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1955-07-08 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月八日(金曜日)     午前十一時二十分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君    理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君    理事 前尾繁三郎君 理事 門司  亮君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    渡海元三郎君       徳田與吉郎君    青木  正君       熊谷 憲一君    灘尾 弘吉君       山崎  巖君    吉田 重延君       川村 継義君    北山 愛郎君       五島 虎雄君    坂本 泰良君       杉山元治郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (理財局長)  阪田 泰二君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局地方資         金課長)    牧野 誠一君         大蔵事務官         (主計官)   鳩山威一郎君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 七月八日  委員櫻内義雄君辞任につき、その補欠として横  井太郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 七月六日  地方公営企業法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一八号)(参議院送付) 同日  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(小笠公韶君紹介)(第三四八一号)  地方自治法の一部改正反対に関する請願(原捨  思君紹介)(第三四八二号)  同外二件(橋本龍伍紹介)(第三四八三号)  同(木村俊夫紹介)(第三四八四号)  同外一件(中原健次紹介)(第三四八五号)  同(山本猛夫紹介)(第三四八六号)  同(助川良平紹介)(第三四八七号)  同(薄田美朝君紹介)(第三四八八号)  同(相川勝六君外一名紹介)(第三四八九号)  同(川野芳滿紹介)(第三四九〇号)  同外二件(八田貞義紹介)(第三四九一号) の審査を本委員会に付託された。 同月七日  地方自治法の一部改正反対に関する陳情書外五  十九件(  第三二二号)  同外八件  (第三五三号)  地方制度改革等に関する陳情書  (第三二三号)  地方財政再建に関する陳情書  (第三二四号)  固定資産税評価額の特例に関する陳情書  (第三三〇号)  地方公務員法の一部改正に関する陳情書  (第三四八号)  地方自治法の一部を改正する法律等に関する陳  情書(第三  四九号)  地方自治法の一部改正反対等に関する陳情書外  九件(第三  五〇号)  熱海市泉地区分離反対に関する陳情書外一件  (第三五一号)  飛出しナイフ及びあいくちの所持禁止緩和に関  する陳情書外一件(  第三五二号)  昭和三十年度地方債許可方針の一部改訂に関  する陳情書(第三五  四号)  地方財政再建促進特別措置法案の一部修正に関  する陳情書外四件  (第三五五号)  地方制度改革に関する陳情書  (第三五六号)  合併町村育成強化に関する陳情書  (第三五七号)  地方議会制度強化に関する陳情書  (第三五八号)  各町村寄附金及び負担金全廃措置に関する  陳情書外一件  (第三五九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方道路譲与税法案内閣提出第三二号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第八〇号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八四号)  地方交付税法の一部を改正する法律案(加賀田  進君外十名提出衆法第八号)  地方財政再建促進特別措置法案内閣提出第一  一五号)     ―――――――――――――
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議開きます。  本日は、内閣提出にかかる地方道路譲与税法案地方交付税法の一部を改正する法律案地方税法の一部を改正する法律案地方財政再建促進特別措置法案及び議長提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括議題として質疑を行います。  なお、本日は大蔵大臣出席されることになっておりますが、ただいま大蔵委員会出席中で、もう十分、二十分ほどしたら見えるそうであります。なお、大蔵省関係で正示主計局次長鳩山主計官自治庁から後藤財政部長永田政務次官がお見えになっております。  それでは、通告順によって質疑を許します。北山君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 大蔵大臣がまだお見えになりませんから、その前に二、三点お伺いしておきたいと思います。実は、昨日の本会議におきまして、北海道水害に対する緊急質問が出まして、これに対して政府側からそれぞれ答弁があったのであります。ところが建設大臣は、当然これにつなぎ融資をすべきだ、そして大蔵省と一緒になってやるというようなお話もございました。また大蔵大臣も、すみやかに融資等措置を講ずるという明らかな答弁があったのでございます。そこで関係北海道並びに先般の東北水害をこうむった各府県から、つなぎ融資要請が出ておると思うのです。それが各道府県からどの程度に出ておるか、そしてどういう措置大蔵省並びに自治庁としてはおとりになっておるか、この状況をお伺いしたいのでございます。何しろ、今、地方財政は御承知通り状況でございます。従って、経常的な経費ですらも支払いが困るというような状態でございますから、当然この災害等に対する応急経費というものを出し得る金がないわけであります。従って、どうしても政府側から心配をしてやらなければ応急の処置もできないというような状態にあることは当然でございますから、政府としてはどういう措置を運んでおられるか、その融資につきましてお伺いをいたしたいのであります。
  4. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。北海道東北水害につきましては、逐次報告が集まっておりますが、私が承知いたしておりますのは、山形県だけがはっきりした融資の額を現在出しております。あと被害状況報告でありまして、まだ的確な資金措置要求して私のところに参っておらないように思っております。これはいずれ出て参りますので、それぞれの関係機関連絡をいたしまして融資をお願いしたいと思っておりますが、お話通り資金が非常に不足しておりますので、私どもといたしましては資金はもちろん出していただきたいのでありますけれども資金が出るのがおそいようでありますれば、本予算もきまったことでありますから、きまった補助金概算払いを早くやってもらうということによって、資金つなぎをまず考えるのが一番簡単な方法ではないかというふうに考えております。従って、それぞれ資金所要額がきまりましたら、関係の方面に連絡すると同時に、そういうふうな方法もあわせて考えていったらどうかというふうに考えております。
  5. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 大蔵省の方でございますが、各地から罹災救助発動状況被害状況の御連絡を随時受けております。被害程度は私どもも常に関心を持っているわけでございますが、ただいまのところ、つなぎ融資につきましては、先ほど自治庁からお答えがありましたように、具体的にまだ話が進んでいないように思っております。これは理財局資金課におきまして、今日資金状況も非常に窮屈でございますが、御連絡を待って、事情の許す限り善処いたすべく努力いたしておるように承知いたしております。
  6. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、自治庁の方には山形県しかまだ出ておらぬ。大蔵省の方にはつなぎ融資要請は出ておりますか。
  7. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 まだはっきりした御要求には接していないわけであります。
  8. 北山愛郎

    北山委員 大蔵省の方で、何か災害が起ってもつなぎ融資はしないというような方針を立てたかに聞いておるのでありますが、そういうことはございませんか。
  9. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま理財局担当者に御連絡申しておりますから、ただいまの北山先生の御質問に対する明確なお答えは、あと担当者の方から申し上げたいと思います。
  10. 北山愛郎

    北山委員 それでは、理財局長おいでを願った上でその点はお伺いをしたいと思います。  さらに、先ほどの財政部長お答えでありますと、補助金概算払いということでありますが、具体的にいえばどういうことでございますか。その災害関係に直接見合う補助金でないものを、金繰りとして地方にやるという意味であるか、それからいつごろどの程度のものをやる予定であるか、もう少し具体的にお話しを願いたい。
  11. 後藤博

    後藤政府委員 資金状況が、あまり十分に資金がないじゃないかという気が私どもいたしておりまするので、もちろんつなぎ資金を出していただきたいのでありますが、それが間に合わないようでおくれるようであれば、せっかく本予算もきまったことでありまするから、当該府県に本年度やるべき補助金概算払いを早くやってもらって、それだけ資金が参りますれば、ある程度応急的な対策ができるのじゃないか、かように考えております。これは県の資金状況にもよりますし、公共事業の分量にもよりますが、そういうものをあわせて考えていったらどうかというふうに、私自身考えているわけであります。
  12. 北山愛郎

    北山委員 それでは、融資関係はまたあとでお伺いをいたします。  これは地方債関係もございますから、理財局おいでになってから伺うことにいたしますが、実はこの委員会で、本年の地方財政計画につきまして、先般来いろいろと論議されたわけでございます。また衆参両院においても、予算委員会その他でも地方財政財源措置についてはいろいろ論議されたわけでございますが、私どもの最も重要だと思いますのは、本年度実際に地方団体が必要とする現実の実際的な財政所要額ですね、それが、われわれの計算ではなくて自治庁当局計算によるというと、一兆四百億ぐらい要る。地方財政審議会意見書の中にも書いてございますが、一兆四百億ばかり要る。そういうことを自治庁の方でもお認めになっておる。いい悪いは別として、一兆四百億いるということが認められておる。ところが、ことしの地方財政計画というものは、大蔵省の非常な圧縮を受けまして、九千八百二十九億ですが、そこに非常な開きがあるわけであります。約六百億の開きがある。従って、この六百億を財源措置をしてやるか、あるいは地方団体圧縮をするか、節約をするかして切り捨てなければ、今年度の単年度だけでも赤字がふえるというようなことば当然でございます。そういう計算になるわけです。そういう事実を大蔵省としてはお認めになっておるかどうか、これをまずお伺いしたい。
  13. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。  まず最初にお断わり申し上げておきますが、政府部内におきましていろいろ予算の折衝がございまして、北山先生承知のように各省から予算要求がございますが、この要求は大体大蔵省各省との間において相当大きく開きがございまして、ひとり地方財政だけではないのでございますが、ただいま御指摘のような六百億近い開きにつきましては、要求の過程におきましては確かにそういうふうなお話もあったかと思うのでありますが、最終的に政府といたしましては、もちろん閣議において決定をされました財政計画を想定いたしまして、これに対する財源措置をしようという考え方であろうかと思うのであります。ただ、今六百億程度開きがあった点について大蔵省はどう考えるかという点でございますが、この点につきましては、最初財政計画についての趣旨が、この交付税制度のもとにおきます場合と、いわゆる交付金制度のもとにおける場合と多少違っておるという点は、私から申し上げるまでもなく専門家であられますからよく御承知であろうと存じますが、私どもはせっかく交付税制度になりました場合におきましては、やはりこの交付税制度のもとにおける実績ということを——これは交付税法の規定するところによりまして、交付税の額と地方現実財政収入需要との関係が果して実績的にどういうふうなつき合せになるかという点は、常に関心を持っておる点であります。しかしながら昭和二十八年度決算というふうなものを基礎にいたしまして議論を進めて参りますと、どうしてもそこに相当食い違いが出て参るのでございまして、特に二十八年度は御承知のように国、地方を通じまして相当インフレ的な財政施策が行われたときでございます。かような事態でもございましたので、二十八年度という特定の年度決算基礎にいたしまして議論を進めて参ることは、果してどうでございましょうかというふうな点に基本的な問題をまず第一に提起いたしまして、この点は自治庁当局とも十分お話し合いをいたした上で、最終的にただいまお願いをいたしておりますような措置をもって、三十年度地方財政措置は、私どもとしては十分できるという考え方を持っておる次第であります。
  14. 北山愛郎

