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1955-04-30 第22回国会 衆議院 逓信委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十年四月三十日(土曜日) 午前十時五十五分
開議
出席委員
委員長
松前
重義君
理事
齋藤 憲三君
理事
濱地
文平君
理事
廣瀬 正雄君
理事
中垣 國男君 秋田 大助君 宇田 耕一君 川崎末五郎君 竹内 俊吉君
中曽根康弘
君
松浦周太郎
君
塚田十一郎
君
成田
知巳君 原 茂君 三輪
壽壯
君
正力松太郎
君
出席国務大臣
郵 政 大 臣
松田竹千代
君
出席政府委員
郵政事務官
(
貯金局長
)
小野
吉郎君
郵政事務官
(
簡易保険局
長) 白根 玉喜君
郵政事務官
(
電波監理局
長) 長谷 慎一君
委員外
の
出席者
専 門 員 稲田 穰君 専 門 員 山戸 利生君 専 門 員 吉田
弘苗
君 専 門 員 中村 寅市君 ――
―――――――――――
四月六日
委員中曽根康弘
君
辞任
につき、その
補欠
として
並木芳雄
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月三十日
委員並木芳雄
君
辞任
につき、その
補欠
として中
曽根康弘
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
四月二十八日
簡易生命保険法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
第一九号)
郵便年金法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二〇号) 同月五日
国産愛用
の
消印使用
に関する
請願
(
笹本一雄
君
紹介
)(第六四号) 同月二十八日
行方郵便局
の
集配事務存続
に関する
請願外
一件 (
橋本登美三郎
君
紹介
)(第三〇五号)
延方郵便局
の
集配事務存続
に関する
請願
(
橋本
登美三郎
君
紹介
)(第三〇六号)
井上郵便局
の
集配専務存続
に関する
請願
(
橋本
登美三郎
君
紹介
)(第三〇七号) 百石町
郵便局復旧
に関する
請願
(
夏堀源三郎
君
紹介
)(第三一九号) の審査を本
委員会
に付託された。 同月十三日 行田市の
電気通信施設拡充
に関する
陳情書
(第三八号) 飯谷町に
簡易郵便局設置
の
陳情書
(第九七号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
簡易生命保険法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
第一九号)
郵便年金法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二〇号)
郵政事業
に関する件
電気通信
に関する件
電波監理
及び
放送
に関する件 ――
―――――――――――
松前重義
1
○
松前委員長
これより
会議
を開きます。 一昨二十八
日本委員会
に付託になりました
簡易生命保険法
の一部を
改正
する
法律案
及び
郵便年金法
の一部を
改正
する
法律案
、この両案を
一括議題
といたしまして、まず
政府当局
より
提案趣旨
の
説明
を聴取いたします。
郵政大臣松田竹千代
君。
松田竹千代
2
○
松田国務大臣
ただいま
議題
となりました
簡易生命保険法
の一部を
改正
する
法律案
及び
郵便年金法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
について御
説明
申し上げます。 まず
簡易生命保険法
の一部を
改正
する
法律案
について申し上げますと、現在
簡易保険
の
保険料計算
の
基礎
として用いております
死亡生残表
は、
昭和
五年四月から同十年三月に至る五カ
年間
の
簡易保険経験死亡率
を
基礎
として作成したものでありますが、戦後における
衛生思想
の普及及び
医薬
の目ざましい
進歩
に伴いまして、最近
国民
の
死亡率
が著しく低下いたしました
関係
上、
簡易保険
の被
保険者
の実際の
死亡率
は
予定
した
死亡率
を相当下回って参りまして、
昭和
二十九年に厚生省が発表した第九回
生命表
の
死亡率
に似て参っているのであります。従いまして従来の
死亡生残表
をこのまま使用いたしますことは
実情
に沿わないことと相なりますので、今回第九回
生命表
の
男子死亡率
をもととして作成した
死亡生残表
を採用することにいたしますとともに、最近における
金利
の
動向等
にかんがみまして、
予定利率
を従来の年三分五厘から年四分に引き上げようとするものであります。 次に
保険金
の
倍額支払い条項
の
改正
について申し上げますと、現在被
保険者
が不慮の
事故等
を原因として二カ月以内に
死亡
したときは、
保険金
の
倍額支払い
をすることにいたしているのでありますが、最近における
医薬
の
進歩
は受傷から
死亡
までの
期間
を長引かせる
傾向
にありますので、
死亡
までの
期間
を三カ月に延長いたしますとともに、
保険金
の
倍額支払い
に関する外国及び
民営保険
の
契約条項
並びに
倍額支払い制度
の
趣旨等
を考慮いたしまして、被
保険者
が十才未満で
死亡
した場合には
倍額保険金
の
支払い
はしないことにいたそうとするものであります。 なお昨年
伝染病予防法
が
改正
されまして、日本脳炎が同法第一条第一項の
伝染病
中に含まれることになりましたため、
保険金
の
削減条項
に
所要
の
改正
を加えますとともに、従来解釈上疑義の生ずるきらいがありました
保険約款改正
の
効力
に関する
規定
につきまして、これを明確にするため
所要
の
改正
を加えようとするものであります。 次に
郵便年金法
の一部を
改正
する
法律案
について申し上げますと、
年金
の
最高限度額
は現在
年額
十二万円になっているのでありますが、最近の
経済事情
の
推移
にかんがみますと、この
金額
をもってしては
制度
本来の
機能
を十分に発揮することができない
事情
でありますので、これを
年額
二十四万円に引き上げようとするものであります。 次に、
年金
を受け取るべき
権利
につきましては、現在
年額
一万二千円まで、またこれを越えるものについてはその越える額の二分の一を加えた額まで差し押えを禁止し、また
返還金
を受け取るべき
権利
につきましては、五万円までは差し押えができないことになっているのでありますが、物価の
上昇等
を考慮いたしますときは、この
金額
は低きに失するので、この差し押え
禁止限度額
を、
年金
につきましては
年額
二万四千円、
返還金
につきましては
簡易保険
の
保険金最高額
と同額の十五万円に引き上げることといたそうとするものであります。 次に、
年金受取人等
の
福祉
を増進するため必要な
施設
を設けることができる旨の
規定
を設けたことでありますが、これは、
郵便年金制度創設
の
趣旨
にかんがみましてこの
施設
を設け、
年金受取人等
の老後における生活の安定をはかり、もって
郵便年金制度
本来の
機能
を十分に発揮しようとするものでありまして、この
施設
の
利用
に関する
費用
は原則として
利用者
の
負担
とし、特に省令で定める
費用
につきましては国の
負担
とすることにいたそうとするものであります。なおこれに伴い
郵政省設置法
の一部を
改正
し、
福祉施設
の
設置管理
に関する
事項
を所掌に加えようとするものであります。 また
年金約款
の
改正
の
効力
に関する
規定
を改めたことでありますが、これは従来明確でなかったものを明らかにしたのみで、何らその
内容
に変更を加えたものではないのであります。 以上で二
法律案
の
概略
の御
説明
を終りますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第であります。
松前重義
3
○
松前委員長
次に、ただいまの両
法律案
の
質疑
に入りたいと思いますが、都合によりましてこれは次回に延期することといたします。 —————————————
松前重義
4
○
松前委員長
次に引き続いて、
郵政大臣
より
所管事項
について
説明
を聴取いたします。
郵政大臣
。
松田竹千代
5
○
松田国務大臣
それでは私から
所管事項
につきまして概略御
説明
申し上げます。去る三月に開かれました本
委員会
におきまして、ご
あいさつかたがた
一応
業務
につきまして御報告申し上げましたので、本日はその後において生じました当面の課題につきまして御
説明
申し上げます。 まず、今国会に
提出
を予定しております
法律案
について申し上げます。今国会に
提出
を予定しております
法律案
は、ただいまのところ五件ございまして、さきに本
委員会
で御
説明
申し上げました
郵便貯金法
の一部を
改正
する
法律案
及び
簡易生命保険
及び
郵便年金
の
積立金
の
運用
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
のほかに、次の三件を予定いたしております。 その一は、
簡易生命保険法
の一部を
改正
する
法律案
でありますが、最近国民の
死亡率
が著しく低下いたしまして、
簡易生命保険
の被
保険者
の実際の
死亡率
は、その
予定死亡率
を相当下回って参りましたので、
実情
に合致した
死亡生残表
を採用いたしますとともに、最近の金利の動向にかんがみまして、
予定利率
