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1955-06-22 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十二日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君    理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君    理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君    理事 門司  亮君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       丹羽 兵助君    長谷川四郎君       熊谷 憲一君    灘尾 弘吉君       畠山 鶴吉君    山崎  巖君       吉田 重延君    勝間田清一君       北山 愛郎君    杉山元治郎君       中井徳次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君  委員外出席者         議     員 眞鍋 儀十君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 六月二十二日  委員青木正辞任につき、その補欠として畠山  鶴吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員畠山鶴吉辞任につき、その補欠として青  木正君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八四号)  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二九号)  地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う  関係法律整理に関する法律案内閣提出第一  三〇号)  風俗営業取締法の一部を改正する法律案眞鍋  儀十君提出衆法第二三号)  町村合併に関する件     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  去る十五日付託になりました地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案の両案を一括議題として政府説明を聴取することにいたします。提案理由説明者川島国務大臣。     —————————————
  3. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 ただいま提案せられました地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  地方制度の改革につきましては、昭和二十八年十月地方制度調査会から、とりあえず、当面とるべき措置に関して答申がなされました。その答申の大部分は昨年の国会で実現を見たのでありますが、地方自治法に関する部分はいまだ実現を見ていないので、これを中心として、地方行財政現状にかんがみ、さらに検討を加え、もって民主的で、しかも合理的かつ能率的な自治運営を確立して、行政経費の節減と行政効果の充実とをはかり、真に住民の福祉を積極的に向上せしめるような地方自治の健全かつ着実な発展を期したいと存ずるのであります。これがため、一、都道府県市町村との地位権能を明らかにし、二、議決機関及び執行機関を通じて地方公共団体組織及び運営適正合理化簡素能率化をはかり、三、国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の関係に関する規定を整備し、四、大都市に関する事務配分特例を設け、その他必要な改正をいたしたいと考えております。  以下改正法案の主要な事項につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一は、都道府県市町村との地位権能を明らかにしたいのであります。現行地方自治法上は、都道府県及び市町村は、ひとしく普通地方公共団体として、その地位権能に区別が認められていない結果、ややともすれば、両者の適正な関係について理解を欠くうらみが少くなかったのでございます。しかしながら、市町村は基礎的な地方公共団体でありますが、都道府県は、市町村を包括し、市町村と国との中間に位する広域の地方公共団体でありまして、両者地位権能はおのずから異なるものがあり、それぞれその権能と責任とを分担しながら、相互に相協力すべきものと考えられますので、都道府県の処理すべき事務市町村の処理すべき事務との原則を明らかにし、相互に競合しないようにしたいのであります。  第二に、議決機関及び執行機関を通じて地方公共団体組織及び運営適正合理化及び簡素能率化をはかりたいと考えております。  まず、地方公共団体議会について申し上げますと、その一は、現在定例会臨時会制度をとっておりますが、国会同様に通常会臨時会制度に改め、一般予算その他一般議案を包括的に審議すべき通常会のほかは、必要に応じて随時臨時会を招集するものとし、なお、議員から招集の請求があったときは、長は一定期間内に招集しなければならないものとしようとするものであります。  その二は、常任委員会は、都道府県及び人口五万以上の市の議会が、条例で置くことができるものとし、その運営特殊行政部門の偏重に堕することなく、総合的に行われるように、現行行政部門ごとに置く縦割り方式を改めて、法規、歳入、歳出、決算、一般議案及び請願等横割り方式とし、その他の地方公共団体議会は、必要な事項について特別委員会を設けて運営することが適当であるとするものであります。  その三は、議員当該地方公共団体に対する請負については、長と同様の規制を加え、その四は、地方公共団体の長の不信仕議決成立要件議員定数の過半数とし、長からも信任を求める議案提出ができるようにして、長と議会との間の調整を適正ならしめようとするものであります。  次に、地方公共団体執行機関について申し上げますと、その一は、都道府県局部現状は複雑に過ぎると認められますので、法定数以上に局部を設けようとするときは、あらかじめ内閣総理大臣に協議するものとして、その簡素化をはかりたいと考えております。  その二は、各種委員会または委員事務局またはその管理に属する機関を通じて、組織予算執行、財産の管理等内部管理に属する事務について、総合的な運営を確保することができるようにするために、長い最小限度調整的機能を与えるようにいたしたいと考えております。  その三は、地方公共団体行政運営の公正を確保するために、監査委員制度につきまして、監査機能を充実するに必要な改正を加えたいと存じます。  第三は、国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の関係に関する規定を整備しようとするものでありますが、その一は、法令の違反または義務懈怠等の真にやむを得ない場合に、地方公共団体反省を求める意味合いにおいて、内閣総理大臣または都道府県知事がその是正または改善のため必要な措置を講ずることを求めることができるものといたしたいのであります。  その二は、国の公務員都道府県公務員または義務教育職員との間において、恩給等の支給の基礎となる在職期間の通算の措置を講ずることといたしたいと考えております。  第四は、大都市及びその機関に対して事務配分特例を設けたいと考えております。大都市制度については、かねて特別市問題をめぐり論議が多かったのでありますが、現在の府県制度のもとにおいては、適正な事務配分を行うことにより府県との間の調整をはかることが最も適切な解決と考えられますので、政令で指定する人口五十万以上の指定都市においては、社会福祉保健衛生、建築、都市計画等市民生活に直接した実施事務については、都道府県またはその機関の権限に属する事務は、政令の定めるところにより市またはその機関において処理するものとし、なお、指定都市に関する行政監督について特例を設けたいと考えております。  そのほか、地方自治法中の行政争訟については訴願前置の建前をとることとし、また給与その他の給付及び財務運営合理化のため規定を整備する等、地方行政運営合理化するために必要と認められる若干の改正をいたしたいと存じます。  なお、右の地方自治法改正指定都市についての特例その他一、二の改正に伴いまして、関係法律中の規定整理する必要がありますので、地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案によりまして一括整理いたしたいと考えております。  以上が二法律案提案趣旨及び内容概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いいたします。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 これにて提案理由説明は終りました。  なお、本案に対する質疑は後刻に譲ります。     —————————————
  5. 大矢省三

    大矢委員長 次に眞鍋儀十君提出にかかる風俗営業取締法の一部を改正する法律案が、昨二十一日本委員会に付託せられましたので、本案議題として提案者より提案理由説明を聴取いたします。     —————————————
  6. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 ただいま御審議をお願いいたすこととなりました風俗営業取締法の一部を改正する法律案提案理由の御説明を申し上げます。  昭和二十三年法律第百二十二号をもって制定されました風俗営業取締法は、その第一条第一号の待合料理店、カフェー、第二号のキャバレー、ダンスホール等のほか、第三号に玉突場マージャン屋パチンコ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業取締り対象としているものでありますが、その中で玉突場をこの対象から削除しようというのが本案の骨子であります。  元来、終戦前までは都道府県条例遊技場取締規則というものがあって、囲碁、将棋、射的、大弓、釣堀、貸舟、児童遊園ピンポンスケート玉突き等みなこの中に入れて取り締ったものでありましたが、新たに本法の制定に当り、従来の遊技場取締規則の中にあったものからあらためてマージャン玉突きだけを取り上げ、あとから加えたパチンコとともに客に射幸心をそそるおそれのあるものとして同法中に入れ、そのほかは全部はずしてしまったのであります。しかるに撞球世間周知の通り、その本質が物理を応用する高尚な室内競技でありまして、理論と技術研究練磨によってのみ上達する国際スポーツで、特に日本は、これまで欧米で行われました世界選手権大会ごとに驚異的な好成績を示し、さきには故人となった松山金嶺君のごと世界撞球界の王座を占め、今や小方、久保田君等多士済々で、おそらく各種国際スポーツ中長く覇権を掌握し得らるるものは、この競技よりほかにないとさえ言われております。しかも老若男女を問わぬ適宜な全身運動であることは、一昨年七連勝を飾って球界を引退したホッペ氏のごとき七十才まで現役にいたことによっても知ることが出来ます。  以上述べましたように、撞球一つのりっぱな健全スポーツで、決して偶然の勝負をかけるものではなく、最初から物理の法則に従う競技であり、いずれの点から見ても、こうした厚生施設が客に射幸心をそそるおそれのある遊技対象として、今なお待合等と同じ規制のもとで、しかも三カ月ごと更新許可を受けなければその効力を失うような状態に置かれながら、風俗営業取締法のワク内に残されていることは、いかにも不穩当かつ非合理で、もし万一にもそのおそれがある場合には同号末段の「其の他」をもって取り締ることもでき得ることだし、ぜひともこの際、ピンポンスケート同様純然たるスポーツとして同法から削除すべきものと存ぜられるのであります。  右のような事情でございますので、何とぞ御審議をいただきました上、御賛意を賜わりますようお願い申し上げます。
  7. 大矢省三

    大矢委員長 これより本案に対する質疑に入ります。質疑の通告がございますからこれを許します。亀山孝一君。
  8. 亀山孝一

    亀山委員 ただいま提案者であります眞鍋さんより御説明を伺いまして、私どもこの玉突場の問題につきましては——往年国民娯楽として適当なものがないことは——これは一種不良少年あるいはその他よたものの集会場ごとくなりいろいろと弊害を聞いておりましたが、その後におきましてあるいはパチンコあるいはマージャン場あるいは最近はスマートボールというようなものが出て参りまして、こういう方面に集中せられた結果玉突場は非常に上品な、しかも先ほど来眞鍋さんのお述べのように、わが玉突界世界にも有名なる選手を出しているというような状態でありますので、この際これかいわゆる風俗営業取締りを受けるということのまことに心外でありますことは全く御同感でありまして、今回これが除外されるということは心より賛成いたす次第であります。ただお尋ねしたいことは、先般も関係当局からいろいろ聞きますと、ともすればこの玉突場の客がその技に熱心なあまりに、時間をこえていろいろと遊技をされる結果、周囲の迷惑をかもすというようなことがございましたが、こういう点につきまして、これら業者の方々に十分反省をしていただきたいと思うのでございますが、その点について眞鍋さんの御意見一つ拝聴いたしたい。
  9. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 ただいまのお話はまことにごもっともだと思います。かような点は、実は先般全国撞球業組合連合協議会というものが結成されまして、この決議によって、今後国際スポーツとしての矜恃を保ちます上に、自粛しなければならぬという建前から、大へん今まで御迷惑をかけましたこともよく存じておりますので、今後は厳重に同業者間において時間の励行をいたします。もしこの申し合せを破るような者がございますれば、除名をいたしますほか、球具の販売などもそれに対しては行わないというほど、みなが自覚をいたしておるようでございますので、今後は誓ってさようなことはいたさないと申しております業者の誓言に対して、私もさよう信じておりますので、この点を一つ御了承を願いたいと思います。
  10. 亀山孝一

