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1955-06-28 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十八日(火曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君    理事 古井 喜實君 理事 前尾繁三郎君    理事 加賀田 進君 理事 門司  亮君       川崎末五郎君    纐纈 彌三君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       丹羽 兵助君    長谷川四郎君       三田村武夫君    青木  正君       灘尾 弘吉君    山崎  巖君       吉田 重延君    川村 継義君       北山 愛郎君    五島 虎雄君       中井徳次郎君    西村 彰一君  出席政府委員         警察庁長官   齋藤  昇君         警  視  庁         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君  委員外出席者         国家消防本部長 滝野 好暁君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 六月二十七日  委員三田村武夫君及び赤松勇辞任につき、そ  の補欠として櫻内義雄君及び勝間田清一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員櫻内義雄辞任につき、その補欠として三  田村武雄君が議長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十七日  地方自治法の一部改正反対に関する請願(田子  一民君紹介)(第二六七七号)  同外二件(椎名隆紹介)(第二六七八号)  同(千葉三郎紹介)(第二六七九号)  同(山本猛夫紹介)(第二六八〇号)  同(大村清一紹介)(第二六八一号)  同(阿左美廣治紹介)(第二六八二号)  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(平岡忠次郎紹介)(第二六八三号)  同(千葉三郎紹介)(第二六八四号)  同(山本猛夫紹介)(第二六八五号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法  律案内閣提出第八五号)(参議院送付)  風俗営業取締法の一部を改正する法律案眞鍋  儀十君提出衆法第二三号)  消防に関する件     ―――――――――――――
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  まず銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案議題といたします。本案については昨日一応質疑を終了いたしておりますので、本日はこれより本案について討論採決に移りますが、その前に昨日委員の質問中、通商産業省より答弁を保留せられておりました部分がありますので、その答弁をお願いいたします。
  3. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 通産省軽工業局長でございます。昨日本委員会におきまして、今回の法律改正によって飛び出しナイフ等生産業者の受ける影響にかんがみ、その転業対策等について具体的にどういう措置考えておるかという趣旨のお尋ねがあったように拝承いたしましたので、その点についてお答えを申し上げます。  現在飛び出しナイフ等を作っております工場は、全部岐阜県の関市にあるわけでございまして、飛び出しナイフ専業工場が六、ポケットナイフ等と兼業しておりまする工場が約百工場ございます。それで結局飛び出しナイフ等を従来主としてやっておりました工場は、今後輸出向けないしはポケットナイフ等転業を指導することが適当であろうというふうに考えております。現在ポケットナイフにつきましては、生産額の約六割を輸出しております。飛び出しナイフにつきましても生産数量におきましては約二割、金額におきまして約一割程度輸出いたしておるわけであります。そこで、どの程度影響があるかということを、一応名古屋通産局を通じまして調べましたところでは、飛び出しナイフにつきましては、現在メーカーの在庫、仕掛り、並びに地元卸商在庫等を合せまして約八百万円のものがございます。そこでこの法律施行に伴いましてどの程度これがデッド・ストックないしは返品等関係を生ずるかという点につきましては、警察庁の方におきましても、この施行までに約一カ月の猶予を置いていただくというような御配慮を願っておるわけであります。現在のところ的確に予想しがたいわけでありますが、一応現在の金額としてはその程度になっております。  それからあいくちにつきましては、これは運用上ある程度のものは除外していただくようなことも伺っておりますので、この方は比較的金額は少いように考えております。そこで結局これらの業者は従来の製品、仕掛り品等輸出に振り向けられる間のつなぎの金融の問題、ないしはポケットナイフに転向いたします場合の転業資金等の調達について考慮を払うことが最も必要であろう、こう考えておりますので、この点につきましては中小企業庁とも打ち合せいたしまして、商工組合中央金庫並びに中小企業金融公庫責任者に口頭でもって申し入れをしておりまして、具体的にこの法律が成立いたしました場合には、これらの転業資金等について、特に配慮してもらいたいということを申し入れいたしております。これにつきましては関係金融機関責任者もできる限り好意的に計ろうということを申しておりますので、本法案が成立いたしました際には、公文書をもってそのような指示をいたしますと何時に、名古屋通産局並び岐阜関係業界とか団体等とも連絡いたしまして、ただいま申し上げましたような資金あっせん等について遺憾なきを期したい、こう考えておる次第でございます。  以上御説明申し上げます。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 ただいまの答弁について御質疑がございませんか。
  5. 門司亮

    門司委員 中井委員からきのう今の御答弁のようなことを大体要求したわけですが、中井君おりませんので、私今、中井君の考え方について、もう一度念を押しておきたいと思います。ただいまよりは私も全部聞いておりませんが、関係者当局との話し合いでというようなお話でございますが、これは融資の問題になると大蔵省関係も出てくるでしょうし、いろいろ問題が出てくると思いますが、政府部内の意見は一致しておりますか。そういうふうに解釈しておいてよろしいですか。話し合いは一致したのだけれども、どうもどこがつかえたとか、ここが工合が悪かったというのでは困ると思いますが、あまり業者に大きな希望を持たせることもよくないと思いますし、一つ率直に実現できることを言っておいていただいた方が、この場合はいいと思いますが、その辺のことはどうなんですか。
  6. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 融資方法といたしましては、やはりなるべく組合でまとめてこれを受けられるのが適当ではなかろうかと、こう考えております。そこで現在商工中金につきましてはきわめて最近のようでありますが、関のやはり輸出刃物関係組合取引関係ができておるというように聞いておりますので、その点はすでにつながりはできておる。それから金融公庫の方は従来のところ、関のこういう刃物関係の人とは取引はないそうでありますが、岐阜市の十六銀行でありますか、これに対して代理店契約をしておるので、具体的に実情によって必要があればできるだけ好意的に考慮する、こういうことでございます。もちろん金融関係のことでございますから、一応の金融ベースに乗るということは条件として必要かと存じますが、しかし業態からいたしまして、ただいま申し上げましたように、ポケットナイフとしては生産額の半額以上が輸出に向いておる、また飛び出しナイフにつきましても一、二割のものが輸出に出ておるということでございますので、その辺の関係はそう困難ではないと考えております。なお具体的のこれらの金融公庫商工中金等の貸し出しにつきましては、これは通産省においてそういう指示をいたしますれば、特に大蔵省等との協議を要するというふうな関係はございませんので、その点はさよう御了承を願います。
  7. 門司亮

