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1955-07-15 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十五日(金曜日)     午後二時一分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君    理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君    理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君    理事 門司  亮君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    渡海元三郎君       徳田與吉郎君    丹羽 兵助君       山崎  巖君    川村 継義君       北山 愛郎君    五島 虎雄君       坂本 泰良君    横山 利秋君       伊瀬幸太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁財務部         長)      後藤  博君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 七月十五日  委員山崎巖君、伊藤好道君及び杉山元治郎君辞  任につき、その補欠として太田正孝君、横山利  秋君及び伊瀬幸太郎君が議長の指名で委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政再建促進特別措置法案内閣提出第一  一五号)  地方自治に関する件     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  地方財政再建促進特別措置法案を議題として質疑を行います。  地方議会の運営に関する問題について横山委員より発言の申し出がありますので、これについて調査を進めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢省三

    大矢委員長 異議なきものとして、本件の調査を進めることにいたします。横山利秋君。
  4. 横山利秋

    横山委員 本日の新聞によりますと、すでに政府側としても御存じのはずだと思うのでありますが、鳴海町において非常に奇異な事件が突発をいたしました。本鳴海町を初め、名古屋周辺の十一カ町村は、すでに去る三月でございました、流血惨事をも演じましたので、当委員会におきましてこれを取り上げて審議をいたし、地方からそれぞれ関係者を招致いたしまして、長時間にわたって審議をいたしたことが御存じのようにございます。その後関係町村におきましては、内閣総理大臣あてにおいて県の決定についての異議申請をいたしたはずでありますが、その異議申請はいつごろあって、今どういう経過をたどっておるか、まずもってそれを伺いたいと思うのです。
  5. 川島正次郎

    川島国務大臣 名古屋市と周辺町村合併問題は相当前から問題になっておりまして、政府においてこれに裁定を下す段階になっておるのであります。あたかも地方議会選挙に当りまして、自治庁といたしましては地方議会選挙の終了を待ちまして、処置をしようと考えておるのであります。鳴海町の町長選挙最後にしまして、すでに各町村とも選挙が終りましたから、せんだって愛知県知事を東京に呼びまして、一応愛知県の考えをあらためて聴取いたしました。来週早々から周辺町村長に順次に自治庁に来てもらいまして、町議会決議の状況、また執行部考え等を聴取いたしまして、それらを参考にして、なるべく早い機会に結論を出したい、こういうような段取りになっております。
  6. 横山利秋

    横山委員 大臣のせっかくのお話でございますけれども地方選挙、それに続く町長選挙、それから今日に至るまですでに数カ月の期間経過をいたしておるのであります。この合併の問題につきましては、全国各地におきましても非常な紛糾を招くものでありまして、時間を置けば置くほど、いろいろな問題が派生的に発生をいたのであります。先ほど申しましたように乱闘町会が行われて、流血惨事をも演じました。その後の地方選挙では、十一カ町村ほとんど合併賛成を主張いたします議員が多数を占める、こういう結果に相なっておるわけでありまして、町民意思はもうそこできまったと言っても過言ではないのであります。御存じかも知れませんが、ひとりここに鳴海町だけが、二十六名の定員のうちで十三対十三ということに相なっておるわけでございますが、その他の町村におきましては全部賛成派が勝ちを占めるといいますか、合併支持いたしたのであります。この長い期間において自治庁がすみやかなる裁断を下さないために、鳴海町におきましては今日なお紛争が絶えませんし、他の町村においては合併の熱望が非常にあるわけでありまして、どうしてこんなにおそくなったのか、もう一回大臣の誠意ある答弁をお伺いしたい。
  7. 川島正次郎

    川島国務大臣 名古屋市と周辺町村合併問題は私の就任以前からの問題でありまして、就任のとき引き継ぎを受けましてさっそく調査にかかったのでありますが、先ほど申し上げたように地方議会なり、地方の長の選挙が控えておりますので、それを待って結論を出そう、こういう考えでおそくなったのであります。しかしすでに選挙も過ぎたのでありますから、速急に結論を出すつもりでおります。来週早々からして各町村長が順次来ることになっておりますから、これは三、四日で終るつもりでございますから、それを聴取した上に最後的な判断を下しまして何らか処置をいたすつもりでございます。
  8. 横山利秋

    横山委員 鳴海町の問題についてはあとで申し上げますが、他の町村において私が言いましたように、住民意思地方選挙において合併賛成支持しておるわけです。民主政治のもとにおいてこの町民意思を率直にあなたはお認めでございますか。
  9. 川島正次郎

    川島国務大臣 大多数の町村合併賛成決議をしておることを私は認めておりますが、愛知県会としましては違った方向決議をいたしておるのでありまして、これらを調整する必要もありますので、あまり早急にやりましてかえって紛争の種を残してはいかぬ、こういう考えもありますので多少遅れたのでありますけれども、もはや最後解決段階に来ておりますから、先ほど申し上げたように、なるべく早く解決をするつもりでございます。鳴海町の問題はせんだって特に町長が私のところに参りまして、町長の意向もよく聴取してありますが、なお正式にはあらためて自治庁から通達を出して上京を促しておりますから、来ましたらもう一ぺん最後的な話を聞きまして決定いたしたいと考えております。
  10. 横山利秋

    横山委員 私の聞いておるのはそういうことではない。地方自治法精神によって一番根幹となる町議会合併賛成する決議をなした、そのあと地方選挙が行われて合併支持をする議員が多数当選して過半数を占めておる、こういう二つの事実に対してあなたはもう一度関係者を呼んで意見を聞こうとなさっておるのだけれども民主政治のもとにおいて二つの厳然たる事実があるのを、あなたは関係者意見を聞くというのを重点に置いておられるようだが、間違いではないか、こう言っておるのです。さらに詳細を聞くのはよろしい、しかしこの町議会決定というものは、次に起った地方選挙において合併派がすべて多数を占めておる。この二つをどう思われるかというのです。
  11. 川島正次郎

    川島国務大臣 今のお話の事実は認めておりますが、しかし愛知県会というものは反対決議をしておるのでありますから、これまた無視ができないのでありまして、その間の調整をはかりましてどういう判断を下すことが愛知県のためにいいかということの結論を得なければならぬのでありまして、愛知県会も名古屋市会も、また周辺町村全部が合併決議をしておれば問題はない。ところが愛知県会は反対決議をしていますし、名古屋市会と周辺の多くの町村とが賛成決議をしておる。そこに問題があるのでありますから、今のお話のように周辺町村賛成であるからそれを無視するのは民主主義政治に反するのではないかということは、御議論としてはその通りでありますが、事実としては愛知県会というものを無視するわけにもいかぬのでありますからして、その間において私ども苦心をいたしておるわけであります。のみならずこの問題は関係代議士の方々も多数ありまして、私はいろいろなお話も承わっております。しかしあくまでもこれを事務的に取り扱いまして、筋の通った解決の仕方にしたい、こう考えております。決して町村議会決議を無視するのではありませんけれども、そういう事情でありますからして御了承願いたい。
  12. 横山利秋

    横山委員 この地方自治法なり町村合併法の立案の経過をたどってみますと、少くとも地方自治根幹というものは町村にある。それで県はその調整をするというふうに私は考えておるのです。大臣の今のお話を聞きますと、何か考えようによっては県の決定が優位にある、ないしは一歩下っても同等にあるというお考えがあるように思うのですが、町民個々意思基本になっております立場からいうなれば、これは町村決定なり議決なりあるいは地方選挙における町民個々意思というものが優先して考えられるのが、僕は立法の趣旨だと思うのですが、私のこの考えが間違いだと思いますか。
  13. 川島正次郎

    川島国務大臣 お考えはよくわかるのですが、愛知県会というものは合併反対決議をしておるのでありますからして、これまた民主主義精神からいえば尊重する必要がありまして、この間に私どもは苦慮をいたしておるのであります。愛知県会の趣意も尊重し、また周辺町村趣意も尊重してどこに解決を求めるかということでありまして、お話のように町村会決議を無視してこれを違った方向に持っていこうなんということは一向考えておりません。
  14. 横山利秋

    横山委員 大臣と私とは多少見解が違うようであります。しかしこれはあまり法律論を長くやりましても各同僚議員に迷惑でありますから、次の問題に進みたいと思います。  さて他の町村はすべて合併賛成する議決を行い、同時にまた地方選挙においてさらに住民はこれらの支持をいたした結果と相なった。鳴海町の二十六名の定員の中で賛成反対十三名ずつとなったのでありますが、昨日の新聞を見ますとこういう記事が載っておるのです。「名古屋市との合併問題についての内閣訴願を取下げるかどうかを決める愛知愛知鳴海町議会は、十四日午前九時十五分から開いた。まず佐伯会議長内閣訴願取下げの議案協議会審議すべきもので、本会議で諮るべきものではないとして、助役同意問題だけを取上げることにし、現農協理事長加藤徹三氏を十三対十二で選任、同九時半閉会を宣して佐伯議長はじめ名古屋合併賛成派十三名だけが退場した。これに対し反対派十三名は佐伯議長閉会宣言を無効として、同十一時近藤副議長議長となり本会議続行内閣訴願坂下げ、大都市周辺市町村整備条例指定の二議案を上程し、全員賛成議決、同十一時半ごろ散会、引つづき反対派だけで協議会を開き、名古屋市への合併反対を確認した。  議会事務局では反対派だけの本会議続行は法的に疑義があるとみており、問題を残している。」というのであります。よく考えてみますと、地方自治法の百十三条「普通地方公共団体議会は、議員定数半数以上の議員出席しなければ、会議を開くことができない。」この条文だけを見ますと、なるほど二十六名なら、十三名で町議会があっても、片方の十三名で町議会があっても、両方ともあたかも有効のような感じがするのであります。これはしかししろうと論議で、かなりむちゃくちゃな決議が続々反対派賛成派で行われるものならば、これは何をか言わんや、町の行政というものは全く混乱してしまう一途あるのみだと思うのです。大臣はこの点についてどうお考えですか、まず総合的な見解を承わりたいと思います。
  15. 川島正次郎

    川島国務大臣 御質問趣旨がわからなかったんですが、結局半数だけで決議したのはけしからぬが、その見解はどうか、こういう御質問ですか。
  16. 加賀田進

    加賀田委員 詳細な点は横山委員から質問すると思いますが、実は議長出席会議を開いて、一応閉会をした。その閉会後あらためて副議長をもって議会を再開して、反対決議をした、こういう状態があるわけであります。この自治法に基いて議長に事故あるときは副議長がそれにかわるということになっておりますけれども議長が一応会議閉会した後において、議長が事故あると認められない間において、しかも議長の承認なくして副議長が勝手に議会を開いて議事を進行した。これは副議長によって進行された議会は無効というのがわれわれの見解であります。そうでないかどうかということを長官に質問しておるわけであります。
  17. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今の問題は法律上の解釈の問題でありますから、私の方からかわって御答弁申し上げます。  私も実はその事件の詳細は、今新聞記事をお読みになりました程度しか知らないのでありますが、議会が正式に閉会してしまったあとで、あと半数の者が勝手にやったという事実のようでございます。あるいはその間に半数以上から開会請求とか何とか手続があったのかもしれません。これは純粋の法律論だけでございますが、その間の事情をもう少し明らかにしなければ、直ちにこれが適法かどうかということは、私としては判断がつきかねるのであります。これは法律問題だけの問題で、法律論としてよいか悪いかという問題と、そういうやり方が適当であるかどうかという問題とは、それぞれ異論があるだろうと思います。
  18. 横山利秋

    横山委員 それでは行政部長法律論について見解を伺ってみたいと思いますが、この百十三条による半数以上の議員出席しなければ会議を開くことができないという問題です。たとえば今鳴海町の二十六名の半数以上ならば、半数でもまあ認めるということに相なるのです。ところがこの調子でいけば、半数ずつの議会が常に存在し得ることになるわけですね。こんなばかなことは、地方自治法としては私は許していないと思う。従ってここにどちらの半数が正当であるかという判断を、自治庁としては法律解釈としてはどういうふうに求められますか。私は議長というものの合法的な行動、これによって半数が正当であり、半数が非合法というか、そういうふうに判断をするべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  19. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今のお尋ね——会議を開くために半数以上なければならぬ、これは明瞭でございます。今のお尋ねの場合はそうではなくして、その会議を開く手続適法かどうか。半数であろうが三分の二であろうが、会議開会するについての必要な手続がそれぞれ要るのでありますから、その手続が行われておるかどうかというところに法律上の問題があるのではないかという感じがいたすわけであります。
  20. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、手続の中心になるのは、これは議長でございましょう。議長が第百六条によって——「普通地方公共団体議会議長に事故があるとき、又は議長が欠けたときは、副議長議長の職務を行う。」この文章そのままをとってみますならば、病気であるとかあるいは旅行であるとか、そういう場合に議長が自分の仕事を副議長に委任をした、こういうふうに考えるのが当りまえじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  21. 小林與三次

    小林(與)政府委員 具体的な事件がよくわかりませんが、法律的には百十四条という条文一つございまして、議員定数半数以上の者から、その日の会議を開く請求ができるという規定がございまして、その場合に議長がなお会議を開かないときは、百六条一項または二項の例による、こういう規定がございます。あるいはこの規定を発動したのかもしれません。そこのところは事実を確かめなければ私も何とも申し上げようがございません。
  22. 横山利秋

    横山委員 あなたはこの鳴海町の事実問題をとらえて答弁をなさっているのですが、私は事実問題はあとにして今御質問しているのですから、その点を一つ御了承願わなければなりませんが、私は少くともこの百十三条という条文に誤まりがある、改正を要するものとつくづく考えるわけです。聞けば今回ばかりでなくて、もうすでに全国では二、三カ所こういう問題があるそうであります。しかし現存する法律立場から見ますると、議長が百四条なり百十四条なりというものを正当に行使しておる限りにおいては、勝手に、過半数だ、いや半数だといって百十三条を活用するがごときことは許されないと思うのですが、この点はいかがですか。
  23. 小林與三次

    小林(與)政府委員 百十三条はまさしく定足数の規定で、この通りでございますが、この会議開閉につきましては、また開閉手続があるわけでありまして、ただ議員が漫然と過半数集まつたって会議になるわけじゃないのでありまして、議長が正式の手続をとらなくちゃできないわけであります。そこでその議長が正式の手続をとる場合には、百十四条の規定法律上働く余地がある、こういうことを申し上げたわけでございます。
  24. 横山利秋

    横山委員 それでは今度は鳴海町の現実の問題として御質問をいたしますが、午前九時十五分に開いて、九時半に議長閉会を宣した。かりにそのときに、行政部長がおっしゃるように、異議があって、そのまま十三名が残ったというならばともかくとして、一回閉会をして、今度はそれに異議があるといって、十一時に反対派ばかり集まって、そして事もあろうに町の重要な、全くここ一年来流血惨事をも演じたような重要な問題を、反対派だけ集まって、根本的にくつがえすというような議決を行うことは、まことに奇想天外な、全くむちゃくちゃな話だと思うのでありますが、この点についてあなたの御見解をお伺いしたいのです。
  25. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今の問題になりますと、その開会法律的に全く説明がつくかつかぬかという問題と、それから法律上の説明がかりにつくにしてもこういう問題をそういうやり方でやることがいいか悪いか、こういう問題と、私は両方あろうと思うのであります。それでこういう問題は法律上の要件さえかなっておれば申し分ないかといえば、そこは当然いろいろ批判が出てくる余地はあるだろうと思います。
  26. 加賀田進