    亀山委員 ただいま眞鍋さんのお言葉がありましたが、どうかそういう点を千分御励行願いたいと思うのであります。ただいま御配付を願いました玉突場常業実態調べによりますと、全国営業許可数が千百二十一となっております。それに対して行政処分の状況として四件ほど上っておるのでありますが、これはおもにどういうような行政処分でありますか、参考のためにちょっとお伺いしたい。
  11. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 この点は私も心配になりましたので、警察庁防犯課に対しまして、この四件の行政処分内容を調べてみたのでありますが、東京だけその内容がわかりました。その行政処分内容は、営業時間の延長が重なったため、ついに発動したということが判明いたしましたが、大体四件の中には、射幸心をそそるおそれのある遊技としての行政処分は、一件も入っていないということだけははっきりいたしております。
  12. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 ただいま提案者説明の中に、本法改正によって玉突きが第三号中より削除された後といえども、もし射幸心をそそる憂いのある行為をなす場合は、同号末段の「その他」に該当するものとして取り締ることができるというような説明がありました。それで法律的な解釈についてお聞きしたいのでありますが、玉突場というものをこの法律から除外してしまうのでありますから、実質的にはこの法律には全然触れないことになるのです。従ってもしその玉突場成績が悪いという場合、法律の中から除外しておけば、警察臨時に第三号の「その他」の中に入れることはできないのでありますから、今の説明からはどうも法律的にはっきりしないように思われる。そこでこの委員会においても、そういう成績の悪い場合は、いつでも警察方面において「その他」の中に入れて、許可制にしてもよろしいのだという附帯決議でもしておかなければ、そういう方法をとり得ないと思うのですが、その法律的な見解というか、その辺どう考えておるか、お聞きしておきたいと思います。
  13. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 実は「その他」という中にほかに例がございまして、風俗営業の中には入っておりませんけれども、大道で行なっております詰め将棋詰め碁というものには、実はこの「その他」の条項で都道府県条例で取り締れるような仕組みになっております。実はこれを申し上げました趣意は、野放しになって取締りが不可能の状態をおそれられる向きがございましたので、かような表現を用いましたわけで、実際にそのおそれが生じました場合には、この「その他」においてでも取り締れるという考え方が必要であろうという老婆心から申し上げたわけでありますが、しかしどうしてもここでそういう意味のことを決議をいただかなければならぬということになりますれば、業者はむろんさようなことば絶対にやらないと申しておりますから、御決議をいただきましても差しつかえないと思いますが、私の申し上げた心持はさようでございます。
  14. 北山愛郎

    北山委員 この法案は、まだ法案に対するわれわれの研究も十分できておりません。そしてまた同時に、この営業取締り取締りを従来やっておりました警察当局等意見も、十分この委員会で聞く必要があると思うのであります。そこで委員長にお願いしてお寺たいのですが、ぜひ警察庁長官あるいは警視総監その他関係当局出席をいただきまして、そしてこの取締法の実際についていろいろお伺いした上で、この法案をきめたい、かように考えるのでございますから、そのような措置をお願い申し上げます。  それからなおこれに加えて、最近御承知のように、式場病院における惨事がありました。また先般横浜において養老院の火事によってたくさんの人が犠牲になったというような事件もございます。そこで一つあわせて国家消防本部の方にこの委員会に出ていただきまして、消防関係の問題についても、いろいろ調査いたしたいと思いますので、あわせて国家消防本部長その他の出席を取り計らうように、委員長にお願いをいたしておきます。
  15. 加賀田進

    加賀田委員 提案者に御質問いたしたいと思いますが、一般撞球のみを営業としているものは別にいたしましても、遊興場に見るようにパチンコとかあるいはスマートボールとか、射撃とかと一緒四つだま——スリークッションじゃないのですが、穴が四つあいていて、いわゆるボークライン式の小さな台を使って営業をやっているところがありますが、あれも適用されるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  16. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 風俗営業取締法はすべて都道府県条例内容がまかされておりますので、いろいろの情勢に応じて都道府県条例改正されて参っておるわけでございますが、最近新たにできましたスマートボールのようなものは、すべて都道府県条例で取り扱っておるようでありますので、今はただ普通の四つだまボークラインスリークッションなどを限度といたしました撞球というものを対象として考えておるだけでございます。
  17. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、私が質問いたしました、いわゆる一般遊興場の中で四つだま、あるいはボークラインスリークッション以外の、小さいたま台を使って変なことをやっているのは適用されないという見解をとっていいのかどうか、その点を質問したいと思います。
  18. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 警視庁の防犯部保安課で、今回許可更新営業指導等という面で、第四条にさらにスマートボールを加えてございますが、これはすべて都道府県条例になっておりまして、風俗営業取締法としては大きく取り扱っておりますだけで、この中には入ってきておらないわけであります。
  19. 加賀田進

    加賀田委員 私の質問趣旨が少しあいまいだから説明も困難だと思うのですが、実は撞球一種だと思いますが、ボークラインによく似ているのです。ボークラインは御承知のように二、三名でお互い技術を争うのですが、一人で、入ったたま点数によって景品をもらえるのです。台はボークラインの半分程度の台だと思うのですが、そういうのがスマートボールとかあるいはパチンコ営業と同時に行われている場所があるわけです。それもやはり撞球一種だと思います。撞球と同じような方法で、ボークラインであればお互いに二、三名の人が技術を争うわけですが、これは一人で、たまの色が変っておりますけれども、点数によって景品がもらえるということになっておるわけです。それがやはり撞球と同じような、ボークラインと同じような球をもって入れるわけですから、技術が要るわけです。その入れた球の点数によっていろいろ景品がもらえるというようなことで、玉突台もあるわけです。それを使っておるところもあると思いますが、これは単なる撞球場としての営業のみではなくて、今申し上げたように、遊興場の中の一部としてそれがか設置されておるわけです。これが適用されるかどうかということをお聞きいたします。
  20. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 ただいまの御質問は、普通のいわゆる玉突きと申しますもののほかに、いろいろの形の突き方がございますので、そういうものも一緒にこの風俗営業からはずされていくかどうかという御質問でございますが、なるほどただいま申し上げましたのは、四つだまと、ボークラインスリークッションの点でありましたが、別にまたポケットなどの遊技がございまして、ポケットの方は風俗営業の中に入れて、これからはずしていただきたいという考えを持っております。ただ、今の抱き合せになっておりますもの、たとえば繁華街において射倖心をそそるようなおそれがあると認められるその他の撞球の面につきましては、この対象からはずすというふうには考慮いたしておらないわけであります。
  21. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 先ほどの私の質問に関連するのですが、玉突場について、どれが玉突場であるということの定義がはっきりしておるとして、この法律では、第一条第三号の「その他」の中に入れて、それぞれの府県において適宜条例において制定してもよろしい、第二条によって、第一条に掲げられておるところの業種は、それぞれの府県条例許可制度を定めるのであるという法律になっておるのですが、この「玉突場、」というのを今除いてしまえば、もちろん条例ではそれは規定できないことになるのです。しかしながら、「その他」の中に入れて風俗営業取締り条例を制定してもらってもよろしいのだというようなさきお話でありましたが、それでは「玉突場」、というものをここから除いた趣旨が没却されてしまうのではないかというふうに思われる。この風俗営業取締法の中からこの名前がなくなっても、「その他」の中に入れて、この玉突場をそれぞれの条例風俗営業として規定していくということになるならば、結局結論が同じことになるのじゃないか。これを除いてもらいたいということは、射幸心をそそるような状態にあるのではないのだから、条例の中にも規定してもらいたくないということでこれを除くのだろうと思うのですが、先ほど私聞いたところの説明によりますと、もし弊害があるようなことであるならば、「その他」の中に入れて条例規定してもらってもよろしいのだということでありましたから、そういうことでよろしいのかということを、もう一度念のためにお聞きしておきたいと思います。
  22. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 提案者のほんとうの気持は、むろん風俗営業取締法の第一条第三号から全然はずしていただきたいというのが本旨でありますが、先般警察庁当局と事前に意見の交換をいたしましたところ、もし射幸心をそそるようなおそれのあった場合にも、本法から削除されておるものに対しては取締りができないという場合は非常に自分たちも野放図になって、取締りがどうもおもしろくなくなってくる、この点はどうするかという御意見が出ましたので、そこで詰め将棋とか詰め碁とかいうものに対しては、この風俗営業取締法からははずれておりますけれども、射幸心をそそるおそれのあるものとして、一応取締り対象に入れてございますのでその拡張解釈をして入れ侍るとされております。こういう場合には取締りの上からどうしても御心配だというならば、「その他」の方においても取締りができないわけはないのでということを申し上げまして御了解を得た、そういういきさつがございましたので、実はこれを申すわけでございますが、なるべくならば本法から削除いたしたというだけで、完全なるスポーツとしての独立性を持たしたいというのが提案者の気持でございます。
  23. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 ただいまの御説明によりまして、詰め将棋というようなものはこの法律からははずされておるけれども、条例に載っているということでありますが、はずされているのにもかかわらず条例へ載るはずがないのであって、やはり「その他」という中に入れるという方針のもとに条例にそれが入って、この法律が適用されるということになっていると思うのです。条例を各府県々々で作るのでありましょうが、その条例を作る基準として、警察庁あたりにおいては、各府県条例を作る場合には列挙しているところのマージャン屋とかパチンコ屋とかあるいは玉突屋、これは当然法律によって入れなければならない。しかしながら「その他」というのは、こんなもの、こんなものが含まれるというような考え方を持って、警察庁から各府県に通牒でもやって、それの基準によって条例を作って、「その他」の中に入れるのだろうと思うのです。今眞鍋さんのお話では、「その他」の中といいますか、風俗営業取締法ではないのだが「その他」の中に入れる、条例に入っているというのは、それは間違いであって、風俗営業取締法の中における「その他」の中に含まれて、条例規定されているわけだと思うのであります。しかし風俗営業取締法以外における「その他」というのはどういうものをさすのでしょうか。風俗営業取締法に基かざる条例というものを別に作って取り締るという意味なんでしょうか、どういうふうな意味なんでしょうか。
  24. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 列挙されました三つの項目、すなわちマージャンパチンコ玉突き、それ以外のものについては、もし射幸心をそそるおそれのあったような場合にも、法は何かのよりどころを求めようとして「その他」というものをつけているように考えられますので、目に余るようなことがあれば、それでお取締りを受けても仕方がございませんというのか偽らざるこちらの心境でございますが、この際あくまでも風俗営業対象からは一つ完全に削除していただきたいというのが、繰り返して申し上げますが立法者の趣意でございます。
  25. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 そうしますと最小限度玉突場」という字だけはこの法律からは消してくれ、あとは「その他」というのに入れて、府県条例なりあるいは警察庁がやるかどうかは、やった後においてまかせるのだから、この字句だけはとにかく法律から除いてもらいたいというのが趣旨だ、こういうふうに解釈していいわけですか。
  26. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 第一段階として撞球界の将来の進歩発達を見ました上で、第二段階として進むことにいたしまして、第一段階としてはただいま仰せられた通りでよろしいと思います。
  27. 加賀田進

