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1955-05-06 第22回国会 衆議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月六日(金曜日)     午後一時三十七分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 廣瀬 正雄君 理事 中垣 國男君   理事 橋本登美三郎君 理事 井手 以誠君    理事 松井 政吉君       秋田 大助君    椎熊 三郎君       竹内 俊吉君    中曽根康弘君       成田 知巳君    森本  靖君       八木 一男君    前田榮之助君       三輪 壽壯君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 松田竹千代君  出席政府委員        郵政政務次官 早稻田柳右エ門君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      白根 玉喜君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     宮本 武夫君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         専  門  員 稲田  穣君         専  門  員 山戸 利生君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 五月六日  委員松浦周太郎君辞任につき、その補欠として  椎熊三郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 五月二日  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  二二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第一九号)  郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出  第二〇号)  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  二二号)  昭和三十年度日本電信電話公社予算について説  明聴取     —————————————
  2. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員長代理 これより会議を開きます。  去る五月二日本委員会に付託になりました簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案議題といたしまして、まず政府当局より提案趣旨説明を求めます。郵政大臣松田竹千代君。     —————————————
  3. 松田竹千代

    松田国務大臣 ただいま議題となりました簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、現在簡易生命保険及び郵便年金積立金運用は、主として地方公共団体に対して融資することとなっておりますが、毎年資金が増加して参りますこと、及び運用範囲を拡大し、各種公共事業施設改善融資するようにとの国会の御決議もいただいておりますので、一そう公共利益をはかり、あわせて資金効率的運用に資するため、運用範囲を拡大しようとするものであります。  これによりまして、新たに融資対象となりますものは、第一は、国民生活の安定上急務とする住宅建設資金等を供給するための住宅金融公庫その他の政府機関に対する貸付等であります。第二は、重要産業に対して長期資金を融通し、国民経済の振興に寄与するとともに、資金運用利回りの向上をはかるため、長期信用銀行法による銀行業務を営む銀行、農林中央金庫及び商工組合中央金庫の発行する金融債であります。第三は、余裕資金効率的運用をはかるために短期運用として購入する国債であります。第四は、国に対する貸付でありまして、さしむきは郵政事業特別会計に対し、老朽郵便局舎緊急改善のために要する資金貸付しようとするものであります。なお住宅公団に対しましては、日本住宅公団法制定の際に、この運用に関する法律の一部を改正した上、融資することにいたしたいと考えております。  また資金運用に当りましては、地方公共団体融資重点を置くこととし、資金量において金融債に偏重し、または一金融機関に傾いて融資し、もしくは一般のものと異なった条件で購入または引き受けすることを避けるよう、運用上の制限を加えようとするものであります。  以上でこの法律案提案理由説明を終りますが、何とぞ十分御審議の上御可決下さいますよう、お願い申し上げる次第であります。     —————————————
  4. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員長代理 次に簡易生命保険法の一部を改正する法律案郵便年金法の一部を改正する法律案及びただいま提案趣旨説明を聴取いたしました簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案の三法律案一括議題といたしまして質疑に入ります。この際質疑の通告がありますので、これを許します。橋本登美三郎君。
  5. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 その前に大臣が御出席でありますからして、この前当委員会決議をしました町村合併に伴う資金の問題ですが、大臣から非常な御努力を願ったようでありましたが、残念ながら公募公債で五億円程度が認められただけであって、残り三十五億円というものはふいになったわけであります。この五億円について金融の裏づけはどうなっておりますか。
  6. 松田竹千代

    松田国務大臣 これは政府が補償してくれることになっております。政府補償による公募債ということになっております。
  7. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ちょっと今の大臣説明ではおかしいと思いますからして、あらためて……。それではその問題はあと回しにしましょう。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案のうちで、今度改正要点は年三分五厘を年四分に改めるということと、もう一つ、大臣説明にはないようですが、倍額支払い規定を、今度は十才以下に限ってはこれを倍額支払いをしないという改正が入っておったのではないでしょうか。いわゆる保険金倍額支払い規定を整備する等の必要がある……。
  8. 白根玉喜

    白根政府委員 このたびの改正案におきましては、おっしゃるように倍額支払い条項改正いたしておるわけであります。このうちの重点は、十才未満で死亡した者に対しまして、倍額支払い対象から除外いたしたのでございます。と申しますのは、簡易保険におきまして保険金の最高、保険金倍額支払い制度を設けましたのは、被保険者が思わざる事故によりまして死亡した場合に、その遺族が受ける物質的な打撃を多少なりとも緩和するという趣旨で作ったのでございます。これにつきましては御承知のように民間では特別の割増し保険料を取って倍額支払いをやっておる会社もあります。この倍額支払いを創設いたしました際におきましては、実は無制限であったわけです。と申しますのは、これは二十四年に制定したのでございます。二十三年に御承知のように、利益配当、私の方では長期還付金と申しておりますが、これを廃止したりそれから削減、期間を一年間を二年に延長したり、付加保険料を引き上げたりいたしまして、サービス条項の面につきましてほとんど削減したわけでございます。といたしますと、時あたかも物価の変動がありまして、保険を募集する際におきまして相当むずかしい時代でございました。従いまして二十四年になりまして、倍額支払いという制度を創設いたしたわけでございます。ところがその当時における状況よりも、その後交通事故なり水難等によりまして、倍額支払いに対するケース相当ふえて参ったのでございます。倍額支払い保険金額の全保険金額に対する割合を申しますと、二十六年で三・七%、二十七年で四・六%、二十八年で五・二%というふうに、倍額支払いの全保険金額に占める割合相当ふえて参っておるのでございます。これは交通事故水難等による対象人員がふえて参っている傾向になっておるのでございまして、そのうちで特に小児に対する、十才未満の受償者が相当ふえて参っておるのでございまして、現在では保険金額で申し上げますと、倍額支払いの五〇%程度までが、小児のうちで特に十才未満の者に対して起っておるわけでございます。一面、法案にもありますように、従来ともそういう倍額支払いをやるような、不慮事故の際におきましては、その事故者が重大なる過失がある際におきましては、これは除外して倍額支払いを払わないで、保険金だけを払っておるのでございますが、十才未満になりますと、御承知のように注意能力がほとんどないのでございます。意思能力責任能力も十才未満には大体ないような状況でございます。従いまして実際論といたしましては、重大なる過失であると考えるようなケースにおきましても、子供であるがために、実は倍額支払いを重大なる過失と認定しないで払っておるのが現状でございます。そういうような現状でありますので、われわれといたしましては、こういう状況はだんだんふえていくのではなかろうか。そういたしますと、なるほど倍額支払いをやるところの対象になる方々に対しましては不公平かもしれませんけれども、全加入者に対する公平な面からいたしまして、少し行き過ぎではなかろうか。ことに現在の簡易保険契約者の大部分、六〇%程度は世帯主であります。そういたしますと、こういうケースによって財源を食われまして、将来の利益配当財源相当量この方で食われるということが、果して公平であるかどうかということを考えたのでございます。一面、外国、ことに全部調べたのではございませんが米国の保険会社等におきましては、十才未満に対しましては、むろん割増し保険料も取っておるのが大部分でございますが、取っておってなおかつ十才未満並びに六十才以上の方々には倍額支払いをしていないのが現状でございます。さて国内の状況はどうかと申しますと、民間保険会社におきましては、倍額支払いという制度をとっている会社もございますし、とってない会社もございますが、大体とっておる会社におきましては、十才未満除斥対象にしておるのもございますので、この際かたがた、旧契約と違う点はいろいろ問題があるかと存じますが、新契約からは、倍額支払い対象中から十才未満の者を除外いたしたい。ただし旧契約の分につきましては既得権でもございますし、簡易保険信用を維持したいために、旧契約者に対しまして不利益なる効果を遡及させるのもどうかと存じまして、新契約からスタートいたしまして、旧契約従前通りにいたしたい、これが改正要点でございます。
  9. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今の御説明大分事情がわかりましたが、今のお話によりますと、この表で見ると、昭和二十八年度の表で倍額支払い総額は一億八千六百万円、それに対して十才未満は四千三百万円、こうなっていますと、あなたの言うように倍額支払いのパーセンテージが五〇%にはならぬようですが、これは数字の方の私の解釈の違いかどうか。
  10. 白根玉喜

    白根政府委員 この数字は、倍額支払い契約で払うところの保険金額は一億八千六百万円何がしとなっております。それから次の全死亡契約が三十五億何がしになっております。それでその比率が五%となっておりますが、これは全契約——私の五〇%と申し上げましたのは、一億八千六百二十六万円の中で、十才未満の者が四〇%ないし五〇%と見ておると申したのであります。
  11. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 いやそこは、ちょっとあなたの表をごらんになると四千三百万ですよ、十才未満保険金支払い金額は。
  12. 白根玉喜

    白根政府委員 これはこの三カ年の平均が五〇%となっておるのでございます。
  13. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 三カ年の平均でもそうならぬのじゃないか。
  14. 白根玉喜