を従来の年三分五厘を年四分に引き上げることといたそうとするもの等であります。 その二は、
郵便年金法
の一部を
改正
する
法律案
でありますが、
郵便年金
の
最高限度
は、現在
年額
十二万円となっておりますが、最近の
経済事情
の推移にかんがみ、この
金額
では
制度
本来の機能を十分に発揮することができない
実情
でありますので、これを
年額
二十四万円に引き上げますとともに、
年金
の差し押え
禁止限度額
につきましても、その
限度額
を引き上げようとするもの等であります。 その三は、
郵便振替貯金法
の一部を
改正
する
法律案
でありますが、現在住宅金融公庫の
貸付金
に対する
償還金
の納付につきましては、一般の払い込みよりも料金の安い
特殊郵便振替貯金
の
取扱い
をいたしておりますが、国民金融公庫及び
中小企業金融公庫
の貸付に対する
償還金
の納付にも、この
取扱い
を行うこととし、
利用者
の便益をはかろうとするものであります。 以上、五
法律案
を近く今国会に上程いたす予定で目下取り運び中でありますが、本
委員会
に付託されました際に、あらためて詳細御
説明
申し上げたいと存じますので、その節は何とぞよろしくお願い申し上げます。 次に、
郵政省所管
各
会計
の三十
年度
予算
につきまして、その概要を申し上げたいと存じます。 まず
郵政事業特利会計予算
について申し上げますと、
予算総額
は、
歳入歳出とも
に一千百九十八億三千余万円であります。このうち
歳出予算
の
内訳
を申し上げますと、
郵便業務
の
運営
に必要な
経費
が三百十三億五千万円、
為替貯金業務運営
に必要な
経費
が百六十六億六千万円、
保険年金業務運営
に必要な
経費
が百五十八億余万円、
特定郵便局
の
電気通信業務運営
に必要な
経費
が百億円、以上の
業務
を
運営
して行きますために必要といたします総
係経費
が百八十二億六千余万円、
恩給負担金等
の
経費
を他の
会計
に
繰り入れ
るため等の
必要経費
が二十三億三千余万円でありまして、このほかに予測しがたい
経費
の
支出
に充てるための
予備費
を三億円計上いたしております。 次に、
郵便局舎等
の
建設費
につきましては、
郵便局舎
を早急に改善いたさなければならない
実情
にかんがみ、三十
年度
を初
年度
とする
年次計画
を立てまして、前
年度
二十五億円であった
建設費
を三十
年度
は三十四億余万円とし、その改善の進捗をはかることといたしております。 なお上記のほかに、
収入印紙
、
失業保険印紙等
の
収入
をそれぞれの
会計
に
繰り入れ
る
業務外
の
支出経費
が二百十七億円となっているのであります。 以上の本
年度予算額
を前
年度予算額
一千百五十三億円に比べますと、約四十五億五千万円の
増加
となっているのでありますが、そのおもな事項について申し上げますと、逐年
増加
する
取扱い事務量
を処理するに必要な定員の増等に伴う
人件費
の
増加
が四十億一千余万円、
物件費等
の
増加
が八億二千余万円、
郵便局舎等
の
建設費
の
増加
が九億円、
予備費
の
増加
が一億五千万円となり、反面、
収入印紙等
の
業務外支出経費
の減少が十三億三千万円となっております。 以上、
歳出予算
につきましてその概要を
説明
申し上げたのでありますが、これらの結果、三十
年度
予算
の
業務費
におきます
人件費率
は、七六%となる次第であります。
郵政事業特別会計
におきます三十
年度
の
予算定員
は二十五万二千五百五十一人でありまして、前
年度
に比べまして二千八百九十人の増員となりますが、この増員は
郵便業務量
の
増加
及び
特定局
の
電話施設
の
増加等
に伴い、その
運営
の万全を期するために必要といたします増員となっております。 次に、
歳入予算
の内容といたしましては、
郵政固有業務収入
、すなわち切手、
はがき等
の売りさばきに伴う
郵便収入
、
郵便為替
、
振替貯金等
の
手数料収入
及び物件売り払い並びに
病院収入等
の
雑収入
が四百二十五億三千万円、
為替貯金
、
保険年金
、
電気通信
の各
業務
の
運営経費
の
財源
に充てるために、他の
会計
から
繰り入れ
られる他
会計
からの
受け入れ収入
が五百三十七億円、
郵便局舎等
の
建設財源
に充てるために
郵便貯金特別会計
、
簡易生命保険
および
郵便年金特別会計
の両
会計
から受ける
設備負担金
が八億八千万円、
局舎建設財源
に充てるための
借入金
が、
資金運用部資金
五億円、
簡保資金
五億円、以上のほか、
収入印紙等
の売りさばきに伴う
業務外収入
が二百十七億円となっておりまして、これ等の
収入
は、
郵政固有業務収入
において二十四億二千万円、他
会計
からの
受け入れ収入
において二十六億円、
設備負担金
三億九千万円、
借入金
五億円と、いづれも前
年度
に比しそれぞれ
増加
いたしているのでありますが、
業務外
の
収入
におきましては逆に十三億六千万円の減少となる次第であります。 次に
郵便貯金特別会計予算
について申し上げますと、この
会計
の
予算額
は、
歳入歳出とも
に三百五十億円でありまして、このうち
歳入予算
は、
郵便貯金
の
資金
を
資金運用部
に預け入れることによって生ずる
利子収入
が三百五億一千万円、
雑収入
が八千万円、
歳出経費
の
財源
に充てるため、
資金運用部特別会計
から
繰り入れ
を受ける他
会計
からの
受け入れ収入
が四十四億一千万円となっております。これに対し
歳出予算
は、
郵便貯金
の
預入者
に対し必要とする
支払い利子
が、百九十六億二千万円、
郵便貯金業務運営
のために必要とする
経費
の
財源
に充てるために、
郵政事業特別会計
に
繰り入れ
を要する
経費
が百五十三億八千万円となっております。 次に、
簡易生命保険
および
郵便年金特別会計予算
の概要について申し上げます。まず
歳入予算
は九百六十二億五千余万円となっておりまして、その
内訳
は、
保険料
及び
掛金収入
が八百四十一億一千余万円、
簡保年金
の
資金
を
資金運用部
に預託することによって生ずる
利子収入等
が百二十億八千万円、
雑収入
が五千万円となっております。 これに対し
歳出予算
は三百七十億八千万円となっておりまして、その
内訳
は、
保険
及び
年金加入者
に
支払い
を必要とする
保険金
、
還付金等
の
経費
が百四十六億五千万円、
保険年金業務運営経費
の
財源
に充てるため、
郵政事業特別会計
に
繰り入れ
を必要とする
経費
が二百十九億一千万円、
予備費
が五億一千万円となっております。なお、この
会計
における
歳入超過額
五百九十一億七千万円は、
法律
の定めるところによりまして、三十一
年度
の
積立金
として処理することとなっている次第であります。 なお、参考までに
郵便貯金
および
簡保年金
の
資金
と、
財政投融資資金
との関係について申し上げますと、三十
年度
の
政府財政投融資原資見込額
二千八百九十二億円のうちには、
郵便貯金
の
資金
が一千百億円、
簡保年金資金
が五百三億円、合計一千六百三億円が含まれておりまして、この
金額
は全
投融資原資
の五六%を占めている
実情
でございます。 次に、
郵政省一般会計
の
予算
について申し上げますと、その総額は十四億四千百余万円でありまして、その
内訳
は、
海外放送交付金
が六千三百万円、
業務費
が四億九千二百余万円、
人件費
、
官庁営繕費
及びその他の
経費
が八億八千六百余万円となっております。これらのうち
海外放送交付金
は、
放送法
第三十三条の
規定
に基いて、
郵政大臣
が
日本放送協会
に
国際放送
を実施させるため同協会に交付するものでありまして、現在行なっております十二方向、十二時間の
国際放送
を、本
年度
から十三方向、十三時間とするために必要な
経費
であります。 次に、
日本電信電話公社
の
予算
について申し上げますと、同公社の
予算
は、その総計におきまして
収入支出
とも二千二百四十一億二千余万円でありますが、このうち、
勘定
の振りかえによって重複する
金額
八百六十四億四千余万円を控除いたしますと、
収入支出予算
の純計額は、いずれも一千三百七十六億七千余万円でありまして、これを二十九
年度
と比較しますと四十九億四千余万円の
増加
となっております。 次に、
主要勘定
たる損益、
建設
両
勘定
の
収入支出
の
内訳
について申し上げますと、
損益勘定
におきましては、
収入
は、
電信収入
及び
電話収入
が一千百三十一億八千余万円、
受託工事収入
が十八億八千余万円、
雑収入
が二十五億余万円、計一千百七十五億七千余万円となっており、
支出
は、
電信電話運用費
が四百十七億九千余万円、
電信電話保守費
が二百五十億一千余万円、
管理共通費
、
試験研究費
、
職員訓練費等
が百四億八千余万円、増設続
電話
の
受託工事費
が八億四千余万円、利子及び
債券取扱費
が六十億二千余万円、
減価償却費
が二百四十億余万円、
予備費
が十五億円、計一千九十六億七千余万円となり、
収支差額
七十九億円は
建設改良
及び
債務償還
に充てるため、
資本勘定
へ
繰り入れ
ることになっております。 次に、
建設勘定
においては、
建設改良
のための
財源
として、
電信電話債券
の公募による分が七十五億円、
加入者
及び
地元引き受け
によるものが六十六億八千余万円、
電話設備負担金等
が五十七億六千余万円、
損益勘定
からの
繰入金
が、
減価償却引当金
二百四十億余万円を含めて三百十三億九千余万円、合計五百十三億四千余万円が予定されております。同じく
支出
としては、給与及び
事務費
が六十億余万円、
