○
後藤政府委員 簡単に条文を追いまして御
説明申し上げます。
第一条はこの
法律の趣旨を書いたものでありまして、「この
法律は、
地方公共
団体の
財政の
再建を促進し、もって
地方公共
団体の
財政の健全性を確保するため、臨時に、
地方公共
団体の行政及び
財政に関して必要な
特別措置を定めるものとする。」ということでありまして、臨時的な立法であるということを明確にいたしておるのでございます。
第二条は
財政再建計画の策定をこまかく書いております。第二条の第一項は、二十九
年度の
赤字を
基礎にするということであります。二十九
年度の実質上の
赤字を
基礎にするという
意味を条文で書いております。一枚めくりまして「当該
昭和二十九
年度の
赤字団体の議会の議決を経て、その旨を政令で定める日までに
自治庁長官に
申し出て、」政令で定める日までというのは、
再建計画の
提出は終期を政令で定めたい。三十一年三月三十一日にいたしたいと
考えております。三十
年度以降の
赤字につきましては、翌
年度の九月三十日を大体終期にいたしたい、かように
考えております。この
再建計画は
申し出によってやるということにいたしました。指定日制度をとっておりますことは、他の農業
団体との
再建整備の場合にも、やはり指定日の制度をとっておりますので、指定日の
考え方を取っている、これは
基準日という
意味であります。それから第二項は
赤字は
一般会計の
赤字を主として言うのであって、以下申します特別会計を除くのである、こういう
意味でありまして、一、二、三で特別会計をここであげております。第一号は
地方公営企業法の適用を受けるところの特別会計、それからこれは全部適用を受けるものと一部適用を受けるもの両方の場合を書いてございます。それから第二号は
地方財政法にも、第六条にやはり公営企業法の規定がございまして、施行令の十二条にやはりこまかい公営企業の種類を書いておりますが、それもやはり除く。第三号は前項に掲ぐるもののほか政令で定めるもの。これは現在のところ国民健康保険特別会計を予想しております。これは繰り出し金につきましては、やはり
一般会計からの繰り出し金につきましては
赤字額の中に入って参ると思いますが、特別会計の中の
赤字は別なものであるということであります。それから第三項は
再建計画の
内容であります。「
財政再建計画は、指定日の属する
年度及びこれに続くおおむね七
年度以内に歳入と歳出との均衡が実質的に回復するように、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。」こういうことにしております。これはつまり本年をあわせて八年間の計画にするようにということでありまして、おおむねと書いてありますのは、八年間で済まないものもありましょうから、おおむねという字を使っております。それからただし書きの方は、毎回御
説明申し上げましたように、標準税率以上の税率で課したり、法定外の普通税を起したりする場合には、特に必要と認められる場合に限るのでありまして、必要なる要件ではないということであります。それからその次の第一号の
財政再建の基本方針と申しますのは、
再建の期間でありますとか、
再建の促進に関する方針でありますとか、そういう大きな方針を基本方針と申しております。それから第二号は歳入、歳出の増減額でありますが、必要な具体的な
措置及び増減額について必要な事項を並べております。イは経費の節減計画を立てる。これは歳出と歳入とが均衡を保つことを目標とする。経費の節減計画を目標とするという
意味は、
最初の
年度から黒字を出すことは不可能な場合が相当ございますので、半
年度の
赤字もまたあり得る、こういう
意味であります。当初においては半
年度の
赤字もあり得るということで目標という言葉をあえて使っております。それからロは租税その他の収入の徴収に関して通常の成績以上に高めるための計画及びその実施の要領でありますが、これは通常の成績以上と申しますのは、これも
説明をたびたび申し上げましたが、大体の全国平均の成績を申しているのでございます。別の言葉で申しますと経済
状況その他立地条件類似の他の
団体の平均徴収率、こういうものもやはり標準にいたしまして、通常の成績以上に高めるための計画を行わなければならないということにいたしております。その次のハは滞納税収入その他の収入の徴収の計画及びその実施の要領、これは前回申し上げますように大体四〇%
程度にいたしまして、もちろん税目ごとにそのパーセンテージは違ってくると思います。それから二は、これは先ほど申しましたように標準税率以上の税率で課したり法定外の普通税を起す場合の規定であります。それから三号は「指定日の属する
