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1955-07-19 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十九日(火曜日)     午後一時四十分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君    理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君    理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君    理事 門司  亮君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    纐纈 彌三君       渡海元三郎君    丹羽 兵助君       青木  正君    熊谷 憲一君       灘尾 弘吉君    山崎  巖君       吉田 重延君    有馬 輝武君       川村 継義君    北山 愛郎君       栗原 俊夫君    五島 虎雄君       伊瀬幸太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 七月十九日  委員伊東隆治君、大野市郎君、坂本泰良君及び  横山利秋辞任につき、その補欠として徳田與  吉郎君、青木正君、栗原俊夫君及び伊藤好道君  が議長指名委員に選任された。 同 日  委員伊藤好道辞任につき、その補欠として有  馬輝武君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  地方財政再建促進特別措置法案内閣提出第一  一五号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  地方財政再建促進特別措置法案を議題として質疑を行います。  本日は逐条的に質疑を行うこととして、まず第一条より五条までについて質疑を行います。質疑通告順によってこれを許します。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 まだ一般的な質問が残っておりましたが、強引に逐条に入りましたので、この点はまことに本員としては残念でございますが、今度の再建措置法につきまして第一条に目的というものをはっきり書いておると思うのです。そこでこの法律の趣旨を明示しております第一条の中に、「この法律は、地方公共団体財政再建を促進し、もって地方公共団体財政健全性を確保するため、」云々と書いてある。そこで川島長官にお伺いするのですが、おそらく地方財政の今日の赤字というものは非常に深刻複雑なものでございまして、単に一片のこのような法律案によってはこれを解決することはできない。おそらく大臣もそのようにお考えであると存じますが、しからばこの法案以外にどういうような方法によって地方財政赤字問題を解決するのであるか、この法案はそのうちどの程度ウェートを占めておるかということにつきまして大胆にお伺いいたします。
  4. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政全般に申し上げますと、機構改革を要する面もありまするし、財源措置を要する面もあります。これらの問題につきましては次の国会に提案して御審議を願う、こういう方針でおります。とりあえず赤字の多い団体に対しましては、この法案が成立いたしましたらば再建団体もしくは赤字団体の形におきまして長期にわたる財政計画を立ててもらいまして、地方財政立て直しをやりたい、こういう考え方でございます。
  5. 北山愛郎

    北山委員 大へん抽象的でございますが、私の伺いましたのは、この法案というものがどの程度までの効果をねらっておるのかという点でございます。赤字問題は非常に大きな問題でございまして、単に二十九年度までの五百八十六億という赤字をそのまま何とかすればいいという問題以外に、本年度におきましても相当額財源不足があるという事態でございますから、そういう困難な二重の事態に処しまして、この再建法案というのは一体どの程度赤字財政問題に対する解決としてねらいをつけておるか、こういうことについてある程度ウェートの問題、どの程度効果をこの法律によって期待しておるかという点をお伺いしたがったのでありますが、御答弁はまことに抽象的でございます。  そこで、ただいまお言葉の中に行政機構改革というようなお話がございました。そして行政機構改革については次の国会にお出しになるというようなお話でございますが、次の国会というのは通常国会でございますか、またそれ以前もしも臨時国会等があります場合にはその臨時国会にお出しになるお脅えでございますか。
  6. 川島正次郎

    川島国務大臣 機構改革につきましては関係大臣間でいろいろ折衝いたしておるのであります。成案できますれば一番最近の国会出したいと思っております。大体考え方は一致しておるのでありますけれども、まだ成案を縛るには至っておらないわけであります。
  7. 北山愛郎

    北山委員 ただいまのお話では、まだ成案を得るには至っておらない、しかし考え方は一致しておるというお話でございますからお伺いしますが、その一致しておる考え方というのはどういう内容でございますか。
  8. 川島正次郎

    川島国務大臣 まだここで内容お話して御批判を仰ぐだけの段階に至っていないのでありまして、今日の場合これをお話することは差し控えさしていただきたいと思うのでございます。
  9. 北山愛郎

    北山委員 それはしかしおかしいじゃないですか。政府部内においては考え方としては一致している、具体的な構想については玄だできていないが、考え方は一致しておられるというならば、地方財政の困難な問題を解決する一つ部分としてこの再建促進法が出ており、他の部分として今お話のような行政機構の問題があるとするならば、やはり私どもは関連して質問もしたいし、政府としても当然説明をなさるべきはずではないか。しかも考えがまだないというのであれば、あるいは自治庁長官個人考えであるというだけであれば、それはまあ話すべき時期ではないと甘えるかもしれませんが、大体考え方としては一致しておられるということでございますから、その一致しておられる政府側考え方をぜひともこの席上でお述べいただかなければ、私は筋がおかしいのではないかと考えます。大冨は名案があると青いながら常にお隠しになる、まことに不可解千万でございます。この際、その考え方について大体のところでもけっこうでありますから、お示しを願いたいのであります。
  10. 川島正次郎

    川島国務大臣 これはどこまでも政府部内の話し合いの程度でありまして、まだ外部に発表する段階に至っていないのであります。この点は、この場合お話し申し上げるだけは差し控えさしていただきます。
  11. 北山愛郎

    北山委員 鳩山内閣はいわゆる民主的な明朗な政治をやるといわれておる。政府考え方国民に常に明らかに示すことがその明朗な政治であるということを鳩山さんがよく言われているのです。ところが、川島さんは鳩山内閣の閣員でありながら政府の腹案なるものを虚心たん懐にお示しになることを大へんちゅうちょしておるということはまことに合点が参りません。そこでお伺いします。お隠しになるのでございますが、大体具体的な構想といいますか、一致した考え方の中には市町村の問題とそれから府県制度地方団体の再編成、こういうものを内容としておると思うのですが、これは間違っておりますか。
  12. 川島正次郎

    川島国務大臣 一々具体的にだんだんお聞き願い、これを答弁しておりますと結局何を考えているかということがはっきりするのでありますが、何を考えておるかということを申し上げることをここに差し控えるわけであります。しかし大体成案できますれば、自治庁にありまする地方制度調査会にもむろんかけまするし、財政審議会にもかけますし、同時に一般世論の反響も聞きたいと考えておるのであります。決して民主主義政治を無視しておるのではないのでありまして、まだ今日はその段階に至っておらぬ、こういうことを申し上げておるわけであります。
  13. 北山愛郎

    北山委員 しかし、しゃべったって一向差しつかえない問題があると思うです。これがアメリカから借りている兵器の秘密をどうするというようなことであれば、あるいはアメリカさんの御承認を得なければ国民にもしゃべれないかもしれない。しかし地方行政制度について、しかも大衆のいろんな批判なり意見なりを加えていいものを作るというお考えであるならば、大体考えが一致しているところをその一端なりともお示しを願うということは、これは当然であると思う。決して無理なことでもないし、われわれは議員として当然政府に要求して差しつかえないものであると考えておる。何ら秘密にする理由もございません。何か秘密にする必要があるならば長官からその理由一つはっきりお答えを願いたい。
  14. 川島正次郎

    川島国務大臣 政府の最終の意思が決定いたしますれば、むろん発表して御批判を仰ぐのですが、まだそこまで至っておらぬのであります。関係大臣間で話し合っている程度でありますから、今日はその内容を申し上げるわけには行かないのであります。むろん地方財政立て直しには、現在のままの機構でいうのではありませんで、どうしても機構はあらゆる方面から再検討する必要がある、こう考えております。
  15. 北山愛郎

    北山委員 まことに不可解なる御答弁で残念でございます。そこで私は、当然その中には町村合併等の問題が入ってくると思うのですが、町村合併によって政府が今までねらってきたものは、やはり地方財政消費的経費節約ということであろうと思うのです。一体実際に町村合併によってそういう消費経費ですらも節約するという目的が達せられたかどうか、一つ行政部長からお答え願いたい。
  16. 小林與三次

    小林(與)政府委員 町村合併はその消費的経費ももちろん節約をして町村の土台を固めようとするわけでありますが、合併町村の事例を見ておりますと、逐次その成績が上りつつあると思います。合併した町村が直ちに合併のその日からどうというわけにはもちろんいかぬと思うのでありますが、かすに日をもってすれば、逐次新町村運営の面におきましてそうした面が現われつつあるのでありまして、今までもそのできのいい町村につきましての資料等は当委員会にもお配りしたことがあると存じております。
  17. 北山愛郎

    北山委員 できのいい市町村ばかりではなくて、全般的な問題として私はお伺いするわけです。赤字問題でも、できの悪いところとまじめにやっておるところといろいろあるわけですから、一般的に町村合併のそのような目的を達したもの、——かすに時日をもってするならば、うまく行くんだというならば、全般的にどういうような効果が上っておるかということを具体的に資料をもってお示しを願わなければならぬと思うのです。ただそういう観測であるというだけではどうも私どもは納得がいかないのですが、私どもが聞いておるところでは、合併した町村人件費がむしろふえておる。いわゆる消費的経費合併以前よりもむしろ上っておるということで、かえって逆の結果になっておるような例もいろいろ知っておるわけであります。そういうできの悪い市町村の例も知っておるわけであります。従って全体的な数字としてはどういう傾向を示しておるかということについては、はなはだ疑問に思っておるのです。ですからその疑問を一つ解決していたくような資料をお示し願いたい、こういうわけですが、そういうものがございましたならば一つここで明らかにしていただきたい。
  18. 小林與三次

    小林(與)政府委員 全体的に申しまして、市町村合併になれば、市町村長市町村会議員その他の特定の職は当然になくなりまして、そういう面から見ましても、そういう関係経費が減っておるのは明瞭でごいます。一般市町村の内部の機構等につきましても、逐次合理化されつつあるのでありまして、直ちにどうこうというわけにはもちろん行かぬ面もありますが、そういう問題は合理化されつつあることも明瞭であります。それでそういう意味の特別職その他の人間と申しますか、合理化の面の数字ならば私の方でも調べてございます。ただ個々の市町村経費全般についてのものは、直ちに全部市町村についてあるわけではございませんが、そういう限られた面のものならばどれだけでもあるし、手元にある資料は追ってお配りしたいと思います。
  19. 北山愛郎

    北山委員 私はこの町村合併は、やはりもう少し掘り下げてその財政的な効果なりあるいは行政的な効果というものを見なければならぬと思うのです。これはあるいは部分的かもしれませんが、町村合併によって役場が遠くなったために、従来の部落会あるいは町内会というような団体が勢いを盛り返してきて、そうして当然そういう団体経費がかかりますから、税金以外に住民から金を徴収するというような形になってくる。そういう部分は計算には入っておりませんけれども役場が遠くなったためにまた新たに一つの末端的な団体機構というものが補足的に出てくる、それがまた住民一つ負担になり、中央ではつかんでおられないような行政費の増大を来たしておるというようなことでございますが、そういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  20. 小林與三次

    小林(與)政府委員 町村合併があれば、われわれといたしましても、できるだけ旧町村役場をなるべくすみやかに合理化したいというのが、われわれの基、本的な考え方でございまして、できるだけ支所出張所も廃止していいものは廃止したいという考えでございます。しかし実際の場合におきましては、直ちにそうすることができないのでありまして、大ていの場合は支所とか出張所の形で住民との連絡に当っているのでございます。今北山先生のおっしゃいましたのは、さらにその下部の問題であろうと思いますが、これは従来からもそういうものが町村のこのつながりの面においてあったところが相当あるのでありまして、合併後においてもそういう関係のあるところはあると思います。しかしながら町村プロパー経費がそれによって特別に下の組織に加重されるということは、これはあってはならぬのでありまして、町村との連絡に使うこともこれはあり得ると思いますが、そういう場合においては、もちろん町村としてそうした経費の責任を持つべきものだろうと思います。これにつきまして、われわれの方といたしましても、さらに徹底的に実情を明らかにして、そういうものの持っていき方はどうあるべきかということについても検討を進めたい、そういうように考えます。
  21. 北山愛郎

    北山委員 私の聞いているのでは、ただいまのお話とは反対に、町村合併によって役場が遠くなり、しかも支所等を廃止する結果として、自治庁としては、この住民役場と遠くなることの補いとして、町内会部落会等利用方法はないかということを御検討になっていると聞いている。そこで部長お話はその話とまるで逆のお話ですが、しからば今後町村合併に伴う部落会町内会等については、自治庁はどのような御方針をとるつもりであるか、あらためて行政部長あるいは川島長官からもお伺いしたい。
  22. 小林與三次

    小林(與)政府委員 町内会部落会というお言葉が出ましたが、町内会部落会そのものをどうこうしようということは、今日われわれとして考えておらぬのでありまして、ただいまお話のありました通り市町村支所出張所というものをもし整理するとして、住民役場の足が遠くなる、これは住民にとっては不便なことでありますから、その場合に役場との連絡に当る簡単な連絡組織というものは、これはあってもいいんじゃないかということは考えておるのでありまして、そういうものはどういう形で置いていくか、いわばこれは役場出先機関でありますから、しかしながら連絡的な任務に当る勤務態様を持つのでありまして、そういうものの形をどうしていくかということにつきましては、われわれとしても成案がございませんが、そういうものはなお今後研究を進めていく必要があろう、こういうふうに思っております。
  23. 北山愛郎

    北山委員 ただいまのようなお話は、結局町村合併というものの結果、さらにまた地方のちょうど末端の新しい組織を利用しようという考え方を表わしている。その経費をどうするかという問題も出てくる。そうすれば今までは税金でやっておったことが、今度は税金以外にその部落会のいろいろな負担金あるいは会費等行政費を補わなければならぬ、従って実質上の増税になるという面もございましょう。私がここでまことにこまかいことを申し上げるようでございますが、先ほど長官行政機構の再編成というようなことをお話になりましたから申し上げるのでありまして、単純に町村合併などこれは今の通りに進めていけばうまくいくのだ、それを踏み台にして新しい地方制度の再編成が行われ、地方財政の困った問題もそれで解決できるというように楽観的にお考えになるならばこれは間違いではなかろうかと思うのでございます。そこで大臣が先ほど行政機構改革プランはお示しにならなかったけれども、この町村合併についてそのプランのおそらく一部を占めておると思いますので、あらためてそういう点についての川島長官のお考えを聞いておきたいのであります。
  24. 川島正次郎

    川島国務大臣 私が行政機構改革考える点はいろいろの方面から考究しているわけであります。必ずしも町村合併だけを取り上げておるのではないのであります。町村合併の問題に関連して部落会町内会のことで御意見があるようでありますが、私ども部落会町内会という制度民主主義の精神からいってきわめていい制度ではないかと考えております。戦争中町内会が、極端な言葉で言えば悪用されて、上意下達の機関のようになりまして、下から盛り上る意欲がちっともなかったのであります。終戦後これが一時廃止になったのでありますけれども、私ども地方自治体の健全な姿の町内会部落会が発生することを希望いたしております。町内会部落会できてそこに住民負担がふえるのではないかというお話でありますが、これも見方によってはそういうことがあるかもしれませんけれども、むしろ部落会町内会というものは住民のほんとうの奉仕によってこれが成立するのでありまして、これがために費用がふえるということは、これは住民としてもお互いに避けなければならぬ事柄だと思うのであります。こういうものの発生によって、地方団体費用は減ったけれども、一方住民負担がふえるのだというのでは厭味がないのでありますから、そういうことは避けるようにしたい、こう考えておるわけであります。
  25. 北山愛郎

    北山委員 町内会部落会等がこの審議の中心ではございませんから、これ以上深く触れることはやめますが、またあらためて大臣の抽象的なしかも現実に即していない考え方について大いに質疑を続けたいと思います。  ところでただいまのお話の中で、行政機構改革と同時に近い機会に財源措置をするというお話でございました。そこで財源措置をするものは、今までの質疑の中で大臣からお話になった言葉の中ではいろいろの形で言われておるわけであります。もう本年はしょうがないが来年度やるのだ、こういうお話もありました。あるいはこの秋に公務員給与実態調査が済むから、そうしたならばそこに財源是正をやりたい、こういうようなお話もあったわけであります。どちらが本当でございますか。明らかにしていただきます。
  26. 川島正次郎

    川島国務大臣 財源的措置を要するのは、ただ公務員給与問題だけじゃございません。事業費その他全体に対して財源的措置の必要が起るのである、こう考えておるわけであります。
  27. 北山愛郎

    北山委員 これは初めてそういうお言葉を承わったのですが、事業費その他について財源措置の必要が起るといういうことを今認めておられて、なぜことしの財政計画なりあるいは地方財政に対する財源措置をなさっておらないか、下足だということはおわかりになっておるにもかかわらずその措置をやっておられない理由を聞きたいのであります。
  28. 川島正次郎

    川島国務大臣 この点は繰り返して申し上げてあるのですが、現在の地方財政運営というものを直してもらいまして、もう少し健全な姿にしてもらいたい、その上に財源的措置をしたい、こういうことであります。もちろん多数ある地方団体でありますから、適正な健全な運営をしておる団体もありますけれども、中には運営のまずい団体がありまして、そういう団体などがすっかり財政の面を面して、その上に全体の自治体に対して財源的措置をしたい、こう考えておるわけであります。
  29. 北山愛郎

    北山委員 その時期について先ほどお伺いしたのですが、少くとも給与については、公務員給与実態調査がこの九月ころですか完成する、そうしたならばやりたいということでありますから、これは今年度と了承しなければならぬと思うのであります。それからあと漠然と来年度というようなお話がありましたから、これはまた別に来年庭に地方財政に対して財源措置をする、こういうふうに時期的に二様に君えてよろしゅうございますか。
  30. 川島正次郎

    川島国務大臣 この秋に給与実態調査が出まして、はっきり不足がわかればこれは当然財源的措置が要るのでありますけれども、今年度にやるか明年度にやるかということは、補正予算国会が開かれるかのいかんにもよりますし、またすでに一兆円の予算が議会で議決を経ておりまして、歳入の面も大体限度が来ておるのでありまして、国家全体の財政とにらみ合せなければならぬ問題でありますから、ここで私は今年度内にやるとはっきりお答えできないわけであります。しかしながら少くとも、三十一年度においてはこれはやりにくいということを考えております。この点は先般大蔵大臣が当委員会でも言明しておる通りであります。
  31. 北山愛郎

    北山委員 そこで実態調査でございますが、実態調査についてこの前政府にお願いしておいたが、現在統計局資料を整理中であるというお答えでありました。そこで統計局に来ていただくことにお願いしましたが、むしろ問題は自治庁行政部がおやりになっておることでありますから、そこで給与実態調査というものの内容実態調査方法——どういう方法でどういう要素をお調べになっておるか、また現在までの進行状況はどのようなふうになっておるか、あるいに現在までの調査の結果現われた数字というものがあれば、ここで明らかにしていただきたい。
  32. 小林與三次

    小林(與)政府委員 給与実態調査統計法に基きまして地方公務員給与実態調査規則というものを特に出しまして、統計法指定統計として全地方公務員につきまして国家公務員と相並んで全般的に徹底的な調査をやることにいたしたのであります。この調査期日はことしの一月十日現在によって行なったのでありまして、その範囲は道府県の地方警察職員と未帰還職員とを除きまして全職員でございます。この警察職員の方につきましては、警察法切りかえのときに調べたものがありましたのでそれによることにいたしたのであります。その総数は百五十九万でございまして、臨時職員いわゆる非常勤的常勤職員につきましてもあわせて調査することにいたしまして、その集まりました数九万三千を含んでおるのでございます。この統計調査は、今お話もありました通り統計局において目下鋭意内容を取りまとめ中でございまして、きわめてこうかんな調査内容を含んでおるのでございまして、一応申しますと、たとえば資格別身分別職員数及び給与額調べ国庫補助職員別職員数及び給与額調べ、さらにその級別職員数及び給与額調べ、それから勤務地別給与額調べあるいは男女別年令別の人員調べ学歴別勤続年数別給与額調べあるいは各種の手当に関する調べ等給与全般にわたりまして総さらいに給与実態を明らかにしたい、こういうふうに考えておるのでございます。そこで当面この給与問題その他にからんでどうしても必要なのは、いわゆる職種別年令別給与額調べでございまして、この調査を一番最初にまとめ上げるように特に統計局に申し入れをしまして、それに重点を置いて調査の取りまとめをお願いいたしてあるのでございます。現在の段階におきましては各個別的な調査表内容検査をまだ全部終っておりませんが、一般職員部分は全部終りまして、今教育職員に及ぼしております。これを先行いたしまして機械累計をいたすことになっておるのでありまして、大体今の見通して一般職につきましての年令別学歴別給与額調べは都道府県及び五大市の分は九月中に大体できるだろう。まあもしおそくなりましても十月五日ころまでにはできる、こういう考えでございます。それからその他教職員部分とそれから五大市以外の市町村全部を入れましたところの学歴別、勤続年数別の給与額調べは十月一ぱいかかる、これは統計局の方で最短距離で馬力をかけていただきましても、大体の予定はそういうことであると先ほど統計局関係部長からの御報告があったのでございます。以上でございます。
  33. 北山愛郎

    北山委員 詳細にお答えをいただきましたが、そういたしますと、今行われておる調査は十月末までには完成するということでございますが、その結果国家公務員との比較検討というものが、はっきりそこに現われるというわけでございますか。
  34. 小林與三次

    小林(與)政府委員 国家公務員につきましても同じ調査方式で調べることにいたしまして、国家公務員につきましての職種別学歴別年令別給与額調べておりまして、これは地方公動員が先にでき上るわけでございますから、それによって比較はできることになるだろうと思います。
  35. 北山愛郎

    北山委員 私どもの聞いておりますいわゆる給与の問題、いわゆる地方財政計画上の給与単価と実際の給与に関する地方団体の支出というものが四百億くらいの食い違いができておるという根本の原因は、昭和二十六年の秋における算定願の際の意見の食い違いということにあったやに聞いておるわけであります。そこでその当時大蔵省と自治庁との間には意見の食い違いがあったというふうに聞いておりますが、大体大まかでけっこうですが、どういう点に食い違いがあったのか。
  36. 後藤博

    ○後藤政府委員 当時昭和二十六年の十月に一般職員地方職員その他につきましてベース・ダウンの格好をとったのでありますが、そのときの差額が、これは県ですが、一般職員が三百四十八円、教職員が三百四十九円、それから市町村の一般職員が五百七十六円の差額、つまりベース・ダウンがあったのでございます。この額につきましていろいろ議論があったのであります。私どもはこれだけの開きはないという議論を盛んにやったりでありますが、その後それぞれもう一度実態調査をした結果、この額はもう少し縮まったはずであります。多少あと直したのであります。その額だけを基礎にして参りますと、百七十億ぐらいの開きに現在なっておるのではないか、かように考えております。
  37. 北山愛郎

    北山委員 それでは率直にお伺いたしますが、その当時大蔵省と自治庁給与の単価について論争をされたのでありますが、自治庁は、地方公務員給与は大蔵省が言うほど高くはない、それほどの差はない、こういう考えを今でも持っておられますか。
  38. 後藤博

    ○後藤政府委員 われわれは、市町村及び府県の一般職員給与実態だけでなくて、その内容に入って参りますと、勤務年限が相当長い人が多いのでありまして、もちろん必ずしも国家公務員のような学歴はないかもしれませんけれども、非常に長く勤めておる人が多いために平均給は非常に高い。これは地方公務員の特殊な事情に基くものだ。それからもう一つは、国の職員給与以外にいろいろな給与に類する待遇が与えられておるのでありますが、地方団体職員は区域が狭いために、給与以外のものがほとんどない。従って給与費そのものは逆に上ってくるんだ。こういうことを中心にしてその当時議論をしたのでありまして、実態的に調べてみれば、私どもはそれほどの差はないという確信を現在でも持っております。
  39. 加賀田進

    ○加賀田委員 関連して質問いたします。地方公務員国家公務員給与調査をされておるというのですが、それは手当とか、そういう問題を全部ひっくるめて調査されておるのかどうか、お尋ねいたします。
  40. 小林與三次

    小林(與)政府委員 手当の類もみな一緒に調べております。
  41. 加賀田進

    ○加賀田委員 国家公務員の方におきましては、高級職員では、手当の中で特別調整額というものが最高二五%の形で、これは超過勤務のかわりに定額として与えられておると思うのですが、地方公務員の方では、そういうふうな国家公務員にない別個の手当を設けておるかどうか、それを調査され、あるいは対照されておるかどうかということをお尋ねいたしたい。
  42. 小林與三次

    小林(與)政府委員 国家公務員に準ずる手当はみな調べることにいたしております。だから今のはいわゆる管理職手当だろうと思いますが、そういうものも、出しておるところは調べに載っておるはずだと思います。
  43. 加賀田進

    ○加賀田委員 関連質問ですから、調査の結果の報告で特にわれわれとしては注意しなくてはならないのは、単なる年令あるいは学歴等における公務員同士の比較ではなくて、勤続年数とかいろいろな問題とぴったり合うようにして、給与の問題の対照を提示していただきたいということを希望いたします。
  44. 北山愛郎

    北山委員 私の手元にあるある資料、これは共済組合連合会の調査でありますが、これによりますと、国家公務員地方公務員の本俸についての平均があるのですが、その総平均として一万三千八百六十七円、府県の分が一万二千五百八十二円、総理府が一万三千二百三十二円、法務が一万三千七円、外務が一万七千五百九十三円、文部省が一万六千四百九十三円、その他ありますが、そういうふうに共済組合連合会の数字によりますと、あながち府県の公務員給与が高くないという数字が出ております。そういうような一般的な資料というものは自治庁は持っておらぬのですか。
  45. 後藤博

    ○後藤政府委員 単純に給与の総額を員数で割る、おそらくそういう推計の単価ではないかと私は思いますが、そういう推計はできないことはないと思います。しかしこれは意味のない数字でありまして、先ほどおっしゃいました勤務年限とか、学歴とか、いろいろな他の要素を勘案しなければなりませんし、地方団体には年をとった人が市あたりでは相当おります。県は割合に少いのです。従ってそういうものを考慮せずに単純な平均はできないかと思う。私はそういうことを考えますと、市あたりの平均給与が非常に高くなるのではないかというように考えております。こまかい資料を現在持ち合せておりませんが、単純な推計はできないことはないと思います。
  46. 北山愛郎

    北山委員 それは給与実態調査というものが地方財政に対して財源措置をするかしないかという非常に重要な問題であります。そこでことしの十月——おそくならないようにこの給与実態調査を明らかにしていただくと同時に、この結果として是正すべきものはすみやかに是正するというようなことをしていただきたいと私どもは念願をいたしておりますが、この財源措置をする場合にこれはいろいろな方法があるわけであります。交付税率の引き上げもあり、たばこ消費税の税率の引き上げもあり、その他方法があると思うのですが、どういう方法でおやりになるように大臣はお考えになっておりますか。
  47. 川島正次郎

    川島国務大臣 今御指摘のように、交付税の割合の引き上げあるいはたばこ益金からの地方財源への繰り入れ、並びに桝本問題としては、最近大蔵大臣考えて発表しておるように、地方と国との税源の調整をはかるというものもあります。どの方法によって不足額を補うかということはまだ結論に達してはおりません。今研究しておる問題であります。
  48. 門司亮

    ○門司委員 ちょっと関連して。前に聞こうと思っておりましたが、例の給与実態調査ですけれども、私の聞き誤まりかもしれませんが、警察、消防はこの前の国警移管のときに調査したその数字である、こういうお話ですか。
  49. 小林與三次

    小林(與)政府委員 警察官についてはそうです。警視庁以外はそれを使うことにしております。
  50. 門司亮

    ○門司委員 それでは自治庁は、これは統計できてからの話ですが、心がまえとしてどういうふうにお考えになっておるかを一つ聞いておきたいのだが、警察官それから消防職員というものの給与実態調査のときに、一番問題になるのは学歴の問題だと思うのです、これは一般公務員のような資格を云々しない諸君が大部分なんです。国家公務員の方は全部そういうことがなくて大体今日採用されておる。従って学歴からいけば当然高い給料をもらっておるだろうということは想像にかたくない。しかしそれは職務の実態がそうさせておるのです。それから、その他地方公務員の中には、現業庁としての役所でありまする関係から、警察官でなくてもそういう関係は私はたくさんあると思う。従って給与実態調査というものは、そういうものが現実に勘案されなければ、ただ単に国家公務員の、要するに国家試験を受けた諸君と同じようなものさしではかられるということになると学歴差が非常に大きな開きを見せるだろうと私は思う。こういうことについて自治庁はどういうふうにお考えになっておるのか。そういうものも一切がっさいを平均して統計が出てくるのをうのみにされるのか。そういうものを十分考えて、そうして統計についての修正というわけにはいきますまいが、考え方を現わされるお考えであるか、この問題は、どう勘案するかということは給与実態調査の中には問題となって現われてくると思います。それからもう一つは、地方公務員地方的色彩が非常に強いのでありますから、これも従来のしきたりから学歴その他は比較的問題にされていなかったのじゃないかと思います。いわゆる実力による、実績による昇給昇格等が考えられておって、そうして割合に勤務年限が長いことのために給料はかなり上っておる。従ってこれを今の人事院規則に基くものさしではかるとなるとかなり不当な給与になってくる。不当という言葉はどうか知りませんが、高額な給料になるのでありますから、こういう結果が私は必ず現われてくると思う。それらのほんとうの地方公務員としての実態の上に立った調査であるかどうかということを、もう一応聞いておきたい。
  51. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今の給与実態調査は、全く現状をあるがままにまずとらえようという考え方調べまして、それを集計いたすのでございまして、今門司委員のおっしゃいましたように、現実に比較するとなれば、おそらく中央の官庁と地方の官庁あるいは各町村の実情とその他勤務の内容によってはおのずから実態が違うものがきっとあるに違いないのであります。それでありますから、これは現実の比較ということになると、そういう面も顧慮に入れて比較しなければ、数字だけでぴたりと行くか行かぬか、私は行かぬ点があるだろうと思うのでありまして、今おっしゃいましたような点は十分勘案して、実情を比較判断する場合の資料にいたさなければならぬと考えております。
  52. 門司亮

    ○門司委員 そういう御答弁だとすると、統計局調べております調査実態とは、なお開きがあるというように考えなければならぬ。おそらく統計局調査しているものは、今の人事院規則による給与実態でなければならないと思います。そういうことまで勘案していられないと思う。従って自治庁として、これに対抗するというと言葉はどうかと思いますが、対比することのためには、自治庁として、地方の公共団体地方公務員をほんとうのありのままの姿で守っていくという態度が望ましいのではないか。もしそうでないと、長官自身の始終言われておりますように、どうも地方自治体の給与は高いらしい、これを調べてみなければ一向わからないということで、いかにも地方自治体が不当な給与を支給しており、これが赤字の原因であるかのごときことが、しばしば私どもには看取できるような長官答弁なりまたお話がある。従ってその中には、単に人事院規則だけでははかり切れないそういう事実上の問題がある。今日警察官の採用基準は、普通の中学校を出た程度であると考えている。これが採用の基準になっていると思う。地方公務員であるからといって、大学を出たおまわりさんはあまりいないと思う。そうすると、今日の給与実態からいけば、かなり大きな開きができてくる。しかしそれが一個の生活を営むことのためには、そうむやみやたらにその寸法に当てはめて安い給料を払うわけには行かないと思う。従ってそういう考え方からすれば、必然的に高い給料を払わなければならぬ。それを自治庁調査しておりますか。ただ向うから出てきたら何とかそのとき考えようということではなくて、自治庁自治庁なりに、ほんとうの実務に即した給与実態、あるいは給与のあり方をどういうふうに策定しておりますか。もしそういうものがあるなら、この際発表しておいてもらいたい。
  53. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはまずともかくも現実の給与実態を把握しないことにはわかりません。このような徹底した調査は正直に申して初めてでありまして、それだからこそ二十六年の調査で物足らぬので、徹底的にやるということになったわけであります。そこで出てくるのは、全くそういう形式的な基準に基きまして数字が出てくることは間違いありません。そこで出てきた場合に、門司委員のおっしゃいましたように、それぞれの職種によっては同じものさしではいかぬ場合があるのではないか、こういう要素があるものがあり得ると思うのでありまして、警察官などの場合は、あのときは国家警察と自治体警察の比較、そういう意味で、同じ警察官が国家警察におったわけでありますから、同じ国との比較ができると思います。それから一般の職員につきましては、国の公務員も、中央、地方を問わず同じ基準によって普通やっておりますから、中央の役所と地方出先機関の役所も同じ基準でやっているはずでありまして、それに相並ぶ地方のそれぞれの役所も大体同じものに考えていいと思います。しかしながら何分にも市町村、府県の勤務の実態が多種多様でありますから、同じものさしでいってはいかにもおかしいというものがかりにありとすれば、そういうものはやはり比較の上においていろいろ考慮すべき事情があれば考慮しなくちゃならない、こういうことは考えておりまして、その点はなお十分研究もいたしたいと思います。
  54. 加賀田進

