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1955-05-25 第22回国会 衆議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十五日(水曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 齋藤 憲三君 理事 濱地 文平君    理事 廣瀬 正雄君 理事 中垣 國男君   理事 橋本登美三郎君 理事 井手 以誠君       秋田 大助君    宇田 耕一君       川崎末五郎君    竹内 俊吉君       佐々木更三君    原   茂君       森本  靖君    前田榮之助君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 松田竹千代君  出席政府委員         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君  委員外出席者         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         専  門  員 稲田  穣君         専  門  員 山戸 利生君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 五月二十四日  委員太田正孝辞任につき、その補欠として相  川勝六君が議長指名委員選任された。 五月二十五日  委員八木一男君及び相川勝六辞任につき、そ  の補欠として中村英男君及び平野三郎君が議長  の指名委員選任された。     ————————————— 五月二十四日  高石郵便局を無集配郵便局に昇格の請願森本  靖君紹介)(第九四四号)     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員長選任に関する件  小委員補欠選任  電気通信に関する件  電波監理及び放送に関する件  請願   一 広島長崎原爆被災十周年記念切手発     行に関する請願松前重義君外四名紹     介)(第六五九号)   二 広島長崎原爆被災十周年記念切手発     行に関する請願松前重義君外四名紹     介)(第七〇五号)     —————————————
  2. 松前重義

    松前委員長 これより会議を開きます。  前回の委員会におきまして簡易保険及び郵便年金制度調査に関する小委員会放逸事業調査に関する小委員会電気通信事業調査に関する小委員会の三小委員会の設置を決定いたし、各小委員をそれぞれ選任いたしたのでありまするが、その後におきまして二、三小委員の方の御希望もありまして、小委員異動を行わなければならない情勢にございますので、小委員異動に関しましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松前重義

    松前委員長 御異議ございませんので、小委員選任に関しましては公報をもってお知らせ申し上げることにいたします。  また各小委員長選任につきましては、委員長一任となっておりまして、公報指名することになっておりましたが、本日委員長より各小委員長指名いたします。簡易生命保険及び郵便年金制度調査に関する小委員長といたしまして井手以誠君放送事業調査に関する小委員長といたしまして濱地文平君、また電気通信事業調査に関する小委員長といたしまして橋本登美三郎君、以上を指名いたします。  なお小委員の変更ありまするときは、委員長に御一任をお願いいたします。     —————————————
  4. 松前重義

    松前委員長 次に請願二件の審査に入ります。  日程第一、広島長崎原爆被災十周年記念切手発行に関する請願松前重義君外四名紹介文書表番号第六五九号は、日程第二、文書表番号第七〇五号の請願とその趣旨において全く同一でありまするので、一括議題といたします。なお日程第一、第二の請願は、ともに私が紹介議員となっておりますので、この席上より紹介説明をさせていただきます。  請願の要旨といたしましては、広島長崎原爆が落されたのでありまするが、しかもまた世界最初水爆犠牲者を出すに至ったのであります。この世界情勢にかんがみ、広島長崎等人類史上曽有の大惨事を引き起しました原水爆を、再び戦争のために使用することを禁ずるとともに、戦争をなくし、平和な世界を完全に守っていかなければならない。ついては平和を守るために、わが国土に原爆の投下された日の本年八月六日の広島原爆被災十周年並びに同じく八月九日の長崎原爆被災十周年を記念いたしまして、それぞれの切干の発行政府においてやってもらいたい。これが請願趣旨でございます。この際政府当局より所見を求めることにいたします。
  5. 松田竹千代