年度以降第十二条の規定による
地方債の償還を完了する
年度までの間における各
年度ごとの歳入及び歳出に関する総合的計画」。四号は第十二条の規定による
地方債の各
年度ごとの償還額、五号は「前各号に掲げるもののほか、
財政の
再建に必要な事項」これはたとえば
委員会等の
事務の簡素化をやりますとか、既存のいろいろな条例の存廃の問題でありますとか、
予算外の義務負担の再検討とか、そういうふうな問題がございますので、
財政の
再建に必要なる事項というふうにしております。第四号は、これも問題になります勧告の規定でありまして、一定額以上の
赤字の
団体に対して
財政再建を行うべきことを勧告することができるという規定でございます。
第三条は、
再建計画の承認及び
予算の調製の規定でありまして、第一項は
財政再建計画は、
昭和二十九
年度の
赤字団体の長が作成して議会の議決を経て
自治庁長官の承認を得なければならない。「この場合において、
自治庁長官は、その
財政再建計画による
財政の
再建が合理的に達成できるように、当該
財政再建計画に必要な条件を付け、又は変更を加えた上、当該
財政再建計画を承認することができる。」これは前回申し上げまするように、
公募債地方債等の
財源を過度に期待しているかどうか、または義務費について過度の節減計画を立てているかどうか、そういうことを検討いたしまして、もしも大きな計画の間違いがありますれば、もちろんもう一度やり直してもらわなければならぬが、多少の修正を要する点がございまする場合には再
提出により
手続が煩瑣になりますので、そういうことも
考えまして必要なる条件をつけたり、変更を加えたりした上に承認するということにいたしておるのであります。第二項は
再建計画を承認しようとする場合に、
再建計画のうちに国の各省庁の長の所掌する事業で国が負担金、補助金その他これに類するものを支出するものにかかる部分が含まれているときは、あらかじめ当該負担金等にかかる事業を所掌する各省庁の長に協議しなければならない、という規定でありまして、これは各省のつまり国の仕事に非常に
関係がございまするので、そういう事業を特に縮小しようとするにつきましては、やはりそれぞれの
関係のお役所に相談をして、相談がまとまった上で実行に移す計画を承認する、こういう規定でございます。それから第三項は
再建計画の変更の場合についても、やはり承認の規定を準用するということであります。軽微な変更でありますればもちろん変更を要しないのでありますが、著しい変更をする場合には同じ
手続をとらせるのであります。四項は、緊急やむを得ない理由によって異常の支出を要することとなったために
再建計画を変更の必要が生じた場合に、
自治庁長官の承認を得るいとまがないときは、事後においてその承認を得なければならない。これは大規模の騒擾事件が発生したり、伝染病が大規模に発生いたしましてやむを得ない支出を緊急に要する場合には、事後承認でよろしいということでございます。第五項は、「
財政再建団体の長は、
財政再建計画に基いて
予算を調製しなければならない。」これは
再建計画と
予算との
関係を明らかにして、
財政再建計画の誠実な実施を担保せしめようとするために、こういう規定を置いたわけであります。
それから第四条は、住民の協力を得るために
財政再建計画の公表をしなければならない規定であります。この要領は、できれば模範例を示したいと
考えております。
それから第五条は、
再建計画の承認の通知であります。これは
自治庁長官は、承認をいたしました場合には、各省庁の長にそれぞれ
再建計画の
内容を通知するということにいたしてあります。それから第二項は、
市町村の
再建計画の場合には、その旨を都道
府県知事に通知するという規定であります。
それから第六条は、国、他の
地方公共
団体及び公共的な
団体の協力の規定でありまして、
財政再建計画の実施につきまして、
再建団体に国その他の
地方公共
団体及び公共的な
団体の協力をしてもらいたいという規定であります。
第七条は、国の直轄事業の実施に関する
自治庁長官への通知の問題であります。これは各省の長は、いわゆる直轄事業であります土木事業、その他政令で定める事業と申しますのは、これは直轄事業であります。直轄事業は、「
財政再建団体に負担金を課して国が直轄で行おうとするときは、当該事業の実施に着手する前に、あらかじめ、当該事業に係る経費の
総額及び当該
財政再建団体の負担額を
自治庁長官に通知しなければならない。」これは直轄事業の量が
再建団体の
再建計画に非常な影響がございますので、直轄事業の事業量と経費負担実額とを各省から通知してもらいたいということであります。