    ○加賀田委員 関連して。今の警察職員給与の問題で、これは市町村警察が府県の警察に変る前の調査に基いてそれを発表されたものであって、今度の調査ではあらためて警察職員給与調査はされているわけですか。
  55. 小林與三次

    小林(與)政府委員 一般の府県警察につきましては去年切りかえたのであります。警視庁はやらなかったのであります。警視庁だけこの調査に合せてやることにいたしたのであります。
  56. 加賀田進

    ○加賀田委員 警察法の改正のとき問題になったわけですが、市町村の警察が府県の警察の職員として変る場合に、相当給与の変動があるために、一般の国家警察の職員並みに本俸を切りかえたはずなんです。だからあらためて調査する場合にそういう差額のある場合には補助金としてその差額を一応認めよう。しかし将来本俸が上った場合においては上った額だけは補助金を下げていこうということで、一度に下げずして相当長期にわたって下げるという実態があるのであります。だから府県の警察になった場合には従来の調査をもとにせずしてあらためて調査すべきじゃないかと思います。どれだけ補助金をもらっておるか、あるいは現在の俸給に基いて各府県の警察職員がどういう給与をもらっておるとか、新たに調査しなくては、当時の市町村の警察のままで現在の実態に合せていくと矛盾が起ってくると思うのです。
  57. 小林與三次

    小林(與)政府委員 警察は去年の七月一日現在で今おっしゃいましたいわゆる実額を、自治体警察については全部調査いたしたのであります。でありますからお話の調整手当の実態も把握されておりまして、その点は御心配がないと思っております。
  58. 北山愛郎

    北山委員 大臣は先ほど給与費のみならず事業費においても不足しているのだということを申されたのでありますが、どの事業費がどの程度不足されているのかお答えを願います。
  59. 川島正次郎

    川島国務大臣 これは赤字団体につきましては、本法の適用を受けて財政運営が全く基礎が変った上に、また一般の地方団体につきましてはすっかり引き締めた財政運営をしました上にこれを見るのでありまして、今日の場合一体事業費が幾ら不足か、給与費が幾ら不足か、あるいは公債の利払いをどうするかというようなことは申し上げかねるのであります。総括して一体地方財政はどれくらい補給する必要があるかということを考えたい、こう思っておるのです。
  60. 北山愛郎

    北山委員 しかし先ほどのお話でございますと、この再建促進等による措置以外に、政府財源措置をしなければならぬという点についてお伺いをしたのに対して、給与の差額、その調整、のみならず事業費についても不足がある、こういうお話でございましたから、給与の是正と同時に事業費不足についてもちゃんと的確なる実態を押えて、その不足については何らかの措置をとるようなお話に承わっております。今のようなお話ですと、ただばく然と事業費についても不足だ、不足らしいという程度でありますか。
  61. 川島正次郎

    川島国務大臣 赤字の原因は給与費だけではないのでありまして、ほかにも原因があろうかと思うのであります。そういうものをよく究明しまして、地方財政立て直しにはどのくらいな財源を補給したらいいかということをきめたいと存じております。
  62. 北山愛郎

    北山委員 そこで先ほどのことに戻るのですが、問題はこの法案で、今お話があったような赤字についてどの程度のものを措置させる、あるいは政府がこの法案によって措置をする、また財源措置についてはどの程度やるということの大体の目安がはっきりしなければ、どうもおかしいのじゃないかと思うのです。先ほどお伺いしたことはそういう趣旨なんです。財源不足として政府側でもって国の方で措置しなければならない分は幾らあるか、それからこの再建促進法によって期待するものは幾らというような目安があって、その全体の地方財政赤字対策の一環としてこの法案をお出しになったと思うのです。ところがその関係がどうも明瞭でない。だからこれを悪く考えれば、一切がっさいまずもってこれでやってしまうのだ、それでぎりぎり締めつけて、そうしてなるべく財源措置などしないようにしてしまおうという魂胆かもしれない、邪推かもしれませんがそういうふうにも思える。従ってまず私どもはこの法案審議する際には合理的な立場から考えまして、大体この法案によってはどの程度のものを期待するのか、政府はさらにそれでも足りないということを考えておられるようでありますから、その足りない分は幾らになるつもりであるかという見通しを持って、初めてこういう法案が出せるものだと私ども考える。そうでなければその合理化という言葉にはまことに相反するような非合理な政府の態度であるといわなければならぬと思うのです。従って先ほど申し上げたこの法案地方財政赤字対策におけるウエート、その重要性はどの程度のものであるかということについてこの際はっきりとお答えを願いたい。
  63. 川島正次郎

    川島国務大臣 この法案が第一にねらっておるところは、従来の赤字をたな上げするというそこにウエートがあるのでありますが、同町に地方財政の健全なる運営をしてもらいたいということも希望しておるわけであります。
  64. 北山愛郎

    北山委員 そういう文句ではないのです。やはり財政というものは数字の問題なんです。抽象的な文章ではない。五百八十何億という過去の赤字、これも数字なんです。今年の財源不足が幾らかということは何も文章では解決つかない。金の一枚一枚の札の問題です。従ってそういう政策についても大体これによって何百億、これによって何百億というようなことが出てこなければならぬ。ただそれだけでは一片の文章、一片の文句にしかすぎないのであって、説明にはならぬと思うのです。もう少し具体的に明確にお答えを願わなければ、どうもわれわれはまことにふらふらとした気持でこの法案審議するよりほかにない、こう思うのですが、私の言うことが無理であるかどうか、一つ重ねてお伺いします。
  65. 川島正次郎

    川島国務大臣 この法案の根本の趣旨は、従来の赤字をたな上げするということでありまして、今後の赤字克服をどうするか、こういうことでありますれば、再建団体赤字団体並びに不交付団体とも財政運営合理化してもらって、その上に一体幾ら不足かということを算定するのでありまして、現在では算定のしようがないのであります。従いまして交付税率をかりに上げるとしましても、一体何パーセント上げたらいいかということにつきまして、的確に判断する資料がないのであります。それは三十年度において地方財政が健全合理化した上においてこれを算出しようという考え方です。それでこそ地方財政立て直しは三十年度、三十一年度の両年度にまたがっておるんだ、こういうことを申し上げておるのであります。
  66. 北山愛郎

    北山委員 健全合理化をしてしまえば、あとは何にも政府は対策を立てる必要がなくなるわけです。ところがただいまのお話でありますと、こういうふうにも聞える。この法案は過去の累積した赤字対策である、今後赤字が出るか出ないかということはこれは別個の問題である、こういうようにお考えのようでありますが、それでいいのでありますか。
  67. 川島正次郎

    川島国務大臣 この法案の第一のねらいは過去の赤字対策でありますが、同時に地方財政が健全に運営されることを希望しておるわけであります。
  68. 北山愛郎

    北山委員 健全の運営ということは前々からお話し申し上げた通りです。今年の地方財政の収支を見た場合に、政府地方財政計画と実態との間に六百億の開きがある。これが詰まるということが今の健全な運営ということになるわけです。それを地方団体に期待をするわけですが、その六百億については何らの財源措置もないのです。過去の五百八十六億の赤字に対して二百億の財源措置があるだけなんです。今後の赤字、すなわち本年度だけでも六百億の財源不足に対しては何らの措置がない。従ってこの法案はまず五百八十六億に対するものとして考えて、今後に対しては別途考える、こういう意味でございますか。
  69. 後藤博

    ○後藤政府委員 この法律のねらいと申しますのは、先ほど大臣がおっしゃいましたように、まず第一点は従来の一時借入金によって赤字がどんどんだるまのようにふえております。その因果関係を断ち切ろうというのが一つの点であります。第二の点は、地方団体赤字の原因の中には、地方団体側の財政運営の拙劣な点からくる点もございますので、そういう点を合理化してもらう。それからもう一つは、将来の財政運営を的確にするために、財政構造の改善もあわせてしていただこう、こういう点がわれわれのねらいなのであります。財源措置につきましては別途の問題というふうに考えております。本年慶は御承知の通り財政計画も非常に苦しいのでありますから、私ども赤字が出ないということは保証できないのであります。できるだけ赤字が出ないようにして、もしも出た場合にはやはりこういう再建整備の措置を三十年度の終りにおいてもやはり考えなければならない、かように考えておるのであります。
  70. 北山愛郎

    北山委員 地方団体の拙劣な行政運営によって生じた赤字、これは地方団体側の方でやってもらうというねらいも法案は持っておる、こういう意味ですか。その拙劣な行政運営によって出た赤字というものはどのくらいに上るか。
  71. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは私ども予想がつかぬのでありますが、幾らかと言われてもちょっと私どもその判断がつきませんが、募集財源の全然ないのに、どんどん仕事をやってきて赤字をこしらえるとか、そういうようないろいろな点で財政そのものを考えないで運営する場合が今まで相当あった。だいぶ最近は改善されてきておりますが、特に二十八年のような税が非常に伸びました年においてすら、そういう実情が方々の町村にありましたので、そういう過去の実情から判断いたしまして、財政運営の改善をはかってもらいたいという趣旨を出しておるのであります。
  72. 北山愛郎

    北山委員 そうするとただいま申し上げた本年度財政計画についても、六百億の食い違いがあると申し上げましたが、これは自治庁もお認めになっておる数字だと思うのですが、その六百億が拙劣な行政運営によってできたものとして、この再建計画促進法によって措置しなければならぬ額であるのか。その六百億のうちのどの程度が、ほんとうに行政運営の拙劣な結果その食い違いが出ておるものであるか、その点もう少しはっきりしていただきたい。
  73. 後藤博

    ○後藤政府委員 財政規模が六百億くらい下ると申しますことと、穴が六百億あくということとは私は違うと思っております。財政規模は、私どもの推計いたしておりますものよりも五、六百億高いものだと思います。しかしそれに見合うところの歳入も相当ふえるものがあるのでありますから、これは私たちが予想しない歳入もえてくるものもあるのであります。従って六百億そのままが赤字になることはないということはたびたび申し上げたのであります。
  74. 北山愛郎

    北山委員 それじゃその歳入の計画以上に上回る数字というのはどのくらいありますか。
  75. 後藤博

    ○後藤政府委員 本年度まだ進行中でございますので、私どもどうもはっきりわかりませんが、いろいろな雑収入の増加ということも考えられるのであります。私の方が見ておりますのは、大体標準的な収入を考えておりますので、それ以上の収入というのはそれにプラスしていくのであります。従って財政規模の問題と収支の問題とはやはり別の問題である、かように私は考えていただきたいと思います。
  76. 北山愛郎

    北山委員 別ではないので、やはり関連がある問題で、全然別個の問題であれば財政計画などというものはただ紙に書いたプランにしかすぎない。なるべく実態を基礎としてそれが作られている。しかもただいま部長お話になったようなことしの財政計画上の収支見積り、それはその中で動きますのは、ただ地方税と雑収入しかないのです。ところが雑収入においても千億以上のものを見込んでいる。これはおそらく一ぱいではなかろうか、税にしても三千五百八十億ばかり見込んでいる。これはやはり現在の経済状況なりあるいは昨年、一昨年等の税収入などを見ても、これ以上そんなにたくさん伸びると思わない。そういうことを自治庁の税務部長等が本委員会答弁しているのでございます。しからば財政計画上の歳入の方は伸びない、歳出の方は実態がすぐに詰めるというわけにいきませんので、やはり一兆四百億くらいに上るという実態をお認めになっている。しからばその差額というものがきちんと六百億になるかもしれませんが、相当額になるということが予想されるわけです。そういたしますならば、この再建促進法で各市町村、府県が財政再建計画を作るという場合にはその差額だけを詰めたような計画を作らなければならないという義務を負わされると思うのでありますが、それがすべて地方公共団体の拙劣なる行政運営の結果によるものであるか、ここが問題だと私は思うのですがいかがですか。
  77. 後藤博

    ○後藤政府委員 私は六百億の差がすぐ拙劣なる行政の運営によるものとは思っておりません。二十八年の決算を見ましても、財政計画では九千百五十億であります。決算では純計が一兆二百億になったと思います。非常な差があるのであります。差がありますが赤字が出ました額はその年度百五、六十億の赤字であります。従って単年度だけ見て参りましても、その財政計画の差額がすぐ赤字になるというふうには考えないのでありまして、いろいろな歳入その他の要素はございますし、歳出の方の改善の方もございまするから、いろいろの関係赤字そのものといたしましてはやはり減って参る、こういうことを申し上げているのであります。
  78. 北山愛郎

    北山委員 そのお答えは従来のここ二、三年前からの地方財政の形というものをただ静態的に見ている、やはり年々地方財政というものはその内容が変化しているのである。御承知のように昭和二十六年のおしまいには相当額の剰余金すらあった、一千億くらいの繰越金があったように覚えておりまして、ところが急速に二十七年ころから減って参りまして、今猛烈なる赤字が出ている。そういうふうに数年間それだけから見るならば、地方財政は過去の蓄積の食いつぶしを年々やってきたとも思われる。そうして食いつぶしてしまってマイナスの方がぐんと伸びてきた、こういう事態でありますから、まだ食いつぶす分があった当時と現在とでは違わないか、こういうことを動態的に地方財政を見ていかなければ私は正しい解釈じゃないと思う。去年もそれで間に合ったのだ、一昨年も何とかやってきたのだ。だからことしも大丈夫だというような考え方は、しろうとならばそれでわかるけれども、少くとも地方財政の元締めである自治庁においては、そんな見方ではまことに困ると思います。私の言い方が間違っておりますならば御指摘を願いたい。
  79. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほど申しましたように、私は三十年度赤字が出ないということは保証できないということを申し上げた。それはそうおっしゃいましたようなことを申し上げた、もちろん二十七年から八年とだんだんと詰って参りまして、一応財政規模の弾力性はなくなって参っております。税の伸びもなくなっていることは事実であります。しかし財政計画と現実の財政規模との差額はすぐ赤字にならない。その中にはもちろん赤字になる要素はございます。しかしおっしゃいますように弾力性がなくなったから赤字が出てくる要素もあります。それは年々強くなって参っております。しかし差額がそのまま赤字にならないということを申し上げたのであります。
  80. 北山愛郎

    北山委員 御答弁程度のことは私もよく承知しております。問題はきちんと六百億が赤字にならないというのではなく、やはりそういう尨大な食い違いがあるという中で、財源は措置されておらないのであるから、しかも税の伸びも少いのであるから、また過去の蓄積もないのであるから、そこでその食い違いをこのような法律でもって、地方財政の収支のバランスがとれるような計画を出してこい、こういうように政府から命ぜられた場合には、その六百億に近いものをきちんと圧縮せざるを得ないような結果になるのではないか。もしそうでないとするならばどの程度赤字が出るということを政府としては予想しておるか。要するに再建促進法によってどの程度のものを節約をし、どの程度のものは赤字として今年度残るのか、そういうような目測が立っておるかどうか、これをはっきりお答えを願いたい。
  81. 後藤博

    ○後藤政府委員 おっしゃいますことはよくわかるのでありますが、これは再建計画自体に関係があるのでありまして、たとえば一つ団体について十億なら十億の赤字があるといたします。その財政規模は百億といたしますと、一割の赤字が出る。その赤字そのものはたな上げをするのであります。そうして今年からの財政計画では、今年、来年を黒字で出すか、多少の今年度赤字を認めるかという問題になってくるのであります。私どもといたしましては、本年度財政計画上、もちろん非常に苦しいから、本年度はおそらくどの団体についても黒字を出すところまでいかないだろう、せいぜい再建計画を立てます場合には本年度は収支とんとんの計画ぐらいになるだろう、それもやむを得ないだろう、こういう考えであります。従って年次がたつに従ってだんだん黒字を出して十億を返していく、こういう計画を立ててもらうような奨励、指導をいたしたい、そのことによって、おっしゃいますように一度に財政規模が落ちないで、順次落ちていくということに、私は結果的になるであろう、かように考えるのであります。
  82. 北山愛郎

    北山委員 これは、第一条の財政健全性確保の一番眼目でございますから、なお徹底的にお伺いをいたしたいのでございますが、過去の赤字をこの再建促進法によってたな上げができると言われましたが、五百八十六億に対して二百億の再建債しか出しておらないとすれば、これは自治庁といえども全部たな上げができるとは考えておらないわけです。そういう説明はしておらない、これはまた別途措置するということを言っておるでしょう。そうすると過去の赤字についても、この促進法を適用してもやはり赤字のたな上げが全部できるのではなくて、一部は残る。少くとも昭和二十九年度に発生した百二十四億だけは残るという御説明なのです。そうするとその分も残る、そうして今おっしゃるように本年度財政収支の再建計画を出させる場合に、単年度の収支がとんとんになるような再建計画を出させるということは、すなわち先ほど申し上げた六百億というものを、地方団体の収支のバランスにおいて吹き飛ばすか、あるいは税の増収を命ずるか、どっちかによってその六百億を個々の団体再建計画の中でこれを埋めてしまう、こういう考え方にほかならないというように思うのですが、いかがですか。
  83. 後藤博

    ○後藤政府委員 もちろん再建債を起して、再建整備による団体とそうでない団体とは、再建整備のやり方が違います。従って再建債を起してやる団体の場合には、私は先ほど収支とんとんに持っていくのが関の山だと申し上げたのでありますが、私は単年度赤字もあり得ると考えております。従ってこの文句もやはり目標とするという文句にいたしております。単年度として本年度赤字の場合もあり得るだろうと思います。そういう場合にはおっしゃるように財政規模が一ぺんには縮小しないという事情もありますから、従ってこれは年次的に規模を縮小していく、そして漸次恒常化していくという計画になるのでございます。  それから再建債を起さないで再建整備をやるという団体につきましては、一応現在の支払い繰り延べないしは事業繰り越しという形を二、三年繰り返していくわけであります。従って現在と同じような状況においてそれをやっていこうというのでありまして、その場合においてもやはりそれ自体の計画が年度別になるのであります。従ってそういう団体においても私は収支とんとんが関の山だろう、ここで非常な黒字を出していくということはなかなかむずかしいだろう、かように本年度考えております。
  84. 北山愛郎

    北山委員 そういう御説明であるならば、第二条の第二項の第二号ですか、再建計画の中で再建に必要な具体的な措置及びこれに伴う歳入歳出の増減額を計画に記載する事項、それによると毎年度実質上歳入と歳出とが均衡を保つことを目標とする経費の節減計画をその再建計画の内容として要求しておる。すなわちこれによると毎年ことしから直ちに収支のバランスがとれることを少くとも目標とする計画を期待されておるわけです。それはすなわち今申し上げたような六百億というものを、いわゆる地方団体の拙劣なる行政運営の結果であろうとなかろうと、結局地方団体の責任において全部解決させようとしておるということを目標としておるのは不適当だと思うのですが、ただいまの御説明のようであれば、どうもこの規定は直してもらわなければならぬ規定ではないかと思いますが、いかがですか。
  85. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほど私が申し上げましたようにこの目標とするという言葉を使ったことは、収支とんとんにすることが関の山であるが、しかし赤字の場合もあり得る、単年度としては本年度赤字の場合もあり得るという意味で、目標という言葉を使ったのであります。現在財源措置が行われていないのでありますから、当初からそういう無理な計画を立てることは私どもは要求しておるつもりはないのであります。本年度はやはり収支を合わせる計画を立ててもらいたいが、どうしてもやむを得なければ赤字の場合もやむを得ないという意味であります。
  86. 北山愛郎

    北山委員 このことは地方財政赤字を国の責任でやるか、あるいは地方団体の責任でやるかという分れ目になるところの大事な規定だと思うのです。従って六百億なら六百億というものが、少くとも地方団体の拙劣なる行政運営に基くものであると見なされない限りは、こういうふうな規定はおかしいじゃないか。やはり六百億なら六百億という財源不足というものを、一体地方団体の責任で節減をし、あるいは増税すべきものが幾らであるか、あるいは財源不足として国の方で見てやらなければならぬ分が幾らであるかということが明らかにされなければならぬ。そうでないとこういう規定があると全部地方団体の責任にされてしまう。そういうことを目標としておる。ですから、この規定は適当でない。適当であるとすれば、六百億の財源不足というものが地方団体の責任であるという確証がなければ、こういう規定は不当であると思いますが、いかがですか。
  87. 後藤博

    ○後藤政府委員 私にはおっしゃることがどうもよくわからないのでありますが、六百億とこれを結びつけられること自体が問題でありまして、個々の地方団体において歳入の確保をはかり、歳出の節減をはかるという計画がこの計画なのであります。個々の団体において歳出の方と歳入の方の関係のバランスを合わしていこう、こういうことなのであります。しかしこれは先ほども申し上げましたように、二十九年度財政計画は非常に苦しいのであるから、おっしゃる通り地方財政の規模も相当変ってくる。従ってむずかしい場合もあり得るだろう。従って私どもとしては収支とんとんまで行くということはなかなかむずかしいから、目標という言葉を使って赤字の場合もあり得る、こういうふうにここに書いておるのでありまして、私どもはそういう意味でこの文句を使ったのであります。
  88. 北山愛郎

    北山委員 どうしてわからないか、私から見ればおかしいのですが、この六百億の中には先ほど来お話があったような給与の是正の未措置額が含まれておる。だからこの分については少くとも地方団体給与のやり過ぎであるか、あるいはそうでないかということが未確定です。六百億の中に少くとも百何十億だか知らないが、そういう額があるでしょう。それはどっちの責任にすべきかということがまだ未確定です。それがわかっておりながら全部再建計画の中でプラス、マイナスとんとんになるような計画を出させるということを、少くとも目標とするということが不当ではないか、そういう意味なんですが、それでもわからぬですか。
  89. 後藤博

    ○後藤政府委員 従来の赤字を償還するための再建計画を立てるわけであります。従来の赤字が、個々の団体で、たとえば先ほど申しました十億ある、その十億を七年とか八年に返す計画を立てる。その場合に、本年度は少くとも収支を合せるようにしてもらいたい、しかし合わなくてもしようがない、こういう意味でこの文句を使ってあるのでありまして、私どもとしては一つもおかしくない、こういうふうに考えるのであります。
  90. 北山愛郎

    北山委員 従来の赤字と、また今年以降における財源措置とは別側の問題なんです。この法案はむしろ、従来の赤字のうち二百億だけは貸してやろう、利子も、七千五百万円だけは利子補給をしてやろう、そのかわり、今年の財源不足六百億というものは、有無を言わせず、再建計画の中で出血なり、あるいは事業の節約なり、あるいは増税なりでもって地方団体の責任でやれ、こういうことを内容とする法案なんです。この法案の性格はそうなんだ。従って先ほど長官に私お伺いしたのは、長官は実にいいことを言っておられる。地方財政赤字措置については、将来においていろいろな方法考えている、財源措置考えている、あるいはこういうのも一つ方法として出している。ところが今の説明のようであれば、ほとんど全部が地方団体の責任によってそのマイナスを圧縮したりあるいは増税をしたりしなければならぬ、こういう法案なんだから、私は適当でないと思うが、どうですか。長官からもお伺いしたい。
  91. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは二つの問題がからんでおるのではないかと私は思うのであります。本年度赤字が出る、その出る赤字をどうするかという問題と、それから個々の団体再建計画を立てる場合に、本年度をどうするかという二つの問題があると思います。私どもは本年度赤字が出るか出ないかわかりませんが、しかし赤字の出ないという保証はできない。従ってこの措置につきましては、やはり政府は別の考え方に立って措置すべきものだ、こういうふうに考えるのであります。しかし個々の再建団体再建計画そのものは、一応収支を合せる目標を立ててもらいたい。しかしそれがむずかしいことであれば、単年度赤字はやむを得ないというふうに考えておるのであります。
  92. 北山愛郎

    北山委員 単年度赤字はやむを得ないというようなことで財政運営財政計画をやられてはたまったものじゃない。これを出す、そして今年の財源の不足なり食い違いというものを、やはりある一部は、地方団体の責任において努力によってもやってもらいたい。しかし赤字が出るだろう、ちゃんと初めからそういうお考えなんですから、この分については財源措置をしてやるということを明確にすべき必要がある。政府は従来の赤字の原因から考えても、あるいは先ほど来のお話があったような、給与の間額にしても未確定なんです。拙劣なる地方団体財政運営だけとも言えない。それを認めておるでしょう。しからば少くともこれと並行して、財源措置は幾らするんだということを明確にしなければ、これは片手落ちなんです。このままでいきますと、六百億の不足額だけは全部地方団体の責任でやられてしまう。できるだけそういうふうにされてしまって、そして残った分の赤字だけめんどう見てやろう、そういうようなまことに冷酷な、不親切な法案になってしまう。従ってこの法案は、過去の赤字の処理ということは第二次的であって、むしろ二百億という一つのまんじゅうを与えて、みんながつがつしているから、その前におきますと、一生懸命になって食おうとする。その中にはちゃんと麻酔薬か何かが入っておって、そうして今年の財政をぎりぎりと圧縮されるような計画を出せ、出したならば金を貸す、こういうことなんです。こういう二つの意味があるので、むしろ今後のいわゆる非常事態に処しての地方財政の猛烈な出血と節約、あるいは増税というものを目標とした法案であるといわれても仕方がないと思うのですが、大臣から重ねてお伺いしたい。
  93. 川島正次郎

    川島国務大臣 私ども北山さんのお考えのようには考えておりません。一応過去の赤字をたな上げしまして、今非常に困っている状態を解消することが一つのねらいであります。同時に長期の財政計画を立てさせまして財政立て直しをやろう、こういうのであります。その財政計画を立てます際に、三十年度でもって若干の赤字が出ることはあるいはやむを得ぬかもしれぬ、こういうことを財政部長からお答えをしているわけであります。六百億赤字が出るのだというこの計算の仕方には、私ども北山さんとは意見が違いますし、しかもそれを全部地方の出血によって、もしくは増税によってこれを解決する、そういうふうには考えておりません。
  94. 北山愛郎

    北山委員 大臣はそう言うけれども法案にちゃんと書いてある。第二条の三項の二号に、これによって再建計画を出す団体は、第十二条の規定による地方債の償還を含めて、毎年度実質上歳入と歳出とが均衡を保つことを目標とする経費の節減計画を出せ、そうでなければ金を貸してやらぬということなんです。だからまず三十年度、ある団体がその再建債を借りようと思えば、そういうことを内容として、ことし黒字にしなくても、収支がとんとんになるような財政計画を作らなければならぬ。ところが財政計画実態とは、全国的に見て六百億食い違いがあるから、個々の団体によって違うでございましょうが、相当額圧縮をするような計画を出さざるを得ないという結果になる。そうでしょう大臣、おわかりですか。私の言うことがどうしてわからないか。そういう結果になるじゃないですか。そういう計画を出せというのだから……。
  95. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほどからたびたび申し上げておるのでありますが、これは毎年度であります。再建計画を七年立てます場合には、毎年度こういう計画を立ててもらいたい。しかし現実の実情としては、この財源措置が十分でないために、赤字の出ることも考えられまするので、単年度として三十年度はやはり赤字の場合もあり得る、こういうふうに私どもとしては考えておるということであります。
  96. 北山愛郎

    北山委員 それならばこういうようには書かない方がよろしいのです。むしろこの第三項の初めに、「七年度以内に歳入と歳出との均衡が実質的に回復するように、」と書いてある。ところがこの二号のイの方になりますと「毎年度」と書いてある。そこで政府は欲ばっている。七年度に最終年度までにとんとんになればいいということを、この初めの方には書いておきながら、あとの方では、毎年度プラス、マイナスが一致するようなことを目標とする計画を出せ、こういっているのですから、欲ばっているじゃないかと思うのですが、私の解釈は邪推かどうか、重ねて一つ財政部長からお答えを願いたい。
  97. 後藤博

    ○後藤政府委員 どうもお考え過ぎじゃないかと思うのでありますが、均衡を保つことを目標とするという言葉は、十分に読んでいただきたいのであります。これは収支均衡をどうしてもしなければいけない、こういうふうに私ども考えていないということはしばしば申し上げた通りであります。
  98. 北山愛郎

    北山委員 それではその点については、目標とするということは、やはり第二条第三項の初めの方の、七年度以内に収支の均衡が保つような計画であればよろしい、せいぜい努力はしてもらいたい、この程度である、こういうふうに解釈を了解いたします。  それでは次に進みますが、第二条の「昭和二十九年度において、歳入が歳出に不足するため昭和三十年度の歳入を繰り上げてこれに充て、又は実質上歳入が歳出に不足するため昭和二十九年度に支払うべき債務の支払を昭和三十年度に繰り延べ、」以下云々と書いてありますが、これはいわゆるただあるがままの赤字ということを認めるが、その債務の内容について、いろいろ計画を承認するの上において、債務によっては赤字として認めないというようなことがございますか。ただ、どんな原因による債務であろうとも、原因は問わず、とにかく昭和二十九年度においてそういう結果が出てきておるものは、全部認める、こういう趣旨でございますか。
  99. 後藤博

    ○後藤政府委員 債務の種類は別に考えません。ただ赤字起債にする場合に、十二条の二項にありますように、事業繰り越しの場合にだけ——ちょっと事業繰り越しの内容赤字と称し得ないようなものもございますので、私どもはその点だけを検討いたします。しかし、その場合でも、債務の内容については全然触れないつもりでございます。
  100. 北山愛郎

    北山委員 それでは次の二条ですが、「政令で定める日までに自治庁長官に申し出て、」それから「指定する日現在により、」こういうふうに書いてありますが、これはどういう意味でしょうか。なぜこういうことをやるか。いつだって、団体が自分で再建計画を出しさえすればいいんじゃないかとも思うのですが、その理由について伺いたい。
  101. 後藤博

    ○後藤政府委員 政令で定める日までというのは、この再建計画の申し出の一番最後の期間を書こうと思っております。従って、本年度は三十一年の三月三十一日までにということになります。それから、三十年度以降の赤字団体については、翌年慶の九月三十日までに申し出るわけであります。一応終期だけをはっきりしよう、こういう意味であります。それから下の指定日というのでありますが、別に指定日を設ける必要はないのじゃないかという御意見もあるかと思いますが、これは基準日でありまして、いつを現在にして再建計画を立て、何年間で終るということにいたしたいと考えておりますので、基準の日をはっきりしておこうという意味であります。
  102. 北山愛郎

    北山委員 それから進みまして、第二項の三号「前各号に掲げるもののほか、政令で定めるもの」とあるのです。この再建計画の中に入れるような会計について限定しておる規定ですが、国民健康保険の会計等はこれへ入る、こういうふうに考えているわけですね。国保会計の赤字などは、これによって財源措置をされるか、こういう点をお伺いしたい。
  103. 後藤博

    ○後藤政府委員 国民健康保険の特別会計を、この政令で定めるものというのは、予想しておるのであります。つまり、国民健康保険の会計は特別会計でございますから、その赤字はこの赤字の中に入らないという意味であります。ただ市町村によっては、一般会計から練り出し金という格好——奨励金その他いろいろな格好で、繰り出し金を出しております。従ってその繰り出し金はどうするかという問題がありますが、一般会計からの繰り出し金は、やはり赤字として考えたらどうか、こういう意見もありますので、その実情を調べました上で、赤字の中に入れてもいいんではないか、かように現在では考えております。
  104. 北山愛郎

    北山委員 繰り出し金だけを認めるということは、どういう趣旨でありましょうか。繰り出し金というのは、一般会計の中に入っているわけですか。繰り出し金の赤字というのは、どういう意味ですか。
  105. 後藤博

    ○後藤政府委員 特別会計の赤字がありますので、一般会計から繰り出しをするのであります。こちらの赤字を消しております。実際はそういう意味のこちらの赤字なんです。ところが、それではまかない切れぬものですから、一般会計から繰り出して補てんをしておる。その補てんしておるものは、ほんとうは特別会計の赤字なんでありますけれども、しかし、それもやはり市町村のことでありますから、できれば一般会計の赤字の中に加えたらどうかと考えております。
  106. 北山愛郎

    北山委員 そうすると一般会計の赤字計算の場合に、今の繰り出し金も算定の中に入れる、こういう趣旨と了解します。そうすると、ほとんどすべての繰り出し金が入るものと考えていいかどうか。赤字補填のための繰り出し金といっても、そうでない繰り出し金といっても、私はその区別がつかないのじゃないかと思う。元来国保会計に対する繰り出し金というものは、経常的な形で——団体によってはやっておらないところもございますが、大体一割、二割くらいはやっている。これが通例であります。そうすると、これは当然経常的にその会計にそれだけのマイナスがあるから補てんしているわけなんです。そうすると、一般的に特別に赤字の場合の繰り出し金だけを見るのか、あるいはそういう一般的な繰り出し金について見るのか、私は区別がつかないじゃないかと思うのです。どっちかと云えば国保会計に対する繰り出し金を全部見るという建前の方がいいかと思いますが、いかがでしょう。
  107. 後藤博