    加賀田委員 今小林部長から百十四条の説明があったわけですが、百十四条には、「議長は、その日の会議を開かなければならない。」こうなっておるわけです。これはもし要求があった場合、その日に会議を、どうしても、何回でも開かなければならぬという意味だったら、その日に会議を開かなければならない、こう規定してあると僕は思うのです。その日の会議というと、その日に会議が開かれなかったことを前提として書いてあるのじゃないかと思うのですが、そうすると今の鳴海町の場合は、前に会議を開いて閉会しているわけです。再び開くということになると、百十四条の、「その日の会議を開かなければならない。」という、過半数要求を通す問題と少し異なる点があると思いますが、その見解を承わりたい。
  27. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはなるほど法律上の文句も、解釈としてはいろいろ問題があると思いますが、これは私はなお研究を要する点もあると思いますけれども、本文の文句だけの感じでは、その日の会議というのは、今おっしゃいました通り、全然開かぬ場合もありましょうが、しかしかりに午前中に終って午後もう一度開くということも、これは私は読み得るのじゃないかと一応考えておるのです。
  28. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると私の解釈でいきますと、要求があるときは、議長は、その日の——じゃなくて、その日にと規定すべきだと思うのです。何回でもその日に要求があればその都度開かなければならないときは、要求のあったその日に開かなければならないと規定すべきであって、その日のとなりますと、その日に開いてなかったということが前提になるのじゃないかと思いますが、もう一度……。
  29. 小林與三次

    小林(與)政府委員 その点は今お尋ねでございますが、毎日々々の会議という意味でございまして、その日にと書いても、あるいはその日のと書いても、その点は用語の使い方の問題で、一度開いたらもう開けないかということの意味までこの表現だけで読むことはできぬのじゃないか、私はそういう気がいたします。
  30. 横山利秋

    横山委員 今加賀田委員からの質問がありまして、かりにこの百十三条、百六条、百十四条を、間違ったような理解の仕方をして、鳴海町で十三名の反対派の人がやったようなやり方をいたすといたしますと、たとえば十三名だけ集まって、夜の夜中でも議長に出てこいと言う、そんなばかなことはないと言うと、いや百十四条があるのだ、お前が出てこなければ副議長がやるというようなことで、何回も乱用できるわけです、極端な話をしますと……。そうするとその解釈をとる限りにおいては、十三名の反対派賛成派で町に二つ議会が必ず成立をする、また必ず成立をさせ得るという議論になってしまいますが、この点はどうお考えですか。
  31. 小林與三次

    小林(與)政府委員 半数以上あれば会議を一応正式に——正式にと言っては語弊があるかもしれませんが、一応合法的に開くことができることになっておりますから、規定を乱用して二つ議会ができるということも、それぞれこの規定の正しい読み方によって行われればあるかもしれませんが、これははなはだ異例というか妙というか、認めていいかということになれば、はなはだ妙なことだろうと思うのであります。地方でもときどき議会二つあって、どっちの議決が有効だという議決が、きわめてまれではありますけれども、正直に申しまして、何件かわれわれも耳にしたことがないではありませんが、問題は、その開き方そのものが合法かどうかという問題とともに、そういう議会で事を決した場合に、その事を決した締めくくりというものを、一体どうつけたらいいかということの方が、問題を具体的に解決するゆえんだろうという気がいたすのであります。今の場合に、かりにそういうことで、法律的にどうこう申しましても……。いま一つの問題は、総理大臣に対する審査の請求を取り下げるという議決ですが、これは事柄をそういう形でやることは私も適当だとはちっとも思いません。  それから先ほども申しました、そういう書類が今日こっちへ来たか来ないかという問題があります。かりにそういうことになれば、これは関係町村と一緒に書類が来なければできぬという問題も実はありますし、それでありますから、そのやり方は私もいいとは思いませんが、法律上ともかくの説明がついたといたしましても、それだからどうこうというだけの議論はいたしがたいのじゃないかと思っております。
  32. 横山利秋

    横山委員 最後にその法律解釈の問題についてお伺いしたいのですが、今のあなたのお話は、かりに法律説明がついたとしても——現実問題としてかかることについては首肯しがたいというあとの方はいいのですけれども、先の方の、かりに説明がついたとしてもと言って、今の自治庁見解を憶測をいたしますると、法律的には両方とも成立し得るがごとき印象をお与えになるということは、私はこれは地方自治法律解釈をする上において、まことに重大な問題だと思うのです。極端な解釈をすれば、自治庁両方とも成立するという解釈をとっておられる限りにおいては、これはゆゆしい問題で、かかる事態が今後ともあり得ると想定しなければ相ならぬ。そこで自治庁として百六条なり百十三条なり百十四条なり、この三つの条文に、やはり一つ基本となる考え方を持っていなければだめじゃないかと私は思うのです。どこにそのよりどころを求めて、半数以上というこのおかしな法律にかすがいを打って、この点についてはこういうふうに考えるのが正しいという基準をお持ちになっていないがごとき口吻は、まことに遺憾千万でありまして、もう一度その点を明確にされることを望みます。
  33. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今の場合に、同じ日時に二つ議会がかり成立して、そのどっちが有効だ、こういう議論になればともかくも、一日時に同一の議会二つ開けようはずはないのでありますから、これはいずれが是かいずれが非かという判定を下さざるを得ぬだろう、しかしながらそうじゃなしに一度開いて閉会になったものが、その後ある時間を置いてもう一ぺん開かれたときに、それが適法かどうかということになれば、これは適法とみなさざるを得ない場合が、かりに半数であったとしてもあり得るのじゃないか、そういう意味で申し上げたわけであります。しかし会議はたいてい会議規則その他によって会議場というものがみな大体きまっておりまして、そういう場所で二つのものが一緒に開くということは事実上あり得ないわけでございます。そういう意味で私は申し上げたのであります。
  34. 坂本泰良

    ○坂本委員 自治庁法律解釈はもっと法律解釈らしく、純粋にやらなければいかぬと思う。ですからこの議会開会の問題は議長がやるべきものだ、そうして議長が一度やって、そのあとで副議長がやったものと、その両方を調べてみなければわからぬなんて、現実問題にとらわれて両方いい子になろうとするからいかぬので、地方議会は、議長がちゃんとおりますから、議長議長席に着いて開会を宣して初めてその議会成立するわけです。今横山委員が聞くのは、議長がいて議長開会を宣して開いたものは当然議会が開かれておるけれども、そうでなくて、議長がおるにかかわらず副議長議会を開いてやった場合はどうかという、最初の基本的な考え方を聞いておられる。この点についてはあいまいなことを言わずに、はっきりと解釈した返事を承わりたい。
  35. 小林與三次

    小林(與)政府委員 それですから、私は具体的な問題がどうかということは事実がはっきりしなければわかりませんが、今の法律上の解釈だけを読めば百十四条によって半数以上から開会請求手続がありまして、その場合議長会議を開かないときには、百六条一項または二項の例によって開き得る規定がある、こういうことを申し上げただけであります。現実の場合がこれに当っておるかどうかということは全然別問題であります。
  36. 加賀田進

    加賀田委員 もう一つ疑義があるわけなんですが、自治法の百十三条で半数ということは議員半数ということになっておりますが、これは副議長議長になった場合でもやはり議員としての出席の数に入れるのかどうか。
  37. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは入れると存じます。
  38. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると今横山君の質問したような問題が、半数々々で議長と副議長で本会議がその日に二つも開かれるような問題が起ってくると思います。一方は賛成決議をする、一方は反対決議をする、しかもその会議両方とも有効だという問題が小林さんの発言では起ってくると思うのですが、これは運営上ゆゆしい問題であると思いますから、明確にしてもらいたい。
  39. 横山利秋

    横山委員 そういうことがそうあり得ないという考えに立ってはいかぬのです。もうすでにこの件は全国で三つばかり起って、三番目なんです。今すでに鳴海で起っておるし、ここまでなってきておるのです。今晩あたりまた賛成でやるかもしれない、あしたはまた反対側がやるかもしれないのです。それをあなたのようなあいまいなことを言っておったら、両方ともいやおれの方が有効だ、おれの方が有効だと言って、ここしばらくの間鳴海町は賛成反対決議ばかり行われているということになります。明確にしてもらわなければだめです。
  40. 坂本泰良

    ○坂本委員 議長の職権というものは重要視していかなければならぬと思う。ですから同じ日に議長も副議長も出ておりまして、そうして議長開会を宣してやる場合は正当なものとして議論はないと思います。その議長がおるにかかわらず、この法律にある事故がないにかかわらず、副議長がその半数開会を宣した場合にそれがいいか悪いか、こういう問題に私はかかってくると思う。そうしたならば議長がいないとか事故があれば別だけれども、やはり出ております場合は、議長議長席について開会して初めて開かれたのが有効である。議長がおるにかかわらず副議長が勝手に開いてもこれは無効だといわなければならぬ。こういうものの考え方に立っておるのでありますが。
  41. 小林與三次

    小林(與)政府委員 それで鳴海の問題は全然別にいたしまして、これは具体的事実の判断でありますから、私はよく知りませんから申し上げないのであります。それで坂本委員もおっしゃいましたその点を申し上げたのでありますが、つまり議長が開くのが普通は当然であります。議長が成規の手続で開かなければ成規の会議にならぬことは明瞭でありますが、百十四条に特に議員請求による手続が書いてあります。その手続にのっとって行われたものとすれば、これがただちに違法な会議とは言えない、こういうことを申し上げたのであります。  そうするとかりに会議二つあって、ちぐはぐに行ったり来たりすることがあり得るじゃないか。こういうのが横山委員お尋ねでありまして、これは正直に申しましてそういうことはあり得ると思うのであります。ただ同じ日時に二つあったというときには、同じ会議二つ成立する余地がありませんから、どっちが有効かということを、どうしたって判断せざるを得なかろうと思うのです。だからきょう二つ会議を開いておるということはあり得ぬと思うのであります。しかしながら時間を異にすれば、全然あり得ぬかといえば、それぞれの会議について適法会議であるかないかということを判断してきめるよりしょうがないじゃないか。そういうことを純法律論でありますが、申し上げたのであります。
  42. 加賀田進

    加賀田委員 今時間的な差があれば、そういうことがあり得るということになると、今後の運営に大きな問題を起すと思って、自治庁として研究してもらいたいと思うのですが、ただそれは会場の関係だけであって、もし会場が二つ利用できる、本会議場と委員会室と二つ利用できるというようになれば、同時に開かれる場合が起ってくる。会場はここでなければならないという規定があるとすれば別として、そういう明確な規定がないとすれば、たとえば地方議会委員会室で本会議を開く、あるいは従来の本会議場で開くというようなことが、こういうような形で起ってくると思うのです。だから同時に開かれることがないということは、十三名々々々、半数で副議長あるいは議長で開かれることがあり得るとすれば、私は同時に開かれることもあると思う。この問題はどうなんですか。
  43. 小林與三次

    小林(與)政府委員 かりに同時に開かれた場合に議会一つの町には一つしかないことは明瞭でありますから、一つ議会二つ一ぺんに成立するということは理論上許すことができぬと思いまして、こういうことでありますから、いずれかの議会がそれはもちろん純法律論として違法であるか適法であるかという判定を下さざるを得ないだろうと思います。それでありますからそれぞれの議会についてどっちが適法であるかという現実の問題として判断をしなければならない。私はこういうふうに考えておるのであります。ただきょうはこっちの派がやり、あしたはあっちの派がやる、こういうことを交互にやる、そうなれば行政も何も動かぬことは明瞭でありまして、これはもはや単なる法律問題というよりも政治問題であって、それで実態を解決することを考えなければ——法律としてそんなことまで規定して、みんな説明がつくようになっておるかといえば、そこまで予想してその場合にはどっちだということまでは、これだけの規定ではただちに判断を下せぬ場合があるような気がするのであります。それぞれの会議によって招集の手続会議規則その他を見て判断するよりしょうがないのじゃないか、こういう気がするのであります。
  44. 横山利秋

    横山委員 あなたは法律論にとらわれ過ぎて、見なければしょうがないじゃないかということでは、私のみならずここにおられる皆さんが、小林さんは一体何を考えておられるだろうかと思っておるだろうと思うのです。それは同時に開かれても、あるいは日をたがえて開かれても成立の可能性ありというのがあなたの見解のごとく聞かれるのです。そんなばかなことが法律論としてもあり得るわけがない。しかし最後にあなたは、しかしながらそういう場合があっても、純粋法律論として最後判断をするとおっしゃるのだが、その純粋法律論とは何をものさしにしておきめになるかということを私は聞いておきたい。だれがきめるかということを聞くわけです。あなたはそれについて何もおっしゃらぬ、先ほども同僚議員からそれは一つ議会の構成の一番の対象である議長というものが重要なポストを占めるのではないか、そのほかに常識的に考えて何があるか。あなたは自治庁として最後の純正な判断というものをどういうものさしでお考えになるか、そのときに政治論議で、私はこう思うという政治的な判断でやるというならば、私は自治庁法律論というものは非常にめちゃくちゃだと言わざるを得ぬ。いかがでしょうか。
  45. 小林與三次

    小林(與)政府委員 私は純粋の法律論ばかりを申しておるのでありまして、政治的にものを考えるつもりは全然ございません。そこでここの会議適法成立しておるかいないかということは、結局自治法会議規則の定めるところによって手続で定まっておるかどうかという事実の問題に帰着するのでありまして、議長でなければ全然開けないかといえばそういうわけじゃない、ある場合においては、議長が言うことを聞かぬ場合には百六条一項か二項の例によって議長として開き得る道も自治法としては開いておる、そのことを申し上げたのであります。  それからともかくも自治法を形式的に読めば、半数以上おれば、その正しい手続によって開かれれば、これは議会でないとは言えぬじゃないか、そういうことを申し上げたのであります。しかしながら同一日時に同じ町で同じ議会二つ一緒に成立し得るかといえば、これはだれが考えてもそういうことはあり得ぬと言わざるを得ない、こう申したのであります。
  46. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと今度は現実問題になるのですが、鳴海町議会において九時半に一回終って議長閉会を宣した、その同じ日の十一時同じ場所に反対派だけ集まって、そうして年来流血惨事をも演じ、あるいは地方議会議決もあり、あるいは地方選挙もあった、こういう経緯を経てきたものを根本的に立場を変えた議決反対派だけがした、こういう点について総合的に大臣意見をもう一ぺん聞きたいのです。
  47. 川島正次郎

    川島国務大臣 私は自治法規定をよく知りませんし、法律解釈説明できませんが、会議が正式に成立するのに議員半数以上の出席が必要なことは当然だと思うのです。しかしそれ以外にもいろいろな条件があるのじゃないか、招集手続においてそういう条件を具備した会議であるかどうかということについては調査してみなければわかりません。勝手に副議長が招集をしたその会議が直ちに正式に成立したとは言いかねると思います。しかしあるいは法規上ちゃんと手続をとってやったのかもしれぬのでありまして、この点は事実を調査しなければ何ともお答えができないわけであります。今のお尋ね鳴海町の今度の具体問題に対する自治庁見解をおただしになるならば、さっそく事情を聴取いたしまして、その事情に基いて解釈をしてお答えを申し上げる、こういうふうにいたしたいと思います。
  48. 横山利秋