    白根政府委員 その前の表をごらんになっていただきますと、倍額支払い契約とそれから全死亡契約とが、これは倍額支払い契約が一でございまして、二が全死亡契約でございます。この一の二に対する割合保険金額の欄をごらんになっていただきますと、二十六年度が三%強、それから二十七年度が四%強、二十八年度が五%強、こうなっております。
  15. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 どうも数字説明が少し都合のいいような解釈をしておられるようでありまして、なるほど昭和二十六年度は十才未満は二千二百万ですから、大体において全体の半分を占めておるようですが、しかしながら二十七年度、二十八年度、二十九年度、いわゆる最近の三カ年間数字を見ると、それは大体において三〇%以下になっています。こういう数字の上から見て、結局年間三十何億ですか——年間支払い総額が幾らになりますか、大体全部を入れての保険支払い総額は。
  16. 白根玉喜

    白根政府委員 二十八年度で申し上げますと、全死亡契約全体の保険金額で申し上げますと三十五億九千八百八十八万円、そのうちで倍額支払い契約対象になって、二十八年度で払ったのが一億八千六百二十六万円であります。
  17. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうすると、こういう計算になりますね。昭和二十八年度における総保険金支払額は三十五億九千万円、いわゆる三十六億円、そのうち十才未満倍額分だけを考えれば大体において二千二百万円である。そうすると、その十才未満サービスをこの際やめても、結局三十六億円の〇・五%にすぎない、こういう計算になるでしょう。であるからして、そういう金額のために、せっかくサービス条項として設けたこの条項を、そういう事情で廃止するという理由は非常に薄弱である。要するにあなた方の方でこういう案を出してきたのは、いわゆる三分五厘を民間並みに四分に引き上げ、それから最近における国勢調査における死亡率を適用して、定額率を施行しようということから起きてきた。一千万でも二千万でも他の方面に浮かそうという考え方から、せっかく設けたサービス条項を廃止しよう、こういう考えに基本的になると思う。私がなぜこういうことを言うかというと、国営事業であるから、一たん国がきめたものを、これを重大なる支障なくして廃止したり変更することは、国営事業の権威に関する問題である。しかも、たとえばこの間の相模湖の事件のごとくに、同一事件によって死亡した場合に、それが契約年度の相違によって、ある父兄は三十万円もらう、ある父兄は十五万円もらう、こういう事態が起きたときに、その保険契約者一般に与える影響は非常に甚大であると考えなくちゃならない。しかも今金額を追及していけば、要するに三十六億円のうちのわずかに二千二百万円の問題にすぎない。こういうことのために国営事業の威信を失墜し、信用を害するというやり方は、非常に不当ではないか。従ってこの問題に関しての整備統合というものは、他の問題を解決せんがためのいわゆる理由にすぎなくして、せっかく設けた、しかも父兄から見れば、わずか十才未満子供をなくすということは非常に重大な影響を与えられるのに、しかも甲という子供は三十万円もらえる、乙という子供は十五万円しかもらえない、こういうことは保険事業に対する非常に重大なる信用の問題になると思う。従ってこの問題については、私の考えが果して不当かどうか、大臣の御見解を承わりたい。
  18. 松田竹千代

    松田国務大臣 ただいま橋本委員の御指摘になったことは、最近の数字の点から論じていけば確かにお説ごもっともと考えられますが、諸外国の例、最近の数字の動向を参酌いたしましてこういう決定を見たのでございますが、なおこの点は私は事務当局よりさらに説明願って、そうして得心のいけるように願うようにしたいと思います。
  19. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 これは、大臣もおっしゃいましたが、あるいはまた前の政府委員から諸外国の例を引いて仰せられましたが、これを制定するときに諸外国の例はすでにあったのであります。何も簡易保険制度が初めて日本で行われたのじゃなくして、この制度を施行するとき、すでに先進国簡易保険事業をやってきておったのです。それらを勘案してなおかつ簡易保険としては、こういうことをやりたいという前提に立ってやったので、特に最近に外国の例が出てきたのではないのであります。従って外国の例を理由としてとることは全たく不適当であって、そうなれば、当時は外国の例を研究せず立案した、こういう議論になるのでありまするからして、この問題は外国の例は私は考えてもらいたくないし、かつまた実際保険事業として困難である場合には、民間事業のように割増金制度をつける、これなら私は公平であろうと思う。しかしながらそういう見解でなくして、簡易保険事業としては当時の情勢から、そういうサービス条項を設けようという大方針に従ってやった。であるからしてサービス条項として、この三十二条を見てもわかりますように、サービス条項として設けたのであるからして、十分なる能力がないから、従って重大なる過失があったかどうかを判定するに苦しむということは、そう大きな問題ではないはずであります。サービス条項なのであります。しかも全体の数字からいって、昭和二十八年度の例で見れば二千二百万円程度金額である。であるからして、私は簡易保険の性質から考えても、また実際上の施行の面から考えても、このサービス条項の一部制限というものは不適当じゃなかろうか。もしやるならば、当然全体に向って民間保険と同様に特別死差料金を加えて、そうして倍額支払いを合理化するという、こういう話ならわかりますが、一部制限を加えるということについてはなお御研究を願いたいし、われわれの委員会の方でもそれについては具体的な研究を進めていきたいと考えます。
  20. 白根玉喜

    白根政府委員 ただいまの大臣の御説明に対して、補足さしていただきたいと思います。なるほどおっしゃるように倍額支払い対象のうちから、十才未満の者に対して倍額支払いをしないといっても、当面のところではそう大した金額にならないのでございます。しかしながらこれをどの程度金額が浮くかということをちょっと御参考までに御説明させていただきたいと思うのであります。これを御改正を御承諾していただけますと、御承知のように法律の関係で考えて、二年後でなければできないことになっております。従いましてその影響は三十二年から出るわけでございます。三十二年で浮くところの利益と申しますのは百七十四万円でございます。それから三十三年度がまた上りまして千三百十万円でございます。それから三十四年度が二千五百二十三万円でございます。三十五年度が三千五百五十万というふうに累増して参るのでございます。一面死因別順位を調べてみますと、不慮災害というのは、実は前は死因の十順位の中に入っていなかったのでございます。相当あとの方の順位になっておったのでございますが、最近になりますとこれが十順位の中まで入って参りまして、死因別といたしましても、不慮災害というのが相当高順位になって参るような傾向に相なっておるわけであります。従いましてこれらに対する財源相当財源を食って参るのではないか、かように存ずるわけでございます。その浮いた財源をどうするかと申しますと、これはむろん将来の利益配当財源になる。だんだんその財源が安定いたしますと、保険料引き下げ財源にもなるわけであります。さような意味からいたしまして、現在程度災害死で、しかも小児に対する率が現在程度であるなら問題はないかとも存じますが、この順位相当上っていくのじゃないかという面もございます。そういたしますと、全保険契約者権衡論考えてみますと、どうせ浮いた財源一般のものにも及ぶ利益配当財源になる、こういう意味からいたしまして今回御提案申し上げた次第でございます。一面、お話のように、民間のように特別な割増保険料を取ってやったらどうかというやり方研究してみたのでございます。ところが、これは御承知のように特約でやるわけでございます。私の方の契約では、現在四千万件程度もございますし、毎年三百万ないし四百万程度の新契約が出るわけでございます。そこで新契約だけにやるといたしましても、とにかく割増し保険料をお出しになるかならぬかということを一々折衝し、お出しになることになりますと、今度は特別の手数をかけて参らなければならぬのでございます。その手数の面が相当問題でございますし、また一面既往契約者については、保険料を取らないでやらざるを得ないのでございます。もし既往契約者に対しましても特別保険料と申しますか、増割し保険料を取ることになりますと、相当手数その他が要るのでございます。その契約だけでも四千万件ございますので、そこまでいくのも行き過ぎでございますし、二面不利益を過去の契約に遡及させることも、保険信用の面からいたしてもいかがかと存じまして、実はサービス・ダウンにある程度なることはおっしゃる通りでございますが、こういう御提案をした次第でございます。
  21. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 それでこの三分五厘を今度四分に引き上げること、これによっての支払額がふえてきますね。これと保険料金国民死亡率低下によるところの引き下げによるマイナス面、これはどのくらいの金額になりますか。
  22. 白根玉喜

    白根政府委員 三十年度で申し上げますと、死差益の面で、改正しないといたしますと六十五億円の黒字になります。そこで改正後には四十四億円の黒字になりまして、料金値下げによる影響——この中には旧契約と新契約との権衡を保つために、旧契約に対して分配利益配当を増額しますから、一期に積み立てなければならぬ金が入ってはおります。そこで内訳を申し上げますと、料金引き下げによりまして死差益は四億五千四百万円、分配増加による影響が十六億三千六百万円、これだけ減になります。それから利差益といたしますと、減が三十年度は三千万円、三十一年度が二億七千四百万円、三十二年度が四億四千百万円というふうになっております。
  23. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 相当莫大な金額になるようですが、むしろこういうことは考えられないですか。こういこうように民間保険昭和二十六年度の国民死亡率を基準にしてやっておるわけだが、それと歩調を合せるために同じく従来通りにやっておっていいのですが、それを昭和二十七年度の国民死亡率をとるというのであれば、年間におけるマイナス面は十億——合せて約二十億、これだけの金額ですね。そうなりますと、年間一億八千万円くらいの倍額を無料で払ったつて、従来通りなら問題ではないわけですね。従来通り死亡率を利用し、かつまた三分五厘を四分——三分五厘を四分というのは、民間が四分だからそれに歩調を合せるというのなら四億五千万円はやむを得ないと思うのですが、この保険料金民間より安くするために十六億円の赤字といいますか、減収になるわけですが、これをやらなければもちろん問題は出てこなかったわけですね。ですからもっと変った方法として、従来民間がやっておった率でいけば、もちろん倍額保険支払いは将来ともに考えてもなおかつさしつかえないということになりますね。一方においてサービス低下をやるが、一方においてサービス制限するという結果になるのですが、しかしいずれにせよ年間二千万円程度のものをこの際サービスをやめるということは、せっかく十六億円の全体のサービスを向上させようというのですから、その面から考えてもどうも思わしくないと思うのですが、この点はどうですか。
  24. 白根玉喜