    加賀田委員 ちょっと質問いたしたいのですが、先ほど提案者の御説明では、ボークラインスリークッション、四つ玉というお話がありましたが、ローテーション、これは関東では割合に少くて、ほとんど関西の方で営業の大半を占めておるということですが、このローテーションにも適用あるものとして提案されたかどうか、一応御説明願いたいと思います。
  28. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 ローテーションは、大体関東方面ではございませんが、関西方面ではしきりに行われておるゲームでございます。先ほど私の申し上げたことがあるいは間違ったか知れませんが、ローテーションの方はやはり四つ玉、ボークラインスリークッションと同一の業種として削除したいと考えております。先ほど私の申し上げたことが間違ったかもしれませんが、訂正いたします。
  29. 加賀田進

    加賀田委員 射幸心をそそるものということになりますと、この四つの玉台の種類に基いてローテーションというのが、その中では射幸心をそそるのに非常に強い比重を持っておるのではないかと思うのですが、もちろんボークラインとかスリークッションになりますと、相当高度な技術が必要で専門的になりますので、射幸心というようなものは非常に薄らいでくると私は理解するのですが、ローテーションは御存じのようにフロックが多いと申しましょうか、そういう関係で非常に射幸心をそそるような、客同士のお互いの取引があるように聞いておりますが、その点提案者としてどうお考えですか、御説明願いたいと思います。
  30. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 私どもが対象といたしておりますのは、やはり世界選手権で争っておりますボークラインスリークッションを目標にいたしておるわけでございますが、むろん普通の四つ玉とボークラインスリークッションを備えておりますところへ、今のローテーションも一緒に備えつけて営業をやっておりますので、ぜひこのローテーションも二つ訂正させていただきまして、四つ玉、ローテーション、ボークラインスリークッションを主とした撞球の考え方だというふうに御了解をいただきたいと思います。
  31. 加賀田進

    加賀田委員 党といたしましては、まだ本案に対しては審議をいたしておりませんし、態度を決定いたしておりませんが、四種類を対象として適用外にしてもらいたいという提案者趣旨に対しましては了解いたしました。
  32. 大矢省三

    大矢委員長 北山君の先ほどの御意見もありましたので、理事会によく相談して善処したいと思います。この質疑はこの程度にいたしまして、後日にこれを譲ります。     —————————————
  33. 大矢省三

    大矢委員長 次に地方税法の一部を改正する法律案議題といたします。前会に引続き税目別質疑を行います。本日は第十、自転車荷車税からでございますが、質疑の通告がございますからこれを許します。北山君。
  34. 北山愛郎

    北山委員 自転車荷車税とおっしゃいましたが、実は固定資産税の質疑が前会で終っておりませんので、固定資産税の質疑を続行するのが正しいのではないかと思います。
  35. 大矢省三

    大矢委員長 それではただいまの自転車荷車税は後刻に譲りまして、昨日に引き続きまして固定資産税の項目について質疑を続行いたします。北山君。
  36. 北山愛郎

    北山委員 この前は東京都の固定資産税についていろいろ質疑が行われておったわけであります。門司委員の方からもいろいろ質問が出されましたが、結果としては今の制度上、東京都における固定資産税の問題は、結局東京都が今の地方税法あるいは地方財政法、そういうものの制約によりまして、やむを得ず約十億円の固定資産税の増税をやらなければならぬという立場に追い込まれておる、こういう事態についての質疑があったわけでありますが、自治庁としては今の問題について、東京都はやむを得ず今の税法上の制約あるいは地方財政法上の制約からして、この固定資産税を今回約十億円の増税をなさざるを得ないという事態になったということをお認めになるのでございましょうか、一つ奧野さんからお答えを願っておきたい。
  37. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 十億円という数字は、昨日も申し上げましたように、かりに評価を引き上げなかった場合どれだけ減収になるか、それが十億円でございます。しかし他面に、税率が一・五%から一・四%に下っておりますので、実質的には新築の部分がなければ、全国的に見ましてそうでありますので、東京都もおそらくそうであろうと思うのでありますが、在来の分につきましては、土地家屋の償却資産全体としては減収はない、かように考えております。なお東京都の評価は、自治庁が全国の様子を見ておりまして示しております平均価格の大体八割程度になっておりますが、今回引き上げました結果として、また自治庁から示しております数字の八割程度であります。もし引き上げませんければ、さらに低い数字になって参るわけであります。東京都の財政事情が許すから、ある程度低い評価でもやっていけたということになるのではなかろうかというふうに考えております。もし他の市町村の住民の負担よりも特に軽い負担で済ませられるのなら、地方債の資金が十分でない次第たから、それは他の市町村に譲ってもらわなければならないのじゃないかというふうに考えているわけであります。
  38. 北山愛郎

    北山委員 私がお尋ねしておるのは東京都の問題なんです。策京都の固定資産税の今度の評価基準の引き上げによって、そしてやむを得ず増税をしたければならぬという事態については、その原因等についてはこの前いろいろ質疑が行われたところで大体明らかだと思うのです。というのは、この前奧野さんのお話の通りに、固定資産税の評価については、自治庁が示した評価基準を基準にしてやらなければならぬということが義務づけられておる。そしてまた一方では、税率を標準税率よりも引き下げるという場合には、地方財政法上のいろいろな起債が受けられないという不利に立つわけであります。従ってそういう両面からいたしまして、自治庁が評価基準を引き上げる以上は、文字通りそれに百パーセント従わなくても、とにかく大体においてその線に従ってやらなければならぬわけであります。従って自治庁が固定資産税の引き上げを実質上は命じておる、もう規制しておる、それに従わないという場合には地方債の許可が受けられぬ、こういうことに縛られておる。従ってそういう事情からいたしまして、形式上はともかく、実質上は東京都の今回における固定資産税の増税というものは、やはり実際上は自治庁の方針に従って増税をせざるを得ない羽目に追い込まれておる、こういうような事態について、自治庁はそういう原因であるということをお認めになっておるかどうか、これをはっきり結論的にお答えを願いたい。
  39. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 自治庁が評価の引き上げを要請したことは事実であります。しかしながら東京都は従来と同じように、なおそれの八割程度の評価にとどまっております。これは法律規定から言いますと、法にはずれた評価になっておるわけであります。その場合にいたしましても、標準税率であります以上は、地方債の発行について特段の制限は受けません。問題は、もし租税の負担を軽減したいのであれば、やはり明らかに標準税率の引き下げでやってもらわなければ、評価が市町村間で区々になっておりますと、より多くの住民の納得が得られなくなってしまいまして、税務行政の運営に非常な混乱を来たしてしまうわけであります。自治庁におきまして増税をしいておる、こうおっしゃいますことにつきましては、私たちとしてはその通りでありますと言うわけには参らない、かように考えるわけであります。
  40. 北山愛郎

    北山委員 しかし今のお話の通りであれば、結果的にはやはり東京都が今固定資産税を上げようというのは、それば自治庁が示した基準に従ったまでのことなんだから、これは自治庁が増税をしいているというか、実質上しいているんだとこう言わざるを得ないのです。先ほどの前段のお話では、固定資産税の評価基準を一応示すが、それに違反してもそれは制裁の制限がないから従わなくてもいいんだ、それは自由だというような話のようだったのだが、しかし、一応評価基準を示して、市町村がこれに従わなければならぬという以上は、三割上げろというならば三割上げなければならぬ。そうすればもし東京都なら東京都が固定資産税を上げたくないと思っても、税率を下げようとすれば今度は起債が許されないという地方財政法上の制限を受ける。従ってやむを得ず増税をせざるを得ない。だから市町村間の権衡とかそういうことは別個の問題として、少くとも評価基準を上げる以上は、それだけ固定資産税を増税することだけは認めなければならぬのじゃないかと思う。とにかく税金はふえるのですから、それがいいか悪いかは別として、増税を指示しているんだ、こう言わざるを得ないと思うのですが、それはお認めでしょう。もちろん当然のことでありますから。
  41. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 もし借金をしなければ財政状態がもたないという団体でありますならば、自治庁が評価の引き上げを示しているわけでございますので、それをその通り引き上げざるを得ない。そういう面につきまして、土地だけの部分について考えますならば増加負担を求めている、そういうことでありますならば、その通りだと考えます。
  42. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、地方税を増税するか減税するかということについては、地方団体には自主性というものはほとんどないというふうに見られるのです。少くとも固定資産税についてはそういう結果になるのではないか。問題は東京都ばかりではなくて、どこの市町村でも同じなんです。やはりこの増税は無理だと思っても、今のようないろいろな税法上あるいは財政法上の縛りにかかって、どうしても引き上げざるを得ない、こういう今の税財政の制度になっておるということは、奧野さんももちろんこれは認めるだろうと思うのですが、いかがですか。
  43. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 北山さんは増税という言葉をお用いになりますし、私は土地だけについて考えればその通りだ、こうお断わり申し上げておるわけであります。ただ地方財政全体が十分じゃございませんし、従ってまたある市町村だけが土地の負担を軽くて済ませたい、しかも足りない借金の資金を自分のところに取ってきたい、こういうことは地方財政全体の姿から見ても許されない現況ではなかろうか、かように考えておるわけであります。また地方財政法の第五条はそういう趣旨に出ているのであろうと思うのでございます。もう少し豊かになって参りました場合には、地方財政法第五条も検討されるようになると思うのでありますが、現状においては当分ああした考え方でいかざるを得ないのではなかろうか、かように考えております。
  44. 北山愛郎