    横山委員 私はあなたに法律論議を聞こうと思って言ったのではありません。法律論議についてはこの新聞にも、「議会事務局では反対派だけの本会議続行は法的に疑義があるとみており、問題を残している。」という見解議会当局すら出しているわけです。あなたにお伺いしようとするのは、先ほど申したように流血惨事から地方選挙から議会議決から一年以来いろいろな問題を残してきて、そうして今まさに反対派の人のやみ討ち的な行動によってがらっと——反対派だけ集まってやるということが、総合的に地方自治を担当しておられるあなたとしては、どういう見解を持っておるかということをお伺いしたのです。
  49. 川島正次郎

    川島国務大臣 その事実がやみ討ち的であるかどうかということは現状を調べなければわからぬのでありまして、この鳴海町の町会の問題が果して適法か不適法かについては、私どもとしては今日お答えするだけの資料を持っておらぬわけであります。適当か不適当かという問題以外に不当か不当でないかという問題になりますれば、私どもといたしましては町会が紛糾しないで円満に開かれることを希望いたしておるのでありますから、そういう事態がないことを念願しておるわけであります。ただ現実問題といたしましては、事実を調べなければここでいい悪いのお答えはできないわけでありますから、至急に事実を調べた上に自治法とも照らし合せてお答え申し上げます。
  50. 門司亮

    ○門司委員 ちょっと今のいきさつですが、話を聞いてみますと非常にめんどうなように聞えますが、自治庁考えてもらいたいのは——自治庁見解は私は一応それでいいと思うのです。自治法百十四条は百六条の規定をここにこまかくしております。議長請求があってもなお開かなかった場合には百六条の一項、二項を適用してもよい、こう書いてあります。依って副議長がやってもいいという判断は一応法律的にはつきます。さらに百十四条の二項には、やはり多少考えなければならないことを書いてある、それはその日の会議という字句が使ってあります。会議というものは大体その日一回しか開かないという前提が書かれてあるから、会議を一応閉会したものをまた開くということは容易にできないということをここにチェックしておると思う、この意味は私は非常に重要なものだと思うのでありまして、議員請求によって開いた会議は、議長の単独の権限では閉会することができないように書いてある、それはもし反対派議長が席に着いてこの会議を開いた、そして議長職権で閉会しますと言って、さっと閉じる。一人でも異議があればその日の議会を閉じてはならない、議員請求に対しても、議長は必ず会議を開かなければならないということが書いてある、こういう意味考えると、大体議会は原則的にその日は一回しか開いてはいけないというのが原則的なものの考え方だと思う。  それからもう一つ議長の権限であります。議長の権限は衆議院と違って、地方議会議長の権限というのは、可否同数のときは議長これを決する、しかし議長は採決に加わってはならないということがはっきり書いてある、従って議長の権限というものは、副議長であるから過半数議長請求することができたという理論も成り立つものとは思うが、もしそれを議長一人のければ、過半数にならなくなってくる、私はこの辺の解釈が非常にむずかしいと思う、副議長であっても議長があるから、議長請求するときは、一人の議員としての資格で請求しておる、しかし会議を開く場合は、議長議員としての権限を執行することができないのだ、採決に加わることができないのである、だからこれを過半数の中に入れるか入れないかということは、そこに一つの問題が残されると思う。こういう問題を考えて処理してもらわぬと、ただ百六条の関係と百十四条の関係だけで処理をするという今の小林君のような話では答弁にならぬと思う。こういう考え方についても自治庁考え方がここで伺えるなら、一つ聞かせておいてもらいたいと思う。
  51. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今お尋ね通りこれはいろいろな問題がこんがらがってくると思います。その間に会議規則の問題もありましょうし、それで直ちにどうこう言えぬ場合も出てきますが、今門司委員がおっしゃいました通り、きわめて平面的に自治法の数条だけを前提にして議論をいたしますれば、会議はその日において一回開くというのが原則である、これは当然だろうと思います。一日に二回でも三回でも開くことが条例になっておるはずは私はないと思うのであります。それでも会議規則その他でそういうことを許容している場合もありましょうし、絶対にいかぬかといえば絶対にいかぬとまでは、直ちにこの規定からは言えぬのじゃないか、そういう気がしましたから私は先ほど申し上げたのであります、そこで半数ということになれば、半数だけで開いて——その場合に議長は議事については議決に加わることができぬという規定がありまして、そこでそもそも会議のときの定足数というものに議長を入れるか入れぬかということが、やはり一つ問題としてあり得るだろうと思うのでありますが、われわれの今までの解釈では、議会の定足数につきましては、要するに議員としての総数を全部入れて、議長も副議長も当然入る、こういう考え方でございまして、百十六条は表決の場合のことをきめておるものだと一応解釈いたしておるのでございます。
  52. 門司亮

    ○門司委員 これは議論を長くしてもなかなか尽きないと思いますので、そういう議論を繰り返しているとなかなか解決しないと思いますが、ただ問題になりますのは、その前条の百十三条の問題でもそうでありますが、会議を開く場合の過半数ということなんです。これは半数以上と書いてある。半数以上という言葉は過半数ということなんです。従って半数が当るか当らぬかという議論余地がこの場合ここには残されております。半数で開けるということは書いてない。半数以上ということを書いてある。過半数でなければ開けない、過半数でなければ議決ができない、可否両方一緒になったときは議長がこれを決すると書いてある。従って一体半数だけで請求することができるかどうか。半数以上という言葉が使ってある。だからこの字句の解釈は要するに半数以上でなければならないということは、過半数でなければならぬということだ、私はこう解釈すべきだと思う。そうしなければ次の議決のところで数が合わなくなってくる。片一方は半数以上ということを真半分に、二十六人の場合十三人を半数以上と見ておる。議決のときには十三人、十三人となったときは半数以上とみなさない、半数になっておる。この可否同数のときは議長が決する、こういう数字が出てくる、私は少くとも百十三条の規定半数以上と書いてあることは過半数判断するのが正しい見方だと思う。半数は必ずしも半数以上でない、半数である。半分でも十分の一でも多ければ半数以上になる。半数はどこまでも半数だ。半数以上という言葉は少くとも過半数でなければならない、こう解釈することが私は正しいと思う。その辺の解釈はどうなりますか。
  53. 小林與三次

    小林(與)政府委員 半数以上と書いてありますときには、自治法だけでなしにすべての法律がそうであろうと思いますが、半数も入っており過半数も入っておる、こういう解釈であります。たとえば議員定数の場合に、人口二千人以上何万未満は十六人という場合に、二千人は入っておると読んでおるのであります。二千人だからその次は二千人未満の町村、こういうふうに書き分けておりまして、法律上の解釈としてはその数も入っておる、こういうふうに理解しております。
  54. 門司亮

    ○門司委員 法律上のそういう解釈は一応あるかもしれませんが、少くともこれは議会を構成して、構成した議会はものを決する、一連のものなんです。選挙や何かのただ人間の数が便宜的にこれから下をどうきめようというのじゃないのです。この場合のきめ方というものは、ただ単に半数が入っておるという行き方、そこまではという行き方ではないと思う。もしあなたのような解釈をするのなら、この場合もう少しこの次の規定がなければならぬと思う。何人以下の場合はどうするという規定がなければはっきりした数字は出てこない。少くとも議会を構成する議員半数以上が出てこなければ会議が構成しないという趣旨は、半数でいいという規定ではないと思う。少くとも半数以上でなければならないという規定を持っておる。  それからそういう議論は別にして、もう一つ大臣のさっきの答弁の中で非常に重要な点が一つありますので、念のために聞いておきたいと思います。大臣の御答弁の中の県議会議決をしておる、県議会議決を尊重しなければならないということは、私はその通りだと思います。これももし条文解釈すればその通りだと思います。しかし自治法自体の精神からいって、あの条項を設けたときの議事録をごらんになればよくわかると思いますが、あの条項はあとから入れた条項なんです。要するに修正です。自治法の最初の法律の中には私は入っていなかったと記憶しております。あの一項を入れなければならなかったということは、自治体の合併その他が非常に紛争を来たして、そうして不合理な合併であると目されるような場合があれば、これをどこでチェックするかということについては、一応県議会にその権限を持たしたらどうかということであったのであります。何でもかでも県議会が上級機関であるからこれを左右する権限を与えたということでは私はないと思う。もしそうだとすれば自治法全部を変えなければならぬ。今日の自治法には御存じのように都道府県及び市町村をその主体としていることがはっきり二条に書いてある。従って市町村も都道府県もその地位においては並立されたものである。これが原則である。その上に立ってこの条項だけをああいう条項を入れたということは、ほかにはどこにもこういう条項はないのでありまして、こういう県議会が上級機関であるかのごときものを入れたということは、合併その他に対して紛争があった場合に、それが作為的であったりあるいは住民意思に反したものがもし出てくる場合は困るから、そういう場合には県議会が多少これに修正を加える必要もあるのじゃないかということが原因だったと思われる。従ってこれを大臣が、さっきお話の中にありましたように、むろん県議会決議も尊重しなければならない、そのときの状況をお聞きになることもけっこうと思いますが、心がまえとしてはやはりそういう角度であくまでも市町村単位の自治体がきめた総意というものは尊重さるべきであるということが、私は大臣の一応のものの考え方としては持たれてしかるべきではないかというように考えております。こういう点についてもし大臣が御答弁できまするならば、一つ答弁を願いたい。
  55. 川島正次郎

    川島国務大臣 私は法律的のことはよくわかりませんので、法律的の解釈はできませんが、市と町村とが全部が合併決議するという場合には、その趣旨が尊重されることは当然であります。名古屋の場合は県議会がこれと異なつた決議をしているところに問題があるのでありまして、県議会決議したからといって、それが上級の地方自治体だから、その意思に従わなければならぬということは絶対にないと考えております。
  56. 大矢省三

    大矢委員長 ちょっと私からも一つ鳴海町の問題は向うから何か報告があったかどうかということと、それから事実問題について調査をしよう、こういっているのだから、もしあっても、今新聞で読み上げた通り調査を至急願う。  それから大臣お尋ねしますが、こういうお聞きの通りの問題が次から次に起きるということは、最終の決裁がおくれたということに大きな原因があると私は思う。それでこの決裁を大臣として大体いつごろされるべきか、これは予定ですからいつ幾日ということは言えないかもしれませんが、大体いつ幾日までには決裁する、これがあればおのずから問題が解決すると思う。その点の見通しというものを伺いたい。
  57. 川島正次郎

    川島国務大臣 これは冒頭にお答え申し上げたのですが、せんだって愛知県知事を呼びまして、一応愛知県の意向は聞きました。それから関係市町村を順々に呼ぶことにしまして、すでに通知を発しておりまして、来週の月曜から順次みな参ります。固めて呼ばないで個々にみな意見を聞くつもりでいます。最後名古屋市の意見を聞いて決定しますから、おそくも来月の上旬か中旬までには必ず結論が出る、かように御了承願っておきます。
  58. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今の事件につきましては、私こっちに来るまで全然聞いておりません。正式の報告はないと思います。しかし事情事情ですから至急調べたいと思います。
  59. 横山利秋

    横山委員 貴重な時間をなんですから、最後に簡単にお伺いしますけれども、このような鳴海町のことが、自治庁判断がおくれますとさらに尾を引くことは必至であります。新聞に載っておりますこの紙面から想像いたしましても、流血惨事まであったことですから、これは無効であるこれは有効であると自治庁はあげてハチの巣をつついたようなことになっておると私は思うのです。そして反対派賛成派賛成派の方は行政訴訟を起す、市もやろうかということを言っておることを私は聞いております。かかる事態が発展をいたしますならば、いつまでたっても切りがつきません。従って来月だとか何とか言わないで、自治庁としては一つすみやかに裁断を下していただきたいことを、私は特に要望いたします。いわんやこの問題があるから、御調査はすみやかに願わなければなりませんけれども、この問題をまた理由にして決裁が延長するということにはならないように、私は特にくれぐれもお願いをいたさなければなりません。かりにこれがいろいろ議論になりましても、いろいろな双方の言い分もありましょうけれども、こういうことにあまりこだわって、従来からのあなたの方の判断が左右されるとなれば、これはさらに新しい問題を起すと思いますから、かかる問題に拘泥することなく、従来の速度を早めてすみやかに裁断を下されんことをお願いいたします。自治庁としては——これは間違いであればけっこうでありますが、聞くところによりますと、自治庁において裁断を下すのもいかがかと思われるし、もう一辺県と市と町村とで話し合って見たらどうかというふうな話があるやに聞き及ぶのであります。今に至ってそのようなことは私はないと思いますが、その点だけ一つ明確にして下されば、私はこの辺で質問を打ち切りたいと思います。
  60. 川島正次郎

    川島国務大臣 自治庁としてはそういう考えを持っておりません、せんだって愛知県知事が来ましたときにもう一辺協議会を開きたい、こういう意見を言っておりましたが、それは愛知県知事意見として聞いてあるだけであります。
  61. 亀山孝一

    ○亀山委員 議事進行。ただいままで論議せられました鳴海町の問題につきましては、重要な問題でありますので、本日開かれました理事会には何らお話のなかったことでありましたけれども、重要法案を控えながらわれわれは拝聴いたしました。つきましては、大体御論議もつきたようでありますが、今後こういう問題はぜひ理事会に前もってお諮り願いたい。十分おわかりのはずなんですから……。そしてわれわれも十分心構えをしてお伺いをしたいと思います。また今まで拝聴いたしましたが、どうかあとの重要法案の審議にはこれだけの時間も加えまして、一つ社会党におきましても御審議を願います。
  62. 門司亮

    ○門司委員 議事進行。今非常にごもっともらしい議論がありましたけれども、一応拝聴いたしました。私はもし与党からそういう御意見がこの際出るのなら、一つお聞きをしたいのであります。きょうの委員会は一時に開会すると公報が出ているはずであります。しかし当局のおいでになったのは二時過ぎております。一体当局は重要法案があるということをお考えになっておるはずです。その重要法案の審議に当局みずからがお出かけにならなかったというようなことで、一体会議が開けますか。少くとも政府議案審議に対してはもっと忠実に、もっと熱心に、そしてできるだけの便宜を議員に与えていただかなければ議案の促進はできないはずである。当局が開会の時間を一時間もおくれてきて議員が呼びにいかなければ来ないようなことでは、議会軽視もはなはだしいと思う。今後こういう態度が続くなら、委員会審議は進められないと思います。きょうはこれで委員長に頼んで帰ってしまおうかと思ったんだけれども、そう最初からしても悪いからがまんしておったのだ。今与党からもっともらしい議論が出ましたから、われわれはこれに対して申しておきます。
  63. 坂本泰良

    ○坂本委員 貴重な時間を拝借して、私は結論の問題を一つ要望にもなると思いますが申し上げておきたいと思います。この問題は当委員会においても参考人を呼びましてよく調査いたしたのでありますが、地方議会においてこういう法を悪用するような議会ができるというのも、やはり過半数というものの悪用であると思う。そういう問題が起きる原因はどこにあるかというと、大体鳴海町と名古屋市の合併は、これは住民意思で一致しているわけなんです。ところが名古屋市と県との間の——これは基本的な地方自治体の見解の相違でなくて、感情その他の、知事選挙あるいは市長選挙にまつわるものがここにきまして、住民の自由意思による自治体の崩壊を来そうとしておるのではないか、かようにも考えられる問題であります。従いまして、議長が招集せられないのを副議長過半数だといって勝手にやって、あたかもその日に二つ議会があるようなことをやること自体がこれは誤まった問題である。村や町の議会であれば、そこにもう少し折衝の余地があって、そうして開会もできたはずなんです。それを反対派のみが副議長議長にして開いて、今までと全然反対議決をするこういうことが、これは愛知県の指導によってできておるとも私は考えられると思う。でありますから、名古屋市と愛知県のこの自治体の本旨に反する、ような点は、この際抹殺していただきまして、そして今町村合併促進をいたしておる、この軌道に乗せて、自治庁長官の権限によって明快なる筋の通った結論を至急に出していただきたい。この点を私要望いたします。     —————————————
  64. 大矢省三