    白根政府委員 保険料を下げた影響といたしまして——下げないでいけば相当余裕が出るわけですが、死差益だけで申し上げますと二十八年度六十一億出るわけです。利差益相当出ているわけです。そこで現在の実際の死亡率は、予定死亡率に比較いたしますと四〇%くらいしかないわけでありますが、死差益が一年に六十数億出るわけです。利差益相当出て参るわけであります。従いまして保険料を下げるということをわれわれとしてはせざるを得ない。どうしてもしなければならないし、また国会でも御決議があったのでございます。そこでその結果、剰余金がどのくらい出るかという問題でございますが、われわれの見通しとしては、かように保険料を下げまして、新旧契約権衡を保つために、旧契約に対しまして利益配当を増額いたしましても、剰余金はなるほど相当出るわけであります。従いましてその剰余金の面からいけば、おっしゃるようにこの程度の金は出ると思うのでございます。ただ簡易保険というのは精神的な慰安を保障するのでなくて、物質的な保障をするわけでございます。そういたしますと、現在の簡易保険契約者は大体六〇%が世帯主でありまして、そういう世帯主に対しまして、将来利益配当なり、保険料を下げていきたい気持でいるときに、交通事故なり、水死その他の水難による傷害の占める割合の大きい十才米満の小児——ただいまのところでは二千万円ないし三千万円でございましょうが、十年もたつと一億くらいになるのではないかと思うのでございます。そういうような点を考えてみますと、一般に対して利益配当を均霑する財源に使うがいいか、それとも気の毒だから受償対象の中で十才未満の者を除外しない方がいいかという相関関係になるのではないかと思います。これも災害対象になる災害死が、現在程度のカーブでいくということになれば問題はないと思いますが、そのカーブが相当ふえて参っております。そうすると十年では一億以上にもなりましょうし、さらに先にいきますと、二億、三億にもなるおそれがあるのではなかろうか。その中で子供の十才未満の占める割合相当ふえて参る。これはすでに傾向ではないと思う。そうしますと、倍額支払い対象のグループの面からいきますと、これは不権衡で気の毒でございますが、全体の加入者に対する総合的な観点でいくときには、それだけの原資をほかの契約者に均霑させる方がいいか、気の毒だからその災害死のグループの中から十才未満を除外しない方がいいかという見通しの問題でございます。その見通しの問題は御審議いただきたいのでございますが、私どもといたしましては将来相当災害死がふえて参ってくる。不慮の死の順位は第十位でございますが、さらに九位、八位へといくおそれもある。そうなりますと、原資としては相当大きな原資になって、その部分だけが災害死にあらざる加入者に対する利益配当なり、保険料引き下げて、利益を均霑させる分に対してマイナスになってくる。ですから、そういう意味から参りまして将来の見通しとしては、十才未満方々にはお気の毒ではあるけれども、この際そういう意味からスタートをとっていったらどうかというのが、改正趣旨でございます。
  25. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 趣旨はよくわかるのですが、災害がだんだん多くなってきて、将来ともにこの金額がある程度増加していくということは、一つの見通しとしては当然そうなるであろうと思うのです。しかし一億になる場合には保険総額がふえていくから、必ずしも現在の二千三百万円と合せて考えていくことはないのですが、幾らかは増加して参りましょう。ただ増加して参りましても、総体の金額からいえば、一%未満である。十才未満倍額支払額分だけを大体目の子算で計算してみると、おそらく〇・五、六%にすぎないだろうと思う。これは現在簡易保険がいろいろな意味において宣伝をしたり、そうしたものにかけている費用からみても、わずかな費用である。しかもこういうようなサービス条項が一部制限されるために、もし簡易保険事業に対して一般国民から不信の念を抱かれることになる方が、マイナスの面からも大きいのではなかろうか。どうしても災害倍額支払いというものが相当金額を占めて、将来運営上に大きな影響があるということであるならば、抜本的にいわゆる災害倍額支払い規定をやめるか、もしくは災害支払いに対しては特別料金を付加するかという、基本的な観念に立つべきではないか。十才未満の者に対してのみこういう制限を加えるというようなことは、これからやるのならば問題はないが、すでに実施してしまったのであるから、多少の犠牲を払っても、国営事業としての簡易保険制度としては何とかやっていくべきではないかというのが私の見解ですが、いかがでしょうか。
  26. 白根玉喜

    白根政府委員 お話のように現在の段階からいきますと、全死亡保険金額に対する割合は少いのでございます。しかし正確な検討をしてみますと、二十六年度で一・八%、二十七年度で二・三%、二十八年度で二・六%というように、二%程度には現在でもなっているのでございます。要するにお話しのように、たとえば一億になったときには資金量もふえますが、全体のパーセンテージとしては大したことにはならないかもしれませんが、配当原資としてみますと、相当な金になるわけでございます。
  27. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 一応改正の点に関する質疑はそれくらいにいたします。次の年金法の改正案です。この年金法の中に一部分差し押え規定を認めておりますが、恩給法その他これに類するといいますか、こういうものに関するもので差し押えを禁止しておるもの、それについてお調べがあれば承わりたいと思います。
  28. 白根玉喜

    白根政府委員 お答えいたします。恩給法の建前といたしましては、恩給を受ける権利については全額差し押えを禁止いたしております。ところがその後にできた民事訴訟法の六百十八条で差し押え禁止の範囲を少し狭めて、恩給につきまして、恩給金額の四分の一に限りこれを差し押えすることができる。ただし差し押えにより債務者がその生活上窮迫の状態に陥るのおそれなきときは、裁判所の認可を得てその二分の一に達するまでそれを差し押えることができる。恩給法自体は全部禁止しておりますが、その後民事訴訟法によりまして、ただいま申したように制限されておるのでございまして、これは債権者の保護とかいう面から、そういうことになったのじゃないかと思います。
  29. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今度改正しようというのは、最近における経済上の推移にかんがみ、年金の最高制限額を年額二十四万円に引き上げるということで、これに伴う差し押え金額の限度の問題ですが、いわゆる経済事情にかんがみ年金の最高制限額を二十四万円に引き上げたということは、これは一人の生活費を原則としてお考えになったのか、それとも年金ですから、夫婦者を考慮に入れての最高制限額ですか、お伺いいたしたい。
  30. 白根玉喜

    白根政府委員 独身者あたりを対象とするものではございませんが、家族というところまではいかないのでございます。実はこれをきめたのは大体物価指数の面を考えてみて、それから現在のこれらに類しているものあたりを考えてみまして、大体二十四万円程度という目の子になっております。
  31. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体夫婦として最小限これくらいが必要だという計算的基礎から、二十四万円というものに引き上げたい、こういうわけでありますね。
  32. 白根玉喜

    白根政府委員 ちょっと補足いたしますが、大した根拠はないのでございますが、基準年度からいたしますと、相当金額になりますが、実際それだけの金額の最高限を引き上げるということにいたしますと、負担能力の点については相当な負担になり、行き過ぎではないかという面も考えられます。さてどの程度のめどかというお話でありますが、これは大した科学的めどではございませんが、まあ恩給あたりを対象にして考えてみたわけですが、基準年度の昭和九年から十一年までの間における平均恩給金額は三百五十九円でございます。その当時における年金の最高制限額は二千四百円でございます。それが昭和二十八年では物価指数が四万二千四百二十一円になっておる。約一一八・二%、約二倍になっております。そこでこの倍率をかけますと、二十八万三千六百八十円という程度になっております。そこで腰だめいたしまして二十四万程度でどうかというので、大体の検討でつけたのでございます。
  33. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ですから最初この年金額をきめるときには、一応独身というよりは、いずれかといえば相当の年配になってからであるから、夫婦者を原則にしてきめたということになりますね。それから計算して、その後の物価指数にあわせて今日では二十四万が妥当であろう、こういうことであろうと思うのです。そこで郵便年金ですが、この性格をお聞きしたいのです。郵便年金というのは、これは少しは違いましょうが、公務員の恩給に匹敵するような性格を持っておる。民間では恩給がありません。もちろん公務員でも郵便年金に入ってもけっこうですが、この最初の趣旨は、公務員あるいは会社員等にはそういういろいろな制度があるが、一般にはそういう制度がない。それだけではありますまいが、そういう点をもカバーするために、いわゆる一般市民が何年後かにはとにかく最小限度の生活費をもらってやっていける、こういう一つの民間恩給式な考え方が基礎でこういうものができたのか。それともそうではなくして、一種の郵便貯金の形の変ったものである、こういう考え方から郵便年金法というものを作ったのか、この点についての解釈をお聞きたい。
  34. 白根玉喜