    北山委員 二十八年度決算基礎とすることが適当でないということはどういうわけでございますか。とにかく二十八年度決算財政上思わしくないとか好ましくないということは別としまして、二十八年度決算実態である。それは全体でいえば一兆七百億くらいになるのです。帳簿計算を除きますと一兆二百億くらいですか、それから推算して二十九年度はそれよりも百億くらいふえるのじゃないか、一兆三百五十億くらいになるだろうということを自治庁も言っておられる。これが、いい悪いは別として、とにかく実態なんです。その実態から推算すると——国の方でやれば、たとえば自衛隊を三万人ふやすとかなんとかいうことは政策面ででき得るでしょう。地方団体仕事というのは、国の仕事とは違って、いわゆる受動的な仕事です。たとえば生活保護法というものがある限りは、保護を受けるべき人員があればやはりやらなければならぬ、災害が起れば災害の復旧をしなければならぬというような非常に受動的な面があるわけです。従って年度によってぐっと縮めたりすることはできない、そういうふうな実態であることは大蔵当局もお認めであると思うのですが、そうなりますと、やはり実態から押していって、いい悪いは別として、昭和三十年度においては一兆四百億というような実質的な財政規模になるということは事実として認めざるを得ない。だから自治庁もこれは認めておるわけなんです。だから政府として決定されたその財政計画というものは、あるべき財政計画でしょう。そのあるべきものを縮めようというわけなんです。ともかく実態かそうなんですから、何かの方法で縮めなければ、あるいは交付税か何かで増してやるかしなければ、その穴が埋まらないわけなんです。これだけは理屈でも何でもないのです。算術なんです。そういう事実をお認めになるかどうかということなんです。
  15. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように私どもとしては、北山先生のお考えお答えいたすには二つの段階において開きがあるわけでありまして、第一の開きは、今回の二二%という交付税の率、これは平年度の率でございますが、これが三十年度から初めて適用になるのでございますが、この率を定めました場合に私ども基礎にいたしました数字、これは昭和二十五年度決算基礎にいたしまして、いわゆる既定計画及びこれが是正ということによりまして年々積み重ねて参った方式、これによって二二%という率が大体妥当であるということに国会においてもお認めただいたように承知をいたしております。そこで初めての平年化する今年でありますから、二二%の率がいいか悪いか、もとよりこれを検討する材料としていろいろの数字が出てくることは至当でございましょうが、まず二二%の率が初めて施行される年でもございますから、この際従来の方式によっていこうではないかというふうな考え方をまずとったわけであります。これが第一でございます。  それから三十八年度について、その事実を認めるかどうかという点でございますが、なるほど二十八年度は先ほども申し上げましたように、国におきましても相当のインフレーショナリーな財政施策が行われまして、これが地方にも相当影響を持ったということは、私もこれを認めるにやぶさかではございません。朝鮮動乱以来の特需の影響等収入支出の面が非常にウエートして参った二十八年度というものが、いわば財政一つの大きな転換要素になったのでございまして、二十九年度以来というものは国及び地方を通じて、まことにわれわれとしては記憶に新しいような大きな転換を遂げまして、これがために地方におきましても真剣に再建努力が始められておることは、一般に認められておるところかと思うのでございます。そこでさようなときでございましたから、やはり二十八年度というものは一つの特殊な事態ではないかというふうに考え、一般的にまず原則としては従来のフォーミュラでいこう、しかしこれを反省する材料として持ち出された二十八年度はきわめて特殊な事例ではないか。こういう二つ意味におきまして、私どもとしてはやはりここに申し上げておりますような考え方をとるのが妥当ではないか、こういう意味で申し上げておるわけであります。
  16. 北山愛郎

    北山委員 どうも私のお尋ねしているのにお答えにならない。私は交付税が二二%を基礎にするとか、そういうことでなくて、とにかく二十八年、二十九年の実績というものを基礎にすれば、それで財政需要額のふえるものもあるし、そういうものを見込んでいって、しかもそれを低目に見積っても、一兆四百億くらいは本年度財政需要としてかかるのではないか。これは私の数字ではなくして、自治庁地方財政審議会意見書の中に書いてある数字なんです。その数字をお認めになるかどうか。交付税の二二%とかそんなことは聞いていないんです。現実にそれだけのものがかかっておるのじゃないかということなんです。
  17. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私どもは一応最終的には自治庁からお出しいただきました財政計画というもので考えておりますが、このほかになお是正を要する問題があるのではないかという御趣旨のように拝聴いたすのでありますが、既定規模の中にどういう要素があるかという点につきまして、いろいろ御議論のある点は承知いたしております。将来給与実態調査等を行うべきであるというお考え方につきましては、私どもも賛意を表しておるわけでございまするが、しかしこれが是正を行うという場合に、端的にこれを全部引き上げるというふうに考えるべきかどうか、この点については、私どもといたしましてはやはり給与は適正な給与ということで考えるべきであり、また財政規模の中に入って参ります場合におきましては、給与の単価と人員と両方の要素があるわけでございまするから、それらの両面の要素につきまして、地方団体が二十九年度以来懸命な努力をしておられまするところの財政再建努力を無視するような結果に終らないことを期待いたしておる次第でございます。
  18. 北山愛郎

    北山委員 そういう先のことを言われては困るのです。まだお聞きをしておらないことを答弁されても困るのです。要するに現実自治庁の方では、昭和二十八年度決算というのは実態ですから、いい悪いは別として、そういうものを基礎として、警察費ども昨年はふえましたから、そういうものをやっていって、低目に見積って昨年二十九年度は一兆三百五十億くらいだと、こう言っている。これを基礎にすると、ことしは御承知のように地方債元利償還も百億以上ふえたのです。それから警察費も平年度にすればふえている、人口もふえているというようなわけで、財政需要は昨年よりも非常にふえるわけです。そういうものを低目に見積っても一兆四百億かかるという数字なんです。その中には財政計画との差違である、いわゆる給与是正されない額四百億ばかりのものが含まれておる。もちろん含んでおりますが、とにかく一兆四百億くらいのものがかかるということは、自治庁ではそういうふうに認めておるが、大蔵省は知らないのですか。
  19. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私ども交付税の対象に考えております場合の、一つのあるべき姿というものと現実財政支出というものとの関係につきましては、これは議論いたしますればいろいろ長い議論を必要とすると思うのでございます。たとえば国におきましても一兆予算ということを二十九年度以来打ち出しておるわけでございますが、現実の収支の規模繰り越し等関係もございまして、北山先生承知のようにいろいろと増減があるわけでございます。そこで現実決算上の支出について承知いたしておるかという点につきましては、十分私どもお話を伺っておるわけであります。ただ三十年度の、ただいま申し上げておりますような地方財政に関するいろいろな措置の上におきまして、大蔵省はどう考えるかという点につきまして、私は意見を申し上げたわけでありまして、現実支出数字につきましては、常に自治庁からいろいろとお話を伺っておることはおるのであります。
  20. 北山愛郎

    北山委員 今までの通りでいけば、大体一兆四百億くらいはかかるだろうということは認めておるわけですね。
  21. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 昭和二十八年度決算につきましての赤字額は、常々御報告を受けて伺っておるわけでありまして、二十九年度決算上の赤字についてはいまだ確定をしないということで、まだ確定的なお話を伺っておりません。一兆四百億という数字につきましては、はっきりとそういう数字を伺った記憶がないのでありますが、ただ先ほど申し上げました給与費等につきまして、かりにこれを是正いたしますと、数百億の規模是正を必要とするという御要望のあったことは事実でございますが、これにつきましては先ほど私が申し述べたような見解を持っております。
  22. 北山愛郎

    北山委員 給与の方は是正しなければならぬ額を幾らと承知しておりますか。
  23. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは給与実態調査を待たないとわからないと思います。
  24. 北山愛郎

    北山委員 そんなことはないのです。給与是正額であると今まで言われているのは、政府地方財政計画給与額とそれから給与実態開きなんですから、今まですでにわかっているはずです。それが果して適当であるか、どのくらいを政府の方では是正しなければならぬかということを調べるために実態調査をやるのであって、食い違いが幾らあるかくらいはわかっておらなければならぬはずですよ。
  25. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 自治庁の御推算は私どもも伺ったことがございますが、これを果してそのまま財政計画の増加とすべきかどうかについては、やはり実態調査の結果を待つべきであるという考えを持っております。
  26. 北山愛郎

    北山委員 その額というのは大体今まで何べんも言われておりますからあらためて聞きませんけれども、そこを財政計画の上に載せて是正をするかしないかということは先のことです。問題は、今度の政府の三十年度財政計画に載っておらぬことだけは明らかなんです。そうして、そういうものを含んで実際に地方団体が払っておるということも明らかなんです。是正しないで地方団体ではその額を現実に払っているのです。そういうものを含めて一兆四百億くらい、見方によっては多少食い違いがあるかもしれませんが、その程度の金が地方団体として必要だ、それだけの給与を出すことがいいか悪いか別として、とにかく負担しているのだ、今まで通りいけば出さざるを得ないのだ、この理屈だけは認めるでしょう。ただ国の方ではその是正額認めたいというだけであって、現実地方団体が払っている、その払っている額が総体から見ていけば一兆四百億を下らないだろう、こういうことを聞いているのです。
  27. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 まず最初に、三十年度におきまして給与単価の是正を全然やっていないかという点につきましては、これは全然やっていなくはないのでありまして、一部教職員その他補肋金の対象になるようなものにつきましては、たとえば厚生省関係の職員等につきましては一部是正を行なっております。これは明白に人員が多く計上されて単価を不当に安く押えておったような事実がはっきりいたしましたので、それらは実際に合わした方がいいという判断のもとにやったわけでございます。その次にたびたびの御質問でございますが、二十八年度決算基礎にして、それがいいか悪いか別にして、そのまま出しているとすればこれだけかかるということを認めるかどうか、この点、北山先生ちょっと私言葉を返して恐縮でございますが、しからば昭和二十八年度の国の予算基礎にして、国の財政はどうあるべきかという議論を展開いたしますと、これはとても一兆円予算ではおさまりがつかぬということになるのではないかと思うのでございますが、しかしあのとき思い切って一兆円予算ということでお締めになりまして、二十九年度、三十年度は一応一兆円予算ということで参っておるのであります。しかもこの点は地方におきましても二十九年度以来真剣な努力があったのでありますから、私はやはり先ほども申し上げたようにそのまま推移するという考え方にちょっと御同意申し上げかねるのでありまして、地方団体自体が相当思い切ったいわゆる健全化政策、これは国の二十九年度、三十年度にわたる一兆円予算そのままパラレルにいっているかどうか疑問といたしましても、相当これに近い努力をしておられる。その事績を見た上でなければ、やはり軽々にこれだけの金がかかるはずであるというのは申し上げかねるというのが、率直な私の気持でございます。
  28. 北山愛郎

    北山委員 どうも勘違いしておられるのじゃないかと思うのです。私はそのままの姿でやるべきだということを言っているのじゃないのですよ。ただ現実にやはり二十八年度決算あるいは二十九年度のいろいろな財政需要の増加とかそういうものを見ていけば、現実にそれだけの金が要るというはずになるのじゃないか。何らかの措置をしない限りはですよ。その実態を言っているのであって、どうあるべきかということはその後の問題だ。あるべきであるということと現実にあるということの食い違いを私は聞いておるのです。
  29. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 たびたびでございますが、何らかの措置をしたいというその措置は、地方のたとえば各府県理事者が真剣におやりになった再建努力、健全化の御努力というふうなものも、私は大きく響いてくるというふうに考えるのでありまして、現に昭和二十八年度の四百六十二億と通称言われております赤字、これにつきましては私どもいろいろ意見がございますが、こういうものを再び二十九年度で出すというふうなことではなかったと思うのでございまして、やはりそこには北山先生御自身がおっしゃられました何らかの措置というものが大きく出ておる。従ってこれはその何らかの措置影響というものをはっきりとつかまない限り、私は軽々に申し上げかねるという趣旨お答えを申し上げたのであります。
  30. 北山愛郎

    北山委員 いや、とにかく実際に自治庁がそういうことを認めておるのですよ。それなら申し上げますが、自治庁の中に設けられている地方財政審議会昭和三十年度の実際の財政需要というものを、一兆四百三億に見ておる、それにうそだというわけですか。何か間違っておるというのですか。間違っておるというならば、実態はどのくらいになるかということを大蔵省としてはどう見てられるのですか。
  31. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私全然承知しておりませんので自治庁の方からお答え願います。
  32. 後藤博

    後藤政府委員 私はお話をお聞きしておって、二つの問題があるのじゃないかと思っておりますが、二十八年度決算基礎にいたしまして地方財政の推計をいたしますと、三十年度は一兆四百億くらいの財政規模になるのじゃないか、こういうふうに私は思います。しかし正示君の方はあるべき財政需要というものを中心にものを考えておられますので、そっちの方から議論をされます関係からいたしまして、現実財政規模はやはりその後の状況によって非常に変っているのじゃないか。二十八年度は朝鮮ブームの影響で、国も地方財政需要が膨張したのだから、これを基準にするのはどうもおかしいではないかということが一つと、もう一つはその後地方団体が非常に圧縮しておるから必ずしもそうならぬのじゃないかというお気持と、先ほど申しましたあるべき財政需要額という考え方とが一緒に出ておりまして、お話が食い違っておるように私どもは拝聴いたしたのであります。
  33. 北山愛郎