    松田国務大臣 ただいま本請願の御趣旨について御説明がございましたが、わが国が世界最初原爆犠牲者である。最初であり、現在では唯一である。たまたまこの八月六日はその当日に当るということで、これを記念するために記念切手を出すようにということでございまするが、本請願国際間に微妙な問題を生ずるおそれのある事項でありまするので、これを切手として発行することは、現在のところ適当でないと考えるのであります。なおまた切手の調製の技術上からも、八月上旬の発行は困難なる事情にあるのであります。もとより日本原爆最初犠牲者として、その洗礼を受けたことをわれわれ国民は心に銘記して、いつまでも二度と再びかくのごとき大惨事を、世界のいずれにも起すことのないようにということを銘記するということはけっこうなことと思いまするが、しかしそれを記念するために切手発行するということは、必ずしも適切でない。切手発行は、切手というものは世界中いずれの国にも参るものでありまして、どこまでもその中立性考えていかなければならぬ。またかくのごとき惨事を記念するために切手発行するということが、どうもふさわしくない感じがいたされるのでございます。切手というものは、やはり国際的中立性を守るとともに、何かほがらかな明朗なことを記念するというふうにわれわれは考えるのでありまして、記念すべき事柄でございますけれども、この大惨事を記念するために切手発行するということは、もう一つふさわしくない、かように当局としては考えておる次第であります。
  6. 松前重義

    松前委員長 ただいまの政府の御答弁に対して、御質疑はございませんか。
  7. 井手以誠

    井手委員 今大臣から所見を承わったのでございますが、平和を願わない者はおそらく世界中にないと思います。平和を願うためにこそ、十周年の記念行事が設けられる。そのために切手発行するという請願に対して、国際情勢からおもしろくないという御答弁は、いささかふに落ちかねるのでございます。手続上あるいは切手の性格上なお考慮しましょうということであれば、私も了承いたしたいと思いますが、平和を念願しようというそのための切手発行することが、世界情勢にどういう悪影響を来たすのか、平和のためのこういう催しに対して、大臣少しお考え違いではないか。内部事情とかいろいろなことでありますれば、やむを得ない点もありましょうけれども中立を守るためとか、国際情勢云々とかいったことはどういうことか、私はもう一ぺん、この平和を記念する、ああいう惨事を再び起さないために、たった一つ被害者である日本切手発行しようということが、世界のどこにどういう悪影響を来たすのか、その点を承わりたいというのであります。
  8. 松田竹千代

    松田国務大臣 御承知の通りに切手世界各国に参ります。どこまでも切手発行に対しては、どこからも非難あるいは批評されるような事柄は避けたいというふうに感ずるのであります。まあこの原爆を受けたことに対して、長崎広島に投下されたことを記念して、かくのごとき事態を再び世界のいずれにも起さないことのために、これを広く世界平和運動の一環としてやることは、むろんそういう考え方はけっこうでありますけれども、しかしかくのごとき事態によって、非常な非惨なる状態を起したことを記念するために切手発行するということは、もう一つふさわしくないのではないか、かように考えておる次第であります。
  9. 松前重義

    松前委員長 それでは暫時休憩いたします。    午前十一時三十分休憩      ————◇—————    午前十一時四十八分開議
  10. 松前重義

    松前委員長 再開いたします。  引続き、請願日程第一、第二の審査を進めます。右二つ請願につきましては、政府当局の都合もあるようでありますので、採否の決定につきましては次会に延期することとしてはいかがでございましょう。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 松前重義

    松前委員長 ではそういうことに決定いたします。     —————————————
  12. 松前重義

    松前委員長 次に電気通信に関する件及び電波監理及び放送に関する件の両件について調査を進めます。この際質疑の通告がありますので、これを許します。森本端君。
  13. 森本靖

    森本委員 公社の方にお伺いしたいと思います。なお三十年度の予算についての質疑はいろいろ行いたいと思いますが、本日は時間があまりありませんので、ただ一点だけ簡単にお聞きしておきます。今年度の給与総額の中における昇給原資はどのようになっておるのですか。
  14. 靱勉