    門司委員 これは警察側に聞いておきたいと思いますが、所持を禁止するという法律で、警察意見からいえば、所持を禁止しておるのだから、いかなるものを持っておってもけしからぬ、こういうことで、製造と販売の方にもいくということでありますが、販売店にも相当まとまったものがあるでしょうし、製造しておるところにも半製品を別としても多少あると思いますが、これらの処分はどうなさるのですか。まとめて廃棄処分にされるのか、業者の任意にまかされるのか、どっちですか。
  8. 中川董治

    中川(董)政府委員 現在そういった点は輸出用に向けるべきものは向けるように、そういったあっせんをし、それからどうしても輸出用に向かぬようなものにつきましては、改造その他の処置が必要ということになろうかと思います。そういった点は施行までの猶予期間が三カ月ありますので、その間によく関係の方に連絡したい、こう思っております。
  9. 門司亮

    門司委員 連絡したいというのではなく、猶予期間が置いてあるからといいますが、猶予期間が置いてあるからといっても、この猶予期間もはっきり日が切っておるわけではないので、三カ月なら、二カ月以内にということは、結局できるだけすみやかにというふうな趣旨だろうと思う。従って所持を禁止する以上はどこにあっても悪い、昨日の答弁ではたんすの中にあっても悪いということである。従って処置としては当然まとめて廃棄処分にするかどうか、明確なことにしておかぬと、結局所持は禁止したが、しかしそれをどこに持っていってもわからぬからというようなことで、一体どう始末するかがいろいろ問題になると思う。その間に話し合って半製品のものは作り変えるとかいうのですが、これは業者ですからそう世話をやかないでも適当にやると思う。やると思うが、でき上ったものについての処置を、もし政府が昨日のような御答弁であるとするならば、はっきりとした処置をとっておかぬと、これは所持者がふえてきて犯罪を犯す者が必然的に出てくると思う、犯罪を防止しようと思うなら、現在あるものをまとめて廃棄処分にするなり、あるいは輸出があるなら輸出の方に向けるなり、何とかはっきりした処置をとってやらぬと、犯罪をこしらえる原因を作るようなものだと思う。それについては今の御答弁のようなものだけでは納得するわけにいきませんから、まとめて廃棄処分にするとか何とかはっきりした方法がありますかどうか、伺いたい。
  10. 中川董治

    中川(董)政府委員 お説ごもっともでして、現在すでにあるものにつきましては、輸出に上向くべきものについては輸出業者に売り渡すように指導いたします。それ以外の面につきましては合法的なナイフになるように改造するようによく趣旨を伝えたい、こう思います。改造というのは、たとえばスプリングを取りはずせば合法的になりますので、スプリングをはずすことを、よく持っておる人たちに指導したい、こう思っております。
  11. 門司亮

    門司委員 そうするとその廃棄処分、そういうものがきまるまでは、所持しておってもいいという結果になるのですが、それは差しつかえないですか。
  12. 中川董治

    中川(董)政府委員 ただいま私が申しましたような事柄を施行期日までによく指導いたして、施行期日以降は持っておっては差しつかえる。持っておっては困る、こういうことになります。
  13. 三田村武夫

    三田委員 昨日中井委員質疑の中にありましたことですが、通産当局にあらためてこの機会にお伺いておきたいと思います。これは今お述べになりました通りこの法案対象になる業者岐阜県の関市だけであります。私はその岐阜県の関市を選挙区にしておりますので、きのうもはっきり申し上げたのでありますが、業者立場を十分考慮してお尋ね申し上げるのであります。もとよりこの立法目的については私も了承するにやぶさかではありません。しかしながらきのう中井委員の御発言の中にもありました通り、今までこの業に従事しておりました業者は、善良な立場において生業に安んじておったものでありまして、このナイフを作ることあるいはあいくちを作ることが、それ自体直ちに警察当局取締り対象になるという概念は持っていなかったのであります。つまり憲法二十二条にいわゆる職業選択の自由によって業に安んじておった連中でありまして、これが一片警察立法という言葉に語弊があるかもしれませんが、警察取締りの必要上一つ法律が制定され、その法律影響によって小業を奪われるという事態かここに出現いたしますならば、政府合一体責任とでも申しますか、その観点に立って当然通帳当局もこれに対する対策なり救済なりの措置をお考えにならなければならない問題だろうと思うのであります。昨日通産省政府委員お話しも伺いました。これは私重ね重ね警察当局にも伺ったのでありますか、その事前の協議ないしは連絡を十分おとりになっておったかどうかという点であります。きのうの政府委員お話しによりますと、なるほど警察庁からの合議を受けた。これに対して通産当局としては制限はできるだけ狭めてほしい、やむを得ない程度にとどめてほしいという意見を申し述べておいたというお話しでありました。それは通産当局として当然の処置であり、お考えであろうかと思いますが、出て参りました法案を通覧いたしますと、実質的には少くとも全面的禁止になっております。今飛び出しナイフお話し中川刑事部長お話しにありましたが、業者立場からいたしますと、なかなかできてしまったものを途中でかれこれいじって改造するなんということは困難であります。そういう立場から考えてみましても、きのう中井委員の御発言通り、これは業者自身に何の過失も責任もない事態の出現でありますから、一方警察当局取締り上の必要から、こういう法律が制定され、それによって善良な業者生業を奪われ、生活の困窮を来たすという事態が出現するならば、当然それに対する十分な御処置なり救済なりがあってしかるべきものであります。その点あいまいにしておきますと、むずかしいことを申し上げるようでありますが、この民主政治というものに一番大切な政府に対する信頼性が失われる。関市の業者は一掘りかもしれませんが、一握りの善良な業者に与える影響は、産業経済あるいは日常の業務に善意で従事しておる者全体に影響することをわれわれはおそれるのであります。そういう立場から、通産省政府委員の御説明にありました八百万円かあるいは一千万円かどうだかわかりませんが、少くともこの法律施行によって、直ちにストップを命ぜられ、廃棄ないしは契約解除、ことごとく商品としての価値を失うものに対する当局対策は、十分お考えを願いたいと思います。これはあらかじめ御処置なさっておりますか。法の権威を保つ上においても、政府の威信を保つ上においても、かくのごとき善良な業者に対しての処置はお考え願いたい。昨日中川政府委員から麻薬取締り云々の例が引かれましたが、それとは根本的に性質を異にいたします。これは通産当局御承知の通り、関市の業者は、いわゆる関の孫六以来七百年の伝統を持つ刀都と呼称されて参りました伝統業者であります。今まで何らの観念も持っていなかったことを、厳粛に御記憶願います。それに対し、警察立法生業を奪うことは、容易ならぬ事態でありますから、簡単に事務的にお考えにならないで、どのように処置をされるか。今の同僚委員の御意見質疑の中にもありましたが、ただ施行期間が、三カ月あるから、その間に改造を命ずる処置をするとか、輸出あっせんをするとかいう当局の御好意はわかりますが、当局の御好意だけで業者は救われるものではありません。今まで対策が具体的に考えておられなければそれでよろしい。これからどうするかということを、ここではっきり御開陳願いたいのであります。
  14. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 ただいま御指摘のありました点は、まことに私どももごもっともであると思います。もちろんこの法案の立案なり、提案については、警察庁から十分の御連絡を受けまして、御協議を申し上げました。それに関連して、地元の関の市長、商工会議所組合等意見を伺いまして、その際に要望がございました。輸出品等は、これは当然でありますが、従来通りこれを認めることにし、四十五度までの飛び出しは認めさせる。それから、在庫関係から実施期日はなるべく延期してもらいたい。御要望としては本年末までということでございましたが、警察庁といろいろ話し合いまして、あまり長くすることも、この法律制定趣旨からいかがであろうかということで、三カ月という最大限でお考えを願ったわけでございます。なお参議院においてもいろいろ御意見等もございまして、五・五センチ以下のものは適用を除外する。またあいくちについての実際上の運用方針としても、これは現実に危険度の低いものは、解釈上これを除外することを考慮するというようなお話がございましたが、警察庁としては可能な限りは、そういう業者の不測の損害というような点についても御考慮をいただいたものと了解しております。ただこれについて、本来法律補償の必要があるのではないかというふうな意見もございまして、これについては法制局に前例なり、法の解釈等をいろいろただしたのでございますが、これについては、輸出用その他に道も開かれておるし、前例等から見ても、これは遺憾ながら補償対象にならないということでございましたので、この点はあるいは不十分にとどまったかと思います。しかし幸いにして相当量輸出も期待せられるわけであります。またポケットナイフ等は、先ほど申しましたようにむしろ輸出を主体としているというような現状であります。ただいま御指摘のように、ある意味においては関市に集中しているということが、地元としてもこれについて重大な関心を持って親切な御指導が期待できるんじゃなかろうか、こういうことも考えられますので、今後におきましては、御指摘趣旨を十分に含みまして、できる限りの措置をとりたい、かように考えている次第でございます。
  15. 三田村武夫