建設改良工事費
が四百五十三億四千余万円、合計五百十三億四千余万円となっております。 なお、
建設改良工事
につきましては、ただいま申し上げました五百十三億四千余万円をもちまして、
加入者開通
は十八万五千、
市外電話回線
では、
神戸—横浜
間及び
東京—仙台
間を
即時式
に接続する
長距離回線
を含めまして、
公衆線
が四十万三千余キロ、
電話局
の
建設
では
年度
内に
サービス
を開始するもの二十三局、
継続工事
にして次
年度
以降に
サービス
を開始するもの七局、
新規着工
のもの十二局等を主要な内容とする
計画
を持ち、この中には
町村合併
に伴う
区域合併
五十二局、
市外電話回線
の増設三千八百キロの工程が含まれております。 次に、
建設財源
の調達について一言申し上げますと、
政府
の
財政投融資計画
に関連いたしまして、
外部資金
といたしましては、公募による
電信電話債券
の発行によって七十五億円を調達し、残りは全部
加入者等
の
引受債券
による
資金
、
減価償却引当金
、
損益勘定
よりの
繰入金等
、いわゆる
内部資金
にたよることになったのであります。 なお、
建設勘定
の
支出面
におきましても
工事能率
の向上、新技術の
導入等
による
設計面
の
合理化
、
各種物品
の
計画発注
などにより、極力
経費
の効率を高め、拡充五カ年
計画
に対しましては、若干
基礎設備
の繰り延べを余儀なくされましたが
サービス
の面におきまして、大きな支障を及ぼさないように配意されている次第であります。 以上、公社の
予算
について申し述べましたが、今後一段と
事業経営
の
合理化
に努めますとともに、極力
建設資金
の調達に努力し、健全な
財政的基礎
の上に
電信電話事業
をますます拡充発展せしめ、熾烈な現在の需要にこたえていきたいと存じます。 これをもちまして私の報告を終りたいと思いますが、なお詳細の点につきましては、御質問によりお答え申し上げたいと存じます。
松前重義
6
○
松前委員長
ただいまの
郵政大臣
の
説明
に対して、御
質疑
がありますればこれを許します。
成田知巳
7
○
成田委員
郵政大臣
にお尋ねいたします。ただいまの
大臣
の御
説明
中にあるのですが、三十
年度
の
政府
の
財政投融資原資見込額
が二千八百九十二億円で、そのうち約五六%が
資金運用部資金
ということになっています。そうして
郵便貯金
の
資金
が一千百億、
簡保年金資金
が五百三億、こうなっておりますが、この二千八百九十二億円の約半分以上を占めている
資金運用部資金
の
原資
の
確保いかん
によっては、今度の
政府
の
財政投融資
というものは、
計画
通りいかないと思われるのです。そうして
郵便貯金
の
資金
を一千百億と見込んでおられるのですが、聞くところによりますと、
大蔵省
は千五十億と見込んでおる。
簡保年金
と
郵便貯金
を
合計
した千六百三億よりは、五十億円減の千五百五十三億というのが
大蔵省
の
原案
であったように聞いておりますが、なぜ
郵政当局
が五十億余分に見込まれたか、それをまず伺いたい。
松田竹千代
8
○
松田国務大臣
最近の
郵便貯金
の
動向
を見ますると、必ずしも
郵便貯金
の
増額
五十億円を見込むということは、妥当でないかもしれないと思います。しかし
郵便貯金
の点につきましては、
改正法律案
によってこの
貯金額
を、それくらいの
増額
を見込んで、その奨励に
努力
いたしまするならば、必ずしも不可能なことではない、こういう見込みを持っておる次第でありまして、本
年度
後半期においては、相当の
成績
を上げ得るのではないかと、こういうふうな考え方を持っている次第であります。
成田知巳
9
○
成田委員
今、五十億
大蔵省原案
よりもふやしたことは、必ずしも妥当じゃない、こう言われまして、後半期の
増加傾向
を見込むと、また必ずしも五十億
増加
させたことが妥当でないこともない、こういう御答弁なのです。申すまでもないと思いますが、
財政
というものは、
収入
はできるだけ低目に見て、
支出
はできるだけ多く見るというのが、
予算編成
の
根本方針
だと思うのです。特に、最近の
状況
ということを
大臣
も言っていらっしゃいますが、三月、四月の
郵便貯金
の
増加傾向
というものは、予期以上に悪いのじゃないかと思いますが、その
傾向
を
一つ数字
で御報告願いたいと思います。
小野吉郎
10
○
小野政府委員
お答え申し上げます。昨
年度
末三月一カ月の
成績
を申し上げますと、約四十八億円の
赤字
を出しておりますが、
年間
を通じまして、
郵便貯金
の
増加
の
傾向
にはいろいろ波がございます。大体毎年同じような
傾向
をたどっております。その過去の
経験数
から見ますと、三月はあまり
期待
のできない月でございまして、終戦後
赤字
を出した年もかなりございます。ただ従来の
赤字
は、大体五億見当以内くらいにとどまっておりますので、先月の
赤字
は少し
異例
ではあるまいか、かように思われますので、特に最近の
郵便貯金
の
状況
から、将来を非常に警戒しなければならない。心配しなければならない要素がありますことは、事実その通りでございます。試みにその前年の三月の
成績
を見ますと、約八億の
黒字
になっております。この八億の
黒字
は、むしろ
異例
に
成績
がよかったわけでございまして、大体はとんとんか多少の
赤字
が出るのが従来の例でございます。越えて本
年度
に入りまして、四月の実績は、月の初めから依然三月と同じ
傾向
をたどって、かなりの
赤字
を見ておりましたが、ここ一週間ばかり前からどうやら正常に復しまして、
黒字
に転じております。毎日二億ないし三億の
黒字
を見ておりますので、当初非常に心配しておりました四月の
赤字
も漸次解消いたしまして、現在のところでは大体十五億くらいの
赤字
になっております。前年の四月はどうかと申しますと、十億余りの
黒字
になっております。これを照らし合せて、前年の四月と今年の四月のそれを見ますと、そこに二十五億ばかりの開きがございますが、どうやらここ一週間ばかり前から二億、三億の純増を見つつありますので、これをもって直ちに将来の
郵便貯金
の
成績
を、極度に悲観する必要もあるまいかとも思うのであります。四月という月も、
年間
の波から申しますと一番低い月でございまして、あまり
期待
の持てない月でございます。例年四月を最低といたしまして、五月、六月と漸次
上昇
のカーブをとって参ります。夏に入って少し落ちまして、さらに秋から年末にかけてぐっと伸び、特に一月か
最高
の山になっておりますことは、これは例年変らない
傾向
でございます。
郵便貯金
の本
年度目標
千百億が、果してできるかどうかという点につきましては、当面の三月、四月のみの
成績
をもちましては、直ちにこれが絶対に不可能だとは断定しがたいのでありまして、今後、四月末から五月、六月の趨勢を見ませんとわかりません。ただ千百億を今
年度
内に達成いたしますためには、非常に
努力
を要することは事実でございます。しかし絶対に到達不可能ということも私ども考えられないと思うのであります。ただ非常に
努力
をしなければならないことは十分わかるのでございますが、現在のところ、千百億はとうてい到達できない
目標
である、こうは考えておらない次第でございます。
成田知巳
11
○
成田委員
今の御
説明
を承わりますと、三月、四月は非常に
成績
が悪いというお話なんですね。ところが去年は、三月は八億二千万円の
黒字
になっております。今年は逆に四十八億の
赤字
なんです。そうすると、差引五十六億差が出たことになります。四月に入りまして、四月一日から二十一日までだろうと思いますが、去年は八億一千万円の
黒字
なんです。今年は三十億九千万円の
赤字
になっておる。そうしますと、これも約四十億の差が出ているわけです。三月、四月を加えますと、プラス・マイナス九十五億の差が出ているわけです。こういう大きな変動があるのですが、これを今後取り返す自信がおありかどうか。特に千百億の
原資
を見込まれた毎月の数字を一つ出していただいて、今後の見込みと対照していただきたいと思うのですが、どういう根拠で千百億をお見込みになったか。
大蔵省
は最初五十億減らして立てたと思うのですが、郵政省の方でなぜ五十億おふやしになったか。最近の三月、四月の実績からいって、果して根拠があるのか。各月別の見込みを出していただきたい。
小野吉郎
12
○
小野政府委員
私どもの方では、各月別のそれは、実行過程になりますと一応
目標
として持ちますが、ある
年度
の
目標
がどれだけときめます場合には、四月から三月までの各月別の
金額
は別段算出の根拠として持っておりません。ただ前年の実績から見ますと、前
年度
千十四億の実績を上げております。それに対しまして、
国民
所得がかたく踏んで大体二%の増、こういうことに相なっております。もちろん貯蓄の
増加
は、
国民
所得の
増加
の割合そのままの形で伸びるわけではありません。そこにいろいろ
努力
をしなければならない面があるわけでありますが、かりにかたい数字の二%増と見ましても、千四十億から五十億の線が出るわけでございます。加うるに、今日の
郵便貯金
の一人の預入し得る
最高
の限度は十万円となっておりますが、この十万円の限度、天井に参っておりますものが総体のどのくらいあるかと申しますと、
金額
で約一割ございます。現在の
郵便貯金
の総現在高は四千四百四十億となっておりますので、約四百四十億くらいは十万円の
最高限度
の天井で、現行の貯金法の建前から申しますと、貯金をしたくても
郵便貯金
に預入できないというような限度に達しておるものでございます。今回貯蓄増強の要請にもこたえまして、近く