    白根政府委員 結論から申しますと、まん中ごろだろうと思います。恩給については、郵便年金よりか、これは特殊の関係からして、政策的にやはり少し強いのではないか。こちらは任意年金でございまして、厚生省の強制年金とは少し違うのであります。任意年金である関係からいたしまして、民間等の関係も考えまして、恩給程度まではいかないけれども、貯金より少し保護をしたらどうかという中間的な性質ではないか。非常に逃げたような答弁で大へん恐縮ですが、そう考えております。
  35. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 厚生年金は事業者がある程度負担する。これは強制年金の可能な性格を持っておるのですが、郵便年金の場合は、政府が一部負担するわけではないから、強制的な性格は持ち得ないわけでありますけれども、その金の出し方からいえば、もっと保護していい制度ではないか。一方は政府が半分負担してやる。けれども郵便年金の方は、全く自分の独力をもってしし営々として働いた一部の金を積み立てていって、そうして二十年後か十五年後の将来において、自分がその年金によって食っていこうというのであるから、ある意味からいうと郵便年金の方をもっと保護してやっていい制度ではないか。ただ郵便年金は一時に相当の額を積んで、そしてわずかの期間後に相当金額がもらえるという制度であるから、そこに少しの行き違いがあるのですが、性格からいえば毎月幾らかでも積んで、十年、十五年、二十年後にはこれだけの金をもらって老後を楽しもう、こういう性格が現実だろうと思います。一時金にするのは原則ではなく、積立年金が原則だろうと思うのですが、年金法の建前として、どちらに重点を置いておられるのか。
  36. 白根玉喜

    白根政府委員 どちらに重点を置いておるのでございますけれども、実際論としては定期年金に重点を置いております。また利用者は定期年金が八〇%になっております。やはり定期年金が実際問題として重点になっております。
  37. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 定期年金というのは、どういう内容の本のですか。
  38. 白根玉喜

    白根政府委員 定期年金と申し上げますのは、ある一定の年令の契約者が、金の要るころは大体いつごろだろうという見当をつけまして、その見当をつけたときから年金の支払い開始をさせるようにしたいというのでございます。これは五年間払ってもらうのと十年間払ってもらうのと分けて、それで選択することになっております。それが一時払いと分割払いでそれぞれ年令によって掛金が変っております。     〔前田(榮)委員長代理退席、委員長着席〕
  39. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうしますと、一時に何十万円かを納めて、五年後に分割払いをしてもらう、こういうのですか。
  40. 白根玉喜

    白根政府委員 一時払いの場合と分割払いと選択してもらうわけであります。掛金の一時払いで申し上げますと、十才で、十二才から支払いを開始して五年間年金をもらう、それで金額はどのくらいと見当をつける—最高二十四万円と踏みますと、百万円余を一時に払う、こういうことになります。それから分割払い、これは全期払い込みと五年払い込みに分れておりますが、全期払い込みで申し上げますと、十才で二十才の支払い開始になっておりますが、それ以外のものはないのでございますが、それを五年間支払うといたしまして八万七千二百八十八円というふうに、年令別、支払いの態様等によって変っております。
  41. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 わかりました。その程度の問題であれば、ある程度の差し押えが行われることはやむを得ないと思います。そこで、こういう制度はやっておらないのですか。十年なり二十年なり、毎月なり毎年なり少しずつかけていって、二十年後とか二十五年後に一定額の金をもらっていくというような、一種の積立養老年金制度は現在やっておらないのですか。
  42. 白根玉喜

    白根政府委員 一例を申し上げただけでございまして、その制度もございます。掛金の分割払いでやりまして、五十才支払い開始、六十才支払い開始もありまして、それぞれ先ほど申し上げましたように年令なり保証期間によってはじきまして、掛金をきめてやっております。それはございます。
  43. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 その種の、ほんとうに勤労所得の一部分をさいて、積み立てによって、十年なり二十年後において年金をもらう、こういう制度があるようでありますが、そういう制度のものに対しては、差し押えがきかないということは、法律的には扱いにくいのですか。
  44. 白根玉喜

    白根政府委員 御説は年金の差し押え禁止につきまして、種類別に分けて、特にそういう養老的な色彩のものについては、差し押えの禁止の幅を、その余のものに比較して特別の取扱いをしたらどうかというお話だろう、かように解釈して拝聴いたしまして御説明申し上げたいと存じます。その点はなるほどごもっともな点でございます。しかし実は年金制度を創設した際に、それらの意見も込めて、その当時における司法省といろいろよく打ち合せましたが、いわゆる差し押え禁止の幅を拡張するということは、債権者といいますか、取引の安全の問題もございます。そこで年金を創設したのは大正十五年でございますが、その際に大体差し押え禁止の限度は、最高制限額の一割程度ということできまりまして、その後昭和十八年、昭和二十一年、昭和二十三年、昭和二十四年の改正の際も、大体債権者に対する関係等をも考えまして、最高制限額の一割というように、種類別に区別しないで、従来もやっておるわけでございます。現在では法務省でございますが、そういう司法関係の債権者の取引の安全を保護する官庁との今までの交渉では、おっしゃるような種類別にやって、養老的な色彩の特に強いものについて、差し押え禁止の幅を広げるということは、従来ある程度主張したのでありますが、なかなか通らない現状からいって、イージー・ゴーイングかもしれませんけれども、やはりその方針を踏襲してやっております。
  45. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 年金法についての質疑は一応以上で終りまして、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について質疑をいたします。この中で大臣説明の中には、住宅金融公庫とか、あるいは重要産業に対して長期資金を融通するとか、余裕資金効率的運用をはかるために短期公債を購入する、こういう点が書いてあるようですが、法律の中にある予算の議決または承認されたる法人、こういう面については大臣説明の中には、具体的に説明がないようでありますが、しかしこの法律改正の面からいえば、日本電信電話公社あるいは国際電信電話会社あるいは日本放送協会、こういうものもこの範囲の中に入ると解釈してよろしいのですか。
  46. 白根玉喜

    白根政府委員 御説明申し上げます。予算について国会の議決を経なければならない法人といたしまして、現在対象になるものを申し上げますと、日本開発銀行日本輸出入銀行、住宅金融公庫、国民金融公庫、中小金融公庫、農林金融公庫、この政府機関の公庫と、それから日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本専売公社の九個の機関でありますが、そのうち別項にございます債券の発行能力を有することによりまして、四号に掲げているものは日本国有鉄道と日本電信電話公社の二機関でございます。
  47. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 国際電信電話会社は入りませんね。
  48. 白根玉喜

    白根政府委員 入っておりません。
  49. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 要するに議決と承認、従って今度該当するのは日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本放送協会、これには該当するわけですね。
  50. 白根玉喜

    白根政府委員 はい、そうでございます。
  51. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そこで、しかしながらこの法律によると、その公社なりもしくは協会なりが債券もしくは公債を発行する場合だけに限られるのですか。もしくは地方団体のごとくに短期に現金的な融資を受けられるのですか。
  52. 白根玉喜

    白根政府委員 電信電話公社に例を引きますと、債券もできますし、また長期の貸付もできます。その上に短期の融資資金運用部審議会の議決を経てやはりできることになっておりまして、先般の審議会に諮りまして、短期融資もできることになっております。
  53. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうしますとこの法案はもちろん通ることになりましょうが、その結果、昭和三十年度における融資計画というものはお考えになっておりますか。
  54. 白根玉喜

    白根政府委員 昭和三十年度の融資計画を御説明申し上げます。このワクを広げた部分をまず御説明申し上げますと、五号に相当する「前号に規定する法人に対する貸付」といたしまして住宅金融公団に三十億、それから六号の長期信用銀行法第二条に規定する長期信用銀行、農林中央金庫または商工組合中央金庫の発行する債券、これに該当するものとしていわゆる金融債といたしまして二十億、それから国債の方の先ほど大臣の御説明になりました食糧証券等は短期でありますから、長期の中に入っておりません。国に対する貸付といたしまして郵政事業特別会計に五億円、それから先ほど大臣の御説明にもありましたように今度できます住宅公団に貸し付けるのが二十億、その余のものにつきましては市町村に対する貸付が四百二十八億、二十九年度は四百六十億でございましたが、本年度におきましては四百二十八億、それに契約者貸付の五十数億というものが別にあるわけでございます。
  55. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうしますと日本国有鉄道もしくは電信電話公社と放送協会、この四号ですか、これに対しては融資計画はない。短期融資もないのですか。この融資計画というものは長期計画だろうと思うのですが、短期の方は考慮に入っていないのですか。
  56. 白根玉喜

    白根政府委員 お手元に御配付したものは短期の計画でなく、長期の計画でございまして、長期計画には先ほど御説明しましたように入っておりませんが、短期の方はそのつどの需要に応じまして、これから計画を立てましてやればできる態勢になっております。
  57. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 短期融資の総ワク、手持ちワクといいますか、それはどのくらい毎年あるのでしょう。
  58. 白根玉喜