    三田委員 局長十分御存じと思いますが、関市の業者は、非常に紳士的でありまして、抗議的な要求とか、あるいは近ごろはやりのデモ、陳情とかいうものは一切やっておらぬのであります。非常に紳士的で、この問題を切実に訴えているのであります。この点も一つ、ぜひお含み願いたいと思います。なるほど先例云々というお話もありますが、昨日の中井委員お話もありました通り、これは先例とはケースが違うのです。そこで今の輸出転用の問題でありますが、これは局長御存じ通り、この法律施行を待つまでもなく、業者立場から申しますならば、今まで可能な範囲において、最大限輸出に全力を注いでおったということは、御了解願えると思います。ここに法律で禁止されたもの、いわば廃品を全部輸出の方に向けて、これによって業者立場が救われるということは、通産当局としてもお考えにならないことと思います。廃品全部、返品のあるものを全部政府補償をせよ、そういうむずかしい理屈は申しませんが、そういう点は十分御考慮願いまして、転業の場合、あるいは更生施設の場合の精神的、技術的、物的援助を、あくまでも十分好意を持ってお考えを願いたい。これを切にお順いいたしておくのであります。  それから今警察当局も御同席でありますから、あわせてさらに一言申し上げて御意見を伺っておきたいのは、例の飛び出しナイフでも、小型あいくちでも、一体こういうものはどういう用途があるんだということが、立法の裏にあるようであります。用途がなくて害があるから禁止してもいいじゃないかという話が、しばしばあるのであります。通産当局としては私の申し上げることを御理解願えると思いますが、警察の面から考えますと、一応そういう議論も成り立ちますけれども、すべての用品がことごとくはっきり理詰めの上で割り切れるような用途を持っているものではありません。先般も申し上げたのですが、毎年々々意匠を変え、柄を変えた織物やきれいな反物が出てくる。これも、きれいな柄にしてどこに用途があるんだ、こういう意見が出てくるのと同じことでありまして、業者がその意匠の上に、あるいは製品の上に、日に新たに工夫をこらして新しいものを作っていく。これが大衆の好みに応じ、商品価値を高めて、これが経済全体の活動を促していくことは、産業活動当然の定石でありまして、しかつめらしくどこに利用価値があるんだということで、一片の悪の面のみを取り上げて取締り対象にすることは、なかなか問題があるのであります。でありますから、この法案の扱いについて、せっかく警察当局通産当局も御考慮になっておるのでありますから、一つ立法目的を十分尊重して、この取締りについては業者の犠牲をできるだけ少くする、つまり法によって禁止される対象範囲を、できるだけ狭めていくということをぜひともお考え願いたいのであります。飛び出しナイフについても業者はまことに遠慮がちで、五・五センチ程度にとめてほしい、一般の常識から言えば七センチぐらいまではよいと思うのでありますが、業者はそれまで立場を低くしてそういう意思表示をしているのであります。同時に小型ナイフにおきましても、そんなぴかぴか光るものはどんな用途があるのだと言われればそれまででありますが、これは長い間われわれの社会で愛用され、所持されておるものであります。それが全体警察的な悪の対象になるわけではないということもお考え願いまして、これは実施面における考慮でありますが、できるだけ適用範囲を狭くして、同時にまた一面、凶悪な犯罪に用いられるようなものに対する取締りは最も厳粛にしていただきたい。今同僚委員発言にありましたように、法律は作ったが一片警戒規定に終ってしまったということでは意味をなしませんから、凶悪な犯罪に使用されるような大型の飛び出しナイフ、あるいはあいくちにいたしましても、こういうものに対する取締りは厳重にしていただきたい。現在でもすでに十五センチ以上のものは許可を得なければ所持されないことになっておりますが、警察庁資料を拝見いたしましても、犯罪の統計を見ますと、十五センチ以上の刀剣類による殺傷事件が六千何百件もある。どういうことか、この資料だけを材料にしてこの法案を判断いたしますと、判断に苦しむのであります。そういう点も一つ考慮願いまして、警察通産当局において、警察取締りの面と、また業者保護――業者ということは関の業者のみを対象にした意味ではありませんが、こういう点十分御考慮の上、これが法律として施行された場合のお取り扱いについてはぜひともあたたかい好意ある、そして厳粛なる態度で臨まれんことを切望し、それに対する警察通産当局の御意見を伺って、私はこの案件に対する質疑を終りたいと思います。
  16. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 御趣旨の点は全く御同感でございまして、よく了解をいたしました。この法律案が成立いたしましたならば、施行に当りましてただいまの御趣旨十分心にくみまして、ほんとうに関の業者の方々の立場にもなって、警察といたしましては、目的を速成する最小限度にとどめるように準備をいたしたいと思います。また通産省とも十分連絡をとりまして、ただいまの趣旨を達成いたしたいと思っております。
  17. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 ただいま齋藤長官がお述べになりましたように、私ども警察十分連絡して、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えている次第であります。
  18. 大矢省三