郵便貯金法
の一部
改正
法案の御審議をお願いいたしたいと思うのでございますが、これは現在の
最高
十万円の限度を、倍額の二十万円に拡張しようとするものでございます。これによって天井に参っておりますものの預入の限度が、さらにふえるわけであります。そういった措置並びにいろいろ今後各般の情勢に相マッチいたしまして、強く貯蓄奨励、
郵便貯金
の増強に対する施策をとって参りたいと思います。そういう点から申しますと、千百億は絶対に無理な
目標
、かようにも実は考えなれないわけでございまして、
努力
いかんによりましては達成し得るもわからない、また達成を目途として
努力
しなければならない、かように私ども考えておる次第でございます。
成田知巳
13
○
成田委員
今の御答弁によりますと、かたく見ますと千四十億か千五十億だと言われたのですが、
収入
というものはやはりかたく踏まなければいかぬ。絶対に到達できないとはお考えにならない、これは当然だろうと思う。絶対できないものをここに計上なさるはずはないのですが、なぜ
大蔵省原案
と比較して五十億をおふやしになったか。これは
松田竹千代
大臣
の政治力のしからしめたものかもわかりませんが、事務当局がかたく踏んで千四十億か五十億と言っておるのに、これをなぜ千百億にされたか、
大臣
の御所見を承わりたい。 それから毎月のものはないというのですが、ではこれはつかみなんですね。もう少し合理的な根拠で、千百億なら千百億というものの算定がなされたと思うのですが、なぜ毎月の貯金の増の
傾向
というものを御算定にならないで、つかみ取りで千百億という数字をお出しになったか、そんな根拠のないものか、御答弁願いたい。
松田竹千代
14
○
松田国務大臣
お話の、千百億円の額の根拠が薄弱なのに、そう見込みを立てることはよろしくないではないかという点でありますが、しかし私どもの考え方としては、貯金を大いに奨励してやっていくことは今日の課題の一つであると考えております。従来の年々の
郵便貯金
の趨勢を見ましても、漸次
国民
所得の
増加
とともに相当続けてふえてきておるということを考えまして、われわれといたしましては、時代の課題の一つであると考えられるこの貯蓄を奨励し、かたがた
国民
の恒心を養うということに対しては、極力
努力
をしていかなければならぬという考えも
基礎
になって、なかなか難儀があるかもしれぬけれども、あらゆる面から全然予想されない数字でもあるまいというふうに考えて、大いに
努力
をしてその額を確保しよう、こういう考えでさように決定した次第であります。
成田知巳
15
○
成田委員
貯金の増強を希望されることはけっこうだと思うのですが、希望と現実の問題は違うと思うのです。特に三月、四月でプラス・マイナス百億の差が出ているわけです。こういう現状からいって、千百億を達成することができるかどうか、相当の問題があると思うのです。それから
政府
の方で銀行預金の
利子
の減免もお考えになっているとすれば、
国民
所得がふえたからといって、
郵便貯金
がそれだけ増大するという見込みを立てられるのは非常に危険じゃないか、こういう感じがするわけなんです。もしこれがくずれますと、
政府
の
財政投融資
の
計画
はその点からくずれてしまう。果してそれだけの自信がおありなのかどうか。今御答弁を承わりますと、はっきりした自信をお持ちのようにも考えられないのです。特に毎月の見込みが計上されないで千百億というものを計上されたことについては、どうしても納得が行かないのですが、その千百億の根拠——千百億の数字をお出しになる以上は、毎月の預金
状況
というものを当然考慮された上だと思うのですが、それをおやりになっていないのか、もう一度承わりたい。
松田竹千代
16
○
松田国務大臣
実は月々のこまかい数字を見ておるわけなんですけれども、記憶にありません。こまかい月々の
郵便貯金
の増減についての数字を持ちませんから、
政府
委員
より答弁いたさせます。
成田知巳
17
○
成田委員
そうしますと千百億を計上されたのは、やはり毎月の数字の根拠の上に立っておきめになったのですか。
松田竹千代
18
○
松田国務大臣
それは最近の
動向
だけできめておるわけではないので、相当長年にわたる預貯金の進行
状況
、そういうようなものから全体的に考慮して、本
年度
はこれくらいにいくのではないかという考えから来ております。
成田知巳
19
○
成田委員
ことしの千百億というものは、過去の長い経験から推しまして計上されたと言われるのですが、それでは毎月の預貯金の
状況
がどうなっているかという月別の数字をお出しになっているわけですね。
松田竹千代
20
○
松田国務大臣
そうです。
小野吉郎
21
○
小野政府委員
先ほどの後段の御質問にもお答えすることになるわけですが、月別のそれは一応は持っております。ただそれはあまり意義を持ちません。そういうことで先ほどの千百億も四月は幾ら、五月は幾ら、こういうわけでいくのだ、それで御質問の御答弁としては、
実情
はその通りには参りませんので、あまり意義がありませんから、一応参考のそれとしては持っているということを申し上げたわけであります。過去のそれを見ましても大体同じ類型をたどっております。この三月、四月の現象は非常に
異例
でございますが、四月を最低として漸次高くなり低くなり、高低は大体同じ
傾向
をたどっておりますので、そういった面は翌
年度
の
目標
を算定いたします場合の
基礎
にはとっておりますが、そのことよりも、やはり全体といたしましては、前年と比べてことしの
国民
所得の
状況
がどうなるであろうかという面が、むしろ総体の
目標
をどのくらいにしようという計算の根拠としては非常に役立つわけでございます。そういった面で千百億の
基礎
を算定してあるわけでございます。昨年のそれを見ましても四月が十二億の増、五月がざっと四十億ばかりの増になっております。六月、七月には非常にふえまして百三十億、百五十億、こういうようにふえて参っております。それに大体一定のパーセンテージをかけて出しても同じように出るわけでございますが、全体といたしましても、それは
国民
所得の大体の
基礎
的な構造は
国民
所得の
増加
のそれにやや応じておるような
状況
になりますので、総体として昨年の六兆一千億の
国民
所得が六兆三千億何がしになり、かたく見て二%程度——これは非常にかたいものだと思いますが、それをかけましても先ほど申しましたように千五十億近く出るわけであります。いわんや現在十万円しか預入できない限度を二十万円に拡大いたしますことで、頭打ちの天井に参っておりますものが、預金
増加
の現在高の一割を占めるという面からも、その天井が抜けるわけであります。さらにまた今日の預貯金だけでなく、貯蓄全体に対するいろいろな
上昇
率を、よく経済の復興工合にとられます
昭和
九年、十一年の基準に比べてみましても、非常に比率が低いわけでございます。それではそのように
国民
所得が伸びておらないかと申しますと、
国民
所得の面で申しますと、その基準
年度
に対しまして約四百倍くらいになっております。物価は普通三百倍の
上昇
といわれておりますが、基準
年度
当時毎年百四十億見当の
国民
所得があったわけでありますが、それが六兆何がしというように大幅にふえておりますので、
国民
所得の面から見れば明らかに四百倍、物価の
上昇
を上回る回復を見ております。それが預貯金の姿に変りますと、せいぜいその三割四分から三割五分しか回復しておりません。これは
郵便貯金
についてもそうでありますが、その他の銀行預金等についても回復率は非常に低いわけであります。いわんや今日そういった
国民
の貯蓄の奨励、ひっきょう資本の蓄積が非常に重大であるという政策に重点を置きますならば、あまりに預貯金の回復率が低いわけであります。まして預貯金をなし得る
国民
所得の源泉は、物価の
上昇
を上回るほど回復しておりますので、そこに
国民
所得の前年対比の
増加
割合を越えた
期待
をいたしますことも、これまた決して無理からぬところでありまして、しかも千百億——かたく踏めば千五十億、千百億はとうてい不可能だ、これはいかに三月、四月の不調をもちましても断定いたしかねるわけでございまして、そこにいろいろな方策をわれわれとしては考え、
努力
をいたさなければならないわけであります。そういった見地から千百億必ずしも現在をもちまして達成が至難である、とうていできない相談だ、かようには考えておりません。
成田知巳
22
○
成田委員
三月、四月は
異例
の現象であると言われるのですが、その原因はどこにあるか。
国民
所得、
国民
所得と言われますが、この三月、四月だってやはり局長の言われるように、
国民
所得の二%程度というものが影響していると思うのです。にもかかわらず去年と比較しまして百億も差が出た。その
異例
の現象の原因はどこにあるか。将来はそういうことは全然考えられないか。それを一つ御
説明
願いたいと思います。
小野吉郎
23
○
小野政府委員
これは先ほど各月別の
目標
をどのように考えているか、こう言われますのと関連したお答えにもなるわけでありますが、私ども一応そういった素材は持っておりますが、事態はその通りには流れません。従って千百億の
目標
がきまりますと、これを本
年度
どのように達成していくか、こういう
計画
段階になるわけでありますが、その実行の段階から申しまして、いろいろ預貯金の
内容
を見て参りますと、
政府
資金
の散布
状況
がどのようになり、
一般
の
収入
状況
がどういうようになるか、
年間
を通じてはその年の所得はこのくらいだろうという推定はつくわけでありますが、それがどの月に集中するかということは、各年とも変るわけでございまして、そういう
状況
