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1955-03-28 第22回国会 衆議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十八日(月曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 齋藤 憲三君 理事 濱地 文平君   理事 廣瀬 正雄君 理事 橋本登美三郎君    理事 松井 政吉君       秋田 大助君    宇田 耕一君       竹内 俊吉君    中曽根康弘君       愛知 揆一君    成田 知巳君       原   茂君    森本  靖君       八木 一男君    前田榮之助君       三輪 壽壯君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 松田竹千代君  出席政府委員         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君  委員外出席者         専  門  員 稲田  穰君         専  門  員 山戸 利生君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 三月二十六日  委員水谷長三郎君辞任につき、その補欠として  片山哲君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)     —————————————
  2. 松前重義

    松前委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたしまして、前会に引き続き質疑を続行いたします。質疑通告がありまするのでこれを許します。竹内俊吉君。
  3. 竹内俊吉

    竹内委員 政府に対してお聞きしたいのでありますが、ただいま審議しております日本放送協会収支予算事業計画及び資金計画検討するについての当委員会論議において現われましたる通り現行放送法の不備の点や、あるいは実情に合わない欠陥のありますことは明らかでありまして、この問題については特に民間放送発達につれて、国民大衆放送受信状態が著しく変って、この放送法が生まれた当時とは非常な違いが生じているのであります。また放送に対する国民大衆の要望と申しますか、その点についても内容的には著しく変っておりますることは、説明するまでもないのであります。これらの実態を把握して、放送文化の健全なる発達を保障するための放送法といたしますためには、現行放送法をかなり根本的に改正しなければならないと思うのであります。このことについては、すでに一昨年以来放送業界はもちろんのこと、法律学者の間においても論議が高まっており、郵政省においても省内に放送法改正調査委員会を設けて、その調査に手を下したはずであります。また前の電通委員会においては、小委員会を設けてこれの検討をいたしておったのでありますが、政変その他によってそれらの事柄が一時停滞しておるような状態になっているのであります。もちろんこの放送法のどこをどう改正するかという、いわゆる問題の所在点につきましては、いろいろ見解の相違があろうかと存じまするけれども、大綱は要するに放送業界が著しく変った現状に即した放送法といたしますためには、何としてもこの民間放送NHKとのサービス・エリアがほとんど対等となつた今日、NHK公共放送としての組織、運営、性格等についての再検討を主としたものでなければならぬと思うのであります。その他こまかいものにつきましては、放送法に関連する他の法律電波法その他無線局の開局の根本基準その他の法律との調整その他も必要かと存ずるのであります。こまかいことは別といたしまして、郵政当局は新大臣を迎えて、この放送法改正に関して今後どういう方針をとられるおつもりであるか、この点を一点伺っておきたいと思うのであります。
  4. 松田竹千代

    松田国務大臣 竹内委員の御説の通り、近年わが国放送事業が著しく発展して参りまして、民間放送会社相当数に上って参りました今日、わが国の現在の放送法について、これを全面的に再検討しなければならぬでないかという議のあることは承知いたしております。私はまだ就任早々のことでありまするので、諸般の点についてはまだつまびらかにいたしておりませんが、今日の放送事業現状にかんがみまして、御説の通り、これは相当広範囲にわたって全面的に再検討を加えて、放送法改正ということも今日では真剣に考えなければならぬことになっておると思います。いずれそれらの検討を十分にいたしまして、また適当な時期に御審議を願うようなことになるのではないかと考えております。
  5. 齋藤憲三

    齋藤委員 ちょっと。今日までの経過を念のために報告しておかれる方が、ただいまの竹内委員の質問に十分に答えることとなると思いますから、簡単でよろしゅうございますから、その後の放送法改正に関する当局経過一つ説明願いたい。
  6. 長谷慎一