    大矢委員長 それでは議題の地方財政再建促進法案に対する質疑を行います。通告順によって、北山愛郎君。
  65. 北山愛郎

    ○北山委員 実は昨日と一昨日は自治法の改正法案であった、それで昨日自治法に関係のある町村合併質問をいたした次でございます。今日はまた前に戻って再建促進法案というわけで、まことに戸惑う次第でございますが、いずれにしろ関連しておりますので、これから二、三の点についてお伺いをしたいと思います。それはまず第一に、今年度地方団体が償還をする起債の元利償還の中で資金運用部に返るものはどれくらいあるか、これを財政部長の方からお答え願いたい。
  66. 後藤博

    ○後藤政府委員 ちょっとお待ち下さい。
  67. 北山愛郎

    ○北山委員 調べてからでもゆっくり伺うことにいたします。それではそれを調べていただくこと。それからもう一つ、これはこの前に財政計画等について質疑を申し上げたときにお願いしておいたのですが、今年の地方財政計画と雇用人員の関係です。本年の地方財政計画では大幅に公共事業費あるいは単独事業費の節減をしておる。また同時に一部行政整理も計画されておるわけでございますが、そうしますと相当な失業者が出るのじゃないか、こういう御質問をいたしたわけであります。これに対しまして政府側においては、一つこれは総合的に資料として提出をするという御答弁がありましたが、自治庁としてはそういう資料をお作りになっておるかどうか、あるいはまた大蔵省の方で作っておるか、この際一つ明らかにしていただきたい。
  68. 後藤博

    ○後藤政府委員 雇用量の問題は大蔵省の方で作ることになっておったと思いますので、督促いたしたいと考えます。
  69. 北山愛郎

    ○北山委員 それではそれは大蔵省の方に自治庁の方から督促をしていただきたいのです。忘れられては困るわけですから督促をしていただきまして、早い機会にその資料をお出し願いたいと思います。  それから前回町村合併に関連をいたしましてお伺いをしまして、今日も愛知鳴海町の問題が出ましたが、町村合併が完成をすれば府県の制度にいささか変更を加えるようなお考えをお持ちであるようであります。そこでこの際お伺いしておきたいのは、名古屋市と鳴海町の場合も同様でありますが、一体政府は大都市の問題について、どのように考えておられるか。今度の自治法の改正案にも指定都市、大都市に対しまして事務移譲をやっておられるわけであります。従って何らかのお考えをお持ちではないかと思う。将来大都市はどのようにこれを取り扱って行くか、周辺町村合併するような方針で行かれるか、あるいはなるべく合併させないような方針で行くか、あるいは府県と大都市との関係をどうするか、こういうことがなければ、ただいまの鳴海町の問題につきましても、たとい政府に対する訴願が出て参りましても、政府は判定ができないのじゃないかと思うのです。そこで私はどうしてもこのような訴願を受け付けて、しかもそれを決定するというような立場にある政府としては、今後大都市をどうするかについては一応の見解をお持ちではないか、持つべきではないか、こういうように考えますので、一つ町村合併と関連いたしまして、大都市を将来どういうふうに持って行くつもりであるか、この点について長官からお考えを承わりたいと思います。
  70. 川島正次郎

    川島国務大臣 今度の地方自治法の一部改案の中に、五十万以上の市に対しては、ある程度の専務を府県から移譲する改正案を出して御審議を願っておるわけであります。府県と市とがお互いに事務が競合しないようになるべく基礎的な事務をこれを市へ移したい、こういう考えのもとに改正案を出しておるわけであります。大都市については、自治法の中に特別市の制度があります。今日まで特別市の制度を適用した市はないのでありますけれども、これを削除するという意思は今持っておりません。やはり特別市の規定はそのまま存置したい、こう考えておるのが現地の考え方であります。  大都市の周辺町村合併するように指導するかどうかというお尋ねでありますが、これにつきましては、自治庁の方からしいてこれを指導するという立場はとらないで、やはり当該市と町村との自主的行動に待ちたい、こう考えております。
  71. 北山愛郎

    ○北山委員 現在の自治法の中における特別市制をこのままにしておきたい、こういうお考えですが。一体これをやるお考えはないのでございましょうか、特別市というのは、要するに府県から独立をして、大都市に独立制を認めるということであります。今回の自治法改正における事務移譲などの模様を見ると、将来、現在自治法の中にある特別市の規定を生かして、大都市は府県から独立させようというふうにも見えるのでございますが、そういうお考えはございましょうか。
  72. 川島正次郎

    川島国務大臣 特別市の規定を設けたときの精神お話通りだろうと思うのでありますが、ただいま政府といたしましては、ただちに大都市に対して特別市制を適用しようとは考えておりませんが、目下地方制度調査会で研究中の都道府県の廃合問題とにらみ合わして、これを適当に処理したい、こういう段階にあるわけであります。
  73. 北山愛郎

    ○北山委員 話が自然自治法の関係になるのでありますが、今回の自治法の改正でございますと、府県はやはり市町村よりは上級の団体であるというような規定もされておるわけです。今度の第二条の改正は明らかにそうなんです。その中に包括するというような言葉がございます。地方制度調査会の答申の中にも府県は市町村を包括する公益団体であるといっておるのですが、その包括するというのは、地理的に包括をするのであるか。その事務権限という点についても市町村という団体を包括した、全部を合せた上の団体としての包括であるか、あるいはただ地域的に市町村という区域を包括した団体であるか。今度の名古屋の場合などにつきましても、府県と市町村の関係について根本的なお考えがおありになると思うので、この点を確かめておきたいのです。
  74. 川島正次郎

    川島国務大臣 包括というのは区域を包括したという意味でありまして、今度考えております都道府県の性格というのは、大体基礎的の仕事は市町村にやらせまして、広域的に各市町村に関係するような仕事は都道府県にやらせようということなのでありまして、地域的に包括しておる、こういう意味であります。
  75. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると今度の自治法の改正の中には、単に府県は市町村を地域的に包括するという意味だけで、上級下級という意味合はない、従来と同じようにただ地域的に市町村を包括するだけであって、市町村ば基礎的であり、府県はその上の団体であるというような意味合いは全くないという御答弁と承わってよろしゅうございますか。
  76. 川島正次郎

    川島国務大臣 都道府県と市町村との関係は上下ということでなしに、府県は国と基礎的地方団体である市町村との中間的の団体であって、いろいろ連絡を持ったりするようなことをやるのでありまして、それが直ちに都道府県が市町村に対して強力な監督権を持つというような上下の意味の区別はいたしておらないのであります。
  77. 北山愛郎

    ○北山委員 その問題は自治法の内容になりますからあらためてお伺いいたします。きのうお伺いした中で、町村合併が完成をすれば事務移譲をやるというお話があったのでございますが、現在進行中の町村合併は、一部まだ完成はいたしておりませんが、一体現在のような市町村の形でそれに対して、どのような種類の事務移譲をする考えでありますか。
  78. 川島正次郎

    川島国務大臣 どういう事務かということは、今ちょっとこまかいことは存じませんから、行政部長説明させます。
  79. 大矢省三

    大矢委員長 それから先ほどお尋ねのことについて財政部長から答弁があります。
  80. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほどお話政府資金の公債費の総額は三百九十億八千二百万円であります。ただこの中には災害関係の特例法に基いて元利補給金を受けたもので払うというのが十八億五千万円あります。これは一般会計から出してもらいまして、そうして起債の償還に充てて参ります。従ってこれを引いた二百七十二億三千二百万円が政府資金であります。そのうちで約百四十億が元金、こういうことに相なります。それから簡保と大蔵省預金部の資金とは、簡保が一億、あとは大部分が大蔵省の預金部資金であります。
  81. 北山愛郎

    ○北山委員 私がお伺いしたかったのは、ことしの予算による資金運用部の回収金が二百十七億ある、その中で地方公共団体からの回収金がどれくらいあるか。また今のお話ですと百五十億くらいですか利子も、利子と元金と別別にあると思うのですが、この回収金の二百十七億の中に地方団体の払う分がどれくらいあり、それ以外の分がどれくらいあるというようなことをお伺いしたかったのですが、これは大蔵省でなければわかりませんか。
  82. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは私どももはっきりした内訳の数字はわからないのでありまして、大蔵省に聞きましてお返事いたしたいと思います。
  83. 北山愛郎

    ○北山委員 いろいろ大蔵省関係でさらにお伺いしたい点が相当あるのですが、もう一度大蔵大臣以下大蔵当局等も当委員会に招致していただきまして、この地方財政計画並びに再建促進につきまして、あるいは交付税法の税率の問題等につきまして、いろいろお伺いをしたい、かように考えますので、先ほどの資料の要求とあわせてこの点を委員長にお願いいたしたいと思います。
  84. 大矢省三

    大矢委員長 承知しました。
  85. 北山愛郎

    ○北山委員 なおこの前お願いしました補助金の変遷でございますが、戦争前と戦後とは補助金において相当違いが出てきているのじゃないか。戦後においてはいろいろな種類の公共事業その他国が地方団体に命じた仕事が非常に多くなってきているのじゃないか。こういうふうに考えますが、その点についても資料をお願いしておきますが、大体大ざっぱなところ、どのような変化——国の補助金によって地方財政がどういう面において大きくふくらんでいるかということについて御説明を願いたいのであります。
  86. 柴田護

    ○柴田説明員 詳細なことは後ほど資料をもちまして御説明申し上げたいと思います。仰せの通り大体戦前に比べまして戦後におきましては、特に昭和二十二、三年以来補助金の量も費目もふえております。大ざっぱに申しますと衛生関係、農林省関係の補助金が非常にふえております。
  87. 北山愛郎

    ○北山委員 その点はあとで資料をいただいて、一つその資料に基いてまたお伺いをしたいと思います。  それから今までの再建促進法なりあるいは財政計画に関連した問題の中で、いろいろわれわれとしても疑問の点を残しているのであります。一つ地方町村におきまして国有地が非常に多いところがございますが、これに対する林野庁等の交付金が少いという問題もありますので、林野庁の長官に一つこの委員会に出ていただきたい。それから固定資産の評価等につきましてもこれは大きな問題であります。小作料と農地の固定資産税等との関連もございまして、重大な問題でございます。しかも地方財政の上からも大きな点でございますから、一つ農林省の農地局の担当者に本委員会に来ていただきたいことを委員長にお願いをしておきます。  なお私のあとの質疑は主として地方自治に関係をいたしておりますので、行政部長がお見えになりませんと工合が悪いだろうと思いますから、一応いろいろなお願いを申し上げて、きょうはこれで終ります。
  88. 門司亮

    ○門司委員 ごく簡単に二、三の点だけを聞いておきたいと思いますが、これは何度言っても政府のほんとうの腹が聞かれないのであるから非常に残念に心得ておりますが、もしできるならこういう法案を出された政府の気持と、それからこの法案によって地方財政が必ず健全性を持ってくるかという考え方とそれからこの法案に盛られておりますことをずっと通じて読んでみますと、地方自治体の住民の負担が非常に増加することにならざるを得ないことに対して、地方住民はこういうものを負担する能力を持っていると一体自治庁はお考えになっているかどうか。それから地方自治体は生きておりますので、幾多の仕事をしなければならないと考えている、この仕事の上に差しつかえがこの法案を適用された場合にないというようなことを、当局ははっきりお考えになっているか。こういう四つの点をこの際聞いておきたい。
  89. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政再建促進法が企図いたしておりますところは、第一は現在赤字に悩む町村は赤字のために短期に資金の融通をして、それがために資金繰りに非常に困っております。俸給の遅配などもそれが一つの原因でありまして、これを今年度は一応ストップしまして、明年から七カ年程度の長期に切りかえましてさしあたっての資金繰りを緩和しょう、こういうことが第一のねらいであります。毎回申し上げるのでありますが、地方財政の立て直しは従来の赤字の処置と今後赤字にならぬような処置両方の面から考えているわけでありまして、再建促進措置法の方は、従来の赤字の措置に対する対策でありまして、それがねらいなのであります。それから赤字に深刻な悩みを持っている地方団体としましては、当然事業の縮小等はやらなければならぬ。従いましてたとえ地方住民のために必要な仕事でありましても、ある程度の制約を受けるようになるのでありますが、これは財政立て直しのためにやむを得ない措置と考えております。地方の単独事業にいたしましてもまた公共事業にいたしましても、重点的に必要なものだけはこれを取り上げてやる、比較的不急なものはこれを赤字解消後に回す、こういうような考え方にして地方自治の財政運営等にも考えてもらいたい、こういうように思っているわけであります。
  90. 後藤博

    ○後藤政府委員 ちょっと大臣の御答弁に補足をいたしますが、住民負担分が増加するかどうかという御質問があったようでありますが、私どもといたしましては住民負担を強制的に増加させるような措置はとりたくない。とらない方針で考えております。  それから仕事のことでありますが、これは単独事業、公共事業それぞれやはり私は必要なものがあるだろうと思います。従って、再建計画を立てまして毎年の予算を組みます場合には、もちろん必要なものはできるだけ認めてやりたいと考えております。公共事業はもちろんであります。公共事業につきましては、できるだけ負担のないように補助率を高めるような措置をとっていきたい。それから単独事業につきましては学校その他どうしても必要なものもございますから、再建団体ほどの事業量はできないかと思いますけれども、起債はやはりある程度認めていくという方針で、再建計画の実施を考えていきたいと考えております。
  91. 門司亮

    ○門司委員 今のお話ですが、住民の負担は増加しないと言うが、法律の内容を見るとやはりそういうわけにはいかないということなんだ。またそれでなければ事実上再興はできないということです。  それからもう一つは、今のお話でありますが、事業の制約をある程度しなければならないとこういうのでありますが、これを法律によって制約することがいいのか、あるいは自主的に制約させた方がいいのか、この点を一つもう一応考えてもらいたい。
  92. 後藤博

    ○後藤政府委員 前の増税の問題でありますが、これは法律にも書いてあります通り、これは別に必須な条件を持つと私ども考えておりません。  それから事業の方でありますが、これは私の方といたしましても必要な事業はある程度認めていくという考えを持って、指導していきたいと考えております。
  93. 門司亮

    ○門司委員 非常にむずかしい問題である。自治庁は、五千近くある全国の自治体に対してどういうものが必要なものであるかないかということがわかったら、私はどうかしていると思う。自治庁がこういうものがわかっておったら補助金のような変な問題は起らぬと思う。自治庁が何もわからないで机の上でやっているから、補助金の不正事件のようなものが出て困っておるのです。そういうことはきょうは議論をいたしませんが、最後に自信があるようなお言葉でありましたが、補助率を増していくということでありますが、こういうことが自治庁限りでできますか。
  94. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは私ども限りではもちろんできません。従って大蔵省と各省と相談の上で、当該再建団体につきまして個々考えていく、こういうことに相なると思います。
  95. 川島正次郎