    ○後藤政府委員 繰り出し金の決算を見れば、私はどこの会計にどれだけ繰り出し金を出したかということはわかると思います。従って国保会計だけの繰り出し金は、一般会計の赤字として考えたらどうかと考えております。他の公営企業会計等の赤字は別の問題であると私ども考えております。
  108. 北山愛郎

    北山委員 その繰り出し金以外の国保会計についてでありますが、市町村のような場合においては、国保会計の赤字が非常に大きな要素を占めていることは、御承知の通りである。ですからわれわれの希望というか、当然の常識からするならば、全額においても全体から見れば、それほどの金額ではないから、国保会計は全部入れたらどうかと思うのですが、どうして国保会計は除くのであるか、それをお伺いしたい。
  109. 後藤博

    ○後藤政府委員 特別会計というのは、その会計だけで大体バランスを合せていくということになっているので、一応特別会計を除いて、一般会計だけを考えたのであります。しかし特別会計と申しましても、いろいろございます。国民健康保険の赤字の事実も私どもは知っておりますので、その繰り出し金等については、特殊の取扱いをしたらどうか。それによるところの赤字も、市町村としては相当あるのであります。それだけ事業量が圧縮されているということになりますから、私どもとしては繰り出し金について考えた方がいいじゃないか、こういうことを現在考えているわけであります。
  110. 北山愛郎

    北山委員 国保会計の現在の赤字は、どれくらいになっておりますか。大体のところがわかりましたら、お知らせ願いたい。
  111. 後藤博

    ○後藤政府委員 ちょっと国民健康保険会計の赤字額をど忘れいたしたので、あとからお答えをいたします。
  112. 北山愛郎

    北山委員 暑いから無理もないと思うのですが、国保会計というのは、ほかの特別会計とは違いまして、いわば保健衛生の政策の一部であって、ただ便宜上特別会計をやっているにすぎない。従ってその料金の徴収についても、国民健康保険税という税によって徴収する建前になっている。ただ特別会計にしているということは、普通の公営企業などとは違うような性格を持っている。しかも国民健康保険が運営について特に町村を圧迫しているわけでありますから、できるならばこの赤字についても再建促進の対象にすべきではないか。もちろんこの金額が非常に膨大であるということになればまた別になるでありましょうが、この点は赤字額についての数字等をお伺いの上で、あらためてまたお伺いしたいと思います。  それから第二条は、非常に長い文章でありますが、その再建計画は、大体七年以内ということになっておりますが、何かこれについてはめどがございますか。
  113. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建計画は八年になっております。本年を合せて八年です。これを八年にするか、十年にするか、五年にするか、いろいろの意見がございます。五年から十年の間の意見があるわけであります。従ってわれわれは最初は七年、指定日の属する年度及びその後引き続く六年としておったのでありますが、これを一年延ばして八年にいたしておるのであります。従ってこれでできない団体もありはしないか、こういうことでおおむねという言葉を使ったのであります。
  114. 北山愛郎

    北山委員 それではその次の第二条の第三項の初めの三行日あたりの「第二号二に掲げる事項については、財政再建のため特に必要と認められる昭和二十九年度赤字団体に限る。」こういうふうになっておるのですが、その二号の二というのは例の増税なのですね。この財政再建のため特に必要と認められるとあるのですが、これはだれが認めるのですか。
  115. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは赤字団体自体が認めるという意味であります。
  116. 北山愛郎

    北山委員 そうすると再建計画の中で、この団体が自主的にそういう必要があると認めて出した計画を自治庁としては承認するという趣旨だ、今の答弁はそういう趣旨だと解するわけであります。そうでないと、当該の再建団体から計画を出して、増税の計画を出さない、ところが自治庁長官はお前の方は少し税金をよけいとったらどうかというようなことで計画を差し廃して増税させるような指導は絶対なさらない、こういう趣旨に解してよろしゅうございますか。
  117. 後藤博

    ○後藤政府委員 御説の通り考えております。
  118. 北山愛郎

    北山委員 それからその次の行の「財政再建の基本方針」というのがあります。基本方針というのでありますから、その内容はたくさんあると思うのでありますが、大体どのような内容考えておられますか。
  119. 後藤博

    ○後藤政府委員 まず第一に再建計画の期間であります。それから第二には実施の方針、これは歳入歳出にわたっての実施の方針、それから第三は再建の促進に関する方針、大まかにはこの三つくらいになると思います。こまかいほどいいのでありますが、将来の問題でありまするので、そうこまかくは書けないのではないか、従って大きな方針だけをここで述べて、最後の再建の促進に関する方針は、これは予算執行の方針でありますとか機構簡素化の方針でありますとか、予算外の義務負担の規制の方針でありますとか、そういうふうなことを私ども予想しております。
  120. 北山愛郎

    北山委員 長い期間にわたる財政の基本方針を定めるのでありますから、非常に重要な事項であります。そこでその内容には、当然七年なり八年なりの間に人口もふえる、学校の生徒もふえる。学校も増築をしなければならぬ。こういうような計画も当然この基本方針の中に入ると了解してよろしゅうございますか。
  121. 後藤博

    ○後藤政府委員 長い間の計画でありまするから、あまりこまかい方針でなく大筋だけを出しましてそうして何年度から黒字をどの程度出していく、そういうふうな計画でありまして再建計画自体もやはり大まかな投資的経費とか消費的経費、それを二つに割ったくらいの計画くらいしかできないのではないか、さように考えております。従ってそういう大きな方針を定め、大きな計画でもって再建債を償還する計画を立てていくということにいたしたいと思います。
  122. 北山愛郎

    北山委員 大きいことは差しつかえないでしょう。けれども少くとも各年度予算の基本になる再建計画でありますから、少くとも実態に即したものでなければならぬと思うのです。実態を無視したような計画では何にもならない、従って人口の増加に伴う行政費の増加というものは当然計画の積み上げた大きなところでは触れておらなくても、少くともそのどこかの部分に触れておらなければこれは実態からずれてしまうわけです。ただ何千万円とか何億円とか書いただけでは、これは全然行政の実質に触れない浮いた計画になると思うのです。従ってこの再建計画の中にそういうものは、今一例として学校の点をあげましたが、そういうものは当然触れて、内容として計画は出さなければならぬ、こう考えてよろしゅうございますか。
  123. 後藤博

    ○後藤政府委員 お説の通り考えております。
  124. 北山愛郎

    北山委員 そうすると現在府県、市町村いろいろな計画を持っておるわけであります。特に町村合併によって新町村建設計画というものを出させるように命じておるというか、町村合併促進法の中にはある。しかもその計画たるや内閣総理大臣まで提出をするというように非常に大事な計画であります。従って新町村建設計画を立てておる団体は、その計画の内容としておる数字はこの再建計画の中に考慮すべきものと考えますがどうですか。
  125. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建計画を立てました団体において町村合併等が行われておりました場合に、投資的な経費をどう見るかという御質問だろうと思うのでありますが、これは一般財源をどの程度投資的経費に用いられるかどうか、こういう判断を基本的にいたすのであります。従って何年度は一般財源をどの程度投資的経費に振り向けるということを考えましてそれを基礎にした事業計画を立ててもらう、こういうことになると思います。それから単独事業につきましては、これは起債の限度でやってもらう、財源的な余裕があれば別でありますが、単独事業についてはやはり起債の限度で事業をしてもらう、こういうことにならざるを得ない、かように考えております。従って起債の限度、一般財源の限度によって合併の建設計画が行われる、かように考えておりまして、当初に立てました建設計画がそのまま行われるのではないと私ども考えております。
  126. 北山愛郎

    北山委員 現実には今まででも合併町村においてはそれぞれ建設計画を実行に移す場合に、もちろん財政の顧慮をしてこれを進行しておることは事実であります。けれども計画として財政再建計画が優先するかあるいは新町村合併建設計画が優先するかということは、やはり重要問題であろうと思うのです。まずそういう計画を顧慮せずにまず何年度は何億円、何千万円であるということをきめてやれということになれば、新町村建設計画なるものは無意味なものになってしまう、そこで町村合併の立て元であるところの行政部長としては重大な関心を持たなければならぬと思うのですが、この点について行政部長はどうお考えになりますか。
  127. 小林與三次

    小林(與)政府委員 新町村建設計画はそれぞれの団体財政力の許す範囲内で一日も早く進行することはわれわれの念願しておるところでありますが、そういう団体再建団体になればできるだけ再建団体財政計画上新町村建設計画も十分に考慮されながらでき上ることを、われわれは期待しておるわけでございます。
  128. 北山愛郎

    北山委員 そうすると自治庁全体としてはその再建団体から出してくる再建計画を審査いたさなければならない立場でありますから、そこでその審査の際には再建団体においてもしも新町村合併建設計画を持っておる、その計画がこういうふうにあるのだから所要経費はこれこれであるとして再建計画の中に入れてきた場合にはこれを承認なさる、こういう趣旨に解釈してよろしゅうございますか。
  129. 小林與三次

    小林(與)政府委員 財政再建計画とマッチした、その中に十分に盛られた新町村建設計画で、財政再建計画としても適当なるものなら当然盛られてしかるべきだと思います。
  130. 北山愛郎

    北山委員 財政部長の方からもお伺いしたいし、この点ば一般的な方針でありますから、長官からも明らかにしていただきたいと思うのですが、地方には単に町村建設計画のみならず、総合開発の計画であるとかあるいは積雪寒冷単作地帯の振興計画であるとかたくさんあります。そういう計画とこの再建計画との関係はどうなるのであるか、自治庁としてはどういうふうに取り扱うつもりであるか。そんな計画がいくらあったとしても、金がないのであるから、まずもって財政上の再建計画を優先させて、あとはその範囲内で適当に認めるということであるか。これは非常に重要なことであるからお伺いしたい。
  131. 後藤博

    ○後藤政府委員 新町村の建設計画と再建団体再建計画とどちらが優先するかということは、どちらが優先するというのではなくて、やはり再建計画の範囲内において建設計画を優先的に考えていく。財政力とその点で調和して、どちらもうまく行くように考えていくということしかお答えできないのではないか、かように考えております。
  132. 北山愛郎

    北山委員 しかしこれは非常に政策的に見れば、重大な関係があるのです。この再建計画というものは、実質上経費節約する計画なんです。単独事業でも何でも落してしまおう。今度の政府財政計画の中にも単独事業を大幅に減らすように計画されておるし、公共事業も減らす。そうすると、事業を落すような計画になっておる。またこの再建計画もおそらく大幅な節約計画になると思う。そうしますと、せっかく町村合併の際には、新町村建設計画は作って出せと言い、そしてそれに対しては起債を許してやるの、補助金をくれるのというようなことを、ちゃんと促進法の中には書いてある。そういうことを明らかにまっ正面から矛盾をしてくるのではないかと思いますが、これについてやはりはっきりとした考え方の整理をしておかなければ地方としても納得がいかない。合併しても何もならないじゃないか。しかもその再建ということは、再建計画を出し節約するだけが唯一の方法ではない。政府の方でもしも財源措置をしてくれるならば、それも一つ方法なんですから、それだけが唯一の方法じゃないのです。そこで私はやはりこれは単に今のようなお答えではどうも割り切れない。一つ方針として再建促進のためには新町村合併計画は無視してもかまわないというならば、それでもよろしい。そういうようなはっきりしたお考えか、方針を聞きたい。
  133. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建団体であるからといって、私どもは新町村の建設計画を無視しないということを申し上げたのであります。
  134. 北山愛郎

    北山委員 大臣はどうですか。
  135. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建計画と町村合併の関連性のお尋ねでありますが、私ども町村合併をぜひ推進したいと思っておりますが、しかしながら町村合併のために財政の基礎が危うくなることは、これは避けなければならぬのでありますからして、財政計画の範囲内において町村合併を推進することが地方財政健全化のために必要だ、こう考えております。
  136. 北山愛郎

    北山委員 それならば総合開発であるとか、暑寒地帯の振興法であるとか、そういうふうないろいろの計画があるのですが、そういうこともこの際は赤字団体に限って一つストップだ、まず再建だ、こういう方針ですか。
  137. 後藤博

    ○後藤政府委員 新町村の建設計画以外に、おそらくおっしゃいますのは、補助事業じゃなかと思います。補助を伴う事業につきましては、これは十何条かに規定してありますように、これもやはり国の重大な施策の一環でありますから、できるだけやっていただきますように、補助率の引き上げをして、できるだけ地方負担を少くするような方法においてやらせる、こういうふうに考えております。できるだけそういう事業をやってもらうように計画を作っていく、こういうふうに考えております。
  138. 北山愛郎

    北山委員 どうも御答弁がいろいろ違うのでありますが、その計画の中には、職員の昇給等は普通に入れるような計画を立ててもよろしいかどうか、まあ赤字団体だから昇給もしばらくストップだというようなことで、昇給は認めないような方針であるか、それも伺っておきたい。
  139. 後藤博

    ○後藤政府委員 私どもとしては、給与費はどのくらいのものを将来毎年見ていくかということだけきめまして、その年々に昇給するかしないかということは、その年の予算の問題と考えております。従って予算において昇給するかしないかを、その地方団体で判断すべきである、かように考えております。
  140. 北山愛郎

    北山委員 しかしこの再建促進法によると、その団体予算というものは計画によって調整をしなければならぬしし書いてある。だから計画と予算というものは大体一体になっておる。計画は計画だが、予算は別個に出すというわけには、考えとしてはそうなってはならない趣旨になっておる。そういう規定があるはずです。そうするとただいまの財政部長お答えは、どうも法案の規定と矛盾するのですが、それでいいのですか。
  141. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建計画自体は先ほど申しましたように、大きな項で消費的経費を二つか三つの項に分けたのであります。従ってその年に黒字を出すか、多少赤字が出るか、こういうことになると思います。従ってその場合に数字の表だけでは内容がわからぬのであります。数字の表につけて基本的な方針をこまかくいろいろ出したわけであります。そのこまかく番いてある方針に従ってやらなければならない。しかし方針にないものは、私はその年度年度予算においてやはり考えるべきことだ、かように考えるのであります。
  142. 北山愛郎

    北山委員 しかしこの案によりますというと各団体から出させた再建計画を自治庁審議して、承認をしたり、変更したりしなかったり、あるいは変更さしたりするでしょう。そうするならば大まかな数字のやはり基礎というものも検討されると思うのです。そういう場合も審査されるという立場でありますから、もしも地方団体が、その再建計画の中に昇給はこの程度に見ていますといった場合に、それは昇給は相ならぬとして断わるかどうか、その点を明らかにしてもらいたいのです。
  143. 後藤博

    ○後藤政府委員 その団体自体が昇給をする計画を、私どもが拒否するというようなことはいたしたくないと考えております。
  144. 北山愛郎

    北山委員 そうすると通常行われる妥当なる昇給率というものは、その人件費において当然に認める、計画の承認の際には、十分そういうことは考えてやるというふうに了解をいたします。それからその再建計画の中では行政整理の計画は含ませるという御方針ですか。
  145. 後藤博

    ○後藤政府委員 必ずしも含むことは要件ではないと考えております。
  146. 北山愛郎

    北山委員 ところが昨日でしたか、政府地方財政計画にもないような行政整理を期待して、この再建促進法において資金のワクをとっておられる。ですからやはりそういう再建計画の中に、そういうものを出すということを期待しておられるのじゃないか、こう思うのですがいかがですか。
  147. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは個々の団体財政構造によるのでございまして、個個の団体財政構造の是正の方策として、個々の団体考える、かように考えておりまして、私どもはその場合には、個々の団体がそれぞれ判断をしてくるだろう、かように考えております。
  148. 北山愛郎

    北山委員 この点はその御答弁では私どもは信用できない。というのは、今地方団体のいろいろ財政診断、その調査自治庁でしておるようでありますが、この際福岡県のような例のように、いろいろ診断をするわけです。従って地方団体から再建計画を出してきたときに、お前の方では当然行政整理をやるべきであるにかかわらず、計画の中にはそれがない、だからこれを入れろということが起り得るかどうか、こんなことは考えていないのかどうか、その点をはっきりしていただきたい。
  149. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建計画の中で消費的経費を落さないで投資的経費を落してくることはあり得ると思います。それで団体がいいということであれば、それで認めていくし、別に消費的経費を落せというふうにやり直しをさせるようなことはいたしたくないと私は考えております。
  150. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、今度のこの法案についておるいわゆる退職手当に見合う起債六十億というのはどれに見合うものであるか。たしかあのうちの一部というものは、財政計画上にもないようなものが今度六十億の中にあるわけですね。どうしてそんなことが起るのか。もしも財政計画の中に考えていないような行政整理を予想しておるとするならば、その行政整理の結果、やはり逆に財政計画の上に対してもまた所要の変更がなければならぬのではないかと思うのですが、どうも財政計画と六十億との相関関係がないので、私は非常に疑問に思っているのですが、その点はいかがですか。
  151. 後藤博

    ○後藤政府委員 三十億だけ入れてないという意味は、三十億入れますと財政需要を三十億立てなければならないのです。従って私どもとしては、三十億だけは実は財源とは別個に考える、これだけ別個に財源がある、こういう考え方をしておるのであります。
  152. 北山愛郎

    北山委員 なぜ三十億財政需要をふやさないで済まそうということになるか、ふやしても財政需要として計上していいのじゃないかと思います。
  153. 後藤博

    ○後藤政府委員 おっしゃいますのは、おそらく百四十億の穴があるから、三十億財源の方に起債を加えますと百十億になります。そういうことを私どもはしたくなかったので入れなかったのであります。起債の方の一般会計の中に入れて参りますと、そういう結果になります。そうしますと財源的に使うということになります。そういう財源的に使うものではない、こういう意味であります。
  154. 北山愛郎

    北山委員 財源的に使う以外には方法がないと思うのですが、どうですか。財政計画上、税であろうが、あるいは起債であろうが、雑収入であろうが、みな財源的なものです。その他三十億は財源でないというのですか。
  155. 後藤博

    ○後藤政府委員 言葉が足りなかったのでありますが、一般会計の財源として私どもは使いたくないという意味で、三十億だけはずして別な財源にしたのであります。
  156. 北山愛郎

    北山委員 しかし実際に地方団体が退職手当を支給する際には一般会計として出すのであって、何も特別会計で出すのじゃないと思いますが、どうですか。
  157. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほどお答えしましたように、一般会計の中に入れますと、一般会計の歳入の中に三十億加わることになります。そういたしますと、この三十億の財源がプラスされることになりますから、百中億は百四十億になります。そういうふうなことをしたくなかったので入れなかったのであります。
  158. 北山愛郎

    北山委員 しかし三十億を御所望ならば使わしてやろうという趣旨であろうと思うのですが、そうすると予定外の行政整理をさせるということになる。そうすると、行政整理に伴う経費節約額が財政計画上出てこなければならぬと思うのですが、なぜそういうことをしなかったのですか。
  159. 後藤博

    ○後藤政府委員 もう少し詳しく申しますと、三十億を歳入に入れていきますと、三十億分だけの行政整理をやって退職金を出すという需要を考えなければならぬのであります。従ってそういうふうなことをやらないで別にいたしまして、そうしてやるかやらないかはっきりわからぬのでありますから、別個の財源ということにしておるのであります。
  160. 北山愛郎

    北山委員 使うか使わないかわからぬような財源でありましたならば、そのときになってから考えてもいいのじゃないかと思いますが、やはり計画上三十億をわざわざなけなしの財源から出しておるのでありますから、これは使うならば使わせるという計画でしょう。ほかの財源だって同じだと思う。やはりほかの起債のワクであろうが、全部あれは使わせるという趣旨じゃなくて、やはり起債を申請してきたものに従って許可してやるワクであろうと思う。そうすると性格上は同じじゃないかと思うが、どうしてそれだけ特別待遇をやるのですか。
  161. 後藤博

    ○後藤政府委員 昨日も申しましたように、もちろん三十億要らないという場合には再建債の方に回すつもりでおります。しかし財政需要を立てて歳入に入れるということは、計画的に三十億の退職金を使うということになりますので、そういう計画的にやるものではないという意味で三十億を別のワクにしたのであります。
  162. 北山愛郎

    北山委員 それではまた元に戻って。行政整理が再建計画の中に入ってくるかこないか。すべてこれはその団体の自主性にまかせる、こういう御趣旨ですか。それとも出てきた計画によって、これはやはりお前の方は行政整理をした方がよろしい、こういうことであるならば行政整理をさせるような計画変更を命ずる、こういうふうなこともあり得るか、その点をはっきりしていただきたい。
  163. 後藤博

    ○後藤政府委員 これも昨日申し上げたのでありますが、再建計画が出て参りました場合に、歳入のたとえば交付税でありますとか地方債の方の過大の見積りがない場合、それから義務的な経費節約が過大でないというようなことを調べました上で、その点で間違いがなければ私どもはその計画をのむつもりでおります。その上にさらに人員整理をしろというような指示は、私どもはいたさないつもりであります。
  164. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、人件費等についてはもっぱらその団体の自主性にまかせると了解するのですが、そういう御方針であるならば、自治庁が今まで地方財政の診断などをした場合に、お前の方は人件費が全国の水準よりも高いぞとか安いぞとかいうことは指示なさらぬ方がよろしいと思うのですが、大臣はこれに対してどういう御方針でございましょうか。
  165. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政を圧迫している一つの原因が人件費にあるといたしますならば、地方財政健全化のためにはその姿を直すことが必要であります。しかし人件費が一般公務員などに比べて高いか安いかということは、まだ未定の問題でありまして、何とも申し上げられないのであります。
  166. 北山愛郎

    北山委員 これはそれに関連しているのですが、そうしますと、少くとも給与実態調査が終るまでは、府県等から財政診断を求められて、これに対して診断をする場合に、人件費については高いか安いかなどというような内容の診断はいたさない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  167. 後藤博

    ○後藤政府委員 財政診断を求められる場合は、求める方のどういうところが一体普通の団体と違っておるか教えてもらいたいという希望から申し出るのであります。そういう場合には、普通の団体と同じくらいの財政規模の団体、同じくらいの地勢の団体で、給与は高いか安いか、人数が多いか少いか、事業がやり過ぎであるかどうか、こういうことを私どもは参考までに知らせておるのであります。従ってそういう意見を述べなければ財政診断にはならぬのじゃないか、かように考えております。
  168. 北山愛郎

    北山委員 そのようなお話であれば、給与が高い安いの診断をなさる場合の診断にお使いになるものさしというものがおありのはずです。そのものさしは一体どういうところで求めておるか。
  169. 後藤博

    ○後藤政府委員 大体団体の大きさによって、この団体くらいであれば二百入に一人くらいの職員が普通だという平均的なものがございます。従って現在の平均的なものをとりまして、その平均的なものよりも高いか安いか、こういうふうに判断をいたしておるのでありまして、あるべきものをわれわれが想定して、それと比べて高いとか安いとかいうような比較はしていないのであります。
  170. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、全国なりよその同種願の府県、市町村、よその団体に比較して、平均よりも上回っているとか下回っているというような結論が出るだけであって、給与のやり過ぎとかいうようなことは、どうしても言葉の上で出てこないと了解をします。  それから重ねて、この行政整理等については、再建計画の実施上積極的に自治庁の方から、お前の方は行政整理の計画を出せというようなことは言わない、こういうふうに考えていいか、はっきりとこの点は御答弁いただきたい。
  171. 後藤博

    ○後藤政府委員 それぞれの団体考えることでございまして、私どもは別に要求する意思はございません。
  172. 北山愛郎

    北山委員 なおこまかいことですが、学校等における老朽校舎の修築であるとか、あるいは災害の復旧であるとか、そういうものは当然計画の中に入れて差しつかえない、やはり必要なそういう地方団体がやるべき仕事は、当然計画の中に入れるべきであると考えますが、それを承認なさるかどうか。
  173. 後藤博

    ○後藤政府委員 お説のような場合には、お説の通り考えております。
  174. 北山愛郎

    北山委員 まだ五条までだと少しありますが、もしもほかの方があれば、私は少し休憩をいたしまして、水を飲んできたいと思いますから……。
  175. 後藤博

    ○後藤政府委員 さっきのことがわかりましたから……。国民健康保険の赤字の見込み額は、二十八年度で四十九億であります。二十九年度はわかりません。市町村からの繰り出し金は二十五億であります。町村がそのうち三十二億、市が三億であります。
  176. 大矢省三

    大矢委員長 川村継義君。
  177. 川村継義

    ○川村(継)委員 北山委員がしばらく休憩するということですから、二、三の問題についてお尋ねしますが、長官も率直にお答え願いたいと思います。まず第二条の問題について聞きたいのですが、「前条第一項の規定による財政再建計画は昭和二十九年度赤字団体の長が作成し、当該昭和二十九年度赤字団体の議会の議決を経て、自治庁長官の承認を得なければならない。この場合おいて、」云々と書きまして、「必要な条件を付け、又は変更を加えた上、当該財政再建計画を承認することができる。」とありますか、この手順はこういうふうになるのですか。長が作成して、議会の議決を経て、それを長官出し長官がそのまま承認することもあるでしょうし、あるいは必要な条件をつけて、また変更を加えて承認することもある、こういうふうになるのですか。それでよろしゅうございましょうか。
  178. 後藤博

    ○後藤政府委員 順序はその通りであります。
  179. 川村継義

    ○川村(継)委員 この議会の議決を経たものを自治庁長官が、まさかの場合には条件をつけて変更したりなどすることは、きのうもちょっと聞いたのですが、いわゆる自治権に対する干渉ではないかと思うのですが、その点について長官いかがでしょうか。
  180. 川島正次郎

    川島国務大臣 この条文にもあります通り、「財政再建が合理的に達成できるように、」という文句があるのでございまして、せっかく再建計画を立てましても、長い見通しといたしまして、歳入その他の点においてとうてい実行不可能という場合には、これを変更させることは地方財政立て直しの上に必要だ、こう考えておるわけであります。私どもは、議会の議決を経て長が提出しました再建計画を、これをみだりに変更する意思はないのでありますが、この法案目的を達成させるため、必要やむを得ざる場合には、こういう処置をとるということをうたってあるのであります。それがために「再建が合理的に達成できるように、」こういう文句を特に挿入したわけであります。
  181. 川村継義

    ○川村(継)委員 私がお聞きしたいのは、地方の自治団体というものは、結局民主的な制度によって運営されている議会が議決したものは、おそらく知事であろうとだれであろうと、これはそのまま執行するのが当りまえだと思うのです。国会できめたのを、それを総理大臣が勝手に変更してやるというようなことは、おそらく、あり御ないと同様に、地方自治体の議会がそれぞれの権能によって議決したものを、知事たる長がこれに変更を加えることは一切できない。そのまま執行しなければならない。そういうものを自治庁長官が変更したり条件をつけて、こうしろというようなことを指図することは、許されるかという問題なんです。
  182. 川島正次郎

    川島国務大臣 この法案目的を達成するためには、自治庁において再建計画を検討して、とうてい実行不可能だという結論が出た場合には、これに修正を加えるということは、地方財政立て直しのため必要でありまして、その程度において修正を求めようというのでありまして、みだりに長が出したものを、これを勝手に修正するというのじゃないのであります。この程度のことは、私はぜひ必要だと考えております。
  183. 川村継義

    ○川村(継)委員 みだりにやらないとおっしゃるのですが、それは大小の問題ではないと私は思うのですよ。かりに議会の議決を経る前に、長が作った案を出して、それを自治庁の方で検討されて、そしてその案が塩方の議会にかかるということなら、私はいわゆる議会制度運営からいいじゃないかと思うのですが、地方の議会が議決したものを、長官が変更するなどということは、大きくあろうと小さくあろうと問題ではないかと思うがいかがですか。
  184. 川島正次郎

    川島国務大臣 たとい議会の議決を経て長が提出したものであっても、長期にわたって実行できないというのでは、地方財政立て直しできないのでありまして、私どもが見まして、実行不可能なことと思うものに対して、これの修正を求めるということは、地方財政を健全化するためには必要な処置だ。しかしこれをむやみにやろうというのじゃないのでありまして、それがために、特に今申し上げました通り再建が合理的に達成するためという条件をつけて、この条文にうたっているわけであります。
  185. 川村継義

    ○川村(継)委員 これが法律となれば、長官がおっしゃっているようなことも、あるいは通用するかもしれませんけれども、私は民主的な議会制度のあり方からして、こういう法案を作る根本的な考えにおいて、何かしら私には割り切れないものがあるわけです。  また同じようなことでありますけれども、この第三条は、裏返しに今のようなことを考えて参ると、相当大きな問題をはらんでいるように私には思われてならないのです。つまり今言ったようにこの問題は自治庁から天下りに干渉を招く結果になるおそれがある。そういうようなものを多分に感ずるわけです。長官とそれから長とが折衝され、そしていろいろ具体的に決定されるその地方財政問題というものは、非常に広汎にわたってくるでしょう。また七年とか八年とか長期にわたるようなことを、自治庁と長との間で取りきめられて、地方にそれが押しつけられるということは、これは自治運営に対する弾力性、自主性というものを押えつけていく結果になるのではないか、こういうことをこの第三条に強く感ずるわけです。昨日もちょっとお尋ねしたことで、よく言われる、昨日も使った言葉なのですけれども、中央集権化するとか官治制度の復活とかいうことが、こういうところに出てくるのじゃないかと思うのですが、そういうことは少しも長官はお感じになりませんか。
  186. 川島正次郎

    川島国務大臣 せっかく財政の立直しをしようと考えましても、実行不可能な案を立てたのでは意味がないのでありまして、私どもが見まして、歳入の面におきましてもあるいは歳出の面におきましても合理的に実行ができるということを地方示して、ある程度の修正を求めるということは、これは赤字団体財政立て直しには必要な事柄でありまして、この程度のことをやらないで随意に地方できめたものをそのまま認めるということでありますならば、結局計画は立てましたけれども長い間には基礎がくずれまして、再び元のような赤字団体に陥るというおそれがあるのでありますから、こういう規定は私は必要だ、こう考えておるわけであります。
  187. 川村継義

    ○川村(継)委員 長官は今おっしゃったような気持でこの再建案へというものを考えておられると思いますけれども、私がお尋ねしていることは一応議決をして上ってきたものに長官が変更を加えられる、あるいは条件がつけられる、そうしてそれが地方の自治体に押しつけられる——押しつけるという言葉は気に食わないかもしれませんけれども、とにかく押しつけるとか天下りに行くとかという言葉を使えば使えるのです。ところがその変更されたもの、条件がついたものに対しては地方の議会は何も参与しないのでしょう。そういうやり方、いわゆるその変更されたものについて地方の議会が何も策定にあづからない、あるいは参与してないということが許されるかという問題、そういう点を、たびたび申し上げますように干渉してないと言い得るか、あるいは官治制度の復活だと言われても仕方がないのではないか、こう思うのですが、その点を私は聞いておるのです。
  188. 後藤博

    ○後藤政府委員 この条文の趣旨はこの前も申し上げましたが、たとえば歳入の交付税とか地方債の財源を過度に大きく見積る、歳出の方では義務的な経費の過度の節減計画を立てた場合、そういう場合にはおそらく議会はよくおわかりになっていないのじゃないか、長の方でも見通しの問題でありますからおわかりにならない点があって、誤まってそういう計画を立てる場合があり得るのであります。そういう場合に修正をするか、一応承認をしないで返して、もう一度議決をやり直してもらってまた来てもらうか、こういうことになるわけであります。しかしとても望み得ないことを望んでおるということがはっきりしておれば、返してからもう一度議決をしたり何かいたしますと時間的な余裕がない場合もございますし、非常にささいな修正の場合もあり得るでしょうし、いろいろ手続がめんどうなだけであって、非常に繁雑なことになりはしないか、こういう心配から必要な条件をつけたり変更を加えたりして承認をしよう、こういう趣旨でこの条文は作ったのでありまして、非常に大それたことまで考えてわれわれはこの条文を作ったわけではございません。
  189. 川村継義