    北山委員 これは食い違えておるから食い違うのです。あるべきといういろいろな地方団体努力を織り込んでも、なおかつやはり実態はそういうふうになるのだ、私はそう思う。そうでなければ、昭和二十八年度決算をそのまま基礎にして二十九年度財政需要の増加をプラスして、それから三十年度需要の増加をプラスしていったならば、もっと大きくなるのですよ。自治省がことしの初めごろに一兆八百億という数字を出したことがありますが、そういう数字になってしまうのです。それを今お話のような地方団体のいろいろな圧縮とか努力によって詰めた努力が入って、それを見込んで、だから低目に見積もって、やはり年々の財政需要というものはふえてくる。たとえば公債費の増加ですね。いわゆる地方債元利償還だけでも、年々百億以上ふえているでしょう。それだけは動かし得ない需要増加なのです。昨年と比べて今年は百十八億ふえておる。一昨年に比べると二百何十億ふえておるのです。そういうふうにやむを得ない財政需要があるのです。朝鮮動乱の終息によって、なるほど経済界は不景気になったかもしれぬけれども地方財政はそれに伴って縮小しないのですよ。それはなぜかというと、ただいまのような公債費の財政需要増加、人口はふえるのですから人口の増加に伴うところの教育費の増加、あるいは警察制度改正に伴う財政需要の増加、そういうふうな財政需要がふえる要因がたくさんあるわけなのです。景気の縮小によって地方財政が自然に圧縮するようなものじゃないのですよ。むしろふやすようにしてある。国の力は一兆円にとどめておいて、一千億くらいずつ地方債を発行させておる。いわば国債は発行しないといいながら地方債の形で出しでおる。しわ寄せを地方団体に及ぼしておる。そういう政策的な要素が入っているから、地方財政は決して圧縮されないのです。むしろふえて参っておる。そういうものを一切がっさい見込んで、しかも地方団体努力も織り込んでみても、私は一兆四百億くらいになると思うし、また自治庁の事務局が作って地方財政審議会自治庁長官に答申をした意見書、その中に明細に書いてある。だから決して私の私見ではないのです。実態はそうだというのです。それをどうあるべきかということはこれから論ずるのであります。それを政府は、今年は九千八百二十九億にしよう、こういうのでしょう。だからその間に六百億の開きがあるんだが、その六百億はどうするんだ、どういう形で圧縮をするのか。
  34. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 自治庁地方財政審議会にどういう数字をお出しになったか、私どもの方は伺っておりませんが、ただいま北山先生お話を伺っておりますと、私と考え方はそう違わないというふうにも思うのでありまして、結局私どもはどこまでも交付税制度のもとにおきましては、現実収入支出はどうであるかということ、これはむろん大事な点でございますが、どこまでも交付税法の規定によりまして三税の収入の一定割合を交付していただく、そこでその交付の額のうちのいわゆる普通交付税の額と地方の基準財政収入と基準財政需要の差額、これのにらみ合せで、その開きが著しく異なることが引き続き起ったというような事態が起ると、これは一つの大きな問題になってくる。そこでいつもそういう収入支出の差額の面は補充していくという立場に置かれておるように存じますので、自治庁がどういう数字をお出しになりますか、その点についてあまり私どもとしてはお話を伺っていないのであります。ただいま北山先生の御指摘の点は、どうも拝聴いたしておりますと、先ほど申し上げたような給与是正その他のことをやっていくと、どうもそのくらいかかるのではないか、先生御自身もお考えになるし、自治庁の事務当局が審議会にお出しになった数字もそれと同じだというような御趣旨に拝聴いたすのでございますが、しからばその場合における地方収入をどう見るかという点がまた新しい問題になって参るのでございまして、私どもは常に基準財政収入支出と両面をにらみ合せまして、それが国会のおまめになりました交付税の率によるところの交付税額、これとどういう関係になるかという点に常に注意をして参らなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  35. 北山愛郎

    北山委員 それならばちょっと変えてお聞きしますが、自治庁は三十年度予算地方財政計画及び交付税等の折衝について、初め大蔵省に対してどういうふうな案でもって折衝したか。私の聞いておるところでは一兆三百五十億くらいだったかと思いますが、そういうふうな財政規模でもって大蔵省に折衝したのじゃないかと思うのですかどうでしょう。
  36. 後藤博

    後藤政府委員 私どもといたしましては、最初規模是正したものを含めまして、大蔵省要求をいたしました。
  37. 北山愛郎

    北山委員 そうするとその金額は財政規模からいえばどのくらいですか。
  38. 後藤博

    後藤政府委員 一兆三百五十億くらいの数字だったと思います。
  39. 北山愛郎

    北山委員 自治庁も一兆三百五十億くらいかかるという数字でもって大蔵省に折衝しておるのですから、大蔵省としては大体その数字はわかっておるはずなんです。自治庁はその数字を誇大に出したのではなくて、やはり今までの決算なり実績を見、新しい財政需要というものを見て、そうして財政規模として一兆三百五十億くらいは要るという建前から、大蔵省に案を出して折衝したはずなんです。ですから自治庁で一応実態により近いものとしてその数字を出した。だから私の言うことは何も根拠がないのじゃなくて、実態がそれくらい要るんだ。それから大蔵省が査定されたわけなんです。たとえば地方税を上げるという案に対して、これはいかぬと言って上げない。また交付税を上げるということに対してもいかぬと言って上げない。そうして大蔵省がそれをぶった切ったのではないですか。それをお伺いしたいと思うのです。
  40. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほどもお断わり申し上げましたように政府部内の予算要求額、査定額ということはあまり申し上げたくないのでありますが、ただいま自治庁側からお話がございましたから申し上げますが、そのときの自治庁の御説明はただいまお答えがございましたように、二十八年度決算基礎にして、しかも給与是正を要するものを是正したならばこうなるというお話でございます。そこで私どもはまず第一に二十八年度決算基礎にすることについて先ほど申し上げたような意見を申し上げ、さらに給与是正について実態調査の必要があることを申し上げまして、大体御同意に達した、かように考えておるのであります。北山先生のおっしやることが根拠のないことだなどとは毛頭考えておりませんし申し上げたつもりもございませんが、一応そういうことで最初の点につきまして、二十八年度決算基礎にすることや、給与是正をいきなり織り込むということについては、交付税をせっかくお認めただき、ことしから平年度としては初めて適用に相なる年において、さっそくそれを持ち出すということにつきましてはしっかりと実態を調査し、また二十九年度以来の地方公共団体の真剣な御努力というものがどう反映してくるかというような実績についても、私どもとしても十分考慮を加えて参る必要があるのじゃないかという考え方を持ち、また昭和三十年度といたしましては苦しい一兆円予算でございましたが、ご承知のようなでき得る限りのいろいろな措置をとっておる次第でございます。
  41. 北山愛郎

    北山委員 同じことを繰り返すのはやめますが、そうすると自治庁の方では、二十八年度決算があの通りでございましたが、二十九年度地方財政規模は大体わかっておりますか。現在では大体わかっておるのじゃないかと思うのですが、どのくらいになっているのですか。
  42. 後藤博

    後藤政府委員 二十九年の財政規模がどの程度になっておりますか、先般お話申し上げました赤字の概算額は、これは赤字の慨算額の調べをいたしたのでありまして、こまかい数字は現在集計中でございますので、現在どの程度になるか、私どもわかりかねておる次第でございます。
  43. 北山愛郎

    北山委員 しかし予算委員会でも自治庁の見積りとしては、二十八年度財政規模に約百億くらいはふえるだろうということを申されたことがございます。従って昨年は一兆三百億くらいですか、大体そういうふうな見込みであります。そういたしますと、かりに一兆三百億ないし一兆三百五十億を基礎としても、九千八百二十九億にこれを落すのには、財政措置を講じない限りそこに五百億くらいの圧縮がなければならぬ。その五百億の圧縮というものをどういう形でするかは別として、とにかく五百億くらい圧縮をしなければ三十年度だけでも赤字ができるということは、大蔵省としてもお認めになると思うのですがいかがでしょう。
  44. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、もちろん国におきましてもいろいろと地方財政につきまして是正すべき点はあると思っておりますが、しかし二十九年度以来の地方団体側の真剣な御努力が大きく反映してきておるということを、高く評価いたしておるのでありまして、現にただいま御指摘の点につきましては、二十八年度決算上出てきた赤字と、二十九年度においてただいま推定の段階でございますが、出るであろうという赤字の間には大きな開きが出ておるわけでありますから、この点はただいま北山先生が御指摘になったように大きく開くものとは実は考えないのでありまして、地方相当大きな健全化の御努力をしておられるものと期待いたしておるような次第でございます。
  45. 北山愛郎

    北山委員 その健全化の努力について私は聞いておるわけではないのです。問題は本年度五百億以上、私の方から言えば六百億くらいを圧縮しなければ——それは地方団体努力だろうと思うのですが、六百億くらい赤字が出るということを認めるかどうかというのです。
  46. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 健全化の面は、収入を確保する面と歳出を抑制する面と二つあるかと存じますが、そういう御努力が実を結びまして、二十八年度決算上出てきた赤字額に比較いたしますと二十九年度は、ただいままだ確定はいたしておりませんか見込まれております赤字額というものは相当減っておる。私どもとしては、この点につきましては二十九年度地方団体財政健全化の御努力を非常に高く評価いたしておる次第であります。
  47. 北山愛郎

    北山委員 委員長にお願いしますが、政府委員質問に対して答えるようにしていただきたい。私の質問に対して何にも答えておらない。別なことを言っておる。この点注意していただきたいと思います。私はことしの数字的なことを言っておるのであって、期待しておるとかそんなことは別なことなんです。そうじゃなくてその圧縮をしたりあるいは節約をしたりしなければならない金額が幾らあるか、私どもの方としては五百億ないし六百億であると思うが、その金額を認めるかどうかを聞いておるのです。
  48. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 北山先生お答えいたしますが、私決して別のことを申し上げておるのではないのです。ただ先生が歳出の圧縮だけをおっしやいますが、そのほかに歳入の確保、この面があるということを御指摘申し上げておるわけであります。そこで私どもとしては、そういう歳入と歳出との両方面をにらみまして、地方財政が健全化に努力をしておる歳入がどんどんふえていきますれば、これは規模が伸びましても赤字は出ないのでありますから、私は規模だけを問題にするのではないのでありまして、財源と歳出との両面をにらみまして、健全化の御努力相当行われておりますから、あまりはなはだしい赤字にはなっていないと考えております。従って先生の五百億、六百億を圧縮しなければならぬかという御質問につきましては、実は歳入の画等をあわせ考えますと、そう大きな開きはないように思うということをお答え申し上げておるわけであります。
  49. 北山愛郎

    北山委員 しかし昨年だけでもやはり赤字はふえておるのです。二十九年度の概算の赤字は五百八十六億ですから、四百六十二億から百二十四億ばかりふえておるわけですね。昨年度だけでも努力の結果赤字のふえ方は少くなったといえば言えないことはないのですが、二十九年度決算見込みは五百八十六億という赤字になっておる。二十八年度は四百六十二億であるというふうに、昨年度だけでもやはり赤字は百二十四億ふえているのですよ。そういう赤字解消のための努力というのは作用しておるにしても、やはりそういうものを全部織り込んだ結果、自治庁としては一兆三百五十億ぐらい要るだろうというような見通しを立て、地方財政審議会は一兆四百億というような実質財政需要を見ておるのだから、それを圧縮なり、いろいろな財源を確保するための努力をしてやらなければならぬ金額は、五百億ないし六百億になるであろう。その金額を認めるかということです。
  50. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 重ねて申し上げますと、私はやはり歳入歳出両面を問題にいたしまするので、財政規模がどのくらいになるであろうかという問題は、やはり歳入の伸びに関係がございますから、規模からいきなり赤字額というふうには出て参らないという点を重ねて申し上げておきたいと思います。そこで先生の御指摘のような御趣旨でございますと、私どもはまだ、二十九年度赤字の見込みというものについて実は確定的にお話も伺っておりませんし、また先ほど来申し上げたような、これは相当圧縮されて参るというふうにも考えておりますので、この数字についてとやかく申し上げませんが、先生の御趣旨のように、五、六百億の赤字が二十九年度に出るということはとうてい考えられないのでありまして、百二十四億程度のものであるという今のお話もございましたが、これはやはり歳入蔵出との開き相当圧縮されておるということを端的に申し上げておる、かように申し上げておるわけであります。
  51. 北山愛郎