    川島国務大臣 この問題は法律の中にはっきり、再建団体に対しては補助率を増すことができる、こううたってありまして、先般閣議でも関係各閣僚に了解を求めまして、今後再建団体に対する補助率はぜひ増してもらいたいということを強く発言いたして、いずれも了解を得ておるのであります。この点は私としてやや安心をしておるわけであります。
  96. 門司亮

    ○門司委員 長官は安心しておるらしいのだが、どういう法律でやるにしても、大体法律できまった補助率だと思うのだが、政令ででもやるつもりなんですか。それとも個々の問題を法律を変えないでやれるという自信なんですか。どこでやられるつもりですか。
  97. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建法の中に法律条文が入っておりますので、政令をもってやることになると思います。
  98. 門司亮

    ○門司委員 私は政令でやるということになるとなかなか大蔵省はそう引き受けないと考えるのです。これは再建団体に対してやるという問題は、実はまだまだ政令くらいではそうやれない、そう簡単にできないと思う。  もう一つこの機会に聞いておきたいと思うことは、何度も繰り返してもはっきりした答弁が得られないから、一応私は何か書いたものを出してもらいたいと思うのだが、大体自治庁は、地方財政計画というものについて、どの程度のものが正しい地方財政計画の数字であるというふうにお考えになっているかどうかということであります。こういうことを私が聞きますのは、しばしば議論されておりますように、自治庁の唯一の諮問機関である財政を担当している委員会からは、どうも五百億足りないといってみたり、あるいは最後に百四十億足りないということが伝えられている。そうするとそれが一晩のうちに解消する。これは自治庁くらい地方財政の規模に対して妙手を持ったところはない。百四十億の数字が一晩のうちにつじつまが合ったり合わなかったりするのだから、実にいい加減なものだと思う。一体今後地方財政の規模はどのくらいの規模が正しい規模であるか。こういうことについての目安があなたの方に何かありますか。あったら一つそういう統計を出してもらいたいと思います。
  99. 後藤博

    ○後藤政府委員 おっしゃいますことはよくわかるのでありますが、実は国の長期計画がございますれば、私どももそれを基礎にして長期のあるべき財政需要額というものがわかりますけれども、年々歳々国の方針が異なって参りまして、あるべき財政需要額がどの程度であるかという推定がなかなかできないのであります。従いましてやむを得ず今までは前年度ないしは前々年度の決算をとりまして、大体この程度の財政規模が必要であるこういうような考え方をとってきておるのであります。
  100. 門司亮

    ○門司委員 私が聞いておるのはそういうことではないのだ。それは一応の目安としてはそういうことは言えるかもしれない。しかし、それはきわめて便宜的なものであって、私の聞いておりますのは、国の建前がきまらぬからきまらぬというお話だが、そうではなくして、国がいかなる政策を立てようと立てまいと、今日の日本の自治体のあり方というものはわかっておるはずです。事業内容というものが大体わかっておるはずです。事業内容がわからぬというのに、それで予算を立て計画を立てているということになれば、それは今お話のように前年度の決算から割り出してくる以外にないと思う。その点で今日の自治庁は非常に弱い面があると思う。むしろ自治庁はこういう計画を立てられるなら、地方財政需要額というものについてのはっきりした目安を一応つけておいてもらいたい。投資というものの構成は大体きまっておるはずなんです。あなたの方から出てきた資料もないわけではありませんが、よく申し上げておりますように、各省は各省にちゃんと事業計画を持っておる。あなたの方はあなたの方でやはり事業計画は立てなければならぬと思う。今日の町村の教育の問題がどの程度に行き詰まっておるか、あるいは道路、橋梁等の修繕が一体どの程度あるかということはわかっていなければならぬはずです。都市計画は将来どういう形で行われるべきかということもわかっておらなければならぬ。一つの目標がなくして、ただ前年度の決算からだけ追っかけておるから、いつまでたってもはっきりしたものが出てこない。だから一晩のうちに百四十億であろうと五百億であろうと、数字のつじつまを合せればよい。これでは地方財政というものはきわめて不安定である。ですから、できてもできなくても、やはり自治庁としては少くとも一つの統括した役所を持っておる以上は、日本の自治体のあり方というものは、こういう程度がわれわれの一応の考え方だ、これに進むには、毎年これくらいの金が要るのだ、それを国家の予算との見合いでどのくらいにやっていかなければならぬということが私は出てくると思う。それが出てくれば割合に納得がしやすいと思う。毎年どこに基礎を置いておるのか一向わけがわからなぬ。国の予算がきまらなければこっちもきまらない、国の経済がきまらなければこっちもきまらないというような不見識なことだったら、いつまでたってもこの問題は解決しない。この再建整備法を出されても、今国の地方の公債政策がやまない限りに、年年一千億の公債が発行されるでありましょう。そうするとそれに対する利息は毎年どのくらい加算するでしょう。また赤字が出てくるにきまっておる。私がこの間大蔵大臣に申し上げたように、このままの推移でいってごらんなさい。昭和四十年になれば利息は一千五百億になるにきまっておる。借金は約一兆になるんですよ。事態がそこまでくることは片方でわかっておる。だからこういう案を出されるには、そういう先の問題を一体どう防止するかという確固とした案を一応立ててもらいたいと私は思う。その上に立ってこういう案を審議しろというなら私は話がわかると思う。ところがそういうはっきりしたものも何も持たないで、ただ、今赤字が出たからこの赤字をとりあえずこうしておこうというようなことできめられたら迷惑すると思うのだが、そういう案は一体あなたの方で立ちませんか。どうしても立たないというなら立たないでけっこうなんだが……。
  101. 川島正次郎

    川島国務大臣 門司さんのお話はよくわかるのでありまして、当然政府としては、長期にわたる地方財政計画というものを策定して、その線に沿って政治をやる必要があるのであります。政府では経済六カ年計画を立てまして、この国会でもいろいろ御批判を仰いでおるのでありますが、それに対応いたしまして地方財政の五カ年計画を策定いたそうと思いまして、現在自治庁の財政部においてこれを研究いたしておるのであります。地方財政の問題は各省にわたるのでありまして、建設省にいたしましても農林省にいたしましても文部省にいたしましても、おのおの長期にわたる考え方はあるのだと思います。こういうものを私の方でまとめて集計しまして、それに検討を加えて長期計画を立てて、今後の地方財政の基準を作るということは絶対に必要だと考えて、これを策定するつもりでおります。
  102. 門司亮

    ○門司委員 策定されるつもりだというのですから、それ以上聞く必要もないかと思いますが、私どもこういう法案を出されるにはやはりこういう裏づけになるものがあって、そうしてこれで地方財政の赤字解消ができるのだ、将来赤字は出ないのだという見通しがつかない限りは、なかなかこういう思いつき——思いつきと言うと怒られるかもしれませんが、そういうようなものでは承服はできないのでありますから、できればそういうものをこの審議の過程のうちに、一応自治庁考え方を出してもらいたい。そうしてその基礎の上に立って一応のこれの処置をしていきたい、こういうふうに実は考えておるわけであります。  その余のことはあとで聞きたいと思いますが、当面の問題としてどうしてもここで聞いておかなければならないと思いますことは、この間公聴会で金が払えないので労働金庫から金を借りて地方公務員の給料を払っているところがあるということを聞いておりましたが、今も鹿児島県の川内市からはやはりそういうことを言ってきております。何とかできるんなら一つしてくれないだろうかということで来ておる。これは非常にゆゆしい問題です。それらの給料が払えないような県が一体どのくらいあるのか、あるいは市では給料を満足に払っておられないのはどのくらいあるか、それからそういうところは給与の実態はどういう形になっておるか、たとえて言うならば、遅配をしておるのならば県の職員全体が遅配をしておるのか、あるいは警察官だけは給料を払っておるのか、消防手だけは市で給料を払っておるのか、そうしてほかの連中は残されているのか、そういう実態の調査をしたものがあったら、この機会に出してもらいたいと思います。
  103. 後藤博

    ○後藤政府委員 現在のところ県では多少の遅配はございますが、給与そのものの問題は私はそうないんじゃないか、ただ期末手当の問題が現在ございます。未払いのところが四、五県ございます。それから市町村の給与の実態、これはなかなか正確にわからないのでありまして、今おっしゃいました鹿児島県の川内市の問題も私は最近聞いたのであります。去年の暮れもやはり問題がございまして、去年の暮れはたしか財務局からあっせんをいたしまして、資金を出して年末は越したのでありますが、その後選挙によってたしか市長がかわりまして、給与の遅配は現在起っております。そのお話を先日私も聞きましたし、ちょうど鹿児島県の副知事がきのう参りましたので、どういう方法をもって救済するかという話し合いを一応したのであります。なお具体的な話し合いはさらに続けてやって参りたいと思いますが、私どもの方針といたしましては、県はもちろん直接われわれが関与してやれるのでありますが、個々の市の問題につきましては、どうも的確な資金をあっせんする方法はないのであります。それで私の考えといたしましては県が保証をして——正式の意味の保証ではございませんが、地元の金融機関から借りるか政府資金を借りるか、そういう方法でもって資金繰りをつけていく以外に方法はないんじゃないか、特に遠い鹿児島の果てからわざわざ東京まで資金繰りに来るということは大へんでありますし、費用もかかりますから、そういうことでなくて地元の県の金庫銀行からあっせんをしてもらう。その場合に必要であればその県はその銀行に対してある程度の預託をする。そういう方式でもって市町村に対して資金の融通をしてやる、こういう方法しか現在のところは考えられないのではないか。大体そういう方針でもって個々の市町村の資金のあっせんを県にお願いをいたして、これまではそういう方法で大体解決してきたのであります。それ以外のいい方法があればいいのでありますが、なかなか名案がなくて私ども困っております。県でありますれば東京までしょっちゅう参りますから大蔵省と話をいたしまして正式にある程度問題が解決する、かように考えております。
  104. 門司亮

    ○門司委員 そういう答弁は間違いだと思うのだ。あなたはそんなことを言ったって、たとえばこの間の参考人の証言を聞くと、佐賀県では労働金庫から出したと言っておる。政府はどういうあっせんをしておるのですか。自治労という労働組合があっせんをしておる。政府ではそんなことはしない。そういうただ形式的なことで済まされる段階ではないと思う。今の川内の問題でも鹿児島で問題の解決がつくならここに出てこない。大体話を聞いてみると、どこの銀行も借りたくても貸してもらえないで困っておる。何とかしてもらいたいので出てきたと言っておる。だからそういう現実の問題を——再建整備をする前提としてはそういうものがいろいろあると思うのです。そういうほんとうに困っておる現実のものを一応押えて将来をどうするかという問題、こういう問題を三つ並べてみて、そうして赤字で困っておるのは、こういう処置をとっていこうじゃないかという健全な一つの方法が見出されない限りは、なかなかそう簡単にはいかないと思う。現実に給与も払えないところは、この再建整備法だけでは生きてきません。まずそういうものに打つ手が残っておるのではないか。これらに対するはっきりした態度を持っておられるか、今の答弁だけでは型通り答弁であって、実際の解決はつかないと思うのです。
  105. 後藤博

    ○後藤政府委員 現在の段階における資金の方法といたしましては、私が申しますように、個々の団体それぞれの性格でもって資金が行き詰まっておるのでありますから、それぞれの実情に応じて資金をあっせんする方法をとる以外に方法はないと思います。これ以外に方法はなくて、別に大量の資金を放出してやるということは、ちょっと考えられないのではないかというように考えております。  それから川内の問題は特殊な事情がありまして、具体的に申しますと金庫銀行が三井銀行の支店であります。鹿児島の何とかいう大きい銀行がありますが、その銀行ではないのでありまして、支店銀行でありますと貸付の限度というものが非常に低いのであります。従って貸付の限度で一応押えられる。それから大きな銀行に市長が全然話に参らない。県にも全然顔を出さないで県には何にも相談をしない、そういう特殊な性格の市でありまして、県が悪いというよりも県に相談に参らないのであります。中央にももちろん相談に参りませんし、ただ労働組合の方方だけが走り回っておるというまことに気の毒な状態でありまして、私も非常に同情しておるのであります。これは市そのもののやり方からも変えていかないと——金庫そのものの問題もございますし、簡単に資金だけがどこからかぽんと出せるというものでないのじゃないか。現有の制度ともう少しマッチするような考え方を市当局が持って資金のあっせんを方々にお願いするということでなければ動いてこない、かように考えて現在そういう方針でもって県と話しておるわけであります。
  106. 門司亮

    ○門司委員 そうすると何ですか、これはちょっと横道にそれるようだが、今後藤君の話のようなことで市が県に相談し、あるいは銀行をとりかえるということになれば融資の道はあるというふうに解釈していいですか。
  107. 後藤博

    ○後藤政府委員 銀行をとりかえるということになると、おそらく三井銀行からも借りておるのでしょうから、すぐまたむずかしい問題ができると思う。それはそのままにしておいて鹿児島の金庫銀行から貸し出しをしてやるという方法をとるのが筋ではないか。それには大した金ではないと思いますが、県が多少預託をするとかなんとかすることによって資金が出るのではないか。従つて県がある程度の保証をすれば出るのじゃないか。こういう例は山口の場合もございますし、鳥取の場合もございます。従って今までそういう方式で指導して参っておりますので可能ではないか、かように考えております。
  108. 北山愛郎

    ○北山委員 ちょっと関連して伺いますが、今度の再建促進法によって措置される政府資金として出すものは、再建債の方が五十億、退職手当に出るものが六十億、そうしてあとは公募ということでありますから、政府資金としては、今までの赤字を解決するためには九十億しか出せないが、首切りの退職手当の方には六十億出す、こういうように見えるのです。従って政府資金だけを考えてみますと、首切りというか人員整理をしやすいような起債だけは、よけい心配してやるというように見えるのですが、一体自治庁は初めからこんなことを考えたのですか。初めから赤字債、再建債の方は五十億で首切りの方は六十億というふうに、首切りの手当の借金の方をよけい見ておるというのはちょっとおかしいと思うのですけれども、まさか自治庁が初めからそんな計画を立てるわけはないのですが、一体そういうふうに考えたのですか。
  109. 後藤博

    ○後藤政府委員 最初起債の資金の打ち合せをいたします場合に、実は先に退職金のことをきめて、最後に再建関係の五十億と百五十億の公募債というものをきめました関係で、先にきめた関係でそちらの方に政府資金をつけるということになったのであります。しかし実際の運用といたしましてはこの六十億が今要るか要らないかわかりませんので、できるだけ再建整備の方に持っていって使いたい、政府資金を多くつぎ込んでいきたいと考えております。
  110. 北山愛郎

    ○北山委員 あと先があるとしても、あとの方の再建債の五十億でも、自治庁としては初めから五十億で間に合うとは考えなかったと思うのです。ですからあと先をひっくるめて、結果としては五十億、六十億になっておるのですから、なぜこんなふうになってしまったか。政府資金を出すのに、退職手当の方に金を貸すということは、首切りに都合のいいように、首を刷るなら幾らでもその金は貸してやるぞというようなやり方であってまことに感心しないのですが、とにかく結果としてはそういうことになっておるのです。一体どうしてそういうことになったのですか。大蔵省でもそういう査定をしたのですか。
  111. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほど申しましたように、退職金の方が早くきまりまして、そのあとで再建債の交渉をしたのであります。ところが政府資金が五十億しかない、公募も五十億くらいだ、こういう話し合いでしばらくやっておったのであります。しかし私の方としましては、合せて百億程度のものでは困るということでいろいろ折衝いたしました結果、公募債を百億ふやしまして百五十億とし、その分を財政投融資のワク外に持って参りまして話を一応つけて、その後またもう一ぺん話し合いをして百五十億を本年度ないし来年度政府資金に振りかえるというふうに話を持っていったのであります。従って来年度以降になりますと全部政府資金になる、こういうことで大体満足した次第でございます。
  112. 北山愛郎