    北山委員 これは私は今度の地方財政の赤字問題だとか、そういうものと関達するからお伺いするのです。地方団体が自由に税制を改めたりあるいは節約をしたりするという自主性が非常に乏しい。これの一つの例が今度の東京都の固定資産税の場合なんです。やはり東京都としてはくの経済状況というものを勘案し、住民の負担ということを考えた場合には、この際たとい財政需要が相当あるとしても、増税は避けるべきだという気持でやろうとした。しかしながら政府はそうではなくて、やはり増税をせよという線でもって指示をされておる。その線で行かざるを得ない。ここに今問題になっておる東京都の固定資産税の問題があると思うのです。ですから、少くともこの一つの例でもって、地方団体は増税をするにしろ、あるいは減税をするにしろ、中央政府の指示に従ってその道をたどっていくほかはないのだ、そういう自由の道はないのだ、こういう一つの例を示すのだろうと思うのです。私が増税をいうのは、ことに鳩山内閣は、増税をしないというふうな方針であるのでありますから、これは中央でも地力でも同じことだと思うのです。ところがその言葉に反して、その基本的な政策に反して、地方の財政の上では相当な増税を実行させておる。これは地方団体の自由というわけにはいかない。自治庁が命ずれば、その通りの増税を唯々諾々としてしなければならぬような格好になっておるとすれば、やはり鳩山内閣はその公約に反して、少くとも地方財政は増税を命令している、こう言わざるを得ないということを奧野さんの口から聞きたかったのでございます。  そこで次の問題になりますが、この固定資産税の据え置きの問題であります。三カ年ごとにやるということにして、今度は固定資産の評価は年々変えることは好ましくないから、三カ年は据え置くのだという御趣旨、大へんけっこうなんですが、もう今までに自治庁は相当評価基準を値上げをしておいて、無理なくらいに上げておいて、上げておいた線でもって据え置きをしようということです。もしも据え置きが正しいとするならば、何もこういう法律を作らなくても、自治庁自身が今までの線を据え置いておったならば、何もこんな問題は起らないです。評価基準をどんどん大幅に二年間ばかりの間に値上げをして、今度は値上げした線で据え置くということは、まことにもって矛盾じゃないか。据え置くつもりならば、それが正しいとするならば、今まで据え置いて値上げをしなかったらよかったのではないか。むしろ自分たちが正しくないことをしておいて、それで良心をカバーしようというような規定のように見える。この点についていかがですか。
  45. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 先般来繰り返し申し上げておりますように、土地の売買価格は他の諸物価におくれて上って参ってきたわけであります。従ってまた固定資産の評価に当りましても、土地の価格が一般物価に比しまして、あるいは土地売買価格に比しまして、割安になっておったわけであります。それを逐次引き上げて参りまして、昭和三十年度分の固定資産税については、家屋は据え置きながらも、土地だけは引き上げるようになったわけであります。そういうような事情でありますので、従前におきましては据え置き処置をとることが困難であったのであります。今回土地の引き上げも行なったわけでありますので、この際据え置きたい。しかし現在の評価で、他の租税負担あるいは固定資産の土地家屋償却資産相互の間に必ずしも均衡が取れているかどうかということにつきましては、若干問題があろうかと思うのであります。しかしそういう問題については、今度の推移を見まして、評価のきめ方と関連してあるいは税率の改正も行わなければならぬのじゃないかと思うのでございますけれども、総合的に判断してもいいのではないだろうか、こういうことで今回据え置き措置提案するに至ったわけであります。
  46. 北山愛郎

    北山委員 物価の状況に応じて値上げをしたというけれども、それは必ずしも政策というものが加味されない自動的なものではないと思うのです。固定資産税についても、それではすべての財産について、時価でもって値上りすればその通り上げていくかといえば、そうではない。やはり大きな電力会社の施設であるとか、あるいは船、そういうものについては特別な減税措置を講じて、そこに政策を加味しておるのです。従って、それ以外の土地や家屋についても、やはり幾らくらいの固定資産税を取るかということは、十分政策が入っていい問題なんです。だから自動的に、時価が上ったから上げるのだということは一応の理屈でありましょうけれども、何も時価が上ったからといってすぐ所得がふえるわけではないのですから、現在の経済状況や国民の税負担の能力ということを勘案して、税金というものはこの際今上げる方が正しいか、あるいはもう少しあとにした方がいいかということは政策問題です。こういうふうな経済の不況時代に、しかも国民の経済力というものの能力が非常に苦しくなっているときに、なぜ固定資産の評価を大幅に上げるのであるか、そこには政策があると思うのです。また、なくちゃならぬと思う。だから時価で上げるような一般的な理論ではなくて、やはり政策が加味されておってしかるべきだし、また加味されておるとすれば、一体なぜこのような経済不況のときに固定資産税を大幅に値上げさせるような措置を自治庁がとったか、これが問題だと思うのです。これについてはっきりお答えを願いたいのです。
  47. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 私たちはもとよりある程度の政策を加味することを行政府にゆだねられておる、これはその通りだと思うのであります。しかし、それにはある程度の幅があるのじゃないだろうか、こういう考え方をいたしております。現在の地方税法のもとにおきましては、毎年一月一日現在による時価で評価をしていき、そうして自治庁長官が各市町村に対しまして平均的な価格を示していくことになっておるわけでございます。その場合に、もし土地の価格がどんどん値下りしていくという情勢でありますならば格別でありますが、大同小異であるとか、あるいはむしろ漸騰している部分があるとか、こういう時代におきまして売買時価と比較いたしました場合に、三割ないし三割五分程度にしか当っていない、これをそのままなお据え置いてよろしいのだという結論は出てこないのじゃないだろうか、そこまで行政府に政策加味をゆだねられておると見ることは少し行き過ぎじゃないだろうか、こういうくらいの感じを持っているのであります。ただ、それでは一挙に二倍にしてよろしいかというと、こういうことは租税負担が激変を来たしてくることにもなりますのでそれは避けるべきだと思いますし、また、そういう程度の措置は行政府にゆだねられておると思うのであります。その行政府にゆだねられている権限の幅を私たちはある程度定めてもいいのじゃないか、それが今回三年間据え置きの措置をとろうとしているゆえんであります。  なお償却資産につきましては、昔に取得された資産でありますのでかなり低い価格で取得しておりますから、評価をいたします場合には、それぞれの資産に応じて倍数を乗じて時価に合せるような計算のやり方をやっているわけでございます。特に償却資産だけ不当に低く評価しているということはないと御了解いただきたいと思います。
  48. 北山愛郎

    北山委員 土地の値上り、不動産の値上りというものが経済活動に大体並行していくような場合にはまだいいと思うのですが、土地に対する、不動産に対する投資というものは必ずしもそうじゃなくて、不景気のとぎに土地の値上り、不動産の値上りがするというような場合が相当ある。いわゆる投資家は不動歴投資をやるというふうに、その投資先に金が流れている。一般の経済活動が不活発なときにそういう不動産の方へ金が流れていく。その結果は土地や家屋が値上りをするというような現象を起す場合が相当あると思うのであります。あるいは日本の現在の状況もそうじゃないか、そうすると、土地や家屋の時価が値上りをするといって、すぐそれに応じて固定資産税を上げますというと、それは当然地代や家賃に響いてくる、あるいは小作料に響いてくる。そうして、そういうような土地売買とか、あるいは土地、不動産を持っている人でない、経済活動によってその生計が左右されるような人の負担へ転嫁されていく、これは認めなければならぬ。そういうような事情をやはり考えて、この固定費席税の基準というものを考えていかなければならぬと思うのです。そうでなければ正しい政治というものは行われない。今の固定資産税の中にもし政策というものがあるとするならば、それは大資本を守る政策であります。これは端的であります。そうして一般の消費者であるとかあるいは農民であるとかいうものには、地価が値上りをしておるという理由でもって、どんどん固定資産税を高くして、遠慮もなく上げていく、経済活動あるいは国民の生活というものを無視して上げていく、一方では大規模な固定資産に対しては大幅な軽減をしておるというのが、現在の固定資産税における政府の政策なんです。これが一貫した政策なんです。大資本擁護の政策であります。だから、政策があるとすれば、そういう政策しか私には見えない。これでいいかどうか、これは一つ川島長官からお答えを願いたい。
  49. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 一応私から先に御答弁させていただきます。土地の価格を上げました事情は、たびたび申し上げましたように、売買時価と非常に離れておるとか、あるいはまた同じ税務行政でありましても、国税の相続税の場合と固定資産税の場合との間に大きな差がございます。なるたけ二重の調査をいたしませんで、どこか一カ所で調査したものをそのまま相互に作用していくという姿が望ましいと思うのであります。また課税客体その他の負担の均衡ははかっていかなければなりませんが、土地と家屋との間において、少くとも相当な開きが出てきております。また税率の改正もございまして、そのまま据え置きますと減収を生ずるわけでありますが、またそのことが地方財政の状況が許すかどうかを考えて参りました場合に、地方財政の状況からいたしますと、五十億内外の減収を生ずることは非常な混乱を来たすことにもなってしまうわけであります。どこかでやはり国民にある程度の租税は負担していってもらわなければなりませんので、どこで負担してもらうかということになりますと、やはり土地の分において、ある程度負担してもらわざるを得ないじゃないだろうか、こういうことになって参ったわけであります。内閣がもっぱら大資本擁護の政策をとっている、こういう御指摘でございますけれども、先般もお答えいたしましたように、発電施設等に対しまして特別な制度をとっております。とっておりますが、そのかわり電気料金を統制しているじゃありませんか、電気を使う国民多数の人たちの電気料金という形において負担を緩和しているじゃないでしょうか、こういうことを申し上げたわけでございます。船舶につきましても軽減の措置をとっておりますが、とっておりますのは、もっぱら国際間の競争に出て参ります外航船舶についてだけであります。これによりまして国際競争を容易にし、そうして国の経済力全体の向上をはかっていきたい、こういう考え方に基いておるわけでございまして、一面だけを見ますと、いろいろな批判もできるだろうと思うのでありますが、総合的にお考えいただけないものだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  50. 勝間田清一

    ○勝間田委員 この前質問した点ですけれども、やはりちょっと長官に聞いておきたいと思います。これは行政措置の問題になると思いますけれども、やはり政府としては今度小作料を上げることになりますか。この点だけははっきりしておきたと思います。
  51. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 勝間田さんのせっかくの御質問ですが、私はまだその点よく確かめておりませんからして、農林大臣に確かめまして至急御返答申し上げます。
  52. 勝間田清一