    北山委員 それならば別の角度からお伺いしますが、とにかく今度の政府の今年の地方財政計画というものは、その内容を見ると、計画の中にいろいろな圧縮する条項を入れておるわけです。それはたとえば行政整理で八十一億、それからそれに伴う節減の方で旅費、物件費の節減が八十四億、合せて百六十五億、それから事業費の方では公共専業の方で百三十五億、それから単独事業費において百二十六億というふうに圧縮計画を立てておる。その財政計画の上に載っておる圧縮分でも四百十六億あるのです。だからそれはその上にさらに給与の財源の是正がされておらないのですから、それがむしろプラスされるのではないか。まるまるプラスにならなくても、今年度財政計画の上でもすでに四百二十六億という節減を見ておるわけですね。それがいわゆる地方団体努力をして、こういう圧縮をしなければならぬものを計画の上に認めておるのです。だからそういう圧縮がどの程度に上るかということになれば、政府案でも四百二十六億という圧縮なんです。それ以外に地方団体としては給与の単価をすぐに切り下げることはできないから、その分を何らかの圧縮なりあるいは財源確保でもってやらなければならぬ部分がありましょう。それが四百億とすれば全部で八百億くらいになるでしょう。そういうような圧縮をしたり、あるいは財源を求めたりする幅がどのくらいあるかということを私はお伺いしている。財政計画の上にそれだけ認めているのではないか。
  52. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま四百六十億の圧縮と仰せになりましたが、これは二つのカテゴリーがあると存じます。行政整理をおあげになりましたが、これは二十九年度に行きました整理の関係から歳出の面に影響が出て参りまして、当然の歳出の軽減と言う意味で出ているわけであります。公共事業費の点もおあげになりましたが、この面も二つあるわけでありまして、大部分のものは計画的な当然の減少ということに相なってくるかと思います。大体においてただいまおあげになりました中の約二百億が、仰せの通り計画的な節約というふうなカテゴリーに属するものかと考えますが、さような努力を一方においてしておられることと、また一方において歳入確保の面に非常に努力しておられること、そういうことが必要であるということについては、私は先生と意見を異にするものではありません。
  53. 北山愛郎

    北山委員 とにかくそういう財政計画の上に載っている節約だけでも、単に自動的な財政需要の減少ばかりではない。たとえば単独事業でも二回にわたって圧縮している。一応五十億だけを圧縮した上にさらに七十六億、合せて百二十六億単独事業を切り捨てている。それから公共事業、これは政府の方の公共事業費が減るという関係もありましょうが、とにかくこれも百三十五億というふうになる。行政整理に伴うもの、あるいは節減に伴うものも相当ありますが、そうするとかりに政府財政計画の上に載っている事業費だけを見ても、二百六、七十億くらいの事業費が減るような計画です。それに伴う雇用人員の減少はどのくらいになりますか。同時にまた行政整理をあらためてやろうとしている。その行政整理に伴う整理人員が何名になるか、自治庁大蔵省から聞きたい。
  54. 後藤博

    後藤政府委員 財政計画上載っているところの整理の人数は、一般職員が八千三百五十人、これは昨年度と本年度と二年にまたがるところの行政整理のうち本年度分であります。それから警察職員が六千四百人であります。このうち警察官が四千二百人、財政計画上行政整理の数はそういうふうになっております。
  55. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 雇用関係につきまして、公共事業関係で幾ら減ったかという御質問でございますが、私どもは、これは別に公共事業特別失業対策事業及び一般の失業対策事業を通じまして雇用関係を見ております。その詳細は資料で申し上げますが、結論で申し上げますと、完全失業者の数を昨年と同じに押えるために、失業対策事業におきましては昨年の十七万を二十二万にふやしまして、これだけのものを失業対策事業に吸収するという措置を講じております。なおそのほかに知識階級等の失業救済といたしましては、国勢調査その他の調査事務を充実いたしまして、これらに知識階級の吸収策を講ずることにいたしております。これによって完全失業者は昨年の程度にとどまるように関係各省と対策を講じた次第でございます。なお各部門別の就業の見込みにつきましては、追って資料として提出をいたしたいと思います。
  56. 北山愛郎

    北山委員 公共事業及び単独事業費節約に伴う雇用人員の減少ということについては、何か一定の基準があると思うのですが、推定基準といいますか、それはわかりませんか。
  57. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまちょっと手元に資料を持ち合せませんが、これはもとよりわかるわけであります。それから昨年以来この失業対策も非常に重要性を加えて参りましたので、公共事業等におきましても吸収率を非常に高くいたしております。建設省当局と労働省当局において、その点につきまして十分お打ち合せを願っておるわけであります。私の方も御報告を受けておりますので、追って公共事業にどの程度の就業を見込んでおるか、それからその他の住宅対策というのが御承知のように別途出ておりますから、この地方財政の方では公共事業は減に出ておりますが、四十二万戸計画というものが大きく、その他の公団あるいは公庫住宅という形において出て参ります関係もございますので、それら全体を合せまして就業見込みの計画があるのでございますが、ただいまちょっと手元に待ち合せがございませんから、その点は追って資料として提出いたします。
  58. 北山愛郎

    北山委員 私の計算なんですが、公共事業の雇用率といいますか、労務費を四五%くらいに見るというと、大体公共事業費一億円当り一日平均四百二十人くらい、そんな計算になるのですが、その計算でいくとかりに単独事業を公共事業と同じ率でみるならば、二百六十億を減すことによって十一万人の失業者が出るという計算になるのです。そういう計算はどこか間違いがありますか。
  59. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまイエス、ノーを申し上げる材料を持ち合せませんから、あと材料を持って参りまして説明をいたしたいと思います。
  60. 北山愛郎

    北山委員 とにかくこれは参議院等でも問題になったようでありますが、地方財政計画の面を見ると、失業対策事業費の増加としてはわずかに五十五億です。ところが今申し上げたように公共事業費、単独事業費だけでも二百六十億ばかり減っておるわけです。それ以外に給与是正をしないものだから相当の首切りをやらしておる。従ってこの政府案の行政整理の計画は八千三百五十人でありましても、おそらく実態はもっともっと地方団体は首切りをやっておるのです。首切りをやらしておるのです。計画としては八千三百人くらいしか行わないとしても、給与是正をやらないで、財政の健全化を要請すれば、人員整理か何かして首切りをしなければならない。首切りを迫っているわけです。そういうふうなものを合せて入れますと、今の事業費関係で十万人以上、またそれ以外に数万人の失業者が出るとかように考えられる。自治庁はこれについてどういうふうに考えておりますか。
  61. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ちょっとただいまの点でございますが、北山先生地方財政上の公共事業費の減の要素につきまして御指摘でございますが 私さっき申し上げましたように、住宅を大きな政策として取り上げておりますから、住宅の面とそれから道路、道路は御承知のようにガソリン税の関係等で相当伸びております。全体としての補助率が、国庫負担と地方負担の割合の関係から、地方の方の経費相当に減って参りましても、国の方の経費あるいは直轄事業の量、こういうものをあわせ考えなければならぬという点がもう一つあろうかと存じます。この点をあわせてやはり私どもとしては就業の状況を見て参らなければならぬのであります。なおそのほかに補助としては見ておりません、たとえば上水道なんかは一切この際補助として見ておらぬのでありますが、下水をある程度見たのであります。これなどは金額的には比較的小さな金額でございますが、しかし労務者の吸収という面では非常に吸収率は高いのであります。そういうもの一切を合せまして、先ほど申し上げましたように結局のところ失業対策としては二十二万人でございますが、その程度のことを見ることによりまして、完全失業者の数が前年度の横ばいの状態でいく、こういうことで最終的には全体の雇用対策を講じておるわけでございます。
  62. 北山愛郎

    北山委員 もちろん地方団体を通じないいろいろな事業費もあるわけでございますから、そういうものもあわせて一つ資料を出していただきたい。しかしそれにしても自治庁の方にお伺いしたいのは、給与是正しないために地方団体計画以上に首を切る、そういうことを一体どういうふうにお考えになるか、普通ならば給与実態調査をやった上でなければ是正をするかしないかということはきまらないのでありますから、少くとも給与実態調査が済むまでは首切りをちょっとストップしておいてくれというのが、ほんとうではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  63. 後藤博

    後藤政府委員 給与実態調査地方の整理と私は直接すぐ関係があるのではないのじゃないかと思っております。つまり給与実態調査をやりました結果、規模是正をしなければならぬことは当然でございますが、それを待たないで各地方でやっておりますのは、それは各地方のそれぞれの当該年度の財源の関係からいたしまして、どうしても財政規模を縮小し、歳出構造を直していくということが、やはり当然に考えていかなければならぬことでありまして、そういう建前から私は整理をいたしておる、かように考えております。
  64. 北山愛郎

    北山委員 しかしその各地方団体のその年度財政計画なり、あるいは予算というものが、国の財政計画によって規定されておることは御承知通りであります。ところが国の財政計画の方では給与是正額は見ておらない。ですから少くとも今のところでは見ておらないものを基礎にして交付税がきまり、地方税がきまっていくのですから、そこでやむを得ず給与是正をしないうちに首切りか何かをしなければならぬように地方団体が追い込まれておる。だから私は申し上げておる。関連がないとはいえない。各地方団体が勝手に首切るというわけにはいかない。やはり国の財政計画というものがきまり、起債なりあるいは交付税なりそれがきまっておるんだから、それじゃしょうがないから地方団体は首を切る。だからこれはやはり国の方に関連がある。今のお答えはおかしいと思うのです。
  65. 後藤博

    後藤政府委員 国の与える財源が不足であるから首を切るというふうには、すぐには申せないのじゃないかということを申し上げたのでありまして、もちろん関連はございます。国の財源を十分に与えなかったというのもございますけれども、その団体自体の歳出構造を直し、財政構造を直していこうという面から整理が行われておるものだ、私はかように考えておるのであります。
  66. 大矢省三

    大矢委員長 ちょっと、午後必ず大蔵大臣が出るということを今通知があったので、午後には確実に開いて出席を願うことになっておりますから、どうでございますか、午前中はこの程度で休憩しては……。
  67. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 関連して。今お話を聞いている間に、ちょっと大臣にお聞きしておきたいと思った点があるのですが、地方財政法の三十条の二に「内閣は、毎年度地方財政状況を明らかにして、これを国会に報告しなければならない。」ということになっております。その内閣というのはどういうことをさすのか、はっきりしておきたいと思います。
  68. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 内閣は、自治庁だけじゃありません。内閣自体であります。これを出すのには、一応閣議に報告をして出します。
  69. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 大臣の説明によれば、これは自治庁ではないのだ。内閣で、閣議に報告して、閣議において決定したものを出しておる、こういうお話であります。ところがこの報告書が先般出ておるのです。この報告書によりますと、人件費の状況というところに、二十八年度において実際に支出したものは三千六百四十三億である。ところが地方財政計画上の人件費は三千二百一億である。その差額は四百四十二億で、実際支出した人件費の総額と地方財政計画上の人件費の算定額が食い違っている、それだけ上回っているのだ、これが地方財政窮迫の一大要因となっているというふうになっておるのです。この内閣が責任をもって国会に報告した、内閣総理大臣から衆議院議長あての報告書、これによると、二十八年度の隠れたる赤字、いわゆる地方財政計画上の人件費を上回っている赤字が、四百四十二億あるというように報告されている。ところが先ほどの北山委員大蔵省との間の質疑応答によると、あまりそういうことを聞かなかったというようなことで、大蔵省は知らない、自治庁はそう思っているだろうが、大蔵省は知らないというようなお話で終っているように私は聞いたのであります。そうすると、この報告と非常に違うのであって、内閣全体としてこれは是認されて報告されたものであると私は解釈するが、この点について大臣及び大蔵当局ただしておきたいと思う。
  70. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 大臣のお許しを得ましたので、私から先に、私の答弁がどういう趣旨であったかということだけを申し上げます。私は二十八年度決算におきまして、赤字が出ておるとか、あるいは給与費が赤字になっているということについて、これを否定しておるのではございません。これはただいま御指摘のように、報告に明らかになっておるところであります。ただ北山先生は、それを基礎にしていくと、三十年度において規模が一兆四百億くらいになるということを認めるか、こういう御質問でございましたから、その間国においても大きな財政政策の転換が行われて、二十九年度から一兆円予算をやっておる。地方交付税制度が二十九年度から創設され、また地方団体側の真剣な財政健全化の御努力があって、こういうことを考慮に入れると、そのまま横すべりで参るというような考え方にはにわかにくみし得ない、こういうことを申し上げた次第でございまして、二十八年度決算について、とやかく申し上げたわけではございません。
  71. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 それでは、この内閣総理大臣から衆議院議長報告されている二十八年度の人件費において、地方財政計画上の人件費よりも、実際に支出した人件費が四百四十二億上回っておるという報告については、その通りであるということをはっきり答えていただきたい。
  72. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 この報告自体については異議はございません。ただこれをパラフレーズして、いろいろとどの項目でどうまかなわれておるという細目は、私の方としては異見がございます。しかしこの報告自体についは異議はございません。
  73. 五島虎雄