    ○川村(継)委員 繁雑になるとかならないとか、そこまで言う前に、私は問題を提起して答弁を願っているわけです。今財政部長が言われたような手続もいろいろ考えられるでありましょうけれども、私がさっきから言っているように、地方自治の本旨というようなことあるいは議会制度運営というようなことから、議会が議決したものを変更するという事態長官の干渉があるのじゃないかということなんであります。  もう一つ付随した問題になりますけれども、これは七年なら七年の見通しを立てた計画を作るわけでしょう。そうなると、現在のいわゆる長が自治庁と今のような格好でここに七年なら七年の計画を作って、途中において首長の改選があったりあるいは議員の改選があったりいたしますね、その場合新しく選出された議員、首長は一体その計画についてこれはどういうように出てくるのですか。
  190. 後藤博

    ○後藤政府委員 たとえば七年の計画を立てました場合に、途中で議員が変更されましても、当初立てました計画を守って再建計画を実施してもらいたいというふうに私ども考えております。
  191. 川村継義

    ○川村(継)委員 そうなりますと結局新しく選出された議会人というもの、いわゆる公選されて出てきたところの住民の代表の議会、首長というものは一体どんな形に置かれておるか、われわれは想像して暗いいやな気持にならざるを得ない。ただ機械的に存在するにすぎない、ロボットにしかすぎない、こういう結果になるのじゃないか、果してその新しく選出された議会人が何らの意思の表現もできないということは一体どんなものかと思うのですが、長官どうですか。
  192. 川島正次郎

    川島国務大臣 それはこの問題だけでなく、すべての議会政治の一般論になるのでありまして、新しくできた議会が前議会の決議したことを一切変更できないという性質のものではありません、これはこの問題だけではないのでありまして、すべての議会政治の根本の考え方であります。従いまして議会が変更されて、新しい議会において従来の計画がいかぬというなら、これは変更することもあり得るでしょう。しかしそれではやはり財政立て直しできないのでありますから、おそらく地方財政立て直しの見地から新しく生まれた議会もこの計画を認めるのじゃないか、こういうふうに私どもは想定し得るのでありますけれども、新議会が従来の決定を一切くつがえすことができないということは、民主政治の建前からいってもあり得ないことであります。これは単にこの問題だけではありません。一般の議会の原則論になるわけであります。
  193. 川村継義

    ○川村(継)委員 それではたとえば七年間の計画を立てた、それによってすでに再建の実施に入っておる、四年後に議会の選挙がある、新しい首長選挙がある、その新しく出てきた議会がその計画に対して変更するというような議決をしてもよろしい、そういうこともあり得る、こういうふうに解釈していいですか。
  194. 川島正次郎

    川島国務大臣 それは当然あり得ます。
  195. 北山愛郎

    北山委員 関連して。私も今の点は非常に重大だと思うのです。一応再建計画を立て、再建団体となってそのコースを歩いてきておる団体が、首長選挙あるいは議会選挙をやる、そのときに選挙のスローガンというか、公約は一体何になるかというと、結局私は再建計画を忠実に行いますということで選挙に出るよりほかはないのじゃないのですか。それ以外の選挙公約というのはないのじゃないですか。そうすると結局その期間七年間、八年間というものは、その団体には何も自主性かなくなっておるということを裏からそれが示しておるのだ、こう言わざるを得ないのです。これは非常に重大なことでありますが、それでけっこうかどうか。むしろそこまで行くならば、その再建計画を実施期間中はもう選挙をやらないという方が端的じゃないか、おかしい話です。
  196. 後藤博

    ○後藤政府委員 私の先ほど申し上げたのがちょっと変なふうにとられておるようでございますが、先ほど申し上げたのは最初に立てた計画を七年なら七年やってもらいたいということを申し上げたのであります。しかし議会が変った場合は、三項にもございまするように計画変更の場合もあり得るのでありますから、事情が変ったりした場合にはやはり変更の承認を得てもらいたい。しかし、なるべくならば最初に立てた計画をそのまま実施してもらいたい、こういうふうに私ども考えておるのであります。
  197. 北山愛郎

    北山委員 関連して。変更もあり得るという長官お話であり、財政部長お話でもあるが、しかしその変更というものは自主性のない変更なんです。一応再建団体としてのワクの中へ突っ込まれた以上は、その団体が変更しようとしても、それは勝手に変更はできない。必ず自治庁長官の承認を得なければその計画の変更はできないでしょう。もしも勝手に変更すれば、あとで制裁を受けるでしょう。起債の許可をしないとか、そういうような制裁を受けるから、結局その団体としてはその変更が政府から認められるかどうかわからないのですから、結局新しく出てくる首長にしろ、議会にしろ、私は今まできまっておる再建計画を今後また四年間忠実に実施いたしますということを選挙演説でぶって選挙をやることになる。これで団体の自主的な性格というものが一体守られるか、ここに私は重大な問題があると思うのです。ここで決定して地方団体を禁治産者、準禁治産者のような格好にするならば、むしろ選挙などやめてしまった方がいい。ナンセンスである。これについてどうお考えですか。
  198. 川島正次郎

    川島国務大臣 これは先ほども申し上げた通り、議会政治の根本の問題でありまして、議会が変れば当然違った意思の決定があり得るわけでありまするから、そこで変更もできると書いてあるのでありまして、議会が変った場合に何でもかんでも前の議会の、あるいは前の長が決定した再建計画をやらなければならぬという性質のものではありません。これは議会政治の通則なんですから、そういう疑念はちっとも起らぬわけであります。
  199. 川村継義

    ○川村(継)委員 長官はそのようなお言葉でありますけれども、きのうもちょっと申し上げましたように、この条文は憲法違反の疑いがあるとか、中央集権化するきざしになるんだというふうなことをいろいろと言われる原因になっている条文ではないか。今私たちが申し上げましたような角度から検討して考えていきますと、そういうことになるんだとわれわれは申しているのですが、そういうことは絶対ないのかという点についてもう一ぺん長官から明らかにしていただきたい。
  200. 川島正次郎

    川島国務大臣 これは、もうきわめてはっきりしておりまして、新しい議会が違った意思の決定をすれば、それはそれとしてまた生きるのでありますから、前議会が立てた長期にわたる再建計画に意見がいれられないということはないのでありまして、これは前も申し上げました通り議会政治の根本の考え方ですから、その点は御懸念の必要はないと私は考えます。
  201. 北山愛郎

    北山委員 変更はできると言われるのですけれども、その変更が実際に変更できるかどうかということは、政府が認めるかどうかという立場に置かれているのです。従って市長選挙なら市長選挙に立候補した候補者は、私はこうやりますといって変更できるかもしれないが、その公約を実行するということは住民に対してできないのです。政府の承認を得たならば私はこうやりますという格好になってしまう。それがすなわち根本的に議会並びに市長というものを、団体そのものをそういう不自由な状態に置いておる。その団体がもはやこの再建計画の縛りにあった以上は、政府の承認がなければ、もう新しい首長であろうが、議会であろうが勝手な変更はできないということなんです。変更してもそれを認めてもらわなければそれは変更にならないでしょう。そういう不自由な状態に置かれる、それだけは認めざるを得ないと思うのですが、どうですか。
  202. 後藤博

    ○後藤政府委員 最初の計画のときに承認を受けたのでありますから、計画変更のときにもやはり承認を受けるということは当然だと思います。従ってその場合に強制されるとかいうような問題ではなくて、やはり当初の計画と内容の違った計画になるでしょう。しかしやはり当初に受けたものでありますから、それを変更する場合にはやはり同じ手続をとるのが自然ではないか、かように考えておるのであります。
  203. 川村継義

    ○川村(継)委員 どうしても納得がいかないのです。これはどうしても自治の本旨を乱しておる。長官の力が自治権に干渉される条文だ、こういうふうに思われてならないのです。  それからもう一つ、これは同じ三条あるいは前の二条に関係すると思うのですが、お聞きしておきたいと思うのです。きのう私は、その一つの例として、教育委員会、教育制度の問題をちょっとお聞きしたわけでありますが、長官は教育委員会制度の趣旨、本旨などは御承知の通りであります。教育委員会というものは、結局地方議会においても予算の二重権とでも申しますか、原案送付権というものが認められておる。いわゆる一般の行政から独立した性格を持っており、非常に大きな自主性が与えられておる。ほかの委員会と違って、この教育委員会においては予算についての原案送付権を持ち、一般の行政から独立したところの教育制度を受け持っておるものである。これについては長官は異存はないと思いますが、いかがでありますか。
  204. 川島正次郎

    川島国務大臣 昨日御答弁申し上げた通りであります。教育委員会制度の根本には触れておりません。
  205. 川村継義

    ○川村(継)委員 そうすると、この二条の財政再建計画を作る場合に、教育委員会は教育に関する予算というものについていろいろの考え方があろうが、その委員会の持っておる意見というものが一体どういうふうにして現われるものであるか、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  206. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方団体が立てます再建計画というものは、ごく大まかのものでありまして、給与消費的経費、投資的経費というような、ごく数項に分ったものだけを歳出面において掲げてもらえばよいのでありまして、その範囲内でもって運営をしていくのであります。あとは長なり議会なりと教育委員会との話し合いによるわけであります。私どもは、教育委員会内容にまで立ち入って、教育費を削減しろとかふやせとかいうようなことは実際要求はしてはおらぬのであります。
  207. 川村継義

    ○川村(継)委員 いや、私の今聞いておるのは、長官が云々するという意味じゃないのです。いわゆる教育委員会が持っておるところの予算の送付権であるとか、そういうようなものは、この再建計画を作るときに、しかも七年の長きにわたって長期計画を作る場合には、一体教育委員会というものはどういう形においてその発言が保障されておるのか、あるいはその策定に当って参与する機会があるのか、そういうことをお聞きしておるのです。
  208. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建団体になりましても、教育委員会は従来通り予算の見積書を作成するわけであります。従って予算の原案送付権を持っておるのでありますから、私どもこの規定によって教育委員会の方を制約するというようなことにはならないと考えております。
  209. 川村継義

    ○川村(継)委員 そういうような計画を作るときに、委員会なら委員会が長と協議して再建計画を作るというようなことがもしもうたわれておったとするならば、私が今言っておるような心配はないのですよ。ところがこのままでいったならば、長は自分で勝手に作ることができる、そういうような場合にいわゆる委員会が持っておる権限というものは無視されるのじゃないかというように考えるのですが、財政部長どうですか。
  210. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは同じ県の中の行政委員会でございますから、そういう場合に、協議しろとかなんとかいうようなこまかい規定を入れなくても事実上話し合いはできるだろう、こういう意味で除いたのでありまして、事実上話し合いはありますし、全然無視して再建計画ができるものではない、かように考えたのであります。
  211. 川村継義

    ○川村(継)委員 三条の場合を考えてみると、結局これは長官の問題に少し関係してくるのですが、長の出した計画に長官の方で必要な条件をつける、変更を加える、そういう場合に、長官がいつも言っておられるように、科学的根拠はないんですけれども委員会の存在が教育費を膨張させている、あるいは給与費が高いというようなことが常に頭の中に入っている。今日までいろいろ言葉は変っておりますけれども、そういうお考えが入っているとなると、必要なる条件をつけたり変更するような場合に、それが出てくるんじゃないか。教育関係について、委員会が出されたところのそういう計画について、長官の干渉というような形になって現われてくるんじゃないかということを、二条を考えたり三条を考えたりして思わざるを得ないのですが、長官のこの点についての御見解を承わりたい。
  212. 川島正次郎

    川島国務大臣 私どもはかりに条件をつけ、変更を加えたいということがありましても、特に教育費が高いとかどうかということを言うつもりはないのでありまして、歳入の面におきまして、将来の見通しとして過大に見積ることは困る。また歳出の面におきましても、当然必要な義務的経費を落したりして実行不可能に陥らせるような場合のことを想定してこの条文をつけたのでありまして、むしろ今のお考えとは逆であります。教育費などは義務的経費でありまして、これを過小に見積るような場合は是正を求めるという方が、むしろ強く打ち出されておるわけでありまして、一々教育費その他の内容についてこまかく指示するという考えは毛頭ないのであります。
  213. 川村継義

    ○川村(継)委員 委員会の立場から言うと、長官の今の答弁は大へんありがたいお言葉だと思います。財政部長にお伺いいたしますが、第三条の中にあります再建計画に必要な条件というのは、大体どういうようなものを具体的に想定されているのですか。
  214. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほど申しましたように歳入と歳出で、地方団体ではわからない、つまり節減計画とか見積り等がございました場合に、えらく間違いがありますれば、これは変更ということになりましょうが、単にわれわれと見解を異にするような場合には、こういうこともあり得る、こういう場合にはこうした方がいいだろう、こういうような意味の条件をつけたい。特殊な場合に限ってでありますが、そういうふうに考えております。
  215. 川村継義

    ○川村(継)委員 私がきのうそういう点をちょっとお尋ねしたときに、財政部長は、委員会との問題は第八条だとおっしゃった。後に第八条の問題あるいは二十一条の問題等でもう一ぺんお聞きしなければならぬと思うのですが、とにかく今お話を聞いておりまして、私が長官にここで申し上げておきたいことは、結局第二条や第三条の条文から見て、また現実に地方の長と委員会との関係、特に財政がどういうふうにして取り行われているか、予算がどうして組まれているかということを知れば、今私が心配しているような点が非常に多い。そういう点が出てくるというようなことが強く考えられるのです。そこでそういうことがぜひないようにしてもらわねばならぬと思うのですけれども、現実にそういう点が起きてくると、結局委員会の権限に、言葉では触れておりませんけれども、実質的には圧迫していく、あるいは干渉の形になって出てくる。ところが今申しましたようなきらいはないかということをお尋ねしたのでありますが、長官のお言葉では心配がないように聞えるのでございますけれども、どうもそういう危険がのかないと思うのです。そういう点を御考慮おき願いたいと思っております。今の問題については後ほどまたお聞きする機会があろうと思うのですが、要するに私がこの第三条等について強く考えることは、当初に申し上げましたように、議会との関係考えてみても、今の委員会の持っている権限というものが、そのまま自主性が尊重されないという形になって出てくるならば、結局自治庁長官地方自治に対する干渉だといわれても、あるいは官治政治の復活だといわれても、憲法違反の疑いがあるといわれてもやむを得ないのじゃないかと思う。そこで第三条のごときは非常にそういう問題をかもしやすい、そういう方向に行きやすい、こういうことを考えている、こう申し上げているのです。その点についてもう一ぺんお考えを承わりたい。
  216. 川島正次郎

    川島国務大臣 第三条に関連して、主として教育委員会のことをお取り上げになって御議論になっているようでありますけれども、教育委員会の原案送付権あるいは二重予算につきましては、世間でもいろいろな議論があるところであります。この法案作成の際にも一応これを研究いたしたのでありますが、教育委員会の性格上、また現在の教育委員会の規定も尊重いたしまして、そういう点に一切触れないでおこうということになったわけでありますから、御心配のような点は一切ないのであります。こういうふうに私どもははっきり考えておるわけであります。
  217. 北山愛郎

    北山委員 先ほどの再建計画の承認と、それから要するに再建団体になったことによってそれ以後長い間、八年間というような長い間その団体が自主性のない立場に置かれるという問題は、この法案の非常に重大なミステークだと私は思うのであります。先ほどからだいぶ申し上げましたが、再建団体の、たとえば市町村長の選挙があった場合に、私は個人的に考えると、そういう再建団体の選挙に出るという気持がしない。首長選挙に出るような気持がしないです。かりに出たとしても、私がそういう再建団体の首長選挙に候補者となって出た場合に何を言うかといえば、私は今回首長になりたいから一つよろしくお願いします、政策等については、御承知の通り再建計画がございますからそれをごらん下さい、こう言うよりほかないじゃないですか。大臣はどのようにお考えですか。それで民主政治になりますか。
  218. 川島正次郎

    川島国務大臣 北山さんのお話は少し思い過ぎじゃないかと思うのであります。知事にしても、市長にしても、仕事はそれだけではないのでありまして、また再建計画の範囲におきましてもいろいろな運営の仕方があるのでありまするから、そう極端に、もう再建計画をすれば選挙の必要はないのだというふうには、とうてい私ども考えられないわけであります。
  219. 北山愛郎

    北山委員 それは一部の事業、継続事業であるとか、そういう長期計画の部分的なものであるならば、差しつかえはないのです。けれども財政再建計画というものは、ほとんど全部の財政に及んでるんですよ。従ってどんな事業でも、その金の伴わないものはほとんどないでしょう。そういうことが何年か先まできちっときまっておるのです。そうするならば、それに従わないということは、その首長候補者としてはできないはずです。計画にはこうなっておりますが、私はこうやりますという公約は絶対にできません。なぜならば、それは自治庁長官の承認を得なければ、そういうことは約束できない。もし私が首長候補者に出る、そういう場合になるならば、まずあらかじめ川島さんのところに伺って、私はこういう公約をしたいと思うが、もし出たときにそれを承認してくれるかということを事前にお打ち合せをした上で、実はこの選挙に自分はこういう政策をやりたいと思うが、この点についてはすでに長官とも連絡済みだからというようなことでも言わなければ約束はできないでしょう。問題はそれで民主政治できるかというんです。それだけその再建団体となった団体は長い間拘束を受け、準禁治産者のように金縛りの立場に立たされるという苦痛がある。この変更についても承認を受けなければならないのです。災害等緊急の場合においてそういう特別な経費が出た場合においても、これはあらかじめ承認を受けろ、受けられなかったならばその事後にすみやかにその事業の承認を受けろと書いてある。そういうことならば団体の自主性がないのです。一部の事業じゃない、財政全体の長期計画なんです。そういうようなものによって縛られた団体にどんな自主性があるんだ。選挙なんてナンセンスだ。そういうことでこの法案地方自治の本旨を侵害してないということが言えるかどうか、はっきりとお答えを願います。
  220. 後藤博

    ○後藤政府委員 北山先生は再建計画の内容をよく御存じだと思うのでありますが、再建計画を長期に立てます場合には、たとえば投資的経費で申しますと、投資的経費は大体この程度の規模でやる、その場合に一般財源はこの程度でやるということしか当初にきめないのであります。従ってその内容は毎年度きめていくのでありまして、その投資的経費が道路に使われるか、河川に使われるか、あるいは港湾に使われるかということは毎年度予算できまっていくのであります。従って私は、首長になられた場合でもやはり道路でなくて河川に使うんだ、こういうことは考えられると思います。  それから単独事業にしても、起債の額がたとえば五百万円なら五百万円を予定されておっても、その五百万円は必ずきまったように使うという計画ではないのであります。従ってその使い方はその首長自体、または議会と首長との間の話し合いできまることでありまするから、個々の年度のやり方につきましてはやはり首長及び議会の関与する点が相当あり、その発意に基く点が相当あり得るのであって、毎年こまかいところまで、何年度は何をやるという計画はできるものではない。また今まで再建計画を立てておるところでそういう計画をやったところはございません。従ってその範囲で相当力をふるい得るところの余地があるので、自治権をそう縮小されたものとは考えていないのであります。
  221. 北山愛郎

    北山委員 しかし少くともかりに投資的経費とかそういう経費の硬い方だけじゃない。税収の問題もある。増税の問題もある。従って税の増収計画というものが増税というふうにこの再建計画にきまっておれば、あとに来た団体の首長、議会はどうにもしようがないのです。それを勝手に変更することはできないでしょう。それだけ自主性が侵害されている。それから経費の面においても、先ほど私は個別的に学校の経費だとか、あるいは町村建設計画だとか、そういうふうなものがやはり見込まれるのかどうかということを念を押した。そうしたら、そういうことは考慮された上で計画を立てて差しつかえない、こう言うのですから、もしそういう基礎的なものなしに、ただ何千万円投資的経費、何千万円消費的経費というようなことを出されて、自治庁は一体何によってそれを承認するかしないかをきめるのですか。ぽかんとしていてそれでいいのですか。大体人件費何パーセント、物件費何パーセント、これならよろしい、こんなところでやるのですか。
  222. 後藤博

    ○後藤政府委員 投資的経費の中で、もちろんこまかく分けられるものは分けたらいいのであります。しかし分けられない場合には補助を伴うもの伴わないものという程度の分け方、それからそれは消費的経費も同じでありますが、そういうふうな大きな分け方しか長期計画の場合にはできないのじゃないか。従って何年度はその規模はどのくらいである、その規模の中に大体こういうものを予定している、こういうことで私は出てくるのだろうと思います。従ってその内容を、それぞれの団体の長がかわりました場合に変更するということも私はあり得ると思っております。従って私どもとしては、一般財源をこれだけしか使わないというような計画がかりにあったといたしますと、それは何に使うかということはその年々の予算によってきまるのである、こういうふうに考えておるのであります。
  223. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、再建計画を出すのにはどういう費目で出せばいいのですか。投資的経費幾ら、消費的経費幾ら、それでいいのですか。
  224. 後藤博

    ○後藤政府委員 計画そのものは、たとえば歳入で申しますと税収、それも普通年度分とその他の分とに分けます。それから交付税及び譲与税、国庫支出金、地方債——これは再建債とその他の地方債、それからその他、大体その程度の大まかな計画であります。  それから歳出の方は、消費的経費人件費、その他、大体その程度のものであります。それから投資的経費としては公債費、その他、その程度の大きな分け方であります。これを基礎にいたしまして——もちろんこまかい説明をつけるところとつけないところとございます。従って私どもが要求しますのはこの程度の大きな要求であります。もちろんこまかい資料をつけてくるところもございますけれども、そういうこまかい資料は、これは長期の見通しの問題でありますから私どもできない、大きな方針しか出せないのではないか、こういうふうに考えておりますので先ほども申し上げたような次第であります。
  225. 北山愛郎

    北山委員 それならば基本方針の中にはどういう内容を含んでおりますか、どういう内容を要求するのですか。
  226. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほど申しましたように、基本方針というのは再建の時期であります、再建計画の始期と終期とを明記してもらいます。それから財政再建の実施の方針であります。これは再建計画を実施するために直接関係するような事項についての実施上の具体的な方針を帯いてもらいたいと思います。たとえば歳入の確保をどういうふうな方法ではかっていくとか、それから税の徴収工合をどういうふうにしていき、滞納整理の方針はどういうふうにするとか、歳出の抑制または節減はどういうふうな方針でやっていくとか、それから補助金、交付金、寄付金、負担金の抑制の措置はどうするとか、公共事業は、これは補助事業と単独事業とがありますが、補助事業はどういうふうな方針でやるとか、単独事業はどの程度でやるとかいうふうなこまかいことを書くわけであります。  それからもう一つ財政再建の促進に関する方針というのが考えられるのでありまして、これは面接の問題でなくて間接的にこの財政に影響があることを明記するようにいたしていただきたいと考えております。たとえば行政機構の簡素化をどういうふうにするとか、予算の執行方針をどうするとか、予算外の義務負担をどうするとかいう方針を書いてもらうわけであります。
  227. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと結局今お話のような、ある程度具体的な各事項にわたった方針の決定があって、それが承認されることになるのですが、その承認された事項について後任者が勝手に変更することはできないということになってしまう。その方針は、政府の承認がない限りは八年間続くということです。そういう町や村あるいは府県の長い間の方針が具体的にきまっておるでしょう。経費の上ではなるほど投資的経費消費的経費というふうに大別されるかもしれない。しかしながら方針としては今お話のような具体的な方針がきまり、行政整理も入ってくるでしょう、あるいはその他の事業費をどういうふうにやるかという計画も入ってくる。それを含んだ上で政府としては承認をしたりしなかったりする。だから承認された以上は、その団体はその方針に従って長い間やる義務を負うということになる。つまり金縛りにかかっておるわけである。そうして次の選挙のときに出てくる候補者はその方針住民に公表するのですから、御存じの通り、公表された方針をごらん下さい、私は今後四年間あれを忠実に実行するために立候補しました、こういうことになるわけです。これで一体民主政治になるかというのです。それくらいなら前の人でやってしかるべきことなんだから、何も選挙なんかしないで、再建期間中は選挙はまず繰り延べだということに規定した方がむしろ筋が通る。これこそが団体の自主性を侵害していないと言えないと思うのですが、どうですか。行政部長も長野さんもおられるようだが、一つ明快にお答え願いたい。
  228. 小林與三次

    小林(與)政府委員 再建計画が決定になれば、その計画の範囲内において、自治体の活動がある程度制限を受けることは、これはもう明らかでございます。しかしながら、それで今おっしゃいました通り、議会が要らぬようなそんな金縛りになることは、あり縛るはずがないのでありまして、今財政部長がいろいろ申されました通り、それぞれ運用上の範囲は相当広くあるのであります。なおまた、再建計画を達成させるために、よりよい案が出てくるならば、よりよい策でもちろん変更もできるわけでありまして、そういうもっといい工夫や、案については、自治庁長官が拒否することはあり得ぬはずだと思います。その点は、十分自主的に働き得る余地があると考えております。
  229. 北山愛郎

    北山委員 かりに変更することが可能であるとしても、必ずそれは政府の御承認が必要なんです。承認しないうちは変更できない。それだけ自主性が制限を受けている事実だけは認めざるを得ないでしょう。しかし、それは財政運営の一部の問題ではない。学校を建てるとか、そういう一部の問題ではなくて、その団体財政全般にわたる既定方針がきまってしまうのですから、変更することはかりに可能だとしても、それは自主的にはできない。ということは、その団体の自主的な性格を徹底的に剥奪してしまう。こういう状態に置かれたのだと思わなければ、これは論理的解釈であるとは言えないのじゃないでしょうか。常識的に考えて、そういうことが一体民主的な政治と言えるか、団体の自主性を尊重したと言えるか。それは、普通の個人間の場合を考えてみても同じなんです。
  230. 小林與三次

    小林(與)政府委員 それぞれの自治団体が自主的に再建をやる場合は格別として、この再建法にのっとって、再建団体として再建計画をやろうとすれば、今おっしゃいました通り、ある程度の年限、ある程度の制約を受けることは事実であります。しかしながら、それは結局再建のための総ワクの制約であって、それによって個々の行政活動が全部制約を受けるわけではちっともないわけでありますから、ある程度の制約を受けることは、もう間違いないことだと思います。それだからといって、そういう形が直ちに地方自治の本旨に反するかといえば、われわれはそういうことはちっとも考えておらぬのでありまして、そもそも団体が自主的にそういう方針をきめて、しかもその範囲は、今申しました通り、弾力性のある自主的な活動ができるわけでありまして、そういう意味では一向にさしつかえがない。だから、ほめた話じゃないけれども、一向にさしつかえないと私は考えております。
  231. 北山愛郎

    北山委員 ほめた話ではないと言われたのですが、その程度じゃないのです。問題にならない。どだい再建計画の基本方針は、その団体の基本的な事項が書いてあるのですよ。それを要望している。必ず財政上の根幹に触れるような事項が具体的に盛られているでしょう。小さいことじゃないのです。ですから、ほとんど身売りをしたと同じ格好になる。今のお言葉の中に、その団体が自発的にそういう身売りをしたのだから、さしつかえないのだというような表現があったのですが、なるほどその貞操を侵害するということはけしからぬ。その基本的人権を侵害したことでけしからぬ。しかし貞操を自主的に売るならばさしつかえないという考え方と軌を一にするのじゃないですか。それでいいのですか。憲法第九十二条の精神は、その程度でよろしいというのですか。
  232. 小林與三次

    小林(與)政府委員 いろいろな例との比較でございますが、ともかくもこの再建整備の適用を受けるか、受けぬかは、これは自主的にきめる。自主的にきめるのは、そもそもけしからぬじゃないかというお話があるかもしれませんが、もともとそうした大きな赤字を背負い込んで、そのままでおっていいのかどうか。そのままの形で、火だるまのようになって、赤字を大きくしていくのが、地方自治の本旨に適合していくのか。そういうことではないのでありまして、やはりすみやかに財政健全性を回復して、健全な財政状態のもとにおいて、財政運営をやるのが、自治団体として、住民の幸福のためには当然の措置でありまして、そうした道を回復するための特殊の措置として考えられたわけであります。そのために特に再建団体として、不十分かもしれませんが、いろいろな法律上の特別の地位を受けて、仕事をやる場合には、ある程度の制約を受けるということも、これは万やむを得ないとわれわれは考えております。
  233. 北山愛郎

    北山委員 ある程度どころじゃない。それから先ほど私お伺いした点についてお答え願いたい。貞操を侵害するのは悪いが、売春はよろしいという考え方と軌を一にしている。売春法が今かかっておりますけれども、どうも売春禁止法を否定するようなお考えのようであります。地方自治も一つの自主権なんだ。その自主権を外部から侵害してはならぬが、売り渡すことは差しつかえないというような意見に聞えて、私は常に明晰なる法律解釈をなさる行政部長としてはまことに心外なんですが、その点について誤解のないように回答していただきたい。
  234. 小林與三次

    小林(與)政府委員 売春との比較はちょっと私も差し控えたいと思いますが、先ほど申しました通り、自治団体が過去の累積した赤字を解消して財政健全性を確保するために、こういう特殊の措置をとることもやむを得ないというためにやるのでありまして、これによって全く身動きがならぬようなものにすることは、もちろんすべきじゃないと思いますが、結局この程度の総ワクの範囲内において、どうしても赤字を解消し、健全性を回復するための最小限度の拘束はやむを得ないと考えざるを得ないのであります。
  235. 北山愛郎

    北山委員 これは必ずしもやむを得ないのではない。こういう方法以外の方法がある。問題はたった五百億の金のことじゃないですか。国の方でめんどうを見るつもりなら、解決は困難ではないと思います。めんどうを見ないで、自分でやらせようとするから、こういう格好になってしまうのである。しかも赤字の原因については群々申し上げた通り、国の方で大きな責任があるということをみずから報告書の中で認めているじゃないか。小林さんがおやじで自分のせがれにろくな小づかいも与えないで仕事をやれ、やれと言っておいて、今度は自分の責任はたなに上げて、なんだ、赤字出したじゃないか、お前食うものも食わないでしばらくは部屋住いだというような格好と同じじゃないですか。どこが違う。それ以外に方法がないとすれば、おやじがかいしょがないということになる。私の考えにどこに間違いがあるか。
  236. 小林與三次

    小林(與)政府委員 おやじのかいしょということも問題になり得ると思いますが、子供も考えてもらいたい、こういうことであります。一から百までおやじのもとにおいて、それこそ自主的な能力のない赤子が全くおやじの扶育を受けている場合ならば、全部おやじの責任であろうと思います。そうでもない限りは、自治団体においても考えるべきものは考えてもらう、こういうことは当然あり得る——あり得るどころじゃなしに、そういう方向にものを考えていくべきものだろうと思います。これによっておやじの責任を全く回避しているというわけではないのでありまして、おやじはおやじとして考え、子供は子供として考えるべきじゃないか。子供として考える以上は、赤字団体だからといって、全部野放図に、はい下さい、差し上げますというふうに行くべきか、そうでなく、自治団体としても自主的な再建方法考えて、ある程度やむを得ない拘束も受けて立ち上るかという判断の問題だろうと思います。
  237. 五島虎雄

    ○五島委員 今の問題に関連して、第三項の「財政再建のため特に必要と認められる昭和二十九年度赤字団体に限る。」という「特に必要と認められる」ということは、後藤財政部長はさっき北山委員質問に対しまして、地方団体の自由なんだ、任意なんだ、特に必要と認めた地方団体がきめたらいいのだということなんです。そうすると、本法の後段においては非常に任意性がある。ところがその三項の二号の二ですか、これは普通の税率をこえてでも税を取り得るという規定なんですが、ほんとうに任意性なんだから、おそらく地方団体財政に苦しめば任意的にこれをやっちまうおそれが非常に出てくるということです。そうすると、従来の説明によると——これは必須条件ではないという説明が、この前の質問に対してありました。ところがこれは必須条件ではない、任意条件であると言いながら、終局において必須条件になってしまう、こういうように考えているわけです。そうすると、地方団体が任意的に特に必要と認める団体になればいいということは、結局は、自治庁が特に必要と認める団体に終局的にはなってくるというように解釈するのですが、どうですか。
  238. 後藤博

    ○後藤政府委員 この規定は、ちょっと経過があるのでありまして、前の地方行政委員会に出ておりました議員提出の再建整備法の小委員会でのいろいろな論議の際には、増税が必須の条件というような御意見が強かったのであります。つまり再建整備特別税というものを起してはっきり税の形でもってやるべきじゃないか、こういう意見が非常に強かったのであります。従ってそういうことも考えたのでありますが、しかし現在の状況からいたしますと、税負担も相当重いのであります。従って、考えるにいたしましても、最後に考えるべき問題ではないか、かように瀞えまして、そういうこともあり縛る、そういうこともやってよろしいが、しかしそれは特に必要な団体だけ考えてもらいたい、普遍的に考える必要はない、まあ必要な要件ではない、こういう考え方に落ちついたのであります。
  239. 加賀田進