    ○勝間田委員 この点は総合的な問題でありますから、ぜひ一つお尋ねおきを願いたいと思う。  それから今パリティ計算で米価審議会でいろいろ問題になっておりますが、同時に生産費計算の米価という問題がやはり問題になっております。農地に関する固定資産税の値上げということから出て参りますことになりますれば、これはどういうように考慮されるのか、これもやはり米価というものを考えていく場合には、どうしても大事なことだと思いますから、政府の一貫した態度をこの次に聞かしていただきたいと思う。米価の中に織り込まれる租税負担というものを一体将来どう扱うべきかということもお考えおきを願いたいと思います。
  53. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 米価の決定は一応米価審議会でやっておりまして、最終的にはむろん農林省の責任においていたすのでありますが、パリティ計算の式と生産費からの計算の式と両方農林省では案を立てておるのでありますが、生産費計算の場合に固定資産税をどういうふうに計算するかということについては、私はまだよく存じませんから、それもあわせて農林大臣と相談をしまして、次の機会に御報告申し上げます。
  54. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それから奧野さん、これは私が不勉強でまことに申しわけありませんが、この前ちょっとお話しいたしましたいわゆる保有地、地主の土地について現在公定小作料というものがありますが、同時に任意契約に基く小作料というものがございます。その小作料の状態と、今度固定資産税がこうして値上りすることによって出てくる地主の損です。地主がどの程度の収入の減少を来たすか。固定資産税の値上りによる額というものと、現に地主がとっておる小作料というものとの間の差額がどう縮まるかということです。この点一つ数字上はっきりしておきたいと思うのです。  それからもう一つはっきりしておいていただきたいと思うのは、先ほども申しました小作料の値上げという問題が当然出てくるのではないかと思いますので、農林省の方の小作料に対する見解と、今度の農地に対する固定資産税との間の関係を数字的にはっきりしておいていただきたいということをぜひお願いいたしたいと存じます。  それから川島さんにお願いしておったのですが、政府の農業所得計算というものがまちまちである。自治庁の方では勝手にというか、みずからの見解に従って所得計算をされます。大蔵省も特調もあるいはその他の官庁もそれぞれ違った所得計算をやります。私はこれが政治を不明朗ならしめておる根本の原因だろうと常々考えておるのであります。こういった所得計算である一定の結論を導こうとするについては、やはり政府は一定の見解がなければならぬと私は思います。これは何も法律にしろという意味ではありません。私は行政措置上公平の措置をとるべきだと思っております。この点についてこの前お願いをいたしておきましたが、もし政府で話し合ったことがございますれば、この際伺っておきたいのであります。
  55. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 農家の所得計算の各官庁間の食い違いをどういうふうにするかというお話、実はうっかりしていまして、まだ各省と相談しておりません。これも今の小作料の値上げ並びに生産費の中へ固定資産税をどう盛り込むのかというのと同時に、至急に各省間で相談しまして御報告申し上げます。
  56. 勝間田清一

    ○勝間田委員 念のために申し上げておきますが、農業所得を計算する場合に、農林省の農家経済調査の農業所得を使う傾向も一面現われております。それからあるいは勧銀調査等で補正していく場合も考えておるようであります。それからもう一つは年々の税務署の農業所得というものを基準にしていく場合もあるようであります。今日の固定資産税の基準になる農業所得の方の計算は、大体農林省の農家経済調査が基準になっておるようにお聞きしたわけであります。しかしこれは専門家は、だれもわかる通りに、富裕農家を対象としたものでありまして、これが一般農家の問題であると考えられたら、非常に大きな誤算を生ずるわけであります。これは御存じの通り農業会におきましては数十年来の問題になっており、相当割引して考えなければならぬ数字になっておるわけであります。そういう点を考えてみまして、各機関が別々な農業所得をとって、これで税金は取れるのだ、これで賠償しなければいかぬのだと、それぞれの形をとるのは、非常な不明朗を導いておるので、鳩山内閣は明朗な行政をやるということならば、これは農民に直接の利害関係のある問題でありますから、私は、はっきりしておいていただきたいと思うのであります。どうかその点についての御研究をわずらわしたいと思います。
  57. 北山愛郎

    北山委員 固定資産税の据え置きの問題でありますが、この三年間というものは固定資産税の評価を据え置くということのために、その期間に普通のものについては審査請求をやらせないというような規定になっておりますが、やはり一回の審査、一回の評価というものは必ずしも妥当でない場合もあるのですから、年々審査要求だけは許しておいて差しつかえないのじゃないかと思うのです。確定するからといって、この審査要求が年々許されないということは少し行き過ぎじゃないか、こういうふうに考えるのです。これは一律に、新築とか新しいものを除くほかは審査請求ができないような規定になっておりますが、どうしてこのようにしたのでございますか。
  58. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話しになりましたもの以外にも、土地でありますと地目が変換になったとか、家屋でありますと損壊を受けたとか、こういう変化のありまするものにつきましては、変化を事由に審査請求はできることになっております。それ以外のものにつきましては、一たび確定しましたものにつきましては、二度、三度争いを起しますようなことはお互いに非常に煩瑣なことでありますので、最初確定するという場合に十分御了解いただくようなことにして参りたい、かように考えておるわけであります。
  59. 北山愛郎

    北山委員 しかし評価する者の側からしても、実際問題からすれば、あまり自信のある評価にはなっていないと思うのです。やはりミステークもある。だからまた審査というか評価をする。固定資産税を納める方の側からいっても、もちろん当然だと思うのです。従って、そういう紛争を避けると言いますけれども、これは紛争がある方がいいのであって、紛争がなければ正しいものにはならないのです。そのために審査請求という制度を設けておる。設けておる以上は、やはりその道を開いておくのが当然ではなかろうか、ごたごたが起ることは困るからそれはやめさせようというので、そういう審査請求を禁ずる、できないようにするというのであれば、審査請求の制度そのものがめんどうくさいからやめてしまえというような考えから出ておるとも思われる。だからこの際はたとい基準として、全体としては据え置くというふうな考え方に立つとしても、個々の問題について審査の要求があれば審査をして、間違っておればそれを正していくという制度は残しておくのが当然であって、そうでないこのような規定は、あまりにもこれは官僚的ではなかろうか、こういうふうに考えるのですが、その点について重ねてお伺いします。
  60. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今回、一たび評価決定いたしましたものは三年間据え置くという制度をとろうとしておるわけでございます。もとより三年間には地価が上ったり下ったりするだろうと思うのであります。上ったからといって負担はふやさない、そのかわり下ったからといって審査請求はしない、そういうことで、一応三年間は安定さしていきたい、かように考えているわけであります。しかし納税者の間で特殊な事情が起って参りました場合には、審査請求の問題ではなしに、減免の問題として措置していくことは、これは必要な場合がたくさんあろうかと思うのであります。やはり一応価格の決定というものは、これは三年間据え置いていく、従って一たびきまったものについては審査請求はしない、従ってまた行政庁の方でも引き上げたり引き下げたりすることもしない、こういうふうな建前をとりたいのでございます。
  61. 北山愛郎

    北山委員 それでは次に九州の電力の場合ですが、周波数の変更に伴う工事について減免の規定があるわけです。この周波数の変更、五十サイクルから六十サイクルに変える工事負担というものは、一体電力会社の方で持つべきものであるか、どこが負担を持つべきものであるか。これは電気の方の規定上はどういうことになっておりますか。
  62. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今回の措置につきましては、電力会社が費用を負担していくことになります。
  63. 北山愛郎

    北山委員 そうすると電力会社の負担すべきものをここで減免をするということは、これは電力会社の利益になる、こう考えていいわけですね。
  64. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 電力会社が負担するのでありますけれども、その所有権は電力を使用している人に移るわけであります。従いまして固定資産税を負担するのは電力会社でありませんで、電気の使用者であります。電気の使用者の負担が、ただ五十サイクルから六十サイクルに変ったというだけで、実質的には別に利益を受けないで固定資産税だけが引き上げられてくる、こういうことになるのでありますから、今回このような措置をとりたいと考えたのであります。
  65. 北山愛郎

    北山委員 その設備については使用者側の所有だ、こう言われますが、所有者側としては何も設備を変更したくないが、サイクルが変るから設備をせざるを得ない、そのために経費がかかる、こういうことなのでありますから、建前上はその経費について電力会社が負担すべきものとされている。そうするならばやはりこの固定資産税の減免というものは、その電力会社の負担すべき分の一部軽減ということに結果的にはなると思うのですが、そういうことに考えていいですか。
  66. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 電力会社の負担しますのは一種の補助金だと思います。将来固定資産税が電力の需要者にかかってくるわけであります。従前通りであれば固定資産税が少くて済むのが、六十サイクルに統一されたばかりに固定資産税の負担がふえてくる。これは電力会社の負担すべきものというのは、ちょっと言い過ぎじゃないかというふうに思います。
  67. 北山愛郎

    北山委員 言い過ぎじゃないかと言うが、奧野さんが初めそう言った。設備変更による経費は電力会社が持つべきものであるというふうにおっしゃったわけです。従ってこの固定資産税を減免していくということは、すなわち電力会社が当然払うべき、そういう補償額みたいなもの、そういうものの一部に入るじゃないか。だから固定資産税を減免すればそれだけ電気会社が払う分が軽くて済む、こういうことに結果的にはなるじゃないか、こういうふうにお尋ねをしたわけですが、それでいいですか。
  68. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 あるいは私の答弁が的をはずれておったかもしれませんが、電力会社が負担するというのは、要するに器具の変更に必要な経費を電力会社が補助する、こう考えていただけばよろしいと思います。
  69. 北山愛郎

    北山委員 先ほどの御答弁に関係しますが、電力会社に対する、あるいは船会社に対する固定資産税の減免というのは、それぞれ別個の政策、目的を持っている、こういうようなお話だったのですけれども、しかし電気料金の要素の中に一番占めているのは、やはり金融機関に払う金利であるということは疑いをいれない。それが相当部分を占める。電源開発が進めば進むほど、それが五〇%以上にも及ぶ、あるいは六〇%あるいは七〇%にも将来はなるかもしれぬと言われております。従って電気料金を下げようとすれば、一番問題にすべきはこの金利負掛でなければならぬ。ところがその金利負担については、今の民間金利ですが、一〇%くらいを見ているだろうと思う。そういうものには手をつけないでおいて、税金だけ負けてやるというところに、すべてこういう大資本が政府、国家におんぶしている。また国あるいは政府の方で大資本、電力会社については恩典を与え、間接には金融機関の利益を保護しているという政策を私は申し上げたのです。その点は議論するつもりはございませんが、そういう実態を考えるならば私の言葉は決して誤まりではないと思います。ところで、この固定資産税について、その工場が仕事を休んだ場合、あるいは廃業をしてしまったような場合にはどういうことになりますか。
  70. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 財産価値のある限りやはり固定資産税は課されていくことに相なると思います。
  71. 北山愛郎