    靱説明員 昇給原資といたしましては、大体一般と同様に四・五%認められておりまして、その金額はおよそ二十億であります。
  15. 森本靖

    森本委員 そうすると、それは昨年公社側組合側とで結んだ賃金協定といいますか、それによるところの所要の昇給原資額というものは、予算では完全に満たし得るという格好になっておるわけですね。
  16. 靱勉

    靱説明員 昨年度におきまして、御承知のように公社におきましては新給与体制を実施いたしましたが、それに対しましては大体この額で足りる、こういう考え予算を組んだわけであります。
  17. 森本靖

    森本委員 それでは四・五%で二十億円組んでおって、それで昨年の賃金協定によるところの昇給原資は、今年度完全に確保しておるということがはっきり言えるわけですね。
  18. 靱勉

    靱説明員 さようでございます。
  19. 森本靖

    森本委員 この問題については後日またいろいろお聞きしたいと思います。  あと時間がありませんので、過般の紫雲丸事件レーダーの問題について、齋藤委員の方から質問がありまして、一度回答がありましたが、その後におけるこれについての詳細の説明をお聞きしたいと思います。聞くところによりますと、あのレーダーの問題については、何か免許の問題、訓練の問題で非常に手落ちがあるようなことで、問題になっておるように聞いておりますが、その内容を詳細に御説明願いたいと思います。
  20. 長谷慎一

    長谷政府委員 紫雲丸事件につきましては、御承知のように、ただいま海難審判所の方で詳細いろいろ調査を進められておりまして、まだ私ども内容の点ははっきりわかっておりませんが、この前御報告申し上げた以降、特にレーダー操作を中心にしてわかっております点を申し上げてみたいと思います。  紫雲丸につきましては、出航前にレーダーを準備いたしまして、動作良好なることを確認をした上で出航をいたしております。大体船長が監視をするのがならわしでありまして、そのほか二等運転士及び三等運転士当直として船橋におったそうであります。それらの人は全部特殊無線技士という、レーダー操作するのに必要な法定の資格を持っております。また第三宇高丸につきましても同様でありまして、船長、二等運転士及び三等運転士当直をしておったそうでありますが、これらもいずれも資格を持っております。またレーダーも、こちらの方も状態が非常によかったように見られております。
  21. 森本靖

    森本委員 そこまでわかっておって、衝突のときのレーダー操作内容についてはわかっていないのですか。
  22. 長谷慎一

    長谷政府委員 レーダー状況は、今申し上げたようなわけですが、その衝突事件を起した当時に、レーダーと実際の操舵あるいはスピードに対する措置等がどういうふうに行われましたかは、先ほど申し上げましたように、目下海難審判所の方で詳細調査を進めておりますが、その方の範囲の問題になりますので、私どもの方ではただいままだ詳細の点はわかっておりません。
  23. 森本靖

    森本委員 この前の質疑応答のときに、その後については詳細に調査して説明する、こういうことでございましたが、あのときは機械は確実である、それでその操作については間違いがなかったかどうかというのを齋藤委員の方から質問がありまして、それに対しては詳細に調査をしてお答えをする、こういう回答であったわけです。ですから、その後におけるその操作が、誤まりがあったかなかったかということをお聞きしておるのです。
  24. 長谷慎一

    長谷政府委員 レーダー操作に従事しておった者は、先ほど申し上げましたように、いずれも資格を持っておった者が従事しておったようであります。レーダー操作については間違いはなかったように私どもは思います。その点を追加して御報告申し上げます。ただレーダーに現われた状況から判断をして、その後どういう措置操舵上あるいは運転上とられたかというところに問題があると思いますが、その方面の事柄は私どもの方の所管の関係でございませんので、海難審判所で目下詳細調査を進められておるように承知しておりますので、その点の報告はただいまできかねるわけであります。
  25. 森本靖