    ○加賀田委員 関連してお尋ねいたします。そうした内容の問題じゃなくて、法的ないろいろな矛盾に対して質問いたしたいと思うのです。もちろんわれわれとしては、こういう再建のために地方住民に税の負担を増加させるということに対して、基本的には反対いたしておるわけでありますが、この第二条第三項第二号ですか、これは大体経費の節減と、それから税の徴収成績を上げるということと、滞納にかかるものの徴収の計画を立てる、もう一つは普通税の税率をさらにこえて課税し得るということと、地方税法の第四条第三項及び第五条第三項に規定する普通税を課すことができる、こういうふうになっておって、しかも二条の三項の末尾では、「第二号二に掲げる事項については、財政再建のため特に必要と認められる昭和二十九年度赤字団体に限る。」こういうふうに限定されておるわけです。ここで問題になりますのは、地方税法の第四条並びに第五条では、都道府県と市町村は「前項に掲げるものを除くほか、別に税目を起して、普通税を課することができる。」と規定してあるわけです。これはいわゆる赤字団体であろうとも、あるいは健、全な財政を持った団体であろうとも、あるいは今度の再建法に基いて再建団体になろうといなとにかかわらず、やはり別個に項目を設けることができると規定してあるわけです。にもかかわらず、今度ここでは再建団体のみ、第二号の二に限るということになると、今度はこの規定が赤字団体のみに限定されたという法的な矛盾が起ってくると思いますが、この点どうですか。
  240. 後藤博

    ○後藤政府委員 私どもはそういうふうに考えておりません。地方税法で法定外普通税を起せるわけでありますから、普通税は一般に許されている、かように考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、この規定につきましては過去にいろいろな経緯がございますので、それをはっきりさせるためにここに入れまして、そうして一応ただし書きをつけて、必ずしもやらなくてよろしい、必要であるかないかということは赤字団体の任意にきめてよい、こういうふうにしたわけであります。
  241. 加賀田進

    ○加賀田委員 私は増税することに賛成してこの意見を言っているのではないのですが、今言う通りに、地方税法の四条、五条で、今指摘したように別個の税目を起すことができることになっているわけです。ところがこの第二条の三項におきまして、赤字団体に限ると規定してある。赤字団体だけこの地方税法の四条三項あるいは五条三項に基いて普通税を課すことができると問題を限ってしまった。そういたしますと、今申し上げたような通論も起ってくる。今度は黒字団体が、もし犬に税金をかけることを議会において妥当だと考えた、ねこもねずみもかけることが妥当だと考えた一しかもこれをずっと見ますと、再建団体に限ると限定されてしまった。こういうことが起ってくると思いますが、法的解釈はどうですか。
  242. 後藤博

    ○後藤政府委員 私どもここに書きましたのは、必要な具体的措置を大体並べたのであります。再建計画に必要な具体的措置を一応並べたのであります。必要な具体的措置というのはこういうことが考えられる。しかし最後の二項は必ずしも必須の条件ではない、こういうようにただし書きをやっているのであります。従って、地方税法の規定と決して矛盾するものではないと私は考えております。
  243. 加賀田進

    ○加賀田委員 しかし、これはこの前の町村合併の上山市の問題と同じように、明確にしてもらわなければならないと思うのです。地方税法に基いてもし別個に税目を起そうという意思があったとしても、お前のところは赤字団体ではないのだから——こういう四条三項、五条三項に基いて起そうとしても、ここでは制限されてしまっている。これは再建団体だけに限るとちゃんと規定ができておりますから、できないことになると思うのです。もちろん起させないという意思でもってこれを書かれたとするならば別です。しかし、そうでないとすれば、法的な矛盾が起ってくる。
  244. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほど申しましたように再建に必要な具体的措置でありまして、増収の計画があるかないかというのが問題であります。これはあってもなくてもよいということでありまして、一応必須の条件にはしておりますけれども、必要であるかないかということは赤字団体自体で判断してよろしい、こういうことにしておりまして、税法の方の規定と決して矛盾するものではないと考えております。
  245. 加賀田進

    ○加賀田委員 大体自治庁の方では四つにわたる財政再建の基本方針を明示している。しかも任意で、絶対の必須条件ではない、特に再建団体だけに限るということで了解するように、そういう意図で出したと思うのです。しかしこの法案を見ますと、そういう事態が生れてくると思うのです。だからそれを明確にしてもらわなければならないと思う。もしそういうことでなくして、この四つにわたる基本方針というものが明示されたとするならば、第三項の二号二に対して赤字団体に限ると限定する必要もないと思うのです。もしそういうことが必須条件でないので、最後にこれ以上方法がないという意味でこれも含めてよいというならば、もっと書きようがあると思うのです。逆にこれだけ切り離して考えてみますと、そういうことが論理的に法的な根拠から成り立ってくると思うのです。そういう意味で明確にしてもらわなければ、将来、たとえば赤字団体で、しかも再建団体になることを拒んだときに、たとえば地方住民に犬の税金でもかけようというときに、二号二によって限られているから赤字団体しかできないというような問題が逆に起ると思います。
  246. 後藤博

    ○後藤政府委員 私どもとしては、先ほどから申しますように、再建計画に必要な措置というものをここに並べたわけであります。税が起せるか起せないかというのは、別な法律がちゃんとありますから、起せるのであります。起すか起さないかはその団体の判断にまかせる、一応必須条件とはするけれども、その判断をやるかやらないかは、やはり二十九年度赤字団体が必要であるかどうかをきめたらよろしい、こういうようにして、一応の必須条件にはしておりますけれども、それをただし書きで一応はずしておるのであります。やればもちろんやっていいのでありますが、やらなくてもよろしい、こういう厭味でありまして、私は税法とはそれ自体として決して矛盾しない、かように考えております。
  247. 大矢省三

    大矢委員長 私からもちょっとお尋ねしますが、今こう言っているのですよ。赤字団体に限るとあるから、せっかくこの規定があるのにほかにはできないじゃないか、そういう解釈ができる。赤字団体に限るというこのことによって、せっかく税法にありながら他の団体にはできなくなるような解釈ができる、そういうことを尋ねているのです。それに対してちっとも答弁がない。
  248. 後藤博

    ○後藤政府委員 三項の冒頭に、財政再建計画は次の各号に掲げる事項について定める、こういうように書いてあります。従って財政再建計画の具体的な内容を次に示して、そして再建計画の内容について、必ずしも必須の条件でないというただし書きが書いてあるのであります。税が起せるか起せないかということをこの項は言っておるのではないのであります。
  249. 加賀田進

    ○加賀田委員 これは赤字団体再建団体となろうとするものはいろいろ計画を立てる、しかもその計画の基本方針としてはこの四つの項目に基いてやってもらいたい、こういうことなんです。「次の各号に掲げる事項について定めるものとする。」とあって、四つを定めてもらいたい。「ただし、第二号二に掲げる事項については、財政再建のため特に必要と認められる昭和二十九年度赤字団体に限る。」となっているのです。しかしこの限るということは、もちろんのこのことは二十九年度赤字団体であるから、再建団体となるために計画を立てるわけです。そこに特にこれを限られたということは、やはり地方財政法との関連性があるからこそ、私はその問題が掲げられたものだと思うのです。再建団体になろうとして計画を立てる、大体その基本方針は四つだ、しかもその四つの中で、最後の二だけは赤字団体だけに限るとなっているのです。赤字団体だからこそこの四つの項目に基いて再建計画を立てる、しかもそれが最後のところだけは赤字団体に限るといえば、それ以外のものも規定しておるのだと思うのです。そうでなければ法的解釈が成り立たないと思うのです。
  250. 後藤博

    ○後藤政府委員 財政再建計画は次の各号の要件を必要とする、ただし必要と認められるところの赤字団体は法定外普通税を起す計画を入れてもよろしい、こういうふうに考えたのであります。それを法律的に書きますと、こういうことになったのであります。
  251. 加賀田進

    ○加賀田委員 どうもおかしいですね。地方税法の四条三項あるいは五条三項は、赤字団体であろうとなかろうと、これはやはり自主的に起せることになっているのです。それにもかかわらず、それをあらためて基本方針の中に起せと命令してあるわけです。そこに法的な矛盾が起ってくるのです。
  252. 後藤博

    ○後藤政府委員 地方税法はすべての団体が法定外普通税を起せることを規定してございます。赤字団体のうちで必要と認められる団体は法定外を起す旨を計画の中に盛らなければならない、こういうふうな趣旨でここに入れておるのであります。
  253. 加賀田進

    ○加賀田委員 盛らなければならないということはよくわかるのです。しかしその規定は、やはり赤字団体再建を行おうとする団体がそうするのでしょう。全部四つをやれということになるわけですね。そうして新しく税を起すのは赤字団体だけとなってしまっている。そうすると、他の方はもう起してはいけないという逆説が起きてくる、そういう問題が起ってきます。もちろん私は起すことを賛成しているわけではないのですが、(「起す起さないということは一つも書いてないよ」と呼ぶ者あり)起すということは赤字団体に限ると書いてある。
  254. 後藤博

    ○後藤政府委員 税を取るとか取れということではなくて、増収計画を計画の中に入れろ、ただし入れる団体は必要と認められる赤字団体だけに限るのだ、こういうふうに私ども考えましてこういう規定を作ったのであります。少し条文の書き方が下手だったかもしれませんけれども、そういう趣旨であります。
  255. 北山愛郎

    北山委員 関連質問。今大体そういう御説明でしたが、そういうような御説明にしても、なぜ二十九年度赤字団体だけに限るのか、今後の赤字団体は含まないというのでしょうか。三十年度以降の赤字団体は含まないという意味ですか、それはなぜであるか伺いたい。
  256. 後藤博

    ○後藤政府委員 二条の中で、再建計画の策定をする団体は二十九年度赤字団体というふうになっておりまして、二十九年度赤字団体というのはこういう団体を言うのだというふうに第一項があるのであります。その第一項の規定を受けて、そういう団体再建計画を定める場合には次に掲げる事項を定めなければならない、定めるものとするというふうに書いてあります。ただ、税の増収計画に関することは、これは必要と認められる赤字団体だけが考えてよろしいのだ、こういう趣旨であります。
  257. 五島虎雄

    ○五島委員 二号のロなんですが、「その徴収成績を通常の成績以上に高めるための計画及びその実施の要領」を計画しなければならぬ。そうすると、法はいかなる成績を要求しているかということですね。それからハのところは、滞納金の徴収計画をせよというのだが、滞納に対するいかなる徴収計画を法は要求しているかということです。
  258. 後藤博

    ○後藤政府委員 基準財政収入を基礎としたいわゆる標準収入を基礎といたしまして、その全国的な平均徴収率をロの方では考えております。これは個個の税目につきましてはいろいろありますが、全体として、やはり全国的な平均徴収率をわれわれは考えております。  それからハの方は、これは滞納税額の総額の大体四〇%以上であればよろしい、こういうふうに考えております。
  259. 五島虎雄

    ○五島委員 そうすると、従来赤字団体となる団体が標準徴収税率以上に取っていた場合は、もっともっとそれを要求される法の精神ですか。
  260. 後藤博

    ○後藤政府委員 赤字団体は大体において税の滞納が多いのでありますが、かりにそういう団体がありますればこの条件にははまると考えております。
  261. 五島虎雄

    ○五島委員 そうするとこの項目は、北山委員質問の中にもあったと思うが、非常に地方団体運営のまずさがある。五百八十六億のうちの二百億程度政府措置しよう、あとは地方団体のまずさ等々もあるというようなことで、地方団体運営のまずさというような要件も非常に含まれているのだろうと思うけれども、この計画がなされると、それはロにしても、ハにしても任意規定だ、必須要件でないと言われる。この二号の二にしても、すべて住民負担がかかってくるわけです。首長の運営のまずさ、執行部の運営のまずさ、あるいは議会の運営のまずさがあったと仮定しても、このまずさを住民負担させるというような内容がある。従ってこの財政計画そのものは、この条文のそれぞれの項目から見ると、何だか住民に面接負担をかける——さっき親子問題が出たのですけれども、おれたちは少しも責任がないんだぞ、住民から取り立てて、そうして収入と支出のバランスをとっていけというような条文になると思うのですが、ならないのですか。
  262. 後藤博

    ○後藤政府委員 私ども考えますのに、税の徴収成績がたとえば五〇%であったという場合に、やはりすでに税を納めた人たちとの均衡上税の徴収を上げてもらいたい、こういうことでありまして、それ自体私は住民負担の増加にはならない、かように考えております。  それからもう一つ首長のやり方が悪かったから税を納めなかったのだ、こういうような問題がかりにあるといたしますれば、これは再建計画を立ててやるかやらないかという問題に私はなるだろうと思います。従ってそういう団体はそういうところに問題があるのでありまして、やるという態度をきめた以上はやはりこういう計画を立ててもらいたい、こういうのがこの規定の趣旨であります。
  263. 五島虎雄

    ○五島委員 四項についてこの前の委員会質問をしましたが、さっき川村さんの質問では承認という字句の要点であった。ところがこの二条の四項には、今度は勧告ということが書いてある。この法律の説明の要旨は徹頭徹尾任意性であり、自由であり、そうして合理的に財政計画を行うのだと筋を通して説明されている。ところがここに赤字団体赤字団体の申し出をしないところには勧告するのだというような字句が書いてある。そうすると、承認といい、勧告といい、非常にまぎらわしいように思うわけです。この前ちょっとこの勧告の問題について質問をしておいたのですが、任意性、自由性の上からこういう勧告という言葉をなぜ使わなければならないのかということです。勧告する必要性はどこにあるのかということを聞いておきます。
  264. 後藤博

    ○後藤政府委員 赤字のひどい団体再建計画を立てない、そういう申し出がないところに対しては、私ども一応の注意を与える必要があると思うのであります。従ってそういう意味でそういう特殊の団体に対して勧告をしたい、こういうことでありまして、私どもといたしましては、自治体のいろいろな財政指導をしております建前からいたしますれば、やはり当然私どものやるべき措置ではないか、かように考えまして勧告を入れたわけであります。
  265. 加賀田進

    ○加賀田委員 関連して。勧告の意味の内容なんですが、大体政府がいつも人事院勧告なんかを扱っている程度考えたらいいのかどうか。政府は、いつも人事院が長期にわたって給与調査をして給与を上げなくてはいけないとかいうと、人事院勧告は尊重いたしますけれどもできませんというようなことをいって、尊重だけの言葉をよく聞きますけれども、実際実施していない。そういう軽い程度に書いているのかどうか、ちょっと説明して下さい。
  266. 後藤博

    ○後藤政府委員 私が先ど申しましたように、一応の注意を与える意味の勧告と、私どもはこの規定では考えておるのであります。
  267. 門司亮

    ○門司委員 私はまず先に聞いておきたいと思いますことは、第一条のこの法律の趣旨でありますが、この法律の趣旨は、ここに書いてありますように、「地方公共団体財政健全性を確保するため、臨時に、地方公共団体の行政及び財政に関して必要な特別措置を定めるものとする。」こう書いてあります。  ここで臨時という文字を使っております。従ってこれは恒久法でないということもはっきりしておる。特別措置法であるということは題目にもはっきりしておるが、問題になりますのは、しばしば申し上げておりますように特別措置法であるというこの法案は、一体いつまで継続される見通しであるかということであります。きょう実は大蔵大臣の出席を求めておりますのもこの問題であります。今のような地方自治体に対する国の取扱いでは、これは臨時法にならないと私は思う。いつまでたってもこういう法律がなければ救えないという事態が出てくると思う。従ってこれが臨時法であるというならば、これが臨時法であるべき姿というものがやはり次に考えられる。従って自治庁長官は一体この法律を何年くらいまで使うつもりなのか。裏を返していえば、何年度から地方財政赤字の出ないような財政措置をとられるつもりなのか、その点を一つ伺っておきたい。
  268. 川島正次郎

    川島国務大臣 三十一年度からは絶対に赤字の出ないような処置をいたしたいと考えております。
  269. 門司亮

    ○門司委員 それは今の内閣が続く限りにおいてあるいはそういうことが言えるかもしれない。しかしまた内閣がいつ変るかもわからない。だから私は三十一年度からというようなことでごまかされてならないと思う。具体的な構想なり、あるいは具体的なものを示してもらいたい。そうしなければ、この法案は恒久法であるのだか、臨時法であるのだか見当がつかない。だから一体どういう構想をお持ちになっておるか。この点を、もし自治庁長官でおわかりにならないなら、きのうから請求をいたしておりますように、大蔵大臣に出てきてもらいたい。そうして財政上の措置をとるつもりなのか、そうしてそれが公約できるのかどうか。そうしなければ、これは臨時法だか何だかわからなくなります。もう一回聞いておきたい。
  270. 川島正次郎

    川島国務大臣 先般大蔵大臣が言明をされておるのでありますが、三十一年度から必要な財政措置をすると、はっきりと申し上げておるわけであります。
  271. 門司亮

    ○門司委員 はっきり言葉で言うことは、何でも言えるのです。しかしこれは数字が伴いますから、普通の理論的のものの言い方ではまとまらぬのです。どれだけの財政措置をするかということ、どれだけ補助金その他についても修正を加えるかということ、こういうことが明確でないと私はなかなか承認ができないのであります。私がこういうことを聞いておりますのは、この法律は、先ほどからいろいろ問題になっておりますように、どうも憲法の規定に抵触するようなところがたくさんある。しかしこれも地方の健全なる財政を保持することのために、やむを得ざる一つ措置として一応考えられるのであります。おそらく私は政府はそういう考え方だと思っております。そうするならば、当然次に来るものは、やはり健全なる財政を立てていくという方針が示されなければ、私はこの法律をこのまま認めるわけにはいかない。もし大臣の今のような答弁なら、私ははっきり聞いておきますが、この法律は憲法が保障する地方自治の基本に触れないかということの詳細なる説明をお聞きしたい。憲法の第九十二条は地方の自治権を保障いたしております。単なる辞令ではないのであります。われわれはそう解釈しておる。憲法の保障しておる地方の自治体の自治権というものを、一体どの程度侵す考えでおいでになるかどうか。もし臨時法であるならば、われわれはある程度目をつぶるかもしれない。しかしこれが恒久法りようにばけてきて、いつまでも続くことになりますと、これを容認するわけには参りません。従って憲法に保障する自治権とこの法律との関係示してもらいたい。
  272. 川島正次郎

    川島国務大臣 その問題は土曜日にもいろいろ御質問があってお答えをいたしたわけでありますが、現在の憲法では総合的な監督はとうてい認めるわけにいかぬのでありますけれども、絶対に監督権を排除するという規定ではないと私ども解釈をいたしておるのであります。この法案に盛られております、ある程度予算の執行の停止その他の事柄というものは、ごく局限された場合に限るのでありまして、これは憲法のいわゆる自治の本旨に反するものではない、こういうふうに私どもは解釈しておるわけであります。
  273. 門司亮

    ○門司委員 大臣はそういうことを言われておりますが、この法律案の中には二十一条だけではございません。方々にそういうものが出てきております。今問題になっておりますようなことも私は問題だと思いますが、二条の中にもやはりそういうものがところどころ出てきております。もし大臣がそういうお考えなら、以下順を追うて聞きたいと思いますけれども、憲法の九十四条には明らかに地方の自治体が九十二条を受けて行うべき権能が書いてあります。この権能に触れているか、触れていないか。憲法の九十四条には「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」こう書いてある。だから、この自治体の持っておりますいわゆる行財政に対する権能は、どの範囲まで大臣はお考えになっているか。
  274. 川島正次郎

    川島国務大臣 憲法に規定しております自治体の自主性をあくまでも尊重することは当然でありますけれども、この法案に規定してある程度のごく局限された、しかも期間的にも短期な規定でありまして、この程度のことは憲法に抵触するとは考えていないのであります。
  275. 門司亮

    ○門司委員 今のお言葉でありますが、私の聞いているのは、期間的に短期だと言われるから、それならば、さっきも申し上げておりますように、ある程度悪くても容認せざるを得ないのではないか。いわゆる非常手段としての一つのきわめて短かい期間の法律であるならば容認することはできるのではないかとも考えております。しかし一方大臣の方は三十年度からという言葉だけであって、どこをどうするという腹案がないのであります。そうすると、われわれはこれを一時的の法案として信用するわけにはいかないのであります。何もむずかしい問題ではないのであって、もし政府がこういう法案を出そうとするならば、そういう準備ができておって、そうして将来三十一年度なら三十一年度はこういたします、この問題はこうなりますという具体的の事実をお示しになって、そうしてこの法案をお出しになれば、われわれものみ込みがいいのです。ところがただ言葉の上で三十一年度というだけで何の腹案も示されていない。私どもはこれが恒久法になって出てきたときにおそれるのであります。だから私は聞いておるのです。今のように短期だといわれるなら、また前に戻るようでありますが、短期であるという実証を示していただきたい。言葉の上だけでは断じてだめです。そんなものを承認するわけには参りません。
  276. 川島正次郎

    川島国務大臣 これは時限立案でありまして、地方団体が長期の財政計画を立てますその長期ということは、おおむね七年ということになっておるのであります。今年はたな上げしまして、来年から償還計画を立てるのでありまして、その範囲内の時限立法であります。
  277. 門司亮

    ○門司委員 時限立法であることは、法律はその通りに書いてあります。しかし私のおそれているのは、恒久性になる危険性を持っているということです。今度大臣は二十九年度までの赤字団体は全部勧告すると書いてある。しかし二十九年度赤字がない団体があるかもしれない、ところがそれが三十年度赤字を出すかもしれない、あるいは三十一年度にはもっと勧告を受ける団体が非常に多く出てくるかもしれない。だから、もしこれをあなたのお考えのようなきわめて短かい間の臨時立法であるとするならば、先ほどからたびたび申し上げておりますように、臨時立法であるべき状態に置くという財政的の資金の裏づけがなければこれは臨時立法にならないから、私は第一条を聞いているのです。果して臨時立法なのか恒久立法なのか、どうなのか。法律内容は臨時立法であることには間違いないが、疑いを持つから私は聞いているのです。もし川島長官が御答弁できないなら、大蔵大臣を至急呼んでいただきたい。そうして大蔵大臣にこの点はただしておきませんと、うっかりこういう法律をこしらえておいて、三十年度、三十一年度に出た赤字団体は、また同じような法律の適用を受けるというような修正が出てくるかもしれない。年々これが繰り返されていくから危険だと思う。今年度はこういう取扱いを受ける団体は、この間聞いてみますと、府県が十九くらい、市が七十七くらい、あるいは町村で幾つくらいという大体のお話がありましたが、来年度にはもっとふえるでしょう。再来年度はおそらくもっとふえるでしょう。まごまごすると四十六都道府県、四百九十の市、四千五百幾つかの町村がみんな受けなければならないような事態がくるかもしれない。それを防止していこうとする場合には——やはり赤字の要素と思われるようなものは地方から出てくる、あなた方が調査されるといわれておる給与その他の関係地方から出てくる問題でありますから、今どうしようということは言えないかもしれない、しかし少くとも地方団体赤字の原因と思われるようなものは政府にわかっているはずです。従って政府でわかっている範囲のものはやはり政府がこれはこういうふうに具体的に是正するということをはっきり言っておいてもらわぬと、これは恒久法であるか時限法であるかということの境がつきかねる。同時に、この法律がもし今大臣の言うようなきわめて短期だとするならば、三十年度以降将来出てくる赤字団体に対しての処置は、一体どうせられるかということが出てくるのである。だから将来に懸念のないようにして、この法律を、きわめて短かい期間だから、憲法に多少抵触するとは思うが、しかし一応認めてもらいたいという話ならわかる。だから、大臣がそれができないというならば、委員長は至急大蔵大臣をここへ呼んでもらって聞いてもらいたいと考えております。  その次に大臣に聞いておきますことは、ちょっと飛ぶようでありますが、一条に関連がありますので聞くのでありますが、この中に勧告をすることができるという文字がたくさん出ています。これは御存じのように自治法の二百四十五条の三には国が地方団体に対しまして運営あるいは財政等について適当に勧告することができるという勧告の規定があります。従ってもし国が地方の自治体に忠実であるならば、ここまで来ないうちになぜ一体この二百四十五条の三の適用をしなかったか。自治庁はこの二百四十五条の三の規定を適用して、地方の自治体に対するそういう問題に対して勧告をした事実があるかないか、この点を一応聞いておきたいと思います。
  278. 川島正次郎

    川島国務大臣 先ほど北山さんの御質問にもお答えをいたしましたし、数回私の意見は申し上げているのでございますけれども、三十一年度におきまして赤字の原因になるような要素を排除するための機構改革もやりまするし、同伴に必要なる財政措置もいたしまして、三十一年度からは赤字の出ないようなすっきりした姿の地方財政運営に持っていきたいと考えておるのであります。従来自治庁が勧告権を発動して、なぜ赤字の出ないように注意をしなかったかというお尋ねでありますけれども、これは私からお答えをする限りではないのでありますが、従来のやり方につきましては政府委員からお答えを申し上げます。
  279. 後藤博

    ○後藤政府委員 従来自治法の二百四十五条の三の規定を基礎にいたしまして、赤字団体に対していろいろ調査の結果助言をいたしております。勧告ということでなくて、おおむね助言という形式でやっております。しかしながら新しい再建法の規定の勧告というのは、具体的に財政再建を行うべきことを勧告する、実態的に個々の勧告をするということでなくて、再建を行うべきことを勧告する、具体的な問題としての勧告ということがはっきりしているわけであります。
  280. 北山愛郎

    北山委員 今大臣のお言葉に私非常に矛盾があると思うので関連して質問しますが、大臣のお言葉ですと、これは臨時的な立法だというんですが、時限立法的な規定がない。果してこれが時限立法であるかどうか疑わしい。というのは、門司さんの言われる通りこの法律は一体時限立法なんですか。  それから三十一年度からは財源措置をするから、赤字団体は出ないようなお話でありますが、この法律の第二十三条に昭和三十二年度以降においてはこれこれと書いてあって、その後においてもどうも何か赤字が出るような状態を予想しているような規定もある。どうも大臣のお言葉とは矛盾する。もしも三十一年度以降において赤字を出さない、財源措置をするというのなら、これは三十年度だけの時限立法とはっきり書いた方がよろしい、三十一年度以降の分も書いておくということはおかしいじゃないか、こういう矛盾があるわけですが、果してこれが時限立法である小、私は特別措置法ではあるが時限立法ではないのではないかと思う。ずっと先まで、二十九年度赤字団体のみならずその後の赤字団体についてもやはり同じような規定を適用するふうに書いてあるようですが、大臣の先ほどのお言葉とは矛盾しているように思う。もしも財源措置で三十一甲店以降赤字をなくすとはっきり言われたのなら、その後の規定は要らないのじゃないか、非常に矛盾を感ずるのですが、その辺についてお答えをいただきたい。
  281. 川島正次郎

    川島国務大臣 これは法案の性格をお考え下さればわかるのでありまして、赤字団体に対する時限立法であることは間違いないのであります。三十二年度以降において赤字が出た、こういう文句がありますけれども、三十一年度におきまして、財政措置をいたしまして、なお地方財政運営のやり方が悪くて赤字が出る場合もないとは断言できないのであります。国の責任なしに、地方の責任において三十二年度以降において赤字が出た団体に対してはと、こういうふうにお認め願えば差しつかえないのであります。
  282. 門司亮

    ○門司委員 今の後藤君の答弁ですが、これはおかしいのでありまして、こういう勧告をして——勧告というか、勧告の度を越してもうすでに法律になって現われてきておる、だから地方財政がここまで来ないうちに、なぜ地方自治法の二百四十五条の適用が完全に行われなかったかということであります。このことについては、法律はあなたの方が詳しいと思うのだが、御存じのように地方の自治体から資料をとることもできるのじゃないか、要するに、組織運営についてもし必要があるならば内閣総理大臣地方の自治体に対して資料を提出させることができるというふうに書いて、大体地方自治法でこういう問題の起らぬような処置がとってある。その処置を歴代の内閣がとらなかったということになると、こういう問題を審議するについて、いささかわれわれは考えなければならぬ。内閣はなぜ一体こういう処置をとらなかったのか、勧告も何もしてない、赤字を出ほうだいに出しておいてにっちもさっちも行かないところに来てこういう法律出してくるということは、私はいかにも内閣の怠慢だと思う。自治法の中に書いてある、書いてなければ私は言わないのです。だから一体こういう勧告をしたことがあるかどうか、したことがあるならある、ないならないと言えばいい、一体どっちなのです。
  283. 後藤博

    ○後藤政府委員 いろいろ個々の団体財政運営の状況につきましては、従来から自治庁において調査をいたしております。従ってその調査の結果に基きまして、この二百四十五条の三を基礎にいたしまして、その改善の助言をいたしておりますが、その通り実行されておる場合もありますし、そうでない場合もございます。
  284. 門司亮

    ○門司委員 法律が助言と勧告と、こう二つにわけております。助言という言葉一つ運営その他に対します希望的意見をつけ加えることであって、同時に単なる文書その他によらざるものであるかもしれない。しかし勧告の場合はややこれは強くなっておるはずである。やはり自治庁地方公共団体に対する力の及ぶところは二百四十五条の三であって、ここで助言ができ勧告ができ、さらに監督ができるという地方の自治体に対する地位をここで与えておる、従って私は助言であるということだけでは承認ができないのであります。自治庁長官の名において勧告をして、こういうふうにすべしあるいはこういうふうにしなさいというような強い感想の勧告がなかったということは私はきわめて残念である。これは自治庁の怠慢といわざるを得ないと思うのだが、自治庁はそうお考えになりませんか。自治庁長官はこの間なったばかりで、歴代の内閣が悪いのだと言われればそうかもしれませんが、しかし歴代の内閣が悪くても長官の御意見はどうなのです。助言をしなかった、勧告も何もしてないということならば、政府の方にもやはり手抜かりがあったということをお認めになるかどうか、その点をもう一度聞いておきたいと思います。
  285. 川島正次郎

    川島国務大臣 従来のことは私は全く知らないのですが、いろいろ聞いてみますと助言ということを相当やっているのだそうですが、地方団体がなかなか言うことを聞かないので、だんだん赤字に追い込められてしまった、そこでこういう法案が必要になったのだ、こういうことだそうです。
  286. 門司亮

    ○門司委員 今の答弁地方の自治体が言うことを聞かないでこういうことになったというお話でありますが、しかし助言はおそらく各所管の諸君のいろいろ与えられる助言であって、勧告は少くとも自治庁長官の名において出されるものが勧告でなければならないと私は思う。勧告をするという解釈は少くともそういう意味でなければならないと思う。その感じは私はかなり強いと思うのです。自治庁長官の名において助言をするなんということは、私はなかなかあり得ないと思う。それは助言では済まないと思う。従って自治庁長官が今まで助言はしたが勧告をしたことがないというようなことで、一体自治庁としてのあり方が考えられるかどうかということであります。私はもしほんとうに自治庁地方の自治体に対して親切であり、さらに十分憲法なり法律の趣旨を尊重されるならば、こういう問題は起らなかったのじゃないか、当然十分強い勧告が起されるべきである。助言と勧告と監督の文字を少しばかり第十章に入れておりますことは、主として憲法の九十二条で保障された自治体に対しては、正しい意味からいえば自治庁といえどもいかなる官庁といえどもこれを指揮、命令、監督することはできないという建前に大体ならざるを得ない、しかしそれかといって自治体を野放しにするわけにもいかないのが日本の現状でありまして、これは日本の地方行政に対するいろいろな問題の未解決の分がまだたくさんありますし、同時に必ずしも地方の自治体が完全自治体とはいえない立場をとっておりますし、国の組織がそういうふうになっているということでありますので、やむを得ぬと思います。従って憲法の趣旨からいえばさっき申し上げましたようなことになるのであるが、それだけでは自治体の完全なる運営その他に支障があるということで十章にこういう文字を入れた。この助言、勧告、監督というのは自治庁地方自治体に対する最大の権限であります。この最大の権限がなぜ一体実施されなかったかということについては私は非常に遺憾に考えておるが、しかし今までしなかったというならば、これも私はやむを得ぬことだと思います。しかし自治庁はしたのだが言うことを聞かなかったというならば、私は勧告をされた文書なりあるいは勧告をいつされたか、それらの事例を一つここに出してもらいたい。
  287. 川島正次郎

