞いておきたいと思います。今、国際間の激しい変化に応じて事業経営していこうとするのには、民間の方がよろしいとおっしゃったのですが、少くとも電信に関する限りは、さっきおっしゃったように八十とか、三十社くらいの少いものが利用している。しかもこれを取り巻く財界等から出資した形で、営利を目的としてこの事業経営されている。こういう中にあって、営利を無視した状態でなければ国際経営の競争に応じられないというときにも、やはり民間経営で応ずることができるかどうか。そういう点から考えると、今飯野さんがおっしゃったことから言えば、公社ないし国の方がむしろ採算を度外視して緩急に応ずることができる、かえってこの方がよいのではないかというふうにも、今の飯野さんのお説を運用するととれるわけです。それとひっからめて、やはりこういう通信事業というものは、民営であろうと、国営であろうと、公社営であろうと、どっちでもいいのですが、一元化することが望ましい。国内問題を考えても、通信事業を一元化していく方が望ましいという御説に帰一するように思うのですが、この点、伺いたいと思います。
  31. 飯野毅夫

    飯野参考人 私は、国内公共事業の国民に及ぼすサービスの限度というものは、国民の担税力というか、負担の限度と比例してもやむを得ないことであろうと考えているのであります。しかし国際関係の通信となりますと、相手の局はすでに向うのものでありまして、こちらのものではありません。また国際間の、たとえば東京からニューヨークに行く電報にいたしましても、その経由するルートはおそらく十くらいあるだろうと思います。これはそれぞれ違った国に所属しているそれぞれのルートであります。それらの国はこれによってインビシブル・トレードとでも言うのですか、外資をそれぞれかせいでおるわけでありまして、こういう点におきましては、船舶も国際通信も全く同じであろうと思います。なおただいま、これが政府経営かあるいは公社経営であるならば、採算を度外視してやっていけるではないか、こういうお話のように伺ったのでありますが、私従前役人の一人といたしまして、こういう方面に関係いたしました場合におきましても、十分機動性を発揮さしてもらいたいけれども、それ自体常に採算の上に立たなければ、海外活動というものは実を結ぶものでないと考え、またそのように進んできたのであります。ことにこれが国の資本でありますかあるいは公社の資本でありますか、そうして国際間の分は時宜に応じて機敏にじゃんじゃん活動しろ、こういうことだけまかせて、それが勝手に行動するというようなことでは、累を国家財政あるいはその他の方にも及ぼすものであろうと思います。それらの人に委任する限りは、それ自体が採算を明確にして進んでいくべきものであろうと私は考えておるのであります。従って国際活動については別個の会社経営、ただし会社に対する監督ということは、国の法制によっておやりになる必要があろうと考えますが、活動だけは会社でおやりになった方がいいではないか、かように考えております。もっとも従前におきましても、諸外国のうちには国際活動について国あるいは公社に当るものかもしれませんが、そういうところで国際通信をおやりになった――有力国でそういうふうにおやりになっているところもあるわけでありますが、しかしこれは単なるイデオロギーとして、向うが国営であるから、日本の官庁組織そのままで国営にやる、あるいは向うが公社であるから日本にもそのまま公社が適用せられるものとは考えられないではないか、かように思うのでありまして、その間相当翻訳を要するものではないか、かように考えているものであります。
  32. 森本靖

    森本委員 簡単に質問いたします。今後国際電信電話に関して、利用者の代表として具体的にどういうサービスを向上してもらいたいか、その点をお話し願いたいと思います。今後私たちがこれに関する調査をする場合に、非常に重要な資料になると思います。参考までに申し上げますと、私ども五、六年国際通信ということを自分で具体的にやっておりましたので、その取扱いについては若干承知しておりますけれども、先ほどいろいろの方からサービスの向上ということを言われましたけれども、具体的にどういうところを向上さしてもらいたいというお話がなかったのであります。そういうことが公社であれば不可能である、あるいは国際電電であれば可能である、そういうことについて私たち判断をいたしますけれども、その具体的内容についてお話し願えば幸いと思います。  それから、先ほどはおもに電信のことでございまして、電話についてはあまり御意見はなかったようにお聞きいたしましたが、現在の電話でけっこう満足である、将来このようにやっていただきたい、そういう御意見はございませんか。
  33. 飯野毅夫

    飯野参考人 大へんむずかしい問題で、私の御答弁申し上げることで満足いただけるかどうか、疑問にも思うのでありますが、まず電信のサービスという問題であります。最初に申し上げましたように、国際電信の大口利用者というものはきわめて限定せられているのであります。従いまして、これは国内も同様にお進めになるでしょうが、国際関係におきましては、局へ行って局を利用するということでなく、電報を出すにしましても受け取るにいたしましても、すべて机上でやっていく、こういうことになるのであります。これらを利用する大口利用者から見まするならば、国際電信電話会社の局ではありますけれども、自分の会社にあるたとえばPBXというのですか、私設交換台のごとく、電信におきましても国内でもみんな専用線を借りて、その専用線によって通信をしておるわけであります。また国際電報局にいたしましたところで、今日託送線を全部持って、その託送線によって電報を発受いたしておるのでありまして、ことに国際間の取引となりますと、電報を発受することによって商売をやっておるのでありまして、電報の発受がうまくいくかいかないかということが、直ちに自分の商売がもっぱらそれにかかっていると言ってもいいほどの状態にあるのであります。従いまして、たとえば自分の会社にある私設交換台が、ほかの官庁――公社といいますか、そのいうほかの方からおいでになってきておるが、自分の会社の交換台としてこれを使うような気持で利用する方が、利用者としては楽でないか、こういったようなことに最初の問題は帰着することであろうと思うのであります。もとより国際電信電話会社は独立した会社でありまするから、これを自分の私設交換台のごとくは考えておりませんけれども、相手が利用者と同じような株式会社、商事会社という地位に立っておられるならば、お互いの間をきわめて安易な気持で交渉し接していける、こういう点を考えておるわけであります。  なお電話のことでありまするが、これは私あまり詳しく存じませんが、今日までの電話利用の大部分は、駐留軍の方が利用しておられるようでありまして、現在ぼつぼつと電話利用はふえて参りました。しかし時差の関係あるいは用語の関係というようなことで――電話が伸びていくのは、商社の海外支店が漸次ふえて、その支店の方と本店の方が打ち合せるという場合等にだんだんと利用がふえてくるのでありまして、こちらの方が支店も張っていない場合に、相手の方を直接に呼び出して電話で即決するということは、まだ今後の問題であろうか、かように考えております。
  34. 松井政吉

    松井委員長代理 他に御質疑がなければ次に移ります。  次は日本電信電話公社総裁梶井剛君にお願いをいたします。
  35. 梶井剛

    梶井参考人 今度の日本電信電話公社法の一部改正に対する法律案各条につきまして、最初に結論的に申し上げます。  今度の改正に対しまして、私どもは別にこれが従来のものに比較いたしまして、不都合であるという点は一つも認めません。かつこの法案提案理由書を拝見いたしまして、今日の情勢をもってするならば、政府が、大蔵省で保有しておられます国際電信電話会社株式処分というものは、当分見込みがないのでありまするから、公社が本来現物出資の形において出資したものに対する株式を、未処分のものに対して一時持つということに対しましては、公社として異存はない次第であります。またこれに対する議決権の問題でありまするが、これは株式を持つ限り議決権を有すべきものと思いまするけれども、しかし今回の公社が株を持つということは、処分できないがゆえに持つのでありまして、決して国際電信電話株式会社の支配をするというような野望のもとに持つのでは毛頭ないのであります。従ってもし議決権ありといたしましても、私どもは現在の国際電信電話株式会社経営首悩者を信頼いたしまして、できれば、白紙委任状を出したいとまで考えておるわけであります。でありまするから、法律に議決権を有しないと御規定下さいましても、異存はないのであります。  また最後の国際電信電話株式会社株式取得または処分する場合においては、監督官庁でありまするところの郵政大臣の認可を受けなければならぬ、これももっともであります。監督官庁の認可を受けないで、大きな財産の処分をなすべきでありませんから、ここに規定してありまする通りに、私どもはもし保有するように相なりました場合においては、郵政大臣の認可を得てすべて処置いたしたいと考えております。本来この国際電信電話会社設立せられましたときに、すべての株式がすみやかに処分されるものとわれわれは予想しておりました。従ってこの出資全額が現金化されまして、そして政府から公社に交付されるものという意味におきまして、二十八年度の予算において全額が収入に充てられまして、その収入をもって電信電話の拡充をするというふうに予算案が組まれたのであります。しかし不幸にしましてそのうち十四億ばかりのものが、ついに処分することができないで今日になっておるのでありまするから、その趣旨を私らは体しまして、もしも将来において株式市場が好転し、相当の価格をもって処分することができるようになったならば、郵政大臣の認可を得まして処分して、その得たるところの収入を国内の電信電話の拡充改良の財源に充てたいという考えを持っております。しかしそのことはこの法律にすぐ処分せよということは書いてありませんけれども、本来の趣旨がそうでありまするから、われわれの任務としましては、国内の電信電話の拡張改良をするのがわれわれの任務でありまするから、それに充て得るところの財源がある限りは、できるだけ早く処分して財源に充てたいということをこの機会に申し上げておきます。以上であります。
  36. 松井政吉

    松井委員長代理 この際梶井参考人に対する御質疑があればこれを許します。井手以誠君。
  37. 井手以誠

    ○井手委員 総裁に一、二点お伺いいたしたいと思います。ただいまの公述では、どの条項についても不都合はない。こういうようなきわめて謙虚なおおらかなお気持を述べられたのであります。そこでお尋ねいたしますが、聞くところによりますると、公社では去る一月のいつごろか、理事会か何かで、国際電電の株を譲り受けたいという決定か申し合せかをなされたような話でございまするが、それが事実であるかどうか。決定のやり方がどのようなものでありましても、そういう話し合いがあったかどうか。またそういう話し合いが出て、結論が出たならば、その実現のためにどういうことを進められたか、その二点をまずお伺いいたしたいと思います。
  38. 梶井剛

    梶井参考人 ただいまのお話の通りに、公社理事会におきまして、国際電信電話会社株式を譲り受けたいということを議に諮ったことは絶対にございません。ただ私どもには経営委員会というものがございまして、経営委員会に重要なことを協議し、あるいは報告しなければなりません。従って今回逓信委員会におきましてこの法案を御審議になるというお話を聞きまして、大体の御意向を経営委員会に述べましたことはございます。それ以外にはわれわれは理事会にも諮りましたことはありませんし、理事会以外の、各局長みな集まりました幹部会にも、かようなことについて相談したことはございません。
  39. 井手以誠

    ○井手委員 私も新聞に出ておったことを見たという人から聞いたのでありますから、どこまで話が進められたかよくは承知いたしておりません。逓信委員会にかけられる参考のために、経営委員会の議に上ったということでございますが、この逓信委員会の議に上ったのはごく最近でございまして、一月と申しますと解散前であります。やや時間的に食い違いがあるように考えておるのであります。逓信委員会は今特別国会から発足いたしました。以前の郵政委員会とは人的構成もほとんど変っておるのであります。重ねてお尋ねいたしますとともに、その議はどういった意味の議であったか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  40. 梶井剛

    梶井参考人 経営委員会報告いたしましたのは、今からちょうど二週間前であります。従ってまだこの法案の形が十分にできておらなかった時分だろうと思います。ただ私どもは、そういうことが議に上っておるということを経営委員会に申し上げただけでありまして、これも協議したわけではないのであります。ただ簡単に、口頭でさようなことが現在国会において審議されるような模様でありますということを申したにすぎないのであります。
  41. 井手以誠

    ○井手委員 最近のことであればまた当然かと思いますが、私の聞いたのは、一月にそういう話が議に上ったというふうに承わっておりますが、そういう事実は、かりに決定事項であるとか、あるいは申し合せ事項とか、いろいろな何はあるかもしれませんが、議に上ったということは、一月にはなかったかどうか。新聞によりますと、一月だというふうに日にちまで書いてあったようであります。あったかどうか、その事実だけを確かめたいと思います。
  42. 梶井剛

    梶井参考人 さような事実は全然ございません。
  43. 井手以誠

    ○井手委員 なければそれでけっこうでございます。そういうことが流布されて、公社に対していろいろな批判があっては困ります。念のためにお尋ねをいたしたわけであります。  そこでこの際総裁にお尋ねしておきたいことは、先刻も同僚原委員あたりからお話がありましたが、この近代化した電信電話の設備によって、総裁は国内国際に電信電話事業が二つに分れておることがいいとお考えになっておるか、総裁個人としては一元化が好ましいとお考えになっておるか、その点をお尋ねいたします。
  44. 梶井剛

    梶井参考人 この問題につきましては、今までにもたびたび衆議院におきましても参議院におきましてもお尋ねがございました。しかし私の現在の職務が政府機関でありまする公社に勤めておりまするので、私の申しますることは、たとい私見と申しましても、同時に公社総裁として申したことに相なりまするので、これはかつて国会において審議せられた法案の通りに、国際電信電話会社を分離したのであります。それに対する批判を私がすべきではないというふうに存じまするから、この機会は御遠慮申し上げます。
  45. 松井政吉

    松井委員長代理 ほかに質疑はございませんか。――他に御質疑がなければ次に移ります。  次は大阪外国通信懇話会常任委員加藤正君にお願いをいたします。
  46. 加藤正