    大矢委員長 他に質疑がなければ本案について質疑はこれを終了いたしました。別に討論の通告もありませんので、直ちに内閣提出参議院送付にかかる銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案について採決いたします。本案について賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立
  19. 大矢省三

    大矢委員長 起立総員。よって本案は全会一致可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  20. 大矢省三

    大矢委員長 次に風俗営業取締法の一部を改正する法律案議題といたします。本案については先日質疑を終了いたしましたので、本日は直ちに討論に移りたいと思いますが、別に討論の通者もございませんので、討論はこれを省略し、これより採決をいたします。風俗営業取締法の一部を改正する法律案に賛成の諸君は起立を願います。   〔総員起立
  21. 大矢省三

    大矢委員長 起立総員。よって本案は原案通り可決すべきものと決しました。  なお、ただいま採決いたしました両案に対する委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければさよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  23. 大矢省三

    大矢委員長 次に消防に関する件について調査を進めます。質疑の通告がございますのでこれを許します。北山愛郎君。
  24. 北山愛郎

    ○北山委員 消防に関して二、三お尋ねをいたしたいのでございますが、最近御承知のように、式場病院の火災のために多数の人命が犠牲になったわけであります。またこの前横浜でありましたか、やはり養老院において多数の犠牲者が出たわけであります。これはいろいろの欠陥があるでありましょうが、こういような病院あるいは宿舎というような共同の施設、この建築等の設備が不十分であるという点が指摘されておるわけであります。そこで一つ国家消防本部長から、この式場病院等の問題につきまして、その経過、原因あるいはこれに対する措置等につきまして、御報告をいただきたいと存じます。
  25. 滝野好暁

    ○滝野説明員 ただいまの北山委員のお説の通り、最近非常に人命を損傷する火災事件が頻発いたしておりますが、その最も人命損傷の原因となっているものは、やはりお説の通り燃えやすい木造建築物に非常に多数の人を収容しておる――これはいろいろございますけれども消防といたしましては、直ちに、最初二月十七日に起りました横浜の聖母養老院の火災に際しまして、即日地方に厳重な通達を出しまして消防としての措置を勧告いたしたのであります。そのおもなものは、いろいろございますけれども、そういった要保護者を収容する施設におきましては、努めてこれが火災の警戒、早期発見、早期通報に努めるよう、さらに根本問題としては、そういった施設は将来すみやかな機会において、耐火構造あるいは防火構造施設に改変する、それから火災通報施設、いわゆる非常ベルというふうなものを場内に設ける、あるいは非難施設、そういった施設を増強する、そういうこまかい点につきまして、七項目にわたり地方に対して知事を通じまして、各市町村の消防機関に厳重な通達をいたしたのであります。また最近におきまして、市川にございます式場精神病院がほとんど類似したような状態で燃えまして、やはり十八名という犠牲者を出しておるのであります。これにつきましても、再度そういうふうな意味の勧告をいたしたのであります。これを法制的に見ますと、結局問題は既設のそういった相当大きな木造建造物に、多数の要保護者あるいは患者というものを収容して、それに対しまして火災危険に対する予防ないしそういった火災の発生をいたしました場合の措置につきまして、十分の手段が講ぜられてなかったということでありますが、そういったずいぶん古い時代にできました既設の施設に対しまして、法制的にこれを防火構造、あるいは耐火構造に強制手段をもって改変させる法的手段がございませんので、今日に及んでおるのでありまするが、経済的理由とかいろいろございまして、消防の数度にわたる勧告にもかかわらず、今もってそういうよような施設がまだずいぶん残っているような状態でございます。今後は努めてさような事件の再発しないように、各消防機関が全力をあげて努力いたしております。たとえて申しますれば、東京都の消防庁のごときは、あの事件が発生いたしましてから間もなく特別に火災予防対策本部というようなものを設置いたしまして、東京消防庁の消防総監がその対策本部長になりまして、シラミつぶしにかような施設を当っております。そのこまかな報告も受けておりますが、もし時間がございましたら、なお詳細に東京都内におけるそういった施設の現状を申し上げたいと思いますが、一応今の御質問に対しまする御説明を終ります。
  26. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと問題は、建築基準法なりあるいは現在の消防法においては新しい建物については、火災の場合でも危険が少くなるようないろいろな条件をつけ得るが、既存の建築物についてはこれが適用にならないから、そこで法的手段がないのだ。従ってまず勧告をもって厳重にいろいろと気をつけさせる、こういうほかはないという御趣旨でございますか。法的手段がないということは、方法がないということではないのでございますから、何か名案があれば一つお話を願いたいと思います。
  27. 滝野好暁

    ○滝野説明員 その点私たち今非常に苦慮している点でございまして、御承知のように消防法の第五条に消防長のあるいは消防署長等の消防機関の長がそういった防火対象物、一般の防火対象となりますそういった施設または建物につきまして、人命に危険であるとか、あるいは火災の予防上ぜひ必要があるという場合におきまして、その建物の「改修、移転、除去、使用の禁止、停止若しくは制限、工事の停止若しくは中止その他の必要な措置をなすべきことを命ずることができる。」こうなっておりますが、そのただし書きにおきまして「建築物その他の工作物で、それが他の法令により建築、増築、改築又は移転の許可又は認可を受け、その後事情の変更していないものについては、この限りでない。」要するに、既設の建物につきまして、その建てたときの条件によって許可されまたは認可された事情が、その後今日に至るまで変っていなければ、そういった移転、改築、工事の中止という法制的な措置は一応できないという格好になっております。この点を法制上今後いかように改善したらいいかということにつきまして、目下関係の建築当局あるいは消防の実際面をやっております諸君ともるる相談をしておるわけでございます。ただ法律を改正してすぐそれが防火建築物あるいは耐火構造に変るというような経済的条件がそろいますならば、よろしゅうございますけれども、御承知のように厚生省の当局にもいろいろあれが起った場合に、事情をお聞きしたのでございますけれども、現状におきましてはそういった産院とか養老院とかという保護施設につきましても、なかなか経済的、財政的裏づけがございませんので、法制的な裏づけをいたしましても、ただそれはそれだけのことであって、国がこれに対しまする相当の援助措置を講ずるということならば別でございますけれども、実情を聞いてみますと、なかなか簡単には参らぬようでありますから、法文を改正していただくについては、もう少し私の方で研究させていただくという段階でございます。
  28. 北山愛郎