    川島国務大臣 おそらく従来は勧告なんという四角ばったことでなしに、助言の形式で、話し合いによってすべての問題を解決しよう、こういう方針じゃなかったかと私は思うのでございます。従いまして助言はしばしばしておるけれども、勧告という形式はとらなかったということも、これはまた自治体と自治庁との間のいろんな仕事を円満にやっていく上におきまして適当な処置でないかという気もいたすのであります。勧告しなかったことがいいか悪いかということの判断はちょっと資料がないので私は何とも申し上げかねるのでありますが、助言という形でもって話し合いですべてものをやっていく、地方に注意を促すということも適当な方法じゃないかという気がいたすのであります。
  288. 門司亮

    ○門司委員 私はなおこの機会に聞いておきたいと思いますことは、自治法の第十章は実は財政法に関係を持っておりまして、財政法の何条でありますか、国は地方公共団体財政的の負担をかけてはならないという法律があるのでありますが、これと非常に密接な関連を持っておるのであります。従って自治法の二百四十五条の三に一応の助言、勧告、監督の規定を設けて、二百四十六条にはさらにこれを具体化していって、国に関係のあるいろいろの仕事についてはその事務の内容を監督することができるという規定がちゃんと書いてあるのであります。私はこの自治法の十章が完全に自治庁において行われておったならば、今までのような補助金が実測に見合わなかったとか、あるいは公共事業についていろいろな問題があったとかいうようなことはないはずである。私は、自治庁が自治法自身を十分に履行しなかったところに、今日こういう大きな問題が生ぜざるを得ない事態に追い込まれたのだと思う。だから私は行政的に見れば、やはりこれも自治庁の責任だと思う。何も地方の自治体が必ずしも言うことをきかなかったからという、それだけのことじゃないと思うのです。それなら一体なぜ二百四十六条を適用しなかったのか。この二百四十六条なら監督もできれば何でもやれるはずだ、そういう道があけてある。にもかかわらず、地方が言うことをきかなかったと言うだけでは、どうにも感心ができない。ほんとうにあなた方はこの二百四十六条を適用されたことがあるのか、勧告されたことがあるのか。この条文を拡大解釈してごらんなさい、これは自治権の侵害というところまで行くのです。あなた方役人流にこれを解釈してごらんなさい。ここにこういう条文があるのだからおれの方にはこういう権限があるのだから、監督するのだ、監査するのだということができると思う。こういう条文がちゃんとあるのです。しかもその次には財務の代行までできるように書いてある。自治法という法律自体において、地方の自治体にこういう不祥事が起らないようにするということがちゃんと書いてある。これを履行しないで、赤字が出たから地方はけしからぬ、言うことをきかなかったから向うの責任だというような、そういう無責任なことは許されないと思うが、一体どうなんですか。こういうことを今日までやったことがありますか。
  289. 小林與三次

    小林(與)政府委員 私からお答えをいたします。実は二百四十五条の三、二百四十六条の問題は、先ほど大臣からお話がありましたが、自治庁といたしましてはこの規定を、今お話通り不十分であったということはあるかもしれませんが、やるだけのことは相当やっておるつもりでございます。それが、この間からこの委員会で問題になった調査課の調査の問題がまさしくそれに関連するわけでございまして、やっておるのであります。ただ内閣総理大臣の名において勧告する、こういう表現では、私詳しいことは知りませんが、やったことはないようであります。これは自治庁長官、次長の名前において、こういう点があるから、こういうふうなことを考慮せられたいというような言い方でやっておるはずでございます。  それからなお財務の代行ということがございましたが、この二百四十七条はちょっと御趣旨が違うのじゃないかと思います。これは出納長とか収入役とかに故障があって、その職務ができない場合に代行できるという規定でありまして、これは全然関係のない規定であります。それで与えられている規定は、この財務の調査の権限と技術的な勧告処分の規定でございますので、これを監督権というような気持で自治庁が振り回す気持は毛頭ございませし、またかつてやったこともございませんから、この点御了承をお願い申し上げます。
  290. 門司亮

    ○門司委員 しかしこれは、解釈の仕様によっては監督権と思われるような条項が自治法の中に入れてある。財務の代行も、地方にまかせっぱなしでは困るだろう、だから一応憲法の建前ではそういうことはできないが、しかし万一の場合があったら困るだろうからというので、財務の代行権までちゃんと認めておる。ですから自治庁がこの自治法の範囲においてそれを完全に履行してやっておったならば、そういう間違いは起らなかったのじゃないか。国に関係のあるものは調査でも何でもやろうと思えばやれるのです。今日になってそれを責めても始まらぬと思いますが、しかし実際私ども考えとしてはきわめて遺憾な点があったと思う。そうしてここにきて憲法に抵触するようなこういう法律を出さなければならない、同時に地方の自治体はどうにもならないということであっては、しかもそれが全部地方の自治体の責任であるかのようなことが、この委員会でもしばしば言われておるという点について、私は今日までの自治庁の行政上の怠慢というものは見のがすわけにはいかない。こういうことを一応申し上げておきます。  その次に聞いておきたいと思いますことは、二条の問題になってくるのですが、ここに財政再建計画の策定という文字を使っております。この策定という文字は一体どういう考え方で書かれたのか。法律用語の中で策定という文字はときどき見ることがありますが、この策定という言葉一つの基本的な理念に立脚したものが策定という言葉であって、その次にくるものが機能であるとか機構であるとかいうものが出てこなければならないのだが、策定という文字はどうして使ったのですか。
  291. 後藤博

    ○後藤政府委員 条文の内容は定めるという言葉を使ってありますが、それをまとめて策定という言葉を使っておるのであります。別に特別な意味ではございません。作るという意味に使っております。
  292. 門司亮

    ○門司委員 この法案の趣旨が第一条に書いてあって、そうして二条には別に意味はない、こういうお話でありますが、そうすると作る基本的理念はどこにあるのですか。私は文字のことをやかましく言うわけではありませんが、これを定めるということになると、ここにやはり基本的な理念というものがもう一応なければならぬ、それが第一条であるというのならそれでいい。一条が基本的な理念であって、いわゆる目的というものが基本的な理念であって、二条はそれを定めただけだということならばそれでけっこうだと思いますが、この点はどうなんですか。
  293. 後藤博

    ○後藤政府委員 第一条は法律の趣旨を書いて、その趣旨を受けて財政再建計画を定める内容を第二条としてここに書いてあるのであります。
  294. 門司亮

    ○門司委員 私がそういうことを聞いておるのは、やはり次にいろいろな条項がずっと書いてあるが、この条項を見ると、これは基本的な理念から少し離れたことが詳しく書いてありますので、そういうことを実は聞いたのであります。そうだとすると、この中で問題があるのは、今までしばしば問題になっている赤字団体一つの見方であります。赤字団体の見方をどういうふうに見ていくか。これは二条の最後に「昭和二十九年度赤字団体で第一項の規定による財政再建の申出をしないものがある場合においては、自治庁長官は、当該昭和二十九年度赤字団体に対し、この法律の規定によって財政再建を行うべきことを勧告することができる。」と響いてありますが、この「第一項の規定による財政再建の申出をしない」というのは、自治庁は一体どの範囲を見ておるのか、具体的な事実をあげて説明していただきたい。
  295. 後藤博

    ○後藤政府委員 第二条の四項は再建の申し出がない団体に対して勧告権を認める規定でありますが、現実の問題としてどういう団体に対して勧告をするかということでありますが、私どもといたしましては、常識的に申しまして歳入願の一割以上の赤字を持っておる団体、県で申しますと十くらいになるかと思いますが、そういう団体の中で標準税収入との比較において比較的赤字の多い団体、それからもう一つは、直轄の分担金等他の赤字の処理の方式でもって赤字の処理され得るものはもちろん除いて考えていきたいと思います。従って一割以上の赤字を持っておる団体の中で、他の方法によって赤字の処理ができるものを除いて、なおかつ標準税収入との比較において非常に額の割合いの大きい団体というものを予想しておるのであります。
  296. 門司亮

    ○門司委員 大体具体的にはそういうことだと思いますが、その勧告を受けた場合には、それは自治庁長官一つの勧告であって、これは必ずしも地方の自治体が守らなければならないということでは、私はないと思うが、その通りに解釈しておいてよろしゅうございますか。
  297. 後藤博

    ○後藤政府委員 勧告でありますので、義務を負荷するものではございません。
  298. 門司亮

    ○門司委員 そうだとすると、自治庁の勧告であって、何も強制するものでないということになって参りますと、勧告を受けてするものと、勧告を受けてもこういう申し出をしないという団体との間に、自治庁は差別待遇というと悪うございますが、何らかの行政措置考えるというようなことが、私はありはしないかと考えるのだが、そういう点はどうでありますか。
  299. 後藤博

    ○後藤政府委員 一般的に赤字団体についていろいろのことは、たとえば起債をつけます場合に、単独事業に起債をつけます場合にも、やはり黒字の団体を中心に考えたり、そういったことはあり得るかもしれませんけれども、同じような赤字がある団体の中で、再建団体になった場合とならぬ場合との間で、別に差別をするつもりはございません。
  300. 門司亮

    ○門司委員 私が心配していますのは、地方団体によっては、この再建整備法で議会の権能が縮小されるとか、いろいろな問題を起しております。従って再建整備は受けたくない、しかし自主的に何らかの方法解決していきたいという団体が私は出てくると思います。たとえば、はっきりいえば、参考人でおいでになった千葉県の柴田知事のごときは、そういうことを言われております。こういう再建整備でなくても、私のところは公共事業はどれだけ縮小するとか、あるいは単独事業をどういうふうにして、さらに人員の整理についてはこういう計画でやりたい、そうすれば大体解消するのではないかというようなことも言われているところがあります。こういうところはやはり法の制約を受けませんから、やはり自分のところでそうは考えておっても、その事業内容によっては多少自治庁考え方と異なる方向に行きはしないかということが考えられる。たとえば単独事業において五割なら五割減らすつもりだ、実際において減らすかもしれない。しかしその事業内容によっては必ずしも自治庁考え方と一致しない場合が出てくるかもしれない。どうも自治庁からいうとよけいなことというと語弊がありますが、あと回しにした方がいいと考えられる。地方の自治体はそれを先にやりたいのだ、そういうことで、地方の自治体が自主的に解決しようというときに、自治庁との見解の相違があって、それが起債の不許可になる原因をこしらえることになると、自治庁はそう差別待遇をしたはずはないと思っても、実際は差別待遇をしたということにならざるを得ない結果が出てくる。もしこういう結果が出てくると、見方によってはこの条文で勧告が強制のように聞えるようなことになりはしないかと私は考える。そういう点についても、自治庁は、そういうことのないものである、いわゆる勧告を受けても受けなくても自治体の自主性によって起債あるいは公募債等については絶対に手かげんをしないということが、ここではっきり言いきれるなら私ははっきり言いきってもらいたい。
  301. 後藤博

    ○後藤政府委員 今の千葉県のように再建法に基く再建計画は作らないが、自主的な再建計画を作りたいという団体も私は相当あると思っております。そういう団体も現にあるのでありますが、そういう点に対して私ども差別待遇をする意思はございません。
  302. 門司亮

    ○門司委員 それはございませんでは実際はちょっと困るのだ。事実上ないということにはっきりしておいてもらわぬと、これは法律ですから、できてしまうと、あなた方はこの条文通りに解釈するのだから、ないならないということではっきり言いきっておいてもらわぬと、そういう間違いが起ったときに困るのである。それから同時に地方は安心しないのである。これから先これに関連して聞くことがあるから、少し聞かなければならぬと考えます。
  303. 後藤博

    ○後藤政府委員 それは言い方が悪かったかもしれませんが、差別はしません。
  304. 門司亮

    ○門司委員 差別しないということになると、その前の問題に返って参りますが、「計画及びその実施の要領」と書いてあるところに、条文を一々読む必要はございませんが、住民からの税の増徴の規定がちゃんと設けてある。そういたしますと自主的にやる団体はいろいろな関係がありまして、税の増徴その他についてはあるいは考えるかもしれない。税の増徴についてはいろいろ問題がありまして、実際はこの地方の自治体でどうにもならぬものがあるのであります。たとえば福岡県などに行って炭鉱地帯に行けば、実際上の問題としてはどうにもならない。しかし村は赤字でどうにも困っておるが、税金を増徴しようにも増徴のしようがないところがある。だからそういう点について税金の増徴も必ずしもこれを強要しないのかどうなのか。これは必ずこういう条件が備わってこなければ一体自治庁長官は認可しないというのかどうか、この点をもう一つ聞いておきたいと思います。
  305. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは先ほども質問があったのでありますが、再建計画を立てます場合に、その具体的な措置としてはここに並べております四つの措置が必要である。しかし必要な措置でありまするけれども、一番しまいの増税のところは、これは必ずしも必須要件ではない、こういうふうにわれわれは考えておりまして、現実の問題といたしまして増税ができない状況にあるということを、私どもも認めておるのであります。
  306. 門司亮

    ○門司委員 実施の場合には必ずしも増税をしなくてもいいということだと思いますが、それについて今何も考えておらないというような答弁でございます。しかし実施要領の中に響いてあります以上は、少くとも私はやはりこういうものが非常に強く考えられるのではないかというように考えますので、もし今の御答弁がその通りだとすればあまりこの条項のやかましい計画を立てないようにしてもらいたい。そうでないとこの条項はこのまま読んで参りますと、明らかに増徴の条文であって、従って地方住民負担は必ずふえてくるということになる。このふえてくるということが先ほど申し上げておりまするように自治体に住んでおります住民財政力に応じてふえるならいいが、より以上ふえてかえって地方の自治体の滞納その他を来たす危険性を持ってくるのである。この条文には滞納も十分に整理しなければならないということが書いてありますので、一方に増徴してくれば滞納がふえてくるということが考えられる。そうすると地方住民はそのことのために非常に困るのである。実際上町役場の運行ができないというような事態に立ち至りはしないかと思うので今聞いたのでありますが、そうだとするとその前にさらにひるがえってもう一つ聞いておきたいと思いますることは、財政再建の基本方針というところのロの条項の「その徴収成績を通常の成績以上に高めるための計画及びその実施の要領」ということに大体なっておる。これかこのニの条項にきておりまして、ロとニの関連性は一体どうなるのですか、今のお話ではニの規定にはそう増徴を強要するものではないというのだが、ロの項に至ってはやはりそうではないように書いてある。「その徴収成績を通常の成績以上に高めるための計画及びその実施の要領」というように書いてある、これとの関係は一体どうなるのです。
  307. 後藤博

    ○後藤政府委員 私どもこのロの方は経済条件その他の立地条件が類似の団体の全国的の平均徴収率以上の徴収成績を上げるような徴収計画を立ててもらいたい。こういう意味であります。
  308. 門司亮

    ○門司委員 だからさっき聞いておりますようにニのところの問題は標準税率を越えて税金を課するとかあるいは法定外の普通税率を課することができないところはやらなくてもいいというさっきの答弁であったと思う。ところが前の方は普通以上に上げろということになってくると、ここではどういう結果が現われてくるかというと、さっきちょっと触れましたような徴税の強化が現われる。つまり滞納の整理が行われる。この方で猶予するなら、ここにもそのことが考えられなければならぬ。現実の問題として、炭鉱地帯に行ってごらんなさい。一つの炭鉱で一つの町、一つの村を持っているところはたくさんある。そこに勤めている諸君が大体失業しておって、どうにもならぬというところでは、税金の取りようがない。滞納の整理のしようもない。そういう意味で、片っ方で無理な所では税金を徴収しないというのなら、片っ方もそういうことで解釈していいのかどうか。
  309. 後藤博

    ○後藤政府委員 そういう特殊な団体も私どもあると思います。炭鉱地帯のようなそういう場合には、やはり先ほど申しましたように、経済状況その他立地条件の類似しておる団体の平均をとります場合に、その類似団体の平均規模というものを中心に考えていきたいと考えております。
  310. 門司亮

    ○門司委員 どうも事務的な答弁なんですが、何でも平均したやつを通常としてとるということは、事務的にはできる、事務的にはそういうことでけっこうだと思う。しかし実質的にはそう簡単に行かないんじゃないですか。あなた方はどうお考えになっているかしらぬが、同じような状態であるから同じようでよかろう、やむを得ぬということがあるならば、実際上の問題としては、私はそういうことであってはならないと思います。しかしあまり長くなりますので、一応そのくらいにしておいて、さらにその次に三条の問題についてごく簡単に聞いておきたいと思います。この三条の問題は、今までしはしば問題になっておりますので、私も多くを聞く必要はないと思いますが、長官の一方的な意見でこれを定めるというようなことが、今までしばしば議論になっておりました。これをこのまま読むとその通りでありまして、変更を加えたり条件をつけたりするというようなことが、自治庁長官の一方的意見できるように書いてある。これは自治庁としては、そうむずかしい問題でないんだ、ごく軽微な問題だけがなるんだというようなお考えかもしれませんが、少くとも自治体が決議をして持ってきたものについて、自治庁長官が筆を入れることは、そう簡単には行えないはすだと思う。もしこれを自治庁長官が適宜にやれるということになると、自治体の決議した権限というものが非常に薄くなりはしないかというように考えるが、この点についてどうお考えになるか、もう一応聞いておきたいと思います。
  311. 後藤博

    ○後藤政府委員 書き方が悪かったかもしれませんが、この規定は私どもといたしましては、歳入及び歳出の内容検討いたしました際に、歳入につきましては過度の期待をしておる、歳出の場分には節約を過度にしておるというような場合、検討いたしまして、本来ならばもう一度戻しまして、修正して提出してもらうというような形式をとるべきであります。しかし再提出をいたしますれば手続が煩瑣になりましたり、時間的な余裕のないような場合もございますので、そういう場合を予想して、こちらの方で条件を付したり変更を加えたりした上で承認をしよう、こういうふうに考えたのであります。条文の上ではそういう趣旨がはっきり出ていないじゃないかという御非難もあるようでございますが、私どもの気持はそういう気持なのであります。
  312. 門司亮

    ○門司委員 私どもの気持はそういう気持であるというお話でありますが、こういう気持自身が、先ほどから申し上げておりますように、憲法の条章に反することを、自治庁としてはあまり意に介さない。そうしてこういうことが考えられている。第一条からずっと考えてみますと、ほとんど自治体の自主権というものが失われた考え方が出てくるのであります。従ってこれが問題になるのであるが、すでに多くの人からたくさん附かれておりますので、それ以上は私はこの場合追究はいたしません。  その次に聞いておきたいと思いますことは、三条の二項であります。ここに書いてあります国の負担関係いたしますものについては、「当該負担金等に係る事業を所掌する各省各庁の長に協議しなければならない。」こういうふうに書いてありまするが、これはどういうことを意味するのか、同時に、協議してその結果は一体どういうふうになるのか、この点の説明をもう少し詳しくしていただきたい。
  313. 後藤博

    ○後藤政府委員 三条の二項でありますが、これは再建計画の中で明らかに、たとえば農林省の農地局に関係のある事業または農林省の水産庁に関係のある事業というような、事業が明確であります場合には、そういう部分が含まれております場合には、その点につきまして各省庁の意見を聞くために協議をする。協議と申しますのは、協議が整わなければやらない。協議をした結果話がまとまれば、その通りに実行する、こういう考え方でおるのであります。その上に立って承認する。もしも協議が整わなければ、もう一度返して、この点につきましては、再提出を求める、こういうことになると思います。
  314. 門司亮

    ○門司委員 この点は今の地方の自治体の財政面から見ると非常に大きな問題でありまして、非常に補助事業がたくさんふえております。三百種類をこえるようなばかばかしい数字になっておりますので、いろいろ問題が私は出てくると思う。だから各種の公共事業その他に関連を持っておる事業で各省の協議によってこれが整わなければ、もう一度戻すというのは、自治体にその計画を立て直してこいということで戻すんですか、どうなんですか。
  315. 後藤博

    ○後藤政府委員 各省庁と協議が整わなければ、やはり再建計画をそのまま承認するわけに参りませんから、従ってもう一度この点については主務官庁であるこれこれの官庁の承認を得られないから、われわれとしては、この計画をもう一度練り直すように、こういう格好で直してもらうとよう手続をとらざるを得ないと考えております。
  316. 門司亮

    ○門司委員 これは非常に重大な問題でありましてね。私がこういうことを聞いておりますのは、地方の自治体が自粛するためか、自治庁の方はよく知っておると思いますが、たとえば鹿児島とか長野であるというようなところでは、知事が機構の縮小をしようということで、いろいろ本省に問題を持ち込んでくる。そうすると本省はなかなかそれを聞かない。補助金をどうするとかいうようなことで、具体的にいえばおどかす。それで機構の縮小すらなかなか各省に対しては意見がまとまらぬのである。まして事業の内容について、どうも農林省のこういう仕事はあまり感心しない、こういう仕事はやめてもらいたい、こういう仕事はちょっと行き過ぎだというようなことを言っても、各省が承認するかどうかということです。同時に今日のように補助財源を地方財源の中に非常に多く入れております現状においてはひもつきのこういう仕事でなければ、なかなか地方には単独の事業など少いです。そこでこの問題は、今のような自治庁のお考えだとすると、なかなか再建計画は立ちにくい。同時に片寄った計画が行われやしないかということが考えられる。従ってこれはあらかじめやはり自治庁長官が、こういう問題が出てこなくても、地方の自治体に対する順位というと悪いかもしれませんが、これこれこういう仕事は自治庁は認める、こういう仕事については各省で遠慮をしてもらいたいということの例示ができるようなことになりませんか。
  317. 後藤博

    ○後藤政府委員 各省庁の所掌する事業で補助金、負担金、これに類似するものを支出するものにかかる部分があるという場合は、私ども再建計画を作ります場合には、先ほど申しましたように、こまかい、何事業をどういうふうにするというような計画は立たないのでありまして、たとえば公共事業の全体に対して幾らぐらい一般の財源を振り向ける、こういう計画になるわけであります。ただその場合に非常に大きな公共事業がその県にあるといたしますと、その事業の規模はどのくらいに定めるということは入るかもしれません。そういう場合に各省とその部分について連絡をするのであります。普通の場合でありますれば、公共事業の総量をこのくらいにいたしまして、起債の量をこのくらいに測定する、一般財源はこのくらい出す、こういう計画になるのでございまして、こまかい計画は再建計画自体にはつかぬのであります。個々の予算年度の上でそれがはっきりするのでありまして、多くの場合はこの条文にはまらないようなことになるのではないか、特殊の場合だけがはまってくる、こういうふうに私ども考えております。
  318. 北山愛郎

    北山委員 関連して。私もこの三条の二項は相当重要というか、疑問があると思うのです。ただいまお話のように、この規定の中には「所掌する事業で国が負担金、補助金その他これに類するものを支出するものに係る部分が含まれているとき」というようになって、相当具体的に再建計画の中にはそういうものも含んで入れているように、一応ここには書いてある。ところが先ほどのお話のように、その再建計画の方にはそんなこまかいことは書かないのだというお話ですから矛盾するのです。ある程度大きなものというのは、一体具体的にはどういうものをさすか、それが再建計画のどの部分に、どういう形で入ってくるのか。それからもう一つは、もしもそういうようなものが協議事項として関係各省にあらかじめ協議をしなければならぬとするならば、これを関係各省の方から見れば、八年なら八年にわたってその事業の配分計画というものがなければ協議してもむだじゃないかと思うのです。何を協議するのかということにもなるわけです。その二つの疑問がありますので、その点についてもう少し明らかにしてもらいたい。
  319. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほど申しましたように、再建計画はこまかいことは書けないと私は思っております。従ってここに書いてありますように「……部分が含まれているときは」という書き方をしておるのであります。おそらくは普通はこういうこまかいものは含まないのでありますが、ただ県でありますと、総合開発計画なんかありまして、一定のアロケーションで事業なら事業をやる、こういうようなことになっている場合がございます。そういう場合には、その事業の量というものをどのくらいの規模にするかということが、やはり再建計画の大問題でございます。そういう計画があります場合には、やはりそれに関係いたします各省に協議をしようということであります。
  320. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、総合開発計画というような程度の大きな計画については、あらかじめ協議をするものと考えますが、この事項自体は、どだい自治庁で立案をする際に、やはり関係各省各庁と関係がありますから、協議してこの事項を入れたんじゃないかと思うのですが、実際問題として協議をしてきめたかどうか、あるいは自治庁が勝手に入れたか、その辺のところも一つ伺っておきたい。
  321. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは各省の間で非常にもんだ条文でありまして、実のところ私ども意見を聞く程度にしてもらいたいという希望を強く持っておったのであります。ところが向うはなかなかいろいろ理屈を言いまして、結局これに落ちついたのであります。従ってその書き方はこういう書き方にいたしたのでありまして、はっきり何々省の事項であるということが明確な場合だけ一つ相談をしよう、こういうことにいたしたのであります。
  322. 北山愛郎

    北山委員 文句は、関係各省、各庁の方で文句があったのか。私はこの条文の性格からいって、相談を受けるのですから、各省各庁の方ではこの規定についてはあまり文句はないのじゃないかと思うのです。こういう再建計画を作る際に、自治庁の方で承認をするに当って関係のところに相談をかけるのだから、相談を受ける方はありがたく相談を受けておればいいのであって、各省各庁の方では異議がないのではないか。むしろ各省の方で協議をしなければならぬというのに対して、自治庁の方ではそんなめんどくさいことは要らないというて、むしろ自治庁の方が文句があるのではないか、こういうように思うのですが、今の言葉のようでありますと、逆のように今までの協議ではなっているようで、はなはだ納得ができないのですが、そのことをもう少しわかるようにお話願いたい。
  323. 後藤博

    ○後藤政府委員 各省の事業計画を主にして考えるか、再建計画を中心に考えるかという問題になるのでありますが、私どもとしては、各省の意見を聞くだけでいいのではないか、こういう、主張をずっとしておったのであります。ところが事業官庁の方でみれば、自分の方の事業計画に関係があるからやはり協議をしてもらいたい、こういう、主張を強くされたのであります。従ってこの点では協議ということに——むしろこれを同意にしてくれという強い、主張のところもございました。従って同意まで行かないで、その中間の協議ということで話をきめたのであります。
  324. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、その結果として関係各省は同意なさったわけですね。この規定の運用についてはまだ異議が残っているかどうか、その点若干疑問があります。それから各省の方でそのような立場からこの規定に対して意見を言われるということは、やはり各地方団体のそのような大きな事業についてはこれを計画的に運営していく、計画的に配分をし、年次計画に従ってやろう、こういう考え方だろうと思う。そうしますと、各省の方ではそういう態度を堅持する限りにおいては、やはり再建計画を作る場合にはその線に沿うて計画を立てなければならぬじゃないか、すなわち先ほど再建計画の際にお伺いしたのですが、いわゆる総合開発計画のごときは再建計画の中に当然入るのではないか、どの程度にこれを入れるべきであるか、あるいは新町村建設計画についても、これは自治庁が相当関心をお持ちでありましょうから、そんなものが再建計画によってぶった切られるということは、行政部長としてはがまんがならないということになるでありましょう。そうなりますと、実際にこの規定運用については、その個々の関係の事業官庁の計画的なその事業の運営、それを主とするのであるか、あるいは個々の団体再建計画というものを主とするのであるか、それらの調整は、この規定を運用するに際して、自治庁としてはこれをどういうふうに運営していくつもりであるか、これを伺いたい。
  325. 後藤博

    ○後藤政府委員 私どもとしては再建計画を中心に考えたかったので、それで意見を聞くだけにしてもらいたい、こう要求したわけです。向うでは自分の事業未計画を中心に考えるから、同意を求めてもらいたいとか協議してもらいたいとか、いろいろ強い要求をしたのであります。その間に協議ということで一応妥協したのであります。従って再建計画とその各省の事業計画とを協議の形でもって調和していこう、こういうことになるわけであります。
  326. 北山愛郎

    北山委員 そうするとその程度の了解であれば、この法案がかりに通って、この規定を運用する場合には、個個の問題についてトラブルが起りますね。それはある府県の再建計画を出してきた、それを承認する場合に、事前に自治庁としては関係各省に協議をする。ところが各省はこれではいかぬ、これではいかぬといってやりますと、なかなか協議はまとまらない、トラブルが起る、こういうことが予想される規定だ、こう考えていいですか。
  327. 後藤博

    ○後藤政府委員 私はすぐトラブルが起るとは考えませんが、大体協議によって適当な線に妥結するのではないか、こういうように考えております。
  328. 門司亮

    ○門司委員 協議の問題は私はいろいろ問題があると思いますが、もう一応この章で開いておきたいと思いますことは、今自治庁がこれを団体に返すというお言葉がございましたが、法律の上においては何らそういう規定はないのであります。だからその処置は一体どうされるのか、ただこれは行政措置でどうも農林省との話し合いがうまくできなかった、あるいは建設省との話し合いがうまく行かなかったから、もう一ぺんそこを考えて持っておいでなさいといって返すのですか、そうしてもう一ぺん議会の再議に付するのですか。
  329. 後藤博

    ○後藤政府委員 大体協議によって私は話がつくと思っておりますが、しかし非常に隔たりがありまして、向うの事業計画がもっともであるというような場合にはやはりこれは一応承認をしないで差し戻して、そうしてもう一度再建計画の審議をしてもらうということに相なるだろうと思っております。
  330. 門司亮

    ○門司委員 そうしますと非常にややこしい問題になるわけです。この項の一番最後に「財政再建団体の長は、財政再建計画に基いて予算を調製しなけえらばならない。」こういう規定が一つある。従って地方の自治体がこれを持ち帰って参りますと、予算の変更をしなければならない。少くとも地方の自治体が一応予算を議決いたしております。そしてこれが出てきているのである。私は予算と関連なしに再建整備法というものがきめられるはずはないと思う。ここにはちゃんとそういうことが書いてあります。そうすると予算審議権との間は一体どうなりますか。もし自治庁が突き返したからといって、その理由で更正予算を出すというような不見識なことができるかどうかということだが、これはやれますか。
  331. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建計画は、たとえば十月の一日に始める団体につきましては十月一日を基礎にして、七カ年とか五カ年とかの再建計画を立てるわけであります。従って問題はおそらく本年度どうするかという問題であります。私は本年度予算というものがありますから、それを基礎にして考えざるを得ない、かように考えております。来年慶以降はやはり再建計画を基礎にした予算の調製をするということになりますので、そういう問題は本年度においては多少問題があるかもしれませんが、来年度以降についてはない、かように考えております。
  332. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、この予算との関連でありますが、来年度からなら来年度からでいいが、私の聞いておりますのは、来年度になっても一応二月なら二月の予算審議すべき時期には必ず審議しなければなりません。そうしてそれが自治庁長官にやはり出されてくると思うのです。これは予算の範囲内はどうでもいいのですか。これは先に関連するから私は聞いておくのです。二十一条に予算の執行に対する停止権がありますよ。だから予算執行をきめてもそれがそのままでないと私は思う。予算をきめる場合には、こういうものがすべて完了しておらなければその年度予算というものはきめられないはずである。あなた方がただ財政計画だけを机の上でお立てになる場合はこれでいいかもしれませんが、実際に町村長がこれをやる場合は一応きめなければならぬと法律にも書いてある。きめる場合にはこれが出てくる。そして不適当なものは自治庁長官がチェックすることができると書いてある。そうすると、予算審議する議会の審議権と、返された場合に再度審議しなければならないというところのかね合いです。これはどういうふうに解釈していますか。
  333. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建計画というのは、長期計画をこの法律通りましたらすぐきめるわけであります。その承認を大体得まして、承認を得た長期計画を基礎にして来年度予算を調製していくということにしております。従っておそらく再建団体については年度内に長期計画の承認を縛るということになります。従って来年はその長期計画を基礎にした予算を作るということでありまして、私は別にその更正の問題はすぐ起らぬのじゃないか、かように考えておるのであります。
  334. 門司亮

    ○門司委員 起らぬのではないかというお話でありますが、私がさっきも申しましたように、二十一条との関連性が出てくるのです。執行を停止するのでしょう。執行停止することは予算を停止するということですよ。しかもその前にその前段で協議をするということ、協議がととのわなければ返すということをあなたの方では言っている。そうすると、予算の執行とこの三つの問題はどう関連性を持ってくるかということです。計画は計画でいいのですよ。しかし予算はやはり執行しなければならない。実際のその年の予算を組んでいかなければならない。計画と予算というものは必ずしも一致したものではないのです。これはあなた方の考えもわれわれの考えも大して変らぬと思う。問題の起りますのは、この五項でありますが、ここに財政計画に基いて予算を調製しなければならないと書いてあるから、この財政計画に基こうとするならば、この二項の各所掌事務を持っております長との間に協議がととのっていなければこの予算は組めないはずであります。調製はできないはずであります。その関連性をどうするか。自治体の方では、わかりやすく言えば、予算を組む前に一応あらかじめ自治庁長官にこういう仕事をしたいということを申請して、その年度の属する予算が、こういう各省の仕事に関連性があるということもないのではないかと私は考える。いわゆる許されたる予算の範囲内ではことしはこういう仕事をしたいという自主性が地方の自治体にはあると思う。そこまでは縛っていないと思う。必ず自主性を持たしておる。持たしておるとすれば、その予算を組みますときには、各省に関連性を持った事業を行うという予算の決定をしてくるかもしれない。その場合に自治庁はその仕事が適当であるかないかということについての査定を加えるのじゃないか、加えませんか。
  335. 後藤博