    加藤参考人 私がただいま御紹介にあずかりました大阪外国通信懇話会常任委員の加藤であります。大阪外国通信懇話会は、先ほど東京海外通信懇話会の常任理事であります飯野さんから御説明がありましたように、国際電信電話、外国郵便を利用している諸会社の作っている団体であります。われわれの会社は、そういう国際通信を利用している者をもって会員とし、そういう者が何人か選挙されて委員を拝命しているわけであります。     〔松井委員長代理退席、委員長着席〕  今回参考人として当逓信委員会に呼び出されたのでありますが、この法案につきまして、われわれはこういうように考えております。これは全く国際電信電話を利用する者の立場として申すわけでございますが、どういうふうに思うかというと、二年前民営にして、国際電信電話株式会社を作ったのだから、これはそういうような方向に逆行しない方がいいだろうというふうに考えております。うわさに聞くと、会社創立の当時におきまして、国際電信電話株式の五一%を公社に持たしたらどうかというような御意見も一部にあったようであります。そういうようなことを承わったのですが、その当時、同じような企業体で、一方は国内の電信電話をつかさどり、一方は国際電信電話をつかさどるというのでありますが、それが公社が親会社国際電信電話を子会社とするような、すなわち公社公社を支配するようなことになってはいけないのではないか、それは民営趣旨に反するのではないだろうかということで、完全な民営会社にしたのだというように承わっております。それは二年後たった現在でも同じようなことではないかと思います。また公社株式所有することは、公社国際電信電話株式会社を支配するのではないかという不安を持たせるのではないか、こういうように言われているように聞いております。また公社会社を支配すると、公社会社の間には各種の協定があるそうでありますが、国際電信電話を利用しているわれわれ利用者に対するサービスというものが、ほとんど公社の一方的な見解においてきめられはしないかという不安を持っておるようであります。いろいろなことがありまして、せっかくこういう民営会社にして、従業員が伸び伸びとして働いていけるのではないかというときに、もっと大きな力というか、圧力というか、そういうものがのしかかってくるのでは、勤労意欲を、失うのではなかろうか、あるいは天下り人事が行われるのではないかというようにいろいろ心配している。  なぜ心配するかというと、ただいま申し上げたように、われわれはこの国際電信電話の大口の利用者であるからであります。国内通信と国際通信は不可分の関係にあるのだと思ひます。しかし現下の情勢におきまして、国内通信も非常に大事でありますが、また国際通信事業は、特にそのサービスの向上を要請されるものだと思います。それはなぜかと申しますと、わが国の自立自営といいますか、あるいは繁栄といいますか、それは貿易の振興以外にはないのではないか。これは大へん我田水的の考え方でありますが、そういうふうにわれわれは信じて朝晩貿易振興に努力をいたしております。この貿易の発展あるいは不振ということが、わが国の経済の死活を制する最大要素ではないか、大へんおこがましい話でありますが、そういうふうに考えるわけであります。しかるに、御存じの通りでありまして、ただいまの国際情勢下では、世界各国とも非常に激しい貿易戦を展開しております。このことについては、もう皆さん非常によく御存じの通りでありまして、私が一つ一つ事例をあげる必要はないのではないかと思います。その貿易と密接不可分の関係にありますところの国際通信事業というものは、当然国際的な水準、インターナショナル・レベルなサービスをわれわれに提供すべきである。国際電信電話株式会社というものは、そういうところまでサービスを向上させなければならないのではないかというふうに考えるのでございます。  翻ってみますと、国際通信の事業は、あるいは国際ではなくて国内も含みまして、かつて八十年でございますか、何十年かの間、いわゆる官営のもとで行われておったのでございます。これも大へん口幅つたい申し方でございますけれども、いわゆる民営と官営ではどうも相当の開きがあることは、これまた私が具体的な事実を一々あげる必要はないのではないかと思うのでございます。昭和二十八年四月一日から国際電信電話株式会社というものが発足いたしまして、もちろん十分ではありませんが、着々とサービスの向上も行われておるかのように思いまのし、またわれわれのところにはテレタイプというものもつけてもらって、それがさらにアメリカと機械中継をされる、あるいは世界的な枝術を受け入れる、あるいは世界各国と直通無線電信電話の回線の増設をする、あるいは国内の配達の機勧化をやる等、こういうことを行なっております。そして経営の民主化とともに通信の正確――通信で一番大事なことは、正確と迅速ということであろうと考えます。そういう正確とか迅速というものを目標に、サービスの向上をはかっていく。もちろん逓信省時代にもそうやっただろうと思います。また電気通信省時代にもそうやったということも私どもはよく認めます。しかし、会社になりますと比較にならないほどよくなったかということになると、ちょっと必ずしもそうではないかもしれないが、おそろしくずうたいの大きかった逓信省の何十万という人たち、それから電気通信省時代に十何万の人たちがおられた、その大きなずうたいを持ったものから国際だけ分離させて、三千人が二千何百人かの分離したもので動いた方が、非常に機動的に動ける、また実際動いておるようでございます。それから、これも私が申し上げるのは非常に口幅つたいのでありますが、われわれの出張員がアメリカからあるいはヨーロッパから、あらゆる国に出ていっており、また支店、出張所ができております。そういう連中が帰っても報告しますし、また皆さん方もすでに御経験済みと思いますが、海外のたとえばRCAとかあるいはマッけーのサービスというものは非常にいいのです。そういう線に少くとも国際電信電話株式会社というものは引き上げられるべきである、それには、身軽に動けるような、いわゆる民営会社組織がいいのではないか、こういうふうにわれわは考えるものでございます。  そこで今度は心配すると申しますか、今の株式の、五分の二に当るものを公社に肩がわりすると申しますか、どういうふうに申すのですか、私は法律的なことはよくわからないのですが、要するに、公社に持ってもらうということになると、それでは公社が非常に官僚的かというと、そうじゃないのであります。どんどんよくなっているのですが、何しろ大きなずうたいでございまして、国際通信だけをよくするということはできぬだろうと思います。そんないろいろなことがございますので、われわれとしましては、このまま民営の形で行った方がいいだろうというふうに思います。それで大阪における外国通信を利用しているところの会社が組織しております大阪外国通信懇話会の者たち、いわゆるわれわれのような委員連中が集まって会議を開いていろいろ検討さしてもらったが、やはり公社に株を持っていただくのではなくて、このまま民営で行くというような考え方をしているものでございます。国際通信の事業は、わが国の経済、文化、政治の中枢神経として重大な役割を果しております。それは、何回も同じことを申し上げますが、やはり身軽な民営の組織がいいのじゃないか、それには、もっと端的に言いますれば、お上の人とわれわれと交渉するよりも、同じような株式会社でありますところの国際電電の人たちとお話をし合った方が早いというような具体的な事実等、いろいろなことがあるのじゃないか、こういうふうに思います。先ほど飯野さんからお話がありまして、そのときのお話にございましたように、大口利用者というのは大体五十社ぐらいで、東京に本店のあるものは大阪に支店がある、大阪に本社のあるものは東京に支社があるというようなわけで、利用者は非常に局限されております。国際通信というものは非常に特殊性があるわけですが、われわれはその利用者として、利用者立場からのみお話しさしていただいているわけでございますが、そんな気持を持っているのでございます。
  47. 松前重義

    松前委員長 ただいまの加藤参考人に御質疑があればこれを許します。原君。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 加藤さんにちょっとお伺いいたしますが、今の御説明でちょっと足りないところがあるのです。民営の方がよろしい、公社に株を持たせることは好ましくない、結論はこうおっしゃったように思いますが、そうすると、現在の状態に即してやるためには、どうされたら一番よいとお考えになっているのでしょうか。たとえば大蔵省で今保管しております株券というものは、すみやかにというので、常識からいうと一年以内に処分しなければならぬというので、もう二年を経過しておりますから、一年という趣旨に従って今ここでこれを処分しようと考えているわけです。そこでどうしたら一体大阪利用者各位の御意思というものは一番満足されるのであるか、これを一つ具体的にといいますか、今のお話ではばく然としておりますから、ただ民営が望ましい、公社に持たせることは望ましくないということだけでなくて、しからばどういうことを大阪利用者各位は考えておるかということをお伺いしたい。
  49. 加藤正

    加藤参考人 ただいまの御質問に対しましてお答えを申します前に、私この法案ではなはだ不勉強で申しわけのないことをいたしましたので申し上げますが、五分の二を持つとかいうようなことは今度はないようでございます。その点についてお断わりを申し上げます。  それから、それでは公社に持たせずに、これをいかにしたらよいかということにつきましては、これは非常に大きな問題でありまして、私急遽上京して来まして、そこまで研究しておりませんから、いずれ研究して御返事をさせていただきます。
  50. 椎熊三郎

    椎熊委員 ちょっとお伺いします。あなたのお話を聞いていると、役所でやるより、今のような民間会社の方が、いろいろな話をするのに気楽に話ができる。あなたは、お上と話をするとどうもぎこちないと言うが、ばかに封建的な観念のようですが、私ども考えているのは、現在の公社というものは非常に民主化されて、非常にサービスもいいと思う。あなたのお話から聞くと、そんな感じがするだけで、ほんとうは国営であっても、公社であっても、それから現在のような会社であっても、利用者としてはどっちでも大した違いはない、これでいいのだということではないのでしょうか。ただせっかく会社ができているのだから、この会社はこのままにしておいてもらいたいという程度の感覚ではないのでしょうか。どうも会社でなければ断じていけないというような、強い信念のところがなさそうに受け取れるのです。私の聞き方もいけないかもしれないが、私はもともと会社案には反対なんです。これを分離すべきでないということを論争してきた一人ですから、そういう潜在意識のもとにあなたの話を聞いているのかもしれませんが、どうもあなたは、はっきり会社がいいので、公社が悪い、国営が悪い、という基本的な材料をお持ちでないように私は考えられてならない。それならその通りでもよろしいのですけれども、あなたのお考えが私の解釈通りとすれば、わが意を得たりと私は思いまして、私が二年前に叫んでおる、会社案に反したる根拠が、さらに一そう二年後の今日において根拠が深められたような、感じをしておるわれです。私のこの問題に対する信念の上から、あなたの感じを聞いているわけであります。もう一度その点明確にしていただきたい。
  51. 加藤正

    加藤参考人 私は断然民営でなければいかぬ、こういうふうに思います。それは私が外国電信電話を利用しておりますその責任者でもございます。具体的な事実を申し述べれば幾らでもございますが、それは遠慮いたします。
  52. 秋田大助

    秋田委員 ただいま民営が望ましい、そしてこの案はそれと反対の方向にいっておる。その理由として、国際電信電話株式会社株式公社が大量にお持ちになるからであるということを、明瞭に御発言なさったように私は了解いたします。そのおそれがあるので、その原案には公社所有するKDDの株式については議決権を有しないと、明確に規定いたしておるわけであります。にもかかわらず、やはりこの原案を施行した場合には、公社のコントロールがKDDに及ぶおそれがあるとあなたが考えられればこそ、反対をされておるのだろうと思います。その点あなたの御発言だけでは私は納得できない。何か隠れた規定があって、なおかつその公社支配権国際電信電話株式会社に及ぶおそれがあるとあなたはお考えになっているのじゃないか、その理由を明確に聞かしていただきたい、こう思うのであります。
  53. 加藤正

    加藤参考人 明確に具体的に理由を申し述べろと申されましても、これははなはだむずかしい心理的な問題であろうと思います。ということは、なるほど議決権を有しないと書いてあります。ですが、非常に多くの株を持っておれば、無言の圧力というものは、人間でありますから、必ず私はあると考えております。
  54. 森本靖

    森本委員 一つ簡単にお聞きします。先ほど御説明の中で、国際電信電話株式会社民営になった場合、電信の正確、迅速ということの御説明がありましたが、それを具体的に、国際電信電話株式会社になってから、どういう方面が正確になり、どういう方面が迅速になったか。通信の性質からいたしまして、この正確であるという一番重大な問題は、そう公社であろうと民営であろうと私は変りはないと思います。それが民営になりまして、どういうところで正確になったのかということが御判断できたか、御説明願いたいと思います。
  55. 加藤正

    加藤参考人 あなたも経験者で大へんよく御存じなことでありますから、私が一々説明する必要はないと思います。正確度ということにつきましては、あなたのおつしゃられる通りでございまして、無線の機械というものは、公社経営しようがあるいは会社で経常しようが、機械は同じ機械である。しかしそれがどこの、たとえばアメリカのウエスティングハウスのもの――私は専門のことは知りませんが、どういうものを使おうが、同じものを使えば同じであろうと思います。ただ正確を期しようという心根だと思います。だから公社の人間は正確を期しようとしていないかというと、大いにしておるのです。だけれどもさらに小さい経営あるいはわれわれ民間会社のような、われわれ民間会社というものは御存じのように銀行から金を借りて、一望懸命働いて、いわゆる独立採算で、それがだめになったら人間を整理するかあるいは何かしていくよりほかないのです。血みどろです。それと同じように、こちらも血みどろでやっておられると思います。そういう会社になれば人間も少くなるし、徹底する。だからその正確を期しようという心がまえにおいてあるところがあるのではないかというような気が私はするのです。従って公社の人がそういうことをしておらぬというのではない。大いにしておると思います。
  56. 森本靖

    森本委員 それは局外者から見て、そういう気がするということをちらっと考えられるだけでありまして、具体的に電信に携わる者といたしましては、たといそれが民営でありましょうともあるいはまた公社でありましょうとも、おそらく通信に携わる者は、それぞれの業務に携わる者の心がまえといたしまして、かりにそれがどういう過程であろうとも、通信の正確さというものを忠実に守って仕事をしていくということに変りはないと思う。だからそういう問題について、もしそういうふうにお考えでありましたならば、私はオペレーターというものの性格からいたしましても、今後はそういうお考え方でないように、通信に携わっておる者はそういう考え方でないと思いますから、単なるそういううわさといいますか、頭の中でちらっと考えた程度で、あまり御発言なさらないようにお願いしたいと思います。
  57. 松前重義

    松前委員長 御質疑がなければ次に移ります。渋沢敬三君にお願いいたします。
  58. 渋沢敬三

    渋沢参考人 日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を拝見いたしまして、右法案御起草の参考として意見を申し述べろという御案内を受けましたので、左に意見を申し上げます。  その前に一言申し上げたいと存じます。それは、もともと国際電信電話株式会社設立されました趣旨の根本は、企業分離の理念であります。当時の関係各位の議会におきますお話にもあります通り、公社が当社の株を所有されない原則が確立していたと承知しておるのであります。この原則は、私としてもどこまでも守っていただけるものと存じておったのでありますが、今回これに関して改正法案が起草されると承わりまして、意外に存じておる次第なのでございます。この点だけを一言申し述べさせていただきます。  直ちにその改正法案の逐条につきまして意見を申し述べます。第三号の二の第一項は、公社国際電信電話株式会社株主となり得る道を開いた現定でありまして、それだけの意味におきましては、公社株式所有する以上当然の規定で、別段の異議もありませんが、その保有し得る株式数量の限度につきましては強いお願いがあるのであります。これはあとから申し述べます。次に同第二項は、株主となった場合、公社議決権を持たない株主であることを明らかにしたものであります。これによって将来公社及び当社間に支配関係を生じたり、公社が当社の経営に参加するというような事態の発生のおそれなきことを、法律をもって約束せられたものでありまして、これについては異議がありません。  次に第六十八条の二は、公社の当社株式得喪につき郵政大臣の認可を要するという、公社に対する政府の監督規定でありまして、当社としては意見を申し上げるべき筋ではないと思います。  次に附則第一項は、公布即日施行の規定でありますが、あとうべくんば政府所有株式をさらに放出し得る機会を持つために、施行を一ヵ年間御猶予願いたいと思うのであります。  さらに附則第二項、「この法律施行の日までに国際電信電話株式会社法昭和二十七年法律第三百一号)附則第二十二項の規定による処分を終らない株式日本電信電話公社に返還しなければならない。」という条項は、本改正案施行の日において大蔵省の手持ちになっておる株式全部を、公社に移譲するということであります。これによって公社の保有する株式数量は二百八十万余株、金額で約十四億円、当然総株数に対して四二・五〇%になるのであります。一会社株式の半数近くを政府以外の一団体が占めておるということは、株式の分布から見ましてまことに異常な感なきを得ませんのみならず、その結果として当社株式は将来にわたって上場株としての資格を完全に失うことになるのであります。当社としましてはまことに重大問題であります。この間の事情を少し詳しく聞いていただきたいと思うのであります。  株式を上場する場合には、大蔵大臣の御承認を得なければならないのでありますが、大蔵省が上場株を審査する基準中に、先ほど秋田委員からもお話がありました通り、持ち株数一万株以上の株主により発行済み株式総数の七〇%以上が所有されてはならない、そういう株式でなければならぬという条件があるのであります。この条件に照らしまして当社株式の分布現況を見ますと、現在当社の発行済み株式総数は六百六十万株であって、そのうち政府の持ち株は前述のように三百八十万余株であります。その総株数に対する割合は四二・五〇%であります。次に政府以外の一般民間株主で、一万株以上の株式を持つものの総株式数を見ますと、二百九十二万株でありまして、その総株数に対する割合は四四・二六%であります。そこで政府持ち株の四二・五〇%と政府以外の一般民間株主の四四・二六%を合せますと、八六・七六%となって、前述の上場株としての条件である七〇%をはるかにこえることになるのであります。従って本規定のごとく政府の持ち株を全部そのまま公社に肩がわりいたしますと、当社株式は将来とも上場ができないことになるのであります。この点は当社のごとく公益性を持ち、しかも独占性を持って、しかも非常に膨大な数量の株式株式会社でありますから、これを所有いたします株主の分布ということには、先ほどお話がございました通り非常に慎重なる考慮を要するのであります。最初私がお預かりをしましたときにおきまして、全部売りたいということでお願いをしたのでございますが、そのときに実際上お持ちを願いましたのが銀行、信託、保険その他の金融機関でありまして、これが約十九億円お持ち下すったのであります。このときにもこの会社の株がその方面だけの株主によって構成されることは、私は不当であろうという感じを持っておりました。また当時大蔵省としてもそういうお考えもございましたが、十四億円というものが売れ残ってしまったのであります。  それではどの程度の数量の株式公社が保有しても、上場に差しつかえないかという数字を検討してみますと、前述政府持ち株二百八十万余株、これは約十四億であります。そのうち約百七十万株、約八億五千万円以上が公社の保有となると、一万株以上の株主によって占められる割合は七〇%をこえるということになるので、この数字が公社保有の最大限度であると信じておるのであります。なお株式を売ります場合には、公社以外の一般株主への留保分をも当然考えておかなければなりませんので、前述の百七十万株、約八億五千万円のうち、公社保有にゆだね得る限度は百四十万株、七億円程度であろうと信ずるのであります。繰り返して申し上げて恐縮でありますが、二百八十万余株、約十四億円の政府保有処分のうち、百四十万株、約七億円以上を公社所有することになると、当社株は上場株としての資格を喪失するのであります。上場されない株は健全な値段も立ちませんし、公正な取引の対象にもならないことは今さら申し上げるまでもございません。各位の御理解をぜひお願いしたいところでございます。  本改正の第三条の二の第一項、第六十八条の二と関連しまして、この附則第二項を拝読いたしますと、公社郵政大臣の認可を得さえすれば、現在政府持ち株の二百八十万余株以上、幾らでも持てる建前になっておるようであります。これは反対であります。ぜひ本案中に前述しました百四十万株、七億円程度が公社保有の限度であること、公社の保有し得べき株式の最高数量が百四十万株でなければならぬという一項を加えていただくことを希望するのであります。  さらに当社設立趣旨にかんがみまして、当社株式を保有した場合といえども、なるべくすみやかに処分する、これは先ほど梶井総裁も一時持っておる、値が出たら売るのであるということをはっきり御言明になりましたが、その点を十分におくみ取り下さいまして、なるべくすみやかに処分する旨の一項をも追加していただきたいということは、これはわれわれが大株主会を開きましたときにも、大株主からの強い要望としてあったので、この点を差し加えていただきたいということをお願いしたいのでございます。現株主は全株式一般市場に売り出されるものと承知して株主となったのでありまして、政府もわれわれもさように説明をし、株を持ってもらっていたのでございます。その点何とぞ御理解を得たいとお願いする次第であります。
  59. 松前重義