    ○北山委員 それはどういうふうに研究するつもりですか。問題は明らかじゃないかと思うのです。たしか市町村の場合でも、現在の法制上において一応命令することはできるが、しかしその際には補償しなければならぬ。補償する金がない。そこで実際はその法律が既存の施設については空文化しているといいますか、おそらく補償してやらしたという例は少いと思います。その財源を措置すればいいのですから問題は簡単なんです。従って消防本部としてはそれについて具体的にどのような考えを持っているか。検討するといってもどこから金を出すかということだけが問題だと私は思うのです。立法上は大してめんどうくさいことはない。どのように検討しておられますか。
  29. 滝野好暁

    ○滝野説明員 国あるいは公共団体がさような施設に対しまして、相当強力な施設改造の財源の裏づけをするということは望ましいのでございまして、その点につきましてもいろいろ建築関係の方面とも協議はいたしておりますけれども、なかなか予算が通らない。ただ私がヒントを得ておりますのは、東北地方で大きな火事がある。大てい烈風のもとで飛び火してやられておる。皆様御承知の通り家屋の状態が木造で可燃物の状態である上に、一番肝心な屋根の構造が全部例のまさぶきといいますか、木をそいだ薄い板で張ってあるのでございます。それである地方におきましては頼母子講といいますか、そういった共同でもって資金を出し合って逐次屋根の改造をいたし、それをトタンぶきにするとか、あるいはかわらぶきにいたすとかというような、いわゆる共存の互助的な考え方でお互いが金を出し合って、何年かの間にみんなの屋根を防火的な施設に改造していくというような模範的な地区もあるのでございます。私たち消防会議等におきましては、常にそういうことも消防が勧奨するように話をしているのでございまして、そういうことも一つのヒントではなかろうかと、思っておりますけれども、今北山委員がおっしゃるようにちゃっと当ったような名案も、ただいま持っておらないような状態でございます。
  30. 北山愛郎

    ○北山委員 まさか国家消防本部では病院の改装について頼母子講でやってもらいたいということを考えておるのじゃないと思います。もしもそのような頼母子講等で間に合うようなものであれば、政府などは要らないのであります。少くともこの原子力時代に、そのような農村の従来の慣行にヒントを求めるようでは、どうも消防本部としては怠慢のそしりを免れない、私どもはそう思わざるを得ない。具体的に予算を要求するとか何らかこういうような財政的な措置について、単に補助金をやるとか、そうでなくてもよい、あるいは融資でもよい、低利の融資をするとか、そういうことを積極的に立案をして要求したことが一体消防本部としてはございますか。
  31. 滝野好暁

    ○滝野説明員 消防としてはいろいろやることがあるのでございますけれども、まず目前の消防力による火災その他の災害の被害減少ということがさしあたっての目標でありますので、消防施設の強化のための補助金あるいは消防陣のそれによります損傷のための補償というふうなものに対しまして、数年来強く、予算要求をいたし、折衝を重ねて来ておるのでございますけれども、建物を不燃化するとか、あるいは火災に対する強固な防火施設に改装するとかいう予算は、消防としては要求していたいのであります。これはむしろ住宅とかその他の建築物の法令を扱う建設省、国土の一部としての建設計画及びこれが全体の施策の推進をいたしまするそういった方面に強く呼びかけておるのであります。御承知の通り建設省におきましても、そういった点は毎年国の補助金の要求を出しております。御承知の通りさほどな大きな予算になっていない現状でございます。
  32. 北山愛郎

    ○北山委員 これは大きな間違いだと思うのですよ。建設省にまかせておいたならば、これはいつまでたってもできないのです。建設省の防火地帯に対するものは都市計画のほんの一部であって、農村の先ほどお話になったようないわゆる飛び火によって延焼するようなものを防ぐようなところまでは、農林省だって建設省だって政府のどこだって考えておらない。まことにこれは怠慢なんです。私の聞いているところでは、江戸時代においても、江戸の大火を鎮圧するために、予防するために、草ぶき屋根の改装に対して補助金まで出しておると聞いております。江戸時代においてすら今よりもずっと進んだ防火政策といいますか、そういう改築が行われておるのです。現在いろいろな文化が進んでおる時代に今のような程度では、そうして自動車ポンプばかり整備するような考え方では、まことに――これは頭の切りかえといいますか、もう少し思い切って前進をしていただかなければならぬのです。何も国家消防本部がそのような建物の改装について、何らか財源措置なりあるいは融資方法考えてやる、もちろんあなた方消防本部が職域を離脱して余分なことをやったと、だれも非難する者はないのですから、積極的にやっていただきたいのです。これは消防本部でやらなければ、おそらくどこの役所でもやりません。そこで一つ、いかにすれば、今の共同施設の病院とかそういうものもありますが、それ以外のいろんな不完全な、しかも危険が非常に多い施設をすみやかに改装をすることができるか、こういうことについて、もっともっと消防本部としては自分の仕事として、積極的に推進をしていただかなければ、何方の通牒を出しても、いつまでたってもこれは解決しないのです。  それからなおお伺いしますが、根本的なこういう病院等の改装は別としましても、廊下であるとか、あるいは防火貯水槽を作るとか、そういうことはもちろん命令をもってできると思うのですが、いかがでございますか。
  33. 滝野好暁

    ○滝野説明員 それはできます。一定規模以上のいわゆる特別な施設、学校とか工場とか興行場とか病院、診療所というふうに、たくさんございますけれども、そういったものにつきましては、一定の基準を示しまして、市町村条例でもって今お説の出ました防火壁とか避難施設とか防火貯水槽を、それの規模にふさわしい程度のものを命ずることはできることになっております。
  34. 北山愛郎

    ○北山委員 式場病院のような場合には、貯水槽があったわけですか、なかったとすれば、これはいわば当局の監督の不十分の結果貯水槽槽がなかった、こういうことになるわけですから……。
  35. 滝野好暁