    白根政府委員 短期融資のワクといたしましては、御承知のように私どものところで決定する長期に貸すもの、その操作資金の残りを短期に回す。従いまして長期に貸すに支障を来さないように、短期融資に出さなければならぬ。大蔵省の資金運用部におきましては、繰越金というものを持っております。ところが郵政省の簡易保険局資金には、繰越金を実は持ってない。従ってその金額は長期の融資計画が早くきまるかきまらぬかによっても違うと思います。去年は大体七月か八月ごろに固まりました。それが六月に固まれば早く長期に出さなければならない。九月になりますと少しスピードが落ちる。従いまして短期融資をいたすところの金額は、それによって相当狂いが出てくるわけであります。ただし昨年の例を申し上げますと、短期融資をやりました最高のピークは百五十億円程度でございます。本年度は昨年度よりも融資金額がふえております。従いまして融資金額といたしましては、自治庁で大きい財源として見られる地方公共団体に対する長期貸付の決定がいつきまるかによって違いますが、大体見当といたしましては百五十億を相当はねまして、百八十億程度ぐらいは本年度はできるのじゃないか。しかし一面短期融資につきましては、市町村に対する短期融資相当の要望がございますが、一面再建整備その他の関係がある程度解決する以上につきましては、市町村に対する短期融資はある程度締めなければならないものが出てくると思います。従って短期融資で市町村に対する貸付の短期融資以外にどの程度の余力が出るかという問題、地方公共団体に対する再建整備の関係がどうなるかという問題があります。ある程度このワクを広げた対象に対しての短期融資の余力は出る、こう考えております。はっきりした金額はやはり大株主である市町村の長期が早くきまるかきまらぬかということにかかると思います。
  59. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今度三十億ないし二十億とか、いろいろ融資計画ができていますが、これは郵政省関係のいわゆるワクの中でやるのですか。大蔵省との協議事項になっていますか。
  60. 白根玉喜

    白根政府委員 建前といたしましては郵政省関係でございますので、郵政大臣が独自できめられることになっております。また一面相手の大蔵省の資金は、これまた大蔵大臣の独自の見解できめられることに相なっております。しかし資金相互の関係は、御承知のように出投資計画という問題もございます。相互に話し合いをしていくことに相なっております。建前としては郵政大臣独自の権限でやれるのでございますが、向うもそうでございますが、一本の融資計画にからんでの面からいたしますと、双方で相談し合うということになっております。
  61. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大臣にお聞きしたいのですが、この法律が通過する前に、予算としては住宅金融公団あるいは日本住宅公団等に郵政省関係の資金融資計画ができているわけですが、この郵政大臣の専権事項——もちろん計画としては総合的なものでありますからして、大蔵大臣資金計画といいますか、そういうものに大きなつながりを持っておることは、これはもうやむを得ないのですが、権限としては郵政大臣の権限で、この法律案が通ればこういう工合に融資ができるのでありますから、この前この逓信委員会、前の電通委員会においても、御承知のように合併町村の交換局整備の資金、こういう問題に対して幾分かでもこの融資計画の中に入れられてもよくはないかという工合にわれわれ考えるのですが、非常に骨折って下さって、なおかつそういうことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、今度の予算で見ると七十五億になっています。七十億は大体金融関係のある程度の了解を求めてあるようですが、あとの五億円だけは、ただ五億円だけを頭から乗せたという程度であって、その資金的な話し合いは十分についていないようにわれわれは聞いておる。はなはだ安心のできない五億円であろうと思うのです。そこでこの短期融資の面で、将来いわゆる七十五億円という公募公債日本電信電話公社は発行できるのですが、それがなかなか消化が困難であった場合に、この中でもっていよいよ年末あるいは最後になって、どうしても十億とか十五億が一般金融でもって公募ができない、こういうときには、短期資金融資の道が開かれたのですから、この中から短期融資をして、そうして昭和三十一年度の予算にはこの預金部資金のワクを取る、こういう考え方は出てくるものか出て来ないものか、お伺いいたします。
  62. 白根玉喜

    白根政府委員 お話は電信電話公社の所要資金問題にからんでのことと思います。その点につきまして私といたしましては実態は実は知らないのでございますが、私の方としての運用の面から申し上げますと、御承知のようにまず予算の裏づけが出たものについて、資金を割り振る問題が出るわけでございます。おそらく電信電話公社といたしましても、まず予算の獲得が主ではないか。そこでワクがきまれば、外部資金が必要であれば資金運用部なり私の方なり、どちらでもいいわけでございまして、その際におきまして私の方として、資金をその方に割り振ることができないというわけではないのであります。ただ問題は、私の方の建前として問題になるのは、地方公共団体に対する貸付にやはり重点を置かなければならない。そこで二十九年度におきましては四百六十億長期でやっているのを、本年度は四百二十八億というふうに落しております。そういう面からいたしまして資金的に割り振りがちょっと困難な面はございますけれども、さればといって本年度でも予算の方で、主計局で歳出の方、裏づけになる償還その他の予算的な裏づけがあれば、これは市町村に対する貸付原資を前年度より低くした事情があって、そうたくさんは出せないかもしれませんけれども、全然考えられないことではなかったと思うのであります。それが現在の長期の問題でございますが、お話はあのきまった資金の何では、年度内で電電公社の方で、場合によってはつなぎ資金は要るのじゃなかろうか、そのときに郵政省として簡易保険資金を流す可能性があるかないかという問題だろうと思います。その点につきましては、ほかの資金状況等も勘案しなければならないと存じますが、ワクといたしましては、今度法律でワクをこしらえた部分につきましても、短期融資ができる建前になっております。そのときどきにおける状況によりまして、余力があればそれはお貸しするのにやぶさかでないと思います。
  63. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今の説明でありますと、資金余裕があれば、この法律が認められればもちろん日本電信電話公社も日本放送協会も、短期融資が可能になるということでありますから、資金余裕の問題でこの問題は解決ができる、こういうお話でありますが、当然それはこの法律ができた以上はそういうふうになると思うのです。問題は今申したように政府が公債発行高を七十五億円と認めても、なかなか一般市場の金融状況から見て七十五億円が消化できないかもしれぬ。これは一種の予算の裏づけがあるわけなんですが、電電公社としては七十五億円の公債発行をして、これだけの償還期間を立てて公債を発行するわけですから、それでいいというような比較的、計画的なものに対しては相当優先的に、この不足分に対しては短期融資の面で補って、そうして次年度に——もちろんこれは預金部で見てもらえればけっこうですが、見てもらえない場合においても、公債等の条件がよくなればそういうことも発行できるということになるわけでありますから、そういうことも可能になってくると思うのです。法律的にはもちろんできることになったのですが、郵政大臣なり郵政当局、簡易保険積立金を扱っている当局の心構え、やってやろうとするのか、それとも今までの交渉の経過から考えてみて、この際はやってやらなければならぬ、であるからもしそういうふうな事情がきまった場合においては、優先的に実際上の問題としてこれを考えてやろう、こういういずれかの心境の上に立っているか、考え方の問題ですが、それをお伺いしたいと思います。
  64. 白根玉喜

    白根政府委員 非常にデリケートのお話でございまして、優先的というのはいろいろの問題を起すのでございまして、大きな面で見ますと、私の方の簡易保険資金は、加入者の信託財産である。従って加入者利益に還元しなければならないという意味で、資金運用部で統合しておるのをこちらに持ってきたわけでございます。そのうちで地方還元と申しますか、加入者利益に還元するウエートがどこが一番大きいかということになると、国会の御審議によりまして地方公共団体に対する貸付がやはり第一順位だろうということで、現行法がこうなっておるわけであります。従いまして地方公共団体に対する貸付の面で、ほんとうの意味における短期融資の所要量が、これはただだぶつかせて不健全財政の面からする短期融資の所要量でなくて、ほんとうの意味における短期融資の所要量が、どの程度あるかという問題ともからむのであります。従いまして端的に申し上げますと、市町村に対する短期融資よりも優先して電電公社に短期融資をいたします、こういうことはちょっと言えない建前にあるのでございます。そのようなものに対する、ワクを出たものに対する面との関係はどうかという問題であろうと存じます。これは優先的というのが、グループが二つも三つもあれば優先的となりましょうが、一つに集中して優先的というとちょっとそこまではっきり言えないのでございます。この程度で一つごかんべんを願いたい。
  65. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大いに苦心のあるところを今後とも生かしてもらいたいのです。そこでこれは郵政大臣並びに梶井総裁にお聞きしたいのですが、昨年昭和二十九年度の予算も昭和三十年度の予算も、しかも昭和三十年度の予算のうちの当局が希望した四十億円という市町村合併に要する整備資金、預金部資金を借りたいというこの問題が本年度もだめになって、公債五億円を増しただけになってしまった。そこで去年、今年だけの傾向から見れば、預金部資金を当然もらえるようなそういう必要資金にしてももらえない、貸付を受けられない。こういうことになると、一つの傾向としては電電公社は法律はいかにともあれ、実際問題としてこの預金部資金の割当を受けることが将来ともにむずかしいのではないか。今度のような市町村合併に伴う交換局の整備統合、これらは全く電電公社としては何ら利益の向上になるのではなくして、一般利用者の、あるいは地方公共関係の利益を擁護するためにやるような仕事であって、計算的には実際上マイナスになる。そういうような施設資金に対しても預金部資金がもらえない。こういうことになれば、法律上にはあっても、預金部資金というものは将来ともに活用できないのではないか。そういうことになれば、この電信電話公社法の中にある資金計画あるいは資金調達方法について考え直すべき時期に入ってきていはしないか。たとえばあの条項については発行条件に対して一種の制限を加えられておる。大蔵大臣の認可によって、一般の社債等に比べては悪い条件でなければ発行できない、そういうような特殊な条件が加えられておる。こういうことでは将来所要資金一般から集めるということについても、非常に困難が出てきはしないか。従って将来ともに一つの見通しとして、金利の安い預金部資金なりあるいは簡易保険積立金等を使うことは困難である。短期の場合は別として、長期資金に使うことは困難である。こういうことが一つの見通しとして考えられるならば、当然これは公社当局としても資金の調達方に関する考え方を一つ持たなくてはいかぬのじゃないか。法案は政府当局の法案でありますからして、政府においてもこれは考えなくてはならぬ性質のものではなかろうか。こう考えるのですが、それについて所管大臣である郵政大臣並びに梶井総裁から御意見を伺いたい。
  66. 松田竹千代