第八条は、長と
委員会との
関係でありまして、これも先ほどから御議論のございました点でございます。これは、「
財政再建団体に執行機関として置かれる
委員会及び
委員並びに
委員会の管理に属する機関は、その所掌事項のうち、
財政再建計画達成のため必要な
予算の執行その他政令で指定する事項の執行については、あらかじめ、当該
財政再建団体の長に協議しなければならない。」ここで「政令で指定する事項」と申しますのは一言で申しますと、支出負担行為に該当するようなものでありまして、もっと申しますと職員の任免、昇給昇格に関する
一般的な方針、それから
予算外の義務負担契約の締結でありますとか、学校の新設でありますとか、そういうものを政令で指定することにいたしております。つまり
財政負担が生じますような事項については、あらかじめ協議してもらいたいということであります。
それから第九条は、都道
府県の教育
委員会と
市町村教育
委員会との
関係の規定でありまして、これは現在の制度のもとにおきましては、都道
府県教育
委員会と
市町村教育
委員会との間に任命権と
財政権とがわかれておりますので、その調整をはかった規定であります。第一項は、
市町村ごとの定数につきましては都道
府県の教育
委員会があらかじめ
市町村の教育
委員会の
意見を聞いて定めるということにいたしております。
それから二項は、給料その他の給与につきまして、条例の実施につきまして
一般的な指示ができる。都道
府県の教育
委員会は、
市町村教育
委員会に対して
一般的な指示ができるという規定でございます。これも先ほど申しました任命権と
財政権との調整をはかっておる規定であります。
それから第十条は、
事務局等の組織の簡素化の規定であります。これは、「
財政再建団体は、他の法令の規定にかかわらず、」、「他の法令」と申しますのは、自治法でありますとか、警察法でありますとか、教育
委員会法、
地方公務員法、労働組合法等でありますが、そういう規定にかかわらず「
財政再建計画で定めるところにより、それぞれ条例、規則、当該
財政再建団体に置かれている
委員会若しくは
委員の定める規則その他の規程で、議会、長又は当該
委員会若しくは
委員若しくは
委員会の管理に属する機関の
事務局、局部その他の
事務部局の部課の数を減ずることができる。」これはもちろんそれぞれの規定でやるのでありますが、他の法令の規定にかかわらずこういうことができるようにいたしております。
第二項は、「長の
事務を補助する職員を議会の議長若しくは
委員会等の命を受けて議会若しくは
委員会等の
事務局等の所掌する
事務に従事させ、」逆の場合の兼務も認める。
地方自治法第百八十条の三の規定にかかわらず、この規定は、吏員等の他の執行機関の職務の兼職
事務の規定でありますが、もちろん
申し出による場合でありますが、その規定にかかわらず
再建計画で定めれば双方の兼職ができるということであります。
それから十一条は、長と議会との
関係の規定であります。長と議会の一体性の確保の
措置をとっておるのであります。この条文についてはいろいろ御議論があるのでありまして、一部には
原案執行制度の復活をしてもらいたいというふうな議論もあるのであります。知事会はそういうふうな
意見を出しておりますが、それはちょっと行き過ぎでありますので、十一条のような規定にいたしたのであります。
第一項は、
財政再建の
申し出に関する議案を否決したり、
再建計画の議案を否決したり、
財政再建計画の変更に関する議案を否決したり、また
再建計画の達成ができなくなるような議決をしたときは、再議に付することができるということであります。
第二項は、再議に付してなおかつ同様な否決または議決があった場合には、当該議決を不信任の議決とみなすことができる。自治法再七十八条の条文だけでは不十分でございますので、こういう規定を設けた次第であります。
それから第三項は、不作為の場合でありまして、議決をしない場合であります。しない場合もやはり同様の
措置をとるという
措置ができる、こういう規定であります。
それから四項は再
提出の規定で、やはり不信任とみなすことができるという規定であります。
それから第五項は、自治法の解散でありますとか失職の規定の準用の規定であります。
それから十二条は、
財政再建債の規定でございます。この三行目の「
財政再建計画に基く職制若しくは定数の改廃又は
予算の減少により
退職した職員又は
市町村立学校職員に支給すべき
退職手当の
財源に充てるため、」に
地方債を募集することができると書いております。前の
退職職員の規定は、いわゆる
行政整理による