    ○北山委員 私の聞いているところでは、この六十億の退職手当の起債の方は町村合併に伴う分も入っておるのだ、再建債に伴うものばかりではなく、町村合併に伴う人員整理の退職金も含んでおるのだというふうに聞いておりますが、事実そのようになっておるか。なっておるとすればどのような割合でそういうふうになっておりますか。
  113. 後藤博

    ○後藤政府委員 六十億の退職金の起債の中で、私どもとしましては赤字団体に関係のない分として三十億ぐらいを考えておるわけであります。それは主として町村合併に伴う退職金に充てる、こういうふうに考えておるわけであります。
  114. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると今度の地方財政再建促進法というのは、何も赤字を出した団体ばかりでなくて、赤字が出ていなくても、町村合併で人員を整理するのにも金を貸してやろうという意味も含んでおるわけですか。
  115. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建整備団体でなくても、退職金の起債というのは前から要求があったのであります。従って再建整備団体だけにそういう特例を認めないで、赤字がなくてもそういう財政構造を直そうとする団体に対して、退職金の起債を認めようということにいたしましたので、両方あるわけでございまして、再建関係の法律の一部に入れたわけであります。
  116. 北山愛郎

    ○北山委員 そうするとやはり問題じゃないかと思うのです。人員整理はいろいろな団体によって違うでございましゃうが、とにかく人員整理はできるだけ避くべきじゃないかというふうに見えるのです。従って赤字が出ないでやっていけるような団体については、もし整理するとしても自己財源でやるのが当然であって、赤字が出たのでやむを得ず人員整理をしなければならぬという場合は、あるいは増えなければならぬかもしれませんが、健全で今もって赤字が出ない、ということはよほどの健康体なんです。その健康体でやっておるものをわざわざ、首を切るのなら金を貸してやるということが地方財政の再建促進であるとは考えていなかったのです。そうしますと、今までの赤字団体に対する再建整備促進という意味以上に、いわば余分なものについてすら、首切りを奨励するために政府資金を増えておると言わざるを得ないと思うのです。それならば私は大問題じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  117. 柴田護

    ○柴田説明員 ちょっと誤解があるように思いますので御説明さしていただきたいと思います。この法律が制定されますと——地方団体の種類を大ざっぱに分けますと五種類になります。一つは財政再建債を起して政府の金を借りて、あるいは公募債を起して再建をやる団体、もう一つはこの法律の適用を受けて財政再建をやりますけれども政府資金なり公募債を借りない、つまり財政再建債を起しませんで財政再建をやる団体であります。いま一つは財政再建法にはよらないで全く自主的見地から財政の再建をやる団体、それはこの促進法の適用を受けないわけであります。いま一つは財政の再建もやらないし、赤字を出して知らぬ顔をしておる団体、いま一つは健全財政を堅持しておる団体、大ざっぱに申しまして五種類の団体があるのであります。従いまして、今御指摘になりました御趣旨は、そういう団体について首切りを奨励するのではないかという御趣旨かと思うのでありますけれども、今申し上げましたように、退職金の起債を財政再建債として認められますのは、最初の地方財政再建促進特別措置法の適用を受けて、しかもこの法律によって財政再建債を起す団体であります。従いましてそのためには、その団体の退職金に要する資金として三十億くらいの金を用意しており、あとの三十億くらいは、町村合併もありましょうし、その他の関係もありましょう。しかし要するに財政構造が若干ひずんでおる団体が自分で人員の再検討をやって合理化をはかっていく、そのために退職さすという場合があるわけでございます。そういう場合には、今の状況から考えまして特別に起債を許してやろう、こういう趣旨でございます。
  118. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると正規の財政再建団体にならなくても、いわゆる赤字団体がこの規定の中でいわば赤字団体の退職手当に対する財源としては認めてやる、そういう分ですか。町村合併と必ずしもこれは結びつくともいえないのですが、町村合併と関連するというから、町村合併なら、その団体が黒字であろうと赤字であろうと、退職手当については起債を許すというふうに先ほど私受け取れたのですが、そうでなくて、いずれにしても赤字団体なり再建団体というふうになったものについてのみ考えるということなのか、どうも前後はっきりしないのですが、どうなんですか。
  119. 柴田護

    ○柴田説明員 若干御説明が不足いたしておりまして、申しわけございませんが、何も赤字団体だけということを限っておることはございません。法律上は赤字団体でもできることになっております。ただ現実問題といたしましては、財政が多かれ少かれゆがんでいる団体、赤字を出しておる、あるいはほうっておけば赤字が出るといったような団体が、対象になるであろう、それに町村合併いたしました際の問題も考えられて、それらの問題も全部含まれているという趣旨であります。黒字団体の場合にはそういう場合は少なかろう、こういう趣旨で申し上げたわけであります。
  120. 北山愛郎

    ○北山委員 どうもこれは国全体として考えると、常識的に昭和二十九年度の赤字は五百八十六億円くらいある。それに対して全体的の措置は二百億しかしていない。だからあとの三百八十六億はどうするのだというと、これは相当部分が将来考えなければならぬ、こういうふうに自治庁長官も言っておられて、今回の政府資金あるいは赤字再建債すらも足りないわけです。ところが首切りの方だけは黒字団体についてもめんどうを見てやるというように、まことに御親切なんです。首切り奨励法なんです。たとえば私は率直に言って、この内容については文句はずいぶんあるけれども、少くとも従来の赤字を出している団体に対するめんどうを見るという趣旨においては、そこに根本があると思ったが、そうではなくて、その足りない金の中から首切りの金だけはちゃんととってやるということでは、これは相当問題だと思う。私は絶対にそういうことは認められない。そこでそういう分は一体幾らあるか。町村合併というものは一体幾ら見込んであるか。できるならばそういうものはやめてしまって、もしもそういう黒字があって、しかも退職をさせるという団体は、それこそ自分で一般財源なり、あるいは金を工面してやるべきであって、とりあえずは赤字を出している団体に政府資金を使うべきが当然だと思う。従ってそういうものがかりにワクとしてあるならば、その分は一つ赤字の方へ回せないものか。これは当然われわれとしては常識的にそういう結論にならざるを得ないのですが、自治庁はどういうふうにお考えですか。
  121. 後藤博

    ○後藤政府委員 一応ごもっとものような御意見でありますが、現在黒字を出しております団体も、非常に苦しい運営をいたしております。たとえば町村のごときを見て参りますと、十人くらいおりまして、三、四百万円の退職金を出す、このことが重大な問題なのであります。従ってたとい健全財政をやっておりましても、そういう団体に認めることが、赤字を作らせないということから申しましてもいいのであります。それから普通の起債と違いまして、退職金の起債と申しますのは、非常に短くしております。これは一年据え置きの三年くらいで支払います。これは翌年度から財政規模がうんと落ちて参りますから、完全に支払い能力があるわけであります。一時に金を出すことはできない、こういう問題でございますし、これまでもそういう要求があったのであります。小さい町村合併の場合には、できるだけ私は認めてやりたいと思っておりますが、ただ黒字団体であるから、全部その黒字団体の分を見るとは私も考えておりません。富裕な団体であります場合には、必ずしもこの起債をつけるつもりはないのであります。大都市なんかで非常に富裕なところで、大量な計画を持っているところがあるといたしましても、そういうところを認めますと、五億とか十億とかいう金が一ぺんに飛んでしまいますので、できるだけそういうところは自己財源でやっていって、自己財源の範囲内でもって問題を解決してもらって、できるだけ黒字を出しておりますが、非常に窮屈な財政規模のところに起債をつけていくという方針でもって参りたい、かように考えております。
  122. 北山愛郎

    ○北山委員 それは実は五百八十六億の赤字に対して、せめて五百億でも再建債を用意しておるときの話です。やはり五百八十六億に対して二百億しかない。あとはどうやらまだ政府でも見当がつかないという事態においては、やはり行き過ぎではないかと思うのです。少くとも赤字を現実に出して苦しんでおる団体があるのに、それに対してやる措置すらもまるで足りないでしょう。そういうときに、さらに黒字を出しており、少しゆがんでおるかもしれないけれども、それを健全化させようというところまで、その乏しい足りない分から出そうなどということは、ちょっと私は順序が間違っておるのじゃないかと思います。  それから理論的にこれを言うならば、今度の財政計画と実際の給与の実態と、いわゆる財政計画上の給与額とそれから実態とが食い違うということを認めておられる。それはしかも給与の実態調査をした上であるいは調整するかもしれないと言っておられるでしょう。従ってそれがきまるまで個々の団体の首切りについても、やはり理論的にいえば、それをやってもらうのが当然なんです。かりにそういう財政がゆがんでおって、人員整理をしたいと思っておる団体であっても、その団体の給与なり人件費がことさらに多いとか、異常だということでない場合もあると思います。たとえば先だって例になった相生市の場合に、あれをちょっと見ると、やむを得ずもう最後に手をつけるのは人件費であるということじゃなくて、自分で払わなくてもいい県の負担まで、五百万も県の高等学校の建築費用に寄付をしておる。まず順序としては、それに手をつけ、それから人件費なら人件費に手をつけるというのならば、これは順序でしょう。ところが今のような方針で、自治庁が新しく整理をするなら金は何ぼでも貸すぞというのならば、そういうむちゃないわゆる不健全な予算の組み方をしておりながら、人件費だけはどんどん切っていくことになる。ですからこれをやるのには、そこに理論的にいっても、まず給与の実態調査をやって、政府の方で財政措置を調整なら調整をして、その上で行政整理なり何なりを考えるべきではないか、これは理の当然ではないかと思います。そうでなくて、今のままの財政計画でいくならば、あるいは首切られないで済む人すら切ってしまうかもしれない、そういうこともいえるでしょう。だから自治庁のお考えは、何が何でもこの際は退職手当を出して首切りを奨励させようというように見える。それは直接に財政再建のわれわれの考えておる促進法とはちょっとはみ出しておるように考えるわけです。従ってこれは財政部長にも理屈はあるかもしれませんけれども、われわれ常識的に言うならば、その退職手当のワクが二十億でも三十億でもあるならば、それは再建債の方に回してもらう方が当然であって、そんなふうに黒字団体の首切りの金までめんどうを見るというのは、少し考えていただかなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのでございます。  そこでさらにこの法律行政関係が相当あるのですから、委員長にもお願いしておきますが、財政再建だからといって、財政部だけではなくて、内容的に見れば、公務員の関係であるとかそういう点があるので、この法案の審議の際には、必ず行政部関係の方々もおいでを願いたいと思います。  それからこの給与につきまして、この前統計局から来ていただいて、今までの実情を報告してもらいたい、こう要望いたしておきましたが、これはやはり統計局の方では実際の計数整理はいたすのでしょうが、政策的なこととかそういうことはおそらく関係がないのじゃないかと思います。統計局に来てもらうことも必要でございますが、一つ来週でも自治庁の公務員課長に来ていただきまして、その給与実態調査なるものはどの程度まで進行し、どういう方法によって集計をしておるか、それについてお伺いをしたいのでございます。給与の関係でございますから、以上のことを関連として申し上げて質問を終ります。
  123. 川村継義

    ○川村(継)委員 財政部長、今北山さんから話があったのでぼくも一つ心配があるのです。特に赤字をかかえ込んでおるような府県では今年度の予算編成で二百人とか三百人とか整理を考えているところが相当あるのです。結局今府県では困っているから、交付税はどうにかならないかということが大きな熱願だということは御承知の通りだと思う。一方今問題になっている三十億と三十億ですね、もしもあの再建法が通って縛られるなら、今のうちから一つ自分でできるだけ悪い血は出しておかなければならぬというので、今三十億に非常に魅力を持っている。だから、今度の予算編成に当って三百人とか三百人の整理に相当着手している傾向がある。だから今北山さんが話していることは、給与の実態もわからぬのにそういう状況が出てくることでも、それから再建についてのこの審議の過程にかんがみても非常に心配になっているわけです。これはお答え願わぬでもいいですから、その辺のところを各県の動きを、わかっておるならお答え願いたいのですが、一つよく調べておいていただきたいと思う。これは大きな問題だと思うのです。
  124. 後藤博

    ○後藤政府委員 私どもが見ておりますと、もちろん各地方団体で整理の計画があることも承知いたしておりますが、これは退職金の起債を認めたから起ってきている問題ではないのじゃないか。もちろんその退職金の起債があることも、それによって財源措置ができるという見通しもあるでしょうけれども、これはたとえば長期計画を立てますれば同じことでありまして、小さい団体のように困ることは私はないと思います。ですから、大きな団体でありますれば、むしろ全額を認めなくてもいいんじゃないかという考え方もできるのであります。小さい団体になりますと、三百万、五百万というのが財政支出の上で非常に大きな比重を持って参りますからできない。そういう団体は黒字の団体が相当あるのでありまして、従ってそういう団体を救済してやるということも必要じゃないか。それから赤字の団体の場合の整理ということももちろん考えていかなければならぬ、何方をあわせて考えていきたい、さように考えて退職金の起債を、六十億というのは相当の数字でありますが、大蔵省と話し合いをして一応別ワクにしたのであります。
  125. 川村継義

    ○川村(継)委員 そうおっしゃるならまたもう一つ聞かなければならぬのですが、どうもわれわれが見ていると、地方の府県あたりで考え考え方と、自治庁がつかんでおられる考え方とがいつも何かずれるような気持がするのです。三十億と三十億がありますね、今度の予算編成に当って、今度人員整理をあの三十億の中から持ってきて早くやっておかなければ困る。ことしが困るしまた来年が困る、こういうふうになって、非常に整理を急いでいるのです。これは名前をあげてもいいですよ。そういう傾向があるから、自治庁の方で考えておられるような、人間で言うなら個人的な心理状態ですね、そういう状態ではないということなんです。だから結局いわゆる人員整理促進になっていはしないかということを心配しているということなんです。
  126. 五島虎雄

    ○五島委員 民主党から愛知県の鳴海合併問題は、非常に慎重にその分だけ審議するように言われましたが、これはやってもよろしいのですね——それでは北山委員が言われた六十億の問題についてだけですが、単刀直入に、三十億は大体昭和二十九年度から引き続いて昭和三十年度に〇・二五%ですか、その分に相当するものである。しかし資料によると五千八百人程度になっておったように思います。そこでこの三十億プラス三十億で六十億というのは、その退職を想定するところの人員は大体どれだけ想定されているかということをまずお伺いしたい。
  127. 後藤博

    ○後藤政府委員 退職金の起債を認めます場合に一体幾らあったらいいかという算定でありますが、これは計画的に私どもがやる整理ではございません。従ってこれはどの程度をやり得るだろうかという目安を考えたわけでありますが、その場合に三十億でいい、あるいは五十億くらい、六十億から百億くらいでいいのじゃないかとか、いろいろの説があったのであります。従ってこの六十億そのものには根拠はございません。これを三十万円で割って二万人という数字もないことはございませんが、しかし私どもは別に何人というのを予想しておりません。これはほんとうはそうであります。
  128. 五島虎雄

    ○五島委員 予想してなくて再建方式を立てられたということになるのですが、何かあるでしょう。全然ないですか。
  129. 後藤博

    ○後藤政府委員 従って先ほど私が申しましたように、六十億が余るようであれば、それは政府資金でありますから再建整備の方に使いたい、かように私ども考えております。
  130. 五島虎雄