    ○滝野説明員 北山委員の今例示されました式場病院のような場合におきまして、いかなることを千葉県の市川市消防署がいたしましたか、直ちに監査いたしまして調べてみたのでありまするけれども、これは毎年秋と春の二回の火災予防週間中に査察いたしております。ただその査察の仕方が不徹底でありまして、今お説のような貯水槽は明らかに不十分であるという結論を消防署は得ております。私の記憶いたしておりますところによりますと、わずか十トンか十五トン程度の水しか持っていない貯水槽が三個しかなかった。あれだけの大きな施設に対しましてその程度の貯水槽じゃ不十分なのでありまして、この点を市川消防署は厳重に勧告したとは申しますけれども、なお不徹底であったというそしりは免れないのであります。あのとき自動車がかけつけましたときは、非常に知らせがおそくて、発見したのは望楼発見で、行ったときはすでに一面火の海であったのでありますけれども、それに使いまする水がわずか五、六分で費消してしまう、やむなくがけ下のはるか向うから中継で水を運んできて、その間には相当時間が経過しておるというふうな実情であります。御指摘の点は私非常に残念に思っておるのでありますけれども、そういうふうな類似のケースが今後ずいぶんあるだろうと思いますので、こういった特別な施設につきましては、消防上必要な施設、貯水槽とか、人命尊重の立場から必要な非常口とか非常ベルとか、あらゆる点につきまして強く私の方から勧告もし、警告も発しておるような次第でございます。
  36. 門司亮

    門司委員 今の当局答弁答弁にならぬと思う。今日の国家消防庁の存在の意義は、そういう問題について消防法が現在のような形になっておるので、法律その他を出す、あるいは補助の予算をとるというようなことを起案をし、そういう作業をするのが大体今日の消防庁の仕事であると思う。それをするには、基礎的な資料として、さっきから北山君から話されておるようなものが、一応消防庁には集まっていなければならぬ、そういうものを集めないで、ただ漫然と今の消防庁の建前から考えておれば、結局さっきお話のように、どうも草ぶき尾根が多いからトタン屋根に直そうというようなふうには話は進まぬと思います。もう少し消防庁は実態というものの現実を前にして、みずから持っております権能を発揮することのために仕事をしてもらいたいと思う。今北山君が心配しておりますのは、たとえばせんだっての横浜の火事などは約百人を焼き殺しております。これは養老院に行っておった人であるからといっても、人であることに間違いないのであります。同時にこれは天寿を全うさせるための一つの施設であります。そういうところにいる非常に気の毒な人が、一つの火事で百人も焼け死んだという火事はないのであります。もっとも天災地変の場合は別であります。そういう大きな問題が部分的に起っている。しかも火事の実情を見てみますと、水利が非常に悪い、あそこの場合は、ありったけのホースをつないで、五台か七台並ばなければ水が出なかったのでありまして、従って十台持っていっても結局は一台分の仕事しかしておらない、辛うじて横浜で持っているタンクを全能力をあげて動員して参りましても、道路が狭いために、一つのタンクに積んできた水をかけてしまえば、自動車がすれ違うことが困難でありますから、一台々々減ったやつから減ったやつから水をとりに行って帰ってくるということで、何のことはないネズミが回りをぐるぐる回っているというようなことで十台のポンプが一台の役しかしない。従ってあそこに動員された三十台、四十台のポンプが実際には二台分か三台分しか働いていないというのが実情であります。  私は同僚諸君の御参考にも供したいと思いますので、横浜からこの資料を取り寄せてもらいたい。あの実情がどうであったかという図解をしたのが横浜の消防署にあります。今度の式場の問題も同じでありますが、今までただ単にそういう働きが十分でなかったから、こういうことができたのだということであるならば、やはり法規を変えていくという私は積極性がなければならぬと思う。ただ研究しているというだけでは私は済まぬと思う。それから同時に、これは私別に当局を責めるわけではありませんが、消防に関する件について委員会がお聞きしようとしておりますので、少くとも今日消防庁が持っております昨年度一年の火事に対する統計の資料くらいはやはりお持ち願って、そして現在の消防状態がこうであるというくらいの親切味があってもいいと私は思う。あなた方にないわけはない、あなた方にちゃんとそういう資料はあるのであります。資料があってそれをここに提出されないで議論しているというようなことはきわめて不見識だと思う。もし消防庁にほんとうに誠意があるなら、あなたの方でおこしらえになった消防年表でありますか年鑑でありますか、あれをお持ち願って、そして同僚各位に一応御配付願えば日本の火災現状はわかるのであります。そしてその火災現状の中から、私どもは火災をできるだけ少くすることのために努力するということが委員会の義務でもあり、また当局の任務だとも考えておるのであります。従ってこの際当局でこしらえている資料をすみやかに出してもらいたい。そしてぜひ将来火災のないようにしてもらいたい。  もう一つこの機会に私聞いておきたいと思いますことは、今法律を改正することは考えていないというような御答弁でありましたが、これはさっき申し上げましたように非常に不見識である。ああいうものについてはやはり民間において当然やるべきことはやるという厳正な何らかの形で立法化することが必要ではないかと私は思う。もし経済的にそうした団体ができないというならば、防火施設として当該市町村なども優先的にそういうところには貯水槽を置くとか、そういう施設をすることが必要ではないか、それから火災の予防等につきましても、今日の都市計画の中に、やはり火災予防からくる建物自体に対する考え方も、私はこの際織り込むべきであると思う。現在日本において行われております都市計画の状態は、御存じのように道路の幅を広くするわけにはいかない、従って火災予防のために鉄筋コンクリートの建築をするために一定区域を区切って、政府はこれに援助をしているはずである。しかしこの援助は都会の都心地だけでありまして、一般にはなかなか適用されません。これはきまった地域だけであってなかなか一般にするわけには参りません。従ってこれらの考え方をもう少し広げて、そうして道路が狭隘で火災が起ればどうにもしょうがないというようなところには、一つの防火壁的の鉄筋コンクリートの建築物というふうなものがいれられるような、またいれるようなことを都市計画の中にも織り込んでいく、そういうことが容易に行われるようなことが私は考えられるべきであると思う。飛び火などもありますけれども、飛び火なども大きな鉄筋コンクリートの建物があればこれで防げるのであります。現実に熱海の火事がこれを物語っている。これはまん中辺にあった大きな建物が類焼を防いだということが事実であります。これらの例は非常にたくさんあると思います。それらに対する当局者の態度を、もう少し明確にしておいてもらわないと、当局は何をしているかわからぬ。当局の怠慢だけで事が済めばいいが、しかし焼け出された者は災難であります。単に当局の怠慢を責めているばかりではありません。私は当局にもう少し慎重に考えてもらって、一つ消防法の改正なりあるいは消防組織法に欠陥があるなら、これを改正していくということが必要ではないか、ことに消防法の二十条でありますか、二十四条あたりに書いてあります――はっきり条文を覚えておりませんが、大体二十条台ぐらいだと私は記憶いたしております。この辺に書いてある民間のものをどういうふうに義務づけていくかというようなことの、法の改正が私はこの際必要ではないかというように考えるが、こういう点について当局はどういうふうにお考えになりますか、もう一度一応御答弁を願いたいと思います。
  37. 滝野好暁