退職職員であり、それから第二項は、
財政再建債の
内容でありまして、これも先ほど御質問がございましたときに
説明申し上げましたので、省略いたします。
それから第三項の規定は、これは
公募債の規定であります。「国は、
財政再建団体が第一項の規定により起した
財政再建債のうち国以外のものが引き受けたもの」つまり
政府資金以外のいわゆる
公募債につきましては、「
昭和三十
年度以降において当該
財政再建債の債権者の申出があったときは、
資金運用部
資金又は簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金の
状況に応じ、百五十億円を限度として、なるべくすみやかに、当該
財政再建団体が直ちに当該債権者に係る
財政再建債の償還に充てることを条件として、
政府資金を当該
財政再建団体に融通するようにするものとする。」百五十億を本明年中に振りかえるという規定であります。
それから十三条の規定は、
財政再建債の償還の規定でありまして、これは
再建計画に応じまして、指定日の属する
年度の翌
年度以降おおむね七
年度以内に償還する。それから
退職資金債につきましては、その年及びそれ以降三カ年内にそれぞれ償還をする、こういう規定であります。
第十四条は、
財政再建債の許可の規定であります。これは
地方自治法の二百五十条の規定にかかわらず、
自治庁長官の許可を受けなければならない。これは特殊の規定でありますので、特別に例外的に設けた規定であります。その場合に、
大蔵大臣に協議をすることになっております。
それから十五条は、
再建債の
利子補給、これも先ほどから御議論のありました、六分五厘をこえるものに二分の
利子補給をするという規定であります。
それから十六条は、
財政再建債の消化促進
審議会の規定でありまして、
再建債の消化を促進する、主として
公募債の百五十億の促進のために
審議会を設けるわけであります。これは諮問機関でありまして、
意見を申し述べるということになっております。
委員の構成はそこに羅列してございます。主として金融
関係の方々に集まっていただくつもりでおります。
それから十七条は、国の負担金等を伴う事業に対する特例であります。これも前々
説明いたしましたが、「
財政再建団体のらち次の各号の一に該当するものが行う国の負担金等を伴う国の利害に重要な
関係がある事業及び国が当該
財政再建団体に負担金を課して直轄で行う事業で政令で定めるものについては、当分の間、政令で定めるところにより、当該事業に要する経費の負担割合について、特別の定をすることができる。」第一号は、「
財政再建計画に基く
財政の
再建が完了するまでに五
年度以上を要する
財政再建団体」、第二号は、「前号に掲げるもののほか、第二条第二項に規定する
一般会計又は特別会計に係る当該
年度の前
年度末現在における
地方債の現在高が
地方交付税法第十一条の規定により算定した当該
年度の前
年度の
基準財政需要額に政令で定める率を乗じて得た額をこえる
財政再建団体」、これは
再建団体でありましても、国の利害に重要な
関係のありますところの事業につきましては、やはり事業をやらないというわけに参りません。一定規模の事業量で仕事をやらせるという規定であります。前の方の事業で、政令で定めるものと申しますのは、河川とか道路、港湾、そういうふうな事業の種類をここでは
考えております。それから「当分の間、政令で定めるところにより、」と申しますのは、これが補助率を引き上げる政令であります。
その次の一号、二号は、一定の
団体と申しまするのは、
財政再建計画を五年以上要する
団体、これは二十八
年度の
決算で私
どもが見ますると、大体県で十二ばかりございます。それから市で五十二ばかりございます。
町村は、はっきり今のところわかりません。それから二号の方は、
地方債の現在高が非常に多くて、その償還が非常に多い
団体でありまして、率を
基準財政需要額の大体一・三倍くらいに
考えておりまして、その額とその
赤字団体との
関係でありますが、一・三倍にしますと、県で申しますと八県、市は、こまかい
計算はしておりませんが、市も相当あると思っております。そういう
団体について、一定の事業については補助率を上げよう、こういう規定であります。
それから十八条は、助言、勧告その他の必要な援助の請求という規定であります。
それから十九条は、報告及び公表の規定であります。
二十条は、監査の規定であります。
二十一条は、いろいろ御議論のありました監督の規定であります。第一項の終りの方に、「
財政の運営について必要な
措置を講ずることを命ずることができる。」こういうふうにしております。これは税の徴収成績の向上をはかるとか、滞納