    森本委員 そうすると、その資格を持っておるのは船長とそれから一等運転士ですか。
  26. 長谷慎一

    長谷政府委員 船長、二等運転士並びに三等運転士特殊無線技士資格を持っております。
  27. 森本靖

    森本委員 特殊無線技士資格を持っておる者についての訓練とかその他については、一体どこがやるのですか。
  28. 長谷慎一

    長谷政府委員 訓練そのものはそれぞれ雇用しておるところ、この場合で申し上げますならば国鉄当局訓練をする責任にあるわけであります。郵政省としては、法制上きめられておる技能を、検定する際に持っておるかどうかということを検定いたしまして、それぞれ所定資格を付与するわけであります。その後の訓練は、今申し上げましたように、その者が属するところで施行されるわけであります。
  29. 森本靖

    森本委員 そうすると、その訓練その他については、国鉄当局が全部責任を持ってやるわけですね。それからレーダー操作そのものについて誤まりがなかった、こういうことが確認できるわけですか。
  30. 長谷慎一

    長谷政府委員 私どもの力で調べた範囲内においては、操作上誤まりがなかった、レーダー装置そのものも良好であったように判明をしております。
  31. 森本靖

    森本委員 それはどういう恰好で調べられましたか。
  32. 長谷慎一

    長谷政府委員 第三宇高側においては、そういう人々が残っておられますから、私ども係官が参りまして、直接聴取いたしまして調べました。それから紫雲丸の方につきましては、前後の、あるいは遭難をしましてから通信をしておりますから、それらを通じまして判断をした結果であります。
  33. 森本靖

    森本委員 そういう調査をして、いろいろ聞いたところの記録は残っておりますか。
  34. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。四国の電波監理局係官が高松へ行って調査いたしましたので、もちろん記録は保管しておると思いますが、東京にはまだ来ておりません。
  35. 森本靖

    森本委員 それではその調査したときの記録を詳細に資料として出していただきたいと思います。
  36. 長谷慎一

    長谷政府委員 取り寄せまして、御要求に応ずるようにいたします。
  37. 松前重義

    松前委員長 ほかに御質問はありませんか。——それでは私から伺います。無線通信士に関する資格の条件としては、レーダーの取扱い並びにその原理等に対する知識あるいは訓練等内容が入っておりますか。
  38. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。一級無線通信士、二級無線通信士、これらの者はレーダー操作し得る資格を持っております。従いまして検定をいたします場合には、レーダーに関する知識も検査いたしております。  なおレーダーにつきましては、実際問題としては船に乗っております通信士が、保守とかいろいろなめんどうは見ますが、大体御承知のようにこれは船橋に置かれまして、船長その他運転士が運用するものでございますので、特に船長及び運転士レーダーについての特別の資格検定をいたしまして、いわゆる特殊無線技師として、レーダーに関する知識及び操作上の検定をいたしまして、それぞれ合格した者には証書を与えているわけであります。従いまして先ほど来お話の出ました紫雲丸及び第三宇高丸等につきましては、船長及び運転士がこのレーダーについての特殊無線技師資格を持っておって、所定の基準に従ってやっておったわけであります。
  39. 松前重義