    松前委員長 御質問はありませんか。
  60. 竹内俊吉

    ○竹内委員 渋沢さんに二、三お尋ねいたします。今のお話の冒頭にお話しになりました国際電電の性格の問題でありますが、その点からはあなたは企業分離がこの会社を設けた原則であるということをおっしゃったのですが、その中段以降において、上場株としての資格を失わなければ、公社が株を持つことは同意してもいいのだというふうな二枚腰の御発言のように承わりましたが、どちらの方があなたの御方針であるか、その点をまずお伺いしたい。
  61. 渋沢敬三

    渋沢参考人 私の本心から申しますれば、こういう法案が出ないことをほんとうに望みます。しかし出ております以上、この法案に対しての意見を述べるということになりますと、一番大事なことは議決権のないこと、そしてそのほかに、もし持たれるならばこれだけの限度以上は持っていただきたくないということを申し上げた次第であります。
  62. 竹内俊吉

    ○竹内委員 それは法案に対するあなたの率直な御本心を聞きたいために、実はきょうの公聴会を開いたのだと思います。中段以降の上場株としての資格を失わなければよろしいのだという御見解は、あなたの会社の相当な機関を通しての意見を統一された御見解でありますか、それとも渋沢さん個人の法案に対するお考えでありますか、その点を伺いたい。
  63. 渋沢敬三

    渋沢参考人 私の本心から申しますと、先ほど申し上げましたように、公社が株を持っていただきたくないのでありますが、これはどこまでもいただきたくないということはいまだに変りません。しかしぜひ待つということになった場合のことになりますと、われわれは公社が株を持ってならぬということは言えないのであります。そこに法律が入ればこれはいたし方がないということにならざるを得ない。そこでそうなりました場合には、どうしても先ほど申し上げましたような制限をしていただきたいということを申し上げたのでありまして、これは私の見解でございますと同時に、私の同僚と十分考え合せた見解であります。
  64. 竹内俊吉

    ○竹内委員 さらに議決権のないことをこの法案でもうたっておりますが、渋沢さんの今のお話にも、議決権のないことを希望されるというお話が、あったようであります。議決権のない株主ということで、しかもその株が相当の量である――あなたの御希望によると七億円、百四十万株が限界である。法案趣旨からいうと五分の二までとなっております。これは案であってまだ確定してないのでありますが、そういう大量の株が議決権を持たなかった場合におけるあなたの会社株主全体のバランスというものから考えて、それは適当でありますか、その点伺いたい。
  65. 渋沢敬三

    渋沢参考人 その点は率直に申し上げますと、一つの会社株式を一割なり二割なりというものを持ちますことは、相当の大株主であります。そこで本来から申しますと、この会社株主構成といたしましては、さきにすでに持っておられる金融機関またはその他あらゆる階層の方々が多数持っていただくことが、われわれとして最も好ましいのであります。ただ現在の状態といたしまして、すぐに売れないという条件がございますから、そこにおきまして公社としてその間一時預かってやるというようなお気持を梶井さんがお持ちになったと思うのでございます。そういう意味におきまして、しかもそれをすぐ売り出すのだということでありますので、先ほど申し上げましたように、それもすみやかに売却するという条件をつけておいていただきたいというのが私の真意であります。全く過渡的にお持ち下さると、こう了解しておるのであります。お持ちになっても、どこまでも全部お持ちになるという御意志はないようであります。従ってそういうふうに御答弁を申し上げた次第であります。
  66. 竹内俊吉

    ○竹内委員 渋沢さんは経済界の非常な有力者でありますから、その点からもこれは申しにくい点があるのかもしれませんが、大量の株を今大蔵省が管理しておる。私はこれは事務的な管理だと考えておる。これが電電公社に移る。この場合も、先ほどの総裁の御発言ではやや事務的な管理のようにも受け取れますが、これは性格が相当に変ると思います。その場合に将来これを売っていくのだといっても、証券市場に対する操作の上から考えて、大蔵省が持っておったよりも、電電公社に移った場合は、それが今の条件内においては操作上よろしい、さばいていける見込みがもっと立つのだという答えが出て参りますか。
  67. 渋沢敬三

    渋沢参考人 先ほど御説明の中にも申し上げました通り、そのために私はこの施行を一ヵ年おくらしていただきたいということを申しておるのであります。その間にわれわれといたしましてもまた市場を見回し、すべてを勘案しまして、もっとこの株が一般に売れ出すことになり得る状態を造出したいということは十分に考えております。従ってこの際一挙にそうなることは好ましくない。できるだけその間に余裕を持っていただいて、公社といえども、この株が売れて、その元金がほんとうに予算の面でもってお入りになれば、それは何らそこに議論のないところだ、売れるか売れないかがむしろ問題になります。売れるような情勢を作っていくということは、必ずしも不可能ではない。今すぐ、あしたあさってということはできません。しばらくの御猶予をいただけば、そういう情勢を造出することは決して困難でないということを申し上げます。
  68. 井手以誠

    ○井手委員 渋沢さんに二、三お伺いしたいのですが、まずただいま竹内委員の話に関連してお尋ねいたしますが、六十八条の二に一ヵ年の猶予をいただきたい、その間に放出したいということでございますが、渋沢さんは財界の重鎮でもございますが、一ヵ年あれば大体売り尽せるというお見込みを持っておられるのかどうか。大体見当はおつきになっておるだろうと思いますが、全部お売りになれる見込みがありますか。
  69. 渋沢敬三

    渋沢参考人 一ヵ年あれば大体売り得る確信があります。
  70. 井手以誠

    ○井手委員 確信のほどはよく承わりました。そこで続いてお尋ねいたしますが、第三条の二の第二項、議決権を有しないことはけっこうであるというお言葉でございましたが、議決権さえなければ、かりに売れない場合でも、二百八十万株を保有された場合に公社側の圧力は感ぜられない。労働組合側ではその点を非常に懸念しておるようでありまして、官僚活動とか何とか申しております、あるいは労働条件のことを非常に心配いたしております。渋沢さんとしては二百八十万株公社が保有した場合、議決権がなければ大丈夫、圧力を感じないとお考えになっておるかどうか。その点の確信のほどをお尋ねいたします。
  71. 渋沢敬三

    渋沢参考人 その点は心理の問題でありますが、確かに労働組合もその点を心配しておることは、私はよく存じております。組合だけでなく、むしろ上部の職員も今回くらい一致してこの案に反対したことはないのであります。これは正直に申し上げます。しかし私は決してそれをどういうような行動に出ろと使嗾したことはありません。しかし私のごとき、横合いから入りましてこの会社をお預かりしまして、そういう目にあわなかった者におきましては、その感覚が割合に薄いのであります。この点は言われて気がつくということは、はなはだ私の不明の点を暴露するものでありますが、確かにそうであろうと思います。従って今お尋ねの二百八十万株という巨額なものが、もし公社所有されましたら、議決権がなくても大きな心理的圧迫のあることは、これは見のがせません。従ってわれわれといたしましては、できるだけこの額を少くすること、並びにそれをできるだけ早く売っていただくこと、同時にそういう措置をする前に、売れるだけの期間を与えていただきたいということを、私は申し上げておるのであります。
  72. 井手以誠

    ○井手委員 圧力を感ぜられる気がいたしますならば、どういう方面にそれが来るおそれがあるのか、さらにかりに来た場合でも、労働条件は、自分はからだを張ってでも守っていくという確信があるか、この点重要でございますので、特に私はお尋ねしておきます。
  73. 渋沢敬三

    渋沢参考人 なかなかむずかしい御質問でありますが、圧力を感ずるといっても、これは非常な多岐な、また内容のはっきりしない言葉であります。これはかなり感じの問題であります。むろん議決権がないということにおいて、経営に参加するとか、あるいは経営陣営に人を入れるとか、あるいはいろいろな指図をしてくるとかいうようなことは、梶井総裁のような人格者が総裁でおられる限り、全くそれは安心しておるので、あります。しかし、ここでありますからざっくばらんに申し上げますが、たとえば公社の方の中にも相当のいろいろの方がおられるわけでありまして、何だか二百八十万株持つと、議決権がなくても、小会社だというような感覚をお持ちになりますと、別にどこにどうということでなしに、自然にわれわれの従業員にそれが心理的に影響するということは、これは考えられると思うのであります。それはあまりいいことじやありません。公社会社はどこまでも唇歯輔車でありまして、非常に仲よくしていかなければならないのであります。実は私はそのことも強く念願しておるのでありまして、これでもってけんかするというようなことは全くいやなんであります。そうでなしに、どこまでも気持よくお互いに連絡をし、緊密な業務の伸展をしていかなければならないのでございますから、従ってそういったふうな感じが出得る素地を作るということは決して好ましくないのでありまして、その点は今お尋ねの通りに心配するということを申し上げたのであります。具体的に申しますと、そのくらいな点であります。  それからもう一つ、労働条件というようなこともお話しになりましたが、この点は、この会社を分離いたしますときから、労働条件の改善ということが一つの条件でありまして、われわれといたしまして、どこまでもできるだけのことはしたいということは考えておる次第であります。
  74. 井手以誠

    ○井手委員 あなたの方が労使一体、なごやかにやっておられることを承わったのでありますが、またただいまは待遇の改善が一つのねらいであったということも承わって、私も実は安心しておりますが、心理的に圧力が加えられる気がするという場合にも、労働条件については心理的な悪影響を来たさないように、一つ格一段の御配慮を私はお願いいたします。  なお株式についてはいろいろ聞きたいこともありますが、これはあとで大学の先生もいらっしゃるようですから、その際にお聞きすることにいたしまして、私は最後に希望いたしまして質問を終ります。
  75. 椎熊三郎

    椎熊委員 ちょっと渋沢さんにお聞きします。今公社が株を持つことに圧力を感ぜられるということですが、どうも言葉の表現が適切でないのではないかと私は思うのです。あなたは財界のエキスパートだから、そういうことはよくおわかりでしょうが、議決権のない株というものは、会社経営その他に圧力の加えようがないのですよ。あなた方の感じられるのは大資本なんですな。会社経営の最筒責任者としては、議決権のない株であるが、その投下されておる大資本に対するみずからの責任を感ずるということであって、それ自身から受ける圧力ということではなくして、みずから心のうちにわき起る責任観だという表現の方が、この際は当てはまるのではないか。あなたのほんとうの心理状態はそれではないでしょうか。私はそうあるべきものだと思う。どうでしょう、私の感覚が違いましようか。
  76. 渋沢敬三

    渋沢参考人 ただいまのお尋ねに御答弁を申し上げますが、議決権のないということは、株主総会におきます総株から、その株数を抜いてしまうことであります。それだけであります。他の株主権は全部保有されているのであります。株主権は議決権だけで構成されているのではないと私は考えております。そういう意味において、今椎熊さんのおっしゃいましたように、大株主に対しまする責任感というものは、これはむろんございますが、これは一株主に対しても持つべきでありまして、決して株の大小によって区別するべきものではないと考えております。従いましてただ問題は、世間よくありますように、大株主になりますと、無言のいろいろなことが行われるということも、よく御承知だろうと思います。そういう場合におきまして、株主総会を通じての問題ではなしに、何か起ることがないとは保しがたい。これは私にはほんとうにはだに触れてお答えのできる問題ではありません。むしろ現場なり下の人たち同士の間の問題だと思うのであります。そういうことは、これは心理問題でありまして、ここに一々申し上げることは避けますけれども、そういう問題において心理的に影響するであろうということは、言われてみればそうだろうと私たちは思うのであります。
  77. 椎熊三郎

    椎熊委員 今渋沢さんがおっしゃるのは、相手が公社のような性格でなくて、それだけの膨大な資本を投下しておるものが、利益追求を目的とするあるいは会社なり個人なりであるならば、おそらくあなたの心配せられるようなことはその通りだろうと思う。しかし幸いにしてこれは公共事業を目的とする公社なんです。従って今膨大な株を持っておるが、直ちに経営に参加するわけでも何でもない。株主としての権利は、議決権以外のものはすべて保有しておるのだとは言い条、公社というものは、決して経営上あるいは公社運営上の何か差し出がましいことをするようなことはありようがない対象物だ。私はそう思っておるのです。従ってあなたのお考えは、何か膨大なる株主ということに一つの幻惑を感じて、行き過ぎたおそれ、危惧を抱くのではないでしょうか。そこは幸いにして会社になったのですから、大胆率直に、そういう株があっても一年くらいで売れるような見通しがあるものなんですから、決してそんな組合の下部の者が、何か労働条件に圧力が加わってくるのではないかなどというような考え方は、少し行き過ぎのように思うのですが、私の考えは間違っておりますか、どうでしょうか。そういうように、明確にほんとうに圧力を感じておるかどうか、私は感じていないだろうと思う。ほんとうは感じてないから、あなたは明朗に心境を語っておられるのであろう。あなたは圧力などという言葉を使うからいけない。会社経営の最高責任者として株主に責任は感じております、そういう表現の方がこの際は適当じゃないかと考えるのです。どうしても私は自分の考えにあなたの答えを引き寄せたいような気がいたしますから、そういうことを言っておるのですが、どうでしょう、そうじゃないのでしょうか。
  78. 渋沢敬三

    渋沢参考人 確かに圧力という言葉をここで用いることは、あまり適当でなかったかもしれません。同時に経営の大きな面におきまして、公社がお持ちになろうと、どなたがお持ちになろうと、経営者としましては、二百八十万株、四割以上の株主になりますと、これはやはり問題なんです。むろん民間でもときどきありますように、大きな株が移動して、直ちに経営者が変ってくるというような問題もございます。むろんわれわれとしましては、他の、たとえば私が非常な金持ちで、この株を全部一ぺんに買ってしまうことは、好ましくないことだと私自身思っております。むしろこういう会社の株になるたけ多くの人に、できるだけ公平に分散すべき性質の株だと思います。従って公社がお持ちになるということは、全く売れなかったために、その金が使えなかったということから来ていることが、大きな原因じゃないかと思います。そういう点から見ますれば、売れればいいのだということも言えるわけであります。そこでできるだけお持ちになることを少くしていただきまして――むろんそれには議決権のないことが条件でありますけれども、していただきまして、できるだけこれを多くの国民に分ち与えたいというのが私の趣旨でございます。
  79. 椎熊三郎