    長谷説明員 ただいまの大臣の御答弁に補足的に、放送法改正の問題について郵政当局がどういう運びをしておるかを、御報告申し上げたいと思います。先ほど竹内委員お話の中にも、郵政省の中に放送法改正調査委員会を設けて、鋭意その間の調査を行なっておることもお話に言及されましたが、その通り昨年春以来、特に外部の方々の御意見も十分取り入れまして、放送法のいろいろな問題点を内外の関係方々に御審議をしていただくための論点整理を重点にしまして、調査委員会を開催して研究を続けて参ったのであります。昨年の夏に一応各分科会に分れて、この作業をいたしておりました調査委員会の中の分科会報告というものが第一段階にできまして、その分科会報告が一応できる前には、各方面放送界の有識、学識経験者の方の御意見を伺い、あるいは法律関係の権威の方々の御意見等もいただきまして、一応報告書をまとめたわけでありますが、先ほど大臣からもお話がありましたように、非常に問題が広範囲にわたりますし、今日における放送は私から申し上げるまでもなく、国民と切っても切れない状態にまで発達しておりますので、単に電波あるいは技術的な問題からこれを考慮するばかりでなくて、非常に広範囲の点から総合的に考えなければならぬ点がたくさんございますので、昨年の夏分科会から報告ができて参りましたものを土台にいたしまして、調査委員会がまだいろいろ検討を続けている状態であります。また一方、先ほどのお話のありましたように、国会におかれましても特にこのために小委員会等を設けられまして御検討を続けられ、その委員会を通じての御意見等も私ども伺っておりますので、それらも並行的に考慮さしていただきまして調査を進めておるわけでありますが、まだ調査中という段階でございまして、御報告を具体的に申し上げるところまでは至っておりませんが、先ほど大臣お話の御意向も私どもは十分体しまして、今後この仕事を慎重に進めていきたい、こういうふうに存じております。
  7. 松前重義

    松前委員長 ほかに御質疑はございませんか。——質疑がございませんければ本件に対する質疑はこれで終了することにいたします。  これより本件討論に付します。討論通告順によって順次これを許します。民主党を代表して廣瀬正雄君。
  8. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 私は日本民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする日本放送協会昭和三十年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして国会承認を求めるの件につき、承認を与えることに同意するものでございます。  本件について論議の焦点と思われますものは、収支予算について、第一に国の予算が四、五、二カ月の暫定予算方針によりますときに、日本放送協会予算が国の予算に順応した一定期間予算にあらずして、年度間の本予算によって承認を求めることの当否、また審議期間不足による不承認の場合の措置等についてであり、第二に、国の予算が確定を見ない現在、国際放送等に対する政府交付金を予定することの当否であり、第三に、職員の給与改善要求に対する措置の問題であると思いますが、第一については、政府当局よりの説明により現行放送法の建前といたしまして、協会予算承認は年間の本予算を前提としておるものと解釈せられ、また不承認の場合の責任支出等非常措置は極力避くべきものと考えられ、第二につきましては予算総則第一条の明文もあり、かつまたこの予算に計上の交付金の金額につきましては、郵政大臣責任をもってその確保に努力するとの言明もあり、第三につきましては、同総則第七条第二項によりまして、おおむね遺憾なきものと考えられるのであります。ただ第二につきましては、将来国際放送はますます拡充の必要があるものと考えられますので、これに関し、また第三につきましては、総則の精神をさらに明確ならしめるために、別途附帯決議等をいたすことも妥当であろうかと存じます。なお事業計画につきましては、日本放送協会公共性にかんがみ、難聴地域の解消には一段の努力を願いたいと存ずるものであります。  以上簡単でありますが、承認の意思を表明いたします。
  9. 松前重義

    松前委員長 次に森本靖君。
  10. 森本靖

    森本委員 この予算案については、先ほど廣瀬委員から言われたのでありますが、特に従業員待遇改善の問題について、きのう来の質疑応答の中にもいろいろありましたけれども、この予算内容を見てみますると、全然従業員待遇改善については、表面的の予算の上では考えておらないということになっておるわけであります。しかし実行面においては十分に考えていく、こういうお話内容でありましたが、将来この予算実行に当りましては、特に従業員待遇改善の問題については、十分にその実施に当って考えてもらいたい。さらに給与内容につきましても、内勤外勤の差の問題、あるいはまた賃金形態の中におけるところの外勤の時間外勤務の問題といような問題についても、質疑応答の中でまだ明確になっておらない点がありますし、ややともいたしますと労働基準法違反の疑いもあるやに見受けられる点もあるわけでありますが、そういう点についても十分に今後慎重に従業員勤務の問題については考えてもらいたい。さらに能率増進経費節減という面でややともいたしますると、そういうふうなことを実行する場合に、従業員労働強化にわたる面が多々出てくるのが今までの経営実態でありますが、能率増進経営合理化、あるいは経費節減ということに名をかりまして、従業員労働強化を来たし、あるいはまた従業員の実際面におけるところの厚生福祉施設面が侵害せられる、そういうことのないように特に強調しておきたいと考えるわけであります。そういう意味合いにおきましても、今後従業員待遇改善ということについては慎重に御考慮願いたい。さらにまた勤務時間等の問題についても十分に考えていただきたい。それから内勤外勤あるいは賃金形態内容についても、いま少し合理的なことを将来十分に考えていただきたいということを、私は討論の際に特に強調しておきたいと思う次第であります。
  11. 松前重義