    北山委員 それは府県条例等による減免ですね。私はやはり地方税法による減免の規定を適用するのがほんとうじゃないかと思うのです。仕事を休んでしまったら、たとい財産価値があろうとも会社としては払えないのじゃないかと思うのです。払う能力のない者から、取ろうとしてもかえって無理だ、だからその際はいわゆる減免規定を適用していくのがほんとうじゃないかと思う。それはちょうど住民税についても同じであって、前年度の所得にかかるのですが、しかし失業した場合には当然減免さるべきがほんとうだと思う。ですから固定資産税についてもこのごろはやっておる事業の休止、あるいは廃止されたような事業については、固定資産税の減免をやはり十分に適用すべきがほんとうだと私ども思うのですが、自治庁はどのようにお考えですか。
  72. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 納税者に特別な事情があります場合には、その状況に応じまして市町村が減免することはさしつかえございませんし、御指摘のような事例に際しましては、市町村が減免しておる場合も現実にございます。ただ一般的に言いました場合に、課することができるかできないかということであれば、これは課することができるのだ、こう私は申し上げている程度でございまして、また多数の工場を持っている場合に、一つの工場を休ませる、休ませるのみならず将来廃止する意味においてその償却資産を帳簿価格から落してしまう、減価償却の計算をしていかないということになりますれば、これは当然その償却資産について固定資産税を課していくということはできないわけであります。しかし償却資産として経理を将来にわたって行なっていきます限りにおいては課することができるわけであります。あとは御指摘のように納税者の状況に応じまして場合によっては減免する、こういうことに相なろうかと思います。
  73. 北山愛郎

    北山委員 固定資産税につきましては、最近倉庫の固定資産税についていろいろ陳情が参っておりますが、倉庫に対する固定資産の課税については、特別な考え方を取るような気持を持っておるかどうか、自治庁の考え方をお聞かせ願いたい。
  74. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 倉庫業界からたいへん熱心に要望せられておりますが、デフレ政策が取られます場合には、一番最後に影響の及んでいくのは倉庫業界であろうというふうに私どもも思っておるわけでありますから、そういう意味において非常に深刻ではなかろうかと思うのであります。ところが倉庫といいましても単に倉庫業者の倉庫だけではございませんで、大多数の工場は倉庫を持っておるわけでありますので、倉庫業者の倉庫だけに特別な措置を取るということは実際問題としてむずかしいのではないかというふうに思っております。しかしいろいろ議論もございますので、絶えず研究はしてございますけれども、現在のところこういった措置が取られるという結論はまだ出ておりません。
  75. 中井徳次郎

    ○中井委員 私は、今度の改正案には入っておらぬようでありますが、遊興飲食税のことについてお伺いしたいと思います。去年飲食の関係におきまして軽飲食は百二十円までは免税するという措置をしたように私どもは記憶をいたしております。ところが実際の一年間の実績を見てみますと、この遊興飲食税は、この間も事業税についてお尋ねをしましたが、それと同じような形がありまして、現実の面ではこの税金をかけるのが具体的に非常にむずかしい。従って取り方につきましては各府県によって非常にまちまちであるように私どもは伺っておるのであります。  まず最初に伺いたいのは、そういうような非常に取りにくい税金、また技術的に一番むずかしいものについて自治庁はこれまで全国に対して統一的なやり方その他について指示をなすったことがあるか、また指導をなすったことがあるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  76. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 遊興飲食税の問題については、御指摘のように非常にむずかしい問題がございます。また同時になるべく関係府県がそれぞれ均衡を得た課税をしていかないと問題が起るだろうと思います。そういう意味におきまして、遊興飲食税の担当者を中央に集めまして講習会を数回やっております。同時にまた県の要請によりましては自治庁の力から現地に行きまして、共同的に調査するということをやったこともございます。あとは全国会議なりゴロツク会議なりで、それぞれが連絡を取りながら研究を進めておるというふうなことでございます。
  77. 中井徳次郎

    ○中井委員 この問題は、おそらく過去においても今御説明のように、皆さんの方で熱心に御指導になったのだろうと私どもは考えております。しかし現実は幾ら熱心に御指導をなすってもこれはもう非常に取りにくいものなのであります。私はここに遊興飲食税の基本的な欠陥があるように思うのです。  そこで伺ってみたいのですが、遊興飲食税で一本になっておりますが、これをそのうちの遊興税、飲食税と一応わけるといたしまして、大体遊興というものはどのくらい、飲食のものがどのくらいという内訳がおわかりでしたらお知らせいただきたい。
  78. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 飲食店関係の分が三十六億八千六百万円、それから貸席の分が十二億四千百万円、料理店が五十二億三千万円、それから旅館はこれをわけて、宿泊の素泊りの関係が二億三千三百万円、食事の関係が十五億九千二百万円、それから旅館におけるその他の飲食関係が十六億二千四百万円、芸妓の関係が十四億一千七百万円、そのほか前年度から滞納して繰り越されておる分が全体で十三億二千七百万円、こういう数字になっております。
  79. 中井徳次郎

    ○中井委員 今数字をお伺いしてなおさらその感を深くしたのでありますが、もうこの段階においては私は飲食税というものはやめたらどうかと思うのです。全額でも飲食店関係は三十何億、それから旅館の素泊りについてはわずかに二億なんぼということになっすおります。この点について私は過去数回この地方行政委員会出席をしておりますが、いつも問題になって場当りの問答で済むけれども、現実の徴税というものは、これは請負になっております。何町何市の旅館業には県から役人が来て、あなたの町、市はことしは何十万出して下さい、それで旅館の理事長がみなを集めてあなたのところは幾らだ、こういうわけでありまして、百二十円だとか七百円の宿泊ということにまで深く立ち入っておりません。そこでこれはもう皆さんもよくお知りのことですからくどくは申しませんが、少くとも遊興飲食税のうちの飲食というようなものはやめるべきであるという考え方をしておるのですが、それば財源難の折柄困難であるという御答弁もあろうかと思いますけれども、これに対する世間の摩擦、それから純理論的な点から申しましても飲食に税金をかけるというようなあこぎなことは実際いけない。これについて先般も新聞で百二十円を百五十円にまで上げるというようなことが、自治庁の原案にあったが、そのときば途中で反対があって、それを引っ込めたというようなことも、ちょっと載っておりましたが、いろいろ事情もあろうかと思いますが、この遊興飲食税について、一つ大臣の見解を伺ってみたい、かように思います。
  80. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 遊興飲食税は、課税の対象としてはお説の通り非常に徴収上困難な問題があるのでありまして、これがためにいろいろ事件を起している個所もございます。一応事務当局におきましてはある程度の減税をして、そのかわりに都道府県が発行する公給領収書の制度を用いて税金を確保しようかという案もできておりまして、これが新聞等にも出たんでありますが、この遊興飲食税につきましてはいろんな問題があるので、根本的に一つ考え直したい、こういう意味で今回は提案をいたさなかったのでありまして、次の機会なりには遊興飲食税のあり方——かりに課税するとしても、いかなる方法で徴収するかということを根本的に考え直して改正したい、こういうつもりでおります。現在徴収方法がお説の通り各業者の組合などに割り当てていることも事実でありまして、徴税の方法としてはこれは決して健全な姿じゃないのでありますから、そういう点も十分憂慮いたしまして、遊興飲食税の問題を何とか間違いない姿に直したい、こういう考えを持っております。
  81. 大矢省三

  82. 畠山鶴吉

    畠山委員 私は突然委員にしていただきまして、本日遊興飲食税に関して、それから地方併合問題につきまして、二点をお尋ねしたいと思って本日委員を申し出た次第でございます。  ただいま遊興飲食税についてお話しがございましてごもっともな点がたくさんございますが、しかし遊興飲食税については、いまさらこうやくばりのことを言うのはおそいと思うのです。これは申し上げるまでもなく戦争中の遺物でありまして、戦争中だけ遊興飲食税をとる。その当時は軍閥がいばっておる時代でございますから、もしこの税金を払わなければ商売をよしてもよいという、もうそんなものはどうでもいいという附帯条件のもとにわれわれはこの遊興飲食税というのを認めたのです。しかしその後終戦になりまして十年もたった今日、その当時の言葉を使って平然としてかわり財源がないから、この遊興飲食税を取り上げるということは、あまりにも敗戦国とは言いながら、実際の実態の上からいたしましても、現在の段階におきましてこれを扱っておりますところの当局の気持に私はいささか不安を持つものであります。なぜならば日本の健全財政を作り上げる上から、もちろんかようなものをとるということは忍びないことでありましょうが、先ほど来いろいろ伺っておりますと大蔵省は大蔵町、通産省は通産省あるいは運輸省は運輸省、厚生省は厚生省というように各省におきまして、税金の取扱いと、その方法について意見が異なっているのであります。これは日本の経済のために一本化して、そうしてこの遊興飲食税を取り上げるというならば、そこに業者としても納得いく点があると思いますが、かような次第でもって、ある場合においてはお前のような商売はもう国家には必要ないのだ、しかし税金だけは払えという、そういう二重人格的の言葉はないと私は思う。この際財源の関係もあるということを伺っておりますから、あえてこれを申し上げるのでありませんが、もし徴収するというなら、業者がこの遊興飲食税を取り上げられるだけの健全な税額にしてもらうということ。もう一点はもし取るならば、この名称を変えて、終戦後十年の今日取り上げてもよい名前のもとにこれを取り上げていただきたい。もう一つはこの税金を取り上げる業者であったならば、国家の経済上多少必要な営業であるから、この業者をもう少し待遇してもらいたいということであります。今奧野部長さんから御説明がありましたが、旅館の宿泊で二億何千万円という内訳を聞きました。また一方には十六億幾らの内訳を聞きましたが、これは大へん相違しております。静岡県熱海の一例を申し上げても、熱海だけで旅館がとにかく五億円払っております。かような点からいたしますと、その金額においても大へん相違があるということ、それからまた地方の経済の問題につきましては、この遊興飲食税を唯一の県の財源といたしております関係上、幾多の問題が起って参っておるのであります。私は後刻第二点として、熱海市内泉区の問題について申し上げたいのでございますが、これらも遊興飲食税に大なる関係を生じて、今日かような問題が起ったのであります。決して理屈ではなくして、自治庁音局におかれましてこの問題を根本的に改正してもらうということ、取るならば名称を変えて、取り上げられる税金にして、お客様から取って国に納める——現在では業者がほとんど立てかえて払っておりますから、おのずから営業方面運営がまずくなっておるような状態でございますから、どうぞこの点につきまして十分なる御考慮をお願いすると同時に、今回は提出を見合わすような御意見のようでありますが、今度御提出になるときにおきましては、この問題を一つ御検討下さることをお願いして、この点につきまして大臣のお気持だけ一言お伺いいたしたいと思います。
  83. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 ただいま畠山さんからいろいろのお話しがございました遊興飲食税につきましては、従来も問題があるところでございまして、十分研究の上に適正な方策をとりたい、こう考えております。     —————————————
  84. 大矢省三