    ○五島委員 そうすると、これは根拠ないものと了解してよろしいですね。それではそういうように根拠のないものをわれわれに提案されているというように了解して次に進みます。非常に大きい問題では門司さんや北山さんから質問がありました。まだあるだろうと思います。それで私は条文そのものの大体の解釈の仕方を三条まで聞いておきたいと思います。二条の一項によりますと、赤字が生じたところの団体は自治庁長官に申し出て、自治庁長官が指定する日の現在によって財政の再建に関する計画を定めなければならない。これは長官の従来の説明によりますと任意的なものである。ですから、これは必ず赤字を生じたからといって再建団体になる必要はないと解釈する条文ですか。
  131. 後藤博

    ○後藤政府委員 おっしゃいます通り、これは再建整備団体になるかならないか、再建整備をやるかやらないかは任意でございます。
  132. 五島虎雄

    ○五島委員 任意だということは了解しました。そうすると、三条の四項で「昭和二十九年度の赤字団体で第一項の規定による財政の再建の申出をしないものがある場合においては、自治庁長官は、」中略「この法律規定によって財政の再建を行うべきことを勧告することができる。」というのは、ただできるという条文であって——この項目の意味するものは、自治庁長官の権限によって非常に勧告権があるとわれわれは解釈できるわけです。従って一項で、任意規定であるという意味を持つ項目が、四項においてこれは任意規定でないように解釈されるわけです。そこで、赤字団体であってほんとうに再建団体を申し出るといろいろの計画とかなんとかをしなければならぬ、従ってしたくないという団体があるかもしれない。その場合自治庁はこれについて申し出ろというように大きい勧告権を持っているということは、のがれられないというように、自由ではない、任意ではないというように解釈できますが……。
  133. 後藤博

    ○後藤政府委員 第四項の規定は、私どもが見まして赤字のひどい団体で再建整備を要すると認められるものについては、この法律に基いて再建計画を立てて再建をやりなさい、こういう勧告をいたしますが、それは別に義務を負わせるわけではありません。勧告は単なる勧告でありまして、それは別に義務を伴うものではありませんから、一応の勧告というふうにお考えを願いたいと思います。
  134. 五島虎雄

    ○五島委員 それでは勧告をした場合、これは地方議会議決によってきまるわけなんですが、勧告をして、なおかつ赤字団体の申し入れをしない団体については、どういうように考えていかれるつもりでありますか。
  135. 後藤博

    ○後藤政府委員 別にどういうふうにするというわけではなくて、そのままの状態が続くわけであります。
  136. 五島虎雄

    ○五島委員 ところが赤字団体で申し入れない場合、たとえば赤字団体だったら事業というものは非常に圧縮しなければならないし、また地方の税の徴収の仕方も計画を立てなけたばならぬ。あるいは地方税の住民税、その他の課税を取り立てるようなこともしなければならない。こういうようなことをしたくない団体で、現実に赤字で苦しんでおるというような非常な矛盾が出てくるのじゃないかと考えるわけです。そうすると、こっちから勧告しても、なおかつ任意制ですから受けないところの地方団体に対して、起債とか何とかをどういうふうにして考慮していかたれるつもりですか。
  137. 後藤博

    ○後藤政府委員 起債を全然認めないということは考えておりませんが、ただそういう大きな赤字を出して、しかも財政再建をやらない団体に対して、単独事業の起債その他につきまして多少他の団体と異なった取扱い——これは全体的な問題でありまして、一定規模以上の赤字団体に対して単独事業の量を従来の実績よりも落す、こういう方針でずっと来ておりますので、その一般の方針のワクの中でもちろん考えるわけでありますが、そういう結果が起るかもしれません。
  138. 五島虎雄

    ○五島委員 そうするとさいぜん後藤財政部長は、門司さんの住民の負担を増大させるのじゃないかというような質問に対して、税金を上げて住民の負担を増大することは必須条件じゃないという答弁があったように記憶いたします。間違っておれば訂正いたしますが、もしもそういうような説明からするならば、三項の二号の二の問題は、計画に必ず入れなければならないところの必須条件であるように考えますが、必須条件と違うのですか。
  139. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは三項の本文の但書のところに書いてございますように、「ただし、第二号二に掲げる事項については、財政の再建のため特に必要と認められる昭和二十九年度の赤字団体に限る。」こういうようになっております。従って特にこういう団体だけに適用するのでありまして、別に必須のものではございません。
  140. 五島虎雄

    ○五島委員 特にというのは、どういうのを特にと解したらよろしいのですか。
  141. 後藤博

    ○後藤政府委員 特に必要であるかないかというのは、その個々の団体の判断でもってやっていただきたい。
  142. 五島虎雄

    ○五島委員 わかりました。それからこういうことになると、一項目では非常に任意制である。四項目になると何か勧告権があって脅威を感ずる。すべて陳情をしなければ何ら運営ができないような現在の地方自治体の財政状態にあるとき、そこに勧告権というものがあって、果して任意制が持続できると思われるかどうか。非常に大きな任意制であると一方に表現しながら、一方では厳然と何か鬼が金棒を持ってみたようになっておる。そういうようなことを自治庁考えられないのか、何か心の中にそういうようなのを想定しておられないかどうかということを、おかしいですけれども質問しておきます。
  143. 後藤博

    ○後藤政府委員 私どもといたしましては地方団体の赤字の状況を見ておりますし、いろいな再建計画ができておりますので、個々の団体につきまして一つの指導方針といたしまして、勧告をいたしたいと考えておるのであります。つまりこの程度の赤字の団体であれば、ほかの団体もやるのであるから、あなたの方も再建計画を立ててやりなさい、こういう意味の勧告であって、私ども別に強要するわけではないのでありまして、個々の団体の判断にまかせる。そういう一つの指導の一端としてこういうことをやりたいと考えておりまして、これを強く働かせていきたいというようには絶対に考えておりません。
  144. 五島虎雄

    ○五島委員 それでは時間がありませんから第三条に移ります。この第三条で再建計画を立てる場合、自治庁長官の承認を得なければならないということになっておりまするが、この承認を与えるところの基礎は、どういうところに置いて承認を与えられるつもりですか。
  145. 後藤博

    ○後藤政府委員 大体現在の状況を基礎にいたしまして、その団体の将来五カ年なら五カ年の計画の達成が可能であるというふうに認めましたときには、もちろん承認いたしたいというように考えております。もちろん将来の問題でありますからわかりませんが、現状を基礎にした判断でもって達成可能の計画であれば承認いたしたいと考えております。
  146. 五島虎雄

    ○五島委員 五カ年なら五カ年で達成可能であるという判断自治庁が行われるのであって、当該地方自治体の任意制ではなくて、非常にそこに再び威力を発揮するような条文規定であるように考えられるわけです、従って地方自治体は地方自治体の議会あるいは市長の提案によって議会が承認して、それを自治庁に持ってきて相談する。ところが自治庁の主観的な判断によって、五カ年間で達成し得るという計画であっても曲げることができるように考えられますが、そうじゃないのですか。
  147. 後藤博

    ○後藤政府委員 地方団体で再建計画を立てました場合に、私どもが予想されます問題点になりますのは、歳入の関係では交付税及び起債の見積りをどの程度するかということです。歳出の方では事務費をどの程度削減する計画があるかということがおそらく問題になると思います。その計画を見まして、歳入の方の交付税でありますとか、地方債の見積りがそう大きくなくて、現在の状況から判断すればこの程度のものであるということが認められればもちろん問題はないのです。歳出につきましても、むちゃくちゃに専務費を削減しようといたしましても、そういうことはできないのですから、そういう点につきましてわれわれの方はよく見まして、これはおそらく地方団体の中では審議のときにはわからないことだろうと思います。従いまして地方団体の中でわからないことをわれわれの方で判断いたしまして承認する、こういうふうに考えております。
  148. 五島虎雄

    ○五島委員 その場合には地方議会議決のあり方ですね。一度地方議会議決をし、当該市長の計画方針なるものを議会が承認をし、持ってきて、それを自治庁が変更される。そうするとまた持って帰って議会にかけて承認すれば、それが効力を発するわけなのですか。
  149. 後藤博

    ○後藤政府委員 さようなことになりますので、この一項のあとの方の条文になるわけであります。「必要な条件を付け、又は変更を加えた上、」認める。これが今おっしゃいましたようなことで、たとえば歳入の関係で交付税とか起債の見積りが非常に過大であるとか、義務費の節減が大き過ぎるとかいうようなことで、そう大きな計画の変更を必要としないような場合もあると思います。そういう場合にもう一ぺん持って帰って議会にかけて承認を得ますと、また非常に煩雑なことになりますので、できればそういう煩雑な手続を省略していきたいと考えまして、こちらの方で変更をして承認をする、こういうふうに考えたわけであります。
  150. 五島虎雄

    ○五島委員 そこで今の三条の中から見ると、非常に任意的であり、再建のためには自生的に再建計画を行え、しかし悪いときは自治庁で訂正するぞというようなこと、そして今の北山さんの質問に関連するわけですけれども、退職金のための六十億の用意、それから従来たびたび自治庁長官川島大臣は首切りをするつもりはないのだ、これは地方自治体の再建のための自主性にまかせるのだ、決して自治庁では首切りをやろうとは思わないという説明があったわけなのです。ところがまた一方から見ますならば、国家公務員よりも地方公務員の給与が高い。従って何とかしなければならぬ。赤字の原因というものは、地方公務員の高い給与費がその大きなウエートを占めているのだという説明も行われていたようです。そうすると赤字財政を再建するというこの再建の法案そのものは、何としても給与費にこれがしわ寄せされてくる法律案であるようにわれわれは思うのです。審議の途中ですから、まだはっきりはしませんけれども、そういうように思われるわけですが、この法律を施行し、そして各地方自治体から再建のための申し入れをし、計画が持ってこられる。そうすると地方自治庁は首切りはするのじゃないぞといいながら、お前のところはこうしなければならぬといって、そのしわ寄せが最も安易な給与費というようなことにしわ寄せされるような法律であるかのように思いますが、私のこういう思いと自治庁の思いとは違うかどうかということをちょっと伺いたい。
  151. 後藤博

    ○後藤政府委員 各団体の歳出構造によりまして節減をします方式が私は違うのではないかと思っております。たとえば市と県との節減の方式は違うのではないか。市の人件費は全体の割合が非常に少い。それから県の方は非常に人件費のウェートが高いのであります。従って市の場合と県の場合とでは節減の方式が違いますから、市の場合は団体によって違いますが、必ずしも人員の方に手をつけなくても節減が可能なところもあり得る、かように考えております。従って必ずしも人員整理を強制するものではないというのは、そういう意味で私どもは申しているのであります。ただ消費的経費を削るか、投資的経費を削るかという問題になりますと、その判断個々の団体の議会と長の話し合いにしてもらって、われわれは別にそのどちらをとれとは言わない。住民の希望する方をとっていくべきではないか。両方とれれば両方とる。どちらに重点を置くかはその地方自治体で独自の判断をしてもらいたい、こういう考えであります。
  152. 北山愛郎

    ○北山委員 さっきの五島君の質問に関連するのですが、六十億という退職手当に対する起債、これは別に基礎がないというお話だったのですが、これを現実にやるという場合に、大体一人当りどれくらいの退職金を、実際に起債の許可をするときに見ているのですか。
  153. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは私先ほどちょっと申しましたが、非常に苦しい市町村のように、財政そのものの構造が非常に窮屈になっている団体につきましては、私は全額に近い金を見てやるべきではないかと思っております。従ってその財政の状況によって多少の差をつけたいと思いますが、できるだけ出したものを総額を見ていきたい、かように考えております。
  154. 北山愛郎

    ○北山委員 それは実際にやる場合でしょうが、しかし大体結果として、多いところもあり少いところもあるでしょうが、平均して退職金としては一人当り幾らぐらいという目安がついておられるだろうと思う。その金額、平均単価といいますか、それを知りたい。
  155. 後藤博

    ○後藤政府委員 今までの退職金の例で見ておりますと、平均いたしますと三十万円くらいじゃないかと私ども考えております。
  156. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると多いところもあり少いところもあるでしょうが、平均三十万円といたしますと、それ以上は貸さないでしょう。そうするとそれ以下になるのじゃないかと思いますが、実際にこれを実施する場合の単価としてはどの程度に考えておりますか。三十万円として見ているのですか。
  157. 後藤博

    ○後藤政府委員 私どもはできるだけ申込み金額を全額つけていきたい。別に割増しの大きなものを出していない限りは、私はその金額をできるだけ取っていきたい。小さい団体ほどそういうようにしていきたい、かように考えております。従って必ずしも三十万円で人数を掛けたもので私どもやるつもりはございません。
  158. 北山愛郎

    ○北山委員 ただそういうふうにやって申し出のままかりに全部見た場合の平均は三十万円なんでしょう。そうするとその申し出の分も全部見ない場合もあり得るのですから、少くとも三十万円以下ですね、平均として実施した場合に。
  159. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは申し込み順序によってどんどんつけていきたいと思います。従って計画的にこういうものはつけられるものではございませんから、申し込みがあればそれを基礎にしてどんどんつけていきまして、ある程度まで行ったら、もう申し込みを締め切らざるを得ないのじゃないか。普通の事業と違いますから。そういう格好でできるだけ多く出してやりたい、こういうふうに考えております。
  160. 北山愛郎

    ○北山委員 僕の聞いているのは、実際今のようにやつた場合、少くとも平均単価として三十万円以下になるだろうというわけなんですよ。その個々の団体からは三十五万円の分も出てくるでしょうし、あるいは二十万円のやつも出てくるでしょうが、これを平均した場合には先ほどお話の言葉によって全部要望額だけやったとしても、平均三十万円になるだろうというのですから、実際ある富裕団体というか力のある団体については、その所要額だけやらない場合もあるのですからして、少くとも平均単価としては三十万円以下であると考えられる。そうするとかりに三十万円と仮定すれば、六十億ですから三万人を予想して組んでいる、こういうふうに見ざるを得ないのですが、どうなんですか。
  161. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほど申しましたように過去の平均からいたしますと一人当り三十万円ぐらいになっている、そういう数字があるということを申し上げたのでありまして、逆にそれを基礎にして二万人を掛けて六十億という数字を出したのではございません。やり方も私どもは先ほど申しましたように申し込み順によってできるだけ多額につけていきたい、かように考えて参りますので、平均がどのくらいになるかという予想は現在できないのじゃないかと考えております。
  162. 北山愛郎

    ○北山委員 予想ができないということは、過去の実績によれば、三十万円平均くらいだ。それならば、予想ができないということは、それより変動しているということですね。それはなぜであるか。どの程度に変動しているか。どうして予測ができないのか。予測ができないということを考えるならば、予算なんか組めやしない。だけれども少くとも六十億というものを組み、すべてこういうもので予算を組んでいるのは、大体過去の実績を基礎としてそうして予測し得る単価なり何なりでもってやっておるでしょう。そうすれば私は今申し上げた平均三十万円というものはおそらく高いのではないかと思う。実際は自治庁がやる場合には平均三十万円はやらないのではないかと私は思っておる。まあしかしかりに三十万円やったとしても、二万人の首はこれで切れるわけなんです。大体そう考えているのです。
  163. 後藤博