整理をもう少しやるようにとか、手数料、使用料の確保をはかるようにしてもらいたいとか、そういうふうなことを必要な
措置という言葉で概括してここで申しているのであります。
第二項の規定は、
地方行政または
地方財政にかかる制度の
改正その他特別の理由によりまして、計画を変更する必要があります場合には、やはり変更を命ずることができるという規定であります。
第三項は、そういう命令に従わなかった場合は、
利子補給を停止したり、
起債の許可をしないということでありまして、これもいろいろ御議論のあった点であります。
それから二十二条は、
財政再建債を起さないで行う
財政の
再建規定であります。
再建債を、つまり金を借りないで
再建をいたしたいという
団体があります場合には、ここにありますように、十二条から十五条、つまり
再建債の規定であります。十七条と申しますのは、国の負担金等を伴う事業に対する特例の規定であります。前二条というのは監査、監督の規定であります。そういう規定は適用をしない、それ以外の規定を適用する、こういうふうにいたしております。
それから二項は、三十
年度以降の
赤字団体の規定でありまして、そういう
団体は、やはり三十
年度以降においても
財政の
再建を
申し出ることができるという規定であります。
それから二十三条の規定は、
昭和三十
年度以降の
赤字団体の
地方債の制限等の規定であります。これは、「
昭和三十二
年度以降においては、
昭和三十
年度以降の
赤字団体で
政府で定めるものは、
地方財政法第五条第一項ただし書の規定にかかわらず、前条第二項の規定によって
財政の
再建を行う場合でなければ、
地方債をもって同法同条同項第二号、第三号又は第五号に掲げる経費の
財源とすることができない。ただし、政令で定める事業に要する経費の
財源とする場合においては、この限りでない。」第一項のこの規定は、
赤字団体で
再建計画も何もしないで、そのまま推移する
団体に反省を促す必要がありますのと、将来の
財政運営をますます危殆に陥れる可能性がございますので、
地方債をある
程度制限しよう、こういうことであります。この「同条同項第二号、第三号又は第五号に掲げる経費の
財源とすることができない。」というのは、裏から申しますと、災害でありますとか公営事業の
起債は許すが、それ以外の
起債は許さないということであります。ただし書きの「政令で定める事業に要する経費」というのは、補助事業とかその他の
起債でありましても、
起債の制限をしますことが不合理な場合がございます。たとえば国の重要な事業の継続事業でありますとか、母子福祉の貸付金の
起債でありますとか、厚生年金の転貸債でありますとか、そういうふうな
起債等につきましては、やはり
起債の制限からはずす必要がございますので、そういうものははずして行きたいということでございます。三十二
年度以降といたしましたのは、
大臣が何回も申されまするように、本
年度及び来
年度で大体
財源的な
措置が終りまするので、三十二
年度からこういう
措置を講ずるというふうにいたしたのであります。一番
最初の行に「政令で定めるもの」というのがあります。これは標準収入の一割ないし二割以上の
赤字団体を大体
考えております。全部の
赤字団体ではございませんで、
赤字の非常に大きな
団体だけであります。
それから第二項は寄付負担金の禁止の規定であります。「
昭和二十九
年度の
赤字団体又は
昭和三十
年度以降の
赤字団体は、当分の間、他の
地方公共
団体又は公共的
団体その他政令で定める者に対し、寄附金、負担金その他これらに類するものを支出しようとする場合においては、政令で定めるところにより、あらかじめ
自治庁長官の承認を得なければならない。」これは寄付、負担金が多額に上っておりまするので、
赤字団体にありましては当分の間一定の率を定めまして、
市町村と
府県、また
市町村の中でも
財政の規模の大きさによりまして、一定の率を出しまして、それぞれの
団体につきまして、
財政需要の一%ないし五%ぐらいの範囲内にとどめまして、それ以上に寄付金を出す場合には、
自治庁長官の承認を受けさせようということにいたしたいと思います。二行目にございます「公共的
団体その他政令で定める者」と申しますのは、これは
地方団体またはその
地方団体の機関が会員になっておりますような
団体、また行政機関を援助するために設けられております
団体、商工
会議所その他の経済
団体、そういうものを政令で定めたいと思います。そういうものに対する寄付金は一定の制限をしようということであります。
それから二十四条は
退職手当の
財源に充てるための
地方債等、これは