    松田国務大臣 お話のようにそういうことはおのずから懸念されると思います。しかし今度の内輪話を申し上げるようで恐縮でありますが、昨年度の公募債の消化不良になった点よりかんがみまして、この点は特に大蔵大臣にも念を押して、そういうことのないように格別の配慮をするということになっておりますことだけを申し上げておきます。
  67. 梶井剛

    ○梶井説明員 公社の発行いたしました社債につきましては、二十九年度において二十七億五千万円の不消化をいたしております。従って三十年度において七十五億の社債募集のワクを持ちましても、それが全部消化しないということがありますと、計画にそごを来たすと思います。でありますから、ただいま郵政大臣がおっしゃいました通り、大蔵大臣なり大蔵省当局に対しては今回の七十五億に対して、必ずこれを消化するだけの努力をしていただきたいということはしばしば要請してありますので、大蔵省あるいは大蔵大臣としても、その点は違算なくおやりになることと確信します。  また預金部資金の問題につきましては、二十八年度、二十九年度の二年だけ預金部資金の割当を得られなかった。しかし三十年度に対しましては町村合併の性格から申しまして、ぜひとも預金部資金でもらいたいということをお願いしたのであります。その趣旨については大蔵省としてもよく了解をしておられますけれども、預金部資金の増額にもおのずから限度がありますので、本年度はやむを得ず社債を五億増額することによって解決をされたのであります。しかしこの趣旨につきましては重々了解していただいておりますので、三十一年度以降におきましては、われわれ預金部資金をぜひとも割り当てていただきたいという考えでおりますし、また許す範囲において必ずそういうふうにするということを大蔵大臣も言っておられたのでありますから、われわれは預金部資金に対しては全然絶望であるというような考えは毛頭持っておらないのであります。
  68. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 せっかく法律既得権として持っておるのですから、今さら放棄する必要はないと思いますが、最近の預金部資金の使い方から見ると、政府から見ればもうかっているというか、一応独立採算制としてやっていける事業体である、こういうことからして、預金部資金というものはできるだけ社会保障あるいは採算のとれない事業等に、安い利子でもって回してやろうということが一つの大きな原則だろうと思うのです。そういう建前からいうと、今度のような採算のとれない仕事に対してまでも、一応電電公社はもうかるというか、利益が上る事業体であるからがまんしてくれ、こういうことでがまんさせられることから見ると、どうも将来ともに預金部資金は使えないということが常識的というか、傾向ではなかろうかと思うのです。そうなればやはり自分の力で資金を調達する以外は道がないのですが、現在のように大蔵大臣の発行条件に従って公債を発行する、こういうやり方ではなかなかむずかしいのじゃなかろうか。そうすれば一般社債並みに、一般金融界で通用する程度の利子を支払うような債券を発行するならば、これは信用程度からいっても、ある程度の所要資金はできるのじゃないか。こういう意味からいっても、将来この問題については、郵政当局並びに電電公社当局は考える必要がありはしないか、こういう点を申し上げたわけであります。一応今のところは、将来ともに政府が預金部資金を回してくれるという原則の上に立っておられるようでありますから、それ以上申し上げませんが、この点についても一つ御研究を願いたい。一応私はこれでもって質疑を終ります。
  69. 松前重義

    ○松前委員長 森本靖君。
  70. 森本靖

    ○森本委員 ちょっとしたことですが、この前の逓信委員会会議録の第三号に、私の質問に対して中村説明員の方から、委託集金の問題については全逓の方から団体交渉を受けてないという回答があったように載っておりますが、これはその後私が調査したところによりますと、何回も団体交渉をしておるという全逓側の回答でございます。この速記録の内容と、現実の場面とが食い違っておるわけですが、これはどういうわけでありますか。
  71. 宮本武夫

    ○宮本説明員 この前の委員会で中村説明員からそういうお答えがあったそうであります。しかしそれは何かの間違いでそうお答えしたと思われるのであります。多分放送料の委託手数料の問題と思いますが、その点につきましては組合の方から交渉が持たれておるということは確かでございます。
  72. 森本靖

    ○森本委員 それは組合の方からという問題でなくて、私の質問に対して、そういう申し出はないということを現実に答弁なされておるわけである。だから、この速記録における答弁が間違いであるならば間違いであると、一つそういう回答をしていただきたい。これは単に組合にどうこうということではなしに、私の質問に対してそういう回答がなされ、正式に会議録に載っておるわけでありますから、その点の弁明をお願いいたしたい。
  73. 宮本武夫

    ○宮本説明員 それではこの前の議事録をよく見まして、もしそういうふうに間違いでありますれば、これを訂正するようにいたしたい。そういうふうに手続したいと思います。
  74. 森本靖

    ○森本委員 念のために申し上げておきますが、逓信委員会会議録の第三号、三月二十六日付の四ページ上段にあります。  次にお聞きしたいのですが、三十年度の郵政予算の中におきまして、無集配郵便局の宿直制度という問題についてどうお考えになっておるか、お聞きしたい。
  75. 宮本武夫

    ○宮本説明員 宿直制度の問題でございますが、ただいまあいにく所管当局であります経理当局が見えていないものでありますから、後日の機会に回したいと考えております。
  76. 森本靖

    ○森本委員 それではこれは後日私の方から質問したいと思いますので、この内容について十分御検討願いたいと思います。  その質問の要旨は、無集配局については、現在宿直要員は全然一人もおらない。それらの公金その他に対する責任の度合いをだれが一体持っておるか。あるいは盗難その他の問題についてはどういうようにお考えになっておるか。いやしくも官庁に対して全然無人の局に夜間をしておくというようなことについて、どうお考えになっておるかということについて、詳細に次に質問をしたいと思っておりますので、申し上げておきます。
  77. 松前重義

    ○松前委員長 森本君にちょっと御注意いたします。法案が提出されておりますので、法案に関するものをできるだけ集約して、お願いしたいと思います。
  78. 森本靖

    ○森本委員 大体予算の説明になっておりますから……。それでは今の点と、それから次に予算案の問題に関すると思いますが、通信手、逓信手というのは昔からあるわけであります。これについての恩給年限というものは昔から問題になっておるわけでありますが、これについて後日私の方で質問したいと思いますので、詳細にこれに対する郵政省の態度並びに総理府の恩給局の態度というものを、一つ明確にしておいてもらいたいと思います。  それから次にこれは緊急の質問でありますが、新潟県の横越というところの特定郵便局長の任用の問題につきましては、これは御承知かと思いますが、国有局舎であります。こういう国有局舎に対して、統轄局の次長が辞任して、退職金をもらって、新しく特定郵便局長に任用せられているというケースが出ておるわけでありますが、これに対する問題についても、私は後日質疑を行いたいと思いますので、詳細に資料を整えておいてもらいたいと思います。  それでは法案に対する質問を行います。郵便年金法の一部を改正する法律案が出ておりますが、先ほど保険局長の答弁によりますと、中間のものであるという御答弁でありましたが、この郵便年金法というものを将来も続けていって、国民の上に、この年金法の趣旨によるところの福祉の増進ということが、この年金法によって完全にでき得るとお考えになっておるかどうか、お聞きしたいと思います。
  79. 白根玉喜

    白根政府委員 郵便年金法に基いての郵便年金事業といたしまして、そのねらいとする養老施設その他の福祉施設が完全にできると考えられるかというお話でございますが、それは事業の伸び工合にもよることであると存じますが、完全に福祉施設ができると断定するところまでは多分いかないだろうと思います。
  80. 森本靖

    ○森本委員 私のお聞きしておるのは、簡易保険というものは生命保険趣旨でございますが、郵便年金というものは、老後自分のかけた金を年金としてもらっていくという趣旨なんです。ところが一般の恩給についてはべース・アップがなされるわけでありますが、郵便年金についてはべース・アップが全然なされない。昔相当金額をかけたものが、現実に百二十円か二百円しかもらえない。そういうような性格を持っておる郵便年金法というものが、ほんとうに国民の福祉増進になるような事業であるというふうにお考えになって、これを推進せられておるかどうかということをお聞きしておるわけであります。
  81. 白根玉喜