    松前委員長 もう一つ伺います。それは日本文化放送免許の問題であります。財団法人日本文化放送協会に対して免許された趣旨について、その免許の基本的な精神について伺いたいと思います。
  40. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。実はただいま委員長からの御質疑は、先般の委員会におきましても御質疑がございまして、後刻御報告申し上げるように御了解願っておった事項でありまして、再度御質疑いただいて恐縮に思ったわけでありますが、財団法人日本文化放送協会についてその設立許可をされました当時、これは電波監理委員会許可をしたわけでありますが、その時分の記録その他からこれに許可を与えた理由といたしまして、私ども承知いたしております要点を申し上げさせていただきます。  一般放送局、いわゆる民間放送免許に当りましては、放送事業経営形態につきまして、放送関係法令上いろいろ問題がありますが、経営形態かくあるべしというような制限は現在のところ特にございません。もちろん申し上げるまでもなく民間放送事業といいましても、相当高い公益性を有する事業であります。ただ一般民間放送事業におきましては、いわゆる広告収入をそのおもなる財源として経営されるものでありますが、この場合株式組織におきましては、申し上げるまでもなくその事業収益利益配当というような形になりまして、いわゆる営利性が顕著になるのでありますが、公益法人にありましては、事業収益法人内部に蓄積されまして、放送番組の改善、向上、あるいは放送施設の拡充ないしは改良に充てられることになるわけでありまして、広告収入財源とすることと野業経営形態公益法人であるということの間には、別に矛盾はないわけでありまして、公益法人形態の存在にも、放送事業界においてこういうものがあるということも、相当有意義であるということが当時認められて、処置をされたと承知いたしております。  なお次に、文化放送協会宗教法人であるセントポール修道会からの寄付財産基礎といたしておりまして、その事業を始めるに当りまして、十分な財政的基礎があるということが認められ、またその寄付行為によって設定されております法人目的とか組織あるいは活動の基本的な態勢に照らしまして、放送事業目的とする公益法人として、いわゆる関係法令に適合しているということが認められて、先ほど申し上げましたような処置がされたものと考えられております。ただその後、この財団法人の形の、いわゆる公益法人の形ではございますが、そういう経営形態の問題とは別に、運用の問題につきましていろいろ問題が起りまして、御承知のように過般当委員会におきましても御質疑のありましたセントポール修道会との協定問題その他のことにつきましても総合的に考えて、将来運営がスムースにいくように根本的な対策を考えよう、こういうことで関係者がそれぞれ検討されているように聞いている次第であります。
  41. 松前重義

    松前委員長 財団法人に対して放送電波を許し、これに民間放送としての放送をやらしたという目的一つには、財団法人として株式会社その他と違った目的を持っておる、それが国家の文化向上に対して相当に指導的な役割を果し、そうして社会文化向上に資する、こういう意味を持っておったと私どもは理解しておったのでありますが、そういう具体的ないわゆる公益法人事業目的に対する特殊な使命を認めて、 放送を許されたのかどうか、伺いたいと思います。
  42. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。放送公益性と申しましょうか、ただいまお話の中で御指摘になりましたようなことの達成のためには、根本的に放送というものがどういう形態で行わるべきかということに、基本的の考えはなって参るわけでありまして、日本放送協会が特別に法律によって設定されまして、今お話しになりましたような目的放送の普及とともに考えよう、こういうことで設置されているものと考えるのであります。一方民間放送は、もちろん先ほども申し上げましたように、やはり相当高度の公益性を持っておるものではございますけれども、ただいまお話に出ました日本文化放送協会設立を認可する場合にも、日本放送協会というものが別個にあるということを頭に置いて処理をされてきておったと承知いたしておりまして、民間放送経営形態一つの形として、いわゆる会社経営でないものであっても、別に法令上差しつかえはないではないかということで許されておるのでありまして、言葉をかえて申し上げると、日本文化放送協会日本放送協会と同じような考え方を持つと、当時の委員会が期待を持って許されたというほどのことはなかったものと思います。
  43. 松前重義