からいたしまして三月の
状況
を見ますと、これは通常であれば、やはり例年の
傾向
を
異例
に破る要素は別段に考えられないわけでございます。決して
国民
所得が枯れたわけでもないと思うのでありますが、ただ前年、前々年との比較を申しますと、そこに何か原因がありそうに思われます。しかし三月、四月の
郵便貯金
の不振の真因がどこにあるかということを的確につかむことは、非常に困難な問題でございますが、概括的に申し上げますと、
郵便貯金
のみならず、農村方面におきましては農協等も、三月は
成績
が非常に不振であるということであります。その他
郵便貯金
と類似しております相互預金の
状況
を見ましても、前年のそれに比較をいたしまして
成績
が非常に上っておりません。その原因がどこにあるか、いろいろ探求いたしてみますと、その前年の場合におきましては九州その他に非常な災害がございまして、これも年の暮れから正月に入りましてかなりの救済
資金
が出たわけでございます。そういったものがやはり前年の
成績
の中には加味されているのではなかろうかということも考えられます。そういう点から見ると、これは仕合せなことでありますが、昨年は大きな災害もありませんので、そういった
政府
資金
の散布もなかったわけであります。と同時に供出の面から見ましても、一昨年のそれと比べまして、昨年は非常に供出が順調に早目に進んだようでございますので、もう三月あたりにはそういった供出代金の受取分も非常に少かったというようなことがあろうかと思うのでございます。いずれにいたしましても
郵便貯金
の面に現われた三月、四月のここ最近までの
成績
は、例年のそれから見て
異例
ではありますが、果してこれが将来そういうような貯蓄源の枯渇といったような意味における心配をしなければならない大きな要素になるかどうか、これは非常に疑問でございます。むしろ
郵便貯金
の面から申しましても、ここ一週間ばかりは正調に復しまして、毎日二億ないし三億の
黒字
を見ておるような
状況
でございますので、直ちにこれをもって私どもは将来を悲観的には見ておりません。ただ御質問の三、四月の不調の真因は何か、こう問い詰められましても、実際はこうだ、こう割り切ってはなかなかつかめない
状況
でございます。非常に断片的ではございましょうが、農林方面の
郵便貯金
と同じように、農協も悪い、相互銀行も悪い、その点をほんの部分的ではございましょうが、考えてみましても、供出の促進の
状況
あるいは災害
資金
の融資の
状況
、そういったような
状況
に非常な違いはあったようでございます。
成田知巳
24
○
成田委員
今の御
説明
を承わりますと、結果としては非常に
異例
なんだけれども、その原因はどこにあるかということははっきりわからないということなんですが、そうしますと、現われた形は
異例
なんだけれども、これがほんとうの姿ではないかと想像できるのです。将来こういう
傾向
が——新しい
傾向
ではないけれども、ずっと一
年間
続くということも当然想像しなければならないと思います。特に
政府
の散布超過のお話にも触れられましたが、去年は御承知のように一千八百億円の散布超過が、ことしは九百億くらいになって、
政府
の散布超過が非常に減っておる。これが
郵便貯金
に及ぼす影響はあると思います。そういう点から考えますと、三、四月の実績というものをあまり突発的な
異例
な現象だとお考えになって、将来回復できるとお考えになるのは、少し楽観に過ぎるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
小野吉郎
25
○
小野政府委員
その辺のところは将来の問題にかかりますので、私どもといたしましては極力
努力
いたしまして、
目標
達成をはかって参るよりほかないと思います。
成田知巳
26
○
成田委員
努力
せられることはけっこうなんですが、これがここでくずれたら、
政府
の
財政投融資計画
が全部くずれてしまう。そういう点を私は申し上げておる。
努力
は大いにしていただかなければならぬと思いますが、どうも
努力
しても希望的な見通しになって、現実には預貯金というものは上らないのではないか、こういうことを心配しております。この程度でこの問題は打ち切ります。 それから先ほど
大臣
から御
説明
になりました二
法律案
の問題についてお尋ねしたいのですが、
簡易生命保険
の
金額
をお引き上げになる
予定
はないかどうか、これを承わります。
松田竹千代
27
○
松田国務大臣
簡易生命保険
の
金額
の引き上げをお尋ねでございますが、そういうことも考えられないではないですけれども、ただいまのところではまだこれを引き上げていくという考えは持っておりません。
成田知巳
28
○
成田委員
現在は幾らでございましたか。
松田竹千代
29
○
松田国務大臣
現在十五万円でございます。
成田知巳
30
○
成田委員
それを二十万円程度に引き上げなければいかぬという要望は大分あるわけですね。今の
郵便貯金
の問題についても、
政府
資金
を確保するために二十万円に引き上げれば何とかなるのじゃないか、そういう
計画
もおありのようですが、この際
資金運用部資金
の
原資
を確保する意味においても、また
国民
の預貯金を吸収する意味においても、
簡易生命保険
の
金額
を十五万円から二十万円程度にお引き上げになってしかるべきだと思うのですが、そういうお考えはございませんか。なぜ二十万円まで引き上げる御
計画
を今持ってないか。持っていらっしゃるならばけっこうなんですが……。
松田竹千代
31
○
松田国務大臣
そういう意見は一部にございますけれども、まだただいまところではさような決定をもって引き上げるという考えはいたしておらないのであります。
成田知巳
32
○
成田委員
そういう意見が一部にあると言いますが、
大臣
の御意見はどうなんですか。二十万円から二十五万円、三十万円に引き上げるのは妥当なのか、それとも現在の十五万円にしておくのがいいとお考えか、
大臣
のお考えを一つ承わりたい。
松田竹千代
33
○
松田国務大臣
私としてはやってもよいのじゃないか、引き上げてもよいのじゃないかという気持を持っております。しかしまだ私は検討が足りませんし、種々の問題に関する検討を自分はいたしておりません。従いましてなおこれが検討をいたしました結果、また
政府
の方としても考えることになるだろうと思います。
成田知巳
34
○
成田委員
大臣
としては引き上げる方がよいだろう、ただ検討が足らないということですが、
郵便貯金
は二十万円にするということで法案を出される。こういうことを承わっておりますが、なぜ
簡易生命保険
の方はまだ十分検討されないで、将来の問題として残しておられるのか。当然
郵便貯金
の引き上げをお考えになる場合には、
簡易生命保険
についても前からの問題であるから、
大臣
もやってよいというなら、早急に御検討になって法案を出されるのが至当ではないかと思いますが、いかがですか。何か出せない特別な理由でもあれば、それを承わりたい。
松田竹千代
35
○
松田国務大臣
政府
委員
から
説明
をいたさせます。
白根玉喜
36
○白根
政府
委員
簡易保険
の
最高
制限額を引き上げたらどうかというお話でございまして、この
最高
制限額を八万円から十五万円に上げた際においても、二十万円程度に上げたらどうかというお話があったのであります。しかもその際におきましても、近く
最高
制限額を上げるようにという御決議もちょうだいしておるわけであります。それで事務当局といたしましては研究はいたしておる次第であります。ただあの当時における
状況
と現在の
状況
とが、そう変ってないのでございます。変っております点は、あの当時におきましては民間
保険
の方では、
簡易保険
の
最高
制限額を引き上げると、民間に非常な影響を来たす、民間は伸びないというお話があったわけでございます。その後の経過を見ますと、その点は民間も伸びて参ってきております。ただ物価指数その他の面から申しましても横ばい状態でございますのに、しかも民間も伸びて参っておりますが、無審査の平均
保険金
額は上っておらない。そういうような
状況
でございます。かてて加えましてあの引き上げをしてから、まだ一年やっとたったところであります。また他面民間
保険
といたしましては相当影響ありといたしまして、御心配なさっておる
保険料
の引き下げも今回御提案いたしまして、御審査を願う段階になっております。従いましてその当時御審査をいただいた際におきまして御
提出
申し上げました私の方の
関係
資料と、現在の
状況
からする
関係
資料とを再調整をしてみますと、その当時より以上に
最高
制限額をさらに二十万円なら二十万円に上げるという十分な資料が、まだ出てないような
状況
でございまして、客観情勢はあの当時における
状況
と現在における
状況
とは資料の面からいたしますと、二十万円に引き上げるにプラス・アルファになるような資料が今のところは出て参らないわけであります。ただ一面出るのは、その当時において八万円から十五万円に引き上げると民間に非常に影響を及ぼす、民間の
保険
の将来に悪い影響をもたらすという面につきましては、やはり八万円から十五万円に引き上げましても、悪い影響というよりも、刺激になって相当上っておる面はございます。ただ数字的な資料から申しますと、民間の平均
保険金
額がその当時よりそう大して上っておるわけでもございませんし、また一面物価指数の面からいたしましても、その当時よりそう大して変動はないような
状況
でございますし、またかたがた引き上げましてまだ一年たったばかりのことでもございますし、いろいろ事務当局といたしましてはどうしようかというようなところで、足踏み状態になっておるような次第でございます。