    大矢委員長 町村合併に関する問題について畠山氏より質疑の通告がございますので、この際これを議題として質問を許すことにいたしてさしつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 大矢省三

    大矢委員長 それではさようにいたします。どうぞ……。
  86. 畠山鶴吉

    畠山委員 問題は熱海市内泉区の件でございますが、この問題につきましては、かねがね新聞その他で皆様御承知のことと存じますが、私は静岡県二区におります関係上、この問題はどうしても捨ておくことができません。私どもの聞き及ぶところによりますと、自治庁当局におきましても調査会あるいは委員会等をお作りになりまして、いろいろ研究調査をなされているということも伺っております。けれどもこの泉区が今日かような問題に立ち至ったという根本につきまして、時間もございませんからごく簡単に一言申し上げてみますと、今から十五、六年前には、泉区というのは家が二十軒くらいしかなかった。しかしこの湯河原という温泉場がありまして、この湯河原温泉場は山奥のためにどうしても発展いたしません。そのために、いやな言葉でまことに恐縮でございますが、泉区に赤ペン、金ペン、白ペンというあのペンの名前のついた業者ができたのでございます。ペンで済めばけっこうな名前でございますが、これは要するに遊び場所でございまして、そのために白ペンへ行った、赤ペンへ行ったというので、この湯河原という温泉場が今日のように発展をいたしたのであります。その当時静岡県におきまして、また熱海市におきましては、これを黙視しておったのであります。湯河原発展のために黙視しておったにもかかわらず、進歩いたしまして、発展をいたした今日、お前育ったからもう湯河原の温泉場に来い、神奈川県へ来いということは、いかにも残酷な扱いじゃないかと私は思うのであります。かような点からいたしまして、この際おのおの意見は切りのないほどございましょうが、私の意見といたしましては、まず現状維持、もうしばらく様子を見た上で最後の方法をとっていただくことが、今後国内すべての安定のためにも私は穏当ではないかということを考えておりますので、この際川島長官の御意見を拝聴いたしたいと思います。
  87. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 湯河原に接触した熱海市内の泉地区を湯河原に併合するという問題につきましては、前年来紛争を重ねておりまして、先般の地方選挙の直前でありますが、住民投票をするというまで事件が切迫しまして、しかもその際には賛否論に分れて、かがり火をたいて大いに気勢を上げて事態が不穏になりましたので、そこで自治法の規定によりまして、両県下の紛争事件でありますから、内閣総理大臣から自治紛争調停委員というこの制度を適用しまして、自治行政にたんのうな野村秀雄君、狭間茂君、三好重夫君の三人の方々にお願いをいたしまして、両者の間の調停をお願いしておるわけであります。まだ結論が出ないとみえまして、私に答申が参りませんが、何といたしましても、湯河原、熱海両市に利害の関係の多い問題でございますから、十分慎重に扱いまして善処をするつもりであります。御心配のように、軽率に結論を出すということはいたさないために、わざわざ紛争調停委員まで設けたわけでございますから、さように御了承を願いたいと思います。
  88. 畠山鶴吉

    畠山委員 ただいま川島長官の言われた非常に含みのあるお言葉で私どもは感謝いたしておりますが、しかしお話のうちに、住民投票をするというお話もごもっともでございまして、私どもこれを聞いておりましたが、現在の段階におきましては——最初は五分五分でございましたが、今は併合をしない、現状維持で泉区に残っていたい、泉区を発展させたいという気持の人が六割五分、七割に上昇してきたように、私どもは調査をいたしておりますので、この点も一応当局としてお調べを願いたい。なぜならば、とにかくこの泉区というのは、山を一つ越しますと、あの伊豆山というところの、現在熱海の市内とすぐくっつくのでございます。最近工事にも三千万円の予算をもって泉区から熱海の市内に通ずる道路を作っております。これは突貫工事で、とにかく泉を取られては大へんだというので、静岡県も命のある限りあそこへ全力を注いで、この戦いは絶対に負けることができないと張り切っているような状態でございまして、この気持もどうかぜひおくみ取り下さいまして、この問題解決のかぎを握っておりますところの川島長官並びに鳩山総理大臣におかれまして、賢明なる御審判と私どもの要求する点を、ぜひともお認め願いたく陳情かたがた意見を申し上げる次第でございます。どうぞこの点よろしくお願いします。委員の皆様もどうぞ私どもの意のあるところを御了承願いまして、御協力のほどを切にお願い申し上げる次第でございます。     —————————————
  89. 大矢省三

    大矢委員長 それでは先ほどの地方税法の一部を改正する法律案議題として質疑を続行します。中井君。
  90. 中井徳次郎

    ○中井委員 遊興飲食税について、先ほど大臣からもっと慎重に考えて基本的に改めるかどうか考慮するというようなお話がありました。これについてちょっとお尋ねしたいのですが、去年実は吉田内閣のときでありますが、入場税を国税に移管をいたしますときに、遊興飲食税も国税に移管するという話があったのであります。ところが、これはまことに言いにくいのでありますが、高級飲食店あるいは待合、そういうところの主張その他の反対連動によって、これだけは地方税に残ったというようなことなのであります、私どもはその当時から入場税とか遊興飲食税とかを国税に移管するということについては反対でございました。にもかかわりませず、入場税が国税になって一年の経過を見て、あのような始末である。しかしながらその過程において問題としなくてはなりませんのは、今申し上げましたような、そういう安易な反対運動その他陳情によって、簡単に事がきまるというようなことをやられましては、これは全国の善良な業者も非常に困りましょうし、また理論上こういう遊興飲食税というものの存在価値を考えてみました場合には、高級料理店はいわゆる遊興税に重点を置かるべきでありまして、飲食税といり飲食に関係のあるものは、先ほども申し上げましたように、一刻も早くやめるべきである、こういう考え方であくまで押し通していく。しかもそのことについては私どもはできると思うのであります。具体的にいえば、ただ飯を食うだけというようなものにはもうかけない。業種その他を勘案されましたならば、芸者も入るようなところには遊興税をうんとかけるというようなことは、はっきり私はできると思うのでありますが、そういう点について、大臣はよくそういうことの裏や表も御承知の方でありますから、私はもう端的に申したいんですが、遊興飲食税ということについて、どちらに重点を置いているか、やるならば徹底的にやるというようなことをはっきりと私どもは示していただきたい。それがかえって摩擦を少くいたします。また私は税額の絶対額において、そういうことをはっきりすることによって、今日の地方財政の困難はそれによって左右されるとは実は考えられない。先ほどちょっと説明を受けました、いわゆる飲食に関係する税金は、非常に金額が少いという面から見ても、はっきりといたしておると思うのです。その点もう一度念を押すようでございますが、大きく、総合的にこれを考え直すとおっしゃいますか、それに対する基本的な考え方について見解を伺ってみたいと思います。
  91. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 中井さんのお考えは、遊興税はとって、飲食税の方はよしたらよかろう、こういうことのように伺ったのですが、これも確かに御議論と存じます。何といたしましても、遊興飲食税を中途半端な改正をするのは、この際適当ではないと考えまして、提案をいたさなかったのでありまして、次の機会までに根本的に遊興飲食税というものを再検討いたしまして、適当に処置いたしたいという考えでおります。御議論のほどはよく拝聴いたしましたから、これも十分尊重して考えたいと存じます。
  92. 中井徳次郎

    ○中井委員 最後に奧野君にお伺いしますが、遊興飲食税を遊興と飲食にわけて、遊興一本でいくということで、技術的に簡単にできると思うのですが、あなたのお考えはどうですか。
  93. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話の考え方、二つあるんじゃないかと思います。一つは場所で課税をするか、課税をしないかをきめていくことであります。一つは行為の実態によって、飲食行為であるか、遊興行為であるか、行為の実態によって課税するか、課税しないかきめていくことであると思います。しかし税務行政の面から考えていきますと、結局、場所で課するか、課さないかをきめていくよりいたし方がないのじゃなかろうかというふうに思います。現在もあるものは風俗営業取締法規定の適用を受けている、あるものは旅館業法の適用を受けている、あるものは食品衛生取締法の適用を受けている。ところが、それらの実態の間にそれぞれの法に規定するだけの差があるかといいますと、この間が非常に混乱しているようであります。従ってそれぞれの業態をどう整備していくかということは、一つ研究題目じゃなかろうかと思っております。
  94. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 先ほどの遊興飲食税のことについて聞くところによると、政府事務当局案が民主党の政調会にかかったときに、それを取り扱わないということになったというふうに聞いているのですが、大臣は、取り扱わないことにしたのは、今では間に合わないのだから、この点についてはゆっくり根本的に考えてやる必要があるからという理由で、それを取り扱わないことになったのかどうか、その理由をお聞きしておきたいと思います。
  95. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 遊興飲食税の改正案は、事務的には一応成案ができまして、民主党の政調会に下相談をしたわけでございますが、そのときの議論といたしましては、果してこうした改正をして遊興飲食税がねらっているような正確な徴税ができるかどうかということなんであります。多少減税をして、実態に合わしたいということなんですが、事務当局が作った程度の減税で実態に合うか合わぬかということが一つの問題であります。  もう一つは、減税をする反面において、徴税を確実にするために、公給領収書というものをやろう、いいかえますれば、道府県庁が発行しておる領収書をあらかじめ遊興飲食店に配っておきまして、お客に対して一々その領収書を交付しようという考えでありますが、これについてもいろいろ議論があります。公給領収書を発行することは、ややともすると事務が官僚化してくるんじゃないか。実際問題としては、道府県庁の税務関係の吏員などが、遊興飲食店に対して悪意な干渉をする余地ができるんじゃないか。また公給領収書を発行することのために、道府県庁の税務事務がふえて、機構が膨大になるのではないかなど、いろいろ議論もあります。従って公給領収書については、今後相当検討してみなければならぬ。それと同時に税率の改正についてもなお考究する必要がある。言いかえますれば、遊興飲食税については、先ほど来御議論のある通りいろいろ問題があるのでありますから、もう少し掘り下げて根本的の改正をする必要があるという点で、中途半端な改正はよしたらよかろう、こういう意味で提案を見合わせたわけであります。
  96. 門司亮