    ○後藤政府委員 どうも信用が非常にないのでありますが、私は三十万円という単価に一つもこだわるつもりではございません。従って必要な量だけはやはり認めていかなければならない。かりに過去の例から申して三十万円になる。それを今度は逆に六十億だから二万人というものではないと考えております。従って申し込み順で六十億使ってしまえばやはりあとは来年度退職金の起債を要求いたしまして、やはり来年度詰めてやる、こういう方針で行きたいと考えておるのでございます。
  164. 北山愛郎

    ○北山委員 くどいようですが、少くともその計画は、行政整理の五千八百人というものを基礎にしたわけではないのではないか。おそらく六十億で二万人切れるか、五万人切れるか、できるだけ六十億を生かして使おうというところにあるのかもしれない。邪推かもしれませんが。しかしそういうような少くとも過去の実績などから考えますと、われわれの推定というものはそう間違いがないのではないかと思うのですが、なおちょっとまだ関連して一点お伺いしたいのは、先ほど再建計画の承認ということの際の自治庁考え方をお話しになりました。そういう際に具体的な例として、せんだってここで問題になった相生市のような場合、ああいうふうな予算を組んでそれを再建計画——かりに相生市が再建計画によって再建団体になるというような場合に、自治庁長官としてはまずもって県立高等学校に対する負担金のごときはこれは計上しないでやめてしまうべきではないか、しかる後に人件費その他事務費等に手をつけるというのが順序だというようなお考えで、かりに相生市の場合にこれを指導なさるとすればそういうふうにお考えになるわけですね。そういうような指導の方法をおとりになるか、ちょっと参考にお伺いしておきたい。
  165. 後藤博

    ○後藤政府委員 単に寄付金だけの問題でありますればおっしゃる通りでありますが、しかし相生市の場合は、私もよく存じませんが県との間で県立移管に伴ってこれだけのものを何年間に寄付するという約束があったのではないかと思います。そういう約束に基いて支出するものであれば、やはり地方団体同士の約束でございますから、それはやはりある程度は考えていかなければならない。その場合に人員整理をした方がいいかどうかという問題は、私はその地方団体の内部で意思決定をすべきもの、かように考えております。
  166. 北山愛郎

    ○北山委員 これはやはり行政上の一つの方針があると思うのですよ。今度の自治法の改正の中でも、いわゆる高等学校等は原則として府県がやることにしてある。そして力がある場合、例外的に市町村がやるということになっているでしょう。だから高等学校は府県がやるという建前である以上、しかも現在のこうした情勢において基準財政需要額というものはやはりその高等学校については県の方についているのです。そういうふうである以上は、たとい個々の団体の契約であろうとも、やはりそういう形は好ましくない。やはり自分の方の県立の高等学校であるならば、県がその需要を支弁するのが交付税の需要額の算定からいっても当然なんで、もしもそういう必要経費を県が市町村に押しつけたとすれば、これは適当でない。こういうふうな見地から自治庁は指導していかなければならぬのであって、ただお互いに話し合いがついたから、その話し合いを尊重していくべきだというのは、あまりに行政上の方針がないのではないか。こういうふうに思って実はお伺いするのです。私の言うことが間違っておりますならば、なぜ間違っておるかお伺いをいたしたい。
  167. 後藤博

    ○後藤政府委員 市立の、地方団体立の学校を県立に移管する場合、県立の学校を国に移管する場合、同じような問題がごいます。その場合に、移管される方と移管する方の立場は、それぞれ見ておりますと、移管してもらいたいがの側では、その学校を持つことによって相当額の財政負担があるわけであります。その負担額を将来ずっと続けていくかどうか。それよりもこの際少しくらい金をつけてきれいにして差し上げた方が、将来の財政構造がよくなるし、財政負担が軽くなるからやるのだ、こういう例が非常に多いのであります。おそらく相生市の場合もそういう理由があるのではないかと思います。そういった場合、財政負担と寄付金という形でもって差し出す方のものとの間に、どういう関係があるか、どちらが大きいかというところも私は問題だろうと思います。従って地方団体の全体を見ておりますと、やはり小さい団体が大きな財政負担をこれによって負うような場合には、やはり大きな団体に移して財政負担を軽くしていこう、その場合に多少犠牲を払ってもやむを得ない、こういう気持はやむを得ない気持じゃないか。従ってそういう事情がある場合には、その事情もやはり考えてやるべきじゃないか。単に、それが寄付金という形のものであるからいけないという、そういう簡単な判断だけではいけないんじゃないか、こういうように私は考えております。
  168. 加賀田進

    加賀田委員 関連。今後藤部長から退職金の問題に対して非常に不明確な基礎のないような答弁があったのですが、この再建法案では、財政措置としては赤字債が政府資金と公募債で二百億、退職金が六十億、それから利子補給が七千五百万円、こういうふうになっております。これは大体赤字債も利子補給も理論的な根拠の説明を聞いておるのですが、退職金の問題だけなぜ理論的な根拠なくしてばく然と六十億を出したか。私はやはり自治庁としては何か基礎に基いて三十億、三十億と割り振ったんじゃないかと思うのですが、そういう基礎がなくして、ばく然とバナナのたたき売りのようにして出したということに対して、われわれこれを実施した場合に、果して完全に実施できるかどうかという懸念を持たなければいけないと思うので、われわれの審議に対して非常に支障を来たすと思うのですが、これは説明をもっとはっきりしてもらいたい。
  169. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほど私が申し上げましたように、この退職金をどの程度見るかということは、過去の退職金の出し方はもちろん基礎になるわけであります。過去の出した例から見ておりまして大体五、六十億の範囲じゃないか、こういう判断でもってきめたのであります。こまかく整理人員が何ぼで一人単価何ぼというこまかい基礎できめたのではない。こういうふうに申し上げたわけであります。正直に申したのであります。別にこまかい整理計画を私どもは持っておるわけではございません。
  170. 加賀田進

    加賀田委員 詳細な内容にまで私たちは説明を求めておるのではないのですが、今大体過去の実績から退職金平均一人三十万円で、しかもここに出ておる通りに、やっぱり退職金手当として六十億ですから、三万人少し——全部を見ないとしても二万人少し超過するという大体のアウト・ラインだけでも基礎を持って出されたと思うのですが、どうなんですか。
  171. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほど申しましたように、この点は三十万円を基礎にすれば二万人になるかもしれません。それは逆算の二万人でありまして、計画的に出した二万人でないのであります。ただ地方団体がどの程度やるかということは、これは一つは単独事業の起債でもそうでありますが、今年単独事業の起債がどの程度出てくるかは、実は集まってみなければわからぬのでありまして、前年度において推定すること自体なかなかむずかしいのであります。これは起債の中にも、単独事業の起債はそうであります。補助事業の起債はちゃんと基礎がございます。事業は、昨年は百十億、今年は百億、百億の基礎を出せと言われても、簡単には出ないのであります。大体は従来の経験から申しまして、このくらいの額で大体やれるだろう、こういう見通しで出しておる額でありまして、計画的に出した数字ではありません。
  172. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると大体従来の実績から見て、今申し上げたような約二万人程度の人員整理ということで、この問題が再建ができるのじゃないかという見通しと理解していいのですか。
  173. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほど申しましたように、再建団体ばかりでなくて、全団体について私ども考えておるのでありまして、再建計画と直接に関連を持つ人数がどれくらいあるかということは、私どもにもわからぬのであります。それで先ほど申しましたように、この再建団体につけます退職金が余りますれば、もちろん再建団体の従来の赤字の方につけて参りたい、付加して出していきたい、かように考えております。全部退職金に持っていかなければならないというふうには、私どもはそう窮屈には考えていないのであります。
  174. 加賀田進

    加賀田委員 もちろんこれは三十億、三十億で二つに分れておりますから、そういう形で考えておると思いますが、しかし私はこの再建法案は、やはり赤字で困っている地方団体を救済するという形で——もちろんわれわれとしては、赤字債の金額等に対しては不満を持っておりますけれども、そういう意味で出されたにもかかわらず、今北山君も言ったように、そういう内容の中に便乗して、赤字団体でない団体の退職金まで見るというのは、少し便乗し過ぎているような気がするのです。しかもその便乗している中で、首切りを前提とした退職金だけを見ているということは、どうも自治庁の方では、今度地方団体に、再建の一つの重要な要素として首切りをやれというような意図がこの中に含まれているように印象づけられるのですが、その点で、現在この法案が通過してないにもかかわらず、地方団体にいろいろ問題が起っている。これはどうも、そうでないと否定すれば、具体的にこういうふうに問題があるじゃないかということは指摘できない。どうも一貫して流れた思想が、そういうふうにわれわれ実は見受けられるのですが、これに対して、もう一度明確な御答弁を願いたい。
  175. 後藤博

    ○後藤政府委員 これは財政法の改正の問題なんでありまして、財政法の問題を別に出せば、おっしゃるような疑念が少かったのじゃないかと思います。しかし財政法の改正も、やはり再建団体に関係のあるものでございますし、当分の間、これで財政法の規定の改正をいたしたい、かように考えましたので、あわせてこの再建促進法の中に入れたわけであります。従って法律二つ一緒になっておるような格好になっておりますので、おっしゃるような疑念が生じたのじゃないか、かように考えておりまして、私どもは大部分は再建促進になるという考え方であります。一部が再建団体以外の団体に適用される、こういう意味で、この合せたものにいたしたのであります。
  176. 五島虎雄

    ○五島委員 今の問題に関連して、さっきの質問あと一つ……。今の六十億の首切り資金、これと鳩山民主党内閣の公約とは一体どういう関連にあるのですか。鳩山公約の一つの重要な、大きな問題——そうすると、労働大臣と川島長行の相談は確実に行われ、労働省では失業者のないような施策をとっていく、自治庁の方では六十億で首切りを行なう、基礎はないけれども六十億ばかりで首切ろうというように基礎づけておられる。こういうような、鳩山民主党内閣の方針と、この再建計画の六十億の関連性をちょっとここで問うておきたいと思います。一方では失業者を少くするのだ、一方ではこうやって首切るということは、ちょっと矛盾しているように思われるので、鳩山民主党内閣の政策はどこに行ったかということを聞いておきたい。
  177. 川島正次郎

    川島国務大臣 五島さん、北山さん、加賀田さんの御議論を聞いていると、提案者たる私まで何かこの法案が首切り法案みたいな錯覚を起させられそうになるのですが、(「その通り」、笑声)決してそうではないのでありまして、これはあくまでも赤字をたな上げして、地方の資金難を救済しようというのがさしあたっての眼目であります。もちろん、当然人員整理に及ぶのでありますが、元来地方財政が弾力性を失って、非常な圧迫を受け、窮状にあることは確かな事実でありまして、この問題を何とか解決しなければならぬことは、各地方団体いずれも心配をいたしている点であります。従いまして、こういう法案が出なくても、赤字の深刻な団体では人員整理のことについていろいろ計画を立てております。何かこれが誘導して各地方で計画を立てておるような御意見もありましたが、私は決してそうは考えていないのでありまして、地方の実情がすでに人員整理をしなければならぬような事態に追い込まれておるのであります。それに対して特に整理費を認めてやろうということは、首切られる公務員の立場になっても、多額な資金がもらえる、こういう方が歓迎する事態ではないか、こう思うわけでありまして、(笑声)できるならば、どういう条例、規則があるか知りませんが、希望者があった場合に、喜んで退職に応ずる人が出るような多額な退職金を与えたい、このくらいに私は考えておるわけであります。従いまして、先ほど来財政部長が言うように、この六十億で幾人首を切れるということは全く数字が出ないのでありまして、できるならばなるべくよけい退職金を与えまして、安心して喜んで退職する人が出ることを期待をいたしておるわけであります。また一方におきまして、事業の縮小になるのでありますからして、その面からいっても当然冗員は出るのでありまして、事業だけ縮小して人を遊ばせておくわけにはいかないのでありますから、どうしても赤字整理は人員の整理になることはやむを得ない事態でありまするけれども、法案自体が決して首切りをねらった法案ではないのでありますからして、私自身錯覚を起させられるような、うまい言葉にひっかかったのでありますけれども、決してそういうことはないのでありまして、地方の赤字をたな上げして、困っておる資金難を救おう、こういう点であります。一体この法案と政府考えておる失業救済とどういう関連性があるかというと、ちっとも関連性はありません。失業救済は失業救済として、地方財政の計画においても、二十二万人の失業救済費を計上して御審議を願っておるわけであります。それはそれとして、これは別の観点においてこういう計画を立てたわけでありまして、直接の関連性はないわけであります。
  178. 北山愛郎

    ○北山委員 今お話がありましたから、先ほどのお話もあわせて自治庁からもお伺いしておきたいのです。これはわれわれ人員整理だけ取り上げておるわけではないのです。この法案は直接の人員整理ともう一つ間接の人員整理と二つあるのです。もう一つの問題は先ほどお伺いしたように、公共事業費、単独事業費の節約から来る間接雇用量の減少、これがどのくらいになっておるか、この前私の計算を申し上げましたが、公共事業費の場合に四五%の労務費というふうに計算いたしますと、一億円の公共事業費の場合には一日平均四百二十人ばかりの人を使える。こういう計算をすると、今度の地方財政計画で、公共事業と単独事業で四百億くらい削るのですね。そうすると四百二十人の四百倍ですから幾らになりますかな、十何万人かになるのではないかと思います。こういうものプラス今の直接の行政整理だから、二十万近くなるのではないかと私は思うのです。この地方財政再建促進法で再建は促進されるかもしれないが、直接の首切りと間接の首切りでもって整理をするという結果だけは出てくるのではないか。これについて、政府としては、石炭合理化については何らか考えておるようですが、これについては何か考えないのか、こういうところが今の五島君の質問だと思うのです。からこれは、私はそういう計算でございますが、政府の方からこれらの点についての総合的な資料をいただいて、あらためて検討いたしたいと思うのです。長官はその点はどういうふうにお考えですか。公共事業費とか単独事業費の節約、それは一億円当りの労務費が四五%、これは公共事業費の場合普通にそう言われておりますが、どういうふうになるか。そういうことは大臣は何もお考えになっておりませんか。
  179. 後藤博

    ○後藤政府委員 この前にもお答えをいたしたのでありますが、公共事業費の節約の分、削減された分は二十二万人の中に入っておるものじゃないかと私は思います。従って財政計画の上から申しますれば単独事業の分がそれに当るわけでありますが、単独事業の節約分によるところの失業者の問題はやはりあると思います。しかしこれは七十六億でありますから八十億といたしまして、御承知の通り事業費の総額が人件費ではございません。資材費がございますから、資材費を約半分に見ましても三十数億になります。それから財政計画の中で見ますと、逆に公営企業の方が起債のワクは三十億ばかりふえております。従って事業量はそっちの方ではふえて参ります。差し引きしますとそう昨年と変ったような数字は出てこない。地方財政計画の中だけで考えていくと、そうなるのではないかと思います。
  180. 五島虎雄

    ○五島委員 私の質問に対して失業対策費が二十二万人と言われたのですが、六十億円の首切りを考えると、一人三十万円を基礎とすればこれは二万人になる。そうすると差引二十万人しか鳩山政府は失業対策を考えてなかったということになると思う。だから労働対策と自治庁の再建整備の問題が相互に相矛盾し合っているのじゃないかと思う。ですからこれは次の機会にまたあらためて聞くことにいたします。
  181. 大矢省三

    大矢委員長 それでは本日の会議はこの程度にして散会いたします。なお次会は公報をもってお知らせいたします。    午後五時三分散会