成田知巳
37
○
成田委員
この前の経過をお話になったのですが、問題点は、民間の
保険
会社に対する影響というものを一番重要視しておられたらしいのですが、それもただいまの御答弁によりますと、民間に対する悪影響というものはなかったということになりますね。そうしますと二十万円に引き上げるということは、二十万円でなければいかぬということでなく、
最高
二十万円でしょう。現在の十五万円を二十万円にするということが、民間にこの前の経過からいって悪影響を及ぼしていないということになれば、ほかに資料々々と言われますが、何か十五万円を二十万円にすることについて特別な不合理をもたらすような問題があるのかどうか。問題点はやはり民間の生命
保険
会社との
関係
もあるだろうと思いますが、それも問題なかったということになれば、
最高
二十万円にするということは、たとい三十万円にしたって民間にさえ影響がなければ、あえてやってはいけないというような理由はないじゃないかという気がするのですが、そのほかに何か理由がありましたらお伺いしたいと思います。
白根玉喜
38
○白根
政府
委員
この次の機会に
関係
資料をお届けいたしますが、ただいまの段階で、民間との
関係
で八万円から十五万円に引き上げた当初より、二十万円に上げるについてのマイナスになるような面は、その当時における十五万円から二十万円の無審査の競合する部分、これがその当時の比率よりも現在少し比率が高くなって参っておるわけでございます。一面民間の
最高
保険金
額が、その当時よりそう大して上ってもいないわけです。そういうような
状況
で、競合する部分がその当時より多少上目になっていることと、一面物価指数の面がそう大して変っているわけでもないので、そういうような面からいたしまして、かたがた料金を、
最高
制限額を引き上げていただいてからまだ一年もたたない
状況
でございますし、他面
保険料
の引き下げということも
サービス
改善であるから、民間も反対すべきものではないと思いますが、とにもかくにも民間には相当な影響をもたらすことは事実でございます。そこへそういう客観情勢がさらに引き上げなければならないという強い線も資料的には出ないところに、
保険料
も御審査の結果下げていただいて、さらに
最高
制限まで行くのは、民間に対して少し行き過ぎではないかという心配も多少あるわけでございます。
成田知巳
39
○
成田委員
今
保険料
の引き下げ云々と言われましたが、これは今度の法案に出るのですか。
白根玉喜
40
○白根
政府
委員
そうです。
成田知巳
41
○
成田委員
それでその引き下げの理由として、
国民
の
死亡率
が著しく低下したということと、それから最近における
金利
の
動向
にかんがみて云々というのと、この二つが理由らしいのですが、
予定利率
を従来の年三分五厘から年四分に引き上げる、これはどういう意味ですか。ちょっと御
説明
願いたい。
白根玉喜
42
○白根
政府
委員
簡易保険
の計算
基礎
は、三点が
基礎
になっております。一点は
死亡率
がどうであるか、死差益がどの程度出るかということが一点でございます。いま一点は、御承知のように
保険料
をちょうだいいたしましてから満期なり
死亡
のときに
保険金
なり——解約のときは還付金でございますが、お金をお払いすることになっております。先にお金をちょうだいしておるのですから、やはりある程度の利率を考えなければならない。その利率がただいまのところ三分五厘になっております。ところが最近の
金利
状況
は、戦前でも私の方の
運用
利回りは四分以下ということは全然なかったわけでございます。経済の底の深い時代におきましても、四分以下のことはなかったのでございますし、現実面といたしましても、
運用
利回りはただいまのところ五分三厘ないし五分四厘程度にいっておるわけでございます。しかも御承知のように
資金
の大部分は、
昭和
二十一年以前の戦前契約は小さいのでございます。それで高額の
保険料
をとって、毎年三百億ないし四百億ずつふえているのです。ふえておる余裕金は、一時、一
年間
は
大蔵省
に頂けておるのです。これは
金利
が安いのでございますが、だんだん安定して長期になっていきますと
金利
は上っていくことになります。三分五厘程度の
予定利率
では、実際
予定
利回りが大きいにかかわらず、低くしておることは、
保険料
を高くちょうだいするようなことになって、かたがた民間の現在の
保険料
といたしましても四分で計算をしております。そういうような
関係
からいたしまして、
予定利率
を五厘程度上げまして、
保険料
の引き下げの
財源
の
基礎
にいたしたい。一面いま一つは、
保険
事務をやるに当りましての
事務費
がかかる。その
事務費
に必要な分を附加
保険料
としてちょうだいしております。これをある程度多少上げることにいたしますが、これは
法律
の制限内で現在やっておりまして、多少の変更はいたしましても、
法律
の
規定
の制限内でございますから、その分は
改正
はお願いしないで、前の二点をお願いしておったということでございます。
成田知巳
43
○
成田委員
今のは
簡易生命保険法
十八条の問題なんでしょうね。そこで
予定利率
を三分五厘から四分に引き上げるということですが、そういたしますと
保険料
はどのくらい下りますか。これはいろいろのケースがあると思いますが、最もポピュラーなケースでどれくらい下るか、一つ御
説明
願いたい。
白根玉喜
44
○白根
政府
委員
実は
予定利率
をこれだけ上げて、どれだけの利差益がなお残るかという数字は出ておりますが、その数字の部分が
保険料
に対し何%の影響を受けるかというところまではじいたのを、ただいまのところ持っておりませんから、次の機会にお届けしたいと思いますが、
保険料
の算定
基礎
の
予定利率
を五厘上げるために、
保険料
はそれだけであっても、
死亡率
を下げたための死差益というものも出るわけです。それで死差益の部分と
予定利率
の分との利益を按分しまして、
保険料
全体としては、大体
最高
一割程度の引き下げになります。
成田知巳
45
○
成田委員
次に
郵政大臣
にお尋ねしたいのですが、これは問題が全然別なんで、
放送
関係
です。聞くところによりますと、文化
放送
が、セント・パウロ修道会と秘密協定を結んでおる。この秘密協定は電波法第五条に違反するのじゃないか、こういうことで電波局長の方から、文化
放送
の方に通達をお出しになったということを聞いておりますが、その間のいきさつをまず承わりたい。
松田竹千代
46
○
松田国務大臣
文化
放送
とセント・ポール教会との間に一つの協定があることを承知いたしております。しかしながらそれによって文化
放送
が、その
業務
を左右されておるというようなことはないのであります。秘密協定とおっしゃいますが、そういうものではないのでありまして、私の承知いたしておりまするところは、当初寄付行為によってセント・ポールから
資金
を出してもらったことによって、ともに仕事をやっておるようなふうに承知いたしておりまするが、その
資金
を出してもらっておることによって、文化
放送
の方でその仕事に何らの制約を受けたり、指示を受けたりしておるようなことはないということを承知いたしております。
成田知巳
47
○
成田委員
今の
大臣
の御答弁では、文化
放送
がセント・ポール修道会の何らの支配も受けていない、こういう結論に達したというお話でしたが、電波局長が通牒をお出しになっておりますね。それについてはそのおそれが非常にあるということで、非常に強い警告の意味での通牒をお出しになったと思うのですが、その後の調査でそういうことはないということが、今の
大臣
の御答弁のように判明したのでありますか。その間のいきさつを少し電波局長の方から伺いたい。
長谷慎一
48
○長谷
政府
委員
私からお答え申します。御指摘になりましたように、昨年の十二月に日本文化
放送
協会
とセント・ポール修道会との間に、ある種の協定のあることが明らかになりました。それは従来そういうものがあるということを言われておったのでありますけれども、真偽のほどは
郵政当局
としてさだかでありませんでしたので、抽象的に当事者に御注意なりを申し上げたことはございますけれども、役所として正式に警告を発したりいたしたことはなかったのであります。ところが昨年秋にセント・ポール修道会の方から、日本文化
放送
協会
の内部のいろいろないきさつのことから訴訟を起されました。東京地方裁判所に訴訟を起されまして、その際に証拠物件として、ただいま申し上げました協定書をお出しになったのであります。そこで初めて正式に事実として役所が承知いたしたのであります。証拠物件として出されました協定書のその
内容
をいろいろ審査いたしましたところが、その協定そのものにはいろいろ解釈がございますけれども、その
運用
のいかんによりましては、寄付行為の範囲を逸脱する。従って
郵政大臣
が民法の定めによりまして、所管の財団法人として認可を与えられましたときの寄付行為を逸脱するのではないかという点、並びに外国性が強いのではないかと思われる。それもいろいろ議論がございますが、セント・ポール修道会によって、いろいろ電波法の精神その他に違反するような行為が行われるのではないか。これはどこまでも協定の
運用
いかんによるわけでありますが、その点が心配されましたので、その
運用
に当りましてはそういうことが起らないように注意されるのが適当だと思う、こういう意味の御注意書を
電波監理局
長名で差し上げてございます。しかしそれまでに現実に寄付行為違反の事実も、私ども認めておらなかったのであります。また電波法の精神に沿わなかったことも、現実にはなかったのであります。その後もそういうことはございません。ただいま