    松前委員長 真善美の実現というようなことを事業目的にうたっておるのです。特に宗教的な教育的な内容放送をやるのだというようなことで、あれが許されておるように私どもは理解しておる。ただ一般民間放送と同じような、大衆に迎合するような放送によって事業運営をやってもかまわないというようなことで、あれが許可をされたものではないと大体私どもは見ておるのですが、いかがですか。
  44. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。セントポール修道会帯付によりまして日本文化放送協会ができておりますけれども最初からいわゆる宗教放送を積極的にやるというような考え方ではなしに、放送法あるいは電波法精神から申しまして一党一派に偏しないという考え方で、むしろほかの見聞放送はいろいろな形で宗教番組というものをやっておったわけでありますが、日本文化放送放送内容におきましては、今申し上げましたような趣旨から意識的にと申し上げてもいいかと思いますが、宗教番組関係は避けております。最近はいろいろまた違った動きがあるようでありますけれども、従来はむしろほかのものに比べると宗教関係番組が少うございました。今お話しになりましたように寄付行為の中に、この放送事業目的として、真善美というものの発揮ということを特に協会目的としておりますが、その点につきましては、やはり協会としてはいろいろ力を尽してきておったようであります。ほかの民間放送に比べると、その面においてはやや特徴は持つてきておったように思います。ただ財団法人日本文化放送協会でも、その運営はどこまでも広告収入によらざるを得ないのであります。従ってスポンサーによる番組も編成をし、放送しなければならぬ事情にございますので、結果的には一般会社形態による民間放送と、あまり違わない形になってきておるわけであります。特に一般経済情勢が安定である場合はまた別でありましょうが、過去三年の間には相当起伏もございましたし、運営そのものかどこまでも広告収入によっていかざるを得ないために、一般放送と比べてあまり差がないではないかというような見方もあるように思われますが、考え方としては先ほど申し上げたように、特徴を出そうという努力を続けてきておられることは私ども認めておる次第であります。
  45. 松前重義

    松前委員長 私が質問しておるのと、あなたの答えとは、だいぶ違うのであります。というのは、財団法人日本文化放送協会に対して認可されたその目的並びに精神というものはどうであるかということでありまして、現在の日本文化放送協会内容がいいとか悪いとかいう批判をしておるようなつもりはないのであります。でありますから、当初日本文化放送協会が認可されたのは、財団法人として真善美目的達成のために、そういう社会の現出のためにやろうという、そういうところが他の営利本位放送事業会社とは違う、こういう立場で認可しておられる、その後もおそらくただいま御説明のように相当努力はしてきておるだろうと思うのですけれども、その認可の精神について伺いたい。なぜ財団法人に認可したのであるか、その目的がなければ株式会社に対しても同じように、やはり当時認可したのであるか、この問題について伺いたいと思うのです。
  46. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。実は当時の電波監理委員会としては、この日本文化放送協会に対する認可は、満場一致ではございません。投票の結果、四対三の多数決で認可をされました。従いまして、多数決でこれを認可をすべしということで結論を律られたのでありますが、もう一つ会社形態であるから、日本文化放送協会という違った形のものでもよろしいじゃないか、こういうようなことから結論としては多数決できめられた記録になっております。その際に、もちろん今委員長から御指摘になりました寄付行為内容というものも、いろいろ検討されたわけであります。真善美を発揮するために、いろいろこの協会運営していくということ自体は非常にけっこうなことであるから、これをもちろん助長した方がいいじゃないか、こういうような気持が多分にあったと思います。しかし法令的には会社でなければならぬとか、あるいは財団法人でなければならぬということはありませんし、その間に差をつけるということが法令及び基準上からは何ら出てこないわけであります。結果的に申し上げますと、その目的が非常に日本文化向上のためにプラスになるであろうから、こういうものにも免許を与えた方がいいではないか、こういうことから結論として認可された、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  47. 松前重義

    松前委員長 簡単に御答弁願いたいと思うのですが、特殊な使命を持たせるために財団法人というものに認可されたものであるかどうか。しかもその特殊な使命を、先ほど来の御説明によれば、今日まである程度果すように努力をしておるということでございましたが、その特殊な使命を持たせるために財団法人に認可したのか。認可したのが悪いというのではありません。どういう精神で認可されたのかということだけを伺っておるのであります。
  48. 長谷慎一

    長谷政府委員 特殊の使命を果させるために、財団法人免許を与えたとは私ども考えておりません。
  49. 松前重義

    松前委員長 ただその団体と申しますか、株式会社であろうと財団法人であろうとにかかわらず、放送内容その他については、いわゆる使命その他については、政府としては全然ある目的達成せしめようという意図も何にもなく、ただ電波を出して適当に商売していけばよろしい、こういう気持で認可されたのでありますか。
  50. 長谷慎一

