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小野政府委員 先ほどの後段の御質問にもお答えすることになるわけですが、月別のそれは一応は持っております。ただそれはあまり意義を持ちません。そういうことで先ほどの千百億も四月は幾ら、五月は幾ら、こういうわけでいくのだ、それで御質問の御答弁としては、
実情はその通りには参りませんので、あまり意義がありませんから、一応参考のそれとしては持っているということを申し上げたわけであります。過去のそれを見ましても大体同じ類型をたどっております。この三月、四月の現象は非常に
異例でございますが、四月を最低として漸次高くなり低くなり、高低は大体同じ
傾向をたどっておりますので、そういった面は翌
年度の
目標を算定いたします場合の
基礎にはとっておりますが、そのことよりも、やはり全体といたしましては、前年と比べてことしの
国民所得の
状況がどうなるであろうかという面が、むしろ総体の
目標をどのくらいにしようという計算の根拠としては非常に役立つわけでございます。そういった面で千百億の
基礎を算定してあるわけでございます。昨年のそれを見ましても四月が十二億の増、五月がざっと四十億ばかりの増になっております。六月、七月には非常にふえまして百三十億、百五十億、こういうようにふえて参っております。それに大体一定のパーセンテージをかけて出しても同じように出るわけでございますが、全体といたしましても、それは
国民所得の大体の
基礎的な構造は
国民所得の
増加のそれにやや応じておるような
状況になりますので、総体として昨年の六兆一千億の
国民所得が六兆三千億何がしになり、かたく見て二%程度——これは非常にかたいものだと思いますが、それをかけましても先ほど申しましたように千五十億近く出るわけであります。いわんや現在十万円しか預入できない限度を二十万円に拡大いたしますことで、頭打ちの天井に参っておりますものが、預金
増加の現在高の一割を占めるという面からも、その天井が抜けるわけであります。さらにまた今日の預貯金だけでなく、貯蓄全体に対するいろいろな
上昇率を、よく経済の復興工合にとられます
昭和九年、十一年の基準に比べてみましても、非常に比率が低いわけでございます。それではそのように
国民所得が伸びておらないかと申しますと、
国民所得の面で申しますと、その基準
年度に対しまして約四百倍くらいになっております。物価は普通三百倍の
上昇といわれておりますが、基準
年度当時毎年百四十億見当の
国民所得があったわけでありますが、それが六兆何がしというように大幅にふえておりますので、
国民所得の面から見れば明らかに四百倍、物価の
上昇を上回る回復を見ております。それが預貯金の姿に変りますと、せいぜいその三割四分から三割五分しか回復しておりません。これは
郵便貯金についてもそうでありますが、その他の銀行預金等についても回復率は非常に低いわけであります。いわんや今日そういった
国民の貯蓄の奨励、ひっきょう資本の蓄積が非常に重大であるという政策に重点を置きますならば、あまりに預貯金の回復率が低いわけであります。まして預貯金をなし得る
国民所得の源泉は、物価の
上昇を上回るほど回復しておりますので、そこに
国民所得の前年対比の
増加割合を越えた
期待をいたしますことも、これまた決して無理からぬところでありまして、しかも千百億——かたく踏めば千五十億、千百億はとうてい不可能だ、これはいかに三月、四月の不調をもちましても断定いたしかねるわけでございまして、そこにいろいろな方策をわれわれとしては考え、
努力をいたさなければならないわけであります。そういった見地から千百億必ずしも現在をもちまして達成が至難である、とうていできない相談だ、かようには考えておりません。