    ○五島委員 北山さんの質問に対して、正示さんは明快な説明をされなかった。しかし五百億円程度の差があるということで、その問題で非常に地方自治団体は苦んでいる。従って、大きいことじゃないが、小さい面について後藤財政部長の見解を聞いておきたいと思います。これは関連したことですから……。私が知る地方団体では、いまだ地方税法改正ができていない。それから再建整備法も今国会で審議中である。それから地方自治法の一部改正も国会で審議中である。従って地方団体では、昭和三十年度のはっきりした予算が組めないでいる。ところが、何としても地方団体予算は早く組まなければならぬということで、私の知る地方団体では予算案が提出されている。ところがその中に、教職員関係の定期昇給というようなものが全然予算の中に含まれていない。従って当該地方団体の教職員関係は、自分たちが当然昇給が行われると期待していたにもかかわらず、昇給の予算がなくなっているということを非常に心配しています。この問題については、全国の地方団体においても相当あるのじゃないかと思うわけですが、全国でどのくらい、こういうような定期昇給に見合うところの予算を削っているかということがわかっておりますか。
  74. 後藤博

    後藤政府委員 定期昇給の予算をはっきり組んでいない県が、相当あると思います。これは当初の予算が骨格予算でございまして、財源の見通しがつかないために骨格予算になっているのであります。従って、これから国の予算に伴います補正予算を、どの程度にするかということと関連いたしまして財源を出すわけですが、それと見合ってあとから補正をするというところも相当おると思います。しかし現在のところでは、そういうものを考慮に入れると、定期昇給の財源が出せないというようなところもあるのじゃないかと思っております。そういう県がどのくらいあるかということは、私ども的確な調査をいたしておりませんが、県でありますれば、ある程度わかりはしないかと思っておりますので、一応調べてみたいと思います。
  75. 五島虎雄

    ○五島委員 それはよろしいです。ところが今正示さんは、昭和三十年度財政収入支出のバランスというものが非常に接近してきた。従って赤字というものは非常に差が少なくなってきて、健全財政の一路をたどっているというようなことを言われたわけです。ところが今までこの委員会において、大臣は、地方財政の非常事態であると言われているわけです。こういうように健全財政の一路をたどりつつあるというような、非常に喜ばしい表現をされる反面、自治庁長官のように、非常事態であるというような表現をされると、何が何だかわからない。しかしながら、地方団体においてこういうように、公務員あるいは教職員の昇給を停止し、そして大きな首切りがわれわれには予想できる中において、健全財政であるというようことを謳歌されることがわからない。従って、昭和三十年度財政計画を見ると、昇給による増が七十一億六千万円予想されておる。ところがこれは単に七十一億円だけ昇給があるだろうというような、数字の羅列にほかならないというように思われるわけです。従って自治庁長官は、昇給制の中止は地方団体財政が逼迫しているから、その当該地方団体において、これを切り抜けるためにこういうような昇給制をストップしたりするということは、節約の一環であると非常に喜ばれて、こういうことを見守られるつもりでありますか。
  76. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 財政計画を全体としてごらん願いませんと、何といたしましても六千五百という多数にわたる地方団体を一括して、あの計画を作ったのでありますが、いずれも団体によりまして財政運営の事情が違いますので、財政計画策定の際には、昇給財源としてお示しの金額を見てあるのでありますが、個々の地方団体になりますといろいろな制約がありまして、昇給が必ずしもできない県、市町村のあることは事実であると思うのであります。私どもはしかし地方財政の健全化のため、赤字解消のためにその一切のしわ寄せを給与面に持っていくのだ、昇給ストップに持っていくのだというふうには考えていないのであります。個々の地方団体が全体としてものを考えてやってもらいたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  77. 五島虎雄

    ○五島委員 長官の言われることを地方公務員が聞いたら、非常に嬉しがるだろうと思うのです。首切りや賃金のストップや昇給制度の停止というようなことを考えていないのだと言われれば、やれ安心だと思うかもしれませんけれども、事実はそういう方向に進行しつつある。そういう方向に進行しているということは、長官が考えられた方向に進んでいるということを意味するわけです。従って長官はこういうような賃金のストップとか、あるいは首切りとか、あるいは昇給制度の停止というようなことを考えられていないにもかかわらず、事実がそういう方向に進行し、地方団体財政の逼迫の中から昇給制を止めなければならぬ、予算に組み込まれないというような実情が、そこここに現われておるというふうに私たちは思っておるわけであります。こういうことについてどういうように考え、どういうように措置されるお気持があるかということを、ここで明らかにしていただきたいと思います。
  78. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 財政計画は決してひもつきではないのでありまして、各地方団体が個々の運営をするのでありますから、県によりましては昇給をストップするところもありましょうし、また給与の面については相当に尊重しまして、他の事業の方面において圧迫する県もありましょうし、これは個々の県の長と議会との話し合いをすることによってきまるのでありますから、私は一概にこの財政計画通りに昇給しなければならぬというのは、ここで申し上げる資格はないのでありまして、これは全く地方団体の性格上地方にまかすほかないのでありまして、私たちとしましては、そういうことを地方に指示するだけの権限も資格も持っておりません。ただ財政計画を策定する際には昇給分としてこれだけ見積ったのだということは、これは地方でもはっきりわかるわけでありまして、それを地方財政計画の参考基準にして、各地方が個々に三十年度財政規模というものを作るわけでありますから、一概にこれがどうということはここで申し上げられないわけであります。
  79. 五島虎雄

    ○五島委員 わかりました。そういうような考え方で、各地方団体昭和三十年度財政計画基礎として、予算を仕組まれておる。そうすると昇給が予算に組み込まれないで、そうして当然二・五%程度は昇給され得るものであるのに、そこに期待をかけていたにもかからず、それは地方団体の自由であって、昇給をストップするのも、首切りもよかろう、これは自治庁としてはタッチできないものである。そうして今度は大きいワクから見て非常時局であって、そんと節約してもらわなければならぬということを、院内で川島大臣あたりはどんどん言っておられる。そういうことが地方団体において大きな予算の基準となって、そうして地方公務員の給与の問題について大きく現われてくる、こういうようなことでは地方財政の面から節約、首切りと、そういうような相矛盾したことが全国的に起きてくる。こういうようなことについてはより真剣に自治庁考え、そうして援助し、親心を持ってすべきであると考えるわけです。もちろん地方財政は逼迫しております。そして非常時局だということで、地方公務員が期待していたところのものがほんとうに画餅に帰しつつあるというようなことでは相ならぬというふうに考えますから、よく調査をしてもらって、そうして親心を持ってこういう問題に善処されるように希望いたす次第であります。北山さんの大きな質問である前年度から五百億程度の節約ということを現実認めるかどうかについてははっきりした説明がたかった、ただ考え方が違うという説明があった、しかしながら事実はこのように進んでおるということを自治庁はよく認識すべきであると思います。時間がありませんから、これで打ち切ります。
  80. 川村継義

    ○川村(継)委員 関連して一つ聞きますが、今長官からお話のあったことについて、ぜひ聞いておかねばならぬと思いますが、長官から地方財政計画の問題、地方財政との関係について、お話のあったことについてのお気持はよくわかります。しかし結果においては長官が考えておられるように現実はなっていたい。そこで昇給もかってにストップしろ、首もかってに切れ、そうしなければ地方財政はよくならないということを長官が考えておられなくても、結果はそういうことに持っていくことを期待しておるのではないかということを、疑わざるを得ない羽目になっておるということをよくお考えただきたいと思います。たとえばこの間資料をいただいたのですが、六月の夏季手当の〇・七五をどのくらい支給されたか、この前いただいた資料を見ても六月の十五日に〇・七五支給されておる県は非常に少い。これが支給されていないということはこの前の表に出ておったと思います。国家公務員に〇・〇五のプラス・アルファが出た、地方公務員の方は一体どれだけもらっておるかというと、不交付団体はいざ知らず、交付団体においてはほとんどまだもらっていない。ところが長官は、あのときに十億ぐらいの短期融資をしてやる用意があるということをおっしゃった、それも各県の希望するところにはとおっしゃったが、一体どれくらい、〇・〇五%の国家公務員に見合うところのプラス・アルファを出すために、地方からそのような財源措置要求して参りましたか、それをちょっと聞きたいと思います。
  81. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 まだ私具体的に聞いておりませんから、調べましてから御報告申し上げます。
  82. 川村継義

    ○川村(継)委員 おそらく〇・〇五の財源はないのであります。地方公共団体は出せない。かといって、国家公務員に出したから地方公務員にも出さなければならぬといって、じゃ一つだれか融資をしてくれといって申し込んでくる、申し出たところの団体は、私の想像では、ないと思う。そういうふうに地方の団体は財政的に行き詰まっているというような実態をよく考えて、やはり地方の公務員関係、あるいはすべての地方の今日詰まっておる財政状況一つ考えただきたいということをきょうは一つつけ加えて……。
  83. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 あのときも申し上げたのでありますが、地方貸金で非常に金繰りの詰まっておるところ、ただ〇・〇五だけの財源措置でなしに、一般的の財源措置をするその一つ要素に加えるのだ、こういうことを申し上げたわけでおりまして、そういうことは大蔵省との間にも話がついておるわけであります。お示しの点は、調べてみますが、あるいは単に抜き出して〇・〇五だけ融資を受けた地方団体がどれだけあるかということは、あるいはわからないのじゃないかと思うのです。今金繰りに困っておる地方団体に対して融資する場合に、〇・〇五の支給は一つ要素にする、こういうことで、大蔵当局自治庁の間で了解ができて、そういう処置をとったわけであります。なおその点はよく調べてみますけれども、御了承願っておきます。
  84. 川村継義

    ○川村(継)委員 それでは最後に一言お願いしておきます。さっきも五島君から言っておりましたように、地方府県にいたしましても、県の予算を組む場合に現在本格的な予算が組めていないというのが非常に多いと思うのです。から予算というものをずいぶん組んでおるようなのです。そこで現実——これは大きな地方財政の問題からいくと、小さい問題かもしれませんけれども、公務員の供給、昇格を全部ストップしておる。そういうようなやり方をしておる。それから二百名なり三百名なりの大幅な首切りを要求しておるというようなこと、そういうのが現実になって現われてきておる。長官としては今度のこの国会における地方財政等の審議に当って、そういうような実態をよく一つ御認識いただいて御努力願いたい。またいずれいろいろお聞きしたいと思いますが、きょうはそれだけつけ加えておきます。
  85. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 午後大蔵大臣にお聞きしたいと思っておるのですが、実は今のに関連してこういうことをお聞きしたいと思っておりますから、あらかじめ両大臣でお話をやっていただきたいと思うのです。すなわち現在三十年度給与につきまして実態調査を行なっておるということは先ほどお話があった通りであります。そして三十年度の当初の、今国会に提出されておるところの計画ではそれは残されて、そうしてそれを含まない計画になっておるということを何回も言われておるのです。実態調査はこの秋ごろにできるであろう、秋ごろにできたならば財政的な措置考えるというような自治庁長官のお話が何回もあったわけです。本会議でもありました。そこで実態調査が今行われておると思うのですが、いつごろできるか。先ほど私お聞きしました四百四十二億というものは地方財政計画を上回っておる。現実給与支出している二十八年度の額である。今調査しておるのはおそらく三十年度実態調査だろうと思います。二年たちましてもそれより少しくらいは多くなっておるかもしれない、少くはなっていないかもしれない。そういう際に相当額のものが実態調査の結果現われてくるだろうと思うのです。それに対して三十年度中にどのような措置をされるのか、それを実は大蔵大臣にもお聞きしたいと思いますから、その点については両省においてきめておいていただきたいと思います。
  86. 大矢省三