    ○滝野説明員 ただいまおっしゃいました門司委員の御要求の資料につきましては了承いたしました。後刻直ちにできるだけの資料を提供いたします。それから法的措置について改善策をもっと熱心にやれというおしかりでございますが、この消防法の根本的な改正はしなければならぬと思っております。できるだけすみやかな機会に国会におかれまして改めていただく。御承知のように根本的な問題は、抽象的には消防法で一応うたってございますけれども、具体的な措置につきましては市町村条例にみな譲っておるのであります。これは法律とともにこの条例を再検討いたしまして、すっきりしたものにして、全国的に、地方的特色の特別要らないものはなるべく一本にして強い線を出したい、それから御指摘の具体的な第五条の点でございますが、既存のものについては手が差し延べられないからほっておくのだ、そういう怠慢といいますか、あきらめのような気持では毛頭ないのであります。あるいはおっしゃいました貯水槽の問題等につきましても、思い切った、そういった多数の人員を収容するようなところにおきましては、必ずこれを法律によって規制するというところまでいかなくちゃならぬと思っております。法令の改正につきましては、さような考えでおりますので、御了承をいただきたいのであります。  それから根本的な問題といたしまして、この消防の施設等につきまして、消防施設の強化のための補助金を出しまして、地方の公共団体ができるだけすみやかに消防に必要な施設を充実させるような施策をとっておりますけれども、それにつきましても、御指摘の水の問題につきましては、非常に厳重に私の方で申しておりまして、地方ではとかくポンプとかそういった機械をほしがるのでありますけれども、むしろ必要なのはおっしゃいました水であるのであります。これにつきましては、市町村の水の状況を全部調べたものを出させまして、最も不足している部分につきまして、優先的にこれを補助してやらせるというふうな措置を講じております。御指摘の点でさらに消防の法制的な面で改善をしなければならぬということは、私たちも強く痛感いたしておりますので御了承いただきたいと思います。
  38. 北山愛郎

    ○北山委員 お気持はわかったのですが、勘違いしないようにお願いしたいのは、今市町村条例できめていることを法律に置きかえても、問題は解決しないということであります。中央の監督権なり指導権、そういう権限の強化ということでこの問題は解決しないのであって、むしろ技術的な問題あるいは財政的な問題、そういう面があると思うのです。そういう点でお考えを願いたい。ただ中央の本部が指揮監督権を強化されれば、貯水槽なりそういう施設が改良できるわけじゃないんです。一番難点というのは、市町村がやろうと思っても財源がないということなんです。その財源措置をしてやるということが、一番の問題だと思うのです。政府としての責任だと思うのです。そこで金がないといえばそれまでですが、たとえば今度政府は住宅公団に例の火災保険会社から九分という高い利子で金を借りておるようでありますが、この火災保険会社の資金などは、いわば資金コストのない金であります。ただの金であります。ただの金を九分も出して政府が借りるのもどうかと思うのですけれども、とにかくそういう消防と非常に関係の深い資金が、消防本部がぼやぼやしているうちに、住宅公団の力にとられてしまっているというようなわけです。ああいう計画も家屋の改造とかそういう問題も含んでおるのでありますから、そこに防火的な意味を含んで、ああいう資金もそういうふうに転用できる道があると思うのです。積極的に工夫すればそういう道はあると思う。そこで私はそういう面において消防本部に御研究願って、まず第一にこのような病院なり寄宿舎なり、そういうもののうちで、どうしてもすみやかに改造しなければならない部分についての融資なりあるいはそういう措置、それに並行した立法手段というようなものをお考え願いたい。同時に東京でもあるようでありますが、草ぶきの屋根であります。今でも東京のちょっと郊外に行くと、密集地帯にもございます。あれがいかに危険なものであるかは申し上げるまでもない。あれをいまだにあのままにして置いてあるが、あれこそ強制的に命令して、これに対しては安い金を長期で貸してやればいいんでありますから、そういう制度を大至急お作り願いたい。もしも消防本部がやらなければ、われわれは議員立法でやります。ですから一つそういう面において、この消防法の改正なりいろいろな方法を検討して、すみやかに措置をとっていただきたい。もう数年前からこの委員会でも消防の問題は再々取り上げられておりますが、国の消防行政の担当者として、そういう方向に目を向けていかなければならぬ。この点を強く要望しておきます。  それから消防団員の公務災害補償でありますが、これについては数年前に各府県に市町村の一部事務組合でもって補償組合ができておるはずでありますが、その普及状態あるいはその成績はどういうふうになっておりますかお伺いいたします。
  39. 滝野好暁