    ○後藤政府委員 この三条の二項というのは、当初作ります再建計画の中にその省の事業に関係のある事項が含まれております場合にはその省に協議をして承認をする、こういう規定でありまして、その協議は普通の団体でありますれば本年度にそれぞれ協議をして計画ができ上る、そのでき上った再建計画を基礎にして来年からは予算編成をするということになるのであります。その最初の計画の中に、そういうこまかい計画が載ってなければもちろん問題はないのであります。載っております場合を考えて見ました場合には、ちゃんと翌年度からの事業がやり得るようになっておるのであります。従って計画自体に問題はないと私は思っております。
  336. 門司亮

    ○門司委員 だんだん問題が明らかになって参りましたが、そうすると当初の再建整備計画以上の仕事には出てはならないといういわゆるはっきりした禁治産的のものにならざるを得ないという結果になると思うが、それは一体どうなるのですか。
  337. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほどからたびたび申しますように、二項の規定は通常の場合はないと思っております。そういう計画が明らかにあります場合には、事業官庁の方に相談をして再建計画をきめるわけであります。しかしその計画がきまらなければ再建計画がないのであります。なければ予算の問題はないのであります。それでもう一ぺん直して再建計画を立てて参りますれば、それを基礎にして予算編成されるのでありますから、別に事業の執行に差しつかえないということになるのであります。
  338. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、こう解釈してよろしいのですか。ここに「予算を調製しなければならない。」という字句を書いておるが、この予算の調製の前に再建計画というものについては大体自治庁長官の許可を受けるのだということなのですね。そしてその範囲において予算を組め、そういうふうに解釈すればよろしいのですか。
  339. 後藤博

    ○後藤政府委員 その通りであります。
  340. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、先ほど申し上げましたように、一つのワクがはめられてそれ以外には出られぬという結論になると思う。そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  341. 後藤博

    ○後藤政府委員 自主的に自分で立てました計画自体でありますから、その計画を守るような予算を作ってくれ、そういう意味でワクといえばワクであります。自分で立てました計画を基礎にして予算編成すべきである、こういう趣旨でここに出しておるのであります。
  342. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、先ほどから北山君の質問の中にもありましたが、もしそうだとすれば、自治体の自主性というものは再建整備計画を立てたときにワクがはめられて、より以上の発展性はないという結論にならざるを得ないと思うが、その通りですか。
  343. 後藤博

    ○後藤政府委員 全体のワクはおっしゃる通りでありますが、しかし個々の内容につきましては、再建計画はこまかい計画はできませんので、従って個々のどちらの事業をやるかということは毎年の予算でこまかくきめるわけであります。従って全然自主性がないということになるのではないということを申し上げておるのであります。
  344. 門司亮

    ○門司委員 予算の範囲内における自主性はむろんあります。これは認める。われわれもその通りだと思う。しかし自治体というものは生きておりまして伸びていかなければならぬのである。七年前の理事者の意向がそのまま七年後における理事者の意向とは考えられない。同時に住民の意思というものが必ずそうなるとも考えられない。議会の意思決定が必ずしもそれを踏襲するとは考えておらない。仕事の内容についてはいろいろの問題が派生して出てくると思う。去年まではこういう仕事は必要なかったかもしれないが、こういうことが必要だということが出てくると思う。これはあなた方がお考えになっておりますように、自治体というものは固定したものであって、単に国からの事務だけをやっておればいいというものではございません。自治体が将来伸びていこうとするには、赤字の問題はむろん解消していかなければならないか。伸びる一つ段階として工場の誘致も必要であろうし、あるいは財産の造成も必要であろうし、そのことのためにはいろいろ各省に関係のある大きな仕事もしなければならないことが私は出てくると思う。そういうことが自治体の一つの自主性である。そういうものについて、再建計画以外に出られないということになると、自由に裁量のできる範囲というものはきわめて小さくなってくる。そして七年間というものはこれ以上には出られないんだ、このワクの中で財源をあっちにやったり、こっちにやったりするわけであります。そのワクから出られないんだという結果になると思うが、そういうように解釈しておいていいのですか。
  345. 後藤博

    ○後藤政府委員 何年にするかということですが、私どもは最大限八年でありますが、これもおおむね八年ということにしております。従って何年にするかということも、どうも、その地方団体がきめるのであります。そういうワクをはめて何年間で返すかという、全体の計画を自分自身で考えてもらって立ててもらう。その範囲内において各年度において起債のたな上げされました赤字を消していくという計画を立ててもらうのであります。そういう意味でワクを一応はめられることになるかもしれませんが、これは再建計画自体を立てる以上は、やはりその計画に従って予算編成をして、そして再建債の償還をはかってもらいたいという趣旨で、この全体ができておりますので、それはやむを得ないと私ども考えております。
  346. 門司亮

    ○門司委員 だから私の育っておりますのは、再建債のワクと、それから事業内容というものは、私は別に考えるべきだと思います。それで事業はやはりできるだけする方針で、ワクをはめないでおく。そして債権の力の返す方だけは、完全に返されるような形が出てくる方が望ましいのではないか。こういう形で再建計画を立てたんだから、それから外に出られぬぞ、もし出てくると、こっちの大事な債権の償還かできなくなるから困るんだというようなことだと私は思うのだけれども、償還ができるような計画が立つなら、私はそのワクの外にはみ出たところで大した問題はない。これを変更と称するとあなた方はいわれると思う。だから変更することができるというように書いてあるのではないかということに私はなると思う。しかしそれは変更することができるという規定がありますが、その前にたとえば今申し上げましたような各省との関係がもう少しはっきりしていないと、そういう問題についてはなかなかうまく行かない。各省が承認しなかった場合はもう一ぺんそちらでやり直してこいときめたところで、それは絶対できなし相談になります。自治庁が認めないんだから、自治庁のいうことを各省が聞かなければならないということで、自治庁考えのワクの中に、入れられてしまうという危険性が出てくると思います。こういう回り回ってくる関係を聞いておるのであります。従って、変更することができるという規定を設けたことは、言いかえれば、そういう場合に財政の償還計画さえ立てば、事業は必ずしも当初考えたものよりも外に出ることができるというようにはっきり解釈していいかどうか。
  347. 後藤博

    ○後藤政府委員 おっしゃる通りでございます。
  348. 門司亮

    ○門司委員 もしそうだとすると、この協議というようなことが少し問題になりはしませんか。私はやはり協議でなくて、自由に自治体でやれるんだというように書いておかないと、協議という文字をここに使ったことは、そういうことを野放しにしては困るという意見じゃないかと思う。そういう考え方で各省の仕事を抑えようというのじゃないですか。これは明らかに自治体がやろうとする仕事を、ある程度ここで抑えるという一つの条項なんです。私はそういうように解釈するが、そういうふうに見られませんか。
  349. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは各省がどういうことを言うかわかりませんけれども、われわれの方ではそういうふうに考えていないのです。先ほど申しましたように、再建計画を当初認めます場合に、各省に明らかに関係のある分については、これは協議しよう、こういうことでありまして、おっしゃいます通り、毎年度のちゃんとした収支が変らなければ、事業量というものをやはりふやしてもさしつかえない。その場合には、この問題ではなくて、実行上の問題に移って参りますから、その場合にそれぞれもう一度話し合いをしたらいいのじゃないか。従って地方団体の希望するような線で話し合いをしてもさしつかえない。要はたな上げしました再建債を計画的に返すということが主でありますから、事業量の問題は別途考えたらいいのじゃないか、こういうふうに考えております。
  350. 門司亮

    ○門司委員 さらにもう一つ次の項のことを考えなければならないのですが、四項は緊急の場合の処置であります。従って緊急の場合には、こういうことが考えられるということで変更ができる。それからただいま申し上げました変更のできるという範囲ですが、この範囲は一体自治庁はどういうことを認めておるのか。さっき私が申し上げましたように、債権償還の計画さえ立てば、自由に計画の変更ができるというように解釈しておいてよろしゅうございますか。
  351. 後藤博

    ○後藤政府委員 七カ年なら七カ年の計画で再建計画を立てた場合に、それぞれの年度のやはり償還の計画があると思います。その計画が達成される限りにおいては、私はさしつかえないのじゃないかと考えております。
  352. 門司亮

    ○門司委員 そこで問題は具体的に入って参りますが、自治体の方では緊急やむを得ない仕事というほかに、住民の意思によって行わなければならない仕事が出てくると思う。その場合に問題にして参りますのは、自主財源があればいいが、自主財源がない場合に、やはり起債によらなければならない。起債によってそういう一つの事業計画を立てていく。このことを私が申し上げているのは、財産造成問題があるからであります。財産造成は将来の赤字対策としてはぜひ立てなければならない一つの仕事であります。ところが財産造成は次の年度からなかなか金になるものではございません。これは相当の年月を経なければ、起債の償還に引き当てるわけには行かないと思います。ところが自治体としてはいつまでもそういうことはできないから、できれば将来の償還に引き当てのできる財産造成というものは、各自治体にやらせなければならない。そういう問題については自治庁はどういうふうにお考えになりますか。起債額はふえてくるのであります。起債がふえてくると償還関係がだんだんふえてむずかしくなってくる。その間の問題をどういうふうに取り扱っていくか。これは具体的な問題として聞いておきたい。こういう再建整備計画を立ててくると、財産造成のような大きな起債の事業はできないか、できるかということであります。
  353. 後藤博

    ○後藤政府委員 私どもは全然できないとは考えておりません。もちろん起債を財源にした事業はできるというように考えておりますが、その負担が、償還が始まって、償還の始まりますのは、再建計画の年度がかち合う場合があります。その場合は再建計画に基く償還計画が達成できるものであれば、その起債を認めていこう、こういうふうに考えます。
  354. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、たとえば財産造成の場合はそう簡単に行かぬと思いますが、それから起債にしても大体御存じのように、一応起債財源で仕事をしたものは、その仕事のやはり完成するまでは、これを償還しない方がいいのであって、据え置きにしなければならないということが大体原則だと思う。そしてその仕事が完成してから、償還計画を立てていくというのが正しいあり方だと思う。そういたしますと、七年間に払わなくてもいいという据え置き期間が、ちょうど七年間と同じようになれば問題はないのであります。ところが今お話のようにぶつかることが必ずあると思う。そう長く六年も七年も償還しないでいいということにはなかなかならぬと思う。その場合に新たに起した償還計画というものと、それから今再建整備についての償還計画というものとが重なったときに、自治庁はどういうふうな態度をとられるか。これは非常にむずかしい問題でありまして、起債財源に引き当て財源というものは、土地なら土地の造成をやる。その土地が売れるか売れないかわからないが、起債財源の引き当てとしては、そういうものが引き当てになる。売れなければほんとうの償還はできないのであります。ところが償還計画の方は、この法律に基いて返す方は許されておらない。とにかく財産をこしらえるんだから、一ついついつかからこれを返すという計画だけでは承知できない。そういうような重なった場合に一体どういう処置をとられるか。片一方はやかましいことを言われない。償還を待ってくれるんだということならばまた話になるのですが、そういう点はどうなりますか。
  355. 後藤博

    ○後藤政府委員 最初の再建計画の場合に公債費というものは一本で別に出て参ります。その中に今おっしゃいますようなものが入っておれば問題はないのであります。途中で入っていく場合は、やはり入っていきますと計画を変更しなければならない。そのまま当初の計画で行くか、計画を変更するかという問題になると思います。それが一年くらい延ばして計画変更でまかなえれば、その方法をとることも一つ方法だろうと思います。それから他の節約要素があれば、他の節約要素でもってそれを補てんする方法もある。従って財産造成のような場合には、やはり起債は起債としてできるだけ認めていこう、つまり起債というものは、単独事業でありましょうと公共事業でありましょうと、そう私どもはしぼり得るものではない、だから一定の起債はやはりあり得る、こういうふうに考えております。
  356. 門司亮

    ○門司委員 そうすると結論として、この赤字の整備団体であっても、財産造成その他については大体起債の承認が得られるというふうに解釈しておいて間違いございませんか。
  357. 後藤博

    ○後藤政府委員 それが起債事業でございますれば、おっしゃる通り考えております。
  358. 門司亮

    ○門司委員 それではもう一応聞いておきますが、私はどうも今の第二項との関係がまだ釈然としないのでありますが、これを変えてもう一ぺんこしらえてくるなどということはこの法律のどこにも見えないのであって、もしそうだとすれば、ここにやはりそういう規定が必要じゃなかったか。いわゆる協議がととのわない場合にはもう一応立て直すということがはっきり書かれていないと——書きっぱなしでは、もしそういう処置をとられると困りはしないかと思いますが、それは別といたしておきます。  最後の項の五でありますが、「財政再建団体の長は、財政再建計画に基いて予算を調整しなければならない。」ということがはっきり書かれておる。私はその通りだ、これでなければならないと考えておる。だからこの条項を入れたことは大して間違いはないと思う。しかしここで問題になりますのは、ずっと先の項で問題になりますが、議会の議決権の問題と、それからやはり憲法の一つの問題に触れてきやしないか。地方予算一つのワクがはまるのであります。自主的のワクではなくして——自主的であるといえば、あなたの方では、そういう許可を受けたものだから自主的であるとおっしゃるかもしれない。しかし地方住民の必ずしも適切な意思反映じゃない。一つのワクにはまった中で仕事をしなければならないということになるので、自治法が保障している自治権の侵害になる。いわゆるこれにワクをはめるというように私は解釈するのだが、そういうきらいはここにはございませんか。
  359. 後藤博

    ○後藤政府委員 ワクをはめるといえばはめるということになるかと思います。しかしそのワク自体はやはり自分で作ったワクであるのであります。従ってそれを変更する場合は別でありますけれども、変更しない場合には、やはりそのワク自体を中心にして予算考えるのが当然じゃないか、こういう意味でこの条文を考えたのであります。
  360. 門司亮

    ○門司委員 それは通常の場合であって、議会の構成が変った場合——これは今までしばしば議論されましたが、前任者と後任者は違うのであります。前議会と新しい議会は違うのであります。そこで今日この自治法の建前とかあるいは憲法の建前とかが変ってきておるのでありまして、単に——これはあなた方の方がよくおわかりだと思うのだが、今日の憲法は従来のような団体自治の理念の上からだけこれを律するのではなくて、やはり住民自治の建前から律する面の方が実は大きいのであります。そうすると法人は、同じ一つの法人である団体ではあるが、その法人を運営する議会と長が変った場合に、必ずしもこういう規定でワクをはめておくということがいいのか悪いのかということです。これは先ほどからいろいろ議論されたと思いますが、長官は一体どうお考えになりますか。前の首長がきめたことをあとの首長がどうしても踏襲しなければならぬ、前の議会がきめたことをあとの議会が踏襲しなければならぬ。それは変更すればいいじゃないかと言われるが、これはそうしかく簡単に行かぬのじゃないか。その辺の調整は一体どうされますか。
  361. 川島正次郎

    川島国務大臣 これは先ほどもお答え申し上げたのですが、立憲政治の本質からいきまして、新しい議会が前の議会と違った意思表示をすれば当然変更が加えられるわけであります。新しい再建計画を持ってきますれば、それから私の方で審議をいたしましてこれを承認する、あるいはその承認に対してさらに変更を加えることを求めるということになるのであります。前の議会なり長が作った再建計画は絶対に変更できないという性質のものではございません。
  362. 門司亮

    ○門司委員 私の心配しますのは、前の人は再建整備計画を自治庁に約束しておる、しかしあとの人は約束しないということができるかどうかということです。ワクの中にはまった範囲内において計画を変更することはできます。これは問題はないと思う。しかしワクから出ることができるかどうか。ワクの範囲内で変更しようというなら、これはどんなにでもできます。前の人は何年間にこういう起債を払うことを約束した。おやじさんはそういう証文を書いたかもしれぬが、私はそういう証文を書いた覚えはないということになったらどうか。そういうことが一体できるか。証文の範囲内で返す方法を違えた、三年間に返すのを四年間に変えたというのは、これはやれると思う。証文の範囲から出ることができるかどうか。
  363. 川島正次郎

    川島国務大臣 もともとこの法律を適用しようとする団体赤字の深刻な団体なんであります。どういうやり方で財政立て直しをやろうか、こういうことにつきまして、前の議会なり長とあとの議会なり長との間に意見の食い違いがあった場合、たとえば前に七年でやるというのを六年に縮めてやろうということがあり得るかもしれません。あるいはさらにこれを延ばすということがあり得るかもしれない。そういう場合には変更の申請をしてもらえば、これに対して自治庁としては態度をきめなければならぬ、こういことであります。
  364. 門司亮

    ○門司委員 私はそういうことを聞いていないのです。長官はどうもどこまでも一つのワクをはめて、そのワクだけを守られておるからそういうことが言えるのですが、前の理事者は七年なら七年、六年なら六年で償還することをきめたということが一応考えられる。しかしあとから出た人は、さっき千葉県の例が出ましたが、千葉県の柴田君のように、こういう窮屈なワクをはめられなくても、これはみずからやれるじゃないか、事業の範囲までもワクをはめられるようなことでなくて、返せばいいんじゃないか、再建整備法によらなくても返しさえすればいいんだろうということで、みずから自分の力でやっていこうというものの考え方が出てくる。そうして自由に仕事をしたいという考え方が出てくる。そうした場合に、これを破棄することができるかどうかということですね、はっきり言えば……。
  365. 後藤博

    ○後藤政府委員 私は二つの場合があると思います。前の人が再建計画を立てて金を借りた場合と借りない場合がある。金を借りた場合には、金を借りて再建計画を始めて、次の首長がそれと別な計画を立ててやる場合には、計画変更の手続を踏まなければならない。もしも踏まないでやりますと、二十一条の第一項の規定に触れてくるのであります。その場合には借りたものは繰り上げ償還という問題が起きてきます。そうしなければ執行の一部停止という問題も出て参ります。もう一つの場合、金を借りないで初めからやったというような場合は計画変更だけの問題で、繰り上げ償還の問題はない。しかしその場合にもやはり再建計画と異なった予算の執行をやる場合には、二十一条の方に触れてくる、こういうふうに考えております。
  366. 門司亮

    ○門司委員 だから要約すれば、前任者がきめたことはその遂行をするまで絶対に変えられないということが結論になると思う。そういうことに解釈していいのでしょうか。もし変えた場合には予算の執行を停止することができるというようなことに——これをはみ出してくる。はみ出した場合には二十一条が適用される。その解釈は、今少し広げて解釈されたんだが、私がさっき申し上げましたような、これを御破算にする、こういうような計画を受けなくても、借りた金を返せばいいんだ、何も再建整備なんというむずかしい約束をしなくてもいいんだという考え方にあとの理事者が立った場合に、私はそういうことがあり得ると思う。またそういうことが、選挙の問題などを考えると私はあり得ると思う。こういう今の再建整備を受けているからこういう仕事ができないのだ、金さえ返せばいいんだから、私はこういう方針で行くのだということが出てこないとも限らない。それを北山君も非常に心配している。これはそのワクの中でだというなら仕方がないが、そういうことができないというなら大きな問題だと思う。できるかできないかという問題だ。やはり二十一条を適用するということになれば、これは何と言われても明らかに自治権の侵害ですよ。
  367. 後藤博

    ○後藤政府委員 金を借りてやります場合には——私さっき申しましたのは少し間違っておりますから訂正いたしますが、金を借りましたときは、繰り上げ償還をして返せば再建整備団体でなくなりますから、それはそれでいいと思います。金を借りないでやりました場合には、再建計画の変更という問題はございますけれども、二十一条の適用はございません。
  368. 門司亮

    ○門司委員 金を借りない場合に二十一条の適用を受けてはかなわぬですよ。事実上債権があるから二十一条というのが物を言ってくるのであって、そんなことを自治庁考えたらえらいことになる。私が言っているのは、繰り上げ償還というのは一つの償還期限です。だから七年なら七年のうちに返せばいいと私は思う。それが不履行になった場合には一体どうするかという問題が出てくるかもしれませんが。しかし申し上げておりますのは、絶対にその範囲でなければ変更ができないということになると、これは少し行き過ぎだと思うということです。だから変更ができるかできないかということを聞いているのであるが、今までの答弁では、どうも変更ができないという形、もしその約束を破棄したら二十一条を適用するということになると、これは明らかに自治権の侵害だと私は思う。だからこの点について、憲法に触れてくると私は考えるのだが、自治庁長官は、それでも憲法に触れない、何でもかでも一ぺん前任者が約束したことはどこまでもそれをやるのだということでいいのですか。
  369. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建債の忠実な償還計画の実行を私どもは期待しているのでありますが、繰り上げて償還するような計画に変更する場合もあるかもしらぬし、あるいは地方財政の状況によっては五カ年に償還しようと思っていたのを七カ年に延ばしてもらいたいという意向になるかもしれない。そういう場合は変更し得るのだ、こういうふうに考えておることを先ほど申し上げたわけであります。絶対にもう伸び縮みできないものとは考えていないのであります。
  370. 北山愛郎

    北山委員 関連して。ただいまの長官答弁は、新しい首長なりあるいは議会ができてきた場合には当然前の計画も変更できるのだというお話、またその際には、後藤財政部長の話では、借りた金の繰り上げ償還をすればいいのだということですが、この規定の中には、それ以外にやはり何かあるのではないですか。かりにその再建団体が、そのワクの中で生きているのはとてもいやだといって、かごの中から自由の身になりたいといって自由を求めた場合に、もしもそこに赤字があればそれは地方債の制限を受けて——赤字団体として再建促進法によらない団体は、今度は地方債を許可しないというような制限があるのではないですか。そうすると、いやでもおうでも赤字のある団体は、自由であるとはただ言葉の上だけであって、いろいろがんじがらめにしてこのワクの中に入れよう入れようとしているのではないですか。しからばその地方団体が、その再建団体であることをやめようがやめまいが自由であるというようなことは、この法律に関する限りそういうことは甘えないのではないかと思いますが、どうですか。
  371. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建計画を立てました団体が、途中で再建債を借りまして繰り上げ償還をいたしまして、あと自分で財政運用をやるわけでありますが、その場合には、地方債の制限を受けないのでありまして、三十二年度以降において受ける。もしもそれまでの赤字があれば償還は消してもらいたい、もし三十二年度以降赤字が残るよような場合には起債の制限をする、こういう建前になっております。
  372. 北山愛郎

    北山委員 三十二年度であろうが何であろうが、やはりこういうふうに自力で借金を返そうというような団体は、むしろそういう存在を許さないというような建前になっている。そういう殊勝な、お世話にならないで自分で赤字を返そうというような団体に対して、借金を許さないというようなことはむしろ逆ではないか。二十三条の規定は私は非常におかしいと思う。従って、こういう規定がある限りにおいては、自由であるといっても、今から勘定して昭和三十二年度というと、選挙から言えば次の首長なり議会の選挙があるというようなときに当るかもしれない。だから、そのときにまだ赤字がある、赤字があるが再建団体に入ることはやめよう、こう考えても、赤字があれば地方債が制限されるということで、これは泣く泣くしようがないということで、今まで通りかごの鳥で四年間生かすということに落ちつく。そういうふうな制限を受けているものである。大臣は、立憲政治のもとでは首長、議会が自主的に物事をきめ得るのだと言うけれども、そういう事実上の制限をこの規定ではやっているではないか。この点について大臣はどのようにお考えですか。自由にその団体がきめ得るというお話とこの法案は違うのです。この矛盾をどういうふうにお考えですか。
  373. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建団体は、この法律によりまして長期にわたる再建債を政府資金で借りるわけでありまして、それを解決しないで勝手に再建計画を変更することのできないことは当然であります。従いまして、これを繰り上げ償還する等のことはできるのであります。また場合によりましては、あるいは地方の状況によっては繰り延べもできるかもしれませんけれども、借金をしたままそれは打っちゃらかしておいて勝手なことができるということはとうてい許されないのでありまして、それと地方の自主性というか、議会の権限を尊重するということとは別問題であります。再建債を発行した以上、これは償還するだけの義務を地方団体が持っているのでありますから、これだけはどうしても履行しなければならぬわけであります。
  374. 北山愛郎

    北山委員 私の言うのは違うのです。繰り上げ償還はかりにないとする、無理をして。しかし赤字は残った。そういう状態になった場合に、この二十三条では、昭和三十二年度以降のそういう赤字団体は、特別の場合を除いて地方債の制限をするのです。事業をやろうと思っても金は貸さんぞ、ちょうど今度の東京都の固定資産税の場合と同じようなものである。そうすれば、せっかく一人立ちをしようと思っても、仕事をするのにはもちろん一般財源ではできない。どうしても地方債が必要だ。ところが一人立ちしようと思えば、赤字を抱えておればこの二十三条によって地方債を制限するというのだから、これは仕方がないということで、一応形式上の自由があったとしても、実質上の自由はないということになる。この法律はその自由を制限している。自由というのは何も文書の上に書いた言葉が自由じゃないのですよ。実質上の自由なんだ。その自由を制限している。そうさせまいとしている。赤字団体が一本立ちでもって、繰り上げ償還もして、そうして一人で立っていこう、自前でやっていこうということを制限して、あくまでもかごの鳥にしようとしている。どうしてこんなことをするのか。これを先ほど来お話しているような憲法違反というか、地方団体の自主制を事実上侵害している規定であるとやはり言わざるを得ないのですが、重ねてお伺いします。
  375. 後藤博

    ○後藤政府委員 おっしゃいますような場合に、途中で繰り上げ償還をして一応自由な身になるその場合でも、赤字が相当あればやはり再建計画を立ててやるべきではないかというふうに私は考えておるのであります。もしもその場合に、赤字の額が少くて、自主的に再建されるものであれば問題はありません。従って、二十三条の規定では、「三十年度以降の赤字団体で政令で定めるもの」これは先ほど申しましたように赤字が標準税収入の一〇%ないし二〇%以上の団体をさしているのであります。だいぶ赤字があるからもういけないというのではなくて、そのときに相当赤字が残っている団体、そういう団体に対してはさらに再建計画をやるのが筋道であって、そういう団体が起債で事業をどんどんやっていくということは不自然ではないか。そういう意味で、そういう団体に対する制限をこの規定でしておるのであります。
  376. 門司亮

    ○門司委員 大体話はわかってきたと思いますが、私がそういうことを聞いておりますもう一つ理由は、三十一年度から政府赤字が出ないような施策を立てるとおっしゃっておるのです。そういう国の施策が出て参りますと、再建整備を受けなくても国からの財政処置というものが十分とられてくれば、独自でできると考えられる団体が出てくると思う。後になってとんでもないことをしたということがあるいはあるかもしれない。縛られなくてもよかったということがあるかもしれない。そのことのために私はさっきからしつこく聞いておるのであります。もし三十一年度からこういう方式によってまず赤字が出ないという方針が立てられてくれば、何を好んで窮屈な準禁治産的なものを望むかということなんです。私はそのかね合いがあるから聞いておるのであって、従って赤字がずっと出てきて、今のよな状態、年々公債費が百億以上もふえていくというような状態で、毎年毎年の赤字で千億近くの地方債が発行されなければ地方ではやっていけないというような状態であっては、これはもうどうにもならぬのです。そういう二つの問題があるのです。だから赤字がずっと続くようなことになれば、今こういう法律をこしらえられても、これは一時限りのものじゃなくなってきて、だんだん先に先にと延びてくる。それから赤字が出ないという目安がつくなら、こういう法律の適用を受ける範囲というものはきわめて私は少くなってくると思う。だからその辺で、もう少しはっきりした計画を今のうちに立てて出さないと地方自治体は迷惑すると思う。来年から赤字が出ないように地方財政に三百億ないし五百億の財源処置をしてくれるというなら、これは自力でやれるのだ、再建整備計画というような窮屈なワクをはめなくてもよいという団体が私は必ず出てくると思う。だから今のうちにはっきりしておかなければ困る。それから自治庁の方で計画を立てるというだけで、具体的にどうするという説明がないのでありまして、きわめて遺憾であるが、これ以上私はここで議論をしても始まらぬと思うのであります。従ってもう一応聞いておきたいと思いますことは、もし地方の自治体の方に赤字が出ないような財源処置が行われた場合に、当然こういう窮屈な処置を受けておるという団体は事業その他のワクがありますので、非常に窮屈になってくる。片方の団体は自由に仕事ができて、その間の住民の感情といいますか、隣の市は、二、三年前に非常にひどかったためにあわてて再建整備法を受けた、そのために仕事はなかなか困難である。片方はそういうことを受けなかったために自由にある程度仕事ができる。こういうような住民感情の問題が出てきやしないかというふうに考えられるが、そういう場合が出てきてもそういうものは起らぬというように、自治庁はお考えになっておりますか。
  377. 川島正次郎

    川島国務大臣 この法律によりまして再建団体になろうという地方団体は深刻な赤字に悩んでおる団体でありまして、二、三年先になって赤字が出ないような財政運営できるなら、そのときになってあわててこんな法律を適用してもらわなくてもよかった、そういうことが起ってくるというお尋ねだと思うのですが、今日の地方団体というものは赤字に苦しんでおるのでありますから、やはりこの法律の適用を受けまして、従来の赤字をたな上げしなければ健全な姿に戻れないと思う。幾ら三十一年度から財政的処置をいたしましても、赤字をしょっておるのじゃ健全な財政にはなれないのであります。しばしば千葉県のお話が出ましたが、千葉県知事がここでどういうことを言ったか私は聞かなかったのでありますが、私は千葉県のことをよく知っております。何ゆえに千葉県は赤字がふえたか、現在はどういう状況になっておるかということは、私は一番よく知っておるのであります。千葉県の状態のごときは、今日赤字を十五、六億も負っておりまして、銀行はほとんど金を貸さない。従って遅配欠配というものが起りつつあるのでありまして、どうしても、これは長期に、低利にたな上げしなければならぬような現状におる千葉県であります。柴田君がどんな意見を言ったか知りませんが、現実の千葉県というものはそんななまやさしいものではない。こういうものが出ることを県民は待望しておるのです。こういうものは柴田君一個の考えできまるものではない。県会と知事の意思と両方できまるものでありまして、こういう法律というものはぜひ必要だ。千葉県の場合を考えてもそうなるわけでありまして、いろいろ門司さんから御意見もあり、それから御質問もありましたけれども、私はこの法律はどうしても必要だ、こういう考え方を持っております。
  378. 門司亮

    ○門司委員 政府は必要だとしてお出しになったことだと思いますが、私は長官とけんかする腹もありませんけれども地方の自主性を阻害してまでもこういう法律をこしらえなければならなかった経緯についてはきわめて遺憾な点がある。地方自治法にちゃんとこう書いてある。地方自治法の満足な運用といいますか、履行を自治庁は怠っておるのである。そうしてこういう事態に追い込んでおるのであるから、もし自治庁がとっくにこれに気がついておりますれば、なぜ二百四十五条の三を適用しなかったか。こういうことを予期して自治法の中にちゃんと書いてある。そういうものをたな上げしておいて、自分たちのやったことだから地方自治体にどんな赤字が出ようと——もし赤字が出て困るというならば、この二百四十五条の三を読んでごらんなさい。内閣総理大臣はその資料まで提出させることができると書いてある。こういうことはちっともやらずにおいて、赤字が出たからといって急にあわてて自治権を侵害するような疑いのあるような法律をこしらえる。これについての今の長官答弁ははなはだ不本意である。お前の方でこしらえたといわれるけれども政府にもその責任がある。従ってそういうことをここで議論するわけではありませんが、そういう事態になってきて自治権の侵害だと思われることがしばしば聞かれておりますので、今申し上げておるのであります。  それでは本論に戻りたいと思いますが、三条の五項には「財政再建団体の長は、財政再建計画に基いて予算を調製しなければならない。」ということが書いてありまして、これが議会の権能をある程度まで抑える責任条項になった基本になっていると思いますが、これはここで義務づけられている。従ってこの義務づけられた三条の五項を完全に生かすことのために、議会がもし否決した場合にはこれを不信任とみなすというようなとんでもないことが先の方に出てくるのでありますが、どうしてもこういうことでなければならないのか。今の長官お話にもありましたように、長だけがきめるのではない、議会の協賛を経るのである、従って議会と長というものがこの場合の規定には織り込まれた余裕のあるものにしておかないと困るのではないですか。長が作成しなければならぬと書いてある。これは当該議会なら当該議会なりあるいは当該自治体というようなことに書いておけば、そういうことにならないのではないか。ここは当該自治体であるならば、これは議会と長が一つになっておりますからそういうことは言えると思います。ここに長と書いた以上はさっきのような規定がなければこの規定が生きて来ないから、ああいう規定を書いてあると思います。どうして当該自治体というようには書けないのか。
  379. 後藤博