    大矢委員長 それでは午前の会議はこの程度にして休憩いたしたいと思います。午後は二時から再開いたしまして大蔵大臣出席することになりますから、どうぞ時間を厳守願います。  それでは休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————    午後三時一分開議
  87. 大矢省三

    大矢委員長 再開いたします。  休憩前に引き続き地方交付税法の一部を改正する法律案外四法案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、順次これを許します。北山君。
  88. 北山愛郎

    北山委員 地方財政の問題につきまして二、三お伺いしたいのですが、御承知のように地方財政赤字の原因というのは、ことしの三月に鳩山総理の名前で国会に提出をされました地方財政白書の中では、いろいろ赤字の原因が書いてあるわけであります。第一は、地方財政計画上の地方公務員の給与実態が食い違っておるということ、それから国の補助事業につきまして補助の単価が低過ぎる、そこで地方団体が余力な負担を補助事業についてやらなければならぬ、あるいは災害の負担が非常に多いとか、あるいは地方債元利償還の負担が非常に多いというふうなことで、原因がたくさん書いてあるわけです。従って政府が正式に提出されたこの地方財政白書の中で、総理の名前で認め地方財政赤字の原因というのはそこにあるんだ、こういうふうに言わなければならぬし、私どももそのように思っております。そこで地方財政赤字の解消のためには、その原因の一つ一つを取り除くということが当然対策でなければならぬと思うのですが、大蔵大臣はこれについてどのようにお考えでございますか。
  89. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 仰せのように地方財政赤字の真の原因を明確にいたしまして、そしてこれを個々にメスを入れて健全化をはかっていくということにいたしたいと思います。
  90. 北山愛郎

    北山委員 ただいまの大蔵大臣のお考えですが、鳩山内閣認めましたところの地方財政赤字の個々の原因についてメスを入れて、これを解決していくということが、本年度政府財政計画あるいは予算の中にはどのように具体化されておりますか。
  91. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 まだ原因につきまして、たとえば給与費なんかこれは大きなものとおもいますが、これらについてただいま実態を調査いたしておりまして、どういうふうになるかその結果も見なくてはなりませんが、大体この三十年度予算、特に地方財政につきましては、そのよってくるところがすでに長い間累積した結果が多いのでありまして、従いましてこれを一朝一夕に真に健全化に持っていくのには、三十年度財政、国全体あるいは地方を通じての財政として容易でない、そこでとりあえず、私どもは三十年度予算におきましては、従来の赤字につきまして、あるいは言葉が不適当かも存じませんが、応急的に処理いたして、そして今後三十一年度等におきまして、さらにこれを真に健全化の道をたどらしていく、一応こういうふうに考えておるわけであります。
  92. 北山愛郎

    北山委員 累積をした地方財政赤字というのは、二十九年度のしまいでは五百八十六億と言われております。その原因は、鳩山内閣財政白書の中に書いてあるようないろいろな原因が累積したものだ、果してそうであるならば、その責任は主として政府の方、国の方にあるのじゃないか。鳩山内閣だけとは申しませんが、とにかく国の側にその地方財政赤字のおもな原因があるんだといわなければなりません。また鳩山内閣がこれを認めておるわけであります。従ってその過去の赤字の累積についても、また国の責任において解決をするのが当然の結論であろうと思うのです。ところが今年度政府の、過去の赤字五百八十六億に対する対策としては、例の再建促進法によって二百億の再建起債を許す、そしてそのうち地方の金融機関から借りるもの、いわゆる公募債については二分の利子補給、七千五百万円の利子補給をする、これだけなんです。これでは国の方で自分が認めておる地方財政赤字の原因とその責任とを、果して国の方で責任を持ってやったと言えるかどうか。まことに政府の施策としては責任をとらない考え方じゃないか、主として地方団体の責任において解決をさせよう、こういう考え方が底に流れておるのじゃないかと私どもは思うのです。そうしますと、鳩山内閣財政白書の報告とは食い違うような感じがいたすわけでありますが、一体五百八十六億に対して、たった二百億のものを出して、それであとはどうするのか。また何百億かのその赤字の中には、国の責任において解決をすべきものがあるにもかかわらず、政府は単に予算の上で七千五百万円の利子補給しか計上しておらない。これで一体果して責任を持った解決策ということができるかどうか、大臣のお考えを承りたいのです。
  93. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 地方財政赤字ですが、私は今ここでいろいろと責任の点についてかれこれ申すのではありませんが、地方財政赤字がすべて国の責任であるとも考えておりません。むろんそれは国が責を負うべきものもあると思いますが、しかし同時にこの赤字のできた事情が地方側にもないとは言えないと私は思う。あるいはまた中央でも地方でもないが、制度自体が自然に赤字をいつ知らず生んでいくというようなこともあるいはあるかもしれない。あるいは地方の行政組織といいますか、それ自体が果して適当であるかどうか、いろいろ原因があるのでありますから、これらのものを十分検討して、そうして国が当然負うべきものについては、国として適当な措置を今後とるべきであると考えます。ただ私がなお申し上げておきたいことは、どうも何でも国の責任というような考え方、これはごもっともな点もあると思いますが、何でも国にたよって、これは当然国が悪いのじゃないか、国から金をよこしたらいいだろう、こういう考え方は、私はどちらかというと、今日の日本の行政費あるいはたとえば交付税というようなものの建前等から考えても、もう少し地方考え直してみなくてはならぬのじゃないか、また地方団体の制度自体ももう少し考える必要があるのじゃないか。要するに私の考えでは仕事と財源といいますか、その仕事を可能ならしむる主力的な財源がどうもバランスがとれないというようなところも、今後の地方財政再建については考えなくてはならない。ただ仕事が多いから金をくれといっても、なかなか今日の日本の情勢では許しませんので、仕事の分量を適正ならしむるということもやはり必要じゃないか、こういうふうな考え方でおりまして、先ほどから申しますようにそれらの実態をよく把握しまして、これはこうする、これはこうするというような形におきましても中央も今後十分財政的にも考えてあげる、こういうふうに私は考えておるわけであります。
  94. 北山愛郎

    北山委員 しかし実態を把握してというお言葉ですが、財政白書を出されておるということは、いわばある程度政府地方財政自体を把握しておるんじゃないかと思うのです。いろいろな調査の結果、政府財政白書が出ておる。その中に赤字原因としてはこれこれだということが書いてある。従って、もはや考える、考えるという段階じゃなくて、対策の段階だと思うのです。いつまでも考えられては困る。地方財政の問題はもうすでに数年前から言われておるのです。当時の政府もよく調査をしてとか、考えてとか、あるいは地方制度調査会の意見を聞いてとか、いろいろそのつどただ口実を設けて先へ先へと延ばしておった、そうしてこの問題をますます深刻ならしめた、だからもう考える段階じゃなくて、調査ももうできておるのだから、あとは対策の段階だと思うのです。今にしてその対策を立てなければ、地方財政は破滅してしまうのであります。特に制度の問題とかあるいはいろいろ今申されましたが、たとえば今地方財政を圧迫している一つ財政需要は、例の地方債元利償還が非常に多いということです。地方債元利償還金は今年度地方団体が払うのが五百十億あるのです。これは二年間二倍になっておる。昭和二十八年は二百五十何億だったのですが、昨年は三百八十五億になり、ことしは五百十億と急増して参っておる。ところがこの元利償還金というものは、交付税計算の場合にはほとんど認められておらない。その一部だけが、五十何億だけが財政需要額として認められておるのであって、あとの大部分というものは地方団体が自分の財源でまかなうということになっております。こういうような措置が今までずっと行われてきておる結果として、赤字が出てきておる。しかるにこの地方の起債というものはそれじゃなぜ出てきたかといえば、この地方団体が勝手に金を借りたんじゃなくて、御承知のように起債の許可というものがあり、政府計画を立てて地方債の毎年度計画を立て、地方債を許可して事業をやらしておるわけなんです。従って地方債そのものも正当な財源として国の方で地方団体認められた財源なんだ。一つ政府財政金融政策の一部なんです。だから国の方は公債を発行しないで地方団体に公債を発行をさしておるとも言える。そういうことを戦後やってきました結果として、今申しましたように元利償還が毎年ふえて参ってきている。こういうことはもう明らかなんです。だからこれに対して一体どういうふうな対策を立てるか、私どもからいえば、こういうような原因によって出てきた地方債元利償還の大部分は、やはり国の方でめんどうを見るべきが当然である。このように考えるのですが、大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
  95. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御質問は二点にあったようでありますが、一点は、もう考える、考えるという時期じゃない、具体的にやるべきだ、こういう御意向、全くその通りと思います。ただどもとしましては、まだ内閣を作って数ヵ月、ひまがないからこう申しておるのですが、これはほんとうに早く具体的な案を作って、これを片づけていかねばならぬということは間違いないのであります。そういうふうなつもりをいたしております。  それから地方債が非常に多い、これはやはり私は長い間の地方財政規模が不適正であったというところから来ているだろうと思うのであります。言いかえれば租税等の収入によって、あるいは中央からくる財源というものによってまかなうべきものをこえて、地方仕事が行われる、そういうことも私は多かったと思います。その結果どういうことであるかといえば依然銀行の借入れに依存しておる。私銀行に長くおったのですが、地方団体の銀行に対する借入れが非常に多い。それで借り入れたのは結局赤字に固定をしまして、それがまた起債になる、債券に返っていく、こういうふうな累積をしてきたと思うのです。それならそういうふうな地方債について何か中央が指図してワクを与えておるかというと、そうではないのでありまして、これは地方がそれぞれ財政計画を立て、そうして租税等の収入が幾ら、残りは結局借入金または債券による、こういう形になっておる。こういう点から考えても、地方財政について中央が何もできない。ただ大蔵省にしても、預金部の金を、要るからといって地方が来るときに、そういう貸借の関係を通じて地方財政に寄与していく、こういうふうな状況にもあるように考えるのであります。こういう点は今後何らか国全体として考えることもいいのではないか。むろんそのために何ら地方を縛ったり、地方の自由な程度を拘束してはいかないのであります。何かいい有機的な連絡はないかと私は考えておるのであります。
  96. 北山愛郎

    北山委員 それは大臣が地方財政のことをさつばりわからないからである。一体地方財政は、金を借りてどんどん仕事をやっていくような、それほどの自主性がないのです。地方財政の借金、起債は、みな大蔵大臣が許可しているでしょう。しかも一般財源には起債を許さない。この事業についてこれだけ金が借りたいというので自治庁長官と大蔵大臣に出して、そうしてこまかい査定をして許可をしておるでしょう。今までずっとそうやってきておる。自分で許可をしておきながら、借金を勝手にやって勝手な仕事をしておるなどというのは、自分でやったことを自分でしかっておるようなことで、実際の制度を何も心得ておらないような、まことに認識不足というか、でたらめな考え方なのですが、大臣はこれは間違いだと思うがいかがですか。
  97. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私が申し上げるのは、起債はむろん大蔵大臣が許可をするのでありますが、しかしそれは地方の個々の財政において、どういう程度規模をもって、その歳入をどういうふうなつり合いにおいて起債するか、そういうところまでは関与はしていないのでありまして、そういうふうな点を申したのであります。従って地方から大体こういうふうな予算を組んで、この分が起債になっておるといえば許可を大体においてするというのであります。従いまして、そういうふうに許可したことについて、何も大臣に責任がないというのではありません。従ってこういうふうな債券、こういうふうな借入金、あるいはまた赤字の処理についても、中央におきましても妥当な限りにおいて支援を惜しんでおるのではありません。
  98. 門司亮