    ○滝野説明員 ただいま北山委員お話全くりっぱな御意見でございまして、その点に沿ってやりたいと思っております。何も消防関係法令を改正して国の行政機関が強権をもって地方を指揮する、引き回すというふうなことをもって消防の問題は解決されないというお話でございますが、その通りでございまして、そういう意図は毛頭持っておりません。やはり国のあたたかい気持で、市町村が郷土愛に燃えて運営する消防というものを盛り立ててやるという、そういうものを施策の上に織り込むということが必要であると思うのであります。法律を改正するとか、予算措置を講ずるということも、そういう心がまえで今後もいきたいと思っております。  次に財政措置についてもっと強くやったらどうか、私たちも明け暮れ地方の消防に用いますいろいろな財源につきまして、地方が苦慮しておることを耳にいたしておりますので、努力はいたして参っておるのであります。申しわけのような意味で申し上げるのではありませんけれども、損害保険会社はやはり火災の減少によって利益を得るということは事実でございまして、損害保険会社の共同の機関である損害保険協会にも呼びかけしまして、少くとも保険のたくさん集まる都市方面に対しまして、消防の施設に対しまして金を貸せという趣旨を数年来主張して参っております。国が低利で貸しておる、少くともその程度のものを相当長期にわたり、保険会社にとりましては相当不利になっても貸すように主張して参りまして、今日におきましては、大多数の都市にはまだ至っておりませんけれども、少くとも六大都市につきましては、昨年は一億円の金の低利融資に成功しておるのであります。今年は一億三千万円で、これは自治庁及び大蔵省、これもなかなか難局なんでありますけれども、難題を持ちかけましてとうとう許可をしてくれるということに相なっておるのであります。大都市はそれでいいといたしましても、他の都市あるいはいなかの方はどうするか、この問題がまだ残っておるわけであります。ただいま北山委員のおっしゃいました、保険会社の方に少くとも低利の融資をさせるという方面は、今後さらに強く進めてみたいと思っております。  消防団員の災害補償につきましては、先年の改正によりまして、市町村公共団体が災害補償義務を負わされたのでありますが、法律を改正いたしましても先立つものはやはり財政的な裏づけでありまして、今もって完全な補償ができかねているような現状でありますけれども、その規定を改正していただきまして間もなく、私の方で指導いたしまして、大体各府県単位に災害補償組合ないし災害補償会というふうな共助機関を設けさせるというふうに相なっておりまして、今日におきましては、数府県を除きまして、ほとんどの県にそういった消防団員災害補償組合――地方自治法による一部事務組合であるものが多いのでありますけれども、そうでないものは消防協会を中心とする消防団員災害補償会というふうなものを設けておりまして、大体消防団員一人当り年額五十円ないし百円程度の市町村の掛金によりまして、県内の消防団員が不慮の犠牲になりましたとぎに、これを補償するというふうな互助施設をやっておりますが、今日までの成績はよろしいようでございます。四つか五つの府県でまだできてないところがございますけれども、その他の府県は全部できております。これに対しまして、ただ市町村の負担がやはり今の現状におきましては大きいのでありまして、国から、そういう消防団員の災害の場合の補償をする義務を少しでも軽くさしてやるために、消防団員災害補償の補助金を強く要望いたしておりますが、これは水防も同じでございますけれども、まだ実現してないような状況でございます。
  40. 北山愛郎

    ○北山委員 先ほど火災保険から低利資金を借りると言いましたが、この低利というのは何分でお借りになっているか。それから消防団員の公務災害補償組合が設置されておらない府県が四つあると言いましたが、どういうわけでそれは設置してないか。またそういう府県では一体どういうような補償方法考えておるか、それについて重ねてお聞きしておきます。
  41. 滝野好暁

    ○滝野説明員 保険会社が市町村の消防のために融資するという利率は年八分でございます。年八分で五カ年償還になっております。一年すえ置きということでございます。それから補償共助の組合がまだできてない府県はいかなる理由か、これはいろいろ理由があるのでございますけれども、その一つの理由としては、市町村の、いろいろ財政事情を異にする公共団体が一緒になって力を合せてやるのでございますが、市と町村というふうなものが、消防関係で見ました場合に、市の方が負担がやや大きくなるというふうな一面もありまして、県下を打って一丸とする、そういった組合組織では話がまとまらぬ。これは私たちも催促いたしておるのでありますけれども、こういうものはその地元話し合いによってまとまることを希望いたしておりますので、そういう理由がおもなものであります。
  42. 北山愛郎

    ○北山委員 いろいろまだお聞きしたいことはございますが、時間もございませんから大体以上で終りますが、とにかく日本のいろいろな政治の中で、消防というものは非常におくれておるのです。これは一つにはやはり市町村にまかせっぱなしだ、責任を市町村に負わせておるということが一つの原因だろうと思うのですが、この際消防そのものの近代化も必要でございますが、やはる最終の目標というのは火災がなくなることだと思うのです。これをぴかぴかした。ポンプをたくさん備えたり、消防団員がバッジをつけて喜んだり、表彰状をもらって喜んだり、そういうふうな方向でなく、もっと一歩先に進んで、根本的に火災予防という問題の合理的な対策を講じ、一般の日本の消防の実態を、ある悪い面を助成するんじゃなくて、もっと一歩先へ進んで指導してやる、あるいはいろいろな欠けておる点を補ってやるという気持で、もっともっと御勉強願いたいと思います。その他の点につきましては、いずれまたあらためてお伺いをいたしたいと思います。本日はこれで私の質問を終わります。
  43. 亀山孝一

    ○亀山委員 簡単にお伺いしたいと思います。先ほど来同僚の北山委員並びに門司委員からの消防に関します御説は、私どもまことにごもっともだと思うのです。ぜひこれは国家消防本部におかれましても、両委員の御発言の要旨を取り入れられまして、しかるべく立法措置なりその他施設の御指導をお願いしたいと思いますが、これに関連して、同様にぜひ考えていただきたいと思うことは、火災の多い学校、病院その他大きい建物等に関する国家の補助が、多くは木造建築物を対象としておって、耐火建築すなわち鉄筋コンクリートなどについては、どっちかと申しますと、財政上の理由もあるけれども、これが補助を考慮してない場合もあり、たとい考慮しておってもその単価が低きに失するというような工合で、結局火災の起りやすく、かつ従来多く火災の起ったような学校、病院、こういうものの耐火構造ができることが非常に少い。これは建設省なりあるいは厚生省等の仕事であるかもしれませんが、こういう問題をぜひ、今までの火災原因に徴して、国家消防本部からこれらの当局に、第一助成、補助の問題から考慮すべきものだと思うので、そういう方面に強くお話しを願い、そういうことの実現するように、火災の予防という意味からも御努力が願いたいと思います。一応希望だけを申し上げまして、何か御所見があればお伺いしたい。
  44. 滝野好暁

    ○滝野説明員 ただいまの御忠告つつしんで拝聴いたしました。その点は今後も深い関心を持ちまして関係各省にも呼びかけ、そういった系統々々で、監督ないし保護する施設を防火的施設に変えていかなければならない。文部省のごとく、累年私たちの方で強く要求いたしておるのでありますけれども、現状はなかなかそういっていない。また厚生省関係におきましてもことしは当り年で、厚生省関係の施設が災いを受けておる。これも本厚生省当局は非常に痛感いたしておりまして、手を打ちたいといっておるのでありますが、ただいまの御忠告いただきました点は十分考慮いたしまして、今後努力いたしたいと思っております。
  45. 大矢省三

    大矢委員長 本件については、他に御質疑がなければ……。
  46. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ちょっと、さっき鈴木君が質問すると言っておったんですが、今いませんから留保しておいて下さい。
  47. 大矢省三

    大矢委員長 それでは質問を留保いたしまして、大口はこの程度にいたします。  次会は、明日午前十時より理事会を開き、十時半から委員会を開きます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十八分散会      ――――◇―――――