    白根政府委員 御説は郵便年金は長期の掛金をしなければならないので、従って掛金をした当時における貨幣価値が維持される限りにおいては、おそらく御心配の面はない。しかし御趣旨は、郵便年金の掛金をした当時に比較いたしまして貨幣価値が下って参る、その意味からいたしましては、恩給と違ってベース・アップをしない。従って金額的な面からいたしまして、実質上低下せられた貨幣価値で金銭給付をやるという面からいたしますと、なるほどおっしゃるように、それが郵便年金のウィーク・ポイントであると存ずるわけであります。従いましてそれらの欠陥を補う意味からいたしまして、老後の養老施設を拡充いたしたい、かように存じております。しかしその面に対しましても、完全にそれができないじゃないかとおっしゃるのであると存ずるのでございますが、その点は、ざっくばらんに申しますと、ある程度ございます。そこでその弱い面からいたしまして、郵便年金事業として将来性がもうないのじゃなかろうかという御心配もあろうかと存ずるわけでございます。しかしわれわれといたしましては、戦後における物価の変動、終戦を境としての前後における物価の変動程度まで貨幣価値の変動があるかといえば、そこまではいかないのではないかとわれわれは考えるわけでございます。従いまして日本の国力が充実いたしまして、経済が安定することが認められるといたしますれば、物価の変動、貨幣価値の変動はかりにあるといたしましても、その変動のカーブというものは、終戦直後に経験したようなカーブではないのではなかろうか、こう考えるわけでございます。さればといって、やはりある程度のカーブによって物価の変動がある。あるとすればそれに対する補充的な施設といたしまして、老後の福祉施設をやる。その老後の福祉施設をやれば、掛金当時の金によって物的設備をやり、また福祉施設をやるのでございますから、その欠陥の分野を補充する作用も持って参るのじゃなかろうか、こう考えておる次第でございます。
  82. 森本靖

    ○森本委員 政府委員説明では、これから先の問題については大して変動がないと考える、これから先の問題は今ここで論じたところでどういうようになるのかわからないから、ただ私の申し上げておるのは、今国民大衆諸君の方からは、非常に昔の年金に加入した者に対しては大きな怨嗟の的になっておるということであります。昔ほんとうに身を削るような金をかけた。ところがそのかけた金が、現在もらってきておったら全然生活の足しにもならない、そういうことによって、国民大衆諸君にとってこの郵便年金保険というものが非常に怨嗟の的となっておる。これに対して何らかの措置を考えずに、今後郵便年金というものを発展させていこうと考えるのは—昔の問題についてどうお考えになっておるか、現実に国民大衆諸君の怨嗟の的になっておるということを、郵政当局は御承知かどうかということをお聞きしておるわけであります。
  83. 白根玉喜

    白根政府委員 お話の点は十分承知いたしております。まあ毎年に近い程度、終戦直後それに対する請願が出て参っておりまして、よく承知いたしております。しかし御承知のように郵便年金といたしましては、一定の掛金をかけていただきまして、それに死亡率なり予定利率によって積み立てた金で年金の支払いをやるわけであります。従いまして物価の変動、貨幣価値が下ったというのに対応する、いわゆる物価変動積立金相当するような金銭積み立てはしてないわけであります。従いまして積立金は貨幣価値が下った場合における対応策といたしまして、それに充当するだけの積立金の増をするというような建前になっていないのでございます。従いましておっしゃるような面があると思うわけであります。これは大なり小なりほかの長期の金銭債券については起り得ることでございます。一番目立っておるのは郵便年金でございますが、長期の契約では簡易保険もそういう面があると思います。また貯金といたしましても、事実上長期に戦前からかけておる面については、その面もあると存じます。従ってそれを補充するような意味で何らかの対策をするということを、一応研究はしてみましたけれども、それに要する所要資金は千億程度の金が要るわけでありまして、そこまでは行き得ないのでございます。また一面かりにこれが千億程度の金を、事業の余力からは出ませんので、一般会計から繰り入れをしてもらって、郵便年金の面を解決できたといたしましても、次の問題は長期債券の関係はどうなるかという問題になる。保険に火がつきます。長期の貯金にも火がついてきます。そういうような面からいたしまして、非常にお気の毒であることは重々わかっておるのでございますが、年金事業の立て方からいたしまして、これは非常に相済まない、やむを得ない事情にあるのではないか、かように存ずるわけでございます。恩給の面につきましては、なるほど一定の国庫納付金をやっております。しかし国庫納付金は、その恩給の積み立てる金額に対しましてほとんどその一部でございます。それは一般会計から補充いたしましてべース・アップができるわけでありまして、郵便年金事業が一つの企業であって、積立金をもって年金支払いに充てるというのと制度趣旨が違っておるので、いつもそれを比較いたしまして、郵便年金に対しての公衆の御不満がある、かように存ずるわけでございます。御不満はもっともでございますが、もっともである通りに是正するというのが実際問題といたしまして、企業形態のとっている立て方からいたしまして困難であるということを御了承いただきたい、かように存ずるわけでございます。
  84. 森本靖

    ○森本委員 そうすると現在までの問題については非常に不合理であって、まことに国民大衆諸君についてはお気の毒である、そういうふうにお考えでありますか。
  85. 白根玉喜

    白根政府委員 おっしゃる通りでございます。
  86. 森本靖

    ○森本委員 そうすると今回この二十四万円に改める。これについては、現在の分についてはお気の毒であるけれども、現在のこの企業形態、それから国家財政等からしてこれを補うということは全然できない。しかし将来にわたっては、今後終戦直後のような物価の変動は絶対にあり得ない。現在のこの郵便年金というものがあのようなむざんな格好になるということはないという確信のもとにこれを出しておる、こういうことでございますか。
  87. 白根玉喜

    白根政府委員 むろんそういうことのない前提で考えているだけではございませんので、これはかりにあったとしても、郵便年金の事業の合理化並びに拡充によりまして、郵便年金の事業余力を相当拡充して、そういう不時の際にそれに対しましては剰余金の分配等によってカバーできるようにいたしたいと存じているわけであります。
  88. 森本靖

    ○森本委員 その剰余金の分配とかなんとか言いますけれども、もしそういうことが将来できるということであれば、現在でも終戦直後のあの変動に対する考え方ができるのであって、率直にお聞きいたしますが、郵便年金というものは現在の段階においてはあまり効果がない。しかし昔からずっとこれを続けてきているので、今さらこれをやめるということは財政的にもつじつまが合わない。そこで仕方がないから最小限度将来このつじつまを合わすためにやって行く、こういうお考えではないですか、率直なところは。
  89. 白根玉喜

    白根政府委員 率直なところはそうではございません。現に郵便年金につきましても、こちらが慫慂しないでも年金に入りたいという人もあるわけであります。従いまして率直に言いましてそうではございません。
  90. 森本靖

    ○森本委員 それでは私お聞きいたしますが、現在までの郵便年金の加入について、昨年度において従業員が頭を下げて回って行かなければならない件数が何件あって、向うから入りたいというので積極的に郵便局の窓口に来たのが何件あった、そういう問題について詳細にあとで資料を御提出願いたい。
  91. 白根玉喜

    白根政府委員 それは率直に申し上げましてできません。ほんとうにそういうふうに積極的に来たのか、それともこっちが押しつけてきたのか、そういうのを一件々々調べて申し上げるということは、こちらもちょっと無理でございます。
  92. 森本靖

    ○森本委員 私はそういう答弁はおかしいと思う。一応そういうふうな積極的に来るものがあるならば、その積極的に来るものをこういう答弁の際に張り合いに出すのであるならば、少くともそれが三〇%なら三〇%、五〇%なら五〇%という一つの科学的根拠があるのでそういうことを言うのであって、それが千人に一人くらいの割合のとっぴなものを出して、それを一つの例として出すということは非常におかしいと思う。現在の段階において、郵便年金を窓口まで来てわざわざ加入させていただきたい、そういうふうに言って来るのはごく少部分だと思う。けれどもあなたがそういうふうに言われるのでしたら、あなたの方はそれだけの資料をお持ちで、そういう答弁をなされているかということをお聞きしている。もしそれが思いつきの答弁であるということならば、思いつきの答弁であってもけっこうでありますが、その点も一つ明瞭にしていただきたい。
  93. 白根玉喜

    白根政府委員 思いつきの答弁でございます。従いまして科学的な内容を収集しての答弁ではございません。悪かったら取り消しをいたします。
  94. 森本靖

    ○森本委員 私は常任委員会におけるところのそういう科学的な根拠のない思いつきの答弁というものは、今後も差しさわりがあると思いますので、一応お取り消しを願いたいと思います。  それでこの郵便年金についてはもとの質問に返りますが、国民の諸君にとってとにかくだまされたという感じが非常に濃いということは、率直な事実であります。だからこの問題について今度二十四万円まで引き上げるということについても、そういう面について何らかの考慮を払うという考え方がなければ、今後この郵便年金の事業が発展をすることも、なかなか困難であるというふうに考えるわけでありまして、そういう面でも率直なる具体策というものを私は次回に質問をしたいと思いますので、それまでに十分に御検討を願いたいと思います。それで時間がありませんので、次に別な角度から質問をしたいと思います。今回の簡易生命保険法の一部を改正する法律案趣旨は、私はまことにけっこうだと思いますが、ただ先ほど橋本委員の言われておった、この年令十年に満たず死亡したときというのはまたいろいろ異議がありますけれども、こういうけっこうなことを行う際に必ずつきまとうのは、この反面に苦労しているところの従業員の待遇が引き下げられるということが考えられるわけでありますが、今回のこの簡易生命保険法の一部を改正する法律と関連があるかどうかは存じませんけれども、現在の高額手当が、現行の八万円が九万円になって、引き下げられるということもうわさで聞きましたが、そういうことについては御承知でありますか。
  95. 白根玉喜