    ○門司委員 さっき聞き漏らした点もあると思いますが、はっきりしておきたいと思いますことは、政府が徴税の方法を変えて財源に見込んでいるだけは大体徴収ができるということを、政府は基礎にしてお考えになっているようです。ただその方法を実態に沿わないからどうするかという考え方だと思いますが、政府は今業者が言っております実態に沿わない税金——消費者が納める税金を業者が立てかえている実態だと言われているのですが、その実態についてはっきりした調査をされたことがありますか。一体税金を納めているか納めていないか、同時に今日の遊興並びに飲食の実態がどうであるか。常識的に考えて遊興と思われる——政府から出している参考書にも書いてあるたとえば料理店、あるいは貸席、あるいはキャバレーというようなところの税金が大体項目別に書いてあります。書いてあるから、大体政府は知っていると思います。そういうものの実態を調査したことがありますか。どういうわけで税金が十分に納まらないのか。そうしてそれらの機関を利用するものは一体どういう階級か。どういう連中がこれを利用しているかということの実態を調査したことがありますか。もしあったら、この機会に発表してもらいたい。
  97. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話のような気持でいろいろ調査はいたしているわけでありますけれども、まだ発表できるほどに自信のある調査は持っておりません。業者が自分の腹を痛めて納めている、こういう問題は、結局私たちは遊興飲食税が、法律に書かれているところと現実に行われているところに大きな食い違いがあると思っております。同時にまた業者相互間の負担の間にも、大きな不均衡が出てきております。悪い言い方をしますと、脱税の力の強い人たちが非常に栄えていくという形にもなっているんじゃないかと思います。法律に書いてありますところは、遊興飲食の額に従ってお客さんから徴収しておいてもらい、それを府県に納めていただくわけでありますけれども、今申し上げますような格好になっているものでありますから、法律通りにお客さんから徴収するものを、利潤なり経費なりあらゆるものをひっくるめてその中で一緒に扱っているわけでありますので、自然結果的には業者が自分の腹を痛めて出しているんだ、こういう言い方にもなってきているんじゃなかろうかと思っております。
  98. 門司亮

    ○門司委員 ただそれだけではわからぬ。政府改正しようとするなら、その間がはっきりしてこなければ、私は改正方法が見つからぬと思う。われわれが主張しているように、遊興と飲食とを分けなさいということは、これは行政的の問題で、分ければいつでも分けられる。分けてみたところで、たとえば遊興なら遊興だけで取るということをきめてみたところで、今のようなことでやはり業者がこれを負担するということになっておれば、これは非常に問題があとに残されて、いつまでたってもこの問題は解決されない。問題の焦点は、やはり遊興と飲食を分けて、家庭の延長と思われるような飲食には税金をかけないでおこう、それ以外のものにかけようという、これが一つの考え方である。次の考え方は、どうして今日のような問題が起ってくるのかということが解決されなければ、たとえば遊興だけに税金をかけるということにかえてみても、この問題はいつまでたっても解決できない。業者が負担するか、消費者が負担するか、消費者が負担するのにはどうすればいいか、どうすれば税金が法律通りに取れるかという現実の姿で、自治庁は調査をしたことがあるのか、この調査をなさらないで、理屈ばかりこねておっては、いつまでたってもこの問題は解決できない。どこが悪いのですか。どうして法律通り守られないのか、一つ自治庁の考え方をはっきりしておいていただけませんか。
  99. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 もとよりいろいろ調査をしておりまして、改正いたしました場合にはどういう税額がそれぞれの筋から得られるであろうかというような数字は、持っていることば持っているわけであります。しかしながらもとよりそれがどこまで客観的に合っていくか、大体の傾向としてはそうだろうということは言えると思うのでありますけれども、何分売り上げ金額そのものが正確ではございませんので、ある程度の推定が入っている、こういう意味で申し上げるわけであります。傾向として申し上げますと、風俗営業取締法規定の適用を受ける、いわば婦女の接待のもとにおいて行われている遊興及び飲食、こういうものが一番軽課されている。どこに重くかかっているかといいますと旅館ないし飲食店、こういう方面に比較的重く課されている、こういう実態になっていると思っております。大へん遺憾なことでありますけれども、私たちの調査している傾向では、そういう数字に出てきております。
  100. 門司亮

    ○門司委員 私は自治庁は何だか取ることだけ考えているからそういうことになると思う。取るのでなくて、結局不平の起らないように取るにはどうすればいいかということを、納める方の身になって少し考えてごらんなさい。キャバレーがたくさん税金をのがれて、旅館とか善通の飲食店とかはうものば比較的規模が小さい。旅館などは大体泊める人間を登録しなければならぬことになっていて大体わかるから安易にできる。だからそういうところからよけい取るにきまっている。キャバレーなどは一々人間の名前をつけて警察に出すというようなことをしていませんからわからない。そういうことが実態において出てくる。われわれはそういうことを別に聞いておるのではない。業名がどうしても自分たちが負担をしなければならないという声が非常に強いので、従って、これは税の本質から考えれば当然消費する者が負担することになっているのだが、実態はそうではないのだということになっている。これがこの税金で一番大きな問題です。その問題をどう解決すればいいのかということです。ここを自治庁が考えない限りこの問題はいつまでたっても解決できない。あなたは取る方ばかり考えているが、どういうところを平均に取ればいいかということを考えなければだめです。納める方の身になって考えてごらんなさい。それを解決してやる親切がなければ、いつまでたっても解決しませんよ。たとえば料理屋とか貸席とかキャバレーというようなところはごまかしておる率が多いということなら、それをごまかされないようにするにはどういう方法ですればごまかされないかということ、同時に業者はどういう方法ですれば納得して納めるか、消費者から取れるかということです。これはどっちかにしなさい。そこを調査しない限りはいつまでたってもだめです。取ることばかり考えて、納める方のことを考えないで議論したって始まりませんよ。自治庁はそういうことを調査したことがありますか。
  101. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 業界の方々の意見もいろいろ聞いておるわけでありますけれども、大体においてそれぞれの業界におきましても、業者相互間の負担が不均衡になっておるようであります。従ってでこぼこになっております関係上、そこに適正な納税といいますか、それを拒否する気持がおのずから出てくるのじゃないだろうかというふうに思っております。やはり同じように負担をするなら、それぞれの課せられたものを客から徴収いたしまして、それだけのものを納めていく、こういうことになろうかと思うのであります。なおまた考えようによりましては、軽いものであれば納税者に転嫁するのもしやすいという問題にもなってこようかと思いますけれども、私たちは根本には業者相互間の負担が均衡の得られたものになってくる、それが業者の間に協力的な気持が起ってくる前提ではなかろうかというふうに思っております。それをするのには、結局売り上げ金額を正確に把握するようにならなければならないのではないかというふうに考えております。
  102. 門司亮

    ○門司委員 結論だけはわかる。その売り上げ金額が正確になればいい——その前段の、業者相互間に違うというのは、これは法律が一本ならば違うわけはない。後段の、売り上げ金額が正確になってくればわかるのだということが一番大きな問題なんで、これをどう調節していくか。それともう一つの問題は、そういう大きな負担に納める方がたえ得るかたえ得られないかという問題が一つあるかもしれない。あるかもしれませんが、少くとも遊興という名前をつけて税金を取ろうとすれば、これは社会通念から考えて、そうして普通一般の社会人の考え方というか行為よりも超越したというか、そういう出た行為に対して税金をかけていくことは私はいいと思う。思うが、かけるにしても、さっきお話のあった業者相互間の均衡がとれないということは考えられません。税金をきめる場合法律は一本なんです。均衡がとれようがとれまいが、その行為に対して税金をかけていく自治庁の考え方が私にはわからぬ。自治庁の考え方としては、いかにすれば消費者が納められる税金になるかということ、これは業者との間に話合いができれば私はそれでいいと思う。問題は、法律が忠実に履行されるようにしておきませんと、今前段にお話されたように業者の間に不均衡ができるにきまっている。法律を忠実に履行しないからそれができる。忠実に履行していけばそんなものはできやしない。よけいなところはよけい納め、少いところは少く納めるということなら問題はありません。だから私は、法律がいかに忠実に履行されるかという問題について、今履行されないとするならば、その後段の一番最後に言われた、いかにすれば消費の高が正確につかめるかという方法について、自治庁はどういうことをお考えになったかということを聞いておる。調査し、さらにお考えになったか、調査された事実があり、さらにお考えになったことがあるなら、この際はっきりお答えしておいてもらいたい。
  103. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 遊興飲食税が国税から地方税になりまして以来、あるいは料理飲食営業の禁止の処分があったりいたしまして、大へん運営が困難な状態に置かれて参りました。また従って現在では、困難な状態に置かれたまま膠着したような姿に私たちには見受けられるのであります。従いまして今の税法をそのままにしておいて問題は解決しないんじゃないだろうかというふうに私は思っております。従ってこれをどう解決するかということになって参りますと、結局今おっしゃいました消費の金額を的確に把握するという方法になってくれば、相当な量のものにつきましては領収書を出してもらうことも一つ方法じゃないだろうか、こういうような結論を一応事務的には得ておったわけでありますが、これにつきましてもいろいろな問題もございましたので、さらに研究するということになっておるわけでございます。
  104. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 消費者から取ったものを税として妥当に適切につかむという方法として、今の府県が発行した領収書の紙をそれぞれの業者に渡しておいて、その都度に受取証を出してそれでつかむという方法を考えて、自治庁においては一応決定したというふうなお話でありましたが、それは確実に実行できるという事務的な見解から出されたのか。ところが民主党の政調会ではそれはとてもできないということで、これは研究する必要があるということになったという大臣のお話だったのですが、事務当局としては、そういうふうな方法をやれば的確に把握ができて、減税しても減税しただけのものは確実に取れるのだからしてその方がよろしい、こういう結論に達したと思うのですが、それに対する確信のほどを一つ事務当局からお聞きしておきたい。
  105. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 税務行政を立て直すためには、やはり特別徴収義務者になっております業界の協力が得られなければならないと思うのであります。またそのためには、ある程度税率を引き下げてお客から取りやすいようにする、そういう意味で税率も引き下げたわけでありまして、いろいろな人の意見も伺っておったわけでありますが、その上で領収書の制度をとるならば、ある程度実行できていくのではないかというふうに思っておったわけであります。もとよりいろいろな問題がその中にあるわけでありまして、そういう点につきまして、なお研究の余地があって今回提案を思いとどまったわけでありますが、今申し上げましたようないろいろな面を総合的に改善していきまして、そして当初考えておりましたような方向をとればいいのではなかろうかというふうに思っておったわけであります。
  106. 大矢省三

    大矢委員長 本日はこの程度にして、次会は明二十三日午前十時三十分より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会