    松前委員長 前田榮之助君。
  12. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本案に対しますわが党の態度を明白にいたし、本収支予算承認を与えることに賛成をいたすものであります。  第一に申し上げたいのは、本収支予算の中で、今も申されたように給与改善予算案の中に明確に出ておらないということは、わが党の最も遺憾とするところであります。しかしながら一昨日の質疑の中でもいろいろ御意見があったようでありまして、従って実質的に給与改善が行われるならば、わが党もしいて反対しようとはいたさないものであります。ただ放送関係従業員諸君は、他の一般公務員並びに事業場等従業員とは違いまして、御承知のごとくいわば知識労働者ともいうベき立場にあります。社会的に相当地位を認められなければならない立場にあられる方がきわめて多いのでありまして、一般給与のべースにこだわりますと、今後従業員諸君の実質的な生活向上とか改善とかいうことが、きわめて不遇な立場になることをおそれるものであります。今日のような、放送事業が国際的にも国内的にも非常に重要な仕事をいたしておる際におきましては、当然給与改善事業の実質的な方面から考えて、大いに行うべき時期ではないかと思うのであります。従って、いろいろ質疑の中にありました経費節約等についての問題等十分考慮をされて、実質的な賃金の全面的なべース・アップという内容を持ったようなことに、一つ当局の留意をお願いいたしたいのであります。その点が第一点であります。  第二点といたしましては、この放送事業国際関係というものが非常に重要視されておる際におきまして、政府は今四、五の暫定予算を出されておりまして、三十年度の一般予算内容がまだ明確になっておりませんが、松田大臣は、一昨日の質疑の中でも、政府交付金は五千五百万円を下らないようにすることを言明されたそうでありますが、これは松田大臣政治力にかけて、五千五百万円を上回るように努力をいたしていただきたい。と同時に、このことが実現することをわれわれは条件に考えておるわけであります。従ってこの点について特に強い希望を述べておく次第であります。ことに国際放送大陸向け放送等について、今協会の方でもいろいろ改善しようとされておるようでありまするけれども、この改善の中で、電力を現在の十キロ放送を五十キロにするということでありますが、かようなことでは現在の各国の放送状態から考えましても、日本放送が国際的な競争に十分たえ得られるか、こういうことを考えますると、われわれは百キロの大電力改善すべきである、これを強く主張するものであります。この点は特に私が申すまでもなく、十分お考えになっておるとは思いまするが、福岡、松江、北海道等のこういう電力を必要とするところには、積極的に日本放送が国際的に十分成果が上げられるように努力を願いたいのであります。  これらの点を特に日本社会党といたしましては強い希望を付して、収支予算承認、その他の案件を原案の通り賛成するものであります。
  13. 松前重義

    松前委員長 討論は終局いたしました。  これより放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を採決いたします。本件に対し承認を与うべきものと決するに賛成諸君起立を求めます。   [総員起立
  14. 松前重義

    松前委員長 起立総員。よって本件承認を与うべきものと決定いたしました。  次に、愛知委員より本件に関する附帯決議の件について発言を求められておりまするので、この際これを許します。愛知揆一君
  15. 愛知揆一

    愛知委員 本件審議経過にかんがみまして、次のような附帯決議を付することを提案いたします。まず決議案を朗読いたします。   附帯決議案   政府並びに日本放送協会当局は、左の各項に掲げる事項の達成に努むべきである。  一 国際放送を拡充すること。  二 経営合理化能率増進等によって経費節減を図り、協会従業員待遇改善すること。  右決議する。 以上でございますが、この一、二の項目それぞれにつきまして説明をする必要はなかろうかと思いまするので、決議案の朗読にとどめたいと思います。
  16. 松前重義

    松前委員長 ただいまの愛知君の動議に対して、御質疑があればこれを許します。御質疑はございませんか。——質疑がございませんければ愛知君の動議を採決いまします。  愛知君の動議のような附帯決議本件に付するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 松前重義

    松前委員長 御異議はないものと認めまして、さよう決定いたしました。  なお本件に関する委員会報告書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。  次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこの程度で散会をいたします。     午前十一時三十一分散会