    白根政府委員 この点につきましてはただいま組合の方と官側と折衝中でございます。無理であれとすれば、無理なことは決してやらないつもりであります。組合の納得する線によって解決したいと思う次第であります。
  96. 森本靖

    ○森本委員 それでは私がお聞きしたいのは、こういうふうに簡易生命保険法というものを一応改正して、そうして国民大衆諸君の負担を軽くして、国民の福祉の増進になるということは、簡易生命保険法趣旨からいってまことにけっこうでございますが、こういうことをやられるについては、趣旨からして賛成でございますけれども、これをやられる反面、いわゆるはみ出していったものを従業員に押しつけるようなことは、手当その他の面についてはないというふうに確認をしてよろしゅうございますか。
  97. 白根玉喜

    白根政府委員 倍額支払いの十才未満の者を除外するという面については、御心配の点があるいは募集面にあるかもしれぬと存じます。しかしそのようなもの、ことに簡易保険保険料を下げるという面になりますと、募集しよい環境になるわけでありまして、募集しよい環境になるということを考えますと、従業員の方々の過重労働という面につきましては、現行の保険料でやるのと、保険料引き下げ加入者の食いつきよいような保険料にするということは、関係従業員の方々の募集しよい環境になるのじゃなかろうか、こう考えておりますが、それだけで安易な気持でやるのではなくて、さらにその実績を見まして、お説のようなことのないように努力いたしたい、かように存ずるのでございます。
  98. 森本靖

    ○森本委員 それでは、くどいようでございますけれども、こういうようなけっこうな趣旨のことをやる場合においても、従業員の方の十分の納得がいかなければ、現行の手当その他を下げるようなことはないというふうに解してよろしゅうございますか。
  99. 白根玉喜

    白根政府委員 例の手当の問題にからんでおる次第でございますが、この点はただいませっかく平和裡に交渉中でございまして、そのお含みは、今平和に交渉中であるということだけで御了承いただきたいと思います。
  100. 森本靖

    ○森本委員 よろしゅうございます。     —————————————
  101. 松前重義

    ○松前委員長 御質疑もないようでありますから、次に昭和三十年度の日本電信電話公社の予算に関しまして、梶井総裁より説明を求めることといたします。日本電信電話公社総裁梶井剛君。
  102. 梶井剛

    ○梶井説明員 昭和三十年度の日本電信電話公社予算につきましては、先般郵政大臣より御説明がありましたので、それにつけ加えて本日御説明を申し上げます。  まず損益勘定について申し上げますと、収入は千百七十五億円余でありまして、前年度予算と比較いたしますと、十六億円余の増加でありますが、前年度におきましてはデフレによる通信利用の減退、特急、至急通話等の減少によりまして約四十七億円程度の減収が見込まれますので、実質的には前年度より六十三億円余の増加となる次第であります。  収入の内訳について申し上げますと、電信収入八十七億円余、電話収入千四十四億円余、受託工事収入十八億円余、雑収入二十五億円余となっております。  電信収入は前年度予算に比べ、十億円余の減少となっておりますが、これはデフレ等の影響によりまして取扱い通数において約九%減少しておりますほか、電報が速くなりましたので、至急報が普通報に移行いたしました結果、一通当りの単金が約六%低くなってきておるためであります。  電話収入は前年度予算に比べ、十八億円余の増加になっております。料金種別のおもなものについて見ますと、前年度増設しました加入電話等が本年度は年度一ぱい稼動いたしますこと、及び三十年度における新規増加施設に伴う収入の増加すること等によりまして、前年度予算と比較して収入の増加いたしますものは、電話使用料において五十三億円余、度数料において十六億円余、公衆電話料において十三億円余等がありますが、他面前年度予算より収入の減少いたしますものは、特急通話の普通通話への移行等のため、市外通話において二十七億円余、電話専用料において十三億円余等があります。  全般的に申しまして、前年度上半期の終りごろより収入に対するデフレの影響は横ばい状態にあると考えられますが、サービス改善に伴う減収傾向は今後増大することも考えられ、収入の確保については楽観を許しません。  次に、支出は千百七十五億円余でありまして、その内訳を見ますと、事業支出は千八十一億円余で、前年度予算と比べ六十九億円余の増加となっておりまして、予備費は前年度と同額で十五億円であります。資本勘定への繰り入れは七十九億円で、前年度より五十三億円の減少でありますが、前年度におきましては四十七億円程度の減収に伴いまして、やむを得ず資本勘定への繰り入れを四十一億円減らしましたので、実質的には前年度と比べ十二億円の減少となっております。  事業支出のうち、運用保守等に要する営業費は七百八十一億円余でありまして、前年度予算と比べ五十七億円余の増加であります。分業費につきましては、二十九年度予算における閣議決定に基く節約の趣旨にのっとりまして、新規増員も六千二百人余にとどめ、人件費を圧縮いたしますとともに、物件費につきましても極力節減を心がけ、事業の合理化に努めました。  利子及び債券取扱い費は六十億円余でありまして、前年度に比べ八億円余の増加となっております。減価償却費は再評価をいたしました固定資産の価額により算出いたしまして、二百四十億円余を計上いたしました。これは前年度予算と比べ三億円余の増加になっております。  なお、各勘定所属の職員予定数の合計は、新規増員を含め十七万二千四百人余でありまして、給与総額は四百三十八億円余であります。  次に建設勘定でありますが、既定の電信電話拡充五ヵ年計画の第三年度の工程を遂行することを基本として編成いたしましたが、外部資金の調達が所期のごとく参らない上に、損益勘定の利益が大幅に減少しておりますので、自己資金の確保をはかるため加入電話の工程等を予定より増加いたしますとともに、町村合併に伴う電話サービスの改善につきまして配意をいたした次第であります。  建設資金から御説明をいたしますと、借り入れ資本収入が百八十六億円余で、その内訳は電信電話債券の公募によるもの七十五億円、受益者引き受けによるもの六十六億円余、電話設備負担金四十五億円余となっております。自己資本収入は、減価償却引当金が二百四十億円余、損益勘定より受け入れが七十九億円で、合せて三百十九億円余でありまして、資本剰余金は十四億円余であります。以上を合計いたしまして五百二十億円余となりますが、債務償還のため必要な六億円余を控除いたしまして、五百十三億円余が建設勘定の財源となるわけであります。  前年度予算は五百三十一億円余でありましたが、実行上公募債において二十七億円余、損益勘定よりの受け入れにおいて四十一億円の減少を見ますとともに、他方受益者引き受け債券において二十八億円余、負担金において二十三億円余の増加がありましたので、差し引き実質的には五百十四億円余となっておりますので、本年度は前年度実績とほぼ同額の建設資金を確保した次第であります。  さて、建設の工程でありますが、サービス工程におきましては加入電話十八万五千、公衆電話五千七百、市外電話回線四十二万三千キロ余等、収入を確保するため既定の五ヵ年計画よりも上回った工程を計画いたしました。基礎工程におきましては、電話局建設では六大都市に四局、中都市に十三局、小都市に六局、計二十三局のサービス開始を計画しました。前年度の予算工程も同数の二十三局であります。長距離ケーブルは四区間七十キロ余でありまして、前年度予算工程三区間二百八十三キロに比べ相当切り詰めましたが、短距離ケーブルは二十区間四百七キロ余を計画しまして、前年度工程十五区間三百六十八キロより若干増加いたしました。  次に、町村合併に伴う電話サービスの改善でありますが、国の財政全般の見地から公募社債が五億円認められましたのみでありますので、残念ながら当委員会の御決議趣旨にも沿い得ぬ結果となりました。大都市、中都市の電話局の建設に伴いまして、加入区域の統合を行う区域合併は前年度と同程度実施いたしますが、このほか、五億円の財源をもって区域合併五十二局及び市外回線新増設四百四十回線、三千八百キロの工程を計画し、合併町村の電話施設の整備をはかっていきたいと考えております。  さて、本年度の電信電話建設計画を進めますと、サービスの水準は前年度に比べ全般的に改善される予定でありまして、電報におきましては速度、誤謬率ともに現状維持の程度かと考えますが、電話におきましては、六大都市市内電話完了率が前年度予定平均五七%が六六%に向上し、市外電話の待ち合せ時分は前年度予定平均に比べ長距離、中距離においてそれぞれ二十分を短縮して一時間四十分程度に、短距離において五分を短縮して四十分程度に改善される見込みであります。  終りに、技術関係について申しますと、本年度には極超短波等の実施を促進いたしますとともに、クロスバー、同軸ケーブル方式、加入電信等の新技術の実用化をはかりたいと思いますが、その他、市外自動中継交換方式、短距離搬送方式等の研究をも推進いたしまして、一日も早く世界的水準に到達するように努めたいと考えます。  以上をもちまして、私の説明を終りたいと存じます。
  103. 松前重義

    ○松前委員長 御質疑はありませんか。——次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこの程度で散会いたします。     午後三時四十三分散会