    ○後藤政府委員 ここに書きましたのは、長に予算編成権がありますのでそういうふうに書いたのであります。再建団体予算を議決しなければならないと書けばおっしゃるようなことになると思いますが、そこまで参りますと、それこそ自治権の侵害ではないかという問題が起きて参りますので、予算提出権だけの問題をここに書いております。予算の議決権までここで拘束するのは行き過ぎではないかと考えります。
  380. 門司亮

    ○門司委員 それはきわめて大きな詭弁でありまして、ちゃんと先で規制しているのではないか。団体がそういうものを調製して持って来い、議会に強制しないで議決して持って来いと書く必要はないと思う。地方公共団体は少くとも財政計画に基いて予算編成して来いということでいいと私は思う。もし今のようなことであるならば、長が予算を提出して、これを議会が否決した場合に不信任とみなすというような穏やかでない文事は使わない方がいい、編成権はあるのである。議決権は議会が持っている。原案執行権は今知事は持っていない。原案執行権を知事が持っているならこれでもいいかもしれません。この法案のねらいは、知事に原案執行権を持たせようという一つ考え方です。先の方を読んでごらんなさい。これを不信任とみなすということを書いてある。決議権を大きく阻害するといいますか、縮めてはいないが、決議権は認めておりながら、実際上議決が困難に陥るようなことを書いているのです。原案執行権を認めようという考え方かここに出てきていると考える。私はそういうことがいけないというのである。従ってここでは、こういう文字を一体どうして使われたかということであります。自治体がこういう予算を調製をしてやるのだというのなら、私はこれはある程度話がわかる。自治体という中には提案権を持つ長とこれを議決する議会と二つありますから、二つの合意の上でこういうものを持っていらっしゃいというのだ。
  381. 後藤博

    ○後藤政府委員 この規定は再建計画と長の持っております予算編成権との調和をはかる規定でありまして、その関係を明らかにするためには、やはりこういう規定が必要なのであります。団体自体の問題ではなくて、予算編成いたしますところの長と再建計画との関係をはっきりさすための規定なのであります。そういう意味でここに載せておるのであります。
  382. 門司亮

    ○門司委員 そうすると編成権を持つだけの長の考え方だとすると、議決権に対する考え方はどうなのですか。決をしなかった場合の処置はどうなるのですか。
  383. 後藤博

    ○後藤政府委員 議会と長との関係はうしろの方に規定があるのであります。議会と長との関係の規定は十一条に載っかっております。
  384. 門司亮

    ○門司委員 いずれこれは十一条のところで議論になると思うから避けておるのです。ここではっきり書いたというような今の御答弁でありますが、議会の議員の審議権というものについて、自治法の中に書いてある範囲を逸脱して、そしてこれを不信任案とみなすというようなことを先に書いている。これは議決権というものをある程度要約し、これを威圧するという語弊があるかもしれませんが、そういう形のものであることには間違いありませんよ。ここにこういうことが書いてあるから、次にああいう事項を書かなければならぬことになった。だから十一条のところでもう少しはっきり聞かなければなりませんが、自治法の中に書いてあることを逸脱しておる。自治法の中にある長の不信任案とみなす場合は二つしかないわけです。伝染病の場合あるいは緊急必要なときに長が処置した場合、その次の議会で否決されたら長の不信任案とみなすということが書いてある。それ以上に今度の法律では、再建整備計画に対して長の出し予算案をうのみにしなければ不信任とみなす。不信任案の裏には何が隠されておるかというと、解散というのが隠れておる。これは、明らかに審議権に対する長の挑戦ですよ。こういう穏やかならざるものが出てきておるのである。従ってそれが出てくる根底がここに書いてあるのである。だから私は聞いておるのであって、こういう字句を使うとこれは次の問題にひっかかってこなければならぬことになっておる。長は提案権だけです。それを議決したものを執行する権利を持っているだけなのです。この関係はどうなのですか。長が調製して持ってこなければならないということは、議決しない前のことですか、ただ計画だけを持ってくればそれでいいというのですか、どういうことなのですか。
  385. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは再建計画と予算との関係を明らかにした規定でありまして、再建計画の誠実なる実施をはかるためにこの規定を入れたのであります。従って長が予算編成権を持っておりますので、予算編成のときには再建計画に基いて予算を調製しなければならない、こういうふうに書いておるのであります。
  386. 門司亮

    ○門司委員 そうしますとこれは私が申しましたように必ずしもきまった問題ではない。計画だけを持ってくればいいので、十一条のところでほんとうに争うのだ、ほんとうのものに仕上げるのだ、ここのところはただ計画だけだ、長はそういう計画に基いて案を立てて一応自治庁に届をするだけである、それから先は十一条でけんかをしなさい、こういうことになるのですか。
  387. 後藤博

    ○後藤政府委員 予算を私どものところへすぐ持ってこいということは出てこないのでありまして、報告は受けますけれども再建計画に基いてそれぞれの団体予算編成して議会に提出をする、こういうことになるのであります。
  388. 門司亮

    ○門司委員 そうするとこの規定はただ、今のお話のように再建計画に基いて予算を調製するだけであって、その他の意味はないのだというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  389. 後藤博

    ○後藤政府委員 その通りであります。
  390. 門司亮

    ○門司委員 そうだとすれば、何を好んで十一条にああいう規定を置かれますか。私はこの規定は要らないと思う。十一条で問題は片づくのではないですか。十一条にちゃんとこれと同じことが書いてある、同じものを出さなければならぬということが書いてあるのだから……。
  391. 後藤博

    ○後藤政府委員 十一条の中にはそういうことが書いてあるわけではありません。十一条の四号には「財政再建計画の達成ができなくなると認められる議決をしたとき。」、こういうふうに書いてある。達成できなくなるような議決をしたときには再議に付する、こういうふうに行くわけであります。
  392. 門司亮

    ○門司委員 だから十一条でこれは足りるではないかと思う。再建整備の達成のできないような規定だということは、この規定と同じではないですか。長はこれと同じようなものを作成して出すことによって、これに反対して出したときにはそういうことに該当するのではないでしょうか。だからこういう規定を入れなければならぬということはわからないのです。ずっと前から読んでごらんなさい。ぽかっとここにこんなものが出ているような気がするのです。前の四項までとこれとの間に、前段の三条の前にカッコ書きで「財政再建計画の承認及び予算の調製」と書いてあるから、ここにこういうものが出てきておるのですけれども、この四項までは主として計画がずっと書いてある、そして一つだけここにこういうものが出てこなければならぬということは、私はどうしてもわからぬ。予算の調製は先の方に出せばいいのではないか。だからここに予算の調製と書いてあるのは、さっき申しましたようにこれにからんで十一条その他の変な規定になっておるのではないかと思うが、そういう意味は全くないのですか。
  393. 後藤博

    ○後藤政府委員 第三条の中に承認の規定と予算の調製の規定が一緒に入ってあるからおかしいとおっしゃるのではないかと思います。別々に分ければいいのでありますが、しかし関連したことでございますので一条の規定にして項を分けたのであります。それ以外に別に他意はございません。
  394. 門司亮

    ○門司委員 そういうことなら一応そういうことにしておきましょうが、読んでおると一カ所だけそういうものがぽかっと出てくるとどう考えてもおかしいのです。そうしてこれが飛び離れて、十何条のところに行ってこれの具体的な処置が書いてある。だから実におかしいのであって、そういう考え方がするのであります。  その次の四条の問題でありますが、財政再建計画の公表の問題であります。ここで条文の説明のときに、たとえば「その要領を住民に公表しなければならない。」と書いてある、住民に公表する要領その他については、大体模範例を書き一応示したいというような説明があったように私は記憶いたしておりますが、もしそういうものがあるならどういうことを考えられておるのか、一応この際示していただきたい。
  395. 後藤博

    ○後藤政府委員 その要領はやはり模範例を示したいと私ども考えております。簡単でわかりやすいような模範例を示していきたいと思っておりますが、まだ完全にその文案は作っておりません。
  396. 門司亮

    ○門司委員 私はここで——これは少し思い過ぎかもしれませんが、これは住民にとってはきわめて重大な問題であります。その自治体が、悪い言葉で言えば準禁治産的の処置を受けなければならないという言葉であります。従って住民にとってはきわめて重大な問題である。自治庁あるいは議会と長との間だけできめる問題でない。きわめて重大な問題であるから、これを公示しなければならないということになっていると私は思う。その条文はそういう趣旨だと私は考える。そうだといたしますと、これらの趣旨の徹底は相当私は必要だと思う。ところが地方自治法の規定には年に二回いわゆる財政白書を出さなければならないということが書いてあるが、こういうことが地方の自治体には十分に公示されなければ実際問題として何らの効果もないのであります。こういうことを考えて参りますと、ただ単に一片の公示しなければならないという方法は私は相当むずかしいと思う。公示という言葉はいいかげんなものと言えばいいかげんなものですが、たとえば例の固定資産税の価格の評価を変えたときなどの公示は、区役所の前に小さな柱が一本立ててあるくらいであって、だれも気のつかないうちに、ああいうものができ上っているのであります。だから役所の仕事というものは往々にしてああいうふうになりがちであると思う。従って住民にとってこれだけ重大な問題を処理しようとする公示は、私はいかなる方法で徹底させるかということが一つの問題だと思う。私はでき得ればこれは議会だけの問題にしないで、やはり住民投票なりなんなりに持っていって、なお五年なり七年の間というものば自由に動けない。借金を返す間は仕方がないというが、自由に動けない自治体をこしらえるのであるから、そういう万全の処置をここで講じたいというので、事例があるなら一つ示してもらいたい。またそちらの方も事例を示したいというお話でありましたが、事例を示してもらいたいと聞いたのだが、事例ができていないということなら構想だけでも一応示しておいていただきたい。
  397. 後藤博

    ○後藤政府委員 要領と申しますのは、再建計画の基本方針のみならず、財政再建に必要な具体的な措置につきましてなるたけこまかく、わかりやすく公表するような模範例を作りたいと思っておるのであります。あまりこまかくなり過ぎると読めないということもあるでしょうけれども住民に非常に関係のありますようなことにつきましては、細大漏らさずその中に入れられるような、わかりやすい方法でもって公示しなければならない、かように考えております。
  398. 北山愛郎

    北山委員 議事進行。どうも外部に相当騒音があるので、その騒音をやめていただくか、あるいはまた暫時休んでいただきたいと思います。そうでないと間違った質問をしたり、間違った答弁をしたりしてはいけない。われわれは落ちついて静かに審議をしたい。こういうように考えますから、委員長においてしかるべくお取り計らいを願います。
  399. 大矢省三

    大矢委員長 速記をやめて。   〔速記中止〕
  400. 大矢省三

    大矢委員長 それでは速記を続けて下さい。
  401. 門司亮

    ○門司委員 今の問題はさっきの答弁で、できるだけということでありましたが、この条文からいくと、この住民に公表しなければならないという段階は、議会にかけられる前の段階だと解釈するのですが、その通りですか。
  402. 後藤博

    ○後藤政府委員 それは四条にありますように、再建計画の承認があった場合においてでありますから、承認のあとであります。きまってからであります。
  403. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、予算すべてがきまってからであって、住民の意思というものはその議会に反映するという機会が失われることになると思うが、その通りですか。
  404. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは再建計画の承認があった場合であります。予算がきまった場合ではないのであります。
  405. 門司亮

    ○門司委員 予算がきまった場合ではなくて再建計画がきまった場合——再建計画がきまれば、その再建計画に基いて予算が立てられなければならないことになっておる。それがいやなら解散することになっておる。従って予算がきまろうときまるまいと、再建計画がきまったときが大体その予算がきまったときであると考えられる。具体的なものは別にして、その範囲内において予算がきまったときである。従って私は一つのワクをはめるという結果になると思うが、もしこういうことをするのなら、その承認を得ない前に一応住民に知らせるという方法はないのか。そうしてやはり住民の意思を尊重するという建前が置かれることが私はいいと思う。一体これはどうなんです。
  406. 後藤博

    ○後藤政府委員 議会にかけまして、そしてきめたものでありますから、一応住民の意思が反映されたものと考えますので、私どもは別に直接住民の意思を問うような方法をとらないで、議会の議決を経たものでありますから、こういう手続だけでよろしい、かように考えたわけであります。
  407. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、議会の議決を経たものであって、住民に対してはいわゆる事後承諾の形でこれは知らせる、私はこういうことになると思う。しかし問題はきわめて重要な問題でありまして、先ほどから申し上げておりますように、もしこれが恒久法であるとするならば、明らかにこれは自治権の侵害であります。私は憲法違反だと思う。だから、臨時法であるから目をつぶってくれというなら、あるいはそういうことになるかもしれない。この法律案が事後に住民に知らせるというようなことでは、住民の意思というものは一体どこで、いつ出てくるかということです。私はさっき申し上げましたように、こういう重要なものは、実際は住民投票なら住民投票できめてもいいと思っている。そこまでいかなければ、ほんとうの仕事にはならないのではないか。これは自治庁でもよく考えてもらいたいと思うが、今日の自治法の建前、憲法の建前が従来の団体自治の理念ではないということです。団体自治の理念よりも住民自治の理念の方がむしろ強い。従って住民の意思決定というものはきわめて重大だということです。だから、通常の運営をする場合には、これは議会の代表がきめたといっても差しつかえないと思うが、しかしこの問題は町村合併にほとんど匹敵するような問題であって、やはり住民の意思決定が十分反映する機会を与えたいと思う。従ってここで事後承諾を与えるというようなことについては、私は意見が対立するのでありますが、自治庁はそれでもいいというようにお考えになるならば、どういうわけで事後承諾でいいのか、もう一度聞かしてもらいたいと思います。
  408. 後藤博

    ○後藤政府委員 事後承諾ではなくて、住民の意思は議会に反映し、その議会において議決されたものであるから、そのきまったものを公表するということにしておるのであります。門司さんのお考えのように、住民のそれぞれの意思を聞くという方法もあるかもしれませんが、しかしこういう再建計画のような複雑な計画は、そういう住民投票にするような計画ではない、それには不向きな計画ではないか、かように考えておるのであります。
  409. 門司亮

    ○門司委員 問題が不向であるとか不向きでないとかいうのではない。事の性質です。この計画が実行されてくると、何といっても議会は制約されることに間違いがないのである。議会がある程度制約されて、そうして自由な意思決定というものが制約される。だからこれは見ようによっては、住民の意思が十分に反映する機会をやはり持たせるということが、住民自治の建前からいけば正しいのではないか。従来の団体自治の理念だけで、主として国の仕事を中央官庁の指揮、命令、監督を受けて処理するというならこれは別の話なんです。今はそうじゃないのです。住民みずからの意思決定である。従ってこれはみずからの権限、みずから持っておりまするところの住民としての権限にある程度の制約が加えられるのである。だから住民の持っておる基礎的な権限に制約を加えようとするようなこういう法律は、やはり事前に住民に納得させるということの方が私は正しいのではないか。だから長は、この団体はこういう赤字が出ておるから、一応一つこういうことで再建計画を立てたいと思うというようなことを、住民投票によらなくてもよいかもしれぬが、一応住民に知らして、その上で議会を開くなり予算なら予算編成をするというようなことの方が望ましいのではないかということを聞いておるのである。ややこしいからこんなものは知らせない方がいいというなら、何も知らせない方がいい。今のお考えでは住民自治の考え方はどうなるんですか。あなたの方でそういう答弁をするなら、憲法の九十二条は何を規定しておるのです。住民の自治の保障をしておるのでしょう。あれは単なる規定ではない。私は住民の自治権に対する保障だと考えておる。憲法はすべて保障するものである。しかしこの憲法に対して抵触をしようとする疑いのあることが、この法律の中にたくさん書かれておる。憲法が国民に対して保障した権限を侵そうとするような疑いのあるものについては、できるだけ親切に住民の意思を反映する機会を与える方がいいのではないか。議員が住民の意思を代表しておるからといってそう簡単に片づかぬと思う。もしそういうあなたの方の御答弁なら、さかのぼって聞きますが、一体自治庁は憲法九十二条をどう解釈しておりますか。住民の権利を保障しておるものと私は解釈するのでありますが、保障していないのか、しているのか、それをはっきり答弁してもらいたい。
  410. 川島正次郎

    川島国務大臣 門司さんの御意見のように、地方団体にとりましては、きわめて重大な問題でありまするからして、住民の意思を問うということは確かに一つのお考えだと私は思うのであります。しかし今日の自治体は、長も公選によりますし、また議会も公選でありまして、住民の意思は長なり議会なりに反映しておるのでありますからして、長並びに議会が一致して決定したことは一応住民の意思と考えていいのではないか。しかしこういう問題を長期にわたって遂行しますのには、住民の協力が要りますので、協力を得るためにもこれを公表する、こういうことになっておるわけであります。ただし同じ公選であるところの長と議会とが、意思が違ってお互いに衝突した場合には、これは違った処置をする必要があるというので、この十一条の規定があるわけであります。私は第四条の規定と第十一条の規定と、両方とも規定して差しつかえない、またこれが適当だと考えております。
  411. 門司亮

    ○門司委員 適当だと考えるという言葉でありますが、今の大臣のお言葉の中にも両方とも公選であるからいいと言われておりますが、私は両方とも公選であるからいいという理屈は立たぬと思うのであります。自治法を読んでごらんなさい。ちゃんと書いてある。住民は長の解職権があります。議員の解職権を持っております。一応信頼することはできますが、しかし気に入らなければ解職権がちゃんと自治法に認められておりますから、絶対にまかしておるわけではありません。リコールの制度がちゃんと自治法の中に書いてある。このリコールの制度を何で一体認めたのか。これは住民自治の建前からくる、住民が行政に参加するという建前からくることのために、憲法の九十三条に長と議員さらに法律で定める者については公選にするということが書いてあります。しかしそれは一つの建前にそういうふうに書いてあるのであって、九十二条に規定している住民の権利義務というもの、あるいはそれ以前にある憲法のすべての権利義務というものはこれにはとらわれないのである。従って、自治法の中にはさっき申し上げておりますようにリコールの制度がちゃんと設けてあるから、住民が選んだからといって、気に入らなければリコールができるのであります。決して一切まかしておるわけではない。もし長官がそういう御答弁であるならば、この自治法に書いてあるリコールの制度は何で設けたか、こういうことを私は聞きたくなるのであります。私は、そういう角度でものを議論されるということになって参りますと、だんだん問題が発展していって、そう問題が簡単に片がつかなくなってくると思う。これ以上私はそれをどうこうというやかましいことは申し上げませんが、私どもとしては、こういう規定にするよりも、むしろ事前に住民に一応公表して住民投票とまではいかなくても一応公表して、世論というものがやはり議員なり長なりに反映して、その後にこういうものをきめるべきだ。きめられたことを住民に知らせることがいい、そうして協力してくれということは、これはさかさまであります。きめられたものを変更するわけにはいかぬでしょう。そうしてそういうものをきめたことがけしからぬといって、リコールをやるわけにはいかぬでしょう。あるいはリコールをやらせることがあるかもしれぬが……だから私はそういう問題だから聞いておるのであって、今の長官のような御答弁では、私は承服しかねるのでありますが、これもそう長くそういうことを議論しておっても始まらぬと思いますから、私の意見だけを申し上げておきます。  最後に私が聞いておきたいと思いますことは、この再建促進法町村合併との関連性の問題であります。町村合併をし、町村合併を行おうとする場合に、再建促進法の適用を受けておる市町村と受けていない市町村との合併に対してはどういう構想をお持ちになっておるのか、この点について一応お話しを願っておきたいと思います。
  412. 後藤博

    ○後藤政府委員 合併町村合併しない町村との間に差別はございません。一の町村再建計画を立てております場合に、他の町村再建計画のない場合には、合併いたしましてあらためて再建計画の全体の承認を得なければならぬ、こういう問題が出てくると思います。
  413. 門司亮

    ○門司委員 これは非常にむずかしい問題で、私はその規定がこれにないので最初からおかしいと思って見ておったのだが、町村合併促進法の中には、税金などについてもいろいろこまかい規定をいたしております。税金をふやしてはならない、従来よりよけいな負担にしてはならない、いわゆる事は税金をよけいとれということでなくて、町村合併をしたからといって税金をふやしてはならない、こういう規定になっておると思う。従って片方の団体はちゃんと制約を受けております、片方の団体は制約を受けてないのであります。これで一体合併できるかどうか、何も制限がないからといって合併した場合は計画を立て直さなければならないという規定も何もないのであります。そうすると、これは人格が全然変るのであります。今までの人格と人格が変ってくる、従って人格の変った場合はこれを破棄することができるかどうかということであります。
  414. 後藤博

    ○後藤政府委員 町村合併の場合には、二十六条の規定がございまして、市町村の廃置分合または境界変更があった場合には政令でもって法律の施行に必要な事項を定めるということにいたしております。
  415. 門司亮

    ○門司委員 政令で定められますか。片方は法律できめておるのです。法律できめておるのを、政令でこれを直そうというのですよ。こういうむずかしい問題が出てくるのです。法律できめたものを政令で直せるということはえらいことですよ。それこそ問題がとんでもないところへ出かけると思うのです。政令はやはり法律の範囲内です。ところがこの法律の範囲内の政令でやると言うのだけれども町村合併の方はちゃんと法律できまっておるのである、そうしてこれは人格が変るのであります。今までの町が市になったり、村が町になったりする。人格が変るのだから必然契約はなくならなければならぬわけです。それについては一体どうお考えになるか。なくなるということですか。
  416. 後藤博

    ○後藤政府委員 町村合併が行われました場合には、二十六条に法律でもって政令に委任することになっております。こういう規定がございますので、政令でこまかく書きたい、こう考えております。
  417. 門司亮

    ○門司委員 もし政令で逃げられるなら、政令の内容一つ調べておいてもらいたい。私はここで法律に入れておかなければだめだと思う。単に二十六条というずっと下の方ですが、上とか下とかいうことは別にして、政令にゆだねるというようななまやさしいことをしておったら、えらい問題になりますよ。これは町村一つの大きな問題でありますから、入れるなら一体なぜここに入れておかなかったか。合併について住民投票にまで持っていけるように入れるならこの規定の中にやはり入れるべきであると私は思う。そうして住民の意思決定というものはこの辺で一応きめておくべきだ、こう考えておったが、どういうことでそうなっておるか。当然この中に「財政再建団体自治庁長官の承認を得て財政再建計画を変更した場合においても」とやはり同じような取扱いをする、これは当然こういうところに入れておくべきものだと思うのですが、どういうわけなんですか。
  418. 柴田護

    ○柴田説明員 町村合併の場合でございますが、町村合併の場合は、この法律案の二十六条の規定に基きまして、政令でその詳細を書くわけでありますが、お話のように、町村合併の場合認められますところのいろいろな特例事項、町村合併促進法に書いてあります特例事項というものは尊重する建前になるだろうと思います。荒筋を申し上げますと、いわば新設合併の場合でございますが、新たな形で地方団体できました場合におきましては、その間、全く新しい人格の団体でありますので、再建計画というものは新しくやり直すことになっております。吸収合併の場合におきましては、新たに吸収いたしました限りにおきまして財政再建計画の変更の問題が生じてくるだろうと思います。
  419. 門司亮

    ○門司委員 変更の問題の生ずることはそういうことになるのでありますが、従って、私が聞いておりますのは、やはりそういうものは法律ではっきりすべきだということであって、これは、変更すると言いますけれども、実際からいって変更じゃないのですよ。新たなる事態になるのです、人格が変ってくるのですから……。人格が変ってくれば、新たなる規定がここに設けられなければならないと私は思う。今までのことはみんなだめになってしまう。新たなる団体になるのじゃないですか。やはりそれを継続しなければならぬという理屈がどこにかあるのですか。
  420. 柴田護

    ○柴田説明員 財政再建団体財政再建団体でない団体合併した場合におきましては、いわば吸収合併でございますが、その場合には、財政再建計画の変更になる……。
  421. 門司亮

    ○門司委員 なくなるのか、なくならないのか。
  422. 柴田護

    ○柴田説明員 財政再建団体はあるわけでございます。吸収合併の場合は、新しく入ってくるものは財政再建団体でないわけでございますから、当然に変更の問題が起ってくる……。
  423. 門司亮

    ○門司委員 逆の場合は……。
  424. 柴田護

    ○柴田説明員 逆の場合は新たな見地から考え直さなければならぬと思います。
  425. 門司亮

    ○門司委員 だから、逆の場合といいますか、再建団体合併されて、そうしてそれが人格が全然変ってくる場合ですよ。同じ村である場合には人格が変りませんから……。しかし町になる場合には人格が必然的に変ってくるのであります。吸収合併の場合には人格が変らないかもしれぬ。しかし今までの、たとえばこの間あった上山市みたいに、町だったがみんな集まって市になってしまった。だから人格は全然別だという考え方が出てくる。人格が別なら、今までのその個々の村が契約しておったものは一応御破算になるべきだと私は思う。そういう規定がこの中に書いてないから、そういうことまで政令にまかせるということになるとえらいことになるので、入れるならこの辺へそういうものを入れておかないと、先に行って困りはしないか、こう私は考える。
  426. 柴田護

    ○柴田説明員 お説の通りだと私は考えます。そういうことをこの法文でしておるのではありませんで、合併されました場合に財政再建団体がどうなるか、あるいは税の条例がどうなるかといったことを考えておるのでありまして、大体の御趣旨は門司さんのおっしゃる御趣旨とそう変っていないと思います。
  427. 門司亮

    ○門司委員 実際は非常に変っているのですよ。引き継ぐことはいいのです。そういうことがあるとかどうとかで、税金がどうなっているとかなんとかいう具体的な問題については、いろいろ問題があると私は思う。しかし一応これは破棄することができると思うのです。少くとも人格が変った以上はやれると思うのです。だからそういう規定を承認した、こうはっきりしたここを変更するとかしないとかいうところの規定が、せっかく五条までの間に書いてあるのだから、この間になぜ入れなかったかということなんです。
  428. 柴田護

    ○柴田説明員 その問題はお考え通りでありまして、人格が変れば御破算になるのは法律上当然だろうと私ども考えております。その規定を入れなかったことは法律上当然読めるから入れなかったのであって、ただその場合に負債まで入れるかとかなんとかいう問題が起ってくるわけでございます。そういう場合手続規定というものはやはり政令になるのではないか考えて入れなかったのであります。
  429. 門司亮

    ○門司委員 だからなぜ入れなかったか、こういうことなんです。それは合併した場合御破算になるということですね。当然だということなんですね。人格が変ったりすればそうなる。ただしあとの起債や何かはあとの新しいものが引き継ぐ、これは具体的な問題だから、それはそれでいいと思います。借金したのを合併したからといってみな御破算にするわけには行かぬでしょうから、これはやむを得ぬと思う。しかし当然だからこれを入れなかったというのは言いのがれというか、そういう解釈としてはそれでいいと思うのだが、どうもその辺がおかしいから聞いたのです。  それから最後に聞いておきたいと思いますことは、五条の規定でありますが、五条の規定の中に「各省各庁の長に通知しなければならない。」ということが書いてあります。この五条の規定とさっき問題になりました三条の二項の規定でありますが、二項の規定は協議がととのわなかった場合にはどうにもしょうがないということ、それから協議がととのえばそれでいいということになっておる、従って協議がととのった場合は、私はこういう条項は実際上の問題としては要らないのではないかと考えます。この条項こそ重複していはしないかというように感ずるのでありますが、やはりこういう条文がないとぐあいが悪いですか。
  430. 後藤博

    ○後藤政府委員 おっしゃるようなことになるのでありますが、私どもとしてはちゃんとした規定の土で全体計画を各関係省に通知いたしまして、協力を得たいと考えてこの規定を入れたわけでございます。
  431. 門司亮

    ○門司委員 今までに一条から五条までの一応の意見を聞いたのでありますが、中で私どものふに落ちないのは憲法に関する関係でございます。従ってこの問題についてはあすでも法制局長官にでも来てもらいまして、なおこの先の条文にも憲法の問題が出て参りますので、一つ真意をよくただしたいと思いますから、委員長はそういう取り扱いをしてもらいたいと思います。
  432. 大矢省三

    大矢委員長 承知いたしました。
  433. 門司亮

    ○門司委員 明日はぜひ大蔵大臣に一応来てもらう。これらを一つ委員長にお願いしておきまして私の質問を一応終ります。
  434. 北山愛郎

    北山委員 私も憲法違反の問題についてはさらにお伺いしたかったのでありますが、ただいまのお話でありますから、明日この問題については一つ質問を行います。  それからなお一条から五条までの間で小さい問題ですが、滞納整理計画、現在地方団体税金の滞納額は幾らくらいになっておりますか。またその滞納の徴収率というものは実際にどのくらいの率になっておりますか、それをお伺いしたいと思います。
  435. 後藤博

    ○後藤政府委員 滞納額はラウンド・ナンバーで申し上げて申しわけないと思いますが、約六百億くらいあるのではなかろうかと思います。それから滞納の徴収率というものは個々の団体によって非常に異なっておりまして、非常にいいところは五〇%くらい滞納の徴収をやるところもありますが、これは相当滞納の多い場合であります。前年度分の徴収成績が九六とか九七とかいう団体におきましては、滞納というのはほんとうの滞納でありまして、この徴収率は非常に悪くなる。普通われわれは三〇%以上滞納をとるような指導を従来いたしております。
  436. 北山愛郎

    北山委員 私も過年度の税の徴収ということはなかなかむずかしいと思うのです。ですから四〇%以上ということは、基準としては少し辛いのではないかと思うのです。そういたしますと自治庁としては一応四〇%とするけれども、しかしそこには三〇%とか多少弾力性はある、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
  437. 後藤博

    ○後藤政府委員 おっしゃいます通り私は税目によって変えるべきだと思います。どの税がどの程度滞納になっておるかによって徴収率を考えていくべきでありまして、総体的に申しますならば大体四〇%、各税目別には多少のニュアンスがあってしかるべきだと考えております。
  438. 北山愛郎

    北山委員 それから先ほど問題になった三条の二項ですが、関係各省との協議の問題、これについて関係各省ではいろいろ意見があるというお話でありましたが、厚生省あるいは文部省においてはどういう考えであるか、これをお伺いしたい。
  439. 後藤博

    ○後藤政府委員 この条文自体については厚生省、文部省も異存はございません。
  440. 北山愛郎

    北山委員 最後に先ほど門司さんが聞かれました町村合併と本法案との関係は非常に重要だと思います。あとで二十六条の問題になると思いますが、明日審議を続けられる模様でありますから、一つその政令案のしっかりとした内容でなくてもいいのですが、政令の内容として盛らるべき事項について一つあしたお示しを願いたいのです。これは町村合併促進法との関連において、やはり技術的には非常にむずかしい、単純に吸収合併ならこうだ、あるいはどうだというようなことは一概には言えますけれども、こまかい点をいろいろ含んでおりますから、将来出すべき政令案の事項について用意をされて、そうしてあしたの審議に臨んでいただきたい。これを要望いたしまして五条までの私のきょうの質問を終ります。
  441. 大矢省三

    大矢委員長 それでは五条までは審議を終ったことにして、何かありますか。
  442. 五島虎雄

    ○五島委員 五条まで終ったことは異議ないのです。  それで簡単に僕は要望をしたいと思うのですが、先週相生市の問題でいろいろ御意見を承わり、要望もしておいたわけですが、聞くところによると、自治庁は市長をお呼びになったということです。そうして調査課でいろいろと調査された、相談されたということも聞いておるわけです。そこできょうは時間がおそうございますし、またいろいろ検討もされなければならないと思いますので、あすその結果の御報告をお願いいたしたいと存じます。これだけです。     —————————————
  443. 大矢省三

    大矢委員長 それではこの際連合審査会の件についてお諮りいたします。すなわち午前中の理事会におきまして、地方財政再建促進措置法案について、文部委員との連合審査会を明二十日午前十時より開会することに申し合せいたしたのでございますが、理事会の申し合せ通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  444. 大矢省三

    大矢委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  それでは本日はこの程度にいたしまして、明日は公報をもってお知らせいたします。散会いたします。    午後八時十一分散会