    ○門司委員 今の北山君の質問に関連して大臣に少し考えてもらいたいのですが、一体大臣は、地方財政の基本的な考え方といいますか、数字的におわかりになっておるかどうか。こんなことを私が聞くのは大臣に対しては小見識だと思うのですけれども、国は、税と専売益金を合せて大体九〇%以上が確定した財源でとられております。借金は一銭もしておいでにならない。地方は約一兆の予算の中で、地方の税金は三千五百億しかございません。雑収入が約一千億。これだけが地方の自主的にまかない得る財源であります。それで一兆に近い予算を組んでおる、組まなければならぬということ。昭和二十九年度においても、政府補助金の総額は約二千七百億をこえております。大体これが二分の一の補助としても、二千七百億は地方になきゃならぬ。従って、財政をどんなに圧縮いたして参りましても約一千億近いものは平年度において、どうしても借金をしなければ地方財政は立っていかぬのであります。もし大臣が先ほどの御答弁のようなことであるとするならば、私は非常に大きな誤りだと思う。北山君が申し上げておりますように、年々ふえて参ります地方債は、三十年度の末償還額を見てごらんなさい四千五百億ですよ。これの元利払いは三十年度で五百十億、三十五年になってごらんなさい、このままの姿で毎年一千億ずつ起債をふやして参りますと、大体八千億以上の赤字が出てくる、約九千億になる。元利払いが約一千億になる。こういう事態が今日起きておるのです。それを大臣のようにどうも地方財政に見合わない仕事をし過ぎるからと言うと、財政に見合う仕事をしたら四千五百億の仕事しかできない。そうすれば国の仕事は一切停滞することになる。私は大臣のその認識を改めてもらいたいと思うのです。何も地方が借金しでおることは、地方のでたらめなんだ、地方仕事をやたらにやるから、そういう赤字が出てきたのではないのです。だからもう少し地方財政というものと国の施策の基本というものと、さらに国が行おうとする各種の事業に対する地方財政の負担がどれくらいかということくらいは、一つ大臣も知っておいてもらいたいと思います。大臣はその点お気づきになっていないのかどうか。もし大臣がその点にお気づきになっていないとするならば、それは下僚の諸君が悪いと思う。もう少し地方財政というものをはっきり大臣に教えておいていただきたい。そうしなければこれから議論なんかできやしません。大臣はその点十分御了承ですか。  それからもう一つ私はつけ加えておきますが、今日地方財政の独自に持っておりますいわゆる固有の事務という仕事、それから国が残務づけた仕事、同時にもう一つは国の施薬に基く、必ずしも義務づけてはいないが、基く仕事、こういう三つの段階が地方に当てがわれておる。従って地方の固有の事務は、地方がやるべきでしょうが、あと二つのものは、国の施策に基く、国の施策を円満に遂行するための地方の負担であります。それを国が行おうとするときに、さっき申し上げたような財政負担になっている関係から、どうしても一千億以上というものは借金にならざるを得ないのであります。もしこれを借金しないで済ませるとするならば、国の施策は何も行わないと思う。その点について大臣はどうお考えになりますか。具体的にもっと詳しく数字を言えというなら、もっと詳しく数字を言いましょう。
  99. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、先ほどからお答えしておるのは、何も国が責任がないとか国はしないとか、そういうようなことじゃないのであります。先ほどから申し上げますように、国は当然地方に対していたすべきことはなさなければならぬ、そういうふうに申しておるのでありますが、それにはやはり今後たくさんの赤字を抱えておる地方団体再建といたしましては、ここで一ぺん従来の点をよく見て掃除したい、そうしてそのうちには、なるほどまた国が仕事をさせたから当然金を出せばよい、こういうものがありますが、しかし国の仕事をさせ過ぎる点もありはしないか、国の仕事自体をもう少し考えて、その財源に相応したものを地方にしてもらうということもやはり考えていかたければいかぬ、そういうような財源とやるべき仕事のボリュームをなるべく合致させるようにしていかないとなかなかよくいかない。そういう点がどっちかというと従来、—— あるいはこれは私の見解が間違っておるかもしれませんが、仕事がどうも多過ぎた、ような感じが私はするのであります。その点を今後調整する必要がないだろうか。先ほどお話のような点について、中央が今後地方に対して手を差し伸べるべきものについては決してやぶさかではない、ただそれをはっきりさせるべきだ、こういうふうな考え方を私はいたしておるわけであります。
  100. 北山愛郎

    北山委員 私の聞きたいのは、国にも責任があると言われましたが、しかし言葉の中にはどうも地方では何でもかんでも国にたよる、これもいかぬというようなお話もあったのですけれども、まあそれも一つの見解でしよう。ただ問題になりますのは、五百八十六億の赤字に対して二百億の措置しか考えておらない。あとの三百八十六億はどうするのかということがか一つです。  それからもう一つは、地方にも節約してくれというようなお考えのようでありますが、今年だけのことを考えましても従来の財政規模で行きますと、相当地方団体が心がけて節約しても、今年は一兆四百億ぐらいかかる。これは自治庁の方で当初大蔵省の方に折衝した金額が一兆三百五十億なんです。それを大蔵省の方で査定をして吹き飛ばしてしまったのでありますが、とにかくそれくらいの金がかかる。それを、今年の政府財政計画は九千八百幾らです。そうすると、今年だけでも政府財政計画実態との食い違いは五百億ないし六百億になる、それだけの財源不足があるわけですから、そこでそれは節約するが、税金をよけい取るか何かしてやらなければその食い違いは埋まらない。ですから、地方団体としては過去の五百八十何億の赤字を抱えて、今年だけでも五百億、六百億の財源不足、合せて一千百億以上の財源不足があるわけです。これを解消しようと思えばこれはなみたいていじゃない。これに対して政府が今年度考えたのは、たった二百億の再建債、しかもそのうち政府資金というのはたった五十億です。こんなことで一体政府は責任を持って地方財政の問題に措置したということができるかどうか。まことに冷淡きわまる冷酷無残なやり方であると同時に、こんなことは実行不可能だと思います。過去の赤字の五百八十何億に対してその一部しかこれを措置しない。しかも今年の分だけでも五百億ないし六百億の食い違いがある、これに対しても財源措置をしない。それであと地方団体にしかるべく再建計画を出させて締めつけていこうという、ちょうど銀行が企業に対して企業整備をやらせると同じようなやり方です。お前の方で首を切るような計画を立ててこい、それならば金を貸してやろう、これと同じです。今度の地方財政再建整備の法律がそんな冷酷なことを地方団体考えるというのは、どうも先ほど門司さんが言われたように、地方行政なり地方公共団体というものに対して、大蔵省としては勘違いをしておるのではないか。私どもから言うならば、地方公共団体というのは国とは親子の関係です。同じ仕事を一緒にやっている。国の今年度の失業対策にしろ、あるいは住宅政策にしろ、あるいは社会保障の拡充にしろ、あるいは教育の政策にしろ、あらゆるものが地方団体を通して国民に対して政策を行なっておるでしょう。一緒になって仕事をしておる。一体であるいわば特別会計みたいなものです。これに対して他人行儀な、何か別な企業みたいな考え方を持って大蔵大臣考えておるのではないか。そうでなければ今年のこの政策のような冷淡な政策は取れないはずです。地方財政というものの実態に即して、もっと適切な政策が行わるべきである、こういう考え方からお聞きするのです。従って私はお尋ねするのですが、一体今申し上げたような今年の財源不足五百億ないし六百億、それから過去の赤字五百八十六億合せて千百億以上の財源の食い違いに対して、たった二百億という措置でもって、あと地方団体にやらせようというのですか、これをお聞きします。
  101. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今回の整備につきましては、先ほどから申し上げましたように赤字については二十八年度四百六十億ですか、そういうことを対象にいたしまして、そのうちの二百億を債券でやるようにいたしまして、応急的に当時判明しておりました赤字を取り上げまして、まずこれをたな上げをして、そうして後年度における赤字を出さないようにという方針で組んだわけであります。しかし先ほど申し上げましたように、三十年度の国の予算におきましても非常にきびしい予算でもあります関係で十分御満足のいくものでない、そういう意味でいろいろ御意見があろうと思いますが、またこれは三十一年度予算の場合に考えて、そうして三十一年度を通じてしっかりした基盤の上に地方財政を置きたい、こういうふうに私は考えておるわけであります。
  102. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、三十年度は二百億だけであとは何もしない。そうすると三十年度——見解とか考え方とか、そういう問題じゃないのです。地方団体というものは毎日生きているんですから、毎日仕事をしているんですから、金も払っているんです。だから来年度に何か考えるといって、ことしはそれで済むんじゃないのです。ことしの今申し上げたような食い違いはどうしろというのですか。五百億ないし六百億の財源不足、それから過去の赤字の累積五百八十何億のマイナス二百億で三百八十六億、これはどうしろというのですか。
  103. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 当時の再建整備につきましては、今申し上げたような状況下にあったことは事実であります。これは当時はっきりしております。二十九年度赤字についてはいろいろと言われておりますが、これは銀行の借入金の増減等から見ると、世間に言われているほど大きなものではないのじゃないかという気もいたしております。しかしこれらにつきましては、自力でいく部分もありましょう、またいかたい部分で、将来へ赤字を残すところもありましょうが、これは今後先ほど申し上げましたように処理していきたいと私は考えております。
  104. 北山愛郎

    北山委員 どうもさっぱり大蔵大臣答弁はわけがわからない。ただいまの言葉の端々を聞きますと、二十九年度赤字五百八十六億、これは決定ではないでしょうが、自治庁が発表をし、報告をしているんです。これはうそだというのですか。これだけの赤字はないというのですか。
  105. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 二十九年度赤字自治庁がどういうふうに言っているか——これはまだはっきりしていないと思います。
  106. 北山愛郎

    北山委員 自治庁にお伺いしますが、大蔵省認めてない。それから五百八十六億というのは自治庁だけのお考えである、政府全体としてはそのような赤字考えておらないというのか。大蔵省認めておらないというのか、どうですか。
  107. 永田亮一

    永田政府委員 ただいま御指摘になりました数字は、中間の集計の数字でございまして、まだはっきり最後的に決定したものではございません。その数字については大蔵省の方にも報告いたしております。
  108. 北山愛郎

    北山委員 中間報告であろうがなかろうが、もしもでたらめな数字であるなら発表さらぬ方がいい。発表する以上は、とにかく大体こういう赤字の見込みであるという確信のもとに、中間発表なさったのであろうと思うのです。そうでない、将来どうなるかわからぬような数字なら、発表なさらぬ方がいい。この点について大蔵省赤字は一体どのくらいだと思っているのですか。
  109. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私から便宜お答え申し上げます。私どもの方には、ただいま自治庁政務次官がお答えのように、中間的に報告をいただいておりますが、午前中お答えいたしましたようないろいろな要素も加味して考えまして、私ども昭和二十九年度末の赤字はある程度出るかということを心配いたしております。それにいたしましても、二十八年度における増加の状況からは著しく内輪になるものというふうに考えております。
  110. 北山愛郎

    北山委員 一向答弁になっておらぬ。大蔵省としては赤字が、自治庁のいう五百八十六億、そんなにはならぬというのですか。そうすると二十八年度赤字についてはどうなんですか。自治庁で五百八十六億の赤字見込みというのは、一体どこから算定したものですか。それ相当基礎資料なり何なりがあって、五百八十六億という表まで刷って、ちゃんともらってある。これは中間発表であろうが、一応根拠のある数字だと思うのです。これを大蔵省は信用しないというのですか。
  111. 永田亮一