大臣
からお話しになりましたのも、そういう事実としてはなかったということをお話しになった、私はこう思います。
成田知巳
49
○
成田委員
秘密協定と申しますか、両者間の協定ですね。その協定を文面通りに解釈すると、電波法違反の事実が生ずるおそれもあるということを御警告になったと思うのですね。今の御答弁では今までのところはなかったということですが、将来のことは、これは警告を出されたのですから、そういうおそれがあり得るということは当然予想されなければいけないのですが、その秘密協定と申しますか、両者間の協定、その協定は当局としてはお認めになるのですか。特に電波局長から警告をお出しになったのでありますから、相当これは電波法違反の事実を惹起するおそれがある、こう御認定になってお出しになったと思うのですが、今までにないからということで、その協定は今後ともお認めになっていこう、こういう御方針なんですか。それとも、警告の
趣旨
に従ってこの協定だけは
改正
さす、破棄さす、こういう御
趣旨
があるのか。もしそういう事実が起きた場合は、もう取り返しがつかないわけなんです。そういうおそれがあるとすれば、協定そのものに対して何らか監督官庁として御指示があってしかるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
長谷慎一
50
○長谷
政府
委員
この協定は、財団法人として
法律
上認められました日本文化
放送
協会
の当事者が、責任を持ってほかの第三者と協定を結んだことでございますので、それが法の上での逸脱をしない範囲での協定を結んでおる場合は、一向監督官庁としてくちばしを入れる問題ではないと思う。ただ、ただいまのお話になりました点は、その
運用
によりましていろいろ問題が起ることが心配されましたので、十分に注意をするように警告を発した。従ってその警告に基きまして日本文化
放送
協会
の当事者が、これは破棄すべきものだと思えば、それを破棄する処置を当事者にしていただくのを私どもは
期待
いたしておりますが、現在のところはそういうことをされておりません。そのままになっておると私ども承知いたしておりますが、現実には先ほど来申し上げましたように、その協定に基いて寄付行為違反なりあるいは
法律
違反の事態は現在まで起っていない、こういうふうに承知しております。
成田知巳
51
○
成田委員
協定に基いて
法律
違反の事実は起きてないと言われますが、御承知のように文化
放送
は人事問題で相当もめました。この協定によりますと、
理事
とか監事の選任について、相当寄付行為者の圧力が加わり得るような協定になっておると思います。あの人事問題の紛争なんかは、そういうところに由来しているのじゃないかと思いますが、そうじゃないのでございますか。
長谷慎一
52
○長谷
政府
委員
私どもは、その協定に基いて行われているとは承知いたしておりません。寄付行為の定めるところに基きまして、
理事
の選任手続あるいは評議員の選任手続は寄付行為によって行われておりますので、この協定によって寄付行為に定められた以上のこと、あるいは違法のことを行なってきているとは承知しておらないのであります。
成田知巳
53
○
成田委員
そこで、今長谷さんの言われましたように、警告を発した、そして当事者としてはその警告の
趣旨
に従って協定を破棄することを希望なさる。しかしながらこれは相手のやることなんだから、それ以上は要求されないというのでありますが、監督官庁が、警告の文を読む必要はないと思いますが、相当強い警告文だと思います。こういうものをお出しになって、電波法違反の事実を生じるおそれがあると言っておるにもかかわらず、文化
放送
がそれを黙殺する、それはやむを得ぬのだ、こういうことでお見のがしになるおつもりなのでしょうか。それとも今後ともこの警告の
趣旨
に従って、協定について何らかの処置を御要求になる意思であるかどうか、もう一度はっきり承わっておきたい。
長谷慎一
54
○長谷
政府
委員
先ほど申し上げましたように、
電波監理局
長名で日本文化
放送
協会
の当事者に発しました警告は、現在も生きておると私は思っております。結局、協定を取りやめた、破棄した、変更したという御通知がございませんから、まだこの警告がそのまま残っておる、そういうふうに私どもは承知しております。
成田知巳
55
○
成田委員
協定を破棄または
改正
した通知がないから、警告の事実は残っておる、これはその通りだと思うのです。そこで私お尋ねしておるのは、先ほど御答弁がありましたように、文化
放送
当事者としては、当局としてはこの警告の
趣旨
に従って協定を破棄または
改正
することを希望されるということになっておりますが、その点について、その希望を強く相手方にさらに確認さす必要があるのじゃないかと思います。電波法違反の事実が起きた場合は、もう取り返しがつかないのでございますから、さらに意思表示なさる御意思があるかどうか、その点もう一度お伺いしておきます。
長谷慎一
56
○長谷
政府
委員
ただいまのお話の最後のことにつきましては、
大臣
ともよく御相談申し上げまして、現状なり
実情
をよく申し上げて、さらに必要な処置をとる必要があるかどうかも考えて、ただいまの御意見の点も十分考慮に入れまして処置したいと思います。 なお蛇足でありますが、日本文化
放送
の経営等いろいろのことにつきましては、当事者からお聞き及びと思いますが、昨年の暮れからことしの初めにかけまして、経営者がだいぶかわられましたので、こういう方々が全般的に慎重に目下考慮をされておるということを承知をいたしておりますので、ただいまお話しになりました協定の問題等も含めて、十分検討されているものと私どもは
期待
をしておるわけであります。
齋藤憲三
57
○齋藤
委員
私は次回に質問をいたしたいと思いますが、それにつきまして、ただいま
大臣
の
所管事項
説明
資料の中で、先ほど本
委員会
で御
説明
いただきました
郵便貯金法
の一部を
改正
する
法律案
、及び
簡易生命保険
及び
郵便年金
の
積立金
の
運用
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
、これはまだ出ておらぬのでありますが、これを直ちに
提出
していただきたいと思います。 それからもう一つ次回に御
説明
を願いたいのは、
簡易生命保険法
の一部を
改正
する
法律案
中、この第三十一条の第二項第四の「年齢十年に満たないで
死亡
したとき。」という点に関しましては、ここに御
説明
がございますが、これは「
保険金
の
倍額支払い
に関する外国及び
民営保険
の
契約条項
並びに
倍額支払い制度
の
趣旨等
を考慮いたしまして、被
保険者
が十歳未満が
死亡
した場合には
倍額保険金
の
支払い
はしないことにいたそうとするものであります。」これは今日の日本の
実情
から照らしますと、非常に大きな問題であろうと思いますから、これに対するもう少し的確な詳細な参考資料を出していただきたい。 それから
財政投融資
の問題がございましたが、おそらくただいま申し上げましたこの
簡易生命保険
及び
郵便年金
の
積立金
の
運用
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
は、この
積立金
の
運用
の範囲を広げる
法律案
であろうと思うのであります。それに対する御質問を申し上げたいと思いますから、その
内容
がよくわかるように御準備願いたいと思います。
松前重義
58
○
松前委員長
それでは私から、先ほどの
成田委員
からの質問に関連して御質問いたします。警告を発せられたときに、電波法違反の疑いがあると認められた、そういうわけで警告を発せられた、それでまだその警告は生きておる、こういうお話であった。警告が生きておるということは、電波法違反の疑いがいまだに残っておる、こういうふうに理解するわけです。秘密協定なるものが裁判所には出ておるということでありますが、それを当局としてはごらんになりましたか。
長谷慎一
59
○長谷
政府
委員
お答え申し上げます。地方裁判所に
提出
になりましたので、その写しなるものを私の方も拝見いたしまして、
内容
を検討いたしまして、先ほど申し上げましたような警告文を発したのでございます。警告文と申しましょうか、注意書でございますが、注意書を差し上げたのでございます。その際も協定そのものが、電波法に違反するというふうには私どもは考えておらなかったし、現在もおらないわけでございます。ただそれの
運用
いかんによりましては、電波法第五条の欠格の
規定
の精神に抵触することになるおそれがあるから、そのようにならないように御注意を願いたい、こういうことを申し上げておるわけであります。 それから次の第二点といたしまして、警告書と申しましょうか、注意書が現在も生きておるということを申し上げましたのは、その協定書が破棄された、あるいは変更されたという通知がございませんので、まだその注意書によりまして十分注意をしておっていただいておる段階だ、こういう意味で生きておるということを申し上げた次第であります。
松前重義
60
○
松前委員長
そうすると、その秘密協定なるものは、電波法違反ではないということをお認めになっていらっしゃるのですか、いらっしゃらないのですか。どちらかはっきり言って下さい。
長谷慎一
61
○長谷
政府
委員
お答えを申し上げます。協定そのものは電波法違反ではないと存じます。
松前重義
62
○
松前委員長
この文化
放送
なるものの寄付行為は、私は見ておりませんが、ほかの
一般
の民間
放送
と比べまして、どういう寄付行為の
内容
の相違がありますか。これは財団法人ですから、