    椎熊委員 最後にもう一点。だんだん、究極においては考え方が一致しておるように思われるのです。実はこうなんですよ。あなたは、膨大な株を一個に固めておくことはいけないので、それを分散させたいのだ、それが現状では分散できないわけですね、売れないのですから。幸いにして公社が持つということは、会社にとっても非常に仕合せなことじゃないでしょうか。しかも公社にはあんなりっぱな総裁がおって、その人がある間は大丈夫だ。そして公社というものは非常に公共的な目的のために精進しておるのであって、利益追求のために株を活用していくというやり方ではないことも明白なんですから、そういう場合においては、公社のごとき性質のものが株を持っていることは、むしろあなたの会社のためには仕合せなんではないでしょうか。私はそういうふうに解釈しております。
  80. 渋沢敬三

    渋沢参考人 椎熊さんの理念から申しますとそういうふうになると思いますが、われわれから申しますと、この会社設立趣旨が、初めから公社に持たさぬということで、原則が確立しておったのであります。たまたま売れなかった、売れなかった分をどうするかという問題であります。この一番の解答は、できるだけ売るのがいい、その間に一時的に公社がお持ちになるならば、きわめて少くお持ちになっていただくなら、われわれは差しつかえない。大きく持っていただく方に賛成はいたしません。
  81. 松前重義

    松前委員長 松井政吉君。
  82. 松井政吉

    松井委員 ちょっと時間の関係もございますし、他の参考人の時間もございますから、お答えは簡単でよろしゅうございますが、明瞭にお答えを願えればけっこうだと思います。  期間を与えていただけば売れる条件を作る、こうおっしゃる。ところが、われわれはこの法律を作るときにも当委員会で審議をした責任者です。従って、いきさつは私たちの方が……。その場合、当初から公社に株を持たしておけという意見があり、公社に株を持たしておいてはいけないという意見があり、いろいろあったことも、速記録に明らかになっておりますが、そういう議論がなされて、公社とそれから民間会社と二つできたわけで、国際民間こうなっておるのです。その場合われわれは、今度の国政調査を行う場合に、初めてその事実を知ったのです。政府がいまだに二百八十万株持っているという事実を知って、実はびっくりしたわけなんです。当時からいけば、現物出資者の公社政府並びに会社が責任を持って、一年以内にもう返さなければならぬことになっておるのです。これは当時の速記録によって明らかであります。それが、政府は二百八十万株も持っておるということに実はびっくりした。それならば、先ほどから株式の集中限度の問題の御議論をなさっておりますが、これは法律じゃないですね。政令でもないのですね。これは内規であって、しかも政府並びに政府機関の場合は、この内規は当てはまらぬのが大体の原則だと私は思います。浅薄なる勉強ですけれども……。そういう形の中において、あなたの方は、期間を与えれば売れるということになりますが、売れるということについては、従来より売る場合の変った条件を発見しない限り、すみやかには売れないということになりますが、その解釈でよろしゅうございますか。それともあなたが自信を持って売れると言うことについては、従来の形よりも新しい条件を腹案に持っていながらおっしゃるのか、それをまず最初にお伺いいたしたい。
  83. 渋沢敬三

    渋沢参考人 この会社を当初お預かりしましたときには――今のお尋ねの中に条件の問題がございますから、それに触れるのでありますが、なぜ八分の配当にしたかということをちょっと御説明申し上げておきたいと思います。私はこの事業には全くしろうとでありましたが、しかしこの会社をお預かりしますと同時に発見しましたことは、電信はさほど問題なかったのでありますが、電話はほとんど大部分が駐留軍の使用にゆだねられておったのであります。それによる収入に依存しておったのであります。しかもあの当時、二年前には、事によるともっと大量の駐留軍が早く日本から引き揚げるという情勢も予想し得たのであります。従って電話収入のかなりの部分に、未確定な収入という感じを私は持ったのであります。従って内容自体から申しますれば、本来からすれば、あの会社は一割の配当をすべき会社であろうと思います。またでき得る会社であろうと思いますが、万一そういうようなことが起って、一割の配当をしていたときにそういう事件が起って、急に減配しなければならぬというようなことになったときには、私どもとしては非常に相済まぬ、こう考えたのであります。同時にこの二年間の推移を見た上で、しかも二年間は株を移動しないという道義的な取りきめまで株主にしてあったのであります。従って二年間は全くそのままで置くという格好で参りましたので、この二年間の推移を見きわめた上で、何らか考え方を変えていかなければならぬということは、もうすでに腹の中には醸成しつつあったのであります。しかしこういうことはむやみに口にすべきことではない。従って私の考え方といたしましては、今後の情勢いかんによりまして、早く売るということは――一週間、二週間ということはとうていできません。しかしある程度の期間をいただきましたならば、十分売れるような格好にまで持っていく自信はないことはないのであります。そのことをお答えします。
  84. 松井政吉

    松井委員 その考え方はわかりましたが、この場であるいは説明できないかもしれませんけれども、条件についての考え方がおありならお聞かせ願いたいと思います。
  85. 渋沢敬三

    渋沢参考人 条件と申しますのは、売る条件という意味でございますか。――これにはむろんいろいろな条件がございます。第一買手の金利の問題、持つ方の状態、あるゆる問題がございますし、この会社の内容に対する信頼感、あらゆるものが加わって参ります。そこで売り出します価格と、配当の額の問題、そういうようなあらゆるものがコンバインされて、一つの条件を作ると思います。そういうふうな条件を腹に入れておるということだけを申し上げます。
  86. 松井政吉

    松井委員 ただわれわれはこういう工合に考えるのです。これは独占企業であることは間違いない。民間会社でありますけれども、特殊法人であることも間違いない。さらにまた、そういう特殊法人でありますから、従って株式会社にした場合に、一般証券市場において、株式の上場を目的とし、売買を目的とする立場において、株の移動が好ましくない会社であることは間違いないと思います。そうでございましょうな。そういう立場における法人であるならば、かりにあなたの腹の中におありだと思います売る条件としての配当が、八分ではいけないという問題が今度は出て参ります。そうして今度は配当をふやすということになれば、それだけ利益があるならば、民間会社だけれども公共企業だから、先ほど来参考人の御意見にもあったように、今度は利用者側の方からは値段をまけてくれという問題が出て参ります。さらにまた従業員の方からは、今度は配当をふやすために待遇条件を落されることには、働く人たちは反対しなければならない。そういう特殊的な法人であるから、先ほどから上場論が出ておりますけれども、そういう株式の集中限度等を考えて、証券市場等を対象とする株式ではないように私は解釈しておりますが、あなたもその通りの解釈をしていらっしゃるかどうか、その点を明らかにしていただきたい。
  87. 渋沢敬三

    渋沢参考人 ただいまの御意見は非常にごもっともな点が多いのでありまして、私も、この会社の株が投機的に使われるとか、そういうことは全く好みません。そういう意味において、むしろ安定株主に持っていただくことを好むのでありますが、その株主が、何かの事情でもってこの株を売りたいとか、あるいはこの株は幾らのものであるということを正確に知りたいという場合は、上場していなければほんとうは知ることはできないのです。そういう意味におきまして、公正な値段がつき、決して悪意でなしに売るという場合、あるいは非常な好意を持って買うという場合の方々に対して、その道をふさぐということはうそだと私は思います。こういう独占会社であるから、できるだけ株主を限定してしまって、それが全然移動のないようにするということは、この三十三億円の株式会社としては、そういうことはうそだと思います。やはりその間に大きなものがやたらに動くということはうそで、またこれが投機の対象になることは全くうそでありまして、遺憾でありますが、しかし何らかの必要に応じて、多少の株があちらに行きこちらに行くというような融通性を持たすということは、やはり非常に必要なことでありまして、それによってこの会社が経済界から正当に評価されるということを好ましく存ずる次第でございます。
  88. 松井政吉

    松井委員 そこでこれは議員立法でありますが、われわれも立法をする場合に、各党間でいろいろ案を練ったのです。ところがそういうことを考えるから、たとえばだれでも安定帯株主と言えない。今私が申し上げましたような意見も途中の質問の中に含まっておりますけれども、やはり私の腹の中には、配当金をふやして株式を売りに出すということをやってもらいたくない気持が働いておるのです。またそういう法人の株式ではないと考えておるのです。そういう立場において安定帯株主をどこに求めるか、こういうことになれば、たとえば配当金目当てに株を持とうとするもの、それから投機的に使おうとするもの、配当を上げて株式を売ったために、たとえば利用者側からあるいは従業員の側から待遇上の問題、利用単価の問題で議論の起らないような場所に、安定帯株主を見つけなければならない、こういう考え方から公社、こういう議論が出てきたわけであります。この考え方には反対なさる理由はないと思いますが、いかがでありましょう。
  89. 渋沢敬三

    渋沢参考人 今の御趣旨については私は非常に理解を深めるのでありますが、ただ問題の安定株というものの経済界におきます定義は、実はきまっておりません。これは今古川先生がおられますから、あとで御説明があるかも存じませんが、われわれが常識的に経済界で考えております安定株主というものは、単に大株主ということではございません。その会社をよく理解し、たといその会社が一時的な不況にありましても、すぐに売ってしまうということなしに持っておる、そういう株主安定株主というのであります。それが経済社会のその会社に対する価値観から生まれてくるべき安定株主でありまして、法制的に安定株主を造出するということは、経済界ではあまり聞かないことであります。そういうことを申し上げたいと思います。
  90. 松井政吉

    松井委員 時間の関係がありますからやめますが、要するにそういうことで、実はあなたの方は議決権を停止することは、今の株より減っても望ましいということを先ほどから言われておりますが、これは専門家の先生がおられますから、その方からあとでいろいろ拝聴いたしますけれども、これについては実は商法上の立場から考えれば不合理なものなんです。けれども持株整理委員会等が指定する株とこの株式は違うのです。しかしながら商法上から見れば議決権を停止することとは不合理でも、政府が持っておるというのは、当初の目的からすれば持っていることのできないものなんです。早く処分しなければならぬし、会社も早く処分しなければならない性質のものなんです。それを会社政府も二年ほったらかしておった、それをどうするかということになっても、今すぐには処理はできない、そこで株主はきわめて経営影響のない、従業員の待遇に影響のない、さらにまた利用者等からそれほど利益があるのならば値段を負けろなどと言われない場所を探さなければならぬという苦心をしたわけなんです。その結果がこういうことになったわけで、実際は法令的に見ればわれわれは若干の疑問を持つのだが、そうしなければならないという議論の方が大切だ。こう考え立法したわけなんですが、あなたの場合はただ国際電信電話の社長の立場においてのみ、こういう場合でも議決権を持たせない方がいいという御議論ですか。そうでなくて一般的な経済界から見ても、こういう場合には議決権を持たなくてもいいという法理論的な解釈でありますか。それだけ最後に一言伺っておきたいと思います。
  91. 渋沢敬三

    渋沢参考人 議決権の問題は、私は確かに多少の考え方もあったのでありますが、すでに皆様方の御研究の結果こうなったと思います。問題は議決権を除くということをお入れになった動機でありますが、これはどこまでも公社がこの会社支配権を持たないという根本的な建前から出発した御議論だと思って、私たちは受け入れておるのでありまして、どこへでも応用する気はございません。
  92. 原茂

    ○原(茂)委員 違った面から一つお伺いしたいのですが、さっきの圧力問題です。それは単にこれからのこういう事態になったときに想像できるのではなくて、過去に何かそういう経験があるのではないですか。今労働者の待遇をきめるとか、いろいろな問題のときに何か言われたように、圧力がかかったように、あるいは人事問題に関してもそういう事例が過去にあるから、そういうおそれを持つというようなことが、さかのぼって何かあるのではないですか。
  93. 渋沢敬三

    渋沢参考人 ただいまのことに関しまして、少くとも私の知る限りにおいてはございません。
  94. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほど井手さんからもちょっと言ったように、これも人聞きだからいいのですが、過去には全然ないわけですね。それでは今までのような参考人とされての御答弁その他説明をじゃんじゃんおやりになる態度からいっても、一つも心理的圧力がありそうだ何だということは、商法上から照らしてもはっきりと議決権を持たないことになっておる以上は、経営者としては何を言ってきたって、がんとしてはね返すだけの決意をお持ちになったら全然心配ないのだ、こういうふうに考えますが、そういうふうに決意されたら、そのまま何らの不安もなく、何か心理的な圧力が来たら、あなたの責任においてこれをはね返す、そういうことができるのではないですか。
  95. 渋沢敬三

    渋沢参考人 お説はごもっともと存じます。議決権のないということは非常なことでありまして、われわれといたしましてもちょっと言葉が見当りませんが、今の圧力という言葉が問題になったのですが、これはわれわれには何にもないということを確信しておりますが、しかしいろいろな考えの方がたくさんおるという場合におきまして、非常にこまかい心理としては、全然ないということは言い切れないということだけを申し上げておきまして、それは非常にこまかい、大きな線に浮び上ってこない問題であります。そういう意味においては(「それはいい影響なんだ」と呼ぶ者あり)両方あります。この点は一つほかの方からお聞きを願いたいと思います。
  96. 秋田大助

    秋田委員 参考人の皆さんの御意見をいろいろ拝聴いたしておりまして、御議論の分れるところをしぼってみますと、機能が少し粗雑であるかもしれませんが、結局国の内外にわたる電気通信事等の経営者が一本であるべきか、あるいは分離がいいかという点と、もう一点、民営がよろしいか、あるいは公営かよろしいか、その中には公社営、あるいは国営という点に分れましようか、広く言いまして公営がよろしいか、民営がよろしいかという観点から発しておるように思うのです。この二つの点をまたしぼって考えてみますと、重点は民営がいいのか、ことに国の外に向う国際電信電話事業民営が好ましいのか、公営が好ましいのか、この点に大体帰着するのじゃないかと思うのです。そこで先ほど渋沢さんからは、この国際電信電話株式会社法立法趣旨から、またその社長さんの建前からいかれまして、民営趣旨をくずものでないことを、この法案改正案に対して希望されるとおっしゃったのは当然でございますが、考えてみるとそれをもう一ぺんここで振り返って検討しているような形になっておると思いますから、あなたさんは金融界にも多年の豊富な御経験を持ち、また国の財政にも御関係遊ばされた特異な方であります。国の内外の経済にも知識もあり、練達な方であります。国際電電株式会社の社長という立場を離れて、この際公平な第三者として、国際電信電話事業をやるのには民営がベターである、あるいは民営でなくてはいかぬ、この趣旨参考のためにはっきりわれわれに聞かしていただきますと、非常に参考になるのじゃないかとも思われますので、その点だけあなたの御意見を伺いたいと思います。
  97. 渋沢敬三