    長谷政府委員 いろいろたくさん競願等があります場合に、その目的なりその出願の内容の確実性なり、そういう点を考えまして、よりよいものに与えることは当然であります。そういうふうに処置されてきておりますが、初めからそういうことをさせようというように政府が積極的に考えて、そういうものからふるいをかけてあるものにさせたり、あるいはその申請の計画をそういうふうに向けて認可をするということは、従来までもされておりませんし、法令上そういうことは期待されていないというふうに現在は考えております。
  51. 松前重義

    松前委員長 最近の民間放送の実情を受信機を通じて聞いてみますと、国民の最も低いレベル、いわゆる低い感情に訴えようというような、日本文化的な向上だけでなくて、むしろ低い感情に訴えて、言いかえると多少堕落した傾向が見えるような節が見えると思うのです。こういう現状にあるときに、いたずらに商売の目的だけを基準として、何でも健全に商売をやって、もうけていけばいいのだというような考え方で、全く方針なく認可をなさるのであるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  52. 松田竹千代

    松田国務大臣 もとより放送事業は、社会一般に及ぼすところの影響がきわめて至大でございまして、その社会文化の程度を低下させるような卑猥なものをやるべきでないということは当然であろうと思うのであります。さりながら一面民間の放送協会等におきましては、その財源といたすところは民間の広告源による以外に道はないのでありまして、そこに困難な点があるのでありまするけれども、しかしながら一般社会文化水準を維持するとともに、なおその上を行くだけの考え方を持って、こうした事業には関係当局はやっていかなければならぬ。従って主管庁といたしましても、その監督する面において、そうしたことに対して注意を喚起しておるような次第であります。
  53. 松前重義

    松前委員長 抽象的な御答弁でまことに不満でありますけれども、私はこういうことを聞いておるのです。そういうふうなだんだん水の低きに流れるような方向に向っておるところの日本放送の現状というものに対して、何らか特殊な使命を持った放送というものがなければならないという感じが私どもはするのです。であるならば、そういう放送に対して、その特殊な使命を持ったものの一つとして、ただいまの日本文化放送のようなものを考えるような、いわゆる文化向上に対する具体的な意図を持っての監督を政府としてはやっておられるかどうか、また今後の許認可をやられるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  54. 松田竹千代

    松田国務大臣 ただいまお示しのございましたように、特に日本文化放送につきましては、当初の目的、すなわち委員長のおっしゃいました真善美というような高いところから社会に向って、その文化向上を促すというようなところにめどを置いて認可されたものと思います。しかしながら今日の現状は、やや当初の目的を逸脱しているのではないかというお話でございますが、さような点もあるかに承知しておりまするので、きわめて近い将来にこうしたことをすべて是正して、そうして本来の目的達成するように進めていかせたいという考えで指示を与えておる次第でございます。
  55. 松前重義

    松前委員長 大臣の御答弁は私の質問に多少誤解があります。それは運営が当初の目的を逸脱しているということを私は言っておるわけではないのです。だんだん低きに流れやすい日本放送界のプログラムの現状を見ても、一つくらいは当初の目的、ただいま大臣の御説明の当初の目的のようなものを、あくまでも助長していく必要があるのではなかろうかという意味についての御所見を承わりたい。
  56. 松田竹千代

    松田国務大臣 お説まことにごもっともでありまして、そういう方針をもって進んで参りたいと思います。
  57. 松前重義

    松前委員長 いずれこの問題は、小委員会もできたのでありますから、小委員会で御質疑なり、また今後における調査を進めたいと思います。  きょうはこの程度において散会いたします。次会公報をもってお知らせいたします。    午後零時二十八分散会