    永田政府委員 ただいま御指摘になりました数字につきましては、各地方団体から聴取いたしました調査に基くものでございまして、先ほど申しましたように中間の報告でありますために、なお幾分の変動があるかと思うのでございます。市町村分につきましても、この赤字額は今のところは推定をした数字ございます。
  112. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 関連して。今の赤字の問題ですが、財政白書によると二十六年度は百一億の赤字が出ている。二十七年度赤字は百九十九億の赤字になっている。二十八年度には百六十一億の赤字が出ている。これを合計したものが四百六十二億になっている。二十九年には今自治庁からは、形式の赤字としては百六十三億、実質赤字は百二十三億。普通は形式赤字の方が少いのですが、これによると形式赤字が多くなっているが、少くとも百二十三億になって、五百八十五億というのが今度の再建整備計画基礎数字になっておる。今の大蔵省お話によりますと、二十九年はほとんどないようなお話でありますが、今お話しましたように二十六年度、二十七年度、二十八年度を見ますと、少くとも百九十九億、百六十一億というものがあるのだから、二十九年はゼロになるはずがない。少くとも百二十三億程度のものは最小限度あるはずだと推定できると思うのです。それによって大蔵大臣はこの計画は四百六十二億の計画である、二十九年の赤字考えておらない、幾らになるかわからぬ、あるいはゼロかもしれないと言うけれども、私の考えでは少くとも百二十三億、形式赤字においては百六十億の赤字、この程度の見当は間違いないものであると思う。この見当の赤字に対しましては、どういうふうな措置をされるというふうにお考えになるか、この点をお聞きしておきたい。四百六十二億は一応はわかりましたが、二十九年に生じた赤字というものは、この法律は二十九年の累積された赤字の処置ですから、その分についての処置をどういうふうにされようとするのかを、私関連して聞いておきたい。
  113. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げますが、二十九年に赤字が全然出ないということを申し上げたのではありません。もしそういうふうに聞えましたら、私の言葉が不適当でございました。ただ御指摘のように、二十八年度末におきまして新しく生じました百六十二億に比較いたしますれば相当減少する、あるいは著しく私どもとしては減少することを期待しておるということで、全然発生しないということを申し上げたわけじゃございません。なお大蔵大臣からの御答弁は、その赤字が確定した上でないと何とも措置ができないので、今回再建整備に見ました分は、四百六十二億という二十八年度末に確定した赤字を見まして、そのうち再建整備の対象として考えたのは二百億、それと退職金の六十億、この二百六十億を財源的に措置しておる、こういうお答えを申し上げたのであります。
  114. 北山愛郎

    北山委員 どうも私ども赤字数字、二十八年度赤字、あるいは二十九年度赤字というような、いろいろ資料をもらったり、報告をもらったりするんですが、これは政府の一応まとまった中間報告なりあるいは資料である、こう考える。ところがただいまのお話によりますと、大蔵省考え方自治庁考え方食い違いがあるようです。赤字数字についても、見解の相違があるようです。このように政府の部内において赤字数字について、調査についても一致を見ておらない。こんなことで一体再灘整備なんかできるか。われわれとしても、政府赤字数字なり調査なりについて、まとまった資料なり報告をもらわなければ、これ以上論議してもむだなような気がする。委員長において、しかるべく政府に対してその意見をまとめるようにさしてもらいたい。
  115. 大矢省三

    大矢委員長 自治庁はどうなんですか。今までの各資料を配付されたのは、そういう説明つきだったのですか。私どもは調査に基いての確定な一つ数字が出たと思っておりますが、後藤財政部長はどうなんですか、今の質問に対して。
  116. 後藤博

    後藤政府委員 二十九年度赤字の概算額は、私どもも調べる必要がございましたし、かねがね委員会からの御要求がございましたので、急いで調べております。従ってこれが正しいものであるかどうか、決定版ではもちろんございません。この推計を掲げたということは、備考にも書いてございますように、まだはっきりした数字でないのでありまして、一応この程度赤字が出そうだ、こういうふうにお読みを願いたいのであります。従って確定したところで財源措置を願うというふうに、私ども考えております。
  117. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、それはいつごろ確定するのですか。それからもう一つは、一応中間発表としてそのように自治庁から出ておる。これに対して大蔵省は疑いの念を持っており、それだけは出ないだろうという見解のようであります。あくまでそういう見解で大蔵省は進まれるのであるか。  それから、二十八年度赤字についての大蔵省考え方と、自治庁考え方が食い違っておるようにも聞いておるのです。二十八年度赤字についての見解及び二十九年の赤字について、両者の見解がいつまとまるか。中間発表だから推定ではあるにしても、そういう推定についても意見が食い違うのでは困る。これは重ねてお伺いします。
  118. 後藤博

    後藤政府委員 二十八年度赤字四百六十二億につきましても、これは地方団体が出してきました資料をこまかく見ますと、必ずしもその数字とぴったり合った数字でない。たとえば、単独事業の繰り越しを赤字に見ておる団体もあるようでありますし、財源をつけて事業繰り越しをしておるものも、やはり赤字のような計算をしているところもございますし、四百六十二億を洗って参りますと、不確かな点もございます。しかし、われわれの手元に集まった数字を一定の規模でもって測定いたしますと、四百六十二億になる。こういうふうに大蔵省には申し上げております。  二十九年度のものにつまましても、同様な推定をいたしておりますが、これは一部に未定の数字が入っております。府県は大体全部調べたつもりでおりますが、市等につきましては、われわれが考えておりましたものよりも少い場合もあるんじゃないかと思いまして、一応百二十四億くらいの赤字ではないか、こういうふうに推定をいたしております。これは決算が大体十月ごろにはある程度はっきりして参りますので、十月過ぎればある程度まとまった数字になる、かように考えておる次第であります。
  119. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま自治庁財政部長からお答えになりましたように、私どもも大体考えております。ただ先ほど来申し上げましたように、四百六十二億という二十八年度赤字につきましても、その内容を分析いたしますと、再建整備の対象にすべきかどうかという点については、相当検討の余地があったわけであります。従って、二十九年度において一応形式的あるいは実質的にどの程度赤字が生じまして、これに対して、国としていかなる措置をとるかということについては、なお内容を慎重に検討しませんと、決定をいたしかねる、そういうことだけははっきり申し上げます。
  120. 門司亮

    ○門司委員 今の北山君の質問に関連して聞いておきたいと思います。あしたでも大蔵大臣に出てきてもらって、地方財政の根本問題を聞きたいと思う。きょうはごく簡単に聞いておきたいと思いますことは、自治庁大蔵省も、三十年度財政計画赤字は出ないという確信がございますか。
  121. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。これは自治庁の方が責任を持っておやりになるわけですから、私どもとしては、三十年度赤字が出ないようにやって下さることを期待いたしております。
  122. 永田亮一

    永田政府委員 自治庁といたしましても、赤字が出ないようにやっていただきたいことを極力希望はいたしておりますが、あるいはある程度赤字が出るようになるかもしれないということも考えております。
  123. 門司亮

    ○門司委員 そうだとしますと、知事会議あるいは市長会あたりから出ている数字は必ずしも一致しておりませんが、しかしいずれにしても三十年度財政計画では、地方にとうていやっていけないという陳情をしていることは御存じの通りであります。従ってわれわれもそういうことになるだろうと思いますが、聞いておきたいことは、政府は将来の財政計画に対するはっきりした見通しをお持ちになっているかどうかということであります。ばく然としたことを聞くようでありますが、今話を聞いておりますと、財政計画についてのいろいろな根拠からくる数字の問題は、水かけ論みたいなものでなかなかはっきりつかめないのでありますが、たとえば再建整備の対象にしようとする二百億の赤字の根拠というようなものも、一体どこから政府がお出しになったのか、この点はっきりしているなら、お聞かせを願いたいと思います。
  124. 後藤博

    後藤政府委員 二百億をきめましたのは、二十八年度赤字団体の中で、県は、再建計画を立てました場合に、三年以上の再建計画を必要とする県、市町村は、四年以上の再建計画を必要とする市町村を選んでみますと、約三百億になったと思います。この三百億になりましたものの中で直轄事業の分担金の赤字の分と、先ほどちょっと申しましたわれわれが見て赤字と称し得ないようなものもございますので、そういうものを差し引きますと、約二百億になったのであります。従ってその二百億は、財源措置を要するものと考えまして、お願いいたしたのであります。
  125. 門司亮

    ○門司委員 どうもその点私にははっきりわからぬのですが、政府の出している数字を見ましても、昭和二十八年までの純赤字——繰り越しその他を入れない四百六十二億という数字の前の数字が二百六十何億になっているはずです。この数字は、今の二百億と見た推定の中からくると、あまりにも二百億という数字が小さ過ぎはしませんか。あなたの方から出た資料にはっきり書いてある実質的赤字と称する四百六十二億は、今の後藤君の説明のように、政府から見れば赤字とは思えない事業の繰り越し、繰り延べ、あるいは支払いの延期等が含まれているので、そう見えるかもしれない。しかし純赤字と目されるものが、政府の統計で、府県が二十一、市町村が千四百六十六と書いてあるからこの数字は間違いないと思うが、これが二百五十何億という数字になっている。そうなると、今の後藤君の説明はおかしいじゃないか。どう考えてもそういう数字は私は出ないと思う。
  126. 後藤博

    後藤政府委員 私ども赤字の問題と、再建整備を要する団体、つまり資金を与えて再建整備をする団体の資金の量というものは違う、こういう考え方をいたしております。従って赤字の団体の中で、先ほど申しました県は三年以上市町村は四年以上の再建計画を要する団体の赤字は、おそらく資金を要するであろう、こういう考え方から選んで個々に当ってみますと、府県が十九くらい、市が七十七、町村が四百くらいになったと思いますが、そういうものの数字を合せて参りますと、三百億になるのであります。そのうちから先ほど申しましたようなものを控除しますと二百億、従って二百億の資金があれば再建整備債としては一応十分ではないか、こういうふうに考えたのであります。
  127. 門司亮

    ○門司委員 いずれも推定ですから水かけ論になると思う。少くとも政府再建整備をしようとするならば、実質的赤字ぐらいは対象にしておきませんと、実際上の運営は困難だと思うからさっき聞いたのでありまして、これは政府の見込みとわれわれの見込みとの相違であって、別にこれ以上議論する必要はないと思います。  その次に、これはまた北山君の質問もあると思いますので、一応大蔵大臣にごく簡単なことを一つだけ聞いて、あとの参考にしておきたいと思いますが、三十年度から赤字が出ないつもりだと大蔵省は言っておりますが、自治庁の方は出るかもしれないと言っておる。私どもは出ると思います。今までの予算折衝の経過をずっと見ると、一晩のうちに百四十億が消えたりなんかしているところから見ると、私は計数的に必ずしも合ったものとは思いません。だから赤字は必ず出ると思いますので、数字のことば別にして、大蔵省として、三十年度以降においては地方財政に対して赤字の出ないような処置をとるというお考えがあるかどうか、このことを先に聞いておきたいと思います。
  128. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 三十年以降におきまして、地方財政において赤字が出ないような措置を講じたいと思っております。
  129. 門司亮

    ○門司委員 もし大臣が講じたいというお考えであるなら、どういう処置をとられるのか、構想がございますならば、一つこの機会にお聞かせを願っておきたいと思います。
  130. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはなお自治庁長官その他ともよく相談しなくてはなりませんが、ある程度の財源的措置もとりたいと思っております。
  131. 大矢省三

    大矢委員長 ちょっと委員に申し上げますが、ちょうど四時ごろに恩給法の採決があるそうですが、定員が足らぬからぜひ出てくれという議長からの請求がありますから、本日は……。
  132. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 ちょっと関連して。ただいま大臣のお話のうちに非常に私たち大臣を信頼したような気になったのです。そのうちの三十年以降とお話になりましたが、それでいいのですね。三十年以降の地方財政赤字の出ない措置をしたいと思うということですが、三十年度以降であるかどうか、それをはつきりしていただきたいと思います。
  133. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 三十年度において何か措置することはありません。三十一年度以降において考えるということです。
  134. 大矢省三

    大矢委員長 明日はぜひ大蔵大臣出席を願って審議を継続することにいたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十三分散会