赤字団体以外の全体の
団体に対しまして、当分の間
行政整理に基く場合及び
市町村職員の計画的な
整理による
退職の場合等につきまして、
退職手当の
財源にするための
地方債を起すことができるというのが第一項であります。
第二項は将来の寄付金の制限であります。これは「
地方公共
団体は、当分の間、国に対し、寄付金、
法律又は政令の規定に基かない負担金その他これらに類するものを支出してはならない。ただし、
地方公共
団体がその施設を国に移管しようとする場合における国と当該
地方公共
団体との協議に基いて支出する寄附金等で、あらかじめ
自治庁長官の承認を得たものについては、この限りでない。」国との間の寄付金はこの規定によって禁止するということになります。ただし書きは、これは特殊の場合でありまして、ここに予想しておりますのは県立大学を国立大学に移管する場合、その場合の約束がございますので、約束に基いて
年度計画で出しますものはこの限りでないということであります。
二十五条は
自治庁長官の権限の委任の規定でありまして、監査とか監督の規定を、政令によりまして都道
府県知事に一部委任する場合がある。
町村に対する監査監督の権限を一部委任する。
二十六条は政令への委任の規定であります。これは「この
法律に定めるもののほか、
市町村の廃置分合又は境界変更があった場合におけるこの
法律の規定の適用その他この
法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。」ということにいたしております。
附則の第一項は公布の日からこの
法律は施行しますが、ただ五項中
地方財政法の第五条第三項の
改正規定は、来年四月一日から実施したいということであります。
第二項は先ほど申しました国と
地方公共
団体との間の寄付の問題であります。これは従来
一つの約束、契約がありまして、その契約に基いて寄付金を出しているのでありますが、国と
地方団体との間に契約に基いてこの
法律の施行前に約束があります場合には、やはりその約束を尊重して、先ほど申しましたような規定は適用しない。これはたとえば国立大学と当該
市町村との間の契約のようなものがこれにはまると思います。主として学校
関係でありまして、それ以外のものは予想しておりません。
それから第三項は三十
年度に限って、第二条第三項第二号の標準税率の規定でありますが、これは読みかえの規定をここに書いてあります。これは
地方財政法の五条三項の規定によって算定した率と申しますのは、
財政法五条三項の規定の換算率の規定でありますが、「個人に対する道
府県民税の所得割にあっては、所得割の課税
総額の算定に用いる標準率」というふうに読みかえ、また「個人に対する
市町村民税の所得割にあっては、
地方財政法第五条第三項の規定によって算定した率」こういうふうに読みかえることにいたします。
第四項は
自治庁設置法の一部を
改正いたしまして
再建整備促進
措置法の規定による監査、監督の権限を規定いたしております。それからこれは本法の成立に伴いまして、
自治庁設置法の
関係するところの
改正をここにあげてあります。
次のページの初めにありますのは、
再建債の消化促進協議会は
自治庁に置くということを、やはり
自治庁設置法の
改正の中に入れてあります。
次に「
地方財政法の一部を次のように
改正する。」、これは
財政法第五条第三項の
起債の制限率のところの規定であります。この標準税率の規定を
改正をすることにいたしております。これは第三項「第一項第五号の場合における普通税の標準税率は、
地方税法第三百十三条第二項の規定により課税総所得
金額を課税標準とし、又は同法同条第三項の規定により課税総所得
金額から所得税額を控除した額を課税標準として
市町村民税の所得割を課する場合にあっては、当該
市町村の
市町村民税の所得割の
総額が同法同条第一項の規定により所得税額を課税標準として同項に規定する標準税率で課した場合における
市町村民税の所得割の
総額と同額となる税率とする。」、これは
市町村民税の課税標準の中に——課税の仕方に三つありまして、いわゆる第一方式、第二方式、第三方式等がございます。第一方式は標準税率でございます。第二方式、第三方式というのは標準税率というものがございませんので、こういう書き方をいたしまして、標準税率に当るところの税額を割り出しまして、それを逆に税率に引き直すということによって標準税率という言葉の
説明をいたしております。
それから第六項は、
地方財政法の一部を
改正する
法律の一部を
改正する。これは附則第三項中「第七号」を削っておるのであります。
以上簡単に補足
説明をいたしました。