    渋沢参考人 ただいまの秋田さんのお問いにお答えいたします。私はこの会社をお預かりすることになりましたときから、この点ははっきりしておりました。先ほど参考人の各位からもお話がありました通り、海外通信、また外航船舶、その他国際間におきます各国の競争場裡に乗り出すという点におきまして、会社経営の方がはるかに適当であるということを考えておる次第であります。その理由を二、三申し上げてみます。  この会社になりましてから、私が社長であるということを除いて、私は技術面をちっとも自分では存じないのでありますから、そういう意味において私は自慢をして申し上げるのではございませんが、確かに日本として非常に劣っておりました周波数を獲得することが多大でありました。しかもそれが迅速にかち得たのであります。また東南アジアその他に対しましての通信回路の増設、電話の直通回線の増設というようなことは、この二年間に着々と進んで参りました。また先ほど一議員から正確、迅速ということのお話がございましたけれども、今日詳しいことは私は存じませんが、正確という点から数字で申しますと、創業前であります昭和二十八年三月の統計によりますと、誤謬――間違った字が出てくる率が、一万字に対しまして六字でありました。こはが昨年末になりますと二・五字に減っております。これは統計が示しております。また迅速という点から申しますと、創業前から見ますと、場所によって多少の異なりがございますが、ある地点におきましては時間が三分の一に減っております。ある場合には半分に減っております。全部についてみな時間が減って、迅速になっておることは事実であります。その他最近の情勢から見まして、短波の獲得ということは非常に困難のように見受けられます。各国ともこれに割り込みをやっておるわけであります。従ってこの少い短波をいかに利用するかという点におきましても、会社になりましてからこの二年間に仕上げた仕事は数々あるのでございます。中には米国におきましてもついにできなかったことをわが社が仕上げまして、そうしてついに米国がこれに対して――米国と申しまてしもRCAでありますが、頭を下げてわれわれの方の発明を買って、機械も輸出をしているというような状態であります。そういうようなわけで、こういうことは公社ではできないのだということを申し上げるのではございません。そうじゃなくて、これを非常に短かくやってのけるという点から見ますと、はるかに能率的であろうということだけは証明できるように思います。先ほど利用者方々からいろいろの参考人の御意見がございました。ある面では大へんにほめていただいたような点もあり、ある点ではまだ足りないじゃないかとしかられながら伺っておった次第でありますが、それもわれわれよく存じております。創業以来二年におきまして達成しました、これは自慢でなしに、数字が出てきました点においては、相当な成果を上げていると自負をしておるわけであります。しかしこれは利用者方々から見ればそれだけでは足りない、もっともっとやるべきことがたくさんあるのだ、それをまだやっていないじゃないかとお小言をちょうだいしますれば十分にございます。そういうような点はこれからどしどし改めるのでありましょうが、その点が大きな公社的な組織である場合と会社である場合とにおきましての処置の迅速とフレキシビリティといったようなものから見ますれば、はるかによろしいのでありまして、それによってわが国の貿易の先端を行きますところの電報が、できるだけ正確、迅速に行きまして、貿易を助けるということがわれわれの使命であります。しかも各国の競争は激甚でありますので、そういう意味におきまして、働く上におきましての感覚から申しますと、私自身決してできた男でもありませんし、先ほどおっしゃったような資格はございませんけれども民営の方がよろしいということを確信している一人でございます。
  98. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ちょっと一言だけ渋沢社長さんにお伺いいたします。この法案はごらんの通りに、いわゆる会社の性格を変えるという意味はどこにも入っておらないのであります。ただ一部の人が、これは誤解と私は思うのですが、何か公社が相当の株を持てば、将来公社に吸収せられはしないか、こういうことが一つと、また公社にはできなくしても、別の公社を作りはせぬか、こういうようなことが御心配だろうと思うのですが、そういうことがいろいろの誤解を生んでおるのじゃないか。しかしこの法案の中には、ごらんの通りにそういうことは少しも考えておらない。そこでなぜ簡単に、公社に統合したり、もしくは別の公社を作ることができないかということは、渋沢さんは前に大蔵大臣をしておられましたから、よくおわかりだろうと思いますが、もしこれを公社に統合することになれば、当然他の株を買収して、いわゆる公社予算としてこれは国会で審議してきめなければならぬことでありまして、当然これには新しい法律を要しますし、いわゆる国の予算の問題にも関連が必要であります。それからまたそうではなくして、別の公社にするということになれば、公社は当然国家機関ではありますけれども、大蔵省の財産ではありませんから、公社の株を買い上げ、同時に会社の株も買い上げて一つの公社を作るということでありますから、これも同様にいわゆる国の予算に関係してくるのであります。こういうような事情ですから、今公社が株を所有したということだけで、これが公社にする、もしくは統合する一歩前進である、こういう解釈は私は成り立たぬと思うのですが、社長はそれとも成り立つようなお考えかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  99. 渋沢敬三

    渋沢参考人 ただいま橋本委員の仰せられる通りで、私はそういうことは成り立たぬと考えております。
  100. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 いずれ公社の方の参考人の陳述がありましょうが、まず一部の人が考えておるように公社に統合せられはせぬか、こういう考え方でありますが、現在の組織及び会社の内容と公社の内容は、二年の間に非常に変ってきております。たとえば給与の面において違う、あるいは仕事の面において非常に違ってきております。もしこれを公社が統合すれば、公社自体に大変革が起り、大混乱が起るということをわれわれは議員として考えております。従って公社としては、別の公社ができれば別問題ですが、公社に統合しようなどということは夢にも考えておるべきはずもないし、理論的にもそういうことはあり得ないと私は考えるのですが、この点についての社長の御意見をお伺いいたしたい。
  101. 渋沢敬三

    渋沢参考人 全く同感であります。
  102. 松前重義

    松前委員長 ほかに御質問はありませんか――御質問がなければ次に移ります。  古川参考人にお願いいたします。
  103. 古川栄一

    古川参考人 一橋大学の古川栄一であります。ただいま直接の関係者、それから利用者、または大株主、そういうそれぞれ利害の非常に密接な方々のお話がございましたが、私はその点では御存じのように全く白紙の立場でございます。今日国際電電会社の株を日本電電公社が持つかどうかという改正案につきまして、結論を先に申し述べますと、私は若干の修正の条件を加えまして賛成の立場でございます。これをよいか悪いかということを判断いたしますには、国際電電会社の非常に公共的性格が強いという、そういう性質の会社の健全なる発展という基本的立場から私はこの問題を考えて、右のような結論に到達したのであります。  問題は、株式電電公社が持つか持たないかという問題ではございますけれども、今いろいろ参考人のお話もございましたように、株式保有に関しまして実は相当複雑な問題がからんでいるだろうと考えるのであります。これを考えますには、それぞれ利害の立場が当然あるわけでありまして、まず何といいましても第一にこれを判断いたしますのは、ただいま申しましたような会社自体の健全な発展でございますが、この場合国際電電会社が非常に公共的性格を持っているということと、その事業の内容なり性質というものに密着して考えなければならぬ、これがまず第一の一番重要な考え方をきめる観点のように思います。同時にそれに関連いたしまして、すでに二ヵ年間株式会社として出発しておりまして、それぞれ社長初め重役さん、つまり経営担当者の方々、さらに従業員の方々が非常に熱心に従事されてきておりまして、そういう現在の従業者――重役も含めました広い意味の従業者の立場からこの問題を考慮しませんと、公平な判断はなされないと思うのであります。第三に何といいましても株式問題でございますので、現在あります株主の利害の関係考慮しなければなりませんし、最後に、言うまでもなく公共性を持った強い会社でございまして、その利用者としての立場、これを推し広げた社会的立場といったようなものでありましょうが、そういうふうな四つくらいがからみ合って問題になっていると思うのでありまして、そういうものを考慮して私は今の結論に到達したのでありますが、内容について若干の理由を申し上げます前に、実は私は大学の教授ではございますけれども国際電電会社設立されるかどうかというときに、参議院におきまして、当時電気通信省から今日の電電公社並びに国際電電会社を作るのがよろしいかどうかということで、私は参議院に参考人として呼ばれて意見を述べております。それからもう一つ国際電電会社に関しましては、電気通信設備評価審議会がありましたときに、私はしろうとでありますけれども、評価委員として若干会社内容につきまして関係しておるのでありまして、そういう意味で、その実態から見まして私考えておるのであります。特に私は電気通信省から公社並びに電電公社を作ることにつきましては、非常に疑念を持っておったわけでありまして、公社としては賛成でございますが、いきなり株式会社というものに移行しようとしているだけではなくて、従来の国際電気通信株式会社が合併せられまして、長い間一緒にやって参りました事実上からいいましても、一緒に仕事をやって参ってきておりますから、いきなり会社にしないで、公社として改組いたしまして、様子を見てからさらに会社にするというふうに考えてもよろしいじゃないか、こういうことがたしか速記録に載っているはずでありますが、私はそういう意見を申し上げたのであります。しかしそれにもかかわらず、実は会社になりましてからの経過を見ておりますと、一つは電電公社が、私どもが理想にしました真の公共企業体という性格にはなっておらないのでありまして、多分に公企業的性格でありまして、予算の上におきましても、たとえば給与総額をきめられておりますとか、企業体でありながら、これは国家資本が入っておりますけれども、資金予算だけではなくして、事業予算のこまかいところでも見せるとか、その他いろいろの点があると思いますが、実は私ども考えておりました公共企業体にすっかりなっておらないという点がもちろんあったことにもよりますが、国際電信電話会社がむしろ民間事業としまして、すっきりした形で発足したことは、私は実は成功であったと思います。ことにさっき申し上げましたように電気通信設備の評価をいたしまして、しろうとでありましたけれども、現場を見まして、国際的な意味を持っている機械、通信機等が非常に旧態依然とした、あるいは陳腐化した品物であって、これでは国際的に恥かしいのではないか。しかもあの評価委員は非常に厳重でありまして、従来私は評価委員に若干なったことがありますけれども、あれほど厳重に含みのない会社約三十二億何千万円でありますけれども、中立約な評価委員といたしましても、お気の毒くらいに私は考えておりました。それにもかかわらず、これがすっきりした民間事業として、渋沢さん初め皆さんの御努力によりまして、非常な設備の近代化が行われ、今も渋沢参考人からお話がありましたように、技術的な面についてもいろいろの改良を行われ、私の承わっているところによりましても、直営営業局が十ヵ所も新設されて二十五にもなり、また対外回線の新局が二十六ヵ所にもなって、国内連結線が近代化されまして、非常な好評を博しているということにつきましては、これは公共企業体でなくて、むしろすっきりした形で発足したということに一つ大きな原因があったように、私どもしろうととして考えられるのであります。それにもかかわらず、実は承わりますと、あの当時は株などというものは、私ども根がしろうとでありますが、独占性がありますし、有望な会社でありますし、経営陣にはりっぱな人がおりますし、しかも腕前のりっぱな従業員によって成り立っておりますから、今のように株が売れないとかいうことを思っておらなかったのでありまして、おそらく配当の問題がうたわれておらなかったとしても、一年以内に全部売り切れるであろうと一般の方も考えておったと思いますし、私もそう思っておったのであります。しかるにもかかわらず二百八十万株も売れ残っておる。これはいろいろの事情があったと思うのでありますが、一つは何と言いましても配当が少く、八%に限って、もっぱら内部留保に努めた。その他株式市場の変化等々、いろいろあったと思うのでありますが、とにかくこの株が売れなかった。こういうようにりっぱに進んでいるにかかわらず、そういう結果を来たしたということについては、むしろ非常に不思議と思っておるのであります。そういう意味におきまして、現在この膨大な残り株を、兄弟会社でありますところの電電公社が引き受けて、株式市場の圧迫からくるところのいろいろの障害をのけて、その株主になるということにつきましては、私は非常に賛成しているのであります。  もちろんこれに関しましては、やはり長所と同時に欠点が当然考えられると思うのであります。それは今参考人からもいろいろお話がありましたが、何か電電公社が株を持ってしまうと、またもとの官僚的な経営に逆房りするのじゃないか、あるいは会社の人事権にまでも電電公社が介入するのじゃないか。おそらく従業員の方々としても、今まで給与総額に縛られないで、働きに応じて賃金が上っておったというのは、みずから働き出した結果でありまして、それをまた今度電電公社式のワクをはめられるのじゃないか等々の心配が出てくるということは、私ども第三者としては一応考えられるところであります。おそらくこういう点とそれからもう一つは、先ほどからお話がありましたが、今の国際電信電話会社設立のときには当時佐藤大臣が、会社株式の大部分を保有することによって公社会社を支配することは、会社設立趣旨に合わないのだ、こういう御発言も確かにあったわけであります。そういう設立趣旨というようなことを考えて、しかし一方株は売れない。これはにわかに消化することはできない。社長さんは若干の腹案がおありのようでありますが、できない。しかしそういう大量の約五分の二に当るところの大株主として電電公社が株を持つことは、支配権の問題にからむということで、おそらく議員の皆さん方は案をお練りになって、議決権を与えない、こういう御趣旨のように理解しておるのでありますが、この株を持つことは、今言ったような意味において兄弟的性格を持つ会社であり、それが持つという点におきまして今の心配が――特に私どもはむしろ血は水よりも濃いと思っていますが、また兄弟同士の間にはいろいろの問題があるらしいようにも推測できないわけではないのでありまして、同じような出発をしました方々の給与が違ってきたというようなことになりますと、若干の問題は考えられないことはないと思うのでありますが、そういうことを非常に心配なさいましたからではないかと思いますが、議決権を与えない。しかしこれは非常におかしいと思うのであります。議決権株主の基本的権利でありまして、議決権を与えないのは、利益配当に関しまして――商法にはっきりうたっておりますが、つまり優先権の場合に株主議決権を与えませんし、しかもその結果は、無議決権株の限度は株数の四分の一をこえてはならないという規定がありますのは、実は議決権を与えないことによりまして、議決権を有する少数株主へ支配力がむしろ集中するということのためであります。これは実はアメリカにもあったことでありまして、州によって違うようでありますが、アメリカでは会社議決権のない株を優先株にすることを許しておるようでありますが、株主のうちには、特に小株主でありますが、事業内容にはあまり関心を持たないで、配当だけもらっていればよろしいのだという人に実は利益配当を優先させまして、そうして議決権を与えない。ところがこれが悪用されまして、むしろ少数株主が、議決権のないことによりまして少数株主支配権が大きくなりますから、それによってむしろ支配力を強化したという例もあるのでありまして、学者によりましては、むしろ議決権のない株は、株主立場から、ことに支配力の立場から反対している学者も実はあるのであります。リープマンという学者もそうであります。これを国際の場合に当てはめてみますと、三十三億のうち今十八億がすでに売れておりますが、そうしますと、大ざっぱに言いましても十四億が議決権のない電電公社の株になりますと、十九億のうち半分持てば支配できますから、九億を持って支配ができる。しかもこの株主は全部株主総会にやってくるわけではありませんし、ことに話を聞いてみますと、なお相当千株以上の株主が多いようでありますけれども、それにもかかわらずなお二百何十人という方でありますから、大ざっぱに言いましても、七、八億ありますれば会社が自由に支配できるという、むしろ逆の作用を及ぼす可能性が考えられるのであります。ことに株主銀行、保険会社等々、もちろん国際の公共的性格を非常によく理解されて株をお持ちになっているのでありましょうから、にわかにその株の値上りとかいうことに対して興味を持ったり、スペキュレーションの対象にしようというふうには考えられないかと思いますけれども、しかし銀行、保険会社はやはり何といいましても営利会社でございますから、株主の支配力が大きくなりますれば、むしろ電電公社の方の圧力ではなくして、逆にこういう営利会社として株を持っています会社の圧力が、しかもわずかの株主でもって圧力が加わってくるという条件が考えられてくると思いますが、確かにこれは安いのでありまして、電力でも一割二分でございますか、私鉄でも一割、まあ一割二分というのが普通の常識だろうと思うのでありますが、もし一割二分としても、その値上りということを特に考え株主がありますれば、あるいはそれ以上にむしろ株の値上りの方面に非常な興味を持ってきて、そういう方面からする圧力というものがやはり考えられなければならないのじゃないか。もちろんそれに関しましては、これは特別法でありまして、国際電信電話株式会社法の第十一条には、郵政大臣の認可を受けなければ利益金の処分はできないようになっておりますから、そういうむちゃなことは普通の公社と違いますからできないとありますが、もしそれならば電電公社が持った場合におきましても、同じく十一条におきましては取締役、監査役の選任及び解任、それから合併及び解散の決議、これらはいずれも郵政大臣の認可を受けなければならないことになっていますから、むしろ同じ公共的性格を持って発足し、仕事の上につきましても非常に関係の深い電電公社の方が株主としては銀行、保険その他の会社よりは、事業内容について同情があり理解があるように、私は第三者としても考えられるように思うのであります。ただ議決権を与えないことは非常に例外であります。しかも優先株でも何でもございませんし、商法の規定の四分の一をこえて議決権株を与えないということになると、少数株主に非常に支配力が集中します。しかも支配力が、重役の選任ということよりも配当を増す、株の値上りをねらうということになりますと、これは必ずしも公共的性格を持ちました会社に対しましては、いい影響を与えないように考えられるのであります。  それから非常常に言いにくいことでありますけれども株式を分散した方が会社はやりやすいのであります。それは学者の方が言っている経営者支配であります。株主の方は非常に分散しておりますから、株主の圧力よりも経営者として――株主総会に一旦出ますと、次々に候補者を出すことができますから、この候補者は、特別の会社は別でありますけれども、原案が否定されたというのは、ある一、二の乗っ取り会社をのけまして、私どもは聞いておらないのであります。原案がそのまま通るのが普通の状態てあります、これは白紙委任状というのも出てきますから。そうすると経営者におまかせするというのは、非常に重要な方に、しかも仕事に非常に熱意のある方におそらくまかされてあるのでありますから、心配がないようでありますが、むしろ経営者支配になるということは必ずしも安心ができないのであります。これは電電、国際がそうだというのじゃありませんが、むしろ従業員と結びつきやすいのであります。従業員と資本家とは、労使対立の関係の場合もありますけれども、労使がぐるになる場合もあるわけでありまして、株主の圧力がございませんし、分散しておりますから、むしろ経営者と労働者がなれ合いという形になる可能性も多分にあり得るのであります。これは経営支配の一つの欠点であります。多数株主が分散することによりまして、むしろ経営者が、そういう意味ではなくほんとうに仕事を扱う人で、信念を持っておやりになる場合におきましては、経営者支配からくるいい点が現われまして、従業員となれ合いというのは悪い言葉でありまして、お互いに協力してやりますから、これは非常にけっこうなんでありますが、むしろ株主ということは第二、第三になりまして、これが自分たちの会社のごとくに考えられがちであります。ことにこういう公共性を持ちました会社におきましては、経営者支配につきまして、よほど経営者の方が、会社自身の公共的性格、ことにこれは独占事業でございますから、そういう点について十分お考えになりませんと、ただ株主分散だけでは社がよくなるというふうなことは、必ずしも簡単に結論は出てこないようにも思われるのであります。そういう意味におきまして、公社が株を持つのは非常にけっこうでありますが、それだからといって、非常に支配力をおそれまして、これを議決権のない株主にするということは、むしろ逆の効果が現われる可能性も多分にあるわけであります。それでありますから、これはやはり株主公平の原則に従いまして、当然議決権を与えなければならないと思うのであります。  ただし今申しましたように若干の誤解がありますし、どうもせっかく株式会社になって非常によい成績を上げている。しかも電電公社方々も御熱心でありますが、電電公社は、私が今申しましたように必ずしも公共企業体としての法律上その他からしまして、文字通り独立採算制で経営責任を与えられたところのものではないのでありまして、中間的存在でありますから、予算とか、今申しました経営とかにつきまして、非常におかしなワクがかけられております。この点は御存じだと思いますが、公共企業体合理化審議会がありまして、私もその再門委員の一人として、席上で電電公社方々にお会いしまして、現在の公社形態自身の中身について、非常な不満足な点をお持ちになっていることを私はよく承知しております。従いましてこの公社には、そういう公企業的なにおいと、公共企業体的な中間的存在だと私は思うのでありますが、むしろそういう点から申しますと、国際会社会社としてすっきりした形でありますから、しかも公共的性格を持っておるという点におきまして、相当の株を電電公社が保有しまして、いわば圧力はないのでありまして、ポテンシャルな、潜在的な力をやはり確保しておるということが、そう言ってははなはだ失礼でありますが、電電公社自身に実現し得なかった理想を、むしろ国際電電会社において育て上げ、側面から援助する。しかし社長さん以下の従業員として、責任をお持ちになっている方に対して、支配力を及ぼすということは、やはり世間の誤解もありますし、またおそらく電電公社自身が、経営委員会その他の制度もありますけれども、やはりいろいろな制約、ことに政治的な制約もあるでありましょうし、法律的な制約もありましょう。そういう自分たちの苦労をむしろ国際電電会社にかけないように、同情を持って見守るためには、私は議決権を持ちながら、さっきも梶井総裁からお話がありましたが、代理行為というような形で、議決権を白紙委任状あるいはポテンシャルなものとしてお持ちになって、しばらく留保して、これはお話し合いでけっこうでありますが、――これは剥奪したのではないのでありまして、ポテンシャルなものであります。ポテンシャルなものであるということは、たとえば他の株主銀行その他が株の値段をつり上げるというような意図がかりにありまして、経営内容、サービス改善、設備の近代化という、国際電信電話の公共的性格の使命を果すのに障害になるようなことの発言があったような場合においては、ポテンシャルなものでありますから、発言可能なものとして、いわば黙った力として、牽制的力として保持するということは、むしろ議決権を剥奪してしまうよりも私は非常に必要だと思います。  なお、郵政大臣がさっきの取締役なり監査役の選任につきまして、認可をすることになっております。この場合、かりに電電公社の方が会社にふさわしくないようなことがあったような場合におきましては、ここで認可されましょうが、しかしなかなかむずかしい問題と思いますので、単に議決権を残しておいて、ポテンシャルなものとしておくだけで、心配の場合は、郵政大臣が認可をいたしますときに、名前はどうでもいいのでありますが、たとえば国際電信電話会社審議会というようなものを郵政大臣のもとに設置しまして――重役の任免あるいは配当の額などにつきまして公平な判断をするために、審議会的なものを設置いたしまして、第三者的公平の立場から制度的にもこれを抑制するとか、あるいは監督するというふうな制度を残しておきますれば、議決権を抜いてしまうというような非常に不合理なやり方でなくても、十分効果を上げ得るというように私は考えておるのであります。従いまして、議決権を与えてけっこうでありますし、株をお持ちになって、むしろ同情的にそういうふうな会社経営の内部にまでおまかせになって、そとからそれを援助する、これは技術上から、設備上からいろいろあると思いますが、その方がむしろ有効ではないかというふうに私は考えておるのであります。以上であります。
  104. 松前重義