一般
の民間
放送
と事業目的が違っておるだろうと思うのです。従ってそこにどういう差異があるかということを伺いたいのです。
長谷慎一
63
○長谷
政府
委員
お答えを申し上げます。現在の民間
放送
関係
では、株式会社になっておるのが大部分でございまして、日本文化
放送
だけが財団法人であります。その寄付行為の
内容
は、
一般
の財団法人の場合とほとんど軌を一にしておりまして、ただその事業が
放送
によりまして——ただいま寄付行為そのものを持っておりませんので、的確には別の機会に要細
説明
さしていただきますが、
放送
によりまして、日本の文化に寄与することを目的とする、こういうな意味で
放送
をする、あるいは民間
放送
の
放送
を行うことそれ自体並びにこれの付帯事業というようなことも述べておりますが、
一般
の財団法人の形におきましていろいろな事業を行う場合の例にならっておるのでありまして、特別の変った点はないと私ども記憶いたしております。なお要細の点は、あらためまして資料に基いてお答え申し上げます。
成田知巳
64
○
成田委員
関連して。今の御答弁ですが、
一般
の民放は株式会社である、文化
放送
だけが財団法人だ。従って株式会社の場合も定款に該当するものが、今度の文化
放送
の寄付行為だと思う。その点については普通のことだろうと思うのです。にもかかわらず寄付行為以外に、いわゆる秘密協定と目されるものが出てきたということ、ここに問題があると思うのです。
一般
の民放で、大株主が定款以外に会社と秘密協定を結んでおるようなことはないと思いますし、あっては大へんだと思います。ところが文化
放送
についてのみ、定款に該当する寄付行為以外に秘密協定が出てきたということに、問題の原因があるのです。そこでこの秘密協定の今の御解釈で、協定そのものは電波法違反ではないが、協定の
運用
いかんによっては、電波法違反の事実を生ずるおそれがあるから警告を出した。しかもその警告は、まだ文化
放送
の方から協定を廃棄するとか、あるいは
改正
するとかいう回答がないから生きておるのだ、こういう御答弁なんですから、当然これは変更もしくは廃棄を予想しての警告文だろうと思うのです。
大臣
と相談されて云々というよりは、当然廃棄または変更を
期待
しておられるし、またそれを受けなければならぬと思うのですが、その点についてはいかがでございますか。
長谷慎一
65
○長谷
政府
委員
お答え申し上げます。現在まで私どもといたしましては、協定そのものは、民間
放送
としていろいろ
放送
をいたしますにつきましても、第三者と協定を結ぶ場合はたくさんあるわけでございますから、たまたまお話の出ました場合は、寄付行為者であったセント・ポール教会と日本文化
放送
協会
との協定でございますので、寄付行為に定められた以上に出ておるのではないかという問題が起って参りますけれども、協定そのものとしてはいろいろな協定があり得ることは考えられます。ただいま問題になりましたその協定の
内容
を見ますと、その解釈あるいは
運用
におきまして、寄付行為違反あるいは電波法違反が起るおそれがございますので、そういうことが起らないように注意願いたい、こういうことを申し上げておるのでありまして、私どもといたしましては、協定そのものがただちに寄付行為違反あるいは電波法違反になっておるとは承知しておりません。従いまして、その協定を変えずにおられる間は、私の方から申し上げた注意というものを生かして、それを十分注意していただかなければ困る、その意味において注意というものは現在ずっと生きておる。それに従ってやっていただいておる。従ってまた寄付行為違反、電波法違反というものが現実に起きていない。それは注意を十分考えておいていただいておるからだと思っております。しかし一方その協定なるものを廃棄してしまえば、その注意というものも自然要らなくなるわけでありますから、そういう処置がとられるならば、根本的にその問題はなくなるわけでありますから、そういうことをされれば一番よろしいと思いますが、その点を
協会
の当事者としてどういうふうに考えておられるか、いろいろ研究中のように私ども伺っておりますから、それらの点も一緒にして考えておられるものと思います。しかしその点も十分明らかでなく、いつまでも処置できないような場合には、
大臣
にもよく御
説明
申し上げ、御指示を得て適当な処置をさらに考えようと思っておりますが、ただいまのところは今申し上げたような次第であります。
成田知巳
66
○
成田委員
長谷さん、非常に
大臣
答弁をされるのでわかりづらいのですが、先ほどの御答弁では、協定そのものが電波法違反じゃないのだけれども、
運用
いかんによっては電波法違反の事実を惹起するおそれがあるから警告を出した、しかもまだ協定の破棄だとか
改正
について回答がないからこの警告文は生きておる、こういう御答弁だったのですが、警告を出した以上、当然文化
放送
は協定を廃棄するとか、または訂正して電波法違反の事実を生ずるおそれのないような状態にするか、どちらか待っていらっしゃるわけですね。それが来ない場合には
大臣
と相談なさるのですか。それとも来る来ないにかかわらず、警告はたしか十二月に出しておるのだ。しかも時日は三カ月も四カ月もたっておるのですから、当然回答があってしかるべきだが、いまだに回答が来ないということになれば、さらにもう一度電波当局としては何らかの処置をおとりになるのが当然じゃないかと思うのですが、いかがですか。
長谷慎一
67
○長谷
政府
委員
よく
大臣
の御指示をいただいて、適当な処置をとりたいと考えております。
成田知巳
68
○
成田委員
大臣
、どうされますか。
松田竹千代
69
○
松田国務大臣
御心配のようなことがなお今後も継続されるようなおそれがあるといたしますれば、所管
大臣
としてそういう憂いを除くために、適当な処置をとらなければならぬと思っております。
成田知巳
70
○
成田委員
念のために申し上げておきますが、そういうおそれが継続する場合は処置をとると言われたのですが、そのおそれは、警告に対して何らの回答もないわけですから、現在継続しておるわけですね。警告をお出しになったのは、そういうおそれがあったからお出しになった。それに対してまだ何らの意思表示が文化
放送
からないとすれば、そのおそれは今継続しておるわけですから、早急に御処置願いたいと思います。
松田竹千代
71
○
松田国務大臣
問題がはっきり電波法に違反するとか、あるいはなお今後もごたごたが続くとかいうような場合には、むろん適当な処置をとらなけれどならぬと思いますが、できることならば事業体それ自体の自主的手段によって是正すべきものを是正して、そうして事業を伸展せしめていくということをむしろ待っている次第であります。
成田知巳
72
○
成田委員
私のお願いしたのはそうじゃないのです。今も長谷さんが言われましたように、協定そのものが電波法違反じゃないというのです。電波法違反の事実があれば処置をするというのでは、私は問題の解決にならないと思います。協定そのものに電波法違反の事実を生ずるおそれがあるから、ああいう警告を出した、その警告に対してまだ何らの反応がない、こういう状態なのですから、お出しになった場合の状態がそのまま残っている。それを三カ月も四カ月も放置しておくことはできないので、何らかの処置をとる必要がある、こう思うのですが、いかがですか。
松田竹千代
73
○
松田国務大臣
なお今後いつまでも手をこまねいて待っているという考えではありません。それだけを申し上げておきます。
松前重義
74
○
松前委員長
長谷局長にお願いいたします。私はまだ電波法とこの寄付行為その他の
関係
を勉強しておりませんが、この問題は非常に重要な問題だと思います。従って勉強してからお尋ねしたいと思うのですけれども、ただ資料を少しばかりいただきたいと思うのです。日本文化
放送
の寄付行為、それから財団法人として
放送
を許可されたというのでありますから、他の株式会社との対比。いわゆる民間
放送
としての商業
放送
を許可しておられる。いずれも商業
放送
であるが、財団法人としては税金の
関係
等においても保護を受けております。税金の率は安いはずです。そういう点で特殊な保護を受けている以上は、寄付行為については何らかの特殊な目的があるはずである。これらに対して今日までとってきたところの
放送
の
内容
、これを株式会社の
放送
会社と比較して、どういう
内容
であるかということを比較対照した当局としての記録をいただきたいと思います。すなわち寄付行為を一ついただきたいことと、それから
一般
の
放送
会社との
放送
内容
の相違、これをあなた方がどうお認めになっておられるか、その資料をちょうだいいたしたい、こういうことです。
長谷慎一
75
○長谷
政府
委員
ただいま御要求の資料はできるだけ早く御
提出
いたします。寄付行為の方は時日の猶予なく御
提出
できますが、第二点の
放送
の
内容
の比較の問題は、ある程度の
期間
を通じての比較でなければ参考にならぬと思いますので、なるべく早く資料をそろえまして
提出
いたしたいと思います。
松前重義
76
○
松前委員長
それからもう一つ、秘密協定と称するものはおわかりになっているのですか。それはこちらに
提出
できますか。
長谷慎一
77
○長谷
政府
委員
お答え申し上げます。郵政省に正式に
提出
されたことはございませんが、
国会
の御要望でございますれば、日本文化
放送
協会
と連絡いたしまして適当な処置をとりたいと思います。
松前重義
78
○
松前委員長
ほかに御
質疑
はございませんか。——御
質疑
がございませんければ、本日はこの程度にとどめまして散会いたします。次会は公報をもってお知らせ申し上げます。 午後零時四十分散会