    松前委員長 前田榮之助君。
  105. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 古川先生にただ一点お尋ねしたいのですが、株を持たせる、株を電電公社の方へ持たせて公共性の点を発揮するという点については、まことに聞くべきものがありまして参考になったと思いますが、最後に申されました審議会を作るという点です。こういう審議会の制度は、今の日本の行政の上からもずいぶんあるのですが、一般から見ますと、この審議会がいい成果を上げておるというようなものは、ほとんどないような実情なのであります。これはどこに欠点があるかということになると、いろいろな事情があろうと思うのですが、古川先生、審議会が非常に成果をおさめておるという何か実例があれば、聞かしてもらいたいと思います。
  106. 古川栄一

    古川参考人 私も若干の審議会には関係しておりますが、しかし広く利害だけにとらわれませんで、学識経験者といいましても必ずしも詳しく知っておるわけじゃございませんが、広く意見を参酌するということは、ことに公共性を持った場合におきましては一応考えられることと思いますし、審議会がどういうふうに具体的に効果を上げたかということの実例というのは、私も例を出せと言われると、たとえば公共企業体合理化審議会というのがございますが、これはやはりこういう審議会を通じまして、公共企業体とは何ぞや――電電公社なり国鉄なり専売公社なりNHKが公共企業体になっておりましても、公共企業体というものがどういう性格のものであるかということ自身も、実は多くの方々が御存じないような点もあるように私など思うのでありますが、こういう審議会を通じまして、そこへおいでになった方には一つの啓蒙にもなったし、あの結果はいろいろ使われておりますが、これが果して公共企業体合理化審議会が成績を上げたかということになると若干疑問がありますが、やらぬよりはやはりよかったのではないかと思います。ことにこの場合は非常に具体的でございますから、郵政大臣が認可権を持っていますけれども、何か大株主があったら、支配力、非常に独裁的な圧力を加えられて、結果はおもしろくないのだけれどもというようなことについて果してどうかというようなことを、やはり大ぜいの目で、ことに利害のない者の間で論議して結論を出すということが、やはり公平ではないかという考えでございます。
  107. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 大体御意見はわかるのですが、国際電信電話株式会社というものが、渋沢社長の言われたように、この二ヵ年の間に日本一の公共企業体の性格から脱した形において、相当成果をおさめたという会社経営民間事業運営を行う際に、ただ郵政大臣が認可権を持っておる、その認可権の諮問機関としてということでお考えだろうとは思いますが、会社事業に関して、審議会等を作りまして、それがためにしゅうと、しゅうとめが多くなったくらいのことになって、せっかく渋沢さんみたいな文化人であり、最適の人こういう人が就任されるとは限りませんで、中にはそうでない人もあるだろうと思いますが、そういういい人が就任された場合において、審議会あたりがいろいろなことにくちばしをはさむことは、むしろ活発な、自由な発展に阻害になるとも、何らいい結果をもたらさぬのではないか、こういうことが考えられるのですが、そういうことになるのではないでしょうか。
  108. 古川栄一

    古川参考人 私が審議会案を出しましたのは、何も積極的な意味よりも、議決権を与えないよりは、むしろ与えていく方が公平でありますから、参考人の方その他いろいろな空気を私察しまして、どうも株主総会自身が、だれか特異な人に牛耳られるおそれがある、心配があるというときには、審議会というものがあれば、むしろ私の考えておりますのは、審議会が積極的にこうしなさい、ああしなさいというよりは、そういうものを置くことによって、たとえば大株主だけの特別の利益がかりに考えられますれば、そういうところからコントロール、抑制するというよりも、消極的な意味で、当然ポテンシャルなものとして大株主には与えてあるけれども発言はしないという形でうまくいきましたならば、審議会になってもいいと思うのです。審議会は無言の威力といいますか、そういうことがあるから、変なことができないという仕組みを一応考えておいておそらくよろしいのではないか。そこから積極的な統合意見を聞こうというよりも、経営者、取締役会に、会社によって多少違いますけれども、無言の威力があって、実際担当者がある一部の力があるということからのみ、公共的性格を持った仕事に片寄ったことがなし得ないという無言の威力という意味で、実は審議会を考えたわけでありますが、なくてもそういけばいいのでありまして、積極的な寄与は必ずしも期待しておりません。
  109. 原茂

    ○原(茂)委員 非常に参考になる御意見だったのですが、二点だけお伺いしたのです。  一点は、さっき労使がなれ合った結果の弊害について御説明があった。労使がなれ合うというと言葉は悪いのですが、協調していかないと、今の経営というものはうまくいかないと思うのですけれども、それはなれ合いの弊害のみにとどまらない。やはり協調し、いい面というものが非常にあるだろうと思うのですが、今度のこの場合にも、やはり労使が協調していく姿を、何か具体的に現わした方がむしろいいくらいなんです。そういう面で、やはり先生は労使のなれ合い、ぐるによっ ての弊害ばかりではなくて、いい面もかなり事例があるのだという主張がおありになるだろうと思う。それが一点ですが、お聞かせ願いたいと思います。  時間がないので、次いでお伺いしますが、さっき渋沢さんからもお話がありましたが、上場株としての資格を失うという心配を非常にされておったわけです。二百八十万株を持つということは、これは約八割に相当する。従って百四十万株が公社の最大限度だ、こういうことが言われたわけなんですが、政府あるいは政府機関が持つ場合にはこれを除外するという規定もあるように思うのですが、この法案がもし成立した場合に、一体今渋沢さんの言われた心配がそのままあるものか。あるいは政府機関の持つ場合には、そのことを除外して考えてもいいと解釈なさるのか。この点を一つ、専門的な立場から御説明を願いたい。この二点です。
  110. 古川栄一

    古川参考人 私は悪い点を強調したが、いい点が非常にございます。そういう可能性がないわけではないというふうにおとりいただければけっこうであります。それには労働組合が非常に成長しておりますことと同時に、今の会社の重役さんは、資本家よりは組合の方がおそろしいのではないかという点が若干あるのでございます。ことに株式を分散するということが非常に問題になっておりましたが、株式を分散すれば分散するほど、烏合の衆でございますから、資本からくる圧力、必ずしも圧力が悪いのではないと思いますが、やはり公平な目でもって見ておるわけでありますから、何といっても身近なものの力が大事でありまして、労使協力しなければ仕事ができません。協力となれ合いというのは非常にむずかしいのでございますが、会社自身の発展ということから言いますれば、どうしても労働組合と経営者が一緒にならなければやれないと思います。その限度はなかなかむずかしいのでございますが、具体的な例は一、二ございますけれども、たとえば大阪あたりの会社がつぶれてしまったという点は、これは労働組合がそのまま認めまして、配当とか――あるいは私的会社でありますから独占会社でありませんし、競争会社がございますから、その面から会社がつぶれますが、今度の場合は何といいましても独占会社でありますから、その点が実は非常に心配になるおそれがあるわけでありますが、しかし協調はあくまでも基本的条件でありますから、それは非常に今度の会社はうまくいっているのであります。そういう株主分散からくる可能性があるというようにおとりいただけばいいのであります。  それから第二の株式上場の問題でございます。これは私どもわかりませんが、大蔵省かどこか基準を作っているようでありますから、日本銀行か帝石でございますか、これはたしか政府所有が半分でありましたか、上場しておりますが、これは総株主の数が多いかどうか事情を私は知りませんが、こういう特殊会社でありますから、何か特殊会社でこういう成立過程からいたしまして、やはり評価して、スペキュレーションの対象になってはいけませんけれども、さっきも渋沢参考人からお話のありましたように、会社の株の相場があるということは、その市場からくる会社の評価でありますから、私は必要だと思います。そういう意味では、こういう特別のものに対しましては、何か今の一万株以上はどうかという規定を、どこか大蔵省できめた基準じゃないかと思いますが、あるいは証券取引所できめた基準でありますか、そういう特別の措置がとれますれば、そういう手を打ちましたならば、証券市場からくる会社の評価というもの、売ったり買ったりすることはもちろん必要だと思います。それ以上の、会社の評価という点は必要じゃないかと思いますが、これは皆さん方で考えていただかなければならないかと思います。
  111. 松前重義

    松前委員長 ほかに御質問ありませんか。――御質問がなければ次に移ります。  渡辺斌衡参考人にお願いいたします。
  112. 渡辺斌衡

    渡辺参考人 御指名にあずかりました渡辺でございます。各種の通信機製造業をしておりますが、すでに多くの参考人の方からいろいろお話がございましたので、すでに私から申し上げることもないと思います。ただ一言申し上げますと、今までお話の出ておりました国内通信と国際通信とを同一の事業体でやるべきか、別々の事業体でやるべきかという問題につきましては、これは考え方じゃないか、こういうように思っております。戦争前には二つが別々の事業体でやっておりましたが、戦後平和条約ができますまでは一緒に一つでやっておりまして、平和条約ができましてから電電公社が発足しますときに、国際電信電話というものが分離したことは皆さん御承知の通りでございます。重ねて申し上げますが、これは考え方で、どっちでなくてはならないというほどのこともないじゃないか。これが現在二つある理由じゃないかと思います。とにかくも二つの事業体があります以上、おのおのそのためにございます法律というものに基いて運営されていかなければならないじゃないか、こういうふうに思っているのであります。  それでまず政府所有する株式を遅滞なく処分しなければならないということがあるにかかわらず、二カ年間も処分ができなかった。それで今度これを電電公社の方に渡す、こういうことでございますが、これはもともと電電公社が出資しました資産の代償である株式でございますので、処分できなければ公社が持つということも起り得ることでございましょうし、従ってその財産から生じます果実というものも、公社取得するということは当然じゃないか、こういうように考えられるのでございます。また話が違いますが、われわれといたしましては会社経営安定株主というものがあるということは望ましいことだと、こう思うのであります。今度公社国際電信電話の大きな株をお持ちになります、抽象的に言えば安定株主ができるということで、けっこうなことじゃないかと思うのでありますが、しかし先ほどから威力か圧力か存じませんけれども、一人の株主があまり多くの株を持つということは、いろいろ弊害もあるというようなおそれですか何か存じませんが、そういうものもあるのじゃないかというので、立案者が、株は持つけれどもその議決権は取り上げる、やらないのだというような規定考えられておるわけでございますが、これは立案者が非常に各方面にわたってこまかく気を配られた結果の視定である、こういうふうに思うのであります。先ほどからお話を伺っておりまして、公社の方も会社の方も根本的に違うという御意見もないようでございますので、この法案の立案者が、さらによく当事者の気持その他の事情というようなものを御研究になりましたら、必ずみんなが満足できるような法案が生れるのじゃないか、こういうふうに思っております。はなはだ簡単でございますが……。
  113. 松前重義

    松前委員長 御質問はありませんか。秋田大助君。
  114. 秋田大助

    秋田委員 ただいま安定株主になられるからいいと思うというようなお話でございましたが、これは議決権は取り上げてしまったので、先ほど古川先生からもお話があったように、少数の株で支配が握れるという関係も生じますので、その点はどうお考えでございましょうか。
  115. 渡辺斌衡

    渡辺参考人 私の申上げましたのは一般論でございまして、私なんかの場合には、あんまり株がたくさん散っておりますよりも、一人の株主に固まっております方が、自分の考え方を述べて了解してもらったり何かするのに非常に都合がいいのじゃないか、こういうふうに思います。
  116. 松前重義

    松前委員長 御質問はございませんか。――ありませんければ次に移ります。  次に国際電信電話労働組合から中央執行委員長の徳永正三君が参考人として出席されるはずでありましたが、都合により同組合の書記長小池富雄君がかわって出席されておりますので、同君より御意見を伺うことにいたします。国際電信電話労働組合書記長小池富雄君。
  117. 小池富雄

    ○小池参考人 私は国際電信電話労働組合の書記長の小池でございます。私は本法案について賛否の意見を述べる前に、一言申し上げたいと思います。すなわち昭和二十八年四月この会社が発足以来、誠心誠意、不断の努力をもってわれわれ組合員はこの事業における、少くもわれわれのこの会社ができた、そしてこれが設立趣旨に向って遂行しなければならないという理解のもとに、今日まで事業を遂行してきたものであるということを、一言法案に先立って申し述べておきたいと思います。  顧みまするに、われわれ国際電信電話株式会社設立の経緯より考えてみまするときに、私たちは少くもこの会社設立趣旨というものは、このように理解しておるわけでございます。すなわち日本の電信電話事業国際及び国内を含むこの電信電話事業のうち、特に国際の電信電話事業というものは、特殊な条件に置かれていると考えられなければならないと思います。その特殊な条件と申しますのは、たとえてみますならば、先ほどもちょっと触れておったようでございますが、電波の獲得、それから通信の改善のための新通信路の改善及び通信方式の開拓、さらに施設の急速な拡充改善、さらにこれらのものをあえてせんとするためには、日本の支配の及ばない外国を相手にしていることである。このような中にあってこの特殊な事業を遂行しなければならないということは、これらにかんがみましても国内通信とは、全くその性質を異にするというふうに考えられておるわけです。そこでこの大幅な法をもって急速な刷新拡充をしなければならないと痛感され、これは民営形態とすることが一番好ましい条件だということは、設立趣旨に明確にうたわれておったわけでございます。この設立趣旨は、すでにここに梶井総裁も御説明でありますが、当時の次官であった靱次官、現在の副総裁の推薦書にも明確に書かれておるわけであります。私たちは少くもその当時の設立の趣意にのっとって、今日までこの事業を推進してきたわけであります。そうして私たち組合員は、この理解の上に立って、その趣旨にのっとって鋭意その努力を傾注し、今日に至ったのでありますが、この間われわれが遂行した業務は、すでに皆さんが御承知のことと思いますが、先ほど社長渋沢氏も申し上げておったようでございますが、しかしながらわれわれとしてはまだ言いたいことが多分にございます。  それは何かと申しますと、周波数の獲得、あるいはアメリカに技術を持っていくというようなことだけではございません。すなわちわれわれの通信事業は、国内語では通用しない外国語を使用するわけでございます。これらが通用する中においては、また特殊な機器を使わなければならない事業であります。しかしこの特殊な機器すらも、過去において電電公社の数年間においてはなし得なかった事業でございます。しかし現在は長崎の果てに至るまで、この新しい通信方式が全く完成しているような状態でございます。そうしてさらにただいま社長からも申し述べました通り、技術は、通信では世界唯一を誇る先進国アメリカであってもとうていなし得なかった、技術語で申し上げて申しわけないのでございますが、サブデバイダー方式を同時に研究し始めて、日本がいち早くこれを完成し、ついに先進国を誇るアメリカでさえも、これにかぶとを脱がざるを得ない状態になって、そうしてアメリカの一大会社といわれるRCAが、日本にこの機械を買いますと頭を下げてきたような状態であります。そうして社長は、このようなことは公社においても必ずでき得ないことではない、あるいはできたかもしれないというようなことを言っておりましたが、私たちはこのような技術的進歩は、官僚機構の中においては絶対にでき得ないものであると断言できるものでございます。なぜならば、私がここに申し上げるまでもなく、官僚機構の中では、小さなレジスタンス一つ買うにしても、数度の印鑑をもらわなければもらえない。そうして研究もし得ない。このような状態の中では、全くこの業はなし遂げ得なかったろうと思うのであります。そうしてこの現況に至るまでのわれわれの努力は、先ほど参考人方々からいろいろ申し述べられておりますように、不十分という点はたくさんあると思います。しかしながら少くもこれだけの事業をなし遂げたことは、私たちは高く評価されてもいいものであると自負しておるわけであります。そうしてこの状態の中において、突如としてこの法案が出てきたことに、私たちはいささか了解に苦しむものでございます。その了解に苦しむ点を以下具体的に説明していきますが、まず初めに結論を申し上げますと、われわれ国際電信電話労働組合は、この法案には賛成し得ないものでございます。  その理由をまず第一番目として申し上げますならば、われわれが一番心配する問題は、労働条件の問題でございます。われわれは過去数年間公社の形態の事業の中にあって、この国際通信というものを遂行して参りました。これは先ほども申し上げましたように、国内事業と性質を異にし、はなはだこまかいことで失礼でございますが、夜間全くその繁忙をきわめる。国内通信ではこのような状態は見られないのでございます。また職場の作業は、特殊訓練を受けなければ、国際法までも学ばなければできないような高度の技術を要する点、このような特殊と言わなければならない条件のもとに、また給料の面等においても、特殊訓練を受けたこれらの従業員は、当然何らかの差はあってしかるべきだという、ふうに考えておるわけであります。たとえて申しますならば、先ほどどなたか若干給与という言葉を使っておりましたが、ここに具体的な数字をもって申し上げますならば、日本電信電話公社が一万四千円のベースであったときに、当時国際だけの統計を見てみますると、一万八千円ベースであります。これは同じ企業体の中にあって、それだけの差があったわけなんです。それでさらに具体的なことを申し上げますと、今日本電信電話公社の中にどのような職種となっておられるか知りませんが、国際書記職と昔呼ばれた英語の電話交換手がございます。おそらく日本電信電話公社の中で、これらの人たちだけの統計をとってみたら、二万、いやそれ以上に及ぶかもしれない。おそらくこのような統計を見るならば、少くともこの会社の給与が高いというようなことは、全然見当らないのじゃないか。なぜならば、これはその統計をとってみるならば、今の日本電信電話公社でさえも、二万円以上になるであろう人間だけが、そっくり国際会社に移ってきたわけなんです。この特殊事情を持つ人が移ってきたわけなんです。それが現在の電電公社の平均ベースと比較して高い――それは千円やそこらの差はあるかと思います。しかしながら昔においても四千円の差があった問題でございます。そうすれば私はこのような高いということは当らないことではないか。高いのじゃなくて、やはり特殊な技術に対して支払われているものであると理解されてほしいと思います。このような異なった条件が考えられるわけでありますが、特殊な条件が現在は夜間においてもまた給与の面においても、全面的にとは申しませんが、ある程度認められている今日、本法案がもし施行されるということになれば、われわれの労働条件が過去の国内と全く同一であると見るような条件になるというおそれは、これはまた無理からぬことであると思うわけですそれはなぜかと申しますと、過去十五万人の中にわれわれ三千人がひそんでおったわけです。これは、当時そういうことをやった人が悪いというのではございません。しかし十五万の中の三千だけを特別の形をもってこれをピック・アップして、これに待遇を与えるということは非常にむずかしい。夜間が忙しくても、ひまなときでも、同じ待遇にしなければならないという条件もあったわけでございます。このようなことが再び起らないとはどうしても考えられない。  その理由を以下具体的に申し上げておきます。その一としては、まず株主権の中の議決権は停止されております。確かに議決権という表現は停止されておりますが、発言権その他株主の持つ一切の権利は、明らかにあるものと、この法案の中では解釈されるわけです。そうしますと、株主総会に出席することも自由であろうし、それからその他これらの問題を持って、アドヴァイスすることも発言することも自由であろう。ただ議決権がないだけでは――非常に心理的な問題と先ほどから申しておりましたが、これらの面から考えて当然そういう理由考えられてくる。  またその二を申し上げますと、今われわれは郵政大臣の監督を受けております。しかし実質的には郵政省における電気通信監理官の監督を受けておるわけでございます。これは直接的監督でございます。この監督の職にある人の人事の問題を見ますると、日本電信電話公社の要職にあられた方が、全員電気通信監理官の職についておるというのが、現在の事情でございます。そうしてかつ電気通信監理官の職を終られた方は、再び日本電信電話公社に戻る。こういうような人事交流が、電気通信監理官と日本電信電話公社の間に行われておるわけでございます。私の記憶にもし誤りがなければ、現在の監理官の職にあられる方も、おそらく要職にあられた方だというふうに私は記憶するわけでございます。そうしてこれらが、もしこの事実を率直に認めるならば、日本電信電話公社が株を持って、そうしてこの日本電信電話公社の要職にあった者をせしめて国際電信電話株式会社の何らかの支配を、統制をすることは容易に考えられることでございます。これは具体的な事例を一つ示したわけでございますが、このような事例がほかにもあるわけでございます。それは非常に大きな問題でございます。すなわち株と電気通信監理官という職と二つによって、われわれはその支配、統制下に置かれるという問題が起きているわけでございます。これだけの事実がございますれば、単なる杞憂だとか圧力だとかいう問題ではないと私は思います。現実に人事がそのことを如実に物語るわけでございます。  それからさらにもう一つ申し上げますならば、先ほどから圧力ということは単なる杞憂でないか、心理的問題じゃないかと言われ、参考人の方も、心理的問題だということをお答えしておったようでございますが、私はここに二、三の例を申し上げて、心理的な問題でないということを明快にお答えしたいと思います。まずわれわれ従業員が直接圧迫を受けているのは、現在同じ社屋内におります。日本電信電話公社の同じ庁舎の中におります。ここにおいて、今までわれわれが日本電信電話公社の者であったとするならば、容易に使い得たであろう床屋の設備――非常にこまかいことで申しわけございませんが、床屋の設備とか、売店の設備とかを、お前たちは使ってはいけないのだというようなことさえも、あえて申し入れを受けているような状態でございます。梶井総裁は非常に人格円満な方であるとお聞きしております。しかし官僚機構の中には、かように複雑なものが内包されているということは、見のがし得ない事実ではないかと思います。この事実が如実にほかのことを物語るのであって、われわれの杞憂は決して心理的な問題でなくて、現実にわれわれが圧迫を受けている問題だと申し上げるより仕方がないと思います。  それからまた、全く別な観点から物事を考えてみますに、先ほど井手委員の御質問に対して梶井総裁は、一月において持ち株を審議する、あるいは検討するということは絶対にありませんというお答えをしておったようでございますが、もし私の記憶に誤まりがなければ、一月二十六日の通信文化新聞と記憶いたしますが、日本電信電話公社理事会において、国際電信電話株式会社株式を保有する件というのが報道されているわけでございます。これは単なるうわさだと私は思われません。もし新聞が誤まりであれば、その新聞の方を取り消すべき要があると私は考えるわけでございます。そしてこれらが、また梶井総裁が言われますように、全くの善意に基いて、われわれ国際電信電話株式会社の将来の発展を見込まれて出資されるということであるならば、これは当然株式による配当というようなものもまた考えられるべきではないと思います。なぜならば、民間事業に投資した株式配当金は、国会において、そして予算において認められなければ使えない金でございます。このようなことは、一面特色があるかわりに、しかしこれらの問題は、きわめて不合理な形態であるといわざるを得ないわけでございます。  さらに詳しく申しますならば、このような問題をわれわれは常に身をもって感じているわけでございます。支配権が心理的な問題であるとか、いや単なる杞憂にすぎないとか申しますが、現実に同庁舎内で圧迫され、売店は使わされない。床屋も使わされない。それであるから、やはり新しい庁舎を作らなければならないという結論もまた必然的に出てくる。こういう状態の中において、株を持ったあとで単なる杞憂で済まされるかどうかということは、われわれ従業員にとってはひしひし身に感ずるものがあって、これを何としてもぬぐい去ることはできない。やはり総裁となられる方がいかに円満な方であっても、これは官僚機構の中に一つの弊害を残すものでございます。このような問題を現在において論ずることは非常にむずかしい問題でございますが、しかし一例を申し上げてこのようなことがあるのだということを御記憶願いたいと思います。  また本会社設立趣旨に戻りますが、少くも本会社設立されるときの附則の二十一、二十二の項を参照しますならば、日本電信電話公社が一時的にこの株を保有することもならない。それは、そのようなことをやるとするならば、かくては会社設立趣旨が没却される危険性が十分にあるために、公社が株を保有することは好ましくないとして、大蔵省に即座に譲渡されたものというふうに考えられるわけです。これもまた大臣の御答弁の中に明確なものと考えます。しかし今回その愚をあえてやらんと欲しているわけであります。あえてその矛盾をやらんと欲しているわけでございます。確かに議決権はございませんが、議決権を除くあらゆる株主権は持っております。もし持たないということであれば幸いでありますが、字句の面から解しますと、持つというのが当然の解釈でないかと思います。そういうことの中において、もし公社がもう一つの密接不分可なこの会社を安定させる、兄弟会社であるということでお持ちになるということならば、これもまた密接不可分でないという理由を私は申し上げたいと思います。日本電信電話公社は、むしろ日本放送協会あるいは新聞社等の方と、密接不可分の関係をお持ちではないかと思います。なぜかと申しますと、兄弟会社であるというわれわれの回線の賃貸料は、日本放送協会もしくは新聞社より高いのでございます。われわれは日本電信電話公社より、高く借り受けております。このような状態が、どうしてわれわれが兄弟であるという考え、密接不可分であるという考えにつながるものでしょうか。われわれはこれを現実としてよく見なければならない。これは梶井総裁が御存じになっておるかどうか知りませんが、現実にはこのようなことがわれわれの取引上に行われておるということもまた見のがせない事実で、これが一つの杞憂になっておるということも明らかな原因の一つであろうと推察されるわけです。そうしてこれらの問題がわれわれの上に容易に振りかかってきておることはきわめて明白な事実でありまして、もしこの事実が否定されるとするならば別でございますが、この事実が容認されるとするならば、われわれが杞憂している問題はすでに目前に迫っているわけでございます。今までさえもそのような状態の中にあった。それがこの株を持つことによって、心理的な状態だけでなくて、現実にわれわれが圧迫されるという状態は容易に考えられるのでございます。これは先ほどどなたかの御質問に、社長が、絶対にそのようなことはありませんというふうなお答えをしておったようでございます。電気通信監理官を通じて何らかの圧迫がかかっているのではないかという原委員の質問に対して、そのような問題がありませんとお答えになりましたが、しかしわれわれは、これらの事実がいつかあったような風聞を伺っておるわけでございます。このようなことは幸いに全然なかったということで否定されましたので、一つこの杞憂はなくなりました。しかしこれらの問題は、疑惑が疑惑を生む一つの、要素となっております。  それはなぜかと申しますと、先ほどもし記憶に誤まりがなければということで申し上げました通り、一月二十六日にはすでに電電公社理事会でやっておられる。それからさらに日本電信電話公社がこの株をお持ちになるというのが善意であるならば、株式配当等のことは全然考えなくても、われわれとしてはできるのじゃないかと思います。それから公社がわれわれの会社を安定するというどなたかの御意見がございましたが、公社の総裁は現実に先ほど、一時的に持つものであって、売り出すのだということを言っております。売り出すということは、われわれの安定するために持つということの意味とは若干異なるのではないかと思います。そしてまたこの理論は、若干の矛盾を生じてくる問題ではないかと思います。  もう一つ具体的に申し上げますと、通信五ヵ年計画の問題が公社の中にはひそんでおると思います。しかし現実に通信五ヵ年計画が、この十四億の株を持つことによってほんとうに遂行できるかどうかということは、非常に疑問になる点でございます。ということは、十四億の株ではだれも物を売ってくれないのでございます。これを担保に入れてやるということであればまた別でございますが、株によって、さらにそれを売り出すということによって、通信五ヵ年計画が完遂されるかどうかということも、また非常に疑問に思うわけでございます。  一応総合的に申し上げましたわれわれの考えというものは、これは心理的な状態ではございません。具体的に二、三の事実を拾い上げて申しましたごとく、現場においてはすでにいろいろな状態をもって、形を変え、品を変えて現われてきておる。これは全くわれわれがこの圧迫を感ずる一つのものであろうと考えるわけです。さらに日本電信電話公社が電気通信監理官と人事交流を容易に行える体制にあるというようなことは、われわれとして好ましくない形で、おそらく国としても好ましくない形ではないかと思います。なぜならば、日本電電公社の要職にあった方が、日本電信電話公社の監督をされるというような立場に置かれることが、現実に考えられる。国際電信電話株式会社のみならず、日本電信電話公社の監督をするというような状態ぶ起るわけでございます。これは国としてもまた容易ならざることではないかと思うわけであります。  このような理由によりまして、私たちは労働条件に対して無言の圧力が――無言ではなくて、すでにこれは表面化している。先ほど申し上げましたような理由によりまして、また会社設立趣旨によっても、持ち株に対する配当等から考えてみましても、これはきわめて理解に苦しむ法案であるということは、容易に推察できるわけでございます。これがひいてはわれわれ組合員の労働意欲の低下となって現われ、このままで通過するとすれば、事業運営はきわめて困難な状態に陥る。そして再び日本電信電話公社に戻されるという考えはないということを先ほどお伺いいたしましたが、もしそれが寸分でも入っているという杞憂があるとすれば、なおさらのことこれらのことは非常にむずかしい問題となる。先ほどの説明で、全然この中には日本電信電話公社に再び戻すのだ、あるいは公社形態にするのだという考えは寸分も含んでおらない、二度とそういうことはないだろうということを発言されましたので、この点だけは了解いたしますが、少くともこれらの株に対して持っておられる支配権というものは、どうしてもぬぐい去れない問題で、この現実は無視できないものであるという立場から、われわれ国際電信電話株式会社労働組合は、本法案に強く反対の意向を表明するわけでございます。
  118. 松前重義

    松前委員長 御質問はありませんか。
  119. 竹内俊吉

    ○竹内委員 一点だけ伺いたいと思います。ただいまの御説明によると、今の二つの事業体が分離する以前において、給与の点ですでに四千円も開きがあったのだという御説明があったのです。当時組合は結成しておったと思いますが、もちろん単一組合だろうと思いますが、単一組合内においてそういう場合何らかしっくりいかない。つまりあなた方がやっている今の国際電電の仕事の方に従事しておった従業員と、電電公社の方の仕事をしておった従業員との間に、同じ組合員だがしっくりいかなかった事例がありませんか、その点をお伺いいたしたい。
  120. 小池富雄

    ○小池参考人 お答えいたします。単一組合の中においてそのような事例はいまだもって発見すべくもなく、全然なかったと申し上げるよりほかないと思います。また今日におきましても、労働組合間において摩擦を生じている点は全然ございません。
  121. 椎熊三郎

    椎熊委員 一つお伺いします。この会社を作る時分に、私も全逓の組合も全部反対だった。ただ反対理由は、私の反対理由と違っておったようです。しかし反対するという事実だけは同じであった。しかしその後会社ができて、あんたがおっしゃるように会社設立の精神を深く理解せられて、経営者と精神的な熱意を持って協力しておられる。私は日本の労働組合運動にこんな形が現われてきたことは、組合運動の非常な成長だと思って、私は日本の産業界のためにも感謝にたえないことで、非常にけっこうなことである。ただあんた方の単一組合であったときでさえ、四千円以上の特殊技術に対する差別待遇があったが、分れた現在はそのときよりも差別は縮んでおるようだ。そうして会社が分れておるのに、ただ単に電電公社が株を持つということによって、待遇上に身近に影響を感ずるというのはどういうわけでしょうか。一緒にいたときでさえ差別は差別として、何らの異論なく認められておった。いわんや別個の会社で差別があったって、あなた方の待遇だとか、それが労働意欲を妨げるような心理状態にまでなるほど影響力があるとは、あなたの説明では私は納得できないのですが、どういうことなのでしょうか。
  122. 小池富雄

    ○小池参考人 お答えいたします。二、三の具体的例はすでに申し上げました。それらの現場における支配権というものは、御体験なさらないと了解に苦しむのではないかと私は思います。実は電通省と郵政省が分れたとぎにどんなことが下に起りましたかというと、同じ局舎におって便所を使わせないというようなことが起りました。そういう事実があったのであります。これをひしひしと身に感じたのは、ほんとうに下に働いている人が感じたわけです。当時の大臣は両方とも同じでございましたから、別に大臣に便所を使わせないというようなことは起らないわけですが、下の従業員に便所を使わせないというのは一番困る。これらの考えから、われわれの中でもやはり床屋さんを使っていけないと言われておる。やはり一つの子会社であるというようなことが、この株を持つことによって容易に杞憂を抱かせるということは、当然組合員の感じにはぴしゃっとくるのでございます。そこで容易におわかりにならないかと思いますが、この電信電話事業に二、三年も傾注されておると、容易にその点が御理解になれるのじゃないかと私は思います。
  123. 椎熊三郎

    椎熊委員 会社が独立して分離してできたのにかかわらず、電電公社の社屋の中に借家住まいか何か知りませんが、同じ屋根の下にやっておるところに、今のようないろいろな状態が起るのではないでしょうか。そこで関連して社長さんにお伺いしたいが、早くこんな状態から脱却して、幾らもかかるわけでないでしょうから、別な仕事場を建築でもして、さっぱりした気持で、こんなに労働組合があなたに協力してくれているのですから、安心して喜んで仕事ができるような状態にするような計画等はないのでございますか。
  124. 渋沢敬三

    渋沢参考人 局舎を新しく分離してありますことは、初めの趣旨書にすでにあります。そこでわれわれといたしましてもそれに努力をいたしまして、東京ではちょうど神田橋と大手町の間に今局舎を建てております。現在本社の方はすでに先週の土曜日に移転をいたしました。ただし電信並びに電話の現業は、一ぺんには参りません。しかも先ほど小池参考人の申しましたごとくに、われわれの会社の一番忙しいのは午前三時から午前五時ころまでが忙しい。地球のまるいということはまことに困ることでありまして、こちらが夜のときは向うが昼であります。そういうような関係から深夜業が非常に多い。こんなにまとまって深夜業をやっているところはほんとうにないのであります。そういうようなわけで、局舎を建てまして、しかも一分間も休まずに、日曜も元日も休まずにやらなければならぬ仕事でありますから、これを移すのは技術的に非常な困難を感じております。これは技術家の方で十分な用意をいたしまして、だんだんと移して参ることにいたすつもりで、普通のようにはいきませんが、すでにそれは建ちました。それから大阪も今建ちつつあります。
  125. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたにもう一ぺん聞きたいのですが、あなたが具体的に示された事例が多くは官僚の方か公社の方か――官僚とは言えないのだろうが、おそらく官僚がかった方が、あなた方の方が非常に成功して待遇もよし、それで幾らかねたみ等もあって、いかにもおれらの方が上だというようなところで、下の方では妙な態度があるというだけのことじゃないのでしょうか。聞けば神田橋にりっぱな庁舎も建っているということなのですが、ここ一ヵ月や二ヵ月そんなことはがまんすれば、床屋を使わせぬとか、便所を使わせぬということは全然解消するのです。私の心配するのは、株を公社が保有することによって、諸君の待遇に影響がくるという心配はどこから出てくるのですか。私はそういうことはちょっとあり得ないと思う。公社の役人が監督の地位に立つとか、人事の交流というふうなことがあったそうだが、それだからといって直ちにあなた方の待遇の問題に、そういう人たちがどういう形で発言できるのでしょうか。私はそういうことがちょっと想像ができないのですが、あなた方の思い過ぎがあるのじゃないでしょうか。あなた方は組合を結成しておいでになり、社長はあなた方を非常に了解しておるのですから、あなた方が厳として労使協調のほんとうのりっぱな姿を見せれば、そんなことに対抗するのは何でもない。少し心配が深過ぎるのじゃないかと思います。あなたは体験者だから根拠があって主張されるのでしょう。何かそういうことに具体的なことがあれば聞かせていただきたい。
  126. 小池富雄

    ○小池参考人 お答えいたします。具体的なこまかな例を一つ、二つ申し上げて、その点だけを申し上げましたが、少くともそれが一事が万事であって、一例を示しただけであるということを申し上げておるのでありまして、これらがすべての問題であります。それから先ほど私が少し触れておきましたが、電気通信監理官がほんとうの職権で何にもできないかと申しますと、できないことはないわけであります。すでに法案の中にもはっきり規定しております通り、利益の配分とか、そんな問題にまでこれらの問題は及ぶわけであります。そうしてこれは風聞であれば幸いでありますが、社長も否定されましたが、もしこの国会の委員会でそのことが調査できればお願いしたいと思いますが、過去においてそういうことはあったということを風聞に伺っておるわけであります。それは文書でやったのではないかというようなことも伺っておるわけであります。従業員の給与をどうするのかというようなことをお問いになった。これはまた監督の地位におるためにやられることであれば、私はあえてできないことじゃないと思います。しかしこのできるということは取りも直さず、われわれの上に支配を及ぼすのだということになるわけでありますから、風聞であれば幸いでございますが、もし委員会にお願いできれば、いずれかの機会に一つ詳しい調査をやっていただきたいとお願いするわけです。
  127. 原茂

    ○原(茂)委員 今事例を二、三あげられたのですが、厚生施設の問題等はこれは会社が別にできた以上は、別に使いなさいということはこれは自然だと思います。そんなことは特に、今行われておることであって、今度株が持たれることによって強化されるとは考えられない。これは人間の常識の範囲です。電気通信監理官の問題は、現実にすでに文書によって何か圧力がかかっておるとすれば、今日すでにかかっておるのでありましょう。株が持たれたからなおさら強化されるということには考えられないので、この監理官の問題と人事問題は、これは別途に考慮すべきものだと私は考える。そこは私の意見でありますが、ちょっとお伺いしたいのは、渋沢さんはさっき二つの条項をつけて、まあ通るものならやむを得ない、こり言った。小池さんの組合の意見では、断固反対だけです。ところが反対しても、どうしても必要だというわれわれの判断で、これが通る場合があるわけです。そういう場合でも、ただ反対しっぱなしでは何でありますから、どうせ通るものならせめてこういうようなことを考えられないか、こういったようなことがもしあったら、そういうことを一つ率直に次善策として発言してほしいと思います。
  128. 小池富雄

    ○小池参考人 お答えいたします。初めの方は御意見だというので、あえてお答えする必要はないと思いますが、ただ触れておきたいのは、私たちは監理官が今まであったのだから、そのままでよいじゃないかというのではなく、二重の支配になるということを言った、今まであったものと、もう一つ株を持つということによって二重の統制が行われる。これでは困るということです。それからあとの問題でありますが、私は労働組合書記長という立場におきましていまだその結論、執行委員会の統一した意見は持っておりませんので、容易にそのことを表明することは困難でありますが、原委員の御希望に沿いまして、帰りましてさっそくそれらについても検討してみたいと思います。
  129. 森本靖

    森本委員 一つだけお伺いしたいと思います。この質疑応答の中で、将来公社にするという考えはないので、その点は了解をした、こういうような御説明であります。この法律案提案理由におきましても、そういう内容については一切触れてないわけです。だからそれを国会において審議する過程においていろいろの意見もあり、考えもあろう、かりにそういうふうに将来はやはりこれは一元化さなければならぬ。そういうような態度をもって臨むならば、これは国際電電の労働組合としては絶対反対である、その反対である理由、こういうことをお伺いしたい。
  130. 小池富雄

    ○小池参考人 お答えいたします。国営国管の問題に若干触れておるかと思いますが、その点についてきょうは法案意見でございますので触れてはならないのじゃないかと思いますが、若干私見でございますが申し上げます。まず私たちがそういう問題を論ずるときには、現存しておる機構というものを、二年前に作って今またこわす、朝令暮改という形は、まずいのじゃないかということが一つ考えられるわけであります。それからもう一つ考えられますことは、そういう国営国管というものは、われわれれの立場においては原則的には賛成でございます。はっきり申し上げます。しかしながらこの現在の社会機構の中で、それが一時に容易にできるかどうかということも、われわれとしては考えなければならぬ。それができるとすれば、すでに電力事業や石炭事業はおそらく今ごろ国営国管になったろう、そういうことになれば、私たちはまたそれらの社会機構の中で考えられるべきことだと考えるわけであります。
  131. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今の小池参考人の御意見では、国営には賛成であるというお話ですが、それと先ほどから言っておる会社として成績を上げておるということとは、どういう関係になるのですか。
  132. 小池富雄

    ○小池参考人 お答えいたします。原則として賛成であるということで、全く理論の上の賛成だけだということを申し上げておるわけです。そして現在の社会機構の中においては、現在のものがよいということを申し上げたいと思うのです。それは、われわれの考えておるような世の中ができた場合を申し上げれば、それでいいというのです。
  133. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 これは議論になりますからやりませんが、おそらく小池さんは社会党員かもしくはその方の人であろうと思う。そうすると理論と実際は食い違ってよろしいのだという社会党の考えですか。
  134. 小池富雄

    ○小池参考人 お答えいたします。私は社会党員でも何でもありませんから、社会党の政策とは全然関係がないのです。その点は御了解願いたいと思います。
  135. 松前重義

    松前委員長 以上をもちまして参考人各位よりの御意見の聴取はすべて終了いたしました。  参考人の皆様方には、長時間にわたり忌憚のない御意見を開陳いたされまして、本改正案起草の上に多大の参考となりましたことを、ここに厚くお礼を申し上げる次第でございます。  本日はこれで散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後五時四十六分散会